説明

発光部品、プリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】複数の発光素子が列状に配列された発光素子アレイのそれぞれの発光素子の発光面にレンズを設けることにより、効率よく光を取り出すことのできる発光部品等を提供する。
【解決手段】第1アイランド301には、発光サイリスタL1が設けられている。発光サイリスタL1の発光面311上には、発光面311と交差する方向に開口された開口部92aと、開口部92aの発光面311から遠い側の端に連続し、開口部92aから発光面311に沿う方向に遠ざかるとともに発光面311に近づくとともに、発光面311から遠ざかる方向に凸面状である表面(曲面92c)を有する曲面部92bとを備えたレンズ92が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部品、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部品において、発光素子の発光面から出射した光を予め定められた方向に集光して、光を効率よく取り出すために、発光面に対応するようにレンズ(マイクロレンズまたはマイクロビーズ)を設けることが行われている。
【0003】
特許文献1には、円形の底面、側面、及び、頂面を有し、該底面の中心部に有限の大きさを有する面光源を配する光取出しレンズであって、底面の中心を原点とし、底面の中心を通る法線をz軸とする円筒座標(r,φ,z)を想定したとき、頂面は、面光源から射出される半全立体角放射光のうち、側面と頂面の交わる部分における極角Θよりも小さい極角を有する放射光成分の一部分を全反射させるための、z軸に対して回転対称である非球面から成る光取出しレンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−102139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の発光素子が列状に配列された発光素子アレイのそれぞれの発光素子からレンズ効果を用いて効率よく光を取り出すことのできる発光部品等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、基板上に列状に配置された複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子の光を出射する発光面に対向してそれぞれ設けられ、当該発光面と交差する方向に筒状に開口された開口部と、当該開口部の周囲に当該発光素子上に配置され、当該開口部から当該発光面に沿う方向に遠ざかるにしたがって当該発光面に近づくとともに、凸面状となっている表面を有する曲面部とを備え、当該発光素子が出射する光を集光する複数のレンズとを備える発光部品である。
請求項2に記載の発明は、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子の前記発光面は、前記複数のレンズにおける当該発光素子に対応するレンズが前記開口部を有せず凸面状の表面を当該開口部に延長した形状であるときの焦点の位置より当該レンズの主点側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光部品である。
請求項3に記載の発明は、前記複数のレンズのそれぞれのレンズの前記開口部は、前記複数の発光素子における当該レンズに対応する発光素子の前記発光面の発光強度が大きい部分に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光部品である。
請求項4に記載の発明は、前記複数のレンズのそれぞれのレンズと、前記複数の発光素子における当該レンズに対応する発光素子との間に、当該発光素子の出射する光を透過する台座をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光部品である。
請求項5に記載の発明は、前記複数の発光素子は、自己走査型発光素子アレイが備える複数の発光サイリスタであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光部品である。
請求項6に記載の発明は、基板上に列状に配置された複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子の光を出射する発光面に対向してそれぞれ設けられ、当該発光面と交差する方向に筒状に開口された開口部と、当該開口部の周囲に当該発光素子上に配置され、当該開口部から当該発光面に沿う方向に遠ざかるにしたがって当該発光面に近づくとともに、凸面状となっている表面を有する曲面部とを備え、当該発光素子が出射する光を集光する複数のレンズとを備える発光手段と、前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段とを備えたプリントヘッドである。
請求項7に記載の発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、基板上に列状に配置された複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子の光を出射する発光面に対向してそれぞれ設けられ、当該発光面と交差する方向に筒状に開口された開口部と、当該開口部の周囲に当該発光素子上に配置され、当該開口部から当該発光面に沿う方向に遠ざかるにしたがって当該発光面に近づくとともに、凸面状となっている表面を有する曲面部とを備え、当該発光素子が出射する光を集光する複数のレンズとを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、開口部を有しないレンズを用いた場合に比べて、より効率よく光を取り出すことができる。
請求項2の発明によれば、発光面を焦点の位置より外に設けた場合に比べて、より光を集光することができる。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、さらに効率よく光を取り出すことができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、より容易にレンズの形成ができる。
請求項5の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、発光部品をより小型化できる。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、プリントヘッドの光利用効率がより向上する。
請求項7の発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画像形成における消費電力をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】プリントヘッドの構成を示した断面図である。
【図3】発光装置の上面図である。
【図4】発光チップの構成、発光装置の信号発生回路の構成および回路基板上の配線(ライン)の構成を示した図である。
【図5】自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図6】第1の実施の形態が適用される発光チップの平面レイアウト図および断面図である。
【図7】第1の実施の形態の発光チップを製造する方法を説明する断面図である。
【図8】発光装置および発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】発光サイリスタの発光面と開口部を有しないレンズとの関係を、光軸を含む断面において示す模式図である。
【図10】発光サイリスタの発光面と開口部を有するレンズとの関係を、光軸を含む断面において示す模式図である。
【図11】シミュレーションに用いたレンズの形状を示した図である。
【図12】レンズの開口部の中心と発光面の中心とを一致させない場合の発光チップにおける発光サイリスタ部分の平面レイアウト図および断面図の一例である。
【図13】レンズの開口部が円形でない場合の発光チップにおける発光サイリスタ部分の平面レイアウト図および断面図の一例である。
【図14】第2の実施の形態における発光チップにおける発光サイリスタ部分の平面レイアウト図および断面図の一例である。
【図15】第2の実施の形態の発光チップを製造する方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に複数、配列して発光素子アレイとしたLEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
また、基板上に複数の発光素子が列状に設けられ、順次点灯制御される自己走査型発光素子アレイ(SLED)を搭載する発光チップでは、発光素子として発光サイリスタが使用されている。発光サイリスタは発光ダイオードと異なりpnpn4層構造であり、4層構造のうちの内部の2層で主に発光するため、単純な2層の一般的な発光ダイオードよりも外部に取り出せる光の量(光量)が小さいという特徴がある。よって、発光サイリスタにおいては、それぞれの発光素子から出射される光量を増加させるため、発光素子の光を出射する発光面を広く取るとともに、発光素子から光を効率よく取り出すことがより求められている。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施の形態]
(画像形成装置1)
図1は第1の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0011】
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列に配置される複数のエンジンを含む画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙25に多重転写させるために、この記録用紙25を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙25に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙25にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0012】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0013】
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙25に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙25上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙25は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙25上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙25上に定着され、画像形成装置1から排出される。
【0014】
(プリントヘッド14)
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。露光手段の一例としてのプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(本実施の形態では、発光素子の一例としての発光サイリスタ)を備える光源部63を備えた発光手段の一例としての発光装置65、光源部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、前述した光源部63、光源部63を駆動する信号発生回路110(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
【0015】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、光源部63の発光素子の発光面がロッドレンズアレイ64の焦点面となるように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向であって、後述する図3、図4(b)のX方向)に沿って配置されている。
【0016】
(発光装置65)
図3は、発光装置65の上面図である。
図3に例として示す発光装置65では、光源部63は、回路基板62上に、40個の発光部品の一例としての発光チップC1〜C40が、主走査方向であるX方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。
本明細書では、「〜」は、番号によってそれぞれが区別された複数の構成要素を示すもので、「〜」の前後に記載されたものおよびその間の番号のものを含むことを意味する。例えば、発光チップC1〜C40は、発光チップC1から番号順に発光チップC40までを含む。
【0017】
発光チップC1〜C40の構成は同じであってよい。よって、発光チップC1〜C40をそれぞれ区別しないときは、発光チップCと呼ぶ。
なお、本実施の形態では、発光チップCの数として、合計40個を用いたが、これに限定されない。
そして、発光装置65は、光源部63を駆動する信号発生回路110を搭載している。信号発生回路110は、例えば集積回路(IC)などで構成されている。なお、発光装置65が信号発生回路110を搭載していなくともよい。このときは、信号発生回路110は、発光装置65の外部に設けられ、発光チップC1〜C40を制御する制御信号などを、ケーブルなどを介して供給する。ここでは、発光装置65は信号発生回路110を備えているとして説明する。
発光チップC1〜C40の配列についての詳細は後述する。
【0018】
図4は、発光チップCの構成、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示した図である。図4(a)は発光チップCの構成を示し、図4(b)は発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を示している。
【0019】
はじめに、図4(a)に示す発光チップCの構成を説明する。
発光チップCは、表面形状が矩形である基板80の表面において、長辺の一辺に近い側に長辺に沿って列状に設けられた複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)から構成される発光部102を備えている。さらに、発光チップCは、基板80の表面の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むための複数のボンディングパッドである端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)を備えている。なお、これらの端子は、基板80の一端部からφ1端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の他端部からφI端子、φ2端子の順に設けられている。そして、発光部102は、Vga端子とφ2端子との間に設けられている。さらに、基板80の裏面にはVsub端子として裏面電極85(後述する図6参照)が設けられている。
【0020】
なお、「列状」とは、図4(a)に示したように複数の発光素子が一直線上に配置されている場合に限らず、複数の発光素子のそれぞれの発光素子が、列方向と直交する方向に対して、互いに異なるずれ量を有して配置されている状態でもよい。例えば、発光素子の発光面311(後述する図6参照)を画素としたとき、それぞれの発光素子が、列方向と直交する方向に数画素分または数十画素分のずれ量をもって配置されていてもよい。また、隣接する発光素子間で交互に、または複数の発光素子毎に、ジグザグに配置されていてもよい。
【0021】
次に、図4(b)により、発光装置65の信号発生回路110の構成および回路基板62上の配線(ライン)の構成を説明する。
前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路110および発光チップC1〜C40が搭載され、信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線(ライン)が設けられている。
【0022】
まず、信号発生回路110の構成について説明する。
信号発生回路110には、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。信号発生回路110は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップC1〜C40に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を送信する転送信号発生部120を備えている。
そしてまた、信号発生回路110は、各種の制御信号に基づき、発光チップC1〜C40に、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ送信する点灯信号発生部140を備えている。なお、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ区別しないときは点灯信号φIと表記する。
さらにまた、信号発生回路110は、発光チップC1〜C40に電位の基準となる基準電位Vsubを供給する基準電位供給部160、発光チップC1〜C40の駆動のための電源電位Vgaを供給する電源電位供給部170を備えている。
【0023】
次に、発光チップC1〜C40の配列について説明する。
奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…は、それぞれの基板80の長辺方向に間隔を設けて一列に配列されている。偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…も、同様にそれぞれの基板80の長辺の方向に間隔を設けて一列に配列されている。そして、奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…と偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…とは、発光チップCに設けられた発光部102側の長辺が向かい合うように、互いに180°回転した状態で千鳥状に配列されている。そして、発光チップC間においても発光素子が主走査方向(X方向)に予め定められた間隔で並ぶように位置が設定されている。なお、図4(b)の発光チップC1、C2、C3、…に、図4(a)に示した発光部102の発光素子の並び(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…の番号順)の方向を矢印で示している。
【0024】
信号発生回路110と発光チップC1〜C40とを接続する配線(ライン)について説明する。
回路基板62には、発光チップCの基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85(後述の図6参照)に設けられたVsub端子に接続され、基準電位Vsubを供給する電源ライン200aが設けられている。
そして、回路基板62には、発光チップCに設けられたVga端子に接続され、駆動のための電源電位Vgaを供給する電源ライン200bが設けられている。
【0025】
回路基板62には、信号発生回路110の転送信号発生部120から、発光チップC1〜C40のφ1端子に第1転送信号φ1を送信するための第1転送信号ライン201、発光チップC1〜C40のφ2端子に第2転送信号φ2を送信するための第2転送信号ライン202が設けられている。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2は、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
【0026】
そしてまた、回路基板62には、信号発生回路110の点灯信号発生部140から、各発光チップC1〜C40のそれぞれのφI端子に、それぞれ電流制限抵抗RIを介して、点灯信号φI1〜φI40を送信する点灯信号ライン204−1〜204−40が設けられている。
【0027】
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に、基準電位Vsub、電源電位Vgaが共通に供給される。第1転送信号φ1、第2転送信号φ2も、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。一方、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップC1〜C40にそれぞれ個別に送信される。
なお、発光装置65が、信号発生回路110を備えない場合には、発光装置65には、電源ライン200a、200b、第1転送信号ライン201、第2転送信号ライン202、点灯信号ライン204−1〜204−40は、信号発生回路110の代わりにコネクタなどに接続される。そして、コネクタなどに接続されるケーブルにより外部に設けられた信号発生回路110に接続される。
【0028】
(発光チップC)
図5は、自己走査型発光素子アレイ(SLED)が搭載された発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。以下において説明する各素子は、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)を除き、発光チップC上のレイアウト(後述する図6参照)に基づいて配置されている。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)の位置は、図4(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端に示している。そして、基板80の裏面に設けられたVsub端子を、基板80の外に引き出して示している。
ここでは、信号発生回路110との関係において発光チップC1を例に、発光チップCを説明する。そこで、図5において、発光チップCを発光チップC1(C)と表記する。他の発光チップC2〜C40の構成は、発光チップC1と同じである。
【0029】
発光チップC1(C)は、前述したように基板80上に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…から構成される発光サイリスタ列(発光部102(図4(a)参照))を備えている。
そして、発光チップC1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…から構成される転送サイリスタ列を備えている。
【0030】
また、発光チップC1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにして、それぞれのペアの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備えている。
さらに、発光チップC1(C)は、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…を備えている。
【0031】
また、発光チップC1(C)は、1個のスタートダイオードDx0を備えている。そして、後述する第1転送信号φ1が送信される第1転送信号線72と第2転送信号φ2が送信される第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止するために設けられた電流制限抵抗R1、R2を備えている。
【0032】
発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…は、図5中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…も、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列は、図5において上から、転送サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
【0033】
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…をそれぞれ区別しないときは、発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgxと表記する。
【0034】
発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。本実施の形態で、発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタTの数も128個である。同様に、電源線抵抗Rgxの数も128個である。しかし、結合ダイオードDxの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127個である。
なお、転送サイリスタTの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
【0035】
上記のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT)は、ゲート端子、アノード端子、カソード端子の3端子を有する半導体素子である。
【0036】
では次に、発光チップC1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、発光サイリスタLのそれぞれのアノード端子は、発光チップC1(C)の基板80に接続されている(アノードコモン)。
そして、これらのアノード端子は、基板80裏面に設けられたVsub端子である裏面電極85(後述の図6参照)を介して電源ライン200a(図4(b)参照)に接続されている。この電源ライン200aは、基準電位供給部160から基準電位Vsubが供給される。
【0037】
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号(奇数番目)の転送サイリスタT1、T3、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン201(図4(b)参照)が接続され、点灯信号発生部140から第1転送信号φ1が送信される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号(偶数番目)の転送サイリスタT2、T4、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン202(図4(b)参照)が接続され、点灯信号発生部140から第2転送信号φ2が送信される。
【0038】
発光サイリスタL1、L2、L3、…のカソード端子は、点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75は、φI端子に接続されている。発光チップC1では、φI端子は、電流制限抵抗RIを介して点灯信号ライン204−1に接続され、点灯信号発生部140から点灯信号φI1が送信される。点灯信号φI1は、発光サイリスタL1、L2、L3、…に点灯のための電流を供給する。なお、他の発光チップC2〜C40のφI端子には、それぞれ電流制限抵抗RIを介して点灯信号ライン204−2〜204−40が接続され、点灯信号発生部140から点灯信号φI2〜φI40が送信される。
【0039】
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で接続されている。よって、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…とゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…とは、同じ番号のものが電気的に同電位になっている。よって、例えばゲート端子Gt1(ゲート端子Gl1)と表記して、電位が同じであることを示す。
【0040】
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…をそれぞれ区別しないときは、ゲート端子Gt、ゲート端子Glと表記する。そして、ゲート端子Gt(ゲート端子Gl)と表記して、電位が同じであることを示す。
【0041】
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…はそれぞれがゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードDx1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4、…についても同様である。
【0042】
転送サイリスタTのゲート端子Gt(ゲート端子Gl)は、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgxを介して、電源線71に接続されている。電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子には、電源ライン200b(図4(b)参照)が接続され、電源電位供給部170から電源電位Vgaが供給される。
【0043】
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。一方、スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
【0044】
図5において、発光チップC1(C)の転送サイリスタT、結合ダイオードDx、電源線抵抗Rgx、スタートダイオードDx0、電流制限抵抗R1、R2を備える部分を転送部101と表記する。そして、発光サイリスタLを備える部分が発光部102に該当する。
【0045】
図6は、第1の実施の形態が適用される発光チップCの平面レイアウト図および断面図の一例である。ここでは、発光チップCと信号発生回路110との接続関係を示さないので、発光チップC1を例とすることを要しない。よって、発光チップCと表記する。
図6(a)は、発光チップCの平面レイアウト図であって、発光サイリスタL1〜L4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。なお、端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φI端子)の位置は、図4(a)と異なるが、説明の便宜上、図中左端部に示している。そして、基板80の裏面に設けられたVsub端子は、基板80の外に引き出して示している。図4(a)に対応させて端子を設けるとすると、φ2端子、φI端子、電流制限抵抗R2は、図6(a)において基板80の右端部に設けられる。また、スタートダイオードDx0は基板80の右端部に設けられてもよい。
図6(b)は、図6(a)に示したVIB−VIB線での断面図である。よって、図6(b)の断面図には、図中下より発光サイリスタL1、転送サイリスタT1、結合ダイオードDx1、電源線抵抗Rgx1の断面が示されている。なお、図6(a)および(b)の図中には、主要な素子や端子を名前により表記している。
【0046】
発光チップCは、図6(b)に示すように、p型の基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84が順に積層された複数の島(アイランド)(後述する第1アイランド301、第2アイランド302、第3アイランド303など)から構成されている。すなわち、これらの複数のアイランドは、図6(b)に示すように、少なくともn型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84が相互に分離されている。なお、p型の第1半導体層81は、分離されていても、されていなくともよい。図6(b)では、p型の第1半導体層81は、厚さ方向に一部が分離されている。また、p型の第1半導体層81が基板80を兼ねてもよい。
さらに、以下に説明するように、複数のアイランドは、n型の第4半導体層84を部分的に有している(例えば、後述する第1アイランド301)か、n型の第4半導体層84を有していない(例えば、後述する第3アイランド303)。
そして、発光チップCには、図6(b)に示すように、これらのアイランドの表面および側面を覆うように設けられた絶縁層86が設けられている。そして、これらのアイランドと電源線71、第1転送信号線72、第2転送信号線73、点灯信号線75などの配線とが、絶縁層86に設けられたスルーホール(図6(a)では○で示す。)を介して接続されている。以下の説明では、絶縁層86および開口についての説明を省略する。
【0047】
図6(a)に示すように、第1アイランド301には、発光サイリスタL1が設けられている。そして、図6(b)に示すように、発光サイリスタL1のn型の第4半導体層84の表面(p型の基板80の反対側)である発光面311に対向して、レンズ92が設けられている。
発光サイリスタLでは、主にn型の第2半導体層82とp型の第3半導体層83とで発光する。ここでは、カソードとして働くn型の第4半導体層84から光を取り出すため、発光サイリスタLのn型の第4半導体層84の表面を発光面311と表記する。
ここでは、発光面311の平面形状は正方形であるとし、n型オーミック電極321が発光面311の中央に設けられているとして説明する。
【0048】
レンズ92は、発光サイリスタL1の発光面311、n型オーミック電極321を覆う絶縁層86およびn型オーミック電極321に絶縁層86に設けられたスルーホールを介して接続された点灯信号線75(枝部75b)上に設けられている。
そして、レンズ92は、図6(b)に示すように、発光面311と交差する方向に筒状に開口された開口部92aと、開口部92aの周囲に発光サイリスタL1上に配置され、開口部92aから発光面311に沿う方向に遠ざかるにしたがって発光面311に近づくとともに、凸面状となっている表面(曲面92c)を有する曲面部92bとを備えている。
なお、曲面部92bは、開口部92aの発光面311から遠い側の端に連続している。
レンズ92は、発光面311に垂直な光軸を有し且つ表面が凸面状のレンズに、光軸に沿って円筒状に開口部92aを設けた構成と考えることもできる。すなわち、発光面311に垂直な光軸を有し且つ表面が凸面状のレンズから、開口部92aを除いた部分が曲面部92bである。
以下では、曲面部92bは開口部92aを囲んでいるとして説明する。しかし、曲面部92bは、開口部92aを完全に囲むことを要せず、一部または複数の部分で開いていてもよい。
【0049】
開口部92aの内側面92dは、発光面311から立ち上がるとともに、発光面311から遠い側の端は、曲面部92bの曲面92cにつながっている。なお、開口部92aの内側面92dは、図6(b)において、発光面311に対して垂直に記載しているが、必ずしも垂直でなくてもよく、発光面311に対して傾いていてもよい。さらに、開口部92aは、発光面311から近い側と、遠い側とで、断面の形状が同じでなくてもよく、いずれか一方が他方に比べて大きくなっていてもよい。また、開口部92aは、発光面311に対して近い側と遠い側との間において、断面の形状が変化してもよい。
【0050】
以上説明したように、レンズ92は、開口部92aと曲面部92bとを備えている。そして、曲面部92bは、発光サイリスタL上に接して設けられ、曲面92cと、開口部92aの内側面92dとで囲まれている。
【0051】
そして、開口部92aの中心は、発光面311の中心と一致させている。ここで、開口部92aの中心とは、開口部92aの発光面311側の端部を発光面311に投影したときにできる面が密度の等しい板と仮定したときの重心をいう。同様に、発光面311の中心とは、発光面311が密度の等しい板と仮定したときの重心をいう。
開口部92aが対向する発光面311の部分を発光面311の中央部と、曲面部92bが対応する発光面311の部分を発光面311の周辺部とする。
【0052】
第2アイランド302には、転送サイリスタT1、結合ダイオードDx1が設けられている。第3アイランド303には、電源線抵抗Rgx1が設けられている。第4アイランド304には、スタートダイオードDx0が設けられている。第5アイランド305には電流制限抵抗R1が、第6アイランド306には電流制限抵抗R2が設けられている。
そして、発光チップCには、第1アイランド301、第2アイランド302、第3アイランド303と同様なアイランドが、並列して複数形成されている。これらのアイランドには、発光サイリスタL2、L3、L4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…、結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4,…等が、第1アイランド301、第2アイランド302、第3アイランド303と同様に設けられている。そして、発光サイリスタL2、L3、…上にそれぞれレンズ92が設けられている。
また、図6(b)に示すように、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面電極85が設けられている。
【0053】
発光サイリスタL1、L2、L3、…にそれぞれ設けられた複数のレンズ92は、発光サイリスタ列の列方向に沿って設けられたレンズ列を構成している。すなわち、レンズ列の列方向には、複数のレンズ92のそれぞれのレンズ92の曲面部92bが互いに接して一体化している(後述する図7(d)参照)。すなわち、レンズ92の曲面92cは、発光面311の面積を超えて広がりうるが、隣接する発光サイリスタL間で重なる部分が切り取られ、曲面部92bが互いに接触して一体化している。
【0054】
一方、レンズ92の曲面部92bは、レンズ列の列方向の両端およびレンズ列の列方向と直交する側において、曲面92cが基板80に垂直な外側面92eで断ち切られている。すなわち、レンズ92の曲面92cは、発光面311の面積を超えて広がりうるが、レンズ列の列方向と直交する側において、発光面311からはみ出した部分が切り取られたようになっている。なお、切り取る部分は、発光サイリスタLから出射された光の取出し効率の改善効果により設定すればよい。
ここでは、隣接する発光サイリスタL間でレンズ92が曲面部92bにおいて互いに接触して一体化していても、発光サイリスタLごとにレンズ92が設けられているとする。
レンズ92の形状については後に詳述する。
【0055】
ここで、図6(a)および(b)により、第1アイランド301〜第6アイランド306について詳細に説明する。
第1アイランド301に設けられた発光サイリスタL1は、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノード端子、n型の第4半導体層84上に設けられたn型オーミック電極321をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極331をゲート端子Gl1とする。そして、光は、発光面311であるn型の第4半導体層84の表面において、n型オーミック電極321および点灯信号線75のn型オーミック電極321との接続のための枝部75bによって光の出射が妨げられる(遮光される)部分を除いた部分から、絶縁層86を透過して出射する。出射した光は、レンズ92で集光されて取り出される。
発光面311における光が出射する部分は、点灯信号線75の枝部75bおよびn型オーミック電極321を取り囲んだ部分であって、馬蹄形となっている。
発光面311の用語は、発光サイリスタL1に限らず、他の発光サイリスタLについても使用する。
【0056】
第2アイランド302に設けられた転送サイリスタT1は、p型の基板80上に設けられたp型の第1半導体層81をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域313上に設けられたn型オーミック電極323をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極332をゲート端子Gt1とする。
同じく、第2アイランド302に設けられた結合ダイオードDx1は、n型の第4半導体層84の領域314上に設けられたn型オーミック電極324をカソード端子、p型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極332をアノード端子とする。結合ダイオードDx1のアノード端子と転送サイリスタT1のゲート端子Gt1とはp型オーミック電極332で共通である。
【0057】
第3アイランド303に設けられた電源線抵抗Rgx1は、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極333とp型オーミック電極334との間のp型の第3半導体層83を抵抗として設けられている。
第4アイランド304に設けられたスタートダイオードDx0は、n型の第4半導体層84の領域315上に設けられたn型オーミック電極325をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極335をアノード端子としている。
第5アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1、第6アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2は、第3アイランド303に設けられた電源線抵抗Rgx1と同様に、それぞれが2個のp型オーミック電極(符号なし)間のp型の第3半導体層83を抵抗としている。
【0058】
図6(a)において、各素子間の接続関係を説明する。
点灯信号線75は幹部75aと複数の枝部75bとを備え、幹部75aは発光サイリスタ列の列方向に延びるように設けられている。枝部75bは幹部75aから枝分かれして、第1アイランド301に設けられた発光サイリスタL1のカソード端子であるn型オーミック電極321と接続されている。他の発光サイリスタLのカソード端子も同様にして、点灯信号線75に接続されている。そして、点灯信号線75はφI端子に接続されている。
【0059】
第1転送信号線72は、第2アイランド302に設けられた転送サイリスタT1のカソード端子であるn型オーミック電極323に接続されている。第2アイランド302と同様なアイランドに設けられた、他の奇数番号の転送サイリスタTのカソード端子も第1転送信号線72に接続されている。第1転送信号線72は、第5アイランド305に設けられた電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。
一方、第2転送信号線73は、符号を付さないアイランドに設けられた偶数番号の転送サイリスタTのカソード端子であるn型オーミック電極(符号なし)に接続されている。第2転送信号線73は、第6アイランド306に設けられた電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
【0060】
電源線71は、第3アイランド303に設けられた電源線抵抗Rgx1の一方の端子であるp型オーミック電極334に接続されている。他の電源線抵抗Rgxの一方の端子も電源線71に接続されている。電源線71はVga端子に接続されている。
【0061】
そして、第1アイランド301に設けられた発光サイリスタL1のp型オーミック電極331(ゲート端子Gl1)は、第2アイランド302のp型オーミック電極332(ゲート端子Gt1)に接続配線76で接続されている。
【0062】
そして、p型オーミック電極332(ゲート端子Gt1)は、第3アイランド303に設けられたp型オーミック電極333(電源線抵抗Rgx1の他方の端子)に接続配線77で接続されている。
第2アイランド302に設けられたn型オーミック電極324(結合ダイオードDx1のカソード端子)は、隣接して設けられている転送サイリスタT2のゲート端子Gt2であるp型オーミック電極(符号なし)に接続配線79で接続されている。
ここでは説明を省略するが、他の発光サイリスタL、転送サイリスタT、結合ダイオードDx等についても同様である。
【0063】
第2アイランド302のp型オーミック電極332(ゲート端子Gt1)は、第4アイランド304に設けられたn型オーミック電極325(スタートダイオードDx0のカソード端子)に接続配線78で接続されている。p型オーミック電極335(スタートダイオードDx0のアノード端子)は、第2転送信号線73に接続されている。
このようにして、図5に示した発光チップC1(C)が構成される。
【0064】
(発光チップCの製造方法)
発光チップCの製造方法について説明する。
まず、レンズ92を設置する前までの発光チップCの製造方法を説明する。
発光チップCは、例えばGaAsやGaAlAsなどの化合物半導体を用い、p型の基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84を順に積層したのち、n型の第4半導体層84と、p型の第3半導体層83と、n型の第2半導体層82と、n型の第2半導体層82との界面から予め定められた深さのp型の第1半導体層81とをエッチングにより除去することで相互に分離された複数のアイランド(第1アイランド301〜第6アイランド306および符号付さないアイランド)を形成する。このようなアイランドはメサと呼ばれ、このようにアイランドを形成するためのエッチングはメサエッチングと呼ばれる。
【0065】
複数のアイランドのうち、一部のアイランドでは、n型の第4半導体層84の一部を除くことにより、他のアイランドでは、n型の第4半導体層84の全部を除くことにより、p型の第3半導体層83を露出させる。
そして、n型の第4半導体層84の表面に、n型オーミック電極321、323、324、325などのn型のオーミック電極を形成し、露出したp型の第3半導体層83の表面にp型オーミック電極331、332、333、334、335などのp型のオーミック電極を形成する。
そして、アイランドの表面および側面を覆うように、例えば二酸化シリコン(SiO)などの絶縁層86を形成する。次に、n型のオーミック電極およびp型のオーミック電極上の絶縁層86に開口を設けたのち、例えばアルミニウム(Al)などの金属膜を堆積し、フォトリソグラフィにより、電源線71、第1転送信号線72、第2転送信号線73、点灯信号線75などの配線に加工する。
これにより、レンズ92を設置する前の発光チップCが製造される。
【0066】
次に、発光チップCのレンズ92を形成する方法を説明する。
レンズ92は、例えばグレースケールリソグラフィ法やインプリント法を用いることにより、形成することができる。
【0067】
図7は、第1の実施の形態の発光チップCを製造する方法を説明する断面図である。図6(a)のVII−VII線での断面で説明する。ここでは、グレースケールリソグラフィ法によって、レンズ92を形成する。
グレースケールリソグラフィ法とは、透過光量(露光量)分布を有するフォトマスク95を用いて行うリソグラフィ法である。フォトマスク95は、例えば露光波長では解像しない微細なドットパターン96を有し、ドットパターン96の密度の分布(密度分布)により、透過光量を制御するものであってよい。ドットパターン96の密度が低い部分は透過光量が大きく、ドットパターン96の密度が高い部分は透過光量が小さい。そこで、透過光量の違いによって、現像後に感光性材料94がレンズ92の曲面部92bの曲面92cの形状になるように、フォトマスク95におけるドットパターン96の分布を設定する。
感光性材料94には、光(露光光)が照射された部分が分解して現像液に溶解しやすくなるポジ型と、光(露光光)が照射された部分が重合して現像液に不溶になるネガ型とがある。
このような感光性材料94としては、ポリイミド樹脂、フェノールエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂などを挙げることができる。
【0068】
ここでは、ポジ型のポリイミド樹脂を感光性材料94とした場合で説明する。
図7(a)は、レンズ92を形成する前の発光チップCである。
図7(b)に示すように、レンズ92を形成する前の発光チップCの表面に、ポジ型のポリイミド樹脂である感光性材料94を塗布する。
【0069】
そして、図7(c)に示すように、フォトマスク95を介して、感光性材料94が感光する露光光97を照射する。
ここで、フォトマスク95は、露光光97に対して透過率が高い合成石英などの基板に、露光光97を遮光するCrなどによるドットパターン96が、透過光量に分布が生じるように設けられている。すなわち、レンズ92の曲面部92bに対応する部分では、曲面92cに対応して開口部92aから遠ざかるにしたがいドットパターン96の密度が低くなるようにしている。そして、開口部92aに対応する部分では、ドットパターン96を設けず、露光光97が感光性材料94に照射されるようになっている。さらに、発光面311以外のレンズ92を設けない部分でも、ドットパターン96を設けず、露光光97が感光性材料94に照射されるようになっている。
そして、開口部92aおよびレンズ92を設けない部分の感光性材料94が、現像により除去されるように、露光光97の光量(露光量)が設定されている。
【0070】
この後、現像液に浸漬すると、図7(d)に示すように、露光光97の照射によって可溶となったポジ型のポリイミド樹脂である感光性材料94が溶解して除去される。このとき、曲面部92bの曲面92cに対応する部分では、開口部92aから遠ざかるとともに露光光97の照射(露光量)が多いため、開口部92aから遠ざかるとともに除去される感光性材料94の量が多くなる。一方、開口部92aの部分およびレンズ92を設けない部分では、感光性材料94が除去される。
そして、予め定められた温度で加熱することで、感光性材料94に含まれていた溶媒を蒸発させるとともに、感光性材料94のポリイミド前駆体をイミド化させることで、ポリイミド樹脂によるレンズ92とする。
このようにして、レンズ92を備えた発光チップCが製造される。
【0071】
なお、フォトマスク95として、露光光97を遮光するドットパターン96の密度分布で透過光量を制御したが、大きさの異なるドットパターン96を配置することにより、透過光量を制御してもよい。また、厚さにより光透過率が異なる膜を用いて、膜厚を変えることにより、透過光量を制御してもよい。
【0072】
また、上記のグレースケールリソグラフィ法の代わりに、インプリント法を用いて、レンズ92を形成してもよい。
インプリント法は、レンズ92の形状の雌型であるモールドを作製し、モールドをレンズ92となる材料に押し当て、レンズ92を形成する方法である。
レンズ92となる材料として熱可塑性樹脂を用いる場合には、レンズ92を備える前の発光チップC上に、熱可塑性樹脂を塗布して、加熱しつつモールドを押し当て、熱可塑性樹脂をモールドに対応した形状に変形させる。こののち、冷却して熱可塑性樹脂が変形するのを抑制したのち、モールドを外す。このようにすることで、熱可塑性樹脂によるレンズ92を備えた発光チップCが製造される(熱インプリント法)。
また、レンズ92となる材料として光硬化性樹脂を用いる場合には、光硬化性樹脂を硬化させる紫外線などを透過する溶融石英などによりモールドを作製する。そして、レンズ92を備えない発光チップC上に光硬化性樹脂を塗布し、モールドを押し当てた状態で、光硬化性樹脂を硬化させる光を、モールドを介して照射する。光硬化性樹脂が硬化したのち、モールドを外す。このようにすることで、光硬化性樹脂によるレンズ92を備えた発光チップCが製造される(光インプリント法)。
【0073】
(発光装置65の動作)
次に、発光装置65の動作について説明する。
前述したように、発光装置65は発光チップC1〜C40を備えている(図3、4参照)。
図4に示したように、基準電位Vsub、電源電位Vgaは、回路基板62上のすべての発光チップC1〜C40に共通に供給される。同様に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2は、発光チップC1〜C40に共通(並列)に送信される。
一方、点灯信号φI1〜φI40は、発光チップC1〜C40のそれぞれに個別に送信される。点灯信号φI1〜φI40は、画像データに基づいて、各発光チップC1〜C40の発光サイリスタLを点灯または非点灯に設定する信号である。よって、点灯信号φI1〜φI40は、画像データによって相互に波形が異なる。しかし、点灯信号φI1〜φI40は、同じタイミングで並列に送信される。
発光チップC1〜C40は並列に駆動されるので、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
【0074】
<サイリスタ>
発光チップC1の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、前述したように、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
以下では、一例として、Vsub端子である裏面電極85(図5、図6参照)に供給される基準電位Vsubをハイレベルの電位(以下では「H」と表記する。)として0V、Vga端子に供給される電源電位Vgaをローレベルの電位(以下では「L」と表記する。)として−3.3Vとして説明する。
本実施の形態では、発光装置65は負の電位で駆動される。
【0075】
サイリスタのアノード端子であるp型の第1半導体層81はp型の基板80と同電位であるので、サイリスタのアノード端子は裏面電極85に供給される基準電位Vsub(「H」(0V))になっている。
サイリスタは、例えば、図6に示したように、GaAs、GaAlAsなどによるp型半導体層(p型の第1半導体層81、p型の第3半導体層83)、n型半導体層(n型の第2半導体層82、n型の第4半導体層84)をp型の基板80上に積層して構成される。ここでは、p型半導体層とn型半導体層とで構成されるpn接合の順方向電位(拡散電位)Vdを一例として1.5Vとして説明する。
【0076】
アノード端子とカソード端子との間に電流が流れていないオフ状態のサイリスタは、しきい電圧より低い電位(絶対値が大きい負の電位)がカソード端子に印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値である。よって、ゲート端子の電位が0Vであると、サイリスタのしきい電圧は−1.5Vとなる。すなわち、−1.5Vより低い電位(絶対値が大きい負の電位)がカソード端子に印加されると、サイリスタはターンオンする。サイリスタは、ターンオンすると、アノード端子とカソード端子との間に電流が流れた状態(オン状態)になる。
オン状態のサイリスタのゲート端子の電位は、アノード端子の電位に近い電位になる。ここでは、アノード端子を基準電位Vsub(0V(「H」))に設定しているので、ゲート端子の電位は0V(「H」)になるとする。また、オン状態のサイリスタのカソード端子は、アノード端子の電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた電位に近い電位となる。ここでは、アノード端子を基準電位Vsub(0V(「H」))に設定しているので、オン状態のサイリスタのカソード端子の電位は−1.5Vに近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)となる。なお、カソード端子の電位は、オン状態のサイリスタに電流を供給する電源との関係で設定される。
【0077】
サイリスタは、一度ターンオンすると、カソード端子の電位が、オン状態を維持するために必要な電位(上記の−1.5Vに近い電位)より高い電位(絶対値が小さい負の電位、0Vまたは正の電位)が印加されると、オフ状態に移行(ターンオフ)する。例えば、カソード端子が「H」(0V)になると、オン状態を維持するために必要な電位より高い電位であるとともに、カソード端子の電位とアノード端子の電位とが同じになるので、サイリスタはターンオフする。
一方、オン状態のサイリスタのカソード端子に、オン状態を維持するために必要な電位より低い電位(絶対値が大きい負の電位)が継続的に印加され、オン状態を維持しうる電流(維持電流)が供給されると、サイリスタはオン状態を維持する。
そして、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非点灯)する。オン状態の発光サイリスタLの発光量は、発光面311の面積およびカソード端子とアノード端子との間に流す電流によって決まる。
【0078】
<タイミングチャート>
図8は、発光装置65および発光チップCの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8では、発光チップC1の発光サイリスタL1〜L5の5個の発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御(点灯制御と表記する。)する部分のタイミングチャートを示している。前述したように、他の発光チップC2〜C40は、発光チップC1と並行して動作するため、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。
なお、図8では、発光チップC1の発光サイリスタL1、L2、L3、L5を点灯させ、発光サイリスタL4を消灯(非点灯)としている。
【0079】
図8において、時刻aから時刻kへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光サイリスタL1は、時刻bから時刻eの期間T(1)において、発光サイリスタL2は、時刻eから時刻iの期間T(2)において、発光サイリスタL3は、時刻iから時刻jの期間T(3)において、発光サイリスタL4は、時刻jから時刻kの期間T(4)において点灯または非点灯の制御(点灯制御)がされる。以下、同様にして番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
ここでは、期間T(1)、T(2)、T(3)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと呼ぶ。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間T(1)、T(2)、T(3)、…の長さを可変としてもよい。
【0080】
第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、点灯信号φI1の波形について説明する。なお、時刻aから時刻bまでの期間は、発光チップC1(発光チップC2〜C40も同じ。)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
【0081】
φ1端子(図5、図6参照)に送信される第1転送信号φ1およびφ2端子(図5、図6参照)に送信される第2転送信号φ2は、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。そして、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、連続する2つの期間T(例えば、期間T(1)と期間T(2))を単位として波形が繰り返される。
【0082】
第1転送信号φ1は、期間T(1)の開始時刻bで「H」から「L」に移行し、時刻fで「L」から「H」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻iにおいて、「H」から「L」に移行する。
第2転送信号φ2は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行する。そして、期間T(2)の終了時刻iにおいて「L」を維持している。
第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを比較すると、第2転送信号φ2は、第1転送信号φ1を時間軸上で期間T後ろにずらしたものに当たる。第1転送信号φ1は、期間T(1)および期間T(2)での波形が、期間T(3)以降において繰り返す。一方、第2転送信号φ2は、期間T(1)において、破線で示す波形および期間T(2)での波形が、期間T(3)以降において繰り返す。第2転送信号φ2の期間T(1)の波形が期間T(3)以降と異なるのは、期間T(1)は発光装置65が動作を開始する期間であるためである。
【0083】
第1転送信号φ1と第2転送信号φ2との一組の転送信号は、後述するように、図5、図6に示した転送サイリスタTを番号順にオン状態を伝播させることにより、オン状態の転送サイリスタTと同じ番号の発光サイリスタLを、点灯または非点灯の制御(点灯制御)の対象として指定する。
【0084】
次に、発光チップC1のφI端子に送信される点灯信号φI1について説明する。なお、他の発光チップC2〜C40には、それぞれ点灯信号φI2〜φI40が送信される。点灯信号φI1は、「H」と「L」との2つの電位を有する信号である。
【0085】
ここでは、発光チップC1の発光サイリスタL1に対する点灯制御の期間T(1)において、点灯信号φI1を説明する。なお、発光サイリスタL1は点灯させるとしている。
点灯信号φI1は、期間T(1)の開始時刻bにおいて「H」であって、時刻cで「H」から「L」に移行する。そして、時刻dで「L」から「H」に移行し、期間T(1)の終了時刻eにおいて「H」を維持している。
【0086】
では、図4、図5を参照しつつ、図8に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65および発光チップC1の動作を説明する。なお、以下では、発光サイリスタL1およびL2を点灯制御する期間T(1)およびT(2)について説明する。
(1)時刻a
<発光装置65>
時刻aにおいて、発光装置65の信号発生回路110の基準電位供給部160は、基準電位Vsubを「H」(0V)に設定する。電源電位供給部170は、電源電位Vgaを「L」(−3.3V)に設定する。すると、発光装置65の回路基板62上の電源ライン200aは基準電位Vsubの「H」(0V)になり、発光チップC1〜C40のそれぞれのVsub端子は「H」になる。同様に、電源ライン200bは電源電位Vgaの「L」(−3.3V)になり、発光チップC1〜C40のそれぞれのVga端子は「L」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれの電源線71は「L」になる(図5参照)。
【0087】
そして、信号発生回路110の転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2をそれぞれ「H」に設定する。すると、第1転送信号ライン201および第2転送信号ライン202が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図5参照)。
【0088】
さらに、信号発生回路110の点灯信号発生部140は、点灯信号φI1〜φI40をそれぞれ「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204−1〜204−40が「H」になる(図4参照)。これにより、発光チップC1〜C40のそれぞれのφI端子が、電流制限抵抗RIを介して「H」になり、φI端子に接続された点灯信号線75も「H」になる(図5参照)。
【0089】
次に、発光チップC1の動作を説明する。
なお、図8および以下における説明では、各端子の電位がステップ(階段)状に変化するとしているが、各端子の電位は徐々に変化している。よって、電位変化の途上であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタがターンオンまたはターンオフして、状態の変化を生じうる。
【0090】
<発光チップC1>
転送サイリスタT、発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続されているので、「H」(0V)に設定される。
【0091】
奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTは、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
【0092】
発光サイリスタLのカソード端子は、「H」の点灯信号線75に接続されている。よって、発光サイリスタLも、アノード端子およびカソード端子がともに「H」であるためオフ状態にある。
【0093】
図5中の転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、前述したように、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。ゲート端子Gt1は、電源線抵抗Rgx1を介して、電源電位Vga(「L」(−3.3V))の電源線71に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は第2転送信号線73に接続され、電流制限抵抗R2を介して、「H」(0V)のφ2端子に接続されている。よって、スタートダイオードDx0は順バイアスであり、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードDx0のアノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値(−1.5V)になる。また、ゲート端子Gt1が−1.5Vになると、結合ダイオードDx1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が−1.5Vで、カソード端子が電源線抵抗Rgx2を介して電源線71(「L」(−3.3V))に接続されているので、順バイアスになる。よって、ゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。しかし、3以上の番号のゲート端子Gtには、スタートダイオードDx0のアノード端子が「H」(0V)であることの影響は及ばず、これらのゲート端子Gtの電位は、電源線71の電位である「L」(−3.3V)になっている。
なお、ゲート端子Gtはゲート端子Glに接続されているので、ゲート端子Glの電位は、ゲート端子Gtの電位と同じである。よって、転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は、ゲート端子Gt、Glの電位からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた値となる。すなわち、転送サイリスタT1、発光サイリスタL1のしきい電圧は−3V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.5V、番号が3以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧は−4.8Vとなっている。
【0094】
(2)時刻b
図8に示す時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65が動作を開始する。
第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、φ1端子および電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号線72の電位が、「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、第1転送信号線72にカソード端子が接続された、番号が3以上の奇数番号の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるのでターンオンできない。一方、偶数番号の転送サイリスタTは、第2転送信号φ2が「H」(0V)であって、第2転送信号線73が「H」であるのでターンオンできない。
転送サイリスタT1がターンオンすることで、第1転送信号線72の電位は、アノード端子の電位(「H」(0V))からpn接合の順方向電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。
【0095】
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1(ゲート端子Gl1)の電位は、転送サイリスタT1のアノード端子の電位である「H」(0V)になる。そして、ゲート端子Gt2(ゲート端子Gl2)の電位が−1.5V、ゲート端子Gt3(ゲート端子Gl3)の電位が−3V、番号が4以上のゲート端子Gt(ゲート端子Gl)の電位が「L」(−3.3V)になる。
これにより、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5V、転送サイリスタT2、発光サイリスタL2のしきい電圧が−3V、転送サイリスタT3、発光サイリスタL3のしきい電圧が−4.5V、番号が4以上の転送サイリスタT、発光サイリスタLのしきい電圧が−4.8Vになる。
しかし、第1転送信号線72は、オン状態の転送サイリスタT1により−1.5Vになっているので、オフ状態の奇数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。第2転送信号線73は、「H」であるので、偶数番号の転送サイリスタTはターンオンしない。点灯信号線75は「H」であるので、発光サイリスタLはいずれもターンオンしない。
【0096】
時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後、定常状態になったときをいう。)において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、他の転送サイリスタT、発光サイリスタLはオフ状態にある。
【0097】
(3)時刻c
時刻cにおいて、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行する。
点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して、点灯信号線75が「H」から「L」に移行する。すると、しきい電圧が−1.5Vである発光サイリスタL1がターンオンして、点灯(発光)する。これにより、点灯信号線75の電位が−1.5Vに近い電位(絶対値が1.5Vより大きい負の電位)になる。なお、発光サイリスタL2はしきい電圧が−3Vであるが、しきい電圧が−1.5Vと高い(絶対値が小さい負の電位である)発光サイリスタL1がターンオンして、点灯信号線75が−1.5Vに近い電位になるので、発光サイリスタL2はターンオンしない。
時刻cの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にあって、発光サイリスタL1がオン状態で点灯(発光)している。
【0098】
(4)時刻d
時刻dにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する。
点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、電流制限抵抗RIおよびφI端子を介して、点灯信号線75の電位が「L」から「H」に移行する。すると、発光サイリスタL1は、アノード端子とカソード端子とがともに「H」になるのでターンオフして消灯(非点灯)する。発光サイリスタL1の点灯期間は、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行した時刻cから、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行する時刻dまでの、点灯信号φI1が「L」である期間となる。
時刻dの直後において、転送サイリスタT1がオン状態にある。
【0099】
(5)時刻e
時刻eにおいて、第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行する。ここで、発光サイリスタL1を点灯制御する期間T(1)が終了し、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が開始する。
第2転送信号φ2が「H」から「L」に移行すると、φ2端子を介して第2転送信号線73の電位が「H」から「L」に移行する。前述したように、転送サイリスタT2は、しきい電圧が−3Vになっているので、ターンオンする。これにより、ゲート端子Gt2(ゲート端子Gl2)の電位が「H」(0V)、ゲート端子Gt3(ゲート端子Gl3)の電位が−1.5V「H」(0V)、ゲート端子Gt4(ゲート端子Gl4)の電位が−3Vになる。そして、番号が5以上のゲート端子Gt(ゲート端子Gl)の電位が−3.3Vになる。
時刻eの直後において、転送サイリスタT1およびT2がオン状態にある。
【0100】
(6)時刻f
時刻fにおいて、第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行する。
第1転送信号φ1が「L」から「H」に移行すると、φ1端子を介して第1転送信号線72の電位が「L」から「H」に移行する。すると、オン状態の転送サイリスタT1は、アノード端子とカソード端子とがともに「H」になって、ターンオフする。すると、ゲート端子Gt1(ゲート端子Gl1)の電位は、電源線抵抗Rgx1を介して、電源線71の電源電位Vga(「L」(−3.3V))に向かって変化する。これにより、結合ダイオードDx1が電流が流れない方向に電位が加えられた状態(逆バイアス)になる。よって、ゲート端子Gt2(ゲート端子Gl2)が「H」(0V)である影響は、ゲート端子Gt1(ゲート端子Gl1)には及ばなくなる。すなわち、逆バイアスの結合ダイオードDxで接続されたゲート端子Gtを有する転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vになって、「L」(−3.3V)の第1転送信号φ1または第2転送信号φ2ではターンオンしなくなる。
時刻fの直後において、転送サイリスタT2がオン状態にある。
【0101】
(7)その他
時刻gにおいて、点灯信号φI1が「H」から「L」に移行すると、時刻cでの発光サイリスタL1と同様に、発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)する。
そして、時刻hにおいて、点灯信号φI1が「L」から「H」に移行すると、時刻dでの発光サイリスタL1と同様に、発光サイリスタL2がターンオフして消灯する。
さらに、時刻iにおいて、第1転送信号φ1が「H」から「L」に移行すると、時刻bでの転送サイリスタT1または時刻eでの転送サイリスタT2と同様に、しきい電圧が−3Vの転送サイリスタT3がターンオンする。時刻iで、発光サイリスタL2を点灯制御する期間T(2)が終了し、発光サイリスタL3を点灯制御する期間T(3)が開始する。
以降は、これまで説明したことの繰り返しとなる。
【0102】
なお、発光サイリスタLを点灯(発光)させないで、消灯(非点灯)のままとするときは、図8の発光サイリスタL4を点灯制御する期間T(4)における時刻jから時刻kに示す点灯信号φI1のように、点灯信号φIを「H」(0V)のままとすればよい。このようにすることで、発光サイリスタL4のしきい電圧が−1.5Vであっても、発光サイリスタL4は消灯(非点灯)のままとなる。
【0103】
以上説明したように、転送サイリスタTのゲート端子Gtは結合ダイオードDxによって相互に接続されている。よって、ゲート端子Gtの電位が変化すると、電位が変化したゲート端子Gtに、順バイアスの結合ダイオードDxを介して接続されたゲート端子Gtの電位が変化する。そして、電位が変化したゲート端子を有する転送サイリスタTのしきい電圧が変化する。転送サイリスタTは、しきい電圧が「L」(−3.3V)より高い(絶対値が小さい負の電位)と、第1転送信号φ1または第2転送信号φ2が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するタイミングにおいてターンオンする。
そして、オン状態の転送サイリスタTのゲート端子Gtにゲート端子Glが接続された発光サイリスタLは、しきい電圧が−1.5Vであるので、点灯信号φIが「H」から「L」に移行すると、ターンオンして点灯(発光)する。
すなわち、転送サイリスタTはオン状態になることで、点灯制御の対象である発光サイリスタLを指定し、点灯信号φIは、点灯制御の対象の発光サイリスタLを点灯または非点灯に設定する。
このように、画像データに応じて点灯信号φIの波形を設定して、各発光サイリスタLの点灯または非点灯を制御している。
【0104】
(レンズ92)
第1の実施の形態のおけるレンズ92について説明する。
第1の実施の形態では、図6に示したように、レンズ92は、中央に円筒状の開口部92aを有し、外表面が凸面状となった曲面部92bとを有している。この理由について説明する。
【0105】
発光サイリスタLの発光面311は平面である。よって、発光サイリスタLは、点光源ではなく、有限の面積を有する面光源として働く。そして、完全拡散面光源と同様に、発光面311を構成する微細な領域(面要素)から、すべての方向に(放射)輝度が等しくなるように発光していると考えられる。よって、発光面311に垂直な方向の(放射)強度が最も強く、斜め方向になるほど(放射)強度が小さくなる。なお、このようにすべての方向に(放射)輝度が等しい発光の分布はランバーシアン分布と呼ばれる。
このことから、発光面311から垂直方向に出射する光を、より多く取り出すことができることが望ましい。
【0106】
はじめに、レンズ92における開口部92aを有しないレンズ93について説明する。
図9は、発光サイリスタLの発光面311と開口部92aを有しないレンズ93との関係を、光軸(後述する主点Oおよび焦点F、F´を通る線)を含む断面において示す模式図である。ここでは、絶縁層86、n型オーミック電極321、点灯信号線75の枝部75bを省略している。
レンズ93の表面は、レンズ92において曲面部92bの曲面92c(図6参照)を開口部92a側に延長した曲面93bとなっている。そして、レンズ93は、凸レンズとして働く。
ここでは、レンズ93の前側主点と後側主点とが一致するとして主点Oとする。また、焦点F、F´は、それぞれが主点Oから等しい距離にあるとする。
そして、発光面311は、レンズ93の主点Oと焦点Fとの間にあるとする。すなわち、レンズ93は、拡大鏡(虫眼鏡)として働く。
【0107】
さらに、発光サイリスタLから出射した光は、レンズ93を介して、開口角θのロッドレンズアレイ64により取り込まれ、感光体ドラム12を露光するとする。すなわち、開口角θを超える角度の光は、ロッドレンズアレイ64に入らない。よって、開口角θ内に入射する光の量が、感光体ドラム12を露光する光量(放射エネルギー)となる。
なお、ここでは1個の発光サイリスタLに対応する1個のレンズ93に着目して説明する。この発光サイリスタLから出射する光が、隣接する発光サイリスタLに設けられたレンズ93に入射しても、出射する光は開口角θより大きい角度で出射されるので、ロッドレンズアレイ64に入らない。よって、1個の発光サイリスタLに対応する1個のレンズ93に着目すればよい。
【0108】
図9(a)は、発光面311の中央部(レンズ92の場合に開口部92aに対向する部分)の発光点P1からの光路を示す図、図9(b)は、発光面311の周辺部(レンズ92の場合に曲面部92bに対向する部分)の発光点P2からの光路を示す図、そして、図9(c)は、発光面311の周辺部に近い中央部の発光点P3からの光路を示す図である。
なお、これらの図では、主点Oを通って、光軸(主点Oおよび焦点F、F´を通る線)に垂直な主面(図中破線で示す)において、光路が変化するとする。
【0109】
図9(a)に示すように、発光面311の中央部の発光点P1からレンズ93を介して出射する光は、像面上の像点P1´から出射する光のようにふるまう。すなわち、発光面311の中央部の発光点P1から出射する光は、レンズ93から角度αの範囲で出射する。図9(a)から分かるように、発光点P1からの光は、光軸方向に絞られる。このため、開口角θ内の光量が増加する。
【0110】
一方、図9(b)に示すように、発光面311の周辺部の発光点P2からレンズ93を介して出射する光は、像面上の像点P2´から出射する光のようにふるまう。すなわち、発光面311の周辺部の発光点P2から出射する光は、レンズ93から角度βの範囲で出射する。図9(b)から分かるように、発光点P2からの光は、開口角θ内に入らない。これは、レンズ93が拡大鏡として働くため、発光面311の周辺部からは、光が取り出せないことを示している。
【0111】
さて、図9(c)に示すように、発光面311の周辺部に近い中央部の発光点P3からレンズ93を介して出射する光は、像面上の像点P3´から出射する光のようにふるまう。すなわち、発光点P3から出射する光は、レンズ93から角度δの範囲で出射する。図9(c)から分かるように、発光点P3からの光は、一部は開口角θ内にあるが、他は入らない。そして、発光点P3から発光面311に対して垂直に出射した光(図9(c)中の焦点F´を通過する光)も、開口角θ内に入らない。
これは、レンズ93が拡大鏡として働くため、発光面311の中央部の光軸に近い部分からのみの光を取り出すように働き、発光面311の中央部の光軸から遠い部分や周辺部からの光を取り込まないことによる。
【0112】
なお、レンズ93を用いても、図9(a)に示したように、発光面311の中央部から出射する光を集光する効果があるので、レンズ93を用いない場合に比べ、ロッドレンズアレイ64(図2参照)が取り込む光量が増加する。これにより、感光体ドラム12(図2参照)上に照射される光量が増加する。すなわち、発光サイリスタLの出射する光の取出し効率が向上する。
【0113】
前述したように、発光サイリスタLの発光面311から出射される光の(放射)強度(以下では、発光強度と表記する。)は発光面311に垂直な方向が最も大きく、且つ発光面311の中央部に近いほど大きい。このことから、発光面311の中央部では、レンズによる集光をしなくてもよいと考えられる。すなわち、発光面311の中央部に対しては、レンズを設けなくともよいと考えられる。
そこで、第1の実施の形態では、図6(b)に示したように、レンズ92の発光面311の中央部に対向する部分に開口部92aを設けている。
【0114】
次に、開口部92aを設けたレンズ92について説明する。
図10は、発光サイリスタLの発光面311と開口部92aを有するレンズ92との関係を、光軸(主点Oおよび焦点F、F´を通る線)を含む断面において示す模式図である。ここでも、絶縁層86、n型オーミック電極321、点灯信号線75の枝部75bは省略している。
レンズ92において、曲面部92bの曲面92cは、図9で示したレンズ93の曲面93b(図10中において点線で示す。)の対応する部分と同じ形状である。レンズ92の曲面部92bは凸レンズとして働く。そして、レンズ92は、発光面311の中央部に対向して開口部92aを有している。
レンズ92における曲面部92bの主点O、焦点F、F´はレンズ93と同じ位置にあるとする。そして、発光面311は、レンズ92の主点Oと焦点Fとの間にあるとする。よって、レンズ92の曲面部92bは、レンズ93と同様に拡大鏡(虫眼鏡)として働く。
さらに、ロッドレンズアレイ64に開口角θ内の光が取り込まれるとする。
なお、ここでも1個の発光サイリスタLに対応する1個のレンズ93に着目して説明する。
【0115】
図10(a)は、発光面311の中央部の発光点P1からの光路を示す図、図10(b)は、発光面311の周辺部の発光点P2からの光路を示す図、そして、図10(c)は、発光面311の周辺部に近い中央部の発光点P3からの光路を示す図である。
以下では、曲面部92bでは、主点Oを通って、光軸に垂直な主面(図中破線で示す)において、光路が変化するとする。また、レンズ92は厚さを有しないとする。
【0116】
図10(a)に示すように、発光面311の中央部の発光点P1からレンズ92を介して出射する光は、開口部92aを通過して角度α0の範囲で出射する光と、図10(a)の左側の曲面部92bを介して角度α1の範囲で出射する光と、図10(a)の右側の曲面部92bを介して角度α2で出射する光とを加えた光となる。角度α1の範囲で出射する光および角度α2で出射する光は、図9(a)に示した角度αで出射する光の一部である。
なお、開口部92aを介して角度α0の範囲で出射する光は集光されないため、開口角θ内に入らない光が生じる。一方、曲面部92bを介して角度α1の範囲および角度α2の範囲で出射する光は、開口部92aを有しないレンズ93の場合(図9(a)参照)と同様に集光され、一部が開口角θ内に入るようになる。
ここでは、レンズ92は厚さを有しないとした。しかし、レンズ92が厚さを有する場合には、開口部92aに対向した発光面311から、発光面311に対して斜めに出射し、開口部92aを通過することができない光は、開口部92aの内側面92d(図6参照)に当たる。そして、レンズ92の曲面部92bに入射し、レンズ92の曲面92cなどから出射する。
また、レンズ92の開口部92aの上端において、回折により光が広がる。
ここでは、これらの光の影響を省略する。
【0117】
一方、図10(b)に示すように、発光面311の周辺部の発光点P2からレンズ92を介して出射する光は、開口部92aを通過して角度β0の範囲で出射する光と、図10(b)の左側の曲面92cを介して角度β1の範囲で出射する光と、図10(b)の右側の曲面92cを介して角度β2で出射する光とを加えた光となる。
図10(b)に示すように、これらの角度β0、β1、β2のそれぞれの範囲で出射する光は、開口角θ内に入らない。これは、開口部92aを有しないレンズ93の場合(図9(b)参照)と同様である。
【0118】
さて、図10(c)に示すように、発光面311の周辺部に近い中央部の発光点P3からレンズ92を介して出射する光は、開口部92aを通過して角度δ0の範囲で出射する光と、図10(c)の左側の曲面92cを介して角度δ1の範囲で出射する光と、図10(c)の右側の曲面92cを介して角度δ2で出射する光とを加えた光となる。
そして、図10(c)に示すように、発光点P3は開口部92aに対向する位置に設けられている。よって、発光点P3から発光面311に対して垂直に出射した光は、開口角θ内に入るようになる。
すなわち、発光面311の中央部と周辺部との間にある発光点P3から垂直方向に進む、最も発光強度が大きい光が開口角θ内に入る。
【0119】
以上説明したように、開口部92aを備えるレンズ92を用いることにより、図10(c)に示すように、開口部92aに対向する発光面311の中央部(位置P4から位置P5まで)の発光点から、発光面311に対して垂直な方向に出射する発光強度の大きい光が、そのまま発光面311に垂直な方向に出射して、開口角θ内に入る。
すなわち、レンズ92の外側から発光面311を垂直方向から見ると、開口部92aではレンズ効果が働かないために、図9に示した開口部92aを有しないレンズ93の場合に比べ、発光面311の中央部の全体を見ることができる。このことから、第1の実施の形態においては、開口部92aを有しないレンズ93を用いる場合に比べ、発光面311の中央部から、発光面311の垂直な方向に出射される発光強度の大きい光を、ロッドレンズアレイ64に取り込める。そして、感光体ドラム12に照射される光量が増加する。すなわち、発光サイリスタLが出射する光をより効率よく取り出すことができる。
【0120】
以上説明したように、開口部92aは、発光面311の中央部から出射する光を、そのまま通過させればよい。よって、開口部92aは発光面311に対して、必ずしも垂直でなくてもよく、発光面311に対して傾いていてもよい。
さらに、開口部92aは、発光面311から近い側と、遠い側とで、断面の形状が同じでなくてもよく、いずれか一方が他方に比べて大きくなっていてもよい。また、開口部92aは、発光面311に対して近い側と遠い側との間において、断面の形状が変化してもよい。
【0121】
なお、図10に示したレンズ92の形状は一例である。よって、焦点F、F´の位置、開口部92aの大きさ、開口角θの大きさなどは、ロッドレンズアレイ64に取り込まれる光量がもっとも大きくなるように、発光素子(本実施の形態では、発光サイリスタL)の発光面の形状および発光強度の分布などを考慮して設定すればよい。
【0122】
次に、発光サイリスタLの発光面311から出射する光が、ロッドレンズアレイ64を介して、感光体ドラム12に照射される光量を、シミュレーションにより求めた。
図11は、シミュレーションに用いたレンズの形状を示した図である。図11(a)は、開口部92aを有しないレンズ93、図11(b)は本実施の形態における開口部92aを有するレンズ92である。
【0123】
まず、図11(a)により、レンズ93を説明する。レンズ93は、図9で説明したように、開口部92aを有しない。ここでは、絶縁層86、n型オーミック電極321および点灯信号線75の枝部75bを省略し、レンズ93は発光面311上に設けられているとした。そして、発光面311は一辺長wが30μmの正方形、発光面311から最も離れたレンズ93の頂点と発光面311との距離sを20μmとした。さらに、レンズ93の曲面93bの曲率半径rを16.3μmとした。なお、レンズ93が屈折率1.63である場合、焦点Fと主点Oとの間の焦点距離は21.22μmとなる。これにより、発光面311は、焦点Fと主点Oとの間に位置することになる(図9参照)。
さらに、ロッドレンズアレイ64の開口角θは、34°とした。
【0124】
次に、図11(b)に示すレンズ92を説明する。レンズ92は、図10で説明したように、開口部92aを有している。発光面311は、一辺長wが30μmの正方形、開口部92aは、発光面311の中央部に対応して設けられた円筒状とし、その半径uを5μmとした。そして、曲面部92bの曲面92cの曲率半径rは、比較例のレンズ93と同様に、16.3μmとした。
他の値は、レンズ93と同様である。
【0125】
シミュレーションによると、感光体ドラム12に照射される光量は、レンズ93を用いた場合(図11(a))は、レンズ93を用いない場合に比べ、2.18倍になった。また、レンズ92を用いた場合(図11(b))は、レンズ92を用いない場合に比べ、2.38倍になった。よって、第1の実施の形態における開口部92aを有するレンズ92を用いると、開口部92aを有しないレンズ93を用いた場合に比べ、感光体ドラム12に照射される光量が約10%増加する。
このように、第1の実施の形態における開口部92aを有するレンズ92を用いることにより、発光サイリスタLから出射する光の取出し効率が向上する。
【0126】
これまで、レンズ92の開口部92aの中心と発光面311の中心とを一致させた場合を説明した。
次に、レンズ92の開口部92aの中心と発光面311の中心とを一致させない場合を説明する。
図12は、レンズ92の開口部92aの中心と発光面311の中心とを一致させない場合の発光チップCにおける発光サイリスタL部分の平面レイアウト図および断面図の一例である。
図12(a)は発光チップCの平面レイアウト図、図12(b)は図12(a)に示したXIIB−XIIB線での断面図、図12(c)は図12(a)に示したXIIC−XIIC線での断面図である。
【0127】
図12(a)に示すように、発光サイリスタLの発光面311の中央部には、n型オーミック電極321が設けられている。そして、発光面311を横切って点灯信号線75の幹部75aとn型オーミック電極321とを結ぶ枝部75bが設けられている。よって、発光面311のn型オーミック電極321と枝部75bとで覆われた部分からは光が出射しない。
このため、出射する光の発光強度が最も大きい部分は、n型オーミック電極321と枝部75bとを馬蹄形で取り巻く部分(馬蹄形領域90)となる。このため、図12(a)、(b)に示すように、レンズ92の開口部92aの中心を、n型オーミック電極321および枝部75bを設けた部分を外すように、発光面311の中心から発光強度が大きい馬蹄形領域90側にシフト(y方向シフト量−Sy)させている。
また、発光強度が大きい部分が、発光面311の中心からx方向にシフトしている場合には、レンズ92の開口部92aの中心をx方向にシフトしてもよい。
【0128】
これまで、レンズ92の開口部92aの平面形状が円形の場合を説明した。しかし、レンズ92の開口部92aの平面形状は、必ずしも円形でなくともよい。
図13は、レンズ92の開口部92aの平面形状が円形でない場合の発光チップCにおける発光サイリスタL部分の平面レイアウト図および断面図の一例である。
図13(a)は発光チップCの平面レイアウト図、図13(b)は図13(a)に示したXIIIB−XIIIB線での断面図、図13(c)は図13(a)に示したXIIIC−XIIIC線での断面図である。
図13(a)に示すように、発光サイリスタLの発光面311は、x方向に比べy方向が長い長方形である。このように、発光サイリスタLの発光面311を発光サイリスタ列と直交する方向に拡大すると、発光サイリスタLのピッチを変えることなく、光量が増加する。
この場合、図13(a)、(b)に示すように、レンズ92の開口部92aの平面形状は、発光サイリスタLの発光面311の形状に対応するように、角を丸くした長方形であってもよい。また、楕円形、長方形であってもよい。すなわち、開口部92aの断面形状は、角を丸くした長方形、楕円形、長方形などであってもよい。
そして、角を丸くした長方形、楕円形、長方形などの開口部92aの平面形状の中心が、図11で説明したように、発光面311の中心からシフトしていてもよい。
【0129】
また、レンズ92の曲面部92bの曲面92cは、必ずしも一定の曲率の球面でなくともよく、発光面311から出射する光を予め定められた方向に集光できる形状であればよい。発光面311の形状、発光面311が出射する発光強度の分布などにより設定すればよい。
【0130】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、レンズ92を発光サイリスタL上に設けた。第2の実施の形態では、発光サイリスタLとレンズ92との間に、台座(ペデスタル)91が設けられている。
図14は、第2の実施の形態における発光チップCにおける発光サイリスタL部分の平面レイアウト図および断面図の一例である。図14(a)は発光チップCの平面レイアウト図、図14(b)は図14(a)のXIVB−XIVB線での断面図、図14(c)は図14(a)のXIVC−XIVC線での断面図である。
台座91は、発光サイリスタLの発光面311に対向して設けられた表面が平坦な部材である。レンズ92は、第1の実施の形態のレンズ92と同様であって、開口部92aを有している。なお、レンズ92の開口部92aは、台座91の表面に到達している。
なお、図14では、台座91は、発光面311に対向するように発光面311の部分に設けられているが、端子部分を除く発光チップCの全面、または発光面311に対向する部分を含んで発光チップCの一部を覆うように設けられてもよい。
【0131】
図15は、第2の実施の形態の発光チップCを製造する方法を説明する断面図である。図15に示す断面は、図14(a)のXIVC−XIVC線での断面である。
ここでは、台座91をネガ型のポリイミド樹脂による感光性材料94aで形成し、レンズ92をポジ型のポリイミド樹脂による感光性材料94bで形成するとして説明する。
図15(a)は、レンズ92を形成する前の発光チップCである。
図15(b)に示すように、台座91を形成する前の発光チップCの表面に、ネガ型のポリイミド樹脂である感光性材料94aを塗布し、フォトマスク(不図示)を介して、感光性材料94aが感光する露光光(不図示)を照射する。すると、感光性材料94aの露光光が照射された部分が重合する。現像液に浸漬すると、感光性材料94aの露光光が照射されなかった部分が溶解して除去され、重合した部分が不溶となって残ることで、台座91となる。なお、現像後に残った感光性材料94aは、含まれていた溶媒を蒸発させるとともに、感光性材料94aのポリイミド前駆体をイミド化させるため、予め定められた温度で熱処理(ベーキング)される。
図15(b)では、台座91は、発光サイリスタ列に沿ってつながって設けられているが、台座91は発光サイリスタLごとに分離されていてもよい。
ここでは、台座91が発光サイリスタ列に沿ってつながっていても、発光サイリスタLごとに分離されていても、レンズ92ごとに台座91が設けられているとする。
【0132】
そして、図15(c)に示すように、台座91が形成された発光チップCの表面に、ポジ型のポリイミド樹脂である感光性材料94bを塗布し、フォトマスク95を介して、感光性材料94bが感光する露光光97を照射する。ここで、フォトマスク95は、第1の実施の形態において説明したと同様に、グレースケールリソグラフィ法によりレンズ92の曲面92c(図15(d)参照)を形成するために、ドットパターン96の密度分布により透過率分布が設けられている。
【0133】
この後、図15(d)に示すように、現像液(不図示)に浸漬することで、露光光97の照射によって可溶となった感光性材料94の部分が溶解して除去される。そして、予め定められた温度で加熱することで、感光性材料94bに含まれていた溶媒を蒸発させるとともに、感光性材料94bのポリイミド前駆体をイミド化させることで、ポリイミド樹脂によるレンズ92の曲面部92bが形成される。
なお、台座91と同様に、レンズ92は、発光サイリスタ列に沿って、つながって設けられていてもよく、発光サイリスタLごとに分離されていてもよい。
ここでは、レンズ92が発光サイリスタ列に沿ってつながっていても、発光サイリスタLごとに分離されていても、発光サイリスタLごとにレンズ92が設けられているとする。
このようにして、台座91とレンズ92とを備えたレンズ92を備えた発光チップCが製造される。
【0134】
なお、フォトマスク95の透過光量は、露光光97を遮光するドットパターン96の密度分布で制御したが、大きさの異なるドットパターン96を配置することにより制御してもよい。また、厚さにより光透過率が異なる膜を用いて、膜厚を変えることにより制御してもよい。
【0135】
さらに、レンズ92は、第1の実施の形態で説明したように、インプリント法によって形成してもよい。
【0136】
また、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態で説明したように、レンズ92の開口部92aの平面形状の中心を発光面311の発光強度が大きい部分に対向するように、発光面311の中心からシフトして設けてもよく、発光面311の平面形状に対応して、レンズ92の開口部92aの平面形状を、角を丸くした長方形、楕円形、長方形などとしてもよい。
【0137】
第2の実施の形態では、レンズ92と発光サイリスタLとの間に台座91を設けたことにより、レンズ92の形成に対する制約が少なくなり、レンズ92の形成が容易になる。
また、第2の実施の形態では、レンズ92と台座91とを屈折率の異なる材料で構成すると、台座91とレンズ92との境界で光が屈折し、発光面311が出射する光がより光軸方向に集光する。
さらに、台座91の感光性材料94aが発生する応力が、レンズ92の感光性材料94bが発生する応力より小さければ、台座91を設けない場合に比べ、応力により発生する発光チップCのそりが低減する。
【0138】
なお、図15に示すように、台座91とレンズ92とを分けて形成しなくともよい。図7(c)では、開口部92aに対応するフォトマスク95の部分に、ドットパターン96を設けなかったが、予め定められた透過光量が得られるようにドットパターン96を設けることにより、現像後に予め定められた厚さの感光性材料94が開口部92a内に残るようにしてもよい。ここで、開口部92a内に残った部分を台座91と考えればよい。このときは、台座91とレンズ92とは同じ材料で構成されていることになる。
【0139】
以上説明したように、発光サイリスタLに開口部92aを有するレンズ92を設けることにより、開口部92aを設けない場合に比べ、感光体ドラム12に照射される光量が増加する。すなわち、発光サイリスタLの発光面311から出射する光の取出し効率が向上する。
【0140】
第1の実施の形態および第2の実施の形態では、サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL)は、アノード端子が基板80に接続されたアノードコモンとして説明した。サイリスタ(転送サイリスタT、発光サイリスタL)は、回路の極性を変更することによって、カソード端子が基板80に接続されたカソードコモンとしてもよい。
また、発光サイリスタLの発光面311の中央に、n型オーミック電極321が設けられているとしたが、n型オーミック電極321は発光面311の中央からずれたところに、設けられていてもよい。
また、n型オーミック電極321が設けられていなくてもよい。
【0141】
さらに、第1の実施の形態および第2の実施の形態では、発光サイリスタLと転送サイリスタTとから構成される自己走査型発光素子アレイ(SLED)で説明したが、自己走査型発光素子アレイ(SLED)は、発光サイリスタLと転送サイリスタTの他に、制御用のサイリスタ、ダイオード、抵抗などの他の部材を含んでいてもよい。
また、第1の実施の形態および第2の実施の形態では、転送サイリスタTの間を結合ダイオードDxで接続したが、抵抗など電位の変化を伝達できる部材であってもよい。
【0142】
そして、第1の実施の形態および第2の実施の形態では、発光素子を発光サイリスタLとしたが、発光素子はp型の半導体層とn型の半導体層とが積層された発光ダイオード(LED)であってもよい。
【符号の説明】
【0143】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…プリントヘッド、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…光源部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、71…電源線、72…第1転送信号線、73…第2転送信号線、75…点灯信号線、75a…幹部、75b…枝部、91…台座、92、93…レンズ、92a…開口部、92b…曲面部、92c、93b…曲面、92d…内側面、92e…外側面、94、94a、94b…感光性材料、110…信号発生回路、120…転送信号発生部、140…点灯信号発生部、160…基準電位供給部、170…電源電位供給部、φ1…第1転送信号、φ2…第2転送信号、φI(φI1〜φI40)…点灯信号、C(C1〜C40)…発光チップ、L…発光サイリスタ、T…転送サイリスタ、Dx…結合ダイオード、Vga…電源電位、Vsub…基準電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に列状に配置された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子の光を出射する発光面に対向してそれぞれ設けられ、当該発光面と交差する方向に筒状に開口された開口部と、当該開口部の周囲に当該発光素子上に配置され、当該開口部から当該発光面に沿う方向に遠ざかるにしたがって当該発光面に近づくとともに、凸面状となっている表面を有する曲面部とを備え、当該発光素子が出射する光を集光する複数のレンズと
を備える発光部品。
【請求項2】
前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子の前記発光面は、前記複数のレンズにおける当該発光素子に対応するレンズが前記開口部を有せず凸面状の表面を当該開口部に延長した形状であるときの焦点の位置より当該レンズの主点側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光部品。
【請求項3】
前記複数のレンズのそれぞれのレンズの前記開口部は、前記複数の発光素子における当該レンズに対応する発光素子の前記発光面の発光強度が大きい部分に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光部品。
【請求項4】
前記複数のレンズのそれぞれのレンズと、前記複数の発光素子における当該レンズに対応する発光素子との間に、当該発光素子の出射する光を透過する台座をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光部品。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、自己走査型発光素子アレイが備える複数の発光サイリスタであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光部品。
【請求項6】
基板上に列状に配置された複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子の光を出射する発光面に対向してそれぞれ設けられ、当該発光面と交差する方向に筒状に開口された開口部と、当該開口部の周囲に当該発光素子上に配置され、当該開口部から当該発光面に沿う方向に遠ざかるにしたがって当該発光面に近づくとともに、凸面状となっている表面を有する曲面部とを備え、当該発光素子が出射する光を集光する複数のレンズとを備える発光手段と、
前記発光手段から照射される光を結像させる光学手段と
を備えたプリントヘッド。
【請求項7】
像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
基板上に列状に配置された複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子の光を出射する発光面に対向してそれぞれ設けられ、当該発光面と交差する方向に筒状に開口された開口部と、当該開口部の周囲に当該発光素子上に配置され、当該開口部から当該発光面に沿う方向に遠ざかるにしたがって当該発光面に近づくとともに、凸面状となっている表面を有する曲面部とを備え、当該発光素子が出射する光を集光する複数のレンズとを備え、光学手段を介して前記像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段により露光され前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−42010(P2013−42010A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178461(P2011−178461)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】