説明

画像編集装置と画像編集プログラム

【課題】感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷を行う場合でも文字の輪郭の滲みを解消することができる画像編集装置と画像編集プログラムを提供すること。
【解決手段】パーソナルコンピュータ201では、ビットマップ展開された画像が格納されるRAM214の画像格納領域215において、配置された背景画像に重ねて文字画像が配置される。さらに、そのRAM214の画像格納領域215に配置された文字画像の文字輪郭に沿って、その画像格納領域215の画素が有するイエロー・マゼンタ・シアンの各色成分濃度を、補正率テーブルに基づいて所定割合で減らす濃度補正が行われる。そのような濃度補正されたビットマップ画像は、プリンタ101に送信され、多色感熱媒体1にフルカラー印刷される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字輪郭に沿って画素の色成分濃度を補正する画像編集装置と画像編集プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、高濃度部においても濃度を低下させることなく、輪郭の滲みを抑え、高品質の文字および画像の記録を行う技術が記載されている。この技術は、インクジェット記憶装置に適用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−250119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷を行う場合でも、輪郭の滲みを抑える要請がある。なぜなら、フルカラー印刷といっても、文字は単色で黒色のケースが多く、この黒色は、発色するために必要な熱エネルギーが最も多いため、黒色のドットに隣接する他色のドットに不要な熱エネルギーが伝わることによって、その隣接ドットが所望しない色で発色してしまうことがあるからである。
【0005】
もっとも、通常のフルカラー画像であれば、色の変化が大きいので、このような隣接ドットで所望しない色が発色しても、このような発色が目立たないこともある。しかしながら、文字が黒色のケースでは、黒色のドットが連続すると、発色させるための熱エネルギーが多くなり、黒色のドットに隣接する他色のドットに伝わる不要な熱エネルギーも多くなるので、その隣接ドットに対する影響度がより大きくなる。よって、背景画像上に黒色の文字画像を配置したフルカラー画像では、その黒色の文字の輪郭に沿って背景が変色し、品質を落とすおそれがあった。
【0006】
また、文字画像が黒色でないとしても単色であれば、黒色ほどの影響は無いかもしれないが、同様にして、その単色の文字の輪郭に沿って背景が変色し、品質を落とすおそれがあった。
【0007】
尚、プリンタの印字ヘッドに印加制御上でエネルギー補正を行うことによって、上述したような文字の輪郭に沿った背景の変色を抑えることも可能であるが、プリンタの印字ヘッドによる高速印字を保ちながらその補正を行おうとすれば、例えば、文字輪郭を抽出する処理が限られた時間で行わなければならず、誤抽出といった不確実な要素を発生させる可能性が大きい。
【0008】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷を行う場合でも文字の輪郭の滲みを解消することができる画像編集装置と画像編集プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するためになされた発明は、画像編集装置であって、ビットマップ展開された画像が格納されるメモリの画像格納領域に背景画像を配置する第1配置手段と、前記画像格納領域に配置された背景画像に重ねて文字画像を配置する第2配置手段と、前記画像格納領域に配置される文字画像の文字輪郭に沿って前記画像格納領域の画素の色成分濃度を所定量又は所定割合で減らす濃度補正を行う輪郭濃度補正手段と、を備え、前記輪郭濃度補正手段は、前記文字輪郭に外接をする外接画素又は、前記外接画素及び前記外接画素に前記外接の方向で連続する1個以上の画素に対して前記濃度補正を行うこと、を特徴とする。
【0010】
また、この課題を解決するためになされた発明は、編集プログラムであって、請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載する画像編集装置としてコンピュータを機能させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
すなわち、本発明では、ビットマップ展開された画像が格納されるメモリの画像格納領域において、配置された背景画像に重ねて文字画像が配置されるが、そのメモリの画像格納領域に配置される文字画像の文字輪郭に沿ってその画像格納領域の画素の色成分濃度を所定量又は所定割合で減らす濃度補正が行われる。よって、本発明では、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷を行う場合でも文字の輪郭の滲みが解消される。
【0012】
また、本発明では、そのメモリの画像格納領域において、文字輪郭に外接をする外接画素又は、その外接画素及びその外接画素にその外接の方向で連続する1個以上の画素に対して上記濃度補正が行われるので、文字そのものの品質を落とすことなく、文字の輪郭の滲みが解消される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】パーソナルコンピュータで実行される制御プログラムが表されたフローチャート図である。
【図2】同パーソナルコンピュータで実行される制御プログラムが表されたフローチャート図である。
【図3】同パーソナルコンピュータで実行される制御プログラムが表されたフローチャート図である。
【図4】同パーソナルコンピュータで実行される制御プログラムが表されたフローチャート図である。
【図5】(a)には補正率テーブルが表され、(b)には補正値適用可否テーブルが表された図である。
【図6】多色感熱媒体の断面図である。
【図7】同パーソナルコンピュータ及びプリンタのブロック図である。
【図8】同パーソナルコンピュータにあるRAMの画像格納領域に展開されたビットマップ画像の一部(複数の画素)がドットでイメージ化された図である。
【図9】同パーソナルコンピュータにあるRAMの画像格納領域に展開されたビットマップ画像の一部(複数の画素)がドットでイメージ化された図である。
【図10】同パーソナルコンピュータにあるRAMの画像格納領域に展開されたビットマップ画像の一部(複数の画素)がドットでイメージ化された図である。
【図11】同パーソナルコンピュータにあるRAMの画像格納領域に展開されたビットマップ画像の一部(複数の画素)がドットでイメージ化された図である。
【図12】同パーソナルコンピュータにあるRAMの画像格納領域に展開されたビットマップ画像の一部(複数の画素)がドットでイメージ化された図である。
【図13】同パーソナルコンピュータにあるRAMの画像格納領域に展開されたビットマップ画像の一部(複数の画素)がドットでイメージ化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.多色感熱媒体]
図6に表されたように、多色感熱媒体1は、基材2を有する。基材2上には、シアン・マゼンタ・イエローの順で各発色層3,4,5が積層されている。さらに、シアン・マゼンタ・イエローの各発色層3,4,5の間には、中間層8がそれぞれ積層されている。イエローの発色層5上にはオーバーコート層9が積層されている。尚、図6に表した多色感熱媒体1の断面図では、多色感熱媒体1の断面が煩雑になって見辛くなることを回避するため、基材2や、シアン・マゼンタ・イエローの各発色層3,4,5、中間層8、オーバーコート層9の各断面を表すそれぞれの平行斜線が省略されている。
【0015】
[2.プリンタ]
図7に表されたように、プリンタ101は、サーマルヘッド102や、プラテンローラ103、制御部111、ヘッド駆動回路117、搬送モーター駆動回路118、媒体搬送モーター119、接続インターフェース120を有する。尚、サーマルヘッド102とプラテンローラ103との間に挟まれた多色感熱媒体1は、プラテンローラ103の回転により、搬送方向131へ搬送される。
【0016】
制御部111は、CPU112や、CG−ROM113、EEPROM114、ROM115、RAM116により構成される。CPU112は、プリンタ101における各種制御の中枢を担う中央演算処理装置である。従って、CPU112は、各種制御プログラム等に基づいて、プリンタ101そのものを制御する。
【0017】
CG−ROM113は、印字される文字や記号の画像データがコードデータと対応させてドットパターンで記憶されるキャラクタージェネレータ用メモリである。EEPROM114は、記憶内容の書込・消去ができる不揮発性メモリである。ROM115には、プリンタ101における各種制御プログラムやデータが記憶される。RAM116は、CPU112での演算結果等が一時的に記憶される記憶装置である。さらに、RAM116には、例えば、印字データ等が記憶される。その印刷データには、例えば、後述するパーソナルコンピュータで編集された印字データがある。
【0018】
制御部111には、ヘッド駆動回路117や、搬送モーター駆動回路118、接続インターフェース120が接続される。ヘッド駆動回路117は、CPU112からの制御信号に基づいてサーマルヘッド102に駆動信号を供給し、サーマルヘッド102の駆動状態を制御する回路である。搬送モーター駆動回路118は、CPU112からの制御信号に基づいて媒体搬送モーター119に駆動信号を供給し、媒体搬送モーター119の駆動制御を介してプラテンローラ103の回転を制御する回路である。
【0019】
サーマルヘッド102とプラテンローラ103との間に挟まれた多色感熱媒体1は、プラテンローラ103の回転により、プラテンローラ103によってサーマルヘッド102に押し付けられながら、搬送方向131へ搬送される。このとき、多色感熱媒体1は、イエローの発色層5上にあるオーバーコート層9の側(上記図6参照)がサーマルヘッド102に押し付けられる。
【0020】
サーマルヘッド102は、多色感熱媒体1を発色させるための熱エネルギーを与えるものである。上述したように、多色感熱媒体1が有するイエローの発色層5上にあるオーバーコート層9がサーマルヘッド102に対して押し付けられることから、サーマルヘッド102の熱エネルギーは、多色感熱媒体1が有するイエローの発色層5上にあるオーバーコート層9の側から与えられる。これにより、本実施の形態では、イエロー・マゼンタ・シアンの各発色層5,4,3は、その記載順で上層から下層に位置すると定義する。
【0021】
このとき、サーマルヘッド102の発熱温度と発熱時間は、制御部111及びヘッド駆動回路117によって、一印字周期の中で、多色感熱媒体1で発色させようとするシアン・マゼンタ・イエローの各発色層3,4,5の発色特性に応じて制御される。
【0022】
すなわち、制御部111及びヘッド駆動回路117は、一印字周期の中で、サーマルヘッド102への駆動電圧の印加時間と印加タイミングを制御することで、多色感熱媒体1で発色させようとするシアン・マゼンタ・イエローの各発色層3,4,5の発色特性に応じたサーマルヘッド102の発熱温度と発熱時間を制御する。接続インターフェース120は、パーソナルコンピュータ201を接続するためのものである。
【0023】
[3.パーソナルコンピュータ]
パーソナルコンピュータ201は、制御部211や、入力装置216、接続インターフェース217を有する。制御部211は、CPU212や、ROM213、RAM214により構成される。CPU212は、パーソナルコンピュータ201における各種制御の中枢を担う中央演算処理装置である。従って、CPU212は、各種制御プログラム等に基づいて、パーソナルコンピュータ201そのものを制御する。
【0024】
ROM213には、パーソナルコンピュータ201における各種制御プログラムや、テーブル、データが記憶される。RAM214は、CPU212での演算結果等が一時的に記憶される記憶装置である。さらに、RAM214は、例えば、ビットマップ展開された画像が格納される画像格納領域215を有する。
【0025】
制御部211には、入力装置216や接続インターフェース217が接続される。入力装置216には、例えば、キーボードやマウスなどがある。接続インターフェース217は、プリンタ101を接続するためのものである。
【0026】
[4.補正テーブル]
パーソナルコンピュータ201のROM213には、図5(a)の補正率テーブルや、図5(b)の補正値適用可否テーブルが記憶されている。図5(a)(b)において、イエローが「Y」で示され、マゼンタが「M」で示され、シアンが「C」で示され、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が「0」〜「255」の数値で示されている。
【0027】
図5(a)の補正率テーブルは、後述する制御プログラムにおいて、文字色が黒色の場合に使用される。文字色が黒色の場合には、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度はそれぞれ「255」であり、それぞれ濃度は最も大きくなる。さらに、図5(a)の補正率テーブルには、イエロー・マゼンタ・シアンの各成分の補正率が%の単位で記憶されている。イエロー・マゼンタ・シアンの各成分の補正率は、多色感熱媒体1(上記図6、上記図7参照)の種類(「媒体A」と「媒体B」)や、プリンタ101(上記図7参照)の種類(「プリンタA」と「プリンタB」)、後記の座標A・座標B・座標Oによって異なる。
【0028】
例えば、座標Aにおいて、プリンタ101(上記図7参照)の種類が「プリンタA」であり、多色感熱媒体1(上記図6、上記図7参照)の種類が「媒体A」であれば、イエロー・マゼンタ・シアンの各成分の補正率は、5%・10%・20%である。以下、同様にして、イエロー・マゼンタ・シアンの各成分の補正率は、多色感熱媒体1(上記図6、上記図7参照)の種類や、プリンタ101(上記図7参照)の種類、後述する座標A・座標B・座標Oを介して、 図5(a)の補正率テーブルから読み取られる。
【0029】
図5(b)の補正値適用可否テーブルは、後述する制御プログラムにおいて、補正値を適用するか否かが判断される際に使用される。図5(b)の補正値適用可否テーブルには、イエロー・マゼンタ・シアンの各成分が、限度値として、「0」〜「255」の数値(絶対値)で記憶されている。例えば、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が「30」「125」「230」で示された色については、そのイエローの濃度である「30」が、図5(b)の補正値適用可否テーブルのY成分の限度値である「72」以下にあるので、後述する制御プログラムにおいては、補正値の適用が不可とされる。
【0030】
[5.補正制御]
次に、パーソナルコンピュータ201で実行される印刷データ送信までの動作について説明する。図1乃至図4のフローチャートで表された制御プログラムは、ROM213等に記憶されるとともにCPU212により実行される。
【0031】
図1に表されたように、先ず、S11において、初期化が行われる。ここでは、パーソナルコンピュータ201に接続されたプリンタ101の種類や、そのプリンタ101の多色感熱媒体1の種類が取得される。その後は、S12に進む。S12では、背景変更があるか否かが判断される。この判断は、入力装置216からの信号に基づいて行われる。ここで、背景変更がある場合(S12:YES)には、S13に進む。
【0032】
S13では、背景貼付が行われる。この処理では、具体的に言えば、RAM214の画像格納領域215に背景画像がビットマップ展開されながら配置される。その後は、上述したS12に戻って、S12以降の処理が繰り返される。
【0033】
一方、上述したS12において、背景変更がない場合(S12:NO)には、S14に進む。S14では、文字入力があるか否かが判断される。この判断は、入力装置216からの信号に基づいて行われる。ここで、文字入力がある場合(S14:YES)には、S15に進む。
【0034】
S15では、文字貼付が行われる。この処理では、具体的に言えば、RAM214の画像格納領域215にビットマップ展開されながら配置された背景画像に重ねて、文字画像がビットマップ展開されながら上書きで配置される。その後は、上述したS12に戻って、S12以降の処理が繰り返される。
【0035】
一方、上述したS14において、文字入力がない場合(S14:NO)には、S16に進む。S16では、印刷するか否かが判断される。この判断は、入力装置216からの信号に基づいて行われる。ここで、印刷しない場合(S16:NO)には、S19のその他の処理が行われる。その後は、上述したS12に戻って、S12以降の処理が繰り返される。
【0036】
これに対して、印刷する場合(S16:YES)には、S17に進む。S17では、印刷データ処理が行われる。印刷データ処理では、図2に表されたように、先ず、S31において、画像がRGBからYMCに変換される。その後は、S32に進む。
【0037】
ここで、RGBとは、色の表現方法の一種で、赤色が「R」で示され、緑色が「G」で示され、青色が「B」で示される。この変換処理を具体的に言えば、画像の青色成分の濃度が「Y=255−B」によってイエロー成分の濃度に変換され、画像の緑色成分の濃度が「M=255−G」によってマゼンタ成分の濃度に変換され、画像の赤色成分の濃度が「C=255−R」によってシアン成分の濃度に変換される。
【0038】
S32では、文字オブジェクトがあるか否かが判断される。この処理では、RAM214の画像格納領域215において、文字画像が配置されていれば文字オブジェクトがあると判断され、文字画像が配置されていなければ文字オブジェクトがないと判断される。ここで、文字オブジェクトがない場合(S32:NO)には、後述する上記図1のS18に進む。これに対して、文字オブジェクトがある場合(S32:YES)には、S34に進む。S34では、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)を抽出する。
【0039】
この抽出処理を具体的に説明する。本実施の形態では、RAM214の画像格納領域215にビットマップ展開されながら配置された文字画像が黒色であるとする。この場合は、その文字画像の画素において黒色を示す数値が記憶される。黒色を示す数値とは、上述したように、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度がそれぞれ「255」である数値である。このようなビットマップ画像の画素をドットでイメージ化すると、図8に表されたように、例えば、文字画像301である「A」の上部部分302が拡大されると、文字画像301である「A」の文字そのものに相当する各画素401が黒色のドットで表される。
【0040】
後述する図9乃至図13も、ビットマップ画像の画素がドットでイメージ化されたものであり、文字画像301である「A」の上部部分302(図8参照)及びその周辺が拡大された図である。以下の説明においても、ビットマップ画像の画素がドットでイメージ化された図8乃至図13を用いて説明する。そして、例えば、図9に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aの座標が、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)として抽出される。
【0041】
その抽出がなされると、後述するS35の補正処理が行われる。その後は、S36に進む。S36では、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)を全て抽出したか否かが判断される。この処理を具体的に言えば、例えば、図8に表されたように文字画像301が「A」である場合には、「A」である文字の輪郭に該当する全ての画素401aの座標が抽出されていれば、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)を全て抽出したと判断される。これに対して、「A」である文字の輪郭に該当する全ての画素401aの座標が抽出されていなければ、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)を全て抽出していないと判断される。
【0042】
ここで、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)を全て抽出していない場合(S36:NO)には、上述したS34に戻って、S34以降の処理が繰り返される。これに対して、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)を全て抽出した場合(S36:YES)には、図1に戻り、後述するS18に進む。
【0043】
次に、図2に表されたS35の色補正処理について説明する。S35の色補正処理には、図3に表された色補正処理と図4に表された色補正処理とがある。先ず、図3に表された色補正処理について説明する。図3に表された色補正処理は、多色感熱媒体1の搬送方向131を考慮した場合に実行される。すなわち、図3に表された色補正処理では、先ず、S101において、文字の輪郭に外接する画素の座標A(Xn,Yn)が抽出される。
【0044】
この抽出処理を具体的に説明する。ここでは、図2の上記S34において、図12に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aの座標が、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)として抽出されている場合を説明する。この場合では、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aに外接する2つの外接画素401bのうち、一方の外接画素401bの座標A(Xn,Yn)が抽出される。
【0045】
その抽出がなされると、S102に進む。S102では、座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)があるか否かが判定される。言い換えれば、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)の外接画素401bに対して、多色感熱媒体111の搬送方向131の反対方向(上流側)にて隣接するとともに文字の輪郭に該当する一つの画素401aがあるか否かが判定される。つまり、文字の輪郭に該当する一つの画素401aがあれば座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)があると判断され、文字の輪郭に該当する一つの画素401aがなければ座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)がないと判断される。
【0046】
ここで、座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)がある場合(S102:YES)には、S103に進む。S103では、外接画素に外接する画素の座標B(Xn+1,Yn)が抽出される。この抽出処理を具体的に説明すると、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)の外接画素401bに対して、図12に表されたように、多色感熱媒体111の搬送方向131にて隣接する画素401cの座標B(Xn+1,Yn)が抽出される。
【0047】
その抽出がなされると、S104に進む。S104では、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。図12では、2つの外接画素401bのうち、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。その後は、S105に進む。
【0048】
S105では、図5(a)に表された補正率テーブルから座標A用の各補正率が取得される。このとき、多色感熱媒体1の種類やプリンタ101の種類に基づいて、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が取得される。その後は、S106に進む。
【0049】
S106では、上記S104で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)について、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が補正される。その補正は、具体的には、上記S105で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率によって行われる。例えば、上記S105で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が「5%」「10%」「20%」の場合には、上記S104で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)が有するイエロー・マゼンタ・シアンの各濃度は、各補正率である「5%」「10%」「20%」がそれぞれ掛け合わされることによって算出される。但し、このS106の補正が一度行われた背景画像の画素(外接画素401b)については、このS106の補正が再び行われることはない。
【0050】
そのような補正がなされると、S107に進む。S107では、上記S103で抽出された座標B(Xn+1,Yn)に位置する背景画像の画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。図12では、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)の画素401bに多色感熱媒体111の搬送方向131で外接する画素401cが抽出され、その抽出画素401cについてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。その後は、S108に進む。
【0051】
S108では、図5(a)に表された補正率テーブルから座標B用の各補正率が取得される。このとき、多色感熱媒体1の種類やプリンタ101の種類に基づいて、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が取得される。その後は、S109に進む。
【0052】
S109では、上記S107で抽出された座標B(Xn+1,Yn)に位置する背景画像の画素(図12では、画素401c)について、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が補正される。その補正は、具体的には、上記S108で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率によって行われる。例えば、上記S108で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が「4%」「7%」「16%」の場合には、上記S107で抽出された座標B(Xn+1,Yn)に位置する背景画像の画素(図12では、画素401c)が有するイエロー・マゼンタ・シアンの各濃度は、各補正率である「4%」「7%」「16%」がそれぞれ掛け合わされることによって算出される。但し、このS109の補正が一度行われた背景画像の画素(外接画素401c)については、このS109の補正が再び行われることはない。そのような補正がなされた後は、後述するS110に進む。
【0053】
一方、上述したS102において、座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)がない場合(S102:NO)には、S111に進む。S111では、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。図12では、2つの外接画素401bのうち、上記S101で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。その後は、S112に進む。
【0054】
S112では、図5(a)に表された補正率テーブルから座標A用の各補正率が取得される。このとき、多色感熱媒体1の種類やプリンタ101の種類に基づいて、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が取得される。その後は、S113に進む。
【0055】
S113では、上記S111で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)について、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が補正される。その補正は、具体的には、上記S112で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率によって行われる。例えば、上記S112で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が「5%」「10%」「20%」の場合には、上記S111で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)が有するイエロー・マゼンタ・シアンの各濃度は、各補正率である「5%」「10%」「20%」がそれぞれ掛け合わされることによって算出される。但し、このS113の補正が一度行われた背景画像の画素(外接画素401b)については、このS113の補正が再び行われることはない。そのような補正がなされた後は、S110に進む。
【0056】
S110では、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されたか否かが判断される。この判断処理を具体的に説明する。ここでは、図2の上記S34において、図12に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aの座標が、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)として抽出されている場合を説明する。この場合では、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aに外接する2つの外接画素401bのうち、双方の外接画素401bの座標A(Xn,Yn)が抽出されていれば、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されたと判断され、一方の外接画素401bの座標A(Xn,Yn)のみが抽出されていれば、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されていないと判断される。
【0057】
ここで、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されていない場合(S110:NO)には、上記S101に戻って、S101以降の処理が繰り返される。これに対して、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出された場合(S110:YES)には、図1のS18に進む。
【0058】
S18では、印刷データ送信が行われる。この処理では、具体的に言えば、上述した補正により編集・取得されたビットマップ画像が印字データとしてプリンタ101に印刷指令とともに送信され、その送信された印字データがプリンタ101のRAM116に記憶される。図13は、図3に表された色補正処理のS106、S109、S113の補正によって編集・取得されたビットマップ画像の一例が表された図であって、そのビットマップ画像の一部が表された図である。その後は、図1の上記S12に戻って、S12以降の処理が繰り返される。このとき、プリンタ101では、その送信された印字データが多色感熱媒体1にフルカラー印刷される。
【0059】
次に、図4に表された色補正処理について説明する。図4に表された色補正処理は、背景画像の色が薄い場合に実行される。図4に表された色補正処理では、先ず、S201において、文字の輪郭に外接する画素の座標A(Xn,Yn)が抽出される。
【0060】
この抽出処理を具体的に説明する。ここでは、図2の上記S34において、図9に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aの座標が、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)として抽出されている場合を説明する。この場合では、図10に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aに外接する2つの外接画素401bのうち、一方の外接画素401bの座標A(Xn,Yn)が抽出される。
【0061】
その抽出がなされると、S202に進む。S202では、上記S201で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。図10では、2つの外接画素401bのうち、上記S201で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する画素が抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。その後は、S203に進む。
【0062】
S203では、図5(a)に表された補正率テーブルから座標A用の各補正率が取得される。このとき、多色感熱媒体1の種類やプリンタ101の種類に基づいて、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が取得される。その後は、S204に進む。
【0063】
S204では、補正値適用が可能か否かが判断される。この判断は、図5(b)に表された補正値適用可否テーブルに基づいて行われる。すなわち、上記S201で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)について、イエローの濃度が「72」より大きく、且つ、マゼンタの濃度が「100」より大きく、且つ、シアンの濃度が「127」より大きければ、補正値適用が可能と判断される。一方、イエローの濃度が「72」以下、又は、マゼンタの濃度が「100」以下、又は、シアンの濃度が「127」以下であれば、補正値適用が不可能と判断される。ここで、補正値適用が可能である場合(S204:YES)には、S205に進む。
【0064】
S205では、上記S201で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)について、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が補正される。その補正は、具体的には、上記S203で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率によって行われる。例えば、上記S203で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が「5%」「10%」「20%」の場合には、上記S201で抽出された座標A(Xn,Yn)に位置する背景画像の画素(外接画素401b)が有するイエロー・マゼンタ・シアンの各濃度は、各補正率である「5%」「10%」「20%」がそれぞれ掛け合わされることによって算出される。但し、このS205の補正が一度行われた背景画像の画素(外接画素401b)については、このS205の補正が再び行われることはない。そのような補正がなされた後は、後述するS206に進む。
【0065】
一方、上記S204において、補正値適用が不可能である場合(S204:NO)には、S207に進む。S207では、図2の上記S34で抽出された座標O(Xo,Yo)に位置するとともに文字の輪郭に該当する一つの画素401aが抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。図10では、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aが抽出され、その抽出画素についてイエロー・マゼンタ・シアンの各成分の濃度が得られる。その後は、S208に進む。
【0066】
S208では、図5(a)に表された補正率テーブルから座標O用の各補正率が取得される。このとき、多色感熱媒体1の種類やプリンタ101の種類に基づいて、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が取得される。その後は、S209に進む。
【0067】
S209では、上記S207で抽出された座標O(Xo,Yo)に位置するとともに文字の輪郭に該当する一つの画素401aについて、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度が補正される。その補正は、具体的には、上記S208で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率によって行われる。例えば、上記S208で取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が「10%」「15%」「25%」の場合には、上記S207で抽出された座標O(Xo,Yo)に位置するとともに文字の輪郭に該当する一つの画素401aが有するイエロー・マゼンタ・シアンの各濃度は、各補正率である「10%」「15%」「25%」がそれぞれ掛け合わされることによって算出される。但し、このS209の補正が一度行われた文字画像の画素(文字の輪郭に該当する一つの画素401a)については、このS209の補正が再び行われることはない。そのような補正がなされた後は、S206に進む。
【0068】
S206では、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されたか否かが判断される。この判断処理を具体的に説明する。ここでは、図2の上記S34において、図9に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aの座標が、文字輪郭の座標O(Xo,Yo)として抽出されている場合を説明する。この場合では、図10に表されたように、「A」の文字の輪郭に該当する一つの画素401aに外接する2つの外接画素401bのうち、双方の外接画素401bの座標A(Xn,Yn)が抽出されていれば、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されたと判断され、一方の外接画素401bの座標A(Xn,Yn)のみが抽出されていれば、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されていないと判断される。
【0069】
ここで、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出されていない場合(S206:NO)には、上記S201に戻って、S201以降の処理が繰り返される。これに対して、文字の輪郭に外接する画素の全てが抽出された場合(S206:YES)には、図1のS18に進む。
【0070】
S18では、印刷データ送信が行われる。この処理では、具体的に言えば、上述した補正により編集・取得されたビットマップ画像が印字データとしてプリンタ101に印刷指令とともに送信され、その送信された印字データがプリンタ101のRAM116に記憶される。図11は、図4に表された色補正処理のS205、S209の補正によって編集・取得されたビットマップ画像の一例が表された図であって、そのビットマップ画像の一部が表された図である。その後は、図1の上記S12に戻って、S12以降の処理が繰り返される。このとき、プリンタ101では、その送信された印字データが多色感熱媒体1にフルカラー印刷される。
【0071】
[6.まとめ]
すなわち、本実施の形態に係るパーソナルコンピュータ201では、ビットマップ展開された画像が格納されるRAM214の画像格納領域215において、配置された背景画像に重ねて文字画像(図8では、符号301)が配置される(S13,S15)。さらに、そのRAM214の画像格納領域215に配置された文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭に沿って、その画像格納領域215の画素が有するイエロー・マゼンタ・シアンの各色成分濃度を、図5(a)に表された補正率テーブルに基づいて所定割合で減らす濃度補正が行われる(S106、S109、S113、S205、S209)。よって、本実施の形態では、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷をプリンタ101で行う場合でも文字の輪郭の滲みが解消される。
【0072】
さらに、本実施の形態では、パーソナルコンピュータ201が有するそのRAM214の画像格納領域215において、文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭に外接する背景画像上の外接画素401b又は、その外接画素401b及びその外接画素401bにその外接の方向で連続する1個の背景画像上の画素401cに対して上記濃度補正(S106、S109、S113、S205)が行われるので、文字そのものの品質を落とすことなく、文字の輪郭の滲みが解消される。
【0073】
さらに、本実施の形態では、パーソナルコンピュータ201が有するそのRAM214の画像格納領域215において、文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭に外接する背景画像上の1個の外接画素401bが抽出され(S201)、その抽出の外接画素401bが所定条件を満たしたときは(S204:YES)、その抽出の外接画素401bに対してS205の上記濃度補正が行われ、S201の上記抽出からS205の上記濃度補正までの画像編集が文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭に外接し、且つ、その背景画像上にある外接画素401bの全てについて行われる(S206、S36)。よって、本実施の形態では、その抽出の外接画素401bが所定条件を満たしたときのみに(S204:YES)、文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭から外側部分の背景画像に対して、S205の上記濃度補正が行われる。
【0074】
S205の上記濃度補正は、その抽出の外接画素401b及びその抽出の外接画素401bにその外接の方向で連続する1個以上の背景画像上の画素に対して行ってもよい。
【0075】
一方、その抽出の外接画素401bが所定条件を満たさないときは(S204:NO)、その抽出の外接画素401bによりその外接がなされるとともに文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭を構成する1個の輪郭画素401aに対して、つまり、文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭に対してS209の上記濃度補正が行われる。よって、本実施の形態では、その抽出の外接画素401bが所定条件を満たさないときは(S204:NO)、文字そのものを太らせることなく、文字の輪郭の滲みが解消される。
【0076】
この点、パーソナルコンピュータ201が有するRAM214の画像格納領域215に配置された背景画像が薄色の場合には、背景画像上で必要な濃度量を減らす補正が不可能なときがある。よって、このような場合には、文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭に対して濃度補正が行うことは有効である。
【0077】
S209の上記濃度補正は、その抽出の外接画素401bによりその外接がなされるとともに文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭を構成する1個の輪郭画素401a及びその輪郭画素401aにその外接の反対方向で連続する1個以上の画素に対し、つまり、文字画像(図8では、符号301)の文字輪郭から内側部分に対し行ってもよい。
【0078】
また、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1においては、原色であるイエロー・マゼンタ・シアンによって発色するために必要なエネルギーがそれぞれ異なる。このような場合には、その文字画像(図8では、符号301)の色を構成する各原色のイエロー・マゼンタ・シアンによって、外接画素401bや輪郭画素401aに対してそのエネルギーが及ぼす影響度もそれぞれ異なる。そこで、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合が、図5(a)に表された補正率テーブルのように、その文字画像(図8では、符号301)の色を構成する各原色のイエロー・マゼンタ・シアン毎に設定されていることで、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われるので、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。これによって、例えば、文字の輪郭の滲みがシアンに対して大きくなるケースでは、シアンの濃度をより下げる補正を行うことによって、文字の輪郭の滲みを防止できる。
【0079】
また、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1においては、発色するために必要なエネルギーが小さい原色(本実施の形態では、イエロー・マゼンタ・シアンの記載順で発色するために必要なエネルギーが小さくなる)ほど、蓄熱により発色しやすく、外接画素401bや輪郭画素401aに対してその蓄熱のエネルギーが及ぼす影響度もそれぞれ異なる。そこで、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合が、図5(a)に表された補正率テーブルのように、発色するために必要なエネルギーが小さい原色ほど大きく、つまり、イエロー・マゼンタ・シアンの記載順で大きくなり、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われるので、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。
【0080】
また、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1においては、その多色感熱媒体1内に位置する発色層が下層の原色(本実施の形態では、イエロー・マゼンタ・シアンの記載順で発色層が下層となる)ほど、伝熱により隣接ドットが発色しやすく、外接画素401bや輪郭画素401aに対してその伝熱のエネルギーが及ぼす影響度もより大きい。そこで、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合が、図5(a)に表された補正率テーブルのように、その多色感熱媒体1内に位置する発色層が下層の原色ほど大きく、つまり、イエロー・マゼンタ・シアンの記載順で大きくなり、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われるので、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。
【0081】
また、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1においては、多色感熱媒体1の種類によって発色するために必要なエネルギーがそれぞれ異なる。このような場合には、多色感熱媒体1の種類によっては、外接画素401bや輪郭画素401aに対してそのエネルギーが及ぼす影響度もそれぞれ異なる。そこで、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合が、図5(a)に表された補正率テーブルのように、多色感熱媒体1の種類(本実施の形態では、「媒体A」と「媒体B」)毎に設定されていることで、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われるので、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。
【0082】
また、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1に関して言えば、その多色感熱媒体1に印刷を行うプリンタ101の種類によってサーマルヘッド102のエネルギー効率等の特性が異なる。このような場合には、そのプリンタ101の種類によっては、外接画素401bや輪郭画素401aに対してその特性が及ぼす影響度もそれぞれ異なる。そこで、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合が、図5(a)に表された補正率テーブルのように、多色感熱媒体1に印刷を行うプリンタ101の種類(本実施の形態では、「プリンタA」と「プリンタB」)毎に設定されていることで、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われるので、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。
【0083】
また、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1においては、その多色感熱媒体1の搬送方向131と外接画素401bがその外接する方向との関係によって、文字の輪郭に滲みができる範囲が異なる。このような場合には、外接画素401bや輪郭画素401aに対してその関係が及ぼす影響度もそれぞれ異なる。そこで、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われる色補正処理(S35)において使用される画素の数が、その外接する方向とその多色感熱媒体1の搬送方向131との関係によって異ならせることで、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われるので、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。
【0084】
例えば、図3に表された色補正処理(S35)では、座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)がある場合(S102:YES)には、S106及びS109の上記濃度補正が行われ、図3に表された色補正処理(S35)において使用される画素の数が2個である。その使用される2個の画素とは、背景画像上の外接画素401bと、その外接画素401bに多色感熱媒体1の搬送方向131の反対方向(上流側)で隣接する背景画像上の画素401cである。これに対して、座標(Xn−1,Yn)に文字輪郭の座標O(Xo,Yo)がない場合(S102:NO)には、S113の上記濃度補正が行われ、図3に表された色補正処理(S35)において使用される画素の数が1個である。その使用される1個の画素とは、背景画像上の外接画素401bである。
【0085】
また、図4に表された色補正処理(S35)では、補正値適用が可能である場合(S204:YES)には、S205の上記濃度補正が行われ、図4に表された色補正処理(S35)において使用される画素の数が1個である。その使用される1個の画素とは、背景画像上の外接画素401bである。これに対して、補正値適用が不可能である場合(S204:NO)には、S209の上記濃度補正が行われ、図4に表された色補正処理(S35)において使用される画素の数が1個である。その使用される1個の画素とは、文字画像(図8では、符号301)上の輪郭画素401aである。
【0086】
上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われる色補正処理(S35)で使用される所定割合を、多色感熱媒体1の搬送方向131と外接画素401bがその外接する方向との関係によって異ならせることで、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われてもよい。
【0087】
[7.その他]
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、感熱・熱転写方式によるフルカラー印刷が行われる多色感熱媒体1においては、イエロー・マゼンタ・シアンによって発色するために必要なエネルギーがそれぞれ異なる。この場合には、その文字画像(図8では、符号301)の色によっては、外接画素401bや輪郭画素401aに対してそのエネルギーが及ぼす影響度も異なる。この点、本実施の形態では、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合は、図5(a)に表された補正率テーブルのように、その文字画像(図8では、符号301)が黒色である場合に対応するものである。一方、その文字画像(図8では、符号301)は黒色であるので、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われ、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が文字の輪郭の滲みに対して正確に行われる。
【0088】
もっとも、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合が、その文字画像(図8では、符号301)の色によっては変更されることで、その影響度に応じた上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)が行われてもよい。
【0089】
例えば、その文字画像(図8では、符号301)がこげ茶色の場合には、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度はそれぞれ「255」「255」「64」である。ここで、図5(a)に表された補正率テーブルから取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正率が「5%」「10%」「20%」のときは、こげ茶色の濃度/黒色の濃度に対し、その取得された各補正率を掛け合わせることにより、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率を新たに取得する。
【0090】
従って、その文字画像(図8では、符号301)がこげ茶色の場合には、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度を具体的に求めると、イエローの新たな補正率は5%(=255/255×5%)となり、マゼンタの新たな補正率は10%(=255/255×10%)となり、シアンの新たな補正率は5%(=64/255×20%)となる。
尚、その文字画像(図8では、符号301)がこげ茶色以外の色の場合でも、同様にして、イエロー・マゼンタ・シアンの各補正率を新たに取得することができる。
【0091】
また、本実施の形態において、図5(a)に表された補正率テーブルが、補正率(%)でなく、「0」〜「255」の補正値(絶対値)で設定されているとした場合には、図4のS204における補正値適用可か否かの判断が以下のようにして行われてもよい。すなわち、文字画像(図8では、符号301)の色について、例えば、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度がそれぞれ「30」「125」「18」である一方、図5(a)に表された補正率テーブルから取得されたイエロー・マゼンタ・シアンの各補正値(絶対値)が「5」「10」「20」のときは、各濃度から各補正値(絶対値)を差し引き、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度のうち、全ての濃度が正(プラス)であれば、図4のS204において補正値適用が可と判断され(S204:YES)、いずれかの濃度が負(マイナス)であれば、図4のS204において補正値適用が不可と判断される(S204:YES)。上記のケースでは、イエローの新たな濃度は「+25(=30−5)」となり、マゼンタの新たな濃度は「+115(=125−10)となり、シアンの新たな濃度は「−2(=18−20)」なるので、図4のS204では、補正値適用が不可と判断される(S204:NO)。
【0092】
また、本実施の形態において、上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用される所定割合に代えて、所定量が上記濃度補正(S106、S109、S113、S205、S209)で使用されてもよい。そのような場合には、イエロー・マゼンタ・シアンの各濃度については、各所定量がそれぞれ差し引かれる補正によって算出される。
【0093】
また、本実施の形態では、図1乃至図4で表された各制御プログラムは、無線通信又は有線通信を介して、又は、CD−ROMなどの記憶媒体を介して、パーソナルコンピュータ201にダウンロードさせてもよい。
【0094】
また、図1乃至図4で表された各制御プログラムを、スタンドアロンのプリンター101で実行させてもよい。但し、このような場合には、図5(a)(b)に表された各テーブルは、プリンター101のROM115に記憶される。
【0095】
また、本実施形態では、文字画像と背景画像に対して、文字輪郭の抽出と色補正処理とを行い、その後に、背景画像に文字画像を重ねた合成画像を画像格納領域215に配置してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 多色感熱媒体 3 シアンの発色層 4 マゼンタの発色層
5 イエローの発色層 101 プリンタ 131 搬送方向
201 パーソナルコンピュータ 214 RAM 215 画像格納領域
301 文字画像 401a 輪郭画素 401b 外接画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットマップ展開された画像が格納されるメモリの画像格納領域に背景画像を配置する第1配置手段と、
前記画像格納領域に配置された背景画像に重ねて文字画像を配置する第2配置手段と、
前記画像格納領域に配置される文字画像の文字輪郭に沿って前記画像格納領域の画素の色成分濃度を所定量又は所定割合で減らす濃度補正を行う輪郭濃度補正手段と、を備え、
前記輪郭濃度補正手段は、前記文字輪郭に外接をする外接画素又は、前記外接画素及び前記外接画素に前記外接の方向で連続する1個以上の画素に対して前記濃度補正を行うこと、を特徴とする画像編集装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像編集装置であって、
前記輪郭濃度補正手段は、
前記文字輪郭に外接をする1個の外接画素を抽出し、
前記抽出の外接画素が所定条件を満たしたときは、前記抽出の外接画素又は、前記抽出の外接画素及び前記抽出の外接画素に前記外接の方向で連続する1個以上の画素に対して前記濃度補正を行い、
前記抽出から前記濃度補正までの画像編集を前記文字輪郭に外接し、且つ、前記背景画像上にある外接画素の全てについて行うこと、を特徴とする画像編集装置。
【請求項3】
請求項2に記載する画像編集装置であって、
前記輪郭濃度補正手段は、前記抽出の外接画素が所定条件を満たさないときは、前記抽出の外接画素により前記外接がなされるとともに前記文字輪郭を構成する1個の輪郭画素、又は前記輪郭画素及び前記輪郭画素に前記外接の反対方向で連続する1個以上の画素に対して前記濃度補正を行うこと、を特徴とする画像編集装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合が、前記文字画像の色によっては変更されること、を特徴とする画像編集装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合が、前記文字画像の色を構成する原色毎に設定されていること、を特徴とする画像編集装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合が、印刷媒体上で発色するために必要なエネルギーが小さい原色ほど大きいことを、を特徴とする画像編集装置。
【請求項7】
請求項5に記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合が、印刷媒体内に位置する発色層が下にある原色ほど大きいことを、を特徴とする画像編集装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合が、前記印刷媒体の種類毎に設定されていること、を特徴とする画像編集装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一つに記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合が、前記印刷媒体に印刷を行うプリンタの種類毎に設定されていること、を特徴とする画像編集装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一つに記載する画像編集装置であって、
前記濃度補正で使用される所定量又は所定割合、及び画素の数が、前記外接する方向と前記印刷媒体の搬送方向との関係によって異なること、を特徴とする画像編集装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一つに記載する画像編集装置としてコンピュータを機能させるための画像編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−201012(P2012−201012A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68255(P2011−68255)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】