説明

発光素子駆動回路及び携帯電話

【課題】昇圧回路を効率よく動作させる発光素子駆動回路及びその発光素子駆動回路を提供することである。
【解決手段】発光素子駆動回路10は、外部からの映像情報信号に基づいて映像用輝度の設定を行い、映像用輝度設定情報を出力するとともに映像用輝度変化情報を出力する輝度設定部60と、輝度設定部60からの輝度設定情報に応じた電流値の電流で発光素子を駆動する発光素子駆動部40と、発光素子の端子電圧と所定の電圧との比較を行う検出比較部50と、映像用輝度変化情報に基づいて発光素子の端子電圧を昇圧するか否かを判定する昇圧判定部30と、昇圧すると判定されたときに発光素子の端子電圧の昇圧を行い、昇圧しないと判定されたときに発光素子の端子電圧の昇圧を行なわない昇圧回路部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子駆動回路及び携帯電話に係り、特に、発光素子の輝度を可変する発光素子駆動回路及びその発光素子駆動回路を含む携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話のメイン液晶にてワンセグ放送等の映像を見ることが多くなっており、液晶のバックライトの輝度を変化させる発光素子駆動回路が携帯電話に搭載されていることがある。発光素子駆動回路では、コントラストの効いたきれいな映像を表示するために、映像信号の内容によって液晶のバックライトの輝度を変化させることが行われている。具体的には、明るい画像はバックライトの輝度を上げてより明るく、暗い画像はバックライトの輝度を下げてより暗くするように調光している。特許文献1には発光素子の輝度調整を行う駆動回路が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−310854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、明るい映像時に輝度が上がれば、バックライトの輝度を上げるためにバックライトに流れる電流値が大きくなるとバックライトの順方向電圧(Vf)が大きくなるため、バックライトを構成するLEDのカソード端子の端子電圧が下がる。このカソード端子の端子電圧が設定電圧よりも小さくなれば、昇圧回路を動作させてアノード端子の端子電圧を昇圧するが一旦昇圧を行った後に、例えば暗い映像時に輝度が下がって、バックライトの輝度を下げるためにバックライトに流れる電流値が小さくなってバックライトの順方向電圧(Vf)が小さくなることもある。このような場合にLEDのカソード端子の端子電圧が上がっても昇圧回路が動作状態にあると無駄な消費電流が発生してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、昇圧回路を効率よく動作させる発光素子駆動回路及びその発光素子駆動回路を含む携帯電話を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光素子駆動回路は、映像処理回路部からの映像情報信号に基づいて映像用輝度の設定を行い、映像用輝度設定情報を出力するとともに映像用輝度変化情報を出力する輝度設定部と、輝度設定部からの映像用輝度設定情報に応じた電流値の電流で発光素子を駆動する発光素子駆動部と、発光素子の一方側端子の端子電圧を検出し、所定の電圧との比較を行う検出比較部と、映像用輝度設定情報と検出比較部の出力に基づいて、発光素子の他方側端子の端子電圧を昇圧するか否かを判定する昇圧判定部と、昇圧判定部によって昇圧すると判定されたときに発光素子の他方側端子の端子電圧の昇圧を行い、昇圧判定部によって昇圧しないと判定されたときに発光素子の他方側端子の端子電圧の昇圧を行なわない昇圧回路部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る発光素子駆動回路において、昇圧回路部は、電源回路により駆動され、発光素子の他方側端子の端子電圧の昇圧を行う昇圧回路と、電源回路と発光素子の他方側端子とを接続可能とするスルー接続信号線と、昇圧判定部によって昇圧すると判定されたときに昇圧回路を機能させるとともにスルー接続信号線によって電源回路と発光素子の他方側端子とを接続させず、昇圧判定部によって昇圧しないと判定されたときにスルー接続信号線によって電源回路と発光素子の他方側端子とを接続させるとともに昇圧回路を機能させない切替回路を有することが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る発光素子駆動回路において、映像用輝度変化情報が映像用輝度が高い状態から低い状態へと変化した情報であるとき、昇圧判定部は、発光素子の他方側端子の端子電圧を昇圧しないと判定し、切替回路は、スルー接続信号線によって電源回路と発光素子の他方側端子とを接続させるとともに昇圧回路を機能させず、その後、検出比較部の出力に基づいて発光の他方側端子の端子電圧を昇圧するか否かを判定することが好ましい。
【0009】
本発明に係る携帯電話は、上記いずれか1に記載の発光素子駆動回路と、発光素子駆動回路によって駆動される発光素子と、発光素子によって照明される画像表示装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る発光素子駆動回路及び携帯電話によれば、映像用輝度変化情報と検出比較部の出力に基づいて、昇圧を行ったり、昇圧を行わなかったりする。これにより、昇圧回路を効率よく動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。また、この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態の発光素子駆動回路10を含む液晶バックライト輝度変更システム8を示す図である。液晶バックライト輝度変更システム8は、液晶部90と、映像処理回路部70と、発光素子駆動回路10とを含んで構成される。液晶バックライト輝度変更システム8は、液晶のバックライト92の輝度を映像信号に応じて変更する機能を有する。なお、発光素子駆動回路10を含んだ液晶バックライト輝度変更システム8は、携帯電話に搭載されているが、携帯電話以外の液晶部90を有する端末に搭載されるものであってもよい。また、映像処理回路部70は、発光素子駆動回路10に含まれないものとしているが、映像処理回路部70が発光素子駆動回路10に含まれるものであってもよい。
【0013】
液晶部90は、液晶の素子を組み込んだ画像表示装置である。液晶部90は、バックライト92と、図示していない液晶素子と偏光フィルタと、を含んで構成される。液晶部90は、バックライト92の光源により発せられた光をさえぎったり透過させたりすることによって表示をする。
【0014】
バックライト92は、カソード端子(陰極)に対し、アノード端子(陽極)に順方向に電圧を加えた際に発光する発光素子である。バックライト92の順方向電圧(Vf)としては、通常は3.6v付近であるが、この順方向電圧(Vf)はプロセスバラツキや電流値等によって変動する。また、バックライト92に流れる電流値を変更することで輝度を変化させることができる。
【0015】
映像処理回路部70は、放送等の映像信号を処理した信号を液晶部90に入力する機能を有する。また、映像処理回路部70は、その映像信号の内容に応じた輝度調整用の信号を生成し、輝度設定部60に対して出力する機能を有する。
【0016】
発光素子駆動回路10は、輝度設定部60と、発光素子駆動部40と、昇圧判定部30と、検出比較部50と、昇圧回路部20とを含んで構成される。図2は、輝度設定部60のブロック図である。輝度設定部60は、輝度選択部601と輝度変化解析部602とを含んで構成される。輝度選択部601は、映像処理回路部70から輝度調整用の信号を入力として受け、その輝度調整用の信号に対応する輝度を選択し、その選択された輝度に対応する電圧を映像用輝度設定情報として発光素子駆動部40に対して出力する機能を有する。
【0017】
輝度変化解析部602は、輝度選択部601によって選択された輝度情報を記憶し、前回の輝度情報と今回の輝度情報の変化を求めて、映像用輝度変化情報を後述する昇圧判定部30に対して出力する機能を有する。ここで、映像用輝度変化情報は、デジタル信号であり、通常は0に設定されているが、輝度が高い状態から低い状態へと変化したことを検出した場合には1に設定される。
【0018】
図3は、発光素子駆動部40の各要素を示す図である。発光素子駆動部40は、電流回路部42と、電流値設定回路部46とを含んで構成される駆動回路である。発光素子駆動部40は、輝度設定部60によって設定された輝度に応じて発光素子に流れる電流が所定の目標値となるように制御する機能を有する。
【0019】
電流回路部42は、後述する電流値設定回路部46によって設定される電流値をバックライト92に流すカレントミラー回路であり、左側トランジスタ42aに流れる電流と右側トランジスタ42bに流れる電流とが同じ値となる。電流回路部42は、一端がバックライト92のカソード端子に電気的に接続され、他端が電流値設定回路部46に電気的に接続されている。
【0020】
電流値設定回路部46は、輝度設定部60によって出力された電圧に基づいた電流値を求め、電流回路部42に対して電流値の設定を行う機能を有する。電流値設定回路部46は、電流値設定側抵抗462と、電流値設定側コンパレータ463と、電流値設定側トランジスタ464と、電流値設定側カレントミラー回路465と、D/A回路466と、基準電流源468とを含んで構成される。
【0021】
電流値設定側抵抗462は、電流の流れを抑制する回路素子である。電流値設定側抵抗462の一端側には、所定の電圧を供給する電圧源が接続され、他端側には電流値設定側コンパレータ463と、電流値設定側トランジスタ464とが接続されている。ここで、所定の電圧が電流値設定側抵抗462によって分圧された電圧をここでは電流値設定側基準電圧として、電流値設定側コンパレータ463に入力される。なお、電流値設定側抵抗462は、発光素子駆動回路10が設けられる半導体基板に外付抵抗素子として設けて、必要に応じて抵抗値を変えて電流値設定側トランジスタ464に流れる電流値を変更することも可能である。
【0022】
電流値設定側コンパレータ463は、上記の電流値設定側基準電圧と、輝度設定部60によって出力された電圧とを比較しその差分を出力する。電流値設定側コンパレータ463の出力は、電流値設定側トランジスタ464に入力される。
【0023】
電流値設定側トランジスタ464は、それぞれの電極が電流値設定側抵抗462と、電流値設定側カレントミラー回路465と、電流値設定側コンパレータ463に電気的に接続される。電流値設定側トランジスタ464は、電流値設定側コンパレータ463の出力電圧に応じた電流が流れる。つまり、映像用輝度設定情報に対応した電流が流れる。電流値設定側トランジスタ464としては、バイポーラトランジスタを用いているが、MOSトランジスタも用いることもできる。
【0024】
電流値設定側カレントミラー回路465は、左側トランジスタ465aに流れる電流と右側トランジスタ465bに流れる電流とが同じ値となる。電流値設定側カレントミラー回路465は、電流値設定側トランジスタ464がオン状態となったときに左側トランジスタ465aに流れる電流と同じ値の電流が右側トランジスタ465bにも流れる。
【0025】
基準電流源468は、予め定められ電流値を流す電流源である。基準電流源468は、一端が予め定められた電源電圧に接続され、他端がD/A回路466とDC側カレントミラー回路465と電気的に接続されている。
【0026】
D/A回路466は、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路である。D/A回路466は、基準電流源468によって流れる基準電流値から電流値設定側カレントミラー回路465によって減算された電流値の電流が入力されてアナログ信号に変換し、電流回路部42にそのアナログ信号を入力する。
【0027】
図4は、検出比較部50と昇圧判定部30と昇圧回路部20の要素等を示す図である。検出比較部50は、バックライト92のカソード端子の端子電圧を検出し、所定の電圧との比較を行う機能を有する。検出比較部50は、コンパレータ501と、第1フリップフロップ503と、第2フリップフロップ504と、第3フリップフロップ505と、アンド回路506とを含んで構成される。
【0028】
コンパレータ501は、二つの入力電圧の大きさを比較する回路である。コンパレータ501の一方側の入力端子に入力される基準の電圧は、例えば0.2vの電位を有する基準電源502によって供給される。コンパレータ501の他方側の入力端子は、バックライト92のカソード端子と接続される。コンパレータ501は、バックライト92のカソード端子の端子電圧と基準の電圧との比較を行う。コンパレータ501は、バックライト92のカソード端子の端子電圧が基準の電圧よりも低い電圧のときに1を出力し、バックライト92のカソード端子の端子電圧が基準の電圧よりも高い電圧のときに0を出力する。
【0029】
第1フリップフロップ503は、所定の周波数のCLK(クロック)で動作し、コンパレータ501の出力を入力として受ける。第1フリップフロップ503の出力は、第2フリップフロップ504の入力とアンド回路506の入力に接続される。
【0030】
第2フリップフロップ504は、所定の周波数のCLK(クロック)で動作し、第1フリップフロップ503の出力を入力として受ける。第2フリップフロップ504の出力は、第3フリップフロップ505の入力とアンド回路506の入力に接続される。
【0031】
第3フリップフロップ505は、所定の周波数のCLK(クロック)で動作し、第2フリップフロップ504の出力を入力として受ける。第3フリップフロップ505の出力は、アンド回路506の入力に接続される。なお、第1フリップフロップ503と第2フリップフロップ504と第3フリップフロップ505のリセット端子は、昇圧判定部30によって制御される。
【0032】
アンド回路506は、論理積回路であり、第1フリップフロップ503と第2フリップフロップ504と第3フリップフロップ505の出力が全て1の場合は1を出力し、それ以外の場合は0を出力する。
【0033】
昇圧判定部30は、アンド回路506の出力が1の時は、昇圧回路部20のスイッチ201をオンし、昇圧回路部20のスイッチ202をオフする制御を行う。昇圧判定部30は、アンド回路506の出力が0の時は、昇圧回路部20のスイッチ201をオフし、昇圧回路部20のスイッチ202をオンする制御を行う。昇圧判定部30は、輝度設定部60からの映像用輝度変化情報の信号が1であるときに、第1フリップフロップ503と第2フリップフロップ504と第3フリップフロップ505にリセットをかけるためにリセット端子にリセット信号を送る機能を有する。
【0034】
昇圧回路部20は、昇圧用コンパレータ22と、昇圧用PWM回路24と、昇圧用トランジスタ25と、昇圧用コイル26と、昇圧用ダイオード27と、昇圧用コンデンサ28と、昇圧用電源29とを含んで昇圧回路として構成される。
【0035】
昇圧用コンパレータ22は、二つの入力電圧の大きさを比較し、その入力電圧の差を増幅して出力する回路である。昇圧用コンパレータ22の一方側の入力端子に入力される基準の電圧は、例えば4.2vの電位を有する基準電源21によって供給される。昇圧用コンパレータ22の他方側の入力端子は、バックライト92のアノード端子と接続される。昇圧用コンパレータ22は、バックライト92のアノード端子の端子電圧と基準の電圧との比較を行う。また、昇圧用コンパレータ22の出力は、昇圧用PWM回路24に入力される。
【0036】
スイッチ201は、昇圧用コンパレータ22と昇圧用PWM回路24との間に取り付けられる。スイッチ201がオン状態の時は、昇圧用コンパレータ22と昇圧用PWM回路24とを電気的に接続し、スイッチ201がオフ状態の時は、昇圧用コンパレータ22と昇圧用PWM回路24とを電気的に接続しない状態とする。スイッチ201は昇圧判定部30によって制御される。スイッチ202については、後述する。
【0037】
昇圧用PWM回路24は、変調方法の一つであり、パルス波のデューティー比を変化させて変調する回路である。具体的には、昇圧用コンパレータ22による比較結果を入力として受け、その比較結果に基づいてパルス波のデューティー比を変更する。そして、比較結果に基づいたパルス波によって、昇圧用トランジスタ25のスイッチング制御を行う機能を有する。
【0038】
昇圧用トランジスタ25は、ゲート端子に電圧をかけ、チャネルの電界により電子または正孔の流れに関門(ゲート)を設ける原理で、ソース・ドレイン端子間の電流を制御するMOSトランジスタである。昇圧用トランジスタ25は、昇圧用PWM回路24から出されるパルス波がゲート端子に印加されてスイッチング制御がなされる。昇圧用トランジスタ25は、ゲート端子が昇圧用PWM回路24の出力と電気的に接続され、ドレイン端子が昇圧用コイル26および昇圧用ダイオード27のアノード端子と電気的に接続され、ソース端子が接地されている。
【0039】
昇圧用コイル26は、一端が昇圧用電源29に接続され、他端が昇圧用トランジスタ25のドレイン端子と、昇圧用ダイオード27のアノード端子に接続されている。昇圧用コイル26は、昇圧用トランジスタ25がオン状態となったときに昇圧用電源29からの電圧が印加される状態となりエネルギが蓄積される。
【0040】
昇圧用ダイオード27は、整流作用(電流を一定方向にしか流さない作用)を持つ回路素子である。昇圧用ダイオード27は、昇圧用トランジスタ25がオフ状態となったときにエネルギが蓄積された昇圧用コイル26から昇圧用ダイオード27を経由して負荷に電流が流される。昇圧用ダイオード27は、アノード端子が昇圧用コイル26および昇圧用トランジスタ25と電気的に接続されている。
【0041】
昇圧用コンデンサ28は、静電容量により電荷(電気エネルギ)を蓄えたり、放出したりする回路素子である。昇圧用コンデンサ28は、昇圧用トランジスタ25がオフ状態となったときに、昇圧用コイル26から流れてくる電荷を蓄積する機能を有する。昇圧用コンデンサ28は、一端側が昇圧用ダイオード27のカソード端子およびバックライト92のアノード端子と電気的に接続され、他端側が接地される。
【0042】
スイッチ202は、昇圧用電源29とバックライト92のアノード端子との間のスルー信号線200上に取り付けられる。スイッチ202がオン状態の時は、昇圧用電源29とバックライト92のアノード端子とを電気的に接続し、スイッチ202がオフ状態の時は、昇圧用電源29とバックライト92のアノード端子とを電気的に接続しない状態とする。スイッチ202は、昇圧判定部30によって制御される。
【0043】
続いて、上記構成からなる発光素子駆動回路10の動作について図1〜図4を参照して説明する。バックライト92のカソード端子の端子電圧が基準電源502から供給される基準の電圧以下になるとコンパレータ501の出力が1となる。そして、次のCLK(クロック)の立ち上がりエッジで、コンパレータ501の出力の値である1が第1フリップフロップ503に入力として取り込まれ、第1フリップフロップ503が1を出力する。その次のCLK(クロック)の立ち上がりエッジで、第1フリップフロップ503の出力の値である1が第2フリップフロップ504に入力として取り込まれ、第2フリップフロップ504が1を出力する。その次のCLK(クロック)の立ち上がりエッジで、その第2フリップフロップ504の出力の値である1が第3フリップフロップ505に入力として取り込まれ、第3フリップフロップ505が1を出力する。アンド回路506は、第1フリップフロップ503と第2フリップフロップ504と第3フリップフロップ505の出力が全て1のときに、バックライト92のアノード端子を昇圧する必要があるとして1を出力する。
【0044】
昇圧判定部30は、アンド回路506の出力が1の時は、昇圧回路部20のスイッチ201をオンし、昇圧回路部20のスイッチ202をオフする制御を行う。このとき、昇圧回路部20の昇圧用コンパレータ22は、バックライト92のアノード端子の端子電圧と基準電源21から供給される基準の電圧とを比較してその差を出力し、昇圧用PWM回路24は、その出力に応じた昇圧用のPWM信号である昇圧用PWM信号を生成する。
【0045】
昇圧用トランジスタ25は、昇圧用PWM信号に応じてオンオフ制御がなされ、昇圧用トランジスタ25がオン状態の場合には、昇圧用コイル26にエネルギが蓄積される。そして、そのあと昇圧用トランジスタ25がオフ状態となった場合には、昇圧用コイル26に蓄積されたエネルギが昇圧用ダイオード27を介して昇圧用コンデンサ28に充電され、ひいては、バックライト92のアノード側の端子電圧を昇圧することができる。
【0046】
なお、上記において昇圧回路部20は、昇圧用コンパレータ22と、昇圧用PWM回路24と、昇圧用トランジスタ25と、昇圧用コイル26と、昇圧用ダイオード27と、昇圧用コンデンサ28と、昇圧用電源29とを含んで構成されるものとして説明したが、その他に昇圧機能を有する回路、例えばチャージポンプ回路を用いてもよい。
【0047】
映像処理回路部70からの映像信号の内容に応じた輝度調整用の信号を受けて、輝度が高い状態から暗い状態へと変化した場合には、輝度設定部60からは、映像用輝度変化情報の信号として1が出力される。なお、このとき輝度設定部60によって設定される輝度は低い値が設定されることになるから、発光素子駆動部40によって設定されるバックライト92の電流値が低い値となる。これにより、バックライト92の順方向電圧(Vf)が低くなるためカソード電圧が大きくなり昇圧を行う必要がなくなる場合がある。
【0048】
昇圧判定部30は、輝度設定部60からの映像用輝度変化情報の信号が1の時に第1フリップフロップ503と第2フリップフロップ504と第3フリップフロップ505のリセット端子をリセットする信号が伝達されるから、アンド回路506の出力は0となる。
【0049】
昇圧判定部30は、アンド回路506の出力が0であるときは、昇圧回路部20のスイッチ201をオフとし、昇圧回路部20のスイッチ202をオンとする制御を行う。このとき、昇圧用電源29とバックライト92のアノード端子は直結されるが、スイッチ201がオフの状態となるため昇圧回路の動作は停止する。このように映像用輝度変化情報に応じて昇圧の必要が無い場合に昇圧回路の動作を停止することで、無駄な消費電流の増加を防止することができる。なお、第1フリップフロップ503と第2フリップフロップ504と第3フリップフロップ505のリセット端子によってリセットを行った後は、再びコンパレータ501からの出力結果によって昇圧を行うか否かの検索が行われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態の発光素子駆動回路を含む液晶バックライト輝度変更システムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態の発光素子駆動回路の輝度設定部のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の発光素子駆動回路の発光素子駆動部の各要素を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態の発光素子駆動回路の検出比較部と昇圧判定部と昇圧回路部の要素等を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
8 液晶バックライト輝度変更システム、10 発光素子駆動回路、20 昇圧回路部、21 基準電源、22 昇圧用コンパレータ、24 昇圧用PWM回路、25 昇圧用トランジスタ、26 昇圧用コイル、27 昇圧用ダイオード、28 昇圧用コンデンサ、29 昇圧用電源、30 昇圧判定部、40 発光素子駆動部、42 電流回路部、42a 左側トランジスタ、42b 右側トランジスタ、46 電流値設定回路部、50 検出比較部、60 輝度設定部、70 映像処理回路部、90 液晶部、92 バックライト、200 スルー信号線、201,202 スイッチ、462 電流値設定側抵抗、463 電流値設定側コンパレータ、464 電流値設定側トランジスタ、465b 右側トランジスタ、465a 左側トランジスタ、465 電流値設定側カレントミラー回路、466 D/A回路、468 基準電流源、501 コンパレータ、502 基準電源、503 第1フリップフロップ、504 第2フリップフロップ、505 第3フリップフロップ、506 アンド回路、601 輝度選択部、602 輝度変化解析部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像処理回路部からの映像情報信号に基づいて映像用輝度の設定を行い、映像用輝度設定情報を出力するとともに映像用輝度変化情報を出力する輝度設定部と、
輝度設定部からの映像用輝度設定情報に応じた電流値の電流で発光素子を駆動する発光素子駆動部と、
発光素子の一方側端子の端子電圧を検出し、所定の電圧との比較を行う検出比較部と、
映像用輝度設定情報と検出比較部の出力に基づいて、発光素子の他方側端子の端子電圧を昇圧するか否かを判定する昇圧判定部と、
昇圧判定部によって昇圧すると判定されたときに発光素子の他方側端子の端子電圧の昇圧を行い、昇圧判定部によって昇圧しないと判定されたときに発光素子の他方側端子の端子電圧の昇圧を行なわない昇圧回路部と、
を備えることを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載の発光素子駆動回路において、
昇圧回路部は、
電源回路により駆動され、発光素子の他方側端子の端子電圧の昇圧を行う昇圧回路と、
電源回路と発光素子の他方側端子とを接続可能とするスルー接続信号線と、
昇圧判定部によって昇圧すると判定されたときに昇圧回路を機能させるとともにスルー接続信号線によって電源回路と発光素子の他方側端子とを接続させず、昇圧判定部によって昇圧しないと判定されたときにスルー接続信号線によって電源回路と発光素子の他方側端子とを接続させるとともに昇圧回路を機能させない切替回路を有することを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項3】
請求項2に記載の発光素子駆動回路において、
映像用輝度変化情報が映像用輝度が高い状態から低い状態へと変化した情報であるとき、
昇圧判定部は、発光素子の他方側端子の端子電圧を昇圧しないと判定し、
切替回路は、スルー接続信号線によって電源回路と発光素子の他方側端子とを接続させるとともに昇圧回路を機能させず、その後、検出比較部の出力に基づいて発光の他方側端子の端子電圧を昇圧するか否かを判定することを特徴とする発光素子駆動回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の発光素子駆動回路と、
発光素子駆動回路によって駆動される発光素子と、
発光素子によって照明される画像表示装置と、
を備えることを特徴とする携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−67751(P2010−67751A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231950(P2008−231950)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】