説明

画像表示システム及び画像表示方法及びプログラム

【課題】船舶が航行する際に有益な情報を、船員等が直感的に状況を把握可能にする画像表示システムを提供する。
【解決手段】船舶の位置情報を取得する位置情報取得装置2と、海底形状を含む電子海図と潮位表とを記憶する情報記憶装置5と、画像表示装置4と、画像表示装置に画像を提供する画像提供装置1と、を含む画像表示システムであって、画像提供装置は、位置情報取得装置で取得された船舶の位置情報と、潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報と、に基づいて、船舶の位置の海面下の深度を求め、位置情報と、海面下の深度と、電子海図の示す海底地形画像データと、に基づいて、船舶の位置の深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、画像表示装置に提供し、画像表示装置は、画像提供装置より提供された海底形状の仮想空間画像を画像表示装置からの風景に重畳して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム及び画像表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの道案内や作業時における作業手順の提示等、様々な分野でナビゲーション技術が利用されている。ナビゲーション技術とは、ある行為を遂行し易くするよう支援を行う技術であるため、出来るだけ直感的に理解できるような仕組みが以前から求められている。そのような仕組みの一つとして、文字や画像等コンピュータで管理されているデータを、現実の環境へ重畳表示させ、現実の環境に補足的な情報を与える拡張現実と呼ばれる技術を利用したナビゲーション技術が存在する。例えば、船舶の分野においても、様々なナビゲーション技術が開発されてきた。
【0003】
船舶の運航には、古くは海図を使った航行、現在はレーダー装置やGPS等を利用した航行が行われている。ところで沿岸部を運航する船舶の場合、暗礁への座礁等、海面下の障害物に対するトラブルを避けるために上記機器を駆使することになる。また、沿岸部に限らず、濃霧等により他の船舶との接触を避けるためにも海上では目視だけでなく、機器からの情報を活用している。
これら機器を活用して座礁や他船との接触を避けることを高めることは可能であるが、より直感的に危険を察知・回避できる仕組みが望まれている。例えば非特許文献1には、船舶自動識別システム(AIS)と電子海図とを組み合わせて3次元表示する仕組みが開示されている。しかしながら、結局のところ船員は非特許文献1の図7のようなグラフ表示を理解して衝突等の判断をすることが求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】福戸 淳司、他3名、"フェールセーフとしての衝突座礁回避システムの研究 中間報告"、[online]、[平成22年2月10日検索]、インターネット<http://www.nmri.go.jp/main/publications/paper/pdf/2A/03/00/PNM2A030043-00.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、船舶の運航のように、常に状況が変化しうる環境において、直感的に理解できるようにするには、情報の得られるタイミングや情報の種類等に関して限りなく現実に近く、即時に知覚できるような状態で提示することが求められていた。本発明は、船舶が航行する際に有益な情報を、船員等が直感的に状況を把握可能に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、船舶の位置情報を取得する位置情報取得装置と、海底形状を含む電子海図と潮位表とを記憶する情報記憶装置と、画像表示装置と、前記画像表示装置に画像を提供する画像提供装置と、を含む画像表示システムであって、前記画像提供装置は、前記位置情報取得装置で取得された前記船舶の位置情報と、前記潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報と、に基づいて、前記船舶の位置の海面下の深度を求め、前記位置情報と、前記海面下の深度と、前記電子海図の示す海底地形画像データと、に基づいて、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供し、前記画像表示装置は、前記画像提供装置より提供された海底形状の仮想空間画像を前記画像表示装置からの風景に重畳して表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、船舶が航行する際に有益な情報を、船員等が直感的に状況を把握可能に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施形態1の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、画像提供装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、画像表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、画像提供装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、画像表示装置のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図6】図6は、海底形状の仮想空間画像を表示装置からの風景の海面下に重畳して表示した一例を示す図である。
【図7】図7は、実施形態の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図8】図8は、実施形態3の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図9】図9は、実施形態4の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図10】図10は、実施形態5の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<実施形態1>
以下、実施形態1を説明する。
図1は、実施形態1の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。図1に示されるように、実施形態1の画像表示システムは、船舶の位置情報を取得するGPSコンパス(又はGPSレシーバ)2と、海底形状を含む電子海図と潮位表とを記憶する情報記憶装置5と、画像表示装置4と、画像表示装置4に画像を提供する画像提供装置1と、船舶の方位を取得するジャイロコンパス7と、船舶の航行を制御する航行制御装置6と、がネットワークを介して接続されている。
位置情報取得装置の一例であるGPSコンパス(又はGPSレシーバ)2は、船舶の位置情報(経度、緯度)を取得する。なお、位置情報取得装置の一例としては、GPSコンパスであってもよいし、GPSレシーバであってもよいが、以下では説明の簡略化のため、GPSコンパスを例に説明を行う。
向き取得装置の一例であるジャイロコンパス7は、船舶の向きを取得する。
画像提供装置1は、GPSコンパス2で取得された船舶の位置情報と、情報記憶装置5に記憶されている潮位表と電子海図と、に基づいて、前記船舶の位置の海面下の深度を求める。なお、潮位表とは、ある位置情報における時刻と基本水準面等を基準に計測した海面の高低とを対応付けて表したデータであり、海上保安庁等より発行されている。また、電子海図とは、例えば、海上保安庁等より発行されている電子化された海の地図データのことであり、航海用海図や特殊図、海の基本図、沿岸海域地形図、沿岸海域土地条件図、海洋地質図等、目的によって種々に分類されている。電子海図には、例えば、基本水準面等を基準に計測した水深に関する情報や、水路の状況、海流や潮流、標識、海岸の状態等が記載されており、例えば、海の基本図には、海底の地形を等深線で表した海底地形図や前記海底地形の3次元俯瞰地図等が含まれている。画像提供装置1は、前記位置情報と、前記潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報とに基づいて、前記深度を計算で求めてもよいし、前記位置情報と、前記潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報とが管理されているテーブル等より前記深度を求めてもよい。また、画像提供装置1は、前記位置情報と、求めた海面下の深度と、情報記憶装置5に記憶されている電子海図と、に基づいて、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、画像表示装置4に提供する。例えば、情報記憶装置5に、海底地形が示された3次元俯瞰地図を記憶しておき、前記位置情報と求めた海面下の深度とに基づいて、該当位置及び深度における海底地形の3次元画像を、3次元俯瞰地図等の海図より抽出したり計算したりして、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成する。なお、画像提供装置1は、前記画像を、後述する船舶のフロントガラス等からの視点の画像に座標変換し、画像表示装置4に提供する。画像提供装置1は、コンピュータの一例でもある。
画像表示装置4は、後述するように、透過型の液晶フィルム等の表示装置が船舶のフロントガラス等に貼り付けられており、画像提供装置1から提供された海底形状の仮想空間画像を前記フロントガラス等からの風景の海面下に重畳して表示する。
なお、情報記憶装置5には、上述した情報以外に、上述の先行技術文献等で開示されているように所定の装置等から取得された、又は所定の情報に基づき算出された自船情報が記憶されているものとする。自船情報の一例としては、位置情報や、針路や速力等を含む運動情報、喫水情報、積荷情報、乗客数、時刻情報等が記憶されているものとする。
【0011】
図2は、画像提供装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示されるように、画像提供装置1は、ハードウェア構成として、制御装置11と、記憶装置12と、通信装置13と、がバス14を介して接続された構成を有する。制御装置11は、CPU等であって、記憶装置12等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって画像提供装置1の機能を実現する。記憶装置12は、RAM、ROM、HDD等の記憶装置であって、プログラムを記憶したり、制御装置11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶したりする。通信装置13は、画像提供装置1と画像表示システム内の他の装置との通信の制御を司る装置である。
【0012】
図3は、画像表示装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、画像表示装置4は、ハードウェア構成として、制御装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、表示装置24と、がバス25を介して接続された構成を有する。制御装置21は、CPU等であって、記憶装置22等に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって画像表示装置4の機能を実現する。記憶装置22は、RAM、ROM、HDD等の記憶装置であって、プログラムを記憶したり、制御装置21がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶したりする。通信装置23は、画像表示装置4と画像表示システム内の他の装置との通信の制御を司る装置である。表示装置24は、船舶のフロントガラス等に貼り付けられた透過型の液晶フィルム等であって、制御装置21の制御の基、画像提供装置1より提供された画像等を表示する。
【0013】
図4は、画像提供装置1のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図4に示されるように、画像提供装置1は、ソフトウェア構成(機能構成)として、画像提供制御部31を含む。画像提供制御部31は、GPSコンパス2で取得された船舶の位置情報と、情報記憶装置5に記憶されている潮位表と、電子海図と、に基づいて、前記船舶の位置の海面下の深度を求める。一般的には、例えば、電子海図にある基本水準面等を基準に計測した水深に関する情報に対して、潮位表で管理された当該時刻及び位置における潮位に関する情報を補正し、前記船舶の位置の海面下の深度を求める。そして、画像提供制御部31は、前記位置情報と、求めた海面下の深度と、情報記憶装置5に記憶されている電子海図と、に基づいて、前記位置情報及び深度における海底地形画像データを電子海図の海底地形図より抽出することで、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、画像表示装置4に提供する。なお、画像提供制御部31は、前記画像を、後述する船舶のフロントガラス等からの視点の画像に座標変換し、画像表示装置4に提供する。
画像提供制御部31は、GPSコンパス2で取得された船舶の基準点となる位置情報から相対的な位置関係で特定される画像表示装置4(より具体的には画像表示装置4の表示装置24)の位置と、ジャイロコンパス7で取得された船舶の向きと、表示装置24の大きさ等と、に基づき、表示装置24からの視野を特定する。そして、画像提供制御部31は、特定した視野と、前記海面下の深度と、前記電子海図と、に基づいて、特定した視野での位置情報及び深度における海底地形画像データを海底地形図が示された3次元俯瞰地図等電子海図より抽出することで、前記視野内の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成するようにしてもよい。なお、画像提供制御部31は、視野内の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成するようにしてもよいし、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記座標変換を行った後に、座標変換を行った画像から前記視野内の画像を抽出するようにしてもよい。
また、画像提供制御部31は、船舶の積荷及び/又は乗客数に応じて前記船舶の喫水を求める。例えば、情報記憶装置5に記憶されている喫水情報に積荷の重量等を補正して前記船舶の喫水を求める。そして、画像提供制御部31は、前記喫水と、前記位置情報と、前記海面下の深度と、前記電子海図と、に基づいて、前記海面下の深度と前記喫水との差分、即ち船体最下部から前記海底形状までの距離を算出し、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状で、かつ、船体最下部から前記海底形状までの距離が所定の距離内の海底形状を強調表示した海底下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供するようにしてもよい。このような構成とすることで、衝突の危険がある海底形状を船員等に分かりやすく知らせることができる。
【0014】
図5は、画像表示装置4のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図5に示されるように、画像表示装置4は、ソフトウェア構成(機能構成)として、画像表示制御部41を含む。画像表示制御部41は、画像提供装置1より提供された前記海底形状の仮想空間画像を表示装置24からの風景の海面下に重畳して表示する。図6は、海底形状の仮想空間画像を表示装置24からの風景の海面下に重畳して表示した一例を示す図である。例えば、図6では、海底の岩として51と、52と、が船首のフロントガラスに前記フロントガラスからの風景に重畳して表示されている。上述したような強調表示を行う構成とした場合、船体最下部から所定距離内に海底の岩51が存在した場合、海底の岩51は、海底の岩52に比べて強調表示される。なお、強調表示の一例としては、岩52の近くに「衝突の危険!」等と文字列を表示させてもよいし、岩52を赤く縁取る等してもよい。
【0015】
以上、本実施形態によれば、船舶が航行する際に有益な情報を、船員等が直感的に状況を把握可能に提供することができる。
【0016】
<実施形態2>
以下、実施形態2を説明する。実施形態2では、実施形態1とは異なる点を主に説明する。
図7は、実施形態2の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。図7に示されるように、実施形態2の画像表示システムは、実施形態1の画像表示システムに比べて、レーダー装置の一例であるレーダー8が新たに画像表示システムに含まれている。
実施形態2の画像提供装置1は、レーダー8のレーダーのエコーに基づく海面下の画像と、前記電子海図と、を比較し、前記電子海図に載っていない障害物を前記海面下に検知した場合、前記障害物を含む前記海底形状の仮想空間画像を作成し、画像表示装置4に提供する。
実施形態2の構成によれば、電子海図に載っていない沈没船やケーソン等の障害物を検知し、前記障害物を表示装置24からの風景の海面下に重畳して表示することができる。
なお、図7のレーダー8は、魚群探知機であってもよい。この様な構成によれば、くじら等、船舶の航行の障害となるような海洋生物を含む海底形状の仮想空間画像を作成し、表示装置24からの風景の海面下に重畳して表示することができる。
【0017】
<実施形態3>
以下、実施形態3を説明する。実施形態3では、上述した実施形態とは異なる点を主に説明する。
図8は、実施形態3の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。図8に示されるように、実施形態3の画像表示システムは、実施形態1の画像表示システムに比べて、検知装置の一例として船舶の姿勢を検知するジャイロセンサー9が新たに画像表示システムに含まれている。
実施形態3の画像提供装置1は、ジャイロセンサー9で検知された船舶の姿勢に基づいて、作成した海底形状の仮想空間画像の海面と前記画像表示装置からの風景の海面とが水平になるよう座標変換を行い、画像表示装置4に提供する。
実施形態3の構成によれば、船舶が揺れた状態でも、フロントガラスには実際の海面と前記海底形状の仮想空間画像の海面とが一致して表示される。
【0018】
<実施形態4>
以下、実施形態4を説明する。実施形態4では、上述した実施形態とは異なる点を主に説明する。
図9は、実施形態4の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。図9に示されるように、実施形態4の画像表示システムは、実施形態1の画像表示システムに比べて、情報を受信する受信装置10が新たに画像表示システムに含まれている。
受信装置10は、船舶が存在する海域の他の船舶に関する情報を例えば海上交通センター等から受信する。
実施形態4の画像提供装置1は、受信装置10で受信された前記他の船舶に関する情報を含む仮想空間画像を作成し、画像表示装置4に提供する。
画像表示装置4は、画像提供装置1より提供された、前記海底形状の仮想空間画像と、前記他の船舶に関する情報を含む仮想空間画像と、を表示装置24からの風景に重畳して表示する。
実施形態4の構成によれば、船員等は、濃霧時等でも他船の大きさや動き等他の船舶に関する情報を直感的に認識することができる。
【0019】
<実施形態5>
以下、実施形態5を説明する。実施形態5では、上述した実施形態とは異なる点を主に説明する。
図10は、実施形態5の画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。図10に示されるように、実施形態5の画像表示システムは、実施形態1の画像表示システムに比べて、レーダー8と、情報を受信する受信装置10と、が新たに画像表示システムに含まれている。
実施形態5の受信装置10は、他の船舶が取得した前記他の船舶のレーダーのエコーと、その船舶がエコーを検知した位置情報とを前記他の船舶より受信する。
そして、実施形態5の画像提供装置1は、レーダー8のエコーに基づく画像と受信装置10で受信された前記他の船舶のレーダーのエコーに基づく画像とを比較することで、レーダー8のエコーで検知した障害物とレーダー8のエコーでは検知できなかった障害物とを含む仮想空間画像を作成し、作成した仮想空間画像を画像表示装置4に提供する。この際、他の船舶のレーダーのエコー画像は、当該船舶がエコーを検知した位置に基づいて生成されている為、受信した位置情報を用いて自船のレーダー8で検知した画像と位置合わせした上で比較する。
画像表示装置4は、画像提供装置1より提供された、前記海底形状の仮想空間画像と、レーダー8のエコーで検知した障害物とレーダー8のエコーでは検知できなかった障害物とを含む仮想空間画像と、を表示装置24からの風景に重畳して表示する。
実施形態5の構成によれば、他船で捉えたレーダーのエコーを受信し、自船のレーダーのエコーと、を重ね合わせて差異をとることで、自船で捉えられなかった障害物(船舶、岩礁、鯨等の海洋生物等)を識別して、前記障害物を含む仮想空間画像を作成し、表示させることができる。
【0020】
上述した各実施形態によれば、船舶が航行する際に有益な情報を、船員等が直感的に状況を把握可能に提供することができる。
【0021】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、透過型液晶フィルムを貼り付けた窓等、所謂、人体非装着の透過型ディスプレイを例に説明を行ったが、Head Mounted Display等、人体装着の透過型ディスプレイであってもよい。また、画像表示装置4は、船員等が保持する携帯型の透過型、又は非透過型のディスプレイであってもよい。なお、非透過型のディスプレイの場合、非透過型のディスプレイは、撮像装置で撮像された画像と、仮想空間画像と、を重畳して表示することになる。
また、上述した実施形態では、画像表示装置4を例に説明を行ったが、例えば、低反射フィルムを貼り付けた窓等へ仮想空間画像を投影するプロジェクタであってもよい。
なお、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 画像提供装置
4 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の位置情報を取得する位置情報取得装置と、海底形状を含む電子海図と潮位表とを記憶する情報記憶装置と、画像表示装置と、前記画像表示装置に画像を提供する画像提供装置と、を含む画像表示システムであって、
前記画像提供装置は、前記位置情報取得装置で取得された前記船舶の位置情報と、前記潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報と、に基づいて、前記船舶の位置の海面下の深度を求め、前記位置情報と、前記海面下の深度と、前記電子海図の示す海底地形画像データと、に基づいて、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供し、
前記画像表示装置は、前記画像提供装置より提供された海底形状の仮想空間画像を前記画像表示装置からの風景に重畳して表示する画像表示システム。
【請求項2】
前記画像提供装置は、前記情報記憶装置に記憶されている前記船舶の積荷及び乗客数に関する情報のうち少なくともどちらかに応じて前記船舶の喫水を求め、前記喫水と、前記位置情報と、前記海面下の深度と、前記電子海図と、に基づいて、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状で、かつ、船体最下部から前記海底形状までの距離が所定の距離内の海底形状を強調表示した海底下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供する請求項1記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記船舶の向きを取得する向き取得装置を更に有し、
前記画像提供装置は、前記位置情報取得装置で取得された前記船舶の位置情報と、前記向き取得装置で取得された向きと、に基づいて、前記画像表示装置からの視野を特定し、特定した視野と、前記海面下の深度と、前記電子海図の示す海底地形画像データと、に基づいて、前記視野内の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供する請求項1又は2記載の画像表示システム。
【請求項4】
レーダー装置を更に有し、
前記画像提供装置は、前記レーダー装置のエコーに基づく海面下の画像と、前記電子海図の示す海底地形画像データと、を比較し、前記電子海図に載っていない障害物を前記海面下に検知した場合、前記障害物を含む前記海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供する請求項1乃至3何れか1項記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記船舶の姿勢を検知する検知装置を更に有し、
前記画像提供装置は、前記検知装置で検知された前記船舶の姿勢に基づいて、前記作成した海底形状の仮想空間画像の海面を前記画像表示装置からの風景の海面と水平になるよう座標変換を行い、前記画像表示装置に提供する請求項1乃至4何れか1項記載の画像表示システム。
【請求項6】
情報を受信する受信装置を更に有し、
前記受信装置は、前記船舶が存在する海域の他の船舶の情報を海上交通センターから受信し、
前記画像提供装置は、前記受信装置で受信された前記他の船舶の情報を含む仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供し、
前記画像表示装置は、前記画像提供装置より提供された、前記海底形状の仮想空間画像と、前記他の船舶の情報を含む仮想空間画像と、を前記画像表示装置からの風景に重畳して表示する請求項1乃至5何れか1項記載の画像表示システム。
【請求項7】
レーダー装置と、
情報を受信する受信装置を更に有し、
前記受信装置は、他の船舶が取得した前記他の船舶のレーダー装置のエコーを前記他の船舶より受信し、
前記画像提供装置は、前記レーダー装置のエコーに基づく画像と前記受信装置で受信された前記他の船舶のレーダー装置のエコーに基づく画像とを比較することで、前記レーダー装置のエコーで検知した障害物と前記レーダー装置のエコーでは検知できなかった障害物とを含む仮想空間画像を作成し、作成した仮想空間画像を前記画像表示装置に提供し、
前記画像表示装置は、前記画像提供装置より提供された、前記海底形状の仮想空間画像と、前記レーダー装置のエコーで検知した障害物と前記レーダー装置のエコーでは検知できなかった障害物とを含む仮想空間画像と、を前記画像表示装置からの風景に重畳して表示する請求項1乃至3何れか1項記載の画像表示システム。
【請求項8】
船舶の位置情報を取得する位置情報取得装置と、海底形状を含む電子海図と潮位表とを記憶する情報記憶装置と、画像表示装置と、前記画像表示装置に画像を提供する画像提供装置と、を含む画像表示システムにおける画像表示方法であって、
前記画像提供装置が、前記位置情報取得装置で取得された前記船舶の位置情報と、前記潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報と、に基づいて、前記船舶の位置の海面下の深度を求め、前記位置情報と、前記海面下の深度と、前記電子海図の示す海底地形画像データと、に基づいて、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、前記画像表示装置に提供するステップと、
前記画像表示装置が、前記画像提供装置より提供された海底形状の仮想空間画像を前記画像表示装置からの風景に重畳して表示するステップと、
を含む画像表示方法。
【請求項9】
コンピュータに、
船舶の位置情報と、潮位表と、電子海図の示す水深に関する情報と、に基づいて、前記船舶の位置の海面下の深度を求める計測ステップと、
前記位置情報と、前記計測ステップで算出した海面下の深度と、前記電子海図の示す海底地形画像データと、に基づいて、前記船舶の位置の前記深度の海面下の海底形状の仮想空間画像を作成し、画像表示装置に提供するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−225208(P2011−225208A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55410(P2011−55410)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000191076)新日鉄ソリューションズ株式会社 (136)
【Fターム(参考)】