説明

画像表示システム、画像表示装置およびネットワーク接続方法

【課題】特定の画像表示装置に不特定多数の情報処理装置を簡単な操作で無線接続できるとともに、セキュリティも確保できる画像表示システム、画像表示装置およびネットワーク接続方法を提供する。
【解決手段】プロジェクタ1は、機器を特定する通信用識別子14および通信用識別子14より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子15を記憶する記憶部19と、識別子表示画像を生成する識別画像生成部16と、を備え、通信用識別子14および使用者用識別子15を含むネットワーク設定情報と、無線ネットワーク3に接続するためのワイヤレスマネージャ42とを記憶したUSBメモリ4をパソコン2に接続することにより、ワイヤレスマネージャ42を起動させ、使用者用識別子15を入力するための識別子入力画面を表示させ、使用者がスクリーンに表示された識別子表示画像と同一の使用者用識別子15を入力してプロジェクタ1とネットワーク接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、画像表示装置およびネットワーク接続方法に関し、くわしくは、液晶プロジェクタ等の画像表示装置とパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と記載)等の情報処理装置とを無線LANを介して簡単に接続を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型の画像(映像)表示装置(以下、単に「プロジェクタ」とも記載する)は、家庭で映画等の映像を楽しむ用途以外に、オフィス等において、会議等で情報処理装置であるノートパソコン(以下、単に「パソコン」とも記載する)と接続してノートパソコンからのプレゼン画像等を表示する用途に利用される機会が多い。
【0003】
ノートパソコン等を持ち込んで、会議室のプロジェクタに接続する場合に、ケーブルで接続するのは煩雑であることから、パソコンとプロジェクタとをIEEE802.11等の無線LANで接続するための無線通信モジュールを搭載したプロジェクタが普及しつつある。
【0004】
接続するパソコンは、不特定多数であり、プロジェクタも複数である場合が多い。無線で接続する場合は、接続するパソコンに接続相手となるプロジェクタの通信用の識別子を設定する必要がある。プロジェクタの通信用の識別子は、MACアドレス等を用いるため、桁数の多い符号列であり、符号の設定ミスで接続ができない場合や、識別子そのものが解らないことで、接続ができないことがあった。
【0005】
そこで、無線接続のための設定を簡単にするための方法として、例えば特許文献1に示すものが提案されている。特許文献1に示すものは、複数のプロジェクタの中から一台を特定して、画像を伝送したいパソコンと接続するための簡易な接続方法に関するものである。
【0006】
複数のプロジェクタは、それぞれ通信用の識別子とは別個の使用者用の識別子を自動的に生成する。この場合の識別子は、色彩や図形といった使用者に判別が容易な簡素なもので、それぞれのスクリーン上に画像として投射される。
【0007】
次に、それぞれのプロジェクタは、使用者用の識別子と通信用の識別子(機器に固有のMACアドレス等)のセットをブロードキャスト(一斉同報)でパソコンに向けて送信する。
【0008】
ブロードキャストを受信したパソコン側では、上記のセットのアドレスを記憶し、使用者用の識別子の一覧を自身の液晶ディスプレイ等の画面上に表示する。使用者は、接続したいプロジェクタで投射された使用者用の識別子(色彩等)を見て、画面上の一覧の中から、プロジェクタの識別子と同じ表示の識別子を選択する。
【0009】
これにより、接続したいプロジェクタの通信用の識別子が選択され、通信相手を特定でき、接続したいプロジェクタに画像を伝送できるようにしたものである。
【特許文献1】特開2005−99351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の方法は、使用者用の識別子をパソコン画面に表示するためのソフトウェアを、予めパソコンにインストールしておく手間が発生する。一方、情報セキュリティの観点からは、特に企業で使用されるパソコンにインストールするソフトウェアは厳しく制限される場合がある。
【0011】
また、来客が持参したパソコンをプロジェクタに接続したい場合には、その都度、ソフトウェアをインストールする煩雑な操作が発生し、会議の進行に支障をきたす状況も考えられる。
【0012】
本発明は、以上のことに鑑みてなされたものであり、特定の画像表示装置に不特定多数の情報処理装置を簡単な操作で無線接続できるとともに、セキュリティも確保できる画像表示システム、画像表示装置およびネットワーク接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明の画像表示システムは、不揮発性メモリを装着可能な情報処理装置から無線ネットワークを介して画像データを伝送して画像表示装置の画像表示部に表示する画像表示システムであって、画像表示装置は、無線ネットワークに接続するための通信手段と、無線ネットワーク内で画像表示装置を特定する通信用識別子を記憶する識別子記憶手段と、通信用識別子より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子を含む識別子表示画像を生成する画像生成手段と、を備え、情報処理装置は、表示手段と、無線ネットワークに接続するための通信手段と、不揮発性メモリを接続するための外部接続端子と、を有し、不揮発性メモリは、通信用識別子および使用者用識別子を含むネットワーク設定情報と、無線ネットワークに接続するための接続用ソフトウェアとを記憶しており、使用者が不揮発性メモリを外部接続端子に接続することにより、接続用ソフトウェアを起動させ、表示手段に使用者用識別子を入力するための識別子入力画面を表示させ、使用者が画像表示装置の画像表示部に表示された識別子表示画像と同一の使用者用識別子を識別子入力画面に入力することにより、使用者用識別子に対応した通信用識別子を不揮発性メモリから読み出して画像表示装置とネットワーク接続するよう制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成により、情報処理装置を画像表示装置にネットワーク接続するためにMACアドレスのような桁数の大きい符号列を入力する必要がない。また、画像表示部に表示された使用者用識別子を見ながら入力できる。したがって、間違いなく迅速にネットワーク接続が可能となる。また、情報処理装置に不揮発性メモリを接続するだけでネットワーク接続用ソフトウェアが起動するので、情報処理装置に予め余分なソフトウェアをインストールする必要がなく、セキュリティを確保できる。また、来客者等の持参したパソコンでも不揮発性メモリを接続するだけで簡単に所望の画像表示装置に接続できる。
【0015】
また本発明の画像表示システムでは、使用者用識別子は画像表示装置に予め記憶されていてもよい。
【0016】
このような構成により、画像表示装置は識別子表示画像を画像表示部に表示する際に、メモリ等から使用者用識別子を読み出すだけでよく、通信用識別子から使用者用識別子を生成する処理が不要となる。
【0017】
また本発明の画像表示システムでは、画像表示装置は、識別子変換手段をさらに備え、識別子変換手段が通信用識別子に基づいて使用者用識別子を生成してもよい。
【0018】
このような構成により、画像表示装置は識別子表示画像を画像表示部に表示する際に、通信用識別子から使用者用識別子を生成するので、画像表示装置が予め使用者用識別子を記憶しておく必要がない。
【0019】
また本発明の画像表示システムでは、不揮発性メモリに記憶されているネットワーク設定情報は、当該画像表示装置に対応する通信用識別子および使用者用識別子のみを含んでいてもよい。
【0020】
このような構成により、情報処理装置での使用者用識別子の入力作業を省略できるので、ネットワーク接続がより簡単になる。
【0021】
また本発明の画像表示システムでは、不揮発性メモリには、画像生成手段が生成する識別子表示画像と略同一形式の識別子入力画像がさらに記憶されており、制御手段は、不揮発性メモリから識別子入力画像を読み出して、識別子入力画面として表示手段に表示してもよい。
【0022】
このような構成により、使用者は入力すべき識別子を直感的に把握できるので、入力作業がわかりやすく操作が簡便になる。
【0023】
また本発明の画像表示システムでは、不揮発性メモリは、USBメモリであってもよい。
【0024】
また本発明の画像表示システムでは、画像表示装置は、投射型画像表示装置であり、画像表示部はスクリーンであってもよい。
【0025】
本発明の画像表示装置は、無線ネットワークを介して情報処理装置から画像データを受信して、画像表示部に表示する画像表示装置であって、無線ネットワークに接続するための通信手段と、無線ネットワーク内で画像表示装置を特定する通信用識別子を記憶する識別子記憶手段と、通信用識別子より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子を含む識別子表示画像を生成する画像生成手段と、を備え、識別子表示画像を画像表示部に表示することを特徴とする。
【0026】
また本発明の画像表示装置では、使用者用識別子は識別子記憶手段に予め記憶されていてもよい。
【0027】
また本発明の画像表示装置では、識別子変換手段をさらに備え、識別子変換手段が通信用識別子に基づいて使用者用識別子を生成してもよい。
【0028】
また本発明の画像表示装置では、画像表示装置は投射型画像表示装置であり、画像表示部はスクリーンであってもよい。
【0029】
本発明のネットワーク接続方法は、不揮発性メモリを装着可能な情報処理装置から無線ネットワークを介して画像データを伝送して画像表示装置の画像表示部に表示する画像表示システムにおけるネットワーク接続方法であって、画像表示装置が、無線ネットワーク内で画像表示装置を特定する通信用識別子より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子を含む識別子表示画像を画像表示部に表示するステップと、通信用識別子および使用者用識別子を含むネットワーク設定情報と、無線ネットワークに接続するための接続用ソフトウェアとを記憶した不揮発性メモリを、使用者が情報処理装置の外部接続端子に接続するステップと、情報処理装置が、接続用ソフトウェアを起動するステップと、表示手段に使用者用識別子を入力するための識別子入力画面を表示するステップと、画像表示装置の画像表示部に表示された識別子表示画像と同一の使用者用識別子を使用者が識別子入力画面に入力するステップと、入力された使用者用識別子に対応する通信用識別子を不揮発性メモリから読み出して画像表示装置とネットワーク接続するステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、特定の画像表示装置に不特定多数の情報処理装置を簡単な操作で無線接続できるとともに、セキュリティも確保できる画像表示システム、画像表示装置およびネットワーク接続方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
まず、図1と図2を用いて本実施の形態における画像表示システムおよび画像表示装置の構成を説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態における画像表示システムの設置例を示す図である。画像表示装置の本体部であるプロジェクタ1は、会議室等の天井に設置され、壁面にはスクリーン1aが設置される。使用者は情報処理装置であるパソコン2のディスプレイ22に表示したプレゼン資料等の画像をパソコン2の無線通信モジュール(図示せず)を介して無線LAN3に送信する。プロジェクタ1は自身の無線通信モジュール(図示せず)を介してこの画像を受信して画像表示部であるスクリーン1aに表示する。従来は、パソコン2とプロジェクタ1間の無線接続に煩雑な作業が必要であったが、本実施の形態では、無線接続のための設定情報が格納されたUSBメモリをパソコン2のUSB端子に接続するのみで簡単に接続することができる。なお、プロジェクタ1は天井ではなく会議机等の上に設置されていてもよいことは言うまでもない。
【0034】
図2は、本実施の形態における画像表示システムに使われるプロジェクタ1およびパソコン2の構成を示すブロック図である。
【0035】
プロジェクタ1は、通信手段である通信部11と、画像受信部12と、液晶パネル13と、ランプ17と、投射レンズ18と、識別子記憶手段である記憶部19および画像生成手段である識別画像生成部16を備えている。
【0036】
通信部11で受信した画像情報データは、画像受信部12で画像信号に復元され、液晶パネル13においてランプ17からの光がこの画像信号で変調され、投射レンズ18で拡大されてスクリーン1aに投射される。
【0037】
記憶部19は、例えばROM(Read Only Memory)であり、このROMにはプロジェクタ1の通信用識別子14および使用者用識別子15とが格納されている。
【0038】
通信用識別子14は、パソコン2等の通信相手に対して、通信先を特定させるための例えば、プロジェクタ1固有のMACアドレス等である。このMACアドレスは、6バイトのサイズを持ち、上位3バイトがメーカ識別に使われ、下位3バイトはメーカが付与し、装置毎に重複しないように割り当てられる。
【0039】
使用者用識別子15は、プロジェクタ1のMACアドレスに対応し、使用者が判別しやすい、例えば4桁の数字である。この使用者用識別子15は、当然のことながらプロジェクタ1毎にユニークな値であることが必要であり、製品のシリアル番号等を元に生成される。
【0040】
識別画像生成部16は、記憶部19から読み出された使用者用識別子15の情報を含む識別子表示画像を作成する。この識別子表示画像は、例えば、プロジェクタ1の電源をオンした直後から、パソコン2との無線接続が完了して、パソコン2から伝送される画像が表示されるまでの間、スクリーン1aに投射表示される。使用者は、スクリーン1a上の識別子表示画像に含まれる、この4桁の簡単な使用者用識別子15を見ながら、パソコン画面に入力するだけで接続したい相手のプロジェクタ1の通信用識別子14をパソコン2に設定することができる。
【0041】
パソコン2は、制御手段であるCPU21を核として、表示手段であるディスプレイ22と、キーボード等の入力装置23と、外部接続端子であるUSB端子24と、HDD(ハードディスクドライブ)25と、通信手段である通信部26と、記憶部29および主記憶メモリであるRAM(Random Access Memory)28とを備えている。
【0042】
記憶部29は、例えばROMであり、ROMの中には、パソコン2の通信用識別子27が記憶されている。
【0043】
通信用識別子27は、プロジェクタ1等の通信相手に対して、通信先を特定させるためのパソコン2固有のMACアドレス等である。
【0044】
HDD25に格納された画像情報データは、通信部26を介して無線LAN3でプロジェクタ1に伝送される。無線LAN3は、例えばIEEE802.11b等の規格に準拠したものである。
【0045】
不揮発性メモリであるUSBメモリ4には、プロジェクタ1とパソコン2とを無線で接続するための接続用ソフトウェア42が格納されている。この接続用ソフトウェア42はアプリケーションおよびドライバからなり、以下、ワイヤレスマネージャ42と呼ぶ。USBメモリ4はパソコン2のUSB端子24に接続して使用される。
【0046】
また、USBメモリ4には、ワイヤレスマネージャ42に加えて前述したプロジェクタ1の通信用識別子14と、これに対応した簡易な使用者用識別子15との対応関係を表す識別子テーブル(ネットワーク設定情報)41およびプロジェクタ1の識別画像生成部16で生成される識別子表示画像と同一形式の識別子入力画像43とが格納されている。なお、このUSBメモリ4は、プロジェクタ1の付属品として、プロジェクタ1に付属されメーカから出荷される。あるいは、プロジェクタ1を購入後に使用者がメーカから購入することもできる。
【0047】
使用者が、USBメモリ4をパソコン2のUSB端子24に挿入すると、自動的に、あるいは使用者がUSBメモリ4内のセットアップファイル等をクリック操作することにより、ワイヤレスマネージャ42のプログラムコードがRAM28にロードされてワイヤレスマネージャ42が起動する。使用者は、ワイヤレスマネージャ42の指示に従って操作することで簡単に自分のパソコン2を所望のプロジェクタ1に接続することができる。この際、ワイヤレスマネージャ42は揮発性メモリであるRAM28上のみに存在し、HDD25等の不揮発性メモリには残らないので、ワイヤレスマネージャ42を終了したり、パソコン2の電源をオフすると自動的に削除される。したがって、ネットワーク接続終了後にパソコン2に不要なソフトウェアが残ることがなく、セキュリティ上好ましい。
【0048】
次に、図2を参照しながら図3から図7を用いて、プロジェクタ1とパソコン2とを接続させる動作について説明する。図3は、本実施の形態における画像表示システムの無線接続手順を示すフローチャートである。
【0049】
図3において、まずステップS1において、使用者はパソコン2の電源をオンし、ステップS2において、無線LAN3を使用可能な状態にする。次にUSBメモリ4をパソコン2のUSBスロット(USB端子24)に挿入する。その結果、USBメモリ4に格納されているワイヤレスマネージャ42が自動的または使用者の操作により起動され、まずステップS4において、USBメモリ4に格納されている識別子テーブル41がパソコン2のRAM28に読み込まれる。次にステップS5において、ディスプレイ22に、図4に示すようなプロジェクタ1との接続案内の表示が現れる。
【0050】
図4は、本実施の形態におけるパソコン2のディスプレイ22の表示を示す図で、表示22aの接続釦22bにカーソルを合わせてクリックすると、ステップS6において、図5に示すような画面に切り替わる。図5において、表示22cが使用者用識別子15を入力するための識別子入力画面である。この識別子入力画面として、予めワイヤレスマネージャ42とともに、USBメモリ4に格納されていた識別子入力画像43が表示される。
【0051】
次に、ステップS7において、使用者がプロジェクタ1の電源をオンすると、ステップS8において、スクリーン1aに図6に示すような接続先選択の表示1bが現れる。
【0052】
この画面の表示1cが識別画像生成部16で生成された識別子表示画像であり、その中の識別子表示枠1dに使用者用識別子(ID)15が表示される。使用者はこの識別子表示枠1dに表示された使用者用識別子15を見ながら、次のステップS9で、パソコン2の識別子入力画面の識別子入力枠22dに使用者用識別子(ID)15(この場合、数字の1001)を入力装置23で入力する。
【0053】
次に、ステップS10で、図5の接続釦22eをクリックすると、ステップS11において、使用者用識別子15に対応した通信用識別子14(ステップS4でUSBメモリ4から読み出した1001に対応した通信用識別子)を用いてパソコン2とプロジェクタ1の接続が実行される。
【0054】
ここで、USBメモリ4に格納されているデータについて、図7を用いて説明する。図7は本実施の形態におけるUSBメモリ4に格納されたデータを示す図である。USBメモリ4には、図7(a)に示すような識別子入力画像43が格納されている。この画像は、図6に示す表示1c(識別画像生成部16で生成された識別子表示画像)と同一形式の画像データである。
【0055】
また、図7(b)は、プロジェクタ1のMACアドレス(通信用識別子14)と、これに対応する簡易な4桁の数字のアドレス(使用者用識別子15)との対応関係を表す識別子テーブル41である。この識別子テーブル41は、ワイヤレスマネージャ42に対応した複数のプロジェクタ1の通信用識別子14および使用者用識別子15のセットを含んでいる。
【0056】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態における画像表示システムに使われる画像表示装置であるプロジェクタ100および情報処理装置であるパソコン2の構成を示すブロック図である。図8が図2と異なる点はプロジェクタ100の記憶部119および識別子変換部101のみであり、その他の構成は図2と同じであるので同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
記憶部119には、プロジェクタ100の通信用識別子14のみが記憶されている。識別子変換部101はMACアドレスのような桁数の多い通信用識別子14を桁数の少ない符号列の使用者用識別子15に変換するものである。プロジェクタ100の電源をオンにすると記憶部119から通信用識別子14が読み出され、この識別子変換部101で使用者用識別子15に変換され、識別画像生成部16に入力される。そして、識別画像生成部16で生成された識別子表示画像をスクリーン1aに投射する。これ以外の構成および動作は実施の形態1と同じであるので説明は省略する。本実施の形態では、使用者用識別子15を記憶部119に予め記憶しておく必要がない。何らかの事情(通信モジュールの交換等)でプロジェクタ100の通信用識別子14が変更になった場合でも、記憶部119内の通信用識別子14を変更するのみで使用者用識別子15は識別子変換部101によって自動生成される。
【0058】
以上説明したように、本発明の画像表示システムおよび画像表示装置は、予め、無線接続のソフトウェア(ワイヤレスマネージャ42)をパソコン2にインストールしておく必要がなく、プロジェクタ1を使用する時点で、USBメモリ4をパソコン2に差し込み、プロジェクタ1の投射画像に表示された簡易な符号をパソコン2に入力するだけでプロジェクタ1と接続することができるものである。このため、パソコン2内に余分なソフトウェアをインストールしておく必要がないので、情報セキュリティの観点からも望ましい。また、来客者等が持参したパソコン2とプロジェクタ1を使ってプレゼン等を行う場合でも、USBメモリ4をパソコン2に挿入するだけで即座にプレゼンを開始できる。
【0059】
また、パソコン2の入力画面がプロジェクタ1の投射画像と同一の形式であるため、使用者は入力すべき識別子を直感的に把握できるので、入力作業がわかりやすく操作が簡便になる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、図7の説明において、USBメモリ4に記憶するアドレスの情報が複数のMACアドレス(複数のプロジェクタに対応するアドレス)としているが、これは、USBメモリ4をメーカの製造するプロジェクタ1に共通に使用できることを意図したものである。共通としたことで、USBメモリ4を紛失した場合にも、他のプロジェクタのUSBメモリ4を流用することができる。このようなことを考慮しなければ、USBメモリ4には当該プロジェクタ1に対応する通信用識別子14と使用者用識別子15のペアのみ記憶しておき、そのプロジェクタ1専用としてもよい。この場合は、USBメモリ4をパソコン2に接続するだけで、識別子の入力作業が省略され、自動的にプロジェクタ1に接続できるように構成することができる。
【0061】
また、上記実施の形態では、まずパソコン2の電源をオンした後に、プロジェクタ1の電源をオンするとして説明したが(図3)、電源オンの順番はどちらが先でもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、使用者用識別子15は、通信用識別子14とともに、記憶部19に格納されていると説明したが、使用者用識別子15および通信用識別子14は別のメモリに記憶してもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、USBメモリ4にプロジェクタ1の通信用識別子14と使用者用識別子15の対応関係を示す識別子テーブル41(図7(b))を格納しておき、パソコン2の識別子入力画面に入力された使用者用識別子15に対応する通信用識別子14をUSBメモリ4から読み出してパソコン2に設定することにより、無線LAN3内の接続したいプロジェクタ1を特定すると説明したが、次のような方法で接続すべきプロジェクタ1を特定してもよい。
【0064】
第1の方法としては、無線LAN3に接続されている全てのプロジェクタ1のSSID(Service Set ID)に使用者用識別子15を埋め込んでおく。例えば、SSIDを表わす32文字以内の英数字の中に「PROJ」という4文字の英字の後に4桁の数字からなる使用者用識別子15を含ませる。ワイヤレスマネージャ42が起動すると、ネットワーク内の全てのプロジェクタ1のSSIDをチェックし、パソコン2の識別子入力画面に入力された使用者用識別子(4桁の数字)15を含むプロジェクタ1を自動検索するようにしてもよい。このようにすると、USBメモリ4には識別子テーブル41を格納しておく必要がない。
【0065】
第2の方法としては、まずパソコン2からそれぞれのネットワークに対して(パソコン2が複数の無線LAN3に接続されている場合を想定)、ネットワーク内の各プロジェクタ1の使用者用識別子15を要求する識別子要求コマンドをブロードキャストで送信する。次に、識別子要求コマンドを受信した各プロジェクタ1は自身の使用者用識別子15をパソコン2に返信する。これにより、パソコン2は識別子入力画面に入力された使用者用識別子15を有するプロジェクタ1を特定して接続してもよい。この場合にも、USBメモリ4には識別子テーブル41を格納しておく必要がない。
【0066】
また、上記実施の形態では、不揮発性メモリはUSBメモリ4として説明したが、SDメモリ、CFメモリ等の他の半導体メモリでもよい。さらに、パソコン2で読み書きができるリムーバブルのメディアであれば、DVD等の光ディスクや、ハードディスク等でもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、無線通信方式としてIEEE802.11bを例に説明したが、IEEE802.11a/g/n、Bluetooth、UWB(Ultra Wide Band)、あるいは赤外線通信等の他の無線通信方式を利用してもよい。
また、上記実施の形態では、通信用識別子14としてMACアドレスを例に説明したが、通信用識別子14としてはIPアドレスを利用してもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、パソコン2の表示画面を図4および図5の2つに分けて表示する例を示したが、これら2つの画面は1つの画面で表示してもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、プロジェクタ1、100等の投射型画像表示装置を例に説明したが、本発明は液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ等の画像表示装置で無線通信手段を備えた画像表示装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、プロジェクタやパソコンに限らず、無線ネットワークに対応した画像表示装置および情報処理装置からなる画像表示システム、ネットワーク接続方法に幅広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1における画像表示システムの設置例を示す図
【図2】同画像表示システムに使われるプロジェクタおよびパソコンの構成を示すブロック図
【図3】同画像表示システムにおける無線接続手順を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1におけるパソコンのディスプレイの表示を示す図
【図5】同パソコンのディスプレイの表示を示す図
【図6】本発明の実施の形態1におけるプロジェクタの投射画面を示す図
【図7】本発明の実施の形態1におけるUSBメモリに格納されたデータを示す図
【図8】本発明の実施の形態2における画像表示システムに使われるプロジェクタおよびパソコンの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0072】
1,100 プロジェクタ(画像表示装置)
1a スクリーン(画像表示部)
1b,1c,22a,22c 表示
1d 識別子表示枠
2 パソコン(情報処理装置)
3 無線LAN(無線ネットワーク)
4 USBメモリ(不揮発性メモリ)
11,26 通信部(通信手段)
12 画像受信部
13 液晶パネル
14,27 通信用識別子
15 使用者用識別子
16 識別画像生成部(画像生成手段)
17 ランプ
18 投射レンズ
19,29,119 記憶部(識別子記憶手段)
21 CPU(制御手段)
22 ディスプレイ(表示手段)
22b,22e 接続釦
22d 識別子入力枠
23 入力装置
24 USB端子(外部接続端子)
25 HDD(ハードディスクドライブ)
28 RAM
41 識別子テーブル
42 ワイヤレスマネージャ(接続用ソフトウェア)
43 識別子入力画像
101 識別子変換部(識別子変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリを装着可能な情報処理装置から無線ネットワークを介して画像データを伝送して画像表示装置の画像表示部に表示する画像表示システムであって、
前記画像表示装置は、
前記無線ネットワークに接続するための通信手段と、
前記無線ネットワーク内で前記画像表示装置を特定する通信用識別子を記憶する識別子記憶手段と、
前記通信用識別子より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子を含む識別子表示画像を生成する画像生成手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
表示手段と、
前記無線ネットワークに接続するための通信手段と、
前記不揮発性メモリを接続するための外部接続端子と、を有し、
前記不揮発性メモリは、前記通信用識別子および前記使用者用識別子を含むネットワーク設定情報と、前記無線ネットワークに接続するための接続用ソフトウェアとを記憶しており、
使用者が前記不揮発性メモリを前記外部接続端子に接続することにより、
前記接続用ソフトウェアを起動させ、
前記表示手段に前記使用者用識別子を入力するための識別子入力画面を表示させ、
使用者が前記画像表示装置の前記画像表示部に表示された前記識別子表示画像と同一の使用者用識別子を前記識別子入力画面に入力することにより、
前記使用者用識別子に対応した前記通信用識別子を前記不揮発性メモリから読み出して前記画像表示装置とネットワーク接続するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記使用者用識別子は前記画像表示装置に予め記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記画像表示装置は、識別子変換手段をさらに備え、前記識別子変換手段が前記通信用識別子に基づいて前記使用者用識別子を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記不揮発性メモリに記憶されている前記ネットワーク設定情報は、当該画像表示装置に対応する通信用識別子および使用者用識別子のみを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記不揮発性メモリには、前記画像生成手段が生成する識別子表示画像と略同一形式の識別子入力画像がさらに記憶されており、
前記制御手段は、前記不揮発性メモリから前記識別子入力画像を読み出して、前記識別子入力画面として前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記不揮発性メモリは、USBメモリであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記画像表示装置は、投射型画像表示装置であり、前記画像表示部はスクリーンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項8】
無線ネットワークを介して情報処理装置から画像データを受信して、画像表示部に表示する画像表示装置であって、
前記無線ネットワークに接続するための通信手段と、
前記無線ネットワーク内で前記画像表示装置を特定する通信用識別子を記憶する識別子記憶手段と、
前記通信用識別子より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子を含む識別子表示画像を生成する画像生成手段と、を備え、
前記識別子表示画像を前記画像表示部に表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
前記使用者用識別子は前記識別子記憶手段に予め記憶されていることを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
識別子変換手段をさらに備え、前記識別子変換手段が前記通信用識別子に基づいて前記使用者用識別子を生成することを特徴とする請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記画像表示装置は投射型画像表示装置であり、前記画像表示部はスクリーンであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
不揮発性メモリを装着可能な情報処理装置から無線ネットワークを介して画像データを伝送して画像表示装置の画像表示部に表示する画像表示システムにおけるネットワーク接続方法であって、
前記画像表示装置が、前記無線ネットワーク内で前記画像表示装置を特定する通信用識別子より桁数の少ない符号列からなる使用者用識別子を含む識別子表示画像を前記画像表示部に表示するステップと、
前記通信用識別子および前記使用者用識別子を含むネットワーク設定情報と、前記無線ネットワークに接続するための接続用ソフトウェアとを記憶した不揮発性メモリを、使用者が前記情報処理装置の外部接続端子に接続するステップと、
前記情報処理装置が、
前記接続用ソフトウェアを起動するステップと、
表示手段に前記使用者用識別子を入力するための識別子入力画面を表示するステップと、
前記画像表示装置の前記画像表示部に表示された前記識別子表示画像と同一の使用者用識別子を使用者が前記識別子入力画面に入力するステップと、
入力された前記使用者用識別子に対応する通信用識別子を前記不揮発性メモリから読み出して前記画像表示装置とネットワーク接続するステップと、
を備えたことを特徴とするネットワーク接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−140387(P2010−140387A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317944(P2008−317944)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】