画像診断装置およびその処理方法
【課題】 画像診断装置において、プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、リアルタイムでの画像出力を行うことができるようにすることを目的とする。
【解決手段】 信号の送受信を繰り返すプローブを体腔内においてラジアル走査させ、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該体腔内の断面画像を形成・出力する画像診断装置であって、前記断面画像を連続して表示する際のフレームレートに基づいて、前記反射信号に基づいて生成したデータの一部を抽出する抽出手段と、前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御手段とを備える。
【解決手段】 信号の送受信を繰り返すプローブを体腔内においてラジアル走査させ、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該体腔内の断面画像を形成・出力する画像診断装置であって、前記断面画像を連続して表示する際のフレームレートに基づいて、前記反射信号に基づいて生成したデータの一部を抽出する抽出手段と、前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動脈硬化の診断やバルーンカテーテル、ステント等の高機能カテーテルによる血管内治療時の術前診断、あるいは術後の結果確認のために画像診断装置が広く使用されている。
【0003】
画像診断装置の一例として、血管内超音波診断装置(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)が挙げられる。一般に血管内超音波診断装置は、血管内において超音波振動子をラジアル走査させ、体腔内の生体組織で反射された反射波(超音波エコー)を同じ超音波振動子で受信した後、増幅、検波等の処理を施し、生成された超音波エコーの強度に基づいて、血管の断面画像を描出するように構成されている。
【0004】
また、血管内超音波診断装置の他、近年では、画像診断装置として光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherent Tomography)も利用されるようになってきている。光干渉断層診断装置は、先端に光学レンズ及び光学ミラーを取り付けた光ファイバーを内蔵したカテーテルを血管内に挿入し、光ファイバーの先端側に配置した光学ミラーをラジアル走査させながら、血管内に光を出射し、組織からの反射光をもとに血管の断面画像を描出するものである。
【0005】
更に、最近では、光干渉断層診断装置の改良型として、波長掃引利用の光干渉断層診断装置も利用されるようになってきている。
【0006】
このように、画像診断装置には検出原理の異なる複数種類の装置があり、いずれもプローブをラジアル走査させることで断面画像を抽出することを特徴としている。このため、いずれの装置においても、ラジアル走査を高速化し軸方向の走査速度を上げることにより、画像診断装置における診断時間を短くすることができるというメリットがある。
【0007】
一例として、血管内超音波診断装置(IVUS)の場合について具体的に説明する。一般的に、血管内超音波診断装置では、超音波振動子を1800rpm程度で回転させながら超音波を送受信するラジアル走査を行い、断面画像を抽出している。
【0008】
ここで、1800rpmとしているのは、CRTやLCD等の表示装置に画像を連続的に出力するためのビデオ信号のフレームレートが、多くの場合、30fps(30frame/sec=1800frame/min)であるためである。つまり、これ以上高速にラジアル走査を行っても表示装置側に表示させることができない。
【0009】
しかし、超音波振動子の回転数が1800rpm程度の場合、1断面を走査するのに1/30秒要することとなる。この場合、1断面を走査する間に心拍動による画像のブレが生じることが考えられる。このため、より高速なラジアル走査が望まれている。
【0010】
しかしながら、上述したように、ラジアル走査を高速化させても、ビデオ信号のフレームレートが高速にならない限りは、取得した画像をリアルタイムで表示することはできない。そこで、例えば、リアルタイム時には断面画像を構築せず、すべての受信信号をA/D変換器によりデジタルデータに変換し、ハードディスクや半導体メモリなどの大容量記憶デバイスに記録しておき、データ取得完了後に、該記録されたデータから、全フレーム分の断面画像を描出し、表示を行うといった表示方法が考えられる。
【0011】
例えば、下記特許文献1には、超音波の受信信号に基づいて生成されたすべてのデータをリアルタイムにハードディスク等の大容量記憶デバイスに記録する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−279413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法を利用し、リアルタイム時に断面画像を描出せず、全データを記録しておき、データ取得完了後に全フレーム分の断面画像を描出することとすると、リアルタイム時に、正常にデータ取得できているか否かが確認できない。
【0013】
このため、何らかの原因で、データ取得ができなかった場合には、再度、カテーテルを挿入し、データ取得しなおさなければならず、不都合である。また、プローブのラジアル走査を高速化した結果、リアルタイムの断面画像が確認できなくなるというのは、画像診断装置として適切でない。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像診断装置において、プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、リアルタイムでの画像出力を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために本発明に係る画像診断装置は以下のような構成を備える。即ち、
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、体腔内においてラジアル走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて生成されたデータを用いて、該体腔内の断面画像を連続して形成・出力する画像診断装置であって、
前記断面画像を連続して表示する際のフレームレートに基づいて、前記生成したデータの一部を抽出する抽出手段と、
前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成することで、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御手段と、
前記生成されたデータを記憶する記憶手段と、
前記ラジアル走査後に、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、出力するよう制御する第2の出力制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像診断装置において、プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、リアルタイムでの画像出力を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
1.血管内超音波診断装置の外観構成
図1は本発明の第1の実施形態にかかる血管内超音波診断装置(100)の外観構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、血管内超音波診断装置(100)は、カテーテル部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により接続されている。
【0020】
カテーテル部101は、直接血管内に挿入され、超音波振動子(不図示)を用いて血管内部の状態を測定する。スキャナ/プルバック部102は、カテーテル部101内の超音波振動子の動作を規定する。
【0021】
操作制御装置103は、血管内超音波診断を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、断面画像として表示するための機能を備える。
【0022】
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られたデータを処理したり、処理結果を出力する。111−1はプリンタ/DVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。
【0023】
112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値の入力を行う。113はLCDモニタであり、本体制御部111における処理結果を表示する。
【0024】
2.血管内超音波診断装置の機能構成
図2は、図1に示した血管内超音波診断装置100の機能構成を示す図である。
【0025】
同図に示すように、血管内超音波診断装置100は、カテーテル部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備える。
【0026】
カテーテル部101は、先端内部に超音波振動子ユニット201を備えており、超音波振動子ユニット201は、カテーテル部101の先端が血管内に挿入された状態で、超音波信号送受信器221より送信されたパルス波に基づいて、超音波を血管の断面方向に送信するとともに、その反射信号(エコー)を受信し、コネクタ部202及びロータリジョイント211を介して超音波エコー信号として超音波信号送受信器221に送信する。
【0027】
スキャナ/プルバック部102は、ロータリジョイント211、回転駆動装置212、直線駆動装置215を備える。カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201は、非回転部と回転部との間を結合するロータリジョイント211により回動自在に取り付けられており、ラジアル走査モータ213により回転駆動される。超音波振動子ユニット201が血管内を円周方向に回動することで、血管内の所定の位置における断面画像の生成に必要な超音波エコー信号を検出することができる。
【0028】
なお、ラジアル走査モータ213の動作は信号処理部225からモータ制御回路226を介して送信された制御信号に基づいて制御される。また、ラジアル走査モータの回転角度は、エンコーダ部214により検出される。エンコーダ部214において出力される出力パルスは、信号処理部225に入力され、超音波信号送受信器221における送受信のタイミングに利用される。また、後述する信号選別部における選別の際にも利用される。
【0029】
スキャナ/プルバック部102は、更に、直線駆動装置215を備え、信号処理部225からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向の動作を規定している。
【0030】
超音波信号送受信器221は、送信回路と受信回路とを備える(不図示)。送信回路は、信号処理部225から送信された制御信号に基づいて、カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201に対してパルス波を送信する。
【0031】
また、受信回路は、カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201より超音波信号を受信する。受信された超音波信号はアンプ222により増幅される。
【0032】
更に、A/D変換器224では、アンプ222より出力された超音波信号をサンプリングして、1ラインのデジタルデータ(超音波エコーデータ)を生成する。
【0033】
A/D変換部224にて生成されたライン単位の超音波エコーデータは信号処理部225に入力される。信号処理部225では、超音波エコーデータを検波して、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ227に出力する。
【0034】
3.カテーテル部の構成
3.1 カテーテル部の全体構成
次にカテーテル部101の全体構成について図3を用いて説明する。
【0035】
図3に示すように、カテーテル部101は、血管内に挿入される長尺のカテーテルシース301と、ユーザが操作するために血管内に挿入されずユーザの手元側に配置されるコネクタ302により構成される。シースの先端には、ガイドワイヤルーメン303が形成されており、カテーテルシース301は、ガイドワイヤルーメン303との接続部からコネクタ302との接続部にかけて連続する管腔として形成されている。
【0036】
コネクタ302は、カテーテルシース301の基端に一体化して構成されたシースコネクタ302aと駆動シャフトの基端に設けられ、駆動シャフト422を回転可能に保持するよう構成された駆動シャフトコネクタ302bとからなる。
【0037】
シースコネクタ302aとカテーテルシース301の境界部には、耐キンクプロテクタ311が設けられている、これにより所定の剛性が保たれ、急激な変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。また、駆動シャフトコネクタ302bには、カテーテルシース301の管腔内全体を超音波伝達液で満たすため、シリンジ(不図示)等の取り付けが可能な注入ポート312が備えられている。駆動シャフトコネクタ302bの基端は、後述するスキャナ/プルバック部102と接続可能に構成されている。
【0038】
3.2 カテーテル部の先端部の構成
次にカテーテル部101の先端部の構成について図4を用いて説明する。
【0039】
図4において、カテーテルシース301の管腔内部には、超音波を送受信する超音波振動子ユニット401と、それを回転させるための駆動力を伝達する駆動シャフト402とを備えるイメージングコア403がカテーテルシース301のほぼ全長にわたって挿通されている。超音波振動子ユニット401は、超音波振動子401bとそれを保持するハウジング401aからなり、当該超音波振動子401bより体腔内組織に向けて超音波が送信されるとともに、当該超音波振動子401bにて体腔内組織からの反射波が受信される。
【0040】
駆動シャフト402はコイル状に形成され、その内部には信号線が配され、超音波振動子401bからコネクタ302まで伸びている。
【0041】
超音波振動子401bは矩形状あるいは円形状をしており、PZT等からなる圧電材の両面に、電極を蒸着することにより形成されている。超音波振動子401bは、駆動シャフト402が回転ムラを引き起こさないように、回転軸方向の中心付近に位置するよう設置されている。
【0042】
ハウジング401aは、短い円筒状のパイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、素材としては、金属または硬質の樹脂が好適に用いられる。成形方法としては、パイプ状のものに切削加工、レーザ加工、プレス加工などの加工を施し、切り欠き部を形成する方法や、射出成形やMIM(金属粉末射出成形)などにより直接所望の形状を得る方法がある。ハウジング401aは、内部に超音波振動子401bを有し、基端側は駆動シャフト402と接続されている。また、先端側には短いコイル状の弾性部材404が設けられている。
【0043】
弾性部材404はステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材404が先端側に配されることで、イメージングコア403の回転時の安定性が向上する。また、弾性部材404またはハウジング401aの表面には金メッキが施されている。一般に、金は高いX線不透過性を有する金属であるため、当該金メッキにより、弾性部材404はカテーテルシース301が体腔内へ挿入された場合でも、X線撮像装置の映像下で造影される。これにより、ユーザは超音波振動子401bの位置を容易に知ることができる。
【0044】
カテーテルシース301の先端部とガイドワイヤルーメン303との境界部には、プライミング作業で注入された超音波伝達液を外部に排出するための排出口405が設けられている。
【0045】
406は補強コイルであり、カテーテルシース301の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
【0046】
ガイドワイヤルーメン303は、ガイドワイヤが挿入可能な孔を有する。ガイドワイヤルーメン303は、予め体腔内に挿入され、カテーテルシース301を患部まで導くために使用される。
【0047】
駆動シャフト402は、カテーテルシース301に対して回転及びスライド動作することが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝達できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。
【0048】
駆動シャフト402の回転により管腔内は、360度観察可能となるが、更に広範囲を観察するには、駆動シャフト402を軸方向にスライドさせればよい。
【0049】
図5は、駆動シャフト402をカテーテルシース301に対して相対的にスライドさせた様子を示す図である。同図に示すように、シースコネクタ302aは固定した状態で、駆動シャフトコネクタ302bを基端側に(矢印501方向に)スライドさせれば、内部の駆動シャフト402やその先端に固定された超音波振動子ユニット401が軸方向にスライドすることとなる。この軸方向のスライドは、ユーザが手動で行ってもよいし、電動で行っても良い。
【0050】
なお、駆動シャフトコネクタ302bの先端側には、高速回転する駆動シャフト402が露出しないように保護内管502が設けられている。
【0051】
4.信号処理部の構成
次に信号処理部225の構成について説明する。図6は、血管内超音波診断装置100の信号処理部225の機能構成を示す図である。
【0052】
図6において、607は制御部であり、血管内超音波診断装置100全体を統括的に制御する。606は送信部であり、超音波信号送受信器221に対して動作指示を送る。
【0053】
601は大容量記憶部であり、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。大容量記憶部601では、超音波信号送受信器221よりアンプ222、A/D変換器224を介して送信された全ての超音波エコーデータを送受信単位(ライン単位)で順次受信し、記憶する。
【0054】
大容量記憶部601に記憶された超音波エコーデータは、必要に応じて(制御部607からの指示に基づいて)、ビデオ信号のフレームレートに合わせて読み出され、信号選択部603に送られる。
【0055】
なお、大容量記憶部601の容量は、ラジアル走査により、何フレーム分のデータを取得するかにより決定される。例えば、0.5mmピッチで150mmの血管をラジアル走査する場合には、300フレームのデータとなる。そして1フレームが1024ライン×1024サンプルの16ビットデータの場合、600Mバイトとなる。この場合、大容量記憶部601として、1Gバイト以上の半導体メモリ、もしくはハードディスクを選択することができる。
【0056】
602は信号選別部であり、A/D変換器224より送信された超音波エコーデータのうち、所定のデータを選択的に抽出する機能を備える。信号選別部602は、書き込み禁止機能付のFIFOメモリにより構成される。エンコーダ部214の出力パルスに同期させて、FIFOメモリの書き込み可能/禁止を制御し、書き込み可能なときのみ、入力された超音波エコーデータをFIFOメモリに書き込む。
【0057】
すなわち、ラジアル走査1フレーム分のデータが構成されるように送受信単位(ライン単位)で書き込み可能にし、不要な超音波エコーデータが入力される場合は、書き込み禁止にする。また、FIFOからの読み出しは、後段の処理のタイミングにあわせて行われ、読み出された超音波エコーデータは信号選択部603に出力される。なお、超音波エコーデータの選別方法の詳細については後述する。
【0058】
603は信号選択部であり、制御部607より、大容量記憶部601に記憶された超音波エコーデータを読み出す旨の指示を受け取った場合には、大容量記憶部601内の超音波エコーデータを読み出し、信号後処理部604に送る。一方、制御部607より、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合には、信号選別部602において選別された超音波エコーデータを読み出し、信号後処理部604に送る。
【0059】
604は信号後処理部であり、信号選択部604より送信された超音波エコーデータに対して対数変換、フレーム相関、ガンマ補正、コントラスト調整、シャープネスフィルタ等の処理を行い、画像構築部605に出力する。
【0060】
画像構築部605では、超音波の送受信単位(ライン単位)の超音波エコーデータ列をビデオ信号に変換する。これにより、LCDモニタ227に表示する断面画像を形成する。
【0061】
この結果、信号選択部603が制御部607より、大容量記憶部601に記憶された超音波エコーデータを読み出す旨の指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ227には、大容量記憶部601内の超音波エコーデータに基づいて形成された断面画像が表示され、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ227には、信号選別部602において選別された超音波エコーデータに基づいて形成された断面画像が、超音波振動子401bのラジアル走査に対応して表示されることとなる。つまり、LCDモニタ227は、ラジアル走査時のリアルタイム表示とラジアル走査後の表示の2種類の断面画像表示を行うよう制御される。
【0062】
5.血管内超音波診断時のカテーテル部101の動作
図7は血管内超音波診断時のカテーテル部101の動作を説明するための模式図である。図7(a)、(b)はそれぞれカテーテル部101が挿入された状態の血管の断面図および斜視図である。
図7(a)において、701はカテーテル部101が挿入された血管断面を示している。上述のように、カテーテル部101はその先端内部に超音波振動子401bが取り付けられており、ラジアル走査モータ213により矢印702方向に回転する。
【0063】
超音波振動子401bからは、各回転角度にて超音波の送信/受信が行われる。ライン1、2、・・・1024は各回転角度における超音波の送信方向を示している。本実施形態では、超音波振動子401bが所定の血管断面(701)にて360度回動する間に、1024回の超音波の送信/受信が断続的に行われる。なお、360度回動する間における超音波の送信/受信回数は特にこれに限られず、任意に設定可能であるものとする。このように超音波振動子(信号の送受信部)を回転させながら信号の送信/受信を繰り返すスキャン(走査)を、一般に「ラジアルスキャン(ラジアル走査)」という。
【0064】
このような超音波の送信/受信は、血管内を矢印703方向(図7(b))に進みながら行われる。
【0065】
6.血管内超音波診断時の信号処理
6.1 信号処理の概要
本発明の第1の実施形態にかかる血管内超音波診断装置100における血管内超音波診断時の信号処理の概要について説明する。
【0066】
図8は、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0067】
同図(a)に示すように、超音波振動子401bが1回転するごとに、血管の断面画像を1つ形成するための超音波エコーデータ(1024ライン)が取得される(図8(a)の例では、6回転することで、6枚の断面画像を形成するための超音波エコーデータ(801〜806)が取得される)。
【0068】
各回転ごとに取得された超音波エコーデータは、後で再生できるように大容量記憶部601に記憶する。また、各回転ごとに取得された超音波エコーデータの一部を取り出し、1フレーム分の超音波エコーデータを生成し、リアルタイムで表示する。図8(a)の例では、1回転目に取得された超音波エコーデータ(801)からは、0度〜120度分の超音波エコーデータを取り出し、2回転目に取得された超音波エコーデータ(802)からは、120度〜240度分の超音波エコーデータを取り出し、3回転目に取得された超音波エコーデータ(803)からは、240度〜360度分の超音波エコーデータを取り出す。取り出された超音波エコーデータは結合され、1フレーム分の超音波エコーデータとして生成される(811)。
【0069】
図8(b)は、生成された1フレーム分の超音波エコーデータ(811)の内訳を示す図である。同図に示すように、1回転目の超音波エコーデータのライン1〜ライン340と、2回転目の超音波エコーデータのライン341〜682と、3回転目の超音波エコーデータのライン683〜1024により構成されている。生成された超音波エコーデータはリアルタイムに表示される。
【0070】
同様に、4回転目から6回転目までに取得された超音波エコーデータに基づいて、1フレーム分の超音波エコーデータを生成し(812)、リアルタイムで表示する。
【0071】
このように、超音波振動子401bのラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、各回転で得られた超音波エコーデータの一部を取り出し、それらを結合して1フレームを形成するように構成することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0072】
なお、上述のように各回転ごとに取得された超音波エコーデータは、並行して大容量記憶部601に記憶される。このため、後で大容量記憶部601に記憶された全超音波エコーデータを読み出すことで、全ての超音波エコーデータを表示させることが可能となる。このように、血管内超音波診断装置100によれば、超音波振動子401bのラジアル走査を高速化した場合でも、全データの表示とリアルタイムでの表示とを選択的に行うことができる。
【0073】
6.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
次に上記信号処理を実現するための信号処理部225の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0074】
6.2.1 制御部607における処理の流れ
図9は、血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部607における処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
ステップS901では、ラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとを読み出す。ステップS902では、読み出されたラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとの比(α)を算出する。
【0076】
ステップS903では、ステップS902にて算出された比(α)を信号選別部602に送信する。
【0077】
6.2.2 信号選別部602における処理の流れ
図10は、血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部602の処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
ステップS1001では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値mは超音波振動子ユニット401の回転数をカウントするためのパラメータである。また、カウント値nは、超音波エコーデータのライン番号を管理するためのパラメータである。
【0079】
ステップS1002では、A/D変換器224より送信されたライン番号=nの超音波エコーデータのライン番号が下式(式1、式2)の条件を満たすか否かを判断する。
(式1)1024×(m−1)/α≦n
(式2)1024×m/α>n
ステップS1002において、式1及び式2の条件を具備すると判定された場合には、ステップS1003に進み、FIFOメモリに当該超音波エコーデータ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS1004に進み、当該超音波エコーデータを取り出し、所定のタイミングで信号選択部603に出力した後、ステップS1005に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0080】
一方、ステップS1003において、式1及び式2の条件を具備しないと判定された場合には、FIFOメモリが書き込み禁止となって直接ステップS1005に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示には利用されない。
【0081】
ステップS1005では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS1008に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS1002に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS1006に進む。
【0082】
ステップS1006では、カウント値mがαよりも小さいか否かを判定する。カウント値mがαより小さいと判定された場合には、ステップS1009に進み、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を入力する。
【0083】
一方、ステップS1006において、カウント値mがαと等しいと判定された場合には、ステップS1007に進む。ステップS1007では、次の超音波エコーデータがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、ステップS1001に戻る。一方、ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0084】
6.2.3 実施例
上記フローチャート(図9、図10)の実施例について説明する。ここではビデオ信号のフレームレートが30fpsで、ラジアル走査のフレームレートが90fps(5400rpm)であるとする。この場合、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートの比は1:3となり、図9のフローチャートに基づいて制御部607ではα=3が算出される。
【0085】
したがって、信号選別部602では、3回転分の超音波エコーデータから、各回転ごとに120度ずつ超音波エコーデータを選別する。つまり、入力された超音波エコーデータのうち、1回転目の1〜340ライン、2回転目の341〜682ライン、3回転目の683〜1024ラインをそれぞれ選別する。
【0086】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、超音波エコーデータを選別することにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0087】
この結果、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0088】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、各回転ごとに超音波エコーデータの一部を選別し、それらを結合することで、断面画像を形成することとしたが、本発明は特にこれに限定されない。例えば、ビデオ信号のフレームレートと、ラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、所定回転目の超音波エコーデータを選別するようにしてもよい。以下、本実施形態における信号処理について説明する。
【0089】
1.血管内超音波診断時の信号処理
1.1 信号処理の概要
本発明の第2の実施形態にかかる血管内超音波診断装置100における血管内超音波診断時の信号処理の概要について説明する。
【0090】
図11は、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0091】
同図に示すように、超音波振動子401bが1回転するごとに血管の断面画像を1つ形成するための超音波エコーデータ(1024ライン)が取得される(図11の例では、6回転することで、6枚の断面画像を形成するための超音波エコーデータ(1101〜1106)が取得される)。
【0092】
各回転ごとに取得された超音波エコーデータは、測定後に再生できるように大容量記憶部601に記憶される。また、取得された超音波エコーデータのうち、所定回転目の超音波エコーデータを選別し、リアルタイムで表示する。図11の例では、3回転目に取得された超音波エコーデータ(1103)が選別され、当該超音波エコーデータがリアルタイム表示に利用される。同様に、6回転目の超音波エコーデータ(1106)がリアルタイム表示に利用される。
【0093】
このように、超音波振動子401bのラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、超音波エコーデータを間引いてリアルタイム表示に利用することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0094】
1.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
上記信号処理を実現するための信号処理部225の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0095】
1.2.1 制御部607における処理の流れ
制御部607における処理の流れは、図9と同様であるためここでは説明を省略する。
【0096】
1.2.2 信号選別部602における処理の流れ
図12は、血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部602の処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
ステップS1201では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値m、nは上記第1の実施形態と同様のパラメータである。
【0098】
ステップS1202では、A/D変換器224よりライン番号=nの超音波エコーデータが、m×α回転目の超音波エコーデータか否かを判定する。
【0099】
ステップS1202において、m×α回転目の超音波エコーデータであると判定された場合には、ステップS1203に進み、FIFOメモリに当該超音波エコーデータ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS1204に進み、当該超音波エコーデータを選別し、所定のタイミングで信号選択部603に出力した後、ステップS1205に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0100】
一方、ステップS1203において、m×α回転目の超音波エコーデータでないと判定された場合には、FIFOメモリが書き込み禁止となって直接ステップS1205に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示には利用されない。
【0101】
ステップS1205では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS1207に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS1202に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS1206に進む。
【0102】
ステップS1206では、次の超音波エコーデータがあるか否かを判定する。次の超音波エコーデータがあると判定された場合には、ステップS1208に進む。ステップS1208では、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を設定した後、ステップS1202に戻る。
【0103】
一方、ステップS1206において次の超音波エコーデータがないと判定された場合には、処理を終了する。
【0104】
1.2.3 実施例
上記フローチャート(図12)の実施例について説明する。ビデオ信号のフレームレートが30fpsで、ラジアル走査のフレームレートが90fps(5400rpm)であるとする。この場合、ビデオ信号のフレームレートラジアル走査のフレームレートの比は1:3となり、図9のフローチャートに基づいて制御部607では、α=3が算出される。
【0105】
したがって、信号選別部602では、3、6、9・・・回転目の1回転分の超音波エコーデータを選別する。これにより、超音波エコーデータがフレーム単位で間引きされることとなる。
【0106】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、フレーム単位で超音波エコーデータを間引くことにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0107】
この結果、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0108】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、血管内超音波診断装置において、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合の、信号処理部の処理について説明した。しかしながら、本発明は特に血管内超音波診断装置に限定されるものではなく、他の画像診断装置においても適用可能である。そこで、本実施形態では、光干渉断層診断装置に適用した場合について説明する。
【0109】
1.光干渉断層診断装置の測定原理
はじめに光干渉断層診断装置の測定原理について簡単に説明する。一般に光は電磁波であるため、重畳させた場合に干渉するという性質を有する。干渉しやすいか干渉しにくいかの干渉性能はコヒーレンスとも呼ばれ、一般的な光干渉断層診断装置では、干渉性の低い低コヒーレンス光(低干渉性光)が利用される。
【0110】
低コヒーレンス光は、横軸に時間、縦軸に電場をとった場合、図13(a)の1301、1302に示すように、ランダムな信号となる。同図における各々の山は波連と呼ばれ、波連は一つ一つが相互に独立な位相と振幅を持っている。このため、図13(a)のように同じ波連同士が重なった場合は(1301と1302)干渉して強めあう一方(1303参照)、わずかな時間遅れがあった場合には(図13(b)の1304と1305)、打ち消しあって、干渉が観測されなくなる(図13(b)の1306参照)。
【0111】
光干渉断層診断装置は、かかる性質を利用したものであり、図14に装置の基本原理を示す。同図に示すように、低干渉性光源1401から出た光をビームスプリッタ1404で分割し、それぞれを参照ミラー1402と測定対象1403に向かわせる。このとき、測定対象側から戻ってくる反射光には、物体表面で反射した光や、物体内部の浅い位置で反射した光、物体内部の深部で反射した光など様々な位置からの反射光が含まれる。
【0112】
しかし、入射光が低干渉性光であるため、干渉が観測される反射光は、ビームスプリッタ1404から参照ミラー1402までの距離をL、コヒーレンス長をΔLとすると、ビームスプリッタ1404からの距離がL+ΔL/2の位置に存在する反射面からの反射光のみとなる。
【0113】
したがって、ビームスプリッタ1404から参照ミラー1402までの距離を変えれば、検出器1405ではその距離に対応した物体内反射面からの反射光のみを選択的に検出することができる。そして、各距離に応じた反射光の強度に基づいて、物体内部の構造情報を可視化することで断面画像を形成することができる。
【0114】
2.光干渉断層診断装置の外観構成
光干渉断層診断装置の外観構成は、上記第1の実施形態において説明した血管内超音波診断装置(図1参照)と同様であるため、説明は省略する。
【0115】
3.光干渉断層診断装置の機能構成
本実施形態にかかる光干渉断層診断装置(1500)の機能構成について図15を用いて説明する。
【0116】
1509は超高輝度発光ダイオード等の低干渉性光源である。低干渉性光源1509は、その波長が1310nm程度で、その可干渉距離(コヒーレント長)が数μm〜10数μm程度であるような短い距離範囲でのみ干渉性を示す低干渉性光を出力する。
【0117】
このため、この光を2つに分岐した後、再び混合した場合には分岐した点から混合した点までの2つの光路長の差が17μm程度の短い距離範囲内の場合には干渉光として検出され、それよりも光路長の差が大きい場合には干渉光が検出されない。
【0118】
低干渉性光源1509の光は、第1のシングルモードファイバ1528の一端に入射され、先端面側に伝送される。第1のシングルモードファイバ1528は、途中の光カップラ部1508で第2のシングルモードファイバ1529と光学的に結合されている。従って、この光カップラ部1508で2つに分岐されて伝送される。
【0119】
第1のシングルモードファイバ1528の光カップラ部1508より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント1503が設けられている。
【0120】
更に、光ロータリジョイント1503内の第3のシングルモードファイバ1530の先端には、光プローブのコネクタ部1502が着脱自在に接続されている。これにより光プローブ1501内に挿通され回転駆動可能な第4のシングルモードファイバ1531に、低干渉性光源1509からの光が伝送される。
【0121】
伝送された光は、光プローブ1501の先端側から体腔内の生体組織側にラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織側の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部は光プローブ1501により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ1528側に戻り、光カップラ部1508によりその一部が第2のシングルモードファイバ1529側に移り、第2のシングルモードファイバ1529の一端から光検出器(例えばフォトダイオード1510)に入射される。なお、光ロータリジョイント1503の回転部側は回転駆動装置1504のラジアル走査モータ1505により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ1505の回転角度は、エンコーダ部1506により検出される。更に、光ロータリジョイント1503は、直線駆動装置1507を備え、信号処理部1514からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向の動作を規定している。
【0122】
また、第2のシングルモードファイバ1529の光カップラ部1508より先端側には、基準光の光路長を変える光路長の可変機構1516が設けてある。
【0123】
この光路長の可変機構1516は生体組織の深さ方向の検査範囲に相当する光路長を高速に変化させる第1の光路長変化手段と、光プローブを交換して使用した場合の個々の光プローブの長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる第2の光路長変化手段とを備えている。
【0124】
第2のシングルモードファイバ1529の先端に対向して、この先端とともに1軸ステージ1520上に取り付けられ、矢印1523に示す方向に移動自在のコリメートレンズ1521を介して、グレーティング1519が配置されている。また、このグレーティング1519(回折格子)と対応するレンズ1518を介して微小角度回動可能なガルバノメータ1517が第1の光路長変化手段として取り付けられている。このガルバノメータミラー1517はガルバノメータコントローラ1524により、矢印1522方向に高速に回転される。
【0125】
ガルバノメータミラー1517はガルバノメータのミラーにより光を反射させるものであり、参照ミラーとして機能する。ガルバノメータに交流の駆動信号を印加することによりその可動部分に採りうけたミラーを高速に回転させるよう構成されている。
【0126】
つまり、ガルバノメータコントローラ1524より、ガルバノメータに対して駆動信号が印加され、該駆動信号により矢印1522方向に高速に回転することで、基準光の光路長が、生体組織の深さ方向の検査範囲に相当する光路長だけ高速に変化することとなる。この光路長の変化の一周期(一走査)が一ライン(ライン単位)分の干渉光データを生成する周期となる。
【0127】
一方、1軸ステージ1520は光プローブ1501を交換した場合に、光プローブの光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する第2の光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ1520はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ1501の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ1520により光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
【0128】
光路長の可変機構1516で光路長が変えられた光は第2のシングルモードファイバ1529の途中に設けた光カップラ部1508で第1のシングルモードファイバ1538側から漏れた光と混合されて、フォトダイオード1510にて受光される。
【0129】
フォトダイオード1510にて受光された光は光電変換され、アンプ1511により増幅された後、復調器1512に入力される。この復調器1512では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器1513に入力される。
【0130】
A/D変換器1513では、干渉光信号を200ポイント分サンプリングして1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。サンプリング周波数は、光路長の1走査の時間を200で除した値である。
【0131】
A/D変換器1513で生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部1514に入力される。この信号処理部1514では深度方向の干渉光データをビデオ信号に変換することにより、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ1527に出力する。
【0132】
なお、信号処理部1514は位置制御装置1526と接続されている。信号処理部1514は位置制御装置1526を介して1軸ステージ1520の位置の制御を行う。また、信号処理部1514はモータ制御回路1525と接続され、ラジアル走査モータ1505の回転駆動を制御する。
【0133】
また、信号処理部1514は、参照ミラー(ガルバノメータミラー)の光路長の走査を制御するガルバノメータコントローラ1524と接続され、ガルバノメータコントローラ1524は信号処理部1514へ駆動信号を出力し、モータ制御装置1525はこの同期信号に基づいてガルバノメータコントローラ1524と同期をとる。
【0134】
4.カテーテル部の構成
カテーテル部101の全体構成は、上記第1の実施形態において説明した血管内超音波診断装置のカテーテル部の構成と同じであるため説明は省略し、カテーテル部101の先端部の構成の相違点について、図16を用いて説明する。
【0135】
図16は、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置1500のカテーテル部101の先端部の構成を示す図である。
【0136】
図16において、カテーテルシース301の管腔内部には、光を照射/受光する光プローブ1601が設けられている。光プローブ1601は、側方照射のためのプリズムまたはミラー1601bが設けられている。光プローブ1601は、プリズムまたはミラー1601bとそれを保持するハウジング1601aからなり、プリズムまたはミラー1601bより体腔内組織にむけて低干渉性光が照射されるとともに、当該プリズムまたはミラー1601bにて体腔内からの反射光を受ける。
【0137】
また、駆動シャフト402の内部には、光ファイバが配され、ハウジング1601aからコネクタ部1502まで伸びている。なお、本実施形態における光干渉断層診断装置においては、事前の生理食塩水の注入(プライミング作業)は必ずしも必要ではないため、カテーテルシース301の先端部とガイドワイヤルーメン303との境界部に形成されるプライミング用排出口705はなくても良い。
【0138】
5.信号処理部の構成
次に信号処理部1514の構成について説明する。図17は、光干渉断層診断装置1500の信号処理部1514の機能構成を示す図である。
【0139】
図17において、1706は制御部であり、光干渉断層診断装置1500全体を統括的に制御する。
【0140】
1701は大容量記憶部であり、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。大容量記憶部1701では、フォトダイオード1510より復調器1512、A/D変換器1513を介して送信された全ての干渉光データを光路長の変化の周期単位(ライン単位)で順次受信し、記憶する。
【0141】
大容量記憶部1701に記憶された干渉光データは、必要に応じて(制御部1706からの指示に基づいて)、ビデオ信号のフレームレートに合わせて読み出され、信号選択部1703に送られる。
【0142】
なお、大容量記憶部1701の容量は、ラジアル走査により、何フレーム分のデータを取得するかにより決定される。例えば、0.5mmピッチで150mmの血管をラジアル走査する場合には、300フレームのデータとなる。そして1フレームが1024ライン×200サンプルの16ビットデータの場合、118Mバイトとなる。この場合、大容量記憶部1701として、1Gバイト以上の半導体メモリ、もしくはハードディスクを選択することができる。
【0143】
1702は信号選別部であり、A/D変換器1513より送信された干渉光データのうち、所定の干渉光データを選択的に抽出する機能を備える。信号選別部1702は、書き込み禁止機能付のFIFOメモリにより構成される。エンコーダ部1506の出力パルスに同期させて、FIFOメモリの書き込み可能/禁止を制御し、書き込み可能なときのみ、入力された干渉光データをFIFOメモリに書き込む。
【0144】
すなわち、ラジアル走査1フレーム分の干渉光データが構成されるように光路長の変化の周期単位(ライン単位)で書き込み可能にし、不要な干渉光データが入力される場合は、書き込み禁止にする。また、FIFOからの読み出しは、後段の処理のタイミングにあわせて行われ、読み出された干渉光データは信号選択部1703に出力される。なお、干渉光データの選別方法の詳細については後述する。
【0145】
1703は信号選択部であり、制御部1706より、大容量記憶部1701に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合には、大容量記憶部1701内の干渉光データを読み出し、信号後処理部1704に送る。一方、制御部1706より、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合には、信号選別部1702において選別された干渉光データを読み出し、信号後処理部1704に送る。
【0146】
1704は信号後処理部であり、信号選択部1703より送信された干渉光データに対してフレーム相関、ガンマ補正、コントラスト調整、シャープネスフィルタ等の処理が行われ画像構築部1705に出力される。
【0147】
画像構築部1705では、低干渉性光の光路長走査単位(ライン単位)の干渉光データ列をビデオ信号に変換する。これにより、LCDモニタ1527に表示する断面画像を形成する。
【0148】
この結果、信号選択部1703が制御部1706より、大容量記憶部1701に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ1527には、大容量記憶部1701内の干渉光データに基づいて形成された断面画像が表示され、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ1527には、信号選別部1703において選別された干渉光データに基づいて形成された断面画像が、光プローブ1601のラジアル走査に対応して表示されることとなる。つまり、LCDモニタ1527は、ラジアル走査時のリアルタイム表示とラジアル走査後の表示の2種類の断面画像表示を行うよう制御される。
【0149】
6.光干渉断層診断時の信号処理
6.1 信号処理の概要
本実施形態にかかる光干渉断層診断装置1500における血管内光干渉断層診断時の信号処理の概要について説明する。
【0150】
図18は、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0151】
同図(a)に示すように、光プローブ1501が1回転するごとに、血管の断面画像を1つ形成するための干渉光データ(1024ライン)が取得される(図18(a)の例では、6回転することで、6枚の断面画像を生成するための干渉光データ(1801〜1806)が取得される)。
【0152】
各回転ごとに取得された干渉光データは、測定後に再生できるように大容量記憶部1701に記憶する。また、各回転ごとに取得された干渉光データの一部を取り出し、1フレーム分の干渉光データを生成し、リアルタイムで表示する。図18(a)の例では、1回転目に取得された干渉光データ(1801)からは、0度〜120度分の干渉光データを取り出し、2回転目に取得された干渉光データ(1802)からは、120度〜240度分の干渉光データを取り出し、3回転目に取得された干渉光データ(1803)からは、240度〜360度分の干渉光データを取り出す。取り出された干渉光データは結合され、1フレーム分の干渉光データとして生成される(1811)。
【0153】
図18(b)は生成された1フレーム分の干渉光データ(1811)の内訳を示す図である。同図に示すように、1回転目の干渉光データのライン1〜ライン340と、2回転目の干渉光データのライン341〜682と、3回転目の干渉光データのライン683〜1024により構成されている。生成された干渉光データはリアルタイムに表示される。 同様に、4回転目から6回転目までに取得された干渉光データに基づいて、1フレーム分のデータを生成し(1812)、リアルタイムで表示する。
【0154】
このように、光プローブ1501のラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、各回転で得られた干渉光データの一部を取り出し、それらを結合して1フレームを形成するように構成することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0155】
なお、上述のように各回転ごとに取得された干渉光データは、並行して大容量記憶部1701に記憶される。このため、後で大容量記憶部1701に記憶された全干渉光データを読み出すことで、全ての干渉光データを表示させることが可能となる。このように光干渉断層診断装置1500によれば、光プローブ1501のラジアル走査を高速化した場合でも、全データの表示とリアルタイムでの表示とを行うことができる。
【0156】
6.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
次に上記信号処理を実現するための信号処理部1514の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0157】
6.2.1 制御部1706における処理の流れ
図19は、血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部1706における処理の流れを示すフローチャートである。
【0158】
ステップS1901では、ラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとを読み出す。ステップS1902では、読み出されたラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとの比(α)を算出する。
【0159】
ステップS1903では、ステップS1902にて算出された比(α)を信号選別部1702に送信する。
【0160】
6.2.2 信号選別部1702における処理の流れ
図20は、血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部1702の処理の流れを示すフローチャートである。
【0161】
ステップS2001では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値mは光プローブ1501の回転数をカウントするためのパラメータである。また、カウント値nは、干渉光データのライン番号を管理するためのパラメータである。
【0162】
ステップS2002では、A/D変換器1513より送信されたライン番号=nの干渉光データのライン番号が下式(式1、式2)の条件を満たすか否かを判断する。
(式1)1024×(m−1)/α≦n
(式2)1024×m/α>n
ステップS2002において、式1及び式2の条件を具備すると判定された場合には、ステップS2003に進み、FIFOメモリに当該干渉光データ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS2004に進み、当該干渉光データを選別し、所定のタイミングで信号選択部1703に出力した後、ステップS2005に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0163】
一方、ステップS2003において、式1及び式2の条件を具備しないと判定された場合には、FIFOメモリが書き込み禁止となって直接ステップS2005に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示には利用されない。
【0164】
ステップS2005では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS2008に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS2002に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS2006に進む。
【0165】
ステップS2006では、カウント値mがαよりも小さいか否かを判定する。カウント値mがαより小さいと判定された場合には、ステップS2009に進み、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を入力する。
【0166】
一方、ステップS2006において、カウント値mがαと等しいと判定された場合には、ステップS2007に進む。ステップS2007では、次の干渉光データがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、ステップS2001に戻る。一方、ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0167】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、干渉光データを選別することにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0168】
この結果、光プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0169】
なお、本実施形態では、上記第1の実施形態において説明した信号処理を光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、上記第2の実施形態において説明した信号処理における「超音波エコーデータ」を「干渉光エコーデータ」に置き換えることで適用することができる。
【0170】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限られず波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用しても良い。以下、波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用した場合について説明する。
【0171】
1.波長掃引利用の光干渉断層診断装置の測定原理
はじめに波長掃引利用の光干渉断層診断装置の測定原理について簡単に説明する。なお、波長掃引利用の光干渉断層診断装置は、上記第3の実施形態において説明した光干渉断層診断装置の測定原理(図13、図14)と光干渉を利用する点において基本的に同じである。そこで、ここでは光干渉断層診断装置との相違点を中心に説明する。
【0172】
光干渉断層診断装置との測定原理上の相違点は光源にあり、第1にコヒーレント長が異なる。つまり、光干渉断層診断装置の光源は、コヒーレント長が10μm〜20μm程度の低干渉性光を用いるのに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の光源には、コヒーレント長が4〜10mm程度のものが用いられる。
【0173】
これは、光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の検査範囲は、参照ミラーの可動範囲に依存するのに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の検査範囲は、コヒーレント長に依存するからである。そして、血管等の生体組織の深さ方向の全範囲を網羅するために、波長掃引利用の光干渉断層診断装置では、コヒーレント長の比較的長い光源が用いられる。
【0174】
光源の第2の相違点は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、異なる波長を持つ光が連続的に照射される点にある。
【0175】
上記第3の実施形態にかかる光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の各点からの反射光の抽出は、参照ミラーの移動により実現し、測定対象の深さ方向の分解能は、照射する光のコヒーレント長に依存していた。
【0176】
これに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、連続的に波長を変化させた光を照射し、生体組織の深さ方向の各点からの反射光の強度は、干渉光の周波数成分の違いに基づいて行うことを特徴としている。
【0177】
一般的に、掃引する光の周波数(波長の逆数)を、下式(式1)に示す時間関数として考えると、干渉光の強度は下式(式2)に示す時間関数として表現できる。このとき、Δxは参照光と対象光の光路差を示し、Δfは単位時間における周波数の変化率を示すものである。また、A、B、Cは定数を示す。
(式1)f(t)=fα+Δft
(式2)I(t)=A+Bcos(CΔx(fα+Δft))
式2からわかるように、干渉光強度I(t)の時間変化の周波数成分は光路差Δxと波長掃引の周波数変化Δfで表される。したがって、干渉光の周波数成分がわかれば、光路差ごとの干渉光強度がわかることになる。
【0178】
これにより、1ライン分の信号を取得するのに要する時間が短くなり、また、描出深度を深くすることができる。
【0179】
図21は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の基本原理を示す図である。同図において光源2101は、Swept Laserである。
【0180】
光源2101より順次出力された異なる波長を有する光は、ビームスプリッタ2104で分割され、それぞれを参照ミラー2102と測定対象2103に向かう。このとき測定対象2103側から戻ってくる反射光には、物体表面での反射光や、物体内部の浅い位置で反射した光、物体内部の深部で反射した光など様々な位置からの反射光が含まれる。
【0181】
上述のように、検出器2105において、観測された干渉光を周波数分解することで、測定対象の深さ方向の特定の位置での構造情報を可視化することが可能となる。この結果、1周期の波長掃引で1ライン分のデータが得られることとなり、断面画像を形成することができる。
【0182】
なお、光源2101より出力される光は、コヒーレント長が4〜6mm程度あるため、測定対象の深さ方向の検査範囲が全て網羅できるため、参照ミラーを動作させる必要は無く、参照ミラー2102は一定の距離に固定して配されることとなる。
【0183】
このように参照ミラーを機械的に動かす必要がないので、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、光干渉断層診断装置と比べて1ライン分の信号を取得するのに要する時間が短くなり、フレームレートを上げることができる。光干渉断層診断装置における最大フレームレートが15fr/sであるのに対し、波長掃引利用の光干渉断層診断装置のフレームレートは30〜200fr/s程度である。
【0184】
もともと光干渉断層診断装置や波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、血球成分への光の吸収を避け、良好な画像を取得するために、診断時に血液を排除しなければならない。このため、フレームレートが低いと血液を排除しておく時間を長くしなければならず、臨床上問題がある。これに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、数秒間の血液排除で血管の軸方向に30mm以上の画像を取得することができるため、臨床上の問題を低減させることができるというメリットがある。
【0185】
2.波長掃引利用の光干渉断層診断装置の機能構成
図22は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200の機能構成を示す図である。以下、上記第3の実施形態において図15を用いて説明した光干渉断層診断装置との相違点を中心に説明する。
【0186】
2208は光源であり、Swept Laserが用いられる。Swept Laser2208は、SOA2216(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ2217とポリゴンスキャニングフィルタ(2208b)よりなる、Extended−cavity Laserの一種である。
【0187】
SOA2216から出力された光が、光ファイバ2217を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ2208bに入り、ここで波長選択された光が、SOA2216で増幅され、最終的にcoupler2214から出力される。
【0188】
ポリゴンスキャニングフィルタ2208bは、光を分光する回折格子2212とポリゴンミラー2209との組み合わせで波長を選択する。回折格子2212により分光された光を2枚のレンズ(2210、2211)によりポリゴンミラー2209の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー2209と直交する波長の光のみ同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ2208bから出力されるため、ミラーを回転させることで、波長の時間掃引を行う。
【0189】
ポリゴンミラー2209は、例えば、32面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー2209と回折格子2212とを組み合わせたユニークな波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0190】
Coupler2214から出力されたSwept Laser2208の光は、第1のシングルモードファイバ2230の一端に入射され、先端面側に伝送される。第1のシングルモードファイバ2230は、途中の光カップラ部2226で第2のシングルモードファイバ2231と光学的に結合されている。従って、この光カップラ部2226で2つに分岐されて伝送される。
【0191】
第1のシングルモードファイバ2230の光カップラ部2226より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント2203が設けられている。
【0192】
更に、光ロータリジョイント2203内の第3のシングルモードファイバ2232の先端には、光プローブのコネクタ部2202が着脱自在に接続されている。これにより光プローブ2201内に挿通され回転駆動可能な第4のシングルモードファイバ2233に、光源2208からの光が伝送される。
【0193】
伝送された光は、光プローブ2201の先端側から体腔内の生体組織側にラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織側の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部は光プローブ2201により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ2230側に戻る。さらに、光カップラ部2226によりその一部が第2のシングルモードファイバ2231側に移り、第2のシングルモードファイバ2231の一端から光検出器(例えばフォトダイオード2219)に入射される。なお、光ロータリジョイント2203の回転部側は回転駆動装置2204のラジアル走査モータ2205により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ2205の回転角度は、エンコーダ部2206により検出される。更に、光ロータリジョイント2203は、直線駆動装置2207を備え、信号処理部2223からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向の動作を規定している。
【0194】
また、第2のシングルモードファイバ2231の光カップラ部2226より先端側には、基準光の光路長を微調整する光路長の可変機構2225が設けてある。
【0195】
この光路長の可変機構2225は光プローブを交換して使用した場合の個々の光プローブの長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。
【0196】
第2のシングルモードファイバ2231およびコリメートレンズ2226は、その光軸方向に矢印2233で示すように移動自在な1軸ステージ2232上に設けられ、光路長変化手段を形成している。
【0197】
具体的には、1軸ステージ2232は光プローブ2201を交換した場合に、光プローブの光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ2232はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ2201の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
【0198】
光路長の可変機構2225で光路長が微調整された光は第2のシングルモードファイバ2231の途中に設けた光カップラ部2226で第1のシングルモードファイバ2226側から漏れた光と混合されて、フォトダイオード2219にて受光される。
【0199】
フォトダイオード2219にて受光された光は光電変換され、アンプ2220により増幅された後、復調器2221に入力される。この復調器2221では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器2222に入力される。
【0200】
A/D変換器2222では、干渉光信号を180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0201】
A/D変換器2222にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部2223に入力される。この信号処理部2223では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成し、これを座標変換することにより、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ2227に出力する。
【0202】
なお、信号処理部2223は位置制御装置2234と接続されている。信号処理部2223は位置制御装置2234を介して1軸ステージ2232の位置の制御を行う。また、信号処理部2223はモータ制御回路2224と接続され、ラジアル走査モータ2205の回転駆動を制御する。
【0203】
3.カテーテル部の構成
カテーテル部101の全体構成ならびに先端部の構成は、上記第3の実施形態において図16を用いて説明した光干渉断層診断装置のカテーテル部と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0204】
4.信号処理部の構成
次に信号処理部2223の構成について説明する。図23は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200の信号処理部2223の機能構成を示す図である。
【0205】
図23において、2306は制御部であり、波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200全体を統括的に制御する。
【0206】
2301は大容量記憶部であり、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。大容量記憶部2301では、フォトダイオード2210より復調器2221、A/D変換器2222を介して送信された全ての干渉光データを波長掃引周期単位(ライン単位)で順次受信し、記憶する。
【0207】
大容量記憶部2301に記憶された干渉光データは、必要に応じて(制御部2306からの指示に基づいて)、ビデオ信号のフレームレートに合わせて読み出され、信号選択部2303に送られる。
【0208】
なお、大容量記憶部2301の容量は、ラジアル走査により、何フレーム分のデータを取得するかにより決定される。例えば、0.5mmピッチで150mmの血管をラジアル走査する場合には、300フレームのデータとなる。そして1フレームが1024ライン×2048サンプルの16ビットデータの場合、1200Mバイトとなる。この場合、大容量記憶部2301として、2Gバイト以上の半導体メモリ、もしくはハードディスクを選択することができる。
【0209】
2302は信号選別部であり、A/D変換器2222より送信された干渉光データのうち、所定の干渉光データを選択的に抽出する機能を備える。信号選別部2302は、書き込み禁止機能付のFIFOメモリにより構成される。エンコーダ部2206の出力パルスに同期させて、FIFOメモリの書き込み可能/禁止を制御し、書き込み可能なときのみ、入力された干渉光データをFIFOメモリに書き込む。
【0210】
すなわち、ラジアル走査1フレーム分の干渉光データが構成されるように波長掃引周期単位(ライン単位)で書き込み可能にし、不要な干渉光データが入力される場合は、書き込み禁止にする。また、FIFOからの読み出しは、後段の処理のタイミングにあわせて行われ、読み出された干渉光データは信号選択部2303に出力される。なお、干渉光データの選別方法の詳細については後述する。
【0211】
2303は信号選択部であり、制御部2306より、大容量記憶部2301に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合には、大容量記憶部2301内の干渉光データを読み出し、深さ方向ラインデータ生成部2304に送る。一方、制御部2306より、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合には、信号選別部2302において選別された干渉光データを読み出し、深さ方向ラインデータ生成部2304に送る。深さ方向ラインデータ生成部2304は、干渉光データをFFT(フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成する。
【0212】
2305は信号後処理部であり、深さ方向ラインデータ生成部304より送信された干渉光データに対してフレーム相関、ガンマ補正、コントラスト調整、シャープネスフィルタ等の処理が行われ画像構築部2306に出力される。
【0213】
画像構築部2306では、干渉光の波長掃引単位(ライン単位)の干渉光データ列をビデオ信号に変換する。これにより、LCDモニタ2227に表示する断面画像を形成する。
【0214】
この結果、信号選択部2303が制御部2306より、大容量記憶部2301に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ2227には、大容量記憶部2301内の干渉光データに基づいて形成された断面画像が表示され、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ2227には、信号選別部2303において選別された干渉光データに基づいて形成された断面画像が、光プローブ2201のラジアル走査に対応して表示されることとなる。つまり、LCDモニタ2227は、ラジアル走査時のリアルタイム表示とラジアル走査後の表示の2種類の断面画像表示を行うよう制御される。
【0215】
5.波長掃引利用の光干渉断層診断時の信号処理
5.1 信号処理の概要
本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200における血管内光干渉断層診断時の信号処理の概要について説明する。
【0216】
図24(a)は、本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0217】
同図(a)に示すように、光プローブ2201が1回転するごとに、血管の断面画像を1つ形成するための干渉光データ(1024ライン)が取得される(図24(a)の例では、6回転することで、6枚の断面画像を形成するための干渉光データ(2401〜2406)が取得される)。
【0218】
各回転ごとに取得された干渉光データは、測定後に再生できるように大容量記憶部2301に記憶する。また、各回転ごとに取得された干渉光データの一部を取り出し、1フレーム分の干渉光データを生成し、リアルタイムで表示する。図24(a)の例では、1回転目に取得された干渉光データ(2401)からは、0度〜120度分の干渉光データを取り出し、2回転目に取得された干渉光データ(2402)からは、120度〜240度分の干渉光データを取り出し、3回転目に取得された干渉光データ(2403)からは、240度〜360度分の干渉光データを取り出す。取り出された干渉光データは結合され、1フレーム分の干渉光データとして生成される(2411)。
【0219】
図24(b)は生成された1フレーム分の干渉光データ(2411)の内訳を示す図である。同図に示すように、1回転目の干渉光データのライン1〜ライン340と、2回転目の干渉光データのライン341〜682と、3回転目の干渉光データのライン683〜1024により構成されている。生成された干渉光データはリアルタイムに表示される。同様に、4回転目から6回転目までに取得された干渉光データに基づいて、1フレーム分の干渉光データを生成し(2412)、リアルタイムで表示する。
【0220】
このように、光プローブ2201のラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、各回転で得られた干渉光データの一部を取り出し、それらを結合して1フレームを形成するように構成することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0221】
なお、上述のように各回転ごとに取得された干渉光データは、並行して大容量記憶部2301に記憶される。このため、後で大容量記憶部2301に記憶された全干渉光データを読み出すことで、全ての干渉光データを表示させることが可能となる。このように波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200によれば、光プローブ2201のラジアル走査を高速化した場合でも、全データの表示とリアルタイムでの表示とを行うことが可能となる。
【0222】
5.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
次に上記信号処理を実現するための信号処理部2223の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0223】
5.2.1 制御部2306における処理の流れ
図25は、波長掃引利用の血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部2306における処理の流れを示すフローチャートである。
【0224】
ステップS2501では、ラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとを読み出す。ステップS2502では、読み出されたラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとの比(α)を算出する。
【0225】
ステップS2503では、ステップS2502にて算出された比(α)を信号選別部2302に送信する。
【0226】
5.2.2 信号選別部2302における処理の流れ
図26は、血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部2302の処理の流れを示すフローチャートである。
【0227】
ステップS2601では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値mは光プローブ2201の回転数をカウントするためのパラメータである。また、カウント値nは、干渉光データのライン番号を管理するためのパラメータである。
【0228】
ステップS2602では、A/D変換器2222より送信されたライン番号=nの干渉光データのライン番号が下式(式3、式4)の条件を満たすか否かを判断する。
(式3)1024×(m−1)/α≦n
(式4)1024×m/α>n
ステップS2602において、式1及び式2の条件を具備すると判定された場合には、ステップS2603に進み、FIFOメモリに当該干渉光データ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS2604に進み、当該干渉光データを選別し、所定のタイミングで信号選択部2303に出力した後、ステップS2605に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0229】
一方、ステップS2603において、式1及び式2の条件を具備しないと判定された場合には、直接ステップS2605に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示には利用されない。
【0230】
ステップS2605では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS2608に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS2602に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS2606に進む。
【0231】
ステップS2606では、カウント値mがαよりも小さいか否かを判定する。カウント値mがαより小さいと判定された場合には、ステップS2609に進み、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を入力する。
【0232】
一方、ステップS2606において、カウント値mがαと等しいと判定された場合には、ステップS2607に進む。ステップS2607では、次の干渉光データがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、ステップS2601に戻る。一方、ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0233】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、干渉光データを選別することにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0234】
この結果、光プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0235】
なお、本実施形態では、上記第1の実施形態において説明した信号処理を波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、上記第2の実施形態において説明した信号処理における「超音波エコーデータ」を「干渉光データ」に置き換えることで適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】血管内超音波診断装置の外観構成を示す図である。
【図2】血管内超音波診断装置の機能構成を示す図である。
【図3】血管内超音波診断装置のカテーテル部の全体構成を示す図である。
【図4】血管内超音波診断装置のカテーテル部の先端部の構成を示す図である。
【図5】カテーテル部において駆動シャフトをカテーテルシースに対して相対的にスライドさせた様子を示す図である。
【図6】血管内超音波診断装置の信号処理部の機能構成を示す図である。
【図7】血管内超音波診断時のカテーテル部の動作を説明するための模式図である。
【図8】血管内超音波診断装置の信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図9】血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】血管内超音波診断装置の信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図12】血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】光干渉断層診断装置の測定原理を説明するための図である。
【図14】光干渉断層診断装置の基本原理を説明するための図である。
【図15】光干渉断層診断装置の機能構成を示す図である。
【図16】光干渉断層診断装置のカテーテル部の先端部の構成を示す図である。
【図17】光干渉断層診断装置の信号処理部の機能構成を示す図である。
【図18】光干渉断層診断装置における信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図19】光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選択部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】波長掃引利用の光干渉断層診断装置の基本原理を示す図である。
【図22】波長掃引利用の光干渉断層診断装置の機能構成を示す図である。
【図23】波長掃引利用の光干渉断層診断装置の信号処理部の機能構成を示す図である。
【図24】光干渉断層診断装置における信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図25】波長掃引利用の血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】波長掃引利用による光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部の処理の流れを示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動脈硬化の診断やバルーンカテーテル、ステント等の高機能カテーテルによる血管内治療時の術前診断、あるいは術後の結果確認のために画像診断装置が広く使用されている。
【0003】
画像診断装置の一例として、血管内超音波診断装置(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)が挙げられる。一般に血管内超音波診断装置は、血管内において超音波振動子をラジアル走査させ、体腔内の生体組織で反射された反射波(超音波エコー)を同じ超音波振動子で受信した後、増幅、検波等の処理を施し、生成された超音波エコーの強度に基づいて、血管の断面画像を描出するように構成されている。
【0004】
また、血管内超音波診断装置の他、近年では、画像診断装置として光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherent Tomography)も利用されるようになってきている。光干渉断層診断装置は、先端に光学レンズ及び光学ミラーを取り付けた光ファイバーを内蔵したカテーテルを血管内に挿入し、光ファイバーの先端側に配置した光学ミラーをラジアル走査させながら、血管内に光を出射し、組織からの反射光をもとに血管の断面画像を描出するものである。
【0005】
更に、最近では、光干渉断層診断装置の改良型として、波長掃引利用の光干渉断層診断装置も利用されるようになってきている。
【0006】
このように、画像診断装置には検出原理の異なる複数種類の装置があり、いずれもプローブをラジアル走査させることで断面画像を抽出することを特徴としている。このため、いずれの装置においても、ラジアル走査を高速化し軸方向の走査速度を上げることにより、画像診断装置における診断時間を短くすることができるというメリットがある。
【0007】
一例として、血管内超音波診断装置(IVUS)の場合について具体的に説明する。一般的に、血管内超音波診断装置では、超音波振動子を1800rpm程度で回転させながら超音波を送受信するラジアル走査を行い、断面画像を抽出している。
【0008】
ここで、1800rpmとしているのは、CRTやLCD等の表示装置に画像を連続的に出力するためのビデオ信号のフレームレートが、多くの場合、30fps(30frame/sec=1800frame/min)であるためである。つまり、これ以上高速にラジアル走査を行っても表示装置側に表示させることができない。
【0009】
しかし、超音波振動子の回転数が1800rpm程度の場合、1断面を走査するのに1/30秒要することとなる。この場合、1断面を走査する間に心拍動による画像のブレが生じることが考えられる。このため、より高速なラジアル走査が望まれている。
【0010】
しかしながら、上述したように、ラジアル走査を高速化させても、ビデオ信号のフレームレートが高速にならない限りは、取得した画像をリアルタイムで表示することはできない。そこで、例えば、リアルタイム時には断面画像を構築せず、すべての受信信号をA/D変換器によりデジタルデータに変換し、ハードディスクや半導体メモリなどの大容量記憶デバイスに記録しておき、データ取得完了後に、該記録されたデータから、全フレーム分の断面画像を描出し、表示を行うといった表示方法が考えられる。
【0011】
例えば、下記特許文献1には、超音波の受信信号に基づいて生成されたすべてのデータをリアルタイムにハードディスク等の大容量記憶デバイスに記録する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−279413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法を利用し、リアルタイム時に断面画像を描出せず、全データを記録しておき、データ取得完了後に全フレーム分の断面画像を描出することとすると、リアルタイム時に、正常にデータ取得できているか否かが確認できない。
【0013】
このため、何らかの原因で、データ取得ができなかった場合には、再度、カテーテルを挿入し、データ取得しなおさなければならず、不都合である。また、プローブのラジアル走査を高速化した結果、リアルタイムの断面画像が確認できなくなるというのは、画像診断装置として適切でない。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像診断装置において、プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、リアルタイムでの画像出力を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために本発明に係る画像診断装置は以下のような構成を備える。即ち、
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、体腔内においてラジアル走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて生成されたデータを用いて、該体腔内の断面画像を連続して形成・出力する画像診断装置であって、
前記断面画像を連続して表示する際のフレームレートに基づいて、前記生成したデータの一部を抽出する抽出手段と、
前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成することで、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御手段と、
前記生成されたデータを記憶する記憶手段と、
前記ラジアル走査後に、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、出力するよう制御する第2の出力制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像診断装置において、プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、リアルタイムでの画像出力を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
1.血管内超音波診断装置の外観構成
図1は本発明の第1の実施形態にかかる血管内超音波診断装置(100)の外観構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、血管内超音波診断装置(100)は、カテーテル部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により接続されている。
【0020】
カテーテル部101は、直接血管内に挿入され、超音波振動子(不図示)を用いて血管内部の状態を測定する。スキャナ/プルバック部102は、カテーテル部101内の超音波振動子の動作を規定する。
【0021】
操作制御装置103は、血管内超音波診断を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、断面画像として表示するための機能を備える。
【0022】
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られたデータを処理したり、処理結果を出力する。111−1はプリンタ/DVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。
【0023】
112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値の入力を行う。113はLCDモニタであり、本体制御部111における処理結果を表示する。
【0024】
2.血管内超音波診断装置の機能構成
図2は、図1に示した血管内超音波診断装置100の機能構成を示す図である。
【0025】
同図に示すように、血管内超音波診断装置100は、カテーテル部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備える。
【0026】
カテーテル部101は、先端内部に超音波振動子ユニット201を備えており、超音波振動子ユニット201は、カテーテル部101の先端が血管内に挿入された状態で、超音波信号送受信器221より送信されたパルス波に基づいて、超音波を血管の断面方向に送信するとともに、その反射信号(エコー)を受信し、コネクタ部202及びロータリジョイント211を介して超音波エコー信号として超音波信号送受信器221に送信する。
【0027】
スキャナ/プルバック部102は、ロータリジョイント211、回転駆動装置212、直線駆動装置215を備える。カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201は、非回転部と回転部との間を結合するロータリジョイント211により回動自在に取り付けられており、ラジアル走査モータ213により回転駆動される。超音波振動子ユニット201が血管内を円周方向に回動することで、血管内の所定の位置における断面画像の生成に必要な超音波エコー信号を検出することができる。
【0028】
なお、ラジアル走査モータ213の動作は信号処理部225からモータ制御回路226を介して送信された制御信号に基づいて制御される。また、ラジアル走査モータの回転角度は、エンコーダ部214により検出される。エンコーダ部214において出力される出力パルスは、信号処理部225に入力され、超音波信号送受信器221における送受信のタイミングに利用される。また、後述する信号選別部における選別の際にも利用される。
【0029】
スキャナ/プルバック部102は、更に、直線駆動装置215を備え、信号処理部225からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向の動作を規定している。
【0030】
超音波信号送受信器221は、送信回路と受信回路とを備える(不図示)。送信回路は、信号処理部225から送信された制御信号に基づいて、カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201に対してパルス波を送信する。
【0031】
また、受信回路は、カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201より超音波信号を受信する。受信された超音波信号はアンプ222により増幅される。
【0032】
更に、A/D変換器224では、アンプ222より出力された超音波信号をサンプリングして、1ラインのデジタルデータ(超音波エコーデータ)を生成する。
【0033】
A/D変換部224にて生成されたライン単位の超音波エコーデータは信号処理部225に入力される。信号処理部225では、超音波エコーデータを検波して、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ227に出力する。
【0034】
3.カテーテル部の構成
3.1 カテーテル部の全体構成
次にカテーテル部101の全体構成について図3を用いて説明する。
【0035】
図3に示すように、カテーテル部101は、血管内に挿入される長尺のカテーテルシース301と、ユーザが操作するために血管内に挿入されずユーザの手元側に配置されるコネクタ302により構成される。シースの先端には、ガイドワイヤルーメン303が形成されており、カテーテルシース301は、ガイドワイヤルーメン303との接続部からコネクタ302との接続部にかけて連続する管腔として形成されている。
【0036】
コネクタ302は、カテーテルシース301の基端に一体化して構成されたシースコネクタ302aと駆動シャフトの基端に設けられ、駆動シャフト422を回転可能に保持するよう構成された駆動シャフトコネクタ302bとからなる。
【0037】
シースコネクタ302aとカテーテルシース301の境界部には、耐キンクプロテクタ311が設けられている、これにより所定の剛性が保たれ、急激な変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。また、駆動シャフトコネクタ302bには、カテーテルシース301の管腔内全体を超音波伝達液で満たすため、シリンジ(不図示)等の取り付けが可能な注入ポート312が備えられている。駆動シャフトコネクタ302bの基端は、後述するスキャナ/プルバック部102と接続可能に構成されている。
【0038】
3.2 カテーテル部の先端部の構成
次にカテーテル部101の先端部の構成について図4を用いて説明する。
【0039】
図4において、カテーテルシース301の管腔内部には、超音波を送受信する超音波振動子ユニット401と、それを回転させるための駆動力を伝達する駆動シャフト402とを備えるイメージングコア403がカテーテルシース301のほぼ全長にわたって挿通されている。超音波振動子ユニット401は、超音波振動子401bとそれを保持するハウジング401aからなり、当該超音波振動子401bより体腔内組織に向けて超音波が送信されるとともに、当該超音波振動子401bにて体腔内組織からの反射波が受信される。
【0040】
駆動シャフト402はコイル状に形成され、その内部には信号線が配され、超音波振動子401bからコネクタ302まで伸びている。
【0041】
超音波振動子401bは矩形状あるいは円形状をしており、PZT等からなる圧電材の両面に、電極を蒸着することにより形成されている。超音波振動子401bは、駆動シャフト402が回転ムラを引き起こさないように、回転軸方向の中心付近に位置するよう設置されている。
【0042】
ハウジング401aは、短い円筒状のパイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、素材としては、金属または硬質の樹脂が好適に用いられる。成形方法としては、パイプ状のものに切削加工、レーザ加工、プレス加工などの加工を施し、切り欠き部を形成する方法や、射出成形やMIM(金属粉末射出成形)などにより直接所望の形状を得る方法がある。ハウジング401aは、内部に超音波振動子401bを有し、基端側は駆動シャフト402と接続されている。また、先端側には短いコイル状の弾性部材404が設けられている。
【0043】
弾性部材404はステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材404が先端側に配されることで、イメージングコア403の回転時の安定性が向上する。また、弾性部材404またはハウジング401aの表面には金メッキが施されている。一般に、金は高いX線不透過性を有する金属であるため、当該金メッキにより、弾性部材404はカテーテルシース301が体腔内へ挿入された場合でも、X線撮像装置の映像下で造影される。これにより、ユーザは超音波振動子401bの位置を容易に知ることができる。
【0044】
カテーテルシース301の先端部とガイドワイヤルーメン303との境界部には、プライミング作業で注入された超音波伝達液を外部に排出するための排出口405が設けられている。
【0045】
406は補強コイルであり、カテーテルシース301の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
【0046】
ガイドワイヤルーメン303は、ガイドワイヤが挿入可能な孔を有する。ガイドワイヤルーメン303は、予め体腔内に挿入され、カテーテルシース301を患部まで導くために使用される。
【0047】
駆動シャフト402は、カテーテルシース301に対して回転及びスライド動作することが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝達できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。
【0048】
駆動シャフト402の回転により管腔内は、360度観察可能となるが、更に広範囲を観察するには、駆動シャフト402を軸方向にスライドさせればよい。
【0049】
図5は、駆動シャフト402をカテーテルシース301に対して相対的にスライドさせた様子を示す図である。同図に示すように、シースコネクタ302aは固定した状態で、駆動シャフトコネクタ302bを基端側に(矢印501方向に)スライドさせれば、内部の駆動シャフト402やその先端に固定された超音波振動子ユニット401が軸方向にスライドすることとなる。この軸方向のスライドは、ユーザが手動で行ってもよいし、電動で行っても良い。
【0050】
なお、駆動シャフトコネクタ302bの先端側には、高速回転する駆動シャフト402が露出しないように保護内管502が設けられている。
【0051】
4.信号処理部の構成
次に信号処理部225の構成について説明する。図6は、血管内超音波診断装置100の信号処理部225の機能構成を示す図である。
【0052】
図6において、607は制御部であり、血管内超音波診断装置100全体を統括的に制御する。606は送信部であり、超音波信号送受信器221に対して動作指示を送る。
【0053】
601は大容量記憶部であり、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。大容量記憶部601では、超音波信号送受信器221よりアンプ222、A/D変換器224を介して送信された全ての超音波エコーデータを送受信単位(ライン単位)で順次受信し、記憶する。
【0054】
大容量記憶部601に記憶された超音波エコーデータは、必要に応じて(制御部607からの指示に基づいて)、ビデオ信号のフレームレートに合わせて読み出され、信号選択部603に送られる。
【0055】
なお、大容量記憶部601の容量は、ラジアル走査により、何フレーム分のデータを取得するかにより決定される。例えば、0.5mmピッチで150mmの血管をラジアル走査する場合には、300フレームのデータとなる。そして1フレームが1024ライン×1024サンプルの16ビットデータの場合、600Mバイトとなる。この場合、大容量記憶部601として、1Gバイト以上の半導体メモリ、もしくはハードディスクを選択することができる。
【0056】
602は信号選別部であり、A/D変換器224より送信された超音波エコーデータのうち、所定のデータを選択的に抽出する機能を備える。信号選別部602は、書き込み禁止機能付のFIFOメモリにより構成される。エンコーダ部214の出力パルスに同期させて、FIFOメモリの書き込み可能/禁止を制御し、書き込み可能なときのみ、入力された超音波エコーデータをFIFOメモリに書き込む。
【0057】
すなわち、ラジアル走査1フレーム分のデータが構成されるように送受信単位(ライン単位)で書き込み可能にし、不要な超音波エコーデータが入力される場合は、書き込み禁止にする。また、FIFOからの読み出しは、後段の処理のタイミングにあわせて行われ、読み出された超音波エコーデータは信号選択部603に出力される。なお、超音波エコーデータの選別方法の詳細については後述する。
【0058】
603は信号選択部であり、制御部607より、大容量記憶部601に記憶された超音波エコーデータを読み出す旨の指示を受け取った場合には、大容量記憶部601内の超音波エコーデータを読み出し、信号後処理部604に送る。一方、制御部607より、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合には、信号選別部602において選別された超音波エコーデータを読み出し、信号後処理部604に送る。
【0059】
604は信号後処理部であり、信号選択部604より送信された超音波エコーデータに対して対数変換、フレーム相関、ガンマ補正、コントラスト調整、シャープネスフィルタ等の処理を行い、画像構築部605に出力する。
【0060】
画像構築部605では、超音波の送受信単位(ライン単位)の超音波エコーデータ列をビデオ信号に変換する。これにより、LCDモニタ227に表示する断面画像を形成する。
【0061】
この結果、信号選択部603が制御部607より、大容量記憶部601に記憶された超音波エコーデータを読み出す旨の指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ227には、大容量記憶部601内の超音波エコーデータに基づいて形成された断面画像が表示され、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ227には、信号選別部602において選別された超音波エコーデータに基づいて形成された断面画像が、超音波振動子401bのラジアル走査に対応して表示されることとなる。つまり、LCDモニタ227は、ラジアル走査時のリアルタイム表示とラジアル走査後の表示の2種類の断面画像表示を行うよう制御される。
【0062】
5.血管内超音波診断時のカテーテル部101の動作
図7は血管内超音波診断時のカテーテル部101の動作を説明するための模式図である。図7(a)、(b)はそれぞれカテーテル部101が挿入された状態の血管の断面図および斜視図である。
図7(a)において、701はカテーテル部101が挿入された血管断面を示している。上述のように、カテーテル部101はその先端内部に超音波振動子401bが取り付けられており、ラジアル走査モータ213により矢印702方向に回転する。
【0063】
超音波振動子401bからは、各回転角度にて超音波の送信/受信が行われる。ライン1、2、・・・1024は各回転角度における超音波の送信方向を示している。本実施形態では、超音波振動子401bが所定の血管断面(701)にて360度回動する間に、1024回の超音波の送信/受信が断続的に行われる。なお、360度回動する間における超音波の送信/受信回数は特にこれに限られず、任意に設定可能であるものとする。このように超音波振動子(信号の送受信部)を回転させながら信号の送信/受信を繰り返すスキャン(走査)を、一般に「ラジアルスキャン(ラジアル走査)」という。
【0064】
このような超音波の送信/受信は、血管内を矢印703方向(図7(b))に進みながら行われる。
【0065】
6.血管内超音波診断時の信号処理
6.1 信号処理の概要
本発明の第1の実施形態にかかる血管内超音波診断装置100における血管内超音波診断時の信号処理の概要について説明する。
【0066】
図8は、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0067】
同図(a)に示すように、超音波振動子401bが1回転するごとに、血管の断面画像を1つ形成するための超音波エコーデータ(1024ライン)が取得される(図8(a)の例では、6回転することで、6枚の断面画像を形成するための超音波エコーデータ(801〜806)が取得される)。
【0068】
各回転ごとに取得された超音波エコーデータは、後で再生できるように大容量記憶部601に記憶する。また、各回転ごとに取得された超音波エコーデータの一部を取り出し、1フレーム分の超音波エコーデータを生成し、リアルタイムで表示する。図8(a)の例では、1回転目に取得された超音波エコーデータ(801)からは、0度〜120度分の超音波エコーデータを取り出し、2回転目に取得された超音波エコーデータ(802)からは、120度〜240度分の超音波エコーデータを取り出し、3回転目に取得された超音波エコーデータ(803)からは、240度〜360度分の超音波エコーデータを取り出す。取り出された超音波エコーデータは結合され、1フレーム分の超音波エコーデータとして生成される(811)。
【0069】
図8(b)は、生成された1フレーム分の超音波エコーデータ(811)の内訳を示す図である。同図に示すように、1回転目の超音波エコーデータのライン1〜ライン340と、2回転目の超音波エコーデータのライン341〜682と、3回転目の超音波エコーデータのライン683〜1024により構成されている。生成された超音波エコーデータはリアルタイムに表示される。
【0070】
同様に、4回転目から6回転目までに取得された超音波エコーデータに基づいて、1フレーム分の超音波エコーデータを生成し(812)、リアルタイムで表示する。
【0071】
このように、超音波振動子401bのラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、各回転で得られた超音波エコーデータの一部を取り出し、それらを結合して1フレームを形成するように構成することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0072】
なお、上述のように各回転ごとに取得された超音波エコーデータは、並行して大容量記憶部601に記憶される。このため、後で大容量記憶部601に記憶された全超音波エコーデータを読み出すことで、全ての超音波エコーデータを表示させることが可能となる。このように、血管内超音波診断装置100によれば、超音波振動子401bのラジアル走査を高速化した場合でも、全データの表示とリアルタイムでの表示とを選択的に行うことができる。
【0073】
6.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
次に上記信号処理を実現するための信号処理部225の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0074】
6.2.1 制御部607における処理の流れ
図9は、血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部607における処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
ステップS901では、ラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとを読み出す。ステップS902では、読み出されたラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとの比(α)を算出する。
【0076】
ステップS903では、ステップS902にて算出された比(α)を信号選別部602に送信する。
【0077】
6.2.2 信号選別部602における処理の流れ
図10は、血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部602の処理の流れを示すフローチャートである。
【0078】
ステップS1001では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値mは超音波振動子ユニット401の回転数をカウントするためのパラメータである。また、カウント値nは、超音波エコーデータのライン番号を管理するためのパラメータである。
【0079】
ステップS1002では、A/D変換器224より送信されたライン番号=nの超音波エコーデータのライン番号が下式(式1、式2)の条件を満たすか否かを判断する。
(式1)1024×(m−1)/α≦n
(式2)1024×m/α>n
ステップS1002において、式1及び式2の条件を具備すると判定された場合には、ステップS1003に進み、FIFOメモリに当該超音波エコーデータ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS1004に進み、当該超音波エコーデータを取り出し、所定のタイミングで信号選択部603に出力した後、ステップS1005に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0080】
一方、ステップS1003において、式1及び式2の条件を具備しないと判定された場合には、FIFOメモリが書き込み禁止となって直接ステップS1005に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示には利用されない。
【0081】
ステップS1005では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS1008に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS1002に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS1006に進む。
【0082】
ステップS1006では、カウント値mがαよりも小さいか否かを判定する。カウント値mがαより小さいと判定された場合には、ステップS1009に進み、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を入力する。
【0083】
一方、ステップS1006において、カウント値mがαと等しいと判定された場合には、ステップS1007に進む。ステップS1007では、次の超音波エコーデータがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、ステップS1001に戻る。一方、ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0084】
6.2.3 実施例
上記フローチャート(図9、図10)の実施例について説明する。ここではビデオ信号のフレームレートが30fpsで、ラジアル走査のフレームレートが90fps(5400rpm)であるとする。この場合、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートの比は1:3となり、図9のフローチャートに基づいて制御部607ではα=3が算出される。
【0085】
したがって、信号選別部602では、3回転分の超音波エコーデータから、各回転ごとに120度ずつ超音波エコーデータを選別する。つまり、入力された超音波エコーデータのうち、1回転目の1〜340ライン、2回転目の341〜682ライン、3回転目の683〜1024ラインをそれぞれ選別する。
【0086】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、超音波エコーデータを選別することにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0087】
この結果、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0088】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、各回転ごとに超音波エコーデータの一部を選別し、それらを結合することで、断面画像を形成することとしたが、本発明は特にこれに限定されない。例えば、ビデオ信号のフレームレートと、ラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、所定回転目の超音波エコーデータを選別するようにしてもよい。以下、本実施形態における信号処理について説明する。
【0089】
1.血管内超音波診断時の信号処理
1.1 信号処理の概要
本発明の第2の実施形態にかかる血管内超音波診断装置100における血管内超音波診断時の信号処理の概要について説明する。
【0090】
図11は、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0091】
同図に示すように、超音波振動子401bが1回転するごとに血管の断面画像を1つ形成するための超音波エコーデータ(1024ライン)が取得される(図11の例では、6回転することで、6枚の断面画像を形成するための超音波エコーデータ(1101〜1106)が取得される)。
【0092】
各回転ごとに取得された超音波エコーデータは、測定後に再生できるように大容量記憶部601に記憶される。また、取得された超音波エコーデータのうち、所定回転目の超音波エコーデータを選別し、リアルタイムで表示する。図11の例では、3回転目に取得された超音波エコーデータ(1103)が選別され、当該超音波エコーデータがリアルタイム表示に利用される。同様に、6回転目の超音波エコーデータ(1106)がリアルタイム表示に利用される。
【0093】
このように、超音波振動子401bのラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、超音波エコーデータを間引いてリアルタイム表示に利用することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0094】
1.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
上記信号処理を実現するための信号処理部225の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0095】
1.2.1 制御部607における処理の流れ
制御部607における処理の流れは、図9と同様であるためここでは説明を省略する。
【0096】
1.2.2 信号選別部602における処理の流れ
図12は、血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部602の処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
ステップS1201では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値m、nは上記第1の実施形態と同様のパラメータである。
【0098】
ステップS1202では、A/D変換器224よりライン番号=nの超音波エコーデータが、m×α回転目の超音波エコーデータか否かを判定する。
【0099】
ステップS1202において、m×α回転目の超音波エコーデータであると判定された場合には、ステップS1203に進み、FIFOメモリに当該超音波エコーデータ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS1204に進み、当該超音波エコーデータを選別し、所定のタイミングで信号選択部603に出力した後、ステップS1205に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0100】
一方、ステップS1203において、m×α回転目の超音波エコーデータでないと判定された場合には、FIFOメモリが書き込み禁止となって直接ステップS1205に進む。この場合、当該超音波エコーデータはリアルタイム表示には利用されない。
【0101】
ステップS1205では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS1207に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS1202に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS1206に進む。
【0102】
ステップS1206では、次の超音波エコーデータがあるか否かを判定する。次の超音波エコーデータがあると判定された場合には、ステップS1208に進む。ステップS1208では、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を設定した後、ステップS1202に戻る。
【0103】
一方、ステップS1206において次の超音波エコーデータがないと判定された場合には、処理を終了する。
【0104】
1.2.3 実施例
上記フローチャート(図12)の実施例について説明する。ビデオ信号のフレームレートが30fpsで、ラジアル走査のフレームレートが90fps(5400rpm)であるとする。この場合、ビデオ信号のフレームレートラジアル走査のフレームレートの比は1:3となり、図9のフローチャートに基づいて制御部607では、α=3が算出される。
【0105】
したがって、信号選別部602では、3、6、9・・・回転目の1回転分の超音波エコーデータを選別する。これにより、超音波エコーデータがフレーム単位で間引きされることとなる。
【0106】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、フレーム単位で超音波エコーデータを間引くことにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0107】
この結果、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0108】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、血管内超音波診断装置において、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合の、信号処理部の処理について説明した。しかしながら、本発明は特に血管内超音波診断装置に限定されるものではなく、他の画像診断装置においても適用可能である。そこで、本実施形態では、光干渉断層診断装置に適用した場合について説明する。
【0109】
1.光干渉断層診断装置の測定原理
はじめに光干渉断層診断装置の測定原理について簡単に説明する。一般に光は電磁波であるため、重畳させた場合に干渉するという性質を有する。干渉しやすいか干渉しにくいかの干渉性能はコヒーレンスとも呼ばれ、一般的な光干渉断層診断装置では、干渉性の低い低コヒーレンス光(低干渉性光)が利用される。
【0110】
低コヒーレンス光は、横軸に時間、縦軸に電場をとった場合、図13(a)の1301、1302に示すように、ランダムな信号となる。同図における各々の山は波連と呼ばれ、波連は一つ一つが相互に独立な位相と振幅を持っている。このため、図13(a)のように同じ波連同士が重なった場合は(1301と1302)干渉して強めあう一方(1303参照)、わずかな時間遅れがあった場合には(図13(b)の1304と1305)、打ち消しあって、干渉が観測されなくなる(図13(b)の1306参照)。
【0111】
光干渉断層診断装置は、かかる性質を利用したものであり、図14に装置の基本原理を示す。同図に示すように、低干渉性光源1401から出た光をビームスプリッタ1404で分割し、それぞれを参照ミラー1402と測定対象1403に向かわせる。このとき、測定対象側から戻ってくる反射光には、物体表面で反射した光や、物体内部の浅い位置で反射した光、物体内部の深部で反射した光など様々な位置からの反射光が含まれる。
【0112】
しかし、入射光が低干渉性光であるため、干渉が観測される反射光は、ビームスプリッタ1404から参照ミラー1402までの距離をL、コヒーレンス長をΔLとすると、ビームスプリッタ1404からの距離がL+ΔL/2の位置に存在する反射面からの反射光のみとなる。
【0113】
したがって、ビームスプリッタ1404から参照ミラー1402までの距離を変えれば、検出器1405ではその距離に対応した物体内反射面からの反射光のみを選択的に検出することができる。そして、各距離に応じた反射光の強度に基づいて、物体内部の構造情報を可視化することで断面画像を形成することができる。
【0114】
2.光干渉断層診断装置の外観構成
光干渉断層診断装置の外観構成は、上記第1の実施形態において説明した血管内超音波診断装置(図1参照)と同様であるため、説明は省略する。
【0115】
3.光干渉断層診断装置の機能構成
本実施形態にかかる光干渉断層診断装置(1500)の機能構成について図15を用いて説明する。
【0116】
1509は超高輝度発光ダイオード等の低干渉性光源である。低干渉性光源1509は、その波長が1310nm程度で、その可干渉距離(コヒーレント長)が数μm〜10数μm程度であるような短い距離範囲でのみ干渉性を示す低干渉性光を出力する。
【0117】
このため、この光を2つに分岐した後、再び混合した場合には分岐した点から混合した点までの2つの光路長の差が17μm程度の短い距離範囲内の場合には干渉光として検出され、それよりも光路長の差が大きい場合には干渉光が検出されない。
【0118】
低干渉性光源1509の光は、第1のシングルモードファイバ1528の一端に入射され、先端面側に伝送される。第1のシングルモードファイバ1528は、途中の光カップラ部1508で第2のシングルモードファイバ1529と光学的に結合されている。従って、この光カップラ部1508で2つに分岐されて伝送される。
【0119】
第1のシングルモードファイバ1528の光カップラ部1508より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント1503が設けられている。
【0120】
更に、光ロータリジョイント1503内の第3のシングルモードファイバ1530の先端には、光プローブのコネクタ部1502が着脱自在に接続されている。これにより光プローブ1501内に挿通され回転駆動可能な第4のシングルモードファイバ1531に、低干渉性光源1509からの光が伝送される。
【0121】
伝送された光は、光プローブ1501の先端側から体腔内の生体組織側にラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織側の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部は光プローブ1501により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ1528側に戻り、光カップラ部1508によりその一部が第2のシングルモードファイバ1529側に移り、第2のシングルモードファイバ1529の一端から光検出器(例えばフォトダイオード1510)に入射される。なお、光ロータリジョイント1503の回転部側は回転駆動装置1504のラジアル走査モータ1505により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ1505の回転角度は、エンコーダ部1506により検出される。更に、光ロータリジョイント1503は、直線駆動装置1507を備え、信号処理部1514からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向の動作を規定している。
【0122】
また、第2のシングルモードファイバ1529の光カップラ部1508より先端側には、基準光の光路長を変える光路長の可変機構1516が設けてある。
【0123】
この光路長の可変機構1516は生体組織の深さ方向の検査範囲に相当する光路長を高速に変化させる第1の光路長変化手段と、光プローブを交換して使用した場合の個々の光プローブの長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる第2の光路長変化手段とを備えている。
【0124】
第2のシングルモードファイバ1529の先端に対向して、この先端とともに1軸ステージ1520上に取り付けられ、矢印1523に示す方向に移動自在のコリメートレンズ1521を介して、グレーティング1519が配置されている。また、このグレーティング1519(回折格子)と対応するレンズ1518を介して微小角度回動可能なガルバノメータ1517が第1の光路長変化手段として取り付けられている。このガルバノメータミラー1517はガルバノメータコントローラ1524により、矢印1522方向に高速に回転される。
【0125】
ガルバノメータミラー1517はガルバノメータのミラーにより光を反射させるものであり、参照ミラーとして機能する。ガルバノメータに交流の駆動信号を印加することによりその可動部分に採りうけたミラーを高速に回転させるよう構成されている。
【0126】
つまり、ガルバノメータコントローラ1524より、ガルバノメータに対して駆動信号が印加され、該駆動信号により矢印1522方向に高速に回転することで、基準光の光路長が、生体組織の深さ方向の検査範囲に相当する光路長だけ高速に変化することとなる。この光路長の変化の一周期(一走査)が一ライン(ライン単位)分の干渉光データを生成する周期となる。
【0127】
一方、1軸ステージ1520は光プローブ1501を交換した場合に、光プローブの光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する第2の光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ1520はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ1501の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ1520により光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
【0128】
光路長の可変機構1516で光路長が変えられた光は第2のシングルモードファイバ1529の途中に設けた光カップラ部1508で第1のシングルモードファイバ1538側から漏れた光と混合されて、フォトダイオード1510にて受光される。
【0129】
フォトダイオード1510にて受光された光は光電変換され、アンプ1511により増幅された後、復調器1512に入力される。この復調器1512では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器1513に入力される。
【0130】
A/D変換器1513では、干渉光信号を200ポイント分サンプリングして1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。サンプリング周波数は、光路長の1走査の時間を200で除した値である。
【0131】
A/D変換器1513で生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部1514に入力される。この信号処理部1514では深度方向の干渉光データをビデオ信号に変換することにより、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ1527に出力する。
【0132】
なお、信号処理部1514は位置制御装置1526と接続されている。信号処理部1514は位置制御装置1526を介して1軸ステージ1520の位置の制御を行う。また、信号処理部1514はモータ制御回路1525と接続され、ラジアル走査モータ1505の回転駆動を制御する。
【0133】
また、信号処理部1514は、参照ミラー(ガルバノメータミラー)の光路長の走査を制御するガルバノメータコントローラ1524と接続され、ガルバノメータコントローラ1524は信号処理部1514へ駆動信号を出力し、モータ制御装置1525はこの同期信号に基づいてガルバノメータコントローラ1524と同期をとる。
【0134】
4.カテーテル部の構成
カテーテル部101の全体構成は、上記第1の実施形態において説明した血管内超音波診断装置のカテーテル部の構成と同じであるため説明は省略し、カテーテル部101の先端部の構成の相違点について、図16を用いて説明する。
【0135】
図16は、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置1500のカテーテル部101の先端部の構成を示す図である。
【0136】
図16において、カテーテルシース301の管腔内部には、光を照射/受光する光プローブ1601が設けられている。光プローブ1601は、側方照射のためのプリズムまたはミラー1601bが設けられている。光プローブ1601は、プリズムまたはミラー1601bとそれを保持するハウジング1601aからなり、プリズムまたはミラー1601bより体腔内組織にむけて低干渉性光が照射されるとともに、当該プリズムまたはミラー1601bにて体腔内からの反射光を受ける。
【0137】
また、駆動シャフト402の内部には、光ファイバが配され、ハウジング1601aからコネクタ部1502まで伸びている。なお、本実施形態における光干渉断層診断装置においては、事前の生理食塩水の注入(プライミング作業)は必ずしも必要ではないため、カテーテルシース301の先端部とガイドワイヤルーメン303との境界部に形成されるプライミング用排出口705はなくても良い。
【0138】
5.信号処理部の構成
次に信号処理部1514の構成について説明する。図17は、光干渉断層診断装置1500の信号処理部1514の機能構成を示す図である。
【0139】
図17において、1706は制御部であり、光干渉断層診断装置1500全体を統括的に制御する。
【0140】
1701は大容量記憶部であり、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。大容量記憶部1701では、フォトダイオード1510より復調器1512、A/D変換器1513を介して送信された全ての干渉光データを光路長の変化の周期単位(ライン単位)で順次受信し、記憶する。
【0141】
大容量記憶部1701に記憶された干渉光データは、必要に応じて(制御部1706からの指示に基づいて)、ビデオ信号のフレームレートに合わせて読み出され、信号選択部1703に送られる。
【0142】
なお、大容量記憶部1701の容量は、ラジアル走査により、何フレーム分のデータを取得するかにより決定される。例えば、0.5mmピッチで150mmの血管をラジアル走査する場合には、300フレームのデータとなる。そして1フレームが1024ライン×200サンプルの16ビットデータの場合、118Mバイトとなる。この場合、大容量記憶部1701として、1Gバイト以上の半導体メモリ、もしくはハードディスクを選択することができる。
【0143】
1702は信号選別部であり、A/D変換器1513より送信された干渉光データのうち、所定の干渉光データを選択的に抽出する機能を備える。信号選別部1702は、書き込み禁止機能付のFIFOメモリにより構成される。エンコーダ部1506の出力パルスに同期させて、FIFOメモリの書き込み可能/禁止を制御し、書き込み可能なときのみ、入力された干渉光データをFIFOメモリに書き込む。
【0144】
すなわち、ラジアル走査1フレーム分の干渉光データが構成されるように光路長の変化の周期単位(ライン単位)で書き込み可能にし、不要な干渉光データが入力される場合は、書き込み禁止にする。また、FIFOからの読み出しは、後段の処理のタイミングにあわせて行われ、読み出された干渉光データは信号選択部1703に出力される。なお、干渉光データの選別方法の詳細については後述する。
【0145】
1703は信号選択部であり、制御部1706より、大容量記憶部1701に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合には、大容量記憶部1701内の干渉光データを読み出し、信号後処理部1704に送る。一方、制御部1706より、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合には、信号選別部1702において選別された干渉光データを読み出し、信号後処理部1704に送る。
【0146】
1704は信号後処理部であり、信号選択部1703より送信された干渉光データに対してフレーム相関、ガンマ補正、コントラスト調整、シャープネスフィルタ等の処理が行われ画像構築部1705に出力される。
【0147】
画像構築部1705では、低干渉性光の光路長走査単位(ライン単位)の干渉光データ列をビデオ信号に変換する。これにより、LCDモニタ1527に表示する断面画像を形成する。
【0148】
この結果、信号選択部1703が制御部1706より、大容量記憶部1701に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ1527には、大容量記憶部1701内の干渉光データに基づいて形成された断面画像が表示され、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ1527には、信号選別部1703において選別された干渉光データに基づいて形成された断面画像が、光プローブ1601のラジアル走査に対応して表示されることとなる。つまり、LCDモニタ1527は、ラジアル走査時のリアルタイム表示とラジアル走査後の表示の2種類の断面画像表示を行うよう制御される。
【0149】
6.光干渉断層診断時の信号処理
6.1 信号処理の概要
本実施形態にかかる光干渉断層診断装置1500における血管内光干渉断層診断時の信号処理の概要について説明する。
【0150】
図18は、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0151】
同図(a)に示すように、光プローブ1501が1回転するごとに、血管の断面画像を1つ形成するための干渉光データ(1024ライン)が取得される(図18(a)の例では、6回転することで、6枚の断面画像を生成するための干渉光データ(1801〜1806)が取得される)。
【0152】
各回転ごとに取得された干渉光データは、測定後に再生できるように大容量記憶部1701に記憶する。また、各回転ごとに取得された干渉光データの一部を取り出し、1フレーム分の干渉光データを生成し、リアルタイムで表示する。図18(a)の例では、1回転目に取得された干渉光データ(1801)からは、0度〜120度分の干渉光データを取り出し、2回転目に取得された干渉光データ(1802)からは、120度〜240度分の干渉光データを取り出し、3回転目に取得された干渉光データ(1803)からは、240度〜360度分の干渉光データを取り出す。取り出された干渉光データは結合され、1フレーム分の干渉光データとして生成される(1811)。
【0153】
図18(b)は生成された1フレーム分の干渉光データ(1811)の内訳を示す図である。同図に示すように、1回転目の干渉光データのライン1〜ライン340と、2回転目の干渉光データのライン341〜682と、3回転目の干渉光データのライン683〜1024により構成されている。生成された干渉光データはリアルタイムに表示される。 同様に、4回転目から6回転目までに取得された干渉光データに基づいて、1フレーム分のデータを生成し(1812)、リアルタイムで表示する。
【0154】
このように、光プローブ1501のラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、各回転で得られた干渉光データの一部を取り出し、それらを結合して1フレームを形成するように構成することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0155】
なお、上述のように各回転ごとに取得された干渉光データは、並行して大容量記憶部1701に記憶される。このため、後で大容量記憶部1701に記憶された全干渉光データを読み出すことで、全ての干渉光データを表示させることが可能となる。このように光干渉断層診断装置1500によれば、光プローブ1501のラジアル走査を高速化した場合でも、全データの表示とリアルタイムでの表示とを行うことができる。
【0156】
6.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
次に上記信号処理を実現するための信号処理部1514の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0157】
6.2.1 制御部1706における処理の流れ
図19は、血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部1706における処理の流れを示すフローチャートである。
【0158】
ステップS1901では、ラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとを読み出す。ステップS1902では、読み出されたラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとの比(α)を算出する。
【0159】
ステップS1903では、ステップS1902にて算出された比(α)を信号選別部1702に送信する。
【0160】
6.2.2 信号選別部1702における処理の流れ
図20は、血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部1702の処理の流れを示すフローチャートである。
【0161】
ステップS2001では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値mは光プローブ1501の回転数をカウントするためのパラメータである。また、カウント値nは、干渉光データのライン番号を管理するためのパラメータである。
【0162】
ステップS2002では、A/D変換器1513より送信されたライン番号=nの干渉光データのライン番号が下式(式1、式2)の条件を満たすか否かを判断する。
(式1)1024×(m−1)/α≦n
(式2)1024×m/α>n
ステップS2002において、式1及び式2の条件を具備すると判定された場合には、ステップS2003に進み、FIFOメモリに当該干渉光データ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS2004に進み、当該干渉光データを選別し、所定のタイミングで信号選択部1703に出力した後、ステップS2005に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0163】
一方、ステップS2003において、式1及び式2の条件を具備しないと判定された場合には、FIFOメモリが書き込み禁止となって直接ステップS2005に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示には利用されない。
【0164】
ステップS2005では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS2008に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS2002に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS2006に進む。
【0165】
ステップS2006では、カウント値mがαよりも小さいか否かを判定する。カウント値mがαより小さいと判定された場合には、ステップS2009に進み、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を入力する。
【0166】
一方、ステップS2006において、カウント値mがαと等しいと判定された場合には、ステップS2007に進む。ステップS2007では、次の干渉光データがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、ステップS2001に戻る。一方、ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0167】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、干渉光データを選別することにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0168】
この結果、光プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0169】
なお、本実施形態では、上記第1の実施形態において説明した信号処理を光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、上記第2の実施形態において説明した信号処理における「超音波エコーデータ」を「干渉光エコーデータ」に置き換えることで適用することができる。
【0170】
[第4の実施形態]
上記第3の実施形態では、光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限られず波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用しても良い。以下、波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用した場合について説明する。
【0171】
1.波長掃引利用の光干渉断層診断装置の測定原理
はじめに波長掃引利用の光干渉断層診断装置の測定原理について簡単に説明する。なお、波長掃引利用の光干渉断層診断装置は、上記第3の実施形態において説明した光干渉断層診断装置の測定原理(図13、図14)と光干渉を利用する点において基本的に同じである。そこで、ここでは光干渉断層診断装置との相違点を中心に説明する。
【0172】
光干渉断層診断装置との測定原理上の相違点は光源にあり、第1にコヒーレント長が異なる。つまり、光干渉断層診断装置の光源は、コヒーレント長が10μm〜20μm程度の低干渉性光を用いるのに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の光源には、コヒーレント長が4〜10mm程度のものが用いられる。
【0173】
これは、光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の検査範囲は、参照ミラーの可動範囲に依存するのに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の検査範囲は、コヒーレント長に依存するからである。そして、血管等の生体組織の深さ方向の全範囲を網羅するために、波長掃引利用の光干渉断層診断装置では、コヒーレント長の比較的長い光源が用いられる。
【0174】
光源の第2の相違点は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、異なる波長を持つ光が連続的に照射される点にある。
【0175】
上記第3の実施形態にかかる光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の各点からの反射光の抽出は、参照ミラーの移動により実現し、測定対象の深さ方向の分解能は、照射する光のコヒーレント長に依存していた。
【0176】
これに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、連続的に波長を変化させた光を照射し、生体組織の深さ方向の各点からの反射光の強度は、干渉光の周波数成分の違いに基づいて行うことを特徴としている。
【0177】
一般的に、掃引する光の周波数(波長の逆数)を、下式(式1)に示す時間関数として考えると、干渉光の強度は下式(式2)に示す時間関数として表現できる。このとき、Δxは参照光と対象光の光路差を示し、Δfは単位時間における周波数の変化率を示すものである。また、A、B、Cは定数を示す。
(式1)f(t)=fα+Δft
(式2)I(t)=A+Bcos(CΔx(fα+Δft))
式2からわかるように、干渉光強度I(t)の時間変化の周波数成分は光路差Δxと波長掃引の周波数変化Δfで表される。したがって、干渉光の周波数成分がわかれば、光路差ごとの干渉光強度がわかることになる。
【0178】
これにより、1ライン分の信号を取得するのに要する時間が短くなり、また、描出深度を深くすることができる。
【0179】
図21は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の基本原理を示す図である。同図において光源2101は、Swept Laserである。
【0180】
光源2101より順次出力された異なる波長を有する光は、ビームスプリッタ2104で分割され、それぞれを参照ミラー2102と測定対象2103に向かう。このとき測定対象2103側から戻ってくる反射光には、物体表面での反射光や、物体内部の浅い位置で反射した光、物体内部の深部で反射した光など様々な位置からの反射光が含まれる。
【0181】
上述のように、検出器2105において、観測された干渉光を周波数分解することで、測定対象の深さ方向の特定の位置での構造情報を可視化することが可能となる。この結果、1周期の波長掃引で1ライン分のデータが得られることとなり、断面画像を形成することができる。
【0182】
なお、光源2101より出力される光は、コヒーレント長が4〜6mm程度あるため、測定対象の深さ方向の検査範囲が全て網羅できるため、参照ミラーを動作させる必要は無く、参照ミラー2102は一定の距離に固定して配されることとなる。
【0183】
このように参照ミラーを機械的に動かす必要がないので、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、光干渉断層診断装置と比べて1ライン分の信号を取得するのに要する時間が短くなり、フレームレートを上げることができる。光干渉断層診断装置における最大フレームレートが15fr/sであるのに対し、波長掃引利用の光干渉断層診断装置のフレームレートは30〜200fr/s程度である。
【0184】
もともと光干渉断層診断装置や波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、血球成分への光の吸収を避け、良好な画像を取得するために、診断時に血液を排除しなければならない。このため、フレームレートが低いと血液を排除しておく時間を長くしなければならず、臨床上問題がある。これに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、数秒間の血液排除で血管の軸方向に30mm以上の画像を取得することができるため、臨床上の問題を低減させることができるというメリットがある。
【0185】
2.波長掃引利用の光干渉断層診断装置の機能構成
図22は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200の機能構成を示す図である。以下、上記第3の実施形態において図15を用いて説明した光干渉断層診断装置との相違点を中心に説明する。
【0186】
2208は光源であり、Swept Laserが用いられる。Swept Laser2208は、SOA2216(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ2217とポリゴンスキャニングフィルタ(2208b)よりなる、Extended−cavity Laserの一種である。
【0187】
SOA2216から出力された光が、光ファイバ2217を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ2208bに入り、ここで波長選択された光が、SOA2216で増幅され、最終的にcoupler2214から出力される。
【0188】
ポリゴンスキャニングフィルタ2208bは、光を分光する回折格子2212とポリゴンミラー2209との組み合わせで波長を選択する。回折格子2212により分光された光を2枚のレンズ(2210、2211)によりポリゴンミラー2209の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー2209と直交する波長の光のみ同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ2208bから出力されるため、ミラーを回転させることで、波長の時間掃引を行う。
【0189】
ポリゴンミラー2209は、例えば、32面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー2209と回折格子2212とを組み合わせたユニークな波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
【0190】
Coupler2214から出力されたSwept Laser2208の光は、第1のシングルモードファイバ2230の一端に入射され、先端面側に伝送される。第1のシングルモードファイバ2230は、途中の光カップラ部2226で第2のシングルモードファイバ2231と光学的に結合されている。従って、この光カップラ部2226で2つに分岐されて伝送される。
【0191】
第1のシングルモードファイバ2230の光カップラ部2226より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント2203が設けられている。
【0192】
更に、光ロータリジョイント2203内の第3のシングルモードファイバ2232の先端には、光プローブのコネクタ部2202が着脱自在に接続されている。これにより光プローブ2201内に挿通され回転駆動可能な第4のシングルモードファイバ2233に、光源2208からの光が伝送される。
【0193】
伝送された光は、光プローブ2201の先端側から体腔内の生体組織側にラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織側の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部は光プローブ2201により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ2230側に戻る。さらに、光カップラ部2226によりその一部が第2のシングルモードファイバ2231側に移り、第2のシングルモードファイバ2231の一端から光検出器(例えばフォトダイオード2219)に入射される。なお、光ロータリジョイント2203の回転部側は回転駆動装置2204のラジアル走査モータ2205により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ2205の回転角度は、エンコーダ部2206により検出される。更に、光ロータリジョイント2203は、直線駆動装置2207を備え、信号処理部2223からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向の動作を規定している。
【0194】
また、第2のシングルモードファイバ2231の光カップラ部2226より先端側には、基準光の光路長を微調整する光路長の可変機構2225が設けてある。
【0195】
この光路長の可変機構2225は光プローブを交換して使用した場合の個々の光プローブの長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。
【0196】
第2のシングルモードファイバ2231およびコリメートレンズ2226は、その光軸方向に矢印2233で示すように移動自在な1軸ステージ2232上に設けられ、光路長変化手段を形成している。
【0197】
具体的には、1軸ステージ2232は光プローブ2201を交換した場合に、光プローブの光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ2232はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ2201の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
【0198】
光路長の可変機構2225で光路長が微調整された光は第2のシングルモードファイバ2231の途中に設けた光カップラ部2226で第1のシングルモードファイバ2226側から漏れた光と混合されて、フォトダイオード2219にて受光される。
【0199】
フォトダイオード2219にて受光された光は光電変換され、アンプ2220により増幅された後、復調器2221に入力される。この復調器2221では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器2222に入力される。
【0200】
A/D変換器2222では、干渉光信号を180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0201】
A/D変換器2222にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部2223に入力される。この信号処理部2223では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成し、これを座標変換することにより、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ2227に出力する。
【0202】
なお、信号処理部2223は位置制御装置2234と接続されている。信号処理部2223は位置制御装置2234を介して1軸ステージ2232の位置の制御を行う。また、信号処理部2223はモータ制御回路2224と接続され、ラジアル走査モータ2205の回転駆動を制御する。
【0203】
3.カテーテル部の構成
カテーテル部101の全体構成ならびに先端部の構成は、上記第3の実施形態において図16を用いて説明した光干渉断層診断装置のカテーテル部と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0204】
4.信号処理部の構成
次に信号処理部2223の構成について説明する。図23は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200の信号処理部2223の機能構成を示す図である。
【0205】
図23において、2306は制御部であり、波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200全体を統括的に制御する。
【0206】
2301は大容量記憶部であり、ハードディスクや半導体メモリ等で構成される。大容量記憶部2301では、フォトダイオード2210より復調器2221、A/D変換器2222を介して送信された全ての干渉光データを波長掃引周期単位(ライン単位)で順次受信し、記憶する。
【0207】
大容量記憶部2301に記憶された干渉光データは、必要に応じて(制御部2306からの指示に基づいて)、ビデオ信号のフレームレートに合わせて読み出され、信号選択部2303に送られる。
【0208】
なお、大容量記憶部2301の容量は、ラジアル走査により、何フレーム分のデータを取得するかにより決定される。例えば、0.5mmピッチで150mmの血管をラジアル走査する場合には、300フレームのデータとなる。そして1フレームが1024ライン×2048サンプルの16ビットデータの場合、1200Mバイトとなる。この場合、大容量記憶部2301として、2Gバイト以上の半導体メモリ、もしくはハードディスクを選択することができる。
【0209】
2302は信号選別部であり、A/D変換器2222より送信された干渉光データのうち、所定の干渉光データを選択的に抽出する機能を備える。信号選別部2302は、書き込み禁止機能付のFIFOメモリにより構成される。エンコーダ部2206の出力パルスに同期させて、FIFOメモリの書き込み可能/禁止を制御し、書き込み可能なときのみ、入力された干渉光データをFIFOメモリに書き込む。
【0210】
すなわち、ラジアル走査1フレーム分の干渉光データが構成されるように波長掃引周期単位(ライン単位)で書き込み可能にし、不要な干渉光データが入力される場合は、書き込み禁止にする。また、FIFOからの読み出しは、後段の処理のタイミングにあわせて行われ、読み出された干渉光データは信号選択部2303に出力される。なお、干渉光データの選別方法の詳細については後述する。
【0211】
2303は信号選択部であり、制御部2306より、大容量記憶部2301に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合には、大容量記憶部2301内の干渉光データを読み出し、深さ方向ラインデータ生成部2304に送る。一方、制御部2306より、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合には、信号選別部2302において選別された干渉光データを読み出し、深さ方向ラインデータ生成部2304に送る。深さ方向ラインデータ生成部2304は、干渉光データをFFT(フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成する。
【0212】
2305は信号後処理部であり、深さ方向ラインデータ生成部304より送信された干渉光データに対してフレーム相関、ガンマ補正、コントラスト調整、シャープネスフィルタ等の処理が行われ画像構築部2306に出力される。
【0213】
画像構築部2306では、干渉光の波長掃引単位(ライン単位)の干渉光データ列をビデオ信号に変換する。これにより、LCDモニタ2227に表示する断面画像を形成する。
【0214】
この結果、信号選択部2303が制御部2306より、大容量記憶部2301に記憶された干渉光データを読み出す旨の指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ2227には、大容量記憶部2301内の干渉光データに基づいて形成された断面画像が表示され、リアルタイムでの画像表示指示を受け取った場合にあっては、LCDモニタ2227には、信号選別部2303において選別された干渉光データに基づいて形成された断面画像が、光プローブ2201のラジアル走査に対応して表示されることとなる。つまり、LCDモニタ2227は、ラジアル走査時のリアルタイム表示とラジアル走査後の表示の2種類の断面画像表示を行うよう制御される。
【0215】
5.波長掃引利用の光干渉断層診断時の信号処理
5.1 信号処理の概要
本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200における血管内光干渉断層診断時の信号処理の概要について説明する。
【0216】
図24(a)は、本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200における信号処理の概要を模式的に示したものである。
【0217】
同図(a)に示すように、光プローブ2201が1回転するごとに、血管の断面画像を1つ形成するための干渉光データ(1024ライン)が取得される(図24(a)の例では、6回転することで、6枚の断面画像を形成するための干渉光データ(2401〜2406)が取得される)。
【0218】
各回転ごとに取得された干渉光データは、測定後に再生できるように大容量記憶部2301に記憶する。また、各回転ごとに取得された干渉光データの一部を取り出し、1フレーム分の干渉光データを生成し、リアルタイムで表示する。図24(a)の例では、1回転目に取得された干渉光データ(2401)からは、0度〜120度分の干渉光データを取り出し、2回転目に取得された干渉光データ(2402)からは、120度〜240度分の干渉光データを取り出し、3回転目に取得された干渉光データ(2403)からは、240度〜360度分の干渉光データを取り出す。取り出された干渉光データは結合され、1フレーム分の干渉光データとして生成される(2411)。
【0219】
図24(b)は生成された1フレーム分の干渉光データ(2411)の内訳を示す図である。同図に示すように、1回転目の干渉光データのライン1〜ライン340と、2回転目の干渉光データのライン341〜682と、3回転目の干渉光データのライン683〜1024により構成されている。生成された干渉光データはリアルタイムに表示される。同様に、4回転目から6回転目までに取得された干渉光データに基づいて、1フレーム分の干渉光データを生成し(2412)、リアルタイムで表示する。
【0220】
このように、光プローブ2201のラジアル走査を高速化し、単位時間あたりに形成可能な断面画像の量が増加した場合でも、各回転で得られた干渉光データの一部を取り出し、それらを結合して1フレームを形成するように構成することで、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。この結果、リアルタイムでの表示が可能となる。
【0221】
なお、上述のように各回転ごとに取得された干渉光データは、並行して大容量記憶部2301に記憶される。このため、後で大容量記憶部2301に記憶された全干渉光データを読み出すことで、全ての干渉光データを表示させることが可能となる。このように波長掃引利用の光干渉断層診断装置2200によれば、光プローブ2201のラジアル走査を高速化した場合でも、全データの表示とリアルタイムでの表示とを行うことが可能となる。
【0222】
5.2 上記信号処理を実現するための各部の処理の流れ
次に上記信号処理を実現するための信号処理部2223の各部における処理の流れについて説明する。なお、以下では、1回転あたりのライン数を1024として説明する。
【0223】
5.2.1 制御部2306における処理の流れ
図25は、波長掃引利用の血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部2306における処理の流れを示すフローチャートである。
【0224】
ステップS2501では、ラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとを読み出す。ステップS2502では、読み出されたラジアル走査のフレームレートとビデオ信号のフレームレートとの比(α)を算出する。
【0225】
ステップS2503では、ステップS2502にて算出された比(α)を信号選別部2302に送信する。
【0226】
5.2.2 信号選別部2302における処理の流れ
図26は、血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部2302の処理の流れを示すフローチャートである。
【0227】
ステップS2601では、カウント値m、nに初期値として1を設定する。カウント値mは光プローブ2201の回転数をカウントするためのパラメータである。また、カウント値nは、干渉光データのライン番号を管理するためのパラメータである。
【0228】
ステップS2602では、A/D変換器2222より送信されたライン番号=nの干渉光データのライン番号が下式(式3、式4)の条件を満たすか否かを判断する。
(式3)1024×(m−1)/α≦n
(式4)1024×m/α>n
ステップS2602において、式1及び式2の条件を具備すると判定された場合には、ステップS2603に進み、FIFOメモリに当該干渉光データ(ライン番号=n)を書き込み、次いでステップS2604に進み、当該干渉光データを選別し、所定のタイミングで信号選択部2303に出力した後、ステップS2605に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示に利用されることとなる。
【0229】
一方、ステップS2603において、式1及び式2の条件を具備しないと判定された場合には、直接ステップS2605に進む。この場合、当該干渉光データはリアルタイム表示には利用されない。
【0230】
ステップS2605では、カウント値nが1024より小さいか否かを判定する。カウント値nが1024より小さいと判定された場合には、ステップS2608に進み、カウント値nをインクリメントした後、ステップS2602に戻る。一方、カウント値nが1024と等しいと判定された場合には、ステップS2606に進む。
【0231】
ステップS2606では、カウント値mがαよりも小さいか否かを判定する。カウント値mがαより小さいと判定された場合には、ステップS2609に進み、カウント値mをインクリメントするとともに、カウント値nに1を入力する。
【0232】
一方、ステップS2606において、カウント値mがαと等しいと判定された場合には、ステップS2607に進む。ステップS2607では、次の干渉光データがあるか否かを判定し、あると判定された場合には、ステップS2601に戻る。一方、ないと判定された場合には、処理を終了する。
【0233】
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置によれば、ビデオ信号のフレームレートとラジアル走査のフレームレートとの比に基づいて、干渉光データを選別することにより、ビデオ信号のフレームレートに適した間隔で、断面画像を形成することが可能となる。
【0234】
この結果、光プローブのラジアル走査を高速化した場合でも、ビデオ信号のフレームレートに関わらず、リアルタイム表示を行うことが可能となる。
【0235】
なお、本実施形態では、上記第1の実施形態において説明した信号処理を波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、上記第2の実施形態において説明した信号処理における「超音波エコーデータ」を「干渉光データ」に置き換えることで適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】血管内超音波診断装置の外観構成を示す図である。
【図2】血管内超音波診断装置の機能構成を示す図である。
【図3】血管内超音波診断装置のカテーテル部の全体構成を示す図である。
【図4】血管内超音波診断装置のカテーテル部の先端部の構成を示す図である。
【図5】カテーテル部において駆動シャフトをカテーテルシースに対して相対的にスライドさせた様子を示す図である。
【図6】血管内超音波診断装置の信号処理部の機能構成を示す図である。
【図7】血管内超音波診断時のカテーテル部の動作を説明するための模式図である。
【図8】血管内超音波診断装置の信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図9】血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】血管内超音波診断装置の信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図12】血管内超音波診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】光干渉断層診断装置の測定原理を説明するための図である。
【図14】光干渉断層診断装置の基本原理を説明するための図である。
【図15】光干渉断層診断装置の機能構成を示す図である。
【図16】光干渉断層診断装置のカテーテル部の先端部の構成を示す図である。
【図17】光干渉断層診断装置の信号処理部の機能構成を示す図である。
【図18】光干渉断層診断装置における信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図19】光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選択部の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】波長掃引利用の光干渉断層診断装置の基本原理を示す図である。
【図22】波長掃引利用の光干渉断層診断装置の機能構成を示す図である。
【図23】波長掃引利用の光干渉断層診断装置の信号処理部の機能構成を示す図である。
【図24】光干渉断層診断装置における信号処理の概要を模式的に示した図である。
【図25】波長掃引利用の血管内光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の制御部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図26】波長掃引利用による光干渉断層診断時にリアルタイム表示を行う際の信号選別部の処理の流れを示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、体腔内においてラジアル走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて生成されたデータを用いて、該体腔内の断面画像を連続して形成・出力する画像診断装置であって、
前記断面画像を連続して出力する際のフレームレートに基づいて、前記生成したデータの一部を抽出する抽出手段と、
前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成することで、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御手段と、
前記生成されたデータを記憶する記憶手段と、
前記ラジアル走査後に、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、出力するよう制御する第2の出力制御手段と
を備えることを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、ラジアル走査される前記プローブの各回転角度において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の回転角度におけるデータを抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、ラジアル走査される前記プローブの各回転において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の1回転を単位としてデータを抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記第1の出力制御手段は、前記抽出手段により抽出されたデータを組み合わせ、1回転分のデータを生成することで、前記断面画像を形成するよう制御することを特徴とする請求項2に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記プローブは超音波振動子を含み、超音波の送受信が可能であり、前記データは、該プローブより取得された体腔内での反射波に基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記プローブは光を出力する光源に接続され、該光の送受信が可能であり、前記データは、該プローブより取得された体腔内での反射光と、該光源より出力され光学ミラーにおいて反射された反射光との干渉光に基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項7】
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、体腔内においてラジアル走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて生成されたデータを用いて、該体腔内の断面画像を連続して形成・出力する画像診断装置における情報処理方法であって、
前記断面画像を連続して出力する際のフレームレートに基づいて、前記生成したデータの一部を抽出する抽出工程と、
前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成することで、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御工程と、
前記生成されたデータを記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記ラジアル走査後に、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、出力するよう制御する第2の出力制御工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
前記抽出工程は、ラジアル走査される前記プローブの各回転角度において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の回転角度におけるデータを抽出することを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記抽出工程は、ラジアル走査される前記プローブの各回転において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の1回転を単位としてデータを抽出することを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記第1の出力制御工程は、前記抽出工程により抽出されたデータを組み合わせ、1回転分のデータを生成することで、前記断面画像を形成するよう制御することを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
【請求項12】
請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
【請求項1】
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、体腔内においてラジアル走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて生成されたデータを用いて、該体腔内の断面画像を連続して形成・出力する画像診断装置であって、
前記断面画像を連続して出力する際のフレームレートに基づいて、前記生成したデータの一部を抽出する抽出手段と、
前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成することで、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御手段と、
前記生成されたデータを記憶する記憶手段と、
前記ラジアル走査後に、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、出力するよう制御する第2の出力制御手段と
を備えることを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、ラジアル走査される前記プローブの各回転角度において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の回転角度におけるデータを抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、ラジアル走査される前記プローブの各回転において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の1回転を単位としてデータを抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記第1の出力制御手段は、前記抽出手段により抽出されたデータを組み合わせ、1回転分のデータを生成することで、前記断面画像を形成するよう制御することを特徴とする請求項2に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記プローブは超音波振動子を含み、超音波の送受信が可能であり、前記データは、該プローブより取得された体腔内での反射波に基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記プローブは光を出力する光源に接続され、該光の送受信が可能であり、前記データは、該プローブより取得された体腔内での反射光と、該光源より出力され光学ミラーにおいて反射された反射光との干渉光に基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項7】
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、体腔内においてラジアル走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて生成されたデータを用いて、該体腔内の断面画像を連続して形成・出力する画像診断装置における情報処理方法であって、
前記断面画像を連続して出力する際のフレームレートに基づいて、前記生成したデータの一部を抽出する抽出工程と、
前記抽出されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成することで、前記ラジアル走査に対応してリアルタイムに出力するよう制御する第1の出力制御工程と、
前記生成されたデータを記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記ラジアル走査後に、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて、前記体腔内の断面画像を連続して形成し、出力するよう制御する第2の出力制御工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
前記抽出工程は、ラジアル走査される前記プローブの各回転角度において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の回転角度におけるデータを抽出することを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記抽出工程は、ラジアル走査される前記プローブの各回転において取得された前記データのうち、前記フレームレートに基づいて算出された所定の1回転を単位としてデータを抽出することを特徴とする請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記第1の出力制御工程は、前記抽出工程により抽出されたデータを組み合わせ、1回転分のデータを生成することで、前記断面画像を形成するよう制御することを特徴とする請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
【請求項12】
請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2007−267866(P2007−267866A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96037(P2006−96037)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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