説明

異方性導電材料及びその製造方法

【課題】低い導通抵抗及び高い接着強度が得られる異方性導電材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス基板11と金属配線材12とを熱圧着させると、ガラス基板11と異方性導電材料13との界面において、ガラス基板11表面のSiと疎水シリカ14に修飾されたジスルフィドシラン末端のアルコキシル基(OR)とが反応し、化学結合する。また、金属配線材12と異方性導電材料13との界面では、圧着時の熱により、ジスルフィドシランの一部のS−S結合(ジスルフィド結合)が解離し、解離されたスルフィドシランが金属Meと化学結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子が分散された異方性導電材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて、半導体などの部品を基板上に装着させる工法が使用されている。ACFをガラス基板に使用する場合、接着剤成分とガラスとの接着力を向上させるためにシランカップリング剤が用いられるが、シランカップリング剤は、放置時間に伴い、ACF膜表面にブリードアウトし、揮発してしまう。このため、シリカにシランカップリング剤を修飾させ、揮発を抑制する方法が用いられている(例えば。特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−75983号公報
【特許文献2】特開2010−84019号公報
【特許文献3】特開2006−196850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シリカにシランカップリング剤を修飾させる方法において、通常使用されるシリカは、表面に水酸基が存在する親水性であるため、分散性が悪く、低い導通抵抗及び高い接着強度が得られない。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、低い導通抵抗及び高い接着強度が得られる異方性導電材料及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件発明者らは、鋭意検討を行った結果、シリカ表面が有機修飾された疎水性シリカを用い、この疎水性シリカがジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子を異方性導電材料に配合することにより、低い導通抵抗及び高い接着強度が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明に係る異方性導電材料は、疎水性シリカ表面がジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子を含有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る異方性導電材料の製造方法は、疎水性シリカ表面をジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理し、該表面処理されたシリカ粒子を配合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異方性導電材料にスルフィドシラン修飾疎水性シリカを含有させることにより、高い接着強度が得ることができる。また、スルフィドシラン修飾疎水性シリカの分散性を向上させることができるため、低い導通抵抗を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】疎水性シリカとジスルフィド系シランカップリング剤との反応を示す概略図である。
【図2】スルフィドシラン修飾疎水性シリカを示す概略図である。
【図3】異方性導電材料を介してガラス基板と金属配線材とを熱圧着した際の反応を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.異方性導電材料
2.異方性導電材料の製造方法
3.接続方法
4.実施例
【0012】
<1.異方性導電材料>
本発明の具体例として示す異方性導電材料は、疎水性シリカ表面がジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子(以下、スルフィドシラン修飾疎水性シリカという。)を含有するものである。
【0013】
先ず、スルフィドシラン修飾疎水性シリカについて説明する。スルフィドシラン修飾疎水性シリカは、疎水性シリカ表面をジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理することにより得ることができる。
【0014】
図1は、疎水性シリカとジスルフィド系シランカップリング剤との反応を示す概略図である。この反応例において、疎水性シリカは、シリカ表面をジメチルシロキサンで修飾したジメチルシロキサン修飾シリカであり、ジスルフィド系シランカップリング剤は、ジスルフィド結合(S−S結合)を有し、末端にエトキシ基(EtO)を有するジスルフィドシランである。
【0015】
図1に示すように、疎水性シリカ表面のSiは、完全に有機修飾されておらず、未修飾の水酸基(OH)が存在している。したがって、図2に示すように、疎水性シリカの未修飾の水酸基(OH)とジスルフィドシランのアルコキシル基(OR)が結合することができる。また、ジメチルシロキサン末端のSiとジスルフィドシランのアルコキシル基(OR)とが結合することができる。このように疎水性シリカがジスルフィドシランで修飾されることにより、異方性導電材料からのジスルフィド系シランカップリング剤のブリードアウトを防止することができる。
【0016】
図3は、異方性導電材料を介してガラス基板と金属配線材とを熱圧着した際の反応を示す模式図である。ガラス基板11と金属配線材12とを熱圧着させると、ガラス基板11と異方性導電材料13との界面において、ガラス基板11表面のSiと疎水シリカ14に修飾されたジスルフィドシラン末端のアルコキシル基(OR)とが反応し、化学結合する。これにより、異方性導電材料13とガラス基板11との接着性(接着強度)を向上させることができる。
【0017】
また、金属配線材12と異方性導電材料13との界面では、圧着時の熱により、ジスルフィドシランの一部のS−S結合(ジスルフィド結合)が解離し、解離されたスルフィドシランが金属Meと化学結合する。これにより、異方性導電材料13と金属配線材12との接着性(接続強度)を向上させることができる。
【0018】
このように異方性導電材料にスルフィドシラン修飾疎水性シリカを含有させることにより、異方性導電材料13とガラス基板11との界面、及び異方性導電材料13と金属配線材12との界面において、優れた接着強度が得ることができる。また、スルフィドシラン修飾疎水性シリカは、疎水性であり、材料中における分散性を向上させることができるため、優れた導通抵抗を得ることができる。
【0019】
スルフィドシラン修飾疎水性シリカは、ラジカル重合性、カチオン重合性のいずれの接着剤でも用いることができる。この中でも、ラジカル重合性接着剤は、一般的に硬化収縮率が高く内部応力が大きく、接着強度が低下する傾向にあるため、スルフィドシラン修飾疎水性シリカを含有することで、上述した効果が顕著に現れる。
【0020】
以下、ラジカル重合性接着剤にスルフィドシラン修飾疎水性シリカを含有させた異方性導電材料を例に挙げて説明する。本実施の形態における異方性導電材料は、スルフィドシラン修飾疎水性シリカと、膜形成樹脂と、ラジカル重合性物質と、硬化剤と、導電性粒子とを含有する。
【0021】
スルフィドシラン修飾疎水性シリカは、上述のように疎水性シリカ表面をジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理されたものである。疎水性シリカは、シリカ表面が有機修飾され、疎水性を有する。シリカ表面を有機修飾する化合物は、特に限定されないが、ジメチルシロキサン又はトリメチルシロキサンが好ましく用いられる。また、疎水性シリカの平均粒径は、10〜1000nmであり、中でも10〜500nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。
【0022】
スルフィドシラン修飾疎水性シリカの含有量は、異方性導電組成物100質量部に対して、好ましくは2〜15質量部である。異方性導電組成物100質量部に対する含有量が2質量部以上であることにより、接続強度の向上の効果を得ることができ、15質量部以下であることにより、導通抵抗の向上の効果を得ることができる。
【0023】
ジスルフィド系シランカップリング剤としては、ジスルフィド結合(S−S結合)を有し、末端にあるアルコキシル基(RO)を有するジスルフィドシランが好ましく用いられる。ここで、「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシエトキシ、エトキシプロポキシ、メトキシエトキシエトキシ基など、炭素数1〜20個のアルコキシル基が直鎖上に又は分岐状に結合したものなどが挙げられる。
【0024】
ジスルフィド系シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−メチルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(4−メチルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−メチルジメトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(4−メチルジメトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−メチルジエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−メチルジエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−メチルジメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−メチルジメトキシシリルブチル)テトラスルフィドなどが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、優れたビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好適に用いられる。なお、これらのジスルフィド系シランカップリング剤は、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂などの種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも膜形成状態、接続信頼性などの観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。膜形成樹脂の含有量は、異方性導電組成物100質量部に対して、通常30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部である。
【0026】
ラジカル重合性樹脂は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質であり、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシアクリレートが好ましく用いられる。ラジカル重合性樹脂の含有量は、異方性導電組成物100質量部に対して、通常10〜60質量部、好ましくは20〜50質量部である。
【0027】
ラジカル重合開始剤は、公知のものを使用することができ、中でも有機過酸化物を好ましく使用することができる。有機過酸化物としては、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、シリルパーオキサイド類などが挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、本実施の形態では、パーオキシケタール類が好ましく用いられる。ラジカル重合開始剤の含有量は、異方性導電組成物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。
【0028】
これらを溶解させる有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶剤、その他各種有機溶剤を用いることができる。
【0029】
また、異方性導電組成物に分散させる導電性粒子は、例えば、ニッケル、金、銅などの金属粒子、樹脂粒子に金めっきなどを施したものなどを用いることができる。また、導電性粒子の平均粒径は、接続信頼性の観点から、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。また、異方性導電組成物中の導電性粒子の平均粒子密度は、接続信頼性及び絶縁信頼性の観点から、好ましくは1000〜50000個/mm、より好ましくは5000〜30000個/mmである。
【0030】
<2.異方性導電材料の製造方法>
次に、上述した異方性導電材料の製造方法について説明する。本実施の形態における異方性導電材料の製造方法は、疎水性シリカ表面をジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理し、該表面処理されたシリカ粒子を配合するものである。
【0031】
先ず、メチルエチルケトンなどの溶媒にジスルフィド系シランカップリング剤を溶解させて処理液を調製する。次いで、この処理液に、疎水性シリカを加えて、静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、スルフィドシラン修飾疎水性シリカを得る。
【0032】
そして、膜形成樹脂、ラジカル重合性物質、ラジカル重合開始剤、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカを配合して接着剤組成物を得、接着剤組成物中に導電性粒子を分散させ、異方性導電材料を得る。
【0033】
シート状の異方性導電フィルムを作製する場合、シリコーンなどの剥離剤が塗布されたPET(Poly Ethylene Terephthalate)などの剥離基材上に上述した異方性導電材料を塗布し、剥離基材上の異方性導電材料を熱オーブン、加熱乾燥装置などを用いて乾燥させ、所定厚さの層を形成する。
【0034】
また、導電性粒子を含有した導電性粒子含有層と絶縁性接着層とを積層した2層構造の異方性導電材料の場合、剥離基材上に導電性粒子含有層の樹脂組成物を塗布し、乾燥させ導電性粒子含有層を形成し、同様にして絶縁性樹脂層を形成し、導電性粒子含有層と絶縁性樹脂層とを貼り合わせることにより、製造することができる。この場合、絶縁性接着層に当該スルフィドシラン修飾疎水性シランが含有されていてもよい。
【0035】
<3.接続方法>
次に、上述した異方性導電材料を用いた電子部品の接続方法について説明する。本実施の形態における電子部品の接続方法は、第1の電子部品の端子上に上述した異方性導電材料を貼付け、異方性導電フィルム上に第2の電子部品を仮配置させ、第2の電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、第1の電子部品の端子と、第2の電子部品の端子とを接続させるものである。
【0036】
これにより、異方性導電材料に分散された導電性粒子を介して第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とが接続された接続体が得られる。
【0037】
本実施の形態における異方性導電材料は、疎水性シリカ表面がジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子を配合しているため、優れた接続抵抗及び接着強度を有する接続体を得ることができる。
【0038】
ここで、第1の電子部品としては、ガラス基板にIZO(Indium Zinc Oxide)膜がコーティングされたIZOコーティングガラス、ガラス基板にSiN(シリコン窒化)膜がコーティングされたSiNコーティングガラスなどが挙げられる。また、第2の電子部品としては、COF(Chip On Film)、IC(Integrated Circuit)などが挙げられる。本実施の形態では、異方性導電材料にスルフィドシラン修飾疎水性シリカを配合しているため、表面が平坦なSiNコーティングガラスにおいても、優れた接着強度を得ることができる。
【実施例】
【0039】
<4.実施例>
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ここでは、実施例1〜6及び比較例1〜7の異方性導電フィルムを作製した。そして、異方性導電フィルムを用いて実装体を作製し、実装体の導通抵抗及び接着強度を評価した。なお、異方性導電フィルムの保存安定性試験、実装体の作製、導通抵抗の測定、及び接着強度の測定は、次のように行った。
【0040】
[保存安定性試験]
実施例3、比較例1及び比較例7の異方性導電フィルムを40℃/60%の環境オーブンに48hr投入した。
【0041】
[実装体の作製]
実施例1〜6及び比較例1〜7の異方性導電フィルムを用いて、COF(Chip On Film用基材、50μmP、Cu8μmt−Snメッキ、38μmt−S’perflex基材)と、ガラス基板にIZO(Indium Zinc Oxide)膜がコーティングされた厚さ0.7mmのIZOコーティングガラスとを接合し、実装体を完成させた。また、COFと、ガラス基板にSiN(シリコン窒化)膜がコーティングされた厚さ0.7mmのSiNコーティングガラスとを接合し、実装体を完成させた。
【0042】
[導通抵抗の測定]
各実装体について、プレッシャークッカー試験(PCT)を行って接続抵抗値を評価した。初期及び85℃/85%/500hr投入後の接続抵抗値は、デジタルマルチメータ(デジタルマルチメータ7555、横河電機社製)を用いて測定した。測定は、4端子法を用い、電流1mAを流して行った。
【0043】
[接着強度の測定]
各実装体について、プレッシャークッカー試験(PCT)を行って接着強度を評価した。初期及び85℃/85%/500hr投入後の接着強度は、引張試験機(RTC1201、AMD社製)を用いて測定した。測定は、90℃の温度において50mm/secの速度でCOFを引き上げて行った。
【0044】
[実施例1]
(スルフィドシラン修飾疎水性シリカAの作製)
メチルエチルケトン100重量部にビス(3−(エトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(商品名:KBE846、信越化学工業社製)を5質量部溶解させて処理液を調製した。次いで、この処理液105重量部に、疎水性シリカとして、平均粒径14nmのジメチルシロキサン修飾のシリカ粒子を10質量部加えて、70℃−2時間静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、スルフィドシラン修飾疎水性シリカAを得た。
【0045】
(異方性導電フィルムの作製)
膜形成樹脂としてフェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を42質量部、ラジカル重合性物質としてエポキアクリレート(商品名:EB600、ダイセル・サイテック(株)製)を40質量部、ラジカル重合開始剤としてパーオキシケタール(商品名:パーヘキサC、日本油脂(株)製)を3質量部、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカAを15質量部配合して接着剤組成物を得た。この接着剤組成物中に導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業(株)製)を粒子密度が5000個/mmになるように分散させ、異方性導電材料を得た。そして、異方性導電材料をPETフィルムに塗布・乾燥させることにより、厚さ20μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0046】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は4.5Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は7.2Ωであった。
【0047】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.7N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.7N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.8N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は8.4N/cmであった。これらの結果を表1に示す。
【0048】
[実施例2]
(異方性導電フィルムの作製)
フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を46質量部、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカAを11質量部とした以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0049】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は3.8Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は5.6Ωであった。
【0050】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.8N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.9N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.7N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.2N/cmであった。これらの結果を表1に示す。
【0051】
[実施例3]
(異方性導電フィルムの作製)
フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を49質量部、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカAを8質量部とした以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0052】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は3.0Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は4.7Ωであった。
【0053】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.5N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.3N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.6N/cmであった。これらの結果を表1に示す。
【0054】
また、40℃/60%の環境オーブンに48hr投入した異方性導電フィルムを用いて接合した実装体について、導通抵抗及び接着強度を測定した。COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は3.2Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は5.1Ωであった。
【0055】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.3N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.2N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.4N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.8N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0056】
[実施例4]
(異方性導電フィルムの作製)
フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を52質量部、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカAを5質量部とした以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0057】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は2.6Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は4.2Ωであった。
【0058】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.8N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.7N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.8N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.0N/cmであった。これらの結果を表1に示す。
【0059】
[実施例5]
(異方性導電フィルムの作製)
フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を55質量部、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカAを2質量部とした以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0060】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は2.5Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は4.3Ωであった。
【0061】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.1N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.1N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は5.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は4.0N/cmであった。これらの結果を表1に示す。
【0062】
[実施例6]
(スルフィドシラン修飾疎水性シリカBの作製)
メチルエチルケトン100重量部にビス(3−(エトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(商品名:KBE846、信越化学工業社製)を2.5質量部及び非スルフィド系シランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)を2.5質量部溶解させて処理液を調製した。次いで、この処理液105重量部に、疎水性シリカとして、平均粒径14nmのジメチルシロキサン修飾のシリカ粒子を10質量部加えて、70℃−2時間静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、スルフィドシラン修飾疎水性シリカBを得た。
【0063】
(異方性導電フィルムの作製)
膜形成樹脂としてフェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を49質量部、ラジカル重合性物質としてエポキアクリレート(商品名:EB600、ダイセル・サイテック(株)製)を40質量部、ラジカル重合開始剤としてパーオキシケタール(商品名:パーヘキサC、日本油脂(株)製)を3質量部、及びスルフィドシラン修飾疎水性シリカBを8質量部配合して接着剤組成物を得た。この接着剤組成物中に導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業(株)製)を粒子密度が5000個/mmになるように分散させ、異方性導電材料を得た。そして、異方性導電材料をPETフィルムに塗布・乾燥させることにより、厚さ20μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0064】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は3.1Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は4.7Ωであった。
【0065】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.7N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.8N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は6.9N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.2N/cmであった。これらの結果を表1に示す。
【0066】
[比較例1]
(スルフィドシラン修飾親水性シリカCの作製)
メチルエチルケトン100重量部にビス(3−(エトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(商品名:KBE846、信越化学工業社製)を5質量部溶解させて処理液を調製した。次いで、この処理液105重量部に、親水性シリカとして、平均粒径14nmのシリカ粒子を10質量部加えて、70℃−2時間静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、スルフィドシラン修飾親水性シリカCを得た。
【0067】
(異方性導電フィルムの作製)
膜形成樹脂としてフェノキシ樹脂(商品名:PKHC、巴工業社製)を49質量部、ラジカル重合性物質としてエポキアクリレート(商品名:EB600、ダイセル・サイテック(株)製)を40質量部、ラジカル重合開始剤としてパーオキシケタール(商品名:パーヘキサC、日本油脂(株)製)を3質量部、及びスルフィドシラン修飾親水性シリカCを8質量部配合して接着剤組成物を得た。この接着剤組成物中に導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業(株)製)を粒子密度が5000個/mmになるように分散させ、異方性導電材料を得た。そして、異方性導電材料をPETフィルムに塗布・乾燥させることにより、厚さ20μmの異方性導電フィルムを作製した。
【0068】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は6.3Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は9.3Ωであった。
【0069】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.2N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.4N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は6.2N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は4.5N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0070】
また、40℃/60%の環境オーブンに48hr投入した異方性導電フィルムを用いて接合した実装体について、導通抵抗及び接着強度を測定した。COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は6.7Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は9.6Ωであった。
【0071】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は8.0N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は6.2N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は6.0N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は4.3N/cmであった。これらの結果を表3に示す。
【0072】
[比較例2]
(非スルフィドシラン修飾疎水性シリカDの作製)
メチルエチルケトン100重量部にジスルフィド結合を有しないが硫黄を含有するシランカップリング剤(商品名:A−189、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を5質量部溶解させて処理液を調製した。次いで、この処理液105重量部に、疎水性シリカとして、平均粒径14nmのジメチルシロキサン修飾のシリカ粒子を10質量部加えて、70℃−2時間静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、非スルフィドシラン修飾疎水性シリカDを得た。
【0073】
(異方性導電フィルムの作製)
スルフィドシラン修飾親水性シリカCの代わりに、非スルフィドシラン修飾疎水性シリカDを用いた以外は、比較例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0074】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は3.1Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は5.0Ωであった。
【0075】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.2N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.1N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は5.8N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は3.8N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0076】
[比較例3]
(スルフィドシラン修飾親水性シリカEの作製)
メチルエチルケトン100重量部にジスルフィド結合を有しないが硫黄を含有するシランカップリング剤(商品名:A−189、モンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を5質量部溶解させて処理液を調製した。次いで、この処理液105重量部に、親水性シリカとして、平均粒径14nmのシリカ粒子を10質量部加えて、70℃−2時間静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、スルフィドシラン修飾親水性シリカEを得た。
【0077】
(異方性導電フィルムの作製)
スルフィドシラン修飾親水性シリカCの代わりに、スルフィドシラン修飾親水性シリカEを用いた以外は、比較例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0078】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は8.3Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は11.3Ωであった。
【0079】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.1N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.0N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は4.8N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は3.4N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0080】
[比較例4]
(非スルフィドシラン修飾親水性シリカFの作製)
メチルエチルケトン100重量部に非スルフィド系シランカップリング剤(商品名:KBM−503、信越化学工業社製)を5質量部溶解させて処理液を調製した。次いで、この処理液105重量部に、親水性シリカとして、平均粒径14nmのシリカ粒子を10質量部加えて、70℃−2時間静置した後、ろ過し、シリカ粒子を回収し、真空乾燥を行い、非スルフィドシラン修飾親水性シリカFを得た。
【0081】
(異方性導電フィルムの作製)
スルフィドシラン修飾親水性シリカCの代わりに、非スルフィドシラン修飾親水性シリカFを用いた以外は、比較例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0082】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は7.2Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は10.7Ωであった。
【0083】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は5.6N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は4.0N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は4.7N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は3.2N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0084】
[比較例5]
(親水性シリカG)
平均粒径14nmの親水性シリカGを用いた。
【0085】
(異方性導電フィルムの作製)
スルフィドシラン修飾親水性シリカCの代わりに、親水性シリカGを用いた以外は、比較例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。なお、シランカップリング剤は配合しなかった。
【0086】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は8.6Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は12.3Ωであった。
【0087】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は4.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は3.0N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は1.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は0.8N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0088】
[比較例6]
(疎水性シリカH)
平均粒径14nmのジメチルシロキサン修飾の疎水性シリカHを用いた。
【0089】
(異方性導電フィルムの作製)
スルフィドシラン修飾親水性シリカCの代わりに、疎水性シリカHを用いた以外は、比較例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。なお、シランカップリング剤は配合しなかった。
【0090】
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は3.2Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は5.1Ωであった。
【0091】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は4.7N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は3.1N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は2.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は1.5N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0092】
[比較例7]
(異方性導電フィルムの作製)
スルフィドシラン修飾親水性シリカCを配合せず、ビス(3−(エトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(商品名:KBE846、信越化学工業社製)を8質量部配合した以外は、比較例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。
【0093】
(評価結果)
COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は2.6Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は4.3Ωであった。
【0094】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は7.1N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は5.4N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は5.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は3.9N/cmであった。これらの結果を表2に示す。
【0095】
また、40℃/60%の環境オーブンに48hr投入した異方性導電フィルムを用いて接合した実装体について、導通抵抗及び接着強度を測定した。COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の導通抵抗を測定したところ、初期抵抗は2.7Ω、85℃/85%/500hr投入後の抵抗は4.5Ωであった。
【0096】
また、COFとIZOコーティングガラスとが接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は6.5N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は4.7N/cmであった。また、COFとSiNコーティングガラスと接合した実装体の接着強度を測定したところ、初期強度は2.2N/cm、85℃/85%/500hr投入後の強度は0.8N/cmであった。これらの結果を表3に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
総合評価として、IZOコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の導通抵抗が5.0Ω未満、及びIZOコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の接着強度が6.0N/cm以上、且つSiNxコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の接着強度が5.0N/cm以上を◎とした。また、IZOコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の導通抵抗が6.0Ω未満、及びIZOコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の接着強度が5.5N/cm以上、且つSiNxコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の接着強度が5.0N/cm以上を○とした。また、IZOコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の導通抵抗が8.0Ω未満、及びIZOコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の接着強度が5.0N/cm以上、且つSiNxコーティングガラスに対する85℃/85%/500hr投入後の接着強度が4.0N/cm以上を△とした。それ以外を×とした。
【0100】
【表3】

【0101】
表1〜3から分かるように、スルフィドシラン修飾疎水性シリカA、Bを配合した異方性導電材料は、スルフィドシラン修飾親水性シリカC、非スルフィドシラン修飾疎水性シリカD、スルフィドシラン修飾親水性シリカE、非スルフィドシラン修飾親水性シリカF、親水性シリカG、及び疎水性シリカHを配合した異方性導電材料に比べ、低い導通抵抗及び高い接着強度が得られた。また、スルフィドシラン修飾疎水性シリカA、Bを配合した異方性導電材料は、シリカを配合せずにジスルフィド系シランカップリング剤を配合した比較例7に比べ、ブリードアウトを抑制し、優れた保存安定性を示した。
【0102】
また、実施例1〜5から分かるように、スルフィドシラン修飾疎水性シリカAの含有量が、異方性導電材料全体の100質量部に対して2〜15質量部であることにより、低い導通抵抗及び高い接着強度が得られた。
【符号の説明】
【0103】
11 ガラス基板、 12 金属配線材、 13 異方性導電材料、 14 疎水性シリカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性シリカ表面がジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理されたシリカ粒子を含有する異方性導電材料。
【請求項2】
前記シリカ粒子の含有量は、異方性導電材料100質量部に対して、2〜15質量部である請求項1記載の異方性導電材料。
【請求項3】
前記ジスルフィド系シランカップリング剤は、スルフィドシランを含む請求項1又は2記載の異方性導電材料。
【請求項4】
前記疎水性シリカは、シリカ表面をジメチルシロキサンで修飾したジメチルシロキサン修飾シリカである請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【請求項5】
膜形成樹脂と、ラジカル重合性物質と、硬化剤と、導電性粒子とをさらに含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性導電材料。
【請求項6】
疎水性シリカ表面をジスルフィド系シランカップリング剤で表面処理し、該表面処理されたシリカ粒子を配合する異方性導電材料の製造方法。
【請求項7】
第1の電子部品の端子上に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の異方性導電材料を貼付け、
前記異方性導電フィルム上に第2の電子部品を仮配置させ、
前記第2の電子部品上から加熱押圧装置により押圧し、
前記第1の電子部品の端子と、前記第2の電子部品の端子とを接続させる接続方法。
【請求項8】
請求項7記載の接続方法により製造される接合体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−49186(P2011−49186A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−269422(P2010−269422)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】