説明

画像表示装置および印刷装置

【課題】印刷対象とする画像の閲覧や選択などの作業において、ユーザの利便性を向上する画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置は、複数の画像ファイルを入力し、各画像について印刷対象として相応しい推奨画像であるか否かを判別する。推奨画像と判定された画像には印刷対象の識別子を設定する。こうして複数の画像ファイルの中から自動的に印刷対象を設定し、印刷対象であることが分かるように画像表示を行なう。画像表示装置は、印刷対象の画像を確認できる複数種類の表示態様を備えており、画像表示の際に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示可能な表示部を有する画像表示装置および画像表示装置を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータを介さず、直接画像データを印刷できる印刷装置がある。かかる印刷装置は画像を表示する液晶ディスプレイを備えており、メモリカードやデジタルスチルカメラから入力した画像を、液晶ディスプレイで閲覧することができる。
【0003】
こうした印刷装置の有する液晶ディスプレイは小型のものが多く、表示された画像からは手ブレやピントのボヤケなどの有無を判断することが難しい。こうした問題に対し、例えば、下記特許文献1では、画像の手ブレやピントのボヤケの有無を判断する画像印刷装置が提案され、印刷対象とする画像の選択を容易とする技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−187329号公報
【0005】
しかしながら、こうした画像の手ブレなどを判断する技術は、ユーザが印刷対象を選択する際の情報としては有効であるが、ある画像を実際に印刷対象とするか否かは、画像を一枚一枚見て、ユーザが手作業により設定する必要があり、煩雑な作業であった。
【0006】
さらには、近年の記録媒体の大容量化により、メモリカード等に記録できる画像枚数は増大しており、こうしたメモリカード内の画像を一度に取り扱う機会も増えつつある。かかる大量の画像を一枚一枚確認して印刷対象を選択、設定するのは、時間がかかる作業であり、改善が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、印刷対象とする画像の閲覧や選択などの作業において、ユーザの利便性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の画像表示装置を次のように構成した。すなわち、
画像を表示可能な表示部を有する画像表示装置であって、
複数の画像データを入力する入力手段と、
前記入力した画像データ毎に、写真画像として予め規定された条件で撮影された画像からの逸脱の程度を評価し、当該評価に基づいて、当該画像が印刷対象として相応しい推奨画像であるか否かを判別する推奨画像判別手段と、
前記判別の結果により推奨画像とされた画像を印刷対象に指定し、当該画像に対して印刷対象であることを示す識別子を設定する印刷設定手段と、
前記印刷対象に指定された画像を確認するための確認モードであって、少なくとも、前記識別子の有無に基づき前記表示部へ画像を表示して確認する確認モードを含む複数種類の確認モードを備え、当該確認モードに応じた所定の態様で、前記表示部における画像表示を行なう画像確認表示手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、本発明の画像表示方法は、
画像を表示可能な表示部を有する画像表示装置の画像表示方法であって、
複数の画像データを入力し、
前記入力した画像データ毎に、写真画像として予め規定された条件で撮影された画像からの逸脱の程度を評価し、当該評価に基づいて、当該画像が印刷対象として相応しい推奨画像であるか否かを判別し、
前記判別の結果により推奨画像とされた画像を印刷対象に指定し、当該画像に対して印刷対象であることを示す識別子を設定し、
前記印刷対象に指定された画像を確認するための確認モードであって、少なくとも、前記識別子の有無に基づき前記表示部へ画像を表示して確認する確認モードを含む複数種類の確認モードを備え、当該確認モードに応じた所定の態様で、前記表示部における画像表示を行なう
ことを要旨としている。
【0010】
本発明の画像表示装置および画像表示方法によれば、複数の画像の中から自動的に印刷対象としての画像を推奨して識別子を設定すると共に、複数種類の確認モードを利用して画像表示を行なう。確認モードには、識別子の有無に基づき画像を表示するモードを含む複数種類が存在する。つまり、複数種類の確認モードを利用して画像表示を行なうことで、ユーザは印刷対象として設定された画像を容易に確認することができる。したがって、ユーザの使用目的に応じたインタフェースを提供することができ、ユーザの印刷作業にかかる負荷を低減することができる。その結果、ユーザの利便性を向上することができる。
【0011】
上記の構成を有する画像表示装置の画像確認表示手段は、前記複数種類の確認モードの一つとして、前記識別子を有する画像のみを前記表示部に表示するモードを備えるものとしても良い。
【0012】
かかる画像表示装置によれば、識別子を有し印刷対象とされた画像の表示部上での確認作業を迅速に行なうことができる。つまり、一枚一枚画像を表示して、印刷対象とされた画像であるか否かの確認作業を行なう必要がない。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0013】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記入力する複数の画像データは、撮影日時の時系列順に並んでおり、前記画像確認表示手段は、前記時系列順で、前記識別子を有する一の画像から該識別子を有する次の画像までの間に、所定画像が存在する場合には、当該所定画像を飛ばして表示している旨を、該識別子を有する画像と共に表示する態様で、画像表示を行なうものとしても良い。こうすることで、印刷対象とされなかった画像の存在を容易に認識することができる。
【0014】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記複数の画像データは、所定の基準に従った順序で整列されており、前記画像確認表示手段は、前記整列順序における順方向と逆方向のいずれか一方向へ順次画像を表示する際には、前記識別子を有する画像のみの画像表示を行ない、他方向へ順次画像を表示する際には、該識別子とは無関係に該整列順序に従って全画像の画像表示を行なうものとしても良い。
【0015】
かかる画像表示装置によれば、画像を順次表示する方向が、順方向か逆方向かにより、表示態様を切り換える。こうすることで、印刷対象のみの画像を迅速に確認することもできるし、印刷対象とされなかった画像の確認も行なうことができる。その結果、ユーザの使用目的に応じたインタフェースを提供することができる。
【0016】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記画像確認表示手段は、少なくとも2以上の操作ボタンを有し、当該一の操作ボタンの操作に前記識別子を有する画像のみを表示する第1の表示態様を割り当て、当該他の操作ボタンの操作に該識別子とは無関係な全画像を表示する第2の表示態様を割り当てるものとしても良い。こうした簡単なボタン操作により、印刷対象とされた画像および印刷対象とされなかった画像の確認を行なうことができる。
【0017】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記画像確認表示手段は、一の操作ボタンを有し、当該操作ボタンを長押しする操作に前記識別子を有する画像のみを表示する第1の表示態様を割り当て、当該操作ボタンを押下する通常の操作に該識別子とは無関係な全画像を表示する第2の表示態様を割り当てるものとしても良い。こうした一つの操作ボタンの操作の仕方によって、異なる画像表示を行なうことができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0018】
上記の構成を有する画像表示装置の画像確認表示手段は、前記複数種類の確認モードから一の確認モードを選択する手段を備えるものとしても良い。複数種類の確認モードを選択肢として与え、一の確認モードを選択する構成とすることで、確認モードの設定が容易となり、ユーザの利便性を向上することができる。
【0019】
上記の構成を有する画像表示装置の画像確認表示手段は、前記複数種類の確認モードの一つとして、前記識別子の無い画像のみを前記表示部に表示するモードを備えるものとしても良い。こうすることで、印刷対象とされなかった画像の内容を容易に認識することができる。また、印刷対象とされなかった画像の中から、印刷を所望する画像を見つけることができる。
【0020】
上記の構成を有する画像表示装置の表示部は、2以上の所定枚数の画像を同時に表示可能であり、前記画像確認表示手段は、前記所定枚数の画像ごとに表示画面を切り換えて、前記複数の画像の表示を行なうものとしても良い。
【0021】
かかる画像表示装置によれば、所定枚数毎に一の表示画面に表示を行なう。したがって、一枚ずつ画像を表示する場合に比べて、印刷対象の画像の確認を含めた全画像の確認作業を迅速に行なうことができる。
【0022】
上記の構成を有する画像表示装置の画像確認表示手段は、前記表示画面上に表示された所定枚数の画像において、印刷に関する設定を行なうために一の画像を特定するカーソルを表示し、前記一の表示画面から次の表示画面に切り換わった時に、当該次の表示画面に表示されている画像の中の前記識別子を有する画像にカーソルを移動するものとしても良い。例えば、印刷対象として設定された画像の変更が無い場合には、カーソルが移動しているため、直ぐに印刷枚数の指定などの作業に取り掛かることができる。
【0023】
上記の構成を有する画像表示装置の画像確認表示手段は、前記次の表示画面に表示されている画像の中に前記識別子を有する画像が存在しない場合には、予め設定した所定位置にカーソルを移動するものとしても良い。こうすることで、その表示画面内に、印刷対象となる画像が存在しないことを容易に認識することができる。
【0024】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記画像確認表示手段は、前記次の表示画面として表示すべき所定枚数の画像の中に、前記識別子を有する画像が存在しない場合には、当該所定枚数の画像を表示することなく、該識別子を有する画像が存在する表示画面を当該次の表示画像として表示するものとしても良い。
【0025】
かかる画像表示装置によれば、一の表示画面に表示される所定枚数の画像の内、印刷対象となる画像が全くない表示画面をスキップする。したがって、印刷対象となる画像を中心としてそれ以外の画像の確認も行なうことができ、確認作業を迅速に行なうことができる。
【0026】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記推奨画像判別手段は、前記入力した画像データ間の類似の程度を評価し、当該評価に基づいて前記複数の画像データをグループ化し、当該グループ毎に前記推奨画像の判別を行なう手段であり、前記画像確認表示手段は、前記グループ化された一の類似グループに属する画像群を、一の表示画面上に表示するものとしても良い。こうすることで、グループ内に属する類似画像の確認を容易なものとすることができる。
【0027】
上記の構成を有する画像表示装置の画像確認表示手段は、前記類似グループに属する画像の枚数に応じて画像の表示サイズを変更し、該類似グループに属する画像群を一の表示画面上に表示するものとしても良い。こうすることで、類似画像の確認が容易となる。
【0028】
上記の構成を有する画像表示装置において、前記推奨画像判別手段は、前記入力した画像データ間の類似の程度を評価し、当該評価に基づいて前記複数の画像データをグループ化し、当該グループ毎に前記推奨画像の判別を行なう手段であり、前記画像確認表示手段は、前記所定枚数の画像ごとに表示画面に表示する場合であって、前記グループ化された一の類似グループに属する画像群が、一の表示画面と次の表示画面とにまたがって表示されるときには、当該一の類似グループに属する画像群を該次の表示画面にまとめて表示し、該一の表示画面には該所定枚数よりも少ない枚数の画像を表示するものとしても良い。
【0029】
かかる画像表示装置によれば、類似グループに属する画像群が、一の表示画面と次の表示画面とにまたがって表示されることはない。したがって、類似画像の確認を容易なものとすることができる。
【0030】
本発明の印刷装置は、上記のいずれかに記載の画像表示装置を備え、前記表示部における画像表示で確認した前記識別子を有する画像の印刷を実行するものとすることができる。
【0031】
本発明の印刷装置によれば、複数の画像の中から自動的に印刷対象としての画像を推奨して識別子を設定すると共に、複数種類の確認モードを利用して画像表示を行なう。この画像表示により、ユーザは推奨画像を確認し、必要に応じて印刷対象の変更等を行ない、印刷の実行操作を行なうことができる。つまり、一枚一枚、画像を確認して印刷対象とするか否かの判断を行ない、印刷枚数等の印刷設定を行なう必要がない。したがって、ユーザの印刷作業にかかる負荷を低減することができ、利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、上述した本発明の作用・効果を一層明らかにするため、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.印刷装置の構成:
B.印刷処理:
C.推奨画像判別処理:
D.画像表示の具体的態様:
E.変形例:
【0033】
A.印刷装置の構成:
図1は、本発明の画像表示装置としての印刷装置100の外観図である。印刷装置100は、いわゆる複合機タイプの印刷装置であり、光学的に画像を読み込むスキャナ110や、画像データの記録されたメモリカードMCを挿入するためのメモリカードスロット120、デジタルスチルカメラ等の機器を接続するUSBインタフェース130等を備えている。印刷装置100は、スキャナ110によって取り込んだ画像や、メモリカードMCから読み取った画像、USBインタフェース130を介してデジタルスチルカメラから読み取った画像を印刷用紙Pに印刷することができる。また、プリンタケーブル等によって接続された図示していないパーソナルコンピュータから入力した画像の印刷も行うことができる。
【0034】
印刷装置100は、印刷に関する種々の操作を行うための操作パネル140を備えている。操作パネル140の中央部には、液晶ディスプレイ150が備えられている。この液晶ディスプレイ150には、メモリカードMCやデジタルスチルカメラなどから読み取った画像や、印刷装置100の各種機能を利用する際のメニュー画面が表示される。
【0035】
図2は、印刷装置100の内部構成を示す説明図である。図示するように、印刷装置100は、印刷用紙Pに印刷を行う機構として、インクカートリッジ212を搭載したキャリッジ210、キャリッジ210を主走査方向に駆動するキャリッジモータ220、印刷用紙Pを副走査方向に搬送する紙送りモータ230等を備えている。
【0036】
キャリッジ210は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)、ライトシアン(Lc)、ライトマゼンタ(Lm)の色を現すインク毎に計6個のインクヘッド211を備えている。キャリッジ210には、これらのインクが収容されたインクカートリッジ212が装着されており、インクカートリッジ212からインクヘッド211に供給されたインクは、図示しないピエゾ素子を駆動することで印刷用紙Pに吐出される。
【0037】
キャリッジ210は、プラテン270の軸方向と並行に設置された摺動軸280に移動自在に保持されている。キャリッジモータ220は、制御回路250からの指令に応じて駆動ベルト260を回転させることで、プラテン270の軸方向と平行に、すなわち、主走査方向にキャリッジ210を往復運動させる。
【0038】
紙送りモータ230は、プラテン270を回転させることで、プラテン270の軸方向と垂直に印刷用紙Pを搬送する。つまり、紙送りモータ230は、キャリッジ210を相対的に副走査方向に移動させることができる。
【0039】
印刷装置100は、上述したインクヘッド211やキャリッジモータ220、紙送りモータ230の動作を制御するための制御回路250を備えている。制御回路250には、図1に示したスキャナ110やメモリカードスロット120、USBインタフェース130、操作パネル140、液晶ディスプレイ150が接続されている。
【0040】
制御回路250は、CPU251とROM252とメモリ253とEEPROM254とによって構成されている。ROM252には、印刷装置100の動作を全般的に制御するための制御プログラムが記憶されている。CPU251は、かかる制御プログラムをメモリ253に展開して実行することで、液晶ディスプレイ150に対する表示制御や画像の印刷制御を行う。EEPROM254には、ユーザから設定を受けた種々のパラメータが記憶される。本実施例のCPU251は、本願の「入力手段」、「推奨画像判別手段」、「印刷設定手段」、「画像確認表示手段」に相当する。
【0041】
B.印刷処理:
図3は、CPU251が制御プログラムを実行することによって実現される印刷処理ルーチンのフローチャートである。この印刷処理は、印刷装置100側で印刷対象に適していると判断した画像を所定の態様で表示する画像表示処理を含み、表示された画像を確認したユーザの印刷指令を受けて印刷を実行する処理である。なお、以下の処理は、複数の画像ファイルを記憶したメモリカードMCが、メモリカードスロット120に挿入され、液晶ディスプレイ150上のメニュー画面から本印刷処理が選択された場合に実行される。
【0042】
処理を開始すると、CPU251は、メモリカードMC内から複数の画像ファイルを入力する(ステップS300)。本実施例で取り扱う画像ファイルは、Exif形式の画像ファイルである。Exif形式の画像ファイルは、画像データ(画像情報)と、撮影時の撮影条件などの各種パラメータ(付帯情報)とから構成されている。CPU251は、入力した画像ファイルの画像データに対して、推奨画像判別処理を実行する(ステップS310)。
【0043】
推奨画像判別処理は、画像の手ブレやピントのボヤケなど、予め規定された撮影条件での撮影画像からの逸脱の程度を評価し、逸脱の程度が大きいものを失敗画像として印刷対象から除き、残余の画像群から所定基準に基づいて印刷対象に相応しい画像を選択し、選択された画像に印刷対象であることを示す識別子を設定する処理である。つまり、自動的に推奨画像を判別して、印刷対象とする処理である。CPU251は、メモリカードMC内の全ての画像ファイルについて、推奨画像判別処理を実行し、印刷対象とする画像に識別子を設定する。こうして設定された識別子は、メモリ253に一時的に書き込まれている。なお、識別子の設定と共に、デフォルト値としてその画像の印刷枚数を1枚に設定している。この推奨画像判別処理については後述する。
【0044】
続いて、CPU251は、印刷対象としての識別子を設定された画像がユーザに分かるように画像表示を行なう(ステップS320)。具体的には、操作パネル140上の所定ボタンの操作を介して、ユーザの画像表示の指示を受け、指示された態様で画像の表示を行なう。例えば、所定のボタン操作で、識別子の設定された画像のみを順次、液晶ディスプレイ150上に表示し、また、別のボタン操作で、識別子の設定されていない画像のみを順次表示する。
【0045】
以上の処理までを画像表示処理と呼び、本実施例では、こうした印刷対象の画像を確認するための表示態様(これを確認モードと呼ぶ)を複数種類備え、ユーザニーズに合わせて推奨画像の確認作業を行なうことができる。なお、具体的な表示態様については、後に詳しく説明する。
【0046】
液晶ディスプレイ150上に表示された画像を確認したユーザは、印刷装置100側で判定された画像をそのまま印刷対象とする操作、あるいは、印刷対象を変更する操作を行なう。CPU251は、こうしたユーザ操作による印刷対象の選択、変更を受け付ける(ステップS350)。例えば、推奨画像判別処理で識別子を設定した画像に対し、ユーザが印刷対象から除外する操作を行なった場合には、その画像についての識別子の設定を解除している。また、識別子を有していない画像に対し、ユーザが印刷対象として指定する操作を行なった場合には、その画像について、新たに識別子の設定を行なっている。
【0047】
ユーザによる印刷対象の確認作業が終了し、所定ボタンの操作による印刷の実行が指示されると、CPU251は、識別子の設定された画像ファイルの画像データについて、印刷を実行する(ステップS360)。具体的には、CPU251は、メモリ253内の識別子から印刷すべき画像ファイルを判断し、その画像データについて、色変換、ハーフトーンやインタレースなどの印刷データの生成に必要な処理を実行する。そして、生成された印刷データに基づいて、インクヘッド211、キャリッジモータ220や紙送りモータ230など、各種アクチュエータを駆動して印刷を実行している。こうして識別子の設定された画像ファイルについての印刷の実行後、メモリ253内の識別子をクリアして、一連の印刷処理を終了する。
【0048】
以上、画像表示処理を含む一連の印刷処理によれば、複数の画像の中から自動的に印刷対象としての画像を推奨し、推奨画像が分かるように画像表示を行なう。この画像表示により、ユーザは推奨画像を確認し、必要に応じて印刷対象の変更等を行ない、印刷の実行操作を行なうことができる。こうした操作指示を受けて、複数の画像の中から所望する画像の印刷を行なう。つまり、一枚一枚、画像を確認して印刷対象とするか否かの判断を行ない、印刷枚数等の印刷設定を行なう必要がない。特に、液晶ディスプレイ150上で確認した推奨画像をそのまま印刷対象とすると決めた場合には、ユーザは何ら印刷設定を行なう必要がない。こうした処理により印刷を行なうことで、ユーザの印刷作業にかかる負荷を低減することができ、利便性を向上することができる。
【0049】
なお、本実施例の印刷処理では、メモリカードMC内の画像を入力対象としたが、印刷装置100とデジタルスチルカメラとを直接、接続して、デジタルスチルカメラ内の画像を入力対象とする構成であっても良い。
【0050】
C.推奨画像判別処理:
図4は、印刷処理におけるサブルーチンとしての推奨画像判別処理のフローチャートである。この処理は、図3に示した印刷処理で入力した画像ファイルについて、印刷対象として相応しい画像を推奨する処理である。
【0051】
処理を開始すると、CPU251は、入力した全画像について失敗画像であるか否かの判定を行ない、失敗画像であると判定された画像を除外する処理を行なう(ステップS400)。具体的には、画像の手ブレ、ピントのボヤケ、露出不良、ノイズなど、撮影画像に関する所定項目についての評価を行ない、評価の低い画像を失敗画像として判定している。
【0052】
例えば、手ブレについては、画像ファイル内の画像データを構成する各画像の輝度値を一次微分してエッジを抽出し、エッジの方向およびその方向へのエッジの幅を算出する。そして、その方向へのエッジの幅が所定の閾値以上であれば、手ブレがあると検出している。また、露出不良については、各画像の輝度値が一定値(例えば、240)以上、あるいは一定値(例えば、16)以下となる領域を画像データから抽出し、その領域の画像全体の面積に占める割合が所定の閾値以上(例えば、40%)であれば、その画像データの露出が不良であると検出している。なお、所定項目についての評価の際し、画像ファイル内の付帯情報を利用しても良い。付帯情報には、「撮影日時」,「ISO感度」,「シャッタースピード」,「焦点距離」など、種々のパラメータや、サムネイル画像が含まれる。こうした付帯情報として、デジタルスチルカメラ内蔵のジャイロセンサによって検出された撮影時の角速度を「手ブレ情報」として備えておき、失敗画像の判定にこれを利用するものとすれば良い。こうすることで、失敗画像の判定処理の負荷を低減することができる。
【0053】
続いて、CPU251は、失敗画像と判定された画像を除いた残余の画像のうち、類似した画像をグループ化する処理を行なう(ステップS410)。
【0054】
具体的には、残余の各画像について、画像データを構成する輝度値のヒストグラムを作成し、時系列で隣接する画像データ同士のヒストグラムを比較して、類似の判断を行なっている。メモリカードMCから入力して、失敗画像を除外した残余の各画像は、撮影日時を基準とする時系列順に並んでいる。このステップでは、隣接する画像間におけるヒストグラムの各階級の相対度数の差分を求め、全階級に亘る差分の和を類似度とし、類似度を所定閾値と比較して、類否の判断を行なっている。勿論、こうした類比の判断は、サムネイル画像を利用して行なうものとしても良い。なお、本実施例では、画像ファイルは時系列に並んでいるものとして説明を続けるが、これに限るものではない。例えば、複数の画像ファイルがファイル名を基準として並んでいる場合であっても良い。
【0055】
こうして失敗画像を除外した残余の画像をグループ化した後、CPU251は、各グループ内の画像に対して所定の評価を行なう(ステップS420)。具体的には、画像の構図、色合い、明るさ、シャープさなど、画像全体の見栄えを左右する項目について予め設定した評価値を用い、各画像について評価値に基づいて点数を付けている。
【0056】
例えば、画像の構図であれば、画像データを解析して顔認識処理を行ない、顔の位置が、画像全体の端に位置する場合には低い点数を付け、中心に近い場合には高い点数を付ける。こうした点数の合計値により、グループ内の画像に対して順位付けを行なっている。なお、グループ化の結果、グループ内に1枚しか画像がない場合、つまり、類似画像がないものについては、こうした評価は行なわない。
【0057】
続いて、CPU251は、グループ内で最も高い評価(点数)である画像と、グループ化の結果、類似画像がないと判断された画像とを、印刷対象として相応しい推奨画像であると判断し、これらの画像に印刷対象であることを示す識別子を設定する(ステップS430)。具体的には、メモリ253内に、画像ファイルと対応付けてフラグ「1」を設定している。以下、この印刷対象の識別子を、印刷対象フラグと呼ぶ。
【0058】
以上の推奨画像判別処理では、失敗画像を除いた画像を印刷対象として設定することを基本とし、その中で類似画像があるものに関しては、類似画像のグループ内で最も評価の高い画像を一枚選出し、これを印刷対象として設定している。CPU251は、こうして幾つかの画像に対して印刷対象フラグを設定し、リターンに抜け、図3の印刷処理に戻る。
【0059】
なお、ここでは、類似グループ内の画像についてのみ評価値を設定して、優劣を判断するものとしたが、入力した全画像に対して評価値を設定し、評価の高い画像を推奨画像とするものとしても良い。また、顔認識など、既存の人物認識技術を用いて、人物が写っている画像、あるいは、特定の人物が写っている画像を推奨画像としても良い。さらには、デジタルスチルカメラで画像を撮影した直後に、デジタルスチルカメラ側で画像に評価値を付けてExif形式の付帯情報に書き込み、この情報を利用するものとしても良い。
【0060】
こうした推奨画像判別処理により、大量の画像群の中から、印刷対象として相応しい画像を推奨し、自動的に印刷対象に設定することができる。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0061】
D.画像表示の具体的態様:
上述の画像表示処理(図3)で説明したように、本実施例では、印刷対象の画像を確認するための確認モードを複数種類備えている。以下、この確認モードについて、具体的に説明する。
【0062】
まず、具体的な表示態様の説明の前に、取り扱う画像について説明する。図5は、取り扱う画像について、推奨画像判別処理を実行した結果の一例を示している。図示するように、ここでは25枚の画像を取り扱う。25枚の画像は、推奨画像判別処理の結果に基づいて、印刷対象フラグ「1」が設定されているもの、手ブレ等を有する失敗画像とされたもの(ここでは「×」印で示す)、類似画像グループに設定されたものに分類されている。具体的には、画像1は失敗画像であり、画像2は印刷対象であり、画像3,画像4は類似画像グループである。なお、同じグループに設定された画像3,画像4のうち、画像3の方が評価が高いため、印刷対象に設定されているものとする。
【0063】
こうした25枚の画像において、通常の表示態様では、液晶ディスプレイ150に時系列順で画像が一枚ずつ表示される。通常の表示態様では、印刷対象フラグの有無とは無関係に、単に画像を表示する。一の表示画面から次の表示画面への変更は、以下の操作ボタンにより行なう。
【0064】
図6は、操作パネル140上の一部に設けられた各種ボタンを示す説明図である。図示するように、操作パネル140上には、印刷の実行を指示する印刷ボタンPB,印刷対象の変更の際に用いる選択/解除ボタンCB,印刷枚数を増加させる印刷枚数増加ボタンIB,印刷枚数を低減させる印刷枚数低減ボタンDB,カーソル等の移動に用いる方向ボタンCURなど、複数のボタンが備えられている。
【0065】
方向ボタンCURは、右ボタンRCU,左ボタンLCU,上ボタンUCU,下ボタンDCUの4方向のボタンから構成されており、ユーザの右ボタンRCUの操作で、時系列の順方向に画像の表示を切り換え、左ボタンLCUの操作で、時系列の逆方向に画像の表示を切り換える。
【0066】
図7は、画像表示の一態様を示す説明図である。図示するように、液晶ディスプレイ150上には、印刷対象フラグを有する画像のうち時系列順で最初の画像に当る画像2が表示されている。ここで、ユーザが右ボタンRCUを操作すると、印刷対象フラグを有する画像のうち時系列順で次の画像に当る画像3が表示される。以下、同様に、右ボタンRCUを操作すると、画像5,画像8,画像9・・と順次、印刷対象フラグを有する画像が表示される。つまり、この表示態様は、印刷対象の画像のみを表示する態様であり、印刷対象の画像までスキップして順次画像を表示する。なお、左ボタンLCUを操作すると、画像9,画像8,画像5といった具合に、前の画像の表示に戻ることができる。
【0067】
こうした印刷対象のみを表示する態様を備えることで、ユーザの使用目的に応じたインタフェースを提供することができる。例えば、印刷対象に設定された画像を簡単に確認して印刷を実行したいと考えている場合には、印刷対象のみを表示することによって、一連の印刷作業を簡素化することができる。つまり、一枚一枚、全部画像を確認する必要がない。
【0068】
図8は、画像表示の一態様を示す説明図である。図示するように、液晶ディスプレイ150上には、印刷対象フラグを有しない画像のうち時系列順で最初の画像に当る画像1が表示されている。ここで、ユーザが右ボタンRCUを操作すると、印刷対象フラグを有しない次の画像に当る画像4が表示される。以下、同様に、右ボタンRCUの操作に伴って、画像6,画像7,画像10・・と順次、印刷対象フラグを有しない画像が表示される。つまり、この表示態様は、非印刷対象の画像のみを表示する態様であり、非印刷対象の画像までスキップして順次画像を表示する。なお、左ボタンLCUを操作すると、画像10,画像7,画像6といった具合に、前の画像の表示に戻ることができる。
【0069】
こうした非印刷対象のみを表示する態様を備えることで、非印刷対象の画像の中に印刷を所望する画像がないかを確認することができる。また、通常の表示態様を使えば、印刷対象の画像も確認することができる。
【0070】
図9、図10は、画像表示の一態様を示す説明図である。図9の表示態様は、図7の変形例であり、印刷対象の画像のみを表示する態様を基本としている。
【0071】
まず、図9に示すように、液晶ディスプレイ150上には、印刷対象である画像5が表示され、右ボタンRCUの操作により、印刷対象である画像8が表示される。この表示態様は、図7と同様である。
【0072】
これに対し、図10に示すように、左ボタンLCUの操作を行なうと、印刷対象フラグの有無とは無関係に時系列に遡って、順次画像を表示する。例えば、印刷対象である画像8を表示した状態から左ボタンLCUの操作を行なうと、印刷対象ではない画像7が表示される。このまま、左ボタンLCUの操作を繰り返すと、画像6,画像5,画像4・・と時系列に遡って画像が表示される。つまり、右ボタンRCUの操作で、時系列の順方向に印刷対象の画像のみを表示し、左ボタンLCUの操作で時系列の逆方向に全画像を順次表示する。こうすることで、簡単な操作により表示態様を切り換え、画像を確認することができる。
【0073】
図11、図12は、画像表示の一態様を示す説明図である。図11の表示態様は、図9の変形例であり、印刷対象の画像のみを表示する態様を基本としている。
【0074】
図11の表示態様は、印刷対象のみを順次表示する。但し、図9とは異なり、印刷対象フラグを有する画像5の表示の際に、画像5の時系列順で後ろに、所定の画像が存在することを示す表示が行なわれる。この表示は、次に表示する画像は、所定枚数の画像をスキップして表示されることを示している。つまり、次に表示する画像は印刷対象フラグを有する画像8であるが、画像6,画像7をスキップして画像8を表示することを意味している。こうした表示態様により、印刷対象とされなかった画像の存在を容易に認識することができる。
【0075】
こうした表示態様に対して、図12の表示態様は、下ボタンDCUの操作で、順次、全画像を表示する。つまり、図10とは異なり、下ボタンDCUの操作を繰り返すことで、時系列順に、全画像を確認することができる。図9〜図12に示した表示態様では、方向ボタンCURの別々の方向に、それぞれ異なる表示態様を割り当てて構成されている。こうすることで、簡単な操作により画像の確認を行なうことができる。
【0076】
図13、図14は、画像表示の一態様を示す説明図である。この表示態様も、基本的には、図9〜図12と同様の表示態様であるが、操作方法が異なる。図13に示すように、この表示態様では、右ボタンRCUの長押し、あるいは、ダブルクリックにより、印刷対象の画像のみの表示を行なう。そして、図14に示すように、右ボタンRCUの通常の押下により、時系列順に、順次、全画像を表示することができる。この態様では、一つの操作ボタンの操作の仕方によって、異なる画像表示を行なうことができる。
【0077】
以上に説明した種々の表示態様を選択肢として表示し、ユーザが一の表示態様を選択する構成を採っても良い。
【0078】
図15は、液晶ディスプレイ150上への画像表示に関するメニュー画面の一例である。このメニュー画面は、図示しない確認モードの選択ボタンを押下すると表示される画面であり、ユーザが予め設定する項目である。図示するように、「通常表示」,「印刷対象のみ表示」,「非印刷対象のみ表示」,「類似画像毎に表示」,「9枚表示」など、複数種類の画像の確認モードが表示される。ユーザが、方向ボタンCURを操作して一の確認モードを選択すると、その設定パラメータがEEPROM254に記憶される。以後、印刷処理の実行の際には、選択された確認モードでの画像表示が行なわれる。なお、確認モードのデフォルト値としては「通常表示」が設定されている。このモードは、液晶ディスプレイ150上に画像を一枚ずつ、順次、表示する態様である。
【0079】
こうした確認モードは、印刷処理の途中であっても変更することができる。なお、本実施例では、メニュー画面の選択肢から一の確認モードを選択するが、例えば、所定ボタン操作の押下回数に応じて、順次、確認モードが切り換わるように設定するものとしても良い。
【0080】
図16は、画像表示の一態様を示す説明図である。この表示態様は、図15に示したメニュー画面から「印刷対象のみ表示」の確認モードが選択された場合の一例である。印刷対象の画像のみを表示することについては図7に示した態様と同様であるが、図16に示す態様では一度に複数(4枚)の画像を表示する。
【0081】
図示するように、液晶ディスプレイ150上には、印刷対象フラグを有する画像のうち時系列順で4枚の画像に当る画像2,画像3,画像5,画像8が表示されている。ここで、右ボタンRCUを操作すると、印刷対象フラグを有する画像のうち時系列順で次の4枚の画像に当る画像9,画像12,画像14,画像15が表示される。なお、次の表示画面に移った際には、4枚の画像のうち時系列で最初の画像である画像9にカーソルが表示される。その後、右ボタンRCUの操作に対応して、画像12,画像14,画像15へ、順次、カーソルが移動する。複数枚の画像を一度に表示することで、一枚ずつの表示に比べて、印刷対象の画像の確認を迅速に行なうことができる。なお、「非印刷対象のみ表示」の確認モードが選択された場合も、同様の操作により、4枚ずつ画像が表示される。
【0082】
こうした複数枚の画像を一度に表示する態様において、全画像を確認したい場合には、所定の確認モードを選択肢に用意し、表示態様を切り換えて使用すれば良い。例えば、図15に示したメニュー画面の「通常表示」を選択すると、さらにサブメニューとして「一枚表示」,「複数表示」などの選択肢が表示され、「複数表示」を選択することで、全画像を複数表示で確認できる態様に切り換わるものとすれば良い。
【0083】
図17は、画像表示の一態様を示す説明図である。図示するように、複数枚(4枚)の画像を表示する態様であるため、液晶ディスプレイ150上には、印刷対象フラグとは無関係に、時系列順に画像9,画像10,画像11,画像12などが表示されている。ここで、右ボタンRCUを操作すると、時系列順に画像13,画像14,画像15,画像16が表示される。
【0084】
この表示態様では、次の表示画像に移った際に表示される画像の中で、印刷対象フラグを有する画像の時系列で最初のもの(ここでは、画像14)に、カーソルが移動する。こうすることで、印刷対象の変更が無い場合には直ぐに印刷枚数の指定などの作業に取り掛かることができる。
【0085】
表示される4枚の画像の中に、印刷対象フラグを有する画像が無い場合には、所定のホームポジションとして、左上に表示される画像(例えば、画像29)にカーソルが移動する。なお、表示される4枚の画像の中に、印刷対象フラグを有する画像が無い場合には、印刷対象フラグを有する画像が存在する表示画面までスキップするものとしても良い。こうした態様により、全画像の確認作業を迅速に行なうことができる。
【0086】
図18は、画像表示の一態様を示す説明図である。この表示態様は、図15に示したメニュー画面から「類似画像毎に表示」の確認モードが選択された場合の一例である。図示するように、この表示態様では、類似画像グループに設定された画像群を、一の表示画面上で表示する。例えば、画像12が表示されている状態から、右ボタンRCUを操作すると、時系列で次の画像に当る画像13は画像14と共に類似画像グループを構成しているため、両画像をまとめて表示する。この際、画像の表示サイズは、類似画像グループ内の画像枚数に応じて変更される。こうすることで、類似画像の確認が容易となる。
【0087】
図19は、画像表示の一態様を示す説明図である。この表示態様も、「類似画像毎に表示」の確認モードが選択された場合の一例である。図示するように、この表示態様では、複数枚の画像表示として4枚ごとに画像を表示して行くが、類似画像グループを表示する際には、このグループに属する画像をまとめて表示する。例えば、4枚ごとの表示の場合、画像21〜画像24までが一の表示画面上に表示されることになるが、画像23〜画像25が一つの類似画像グループであるため、先の表示画面上には、画像21と画像22のみを表示する。そして、次の表示画面上に、画像23〜画像25を表示する。つまり、類似画像グループが存在する場合には、4枚ごとに表示する態様であっても、画像を詰めずに表示する。こうすることで、類似画像は、先に表示画面と次の表示画面とにまたがって表示されることがなく、類似画像の確認を容易なものとすることができる。
【0088】
なお、画像を詰めずにブランクが形成される場合には、次の表示画面にも、まだ表示する画像があることを示す矢印のマークを表示する。こうすることで、漏れなく画像を確認することができる。
【0089】
また、図20に示すように、類似画像の範囲が分かる表示であれば、次の表示画面に移行しない態様であっても良い。例えば、図20(a)に示すように、グループの区切りのラインを表示しても良いし、図20(b)に示すように、ライン表示に代えて、区切りを認識できる程度のスペースを空けて表示するものとしても良い。
【0090】
以上、画像表示の具体的態様として説明したように、複数種類の確認モードを備えることで種々の態様で画像を表示できる。したがって、印刷対象の画像の確認などの作業が容易となり、画像の選択から印刷までにかかる作業時間を短縮することができる。特に、ユーザインタフェースとしてのディスプレイが小さく、表示能力に乏しい印刷装置においては、複数の画像モードを備えることで、印刷対象の画像の確認作業が極めて容易となり、ユーザの印刷作業の負荷を低減することができる。
【0091】
E.変形例:
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下の変形が可能である。
【0092】
本実施例では、液晶ディスプレイを備えた印刷装置を例に、本発明の画像表示装置として説明したが、例えば、デジタルスチルカメラやフォトビューワ等に本実施例の画像表示処理機能を備えて、本発明の画像表示装置とするものとしても良い。
【0093】
この場合、デジタルスチルカメラやフォトビューワ等の機器に搭載されたROMに画像表示処理のプログラムを記憶し、これを各機器のCPUで実行するものとすれば良い。
【0094】
特に、デジタルスチルカメラ側で、推奨画像を判別し、印刷対象の識別子を設定する場合には、デジタルスチルカメラの操作ボタンを操作して、デジタルスチルカメラのディスプレイで、種々の確認モードにより印刷対象の確認を行ない、その後、印刷対象とされた画像ファイルに識別子を書き込むものとすれば良い。例えば、Exif形式の画像ファイルにおけるメーカノートなどのユーザが使用可能な領域に書き込むことができる。また、画像の印刷に関する所定フォーマットであるDPOF形式を利用して、専用ファイルに書き込むものとしても良い。こうして画像の確認作業を経て、印刷対象の識別子を付され画像ファイルを入力したプリンタは、DPOF形式に従って印刷を実行する。この場合、本発明の画像表示装置としてのデジタルスチルカメラと、プリンタとを備えたシステムは、本発明の印刷装置に該当する。こうした構成であっても、印刷対象の画像の確認を容易に行なうことができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の画像表示装置としての印刷装置の外観図である。
【図2】印刷装置の内部構成を示す説明図である。
【図3】印刷処理ルーチンのフローチャートである。
【図4】推奨画像判別処理のフローチャートである。
【図5】推奨画像判別処理を実行した結果の一例を示す説明図である。
【図6】操作パネル上の一部に設けられた各種ボタンを示す説明図である。
【図7】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図8】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図9】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図10】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図11】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図12】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図13】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図14】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図15】画像表示に関するメニュー画面の一例を示す説明図である。
【図16】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図17】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図18】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図19】画像表示の一態様を示す説明図である。
【図20】画像表示の一態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
100…印刷装置
110…スキャナ
120…メモリカードスロット
140…操作パネル
150…液晶ディスプレイ
210…キャリッジ
211…インクヘッド
212…インクカートリッジ
220…キャリッジモータ
230…紙送りモータ
250…制御回路
251…CPU
252…ROM
253…メモリ
254…EEPROM
260…駆動ベルト
270…プラテン
280…摺動軸
PB…印刷ボタン
CB…選択/解除ボタン
IB…印刷枚数増加ボタン
DB…印刷枚数低減ボタン
CUR…方向ボタン
RCU…右ボタン
LCU…左ボタン
UCU…上ボタン
DCU…下ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示部を有する画像表示装置であって、
複数の画像データを入力する入力手段と、
前記入力した画像データ毎に、写真画像として予め規定された条件で撮影された画像からの逸脱の程度を評価し、当該評価に基づいて、当該画像が印刷対象として相応しい推奨画像であるか否かを判別する推奨画像判別手段と、
前記判別の結果により推奨画像とされた画像を印刷対象に指定し、当該画像に対して印刷対象であることを示す識別子を設定する印刷設定手段と、
前記印刷対象に指定された画像を確認するための確認モードであって、少なくとも、前記識別子の有無に基づき前記表示部へ画像を表示して確認する確認モードを含む複数種類の確認モードを備え、当該確認モードに応じた所定の態様で、前記表示部における画像表示を行なう画像確認表示手段と
を備える画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、前記複数種類の確認モードの一つとして、前記識別子を有する画像のみを前記表示部に表示するモードを備える
画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記入力する複数の画像データは、撮影日時の時系列順に並んでおり、
前記画像確認表示手段は、前記時系列順で、前記識別子を有する一の画像から該識別子を有する次の画像までの間に、所定画像が存在する場合には、当該所定画像を飛ばして表示している旨を、該識別子を有する画像と共に表示する態様で、画像表示を行なう
画像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記複数の画像データは、所定の基準に従った順序で整列されており、
前記画像確認表示手段は、前記整列順序における順方向と逆方向のいずれか一方向へ順次画像を表示する際には、前記識別子を有する画像のみの画像表示を行ない、他方向へ順次画像を表示する際には、該識別子とは無関係に該整列順序に従って全画像の画像表示を行なう
画像表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、少なくとも2以上の操作ボタンを有し、当該一の操作ボタンの操作に前記識別子を有する画像のみを表示する第1の表示態様を割り当て、当該他の操作ボタンの操作に該識別子とは無関係な全画像を表示する第2の表示態様を割り当てる
画像表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、一の操作ボタンを有し、当該操作ボタンを長押しする操作に前記識別子を有する画像のみを表示する第1の表示態様を割り当て、当該操作ボタンを押下する通常の操作に該識別子とは無関係な全画像を表示する第2の表示態様を割り当てる
画像表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、前記複数種類の確認モードから一の確認モードを選択する手段を備える画像表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、前記複数種類の確認モードの一つとして、前記識別子の無い画像のみを前記表示部に表示するモードを備える
画像表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の画像表示装置であって、
前記表示部は、2以上の所定枚数の画像を同時に表示可能であり、
前記画像確認表示手段は、前記所定枚数の画像ごとに表示画面を切り換えて、前記複数の画像の表示を行なう
画像表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、
前記表示画面上に表示された所定枚数の画像において、印刷に関する設定を行なうために一の画像を特定するカーソルを表示し、
前記一の表示画面から次の表示画面に切り換わった時に、当該次の表示画面に表示されている画像の中の前記識別子を有する画像にカーソルを移動する
画像表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、前記次の表示画面に表示されている画像の中に前記識別子を有する画像が存在しない場合には、予め設定した所定位置にカーソルを移動する
画像表示装置。
【請求項12】
請求項10に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、前記次の表示画面として表示すべき所定枚数の画像の中に、前記識別子を有する画像が存在しない場合には、当該所定枚数の画像を表示することなく、該識別子を有する画像が存在する表示画面を当該次の表示画像として表示する
画像表示装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の画像表示装置であって、
前記推奨画像判別手段は、前記入力した画像データ間の類似の程度を評価し、当該評価に基づいて前記複数の画像データをグループ化し、当該グループ毎に前記推奨画像の判別を行なう手段であり、
前記画像確認表示手段は、前記グループ化された一の類似グループに属する画像群を、一の表示画面上に表示する
画像表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像表示装置であって、
前記画像確認表示手段は、前記類似グループに属する画像の枚数に応じて画像の表示サイズを変更し、該類似グループに属する画像群を一の表示画面上に表示する
画像表示装置。
【請求項15】
請求項9ないし12のいずれかに記載の画像表示装置であって、
前記推奨画像判別手段は、前記入力した画像データ間の類似の程度を評価し、当該評価に基づいて前記複数の画像データをグループ化し、当該グループ毎に前記推奨画像の判別を行なう手段であり、
前記画像確認表示手段は、前記所定枚数の画像ごとに表示画面に表示する場合であって、前記グループ化された一の類似グループに属する画像群が、一の表示画面と次の表示画面とにまたがって表示されるときには、当該一の類似グループに属する画像群を該次の表示画面にまとめて表示し、該一の表示画面には該所定枚数よりも少ない枚数の画像を表示する
画像表示装置。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載の画像表示装置を備え、前記表示部における画像表示で確認した前記識別子を有する画像の印刷を実行する印刷装置。
【請求項17】
画像を表示可能な表示部を有する画像表示装置の画像表示方法であって、
複数の画像データを入力し、
前記入力した画像データ毎に、写真画像として予め規定された条件で撮影された画像からの逸脱の程度を評価し、当該評価に基づいて、当該画像が印刷対象として相応しい推奨画像であるか否かを判別し、
前記判別の結果により推奨画像とされた画像を印刷対象に指定し、当該画像に対して印刷対象であることを示す識別子を設定し、
前記印刷対象に指定された画像を確認するための確認モードであって、少なくとも、前記識別子の有無に基づき前記表示部へ画像を表示して確認する確認モードを含む複数種類の確認モードを備え、当該確認モードに応じた所定の態様で、前記表示部における画像表示を行なう
画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−164249(P2007−164249A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356011(P2005−356011)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】