説明

画像補正方法および画像補正装置

【課題】2つの画像の間で減算を行う場合であっても、画像データの減算に起因する補正後の画像の画質の劣化を防止することができる画像補正方法および画像補正装置を提供する。
【解決手段】第1の画像データから第2の画像データを符号付きで減算することによって第1の画像データに対応する画像を補正し、補正画像データを生成する符号付き演算器と、符号付き演算器で生成された補正画像データの最小データ値を求める最小データ値算出部と、最小データ値算出部で求められた最小データ値が負の場合、最小データ値が0になるように補正画像データの全体を正側にシフトするシフト処理部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、放射線画像撮影装置等のような画像撮影装置において、2つの画像データの間で減算を行うことによって画像を補正する画像補正方法および画像補正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放射線画像撮影装置は、例えば、医療用の診断画像や工業用の非破壊検査などを含む各種の分野で利用されている。放射線画像撮影装置では、放射線源から被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルを用いて検出し、これを電気信号に変換して可視画像化することにより、被写体が撮影された放射線画像を生成する。
【0003】
上記の放射線変換パネルは、照射された放射線を電気信号に変換するものである。放射線変換パネルとしては、例えば、放射線のエネルギーを蓄積し、励起光を照射することにより放射線エネルギーに対応する輝尽発光光を発する蓄積性蛍光体シートや、受光した放射線を、その線量に対応する電気信号に直接変換するフラットパネル型の放射線検出器(FPD)などが知られている。
【0004】
従来、放射線画像撮影装置では、撮影した放射線画像の画質の向上を目的として、暗画像の影響を補正するためのオフセット補正や、前の放射線画像の残像の影響を補正するための残像補正等が行われている。
【0005】
オフセット補正は、例えば、放射線画像撮影装置の立ち上げ(起動)時に、放射線を照射せずに、放射線変換パネルから暗画像を読み出し、放射線を照射して撮影した被写体の放射線画像のデータから暗画像のデータを減算することにより実施される。なお、オフセット量は温度変化等に応じて変動するため、使用中に暗画像のデータを更新することが特許文献1により提案されている。
【0006】
しかし、低線量で撮影された放射線画像では、わずかなオフセット変動が問題となり、暗画像のデータを更新してから短時間しか経過していなくても、オフセット変動が問題となることがある。
【0007】
また、残像補正は、例えば、次の撮影を行う直前の放射線の非照射時に、前の放射線画像の残像を放射線変換パネルから読み出し、次に撮影される放射線画像のデータから、読み出した残像のデータを減算することにより実施される。
【0008】
【特許文献1】特開2003−190126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、放射線画像に限らず、通常の画像では、画像メモリの容量削減や演算速度の向上のために、符号なしの画像データが用いられている。例えば、各画素を符号なしの1バイト(8ビット)で表現すれば0〜255の諧調表示ができる。この場合、画像データを符号付きにすると9ビット必要になるが、通常、画像メモリは8ビット単位で構成されるため、2バイトが必要となる。つまり、2倍のメモリ容量が必要となる。
【0010】
また、オフセット補正や残像補正において、一方の画像データから他方の画像データを減算すると、その差分(減算結果)が負の値になる場合がある。ところが、従来の画像補正装置では、符号付きで減算せずに、差分が負の値となる箇所を0に置換している。この手法では、0に置換された箇所の画像データが失われるため、画像データの減算に起因して補正後の画像の画質が劣化するという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、画像の補正を行う場合に、2つの画像の間で減算を行う場合であっても、画像データの減算に起因する補正後の画像の画質の劣化を防止することができる画像補正方法および画像補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の画像データから第2の画像データを符号付きで減算することによって前記第1の画像データに対応する画像を補正し、補正画像データを生成する工程と、
前記生成した補正画像データの最小データ値を求める工程と、
前記求めた最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記補正画像データの全体を正側にシフトする工程とを含むことを特徴とする画像補正方法を提供するものである。
【0013】
ここで、前記画像の補正は放射線画像の残像補正であり、前記第1の画像データが次に被写体を撮影する放射線画像の画像データであり、前記第2の画像データが前に被写体を撮影した放射線画像の残像データであることが好ましい。
【0014】
また、前記補正画像データを生成する工程と前記最小データ値を求める工程との間に、前記補正画像データから高周波ノイズを除去する工程を含むことが好ましい。
【0015】
また、本発明は、次に被写体を撮影する放射線画像の画像データから、暗画像データを符号付きで減算することによって前記放射線画像をオフセット補正し、第1の補正画像データを生成する工程と、
前記第1の補正画像データから、前に被写体を撮影した放射線画像の残像データを符号付きで減算することによって前記第1の補正画像データに対応する放射線画像の残像補正を行い、第2の補正画像データを生成する工程と、
前記第2の補正画像データの最小データ値を求める工程と、
前記最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記第2の補正画像データの全体を正側にシフトする工程とを含むことを特徴とする画像補正方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、次に被写体を撮影する放射線画像の画像データから、前に被写体を撮影した放射線画像の残像データを符号付きで減算することによって前記次に被写体を撮影する放射線画像の残像補正を行い、第1の補正画像データを生成する工程と、
前記第1の補正画像データから、暗画像データを符号付きで減算することによって前記第1の補正画像データに対応する放射線画像のオフセット補正を行い、第2の補正画像データを生成する工程と、
前記第2の補正画像データの最小データ値を求める工程と、
前記最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記第2の補正画像データの全体を正側にシフトする工程とを含むことを特徴とする画像補正方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、第1の画像データから第2の画像データを符号付きで減算することによって前記第1の画像データに対応する画像を補正し、補正画像データを生成する符号付き演算器と、
前記符号付き演算器で生成された補正画像データの最小データ値を求める最小データ値算出部と、
前記最小データ値算出部で求められた最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記補正画像データの全体を正側にシフトするシフト処理部とを有することを特徴とする画像補正装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、2つの画像データを符号付きで減算して最小データ値を求め、最小データ値が負の場合、最小データ値が0になるように画像データ全体を正側にシフトするようにしたものである。これにより、本発明によれば、画像の補正を行う場合に、2つの画像の間で減算を行う場合であっても、負となる画像データが失われることがないので、画像データの減算に起因する補正後の画像の画質の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の画像補正方法および画像補正装置を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明を適用する放射線画像撮影装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。同図に示す放射線画像撮影装置10は、放射線を被写体(被検者)Hに照射し、被写体Hを透過した放射線を検出して、被写体Hが撮影された放射線画像を生成する。撮影装置10は、撮影部12と、撮影データ処理部14と、画像処理部16と、出力部18と、撮影指示部20と、制御部22とによって構成されている。
【0021】
撮影部12は、放射線を被写体Hに照射し、被写体Hを透過した放射線を検出することで被写体Hの撮影を行う部位である。撮影部12からは、被写体Hが撮影された放射線画像のデータ(アナログデータ)が出力される。撮影部12の詳細は後述する。
【0022】
撮影データ処理部14は、撮影部12から供給された放射線画像データに対して、A/D(アナログ/デジタル)変換等のデータ処理を行う部位である。撮影データ処理部14からは、データ処理後の放射線画像のデータ(デジタルデータ)が出力される。
【0023】
画像処理部16は、撮影データ処理部14から供給されたデータ処理後の放射線画像データに対して、オフセット補正、残像補正等の画像処理を行う部位である。画像処理部16は、コンピュータ上で動作するプログラム(ソフトウェア)、専用のハードウェア、ないしは、両者を組み合わせて構成される。画像処理部16からは、画像処理後の放射線画像データが出力される。画像処理部16の詳細は後述する。
【0024】
出力部18は、画像処理部16から供給された画像処理後の放射線画像データを出力する部位である。出力部18は、例えば、放射線画像を画面上に表示するモニタ、放射線画像をプリント出力するプリンタ、放射線画像データを記憶する記憶装置等である。
【0025】
撮影指示部20は、撮影条件や撮影モードを設定し、被写体Hの撮影を指示する部位である。撮影指示部20として、撮影条件や撮影モードを設定するための入力キー、撮影の指示には、2段押し型の撮影ボタンが用いられている。撮影ボタンは、1段目まで押されると撮影の準備状態となり、2段目まで押されると撮影が開始される。撮影指示部20からは、撮影条件や撮影モード、撮影ボタンの状態を表す撮影指示信号が出力される。
【0026】
ここで、撮影装置10には、撮影モードとして、放射線の強度および照射時間(照射量)等の撮影条件を手動で設定する手動撮影モードの他に、あらかじめ放射線の強度、照射時間などの撮影条件が設定されている自動撮影モードが設けられている。
【0027】
制御部22は、撮影指示部20から供給される撮影指示信号に応じて、撮影装置10の動作を制御する部位である。制御部22は、例えば、撮影部12における撮影の制御、画像処理部16における画像処理の制御、出力部18における出力の制御等を行う。
【0028】
続いて、撮影部12について説明する。
【0029】
撮影部12は、照射制御部24と、放射線源26と、撮影台28と、放射線検出部30とによって構成されている。
【0030】
照射制御部24は、放射線源26を駆動して、撮影モードに応じて設定された強度の放射線が、設定された時間だけ照射されるように照射量を制御する。放射線源26から照射された放射線は、撮影台28上の被写体Hを透過して放射線検出部30に入射される。
【0031】
放射線検出部30は、被写体Hを透過した放射線をFPD32で検出して電気信号(放射線画像データ)に変換する。放射線検出部30からは、被写体Hが撮影された放射線画像のデータ(アナログデータ)が出力される。FPD32は、放射線を電荷に直接変換する直接方式のFPD、もしくは、放射線を一旦光に変換し、変換された光をさらに電気信号に変換する間接方式のFPDのどちらでも利用可能である。
【0032】
図示を省略しているが、放射線源26と放射線検出部30は、例えば、長尺撮影などの場合のために、撮影台28の長手方向(図1中、左右方向)に沿って往復移動が可能なように構成されている。これに対し、撮影台28を移動可能に構成してもよい。
【0033】
続いて、画像処理部16について説明する。
【0034】
画像処理部16は、本発明の画像補正装置であり、図2に示すように、画像取得部34と、オフセット補正部36と、残像補正部38と、最小データ値算出部40と、シフト処理部42とによって構成されている。
【0035】
画像取得部34は、暗画像の画像データ(暗画像データ)、前の放射線画像の残像画像の画像データ(残像データ)、もしくは、次の放射線画像の画像データ(放射線画像データ)を取得する。画像取得部34からは、取得した画像データが出力される。
【0036】
画像取得部34は、例えば、撮影装置10の立ち上げ(起動)時に、もしくは、使用中に定期的に、放射線を照射せずにFPD32から暗画像データを読み出して取得する。また、残像データは、次の放射線画像の撮影が行われる直前に、放射線を照射せずにFPDから読み出して取得する。次の放射線画像データは、次の放射線画像の撮影直後にFPDから読み出して取得する。
【0037】
続いて、オフセット補正部36は、画像取得部34から供給される、前の放射線画像の残像データと次の放射線画像データのそれぞれから、暗画像データを符号付きで減算することによって、前の放射線画像の残像データ(残像画像)と次の放射線画像データ(次の放射線画像)のそれぞれをオフセット補正する。オフセット補正部36からは、オフセット補正後の残像データと次の放射線画像データが順次出力される。
【0038】
残像補正部38は、オフセット補正部36から供給される、オフセット補正後の、次の放射線画像のデータから、同じくオフセット補正後の、前の放射線画像の残像データを符号付きで減算することによって、オフセット補正後の、次の放射線画像に対して残像補正を行う。残像補正部38からは、残像補正後の、次の放射線画像データが出力される。
【0039】
なお、オフセット補正部36と残像補正部38における減算処理は、図示していない符号付き演算器(符号付き減算器等)によって行われる。符号付き演算器は、2つの画像データの間で減算を行って画像を補正する場合に、第1の画像データから第2の画像データを減算することによって第1の画像データに対応する画像を補正し、補正画像データを生成する。
【0040】
最小データ値算出部40は、残像補正部38から供給される、残像補正後の、次の放射線画像データのうちの最小データ値を求める。最小データ値算出部40からは、最小データ値が出力される。
【0041】
シフト処理部42は、最小データ値算出部40から供給される最小データ値が負の場合、その最小データ値が0になるように、残像補正部38から供給される、残像補正後の、次の放射線画像データの全体を正側にシフトする。言い換えると、シフト処理部42は、最小データ値が負の場合、残像補正後の、次の放射線画像データに最小データ値を加算する。なお、最小データ値が正の場合、シフト処理部42は何もしない。
【0042】
次に、撮影装置10の動作を説明する。
【0043】
撮影指示部20を用いて、ユーザにより撮影条件ないし撮影モードが設定され、撮影ボタンが1段目まで押されると、撮影装置10は、制御部22の制御の下で撮影の準備状態となる。残像補正を行う時にはこのタイミングで残像画像を読み出す。
【0044】
続いて、撮影ボタンが2段目まで押されると撮影が開始される。撮影が開始されると、撮影部12において、放射線源26から、撮影条件ないし撮影モードに応じて設定された強度の放射線が、設定された時間だけ照射される。照射された放射線は、撮影台28上の被写体Hを透過して放射線検出部30のFPD32に入射され、被写体Hを透過した放射線が電気信号(放射線画像データ)に変換される。
【0045】
続いて、FPD32から、撮影された放射線画像のデータが読み出され、撮影データ処理部14によってA/D変換等のデータ処理が行われる。画像処理部16では、データ処理後の放射線画像データに対して、オフセット補正や残像補正などの画像処理が行われる。画像処理後の放射線画像データは出力部18に供給され、例えば、モニタ上に表示されたり、プリント出力されたりする。
【0046】
以下、図3に示すフローチャートを参照して、画像処理部における処理の流れについて説明する。なお、暗画像データは、定期的に取得されているものとする。
【0047】
まず、画像取得部34により、次の放射線画像が撮影される前に、前の放射線画像の残像データが取得される(S1)。この時、オフセット補正部36では、符号付き演算器により、画像取得部34から供給される、前の放射線画像の残像データから暗画像データを符号付きで減算することによって、前の放射線画像の残像画像に対してオフセット補正が行われる(S2)。オフセット補正後の残像データは残像補正部38に供給される。
【0048】
次の放射線画像が撮影されると、画像取得部34により、撮影した次の放射線画像のデータが取得される(S3)。この時、オフセット補正部36では、符号付き演算器により、画像取得部34から供給される、次の放射線画像のデータから暗画像データを符号付きで減算することによって、次の放射線画像に対してオフセット補正が行われる(S4)。オフセット補正後の、次の放射線画像データは残像補正部38に供給される。
【0049】
残像補正部38では、オフセット補正部36から供給される、オフセット補正後の、次の放射線画像データから、同じくオフセット補正後の残像データを減算することによって、オフセット補正後の、次の放射線画像に対して残像補正が行われる(S5)。残像補正後の、次の放射線画像データは、最小データ値算出部40とシフト処理部42に供給される。
【0050】
最小データ値算出部40は、残像補正部38から供給される、残像補正後の、次の放射線画像データのうちの最小データ値を求める(S6)。この時、最小データ値算出部40は、最小データ値探索用に、残像補正後の、次の放射線画像データのコピーを作成し、このコピー画像データに対して、フィルター処理により高周波ノイズを除去した後、最小データ値を求めることが望ましい。最小データ値はシフト補正部42に供給される。
【0051】
続いて、シフト処理部42は、最小データ値算出部40から供給される、最小データ値が負である場合、その最小データ値が0になるように、残像補正部38から供給される、残像補正後の、次の放射線画像データの全体を正側にシフト(最小データ値を加算)する(S7)。データ量の削減のため、この時同時に、あるいは、シフト処理後に、シフト処理後の、次の放射線画像データを符号なしの画像データに変換することが望ましい。
【0052】
次に、放射線画像データと、暗画像データ(オフセット補正データ)との関係について説明する。
【0053】
図4(a)は、2つの放射線画像D1,D2と、オフセット補正データOFの関係を表すグラフ、同図(b)は、従来の符号なしのオフセット補正を概念的に説明するグラフ、同図(c)は、撮影装置10における符号付きのオフセット補正を概念的に説明するグラフである。これらのグラフの縦軸は画像データ値、横軸は、放射線画像の任意の1行の各画素位置を表す。
【0054】
同図(a)は、オフセット補正データOFを取得してから経時とともにオフセット量が変動した場合における、放射線画像のデータ(放射線画像データ)とオフセット補正データとの関係を表す。ここで同じ被写体を異なる時間で撮影したとする。放射線画像D1はオフセット量に変動無く、全てのデータが、取得した時点でのオフセット補正データ以上の値となっている状態を表し、放射線画像D2はオフセット量が変動し、一部のデータが、取得した時点でのオフセット補正データOFの値未満のデータとなっている状態を表している。
【0055】
従来の符号なしのオフセット補正では、同図(b)に示すように、放射線画像D2からオフセット補正データOFを減算して、負となる箇所の全てを0とすることで画像データが失われるため画像が劣化する。
【0056】
一方、撮影装置10では、図4(c)に示すように、放射線画像D2からオフセット補正データOFを減算して負となる箇所がある場合、その最小データ値が0になるように、残像補正部38から供給される、残像補正後の、次の放射線画像データの全体を正側にシフトする(最小データ値を加算する)。そのため、画像データが失われることはなく、画質の劣化を防止できる。
【0057】
撮影装置10において、オフセット補正と残像補正は両方を行うことが望ましいが、残像が発生しない又は残像が許容レベル以下である撮影装置では残像補正は不要な場合もある。従って、必要に応じて、オフセット補正だけを行ってもよいし、あるいは、残像補正だけを行ってもよい。
【0058】
また、オフセット補正と残像補正の両方を行う場合、図示例のように、オフセット補正を行った後に残像補正を行ってもよいし、その逆の順序で行ってもよい。この場合、オフセット補正と残像補正を行う毎に、それぞれ、最小データ値の算出と画像データのシフトを行ってもよいし(合計2回)、図示例のように、オフセット補正と残像補正の両方を行ってから1回だけ最小データ値の算出と画像データのシフトを行ってもよい。
【0059】
本発明は、放射線画像に限らず、これ以外の画像に対しても、2つの画像データの間で減算を行って画像を補正する場合に有用である。また、放射線変換パネルは、蓄積性蛍光体シートやFPDのいずれも利用可能である。
【0060】
また、本発明は、オフセット補正と残像補正だけに限らず、2つの画像データを減算することによって行う補正に適用可能である。
【0061】
撮影装置10では、2つの画像データの減算による補正処理を符号付きで行うため、従来と比べて必要メモリ容量が増える場合がある。しかし、近年メモリや演算器などのハードウェアの低価格化、高速化が進んでいるため、メモリ容量や演算ビット幅を気にせず、符号付き(0〜255階調表示の場合、符号の1バイト+画像データの8ビット=9ビット(2バイト))で演算を行っても、費用や速度の問題はほとんど発生しない。
【0062】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を適用する放射線画像撮影装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。
【図2】図1に示す画像処理部の構成を表すブロック図である。
【図3】画像処理部における処理の流れを表すフローチャートである。
【図4】(a)は、放射線画像D1,D2とオフセット補正データOFの関係を表すグラフ、(b)は、従来の符号なしのオフセット補正を概念的に説明するグラフ、(c)は、図1に示す撮影装置における符号付きのオフセット補正を概念的に説明するグラフである。
【符号の説明】
【0064】
10 放射線画像撮影装置
12 撮影部
14 撮影データ処理部
16 画像処理部
18 出力部
20 撮影指示部
22 制御部
24 照射制御部
26 放射線源
28 撮影台
30 放射線検出部
32 フラットパネル型放射線検出器(FPD)
34 画像取得部
36 オフセット補正部
38 残像補正部
40 最小データ値算出部
42 シフト処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像データから第2の画像データを符号付きで減算することによって前記第1の画像データに対応する画像を補正し、補正画像データを生成する工程と、
前記生成した補正画像データの最小データ値を求める工程と、
前記求めた最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記補正画像データの全体を正側にシフトする工程とを含むことを特徴とする画像補正方法。
【請求項2】
前記画像の補正はオフセット補正であり、前記第1の画像データが被写体を撮影した画像に対応する画像データであり、前記第2の画像データが暗画像データであることを特徴とする請求項1に記載の画像補正方法。
【請求項3】
前記画像の補正は放射線画像の残像補正であり、前記第1の画像データが次に被写体を撮影する放射線画像の画像データであり、前記第2の画像データが前に被写体を撮影した放射線画像の残像データであることを特徴とする請求項1に記載の画像補正方法。
【請求項4】
前記補正画像データを生成する工程と前記最小データ値を求める工程との間に、前記補正画像データから高周波ノイズを除去する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像補正方法。
【請求項5】
次に被写体を撮影する放射線画像の画像データから、暗画像データを符号付きで減算することによって前記放射線画像をオフセット補正し、第1の補正画像データを生成する工程と、
前記第1の補正画像データから、前に被写体を撮影した放射線画像の残像データを符号付きで減算することによって前記第1の補正画像データに対応する放射線画像の残像補正を行い、第2の補正画像データを生成する工程と、
前記第2の補正画像データの最小データ値を求める工程と、
前記最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記第2の補正画像データの全体を正側にシフトする工程とを含むことを特徴とする画像補正方法。
【請求項6】
次に被写体を撮影する放射線画像の画像データから、前に被写体を撮影した放射線画像の残像データを符号付きで減算することによって前記次に被写体を撮影する放射線画像の残像補正を行い、第1の補正画像データを生成する工程と、
前記第1の補正画像データから、暗画像データを符号付きで減算することによって前記第1の補正画像データに対応する放射線画像のオフセット補正を行い、第2の補正画像データを生成する工程と、
前記第2の補正画像データの最小データ値を求める工程と、
前記最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記第2の補正画像データの全体を正側にシフトする工程とを含むことを特徴とする画像補正方法。
【請求項7】
第1の画像データから第2の画像データを符号付きで減算することによって前記第1の画像データに対応する画像を補正し、補正画像データを生成する符号付き演算器と、
前記符号付き演算器で生成された補正画像データの最小データ値を求める最小データ値算出部と、
前記最小データ値算出部で求められた最小データ値が負の場合、該最小データ値が0になるように前記補正画像データの全体を正側にシフトするシフト処理部とを有することを特徴とする画像補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−12082(P2010−12082A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175545(P2008−175545)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】