説明

異種のセパレーターを備えた電気化学素子

【課題】
【解決手段】本発明は、第1セパレーターと前記第1セパレーターの両側に位置したカソード及びアノードをそれぞれ備える複数の単位セル;及び積層された形態で対応するように隣接した各々の単位セルの間に介されて各々の単位セルを囲むように配置された、連続した単一の第2セパレーターを備える電気化学素子に関するものであって、前記第1セパレーターは、融点が200℃以上である耐熱性多孔性基材と、前記耐熱性多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第1多孔性コーティング層とを含み、前記第2セパレーターは、ポリオレフィン系多孔性基材と、前記ポリオレフィン系多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第2多孔性コーティング層とを含む。本発明の電気化学素子は、多孔性コーティング層がそれぞれ形成された第1セパレーターと第2セパレーターとを用いることで、電気化学素子が過熱される場合にもセパレーターの多孔性基材が熱収縮することを抑制しカソードとアノード間の接触を防止してカソードとアノード間の短絡現象を改善することができる。また、過度の充電によって急速な昇温が生じる場合にも第2セパレーターのポリオレフィン系多孔性基材の気孔が閉じられることによって電流が遮断されて昇温速度が減少するので、第2セパレーターの熱的安定性によって電気化学素子の爆発及び発火を予防することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池のような電気化学素子に関するものであって、より詳しくは、異種のセパレーターを備えた電気化学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心がますます高まっている。携帯電話、カムコーダ、及びノートPC、ひいては電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡大されるに伴って電気化学素子の研究及び開発に対する努力がますます具体化されている。電気化学素子はこのような点から最も注目されている分野であり、その中でも充放電の可能な二次電池の開発は関心の焦点になっている。
【0003】
現在使用されている二次電池のうち、1990年代の初めに開発されたリチウム二次電池は、水溶液電解液を用いるNi‐MH、Ni‐Cd、硫酸‐鉛電池などの従来の電池に比べて駆動電圧が高くエネルギー密度が遥かに大きいという長所から脚光を浴びている。しかし、このようなリチウムイオン電池は有機電解液の使用に伴う発火及び爆発などの安全問題が存在し、製造がややこしいという短所がある。近年のリチウムイオン高分子電池は、このようなリチウムイオン電池の弱点を改善して次世代電池の1つとして挙げられているが、いまだに電池の容量がリチウムイオン電池と比較して相対的に低く、特に低温における放電容量が十分ではなく、これに対する改善が求められている。
【0004】
前述のような電気化学素子は、多くのメーカで生産されているがそれらの安全性特性はそれぞれ異なる様相を呈する。このような電気化学素子の安全性確保は非常に重要である。最も重要な考慮事項は、電気化学素子が誤作動するときユーザに傷害を負わせてはいけないということであり、このような目的から安全規格では電気化学素子内の発火及び発煙などを厳しく規制している。電気化学素子の安全性特性において、電気化学素子が過熱されて熱暴走が起きるか又は分離膜が貫通される場合には、爆発を起こす恐れが大きい。特に、電気化学素子の分離膜として通常用いられるポリオレフィン系多孔性基材は、材料的特性と延伸を含む製造工程上の特性によって100度以上の温度で激しい熱収縮挙動を見せることで、カソードとアノード間の短絡を起こすという問題点がある。
【0005】
このような電気化学素子の安全性問題を解決するために、韓国特許公開第10‐2006‐72065号公報(特許文献1)、第10‐2007‐231号公報(特許文献2)などには、多数の気孔を持つ多孔性基材の少なくとも一面に、無機物粒子とバインダー高分子との混合物かるなる多孔性コーティング層を形成したセパレーターが提案された。多孔性コーティング層が形成されたセパレーターにおいて、多孔性基材に形成された多孔性コーティング層内の無機物粒子は、多孔性コーティング層の物理的形態を維持することができる一種のスペーサの役割をすることで、電気化学素子が過熱されるとき、多孔性基材が熱収縮することを抑制し、カソードとアノード間の短絡現象を改善する。また、無機物粒子の間には空き空間(interstitial volume)が存在して微細気孔を形成する。
【0006】
このように、多孔性基材に形成された多孔性コーティング層は電気化学素子の安全性向上に寄与する。しかし、過度の充電によって急速な昇温が生じる場合、多孔性コーティング層が形成されたポリオレフィン系多孔性基材(通常100ないし160℃以内の融点を持つ)は先に気孔が閉じられて電池の安全性に寄与するが、電池の温度が上昇し続けるにつれてポリオレフィン系多孔性基材が完全に溶融されることで電池が爆発及び発火し得る。また、多孔性基材としてポリオレフィン系基材より高い融点を持つ耐熱性基材を用いる場合にも、過度の充電時に急激な昇温によって耐熱性基材が完全に溶融されることで電池が爆発及び発火し得る。
【0007】
一方、韓国特許公開第10‐2005‐66652号公報(特許文献3)には、異種の分離膜構造を有するリチウム二次電池の構造が開示されている。この特許公開公報によると、リチウム二次電池は、第1セパレーターと前記第1セパレーターの両側に位置したカソード及びアノードをそれぞれ備える複数の単位セル;及び積層された形態で対応するように隣接された各々の単位セルの間に介されて各々の単位セルを囲むように配置された、連続した単一の第2セパレーターを備える電気化学素子であって、第1分離膜と第2分離膜を融点の相異なる材質からなる多孔性基材を用いる。この技術によれば、融点が低い第1セパレーターが熱収縮される場合にも融点が高い第2セパレーターがほとんど熱収縮されなくて内部短絡を防止する。しかし、前述の特許公開公報のリチウム二次電池は、第1セパレーターの熱収縮により単位セル内で発生する短絡を防止することができず、過度の充電によって温度が第2セパレーターの熱収縮発生温度まで上昇する場合、電池の爆発または発火が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開第10‐2006‐72065号公報
【特許文献2】韓国特許公開第10‐2007‐231号公報
【特許文献3】韓国特許公開第10‐2005‐66652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した問題点を解決して、第一、セパレーターの多孔性基材が熱収縮することを抑制しカソードとアノード間の接触を防止してカソードとアノード間の短絡現象を改善し、第二、過度の充電によって急速な昇温が生じる場合にも昇温速度を減少させて電気化学素子の爆発及び発火を予防することができる異種のセパレーターを備えた電気化学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するために、本発明による電気化学素子は、第1セパレーターと前記第1セパレーターの両側に位置したカソード及びアノードをそれぞれ備える複数の単位セル;及び積層された形態で対応するように隣接した各々の単位セルの間に介されて各々の単位セルを囲むように配置された、連続した単一の第2セパレーターを備える電気化学素子であって、前記第1セパレーターは、融点が200℃以上である耐熱性多孔性基材と、前記耐熱性多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第1多孔性コーティング層とを含み、前記第2セパレーターは、ポリオレフィン系多孔性基材と、前記ポリオレフィン系多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第2多孔性コーティング層とを含むことを特徴とする。
【0011】
このような本発明の電気化学素子は、多孔性コーティング層がそれぞれ形成された第1セパレーターと第2セパレーターとを用いることで、電気化学素子が過熱される場合にもセパレーターの多孔性基材が熱収縮することを抑制しカソードとアノード間の接触を防止してカソードとアノード間の短絡現象を改善することができる。また、過度の充電によって急速な昇温が生じる場合にも第2セパレーターのポリオレフィン系多孔性基材の気孔が閉じられることによって電流が遮断されて昇温速度が減少するので、第2セパレーターの熱的安定性によって電気化学素子の爆発及び発火を予防することができる。
【0012】
本発明の電気化学素子において、耐熱性多孔性基材は、ポリエステル(Polyester)、ポリアセタール(Polyacetal)、ポリアミド(Polyamide)、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)、ポリフェニレンスルフィドロ(Polyphenylenesulfidro)、ポリエチレンナフタレン(Polyethylenenaphthalene)、ポリフェニレンオキシド(Polyphenyleneoxide)などをそれぞれ単独でまたはこれらのうち2種以上を混合して形成することができ、ポリオレフィン系多孔性基材は融点が130ないし160℃であるものを用いることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例による電極組立体の概略的な断面図である。
【図2】本発明の他の実施例による電極組立体の概略的な断面図である。
【図3】本発明のまた他の実施例による電極組立体の概略的な断面図である。
【図4】本発明の電極組立体に用いられる第1セパレーターの概略的な模式図である。
【図5】本発明の電極組立体に用いられる第2セパレーターの概略的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書内に統合されており本明細書の一部を構成する添付図面は、発明の現在の望ましい実施例を例示するものであり、後述する望ましい実施例の詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0015】
以下、本発明に対して詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはいけず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とに解釈されなければならない。
【0016】
本発明による電気化学素子は、第1セパレーターと前記第1セパレーターの両側に位置したカソード及びアノードをそれぞれ備える複数の単位セル;及び積層された形態で対応するように隣接した各々の単位セルの間に介されて各々の単位セルを囲むように配置された、連続した単一の第2セパレーターを備える電気化学素子であって、前記第1セパレーターは、融点が200℃以上である耐熱性多孔性基材と、前記耐熱性多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第1多孔性コーティング層とを含み、前記第2セパレーターは、ポリオレフィン系多孔性基材と、前記ポリオレフィン系多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第2多孔性コーティング層とを含む。
【0017】
図1ないし図3は、本発明による電気化学素子に備えられる望ましい電極組立体の構造を概略的に示す断面図である。図面において、同一番号は同一部材を意味する。
【0018】
図1ないし図3を参照すれば、電極組立体10, 20, 30は、第1セパレーター3a, 3b, 3cと第1セパレーター3a, 3b, 3cの両側に位置したアノード1a, 1b, 1c及びカソード5a, 5b, 5cをそれぞれ備えた単位セル7a, 7b, 7c1, 7c2を複数個含む。カソード5a, 5b, 5cはカソード集電体の両面にカソード活物質層が形成された構造であり、アノード1a, 1b, 1cはアノード集電体の両面にアノード活物質層が形成された構造である。図1ないし図3に示すように、単位セルは、第1セパレーター3a, 3bの両側に1個のカソード5a, 5bとアノード1a, 1bとが位置したフルセル7a, 7bの構造であるか、カソード5cまたはアノード1cの両面に第1セパレーター3cがそれぞれ位置し、それぞれの第1セパレーター3cの上にアノード1cまたはカソード5cがそれぞれ位置したバイセル7c1, 7c2の構造など、多様な構造の単位セルに形成することができる。
【0019】
電極組立体10, 20, 30の内で、各々の単位セル7a, 7b, 7c1, 7c2は積層された形態で存在する。このとき、対応するように隣接した各々の単位セル7a, 7b, 7c1, 7c2の間には各々の単位セル7a, 7b, 7c1, 7c2を囲むように配置された、連続した単一の第2セパレーター9a, 9b, 9cが図1ないし図3に示すような多様な形態で介されて各々の単位セル7a, 7b, 7c1, 7c2間のセパレーター機能を行う。
【0020】
図1ないし図3の第1セパレーター3a, 3b, 3cと第2セパレーター9a, 9b, 9cは、共に多孔性基材の少なくとも一面に多孔性コーティング層が形成されているが、多孔性基材の種類は相違なる。すなわち、図4に示すように、第1セパレーター40は、融点が200℃以上である耐熱性多孔性基材41aと、前記耐熱性多孔性基材41aの少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子43a及びバインダー高分子45aの混合物から形成された第1多孔性コーティング層とを含む構造となっている。また、図5に示すように、第2セパレーター50は、ポリオレフィン系多孔性基材41bと、前記ポリオレフィン系多孔性基材41bの少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子43b及びバインダー高分子45bの混合物から形成された第2多孔性コーティング層とを含む構造となっている。
【0021】
第1セパレーター及び第2セパレーターの一面または両面に形成された多孔性コーティング層内の無機物粒子は、多孔性コーティング層の物理的形態を維持することができる一種のスペーサの役割をすることで電気化学素子の過熱時に多孔性基材が熱収縮されることを抑制し、多孔性基材が溶融される場合にもカソードとアノード間の接触を防止する機能を有する。これによって、多孔性コーティング層が形成された第1セパレーター及び第2セパレーターは電気化学素子の安全性向上に寄与する。
【0022】
また、電気化学素子が過度の充電によって急速な昇温が生じる場合、第2セパレーターのポリオレフィン系多孔性基材の気孔が先に閉じられて電流を1次的に遮断するので、高温によってポリオレフィン系多孔性基材が完全に溶融されても昇温速度を減少させることができる。このように、第2セパレーターによって昇温速度が減少すれば、ポリオレフィン系多孔性基材からなる第2セパレーターより融点がかなり高い耐熱性多孔性基材(200℃以上)からなる第1セパレーターの多孔性基材は相当な温度まで耐えることができるようになり、第1セパレーターに形成された多孔性コーティング層によって安全性がより向上しているので、電気化学素子の爆発及び発火を予防することができる。
【0023】
本発明の電気化学素子において、耐熱性多孔性基材は融点が200℃以上であり、電気化学素子のセパレーター用途として用いることができるものであれば何れも使用可能であるが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィドロ、ポリエチレンナフタレン、ポリフェニレンオキシドなどをそれぞれ単独でまたはこれらのうち2種以上を混合して形成することができる。前述の耐熱性多孔性基材の厚さ、気孔の大きさ及び気孔率は特に制限されないが、望ましくは、厚さが1ないし100μm(さらに望ましくは、5ないし50μm)であり、気孔の大きさ及び気孔率はそれぞれ0.01ないし50μm(さらに望ましくは、0.1ないし20μm)及び5ないし95%である。
【0024】
ポリオレフィン系多孔性基材は通常電気化学素子、特にリチウム二次電池に用いられるポリオレフィン系多孔性基材、すなわち、高密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、これらの誘導体などから形成した膜(membrane)や不織布を挙げることができ、融点が130ないし160℃であるものを用いることが望ましい。前述のポリオレフィン系多孔性基材の厚さ、気孔の大きさ及び気孔率は特に制限されないが、望ましくは、厚さは1ないし100μm(さらに望ましくは、2ないし30μm)であり、気孔の大きさ及び気孔率はそれぞれ0.1ないし50μm及び10ないし95%である。
【0025】
本発明の電気化学素子において、第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層の形成に用いられる無機物粒子としては、通常無機物粒子として用いられる無機物粒子、すなわち電気化学素子の作動電圧範囲(例えば、Li/Li+基準で0〜5V)で酸化及び/または還元反応が起きない無機物粒子を用いることができる。特に、リチウムイオン伝達能力のある無機物粒子を用いる場合、電気化学素子内のイオン伝導度を高めて性能向上を図ることができる。また、無機物粒子として誘電率が高い無機物粒子を用いる場合、液体電解質内の電解質塩, 例えばリチウム塩の解離度増加に寄与して電解液のイオン伝導度を向上させるができる。
【0026】
前述の理由から、前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上、望ましくは10以上の高誘電率無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子、またはこれらの混合体を含むことが望ましい。誘電率定数が5以上の無機物粒子の非制限的な例としては、BaTiO3、Pb(Zr, Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(PLZT)、PB(Mg3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN‐PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y23、Al23、TiO2、SiCまたはこれらの混合体などがある。
【0027】
特に、前述のBaTiO3、Pb(Zr, Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(PLZT)、PB(Mg3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN‐PT)、ハフニア(HfO2)のような無機物粒子は、誘電率定数100以上の高誘電率特性を示すだけでなく、一定の圧力を印加して引張または圧縮される場合電荷が発生して両面の間に電位差が発生する圧電性(piezoelectricity)を持つことで、外部衝撃による両電極の内部短絡発生を防止して電気化学素子の安全性向上を図ることができる。また、前述の高誘電率無機物粒子とリチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子を混用する場合、これらの相乗効果は倍加され得る。
【0028】
本発明において、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子とは、リチウム元素を含むもののリチウムを貯蔵せずにリチウムイオンを移動させる機能を持つ無機物粒子を称するものであって、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は粒子構造の内部に存在する一種の欠陷によってリチウムイオンを伝達及び移動させることができるので、電池内のリチウムイオン伝導度が向上し、これにより電池性能の向上を図ることができる。前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子の非制限的な例としては、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LixTiy(PO43, 0<x<2, 0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LixAlyTiz(PO43, 0<x<2, 0<y<1, 0<z<3)、14Li2O‐9Al23‐38TiO2‐39P25などのような(LiAlTiP)xy系列ガラス(0<x<4, 0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LixLayTiO3, 0<x<2, 0<y<3)、Li3.25Ge0.250.754などのようなリチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyzw, 0<x<4, 0<y<1, 0<z<1, 0<w<5)、Li3Nなどのようなリチウムナイトライド(Lixy, 0<x<4, 0<y<2)、Li3PO4‐Li2S‐SiS2などの同じSiS2系列ガラス(LixSiyz, 0<x<3, 0<y<2, 0<z<4)、LiI‐Li2S-P25などのようなP25系列ガラス(Lixyz, 0<x<3, 0<y<3, 0<z<7)またはこれらの混合物などがある。
【0029】
本発明の電気化学素子において、第1セパレーター及び第2セパレーターにそれぞれ形成された多孔性コーティング層の無機物粒子の大きさには制限はないが、均一な厚さのコーティング層形成及び適切な孔隙率のために0.001ないし10μmであることがが望ましい。0.001μm未満である場合無機物粒子の分散性が低下し得、10μmを超過する場合多孔性コーティング層の厚さが増加して機械的物性が低下し得、また大き過ぎる気孔の大きさによって電池充放電時に内部短絡が起きる確率が高くなる。
【0030】
本発明によって第1セパレーター及び第2セパレーターにそれぞれ形成された多孔性コーティング層の無機物粒子とバインダー高分子との組成比は、例えば50:50ないし99:1の範囲が望ましく、さらに望ましくは70:30ないし95:5である。バインダー高分子に対する無機物粒子の含量比が50:50未満である場合バインダー高分子の含量が多くなることでセパレーターの熱的安定性が低下する恐れがある。また、無機物粒子の間に形成される空き空間の減少によって気孔の大きさ及び気孔率が減少し、最終的に電池性能の低下が惹起され得る。無機物粒子の含量が99重量部を超過する場合、バインダー高分子の含量が少な過ぎるので多孔性コーティング層の耐剥離性が弱化され得る。前記無機物粒子とバインダー高分子とから構成される多孔性コーティング層の厚さは特に制限はないが、0.01ないし20μmの範囲が望ましい。また、気孔の大きさ及び気孔率も特に制限はないが、気孔の大きさは0.001ないし10μmの範囲が望ましく、気孔率は10ないし90%の範囲が望ましい。気孔の大きさ及び気孔率は主に無機物粒子の大きさに依存するが、例えば粒径が1μm以下である無機物粒子を用いる場合、形成される気孔も約1μm以下になる。このような気孔には、以後注入される電解液で満たされ、このように満たされた電解液はイオン伝達の役割を果たすことになる。気孔の大きさ及び気孔率がそれぞれ0.001μm及び10%未満である場合抵抗層として作用することがあり、気孔の大きさ及び気孔率が10μm及び90%をそれぞれ超過する場合には機械的物性が低下し得る。
【0031】
本発明のセパレーターにおいて、多孔性コーティング層の形成に用いられるバインダー高分子としては当業界で多孔性コーティング層の形成に通常用いられる高分子を用いることができる。特に、ガラス転移温度(glass transition temperature, Tg)が−200ないし200℃である高分子を用いることが望ましい。これは、最終的に形成される多孔性コーティング層の柔軟性及び弾性などのような機械的物性を向上させることができるからである。このようなバインダー高分子は無機物粒子の間を連結及び安定的に固定させるバインダーの役割を充実に行うことで、多孔性コーティング層が導入されたセパレーターの機械的物性の低下防止に寄与する。
【0032】
また、バインダー高分子はイオン伝導能力を必ず有する必要はないが、イオン伝導能力を有する高分子を用いる場合電気化学素子の性能をさらに向上させるができる。したがって、バインダー高分子は可能な限り誘電率定数が高いことが望ましい。実際に、電解液における塩の解離度は電解液溶媒の誘電率定数に依存するので、前記高分子の誘電率定数が高いほど電解質における塩の解離度を向上させるができる。このようなバインダー高分子の誘電率定数は1.0ないし100(測定周波数=1kHz)の範囲が使用可能であり、特に10以上であることが望ましい。
【0033】
前述の機能の以外に、バインダー高分子は液体電解液の含浸時にゲル化されることで高い電解液含浸率(degree of swelling)を示すことができる特徴を持つことができる。これによって、溶解度指数が15ないし45MPa1/2である高分子が望ましく、さらに望ましくは15ないし25MPa1/2及び30ないし45MPa1/2の範囲である。したがって、ポリオレフィン類のような疎水性高分子よりは極性基を多く持つ親水性高分子が望ましい。溶解度指数が15MPa1/2未満及び45MPa1/2を超過する場合、通常の電池用液体電解液によって含浸されにくいからである。
【0034】
このような高分子の非制限的な例としては、ポリビニリデンフルオライド‐ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride‐co‐hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド‐トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride‐co‐trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene‐co‐vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)などを挙げることができる。
【0035】
本発明のセパレーターにおいて、多孔性コーティング層の成分として前述の電極活物質粒子を含めた無機物粒子及びバインダー高分子の以外に、その他添加剤をさらに含むことができる。
【0036】
本発明によって電極活物質粒子を含む多孔性コーティング層が形成されたセパレーターは通常の方法で製造することができ、望ましい製造方法を以下に例示するが、これに限定されるのではない。
【0037】
まず、バインダー高分子を溶媒に溶解させてバインダー高分子溶液を製造する。
【0038】
次いで、バインダー高分子の溶液に無機物粒子を添加して分散させる。溶媒としては、用いようとするバインダー高分子と溶解度指数が類似しており、沸点が低いものが望ましい。これは、均一な混合と、以後の溶媒除去を容易にするためである。使用可能な溶媒の非制限的な例としては、アセトン(acetone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、メチレンクロライド(methylene chloride)、クロロホルム(chloroform)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、N‐メチル‐2‐ピロリドン(N‐methyl‐2‐pyrrolidone, NMP)、シクロヘキサン(cyclohexane)、水またはこれらの混合物などがある。バインダー高分子溶液に無機物粒子を添加した後、無機物粒子を破砕することが望ましい。このとき、破砕時間は1ないし20時間が適切であり、破砕された無機物粒子の粒度は前述のように0.001ないし10μmが望ましい。破砕方法としては通常の方法を用いることができ、特にボールミル(ball mill)法が望ましい。
【0039】
それから、無機物粒子が分散されたバインダー高分子の溶液を10ないし80%の湿度条件下で多孔性基材にコートし乾燥させる。
【0040】
無機物粒子が分散されたバインダー高分子の溶液を多孔性基材上にコートする方法は、当業界に知られた通常のコーティング方法を用いることができ、例えばディップ(Dip)コーティング、ダイ(Die)コーティング、 ロール(roll)コーティング、コンマ(comma)コーティングまたはこれらの混合方式など多様な方式を用いることができる。
【0041】
このように製造された本発明の第1セパレーター及び第2セパレーターは、カソードとアノードの間に第1セパレーターを介在させて電極と積層して単位セルを製造し、第2セパレーターを前述の構造で単位セルを囲むように配置して電気化学素子の電極組立体を製造する。このとき、セパレーターに形成された多孔性コーティング層のバインダー高分子成分として液体電解液の含浸時にゲル化が可能な高分子を用いる場合、電池を組み立てた後注入された電解液とバインダー高分子とが反応してゲル化されることで、ゲル型複合電解質を形成することができる。
【0042】
電気化学素子は電気化学反応をするすべての素子を含み、具体的に例を挙げれば、すべての種類の一次、二次電池、燃料電池、太陽電池またはスーパーキャパシター素子のようなキャパシターなどがある。特に、前記二次電池の中で、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池が望ましい。
【0043】
本発明のセパレーターとともに使用される電極としては、特に制限されず、当業界に知られた通常の方法にしたがって電極活物質スラリーを集電体に塗布して製造することができる。電極に用いられるカソード活物質及びアノード活物質は従来電気化学素子のカソード及びアノードに用いることができる通常の電極活物質を用いることができる。電極活物質の中でカソード活物質の非制限的な例としては、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウム鉄酸化物またはこれらを組み合わせたリチウム複合酸化物を用いることが望ましい。アノード活物質の非制限的な例としては、リチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コークス(petroleum coke)、活性化炭素(activated carbon)、グラファイト(graphite)、またはその他炭素類などのようなリチウム吸着物質などが望ましい。カソード電流集全体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがあり、アノード電流集全体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケル、銅合金、またはこれらの組み合わせによって製造されるホイルなどがある。
【0044】
本発明の電気化学素子に用いることができる電解液は、A+-のような構造の塩であり、A+はLi+、Na+、K+のようなアルカリ金属陽イオン、またはこれらの組み合わせからなるイオンを含み、B-はPF6-、BF4-、Cl-、Br-、I-、ClO4-、AsF6-、CH3cO2-、CF3SO3-、N(CF3SO22-、C(CF2SO23-のような陰イオン、またはこれらの組み合わせからなるイオンを含む塩が、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ガンマブチロラクトン(γ‐ブチロラクトン)、またはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離されたものがあるが、これに限定されるのではない。
【0045】
前記電解液の注入は最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電池製造工程のうち適切な段階で行うことができる。すなわち、電池組み立ての前または電池組み立ての最終段階などで行うことができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は種々の形態に変形され得、本発明の範囲は以下で詳述する実施例に限定されると解釈されてはいけない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0047】
[実施例1]
[第1セパレーターの製造]
PVdF‐CTFE(ポリビニリデンフルオライド‐クロロトリフルオロエチレン共重合体)をアセトンに約5重量%の重量比で添加し、50℃で約12時間以上溶解させて高分子溶液を製造した。製造した高分子溶液にAl23粉末とBaTiO3粉末とを9:1の重量比で高分子/無機物粉末=20/80の重量比になるように添加し、12時間以上ボールミル法を用いて無機物粉末を300nmの大きさに破砕及び分散してスラリーを製造した。
【0048】
このように製造されたスラリーをディップコーティング法で厚さ20μmであるポリエチレンテレフタレート多孔性膜(気孔率80%)にコートし、コーティング厚さは約2μm程度に調節した。気孔率測定装置(porosimeter)で測定した結果、ポリエチレンテレフタレートにコートされた多孔性コーティング層内の気孔の大きさは0.3μmレベルであり気孔率は55%レベルであった。
【0049】
[第2セパレーターの製造]
高分子としてPVdF‐HFP(ポリビニリデンフルオライド‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体)を用い、厚さ20μmであるポリエチレン多孔性膜(気孔率45%)を用いたことを除いては、第1セパレーターの製造方法と同一に行った。
【0050】
[カソードの製造]
カソード活物質粒子としてリチウムコバルト複合酸化物92重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)4重量%、結合剤としてPVDF4重量%を溶剤であるN‐メチル‐2ピロリドン(NMP)に添加してカソード活物質スラリーを製造した。前記カソード活物質スラリーを厚さが20μmであるカソード集電体のアルミニウム(Al)薄膜に塗布、乾燥してカソードを製造した後、ロールプレス(roll press)を行った。
【0051】
[アノードの製造]
アノード活物質として炭素粉末、結合剤としてポリビニリデンフルオライド(PVdF)、導電材としてカーボンブラックをそれぞれ96重量%、3重量%、1重量%にし、溶剤であるN‐メチル‐2ピロリドンに添加してアノード活物質スラリーを製造した。前記アノード活物質スラリーを厚さが10μmであるアノード集電体である銅(Cu)薄膜に塗布、乾燥してアノードを製造した後、ロールプレスを行った。
【0052】
[電池の製造]
前述の方法に従って製造したカソード、アノード及び第1セパレーターをスタッキング方式を用いて単位セルを組み立てた。それから、単位セルを第2セパレーターを用いて折り畳み方式で巻いて図1の構造の電極組立体を製造した。次いで、電解液(エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=1 / 2(体積比)、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)1モル)を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0053】
[比較例1]
第1セパレーターとしてポリエチレン多孔性膜を用いた第2セパレーターを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で電池を製造した。
【0054】
[比較例2]
第2セパレーターとしてポリエチレンテレフタレート多孔性膜を用いた第1セパレーターを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で電池を製造した。
【0055】
[ホットボックス(Hot Box)実験]
実施例及び比較例のリチウム二次電池を160度で1時間放置し、電池の状態を評価して下記表1に示した。
【0056】
実験の結果、ポリエチレン多孔性膜を両方の多孔性基材として用いたセパレーターを製造した比較例1の電池は発火が発生した。これは、ポリエチレン多孔性膜の溶融によってカソード及びアノードの内部短絡が発生して電池の安全性が低下したからである。これに比べて、実施例及び比較例2の電池は耐熱性に優れた第1セパレーターによって発火及び燃焼が発生せずに安全な状態を維持した。
【0057】
【表1】

【0058】
[過充電実験]
実施例及び比較例の電池を6V/1A、10V/1A及び12V/1Aの条件で充電し、以後電池の状態を評価して下記表2に示した。
【0059】
実験の結果、ポリエチレン多孔性膜を両方の多孔性基材として用いたセパレーターを製造した比較例1の電池はすべての充電条件で爆発現象が発生した。
【0060】
また、ポリエチレンテレフタレート膜を両方の多孔性基材として用いた比較例2の電池は6V/1A及び10V/1Aの充電条件では爆発現象が発生しなかったが、12V/1Aの過充電条件では爆発現象が発生した。
【0061】
一方、本発明による実施例1の電池はすべての過充電条件で安全な状態を示した。実施例1の電池が比較例1の電池より安全性に優れている理由は、12V/1Aの過充電条件により電池の温度が急激に上昇する場合に160度以下の温度で第2セパレーターのポリオレフィン多孔性膜の気孔が閉じられて電流を遮断することで温度の上昇速度を緩和させ、これによって以後上昇した温度の幅を減らすことで耐熱性に優れた第1セパレーターが安全な状態を維持したからであると判断される。
【0062】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0063】
前述のように、本発明の電気化学素子は、多孔性コーティング層がそれぞれ形成された第1セパレーターと第2セパレーターとを用いることで、電気化学素子が過熱される場合にもセパレーターの多孔性基材が熱収縮することを抑制しカソードとアノード間の接触を防止してカソードとアノード間の短絡現象を改善することができる。また、過度の充電によって急速な昇温が生じる場合にも第2セパレーターのポリオレフィン系多孔性基材の気孔が閉じられることによって電流が遮断されて昇温速度が減少するので、第2セパレーターの熱的安定性によって電気化学素子の爆発及び発火を予防することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1セパレーターと前記第1セパレーターの両側に位置したカソード及びアノードをそれぞれ備える複数の単位セル;及び
積層された形態で対応するように隣接した各々の単位セルの間に介されて各々の単位セルを囲むように配置された、連続した単一の第2セパレーターを備える電気化学素子において、
前記第1セパレーターは、融点が200℃以上である耐熱性多孔性基材と、前記耐熱性多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第1多孔性コーティング層とを含み、
前記第2セパレーターは、ポリオレフィン系多孔性基材と、前記ポリオレフィン系多孔性基材の少なくとも一面にコートされており、複数の無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された第2多孔性コーティング層とを含むことを特徴とする電気化学素子。
【請求項2】
前記耐熱性多孔性基材は、ポリエステル(Polyester)、ポリアセタール(Polyacetal)、ポリアミド(Polyamide)、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)、ポリフェニレンスルフィドロ(Polyphenylenesulfidro)、ポリエチレンナフタレン(Polyethylenenaphthalene)及びポリフェニレンオキシド(Polyphenyleneoxide)からなる群より選択された何れか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物から形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項3】
前記耐熱性多孔性基材の厚さは1ないし100μmであり、気孔の大きさ及び気孔率はそれぞれ0.01ないし50μm及び5ないし95%であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの混合物からなる群より選択された何れか一つから形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項5】
前記ポリオレフィン系多孔性基材の融点は、130ないし160℃であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項6】
前記ポリオレフィン系多孔性基材の厚さは1ないし100μmであり、気孔の大きさ及び気孔率はそれぞれ0.1ないし50μm及び10ないし95%であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項7】
前記第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層の無機物粒子の粒径は、互いに独立して、0.001ないし10μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項8】
前記第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層の無機物粒子は、互いに独立して、誘電率定数が5以上である無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子及びこれらの混合物からなる群より選択された何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項9】
前記誘電率定数が5以上である無機物粒子は、BaTiO3、Pb(Zr, Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(PLZT)、PB(Mg3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN‐PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、SiO2、Y23、Al23、SiC及びTiO2からなる群より選択された何れか一つの無機物粒子であることを特徴とする請求項8に記載の電気化学素子。
【請求項10】
前記誘電率定数が5以上である無機物粒子は、BaTiO3、Pb(Zr, Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiy3(PLZT)、PB(Mg3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN‐PT)及びハフニア(HfO2)からなる群より選択された何れか一つの圧電性無機物粒子であることを特徴とする請求項9に記載の電気化学素子。
【請求項11】
前記リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LixTiy(PO43, 0<x<2, 0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LixAlyTiz(PO43, 0<x<2, 0<y<1, 0<z<3)、(LiAlTiP)xy系列ガラス(0<x<4, 0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LixLayTiO3, 0<x<2, 0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyzw, 0<x<4, 0<y<1, 0<z<1, 0<w<5)、リチウムナイトライド(Lixy, 0<x<4, 0<y<2)、SiS2(LixSiyz, 0<x<3, 0<y<2, 0<z<4)系列ガラス及びP25(Lixyz, 0<x<3, 0<y<3, 0<z<7)系列ガラスからなる群より選択された何れか一つの無機物粒子であることを特徴とする請求項8に記載の電気化学素子。
【請求項12】
前記第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層の無機物粒子とバインダー高分子との重量比は、互いに独立して、50:50ないし99:1であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項13】
前記第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層のバインダー高分子は、互いに独立して、溶解度指数が15ないし45MPa1/2であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項14】
前記バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド‐ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride‐co‐hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド‐トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride‐co‐trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene‐co‐vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)及びカルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)からなる群より選択された何れか一つのバインダー高分子またはこれらのうち2種以上の混合物であることを特徴とする請求項13に記載の電気化学素子。
【請求項15】
前記第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層の厚さは、互いに独立して、0.01ないし20μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。
【請求項16】
前記電気化学素子は、リチウム二次電池であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−525542(P2010−525542A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506040(P2010−506040)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002252
【国際公開番号】WO2008/130175
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】