説明

画像診断装置、画像処理システム、画像処理プログラムおよび画像処理方法

【課題】三次元領域の画像データを抽出する際、スライス画像に対して垂直方向の線形補間を行なうことが不適切である場合であっても、適切に三次元領域の画像データを抽出することが可能な画像診断装置を提供する。
【解決手段】二次元断層画像データに設定された基準ROIの重心の位置を検出する手段43aと、基準ROIの重心の位置がスライスに垂直な方向の直線上となるように、二次元断層画像データを均等に平行移動させるROI重心位置一致手段43bと、平行移動後における二次元断層画像データの線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる部分を関心領域として設定する垂直線形補間手段43eと、平行移動後における二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段43fとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元領域に含まれる画像データをスライス上に設定された関心領域の補間により抽出することが可能な画像診断装置、画像処理システム、画像処理プログラムおよび画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用分野で取り扱われるX線CT装置、MRI装置等の画像診断装置において収集された画像情報から、三次元領域をスライス上に設定された関心領域(ROI)の補間により抽出することが可能なシステムとして図11に示す画像処理システムがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図11に示すように従来の画像処理システム1は、画像記憶部3、表示処理部5、表示部7、座標変換部9、マウス11、距離画像演算部13、距離画像記憶部15、ROI補間部17、ROI記憶部19、画像抽出部21、抽出画像記憶部23、三次元表示処理部25を備える。
【0004】
そして、画像処理システム1では、例えばX線CT装置に接続され、X線CT装置で得られたスライスごとのCT値が画像データとして画像記憶部3に記憶される。表示処理部5は、画像記憶部3に記憶された画像データの表示処理を行なって二値化された画像データを生成し、生成した各スライスにおける二値画像データを表示部7に与えることにより表示させる。
【0005】
次に、三次元領域を抽出するために、表示部7に表示されたあるスライス画像において、基準となるROI(以下、基準ROIと記す)の輪郭がマウス11により設定される。そして、座標変換部9は、マウス11からの基準ROI設定情報を受け取って、基準ROIの輪郭に対応する画素の座標を求める。座標変換部9は、求められた画素の座標を距離画像演算部13に与える。
【0006】
次に、距離画像演算部13は、基準ROIの輪郭に対応する画素の値を所定の値、例えば100にし、その画素の値を基準に、基準ROIの輪郭の内側に1画素進む毎に1を足した値をその画素の値とするとともに、基準ROIの輪郭の外側に1画素進む毎に1を引いた値をその画素の値とし、これを距離画像データとして全画素について求め、それらを距離画像記憶部15に記憶する。
【0007】
このような基準ROIは複数選択することが可能であり、選択された基準ROIの数だけ、距離画像データが作成されて距離画像記憶部15に記憶される。
【0008】
そして、距離画像記憶部15に記憶された基準ROIに対応する距離画像データから、ROI補間部17により三次元領域を抽出するための情報が作成されてROI記憶部19に書き込まれる。
【0009】
図12は、図11に示す従来の画像処理システム1のROI補間部17による三次元領域の抽出方法を説明する図である。
【0010】
図12(a)の実線で示すように、3つのスライス(S1,S2,S3)上におけるROIが基準ROI(R1,R2,R3)として選択され、各基準ROIに対応する距離画像データが作成される。そして、CT装置から点線で示すスライス画像(S)とともにスライス画像の間隔(サンプリングピッチ)情報がROI補間部17に入力される。
【0011】
次に、ROI補間部17は、基準ROIから得られた各距離画像データに線形補間を行なう。この結果、図12(b)に示すような三次元領域Dが作成される。さらに、このようにして作成された三次元領域から、点線で示す他の各スライス画像に対応する距離画像データがそれぞれ求められる。そして、ROI補間部17は、求められた各スライスの距離画像データにおいて、距離画像データの画素値が所定値以上の領域をROIとして設定する。
【0012】
ROI補間部17は、線形補間により作成されたROIと基準ROIとをROI記憶部19に各スライス画像に対応させて書き込む。
【0013】
次に、各スライス画像のROIと基準ROIとがROI記憶部19に記憶されると画像抽出部21では、ROI記憶部19に記憶されている各ROIに基づき、画像記憶部3に記憶されている各スライス画像の内、ROI部分のみ、あるいはROI外部分のみを抽出し、抽出画像として抽出画像記憶部23に書き込んで記憶させる。
【0014】
次に、三次元表示処理部25は、抽出画像記憶部23に記憶されている抽出画像に対し、重ね合わせ処理、表示部7の階調に合わせる処理等の各種三次元表示処理を行う。その後、三次元表示処理された抽出画像が表示部7の画面上にシェーディング・ボリューム・レンダリング(SVR:Shading volume rendering)画像、最大値投影(MIP:Maximum Intensity Projection;)画像、断面変換(MPR:Multi−planar reconstruction;)画像等の三次元画像として表示される。
【0015】
つまり、従来の画像処理システム1は、基準となる複数の平行なMPR画像等のスライス画像上に基準ROIを設定し、位置的に隣り合う基準ROI間を線形補間することにより三次元領域を抽出するシステムである。このような、線形補間による三次元領域の抽出技術は、例えば任意形状の臓器を抽出する手段として利用される。
【特許文献1】特開平7−234927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来の画像処理システム1では、スライス画像の位置関係を固定し、固定されたスライス画像に対して垂直方向に線形補間処理が実施されるため、例えば血管等の器官のようにスライス画像に垂直でない器官や臓器を適切に抽出することが困難であるという問題が有る。
【0017】
図13は、図11に示す従来の画像処理システム1のROI補間部17による三次元領域の抽出方法を用いた場合に生じる問題の一例を説明する図である。
【0018】
血管等のように抽出すべき器官や臓器がスライス画像に垂直でない場合には、図13(a)に示すように、基準ROI(R1,R2,R3)が血管等の器官に沿って、すなわちスライス画像(S1,S2,S3)に垂直方向の軸線に沿わずに斜め方向の軸線に沿って作成される。この結果、スライス画像に対して垂直方向の線形補間により得られる三次元領域Dは図13(b)に示すように、スライス画像ごとに分離した領域となる場合が生じる。
【0019】
また、別の問題点として、抽出対象となる臓器や器官がスライス画像上において長軸と短軸との差が大きい楕円等のように真円からかけ離れた扁平な断面形状である一方、各スライス間において各断面形状がねじれた位置関係にあるような場合にも、抽出が困難となるという点が挙げられる。
【0020】
図14は、図11に示す従来の画像処理システム1のROI補間部17による三次元領域の抽出方法を用いた場合に生じる問題の別の一例を説明する図である。
【0021】
抽出すべき器官や臓器のスライス画像上における断面形状が扁平で、かつ各スライス間において各断面形状がねじれた位置関係にあるような場合には、図14(a)に示すように、各基準ROI(R1,R2)が相対的に互いに回転した状態で作成される。この結果、スライス画像(S1,S2)に対して垂直方向の線形補間により得られる三次元領域Dは図14(b)に示すように、縊れた部分を有する領域となる。
【0022】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、三次元領域の画像データを抽出する際、三次元領域のスライス画像上における断面がスライス画像に垂直方向の軸線に沿わない場合や、各スライス間において各断面形状がねじれた位置関係にあるような場合のように、スライス画像に対して垂直方向の線形補間を行なうことが不適切である場合であっても、適切に三次元領域の画像データを抽出することが可能な画像診断装置、画像処理システム、画像処理プログラムおよび画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る画像診断装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、被検体の二次元断層画像データを収集する画像データ収集手段と、前記二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するROI重心位置検出手段と、前記ROI重心位置検出手段により検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるROI重心位置一致手段と、このROI重心位置一致手段による平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段とを有することを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明に係る画像診断装置は、上述の目的を達成するために、請求項2に記載したように、被検体の二次元断層画像データを収集する画像データ収集手段と、前記二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するROI回転角度検出手段と、前記ROI回転角度検出手段により検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるROI回転角度一致手段と、このROI回転角度一致手段による回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるROI回転角度復帰手段とを有することを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明に係る画像処理システムは、上述の目的を達成するために、請求項3に記載したように、被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するROI重心位置検出手段と、前記ROI重心位置検出手段により検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるROI重心位置一致手段と、このROI重心位置一致手段による平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段とを有することを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明に係る画像処理システムは、上述の目的を達成するために、請求項4に記載したように、被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するROI回転角度検出手段と、前記ROI回転角度検出手段により検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるROI回転角度一致手段と、このROI回転角度一致手段による回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるROI回転角度復帰手段とを有することを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、上述の目的を達成するために、請求項5に記載したように、コンピュータを、被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するROI重心位置検出手段、前記ROI重心位置検出手段により検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるROI重心位置一致手段、このROI重心位置一致手段による平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段並びに前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段として機能させることを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、上述の目的を達成するために、請求項6に記載したように、コンピュータを、被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するROI回転角度検出手段、前記ROI回転角度検出手段により検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるROI回転角度一致手段、このROI回転角度一致手段による回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段並びに前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるROI回転角度復帰手段として機能させることを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明に係る画像処理方法は、上述の目的を達成するために、請求項7に記載したように、被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するステップと、検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるステップと、前記平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定するステップと、前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるステップとを有することを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明に係る画像処理方法は、上述の目的を達成するために、請求項8に記載したように、被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するステップと、検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるステップと、前記回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定するステップと、前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるステップとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る画像診断装置、画像処理システム、画像処理プログラムおよび画像処理方法においては、三次元領域の画像データを抽出する際、三次元領域のスライス画像上における断面がスライス画像に垂直方向の軸線に沿わない場合や、各スライス間において各断面形状がねじれた位置関係にあるような場合のように、スライス画像に対して垂直方向の線形補間を行なうことが不適切である場合であっても、適切に三次元領域の画像データを抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る画像診断装置、画像処理システム、画像処理プログラムおよび画像処理方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0033】
図1は本発明に係る画像診断装置の一例としての超音波診断装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【0034】
画像診断装置に一例としての超音波診断装置30は、パルサー等を備えた送信回路31、受信回路32、超音波プローブ33、画像生成回路34および画像処理システム35を有する。送信回路31および受信回路32は、超音波プローブ33と接続され、送信回路31において生成された電気パルスを超音波プローブ33に備えられる複数の超音波振動子群に印加することにより図示しない被検体に向けて超音波パルスを送信する一方、被検体において生じた反射波信号を超音波プローブ33で受信して受信回路32に出力できるように構成される。
【0035】
受信回路32は、超音波プローブ33から受けた反射波信号をデジタル信号に変換した後、遅延加算処理や検波、圧縮といった各種処理を行なうことにより、画像信号を生成する機能を有する。
【0036】
また、画像生成回路34は、受信回路32から画像信号を受けて、被検体の各スライスにおける画像データを生成する機能と、生成した各スライスにおける画像データを画像処理システム35にスライス画像データとして与える機能を有する。
【0037】
つまり、送信回路31、受信回路32、超音波プローブ33および画像生成回路34により、超音波診断装置30には、被検体の二次元断層画像データを収集する画像データ収集手段としての機能が備えられる。
【0038】
画像処理システム35は、画像記憶部36、表示処理部37、表示部38、座標変換部39、マウス40、距離画像演算部41、距離画像記憶部42、ROI補間部43、ROI記憶部44、画像抽出部45、抽出画像記憶部46、三次元表示処理部47を備える。画像処理システム35は、コンピュータに画像処理プログラムを読み込ませることにより構築することができるが、画像処理システム35の一部または全部を回路により構成してもよい。
【0039】
そして、画像処理システム35は、例えば画像診断装置の一例としての超音波診断装置30に内蔵される。ただし、画像処理システム35を他のMRI装置やX線CT装置等の画像診断装置に内蔵してもよいし、画像診断装置とは独立して構成し、画像診断装置から必要なデータを入力して情報処理を行なうようにしてもよい。
【0040】
画像処理システム35の画像記憶部36には、画像生成回路34によって得られたスライス画像データが二次元の縦横複数の画素に対応させて記憶される。
【0041】
表示処理部37は、画像記憶部36に記憶されているスライス画像データに対し、表示部38の階調に合わせる処理、二値化処理等の表示処理を行う機能を有する。そして、表示部38は、例えばCRT、液晶表示装置等の表示装置およびキーボード等の入力部(いずれも図示せず)から成る。表示部38は、前記入力部の操作により基準となるROI(以下、基準ROIと記す)を設定するためのスライス画像データを選択する機能と、表示処理部37により表示処理、二値化処理されたスライス画像や後述の三次元表示処理部47によって三次元表示処理された画像を表示させる機能を有する。
【0042】
座標変換部39は、マウス40等の入力手段により入力される基準ROIの設定情報に基づいて、表示部38において選択されたスライス画像データの基準ROIを設定する機能と、設定された基準ROIの輪郭に対応する画素の座標を求める機能とを有する。基準ROIの設定情報としては、例えばマウス40の移動量とすることができる。
【0043】
距離画像演算部41は、座標変換部39により求められた基準ROIの輪郭の座標に対応する画素の値を所定の値にし、その画素の値を基準として、基準ROIの輪郭の内側に1画素進む毎に1を足した値をその画素の値とするとともに、基準ROIの輪郭の外側に1画素進む毎に1を引いた値をその画素の値とし、新たな画素値を有する画像を距離画像データとして全画素について求める機能を有する。
【0044】
距離画像記憶部42には、距離画像演算部41により求められた距離画像データが記憶される。
【0045】
ROI補間部43は、距離画像記憶部42から基準ROIを有する距離画像データを読み込むとともに、画像生成回路34からスライス画像データおよびスライス画像の間隔(サンプリングピッチ)情報を受け取り、幾何学的な座標変換処理とともに基準ROIを用いた線形補間を行なうことにより、各スライス画像データそれぞれに対応する距離画像データを求める機能と、求められた各距離画像データの画素値が所定値以上の領域をROIとして設定する機能とを有する。
【0046】
図2は図1に示す超音波診断装置30に内蔵される画像処理システム35のROI補間部43の詳細構成を示す機能ブロック図である。
【0047】
ROI補間部43は、ROI重心位置検出部43a、ROI重心位置一致部43b、ROI回転角度検出部43c、ROI回転角度一致部43d、垂直線形補間部43e、ROI重心位置復帰部43f、ROI回転角度復帰部43gを有し、これらの構成要素により、ROI補間部43には、それぞれROI重心位置検出手段、ROI重心位置一致手段、ROI回転角度検出手段、ROI回転角度一致手段、垂直線形補間手段、ROI重心位置復帰手段、ROI回転角度復帰手段としての機能が備えられる。
【0048】
ROI重心位置検出部43aは、距離画像記憶部42から読み込んだ各距離画像データにおけるそれぞれの基準ROIの重心の位置を検出する機能と、検出した各基準ROIの重心の位置を位置ずれ情報としてROI重心位置一致部43bおよびROI重心位置復帰部43fに与える機能を有する。但し、ROI重心位置検出部43aの入力データは、ROI内が一定値でROI外が0のデータ等のように距離画像データ以外のデータであってもよい。
【0049】
図3は、図1に示す超音波診断装置30に内蔵される画像処理システム35の入力データの例を説明する図である。
【0050】
図3(a−1)は、ROI重心位置検出部43aの入力データの一例である距離画像データであり、図3(a−2)は、図3(a−1)の点線部分における画素値のヒストグラムである。
【0051】
図3(a−1)および図3(a−2)に示すように、距離画像データの基準ROIは、画素値が例えば100以上の領域として定義される。
【0052】
図3(b−1)は、ROI重心位置検出部43aの入力データの一例であるROI内が一定値1でROI外が0のデータであり、図3(b−2)は、図3(b−1)の点線部分における画素値のヒストグラムである。
【0053】
図3(b−1)および図3(b−2)に示すように、ROI内が一定値1でROI外が0のデータをROI重心位置検出部43aの入力データとする場合には、画素値が例えば1の領域としてROIが定義される。
【0054】
一方、ROI重心位置一致部43bは、画像生成回路34からは基準ROIが設定されていない各スライス画像データを、ROI重心位置検出部43aからは各基準ROIの重心の位置ずれ情報をそれぞれ受けて、スライス方向に隣り合う各基準ROIの重心位置がスライスに垂直な方向の直線上となるように、基準ROIが設定された距離画像データとともに基準ROIが設定されていない各スライス画像データをスライスに平行な方向に均等に平行移動させる機能と、平行移動後の各距離画像データおよびスライス画像データをROI回転角度一致部43dまたは垂直線形補間部43eに与える機能とを有する。
【0055】
ROI回転角度検出部43cは、距離画像記憶部42から読み込んだ各距離画像データにおけるそれぞれの基準ROIの回転角度をセントラルモーメント法等の任意の手法により検出する機能と、検出した各基準ROIの回転角度を角度ずれ情報としてROI回転角度一致部43dおよびROI回転角度復帰部43gに与える機能とを有する。ROI回転角度検出部43cの入力データは、ROI内が一定値でROI外が0のデータ等のように距離画像データ以外のデータであってもよい。
【0056】
ここで、基準ROIの回転角度は、任意の方法で定義することができる。例えば、座標軸への基準ROIの正射影を成分とするベクトルの座標軸に対する傾きとすることもできる。セントラルモーメント法による場合には、基準ROIの回転角度は、基準ROIの図形が伸びている方向と座標軸とのなす角となる。
【0057】
尚、セントラルモーメント法による基準ROIの回転角度θの計算式は、式(1)で示される。
【0058】
[数1]
θ=(1/2)tan−1{2M11/(M20−M02)} ・・・(1)
【0059】
ただし、式(1)において、セントラルモーメントM11,M20,M02は,基準ROIの輪郭を表す関数f(i,j)および関数f(i,j)の重心座標(i,j)から式(2)により求められる。
【0060】
[数2]
Mpq=ΣΣ(i−i・(j−j・f(i,j) ・・・(2)
【0061】
ROI回転角度一致部43dは、ROI回転角度検出部43cから受けた各基準ROIの回転角度の角度ずれ情報に基づいて、ROI重心位置一致部43bから受けた平行移動後の各距離画像データおよびスライス画像データを、スライス方向に平行な面上において均等に回転移動させることにより、各距離画像データおよびスライス画像データの回転角度を一致させる機能と、回転移動後の各距離画像データおよびスライス画像データを垂直線形補間部43eに与える機能とを有する。
【0062】
垂直線形補間部43eは、ROI重心位置一致部43bまたはROI回転角度一致部43dから受けた平行移動後ないし回転移動後における各距離画像データおよびスライス画像データに基づいて、スライス方向に隣り合う各距離画像データのスライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域(Voxelデータ)を設定する機能と、平行移動後ないし回転移動後におけるスライス画像データのうち設定された三次元領域に含まれる部分を各スライス画像データのROIとして設定する機能とを有する。
【0063】
そして、垂直線形補間部43eは、移動後の基準ROIおよび設定した各スライス画像データのROIをROI情報として、平行移動後ないし回転移動後における各距離画像データおよびスライス画像データとともにROI重心位置復帰部43fまたはROI回転角度復帰部43gに与えるように構成される。
【0064】
ROI回転角度復帰部43gは、ROI回転角度検出部43cから受けた基準ROIの回転角度の角度位置ずれ情報に基づいて、垂直線形補間部43eから受けた各距離画像データおよびスライス画像データの回転角度がROI回転角度一致部43dによる回転移動前における回転角度に復帰されるように回転移動させる機能と、回転角度復帰後における各距離画像データおよびスライス画像データをROI重心位置復帰部43fに与える機能とを有する。
【0065】
ROI重心位置復帰部43fは、ROI重心位置検出部43aから受けた、基準ROIの位置ずれ情報に基づいて、垂直線形補間部43eまたはROI回転角度復帰部43gから受けた各距離画像データおよびスライス画像データの重心位置がROI重心位置一致部43bによる平行移動前における重心位置に復帰されるように平行移動させる機能と、重心位置復帰後における各距離画像データおよびスライス画像データをROI情報とともにROI記憶部44に書き込む機能を有する。
【0066】
このため、画像処理システム35のROI記憶部44には、ROI補間部43により設定されたROIと基準ROIとが各距離画像データおよびスライス画像データに対応させて記憶される。
【0067】
画像抽出部45は、ROI記憶部44に記憶されている各ROIおよび基準ROIに基づき、画像記憶部36に記憶されている各スライス画像データを元データとして、各ROIおよび基準ROIに含まれる部分のデータ抽出処理を行なうことによりROI内抽出画像データを生成する機能、ROI外部の画像データで構成されるROI外抽出画像データを生成する機能、その他必要に応じてペイント処理といった画像処理を行うことによりペイント画像を生成する機能を有する。
【0068】
抽出画像記憶部46には、ROI抽出部21により生成されたROI内抽出画像データ、ROI外抽出画像データ、ペイント画像データが記憶される。
【0069】
三次元表示処理部47は、抽出画像記憶部46に記憶されているROI内抽出画像データ、ROI外抽出画像データ、ペイント画像データに対し、二値化処理、重ね合わせ処理、表示部38の階調に合わせる処理等の三次元表示処理を行うことにより、SVR画像、MIP画像、MPR画像等の三次元画像を表示するための三次元画像データを生成する機能を有する。
【0070】
なお、画像記憶部36、距離画像記憶部42、ROI記憶部17および抽出画像記憶部46は、例えば、それぞれビデオメモリ等の記憶装置から成るが、単一または複数の記憶装置で共有するようにしても良い。また、表示処理部37、距離画像演算部41、ROI補間部43、画像抽出部45および三次元表示処理部47は、例えば、それぞれCPU、マイクロプロセッサ等の演算処理装置に各種プログラムを読み込ませて構成されるが、単一または複数の演算処理装置を共有するようにしても良い。
【0071】
次に、超音波診断装置30の作用について説明する。
【0072】
図4は、図1に示す超音波診断装置30により、三次元領域に含まれる画像を表示させる際の手順を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0073】
まず、ステップS1において、被検体のスライス画像データが収集される。すなわち、送信回路31において生成された電気パルスが超音波プローブ33に備えられる複数の超音波振動子群に印加され、図示しない被検体に向けて超音波パルスが送信される。そして、被検体において生じた反射波信号が超音波プローブ33で受信されて受信回路32に出力される。
【0074】
さらに、受信回路32は、超音波プローブ33から受けた反射波信号をデジタル信号に変換した後、遅延加算処理や検波、圧縮といった各種処理を行なうことにより、画像信号を生成する。また、画像生成回路34は、受信回路32から画像信号を受けて、被検体の各スライスにおける画像データをスライス画像データとして生成する。生成されたスライス画像データは、画像処理システム35の画像記憶部36に書き込まれて保存される。
【0075】
そして、このようにして収集されたスライス画像データから、例えば血管部分のデータを抽出して血管をSVR画像、MIP画像、MPR画像等の三次元画像として表示させる場合には、表示させようとする血管が含まれるような三次元領域を設定する必要がある。そこで、画像処理システム35により三次元領域を設定して血管を三次元画像として表示させるための各種画像処理が行なわれる。
【0076】
すなわち、ステップS2において、三次元領域を設定するための基準となる基準ROIをスライス画像データ上に設定するために、スライス画像データが選択される。そのために、表示処理部37は、画像記憶部36に記憶された画像データの表示処理を行なって二値化された画像データを生成し、生成した各スライスにおける二値画像データを表示部38に与えることにより表示させる。このため、ユーザは表示部38に設けられた図示しない入力装置の操作により基準ROIを設定するためのスライス画像データを選択することができる。
【0077】
次に、ステップS3において、選択されたスライス画像データにおいて、基準ROIの輪郭がマウス40等の入力手段により設定される。すなわち、座標変換部39は、マウス40からの基準ROI設定情報を受け取って、基準ROIの輪郭に対応する画素の座標を求める。そして、座標変換部39は、求められた画素の座標を距離画像演算部41に与える。
【0078】
次に、ステップS4において、距離画像演算部41により距離画像データが作成されて距離画像記憶部42に保存される。すなわち、距離画像演算部41は、基準ROIの輪郭に対応する画素の値を所定の値、例えば100にし、その画素の値を基準に、基準ROIの輪郭の内側に1画素進む毎に1を足した値をその画素の値とするとともに、基準ROIの輪郭の外側に1画素進む毎に1を引いた値をその画素の値とし、これを距離画像データとして全画素について求め、それらを距離画像記憶部42に記憶する。
【0079】
つまり、距離画像データが距離画像記憶部42に記憶されることにより基準ROIを三次元領域の設定に用いるための処理が完了する。そして、このような基準ROIの設定および距離画像データの作成は、三次元領域に必要とされる精度に応じて複数回に亘って行なわれる。すなわち、基準ROIをより多く設定すれば、三次元領域の精度を向上させることができる。
【0080】
そこで、ステップS5において、基準ROIの設定がさらに必要な場合には、再びステップS2においてスライス画像データが選択され、同様な手順で基準ROIが設定されるとともに距離画像データが作成される。
【0081】
一方、ステップS5において、基準ROIの設定が終了すると、ステップS6において、ROI補間部43により幾何学的なスライス画像データおよび距離画像データの座標変換処理とともに基準ROIを用いた線形補間を行なうことにより三次元領域を設定し、設定した三次元領域に含まれる各スライス画像データの部分がROIとして設定される。
【0082】
ここで、ROI補間部43による座標変換処理および線形補間処理の詳細について説明する。ROI補間部43では、基準ROIを用いてスライスに垂直方向に線形補間を行なうことにより、基準ROIが設定されない各スライス画像データについても自動的にROIが設定される。しかし、例えば血管の三次元画像を生成させるような場合には、望ましいROIは、必ずしもスライスに垂直方向の直線に沿うとは限らず、またスライス間において所望とする複数のROIがねじれの関係にある場合もある。
【0083】
このため、単に基準ROIを用いてスライスに垂直方向に線形補間を行なうのみでは、所望とするROIが適切に設定されない恐れがある。そこで、このような問題を回避するために、ROI補間部43では、線形補間処理の前後において、基準ROIや各スライス画像データの座標変換処理が行なわれる。
【0084】
図5は、図4に示すフローチャートにおいて、ROI補間部43により各スライス画像データのROIを設定する手順の詳細を示すフローチャートであり、図6は、図2に示すROI補間部43による各スライス画像データのROIの設定方法を説明する図である。
【0085】
また、図5中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0086】
まず、ステップS10において、ROI重心位置検出部43aにより各基準ROIの重心が検出され、検出された各基準ROIの重心の位置が位置ずれ情報としてROI重心位置一致部43bおよびROI重心位置復帰部43fに与えられる。すなわち、図6(a)に示すように、例えば実線で示す2枚の距離画像データ(S1,S2)上における各基準ROI(R1,R2)の重心位置がROI重心位置検出部43aにより検出される。
【0087】
次に、ステップS11において、ROI重心位置一致部43bは、画像生成回路34からは基準ROIが設定されていない各スライス画像データを、ROI重心位置検出部43aからは各基準ROIの重心の位置ずれ情報をそれぞれ受けて、スライス方向に隣り合う各基準ROIの重心位置がスライスに垂直な方向の直線上となるように、基準ROIが設定された距離画像データとともに基準ROIが設定されていない各スライス画像データをスライスに平行な方向に均等に平行移動させる。
【0088】
すなわち、図6(b)に示すように、画像生成回路34から基準ROIが設定されていない点線で示す各スライス画像データ(S)が読み込まれ、距離画像データ(S1,S2)とともに各基準ROI(R1,R2)の重心位置がスライスに垂直な方向の直線上となるように、均等に平行移動せしめられる。
【0089】
この結果、設定すべき所望のROIが、スライスに垂直方向の直線に沿わない場合であっても、平行移動により、設定すべきROIをスライスに垂直方向の直線に沿わせることができる。ただし、スライス間において所望とする複数のROIがねじれの関係にある場合には、平行移動後の基準ROIおよび各スライス画像データを用いてスライスに垂直方向に線形補間を行なっても適切なROIを設定することができない恐れがある。しかし、スライス間において所望とする複数のROIがねじれの関係にある場合であっても、基準ROIおよび各スライス画像データを回転移動させれば、ねじれの関係をなくすことができる。
【0090】
そこで、ステップS12において、スライス間において所望とする複数のROIがねじれの関係にあるか否かが判定される。すなわち、ROI回転角度検出部43cは、距離画像記憶部42から読み込んだ各距離画像データにおけるそれぞれの基準ROIの回転角度をセントラルモーメント法等の任意の手法により角度ずれ情報として検出する。そして、検出された角度ずれ情報により、基準ROIがねじれの関係にあるか否かを判定することができる。
【0091】
そして、例えば、図6(b)に示すように基準ROI(R1,R2)が扁平でなくねじれの関係にない場合には、回転移動が不要であると判定される。
【0092】
そして、ステップS13において、平行移動後の各距離画像データおよびスライス画像データは、垂直線形補間部43eに与えられ、平行移動後における各距離画像データおよびスライス画像データに基づいて、スライス方向に隣り合う各距離画像データのスライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定する。そして、平行移動後におけるスライス画像データのうち設定された三次元領域に含まれる部分を各スライス画像データのROIとして設定する。
【0093】
すなわち、図6(c)の実線に示すような三次元領域(D)が設定され、三次元領域(D)に含まれる各スライス画像データ(S)の点線部分がROI(R)として設定される。
【0094】
ここで、線形補間によるROIの設定方法の詳細について説明する。
【0095】
図7は、2枚の距離画像を用いて線形補間によりROIを設定する方法を説明する図である。
【0096】
図7に示すように2枚の距離画像(スライス画像n−1の入力画像およびスライス画像nの入力画像)は、基準ROIの輪郭上の画素が例えば100とされる。そして、基準ROIの内側に一つ進む毎に1を足した値が画素値とされる一方、基準ROIの外側に一つ進む毎に1を引いた値が画素値とされる。
【0097】
そして、これらの距離画像を基に線形補間が行なわれ、距離画像間におけるスライス画像データから補間画像が新たな距離画像として生成される。すなわち、スライス画像n−1から生成された距離画像の座標(x,y)における画素値をn−1(x,y)、スライス画像nから生成された距離画像の座標(x,y)における画素値をn(x,y)とすると、新たな距離画像の座標(x,y)における画素値T(x,y)は、式(3)で示される。
【0098】
[数3]
T(x,y)={m・n(x,y)+l・n−1(x,y)}/(l+m)・・・(3)
ただし、l,mは、元になる距離画像から新たな距離画像までの距離に応じて決定される値である。例えば、2枚の距離画像の中間に新たな距離画像を生成する場合には、式(3)において、l=m=1として2枚の距離画像の画素値の平均を画素値とする距離画像が作成される。
【0099】
図8は、図7に示す距離画像および補間画像を二値化して立体的に表した図である。
【0100】
図7に示す各距離画像において、画素値100を閾値として二値化し、立体的に表すと、図8に示すように段差がより小さくなるように階段上に形成された三次元領域となる。
【0101】
そして、垂直線形補間部43eは、このように設定された各スライス画像データのROIおよび平行移動後の基準ROIをROI情報として、平行移動後における各距離画像データおよびスライス画像データとともにROI重心位置復帰部43fに与える。
【0102】
次に、ステップS14において、ROI重心位置復帰部43fは、ROI重心位置検出部43aから受けた基準ROIの位置ずれ情報に基づいて、垂直線形補間部43eから受けた各距離画像データおよびスライス画像データの重心位置がROI重心位置一致部43bによる平行移動前における重心位置に復帰されるように平行移動させる。
【0103】
すなわち、図6(d)のようにROI(R)および基準ROI(R1,R2)が平行移動せしめられ、スライスに垂直な方向の直線に沿わない三次元領域(D)に含まれるようにROI(R)および基準ROI(R1,R2)が設定される。
【0104】
一方、ステップS12において、スライス間において所望とする複数のROIがねじれの関係にあると判定された場合には、基準ROIや各スライス画像データの回転移動が行なわれる。この場合には、基準ROIや各スライス画像データの回転移動に先立って、ROI回転角度検出部43cから基準ROIの角度ずれ情報がROI回転角度一致部43dおよびROI回転角度復帰部43gに与えられる。
【0105】
そして、ステップS15において、ROI重心位置一致部43bから平行移動後の各距離画像データおよびスライス画像データが、ROI回転角度一致部43dに与えられ、各距離画像データおよびスライス画像データの回転移動が行なわれる。
【0106】
図9は、図2に示すROI補間部43により、基準ROIや各スライス画像データの回転移動が行なわれる場合におけるROIの設定方法を説明する図である。
【0107】
例えば図9(a)に示すように基準ROI(R1,R2)の平行移動により、2つの距離画像データ(S1,S2)上に扁平な基準ROI(R1,R2)が一定の角度だけ回転した状態となる。そして、ROI回転角度一致部43dが、ROI回転角度検出部43cから受けた各基準ROI(R1,R2)の回転角度の角度ずれ情報に基づいて、図9(b)に示すように平行移動後の各距離画像データ(S1,S2)およびスライス画像データ(S)を、スライス方向に平行な面上において均等に回転移動させることにより、各距離画像データ(S1,S2)およびスライス画像データ(S)の回転角度を一致させる。さらに、ROI回転角度一致部43dは、回転移動後の各距離画像データ(S1,S2)およびスライス画像データ(S)を垂直線形補間部43eに与える。
【0108】
次に、図5のステップS16において、垂直線形補間部43eは、図9(c)に示すようにROI回転角度一致部43dから受けた回転移動後における各距離画像データ(S1,S2)の基準ROI(R1,R2)に基づいて、スライス方向に隣り合う各距離画像データ(S1,S2)のスライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域(D)を設定する。そして、回転移動後におけるスライス画像データ(S)のうち設定された三次元領域(D)に含まれる部分を各スライス画像データ(S)のROI(R)として設定する。さらに、垂直線形補間部43eは、基準ROI(R1,R2)および設定した各スライス画像データ(S)のROI(R)をROI情報として、平行移動後および回転移動後における各距離画像データ(S1,S2)およびスライス画像データ(S)とともにROI回転角度復帰部43gに与える。
【0109】
次に、ステップS17において、ROI回転角度復帰部43gは、ROI回転角度検出部43cから受けた基準ROI(R1,R2)の回転角度の角度位置ずれ情報に基づいて、図9(d)に示すように垂直線形補間部43eから受けた各距離画像データ(S1,S2)およびスライス画像データ(S)の回転角度がROI回転角度一致部43dによる回転移動前における回転角度に復帰されるように回転移動させる。そして、回転角度復帰後における各距離画像データ(S1,S2)およびスライス画像データ(S)をROI重心位置復帰部43fに与える。この結果、血管のようにねじれた物体を抽出するような場合であっても、連結性の保たれた三次元領域(D)を抽出することができる。
【0110】
そして、各距離画像データおよびスライス画像データの回転移動を行なわなかった場合と同様に、ステップS14において、ROI重心位置復帰部43fにより各距離画像データおよびスライス画像データの重心位置が平行移動前における重心位置に復帰されるように平行移動される。
【0111】
次に、ステップS18において、このように平行移動や回転移動を伴って生成されたROIは、ROI重心位置復帰部43fによりROI情報として重心位置復帰後における各距離画像データおよびスライス画像データをとともにROI記憶部44に書き込まれる。つまり、各スライス画像データに血管等の物体を抽出するためのROIが設定される。
【0112】
このようにROIが設定されると、図4のステップS7において、画像抽出部45では、ROI記憶部44に記憶されている各ROIに基づき、画像記憶部36に記憶されている各スライス画像データの内、ROI部分のみが抽出される。そして、抽出されたROI部分の各スライス画像データは、画像抽出部45により抽出画像記憶部46に書き込まれて保存される。
【0113】
ただし、ROI部分に含まれるスライス画像データの抽出処理の他、削除処理やペイント処理等の処理を行なってもよい。
【0114】
図10は、図11に示す超音波診断装置30の画像抽出部45によるスライス画像データに対する処理を示す図である。
【0115】
例えば図10(a)に示すような領域Aのスライス画像データが画像記憶部36から画像抽出部45に読み込まれる一方、図10(b)に示すような領域BのROIがROI記憶部44から画像抽出部45に読み込まれる。そして、画像抽出部45は、例えば、ROI部分に含まれるスライス画像データの抽出処理を行なうことにより、図10(c)に示すような領域A,Bの共通部分に含まれるスライス画像データを作成する。また、画像抽出部45は、例えば、ROI部分に含まれるスライス画像データの削除処理を行なうことにより、図10(d)に示すような領域Aと領域B以外の領域との共通部分に含まれるスライス画像データを作成することもできる。さらに、画像抽出部45は、例えば、ROI部分のペイント処理を行なうことにより、図10(e)に示すような領域Aと領域Bの和で示されるスライス画像データを作成することもできる。
【0116】
次に、図4のステップS8において、三次元表示処理部47は、抽出画像記憶部46に記憶されているROI部分のスライス画像データに対し、重ね合わせ処理、表示部38の階調に合わせる処理等の三次元表示処理を行って、表示部38に与える。この結果、表示部38には、血管等の器官や臓器が抽出されてSVR画像、MIP画像、MPR画像等の三次元画像として表示される。
【0117】
すなわち以上に示す超音波診断装置30は、スライス方向に隣り合う基準ROIの重心がスライス垂直方向の直線上となるように、基準ROIが設定された距離画像データ間におけるスライス画像データとともに均等に距離画像データをスライス方向方向に平行移動してから線形補間処理によって三次元領域を設定し、その後に距離画像データおよびスライス画像データを元の位置に復元させることによって、連結性の保たれた三次元領域をROIとして抽出するものである。
【0118】
このため、血管等の器官や臓器のようにスライス方向の断面における重心の位置が、スライス方向に対して垂直な軸線上にない場合であっても、適切なROIを設定して、三次元領域として抽出することができる。
【0119】
さらに、超音波診断装置30は、ねじれた関係にある臓器の抽出には、上記に加え、スライス方向に隣り合う基準ROIの回転角度が一致するように基準ROIが設定された距離画像データ間におけるスライス画像データとともに均等に距離画像データをスライス方向に平行な面上において回転移動してから線形補間処理によって三次元領域を設定し、その後に距離画像データおよびスライス画像データを元の位置に復元させることによって、連結性の保たれた三次元領域をROIとして抽出するものである。
【0120】
つまり、以上のようなROI補間領域抽出装置によれば、ROIの設定面に対し、斜めに存在する臓器であっても、ねじれた関係にある臓器あっても、適正に平行移動や回転移動を伴う線形補間によって三次元領域を抽出することができる。
【0121】
そして、このような画像処理機能を備えた画像処理システム35は、超音波診断装置30に限らず、X線CT装置やMRI装置等の画像診断装置に内蔵して、二次元(2D)スライス画像データから3D画像データを再構成するためのROI設定に適用させることができる。
【0122】
尚、画像処理システム35では、スライス画像データにROIを設定する例を示したが、ROIを設定する対象が複数の平行な面であれば、MPR画像データ等の任意断面における被検体の二次元断層画像データを対象としてROIを設定してもよい。
【0123】
また、距離画像を基準ROIの輪郭の内側に1画素進む毎に1を足した値をその画素の値とするとともに、基準ROIの輪郭の外側に1画素進む毎に1を引いた値をその画素の値とすることで作成したが、任意数画素進む毎に任意数を加減した値を画素値として距離画像を作成してもよい。さらに、X線CT装置で収集されたCT画像に基づいてROIを設定する場合には、画素値の代わりにCT値を用いてもよい。
【0124】
また、画像処理システム35に距離画像データおよびスライス画像データの平行移動処理の機能を設けずに、回転移動処理の機能のみを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明に係る画像診断装置の一例としての超音波診断装置の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図2】図1に示す超音波診断装置に内蔵される画像処理システムのROI補間部の詳細構成を示す機能ブロック図。
【図3】図1に示す超音波診断装置に内蔵される画像処理システムの入力データの例を説明する図。
【図4】図1に示す超音波診断装置により、三次元領域に含まれる画像を表示させる際の手順を示すフローチャート。
【図5】図4に示すフローチャートにおいて、ROI補間部により各スライス画像データのROIを設定する手順の詳細を示すフローチャート。
【図6】図2に示すROI補間部による各スライス画像データのROIの設定方法を説明する図。
【図7】2枚の距離画像を用いて線形補間によりROIを設定する方法を説明する図。
【図8】図7に示す距離画像および補間画像を二値化して立体的に表した図。
【図9】図2に示すROI補間部により、基準ROIや各スライス画像データの回転移動が行なわれる場合におけるROIの設定方法を説明する図。
【図10】図11に示す超音波診断装置の画像抽出部によるスライス画像データに対する処理を示す図。
【図11】従来の画像処理システムの機能ブロック図。
【図12】図11に示す従来の画像処理システムのROI補間部による三次元領域の抽出方法を説明する図。
【図13】図11に示す従来の画像処理システムのROI補間部による三次元領域の抽出方法を用いた場合に生じる問題の一例を説明する図。
【図14】図11に示す従来の画像処理システムのROI補間部による三次元領域の抽出方法を用いた場合に生じる問題の別の一例を説明する図。
【符号の説明】
【0126】
30 超音波診断装置
31 送信回路
32 受信回路
33 超音波プローブ
34 画像生成回路
35 画像処理システム
36 画像記憶部
37 表示処理部
38 表示部
39 座標変換部
40 マウス
41 距離画像演算部
42 距離画像記憶部
43 ROI補間部
43a ROI重心位置検出部
43b ROI重心位置一致部
43c ROI回転角度検出部
43d ROI回転角度一致部
43e 垂直線形補間部
43f ROI重心位置復帰部
43g ROI回転角度復帰部
44 ROI記憶部
45 画像抽出部
46 抽出画像記憶部
47 三次元表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の二次元断層画像データを収集する画像データ収集手段と、
前記二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するROI重心位置検出手段と、
前記ROI重心位置検出手段により検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるROI重心位置一致手段と、
このROI重心位置一致手段による平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、
前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段と、
を有することを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
被検体の二次元断層画像データを収集する画像データ収集手段と、
前記二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するROI回転角度検出手段と、
前記ROI回転角度検出手段により検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるROI回転角度一致手段と、
このROI回転角度一致手段による回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、
前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるROI回転角度復帰手段と、
を有することを特徴とする画像診断装置。
【請求項3】
被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するROI重心位置検出手段と、
前記ROI重心位置検出手段により検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるROI重心位置一致手段と、
このROI重心位置一致手段による平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、
前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するROI回転角度検出手段と、
前記ROI回転角度検出手段により検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるROI回転角度一致手段と、
このROI回転角度一致手段による回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段と、
前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるROI回転角度復帰手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項5】
コンピュータを、
被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するROI重心位置検出手段、
前記ROI重心位置検出手段により検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるROI重心位置一致手段、
このROI重心位置一致手段による平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段、
並びに前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるROI重心位置復帰手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項6】
コンピュータを、
被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するROI回転角度検出手段、
前記ROI回転角度検出手段により検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるROI回転角度一致手段、
このROI回転角度一致手段による回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定する垂直線形補間手段、
並びに前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるROI回転角度復帰手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項7】
被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、この基準ROIの重心の位置を検出するステップと、
検出された前記重心の位置に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの重心の位置が前記スライスに垂直な方向の直線上となるように、前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な方向に均等に平行移動させるステップと、
前記平行移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記平行移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定するステップと、
前記関心領域が設定された前記平行移動後における前記二次元断層画像データの重心の位置が平行移動前における重心の位置に復帰されるように前記二次元断層画像データを平行移動させるステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
被検体の二次元断層画像データに設定された基準となる複数の関心領域を基準ROIとして、基準ROIの回転角度を検出するステップと、
検出された前記回転角度に基づいて、前記二次元断層画像データのスライス方向に隣り合う前記基準ROIの回転角度が一致するように前記基準ROIが設定された前記二次元断層画像データとともに前記基準ROIが設定されていない前記二次元断層画像データを前記スライスに平行な面上において均等に回転移動させるステップと、
前記回転移動後における前記二次元断層画像データの前記スライスに垂直な方向の線形補間を行なうことにより三次元領域を設定するとともに、設定された前記三次元領域に含まれる前記回転移動後における前記二次元断層画像データの部分を前記二次元断層画像データの関心領域として設定するステップと、
前記関心領域が設定された前記回転移動後における前記二次元断層画像データの回転角度が回転移動前における回転角度に復帰されるように前記二次元断層画像データを回転移動させるステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−87827(P2006−87827A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−280207(P2004−280207)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】