説明

画像符号化装置および画像符号化方法

【課題】複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを伝送できる画像符号化装置を提供すること。
【解決手段】複数の符号化処理を実行する動画像符号化部103、静止画像符号化部104と、動画像符号化部103、静止画像符号化部104による複数の符号化処理のうち、動画像符号化部103によって実施された符号化処理によって符号化された画像の符号量を監視する符号量監視部と、符号量監視部による監視の結果、符号量が所定量を超過した場合、符号化処理の実行の対象を符号量監視部によって監視されていた動画像符号化部103から静止画像符号化部104へ変更する符号化制御部106とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ等に利用される画像符号化装置および画像符号化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視領域を撮像し、撮像データを動画像または静止画像として符号化して通信回線を介して、モニターや画像蓄積装置に送信するカメラ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このカメラ制御装置では、通常は動画像によるモニタリングを行ない、画像中に何らかの変化が生じた場合には、動画像に合わせて静止画像を送信することができる。
【特許文献1】特開2000−184367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のカメラ制御装置においては、動画像符号化処理と静止画像符号化処理が排他的に実行され、互いの処理負荷を考慮せずに実行される場合、局所的に処理負荷が増大してしまい、いずれかの処理に十分な実行時間が与えられず、局所的な駒落ち増大が発生してしまうという事情がある。また、複数の処理を排他的に実行する方式としてタイムシェアリング方式が知られているが、この方式では通信回線への各符号化処理のデータ生成量を考慮していないため、特に動画像符号化データを伝送する場合にデータ伝送量の不均衡が発生してしまうという事情がある。
【0004】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであって、複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを伝送することが可能な画像符号化装置、画像符号化方法、画像符号化方法を実行させるためのプログラムおよび画像符号化方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の画像符号化装置は、画像を符号化する複数の符号化処理を並行して実行する画像符号化装置であって、前記複数の符号化処理を実行する複数の画像符号化部と、前記複数の画像符号化部による前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの画像符号化部によって実施された符号化処理によって符号化された画像の符号量を監視する符号量監視部と、前記符号量監視部による監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象を前記符号量監視部によって監視されていた画像符号化部から他の画像符号化部へ変更する符号化制御部とを有する構成としている。
【0006】
この構成により、例えば動画像符号化と静止画像符号化のような複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを通信回線に伝送することが可能である。
【0007】
また、本発明の画像符号化装置は、前記複数の符号化処理が、動画像の符号化処理および静止画像の符号化処理を含み、前記符号化制御部が、前記画像の符号化に関する調整を行う符号化パラメータを制御する構成としている。
【0008】
この構成により、動画像符号化処理と静止画像符号化処理を並行して行いながら安定した動画像符号化データ量を通信回線に伝送することができる。
【0009】
また、本発明の画像符号化装置は、前記符号化パラメータが量子化パラメータを含む構成としている。
【0010】
この構成により、符号化処理による発生符号量の調整を行うことができるので、複数の符号化処理を並行して行いながら安定した符号化データ量を通信回線に伝送することができる。
【0011】
また、本発明の画像符号化装置は、前記符号化パラメータが符号化タイプを含む構成としている。
【0012】
この構成により、符号化処理による符号化効率の調整を行うことができるので、結果として発生符号量を調整することができ、複数の符号化処理を並行して行いながら安定した符号化データ量を通信回線に伝送することができる。
【0013】
また、本発明の画像符号化方法は、画像を符号化する複数の符号化処理が並行して実行される画像符号化方法であって、前記複数の符号化処理が実行される複数の画像符号化ステップと、前記複数の画像符号化ステップにおける前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの符号化処理において符号化された画像の符号量が監視される符号量監視ステップと、前記符号量監視ステップによる監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象が前記符号量監視ステップにおいて監視されていた符号化処理から他の符号化処理へ変更されるステップとを有する方法としている。
【0014】
この方法により、例えば動画像符号化と静止画像符号化のような複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを通信回線に伝送することが可能である。
【0015】
また、本発明の画像符号化方法は、前記複数の符号化処理が、動画像の符号化処理および静止画像の符号化処理を含み、前記符号化制御ステップが、前記画像の符号化に関する調整を行う符号化パラメータが制御される方法としている。

【0016】
この方法により、動画像符号化処理と静止画像符号化処理を並行して行いながら安定した動画像符号化データ量を通信回線に伝送することができる。
【0017】
また、本発明の画像符号化方法は、前記符号化パラメータが量子化パラメータを含む方法としている。
【0018】
この方法により、符号化処理による発生符号量の調整を行うことができるので、複数の符号化処理を並行して行いながら安定した符号化データ量を通信回線に伝送することができる。
【0019】
また、本発明の画像符号化方法は、前記符号化パラメータが符号化タイプを含む方法としている。
【0020】
この方法により、符号化処理による符号化効率の調整を行うことができるので、結果として発生符号量を調整することができ、複数の符号化処理を並行して行いながら安定した符号化データ量を通信回線に伝送することができる。
【0021】
また、本発明のプログラムは、画像を符号化する複数の符号化処理が並行して実行される画像符号化方法を実行させるためのプログラムであって、前記複数の符号化処理が実行される複数の画像符号化ステップと、前記複数の画像符号化ステップにおける前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの符号化処理において符号化された画像の符号量が監視される符号量監視ステップと、前記符号量監視ステップによる監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象が前記符号量監視ステップにおいて監視されていた符号化処理から他の符号化処理へ変更されるステップとを実行させるためのプログラムとしている。
【0022】
このプログラムにより、例えば動画像符号化と静止画像符号化のような複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを通信回線に伝送することが可能である。
【0023】
また、本発明の記録媒体は、画像を符号化する複数の符号化処理が並行して実行される画像符号化方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記複数の符号化処理が実行される複数の画像符号化ステップと、前記複数の画像符号化ステップにおける前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの符号化処理において符号化された画像の符号量が監視される符号量監視ステップと、前記符号量監視ステップによる監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象が前記符号量監視ステップにおいて監視されていた符号化処理から他の符号化処理へ変更されるステップとを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体としている。
【0024】
この記録媒体により、例えば動画像符号化と静止画像符号化のような複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを通信回線に伝送することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを伝送することが可能な画像符号化装置、画像符号化方法、画像符号化方法を実行させるためのプログラムおよび画像符号化方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
(実施形態)
【0027】
図1は、本発明の実施形態における画像符号化装置100の構成を示すブロック図である。図1において、画像符号化装置100は、撮像部101、画像入力部102、動画像符号化部103、静止画像符号化部104、送信部105、符号化制御部106を有する。ここで、動画像符号化部103、静止画像符号化部104は画像符号化部の一例である。また、符号化制御部106は符号監視部、符号化制御部の一例である。
【0028】
撮像部101は、被写体像を撮影する。なお、撮像部101は、CCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等からなる撮像素子、撮像素子に入力された信号をデジタル画像データに変換するA/D変換器等を有している。画像入力部102は、一時的に画像データを保存するRAM(Random Access Memory)等のバッファを有しており、撮像部101からの画像データの取り込みと、後段(動画像符号化部103および静止画像符号化部104)への画像データ出力を並行して行なう。
【0029】
動画像符号化部103は、画像を入力し動画像画像符号化を行い、符号化データを生成し、符号化データを送信部105へ出力する。なお、動画像画像符号化処理方式の例としては、H.261、H.263、H.264、MPEG−1、MPEG−2、MPEG−4等が挙げられる。静止画像符号化部104は、画像を入力し静止画像符号化を行い、符号化データを生成し、送信部105へ出力する。静止画像符号化には、例えばDCT(離散コサイン変換)演算処理が使用される。なお、静止画像符号化処理方式の例としては、JPEG、JPEG2000等が挙げられる。
【0030】
送信部105は、動画像符号化部103または静止画像符号化部104で生成された符号化データを一時的に保存する送信バッファを有し、無線または有線の通信回線107に送信する。符号化制御部106は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、タイマ等を有する。また、符号化制御部106は、動画像符号化部103の動画像符号化処理の符号化パラメータ及び符号化実行を制御し、静止画像符号化部104の静止画像符号化処理の符号化パラメータ及び符号化実行を制御し、送信部105の送信制御を行なう。
【0031】
以上のように構成された画像符号化装置の動作について、図2を用いて説明する。図2は本発明の実施形態における画像符号化装置100の動作フロー図である。
【0032】
まず、撮像部101で被写体の撮影が行われ(ステップS201)、画像データに変換されて(ステップS202)画像入力部102に入力される。画像入力部102に入力された画像データは動画像符号化部103と静止画像符号化部104にそれぞれ入力される。動画像符号化部103と静止画像符号化部104は符号化制御部106により制御され、動画像符号化部103では入力した画像が動画像符号化され、符号化データが生成される(ステップS203)。静止画像符号化部104では入力した画像が静止画像符号化され、符号化データが生成される(ステップS204)。送信部105は動画像符号化部103で生成された符号化データ及び静止画像符号化部104で生成された符号化データをそれぞれ通信回線107へ送信する(ステップS205)。
【0033】
続いて、図3のフロー図を用いて、符号化制御部106が行う動画像符号化部103および静止画像符号化部104の制御について説明する。図3は本発明の実施形態における動画像符号化部103と静止画像符号化部104を並行して実行し、動画像符号化部103は静止画像符号化部104よりも実行優先度が高く動作するよう符号化制御部106が制御する場合の画像符号化装置100の動作フロー図である。
【0034】
まず、通信回線107に送出可能な単位時間あたり出力符号量(=伝送レート)、画像入力部102から動画像符号化部103に入力される画像の解像度や入力間隔、画像符号化装置100の外部または画像符号化装置100の内部からCPUを経由して指示される各種設定(例えば画質設定など)、動画像符号化部103と静止画像符号化部104の実行割合設定、動画像符号化部103および静止画像符号化部104によってこれまでに生成された符号量の傾向などをもとに、符号化制御部106は総合的に判断して動画像符号化部103が1フレームあたりに生成する目標符号量を決定する(ステップS301)。
【0035】
尚、動画像符号化部103の実行割合を減少させ静止画像符号化部104の実行割合を増加させる場合には目標符号量は増加させるよう調整される。それに対して、動画像符号化部103の実行割合を増加させ静止画像符号化部104の実行割合を減少させる場合には目標符号量は減少させるよう調整される。
【0036】
次に、符号化制御部106は画像入力部102で受け取った1フレーム分の画像データを動画像符号化部103に入力できるタイミングで動画像符号化部103を動作させる。このタイミングはあらかじめ設定されている。この時、動画像符号化部103が生成する符号量は符号化制御部106によって逐次監視されており、1つの画像あたりの生成符号量が目標符号量に近づくよう、1フレーム以下のある単位(例えばマクロブロックやブロックライン)でも量子化パラメータや符号化タイプを制御する(ステップS302)。
【0037】
なお、量子化パラメータは生成符号量と画質を調整するためのパラメータであり、一般的には、量子化パラメータを下げることで生成符号量は増加すると共に量子化歪みが減るために画質は向上し、量子化パラメータを上げることで生成符号量は減少すると共に量子化歪みが増えるため画質は低下するとされている。
【0038】
また、符号化タイプは符号化の効率を調整するためのパラメータであり、既にインター符号化(=フレーム間符号化)を前の画像で行なっていた場合、一般的には符号化タイプをイントラ符号化(=フレーム内符号化)とすることで生成符号量は増加すると共に予測誤差が解消されるため画質は向上し、インター符号化とすることでは生成符号量は大きな変化は無く、予測誤差が解消されず蓄積するため画質は低下もしくは大きな変化は無いとされている。
【0039】
続いて、符号化処理部106は動画像符号化部103が1フレームの符号化処理を終えたところで動画像符号化部103の動作は一旦待機させ、これまでの生成符号量と今回のフレームの生成符号量から単位時間あたりの生成符号量(=生成レート)を算出し(ステップS303)、生成レートと伝送レートをもとに算出されるある閾値(駒落とし閾値)とを比較する(ステップS304)。
【0040】
ここで生成レートがある閾値を下回る場合には、画像入力部102が受け取った次のフレームの画像データを動画像符号化部103に入力できるタイミングで符号化制御部106は動画像符号化部103を再び動作させ、ステップS302以降の処理を繰返し行なう。また、生成レートがある閾値を上回る場合には、符号化制御部106は次フレームの動画像符号化処理の実行を行わず、静止画像符号化部104に対して符号化パラメータを設定して動作させる(ステップS305)。
【0041】
なお、静止画像符号化処理の実行は、画像入力部102が受け取ったフレームの画像データを動画像符号化部103に入力できる次のタイミングまでとして、画像入力部102が受け取ったフレームの画像データを動画像符号化部103に入力できるタイミングに到達した際には、静止画像符号化処理を一旦停止させ、経過時間に応じて再度生成レートを算出し(ステップS306)、ステップS304以降の処理を引続き行う。
【0042】
次に、複数の符号化手段の一例として、MPEG−4およびJPEGの2つを用いる場合の実行に関して説明する。
図4は、MPEG−4処理とJPEG処理が時間軸上で排他的に実行されることを想定した図である。
【0043】
直線401は動画像符号化部103によるMEPG−4符号化を実行する時間帯を示している。直線402は静止画像符号化部104によるJPEG符号化を実行する時間帯を示している。図4では、MPEG−4の符号化処理の実行中にJPEGの符号化処理が行われるように符号化制御部106によって制御されており、MPEG−4符号化処理時間が5に対してJPEG符号化処理時間が1の割合で符号化処理を行っている。また、図4〜6ではMPEG−4の符号化処理がJPEGの符号化処理よりも実行優先度が高く動作するよう符号化制御部106によって制御されている。
【0044】
ここで図5のように、従来の画像符号化装置では、動画像符号化部103によって生成される単位時間あたりの符号化データ量502と送信部105が有する送信バッファから通信回線107へ送出される送信データ量とが等しくなるようにされている。図5は従来のMPEG−4およびJPEGの実行時にタイムシェアリング方式が用いられた場合の発生符号量、送信バッファ量を示した図である。
【0045】
MPEG−4の符号化処理が行われる時間帯には、符号化データ量502と通信回線107への送信データ量とが等しいため、送信バッファの残留量501はバッファ残留量に関する所定の閾値を示す駒落とし閾値503よりも少ない範囲で一定である。一方、静止画像符号化部104による静止画像符号化が行われるときには、通信回線107にコンスタントに動画像符号化データを送出しようとしてもMPEG−4の符号が発生しないために、一時的に送信バッファが空になることで(例えば、A点参照)、送信可能な動画像符号化データが存在しない状態(アンダーフロー)が発生する場合がある。
【0046】
そこで本実施形態では、図6に示すように、符号化制御部106によって量子化係数や符号化タイプを調整することで、意図的に図5のようなMPEG−4の通常の発生符号量602よりも多い発生符号量603で符号を発生させる。図6は本発明の実施形態におけるMPEG−4およびJPEGの実行時の発生符号量、送信バッファ量を示した図である。
【0047】
この場合、通信回線107へは毎時間所定量のビットレートでMPEG−4の符号量が送出されるため、いくらかのMPEG−4の符号は送信バッファに残留する。送信バッファの残留量601が駒落とし閾値604を超過した場合、次のフレームはMPEG−4符号化処理を行わないと判断し、このMPEG−4符号化処理を行わない期間は、JPEG符号化処理を行う。尚、MPEG−4の処理を行わないことで、送信バッファ残留量601は低減され(例えば、図6中のB点参照)、その次のフレーム以降はMPEG−4の処理が実行可能と判断される。このようにすることで、送信バッファや通信回線107をより有効に活用することが可能となる。
【0048】
次に、図7、図8を用いて、従来および本発明の実施形態における複数の符号化手段による符号化実行時の動作について説明する。
【0049】
まず、図7は従来のMPEG−4およびJPEGの実行時の符号化制御部の動作説明のための動作フロー図である。あらかじめMPEG−4を連続でどのくらいのフレームを実行するかを決めておく。符号化制御部は1フレーム分のMPEG−4画像データの入力完了割込等で起動され、MPEG−4を連続で何フレーム実行したかを判定する(ステップS701)。連続フレーム実行数が所定の回数に達していれば符号化処理部はJPEG符号化処理を実行し(ステップS702)、連続フレーム実行数が所定の回数に達していなければ符号化処理部106はMPEG−4符号化処理を実行する(ステップS703)。
【0050】
一方、図8は本発明の実施形態におけるMPEG−4およびJPEGの実行時の符号化制御部106の動作説明のための動作フロー図である。符号化制御部106は1フレーム分のMPEG−4画像データの入力完了割込等で起動され、MPEG−4の送信バッファ残留量601がある駒落とし閾値604を超過しているかどうか判定する(ステップS801)。MPEG−4の送信バッファ残留量601が駒落とし閾値604を超過している場合、符号化制御部106はJPEG符号化処理を実行する(ステップS802)。MPEG−4の送信バッファ残留量601が駒落とし閾値604を超過していない場合、符号化制御部106は量子化係数またはイントラ符号化/インター符号化の割合を調整してMPEG−4符号化処理を実行し(ステップS803)、送信バッファ残留量601を更新する(ステップS804)。
【0051】
このような本発明の実施形態の画像符号化装置100によれば、画像を符号化する複数の符号化処理を並行して実行する画像符号化装置100であって、複数の符号化処理を実行する動画像符号化部103および静止画像符号化部104と、動画像符号化部103および静止画像符号化部104による複数の符号化処理のうち、動画像符号化部103によって実施された符号化処理によって符号化された画像の符号量を監視する符号量監視部と、符号量監視部による監視の結果、符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、符号化処理の実行の対象を符号量監視部によって監視されていた動画像符号化部103から静止画像符号化部104へ変更する符号化制御部106とを有する構成とすることで、動画像符号化と静止画像符号化のような複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを通信回線に伝送することが可能である。
【0052】
なお、本発明の実施形態の画像符号化装置100は、動画像符号化処理及び静止画像符号化処理により生成される符号化データを通信回線107を介して外部に送信することを前提としていたが、符号化部(動画像符号化部103もしくは静止画像符号化部104)の内部または外部の記録媒体に蓄積するようにする構成であってもよい。
【0053】
また、本発明の実施形態の画像符号化装置100は、複数の画像符号化手段は動画像符号化部103と静止画像符号化部104であることを前提に説明したが、いずれの符号化手段も共に動画像符号化部103もしくは静止画符号化部104であったとしても、同様の効果を有する。
【0054】
また、動画像符号化処理としてMPEG−4を想定し、静止画像符号化処理としてJPEGを想定したが、もちろん動画像符号化処理および静止画像符号化処理としてこれ以外の符号化処理を実施したとしても、同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明にかかる画像符号化装置は、複数の符号化手段によるデータ符号化を並行して行う場合に、データ伝送量の不均衡を発生させずに符号化データを伝送することができる、また、動画像符号化と静止画像符号化を並行して行なう場合に、動画像符号化処理と静止画像符号化処理のそれぞれの符号化パラメータを制御し符号化処理の生成符号量及び実行タイミングを制御することで、動画像符号化処理と静止画像符号化処理を並行して行いながら安定した動画像符号化データ量を通信回線に伝送することができる監視カメラ等に利用される画像符号化装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態における画像符号化装置のブロック図
【図2】本発明の実施形態における画像符号化装置の動作説明のための動作フロー図
【図3】本発明の実施形態における符号化制御部の動作説明のための動作フロー図
【図4】本発明の実施形態におけるMPEG−4およびJPEGの実行に関する概念図
【図5】従来のMPEG−4およびJPEGの実行時にタイムシェアリング方式が用いられた場合の発生符号量、送信バッファ量を示した図
【図6】本発明の実施形態におけるMPEG−4およびJPEGの実行時の発生符号量、送信バッファ量を示した図
【図7】従来のMPEG−4およびJPEGの実行時の符号化制御部の動作説明のための動作フロー図
【図8】本発明の実施形態におけるMPEG−4およびJPEGの実行時の符号化制御部の動作説明のための動作フロー図
【符号の説明】
【0057】
100 画像符号化装置
101 撮像部
102 画像入力部
103 動画像符号化部
104 静止画像符号化部
105 送信部
106 符号化制御部
107 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を符号化する複数の符号化処理を並行して実行する画像符号化装置であって、
前記複数の符号化処理を実行する複数の画像符号化部と、
前記複数の画像符号化部による前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの画像符号化部によって実施された符号化処理によって符号化された画像の符号量を監視する符号量監視部と、
前記符号量監視部による監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象を前記符号量監視部によって監視されていた画像符号化部から他の画像符号化部へ変更する符号化制御部と
を有する画像符号化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像符号化装置であって、
前記複数の符号化処理は、
動画像の符号化処理および静止画像の符号化処理を含み、
前記符号化制御部は、
前記画像の符号化に関する調整を行う符号化パラメータを制御する画像符号化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像符号化装置であって、
前記符号化パラメータは量子化パラメータを含む画像符号化処理。
【請求項4】
請求項2に記載の画像符号化装置であって、
前記符号化パラメータは符号化タイプを含む画像符号化処理。
【請求項5】
画像を符号化する複数の符号化処理が並行して実行される画像符号化方法であって、
前記複数の符号化処理が実行される複数の画像符号化ステップと、
前記複数の画像符号化ステップにおける前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの符号化処理において符号化された画像の符号量が監視される符号量監視ステップと、
前記符号量監視ステップによる監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象が前記符号量監視ステップにおいて監視されていた符号化処理から他の符号化処理へ変更されるステップと
を有する画像符号化方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像符号化方法であって、
前記複数の符号化処理は、
動画像の符号化処理および静止画像の符号化処理を含み、
前記符号化制御ステップは、
前記画像の符号化に関する調整を行う符号化パラメータが制御される画像符号化方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像符号化方法であって、
前記符号化パラメータは量子化パラメータを含む画像符号化方法。
【請求項8】
請求項6に記載の画像符号化方法であって、
前記符号化パラメータは符号化タイプを含む画像符号化方法。
【請求項9】
画像を符号化する複数の符号化処理が並行して実行される画像符号化方法を実行させるためのプログラムであって、
前記複数の符号化処理が実行される複数の画像符号化ステップと、
前記複数の画像符号化ステップにおける前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの符号化処理において符号化された画像の符号量が監視される符号量監視ステップと、
前記符号量監視ステップによる監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象が前記符号量監視ステップにおいて監視されていた符号化処理から他の符号化処理へ変更されるステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
画像を符号化する複数の符号化処理が並行して実行される画像符号化方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記複数の符号化処理が実行される複数の画像符号化ステップと、
前記複数の画像符号化ステップにおける前記複数の符号化処理のうち、少なくとも1つの符号化処理において符号化された画像の符号量が監視される符号量監視ステップと、
前記符号量監視ステップによる監視の結果、前記符号量があらかじめ定められた一定量を超過した場合、前記符号化処理の実行の対象が前記符号量監視ステップにおいて監視されていた符号化処理から他の符号化処理へ変更されるステップと
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−181101(P2007−181101A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379640(P2005−379640)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】