説明

画像検査装置、画像形成装置、及び画像検査プログラム

【課題】ユーザの所望する出力モードに応じて画像を編集した場合に、出力物に画像編集の副作用が生じているかを検査する。
【解決手段】印刷媒体に出力された出力画像データと、前記印刷媒体に出力する前の原稿から読み取られた原稿画像データとを比較して画像編集処理により生じる画像変化の副作用を検査する画像検査装置であって、ユーザにより指定された出力モードを取得する出力モード取得部と、取得した出力モードに応じて前記副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定する検査項目設定部と、前記出力モードに応じて前記副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出する検査対象領域抽出部と、設定された検査項目ごとに抽出された検査対象領域における前記副作用による画像変化を検査する検査部とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成装置、及び画像検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフセット印刷等の印刷機においては、印刷時に生じる濃度変動や画像欠け、スポット汚れ等の画像欠陥等により、印刷された出力物がユーザの所望する原稿画像データと異なる状態で出力される場合がある。そこで、従来では、印刷された出力物に原稿画像データが忠実に再現されているか検査をするための検査装置が知られている。
【0003】
また、上記検査装置の検査結果に応じて、原稿画像データの搬送先を変更したり、画像を補正したりする画像検査機や画像形成装置等が知られている。また、例えば複写機等においても、この検査装置を用いて搬送先の変更や画像の補正等が行われており、原稿の読取データと、コピー原稿の読取データとを比較してコピー原稿の色味を補正するインクジェット方式の複写機等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、マスター画像に基づき、印刷物等からなる非検査対象物の良否を判定する印刷機の検査装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2の手法は、いずれも出力された出力物が原稿に忠実に再現されているか検査するだけであった。すなわち、この検査では、例えばスキャナ等で読取った原稿の読取データ(原稿画像データ)と、出力物の画像を読取った読取データ(出力画像データ)とをRGBデータで比較し、その差分が所定の閾値以上であったり、RGBバランスが所定の閾値以上であったりする場合に異常と判断する等の検査を行っていた。
【0006】
ここで、画像検査方法としては、例えば出力物が原稿画像データに忠実か否かの他にも、例えば原稿画像データがユーザの要求通りに変更されて出力されているか等を検査することが求められている。すなわち、ユーザによっては出力物に対して原稿画像データとは異なる画像編集処理(原稿の忠実な再現を望まない処理)等を所望し、原稿の画像出力モードを変更するような場合がある。このような処理として、例えば「孤立点除去処理」、「画像の鮮鋭性調整処理」、「指定色消去処理」、「地肌除去処理」等の画像編集処理が施された場合、原稿の画像と出力物の画像との差分は大きくなる。
【0007】
したがって、従来における出力物が原稿画像データに忠実に再現されているか否かを評価基準とする画像検査方法では、ユーザの所望により変更された原稿の画像が、原稿に忠実ではなく、ユーザの要求通りに変更されているか否か検査することができなかった。更に、上述した画像編集処理を実施した場合には、その程度に応じた副作用(例えば画像の品質を悪化させる作用等のユーザの所望する変更以外の変化等)が生じる場合がある。このような副作用による弊害についても、従来の画像検査方法では検査することができなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの所望する出力モードに応じて画像を編集した場合に、出力物に画像編集の副作用が生じているかを検査する画像検査装置、画像形成装置、及び画像検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、印刷媒体に出力された出力画像データと、前記印刷媒体に出力する前の原稿から読み取られた原稿画像データとを比較して画像編集処理により生じる画像変化の副作用を検査する画像検査装置であって、ユーザにより指定された出力モードを取得する出力モード取得部と、前記出力モード取得部により取得した出力モードに応じて前記副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定する検査項目設定部と、前記出力モードに応じて前記副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出する検査対象領域抽出部と、前記検査項目設定部により設定された検査項目ごとに前記検査対象領域抽出部により抽出された検査対象領域における前記副作用による画像変化を検査する検査部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した画像検査装置を備えた画像形成装置である。
【0011】
また、本発明は、印刷媒体に出力された出力画像データと、前記印刷媒体に出力する前の原稿から読み取られた原稿画像データとを比較して画像編集処理により生じる画像変化の副作用を検査する画像検査プログラムであって、コンピュータを、ユーザにより指定された出力モードを取得する出力モード取得部、前記出力モード取得部により取得した出力モードに応じて前記副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定する検査項目設定部、前記出力モードに応じて前記副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出する検査対象領域抽出部、及び、前記検査項目設定部により設定された検査項目ごとに前記検査対象領域抽出部により抽出された検査対象領域における前記副作用による画像変化を検査する検査部として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの所望する出力モードに応じて画像を編集した場合に、出力物に画像編集の副作用が生じているかを検査することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る画像検査システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】MFPが備えるスキャナ補正部のブロック構成を示す図である。
【図3】MFPが備えるプリンタ補正部のブロック構成を示す図である。
【図4】MFPが備えるコントローラのブロック構成を示す図である。
【図5】画像検査装置が備えるコントローラのブロック構成を示す図である。
【図6】孤立点除去処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】鮮鋭性変更処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】カラー変換処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】地肌除去処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、例えば、ユーザにより指定された出力モードに応じて画像を編集した場合に、画像編集の副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定し、副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出し、設定した検査項目ごとに抽出した検査対象領域における副作用による画像変化を検査し、出力物に画像編集の副作用が生じているかを検査する。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
<画像検査装置:ブロック構成例>
図1は、本実施形態に係る画像検査システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像検査システム1は、原稿から得られた原稿画像データを印刷、複写し、記録紙等に出力するMFP(Multi−Function Peripherals:複合機)10と、記録紙等に出力された出力(印刷)画像を検査する画像検査装置20とを有するように構成される。
【0017】
MFP10は、画像読取部101と、スキャナ補正部102と、圧縮処理部103と、コントローラ104と、HDD(Hard Disk Drive)105と、伸長処理部106と、プリンタ補正部107と、プロッタ108と、NIC(Network Interface Controller)109と、操作表示装置110とを有するように構成される。
【0018】
MFP10が、例えばフルカラー複写機として動作する場合、画像読取部101は、原稿をR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)に色分解した原稿画像データを読み取り、読み取った原稿画像データをデジタルデータに変換して出力する。
【0019】
スキャナ補正部102は、画像読取部101が読み取った原稿のRGB画像データに対して、例えばスキャナγ補正処理を行ったり、画像領域を文字、線画、絵柄等に分類(像域分類)したり、画像の文字部分を強調し、絵柄部分を平滑化するフィルタ処理等の画像処理を施す。これにより、スキャナ補正部102は、画像読取部101により読取られた原稿画像データのスキャナ特性を補正する。
【0020】
圧縮処理部103は、スキャナ補正部102による補正後の多値画像データを圧縮処理して、汎用バスにデータを送出する。このように圧縮処理部103により圧縮処理された原稿画像データは、汎用バスを介して、コントローラ104に送られる。
【0021】
コントローラ104は、例えば半導体メモリ等を備え、汎用バスを介して送られてきた原稿画像データ等を内蔵された半導体メモリ等に蓄積する。
【0022】
HDD105は、例えば大容量の記憶装置等を備え、コントローラ104に蓄積される原稿画像データが随時書き込まれる。このように、HDD105に原稿画像データが書き込まれるのは、例えばプリントアウト時に用紙が詰まってしまい正常に出力が終了しなかった場合に、再度原稿を読み取り直すことを避けたり、複数の原稿画像データを並べ替えて電子ソートを行ったり、必要なときに読み取った原稿画像データを再度出力するためである。
【0023】
ここでは、上述したように原稿画像データに圧縮処理を施したが、本発明においてはこれに限定されず、例えば汎用バスの帯域が十分に広く、HDD105の容量が大きければ、非圧縮状態でデータを扱うこともできる。
【0024】
コントローラ104は、HDD105に蓄積された原稿画像データを、汎用バスを介して伸張処理部106に送出する。
【0025】
伸張処理部106は、圧縮処理された原稿画像データを元の多値画像データに伸縮し、プリンタ補正部107に送出する。
【0026】
プリンタ補正部107は、例えば原稿画像データに対してユーザの出力用途に応じた補正処理を行い、例えばフィルタ処理、色補正処理、プリンタγ補正処理、階調処理等が行われる。これにより、例えば、原稿画像データに対してユーザの所望する鮮鋭化処理(モード)を実現するフィルタ処理や、画像出力モードに応じた色補正処理や、プロッタの階調特性の補正処理や、誤差拡散処理やディザ処理等の画像データ量子化等が行われる。
【0027】
プロッタ108は、例えばレーザービームによる書き込みプロセスを用いた転写紙印字ユニット等であり、原稿画像データを感光体に潜像として描画し、トナーによる作像、転写処理後、転写紙(記録紙)等に原稿のコピー画像(出力画像)を形成する。
【0028】
NIC(ネットワーク・インタフェース・コントローラ)109は、例えばHDD105等に蓄積された画像データを、ネットワークにより接続された外部PC端末装置30等にネットワーク配信する。
【0029】
操作表示装置110は、ユーザ所望の画像出力モードを受け付ける。例えば、操作表示装置110は、ユーザにより文字写真モード、文字モード、写真モードのいずれかが選択されたり、カラーを変換するカラー変換処理(モード)、画像の鮮鋭性を変更する鮮鋭性変更処理等が選択されたりすることにより、画質の編集を含めたユーザ所望の画像出力モードを受け付ける。また、操作表示装置110を介してユーザにより指示された画像出力モードの結果は、コントローラ104に伝達される。
【0030】
コントローラ104は、操作表示装置110から伝達された画像出力モード情報を蓄積し、その情報に基づき各構成を制御する。例えば、コントローラ104は、画像出力モード情報に応じて、スキャナ補正部102やプリンタ補正部107に対して画質パラメータを適宜変更するよう指示する。これにより、MFP10は、ユーザの所望する画像を出力することができる。
【0031】
なお、MFP10は、外部PC端末装置30等から取得した画像データをプリントアウトするプリンタとして動作する場合、NIC109より出力されたデータから、画像及びプリントを指示するコマンド(例えばページ記述言語PDL)を解析し、画像データとして印刷できる状態にビットマップ展開する。HDD105には、このように展開したデータが圧縮されたものが書き込まれる。
【0032】
コントローラ104は、例えばユーザによる任意の副作用検査実行時に、画像検査装置20のコントローラ204からの要求に応じて、例えばプリンタ補正部107等から副作用検査に用いる画像検査対象の位置情報、及び特徴量データ等を取得し、コントローラ204に送出する。なお、上述した位置情報、及び特徴量データの具体例については後述する。
【0033】
また、コントローラ104は、副作用検査に用いる情報として、上述した情報の他、例えばユーザが指定した画像出力モードを含む書誌情報、所定のスキャナ補正が施された原稿画像データ等をコントローラ204に送出する。
【0034】
次に、MFP10から記録紙等に出力された出力画像と、MFP10に入力した原稿画像とを比較して画像編集処理により生じる画像変化の副作用を検査する画像検査装置20について説明する。
【0035】
画像検査装置20は、画像読取部201と、スキャナ補正部202と、圧縮処理部203と、コントローラ204と、出力モード取得部205と、検査項目設定部206と、検査対象領域抽出部207と、検査部208と、HDD209とを有するように構成される。
【0036】
画像読取部201は、MFP10から出力された記録紙(出力物)等から出力画像を読み取り、出力画像データをデジタルデータに変換して出力する。
【0037】
スキャナ補正部202は、画像読取部201で読み取られた出力画像データ(デジタルデータ)に対して、例えばγ補正処理等を行い、読み取りに用いた画像読取部201の特性を補正する画像処理を行う。なお、スキャナ補正部202と、上述したスキャナ補正部102の構成は同一とし、コントローラ104の画像データとコントローラ204の画像データの色空間が同一となるようにすると良い。また、画像読取部101と画像読取部201に同一特性のスキャナを用いれば、スキャナ補正部102とスキャナ補正部202のγ補正処理等の設定は両者で共通にすることができる。
【0038】
圧縮処理部203は、スキャナ補正部202から取得したRGB各8bitの出力画像データを圧縮処理して、汎用バスに送出する。圧縮処理された画像データは、汎用バスを介して、コントローラ204に送出される。
【0039】
コントローラ204は、例えば半導体メモリ等を備え、汎用バスを介して送られてきた出力画像データを内蔵した半導体メモリ等に蓄積する。なお、例えば汎用バスの帯域が十分に広く、HDD209の容量が大きい場合には、出力画像データを圧縮せずに、非圧縮状態で画像データを扱っても良い。
【0040】
また、コントローラ104に送出された画像データとコントローラ204に送出された画像データの色空間が同一であるため、コントローラ204において2つの画像データを比較して画像の副作用検査等を実行する場合には、2つの画像データを同一の色空間内で比較することができる。
【0041】
また、コントローラ204は、例えば、出力モード取得部205と、検査項目設定部206と、検査対象領域抽出部207と、検査部208とを実行させるための制御信号を生成し、生成した制御信号により各部を用いてそれぞれの機能を実行させる。
【0042】
出力モード取得部205は、例えば、ユーザから操作表示装置110等を用いて入力された画像の副作用検査実行指示を受けると、コントローラ204を介して、コントローラ104にユーザが原稿の出力に対して指定した画像出力モード情報の取得を要求し、コントローラ104からユーザが指定した画像出力モード情報を取得する。
【0043】
ここで、画像出力モード情報とは、例えば原稿画像データに対し、孤立点を除去する孤立点除去処理、鮮鋭性を変更する鮮鋭性変更処理、カラーを変換するカラー変換処理、及び地肌を除去する地肌除去処理のうち少なくとも1つの画像編集処理を含む。なお、画像出力モード情報を取得する際に、コントローラ204は、コントローラ104から副作用検査に使用する情報も併せて取得する。
【0044】
検査項目設定部206は、出力モード取得部205により取得した画像出力モード情報に応じて画像編集処理の副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定する。なお、画像編集処理の副作用とは、例えばユーザ等が指定した画像出力モード情報により原稿画像データに所望の変更を加える処理を行った場合に、その出力画像に生じた画像の品質を悪化させる作用等のユーザが所望する変更以外の変化等を示す。
【0045】
検査対象領域抽出部207は、出力モード取得部205により取得した画像出力モード情報に応じて画像編集処理の副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出する。
【0046】
例えば、ユーザが指定した画像出力モードが孤立点除去処理である場合には、検査対象領域抽出部207は、原稿画像データの孤立点除去処理が実行される前の文字列領域及び出力画像データの文字列領域を検査対象領域とし、検査項目設定部206は、検査対象領域とした原稿画像データ及び出力画像データの文字列領域から抽出された文字列の変化量を検査項目とする。
【0047】
また、ユーザが指定した画像出力モードが鮮鋭性変更処理である場合には、検査対象領域抽出部207は、原稿画像データの鮮鋭性変更処理が実行される前の所定の絵柄領域及び所定の絵柄領域に対応する出力画像データの絵柄領域を検査対象領域とし、検査項目設定部206は、検査対象領域とした原稿画像データ及び出力画像データの絵柄領域におけるヒストグラムの分散を検査項目とする。
【0048】
また、ユーザが指定した画像出力モードがカラー変換処理である場合には、検査対象領域抽出部207は、出力画像データのカラー変換処理によりカラー変換された領域を検査対象領域とし、検査項目設定部206は、検査対象領域にユーザにより指定されたカラー変換処理を実施しない領域が含まれているかを検査項目とする。
【0049】
また、ユーザが指定した画像出力モードが地肌除去処理である場合には、検査対象領域抽出部207は、原稿画像データにおいて地肌領域とみなされた領域に対応する出力画像データの領域を検査対象領域とし、検査項目設定部206は、検査対象領域に文字領域が含まれているかを検査項目とする。
【0050】
検査部208は、検査項目設定部206により設定された検査項目ごとに検査対象領域抽出部207により抽出された検査対象領域における副作用による画像変化を検査する。なお、検査部208は、例えば、抽出された検査対象領域における画像特性を用いて前記副作用による画像変化を検査する。検査部208による具体的な副作用検査処理については後述する。
【0051】
また、検査部208による画像の副作用検査の結果は、コントローラ204を介してコントローラ104に送出され、例えば画像の副作用検査の結果が不合格の場合には、操作表示装置110にその結果が表示されてユーザに注意を喚起したり、MFP10の動作が停止されたりする。
【0052】
なお、上述した画像検査装置20は、画像形成装置としてのMFP10に一体に組み込まれた構成としても良い。
【0053】
<スキャナ補正部102について>
次に、図2を用いて、上述したMFP10が備えるスキャナ補正部102について説明する。図2は、MFPが備えるスキャナ補正部のブロック構成を示す図である。
【0054】
図2に示すように、スキャナ補正部102は、像域分離部40と、スキャナγ部41と、フィルタ処理部42と、色補正処理部43とを有するように構成される。
【0055】
スキャナ補正部102は、画像読取部101から入力されたデジタル画像データに対して、予め定められたスキャナ特性を統一する処理を施して送出する。特性が統一された画像データは、MFP10の内部に蓄積され、再利用する場合に、出力先の特性に応じた特性で送出される。
【0056】
像域分離部40は、画像読取部101から入力されるRGB画像データに基づいて、原稿の文字、絵柄領域、有彩、無彩領域等を判別し、後段のモジュールに像域分離情報として送出する。
【0057】
スキャナγ部41は、画像読取部101から入力されるRGB画像データに対して、その明るさを予め定められた特性に統一して、フィルタ処理部42に送出する。本実施形態では、例えば反射率リニアな特性から明度リニアな特性に変換する。
【0058】
フィルタ処理部42は、入力されるRGB画像データに対して、その鮮鋭性を予め定められた特性に統一して、色補正処理部43に送出する。すなわち、基準チャートをスキャンした場合、線数毎に予め定められたMTF(Modulation Transfer Function)特性値になるように変換する。このMTF特性値は、文字領域と絵柄領域とでは要求される特性値が異なるため、それぞれの領域に対して補正が行われる。このように、像域分離部40で判別された文字、絵柄領域の判別結果に応じて、適切なフィルタ処理が行われる。
【0059】
色補正処理部43は、入力されるRGB画像データに対して、その色を予め定められた特性に統一して圧縮処理部103に送出する。本実施形態では、例えば色空間としてAdobe社で定義されるAdobe−RGB色空間になるように色変換する。このように、画像データを標準的なデータに変換することにより画像の副作用検査を容易にすることが可能となる。
【0060】
<プリンタ補正部107について>
次に、図3を用いて、上述したMFP10が備えるプリンタ補正部107について説明する。図3は、MFPが備えるプリンタ補正部のブロック構成を示す図である。
【0061】
図3に示すように、プリンタ補正部107は、フィルタ処理部50と、孤立点除去処理部51と、色補正処理部52と、プリンタγ部54と、中間調処理部55とを有するように構成される。
【0062】
フィルタ処理部50は、RGB画像データの鮮鋭性を、プロッタ108に出力する場合に再現性が良くなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部50は、画像データの付帯情報である像域分離情報を参照して鮮鋭化・平滑化処理を実行する。例えば、フィルタ処理部50は、文字領域では文字をくっきりとさせ、判読性を高めるための強調処理を行い、絵柄領域では画像を滑らかにするための平滑化処理を行う。
【0063】
上述したようにスキャナ補正部102のフィルタ処理部42では、画像データの鮮鋭性を予め定められた特性に統一化するために、線数毎に予め定められたMTF特性値になるように変換する。これに対して、プリンタ補正部107のフィルタ補正部50では、ユーザの用途に応じた加工を行うために実行される。例えば、フィルタ補正部50は、ユーザが画質モードとして文字モードを指定した場合には、上述した強調処理の程度を高め、写真モードを指定した場合には平滑処理の程度を高める。
【0064】
孤立点除去処理部51は、画像データ中の孤立黒ドットを除去する。例えば埃の多い場所で複写された複写物を原稿とした場合や、原稿画像データ中にトナー塵や地汚れがあった場合には、原稿画像データ中に孤立黒ドットが存在する場合がある。孤立点除去処理部51は、このような孤立黒ドットを除去する。通常、孤立点除去処理部51は、2×2画素以下の孤立黒ドットを除去するが、ユーザが孤立黒ドットを除去する強度設定を変更した場合には、3×3画素以下の孤立黒ドットを除去する。なお、画素範囲については、これに限定されるものではなく、例えば5×5画素以下の孤立黒ドットを除去する等、予め設定された処理レベル等に応じて任意に設定することができる。
【0065】
色補正処理部52は、入力されるRGB各8bitの画像データを、プロッタ108の色空間であるCMYK各8bitの画像データ、あるいはK単色の8bitの画像データに変換する。
【0066】
解像度変換部53は、画像の拡大・縮小を行う場合に、その比率に対応した又は所定の解像度の変換を行う。
【0067】
プリンタγ部54は、画像が出力される出力先の特性に応じて、画像の階調特性を変換する。例えば、プリンタγ部54は、プロッタ108を介してコピーを行う場合、出力画像の階調性を良好に保てるようにプロッタ108の出力特性を考慮した変換を行う。
【0068】
中間調処理部55は、CMYK各8bitの画像データあるいはK単色8bitの画像データを受け取ると、プロッタ108の階調処理能力に応じた階調数変換処理を行う。例えば、中間調処理部55は、CMYKあるいはK各2bitの画像データに擬似中間調処理の1つである誤差拡散法を用いて階調数変換を行う。
【0069】
なお、本実施形態では、原稿画像データに対する画像編集により生じる画像変化の副作用検査を実行する場合、コントローラ104は、操作表示装置110から得たユーザの指定する画像出力モードに応じて、例えばプリンタ補正部107等から副作用検査に必要な情報を出力させる。
【0070】
<副作用検査に必要な情報例>
ここで、上述した副作用検査に必要な情報の一例について説明する。
【0071】
<孤立点除去処理を実施する場合>
例えば、ユーザにより操作表示装置110において「孤立点除去処理(モード)」が選択され、「孤立点除去処理」が実施される場合について説明する。例えば、埃の多い場所で複写された複写物を原稿とした場合や、原稿画像データ中にトナー塵や地汚れがあった場合、原稿画像データ中に孤立点ドット(黒ドット)が存在する場合が生じる。ユーザは、このような孤立点ドットを除去してノイズの少ない画像を出力するために、操作表示装置110において「孤立点除去処理」の設定を行う。操作表示装置110は、例えば孤立点除去設定を5段階の除去強度段階で設定することが可能である。
【0072】
この除去強度段階は、強度段階が強いほどより大きな点まで除去することが可能であり、埃の多い環境で複写した複写原稿や、非常にトナー塵の多い装置で出力した複写物を更に複写するような場合には、強度段階を強くすることが可能である。なお、ユーザにより設定された強度段階に応じて、プリンタ補正部107の孤立点除去処理部51では、公知技術を用いて孤立点ドットを検出して孤立点除去処理を実行する。
【0073】
一方、強度段階を強くした場合には、画像中の文字に含まれる小数点、濁点、小さなフォントを用いた場合の例えば「丼」のような文字の中央の点等、ユーザが除去することを所望しないものまで消去される副作用が生じる場合がある。
【0074】
そこで、ユーザにより「孤立点除去処理」が選択された場合には、上述した副作用検査をするため、コントローラ104のCPUにより、予め「孤立点除去処理」を実行する前の原稿画像データに対して例えばOCR処理等を実行し、原稿画像データ中の文字列を抽出しておく。これは、上述したように、孤立点除去処理により生じる副作用として、主に原稿画像データ中の文字変化が考えられるためである。なお、OCR処理は、公知の文字認識処理等を用いることができる。
【0075】
コントローラ104は、上述したOCR処理による処理結果を蓄積しておき、「孤立点除去処理」の副作用検査を実行する場合に、副作用検査に使用する情報として、蓄積しておいたOCR処理による処理結果をコントローラ204に送出する。したがって、この孤立点除去処理の場合、プリンタ補正部107から副作用検査に用いられる情報は出力されない。なお、上述の説明では孤立点の除去強度段階を5段階としたが、本発明においてはこれに限定されず、段階数は任意に設定することが可能である。
【0076】
<鮮鋭性変更処理を実施する場合>
また、例えば、ユーザにより操作表示装置110において「鮮鋭性変更処理(シャープネス設定)」が選択され、「鮮鋭性変更処理(モード)」が実施される場合について説明する。例えば、ユーザは操作表示装置110において「シャープネス設定」として「くっきり」、「滑らか」の鮮鋭性(鮮鋭化)程度を例えば5段階で設定することが可能である。
【0077】
ここで、「くっきり」側の設定段階が選択された場合、プリンタ補正部107のフィルタ処理部50では画像の平滑度合いを下げ、強調度合いを上げる処理が実行される。これにより、画像は全体的に強調され、特に原稿画像の濃度が急峻に変化する領域(エッジ領域)においてエッジが強調されて、くっきりとした画像となる。
【0078】
一方、強調度合いが非常に強い場合には、印刷する原稿の網点ドットが強調されたり、原稿画像データ(スキャナ読取画像データ)に存在するノイズデータが強調されたりすることにより、画像中の絵柄領域についてもざらつきが増加する。この場合、出力画像においては粒状度が劣化してしまうため、エッジ領域が十分に強調されたとしても、絵柄領域が許容できない程度までざらつく副作用が生じる場合がある。
【0079】
なお、絵柄領域が十分平滑化されている場合には、原稿中の一様な網点領域は、その範囲内で全て同じ値となり、逆に絵柄領域が平滑化されていない場合には、網点領域内で様々な値をとることとなる。したがって、網点領域のヒストグラムを取得すれば、その分散が小さいほど、絵柄領域が平滑化されているといえる。
【0080】
そこで、ユーザにより「鮮鋭性変更処理」が選択され、副作用検査を実行する場合には、コントローラ104は、画像鮮鋭化処理の副作用が発生したか否かの指標として、プリンタ補正部107のフィルタ処理部50により、例えば600dpiで100×100画素程度の網点小領域を抽出し、その領域内のヒストグラム分散データを出力させる。
【0081】
なお、網点小領域は、スキャナ補正部102の像域分離部40における網点判定結果を参照して抽出し、ヒストグラムの分散データは、プリンタ補正部107のフィルタ処理部50に含まれる分散データ取得部において計算することが可能である。また、副作用検査では、例えば、抽出された網点小領域のうち最も左上の領域の分散データを参照するが、最も中央付近の分散データを参照しても良い。
【0082】
また、上述した網点領域が存在しない場合には、ユーザに粒状度の指標となる絵柄領域を手動で位置指定できるように操作表示装置110上にて促したり、鮮鋭化処理の副作用となるざらつきが発生してほしくない画像領域を予めユーザに指定させたりしても良い。また、この領域がユーザにより指定されない場合には、副作用検査を実施しないようにしても良い。
【0083】
上述したように、ユーザにより「鮮鋭性変更処理」が選択された場合には、副作用検査をするため、コントローラ104は、プリンタ補正部107から、副作用検査に用いる画像検査対象の位置情報として、原稿画像データの上述した絵柄領域における網点小領域の位置情報を出力させ、特徴量データとして原稿画像データにおける上述した網点小領域のヒストグラムの分散データを出力させる。これは、上述したように、鮮鋭化処理の調整により生じる副作用として、主に絵柄領域のざらつきが考えられるためである。
【0084】
なお、上述の説明ではシャープネス設定の鮮鋭性程度を5段階としたが、本発明においてはこれに限定されず、段階数は任意に設定することが可能である。
【0085】
<カラー変換処理を実施する場合>
また、例えば、ユーザにより操作表示装置110において、「カラー変換処理」が選択され、「カラー変換処理」が実施される場合について説明する。例えば、ユーザは操作表示装置110において「カラー変換処理」を選択すると、特定の色相の色を別の色相の色に変換することが可能である。
【0086】
通常の画像出力では、色補正処理部52により画像データがCMYKの4版に変換される。一方、例えば、フルカラーモードにおいて「シアン」から「マゼンタ」にカラー変換処理が実行される場合、まず、注目画素においてCMYKの各版のうち、C版以外の3版が全て所定量(例えば1%)以下か否か判断される。このとき、注目画素にC版以外の3版が全て所定量以下の割合しか存在しない場合、注目画素はC版から構成されていると判断される。また、その該当画素(C版以外の3版が全て所定量以下の割合の画素)が全てM版に置き換えられる。これにより、「シアン」から「マゼンタ」へのカラー変換処理が実現される。
【0087】
そこで、ユーザにより「カラー変換処理」が選択され、副作用検査を実行する場合には、副作用検査に使用する画像検査対象の位置情報として、コントローラ104は、プリンタ補正部107から、どの画素においてカラー変換処理によりカラー変換されたかを示す位置情報を出力させる。
【0088】
なお、ユーザにより「カラー変換処理」が選択された後、カラー変換処理を実施してほしくない画像領域を指定するように操作表示装置110にメッセージを出して、操作表示装置110に表示されたプレビュー画面において、カラー変換処理を実施したくない画像領域を指定させることが可能である。この場合には、操作表示装置110上で指定された画像領域の情報が、コントローラ104に出力され、副作用検査に使用する情報として用いられる。
【0089】
<地肌除去処理を実施する場合>
また、例えば、ユーザにより操作表示装置110において「地肌除去処理」が選択され、「地肌除去処理」が実施される場合について説明する。例えば、ユーザは操作表示装置110において「地肌除去処理」の除去量レベルを設定することが可能である。
【0090】
プリンタ補正部107のプリンタγ部54は、プロッタの特性を補正して原稿に忠実な画像を得るために存在する一方、入力画像のハイライト部を原稿よりも明るい画像として変換することにより、地肌除去処理の手段としても用いられる。すなわち、プリンタγ部54は、「地肌除去処理」が選択された場合、入力画像において予め設定された所定値以下の濃度画像を地肌とみなして地肌除去処理を実行する。
【0091】
そこで、ユーザにより「地肌除去処理」が選択され、副作用検査を実行する場合には、副作用検査に使用する画像検査対象の位置情報として、コントローラ104は、プリンタ補正部107から、プリンタγ部54により地肌とみなされた画素の位置情報を出力させる。なお、ユーザは、地肌を除去する場合、薄い文字まで除去したい訳ではないため、文字領域が除去された場合には副作用が生じたと考えられる。そこで、コントローラ104は、文字領域であるか否かの情報として、例えばスキャナ補正部102の像域分離部40から得られた文字領域抽出情報を属性情報として出力させる。
【0092】
<コントローラ104について>
次に、図4を用いて、上述したMFP10が備えるコントローラ104について説明する。図4は、MFPが備えるコントローラのブロック構成を示す図である。なお、以下の説明では、コントローラ104により画像データを外部機器等に出力する場合のデータの流れにより説明する。
【0093】
図4に示すように、コントローラ104は、圧縮伸張処理部60と、ページメモリ61と、フォーマット変換部62と、データI/F部63と、CPU(Central Processing Unit)64とを有するように構成される。
【0094】
圧縮伸張処理部60は、汎用バス又はHDD105から取得した画像データを各色8bitのデータに伸張する。
【0095】
ページメモリ61では、圧縮伸張処理部60により伸張されたデータがビットマップ展開される。
【0096】
フォーマット変換部62は、ページメモリ61から取得した画像データを、sRGB等の外部出力に適するよう色変換すると同時に、JPEGやTIFF形式への汎用画像フォーマット等へ変換する。
【0097】
データI/F部63は、フォーマット変換部62から取得したデータをNIC109に送出する。
【0098】
CPU64は、操作表示装置110からユーザの画像出力モードに関する指示内容を取得すると、指示内容に応じて、スキャナ補正部102、プリンタ補正部107に画質パラメータの設定を指示する。
【0099】
また、CPU64は、本実施形態における画像編集による画像の副作用検査実行時に、コントローラ204からの要求に応じ、HDD105に蓄積されている所定のスキャナ処理が施された原稿画像データ、ユーザにより指定された画像出力モード等の書誌情報、例えばプリンタ補正部107等から取得した副作用検査に使用する画像検査対象の位置情報、特徴量データ等をコントローラ204に送出するように指示する。
【0100】
なお、CPU64は、上述した副作用検査実行時に、例えばスキャナ補正部102に対しても同様に副作用検査に使用する情報を送出するように指示しても良い。
【0101】
また、CPU64は、上述した副作用検査実行時に、フォーマット変換部62で画像データを輝度・色差信号に変換した上で、汎用バスを介してコントローラ204に送出する。
【0102】
また、CPU64は、MFP10がプリンタとして使用され、例えば外部PC端末30等からの画像データをプロッタ108に出力する場合には、外部PC端末30等から送信されてきたページ記述言語を解析し、ページメモリ61にRGB各色8bitでビットマップ展開する。
【0103】
また、CPU64は、ページメモリ61に展開した画像データを必要に応じて圧縮伸張処理部60にて圧縮処理し、汎用バスに送出する。なお、プロッタ108への出力フローは、MFP10を複写機として使用する場合と同様である。
【0104】
なお、HDD105には、スキャナ補正部102で画像読取部101固有の特性を補正された画像データや、ユーザにより指定された画像出力モード等の書誌情報が関連付けられて蓄積されている。
【0105】
<コントローラ204について>
次に、図5を用いて、上述した画像検査装置20が備えるコントローラ204について説明する。図5は、画像検査装置が備えるコントローラのブロック構成を示す図である。
【0106】
図5に示すように、コントローラ204は、圧縮伸張処理部70と、ページメモリ71と、フォーマット変換部72と、CPU73とを有するように構成される。
【0107】
コントローラ204は、MFP10から、例えば原稿画像データに所定のスキャナ補正が施された画像データ(画像データ1)と、その画像データに付帯するユーザから指定された画像出力モード等の書誌情報と、副作用検査に用いられる画像検査対象の位置情報と、特徴量データ等を取得する。
【0108】
また、コントローラ204は、画像読取部201によりMFP10から出力された出力画像を読み取った出力画像データに所定のスキャナ補正が施された画像データ(画像データ2)を取得する。
【0109】
圧縮伸張処理部70は、汎用バス又はHDD209から取得した画像データを各色8bitのデータに伸張し、ページメモリ71では、圧縮伸張処理部70により伸張された画像データがビットマップ展開される。
【0110】
フォーマット変換部72は、画像データ2を輝度、色差信号に変換する。
【0111】
CPU73は、上述した検査部208等を用いて、例えば画像データ1とフォーマット変換部72で変換された画像データ2とを比較し、後述する副作用検査を行う。また、CPU73は、検査部208により、それぞれの画像を比較した結果に基づいて副作用検査の「合格(良)」、「不合格(不良)」を判定し、判定した結果をコントローラ104に通知する。
【0112】
なお、CPU73は、上述した検査部208等を用いて、コントローラ104から取得した書誌情報に含まれる画像出力モードの指示内容により、検査(比較)する内容を切り換えることができる。画像出力モードの指示内容とは、ユーザにより操作表示装置110を用いて指示された内容であり、例えば「孤立点除去処理」、「鮮鋭性変更処理」、「カラー変換処理」、「地肌除去処理」等の操作表示装置110で設定可能な画質(画像)編集内容が含まれる。
【0113】
なお、コントローラ104は、副作用検査により「不合格」と通知された場合、操作表示装置110に通知内容を表示してユーザに警告すると共に、MFP10が動作中であれば動作を停止する等を実行する。
【0114】
<各画像編集処理が選択された場合の副作用検査処理の流れ>
次に、図6〜図9を用いて、ユーザにより各画像編集処理が選択された場合の副作用検査処理の流れについて説明する。
【0115】
<孤立点除去処理を実行した場合の副作用検査処理の流れ>
まず、図6を用いて、孤立点除去処理を実行した場合の副作用検査処理の流れについて説明する。図6は、孤立点除去処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。なお、上述したように、ユーザにより孤立点除去処理が選択された場合の副作用検査処理では、出力モード取得部205の要求により、コントローラ104から、画像出力モード情報と、OCR処理により画像データ1の文字列を抽出した抽出結果等がコントローラ204に送信されてくる。
【0116】
また、検査対象領域抽出部207は、画像出力モード情報によりユーザが指定した画像出力モードが孤立点除去処理であると判断すると、画像データ1と画像データ2の文字列領域を検査対象領域とする。また、検査項目設定部206は、検査対象領域とされた画像データ1と画像データ2の文字列領域の文字列の変化量を検査項目として設定する。
【0117】
具体的な処理としては、図6に示すように、画像読取部101が原稿を読み取ると(S10)、コントローラ104は読み取った原稿画像データ(画像データ1)に対してOCR処理を実行する(S11)。
【0118】
次に、プリンタ補正部107の孤立点除去処理部51が、読み取った原稿画像データに対して孤立点除去処理を実行すると(S12)、MFP10からは孤立点除去処理が実行された原稿画像データが記録紙等に出力される。
【0119】
次に、画像検査装置20の画像読取部201は、MFP10から出力された記録紙等の出力画像を読み取る(S13)。次に、コントローラ204のCPU73等は、画像データ2に対してOCR処理を実行し(S14)、文字列を抽出する。
【0120】
次に、検査部208は、検査対象領域である画像データ1のOCR処理結果と、画像データ2のOCR処理結果とを比較し(S15)、比較結果に応じて副作用検査の合否判定を実行し(S16)、処理を終了する。
【0121】
上述したように、孤立点除去強度が強すぎると、画像中の文字に含まれる小数点、濁点、小さなフォントを用いた場合の「犬」の右上の点等、ユーザが除去することを所望しないものまで消去される副作用が生じる。
【0122】
したがって、検査部208は、上述したS15及びS16の処理において、画像データ1から抽出した文字列と画像データ2から抽出した文字列とを比較して、双方の文字列が一致すれば少なくとも大きな副作用は生じていないとして、検査合格とする。また、検査部208は、双方の文字列が一致せず、画像データ2の文字列が変化してしまうのは画像編集処理に伴う副作用であるとして、検査不合格とする。
【0123】
なお、上述の説明では、文字列が一致すれば検査合格としたが、例えば、ユーザにより上述した検査の合格基準を変更しても良い。例えば、孤立点除去による原稿のトナー塵等のノイズ除去を重視するか否か操作表示装置110により選択可能とし、ユーザによりノイズ除去を重視する設定が選択された場合には、検査部208は、文字列の相違箇所が例えば3箇所まで存在しても検査合格と判断する。また、検査部208は、ノイズ除去を重視しない設定が選択された場合には、文字列の相違箇所が1箇所あっても検査不合格と判断しても良い。
【0124】
<鮮鋭性変更処理を実行した場合の副作用の画像検査処理の流れ>
次に、図7を用いて、鮮鋭性変更処理を実行した場合の副作用検査処理の流れについて説明する。図7は、鮮鋭性変更処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0125】
なお、上述したように、ユーザにより鮮鋭性変更処理が選択された場合の副作用検査処理では、出力モード取得部205の要求により、コントローラ104から、画像出力モード情報と、画像データ1の絵柄領域の網点小領域の位置情報と、この網点小領域のヒストグラムの分散データ等がコントローラ204に送信されてくる。
【0126】
また、検査対象領域抽出部207は、画像出力モード情報によりユーザが指定した画像出力モードが鮮鋭性変更処理であると判断すると、画像データ1に鮮鋭性変更処理が実行する前の上述した絵柄領域と、その領域に対応する画像データ2の絵柄領域を検査対象領域とする。また、検査項目設定部206は、検査対象領域とされた画像データ1と画像データ2の絵柄領域におけるヒストグラムの分散を検査項目として設定する。
【0127】
具体的な処理としては、図7に示すように、画像読取部101が原稿を読み取ると(S20)、コントローラ104からの指示に基づき、プリンタ補正部107のフィルタ処理部50は、像域分離部40の網点判定結果を参照して、読み取った原稿画像データ(画像データ1)の網点小領域を抽出し、抽出結果をコントローラ104に送出する(S21)。
【0128】
次に、プリンタ補正部107のフィルタ処理部50は、抽出した網点小領域の分散データを取得し(S22)、取得した分散データをコントローラ104に送出する(S23)。
【0129】
次に、フィルタ処理部50は、読み取った原稿画像データに対して鮮鋭性変更処理を実行し(S24)、MFP10から鮮鋭性変更処理が実行された原稿画像データが記録紙等に出力される。
【0130】
次に、画像検査装置20の画像読取部201は、MFP10から出力された記録紙等の出力画像を読み取る(S25)。次に、コントローラ204からの指示に基づき、スキャナ補正部202のフィルタ処理部は、読み取った出力画像データ(画像データ2)から画像データ1の所定の絵柄領域に対応する領域(画像データ1と同一の位置)のヒストグラムの分散データ(網点小領域の分散データ)を取得する(S26)。
【0131】
次に、検査部208は、検査対象領域である原稿画像データ(画像データ1)の分散データと、出力画像データ(画像データ2)の分散データとを比較し(S27)、比較結果に応じて副作用検査の合否判定を実行し(S28)、処理を終了する。
【0132】
上述したように、鮮鋭性の強調度合いが非常に強い場合には、印刷原稿の網点ドットが強調されたり、画像データ1(スキャナ読取画像データ)に存在するノイズデータが強調されたりして、画像中の絵柄領域についてざらつきが増す副作用が生じる。
【0133】
すなわち、出力画像としては、粒状度が劣化していくためエッジ領域が十分強調されたとしても絵柄領域が許容できない程ざらついてしまう場合がある。一方、絵柄領域が十分平滑化されている場合には、原稿中の一様な網点領域はその範囲内で全て同じ値となり、絵柄領域が平滑化されていない場合には、その網点領域内で様々な値をとるため、ヒストグラムの分散が小さいほど絵柄領域が平滑化されているといえる。
【0134】
したがって、検査部208は、上述したS27及びS28の処理において、画像データ1における所定の絵柄領域のヒストグラムの分散データと画像データ2の対応する領域のヒストグラムの分散データとを比較して、予め設定した所定の閾値未満である場合には、副作用は生じていないとして、検査合格とする。また、検査部208は、上述したように副作用発生時には、ヒストグラムの分散が非常に大きくなるため、画像データ2のヒストグラムの分散データが予め設定した所定の閾値以上に達している場合には、許容できない副作用が発生していると判断して検査不合格とする。
【0135】
なお、上述した所定の閾値は、ユーザの求めるレベルにより可変なものとし、ユーザによって絵柄を重視するか否かを操作表示装置110により指定できるものとし、絵柄領域を重視した画像検査をする場合には、この所定の閾値を下げると良い。
【0136】
<カラー変換処理を実行した場合の副作用の画像検査処理の流れ>
次に、図8を用いて、カラー変換処理を実行した場合の副作用検査処理の流れについて説明する。図8は、カラー変換処理を実行した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0137】
なお、上述したように、ユーザによりカラー変換処理が選択された場合の副作用検査処理では、出力モード取得部205の要求により、コントローラ104から、何色から何色に変更したかの画像出力モード情報と、画像データ1と、カラー変換処理を実行しない領域の位置情報と、カラー変換処理によりカラーを変換した画素の位置情報等がコントローラ204に送信されてくる。
【0138】
また、検査対象領域抽出部207は、画像出力モード情報によりユーザが指定した画像出力モードがカラー変換処理であると判断すると、画像データ2のカラー変換処理によりカラー変換された領域を検査対象領域とする。また、検査項目設定部206は、検査対象領域にユーザにより指定されたカラー変換処理を実施しない領域が含まれているかを検査項目として設定する。
【0139】
具体的な処理としては、図8に示すように、画像読取部101が原稿を読み取ると(S30)、例えば操作表示装置110のメッセージにしたがって、ユーザはカラー変換処理を実行しない領域を指定する(S31)。
【0140】
次に、プリンタ補正部107の色補正処理部52は、読み取った原稿画像データに色補正処理を実行した後、例えばカラー変換条件(例えば「シアン」はC版以外の3版が1%以下の割合の画素の領域)を決定する(S32)。
【0141】
次に、S32の処理により決定された条件に基づき、プリンタ補正部107のプリンタ補正部107の色補正処理部52は、カラー変換処理を実行する領域を抽出して、その結果をコントローラ104に送出する(S33)。
【0142】
次に、プリンタ補正部107の色補正処理部52は、読み取った原稿画像データ(画像データ1)に対してカラー変換処理を実行し(S34)、MFP10からカラー変換処理が実行された原稿画像データが記録紙等に出力される。
【0143】
次に、画像検査装置20の画像読取部201は、MFP10から出力された記録紙等の出力画像を読み取る(S35)。次に、検査部208は、S31の処理で指定されたカラー変換処理を実行しない画像領域と、検査対象領域である読み取った出力画像データ(画像データ2)のカラー変換領域とを比較し(S36)、比較結果に応じて副作用検査の合否判定を実行し(S37)、処理を終了する。
【0144】
例えば、検査部208は、上述したS36及びS37の処理において、カラー変換処理を実行しない画像領域として指定された画像領域が、画像データ2におけるカラー変換処理を実行した画素位置に含まれている場合には、副作用が生じていると判断して検査不合格とする。また、この検査により、副作用が生じていないと判断した場合には、以下に示す効果検査を実行する。
【0145】
効果検査は次のように実施する。画像データ1及び画像データ2は、すでに輝度、色差信号に変換済みであるため、例えば輝度、色差信号としてL*a*b*信号を用いて、画像データ1と画像データ2とを比較する。
【0146】
例えばカラー変換処理として「シアン」を「マゼンタ」に変換した場合、画像データ1と画像データ2のカラー変換対象領域内の平均値を比較し、画像データ2の色度が画像データ1の色度と比較して正のa*方向に所定量以上変化していれば良い。ここでは、正確なL*a*b*値との合致を見なくても、画像データ1の平均色度が期待される方向に変化している事を確認すれば、編集処理が行われていることを確認できる。なお、より精度の高い検査を実施する場合には、印刷に使われるマゼンタトナーを用いてパッチを出力しておき、その色度を紙上で予め測定した時の値を中心にL*a*b*距離が3以下であるもののみ検査合格としても良い。
【0147】
<地肌除去処理を実行した場合の副作用の画像検査処理の流れ>
次に、図9を用いて、地肌除去処理を実行した場合の副作用検査処理の流れについて説明する。図9は、地肌除去処理を実施した場合の副作用検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0148】
なお、上述したように、ユーザにより地肌除去処理が選択された場合の副作用検査処理では、出力モード取得部205の要求により、コントローラ104から、画像出力モード情報と、画像データ1において地肌領域とみなされ地肌除去処理が実行される画素の位置情報と、画像データ1の属性情報である文字領域抽出情報等がコントローラ204に送信されてくる。
【0149】
また、検査対象領域抽出部207は、画像出力モード情報によりユーザが指定した画像出力モードが地肌除去処理であると判断すると、画像データ1において地肌領域とみなされた領域に対応する画像データ2の領域を検査対象領域とする。また、検査項目設定部206は、検査対象領域に文字領域が含まれているかを検査項目として設定する。
【0150】
具体的な処理としては、図9に示すように、画像読取部101が原稿を読み取ると(S40)、コントローラ104からの指示に基づき、スキャナ補正部102の像域分離部40は、読み取った原稿画像データ(画像データ1)の文字領域を抽出し、抽出結果をコントローラ104に送出する(S41)。
【0151】
次に、プリンタ補正部107のプリンタγ部54は、原稿画像データの地肌除去処理を実行する領域(地肌とみなした領域)を抽出し、その結果をコントローラ104に送出する(S42)。
【0152】
次に、プリンタ補正部107のプリンタγ部54は、S42の処理で原稿画像データの地肌とみなした領域に地肌除去処理を実行し(S43)、MFP10から地肌除去処理が実行された原稿画像データが記録紙等に出力される。
【0153】
次に、画像検査装置20の画像読取部201は、MFP10から出力された記録紙等の出力画像を読み取る(S44)。次に、検査部208は、S41の処理で抽出された文字領域の抽出結果等に基づき、検査対象領域である出力画像データ(画像データ2)の地肌除去処理が実行された領域と文字領域とを比較し(S45)、比較結果に応じて副作用検査の合否判定を実行し(S46)、処理を終了する。
【0154】
なお、検査部208は、上述したS45及びS46の処理において、例えば画像データ2の地肌領域とみなされ地肌除去処理が実行された画素に、上述した文字領域が含まれている場合には、副作用が発生していると判断して、検査不合格とする。
【0155】
<副作用発生の境界条件を求める装置の実施例>
上述した実施形態の変形例として、例えば画像出力モードに含まれる画像編集処理ごとに複数の処理レベルを設定し、設定された各処理レベルに応じた画像編集処理を実行し、それぞれの実行により得られた出力画像データを用いて、検査部208により副作用が発生する処理レベルを検査させても良い。
【0156】
すなわち、上述した実施形態では、ユーザが操作表示装置110により各画像編集手段において設定した程度の画像編集が実施された場合に、副作用が生じているか検査するものである。しかしながら、実際には、ユーザがデフォルト設定の出力画像では満足が得られなかった場合に画像編集を実施し、所望する程度の画像を選ぶために画像編集の程度を変更して複数の画像を出力する過程を経ることも多い。
【0157】
例えば、デフォルト設定で出力した出力画像に地汚れが存在した場合、孤立点除去強度を1にして画像を再出力し、殆ど変化がなかった場合に、孤立点除去強度を強めようとして例えば孤立点除去強度を4にして再出力する。しかしながら、出力画像の地汚れが取れた一方、文字領域の文字が変化する等の副作用が発生した場合、一つ弱めた孤立点除去強度3で再出力する。これにより、副作用がなく地汚れも殆ど消えた出力画像を得るといったステップを踏むことが多い。
【0158】
また、他の例としては、全体にぼやけた印象の文字写真混在の原稿があった場合に、シャープネス設定を「くっきり」寄りにレベルを2程度強め、続いて更にレベルを2程度強めて「くっきり」寄りに設定して画像を出力し、出力画像の絵柄領域のざらつきが目立ち過ぎの場合に、「滑らか」寄りにレベルを1戻して所望の画像が得られる場合等もある。
【0159】
上述した画像編集は、通常、ユーザが画像編集による効果を得ることを求める一方、副作用の発生しない範囲で出来るだけ効果がある編集処理を実施することが求められている。
【0160】
そこで、例えばユーザが操作表示装置110において孤立点除去処理、シャープネス設定等の画像編集項目のみ選択すると、コントローラ104が選択された画像編集において例えば程度の小さい順から一つずつレベルを設定して編集した画像を出力し、副作用が生じていないか画像検査を行う。
【0161】
副作用が生じた場合には、操作表示装置110上にその旨を表示して処理を終了し、副作用が生じていない場合には、次に編集の程度を一つ上げて編集した画像を出力し、副作用が生じていないか画像検査を行う。このように、副作用が生じるまで編集の程度を上げていき、副作用が生じた時点でどの編集の程度で副作用が生じたかを表示して終了する。副作用が生じていない場合には、その旨表示して終了する処理を実行する。これにより、ユーザにどの程度の編集を実施した場合に副作用が生じるかを知らせることが可能となる。
【0162】
なお、上述した実施形態の他にも例えば、複数の画像出力モードを実行することで生じる副作用についても、上述した手法等を用いて判定することが可能である。
【0163】
<プログラムでの実施について>
上述した各実施形態は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、スキャナ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても良く、1つの機器から構成される装置(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、スキャナ、プリンタ等)に適用しても良い。
【0164】
また、本発明は、上述した各実施形態の各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体をシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(CPU、MPU、DSP)が記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することによっても達成することが可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施形態の各機能を実現することになり、そのプログラムコード又はそのプログラムを記憶した記録媒体により本発明を構成することになる。
【0165】
なお、プログラムコードを供給するための記録媒体として、FD、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性メモリ、ROM等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体を使用することが可能である。
【0166】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した各実施形態の各機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(Operating System)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により上述した機能が実現される場合も含む。
【0167】
また、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した本発明の機能が実現される場合も含まれる。
【0168】
上述したように、本実施形態によれば、ユーザの所望する出力モードに応じて画像を編集した場合に、出力物に画像編集の副作用が生じているかを検査することを可能とする。
【0169】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0170】
1 画像検査システム
10 MFP
20 画像検査装置
30 外部PC端末
40 像域分離部
41 スキャナγ部
42 フィルタ処理部
43 色補正処理部
50 フィルタ処理部
51 孤立点除去処理部
52 色補正処理部
53 解像度変換部
54 プリンタγ部
55 中間調処理部
60,70 圧縮伸張処理部
61,71 ページメモリ
62,72 フォーマット変換部
63 データI/F部
64,73 CPU
101,201 画像読取部
102,202 スキャナ補正部
103,203 圧縮処理部
104,204 コントローラ
105,209 HDD
106 伸張処理部
107 プリンタ補正部
108 プロッタ
109 NIC
110 操作表示装置
205 出力モード取得部
206 検査項目設定部
207 検査対象領域抽出部
208 検査部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0171】
【特許文献1】特開2008−272980号公報
【特許文献2】特許第4407588号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に出力された出力画像データと、前記印刷媒体に出力する前の原稿から読み取られた原稿画像データとを比較して画像編集処理により生じる画像変化の副作用を検査する画像検査装置であって、
ユーザにより指定された出力モードを取得する出力モード取得部と、
前記出力モード取得部により取得した出力モードに応じて前記副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定する検査項目設定部と、
前記出力モードに応じて前記副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出する検査対象領域抽出部と、
前記検査項目設定部により設定された検査項目ごとに前記検査対象領域抽出部により抽出された検査対象領域における前記副作用による画像変化を検査する検査部とを有することを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記抽出された検査対象領域における画像特性を用いて前記副作用による画像変化を検査することを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記出力モードは、前記原稿画像データの孤立点を除去する孤立点除去処理、鮮鋭性を変更する鮮鋭性変更処理、カラーを変換するカラー変換処理、及び地肌を除去する除去処理のうち少なくとも1つの画像編集処理を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記検査対象領域抽出部は、前記出力モードが前記孤立点除去処理である場合、前記原稿画像データの前記孤立点除去処理が実行される前の文字列領域及び前記出力画像データの文字列領域を前記検査対象領域とし、
前記検査項目設定部は、前記検査対象領域とした前記原稿画像データ及び前記出力画像データの文字列領域から抽出された文字列の変化量を検査項目とすることを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記検査対象領域抽出部は、前記出力モードが前記鮮鋭性変更処理である場合、前記原稿画像データの前記鮮鋭性変更処理が実行される前の所定の絵柄領域及び前記所定の絵柄領域に対応する前記出力画像データの絵柄領域を前記検査対象領域とし、
前記検査項目設定部は、前記検査対象領域とした前記原稿画像データ及び前記出力画像データの絵柄領域におけるヒストグラムの分散を検査項目とすることを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記検査対象領域抽出部は、前記出力モードが前記カラー変換処理である場合、前記出力画像データの前記カラー変換処理によりカラー変換された領域を前記検査対象領域とし、
前記検査項目設定部は、前記検査対象領域に前記ユーザにより指定されたカラー変換処理を実施しない領域が含まれているかを検査項目とすることを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記検査対象領域抽出部は、前記出力モードが前記地肌除去処理である場合、前記原稿画像データにおいて地肌領域とみなされた領域に対応する前記出力画像データの領域を前記検査対象領域とし、
前記検査項目設定部は、前記検査対象領域に文字領域が含まれているかを検査項目とすることを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項8】
前記出力モードに含まれる前記画像編集処理ごとに複数の処理レベルを設定し、設定された各処理レベルに応じた画像編集処理を実行し、それぞれの実行により得られた出力画像データを用いて、前記検査部により前記副作用が発生する処理レベルを検査することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像検査装置を備えた画像処理装置。
【請求項10】
印刷媒体に出力された出力画像データと、前記印刷媒体に出力する前の原稿から読み取られた原稿画像データとを比較して画像編集処理により生じる画像変化の副作用を検査する画像検査プログラムであって、
コンピュータを、
ユーザにより指定された出力モードを取得する出力モード取得部、
前記出力モード取得部により取得した出力モードに応じて前記副作用により変化する画像変化の仕方を検査項目として設定する検査項目設定部、
前記出力モードに応じて前記副作用による画像変化が生じる領域を検査対象領域として抽出する検査対象領域抽出部、及び、
前記検査項目設定部により設定された検査項目ごとに前記検査対象領域抽出部により抽出された検査対象領域における前記副作用による画像変化を検査する検査部として機能させる画像検査プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−151736(P2012−151736A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9879(P2011−9879)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】