説明

画像表示システム及び方法

【課題】表示画面に対して複数の利用者により書き込まれた画像について誰がどの書き込みを行ったかを判別可能とする。
【解決手段】データベース6は、各画像表示装置1に配信される画像データを記憶する。講師用画像表示装置3は、各画像表示装置1について、書き込みに使用するマーカーの色と、書き込みを行う利用者と、を対応付けるための入力を受け付け、対応テーブルを生成してデータベース6に登録する。各画像表示装置1は、配信された画像データを受信して表示パネルに表示し、表示パネルにマーカーで書き込まれた書込画像を撮影して取り込む。各画像表示装置1は、取り込んだ画像について色を判別し、色毎に画像を抽出して記憶する。また、各画像表示装置1は、撮影した画像データや色毎に抽出された画像データをデータベース6に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の利用者により表示画面に書き込みが行われる画像表示システムに関し、特に、書き込まれた画像を利用者毎に識別可能とするための画像表示システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば会議や講演等において複数人を対象に画像を表示する装置として、画像をスクリーンに投影して表示する画像表示装置等が使用されている。このような会議等では、表示された内容に対して各参加者が書き込みを行いながら議論を進行させる場合がある。このような場合に対応して、表示画面に対して書き込まれた画像を取り込んで画面表示する機能を有する画像表示装置もある。
【0003】
例えば、特許文献1における投影型表示装置は、投影画面に重ねて配置された書き込み面に書き込まれた画像を撮影して電子化し、投影画像と合成して画面へ表示する。
【特許文献1】特開2004−109402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の投影型表示装置では、会議等において複数の利用者が表示画面に対して書き込みを行った場合に、どの書き込みがどの利用者によるものかを識別することができず、議論の状況を把握することができなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、表示画面に対して複数の利用者により書き込まれた画像について、どの書き込みがどの利用者によるものかを識別可能とする画像表示システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る画像表示システムは、
画像が表示される表示面と当該表示面に重ねて形成される書き込み面とを有する画像表示装置を備える画像表示システムであって、
画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記画像表示装置の前記書き込み面への書き込みに使用される筆記具の色と、書き込みを行う利用者と、を対応付けるための入力を受け付けて、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録する登録手段と、
前記画像記憶手段に記憶される前記画像データを前記画像表示装置の前記表示面に表示する表示手段と、
前記画像表示装置の前記書き込み面に書き込まれた書込画像を取り込む取込手段と、
前記取り込まれた書込画像について色を判別し、判別結果に基づいて当該書込画像のデータを記憶する書込画像記憶手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
前記表示手段は、前記画像記憶手段により記憶される画像データと、前記書込画像記憶手段により記憶された書込画像のデータと、を合成した画像を前記表示面に表示する手段をさらに備えてもよい。
【0008】
前記書込画像記憶手段は、前記取り込まれた書込画像を、前記筆記具の色毎に抽出してそれぞれ記憶してもよい。
【0009】
前記取込手段は、各利用者の使用色を指定するための書込画像を取り込んでもよく、
前記登録手段は、前記取り込まれた書込画像に基づいて各利用者の使用色を特定し、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録してもよい。
【0010】
また、本発明の第2の観点に係る画像表示方法は、
画像が表示される表示面と当該表示面に重ねて形成される書き込み面とを有する画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
画像データを記憶する画像記憶ステップと、
前記画像表示装置の前記書き込み面への書き込みに使用される筆記具の色と、書き込みを行う利用者と、を対応付けるための入力を受け付けて、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録する登録ステップと、
前記画像記憶ステップにより記憶される前記画像データを前記画像表示装置の前記表示面に表示する表示ステップと、
前記画像表示装置の前記書き込み面に書き込まれた書込画像を取り込む取込ステップと、
前記取り込まれた書込画像について色を判別し、判別結果に基づいて当該書込画像を記憶する書込画像記憶ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0011】
前記表示ステップは、前記画像記憶ステップにより記憶される画像データと、前記書込画像記憶ステップにより記憶された書込画像のデータと、を合成した画像を前記表示面に表示するステップをさらに備えてもよい。
【0012】
前記書込画像記憶ステップは、前記取り込まれた書込画像を、前記筆記具の色毎に抽出してそれぞれ記憶してもよい。
【0013】
前記取込ステップは、各利用者の使用色を指定するための書込画像を取り込んでもよく、
前記登録ステップは、前記書込画像に基づいて各利用者の使用色を特定し、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示画面に対して複数の利用者により書き込まれた画像について誰がどの書き込みを行ったかを識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る画像表示システムについて図面を参照して説明する。なお、本実施形態では本発明の画像表示システムを研修システムに適用した場合を例に説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る画像表示システムのシステム構成を図1に例示する。図示されるように、この画像表示システムは、画像表示装置1と、講師用画像表示装置3と、センタプロジェクタ5と、DB(データベース)サーバ7と、を備え、これらはLAN等のネットワークNにより接続されている。
【0017】
画像表示装置1の外観図を図2に例示する。図示されるように、画像表示装置1は、テーブル型の装置であり、筐体11の上面には、表示パネル12と、操作キー13と、が設けられている。表示パネル12は、画像が表示される透過型スクリーン(表示面)と、ホワイトボード用のマーカー等の筆記具により書き込みがなされる透明な書き込み面と、が重ねて形成される。操作キー13は、例えば、終了キー、決定キー、矢印キー等の入力キーを含む。
【0018】
画像表示装置1の内部の概略図を図3に示す。図示されるように、画像表示装置1の内部にはコンピュータ14、プロジェクタ15、CCDカメラ16、反射ミラー17等が設けられている。
コンピュータ14は、例えば図4に示すように、制御部141と、記憶部142と、入出力部143と、通信部144と、を備える。
【0019】
制御部141は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部142に予め記憶された動作プログラム等を読み出して実行することにより、表示パネル12への画像データの表示制御、表示パネル12に書き込まれた画像の取込制御、取り込んだ画像データの画像処理、ネットワークNを介した画像データの送受信、等の各処理を行う。
【0020】
記憶部142は、例えばハードディスク装置等から構成され、制御部141が実行するための動作プログラム及び処理に必要な各種データ等が記憶される。
入出力部143は、制御部141の指示に従って、プロジェクタ15、CCDカメラ16とのデータの送受信を行う。また、操作キー13からの入力信号を受け付ける。
通信部144は、制御部141の指示に従って、ネットワークNを介して他の装置とのデータ通信を行う。
【0021】
プロジェクタ15は、コンピュータ14からの指示に応じて、反射ミラー17を介して、表示パネル12の透過型スクリーンに画像を投影して表示する。
CCDカメラ16は、コンピュータ14からの指示に応じて、表示パネル12の書き込み面に書き込まれた画像を反射ミラー17を介して撮影する。
【0022】
上記の構成により、例えば研修用の画像データ等がコンピュータ14からプロジェクタ15に送信され、その画像がプロジェクタ15により反射ミラー17を介して表示パネル12に投影される。また、表示パネル12にマーカー等により書き込まれた画像が、反射ミラー17を介してCCDカメラ16により撮影され、コンピュータ14に送信される。
【0023】
講師用画像表示装置3は、講師用の装置であり、上記の画像表示装置1とほぼ同様の構成を有するが、キーボードやマウス等の入力装置と、液晶ディスプレイ等の表示装置と、をさらに備える。講師用画像表示装置3のブロック図を図5に例示する。入力装置38と表示装置39は、講師用画像表示装置3内のコンピュータ34に接続され、例えば講師用画像表示装置3の筐体11の上面の表示パネル12以外の領域等にはめ込まれていてもよく、また、独立した機器として構成してもよい。
【0024】
センタプロジェクタ5は、ネットワークNを介して受信した画像を大型スクリーンに投影する。
DBサーバ7は、CPU等からなる制御部、ハードディスク等からなる記憶部、ネットワークNを介して通信を行う通信部等を備えるコンピュータから構成される。また、DBサーバ7はデータベース6に接続されている。DBサーバ7の制御部は、記憶部に記憶される動作プログラムを読込むことにより、画像表示装置1や講師用画像表示装置3から各種データを受信してデータベース6へ記憶する処理、データベース6に記憶されている各種データを読み出して画像表示装置1や講師用画像表示装置3へ送信する処理等を行う。データベース6には、研修で用いられる講義用画像データ(コンテンツデータ)、研修の場所・日時・受講者等に関する研修情報、各グループが研修課題を行っているときに取得されるグループワークデータ、研修課題の結果を発表する際に各グループで作成される発表用画面データ等が保存される。
【0025】
次に、本実施形態に係る画像表示システムの動作について具体的に説明する。この例では、研修はグループ研修であり、各グループにそれぞれ1台の画像表示装置1が割り当てられることとする。
【0026】
まず、講義を行う前に、講師は講師用画像表示装置3を用いて研修の参加者の登録を行う。この研修情報登録処理について図6を参照して説明する。
例えば講師は講師用画像表示装置3の表示装置39及び表示パネル12に表示される所定のメニュー画面から「研修情報登録」を選択する。これに応答して、コンピュータ34の制御部341は、研修情報の入力画面を表示装置39に表示し、入力装置38からのデータ入力を受け付けて記憶部342に記憶する(ステップS11)。研修情報は、例えば、研修日時、研修場所、研修名、グループ名、利用者名(受講者)、画像表示装置1の端末ID、研修ID等のデータを含む。
【0027】
次に、制御部341は、そのグループの各ユーザが使用するマーカーの色を登録するための登録画面(使用色登録画面)を表示する(ステップS12)。この使用色登録画面の一例を図7に示す。図7の画面には、ユーザ名と、青・緑・赤の各色のチェックボックスと、が横一列に表示されるエリア(紐付けエリア)があり、講師はユーザ毎に使用色のチェックボックスにマーカーでチェック(レ点)を入れる。
【0028】
制御部341は、例えば終了ボタンが押下されると、使用色登録画面への入力を受け付ける(ステップS13)。例えば図7の使用色登録画面を用いた場合、制御部341は、CCDカメラ36により撮影された表示パネル12の画像を取り込み、マーカーによりチェックされたチェックボックスの色を利用者毎に判定する。具体的には、チェックが入れられる前後の紐付けエリアの画像の差分を取ることにより使用色登録画面におけるチェックの書込画像を抽出する。そして、その書込画像データについて、各チェックボックスに対応する領域内に存在する黒色画素数をそれぞれ利用者毎に計数し(この場合、黒色マーカーでチェックされたこととする)、利用者毎に計数値が最大のチェックボックスを、マーカーによりチェックされたチェックボックスと判定する。例えば、ある利用者について計数値が最大のチェックボックスが左から一番目のボックスの場合にはその利用者について「青」のボックスがチェックされたと判定する。
【0029】
次に、制御部341は、ステップS13における入力内容に基づいて、各ユーザと使用色を対応付ける処理を行う(ステップS14)。具体的には、図8に例示するような対応テーブルを生成し、ステップS11で入力された研修情報に関連付けて記憶部342に記憶する。
【0030】
そして、例えば画面表示されている登録終了ボタンが押下される等、全グループについて登録が完了した旨の入力があった場合(ステップS15:YES)、制御部341は本処理を終了する。また、全グループについて未だ登録が完了していない旨の入力があった場合(ステップS15:NO)、フローはステップS11に戻り、次のグループについての入力を受け付ける。
【0031】
上記の処理により、各グループについてどの受講者(利用者)がどの色のマーカーを使用するかが登録される。なお、制御部341は、本処理終了後、記憶部342に記憶された研修情報及びこれに関連付けられた対応テーブルのデータをDBサーバ7に送信してデータベース6に登録する。
【0032】
次に、講義が開始されると、講師は講師用画像表示装置3から研修用画像データの配信要求を入力する。この入力に応答して、講師用画像表示装置3の制御部341は、DBサーバ7に研修用画像データの配信要求を送信し、DBサーバ7は、予めデータベース6に登録された研修用画像データを読み出して講師用画像表示装置3、各グループの画像表示装置1及びセンタプロジェクタ5に配信する。講師用画像表示装置3及び各画像表示装置1の表示パネル12とセンタプロジェクタ5のスクリーンには、受信した研修用画像データが表示される。講師は、表示された研修用画像データ用いて講義を進める。例えば、講師が講義用画面に必要な書き込みを行い、この画面データの配信要求を入力した場合、講師用画像表示装置3の制御部341は、CCDカメラ36を介して表示パネル12の撮影画像を取り込み、各画像表示装置1及びセンタプロジェクタ5に送信する。
また、各グループが与えられた課題(グループワーク)に取り組む場面では、例えばグループで討論を行い、各ユーザがそれぞれ割り振られた色のマーカーを用いて表示パネル12に表示された研修用画像の上に書き込みを行う。画像表示装置1は、各ユーザが書き込んだ画像のスナップショットを所定のタイミングで取って記憶する。この画像表示装置1による書込画像取込処理について図9を参照して説明する。
【0033】
画像表示装置1の制御部141は、予め設定された所定時間(例えば5分等)が経過するのを待つ(ステップS21:NO)、そして、所定時間が経過すると(ステップS21:YES)、制御部141は、CCDカメラ15を介して表示パネル12をRGBカラーで撮影して取り込む(ステップS22)。
【0034】
次に、制御部141は、撮影された画像データの各画素の色を純粋色に変換する処理を行う(ステップS23)。この色変換処理を図10を参照して説明する。なお、この例では、R、G、Bの各色データは8bitで表現される。
制御部141は、処理対象画素の色データ(R,G,B)を取得し(ステップS31)、その色データについて、「R>G 且つ R>B」の条件を満たすか判別し(ステップS32)、満たす場合(ステップS32:YES)、処理対象の色データについてR=255,G=0,B=0と設定して、処理対象画素の色を純粋赤に変換し(ステップS33)、ステップS41に進む。
また、ステップS32において、条件を満たさない場合(ステップS32:NO)、制御部141は、「B>R 且つ B>G」の条件を満たすか判別し(ステップS34)、満たす場合(ステップS34:YES)、処理対象の色データについてR=0,G=0,B=255と設定して、処理対象画素の色を純粋青に変換し(ステップS35)、ステップS41に進む。
【0035】
また、ステップS34において、条件を満たさない場合(ステップS34:NO)、制御部141は、「G>R 且つ G>B」の条件を満たすか判別し(ステップS36)、満たす場合(ステップS36:YES)、処理対象の色データについてR=0,G=255,B=0と設定して、処理対象画素の色を純粋緑に変換し(ステップS37)、ステップS41に進む。
【0036】
また、ステップS36において、条件を満たさない場合(ステップS36:NO)、制御部141は、「R<th 且つ G<th 且つ B<th(thは予め設定された閾値で例えば「20」等)」の条件を満たすか判別し(ステップS38)、満たす場合(ステップS38:YES)、処理対象の色データについてR=0,G=0,B=0と設定して、処理対象画素の色を純粋黒に変換し(ステップS39)、ステップS41に進む。
また、ステップS38において、条件を満たさない場合(ステップS38:NO)、制御部141は、処理対象の色データについてR=255,G=255,B=255と設定して、処理対象画素の色を純粋白に変換する(ステップS40)。
【0037】
次に、制御部141は、全画素について処理が完了したかを判定し(ステップS41)、完了していない場合(ステップS41:NO)、ステップS31に戻り、次の処理対象画素について処理を続ける。
また、全画素について処理が完了した場合には(ステップS41:YES)、画像データを記憶部12に記憶し(ステップS42),本処理を終了し、メインフローに戻る。
【0038】
次に、制御部141は、上述の色変換処理が実行された画像データについて、赤色画素を抽出して第1の画像(赤レイヤー)として記憶し(ステップS24)、青色画素を抽出して第2の画像(青レイヤー)として記憶し(ステップS25)、緑画素を抽出して第3の画像(緑レイヤー)として記憶し(ステップS26)、黒色画素を抽出して第4の画像(黒レイヤー)として記憶する(ステップS27)。そして、フローはステップS21に戻り、次の画像撮影タイミングを待つ。
【0039】
上述の処理により、各画像表示装置1においてマーカの色毎に書込画像がレイヤーに保存される。この書込画像取込処理は、例えば画像表示装置1の操作キー13(例えば、終了キー)の押下に応じて終了する。この操作キー13の押下操作は、例えば講師がグループワークの終了を全グループに告げたときに各グループの利用者により行われる。なお、本処理終了後、画像表示装置1は、記憶部142に記憶されている各画像データ(グループワークデータ)を端末IDとともにDBサーバ7に送信する。DBサーバ7は受信データをデータベース6に登録する。
【0040】
各グループにおけるグループワークが終了すると、次に、各グループにより討論結果の発表が行われる。発表を行うグループの利用者は、発表用画面を生成するため、例えば、メニュー画面から「画像一覧表示」を選択入力する。この操作に応答して、画像表示装置1の制御部141は、記憶部142に記憶されたグループワークデータを表示パネル12に一覧表示して、発表に用いる画像の選択入力を受け付ける。選択入力が完了すると、制御部141は、選択された画像データを、予め記憶された発表用フォーマットデータと合成して発表用画面データを生成し、表示パネル12に表示する。利用者は表示画面に対して必要な編集を行う。例えば、所定の入力操作に応じてグループワークデータにおける色画像(赤、青、緑)を黒色画像に変換してもよい。また、表示画面に必要な書き込みを行ってもよい。利用者は必要な編集が終わると例えば決定キーを押下する。この操作に応答して、制御部141は、CCDカメラ16を介して表示パネル12を撮影し、取得した画像データをネットワークNを介して他の画像表示装置1、講師用画像表示装置3及びセンタプロジェクタ5に送信して表示させる。作成された発表用画面の一例を図11に示す。また、制御部141は、発表用画面データを端末IDとともにDBサーバ7に送信し、DBサーバ7は受信データをデータベース6に登録する。なお、グループの発表者は各装置に表示された発表用画面を使って討論結果の発表を行う。
【0041】
研修の終了後、講師は研修内容の振り返りを行うため、例えば講師用画像表示装置3の表示装置39及び表示パネル12に表示される所定のメニュー画面から「研修結果参照」を選択し、研修を特定する情報(研修ID等)を入力する。これに応答して、制御部341は、データベース6に登録されている研修情報及びこれに関連する対応テーブル、各グループのグループワークデータや発表用画面データ等をDBサーバ7にネットワークNを介して要求して受信する。そして、制御部341は、表示する情報の指定入力を入力装置38から受け付けて、指定された各情報を表示装置39及び表示パネル12に表示する。
【0042】
例えば、「研修結果参照」の表示条件として、あるグループが指定入力され、対応テーブルと所定時間毎のグループワークデータの表示要求が入力された場合、制御部341は、指定されたグループの対応テーブルと所定時間毎のグループワークデータをデータファイルの作成時刻データとともに表示装置39及び表示パネル12に表示する。これにより、そのグループが課題に取り組んでいる間、いつだれがどの書き込みを行ったかを知ることができる。
また、「研修結果参照」の表示条件として、グループと利用者が指定入力され、グループワークデータの表示要求が入力された場合、制御部341は、指定されたグループの対応テーブルを参照して指定された利用者の色を特定し、そのグループのグループワークデータのうち、特定した色で抽出された画像データを表示する。例えば、指定された利用者の色が「赤」と登録されていた場合、そのグループのグループワークデータの中から赤レイヤーの画像データを取り出して表示する。これにより、講師は、指定した利用者が書き込んだ画像を見ることができる。
【0043】
以上説明したように本発明によれば、画像が表示された画面に対して複数の利用者がマーカーで書き込みを行うような、会議、研修、打ち合わせ等の場面において、どの利用者がどの書き込みを行ったかを識別して記録することを可能とし、会議等の状況を可視化・分析することができる。
【0044】
なお、本発明は種々の変形及び応用が可能である。
上記実施例では、使用色登録画面において各色のチェックボックスを表示し、各利用者の使用色のチェックボックスにレ点を入れるようにしているが、各利用者の使用色の登録方法はこれに限定されない。
例えば、レ点の代わりに各利用者の名前をその利用者が使用する色のマーカーで記入させてもよい。この場合、制御部341は、この書き込み画像を取り込んで、各利用者について名前の色を判別し、判別した色とその利用者と対応付けて登録する。また、この場合、利用者名をキー入力せずに、各利用者名の書込画像について文字認識を行って、各利用者名の情報を取得するようにしてもよい。
また、制御部341が、色毎にその色を使用する利用者を特定する情報(利用者名、ID等)の入力を入力装置38や操作キー13により受け付ける入力画面を表示し、入力内容に基づいて、各色と、入力された利用者とを対応付けて登録するようにしてもよい。また、利用者を特定する情報と、その利用者が使用する色の情報と、の入力を入力装置38や操作キー13により受け付ける入力画面を表示し、入力内容に基づいて色と利用者を対応付けて登録してもよい。
【0045】
また、上記実施例では、グループワーク中に各画像表示装置1で蓄積記憶されたグループワークデータは終了キーの押下に応じて、DBサーバ7にまとめて送信されるが、グループワークデータの送信タイミングはこれに限定されない。例えば、制御部141が、予め設定された時間(例えば10分等)毎にその間に記憶部142に蓄積されたグループワークデータを読み出してDBサーバ7に送信してもよい。これにより、グループワーク中に各グループのグループワークデータがデータベース6に蓄積記憶されるため、講師は講師用画像表示装置3からグループワークデータを参照することができ、グループワークの進捗状況を知ることができる。
【0046】
また、グループワーク中に画像表示装置1が表示パネル12を撮影するタイミングは上記実施例に限定されず、例えば、利用者が所定キーを押下したときにこれに応じて、制御部141が表示パネル12の撮影画像を取得するようにしてもよい。
【0047】
また、討論発表時に、画像表示装置1において発表用画面データを生成して他の各装置に送信した後でも、所定の入力操作(例えば決定キーの押下等)を行うことにより、制御部141が、表示パネル12の撮影画像をCCDカメラ16を介して取り込み、他の各装置にネットワークNを介して送信するようにしてもよい。これにより、グループの発表者が発表用画面にさらに書き込みを行った場合に、書き込みが追加された発表用画面を他の装置にも表示することができる。
【0048】
また、研修後の振り返り時における講師用画像表示装置3でのグループワークデータの表示形態も任意に設定可能である。例えば、制御部341が、時系列に画像ファイルをまとめて一覧サムネイル表示してもよく、また、画像ファイルをその取り込み時刻順に等時間間隔でスライドショー表示してもよい。なお、スライドショー表示の際には、スライド時間間隔を、画像のキャプチャー時間間隔に比例して設定するようにして、キャプチャー時間間隔が短くした場合にはスライド時間間隔も短くなるようにしてもよい。
【0049】
また、講師用画像表示装置3において、制御部341が、講師により指定された画像データについて、色毎に画素数を計数し、計数結果を表示してもよい。これにより、だれが多く書き込みをしたかを知ることができる。また、各画像表示装置1においても、制御部141が、グループワーク中に所定時間毎に撮影取得された画像データについて色毎に画素数を計数し、計数結果をリアルタイムに表示するようにしてもよい。これにより、書き込みを促進することができる。計数結果の表示形態は数値、グラフ等、任意に設定可能である。
また、画像表示装置1と講師用画像表示装置3において、画像データと、その画像についての筆記者(利用者)、計数値が最も多い筆記者(計数値が最大の色に対応する利用者)、各筆記者についての計数値の比率及びそのグラフ等の付属情報と、を併せて表示する機能をさらに有してもよい。
【0050】
また、上記実施例では研修システムを例に説明したが、勿論本発明の適用はこれに限定されない。本発明は、例えば、販売員と客との交渉場面、社内での打ち合わせや会議、医療現場で医者が患者に説明を行う場面等、表示された画像に対して複数人が筆記具で書き込みを行い、書き込み画像を記録・保存するような種々のシステムに適用可能である。
【0051】
なお、例えば、上述の動作を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(FD、CD−ROM、DVD等)に格納して配布し、該プログラムをコンピュータ14、コンピュータ34にそれぞれインストールするようにしてもよい。また、インターネット等のネットワーク上のサーバ装置が有するディスク装置に格納しておき、例えば搬送波に重畳してコンピュータ14、コンピュータ34にダウンロード等するようにしてもよい。
また、上述の機能を、OSが分担又はOSとアプリケーションの共同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、搬送波に重畳してコンピュータ14、コンピュータ34にそれぞれダウンロード等してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示システムの構成を示す図である。
【図2】図1の画像表示システムで用いられる画像表示装置の外観図である。
【図3】図2の画像表示装置の内部の概略図である。
【図4】図3の画像表示装置におけるコンピュータのブロック図である。
【図5】図1の画像表示システムで用いられる講師用画像表示装置の図3のブロック図である。
【図6】登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】研修情報使用色登録画面を例示する図である。
【図8】対応テーブルを示す図である。
【図9】書込画像取込処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】色変換処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】発表用画面を例示する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 画像表示装置
3 講師用画像表示装置
5 センタプロジェクタ
6 データベース
7 DBサーバ
11 筐体
12 表示パネル
13 操作キー
14 コンピュータ
15、35 プロジェクタ
16、36 CCDカメラ
17 反射ミラー
38 入力装置
39 表示装置
141、341 制御部
142、342 記憶部
143、343 入出力部
144、344 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が表示される表示面と当該表示面に重ねて形成される書き込み面とを有する画像表示装置を備える画像表示システムであって、
画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記画像表示装置の前記書き込み面への書き込みに使用される筆記具の色と、書き込みを行う利用者と、を対応付けるための入力を受け付けて、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録する登録手段と、
前記画像記憶手段に記憶される前記画像データを前記画像表示装置の前記表示面に表示する表示手段と、
前記画像表示装置の前記書き込み面に書き込まれた書込画像を取り込む取込手段と、
前記取り込まれた書込画像について色を判別し、判別結果に基づいて当該書込画像のデータを記憶する書込画像記憶手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記表示手段は、前記画像記憶手段により記憶される画像データと、前記書込画像記憶手段により記憶された書込画像のデータと、を合成した画像を前記表示面に表示する手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記書込画像記憶手段は、前記取り込まれた書込画像を、前記筆記具の色毎に抽出してそれぞれ記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記取込手段は、各利用者の使用色を指定するための書込画像を取り込み、
前記登録手段は、前記取り込まれた書込画像に基づいて各利用者の使用色を特定し、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項5】
画像が表示される表示面と当該表示面に重ねて形成される書き込み面とを有する画像表示装置を用いた画像表示方法であって、
画像データを記憶する画像記憶ステップと、
前記画像表示装置の前記書き込み面への書き込みに使用される筆記具の色と、書き込みを行う利用者と、を対応付けるための入力を受け付けて、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録する登録ステップと、
前記画像記憶ステップにより記憶される前記画像データを前記画像表示装置の前記表示面に表示する表示ステップと、
前記画像表示装置の前記書き込み面に書き込まれた書込画像を取り込む取込ステップと、
前記取り込まれた書込画像について色を判別し、判別結果に基づいて当該書込画像を記憶する書込画像記憶ステップと、
を備えることを特徴とする画像表示方法。
【請求項6】
前記表示ステップは、前記画像記憶ステップにより記憶される画像データと、前記書込画像記憶ステップにより記憶された書込画像のデータと、を合成した画像を前記表示面に表示するステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記書込画像記憶ステップは、前記取り込まれた書込画像を、前記筆記具の色毎に抽出してそれぞれ記憶する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像表示方法。
【請求項8】
前記取込ステップは、各利用者の使用色を指定するための書込画像を取り込み、
前記登録ステップは、前記書込画像に基づいて各利用者の使用色を特定し、前記筆記具の色と前記利用者を対応付ける対応付け情報を登録する、
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−70104(P2009−70104A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237282(P2007−237282)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】