説明

界面動電送達システム、装置及び方法

本発明による装置、システム、及び方法は、薬物送達及び検体サンプリングを含む、様々な医療用途のための高圧流及び低圧流の生成が可能な界面動電ポンプを使用する。EKポンプ及びシステムは低コスト、コンパクト、かつ精密であるように構成され製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)本出願は、参照によって全体を援用する2002年10月18日出願の米国特許出願第10/273,723号、2002年12月17日出願の米国特許出願第10/322,083号、2002年7月17日出願の米国特許出願第10/198,223号、及び2003年10月17日出願のPCT出願PCT/US2003/032895号の一部継続出願であり、米国特許法第120条に基づいて優先権を主張する。本出願はまた、同様に参照によって全体を援用する2004年4月21日出願の米国特許出願第60/564,497号の優先権も米国特許法第119条に基づいて主張する。
【背景技術】
【0002】
多くの診断的及び治療的医療用途(薬物送達及び検体サンプリング/モニタリングを含む)では、薬物、血液及び/または他の生物流体の精密な輸送が重要である。しかし、多くの従来の診断的及び治療的医療システムでは、薬物及び他の生物流体の多量及び少量の水溶液を精密に輸送することは、達成が困難である。この困難は、従来のシステムでは流体の輸送及び送達を行うために機械的構成部品を使用していることから生じている。生物材料を含有する少量及び多量の水溶液の高精度な輸送を可能にするようにこれらのシステムを再構成すると、そのようなシステムは複雑であるため製造費用がかさみ、時間がかかり、労働力を要するので、実用的ではない。
【0003】
現在、少量流体の高精度で制御された輸送及び移動における最新技術は、流体の界面動電(EK)または電気浸透による操作である。電気浸透は、電解液の純流量を生成するように、誘導体表面に接触する電解液に電位を印加することを含む。
【0004】
電気浸透は化学分析において広範囲で幅広い用途(例えば、高速液体クロマトグラフィ及び他の化学的分離法など)があるが、薬物送達及び検体サンプリングなどの医療用途は、従来の機械的手法より優れた利点があるにも関わらず限られている。EKポンプ流体でのガス発生、液圧の不十分な生成、及び印加された電界によって生じる輸送材料の化学的劣化を含む設計上の課題を克服する必要がある。非医療用途で構成される場合、これらの欠点は、医療適用とは異なりその重要性は最小限であるので、大きな問題とはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明は、限定はされないが薬物送達及び/または検体サンプリングを含む医療用途に適合された、低コスト、高精度、高信頼度かつコンパクトなEKポンプ及びシステムを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、本発明ではポンプ流体の効率的、高信頼度及び高精度な移動のために界面動電による流体流量を制御する技法の使用が企図されている。さらに、薬物送達及び検体サンプリングのための様々な低コスト、精密、高信頼度かつコンパクトな医療用システム及び装置が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をポンプ流体流速で第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を投与流体流速で第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含み、投与流体流速がポンプ流体流速の約1倍から10倍である、流体を給送する方法である。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバ、投与流体の初期容量の250%を超えない容量を有する界面動電ポンプに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含む、流体を給送する方法である。
【0009】
さらに他の実施形態では、本発明は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有するシリンジに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をシリンジから患者の体内へと移動させる工程とを含む、流体を給送する方法である。この実施形態はまた、移動させる工程の前にシリンジに投与流体を追加する工程を含むこともできる。
【0010】
方法のさらに他の実施形態は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を第3のリザーバから第1の界面動電ポンプのポンプ出口を通って、患者の体内へと移動させる工程と、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体の第1のリザーバ、第2のリザーバ、第3のリザーバ、及び第3のリザーバ内に配設された投与流体に接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、第2の界面動電ポンプの電極を電源に接続する工程と、第2の界面動電ポンプのポンプ流体が第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに第2の界面動電ポンプの第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第3のリザーバから第2の界面動電ポンプ出口を通して患者の体内へと移動させる工程とを含む。投与流体を第1の界面動電ポンプから移動させる工程は第1の速度で実施することができ、投与流体を第2の界面動電ポンプから移動させる工程は第1の速度とは異なる第2の速度で実施することができる。第1の界面動電ポンプ及び第2の界面動電ポンプの投与流体は、同じ種類の流体または異なる種類の流体とすることができる。
【0011】
本発明の他の実施形態は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程と、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体の第1のリザーバ、第2のリザーバ、第3のリザーバ、及び第3のリザーバ内に配設された投与流体に接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、第2の界面動電ポンプの電極を電源に接続する工程と、第2の界面動電ポンプのポンプ流体が第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに第2の界面動電ポンプの第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第2の界面動電ポンプの第3のリザーバからポンプ出口を通して患者の体内へと移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。第1の界面動電ポンプ及び第2の界面動電ポンプの投与流体は、同じ種類の流体または異なる種類の流体とすることができる。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程と、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体の第1のリザーバ、及び第2のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、第2の界面動電ポンプの電極を電源に接続する工程と、第2の界面動電ポンプのポンプ流体が第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに第2の界面動電ポンプの第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第2の界面動電ポンプの第3のリザーバからポンプ出口を通して患者の体内へと移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、患者の投与流体の必要性を測定する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、測定された必要性に応じてポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を含む。投与流体はインスリンとすることができ、測定する工程は患者の血中グルコース濃度を測定する工程を含むことができ、移動させる工程は測定された血中グルコース濃度に応じて多量のインスリンを患者の体内へと注射する工程を含む。移動させる工程はまた、測定された血中グルコース濃度に応じて多量のインスリンを患者の体内へと自動的に注射する工程を含む。測定する工程は第2の界面動電ポンプによって患者から採取された流体をサンプリングする工程を含むことができる。
【0014】
本発明の他の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程と、移動させる工程中に第3のリザーバから移動した投与流体量に関するパラメータ(例えば、流速、ポンプ部品の位置)を監視する工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。監視されたパラメータは、移動させる工程のフィードバック制御をもたらすため、投与流体に関する表示をもたらすため、投与すべき投与流体の所望の量を計算するため、及び/またはポンプ出口に閉塞があることを表示するために、使用することができる。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、一定の時間間隔で一定容量の投与流体を投与するように投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程と、第3のリザーバから移動した投与流体量を調整する工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、投与流体を第3のリザーバ内へと充填する工程と、投与流体の特性を変化させるように界面動電ポンプを処理する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させる工程と、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含む、流体を給送する方法である。処理する工程は、界面動電ポンプに照射する工程を含むことができる。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、約1マイクロリットル/分未満の流速で、かつ定常流速エラーが方法工程全体にわたって約5%を超えずに、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにほぼすべてのポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、約1〜約1000psiのポンプ流体圧力を生成する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0020】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバ、電極に接続可能な電源、及び電極、誘電体材料、リザーバ及び電源、最大約11cmの容量を有する界面動電ポンプを含有するケースに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに少なくとも約0.2ミリリットルのポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。移動させる工程は、ポンプ流体を約10ナノリットル/分未満の速度で移動させる工程を含むことができ、ポンプ流体を約30日間ほぼ連続的に移動させる工程を含むこともできる。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、界面動電ポンプを患者に支持する工程と、電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。この方法はまた、界面動電ポンプを患者に埋め込む工程を含むこともできる。界面動電ポンプがある形状を有する実施形態では、埋め込む工程は、界面動電ポンプの形状に相補的な形状を有する患者の解剖学的特徴に隣接して界面動電ポンプを配置する工程を含む。
【0022】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、電極を電源に接続する工程と、第1のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1の速度でリザーバから患者の体内へ移動させる工程と、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、第2の界面動電ポンプの電極を電源に接続する工程と、第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第2の速度で第2の界面動電ポンプのリザーバから患者の体内へ移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。第1の界面動電ポンプ及び第2の界面動電ポンプのポンプ流体は、同じ種類の流体または異なる種類の流体とすることができる。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電極を時間変調式に電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電源をオン状態とオフ状態に交互にすることによって電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法を提供する。
【0025】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、電源を常時オフ状態とコンピュータプログラムに応じて周期的オン状態に交互にすることによって電極を電源に接続する工程と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させる工程とを含む、流体を給送する方法である。
【0026】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、第3のリザーバから一定容量の投与流体を移動させるよう電源から電極への電力の送達を制御するように適合された制御装置とを提供する。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、投与流体を一定時間だけ移動させるよう電源から電極への電力の送達を制御するように適合された制御装置である。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、一定時間間隔で第3のリザーバから投与流体を移動させるよう電源から電極への電力の送達を制御するように適合された制御装置とを提供する。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、使用者の入力に応じてある量の投与流体を第3のリザーバから移動させるよう電源から電極への電力の送達を制御するように適合された制御装置である。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及び第1のポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を第1のポンプ出口から患者の体内へと移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、電源、第2の一対の電極間に配設された多孔性誘電体、ポンプ流体を含有する第4のリザーバ、投与流体を含有する第2のリザーバ及び第6のリザーバ、及び第2のポンプ出口に接続可能な第2の一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプであり、第2のポンプ内にファラデー過程を発生させずに第2の界面動電ポンプの電極が電源に接続されているとき、第2の界面動電の投与流体を第2のポンプ出口を通って患者の体内へと移動させるよう第2の界面動電のポンプ流体を第4のリザーバから第5のリザーバへと移動させるように、第2の界面動電ポンプの電極及び誘電体材料が適合されており、システムはさらに第1及び第2の界面動電ポンプを制御するように適合された制御装置を含む。第1の界面動電ポンプは投与流体を第1の速度で移動させるようにさらに適合させることができ、第2の界面動電ポンプは投与流体を第1の速度と異なる第2の速度で移動させるようにさらに適合させることができる。
【0031】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から患者の体内へと移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第4のリザーバ、投与流体を含有する第5のリザーバ及び第6のリザーバに接続可能な一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプであり、第2のポンプ内にファラデー過程を発生させずに第2の界面動電ポンプの電極が電源に接続されているとき、第2の界面動電の投与流体をポンプ出口を通って患者の体内へと移動させるよう第2の界面動電のポンプ流体を第4のリザーバから第5のリザーバへと移動させるように、第2の界面動電ポンプの電極及び誘電体材料が適合されている。第1の界面動電ポンプは投与流体を第1の速度で移動させるようにさらに適合させることができ、第2の界面動電ポンプは投与流体を第1の速度と異なる第2の速度で移動させるようにさらに適合させることができる。
【0032】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料を含む第1の界面動電ポンプと、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から患者の体内へと移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第4のリザーバ、第5のリザーバに接続可能な一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプであり、第2のポンプ内にファラデー過程を発生させずに第2の界面動電ポンプの電極が電源に接続されているとき、投与流体をポンプ出口を通って患者の体内へと移動させるよう第2の界面動電のポンプ流体を第4のリザーバから第5のリザーバへと移動させるように、第2の界面動電ポンプの電極及び誘電体材料が適合されている。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、第2のリザーバとポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を第3のリザーバから移動させるように動くよう適合された第3のリザーバの間に配設された液圧増幅器を含む可動部材とを提供する。
【0034】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、患者の投与流体に対する必要性を測定するように適合されたセンサである。このシステムはまた、センサからの信号に応じて電源から電力を電極に送達することを制御するように適合された制御装置を含むこともできる。いくつかの実施形態では、センサは患者から流体をサンプリングするように適合された界面動電ポンプを含む。
【0035】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、第3のリザーバと連通する外部ポートと、第2のリザーバと第3のリザーバの間に配設され、第2のリザーバの有効容量が変化するにつれて第3のリザーバの有効容量を変化させるように適合された可動部材と、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、積層されたケースと、第3のリザーバの最大有効容量の250%を超えない容量を有する界面動電ポンプとを提供する。
【0036】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、第2のリザーバと、投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、第3のリザーバと連通する外部ポートと、第2のリザーバと第3のリザーバの間に配設され、第2のリザーバの有効容量が変化するにつれて第3のリザーバの有効容量を変化させるように適合された可動部材と、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1のリザーバから第2のリザーバへ移動させ、ポンプ流体が第1のリザーバから第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体をポンプ出口から移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、第3のリザーバからの投与された流体の量に関するパラメータ(例えば磁石及び磁歪センサを使用して、例えば流速、シリンジの位置)を監視するように適合されたセンサである。システムはまた、センサからの信号に応じて電源から電極に送達される電力を制御するように適合されたフィードバック制御要素、センサ出力信号に応じて電源から電極に印加される電力を制御するように適合された制御装置、及び/または外部ポートに閉塞があることなど第3のリザーバから投与される流体に関する表示を示すように適合された表示器を含むことができる。
【0037】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、約1マイクロリットル/分未満の流速で、かつ定常流速エラーが約5%を超えずに、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源を提供する。
【0038】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに約1〜約1000psiのポンプ流体圧力でポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源を提供する。
【0039】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、最大約11cmの容量を有するケースとを提供し、電極、誘電体材料及び電源がリザーバから少なくとも約0.2ミリリットルのポンプ流体を移動させるようにさらに適合されている。電極、誘電体材料及び電源は、10ナノリットル/分未満の速度でリザーバからポンプ流体を移動させるように、さらに適合させることができる。電極、誘電体材料及び電源は、約30日間ほぼ連続的にリザーバからポンプ流体を移動させるように、さらに適合させることができる。ケースは積層されたケースとすることができる。
【0040】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源を提供し、電極、誘電体材料及び電源は、患者の体内に埋め込むようにさらに適合されている。
【0041】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源であり、表示器はリザーバ内にあるポンプ流体の量を示すように適合されている。
【0042】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源を提供し、制御装置は電源から電極への電力を時間変調式に供給するように適合されている。
【0043】
本発明の別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源であり、制御装置は電源をオン状態とオフ状態の交互にするように適合されている。
【0044】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源であり、制御装置は電源をコンピュータプログラムに応じて常時オフ状態と周期的オン状態の交互にするように適合されている。
【0045】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプシステムと、電極間に配設された多孔性誘電体材料と、ポンプ流体を含有するリザーバと、電極に接続された電源と、ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をリザーバから移動させるように適合された電極、誘電体材料及び電源と、電極、リザーバ、誘電体材料及び電源を含有するケースであり、ケースは、人間または動物の体に装着するように適合されている。
【0046】
本発明の別の態様は、投与流体リザーバ、ポンプ出口、排出機構、排出機構を動作させるように適合された電源、ならびにリザーバ、ポンプ出口、電源及び排出機構を含むケースを含む排出ポンプを提供し、ケースは投与流体リザーバの容量の250%を超えない容量を有し、排出機構及び電源は投与流体のほぼ全部をリザーバからポンプ出口を通って、1マイクロミリリットル/分以下の流速で定常流速エラーが約5%以下で投与するようにさらに適合されている。排出機構は可動部材を含むことができ、ポンプは電源に接続可能な一対の電極、電極間に配設された多孔性誘電体材料を含む界面動電アセンブリをさらに含むことができ、ポンプ流体は二重層容量性電極などの電極に接触している。
【0047】
本発明のさらに別な態様は、ポンプ流体のリザーバ、ポンプ流体に動作可能なポンプ機構、ポンプ出口、ポンプ流体をリザーバからポンプ出口を通って1マイクロミリリットル/分以下の流速で定常流速エラーが約5%以下で移動させるようにポンプ機構に接続可能な電源、及びリザーバ、電極、ポンプ出口及び電源を含有するケースを含むポンプであり、ケースはリザーバの容量の150%を超えない容量を有する。電極は、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極とすることができる。
【0048】
(参照による援用)本明細書に記載されたすべての公報及び特許出願を参照によって、個々の公報または特許出願を参照によって具体的かつ個別に援用したのと同程度に援用する。
【0049】
本発明の新規の特徴は特に添付の特許請求の範囲に述べられている。本発明の原理が使用された例示的な実施形態について述べる以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すると、本発明の特徴及び利点がより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明は、薬物送達及び/または検体サンプリングのための、ポンプ流体の効率的、高信頼度かつ精密な移動のためのEKシステムを提供する。これらのシステムを説明する前に、上記のシステムで使用するのに適切ないくつかの例示的なEKポンプの設計及び特性を以下に述べる。
【0051】
図1は小型でコンパクトなEKポンプ100の断面図である。この例では、EKポンプ100は第1の流体リザーバ102及び第2の流体リザーバ104を含む。第1の流体リザーバ102は、貫通穴106、110及び多孔性誘電体材料108によって第2の流体リザーバ104と連結している。貫通穴106、110は多孔性誘電体材料108とともに、第1のリザーバ102と第2のリザーバ104の間に流体通路を形成する。この例では多孔性誘電体材料108は、米国特許出願第10/198,223号にさらに詳細に記載されているように、それぞれ上側基板116aと下側基板116bの間で接合材料114内に封入されている。
【0052】
各流体リザーバは、(入口ポートまたは出口ポートとなり得る)流体ポート118、ならびに容量性電極120a及び120bをさらに含む。電気リード(図示せず)が電極120a、120bと接触して配置され、電源(図示せず)に接続されている。動作の際は、多孔性誘電体材料108と電極120a及び120bの間の空間を含むリザーバ102及び104は、電解液またはポンプ流体122で充填されている。流体122は電極120a及び120bの中または周りを流れることができる。(ポンプ100の所望の流速及び圧力曲線と相関する)電圧が印加されると、ポンプ100の動作中に電気分解、ガス発生、または多量の容量性脱イオン化を生じずに、ポンプ流体122が一方の流体リザーバから他方へと電気浸透によって移動する。当業者には明らかであるように、ポンプの構成部品(例えば、ポンプ流体及び/または電極)を変えることによるガス形成またはpH変化は、システムエラーを招き、かつ流体輸送システムの精度を低下させ、またはポンプの協働を妨げることがある。
【0053】
一般に、従来のEKポンプにおけるガス形成及びpH変化の問題は、所望のEK流量を発生させるのに十分な高さの電界または電圧を印加すると誘発されるポンプ構成部品の電気化学的変化によって生じる。例えば、ポンプ流体が酸化または還元され、ガスを発生及び/またはpHを変化させることがある。さらに、従来のEKポンプの電極は、電極−ポンプ流体インターフェースでの酸化−還元反応によって変化することもある。当業者には明らかであるように、これらのファラデー過程によってEKポンプの精度及び動作性は時間の経過とともに低下する。本発明では、ファラデー過程を回避または最小化するために、限定はされないが、ファラデー過程を制限するための駆動方法及びポンプ電極材料の慎重な選択を実施することを含む、いくつかの技法を使用することができる。
【0054】
例えば、システム電圧及びシステム電圧印加時間を、所与の長さの時間にわたって所望の流体流速を支えるように電極を充電し電流を生成するのに十分であるが、ファラデー過程(酸化/還元など)を起こす電極充電電位より低くなるように維持する。ただし、ポンプ流体流を供給するためには電流が必要である。電流及び流体流を維持するための非ファラデー過程が必要とされている。この課題は、二重層の高静電容量を有する電極を使用することによって対応することができる。二重層の高静電容量電極を使用することによって、印加されるシステム電圧は、電極を充電しほとんどのポンプ流体(水、生理食塩水など)の所望の電流及び流体流を支えるのに十分な高さであるが酸化−還元を起こす電極充電電位より低くなるようにすることを確保する。したがって、ファラデー過程を発生させずにポンプ流体を移動させるEKポンプの構成は、少なくとも10−4ファラド/cm、より好ましくは少なくとも10−2ファラド/cm、最も好ましくは少なくとも1ファラド/cmの二重層の高静電容量を有する材料から作製された電極を組み込むことを含む。好ましくはこれらの二重層高静電容量の電極は、多様なポンプ流体と適合性がある。
【0055】
一般に、二重層材料の高静電容量は、顕微鏡レベルの比較的大きい表面積から生じる。1つの例では、炭素エアロゲルを含浸させた炭素紙を高静電容量の二重層電極として使用することができる。炭素の他の形態も顕微鏡レベルの非常に大きい表面積を有し、二重層の高静電容量を示し、したがって本明細書に援用することができる。例えば、形成された炭素エアロゲル発泡体、炭素網、炭素繊維(例えば、加熱分解されたポリ(アクリロニトリル)またはセルロース繊維)、カーボンブラック、及びカーボンナノチューブのすべては、非常に高い二重層静電容量を有する。
【0056】
二重層の容量性電極はまた炭素以外の材料から作製することもできるが、炭素はまた、流体のEK輸送に不利益な反応、すなわちファラデー過程(電極またはポンプ流体の酸化還元など)を不活性化及び阻害し、または遅らせるので、好ましい電極材料である。さらに、炭素を主とする電極(例えば、炭素紙)を使用すると、これらの材料は様々な形状に形成可能かつ適合可能であり(例えば、様々な形状に容易に穿孔、鋳造、または切断することができる)、安価であることから、EKポンプの設計及び構成に柔軟性をもたらし、したがって本明細書で提供されるEKポンプの製造コストが低減される。
【0057】
ファラデー過程を最小限にする駆動方法については、ポンプをシステム電圧で動作させることができ、システム電圧は所要時間にわたって印加され、ポンプ流体の電気分解などのファラデー過程を生じる電位または閾値よりも低い。多くのポンプ流体のポンプ流体電解電位は数ボルトよりも低く、例えば、水の電解電位は約1.2ボルトであり、プロピレンカーボネートのポンプ流体の電解電位は約3.4ボルトである。ポンプの電極における電圧降下をこの電解電位より低く維持することによって、ポンプ流体の電気分解を回避または最小限に抑えることができる。二重層の高静電容量電極を使用することによって、ポンプ流体または電極にファラデー過程を生じることなく、ポンプを通るEKポンプ流体流を支えるために高システム電圧または低システム電圧を使用することが可能になる。電極の酸化または還元の閾値がポンプ流体のそれよりも低い場合、所与の長さの時間にわたって所望の流体流速を支えるように電極を充電し電流を生成するのに十分であるが、電極のファラデー反応(酸化/還元など)を起こす電極充電電位より低い、システム電圧及びシステム電圧印加時間を適用する駆動方法を使用することができる。
【0058】
さらに、(非ファラデー過程であるが、依然としてポンプ性能に影響を与えることがある)ポンプ流体の容量性脱イオン化を回避するために、ポンプ流体の脱イオン化は時間の経過とともに起こりポンプ流体の導電率が低下することから、動作中、電気浸透流を支えるのに必要な最小限のポンプ流体イオン強度をポンプ流体のイオン強度が下回ることがないように、十分に高いイオン強度を有するポンプ流体を使用することも好ましい。ただし別の方法では、ポンプの所与の実行時間内でポンプ流体の完全脱イオン化が起きる前に輸送することのできるポンプリザーバ内のポンプ流体(または他の流体)の容量が制限されることがある。
【0059】
さらに別の実施形態では、時間の経過とともにポンプの動作性を低下させる可能性のある脱イオン過程の影響を最小限にするように、ポンプの設計自体を適合させることもできる。例えば図2に示す実施形態では、第1の流体リザーバ102の形状は、リザーバの電極を直接取り囲む部分を先細にし、電極の上に低容量の流体通路を形成することができる。当業者には明らかなように、低容量リザーバ124内を通過するイオンの速度は、一般にポンプ動作時に起きるポンプ流体122の脱イオン化の速度にほぼ比例するので、この低容量リザーバ124の構成によって、電極120aに隣接する定常状態のイオン濃度が形成される。このように、ポンプ動作中にポンプ流体速及び電流に対するポンプ流体122の脱イオン化の影響を最小限に抑え制御することができる。
【0060】
図3は本発明によるさらに別の実施形態であるEKポンプ200を示す。この実施形態では、ポンプ200は間接ポンプとして構成されている。記載されているように、間接ポンプは、ポンプ流体122を移動させることによってポンプの別個の部分に第2の流体の流れを生じさせるポンプである。この第2の流体は以下作用流体126と称し、ポンプ200によって投与される薬物または他の流体とすることができる。
【0061】
この実施形態では、EKポンプ200は一般に、第1のリザーバ206と第2のリザーバ208を分離する第1の可撓性隔膜204を含む第1のチャンバ202、第3のリザーバ214と第4のリザーバ216を分離する第2の可撓性隔膜212を含む第2のチャンバ210を含む。出口118のどちらかを作用流体の出口、作用流体の入口、及び/または一方の作用流体リザーバへの通気穴とすることができる。好ましくは、(第2のリザーバ208及び第4のリザーバ216内に配設される)ポンプ流体122が作用流体126と混合されないように、可撓性隔膜204及び212は不浸透性である。作用流体(例えば薬物、試薬等)が界面動電流体と適合可能でない場合、作用流体がゼータ電位を支持しない場合、電解電位が低い場合、粘性が高い場合、懸濁された粒子または細胞がある、またはそれを運搬する場合、あるいは作用流体の保存または使用可能寿命を長期間にするためにポンプ流体と分離する必要がある場合、このポンプ構成を使用することができる。ポンプ200では、流体通路は、上側基板と下側基板の間に配設された接合材料内部に封入し(図1に示す)、または1つまたは複数の管の内部に配設することのできる多孔性誘電体材料108を使用して、第2の流体リザーバ208と第4の流体リザーバ216の間に置かれる。電極120a及び120bは多孔性誘電体材料108の内外へ通じる開口を取り囲んでいる。
【0062】
図4a〜図4cは、それぞれ第2の流体リザーバ208及び第4の流体リザーバ216内部に配設された電極120a及び120bに電圧が印加されるとポンプ200の動作中に起きることを図示するために記載されている。一般に、ポンプ流体122が第2のリザーバ208から多孔性誘電体材料108を通して第4のリザーバ216へと給送されると、第1の可撓性部材204が収縮し、第2のチャンバ210に配設された第2の可撓性部材が膨張する。第2の可撓性部材212が膨張すると、第3のリザーバ214内部に配設された(薬物等とすることができる)作用流体126が第3のリザーバ214から流体ポート118bを通して排出され給送される。可撓性部材204が第1のリザーバ206を拡張し第2のリザーバ208を収縮するように動くと、第1のリザーバ206の容量をポート118aを通して別の作用流体、空気等で充填することができる。
【0063】
可撓性部材204、212を使用するポンプ構成では、図5a〜図5cに示すように、収縮または拡張の際に秩序の高い動きを有する可撓性部材を利用することが有利である。図5a〜5cに示すように、ポンプは、図5aに示すように収縮(または拡張)時に単純形状に隆起する単一の湾曲接合部300(矢印で示す)を有するフレキシブル部材、あるいは図5b及び5cに図示するように収縮時に複数または複合形状を含むように構成することができる。当業者には明らかなように、特にポンプが液体の少量の移動、低流速または低圧力に適合されている場合、この特徴は、ポンプによって行われる流体の移動を精密かつ最大にすることを確保する。
【0064】
一般に、本発明に記載されたポンプ(直接及び間接ポンプの実施形態を含む)は非常にコンパクトであり、ポンプで輸送する流体の容量よりもそれほど大きくない。したがって、本発明では流体輸送のためのポンプを組み込んだ様々なシステムを、相応に小さくすることができる。例えば、薬物送達ポンプシステム(すなわち、電源または制御電子機器を使用しない電極、誘電体管、及びリザーバ)では、間接ポンプ構成を使用する場合、上記システムの容量は薬物リザーバの最大有効容量の約250%よりも大きくしなくてよい。図1及び2に示すもののように直接ポンプ構成を含むポンプシステムでは、ポンプシステムの容量は薬物リザーバの最大有効容量の約150%よりも大きくしなくてよい。
【0065】
図6はEKポンプからの最大かつ精密な流体送達を確保するために使用することのできる別の手法を示す。貫通穴106及び110は積層基板116a及び116bを通って延び、ポンプ流体リザーバ上部及び下部208a、208b、216a、216bを形成する。この例では、可撓性部材204及び212はリザーバ上部208a及び216aを画成し、収縮の際に可撓性部材204及び212が電極120a及び120bと接触しないように、ポンプ300の電極120a及び120bはリザーバ下部208b及び216b内部に配置されている。当業者には明らかなように、リザーバ208及び214内部の電極のこの配置によって、ポンプの流体体積/容量が増加する。充填ポート119は、ポンプ製造中にリザーバ208a及び208b及びリザーバ216a及び216bをポンプ流体122で満たすために使用され、ポンプ動作中は密封される。
【0066】
図7は、EKポンプからの流体流速を調整するために組み込むことができる別の特徴である液圧増幅器400を示す。一実施形態では、液圧増幅器400は第1の断面積A1及び直径D1を有する第1のピストン402、及び第1のピストン402を第2の断面積A2及び直径D2を有する第2のピストン406に連結する剛性の軸404を含む。
【0067】
動作中は、ポンプからの流体(例えば、ポンプ流体)を第1のピストン402に向かわせることができ、第1のピストン402及び第2のピストン406を第1の方向に移動させる。あるいは、流体を第2のピストン406に向かわせ、その反対方向に第1のピストン402を移動させることができる。当業者には明らかなように、液圧増幅器400を使用して圧力増幅または減衰、及び必要であれば流量減少または増加を行うことができる。したがって、相対的なピストンのサイズを適切に選択することによって、ポンプの圧力及び流量特性を調整することができる。
【0068】
図7に示す実施形態では、ピストン402及び406の線形移動はほぼ等しい。しかし、ピストンの直径の差から生じるそれぞれのピストン断面積の差異によって、断面積比に比例する圧力増幅(または減衰)が形成される。1つの例では、液圧増幅器を使用してポンプ流体流速に対する投与流体流速を変えることができ、例えば、薬物の投与流体流速がポンプ流体流速の約1倍〜10倍になるように、液圧増幅器を使用することができる。
【0069】
薬物送達及び/または検体システムのための、コンパクトで精密かつ低コストの様々な医療用システムのさらに詳細な説明を以下に述べる。さらに詳細に述べるように、これらのEKシステムは類似の従来のシステムに比べてより小型、軽量、費用効果的であり、薬物送達、検体サンプリング等を行う一般流体輸送のためのEKポンプを組み込むことにより、設計の柔軟性及び簡略性に関して利点をもたらす。
【0070】
図8は、本発明によるEK送達システム500の一実施形態の概略図である。EK送達システム500は、好ましくは、流体入口ポート504及び流体出口ポート506を有するEKポンプ502、リザーバ508、ポンプ流体チャンバ512、プランジャ514、シリンジポート516を有するシリンジ510、電源518、及び1つまたは複数のフィードバックセンサ522を有するシステム制御装置520を含む。この実施形態では、流体入口ポート504はリザーバ508に連結され、流体出口ポート506は例えばインスリン、鎮痛剤、あるいは他の治療的または診断的に有用な薬剤などの薬物を含有するシリンジ510に連結されている。
【0071】
システム500の一実施形態では、ポンプ502は薬物をシリンジ510から患者の体内へと移動させるように構成される。リザーバ508はポンプ流体122を含有することができ、シリンジ510は薬物を充填することができる。動作中、(制御装置520の方向を通る)EKポンプ502が、ポンプ流体122をシリンジ510のポンプ流体チャンバ512へと移動させ、シリンジプランジャ514を押圧する液圧を形成し、プランジャ514を移動させて薬物送達を実施する。
【0072】
当業者には明らかなように、シリンジ510は、患者の体内への薬物の経皮的、経管的、筋肉内送達のための従来の注入セット、ポートカテーテル、静注針等など、何らかの患者アクセス装置に連結するように構成することができる。あるいは、システム500は、何らかのシステム構成部品が漏洩しないように気密に封止され、生体適合性であり好ましくは不活性のケースに含有された小型の携帯型システムとして構成することができる。当業者には明らかなように、本発明のEKシステムは流体輸送及び薬物送達を行うために機械的構成部品を必要としないので、これらの装置は小型で軽量であり、患者が持ち運びまたは装着をしやすく、かつ視界から隠すことができる、どのような形状に構成することもできる。さらに、シリンジ510及びリザーバ508は再充填可能に適合することができる。さらに別の実施形態では、システム500を、経皮的送達システムとしてシステム500に適合するように複数の微小針を有する経皮的接着パッドと連結することができる。
【0073】
当業者にはさらに明らかであるように、システム制御装置520は、好ましくは1つまたは複数のシステムフィードバックセンサ522に反応して、ポンプ502の動作を制御する(例えば、流体の流速、圧力等に作用する)ように働く。これらのフィードバックセンサ522はどのような位置に設置することもでき、システム制御装置520に組み込むことができる感知回路を介して、その信号を伝送することができる。これらのフィードバックセンサ522からの様々な信号は、薬物量の変位、経時的な流速または送達速度の測定、電池寿命、薬物及びポンプリザーバの状態、システム構成部品の異常、閉塞または他の流量障害または故障の有無、及び他のデータに関してフィードバックを行うように構成することができる。好ましくは、フィードバックデータに対応してシステム制御装置520が動的反応を開始することができるように、フィードバックデータは迅速に伝送される。
【0074】
1つの特定の実施形態では、フィードバックセンサ522は、プランジャ514の変位を検出し監視するようにシリンジプランジャ514に連結することができる。1つの例示的な実施形態では、フィードバックセンサ522はノースカロライナ州CaryのMTS Sensers社から販売されている磁歪式センサとすることができ、プランジャ514は埋込永久磁石を含有することができる。当業者には明らかなように、これらのセンサは外部基準にゼロ合わせする必要なしに、プランジャ514の絶対距離測定を行うことができる。所与の時間にプランジャ514が移動した距離を監視することによって、システム500によって送達された物質量を所望の物質送達量と比較することができ、精密で正確な送達を確保するように、選択された時間間隔でポンプ動作を調整することができる。ポンプ調整には、作動電圧、電流またはポンプ動作時間の調整を含むことができる。好ましくは、フィードバックセンサ522からのデータは制御装置520に中継され、プランジャ514の変位とシステム500によって送達される薬剤/薬物の量を相関させることができる。所望の薬物用量処方計画に応じて、適切な薬物送達プロフィールを達成するように、制御装置520は、(ポンプに印加される電流及び電圧を調節することによって)ポンプ502の動作を調整することができる。一実施形態では、薬物送達をより少なくまたはより多くする必要であるかどうかによって、ポンプの動作パラメータを調整することができる。
【0075】
例えば、プランジャ514に配設されたセンサ522からのフィードバックに基づいて、ポンプ502に配設された電極に印加される電圧を変化させることによって、流速を増加または減少させることができる。図9はこの概念を図式的に示し、EKポンプ電圧とポンプ流速の直接関係を示す。図10は圧力と流速の関係を示すために記載されている。図9及び10はEKの性能態様も示し、本発明のEKポンプを使用して流体流が定常状態にあるときの精度及び安定した流速及び圧力を示す。あるいは、制御装置520は、コンピュータプログラム、タイマー、または他の制御装置によって予め設定されたオン及びオフ周期(例えば、通常は電力がオフでありシリンジから流体を投与するためにオンとなる)に従って、電極に電力を単純に印加することもできる。ある長さの時間だけ電力をオンにするためにタイミング回路または他のタイミング制御装置を使用することによって、シリンジから一定容量または大量瞬時投与量を送達することができる。システム制御装置はまた、ユーザインターフェースを備え、送達される大量瞬時投与量の容量またはサイズを使用者が指示または変更することができるようにすることもできる。
【0076】
さらに別の実施形態では、図11a及び図11bに示すように、投与する薬物の量(容量)、シリンジに残っている薬剤の量、システムリザーバに残っている流体ポンプ流体の量、流速等を表示するための流量表示器600及び流量メータ602を、EKシステムの1つまたは複数の流体通路に配設または連結することができる。いくつかの例では、上記流量表示器600及び流量メータ602は、システム使用者に視覚的表示を設け、または制御装置に機能的に連結し、必要に応じてEKポンプの調節を可能にするための情報を示す電子信号を供給するように適合することができる。さらに別の実施形態では、ポンプチャンバ512をシリンジ510からの薬物の流速及び/またはポンプチャンバ512へのポンプ流体の流速を変えるための液圧増幅器として適合させることができる。
【0077】
さらに別の実施形態では、電池または電源から電極への電圧の作動を制御するように直接EKポンプへのフィードバックループを形成する目的で、フィードバック機構を使用することができる。例えば、EKポンプを直接作動させるように、選択された時間間隔で、例えば1〜4秒などの選択された信号期間だけ作動信号を生成するように、小型のプロセッサを設計することができる。
【0078】
図12a〜図12bは、本発明による自立型間接EKポンプ送達システム700の展開拡大図及び概略図である。この例では、送達システム700は、互いに接着接合することのできる第1のカバー704及び第2のカバー706を含むケース702内部に封入されている。第1のカバー704は第1のポンプ流体開口708及び第2のポンプ流体開口712を含む。開口708及び712はそれぞれ、システムにポンプ流体を追加するために針で貫通することができるシリコーン隔壁を含む。システムをポンプ流体で充填した後、開口708及び712を例えばエポキシ樹脂で覆うことなどによって密封することができる。
【0079】
第2のカバー706は、回路基盤718に配設されたシステム制御装置及び電源720を含むシステムの内部回路をキャビティ715内に収容する。第2のカバー706はまた、貫通穴728bを通して第2のポンプ流体リザーバ724と連通する第1のポンプ流体リザーバ709、(第1のカバー704に位置する−図12aには図示せず)貫通穴728aを通して第4のポンプ流体リザーバ713と連通する第3のポンプ流体リザーバ726も収容する。開口708及び712はそれぞれリザーバ724及び726と連通する。多孔質の二重層静電容量電極120a及び120bはそれぞれリザーバ726及び724に配設され、これらのリザーバ内のポンプ流体は、電気接続(図示せず)を介して電源から電極120a及び120bに電圧を印加することによって、リザーバ726と724の間を延びるチャネル732に配設された(シリカビーズの充填層などの)多孔性誘電体材料730を通ってリザーバ726及び724の間を(及びリザーバ709及び713を通って)移動することができる。
【0080】
可撓性の不浸透性隔膜734a及び734bが第2のカバー706に配設され、第1及び第4のリザーバ709及び713にそれぞれ隣接する第5及び第6のリザーバ710及び714を形成する。通気穴799が第5のリザーバ710とポンプ外部を連通し、カニューレ722が第6のリザーバ714からの出口として働く。さらに、カバー706の下側でシリコーン隔壁を備えた流体開口798が、第6のリザーバ714に薬物または送達しようとする他の流体を充填するための通路を形成する。
【0081】
動作時には、例えばポート708及び712を通してリザーバ709、713、724及び726をポンプ流体で、開口798を通して第6のリザーバ714を薬物で充填した後、ポンプ流体をリザーバ709及び724からリザーバ726及び713へと移動させ、それにより可撓性隔膜734bを動かして薬物をリザーバ714からカニューレ722を通して投与するように、電極120a及び120bに電力を供給することができる。
【0082】
本発明のこの実施形態によれば、システム700は全体寸法が約5.08センチメートル×20.32ミリメートル×10.16ミリメートル(2×0.8×0.4インチ)と小型であり、約300マイクロリットルのポンプ流体を使用して約300マイクロリットルの薬物を送達するように構成される。この実施形態で例示されるように、システム700の全体的なサイズまたは容量(すなわち、ポンプの容量から電源及び回路基盤の容量を引いたもの)は一般に、送達しようとする薬物の容量または薬物リザーバ714の容量よりそれほど大きくする必要はない。
【0083】
図13a及び図13bは本発明によるEKポンプ送達システム800のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、システムは一般に高速流速(約1〜10mL/分)での流体輸送に適合され、電極間に配設、好ましくは積層された多孔質の誘電体材料を有する電極を含み、図13bに最も良く示すようにポンプの表面を通ってまたはそれに垂直にポンプ流体が移動するようになっている。
【0084】
図13aは、EKポンプシステム800の一実施形態の展開図を示す。上側ケース812とスペーサ816の間に保持された可撓性隔膜820が、第1の流体リザーバ808及び第2の流体リザーバ810を画成する。下側ケース824とスペーサ828の間に保持された第2の可撓性隔膜830が、第3の流体リザーバ811及び第4の流体リザーバ821を画成する。多孔性誘電体材料802が、EKポンプ流体を含有する第2のリザーバと第3のリザーバを隔てている。
【0085】
流体リザーバ808及び821は、リザーバ808及び821を複数の逆止弁834、836、838及び840を含む流体通路832(図13bに最も良く示す)に連結する、流体入口及び流体出口ポートをそれぞれ有する。
【0086】
図13bに最も良く示すように、システム800は、例えば流体を(例えば収縮可能な静注バッグなどの)薬物供給源846からシステム入口ポート842へ、(針、注入セット等などの患者アクセス部材848に連結することができる)システム出口ポート844へ、及び患者の体内へと移動させる、流体通路832に沿った高速流速の一方向輸送を行うように構成されている。当業者には明らかなように、システム800を通る一方向の流体輸送は、流体通路832に連結された一方向逆止弁834、836、838及び840によって補助することができる。
【0087】
この構成では、電源850からの電圧をリザーバ810及び811に配設された電極(図示せず)に印加して、可撓性隔膜820と830の間に配設された、すなわち流体リザーバ810から流体リザーバ811へ向かうポンプ流体(シェーディングで示す)を移動させ、印加される電圧の極性を反転することによって流れの方向を反転することができる。リザーバ810からリザーバ811へポンプ流体を移動させると可撓性部材820が下向きに動き、それによって流体を薬物供給源846からシステム入口ポート842へ、及び流体通路832を通ってリザーバ808へと引き込む。逆止弁836は、流体が出口844からリザーバ808へと引き込まれることを防ぐ。同様に、可撓性部材830が下向きに動くとリザーバ821内の流体が駆出され、逆止弁838は駆出された流体が薬物供給源846へ向かって流れることを防ぐ。次いで、印加される電圧の極性を反転することによって動作を反転させ、ポンプ流体がリザーバ811からリザーバ810へと流れ、隔膜820及び830が上向きに動くようにする。この動きによって、逆止弁838を通ってリザーバ821へと薬物が引き込まれ、逆止弁836を通ってリザーバ808から薬物が駆出される。逆止弁840及び834は流体が望まない方向へ流れることを防ぐ。
【0088】
このポンプシステムの動作は、(例えば振幅及び持続期間など、ポンプ、電極等に印加された電流及び電圧を調節することによって)ポンプに連結されたポンプの動作を調整する制御装置によって制御することができる。当業者には明らかなように、システムの適切な圧力、流体流速、薬物送達の処方計画を達成することができるように、ポンプ及び電極に印加される電圧及び電流を単純または複合作動駆動方法を使用して達成することができる。持続振動によって、薬物供給源から出口へ薬物の持続的な流れを実現することができる。
【0089】
一例示的な実施形態では、システム800は、流体を約1〜2psiで約1mL/分の流速で送達するように構成された小型の(約4.06センチメートル×3.05センチメートル×4.32センチメートル(1.6×1.2×1.7インチ))携帯型システムである。システム800を、一般に1L生理食塩水バッグに連結される、例えばPCAポンプ等の従来の注入ポンプの代わりに使用することができる。また、高精度の低速流速EKポンプを使用して、より高速の流速のポンプによって行われる生理食塩水の流れに薬物の濃縮物を送達し、正確な用量を与えることができる。EKシステム800を同様に使用し構成することによって、流体を連続的に送達または動作させる、または(例えば、システム800をオン及びオフにするように連結された電池からのシステム電圧を間歇的に作動させることによって)流体を間歇的に送達することができる。EKシステム800はまた、フィードバックによって制御する(例えば、流量センサの読取りに基づいて電圧及び/または電流を変化させる)こともできる。
【0090】
図14はさらに別の実施形態の薬物送達システム900を示し、送達システム900は、患者または使用者の化合物への暴露を最小限に抑えるよう特別な取扱いが必要である、放射性薬物あるいは他の毒性の診断的または治療的化合物を送達するように適合されている。この例では、送達システム900はEKポンプ904を取り囲む保護または遮断ケース902、電源906、及び制御装置908を含む。送達システム900はさらに、患者への皮下、経管または他のアクセスをもたらすように適合されたカニューレまたは針とすることができる患者アクセス手段910、EKポンプ904の流体通路、リザーバ等に配設されそれと連結することができ、患者/または使用者に送達された物質等に関する表示をあらわす線量計913を含む。好ましくは、患者アクセス手段910は、放射性または毒性物質を患者の体内に給送している間、それから患者または使用者を保護するように遮断される。
【0091】
送達システム900は、システム内部に含有される放射性または毒性化合物から患者または使用者を遮断するように適合された、好ましくは脱着可能な内張りである内張り912をさらに含む。システム900は、動作中にシステムを扱う必要性をさらに最小限に抑えるために、流量表示器またはメータ914、線量計913(上述の通り)、または動作中にシステム900を扱う必要性を回避または最小限にするために毒性物質の送達済み量、残留量等の信号を送る他の表示器など、他のシステム構成部品をさらに含むことができる。1つの例では、表示器914は使用者が簡単に視認可能であるように適合することができ、電子流量メータの使用を任意で省略または代替することができる。さらに、ポンプ904及びシステム900は、線量計912、流量表示線量計914等によって行われるフィードバック制御を備え、使用者あるいは予めプログラムされた制御装置による自動制御に反応して、遠隔的に作動及び/またはプログラム可能に構成することができる。
【0092】
さらに別の実施形態では、システム900に予め充填された非放射性薬物を作動させるために、システム900を照射に耐えるよう適合させることができる。システム900内部に予め充填された薬物を照射すると、放射性形態に変化する。したがって、放射性薬物または物質を送達システム900内に充填するために放射性材料を取り扱う必要がない。さらに、送達システム及びEKポンプは低コストであるので、システム900全体を使用後に廃棄することもできる。システム900のさらに別の利点は、システム900内に多量の放射性薬物が残留しないように効率的な流体送達を行うので、システムは放射性廃棄物を最小限に抑えることができることである。
【0093】
表1は、本発明のシステムを使用して送達することのできる、いくつかの放射性医薬品のリストを示す。
【0094】
【表1−1】

【0095】
【表1−2】

【0096】
図15は本発明のさらに別の態様を示し、具体的には(例えば、グルコースモニタリングのための)血液などの生理的流体、または標的の検体を含有する患者からの他の体液を抽出、分析及び/または(システム内部に)保存するよう適合することができる、EKサンプリングシステム1000である。この実施形態では、サンプリングシステム1000は、外部流体ループ1008を通してEKポンプ1002に流体的に連結されるサンプラ1004及び分析装置1006に連結された、間接EKポンプ1002を含む。使用中、ポンプを動作させて、サンプラ1004によって患者から採取した生理的流体を分析装置1006へと輸送を行うことができ、そこで検体のために生理的流体を評価することができる。1つの例では、リンゲル溶液、生理食塩水または他の適切な流体を、流体ループ1008を通して給送することができ、溶液をサンプラ1004で抽出された生理的流体と混合し、分析装置1006へ輸送することができる。
【0097】
サンプラ1004は、生理的流体を採取するための従来の既知のどのようなシステムまたは装置とすることもできる。一実施形態では、サンプラ1004は患者から生理的流体を液圧により抽出するように適合されたEKポンプを含むことができる。そのような適用に適したEKポンプシステム及びポンプ構成の一実施形態を、図13a〜図13bを参照しながら説明する。さらに分析装置1006も、採取したサンプルを試験するためのどのような従来の既知のシステムとすることもできる。例えば分析装置1006は、米国特許第3,298,789号及び米国特許第3,630,957号にさらに詳述されているように、患者のサンプリングされた生理的流体のグルコース濃度を測定するための試薬システムとすることができ、その内容全体を参照によって援用する。
【0098】
図16は、EKシステム2000が二重検体サンプリング及び薬物送達システムである、別の実施形態のシステムのブロック図を示す。この例ではシステム2000は、システム制御装置2002、第1のEKポンプ2006を含む検体サンプリングサブシステム2004、及び第2のEKポンプ2010を含む薬物送達サブシステム2008を広範に含む。システム制御装置2002は、EKポンプに印加されている電圧を制御することによって、サンプリング及び送達サブシステム2004及び2008の動作を制御するように働く。
【0099】
好ましい実施形態では、システム2000は2つの別個の流体通路2012及び2014を含む。流体通路2014は第2のEKポンプ2010に連結され、薬物リザーバ2016内からの薬物を電気浸透的に患者に給送するように適合されている。流体通路2012は、第1のEKポンプ2006に連結され、サンプラ2018からの生理的流体を分析装置2020に電気浸透的に給送し、そこで評価することができるように適合されている。ただし、流体通路は好ましくは別個に構成され、薬物送達サブシステム2008の制御はサンプリングサブシステム2004からのフィードバックに基づいている。制御装置2002は、サンプリングサブシステム2004によって患者の生理的及び/または化学的状態のモニタリング及び分析に従って、薬物送達を調整し、適切な薬物送達プロフィールまたは処方計画を判断するように、サンプリング及び薬物送達サブシステム2004及び2008へデータを送信及び/またはそれらからデータを受信するように適合されている。
【0100】
当業者には明らかなように、この実施形態では、患者の何らかの生理的、生理化学的または化学的変化に応じてEKシステム2000が薬物送達を行うことができるように、特定の検体及び/または検体パラメータの変化を測定し、制御装置2002のメモリ部品内に保存された既知の値と比較するように、サンプリングサブシステム2004を構成することができる。1つの例では、制御装置2002は、サンプリングサブシステム2004からの入力に従って、送達サブシステム2008に対してコマンド信号を実行し、動作を開始、制御及び/または終了させることができる。
【0101】
例えば、システム2000を糖尿病の治療用に構成し、インスリンを送達するように適合させることができる。サンプリングサブシステム2004によって患者の血中グルコース濃度を測定した後、インスリン送達を開始することができる。送達サブシステム2008は、測定された血中グルコース濃度に応じて患者の体内に多量のインスリンを送達するように構成することができる。測定された血中グルコース濃度に応じてインスリンを送達することは、インスリンの送達を自動的に行うことを含み、または使用者にインスリン送達の開始を要求するように構成し、あるいはその両方が可能である。さらに送達サブシステムは、基礎投与及び大量瞬時投与を行うために異なるインスリン送達速度で、1つまたは複数のタイプのインスリンを送達するように適合させることができる。さらにシステムは、より良いまたは効果的な糖尿病管理を行うために、患者に一定のグルコース濃度を維持する目的で、頻回に微小容量または微小瞬時投与量のインスリンを送達するように適合させることができる。
【0102】
さらに別の実施形態では、提供されている様々なシステム及びポンプは、複数の薬物を送達するように複合化することができ、図17〜図19に概略的に示すように複数の流体通路、流速またはEKポンプを含む。例えば図17は、複数ポンプ、複数リザーバの薬物送達システム3000のシステムブロック図を示す。この実施形態では、本発明の様々なEKポンプを、例えば薬物カクテルを送達するため、または1つまたは複数の薬物を異なる流速FR...FRで送達するため、または1つの薬物を異なる流速で送達するため(例えば、基礎投与、大量瞬時投与)等、複数の薬物D...Dの送達が可能なシステムを提供するように複合化し適合させることができる。
【0103】
一実施形態では、例えばEKシステム3000を、膵臓などの疾患または臓器を模倣または機能的に強化するために複数の化合物を送達するように適合することができる。この実施形態では、薬物送達サブシステムは、1つまたは複数の化合物または薬物(例えば、トリプシン、ステアプシン、澱粉酵素)を送達するように構成することができ、(例えば、診断試料血液または他の生物学的流体を通して)複数ポンプ送達サブシステム3012のフィードバック制御をもたらし、各物質の必要量を制御するように、サンプリングサブシステム3010と連結されている1つまたは複数のEK送達ポンプ3002を含むことができる。他の臓器も、このようにして模倣または強化することができる。あるいはシステム3000を、全ポンプ3002に共通の薬物リザーバ3014から異なる流速等で送達するように、単一の薬物を送達するように構成することもできる。
【0104】
図18はさらに別の実施形態の、外部制御装置4002を含む複数リザーバ、複数ポンプ薬物送達システム4000を示す。埋込式送達システム4000の動作は、ユーザインターフェース4004を有する外部制御装置4002によって動作的に制御することができる。外部制御装置と埋込式送達システム4000の間で信号(RF、IRまたは他の電子伝送など)が生成され、制御装置、電池、電極、フィードバックセンサ等など、送達システムの1つまたは複数の構成部品4006と連絡し、及び/または外部制御装置4002によって制御することができる。信号伝送ライン4008は、複数ポンプ4010システム4000を制御する1つの方法を示す。この実施形態では、システム4000の流体通路4012が図示されている。図に示すように、体内の標的治療部位に送達するために様々な流体(例えば薬物)を結合することができる。あるいは、患者の体外に置かれた1つまたは複数の外部ポンプを遠隔制御して、1つまたは複数の流体を患者の体内に送達することができる。
【0105】
当業者には明らかなように、この実施形態は、例えば診断的画像検査や、複数の化学治療薬剤を同時あるいは特定のタイミングまたは順番で送達する必要があり、1つの薬剤が別の薬剤に望まない副作用をもたらす癌治療など、複数の薬剤の送達が必要とされる医療用途に有用となり得る。例えば、薬剤Aは初期または末期の乳癌で使用されるタキソテールという化学療法カクテルである。望まない副作用は白血球の減少である。薬剤Bは白血球活性または白血球数の減少に比例して投与される抗生物質である。薬剤Bは、はじめに最大用量の化学療法を実施した直後はより多量に投与し、次いで白血球細胞を産生する身体能力が改善または回復するにつれて漸減させることができる。
【0106】
他の例には、AIDSを治療するための複数薬物カクテル(リザーバはAZT、逆転写酵素阻害剤、及びプロテアーゼ阻害剤を含有する)及び結核、B型肝炎、C型肝炎、及び臓器移植後の組織拒絶を治療するための複数薬物カクテルがある。
【0107】
一般に、本発明のEKポンプは、小型であり様々な形に形成することができるので、ポンプで薬剤を送達することによって治療しようとする体内の部位付近に埋め込むことができる。例えば、ポンプは肝臓の形状に適合された形成因子を有することができ、B型肝炎を治療するために埋め込むことができる。腎臓、胆嚢等を含む他の臓器も可能である。
【0108】
図19は、1つまたは複数の埋込型の薬物送達サブシステム5002及び外部制御装置5004を含む、埋込型の「分配された」薬物送達システム5000のシステムブロック図である。図示されるように、患者の体内の異なる部位で複数の治療部位に薬物送達を行うように、様々な送達サブシステム5002を埋め込むことができる。この実施形態では、サブシステム5002はそれぞれ外部制御装置5004によって動作可能に構成されている。あるいは、患者の体外に置かれた1つまたは複数の外部ポンプを遠隔制御して、1つまたは複数の流体を患者の体内に送達することができる。
【0109】
間接ポンプの他の実施形態を示すことができる。例えば、リザーバを隔離するために隔壁またはシリンジを使用する代わりに、送達しようとする薬物または他の流体を剛性のチャンバ内部に置かれた収縮可能なバッグ内に充填することができる。EKポンプ流体を剛性チャンバ内でバッグの外部部分に送達することによって、バッグが収縮し、薬物がプラスチック管などの出口を通って外へ投与される。この方法を使用して、例えば粘性の高い薬物を送達することができる。
【0110】
さらに、ポンプ及び薬物の出荷及び保存のために、薬物の乾燥(例えば凍結乾燥)物をポンプの薬物送達リザーバ内に予め充填し、使用の直前に復元することができる。
【0111】
本発明のポンプシステムの実施形態は、例えば処方箋医は用量に関してより高い権限を有することができ、患者はより低い権限を有するなど、様々なレベルの制御権限を可能にするように、電子機器及び通信機器を含むことができる。この権限は、(例えば、装置が計画的麻酔薬など処方/分配に特定のライセンスが必要な規制物質を投与する場合に)権限ならびに作動を許可するための電子キー認証を含むことができる。別の例として、ある長さの時間内で1回または複数回でそれぞれ送達される量に関わらず、時間内で薬物の全量のみを送達するように、装置を構成することができる。あるいは、送達された薬物の量に関わらず、装置がある長さの時間だけ動作するように制御することもできる。装置はまた、リザーバに残っている薬物量、送達される1回または総合的な用量等を示す表示器を設けることもできる。
【0112】
本発明のEKポンプの、他の方法による自動フィードバック制御を提供することができる。例えば、パーキンソン病による振戦または癲癇発作の際の四肢の動作などの生理学的入力によって、その状態を治療するためにEKポンプから薬物の放出を開始させることができる。
【0113】
装置は、様々な生理学的反応または状態(例えば、心拍、血圧、EKG、血中ガス、特定の化合物の血漿レベル)を補完することのできる、装置動作の経時的記録を作成するために電子機器及び通信機器を含むことができる。これらの記録は、治療を最適化し、かつ/または治療に対する反応を判定する際に、分析のためにダウンロードすることができる。所望であれば、様々なレベルの権限をダウンロード機能の一部または全部に含み、または含まないことができる。
【0114】
図20〜図23は本明細書に記載されるEKシステム及びポンプの性能態様を図示するために記載されている。例えば、図20は本発明による一般的なEKポンプの、経時的にグラフ化された急速充填及び送達流速を図示するために記載されている。図示されるように、EK流体システムからまたはそれを通って流体の輸送及び移動を行うために、ポンプ流体の急速充填及び送達を行うように様々なEKポンプ及びシステムを構成することが可能である。
【0115】
図21は、本発明のEKポンプによる流体輸送の全体的な信頼性及び精度を図示するために記載されている。この例では、ポンプ動作中に一定の流体流速を維持することができ、どのような所与の時間でも流速にエラーがほとんどまたはまったく起きない。上述したように、ある手法を使用することによって(例えば、ポンプ流体におけるイオンの制御された放出及び取込み、ポンプ流体の電圧電位より低い印加電圧の制御、電極材料の慎重な選択)、定常流の際に流速エラーを5%未満に維持することができる。図22及び23は、必要に応じて、数時間または数日間にわたって一定かつ精密な定常流速を維持することができることを示すために記載されている。
【0116】
本発明のポンプは、多様な物理的特性の薬剤を投与するために使用できることが有利である。例えば、本発明の実施形態を使用して、10〜100ポアズ、100〜1,000ポアズ、または1,000〜10,000ポアズの粘性を有する薬剤を給送することができる。これらの様々な粘性のそれぞれにおいて、本発明のポンプは、本明細書に記載された精度及び微小送達態様を維持している。例えば、本発明のポンプは、10〜10,000ポアズの範囲の薬剤では1時間あたり1〜10マイクロリットルの流速とすることができる。
【0117】
本発明のEKポンプシステムを使用して、様々な機能不全を治療するための多くの様々な薬物または他の物質を送達することができる。例えば自律神経系及び/または体性運動神経系の機能不全を診断された患者、または治療において自律神経系及び/または体性運動神経系に対する治療効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(または併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、1つまたは複数のムスカリン受容体拮抗薬、抗コリンエステラーゼ薬、神経筋肉接合部及び/または自律神経節で作用する薬剤、カテコールアミン、交感神経作用薬、及びアドレナリン受容体拮抗薬、及び1つまたは複数の5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT、セロトニン)受容体拮抗薬を含むことができる。
【0118】
中枢神経系(CNS)の機能障害を診断された患者、あるいは治療において中枢神経系に治療効果がある、及び/またはシナプス及び/または神経効果器接合部に作用する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤に、限定はされないが実例として、全身麻酔、局部麻酔、ベンゾジアゼピン及びバルビツール酸塩の類似体、催眠剤、鎮静剤、脂肪アルコール、エタノール、非ベンゾジアゼピン鎮静催眠薬、様々な化学構造の鎮静催眠剤(例えば、パラアルデヒド、抱水クロラール)、中枢神経鎮静薬、抗鎮静治療薬、抗精神薬及び抗躁薬、ノルエピネフリン阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、選択的セロトニン再摂取阻害剤、ベンゾジアゼピン鎮静抗不安薬、セロトニン5−HT1A−受容体部分拮抗薬、ブスピロン、D−ドーパミン受容体を遮断する薬剤、前脳部のドーパミン神経伝達を抑制する薬剤、三環系フェノチアジン、チオキサンテン、ジベンゼピン、ブチロフェノン類、複素環化合物、ベンザミド、D−及びD−ドーパミン作用性、5−HT2A−及び5−HT2Cセロトニン作用性、及びαアドレナリン作用性受容体と相互作用する薬剤、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、フルフェナジン、ハロペリドル、クロルプロマジン、リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、鎮静抗痙攣ベンゾジアゼピン、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、電圧活性型Na+チャネルの不活性状態を促進する抗発作薬、γアミノ酪酸(GABA)を介したシナプス阻害を強化する抗発作薬、シナプス前作用によってγアミノ酪酸(GABA)を介したシナプス阻害を強化する抗発作薬、シナプス後作用によってγアミノ酪酸(GABA)を介したシナプス阻害を強化する抗発作薬、コリン作動性薬剤、レボドパ、ドーパミン受容体拮抗薬、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤、NMDA受容体拮抗薬、及び麻薬性鎮痛薬を含むことができる。
【0119】
障害または炎症などの症状を有し症状に生理学的または病態生理学的反応を生じる患者、または治療において障害または炎症に対する生理学的または病態生理学的反応に治療効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、ヒスタミン及びヒスタミン拮抗薬、ブラジキニン及びブラジキニン拮抗薬、5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)、膜リン脂質の選択的加水分解による生成物の生体内変化によって生成される脂質物質、エイコサノイド、プロスタグランジン、スロンボキサン、ロイコトリエン、アスピリン、非ステロイド抗炎症薬、鎮痛解熱薬、プロスタグランジン及びスロンボキサンの合成を阻害する薬剤、誘導性シクロオキシゲナーゼの選択的阻害剤、誘導性シクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害剤、オータコイド、パラ分泌ホルモン、ソマトスタチン、ガストリン、体液性及び細胞性免疫反応に関わる相互作用を仲介するサイトカイン、脂質由来オータコイド、エイコサノイド、β−アドレナリン作用性拮抗薬、イプラトロピウム、グルココルチコイド、メチルキサンチン、及びロイコトリエン阻害剤を含むことができる。
【0120】
腎臓及び/または心血管機能に関わる機能不全を診断された患者、または治療において腎臓及び/または心血管機能に対する治療効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(または併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、利尿剤、バソプレシン、腎臓による水分、レンニン、アンギオテンシンの保持に作用する薬剤、心筋虚血の治療に有用な薬剤、抗高血圧薬、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、β−アドレナリン作用性受容体拮抗薬、高コレステロール血症の治療用薬剤、及び異常脂質血症の治療用薬剤を含むことができる。
【0121】
消化器系及び/または機能の機能不全を診断された患者、または治療において消化器系または機能に対する治療効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(または併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、胃酸の制御に使用される薬剤、消化性潰瘍の治療のための薬剤、胃食道逆流疾患の治療のための薬剤、胃運動促進薬、鎮吐薬、過敏性大腸症候群に使用される薬剤、下痢に使用される薬剤、便秘に使用される薬剤、炎症性腸疾患に使用される薬剤、胆管疾患に使用される薬剤、膵臓疾患に使用される薬剤を含むことができる。
【0122】
寄生虫感染の化学療法が必要な機能不全を診断された患者、または治療において患者の感染に対して化学療法効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(または併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、原虫感染症を治療するために使用される薬物、マラリア、アメーバ症、ジアルジア症、トリコモナス症、トリマノソーマ症、及び/またはリーシュマニア症の治療に使用される薬物、及び/または蠕虫病の化学療法で使用される薬物を含むことができる。
【0123】
新生物疾患の化学療法が必要な機能不全を診断された患者、または治療において患者の新生物疾患または感染に対して化学療法効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(または併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、抗新生物薬を含むことができる。
【0124】
微生物疾患の化学療法が必要な機能不全を診断された患者、または治療において患者の微生物疾患または感染に対して化学療法効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な患者では、ポンプで投与される薬剤(または併用治療実施形態における薬剤)に、限定はされないが実例として、抗微生物薬、サルファ薬、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、キノロン、及び尿路感染症のための薬剤、ペニシリン、セファロスポリン、その他、β−ラクタム抗生物質、アミノグリコシドを含む薬剤、タンパク質合成阻害剤、結核、マイコバクテリウム・アビウム複合疾患、及びライの化学療法で使用される薬物、抗真菌薬、非レトロウイルス薬及び抗レトロウイルス薬を含む抗ウイルス薬を含むことができる化学療法を必要とし、または治療において患者に化学療法効果を有する1つまたは複数の薬剤が必要な他の機能不全は、Handbook of Chemotherapy(Sixth Edition)、Roland T.Skeel,M.D.Editor、Physicians Cancer Chemotherapy Drug Manual 2003 by Edward Chu,Vincent T.DeVita、Lippincott’s Cancer Chemotherapy Handbook by Delia C.Baquiran,Jean Gallagherに記載されており、それぞれを参照によってその全体及びすべての目的を本明細書に援用する。
【0125】
さらに、薬剤は免疫調節剤、免疫抑制剤、免疫寛容剤、及び免疫刺激剤など免疫調節のために使用される薬物を含むことができる。
【0126】
さらに、薬剤は血液及び造血器に作用する薬物、造血剤、成長因子、ミネラル、及びビタミン、抗凝固、血栓溶解、及び抗血小板薬を含むことができる。
【0127】
さらに、薬剤はホルモン及びホルモン拮抗剤、脳下垂体ホルモン及びその視床下部放出因子、甲状腺及び抗甲状腺薬、エストロゲン及びプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質ホルモン、副腎皮質ステロイド及びその合成類似体、副腎皮質ホルモンの合成及び作用の阻害剤、インスリン、経口血糖降下薬、及び膵島の薬物、石灰化及び骨代謝に影響する薬剤、カルシウム、ホスフォレート、副甲状腺ホルモン、ビタミンD、カルシトニン、及び他の化合物を含むことができる。
【0128】
さらに、薬剤は可溶性ビタミン、ビタミンB複合体、アスコルビン酸、脂溶性ビタミン、ビタミンA、K、及びEなどのビタミンを含むことができる。さらに、薬剤は皮膚科薬及び眼科薬に適した薬物を含むことができる。
【0129】
他の機能不全及びその治療法は、Goodman and Gilman’s“The Pharmacological Basis of Therapeutics”Tenth Edition edited by Hardman,Limbird and GilmanまたはThe Physician’s Desk Referenceに記載されており、参照によってそれらの全体を援用する。したがって、本発明の実施形態は単に上記の薬剤または機能不全に限定されるのではなく、本発明の実施形態は、上記の機能不全ならびにGoodman and Gilman’s“The Pharmacological Basis of Therapeutics”Tenth Edition edited by Hardman,Limbird and Gilmanに記載され、またはThe Physician’s Desk Referenceに述べられたあらゆる機能不全の検出、治療、管理、または診断を目的とする診断及び検査薬を含む薬剤の送達に使用されることが有利である。
【0130】
薬剤は単独または薬理学的に受容可能な担体を含む製剤で使用することができる。製剤はまた溶液を含むこともできる。薬剤は生物学的分子または薬理学的薬物、DNA、RNAまたはタンパク質とすることもできる。
【0131】
本発明のポンプのEK機能は何らかの知覚可能な動作表示を備えていないことを理解されたい。本明細書で使用されているように、知覚可能な動作表示とはポンプが動作中であるという何らかの対外信号のことである。例えば、従来の圧電ポンプは圧電要素の振動から生じる明確な振動音を有する。従来の機械及び蠕動ポンプは、ポンプが動作中であることを示す明確な機械音を有する。そのような知覚可能な表示、特に音は、ポンプシステムを例えば食事前または食事中にインスリンを投薬するために患者が装着する、または人前で動作させるのに望ましくない。本発明の実施形態は、ポンプ動作の知覚可能表示なしに薬剤を投与または投薬することが可能である。例えば、本発明の実施形態はノイズレベルを20db未満、または一部の実施形態では10db未満で動作及び生成することができ、あるいは、さらに他の実施形態では人に聞き取れないまたはわずかに聞き取れるノイズを生成する。
【0132】
本明細書に記載されたポンプ及びポンプシステムは動物患者の治療方法に有用である。本明細書に使用されている「動物患者」という用語は人間及び他の哺乳類を含む。方法は一般に、1つまたは複数の疾患の治療のための1つまたは複数の薬剤の投薬を含む。薬剤の組合せは、1つの疾患または複数の疾患を治療し、あるいは1つまたは複数の組み合わせた薬剤の副作用を調整するために使用することができる。
【0133】
本明細書で使用される「治療」という用語及び文法的等価物は、治療的効果及び/または予防的効果を達成することを含む。治療的効果とは治療される原因疾患の根治または改善を意味する。例えば、ガン患者では、治療的効果には原因となるガンの根治または改善を含む。また治療的効果は、患者がまだ原因疾患に罹患しているかどうかにかかわらず、患者に改善が見られるなど、原因となる機能不全に関連する1つまたは複数の生理的症状の根治または改善によって達成される。例えば、ガンを患う患者に化学療法薬を投薬することによって、患者の腫瘍マーカーレベルが低下するときだけでなく、疼痛及び精神的機能不全などのガンに伴う他の合併症に関して患者に改善が見られるときも、治療的効果が得られる。予防的効果では、リン吸着剤と胃pH調整剤の組合せをガンなどの特定疾患を発症する危険のある患者、または疾患の診断がまだ行われていなくても疾患の1つまたは複数の症状を有する患者に投薬することができる。
【0134】
本発明の実施形態の一部では、薬剤は薬物である。薬物は、既知または未知のメカニズムによって、治療的に使用されているかどうかにかかわらず、生物学的状態を撹乱する何らかの複合程度による何らかの化合物である。したがって薬物には、研究または治療対象の一般的な低分子、内分泌、パラ分泌、または自己分泌因子あるいはあらゆるタイプの細胞受容体と相互作用する因子などの自然発生因子、細胞内信号経路の要素などの細胞内因子、他の天然由来から隔離される因子、抗病虫害剤、除草剤、殺虫剤がある。薬物の生物学的効果は、特に1つまたは複数のRNA種の転写または分解の速度、1つまたは複数のポリペプチドの翻訳または翻訳後プロセッシングの速度または範囲、1つまたは複数のタンパク質の分解の速度または範囲、1つまたは複数のタンパク質の作用または活性の阻害または刺激における薬物を介した変化等とすることができる。実際、ほとんどの薬物はタンパク質と相互作用することによって効果を発揮する。細胞成分の速度を早め、あるいは活性またはレベルを刺激する薬物は「活性薬」と呼ばれ、細胞成分の速度を遅らせ、あるいは活性またはレベルを阻害する薬物は「阻害薬」と呼ばれる。
【0135】
本明細書で記載されるポンプで使用される薬剤は、単独あるいは1つまたは複数の薬理学的に受容可能な担体と組み合わせて使用することができる。適切な担体の例は当技術分野では既知であり、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy by A.R.Gennaro(Editor),20th Edition,2000を参照されたい。好ましくは担体は薬剤の患者への送達を改善する。担体は薬剤の送達を妨げないことも好ましい。いくつかの実施形態では、担体はポンプの電気浸透機能に十分なイオン特性を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、ポンプは1つまたは複数の疾患のマーカーの存在を検出するために使用される。疾患のマーカーが存在することが検出された場合、ポンプは疾患を治療するための1つまたは複数の薬剤を送達するために使用される。本明細書で使用されるマーカーという用語は生物学的マーカー、及び温度、圧力等のような測定可能な表現型特性を包含するものである。生物学的マーカーの例には、限定はされないが、DNA、RNA、タンパク質、酵素、ホルモン、細胞、細胞の一部、組織、または器官、ミトコンドリア、核、ゴルジ複合体、リソソーム、小胞体、及びリボソームなどの細胞内小器官、H+、超酸化物、及びATPなどの化学反応分子がある。マーカーの例には、限定はされないが、前立腺ガンのための前立腺特異抗原、糖尿病のためのグルコース及び/またはインスリンレベル、高血圧のための血圧測定がある。
【0137】
以上、本発明の好ましい実施形態を示し説明したが、そのような実施形態は例示であるに過ぎないことが当業者には明らかであろう。当業者には、本発明から逸脱することなく数多くの変形、変化、及び代替が想起されるであろう。例えば、本発明のシステムは、例えば薬物送達が完了したときに使用者に知らせるためのアラームまたは他の表示を含む、例えば従来の薬物送達または検体モニタリング装置の何らかの特徴を含むことができる。さらに別の例では、様々な装置及びシステムの携帯性を補助するために、様々な維持部材等を様々な装置及びシステムに連結することができる。さらに、本発明により意図される使用は、様々な医療用途ならびに流体輸送のための高精度でコンパクトな装置が必要とされる他の用途を含む。本発明の実施には、記載された本発明の実施形態に様々な改変を行うことができることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定し、それにより特許請求の範囲内の方法及び構造ならびにその等価物を対象とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】直接EKポンプの一実施形態の断面図である。
【図2】スプリットリザーバ設計を含む直接EKポンプの断面図である。
【図3】間接EKポンプの断面図である。
【図4a】図3に示すEKポンプの動作を概略的に示す図である。
【図4b】図3に示すEKポンプの動作を概略的に示す図である。
【図4c】図3に示すEKポンプの動作を概略的に示す図である。
【図5a】図3及び図4に示すEKポンプの動作中の、不浸透膜の制御された収縮を概略的に示す図である。
【図5b】図3及び図4に示すEKポンプの動作中の、不浸透膜の制御された収縮を概略的に示す図である。
【図5c】図3及び図4に示すEKポンプの動作中の、不浸透膜の制御された収縮を概略的に示す図である。
【図6】別の間接EKポンプの実施形態の断面図である。
【図7】液圧増幅器の一実施形態の断面図である。
【図8】シリンジを含むEK送達システム一実施形態を示す図である。
【図9】EKポンプの電圧に対する流体流速の依存関係を示す図である。
【図10】EKポンプの圧力と流体流速の関係を示す図である。
【図11a】流量表示器の一実施形態を示す図である。
【図11b】流量メータの一実施形態を示す図である。
【図12a】EK送達システムの一実施形態の展開、拡大図である。
【図12b】図12aに示すEK送達システムの概略図である。
【図13a】別のEK送達システムの実施形態の展開図である。
【図13b】図13aに示すEK送達システムの概略図である。
【図14】遮断された送達システムの一実施形態の概略図である。
【図15】EKサンプリングシステムの一実施形態の概略図である。
【図16】二重薬物送達及びサンプリングシステムのシステムブロック図である。
【図17】複数薬物送達及びサンプリングシステムのシステムブロック図である。
【図18】複数薬物、複数ポンプ外部制御式送達システムのシステムブロック図である。
【図19】分配された複数薬物、複数ポンプ外部制御式送達システムのシステムブロック図である。
【図20】ポンプ性能を示し、EKポンプの急速充填及び送達流速をグラフ化した図である。
【図21】ポンプ性能を示し、EKポンプの動作中の任意の瞬間における一定定常流速をグラフ化した図である。
【図22】ポンプ性能を示し、数時間にわたって動作するように構成されたEKポンプの動作中の一定定常流速をグラフ化した図である。
【図23】ポンプ性能を示し、数日間にわたって動作するように構成されたEKポンプの動作中の一定定常流速をグラフ化した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体をポンプ流体流速で前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を投与流体流速で前記第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含み、
前記投与流体流速が前記ポンプ流体流速の約1倍〜10倍である、方法。
【請求項2】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバ、投与流体の初期容量の250%を超えない容量を有する界面動電ポンプに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含む、方法。
【請求項3】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有するシリンジに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記シリンジから患者の体内へと移動させる工程とを含む、方法。
【請求項4】
前記移動させる工程の前に前記シリンジに投与流体を追加する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバから第1の界面動電ポンプのポンプ出口を通って、患者の体内へと移動させる工程と、
電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体の第1のリザーバ、第2のリザーバ、第3のリザーバ、及び前記第3のリザーバ内に配設された投与流体に接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記第2の界面動電ポンプの前記電極を電源に接続する工程と、
前記第2の界面動電ポンプのポンプ流体が前記第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記第2の界面動電ポンプの前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を前記第3のリザーバから第2の界面動電ポンプ出口を通して患者の体内へと移動させる工程とを含む、方法。
【請求項6】
投与流体を前記第1の界面動電ポンプから移動させる工程を第1の速度で実施し、投与流体を前記第2の界面動電ポンプから移動させる工程を前記第1の速度とは異なる第2の速度で実施する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の界面動電ポンプの前記投与流体及び前記第2の界面動電ポンプの前記投与流体は、同じ種類の流体である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の界面動電ポンプの前記投与流体及び前記第2の界面動電ポンプの前記投与流体は、違う種類の流体である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程と、
電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体の第1のリザーバ、第2のリザーバ、第3のリザーバ、及び前記第3のリザーバ内に配設された投与流体に接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記第2の界面動電ポンプの前記電極を電源に接続する工程と、
前記第2の界面動電ポンプのポンプ流体が前記第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記第2の界面動電ポンプの前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を前記第2の界面動電ポンプの前記第3のリザーバから前記ポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程とを含む、方法。
【請求項10】
投与流体を前記第1の界面動電ポンプから移動させる工程を第1の速度で実施し、投与流体を前記第2の界面動電ポンプから移動させる工程を前記第1の速度とは異なる第2の速度で実施する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の界面動電ポンプの前記投与流体及び前記第2の界面動電ポンプの前記投与流体は同じ種類の流体である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の界面動電ポンプの前記投与流体及び前記第2の界面動電ポンプの前記投与流体は違う種類の流体である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程と、
電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体の第1のリザーバ及び第2のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記第2の界面動電ポンプの前記電極を電源に接続する工程と、
前記第2の界面動電ポンプのポンプ流体が前記第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記第2の界面動電ポンプの前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を前記第3のリザーバから前記出口を通って患者の体内へと移動させる工程とを含む、方法。
【請求項14】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
患者の投与流体に対する必要性を測定する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記測定された必要性に応じて、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って患者の体内へと移動させる工程とを含む、方法。
【請求項15】
前記投与流体はインスリンを含み、前記測定する工程は患者の血中グルコース濃度を測定する工程を含み、前記移動させる工程は前記測定された血中グルコース濃度に応じて多量のインスリンを患者の体内へと注射する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記移動させる工程が前記測定された血中グルコース濃度に応じて多量のインスリンを患者の体内へと自動的に注射する工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記測定する工程が第2の界面動電ポンプによって患者から採取された流体をサンプリングする工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程と、
前記移動させる工程中に前記第3のリザーバから移動した投与流体量に関するパラメータを監視する工程とを含む、方法。
【請求項19】
前記監視されたパラメータを前記移動させる工程のフィードバック制御をもたらすために使用する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記監視されたパラメータが流速である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記監視されたパラメータが第3のリザーバのポンプ要素の位置である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記監視されたパラメータを前記投与流体に関する表示をもたらすために使用する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記監視されたパラメータを投与すべき所望の投与流体量を計算するために使用する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記監視されたパラメータを使用する工程が、前記監視されたパラメータを前記ポンプ出口に閉塞があることを表示するために使用することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて、投与流体を一定の時間間隔で一定容量の投与流体を投与するように前記第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含む、方法。
【請求項26】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程と、
前記第3のリザーバから移動した投与流体量を調整する工程とを含む、方法。
【請求項27】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第1のリザーバ、第2のリザーバ、及び投与流体を含有する第3のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
投与流体を前記第3のリザーバ内へと充填する工程と、
前記投与流体の特性を変化させるように前記界面動電ポンプを処理する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させる工程と、
前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて投与流体を前記第3のリザーバからポンプ出口を通って移動させる工程とを含む、方法。
【請求項28】
前記処理する工程が前記界面動電ポンプに照射する工程を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
ほぼすべての前記ポンプ流体を、約1マイクロリットル/分未満の流速で、かつ定常流速エラーが方法工程全体にわたって約5%を超えずに、前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにリザーバから移動させる工程とを含む、方法。
【請求項30】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
約1〜約100psiのポンプ流体圧力を生成する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記リザーバから移動させる工程とを含む、方法。
【請求項31】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバ、電極に接続可能な電源、及び電極、誘電体材料、リザーバ及び電源を含有するハウジング、最大約11cmの容量を有する界面動電ポンプを含有するケースに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに約0.2ミリリットルのポンプ流体を前記リザーバから少なくとも移動させる工程とを含む、方法。
【請求項32】
前記移動させる工程が前記ポンプ流体を約10ナノリットル/分未満の速度で移動させる工程を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記移動させる工程が前記ポンプ流体を約30日間ほぼ連続的に移動させる工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記界面動電ポンプを患者に支持する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記リザーバから移動させる工程とを含む、方法。
【請求項35】
前記界面動電ポンプを患者に埋め込む工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記界面動電ポンプがある形状を有し、前記埋め込む工程が前記界面動電ポンプの形状に相補的な形状を有する患者の解剖学的特徴に隣接して前記界面動電ポンプを配置する工程を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を電源に接続する工程と、
前記第1のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第1の速度で前記リザーバから患者の体内へ移動させる工程と、
電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプを提供する工程と、
前記第2の界面動電ポンプの前記電極を電源に接続する工程と、
前記第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を第2の速度で前記第2の界面動電ポンプのリザーバから患者の体内へ移動させる工程とを含む、方法。
【請求項38】
前記第1の界面動電ポンプの前記投与流体及び前記第2の界面動電ポンプの前記投与流体は同じ種類の流体である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の界面動電ポンプの前記投与流体及び前記第2の界面動電ポンプの前記投与流体は違う種類の流体である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
前記電極を時間変調式に電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記リザーバから移動させる工程とを含む、方法。
【請求項41】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
電源をオン状態とオフ状態に交互にすることによって前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記リザーバから移動させる工程とを含む、方法。
【請求項42】
流体を給送する方法であって、
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有し、電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有するリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む界面動電ポンプを提供する工程と、
コンピュータプログラムに応じて電源を常時オフ状態と周期的オン状態に交互にすることによって前記電極を電源に接続する工程と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずにポンプ流体を前記リザーバから移動させる工程とを含む、方法。
【請求項43】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
一定容量の前記投与流体を前記第3のリザーバから移動させるよう前記電源から前記電極へと電力の送達を制御するように適合された制御装置を含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項44】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
投与流体を一定時間だけ移動させるよう前記電源から前記電極へと電力の送達を制御するように適合された制御装置を含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項45】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
投与流体を前記第3のリザーバから一定時間間隔で移動させるよう前記電源から前記電極へと電力の送達を制御するように適合された制御装置を含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項46】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
使用者の入力に応じてある量の投与流体を前記第3のリザーバから移動させるよう前記電源から前記電極へと電力の送達を制御するように適合された制御装置とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項47】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプと、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及び第1のポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記第1のポンプ出口から患者の体内へと移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
電源、第2の一対の電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第4のリザーバ、投与流体を含有する第2のリザーバ及び第6のリザーバ、及び第2のポンプ出口に接続可能な第2の一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプとを含み、
前記第2のポンプ内にファラデー過程を発生させずに前記第2の界面動電ポンプの電極が電源に接続されているとき、前記第2の界面動電の投与流体を前記第2のポンプ出口を通って患者の体内へと移動させるよう前記第2の界面動電のポンプ流体を前記第4のリザーバから前記第5のリザーバへと移動させるように、前記第2の界面動電ポンプの電極及び誘電体材料が適合されており、
前記システムがさらに前記第1及び第2の界面動電ポンプを制御するように適合された制御装置を含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項48】
前記第1の界面動電ポンプが投与流体を第1の速度で移動させるようにさらに適合させ、前記第2の界面動電ポンプが投与流体を前記第1の速度と異なる第2の速度で移動させるようにさらに適合させる、請求項47に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項49】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む第1の界面動電ポンプと、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から患者の体内へと移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
電源、電極間に配設された多孔性誘電体材料、ポンプ流体を含有する第4のリザーバ、投与流体を含有する第5のリザーバ及び第6のリザーバに接続可能な一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプとを含み、
前記第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記第2の界面動電ポンプの電極が電源に接続されているとき、前記第2の界面動電の投与流体を前記ポンプ出口を通って患者の体内へと移動させるよう前記第2の界面動電のポンプ流体を前記第4のリザーバから前記第5のリザーバへと移動させるように、前記第2の界面動電ポンプの電極及び誘電体材料が適合されている、界面動電ポンプシステム。
【請求項50】
前記第1の界面動電ポンプは投与流体を第1の速度で移動させるようにさらに適合させ、前記第2の界面動電ポンプは投与流体を前記第1の速度と異なる第2の速度で移動させるようにさらに適合させる、請求項49に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項51】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料を含む第1の界面動電ポンプと、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から患者の体内へと移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
電源、電極間に配設された多孔性誘電体、ポンプ流体を含有する第4のリザーバ及び第5のリザーバに接続可能である一対の二重層容量性電極を含む第2の界面動電ポンプとを含み、
前記第2のポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記第2の界面動電ポンプの電極が電源に接続されているとき、前記投与流体を前記ポンプ出口を通って患者の体内へと移動させるよう前記第2の界面動電のポンプ流体を前記第4のリザーバから前記第5のリザーバへと移動させるように、前記第2の界面動電ポンプの電極及び誘電体材料が適合されている、界面動電ポンプシステム。
【請求項52】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記第2のリザーバとポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記第3のリザーバから移動させるように動くよう適合された前記第2のリザーバと前記第3のリザーバの間に配設された液圧増幅器を含む可動部材とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項53】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
患者の投与流体に対する必要性を測定するように適合されたセンサとを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項54】
前記センサからの信号に応じて前記電源から電力を前記電極に送達することを制御するように適合された制御装置をさらに含む、請求項53に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項55】
前記センサが患者から流体をサンプリングするように適合された界面動電ポンプを含む、請求項53に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項56】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記第3のリザーバと連通する外部ポートと、
前記第2のリザーバと前記第3のリザーバの間に配設され、前記第2のリザーバの有効容量が変化するにつれて前記第3のリザーバの有効容量を変化させるように適合された可動部材と、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
積層されたケースとを含み、
前記界面動電ポンプシステムが前記第3のリザーバの最大有効容量の250%を超えない容量を有する、界面動電ポンプシステム。
【請求項57】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有する第1のリザーバと、
第2のリザーバと、
投与流体及びポンプ出口を含有する第3のリザーバと、
前記第3のリザーバと連通する外部ポートと、
前記第2のリザーバと前記第3のリザーバの間に配設され、前記第2のリザーバの有効容量が変化するにつれて前記第3のリザーバの有効容量を変化させるように適合された可動部材と、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動させ、前記ポンプ流体が前記第1のリザーバから前記第2のリザーバへ移動するにつれて前記投与流体を前記ポンプ出口から移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記第3のリザーバから投与された流体の量に関するパラメータを監視するように適合されたセンサとを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項58】
前記センサからの信号に応じて前記電源から前記電極に送達される電力を制御するように制御するように適合されたフィードバック制御要素をさらに含む、請求項57に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項59】
前記パラメータが前記第3のリザーバから投与された流体の流速である、請求項57に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項60】
前記第3のリザーバが、シリンジ、前記シリンジの位置を監視するように適合された前記センサを含む、請求項57に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項61】
前記シリンジがプランジャ及び磁石を含み、前記センサが前記磁石の位置を検出するように適合された磁歪式センサを含む、請求項60に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項62】
センサ出力信号に応じて前記電源から電力を前記電極に印加することを制御するように適合された制御装置をさらに含む、請求項60に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項63】
前記第3のリザーバから投与された流体に関する表示を示すように適合された表示器をさらに含む、請求項57に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項64】
前記表示が前記外部ポートの閉塞を含む、請求項63に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項65】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
約1マイクロリットル/分未満の流速で、かつ定常流速エラーが約5%を超えずに、前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源を含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項66】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに約1〜約1000psiのポンプ流体圧力で前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項67】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
最大約11cmの容量を有するケースとを含み、
前記電極、誘電体材料及び電源が前記リザーバから少なくとも約0.2ミリリットルのポンプ流体を移動させるようにさらに適合されている、界面動電ポンプシステム。
【請求項68】
前記電極、誘電体材料及び電源が、10ナノリットル/分未満の速度で前記リザーバからポンプ流体を移動させるように、さらに適合されている、請求項67に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項69】
前記電極、誘電体材料及び電源が、約30日間ほぼ連続的に前記リザーバからポンプ流体を移動させるようにさらに適合されている、請求項68に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項70】
前記ケースが積層されたケースを含む、請求項67に記載の界面動電ポンプシステム。
【請求項71】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源とを含み、
電極、誘電体材料及び電源が、患者の体内に埋め込むようにさらに適合されている、界面動電ポンプシステム。
【請求項72】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記リザーバ内にあるポンプ流体の量を表示するように適合されている表示器とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項73】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記電源から前記電極への電力を時間変調式に供給するように適合されている制御装置とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項74】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記電源をオン状態とオフ状態に交互にするように適合されている制御装置とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項75】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記電源をコンピュータプログラムに応じて常時オフ状態と周期的オン状態の交互にするように適合されている制御装置とを含む、界面動電ポンプシステム。
【請求項76】
少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極と、
前記電極間に配設された多孔性誘電体材料と、
ポンプ流体を含有するリザーバと、
前記電極に接続された電源と、
前記ポンプ内にファラデー過程をほとんど発生させずに前記ポンプ流体を前記リザーバから移動させるように適合された前記電極、誘電体材料及び電源と、
前記電極、リザーバ、誘電体材料及び電源を含有するケースとを含み、
前記ケースが人間または動物の体に装着するように適合されている、界面動電ポンプシステム。
【請求項77】
投与流体リザーバと、
ポンプ出口と、
排出機構と、
排出機構を動作させるように適合された電源と、
前記リザーバ、前記ポンプ出口、前記電源及び前記排出機構を含有するケースとを含み、
前記ケースが前記投与流体リザーバの容量の250%を超えない容量を有し、
前記排出機構及び前記電源が、前記投与流体のほぼ全部を1マイクロミリリットル/分以下の流速で定常流速エラーが約5%以下で、前記リザーバから前記ポンプ出口を通って投与するようにさらに適合されている、排出ポンプ。
【請求項78】
前記排出機構が可動部材を含む、請求項77に記載のポンプ。
【請求項79】
前記排出機構が前記電源に接続可能な一対の電極、前記電極間に配設された多孔性誘電体材料を含む界面動電アセンブリをさらに含み、前記ポンプ流体が前記電極に接触している、請求項78に記載のポンプ。
【請求項80】
前記電極が二重層容量性電極を含む、請求項79に記載のポンプ。
【請求項81】
ポンプ流体のリザーバと、
ポンプ流体に動作可能なポンプ機構と、
ポンプ出口と、
ポンプ流体を前記リザーバから前記ポンプ出口を通って1マイクロミリリットル/分以下の流速で定常流速エラーが約5%以下で移動させるように前記ポンプ機構に接続可能な電源と、
前記リザーバ、前記電極、前記ポンプ出口及び前記電源を含有するケースとを含み、
前記ケースが前記リザーバの容量の150%を超えない容量を有する、ポンプ。
【請求項82】
前記ポンプ機構が、少なくとも10−2ファラド/cmの静電容量を有する一対の二重層容量性電極を含む、請求項81に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2008−504794(P2008−504794A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509658(P2007−509658)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/013728
【国際公開番号】WO2005/113419
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(503459408)エクシジェント テクノロジーズ, エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】