説明

画像表示装置、認証方法およびプログラム

【課題】パスワード入力方式に比べて利用者の負荷を軽減し、パスワード漏洩の危険性を抑制した画像表示装置を提供する。
【解決手段】外部からの入力画像を表示する画像処理部100と、入力画像を表示するか否かの判定基準となる認証画像、および入力画像において認証画像か否かを判定する範囲を示す枠の位置情報が格納された記憶部22と、入力画像を認識し、認証要求の指示が入力されると、入力画像における位置情報による枠内の画像が認証画像と一致するか否かを判定し、これらの画像が一致すれば、入力画像を画像処理部に表示させる制御部10とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタおよびディスプレイ装置を含む画像表示装置、認証方法、および、画像表示装置の制御部に実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタは、高輝度化、小型化が進み、学校や会社だけでなく、家庭などでも使用されることが多くなっている。しかし、小型化が進むことで、盗難される危険が増している。
【0003】
盗難後の転売を防止するために、各メーカーのプロジェクタには特定のユーザしか使用できないよう、セキュリティロック機能を搭載する機種が増えている(特許文献1参照)。
【0004】
特定のユーザのみ使用できるようなセキュリティロック機能を持つプロジェクタにおいては、パスワード入力方式が多く使用されている。パスワード入力方式を簡単に説明する。予めプロジェクタにパスワードを登録し、プロジェクタを起動するとき、登録したものと同じパスワードをプロジェクタに入力すれば、プロジェクタはセキュリティロックを解除し、入力される映像を投写する。入力したパスワードが登録したものと異なっていると、入力される映像を投写せず、全体が青色のブルースクリーン画面など、入力映像と無関係な画像を投写する。このように、正しいパスワードを入力しなければ、プロジェクタを使用することができない。
【0005】
従来のパスワード入力方式のパスワード登録方法を説明する。図10はパスワード登録方法を説明するための図である。
【0006】
図10(a)に示すように、投写像801にパスワード入力用ウィンドウを表示する。ユーザは、リモコンもしくはプロジェクタ本体のコントロールボタンを操作して、図10(b)の投写像802に示すように、ウィンドウにパスワードを入力する。次に、プロジェクタは、図10(b)で入力したパスワードで間違いないかを確認するために、図10(c)の投写像803に示すように、再度同じパスワードの入力を要求する。次に、入力したパスワードを登録してセキュリティロック機能を有効にしてよいか確認する投写像804を表示する(図10(d))。ユーザが「Yes」ボタンを選択して決定すると、プロジェクタはセキュリティロック機能を有効にする。
【0007】
次に、従来のパスワード入力方式のセキュリティロックの動作について説明する。図11はセキュリティロックの動作を説明するための図である。
【0008】
ユーザがプロジェクタを起動すると、プロジェクタは、図11(a)の左側のPC画面901をまだ表示せず、図11(a)の右側に示すように、パスワードの入力を要求する旨を投写像902に表示する。ユーザがリモコンもしくはプロジェクタ本体のコントロールボタンを操作してパスワードを入力すると、図11(b)の投写像903に示すように、プロジェクタは入力文字を全て「*」で表示する。ユーザが入力したパスワードが間違っていると、図11(c)の投写画面904に示すように、パスワードが間違っていることを知らせるメッセージを表示する。このとき、プロジェクタはPC画面901を投写しない。
【0009】
次に、従来のパスワード入力方式のセキュリティロック解除について説明する。図12はセキュリティロックの解除方法を説明するための図である。
【0010】
ユーザがプロジェクタを起動すると、プロジェクタは図12(a)の左側のPC画面1901をまだ表示せず、図12(a)の右側に示すように、パスワードの入力を要求する旨の投写像902を表示する。ユーザがリモコンもしくはプロジェクタ本体のコントロールボタンを操作してパスワードを入力すると、図12(b)の投写像903に示すように、プロジェクタは入力文字を全て「*」で表示する。ユーザが入力したパスワードが事前に登録したパスワードと一致していると、図12(c)に示すように、プロジェクタは図12(a)に示したPC画面901を投写像1004として表示する。
【特許文献1】特開2006−285072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のセキュリティロック機能はパスワード入力方式が多く使用されているが、パスワード入力方式では、プロジェクタの使用が許可されている人に対してパスワードを予め通知し、各人にパスワードを覚えてもらう必要がある。パスワードは、通常、簡単には予測できないものが望ましく、覚えにくいものになる傾向がある。そのため、プロジェクタの使用が許可された者であっても、プロジェクタを使うとときにパスワードを思い出せず、プロジェクタを使えないことが起きるという問題があった。
【0012】
また、セキュリティロックを解除するためにパスワードを入力する際には、パスワード入力画面をスクリーンに投写しなければならない。多くの人を前にして大型スクリーンにパスワード入力画面が投写されると、パスワードの文字そのものは投写像に表示されないが、多くの人にパスワード入力操作を見られてしまう。プロジェクタの操作部の数字ボタンの配置と入力操作とから、その場にいる人にパスワードがわかってしまうおそれがある。そのため、パスワードが漏洩する危険性があるという問題があった。これは、プロジェクタの場合に限らず、パスワードの入力操作を必要とするものに共通の問題である。
【0013】
本発明は上述したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、パスワード入力方式に比べて利用者の負荷を軽減し、パスワード漏洩の危険性を抑制した画像表示装置、認証方法、および、画像表示装置の制御部に実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明の画像表示装置は、
外部からの入力画像を表示する画像処理部と、
前記入力画像を表示するか否かの判定基準となる認証画像、および前記入力画像において前記認証画像か否かを判定する範囲を示す枠の位置情報が格納された記憶部と、
前記入力画像を認識し、認証要求の指示が入力されると、前記入力画像における前記位置情報による枠内の画像が前記認証画像と一致するか否かを判定し、これらの画像が一致すれば、前記入力画像を前記画像処理部に表示させる制御部と、
を有する構成である。
【0015】
本発明では、認証のための情報をパスワードとして使用者が覚えておくのではなく、画像情報としてプロジェクタ本体に登録している。そして、入力画像の所定の位置に認証画像に一致する画像があるか否かを調べることで、正規の利用であるか否かが判定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、認証のためのパスワードを使用者が覚える代わりに認証のための画像情報を登録しているので、使用者がパスワードを覚えている必要がない。また、パスワードの入力操作が必要ないため、パスワード漏洩の危険性が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の画像表示装置は、認証のための特定の画像が予め登録され、使用開始時に入力される画像にその特定の画像が含まれているか否かを判定することで、使用者を認証することを特徴とする。以下、画像表示装置がプロジェクタの場合で本発明の実施形態を説明する。
【0018】
本実施形態のプロジェクタの構成を説明する。
【0019】
図1は本実施形態のプロジェクタの一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、プロジェクタ1は、投写レンズ11と、フォーカス調整部12と、画像処理部100と、制御部10と、操作部15とを有する。プロジェクタ1に画像を入力する機器としては、パーソナルコンピュータ(以下、PCと表記する)、テレビおよびDVDプレーヤなどの情報処理装置が挙げられるが、本実施形態では、PC(不図示)がプロジェクタ1に接続され、PCの表示部に表示される画像データが画像処理部100に入力される場合とする。
【0020】
なお、図に示していないが、プロジェクタ1には、光源と、光源からの光束を部分的に反射または透過する、液晶デバイスに代表される表示デバイスと、画像処理部100からの画像データに基づいて表示デバイスを駆動する駆動部など、プロジェクタとしての機能を実現するための構成が設けられている。これらの構成は、従来と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0021】
投写レンズ11は、ライトバルブによって形成された画像をスクリーン2に投写するための複数のレンズを有している。少なくとも一部のレンズが光軸に沿って前後に移動することで、スクリーン2上における焦点位置を調整することが可能である。焦点位置の調整が可能な機構としては、投写レンズ11全体を移動する機構や、投写レンズ11の一部のレンズを移動する機構など様々な機構を適用することが可能であるが、ここでは、広く一般的に用いられている、投写レンズのフォーカスレンズの位置が移動可能な機構を用いる。
【0022】
フォーカス調整部12は、投写レンズ11におけるレンズの移動を行うためのレンズモータを有し、制御部10からの制御信号に応じてレンズモータを駆動する。
【0023】
操作部15は、プロジェクタ1を動作させるための複数のコントロールボタンやスイッチなどが設けられている。赤外線通信によりユーザの指示をプロジェクタ本体に送信するためのリモートコントローラも含まれる。
【0024】
画像処理部100は、外部のPCから入力される映像信号に対して画像処理(A/D変換、同期信号分離、ならびに、フレームメモリに対する画像データの書き込みおよび読み出しなど)を行う。以下に、画像処理部100の構成を詳しく説明する。
【0025】
図2は画像処理部および制御部の一構成例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、画像処理部100は、アナログRGB信号をデジタル信号に変換するADコンバータ(ADC)101と、DVIデジタル信号(TMDS信号)をデジタルRGB信号に変換するDVIレシーバ102と、アナログRGB信号とDVIデジタル信号のどちらの信号による画像を表示するかを選択するセレクタ103と、セレクタ103で選択されたデジタルRGB信号を液晶パネル(LCD Panel)106に表示するために解像度変換を行うスケーリング部104と、スケーリング部104から出力されたRGB信号により画像を液晶パネル106に表示させるためのレベル変換等を行う液晶ドライバ(LCD Driver)105とを有する。
【0027】
スケーリング部104には、VRAM(Video Random Access Memory)104aが設けられている。スケーリング部104は、セレクタ103から受け取る画像データを液晶パネル106が表示可能な画像サイズに解像度変換してVRAM104aに書き込む。
【0028】
セレクタ103は、アナログRGB信号とDVIデジタル信号のそれぞれのデジタルRGB信号うち、外部からの選択指示にしたがっていずれか一方の信号を選択してスケーリング部104に送出する。アナログRGB信号とDVIデジタル信号のそれぞれのデジタルRGB信号うち、いずれか一方しか入力されていなければ、入力されるデジタルRGB信号をスケーリング部104に送出してもよい。
【0029】
スケーリング部104および液晶ドライバ105はローカルBUS110と接続されている。また、ローカルBUS110には、制御部10が接続されている。
【0030】
ここで、制御部10の構成を説明する。本実施形態では、本発明に関連する画像処理のための構成を中心に説明する。図2に示すように、制御部10は、スケーリング部104および液晶ドライバ105等の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)107と、記憶部22とを有する。記憶部22には、CPU107が実行するためのプログラムが格納されたROM108と、セキュリティロックを解除するための認証画像が保存される認証画像用ROM109とが設けられている。CPU107は、ROM108および認証画像用ROM109とローカルBUS110を介して接続される。
【0031】
認証画像用ROM109には、認証画像の画像データとともに、認証画像の範囲を特定するための認証画像設定枠のPC画面上の位置座標を示す位置情報と、認証画像設定枠内の大きさを示すサイズ情報が登録される。
【0032】
認証画像設定枠が四角形である場合、位置情報は、四角形の4つの頂点のうちいずれか1つ、または、2つの対角線の交点の座標情報である。この場合、サイズ情報は、四角形の各辺の長さの情報である。四角形が正方形であれば、サイズ情報は1つの辺の長さの情報でよく、四角形が長方形であれば、サイズ情報は、対向する2つの辺の組のうち、各組の辺の長さの情報であればよい。また、画像設定枠は四角形に限らず、他の多角形であってもよい。
【0033】
位置情報が認証画像設定枠の全ての頂点の座標を示すものであれば、サイズ情報を登録しなくてもよい。この場合、それらの頂点を結ぶ線が認証画像設定枠に相当する。さらに、認証画像設定枠の頂点および辺の座標を位置情報としてもよく、この場合もサイズ情報を登録する必要はない。以下では、位置情報とサイズ情報の両方を認証の際に利用する場合で説明する。
【0034】
次に、図2を参照して、プロジェクタ1がPCから入力される画像を投写する際、入力される画像データを液晶パネルまで導くまでの流れを簡単に説明する。
【0035】
まず、外部からアナログRGB信号が入力される場合、ADコンバータ101にてデジタルRGB信号に変換されてセレクタ103に入力される。DVIデジタル信号が入力される場合、DVIレシーバ102でデジタルRGB信号に変換されて、セレクタ103に入力される。アナログRGB信号およびDVIデジタル信号のそれぞれのデジタルRGB信号のうちいずれかがセレクタ103で選択され、選択されたデジタルRGB信号がスケーリング部104に入力される。
【0036】
スケーリング部104は、セレクタ103から受信するデジタルRGB信号を液晶パネルサイズに合わせてスケーリングを行い、スケーリングしたデジタルRGB信号をVRAM104aに書き込む。そして、VRAM104aに格納したデジタルRGB信号を液晶ドライバ105に送出する。デジタルRGB信号は、液晶ドライバ105でレベル変換され、液晶駆動信号が付加され、液晶パネル106に入力される。
【0037】
本実施形態では、CPU107は、PC画面がスクリーン2に表示されている間に、認証画像登録の指示が入力されると、認証画像設定枠をVRAM104aに書き込み、決定した旨の信号が入力されると、枠内の画像を登録してよいか否かを確認する旨のメッセージをVRAM104aに書き込む。続いて、確認した旨の信号が入力されると、認証画像設定枠で特定される認証画像、位置情報およびサイズ情報を認証画像用ROM109に格納する。
【0038】
また、CPU107は、認証要求の指示が入力されると、入力される画像における、認証画像用ROM109に登録された位置情報およびサイズ情報で特定される範囲の画像と、認証画像用ROM109に登録された認証画像とが一致するか否かを判定する。これらの画像が一致しない場合、スケーリング部104に対して、VRAM104aに格納された信号を液晶ドライバ105に送出させない。一方、これらの画像が一致する場合、スケーリング部104に対して、VRAM104aの画像データを液晶ドライバ105に送出させる。
【0039】
このようにして、セキュリティロックが動作する場合には、PC画面の画像は液晶パネル106に到達することができず、PC画面はスクリーン2に投写されない。一方、セキュリティロックが解除された場合には、PC画面の画像が液晶パネル106まで導かれ、PC画面がスクリーン2に投写されることになる。CPU107が実行する上述の処理内容が、ROM108に格納されるプログラムに予め記述されている。
【0040】
次に、本実施形態のプロジェクタ1に特定の画像パターンを記憶させてセキュリティロックを行う、画像認識方式のセキュリティロック方法を説明する。
【0041】
はじめに、認証画像の登録方法を説明する。図3は認証画像の登録方法を示すフローチャートであり、図4は認証画像の登録方法を説明するための図である。図4(a)の左側にはPC画面401を示し、図4(a)の右側にはプロジェクタ1による投写像402を示す。図4(b)、(c)はプロジェクタによる投写像を示す。
【0042】
ユーザがPCをプロジェクタ1に接続し、操作部15を操作してPC画面401をプロジェクタ1に投写させる。図4(a)のPC画面401と投写像402には、登録対象となる認証画像405が表示されている。続いて、ユーザが操作部15を操作して認証画像の登録を要求する旨を入力すると、プロジェクタ1は認証画像登録状態に遷移し、図4(a)に示す認証画像設定枠406を投写する(ステップ301)。
【0043】
図4(b)の投写像403に示すように、ユーザは操作部15を操作して、認証画像405を囲む位置に認証画像設定枠406を移動させた後、画像を決定する旨の指示を入力する。ステップ302で画像が決定されると、プロジェクタ1は、決定された画像を認証画像として登録してセキュリティロック機能を有効にしてよいかを確認するために、図4(c)に示すように、画像登録を確認するための投写像404を表示する。ステップ303でユーザが操作部15を操作して投写像404の「Yes」ボタンを選択すると、プロジェクタ1は認証画像設定枠406内の認証画像405を登録し(ステップ304)、セキュリティロック機能を有効にする。
【0044】
このとき、VRAM104a内の画像データに基づいて、認証画像設定枠内の認証画像405ならびに認証画像設定枠406の位置情報およびサイズ情報が認証画像用ROM109に格納される。
【0045】
次に、セキュリティロックの動作について説明する。図5はセキュリティロックの動作手順を示すフローチャートであり、図6および図7はセキュリティロックの動作を説明するための図である。
【0046】
図6(a)の左側はPC画面601を示し、図6(a)の右側は登録された認証画像405を示す。ユーザがPCをプロジェクタ1に接続し、操作部15を操作してプロジェクタ1を起動させると、プロジェクタ1は、図6(a)に示したPC画面601の画像をVRAM104aに書き込む。このとき、プロジェクタ1は、図7(a)に示すように、PC画面601をVRAM画像603として取り込んでいても、セキュリティロック機能によりVRAM画像603を投写せず、ブルースクリーン画面の投写像605を表示する。
【0047】
ユーザが操作部15を操作して認証を要求する旨を入力すると、プロジェクタ1は、認証画像用ROM109に格納された認証画像405と、認証画像用ROM109に格納された認証画像設定枠の位置情報およびサイズ情報を読み出す。そして、図7(b)に示すように、読み出した位置情報およびサイズ情報による枠608をVRAM画像604に当てはめ(ステップ501)、その枠内の画像と認証画像405が一致するか否かを判定する(ステップ502)。なお、判定の間も、プロジェクタ1の投写像606はブルースクリーン画面のままである。
【0048】
プロジェクタ1が認証画像用ROM109に格納された認証画像405とVRAM画像604の枠608の画像とが一致しないと判断すると、ステップ501に戻って、認証要求の指示待ちの状態になる。そして、図7(c)に示すように、プロジェクタ1は、PC画面601を投写せず、ブルースクリーン画面を投写像607として表示する。
【0049】
次に、セキュリティロックを解除する場合の動作について、図5に示したフローチャートを参照して説明する。図8および図9はセキュリティロックの解除方法を説明するための図である。なお、図6(b)に示した認証画像405がプロジェクタ1に予め登録されているものとする。
【0050】
ユーザがPCをプロジェクタ1に接続すると、図8に示すPC画面601の画像データがプロジェクタ1に入力される。続いて、ユーザが操作部15を操作してプロジェクタ1を起動させると、プロジェクタ1は、図8に示したPC画面701の画像をVRAM104aに書き込む。このとき、プロジェクタ1は、図9(a)に示すように、PC画面701をVRAM画像703として取り込んでいても、セキュリティロック機能によりVRAM画像703を投写せず、ブルースクリーン画面の投写像705を表示する。
【0051】
ユーザが操作部15を操作して認証を要求する旨を入力すると、プロジェクタ1は、認証画像用ROM109に格納された認証画像405と、認証画像用ROM109に格納された認証画像設定枠の位置情報およびサイズ情報を読み出す。そして、図9(b)に示すように、読み出した位置情報およびサイズ情報による枠608をVRAM画像704に当てはめ(ステップ501)、その枠内の画像と認証画像405が一致するか否かを判定する(ステップ502)。なお、判定の間も、プロジェクタ1の投写像706はブルースクリーン画面のままである。
【0052】
ここでは、VRAM画像704の枠608の画像と認証画像405が同一であるため、プロジェクタ1は、認証画像用ROM109に格納された認証画像405とVRAM画像704の枠608の画像とが一致すると判断する。そして、図8に示したPC画面701を投写像707として表示する。
【0053】
本発明では、認証のためのパスワードを使用者が覚える代わりに特定の画像を認証画像として予め登録し、使用開始時に、入力される画像の所定の位置に認証画像があるか否かを判定して、表示してよいかどうかを決定する。そのため、使用者は、プロジェクタに接続する情報処理装置に格納された画像から認証画像を選択して登録しておけば、パスワードを覚えておく必要がない。
【0054】
また、セキュリティロック解除の判断を、入力される画像の所定の位置に認証画像に一致する画像があるかないかの判定で行っているため、パスワードを入力する必要がない。プロジェクタを使用するときにパスワード入力画面をスクリーンに表示する必要がなく、パスワード入力方式に比べてセキュリティロック解除方法が漏洩する危険性がない。画像表示装置がプロジェクタでない場合でも、パスワードの入力操作を行わないため、パスワード漏洩の危険性が抑制される。
【0055】
また、PCのデスクトップ画面の背景に用いられる画像である“壁紙”の中の一部の画像を認証画像に設定すれば、PCを起動させるだけで、認証画像を毎回、同じ位置に表示させることが可能となる。プロジェクタの使用者は、自分のPCに認証画像を含む壁紙を設定すれば、自分のPCの画面をプロジェクタに投写させることができる。また、認証画像を変更する際、使用が許可されている人全員のPCに予め登録されている壁紙の画像に変更する場合、これらの人に対して、どの壁紙に変えたかを通知するだけでよい。この場合、パスワード入力方式で新たなパスワードを覚える場合よりも、使用者の負担が軽減する。新たに認証画像が設定される壁紙がPCに予め登録されていなければ、認証画像を変更する人がその壁紙の画像データをコピーした記録媒体を対象者に配布するか、電子メールに添付してそれぞれのPC宛に送ればよい。この方法であっても、使用者がパスワードを覚える必要がないことに変わりない。
【0056】
上記壁紙を認証画像の登録に利用する場合、プロジェクタの使用が許可されていない人が自分のPCをプロジェクタに接続してプロジェクタを使おうとしても、認証画像を含む壁紙と同じ壁紙を自分のPCに設定していない限り、登録された位置には認証画像がないため、プロジェクタを使用することができない。
【0057】
本発明の利用が考えられる分野として、小型の据え置き型プロジェクタやモバイル向けプロジェクタが挙げられる。また、画像表示装置として、入力画像を投写するプロジェクタに限らず、入力画像を表示する薄型軽量の液晶モニタおよびプラズマディスプレイにも応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態のプロジェクタの一構成例を示すブロック図である。
【図2】画像処理部および制御部の一構成例を示すブロック図である。
【図3】認証画像の登録方法を示すフローチャートである。
【図4】認証画像の登録方法を説明するための図である。
【図5】セキュリティロックの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】入力されるPC画面および認証画像の一例を示す図である。
【図7】セキュリティロックの動作を説明するための図である。
【図8】入力されるPC画面の一例を示す図である。
【図9】セキュリティロックの解除方法を説明するための図である。
【図10】従来のパスワード入力方式におけるパスワード登録方法を説明するための図である。
【図11】従来のパスワード入力方式におけるセキュリティロックの動作を説明するための図である。
【図12】従来のパスワード入力方式におけるセキュリティロックの解除方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1 プロジェクタ
10 制御部
22 記憶部
100 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの入力画像を表示する画像処理部と、
前記入力画像を表示するか否かの判定基準となる認証画像、および前記入力画像において前記認証画像か否かを判定する範囲を示す枠の位置情報が格納された記憶部と、
前記入力画像を認識し、認証要求の指示が入力されると、前記入力画像における前記位置情報による枠内の画像が前記認証画像と一致するか否かを判定し、これらの画像が一致すれば、前記入力画像を前記画像処理部に表示させる制御部と、
を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記入力画像がコンピュータの表示部に表示される画像であり、
前記認証画像が前記コンピュータのデスクトップ画面の背景に用いられる画像の一部である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
記憶部、画像処理部および制御部を備えた画像表示装置による認証方法であって、
外部からの入力画像を表示するか否かの判定基準となる認証画像、および前記入力画像において前記認証画像か否かを判定する範囲を示す枠の位置情報を前記記憶部に格納し、
前記入力画像を認識し、認証要求の指示が入力されると、前記入力画像における前記位置情報による枠内の画像が前記認証画像と一致するか否かを判定し、これらの画像が一致すれば、前記入力画像を前記画像処理部に表示させる、認証方法。
【請求項4】
前記入力画像がコンピュータの表示部に表示される画像であり、
前記認証画像が前記コンピュータのデスクトップ画面の背景に用いられる画像の一部である請求項3記載の認証方法。
【請求項5】
記憶部、画像処理部および制御部を備えた画像表示装置の制御部に実行させるためのプログラムであって、
外部からの入力画像を表示するか否かの判定基準となる認証画像、および前記入力画像において前記認証画像か否かを判定する範囲を示す枠の位置情報を前記記憶部に格納し、
前記入力画像を認識し、認証要求の指示が入力されると、前記入力画像における前記位置情報による枠内の画像が前記認証画像と一致するか否かを判定し、これらの画像が一致すれば、前記入力画像を前記画像処理部に表示させる処理を前記制御部に実行させるためのプログラム。
【請求項6】
前記入力画像がコンピュータの表示部に表示される画像であり、
前記認証画像が前記コンピュータのデスクトップ画面の背景に用いられる画像の一部である請求項5記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−217324(P2008−217324A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52751(P2007−52751)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(300016765)NECディスプレイソリューションズ株式会社 (289)
【Fターム(参考)】