説明

発光装置および自発光ディスプレイ装置、並びに、上記発光装置を備えた照明装置およびバックライト

【課題】発光装置における歩留まりの向上および故障率の低減を図る。
【解決手段】発光ダイオード素子12とヒューズ13が直列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14を、並列に接続して並列構成単位15を形成する。そして、1つの並列構成単位15で、あるいは、複数の並列構成単位15を直列に接続して、発光ダイオード素子回路16を形成する。そのため、発光ダイオード素子12の何れかが短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした発光ダイオード素子12に接続されたヒューズ13が断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした発光ダイオード素子12以外の発光ダイオード素子12は引続き発光することができ、発光装置11は引続き動作することができる。したがって、発光装置11の歩留りの向上および故障率の低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の発光ダイオードを備えた発光装置および自発光ディスプレイ装置、並び、上記発光装置を備えた照明装置およびバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の発光ダイオード素子を1つのパッケージに実装して所望の輝度を得る発光装置がある(特開2007‐149896号公報(特許文献1))。
【0003】
図34は、上記特許文献1に開示された従来の発光装置の概略構成図である。図34に示すように、発光装置1は、パッケージ本体2と、パッケージ本体2の互いに対向する外面に設けられた一対の電極3a,3bと、一対の電極3a,3b間に互いに順方向に並列接続されると共に、パッケージ本体2上に実装された2つのLED(発光ダイオード)チップ4a,4bと、電極3aとLEDチップ4a,4bとの間に介設された電流調整部5a,5bとを備えている。
【0004】
このように、1つのパッケージに複数のLEDチップを備えることによって、所望の輝度を得ることができる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の発光装置1においては、発光素子である2つのLEDチップ4a,4bのうちの何れか一つでも短絡不良を起こした場合には、短絡不良を起こしたLEDチップに過電流が流れ、電源内や配線での電圧降下により残りのLEDチップに印加される電圧が低下するため、結果的に全てのLEDチップが点灯不能になるという問題がある。
【0006】
複数のLEDチップの何れかが短絡不良を起こす確率はLEDチップの数が増えるに連れて増大するため、実装されるLEDチップの数が増えるに連れて発光装置1の歩留まりが低下、あるいは故障率が上昇することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007‐149896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明の第1の課題は、複数の発光素子を備えた発光装置における歩留まりの向上および故障率の低減を図ることにある。
【0009】
また、第2の課題は、複数の発光素子を備えた自発光ディスプレイにおける歩留まりの向上および故障率の低減を図ることにある。
【0010】
また、第3の課題は、上記発光装置を備えた照明装置およびバックライトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の発光装置は、
発光ダイオード素子と、予め設定された設定電流を超えた電流が流れると電流を遮断するヒューズとが、直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子と、
複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子が並列に接続された並列構成単位と、
少なくとも1つの上記並列構成単位を有する発光ダイオード素子回路と、
上記発光ダイオード素子回路に接続されると共に、電流源から上記発光ダイオード素子回路に電流を供給する第1の電源線および第2の電源線と
を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、電流源から第1の電源線および第2の電源線を介して発光ダイオード素子回路に電流が供給され、並列に接続されて並列構成単位を構成している複数のヒューズ付き発光ダイオード素子の発光ダイオード素子が発光される。その際に、上記発光ダイオード素子の何れかが短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続されているヒューズが断線して過電流を遮断することができる。したがって、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子以外の上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、本発光装置は引続き動作することができる。すなわち、本発光装置の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0013】
また、1実施の形態の発光装置では、
上記発光ダイオード素子回路内の上記各ヒューズ付き発光ダイオード素子と上記第2の電源線との間に制御回路を介設している。
【0014】
この実施の形態によれば、上記発光ダイオード素子回路内の上記各ヒューズ付き発光ダイオード素子と上記第2の電源線との間に制御回路を介設したので、上記制御回路によって各発光ダイオード素子を独立に駆動することが可能になる。
【0015】
また、1実施の形態の発光装置では、
上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子は単一の基板上に配置されている。
【0016】
この実施の形態によれば、上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子は、単一の基板上に配置されている。したがって、上記単一の基板上に、上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を構成する上記複数の発光ダイオード素子を一括して配置した後に、この配置された上記複数の発光ダイオード素子の夫々に直列に接続された上記ヒューズを一括して形成することが可能になる。その結果、個別に形成された複数のヒューズの夫々を各発光ダイオード素子に直列に接続する必要が無く、本発光装置の製造コストを低減できる。
【0017】
また、1実施の形態の発光装置では、
上記発光ダイオード素子の最大寸法は100μm以下であり、
上記発光ダイオード素子の個数は100個以上である。
【0018】
この実施の形態によれば、上記発光ダイオード素子の最大寸法は100μm以下であるので、基板上に上記複数の発光ダイオード素子を配置して配線する場合に、集積回路やTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)形成のプロセスを用いることができる。したがって、上記配線の一部を上記ヒューズとすることが可能になり、本発光装置の製造コストを低減することができる。
【0019】
さらに、上記発光ダイオード素子の個数は100個以上であるので、1個の上記発光ダイオード素子が発光不能となった場合における本発光装置の輝度変化を略1%以下にすることができる。したがって、本発光装置の輝度を安定させることができる。
【0020】
また、1実施の形態の発光装置では、
上記発光ダイオード素子回路は、複数の上記並列構成単位が直列に接続されて構成されている。
【0021】
この実施の形態によれば、例えば、n個の上記並列構成単位を直列に接続して上記発光ダイオード素子回路を構成した場合には、1つの上記並列構成単位によって上記発光ダイオード素子回路を構成した場合に比して駆動電圧をn倍にでき、上記第1の電源線および上記第2の電源線を流れる電流を1/nにできる。したがって、上記第1,第2の電源線の発熱量を低減することができる。あるいは、上記第1,第2の電源線を細くすることができる。
【0022】
また、1実施の形態の発光装置では、
上記各並列構成単位に含まれる複数の上記発光ダイオード素子は、
上記第1の電源線を上記第2の電源線よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第1の発光ダイオード素子と、
上記第2の電源線を上記第1の電源線よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第2の発光ダイオード素子と
が、混在しており、
上記第1の電源線および第2の電源線は、上記電流源から上記発光ダイオード素子回路に交流電流を供給する。
【0023】
この実施の形態によれば、上記各並列構成単位に含まれる上記複数の発光ダイオード素子を、上記第1の電源線の電位を上記第2の電源線の電位よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第1の発光ダイオード素子と、上記第2の電源線の電位を上記第1の電源線の電位よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第2の発光ダイオード素子とを混在させている。したがって、上記発光ダイオード素子回路を交流駆動することが可能になる。その結果、商用電源等の交流電源によって駆動する場合には、整流回路の付加を省略することができる。
【0024】
また、1実施の形態の発光装置では、
上記単一の基板上には、上記複数の発光ダイオード素子を接続する配線が形成されており、
上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を構成する上記複数のヒューズは、上記配線の一部で構成されている。
【0025】
この実施の形態によれば、上記単一の基板上に上記複数の発光ダイオード素子を接続する配線を形成し、この配線の一部で上記ヒューズを構成しているので、上記単一の基板上に形成された上記配線は、上記複数の発光ダイオード素子を接続する役割と、上記発光ダイオード素子に直列に接続された上記ヒューズの役割とを、兼ねることができる。その結果、別途上記ヒューズを形成するための工程を追加する必要がなく、本発光装置の製造コストをさらに低減することができる。
【0026】
また、この発明の発光装置は、
発光ダイオード素子と、予め設定された設定電流を超えた電流が流れると上記電流を遮断するヒューズとが、直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子と、
複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端が互いに接続された発光ダイオード素子回路と、
上記発光ダイオード素子回路における上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子の上記一端に接続されると共に、電流源から上記発光ダイオード素子回路に電流を供給する電源線と
を備えたことを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、電流源から電源線を介して発光ダイオード素子回路に電流が供給されて、一端が互いに接続されている複数のヒューズ付き発光ダイオード素子の発光ダイオード素子が発光される。その際に、上記発光ダイオード素子の何れかが短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続されているヒューズが断線して過電流を遮断することができる。したがって、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子以外の上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、本発光装置は引続き動作することができる。すなわち、本発光装置の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0028】
また、この発明の照明装置は、
放熱板上に発光装置を実装した発光モジュールを備え、
上記発光装置は、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置である
ことを特徴としている。
【0029】
上記構成によれば、放熱板上に、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置を実装した発光モジュールを備えているので、故障率を低くすることができる。
【0030】
また、この発明のバックライトは、
放熱機能を有する支持基板と、
上記支持基板上に実装された複数の発光装置と
を備え、
上記発光装置は、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置である
ことを特徴としている。
【0031】
上記構成によれば、放熱機能を有する支持基板上に、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置を実装しているので、故障率を低くすることができる。
【0032】
また、この発明の自発光ディスプレイは、
一方向に配列された複数の第1の配線と、
上記一方向に略直交する他方向に配列された複数の第2の配線と、
上記第1の配線と上記第2の配線との交差位置にマトリクス状に配列された複数の画素と
を備え、
上記複数の画素の夫々は、発光ダイオード素子と、予め設定された設定電流を超えた電流が流れると電流を遮断するヒューズとが、直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子を含み、
上記第1の配線および上記第2の配線の何れか一方の配線は、当該配線に沿って配列された上記各画素に属する上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端に接続されており、
上記第1の配線および上記第2の配線のうちの上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端に接続されている方の配線は、電流源から電流が供給される電源線に接続されている
ことを特徴としている。
【0033】
上記構成によれば、パッシブマトリクス方式の自発光ディスプレイにおいて、一方向に配列された複数の第1の配線と上記一方向に略直交する他方向に配列された複数の第2の配線との交差位置にマトリクス状に配置された各画素を、発光ダイオード素子とヒューズとが直列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を含んで構成している。
【0034】
したがって、ある画素を構成する上記発光ダイオード素子が短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続された上記ヒューズが断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子が属する画素と上記第1の配線あるいは上記第2の配線を共有する他の画素に属する上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、一つの上記発光ダイオード素子の短絡不良によってライン不良が生じてしまうことを防止することができる。したがって、本自発光ディスプレイの歩留りを向上させ、故障率を低減することができる。
【0035】
また、1実施の形態の自発光ディスプレイでは、
上記電源線は、上記第1の配線および上記第2の配線のうち、上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端に接続されている方の配線の全てに共通に接続されている。
【0036】
上記構成によれば、アクティブマトリクス方式の自発光ディスプレイにおいて、一方向に配列された複数の第1の配線と上記一方向に略直交する他方向に配列された複数の第2の配線との交差位置にマトリクス状に配置された各画素を、発光ダイオード素子とヒューズとが直列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を含んで構成している。
【0037】
したがって、ある画素を構成する上記発光ダイオード素子が短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続された上記ヒューズが断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子が属する画素とは異なる他の画素に属する上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、一つの上記発光ダイオード素子の短絡不良によって他の上記発光ダイオード素子も不良となるような致命的な不良が生ずることを防止できる。したがって、本自発光ディスプレイの歩留りを向上させ、故障率を低減することができる。
【0038】
また、1実施の形態の自発光ディスプレイでは、
上記複数の画素の夫々には、並列に接続された複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子が含まれている。
【0039】
この実施の形態によれば、上記複数の画素の夫々には、並列に接続された複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子が含まれている。そのために、ある画素に属する上記発光ダイオード素子が短絡不良を起こした場合であっても上記ヒューズが断線して過電流を遮断し、同一画素に属する他の上記発光ダイオード素子は引続き発光することができる。したがって、一つの上記発光ダイオード素子の短絡不良に起因する画素不良も防止することができる。
【0040】
また、1実施の形態の自発光ディスプレイでは、
上記発光ダイオード素子の最大寸法は100μm以下である。
【0041】
この実施の形態によれば、上記発光ダイオード素子の最大寸法は100μm以下であるので、基板上に上記複数の発光ダイオード素子を配置して配線する場合に、集積回路やTFT形成のプロセスを用いることができる。したがって、上記配線の一部を上記ヒューズとすることが可能になり、非常に多数の上記発光ダイオード素子を必要とする本自発光ディスプレイの製造コストを低減することができる。
【0042】
また、1実施の形態の自発光ディスプレイでは、
上記複数の画素の夫々に含まれる上記複数の発光ダイオード素子は基板上に配置されており、
上記基板上には、上記複数の発光ダイオード素子を接続する配線が形成されており、
上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を構成する上記複数のヒューズは、上記配線の一部で構成されている。
【0043】
この実施の形態によれば、上記基板上に上記複数の発光ダイオード素子を接続する配線を形成し、この配線の一部で上記ヒューズを構成しているので、上記基板上に形成された上記配線は、上記複数の発光ダイオード素子を接続する役割と、上記発光ダイオード素子に直列に接続された上記ヒューズの役割とを、兼ねることができる。その結果、別途上記ヒューズを形成するための工程を追加する必要がなく、本発光装置の製造コストをさらに低減することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上より明らかなように、この発明の発光装置は、電流源から第1の電源線および第2の電源線を介して発光ダイオード素子回路に電流が供給されて、並列に接続されて並列構成単位を構成している複数のヒューズ付き発光ダイオード素子の発光ダイオード素子が発光される。その際に、上記発光ダイオード素子の何れかが短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続されているヒューズが断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子以外の上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、本発光装置は引続き動作することができる。したがって、本発光装置の歩留りを向上させ、故障率を低減することができる。
【0045】
また、この発明の発光装置は、電流源から電源線を介して発光ダイオード素子回路に電流が供給されて、一端が互いに接続されている複数のヒューズ付き発光ダイオード素子の発光ダイオード素子が発光される。その際に、上記発光ダイオード素子の何れかが短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続されているヒューズが断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子以外の上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、本発光装置は引続き動作することができる。したがって、本発光装置の歩留りを向上させ、故障率を低減することができる。
【0046】
また、この発明の照明装置は、放熱板上に、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置を実装した発光モジュールを備えているので、故障率を低くすることができる。
【0047】
また、この発明のバックライトは、放熱機能を有する支持基板上に、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置を実装しているので、故障率を低くすることができる。
【0048】
また、この発明の自発光ディスプレイは、一方向に配列された複数の第1の配線と上記一方向に略直交する他方向に配列された複数の第2の配線との交差位置にマトリクス状に配置された各画素を、発光ダイオード素子とヒューズとが直列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を含んで構成している。したがって、ある画素を構成する上記発光ダイオード素子が短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子に接続された上記ヒューズが断線して過電流を遮断することができる。
【0049】
その結果、短絡不良を起こした上記発光ダイオード素子が属する画素と上記第1の配線あるいは上記第2の配線を共有する他の画素に属する上記発光ダイオード素子は引続き発光することができ、一つの上記発光ダイオード素子の短絡不良によってライン不良が生じてしまうことを防止することができる。したがって、本自発光ディスプレイの歩留りを向上させ、故障率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の発光装置における回路図である。
【図2】図1に示す発光装置における概略平面図である。
【図3】図2におけるA‐A'矢視断面図である。
【図4】図1に示す発光装置における発光ダイオード素子の断面図である。
【図5】図4に示す発光ダイオード素子の形成手順を示す図である。
【図6】図5に続く発光ダイオード素子の形成手順を示す図である。
【図7】図6に続く発光ダイオード素子の形成手順を示す図である。
【図8】図7に続く発光ダイオード素子の形成手順を示す図である。
【図9】発光ダイオード素子配列用の電極が形成された基板の平面図である。
【図10】図9におけるB‐B'矢視断面図である。
【図11】発光ダイオード素子が電極上に配列される原理の説明図である。
【図12】第1,第2の電極間に印加される交流電圧の波形図である。
【図13】発光ダイオード素子が配列された基板の平面図である。
【図14】基板上に配列された発光ダイオード素子に対する配線形成手順を示す図である。
【図15】図14に続く配線形成手順を示す図である。
【図16】図15に続く配線形成手順を示す図である。
【図17】図16に続く配線形成手順を示す図である。
【図18】図1に示す発光装置における変形例を示す回路図である。
【図19】図1および図18とは異なる発光装置における回路図である。
【図20】図1,図18および図19とは異なる発光装置における回路図である。
【図21】この発明の照明装置における側面図である。
【図22】図21に示す照明装置に内蔵される発光モジュールの側面図である。
【図23】図22に示す発光モジュールの平面図である。
【図24】この発明のバックライトにおける平面図である。
【図25】この発明の自発光ディスプレイにおける回路図である。
【図26】図25に示す自発光ディスプレイにおける1画素の概略平面図である。
【図27】図26におけるC‐C'矢視断面図である。
【図28】図25に示す自発光ディスプレイにおける変形例を示す回路図である。
【図29】図25および図28とは異なる自発光ディスプレイの回路図である。
【図30】図29に示す自発光ディスプレイにおける1画素の概略平面図である。
【図31】図30におけるD‐D'矢視断面図である。
【図32】図30におけるE‐E'矢視断面図である。
【図33】図30におけるF‐F'矢視断面図である。
【図34】従来の発光装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0052】
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の発光装置における回路図である。また、図2は、本発光装置における概略平面図であり、図3は、図2におけるA‐A'矢視断面図である。また、図4は、本発光装置における発光素子(発光ダイオード素子)の断面図である。また、図5〜図17は、本発光装置における形成手順の説明図である。
【0053】
図1において、本実施の形態の発光装置11は、発光ダイオード素子12とヒューズ13とが直列に接続されて構成されたヒューズ付き発光ダイオード素子14を有している。さらに、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14が並列に接続されて、並列構成単位15を構成している。ここで、ヒューズ13は、このヒューズ13と直列に接続された発光ダイオード素子12に、予め設定された設定電流を超える電流が流れると、電流を遮断する。
【0054】
また、上記並列構成単位15は、1つで、あるいは、複数が直列に接続されて、発光ダイオード素子回路16を構成している。すなわち、本実施の形態においては、発光ダイオード素子回路16は1つの並列構成単位15で構成されているが、後述の実施の形態のように、直列に接続された複数の並列構成単位15で発光ダイオード素子回路16を構成してもよい。
【0055】
上記発光ダイオード素子回路16には、第1の電源線17および第2の電源線18が接続されている。そして、電源19から、第1の電源線17および第2の電源線18を通じて発光ダイオード素子回路16に電流が供給される。
【0056】
以上のごとく、本発光装置11においては、上記発光ダイオード素子12の夫々に、上記設定電流を超える電流が流れた場合に電流を遮断するヒューズ13が直列に接続されている。そのため、発光ダイオード素子12が短絡不良を起こした場合であっても接続されたヒューズ13が断線して過電流を遮断することができる。したがって、短絡不良を起こした発光ダイオード素子12以外の発光ダイオード素子12は、引続き発光することができる。すなわち、発光装置11全体としては引続き動作することができるのである。したがって、発光装置11の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0057】
尚、上記ヒューズ付き発光ダイオード素子14の夫々には、発光ダイオード素子12を流れる電流を調節するために、抵抗(図示せず)を備えていても良い。
【0058】
以下、本実施の形態における発光装置11の好適な実施例を詳細に説明する。
【0059】
図2および図3に示すように、本実施の形態における発光装置11は、基板20上に、複数の発光ダイオード素子12が配置されている。
【0060】
上記発光ダイオード素子12は、図4に示すように、棒状の第1導電型の半導体コア21の周囲を、発光層22と第2導電型の半導体シェル23とでこの順序で覆った構造を有している。棒状の半導体コア21の一端(領域21a)が、半導体シェル23から露出している。ここで、上記第1導電型がn型であり、上記第2導電型がp型である場合には、上記第1導電型(n型)の半導体コア21を負極とし、上記第2導電型(p型)の半導体シェル23を正極として電流を流すことによって、発光ダイオード素子12を発光させることができる。
【0061】
図3に示すように、上記基板20上には2層の配線が形成されており、下層に位置する第1層配線の一部が第2の電源線18を構成し、上層に位置する第2層配線の一部が第1の電源線17を構成している。図1に示すように、第1の電源線17および第2の電源線18は電源19に接続されている。但し、図2および図3においては、電源19は図示されていない。
【0062】
上記第1の電源線17は、上記第2層配線の他の一部で構成されると共に第1の電源線17から突出している第2層配線狭小部26、上記第2層配線と上記第1層配線とを接続するビア25、上記第1層配線の他の一部で構成されると共に第2の電源線18とは分離している第1層配線狭小部24、および、コンタクト孔27を介して、発光ダイオード素子12の半導体シェル23に接続されている。これに対し、第2の電源線18は、コンタクト孔28を介して、発光ダイオード素子12の半導体コア21に接続されている。
【0063】
上記第1層配線狭小部24,ビア25および第2層配線狭小部26はヒューズ13を構成しており、発光ダイオード素子12と直列に接続されている。こうして、上述したごとく、発光ダイオード素子12とヒューズ13とで、ヒューズ付き発光ダイオード素子14を構成しているのである。
【0064】
また、上記第1の電源線17および第2の電源線18は、図2に示すように、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14を並列に接続して、並列構成単位15および発光ダイオード素子回路16を形成する役割を果たしている。
【0065】
上記基板20上であって、発光ダイオード素子12が配置されている箇所には、図3に示すように、第1の電極29および第2の電極30が形成されており、第1の電極29および第2の電極30は絶縁膜31によって覆われている。尚、この第1の電極29および第2の電極30は、発光ダイオード素子12を基板20上に配置する際に用いるものであって、発光ダイオード素子12が配置された後においては、電極や配線として使用されるものではない。発光ダイオード素子12を基板20上に配置する方法については、後に詳述する。
【0066】
上記第1層配線と基板20との間および上記第1層配線と発光ダイオード素子12との間には、透明な第1の層間絶縁膜32が形成されている。また、上記第1層配線と上記第2層配線との間には、透明な第2の層間絶縁膜33が形成されている。また、上記第2層配線上には、透明な保護膜34が形成されている。
【0067】
ここで、例えば、上記発光ダイオード素子12における半導体コア21としてn‐GaNを、発光層22としてInGaNを、半導体シェル23としてp‐GaNを、用いることができる。尚、発光層22は多重量子井戸構造としてもよく、さらにAlGaN層を設けてもよい。発光ダイオード素子12の他の例としては、GaAs,AlGaAs,GaAsP,GaP,ZnSe,AlGaInP等を用いることができる。
【0068】
上記基板20上に配置する発光ダイオード素子12の大きさは、その最大寸法が100μm以下であることが好ましい。この大きさは、通常の発光ダイオードチップの寸法(数百μm×数百μm)よりも小さい。尚、発光ダイオード素子12の大きさが100μm以下であることが好ましいことは、以下の理由による。
【0069】
第1の理由は、上記基板20上に複数の発光ダイオード素子12を配置して配線する場合に、ボンディングではなく通常の集積回路やTFTを形成するプロセスを用いるのが容易なためである。このように、配線に集積回路やTFT形成のプロセスを用いることにより、上述のように配線の一部をヒューズ13とすることが可能になる。したがって、発光装置11の製造コストを低減することができるのである。
【0070】
第2の理由は、個々の上記発光ダイオード素子12のサイズが小さいので、ヒューズ13が切断して1個の発光ダイオード素子12が発光不能になっても、発光装置11の輝度変化が小さいためである。
【0071】
上記第2の理由に関連して、基板20上に配置する発光ダイオード素子12の数は、100個以上であることが更に好ましい。すなわち、基板20上に配置する発光ダイオード素子12の最大寸法が100μm以下であり、且つその数が100個以上であることが特に好ましい。こうすることによって、ヒューズ13が切断して1個の発光ダイオード素子12が発光不能となった場合における発光装置11の輝度変化は略1%以下となり、人間は殆ど認識することができない。したがって、発光装置11の輝度を安定させることができるのである。
【0072】
尚、上記基板20上に配置する発光ダイオード素子12の具体的な数は、発光ダイオード素子12の大きさを、例えば半導体コア21の長さが10μmで太さが1μm程度とすると、部屋の照明を用途とした場合に10万個程度が必要となる。
【0073】
上記ヒューズ13は、上述したように、第1層配線狭小部24,ビア25および第2層配線狭小部26で構成されており、金属のエレクトロマイグレーションを利用した、所謂電気ヒューズである。第1,第2層配線狭小部24,26は、下層に位置する上記第1層配線の一部および上層に位置する上記第2層配線の一部で構成され、その幅が他の部分よりも狭小となっている。第1,第2層配線狭小部24,26の配線幅は、ヒューズ13を切断するための上記設定電流値に応じて決定され、例えば0.1μmである。
【0074】
上記第1層配線狭小部24,ビア25および第2層配線狭小部26としては、例えば銅を主成分とする金属薄膜を用いることができる。この銅を主成分とした金属薄膜は、Ag,Al,Au等の異種元素を含んでいてもよい。また、第1層配線狭小部24,ビア25および第2層配線狭小部26の側面および底面に、Ta,Ti,W等の高融点金属を含むバリアメタル層(図示せず)を形成してもよい。
【0075】
上記基板20は、例えばガラス基板,セラミック基板および樹脂基板等の絶縁性基板を用いることができる。あるいは、アルミニウム基板上に樹脂をコーティングして表面を絶縁した基板を用いてもよい。ここで、基板20の表面を絶縁する必要があるのは、基板20上に第1の電極29および第2の電極30を形成するためである。
【0076】
図3において、上方に光を取り出す場合には、基板20として、例えばアルミニウム基板上に樹脂をコーティングしたものを用い、発光ダイオード素子12からの光を上方に反射するようにすることが望ましい。また、図3において、下方に光を取り出す場合には、基板20は透明である必要があり、例えばガラス基板や透明樹脂基板を用いることができる。
【0077】
また、上記基板20は、上記層間絶縁膜32,33の形成を含む配線工程におけるプロセス温度に耐え得る必要がある。例えば、層間絶縁膜32,33としてTEOS(テトラエトキシシラン)を含むシリコン酸化膜を用いる場合には、基板20としてガラス基板やセラミック基板を用いるのが好ましい。
【0078】
上記第1の電極29および第2の電極30としては、アルミニウム,銅,タングステンおよび金等の金属膜を用いることができる。また、第1の電極29および第2の電極30を覆う絶縁膜31としては、上記TEOSを含むシリコン酸化膜を用いることができる。
【0079】
上記第1の層間絶縁膜32および第2の層間絶縁膜33としては、上述のように、上記TEOSを含むシリコン酸化膜や透明樹脂等を用いることができる。
【0080】
また、上記保護膜34としては、透明樹脂膜を用いることができる。尚、この保護膜34中に、必要に応じて蛍光体を分散させてもよい。例えば、発光ダイオード素子12として、n‐GaNからなる半導体コア21,InGaNからなる発光層22およびp‐GaNからなる半導体シェル23を用いて青色で発光する発光ダイオード素子12を形成し、保護膜34中に黄色の光を放出する蛍光体を分散させることによって、白色光を得ることができる。
【0081】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態の発光装置11においては、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14が単一の基板20上に形成されている。これにより、基板20上に複数の発光ダイオード素子12を一括して配置すると共に、発光ダイオード素子12に直列に接続されたヒューズ13も基板20上に一括して形成することが可能になる。したがって、発光装置11の製造コストを低減することができるのである。
【0082】
また、本実施の形態の発光装置11においては、上記基板20上に複数の発光ダイオード素子12が配置され、さらに、複数の発光ダイオード素子12を接続する配線が形成され、上記配線の一部がヒューズ13を構成している。これにより、基板20上に形成された上記配線は、複数の発光ダイオード素子12を接続する役割と、発光ダイオード素子12に直列に接続されたヒューズ13の役割とを、兼ねることになる。それ故に、別途ヒューズ13を形成するための工程を追加する必要がなく、発光装置11の製造コストをさらに低減することができるのである。
【0083】
以下に、本発光装置11の形成方法について説明する。
【0084】
先ず、図5〜図8に示す手順によって、上記発光ダイオード素子12を形成する。ここでは、例として、GaNからなる発光ダイオード素子12を形成する手順を示すが、他の材料からなる発光ダイオード素子12の形成手順も同様である。
【0085】
図5に示すように、図2および図3における基板20とは別の基板であるサファイア基板35を用意し、開口部が設けられたシリコン酸化膜36をサファイア基板35上にパターニングし、シリコン酸化膜36の開口部であってサファイア基板35が露出した部分にニッケルからなる金属触媒粒37を形成する。
【0086】
上記シリコン酸化膜36は、具体的にはCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、サファイア基板35上に例えば1μmの厚さで成膜する。その後、フォトリソグラフィ工程によって、シリコン酸化膜36に、例えば1μmの大きさの開口部をパターニングしてサファイア基板35表面の一部を露出させる。金属触媒粒37は、具体的には、パターニングされたシリコン酸化膜36が形成されたサファイア基板35上の全面にニッケルを例えば3nmの厚さでスパッタによって成膜し、900℃程度でアニールすることによってニッケルを凝集させて形成する。
【0087】
次に、図6に示すように、上記シリコン酸化膜36の開口部におけるサファイア基板35上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、例えば10μmの長さの棒状にn型GaNを結晶成長させることによって、第1導電型の半導体コア21を形成する。その場合に、成長温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH4)を供給し、さらにキャリアガスとして水素(H2)を供給することによって、Siを不純物とした棒状のn型GaNを成長させることができる。こうして、n型GaNからなる棒状の半導体コア21を形成した後は、ウェットエッチングによって金属触媒粒(ニッケル)37を除去することが好ましい。
【0088】
ここで、上記n型GaNからなる半導体コア21を成長したサファイア基板35を、半導体コア21を成長した温度より高い温度でアニール処理することが好ましい。アニール温度は、例えば、950℃よりも高く、1200℃以下とする。これにより、n型GaNからなる半導体コア21の結晶欠陥を回復して、結晶性を改善することができる。
【0089】
次に、図7に示すように、n型GaN膜からなる棒状の半導体コア21の側面および上面に、例えば5nmの厚さでInGaN膜からなる発光層22を形成し、さらに、発光層22上に、例えば100nmの厚さでp型GaN膜からなる第2導電型の半導体シェル23を形成する。
【0090】
上記InGaN膜からなる発光層22は、MOCVD装置を用いて、成長温度を750℃に設定し、成長ガスとしてTMG,NH3およびトリメチルインジウム(TMI)を使用し、キャリアガスとしてH2を供給することによって、成長させる。このInGaN膜からなる発光層22を、GaN膜あるいはAlGaN膜をブロック層として複数層積層して、多重量子井戸構造(MQW)としてもよい。このInGaN膜はシリコン酸化膜36上に成膜されても差し支えなく、後に必要に応じて非等方性のドライエッチングによってシリコン酸化膜36上のInGaN膜を除去すればよい。
【0091】
上記p型GaN膜からなる半導体シェル23は、MOCVD装置を用いて、成長温度を800℃に設定し、成長ガスとしてTMGおよびNH3を使用し、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を、さらにキャリアガスとしてH2を供給することによって、成長させる。
【0092】
次に、上記シリコン酸化膜36をフッ化水素酸(HF)によるウェットエッチングで除去した後、サファイア基板35とその表面上に形成された棒状の構造物とを水等の液体中に浸し、超音波を照射することによって、図8に示すように、棒状の構造物をサファイア基板35から切り離す。こうして、サファイア基板35から切り離された棒状の構造物の夫々は、発光ダイオード素子12となる。
【0093】
次に、上記手順によって形成した発光ダイオード素子12を、発光ダイオード素子12を形成する際に用いたサファイア基板35とは別の本発光装置11用の基板20上に配列する。
【0094】
先ず、図9に示すように、ガラス等の基板20の表面に、第1の電極29および第2の電極30(図3参照)を形成する。第1,第2の電極29,30はフォトリソグラフィあるいは印刷技術を利用して形成することができる。尚、図9においては省略しているが、第1,第2の電極29,30には外部から電位を与えられるように、パッドが形成されている。また、図9では、図を見やすくするために発光ダイオード素子12が配列される配列箇所(29a,30a)を8×3個としているが、実際には任意の個数の配列箇所が設けられる。図10は、図9におけるB‐B'矢視断面図である。
【0095】
次に、上記第1,第2の電極29,30が互いに対向している部分(29a,30a)に、以下のようにして発光ダイオード素子12を配列する。
【0096】
先ず、図10に示すように、上記基板20上に、発光ダイオード素子12を含んだイソプロピルアルコール(IPA)38を薄く塗布する。IPA38の他に、エチレングリコール,プロピレングリコール,メタノール,エタノール,アセトンおよびそれらの混合物でもよい。あるいは、水等の他の有機物からなる液体を用いることもできる。
【0097】
但し、上記IPA38等の液体を通じて第1,第2の電極29,30間に大きな電流が流れると、第1,第2の電極29,30間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、第1,第2の電極29,30を覆うように、基板20表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜31をコーティングする。
【0098】
上記発光ダイオード素子12を含んだIPA38を塗布する厚さは、発光ダイオード素子12を配列する工程において発光ダイオード素子12が配列できるように、IPA38中で発光ダイオード素子12が移動できる程度の厚さである。したがって、IPA38を塗布する厚さは、発光ダイオード素子12の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは、薄すぎると発光ダイオード素子12が移動し難くなり、厚すぎるとIPA38を乾燥する時間が長くなる。また、IPA38の量に対して、発光ダイオード素子12の量は、1×104個cm-3〜1×107個cm-3が好ましい。
【0099】
上記発光ダイオード素子12を含んだIPA38を塗布するために、発光ダイオード素子12を配列させる第1,第2の電極29,30の外周囲に枠を形成し、その枠内に発光ダイオード素子12を含んだIPA38を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、発光ダイオード素子12を含んだIPA38が粘性を有する場合には、上記枠を用いることなく所望の厚さに塗布することが可能である。
【0100】
次に、上記第1,第2の電極29,30間に、例えば1Vの電位差を与える。すなわち、第1,第2の電極29,30の電位差は、0.1V以下では発光ダイオード素子12の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始めるため、0.1V〜10Vとすることができる。そして、1V〜5Vがより好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
【0101】
図11は、上記発光ダイオード素子12が第1,第2の電極29,30上に配列される原理を模式的に示している。図11に示すように、第1の電極29に電位VLを印加し、第2の電極30に電位VR(VL<VR)を印加すると、第1の電極29には負電荷が誘起される一方、第2の電極30には正電荷が誘起される。そこに発光ダイオード素子12が接近すると、発光ダイオード素子12における第1の電極29に近い側に正電荷が誘起される一方、第2の電極30に近い側に負電荷が誘起される。この発光ダイオード素子12に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた発光ダイオード素子12は、内部の電界が0になるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、第1,第2の電極29,30と発光ダイオード素子12との間に静電力により引力が働き、発光ダイオード素子12は、第1,第2の電極29,30間に生じる電気力線に沿うように向きを揃え、第1,第2の電極29,30を架橋するように配列するのである。
【0102】
上記第1,第2の電極29,30が絶縁膜31でコーティングされている場合は、絶縁膜31上に電荷が誘起されることによって次第にIPA38中の電界が弱まるため、発光ダイオード素子12を第1,第2の電極29,30上の位置に安定して留めることができなくなる。そのような場合には、図12に示すように、第1,第2の電極29,30間に交流電圧を印加することが好ましい。図12においては、図12(b)に示すように、第2の電極30に基準電位VRを印加する。一方、図12(a)に示すように、第1の電極29には振幅VPPL/2の交流電圧VLを印加している。こうすることによって、発光ダイオード素子12を安定して第1,第2の電極29,30上に配列することができるのである。
【0103】
尚、この場合に、第1の電極29に与える交流電圧VLの周波数は10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定するのでより好ましい。さらに、第1,第2の電極29,30間に印加する交流電圧は、正弦波に限らず矩形波,三角波,ノコギリ波等のように周期的に変動するものであればよい。尚、上記VPPLは、1V程度とするのが好ましい。
【0104】
こうして、上記第1,第2の電極29,30上に発光ダイオード素子12を配列させた後に、基板20を加熱することによってIPA38を蒸発させて乾燥させ、発光ダイオード素子12を、第1,第2の電極29,30を架橋するように配列させて固着させる。図13は、発光ダイオード素子12が配列された基板20の平面図を示している。
【0105】
以下、上記基板20上の所定の位置に配列した発光ダイオード素子12の配線を行う。先ず、図14に示すように、基板20上に、発光ダイオード素子12の一部が露出するようにフォトレジスト39をパターニングする。そしてフォトレジスト39の開口部において、発光ダイオード素子12の半導体シェル23および発光層22をエッチングによって除去する。このエッチングは、等方性の強いドライエッチが適当である。その後、フォトレジスト39を除去する。
【0106】
次に、図15に示すように、上記基板20上にシリコン酸化膜からなる第1の層間絶縁膜32を2μmの厚さで塗布し、続いて第1の層間絶縁膜32にコンタクト孔27,28を開口する。コンタクト孔27によって半導体シェル23の一部が露出され、コンタクト孔28によって半導体コア21の一部が露出される。
【0107】
次に、図16に示すように、上記第1の層間絶縁膜32上に金属からなる上記第1層配線をパターニングした後、開口部40を設けたシリコン酸化膜からなる第2の層間絶縁膜33を形成する。上記第1層配線は、ヒューズ13を構成する第1層配線狭小部24および第2の電源線18等になる。コンタクト孔27,28は、上記第1層配線形成時に金属で埋め込まれて、上記第1層配線と発光ダイオード素子12とを接続する。
【0108】
最後に、図17に示すように、上記第2の層間絶縁膜33上に金属からなる上記第2層配線をパターニングした後、樹脂からなる保護膜34を積層して、発光装置11が完成する。上記第2層配線は、ヒューズ13を構成する第2層配線狭小部26および第1の電源線17等になる。開口部40は、上記第2層配線形成時に金属で埋め込まれて、ヒューズ13を構成するビア25となる。
【0109】
以上のごとく、本実施の形態の発光装置11は、基板20上に、発光ダイオード素子12とヒューズ13とが直列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14を、並列に接続して構成された並列構成単位15を有している。さらに、1つの並列構成単位15で、あるいは、複数の並列構成単位15を直列に接続して、発光ダイオード素子回路16を構成している。そして、この発光ダイオード素子回路16に、第1の電源線17および第2の電源線18を通じて電源19から電流を供給するようにしている。
【0110】
したがって、上記発光ダイオード素子12の何れかが短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした発光ダイオード素子12に接続されたヒューズ13が断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした発光ダイオード素子12以外の発光ダイオード素子12は引続き発光することができ、発光装置11は引続き動作することができる。したがって、発光装置11の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0111】
さらに、上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14は、単一の基板20上に形成されている。したがって、基板20上に、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子14を構成する複数の発光ダイオード素子12を一括して配置した後に、この配置された複数の発光ダイオード素子12の夫々に直列に接続されたヒューズ13を一括して形成することが可能になる。その結果、個別に形成された複数のヒューズ13の夫々を各発光ダイオード素子12に直列に接続する必要が無く、発光装置11の製造コストを低減できる。
【0112】
さらに、上記発光ダイオード素子12の最大寸法を100μm以下とし、且つその数を100個以上としている。このように、発光ダイオード素子12の最大寸法を100μm以下とすることによって、基板20上に複数の発光ダイオード素子12を配置して配線する場合に、集積回路やTFT形成のプロセスを用いることができる。したがって、上記配線の一部をヒューズ13とすることが可能になり、発光装置11の製造コストを低減することができる。また、発光ダイオード素子12の数を100個以上にすることによって、1個の発光ダイオード素子12が発光不能となった場合における発光装置11の輝度変化を略1%以下にすることができる。したがって、発光装置11の輝度を安定させることができる。
【0113】
さらに、上記基板20上に複数の発光ダイオード素子12を配置し、この複数の発光ダイオード素子12を接続する配線を形成し、この配線の一部でヒューズ13を構成している。したがって、基板20上に形成された上記配線は、複数の発光ダイオード素子12を接続する役割と、発光ダイオード素子12に直列に接続されたヒューズ13の役割とを、兼ねることができる。その結果、別途ヒューズ13を形成するための工程を追加する必要がなく、発光装置11の製造コストをさらに低減することができるのである。
【0114】
尚、本実施の形態においては、上記第1層配線および上記第2層配線を薄膜成膜とフォトリソグラフィとを用いたパターニングによって形成している。しかしながら、この発明は、これに限定されるものではなく、ビア25の形成と共に所謂ダマシンプロセスを用いてもよい。
【0115】
(変形例)
図18は、本実施の形態の発光装置における変形例を示す回路図である。
【0116】
図18において、本発光装置41は、発光ダイオード素子42とヒューズ43とが直列に接続されて構成されたヒューズ付き発光ダイオード素子44を有している。さらに、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子44は、その一端が接続されて発光ダイオード素子回路45を構成している。ここで、ヒューズ43は、このヒューズ43と直列に接続された発光ダイオード素子42に、予め設定された設定電流を超える電流が流れると、電流を遮断する。
【0117】
互いに接続された上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子44の上記一端には、電源線46が接続されている。そして、電源47から、電源線46を通じて発光ダイオード素子回路45に電流が供給される。
【0118】
本変形例の発光装置41が上記発光装置11と異なるのは、上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子44の他端は互いに接続されてはおらず、夫々が発光ダイオード素子42の駆動を行う制御回路48と接続されている点である。この場合、各制御回路48は接地され(第2の電源線に接続され)ており、電源47から第1の電源線(電源線46)および第2の電源線(接地)を通じて発光ダイオード素子回路45に電流が供給されると見なすことができる。このような構成にした場合、各発光ダイオード素子42には夫々制御回路48が接続されているため、各発光ダイオード素子42を独立して駆動することができる。
【0119】
上記構成によれば、上記発光ダイオード素子42の夫々には、上記設定電流を超える電流が流れた場合に電流を遮断するヒューズ43が直列に接続されている。そのために、発光ダイオード素子42が短絡不良を起こした場合であってもヒューズ43が断線して過電流を遮断し、短絡不良を起こした発光ダイオード素子42以外の発光ダイオード素子42は、引続き発光することができる。すなわち、発光装置41全体としては引続き動作することができる。したがって、発光装置41の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0120】
・第2実施の形態
図19は、本実施の形態の発光装置における回路図である。
【0121】
図19において、本実施の形態の発光装置51は、発光ダイオード素子52とヒューズ53とが直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子54を有している。さらに、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子54が並列に接続されて、並列構成単位55を構成している。ここで、ヒューズ53は、このヒューズ53と直列に接続された発光ダイオード素子52に、予め設定された設定電流を超える電流が流れると、電流を遮断する。また、並列構成単位55は、複数が直列に接続されて、発光ダイオード素子回路56を構成している。
【0122】
上記発光ダイオード素子回路56には、第1の電源線57および第2の電源線58が接続されている。そして、電源59から、第1の電源線57および第2の電源線58を通じて発光ダイオード素子回路56に電流が供給される。
【0123】
本実施の形態における発光装置51が上記第1実施の形態における発光装置11と異なる点は、並列構成単位55が複数個直列に接続されて発光ダイオード素子回路56を構成している点である。
【0124】
上記構成によれば、上記第1実施の形態の場合と同様に、上記発光ダイオード素子52の夫々には、上記設定電流を超える電流が流れた場合に電流を遮断するヒューズ53が直列に接続されている。そのため、発光ダイオード素子52が短絡不良を起こした場合であってもヒューズ53が断線して過電流を遮断することができる。したがって、短絡不良を起こした発光ダイオード素子52以外の発光ダイオード素子52は、引続き発光することができる。すなわち、発光装置51全体としては引続き動作することができるのである。したがって、発光装置51の歩留りを向上させ、故障率を低減することができる。
【0125】
さらに、n個の並列構成単位55を直列に接続して発光ダイオード素子回路56を構成した場合には、1つの並列構成単位55によって発光ダイオード素子回路56を構成した場合に比して、駆動電圧がn倍になるため、第1の電源線57および第2の電源線58を流れる電流は1/nになる。したがって、第1,第2の電源線57,58の発熱量を低減することができる。あるいは、第1,第2の電源線57,58を細くすることができる。
【0126】
・第3実施の形態
図20は、本実施の形態の発光装置における回路図である。以下、図20に従って、本実施の形態の発光装置61について説明する。
【0127】
図20において、本実施の形態の発光装置61が上記第2実施の形態の発光装置51と異なる点は、第1の電源線62の電位を第2の電源線63の電位よりも高電位にした場合に、順方向になるように配置された第1の発光ダイオード素子64と、第2の電源線63の電位を第1の電源線62の電位よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第2の発光ダイオード素子65との2つ発光ダイオード素子を設けた点である。また、発光ダイオード素子回路66には、第1の電源線62および第2の電源線63を介して交流電源67が接続されている点でも異なる。
【0128】
上記第1の発光ダイオード素子64および第2の発光ダイオード素子65の夫々には、ヒューズ68が直列に接続されている。そして、第1の発光ダイオード素子64とヒューズ68とで第1のヒューズ付き発光ダイオード素子69を構成し、第2の発光ダイオード素子65とヒューズ68とで第2のヒューズ付き発光ダイオード素子70を構成する。さらに、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子69,70が並列に接続されて、並列構成単位71を構成している。
【0129】
上記発光ダイオード素子回路66は1つの並列構成単位71で構成されていてもよく、本実施の形態のように複数個の並列構成単位71が直列に接続されてなっていてもよい。尚、複数個の並列構成単位71が直列に接続されて発光ダイオード素子回路66が構成されている場合には、第1,第2の電源線62,63の発熱量を低減することができる。あるいは、第1,第2の電源線62,63を細くすることができる。
【0130】
ところで、上記1つの並列構成単位71には、第1のヒューズ付き発光ダイオード素子69と第2のヒューズ付き発光ダイオード素子70とが混在している。つまり、第1の発光ダイオード素子64と第2の発光ダイオード素子65とが混在している。このように、第1の発光ダイオード素子64と第2の発光ダイオード素子65とを混在させる方法は2つある。
【0131】
第1の方法は、上記第1実施の形態で説明した発光装置11の形成方法において、基板20上に配置した発光ダイオード素子12の半導体シェル23の一部を除去する工程(図14)を変更するものである。以下、図14を用いて説明する。図14において、発光ダイオード素子12の左右どちら側の半導体シェル23を除去するかは、フォトレジスト39のパターンによって任意に決めることができる。したがって、フォトレジスト39のパターンを変更して、発光ダイオード素子12における半導体シェル23を除去する側が混在するように、つまり第1,第2の電源線62,63において半導体シェル23に接続される電源線が混在するようにするのである。
【0132】
第2の方法は、上記第1実施の形態で説明した発光装置11の形成方法において、図10および図13に示すように、発光ダイオード素子12を基板20上に配置する前に、図4に示すように、予め発光ダイオード素子12における一方の側の発光層22および半導体シェル23を除去しておくのである。これは、例えば、図7に示すように、棒状の半導体コア21,発光層22および半導体シェル23を形成する際に、シリコン酸化膜36を厚く形成することによって得られる。その後、発光ダイオード素子12を基板20上に配置すれば、半導体シェル23が形成されない領域(領域21a)が第1,第2の電極62,63の何れの側に配置されるかは夫々50%の確率となる。こうして、第1の発光ダイオード素子64と第2の発光ダイオード素子65とが、略同数ずつランダムに配置されることになる。
【0133】
尚、上記第2の方法において、予め上記シリコン酸化膜36を厚く形成する場合は、例えば、半導体コア21の長さを10μmとした場合には、シリコン酸化膜36の厚さを2μmとすることによって、予め2μmの長さに亘って半導体コア21を露出させることができる。
【0134】
上記本実施の形態の構成によれば、上記第1実施の形態の場合と同様に、上記第1の発光ダイオード素子64および第2の発光ダイオード素子65の夫々には、上記設定電流を超える電流が流れた場合に電流を遮断するヒューズ68が直列に接続されている。そのため、第1,第2の発光ダイオード素子64,65が短絡不良を起こした場合であってもヒューズ68が断線して過電流を遮断することができる。したがって、短絡不良を起こした第1,第2の発光ダイオード素子64,65以外の第1,第2の発光ダイオード素子64,65は、引続き発光することができる。すなわち、発光装置61全体としては引続き動作することができるのである。したがって、発光装置61の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0135】
さらに、上記各並列構成単位71を構成する発光ダイオード素子は、第1の電源線62の電位を第2の電源線63の電位よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第1の発光ダイオード素子64と、第2の電源線63の電位を第1の電源線62の電位よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第2の発光ダイオード素子65とが混在されている。したがって、発光ダイオード素子回路66を交流駆動することが可能である。したがって、商用電源等の交流電源67によって駆動する場合に、整流回路の付加を省略することができるのである。
【0136】
・第4実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態〜上記第3実施の形態における発光装置11,41,51,61の何れか一つを備えた照明装置に関する。
【0137】
図21は、本実施の形態の照明装置における側面図である。図22は、上記照明装置に内蔵される発光モジュールの側面図である。図23は、上記発光モジュールの平面図である。以下、本照明装置の一例としてLED電球を挙げて説明する。
【0138】
図21〜図23において、本LED電球81は、正方形状の放熱板83上に、第1実施の形態〜第3の実施の形態における発光装置11,41,51,61の何れか一つである発光装置84が実装されて構成された、発光モジュール82を内蔵している。また、LED電球81は、外部のソケットに嵌めて商用電源に接続するための電源接続部である口金85と、その口金85に一端が接続されると共に、他端に向かって徐々に拡径する円錐形状の放熱部86と、その放熱部86の上記他端側を覆う透光部87とを備えている。
【0139】
以上のごとく、本実施の形態のLED電球81は、上記第1実施の形態〜上記第3実施の形態における発光装置11,41,51,61の何れか一つを備えているので、故障率を低くすることができる。
【0140】
・第5実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態〜上記第3実施の形態における発光装置11,41,51,61の何れか一つを備えたバックライトに関する。
【0141】
図24は、本実施の形態のバックライトにおける平面図である。
【0142】
図24において、本バックライト91は、放熱板の一例としての長方形状の支持基板92上に、複数の発光装置93を予め設定された設定間隔をあけて格子状に実装して構成されている。ここで、発光装置93は、第1実施の形態〜第3の実施の形態における発光装置11,41,51,61の何れか一つを用いている。
【0143】
以上のごとく、本実施の形態のバックライト91は、上記第1実施の形態〜上記第3実施の形態における発光装置11,41,51,61の何れか一つを備えているので、故障率を低くすることができる。
【0144】
・第6実施の形態
図25は、本実施の形態の自発光ディスプレイにおける回路図である。図26は、本自発光ディスプレイにおける1画素の概略の平面図である。図27は、図26におけるC‐C'矢視断面図である。
【0145】
本実施の形態の自発光ディスプレイ101はパッシブマトリクス方式のディスプレイであり、図25に示すように、行アドレス線Xa1,Xa2,Xa3,Xa4と列アドレス線Ya1,Ya2,Ya3,Ya4との交差位置の夫々に、発光ダイオード素子102とヒューズ103とが直列に接続されて構成されたヒューズ付き発光ダイオード素子104が配置されて、画素を構成している。ここで、ヒューズ103は、このヒューズ103と直列に接続された発光ダイオード素子102に、予め設定された設定電流を超える電流が流れると、電流を遮断する。
【0146】
すなわち、同一の行アドレス線Xあるいは同一の列アドレス線Yに接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子104に対して、上記行アドレス線Xあるいは上記列アドレス線Yは共通電源線として機能し、この共通電源線を通じて電流源(図示せず)から電流が供給される。
【0147】
ここで、上記発光ダイオード素子102が短絡不良を起こすと、ヒューズ103が存在しない場合には、少なくとも短絡不良を起こした発光ダイオード素子102と同じ行アドレス線Xあるいは同じ列アドレス線Yに接続されている全ての発光ダイオード素子102が発光不良を起こしてライン不良を生ずることになる。しかしながら、各画素に属する発光ダイオード素子102にはヒューズ103が直列に接続されているため、発光ダイオード素子102が短絡不良を起こした際にはヒューズ103が断線し、ライン不良を阻止することができるのである。
【0148】
上記各画素を構成するヒューズ付き発光ダイオード素子104は、通常のパッシブマトリクス方式のディスプレイの場合と同様に、特定の行アドレス線Xと特定の列ドレス線Yとを指定してパルス駆動される。
【0149】
図25に示すように、上記各画素に唯1つのヒューズ付き発光ダイオード素子104を配置した場合には、本自発光ディスプレイ101はモノクロディスプレイとして機能することになる。また、上記各画素に、RGBの3原色あるいはRGBYの4原色に対応する3個あるいは4個のヒューズ付き発光ダイオード素子を規則的に配置した場合には、本自発光ディスプレイ101はカラーディスプレイとして機能することが可能になる。
【0150】
以上のごとく、本自発光ディスプレイ101においては、各画素を構成する発光ダイオード素子102の夫々に、上記設定電流を超える電流が流れた場合に電流を遮断するヒューズ103が直列に接続されている。そのため、ある画素に属する発光ダイオード素子102が短絡不良を起こした場合であっても接続されたヒューズ103が断線して過電流を遮断することができる。したがって、短絡不良を起こした発光ダイオード素子102が接続されている行アドレス線Xあるいは列アドレス線Yに接続されている他の画素に属する発光ダイオード素子102は引続き発光することができる。すなわち、一つの発光ダイオード素子102の短絡不良によってライン不良が生じてしまうことを防止することができる。したがって、自発光ディスプレイ101の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0151】
以下、本実施の形態における自発光ディスプレイ101の好適な実施例を詳細に説明する。
【0152】
図26および図27に示すように、本実施の形態における自発光ディスプレイ101では、基板105上に、画素毎に発光ダイオード素子102が配置されている。
【0153】
上記発光ダイオード素子102は、上記第1実施の形態における図4と同様に、棒状の第1導電型の半導体コア106の周囲を、発光層と第2導電型の半導体シェル107とでこの順序で覆った構造を有している。棒状の半導体コア106の一端が、半導体シェル107から露出している。
【0154】
図27に示すように、上記基板105上には2層の配線が形成されており、下層に位置する第1層配線の一部が行アドレス線109を構成し、上層に位置する第2層配線の一部が列アドレス線108を構成している。列アドレス線108あるいは行アドレス線109は、図25に示すように同じ列あるいは同じ行に位置する画素によって共有されて、夫々のドライバ(図示せず)に接続されている。
【0155】
上記列アドレス線108は、上記第2層配線の他の一部で構成されると共に列アドレス線108から突出している第2層配線狭小部112、上記第2層配線と上記第1層配線とを接続するビア111、上記第1層配線の他の一部で構成されると共に行アドレス線109とは分離している第1層配線狭小部110、および、コンタクト孔113を介して、発光ダイオード素子102の半導体シェル107に接続されている。これに対し、行アドレス線109は、コンタクト孔114を介して、発光ダイオード素子102の半導体コア106に接続されている。
【0156】
上記第1層配線狭小部110,ビア111および第2層配線狭小部112はヒューズ103を構成しており、発光ダイオード素子102と直列に接続されている。こうして、上述したごとく、発光ダイオード素子102とヒューズ103とで、ヒューズ付き発光ダイオード素子104を構成しているのである。
【0157】
上記基板105上であって、発光ダイオード素子102が配置されている箇所には、図27に示すように、第1の電極115および第2の電極116が形成されており、第1の電極115および第2の電極116は絶縁膜117によって覆われている。尚、この第1の電極115および第2の電極116は、発光ダイオード素子102を基板105上に配置する際に用いるものであって、発光ダイオード素子102が配置された後においては、電極や配線としては使用されるものではない。発光ダイオード素子102を基板105上に配置する方法は、上記第1実施の形態において図9〜図13で説明した方法と同様である。
【0158】
上記第1層配線と基板105との間および上記第1層配線と発光ダイオード素子102との間には、透明な第1の層間絶縁膜118が形成されている。また、上記第1層配線と上記第2層配線との間には、透明な第2の層間絶縁膜119が形成されている。また、上記第2層配線上には、透明な保護膜120が形成されている。
【0159】
ここで、本自発光ディスプレイ101をカラーディスプレイとして機能させる場合は、例えば、青色用の発光ダイオード素子102および緑色用の発光ダイオード素子102としては、InGaNの発光層とGaNの半導体シェルおよび半導体シェルとからなる発光ダイオード素子を用いる。さらに、赤色用の発光ダイオード素子102としては、GaAsからなる発光ダイオード素子を用いる。
【0160】
上記基板105上に配置する発光ダイオード素子102の大きさは、その最大寸法が100μm以下であることが好ましい。この大きさは、通常の発光ダイオードチップの寸法(数百μm×数百μm)よりも小さい。尚、発光ダイオード素子102の大きさが100μm以下であることが好ましいことは、以下の理由による。
【0161】
第1の理由は、上記基板105上に複数の発光ダイオード素子102を配置して配線する場合に、ボンディングではなく通常の集積回路やTFT形成のプロセスを用いるのが容易なためである。このように、配線に集積回路やTFT形成のプロセスを用いることにより、上述のように配線の一部をヒューズ103とすることが可能となる。したがって、自発光ディスプレイ101の製造コストを低減することができるのである。
【0162】
第2の理由は、本自発光ディスプレイ101用の発光ダイオード素子102は、最大寸法が100μm以下の微細なサイズで十分な輝度を得ることができ、微細な発光ダイオード素子102を用いることによって自発光ディスプレイ101における製造コストの低減を図ることができるためである。このことは、非常に多数の発光ダイオード素子102を必要とする自発光ディスプレイ101にとっては特に重要である。
【0163】
上記ヒューズ103の構造および動作原理は、上記第1実施の形態におけるヒューズ13の場合と同様である。また、基板105、第1,第2の電極115,116、第1,第2の層間絶縁膜118,119、および、保護膜120の構造および動作原理も、上記第1実施の形態の場合と同様である。また、発光ダイオード素子102の形成方法、発光ダイオード素子102の基板105上への配置方法、および、基板105上での配線形成方法等も、上記第1実施の形態の場合と同様である。
【0164】
以上のごとく、本実施の形態の自発光ディスプレイ101は、複数の行アドレス線Xと複数の列アドレス線Yとの交差位置にマトリクス状に配置された各画素を、発光ダイオード素子102とヒューズ103とが直列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子104で構成している。
【0165】
したがって、ある画素を構成する上記発光ダイオード素子102が短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした発光ダイオード素子102に接続されたヒューズ103が断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした発光ダイオード素子102が属する画素と行アドレス線Xあるいは列アドレス線Yを共有する他の画素に属する発光ダイオード素子102は引続き発光することができ、一つの発光ダイオード素子102の短絡不良によってライン不良が生じてしまうことを防止することができる。したがって、自発光ディスプレイ101の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0166】
さらに、上記基板105上に複数の発光ダイオード素子102を配置し、さらに、複数の発光ダイオード素子102を接続する配線を形成し、この配線の一部でヒューズ103を構成している。したがって、基板105上に形成された上記配線は、複数の発光ダイオード素子102を接続する役割と、発光ダイオード素子102に直列に接続されたヒューズ103の役割とを、兼ねることができる。その結果、別途ヒューズ103を形成するための工程を追加する必要がなく、自発光ディスプレイ101の製造コストを低減することができるのである。
【0167】
さらに、上記発光ダイオード素子102の最大寸法を100μm以下としている。このように、発光ダイオード素子102の最大寸法を100μm以下とすることによって、基板105上に複数の発光ダイオード素子102を配置して配線する場合に、集積回路やTFT形成のプロセスを用いることができる。したがって、上記配線の一部をヒューズ103とすることが可能になり、非常に多数の発光ダイオード素子102を必要とする自発光ディスプレイ101の製造コストを低減することができる。
【0168】
(変形例)
図28は、本実施の形態の自発光ディスプレイにおける変形例を示す回路図である。
【0169】
図28において、本自発光ディスプレイ121は、パッシブマトリクス方式のディスプレイであり、図28に示すように、行アドレス線Xb1と列アドレス線Yb1との交差位置には、発光ダイオード素子122とヒューズ123とが直列に接続されてなる複数のヒューズ付き発光ダイオード素子124が配置されて1画素を構成している。ここで、ヒューズ123は、このヒューズ123と直列に接続された発光ダイオード素子122に、予め設定された設定電流を超える電流が流れると、電流を遮断する。尚、図28では、表示を簡単にするために1画素のみの回路を示している。
【0170】
本変形例の自発光ディスプレイ121が上記自発光ディスプレイ101と異なるのは、各画素において、複数のヒューズ付き発光ダイオード素子124が並列に接続されている点である。
【0171】
以上の構成によれば、各画素を構成する発光ダイオード素子122の夫々には、上記設定電流を超えた場合に電流を遮断するヒューズ123が直列に接続されている。そのために、ある画素に属する発光ダイオード素子122が短絡不良を起こした場合であってもヒューズ123が断線して過電流を遮断し、他の画素に属する発光ダイオード素子122は引続き発光することができる。したがって、発光ダイオード素子122の短絡不良に起因するライン不良を防止することができる。
【0172】
さらに、短絡不良を起こした発光ダイオード素子122が属する画素内においても、短絡不良を起こした発光ダイオード素子122以外の発光ダイオード素子122は、引続き発光することができる。すなわち、発光ダイオード素子122の短絡不良に起因するライン不良のみならず画素不良も防止することができる。
【0173】
したがって、本変形例によれば、上記自発光ディスプレイ121の歩留りをさらに向上させ、故障率をさらに低減することができるのである。
【0174】
尚、上記各画素を構成するヒューズ付き発光ダイオード素子124の並列数は、5以上且つ20以下にするのが好ましい。上記並列数が5を下回る場合には、発光ダイオード素子122が1つ短絡不良を起こしたときの該当画素の輝度変化が大きくなり、上記並列数が20を超える場合には、発光ダイオード素子122数を増加したことによるコスト増が大きくなるためである。
【0175】
・第7実施の形態
図29は、本実施の形態の自発光ディスプレイにおける回路図である。図30は、本自発光ディスプレイにおける1画素の概略の平面図である。図31は、図30におけるD‐D'矢視断面図である。図32は、図30におけるE‐E'矢視断面図である。図33は、図30におけるF‐F'矢視断面図である。
【0176】
本実施の形態の自発光ディスプレイ131はアクティブマトリクス方式のディスプレイであり、図29に示すように、行アドレス線Xc1,Xc2と列アドレス線Yc1,Yc2との交差位置の夫々に、発光ダイオード素子132とヒューズ133とが直列に接続されて構成されたヒューズ付き発光ダイオード素子134が、トランジスタT1,T2およびキャパシタCと共に配置されて、画素を構成している。また、列方向に、各画素の列に対応して電源線VS1,VS2が配列されている。ここで、ヒューズ133は、このヒューズ133と直列に接続された発光ダイオード素子132に、予め設定された設定電流を超える電流が流れると、電流を遮断する。
【0177】
上記行アドレス線Xc1,Xc2に選択電圧パルスが供給され、列アドレス線Yc1,Yc2にデータ信号が送出される。そして、上記選択電圧パルスがトランジスタT1のゲートに入力されてトランジスタT1がオンすると、上記データ信号は、トランジスタT1のソースからドレインに伝達されてキャパシタCに電圧として記憶される。トランジスタT2は発光ダイオード素子132の駆動用トランジスタである。
【0178】
上記発光ダイオード素子132は、上記トランジスタT2および電源線VS1を介して電源Vs(図示せず)に接続されている。したがって、トランジスタT1からのデータ信号でトランジスタT2がオンすることによって、発光ダイオード素子132は電源Vsによって駆動される。そして、電源Vsからヒューズ付き発光ダイオード素子134に流れた電流は、さらに共通の接地電極に流れる。
【0179】
すなわち、上記各画素のヒューズ付き発光ダイオード素子134の一端は、トランジスタT2および電源線VS1,VS2を介して共通の電源線(図示せず)に接続される一方、他端は、共通の接地電極(共通の電源線)に接続されている。換言すれば、全てのヒューズ付き発光ダイオード素子134は、共通の電源線に接続されて電源Vsから電流の供給を受けているのである。
【0180】
ここで、上記発光ダイオード素子132が短絡不良を起こすと、ヒューズ133が存在しない場合には、他の発光ダイオード素子132が発光不良を起こして致命的な不良を生ずることになる。しかしながら、各画素に属する発光ダイオード素子132にはヒューズ133が直列に接続されているため、発光ダイオード素子132が短絡不良を起こした際にはヒューズ133が断線し、致命的な不良を阻止することができるのである。
【0181】
図29に示すように、上記各画素に唯1つのヒューズ付き発光ダイオード素子134を配置した場合には、本自発光ディスプレイ131はモノクロディスプレイとして機能することになる。また、上記各画素に、RGBの3原色あるいはRGBYの4原色に対応する3個あるいは4個のヒューズ付き発光ダイオード素子を規則的に配置した場合には、本自発光ディスプレイ131はカラーディスプレイとして機能することが可能になる。
【0182】
以上のごとく、本自発光ディスプレイ131においては、各画素を構成する発光ダイオード素子132の夫々に、上記設定電流を超える電流が流れた場合に電流を遮断するヒューズ133が直列に接続されている。そのため、ある画素に属する発光ダイオード素子132が短絡不良を起こした場合であっても接続されたヒューズ133が断線して過電流を遮断することができる。したがって、他の画素に属する発光ダイオード素子132は引続き発光することができる。すなわち、一つの発光ダイオード素子132の短絡不良によって深刻な不良を起こすことを防止することができる。したがって、自発光ディスプレイ131の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0183】
以下、本実施の形態における自発光ディスプレイ131の好適な実施例を詳細に説明する。
【0184】
図30〜図33に示すように、本実施の形態の自発光ディスプレイ131では、基板135上に、画素毎に発光ダイオード素子132が配置されている。
【0185】
上記発光ダイオード素子132は、上記第1実施の形態における図4と同様に、棒状の第1導電型の半導体コア136の周囲を、発光層と第2導電型の半導体シェル137とでこの順序で覆った構造を有している。そして、棒状の半導体コア136の一端が、半導体シェル137から露出している。
【0186】
図31および図32に示すように、上記基板135上には、最下層から最上層に向かって順に第1層配線,第2層配線,第3層配線および第4層配線の4層の配線が形成されている。
【0187】
上記第1層配線は、金属膜からなり、行アドレス線138、トランジスタT1,T2のゲート電極、キャパシタCのパッド電極139、トランジスタT1のドレイン電極からトランジスタT2のゲート電極への配線の一部となるパッド電極140、および、ヒューズ133の一部となる第1層配線狭小部141を構成している。
【0188】
上記第2層配線は、多結晶シリコン膜からなり、列アドレス線142、電源線143、キャパシタCの対向電極144、トランジスタT1のソース電極,チャネル領域145,ドレイン電極、および、トランジスタT2のソース電極,チャネル領域146,ドレイン電極を構成している。尚、多結晶シリコンからなる上記第2層配線は、配線または電極として用いられる領域においては、n型の不純物を1020cm-3程度ドープしている。これに対して、トランジスタT1のチャネル領域145およびトランジスタT2のチャネル領域146として用いられる領域においては無ドープである。
【0189】
上記第3層配線は、金属膜からなり、ヒューズ133の一部となる第3層配線狭小部147を構成している。
【0190】
上記第4層配線は、透明のITO(Indium Tin Oxide)膜からなり、共通の接地電極148を構成している。
【0191】
上記列アドレス線142は、トランジスタT1およびコンタクト孔149を介してトランジスタT2のゲート電極に接続されている。さらに、列アドレス線142は、トランジスタT1を介して、キャパシタCの一方の電極(対向電極144)に接続されている。キャパシタCの上記一方の電極と対向する他方の電極(パッド電極139)は、コンタクト孔150を介して、共通の接地電極148に接続されている。
【0192】
上記第1層配線狭小部141,ビア151および第3層配線狭小部147はヒューズ133を構成しており、発光ダイオード素子132と直列に接続されている。そして、発光ダイオード素子132とヒューズ133とで、ヒューズ付き発光ダイオード素子134を構成している。
【0193】
上記電源線143は、トランジスタT2およびコンタクト孔152を介して、発光ダイオード素子132の半導体シェル137に接続されている。ヒューズ133の一端は、発光ダイオード素子132の半導体コア136に接続されており、他端はコンタクト孔153を介して共通の接地電極148に接続されている。
【0194】
上記基板135上であって、発光ダイオード素子132が配置されている箇所には、第1の電極154および第2の電極155が形成されており、第1の電極154および第2の電極155は絶縁膜156によって覆われている。尚、この第1の電極154および第2の電極155は、発光ダイオード素子132を基板135上に配置する際に用いるものであって、発光ダイオード素子132が配置された後においては、電極や配線として使用されるものではない。発光ダイオード素子132を基板135上に配置する方法は、上記第1実施の形態において図9〜図13で説明した方法と同様である。
【0195】
上記第2層配線と基板135との間、上記第2層配線と上記第1層配線との間、上記第2層配線と発光ダイオード素子132との間には、透明な第1の層間絶縁膜157が形成されている。また、上記第3層配線と上記第2層配線との間には、透明な第2の層間絶縁膜158が形成されている。また、上記第4層配線と上記第3層配線との間には、透明な第3の層間絶縁膜159が形成されている。
【0196】
上記ヒューズ133の構造および動作原理は、上記第1実施の形態におけるヒューズ13の場合と同様である。また、基板135、第1,第2の電極154,155、第1,第2層間絶縁膜157,158の構造および動作原理も、上記第1実施の形態の場合と同様である。また、発光ダイオード素子132の形成方法および発光ダイオード素子132の基板135上への配置方法も、上記第1実施の形態の場合と同様である。また、基板135上での配線形成方法は、配線が4層である点において上記第6実施の形態の場合とは異なるが、通常のTFTプロセスおよびICプロセスを用いて行うことができる。
【0197】
以上のごとく、本実施の形態の自発光ディスプレイ131は、複数の行アドレス線Xcと複数の列アドレス線Ycとの交差位置にマトリクス状に配置された各画素を、発光ダイオード素子132とヒューズ133とが直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子134を含んで構成している。
【0198】
したがって、ある画素を構成する上記発光ダイオード素子132が短絡不良を起こしても、短絡不良を起こした発光ダイオード素子132に接続されたヒューズ133が断線して過電流を遮断することができる。その結果、短絡不良を起こした発光ダイオード素子132が属する画素とは異なる他の画素に属する発光ダイオード素子132は引続き発光することができ、一つの発光ダイオード素子132の短絡不良によって致命的な不良が生じてしまうことを防止することができる。したがって、自発光ディスプレイ131の歩留りを向上させ、故障率を低減することができるのである。
【0199】
さらに、上記基板135上に複数の発光ダイオード素子132を配置し、さらに、複数の発光ダイオード素子132を接続する配線を形成し、この配線の一部でヒューズ133を構成している。したがって、基板135上に形成された上記配線は、複数の発光ダイオード素子132を接続する役割と、発光ダイオード素子132に直列に接続されたヒューズ133の役割とを、兼ねることができる。その結果、別途ヒューズ133を形成するための工程を追加する必要がなく、自発光ディスプレイ131の製造コストを低減することができるのである。
【0200】
さらに、上記発光ダイオード素子132の最大寸法を100μm以下とすることによって、基板135上に複数の発光ダイオード素子132を配置して配線する場合に、集積回路やTFT形成のプロセスを用いることができる。したがって、上記配線の一部をヒューズ133とすることが可能になり、非常に多数の発光ダイオード素子132を必要とする自発光ディスプレイ131の製造コストを低減することができる。
【0201】
尚、本実施の形態の場合にも、上記第6実施の形態の変形例(図28)の場合のように、各画素を、並列に接続された複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を含んで構成することも可能である。
【符号の説明】
【0202】
11,41,51,61,84,93…発光装置、
12,42,52,64,65,102,122,132…発光ダイオード素子、
13,43,53,68,103,123,133…ヒューズ、
14,44,54,69,70,104,124,134…ヒューズ付き発光ダイオード素子、
15,55,71…並列構成単位、
16,45,56,66…発光ダイオード素子回路、
17,18,46,57,58,62,63,143…電源線、
19,47,59…電源、
20,105,135…基板、
21,106,136…半導体コア、
22…発光層、
23,107,137…半導体シェル、
24,110,141…第1層配線狭小部、
25,111,151…ビア、
26,112…第2層配線狭小部、
27,28,113,114,149,150,152,153…コンタクト孔、
29,30,115,116,154,155…電極、
31,117,156…絶縁膜、
32,33,118,119,157,158,159…層間絶縁膜、
34,120…保護膜、
35…サファイア基板、
36…シリコン酸化膜、
37…金属触媒粒、
38…イソプロピルアルコール(IPA)、
48…制御回路、
67…交流電源、
81…LED電球、
82…発光モジュール、
91…バックライト、
92…支持基板、
101,121,131…自発光ディスプレイ、
108,142…列アドレス線、
109,138…行アドレス線、
139…キャパシタのパッド電極、
140…パッド電極、
144…キャパシタの対向電極、
145,146…チャネル領域、
147…第3層配線狭小部、
148…接地電極、
T1,T2…トランジスタ、
C…キャパシタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード素子と、予め設定された設定電流を超えた電流が流れると電流を遮断するヒューズとが、直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子と、
複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子が並列に接続された並列構成単位と、
少なくとも1つの上記並列構成単位を有する発光ダイオード素子回路と、
上記発光ダイオード素子回路に接続されると共に、電流源から上記発光ダイオード素子回路に電流を供給する第1の電源線および第2の電源線と
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
上記発光ダイオード素子回路内の上記各ヒューズ付き発光ダイオード素子と上記第2の電源線との間に制御回路を介設した
ことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の発光装置において、
上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子は単一の基板上に配置されている
ことを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の発光装置において、
上記発光ダイオード素子の最大寸法は100μm以下であり、
上記発光ダイオード素子の個数は100個以上である
ことを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1に記載の発光装置において、
上記発光ダイオード素子回路は、複数の上記並列構成単位が直列に接続されて構成されている
ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置において、
上記各並列構成単位に含まれる複数の上記発光ダイオード素子は、
上記第1の電源線を上記第2の電源線よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第1の発光ダイオード素子と、
上記第2の電源線を上記第1の電源線よりも高電位とした場合に順方向になるように配置された第2の発光ダイオード素子と
が、混在しており、
上記第1の電源線および第2の電源線は、上記電流源から上記発光ダイオード素子回路に交流電流を供給する
ことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項3に記載の発光装置において、
上記単一の基板上には、上記複数の発光ダイオード素子を接続する配線が形成されており、
上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を構成する上記複数のヒューズは、上記配線の一部で構成されている
ことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
発光ダイオード素子と、予め設定された設定電流を超えた電流が流れると電流を遮断するヒューズとが、直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子と、
複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端が互いに接続された発光ダイオード素子回路と、
上記発光ダイオード素子回路における上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子の上記一端に接続されると共に、電流源から上記発光ダイオード素子回路に電流を供給する電源線と
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項9】
放熱板上に発光装置を実装した発光モジュールを備え、
上記発光装置は、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置である
ことを特徴とする照明装置。
【請求項10】
放熱機能を有する支持基板と、
上記支持基板上に実装された複数の発光装置と
を備え、
上記発光装置は、請求項1から請求項8までの何れか一つに記載の発光装置である
ことを特徴とするバックライト。
【請求項11】
一方向に配列された複数の第1の配線と、
上記一方向に略直交する他方向に配列された複数の第2の配線と、
上記第1の配線と上記第2の配線との交差位置にマトリクス状に配列された複数の画素と
を備え、
上記複数の画素の夫々は、発光ダイオード素子と、予め設定された設定電流を超えた電流が流れると電流を遮断するヒューズとが、直列に接続されたヒューズ付き発光ダイオード素子を含み、
上記第1の配線および上記第2の配線の何れか一方の配線は、当該配線に沿って配列された上記各画素に属する上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端に接続されており、
上記第1の配線および上記第2の配線のうちの上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端に接続されている方の配線は、電流源から電流が供給される電源線に接続されている
ことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項12】
請求項11に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記電源線は、上記第1の配線および上記第2の配線のうち、上記ヒューズ付き発光ダイオード素子の一端に接続されている方の配線の全てに共通に接続されている
ことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項13】
請求項11あるいは請求項12に記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記複数の画素の夫々には、並列に接続された複数の上記ヒューズ付き発光ダイオード素子が含まれている
ことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項14】
請求項11から請求項13までの何れか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記発光ダイオード素子の最大寸法は100μm以下である
ことを特徴とする自発光ディスプレイ。
【請求項15】
請求項11から請求項14までの何れか一つに記載の自発光ディスプレイにおいて、
上記複数の画素の夫々に含まれる上記複数の発光ダイオード素子は基板上に配置されており、
上記基板上には、上記複数の発光ダイオード素子を接続する配線が形成されており、
上記複数のヒューズ付き発光ダイオード素子を構成する上記複数のヒューズは、上記配線の一部で構成されている
ことを特徴とする自発光ディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−4792(P2013−4792A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135241(P2011−135241)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】