説明

発振回路

【課題】外部クロック信号の入力時における出力クロック信号のDutyの変動を抑える。
【解決手段】発振回路は、内部電源電圧に対応した振幅で発振して内部クロック信号を発生する発振部30と、スイッチ28,29と、トレラント入力回路用のNMOS13と、初段ドライバ15と、カップリング容量27とを有している。スイッチ28,29は、外部クロック信号がクロック端子1,2に入力される時にはオフ状態になり、発振部30が発振する時にはオン状態になる。NMOS13は、入力クロック信号の振幅をオン抵抗値により変化させてドレイン電極から出力する。初段ドライバ15は、NMOS13のドレイン電極の出力を駆動してクロック信号を出力する。カップリング容量27は、入力クロック信号の立ち上がりの際にNMOS13のゲート電圧を変化させて前記オン抵抗値を一定に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、入力信号レベルをトランジスタの耐圧より低いレベルにするトレラント入力回路を有する水晶発振回路等の発振回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶発振回路を低(電源)電圧で動作させる技術としては、例えば、次のような文献等に開示されるものがあった。
【0003】
【特許文献1】特開2004−015314号公報
【0004】
この特許文献1に開示された低(電源)電圧動作の水晶発振回路では、低電圧よりも高い電圧で発振する外部クロック信号が入力される場合に備えて、水晶発振回路内の初段ドライバの入力側に、制限抵抗の機能を有するトレラント入力回路が設けられることがある。このトレラント入力回路としては、ソース電極が外部クロック端子側に接続され、ドレイン電極が初段ドライバの入力側に接続され、ゲート電極に所定の電圧が印加されるMOSトランジスタ(例えば、Nチャネル型MOSトランジスタ、以下これを「NMOS」という。)が挙げられる。
【0005】
この水晶発振回路では、低電圧よりも高い振幅の外部クロック信号が入力されると、これがトレラント入力回路用のNMOSのオン状態時の抵抗値(これを「オン抵抗値」という。)により、初段ドライバを構成する低電圧用のトランジスタの耐圧以下の振幅のクロック信号に変換された後、この初段ドライバで駆動されてクロック出力端子からクロック信号が出力される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の水晶発振回路では、次のような課題があった。
トレラント入力回路用のNMOSは、このオン抵抗値を一定にするためにゲート電極の電圧(ゲート電圧)が略一定に保たれている。低電圧よりも高い振幅の外部クロック信号が入力され、トレラント入力回路用のNMOSのソース電極側の電圧(ソース電圧)が立ち上がることにより、ドレイン側の電圧(ドレイン電圧)も徐々に立ち上がる。トレラント入力回路用のNMOSは、このドレイン電圧が上昇することによる該NMOSの基板効果で閾値電圧Vtが上がるので、ドレイン電圧の立ち上がり遅延が発生する。そのため、そのドレイン電圧が初段ドライバで駆動されてクロック出力端子から出力されるクロック信号の動作Duty(デューティ、オン/オフの動作期間)において、論理高レベル(以下“H”という。)区間が小さく、論理低レベル(以下“L”という。)区間が長いクロック信号となり、Duty規格を50%±10%程度に規定している場合、この規格を満足できなくなるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決し、外部クロック信号の入力時において、トレラント入力回路用のトランジスタでの立ち上がり遅延あるいは立ち下がり遅延を解消することで、外部クロック信号の入力時におけるDutyの変動を抑えることができる発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発振回路は、内部電源電圧に対応した振幅で発振して内部クロック信号を発生する発振部と、スイッチと、トレラント入力回路用のMOSトランジスタと、ドライバと、第1のカップリング容量とを有している。
【0009】
前記スイッチは、前記内部電源電圧よりも大きな振幅の外部クロック信号がクロック端子に入力される時にはオフ状態になり、前記発振部が発振する時にはオン状態になって前記発振部から発生される前記内部クロック信号を前記クロック端子から出力させる。前記トレラント入力回路用のMOSトランジスタは、前記クロック端子から入力される信号に対応した振幅の入力クロック信号が与えられるソース電極と、出力用のドレイン電極と、所定の電圧が印加されて前記第1及び第2の電極間のオン抵抗値を変化させるゲート電極とを有し、前記入力クロック信号の振幅を前記オン抵抗値により変化させて前記第2の電極から出力する。
【0010】
前記ドライバは、前記MOSトランジスタにおけるドレイン電極の出力を駆動してクロック信号を出力する。更に、前記第1のカップリング容量は、前記MOSトランジスタにおけるソース電極とゲート電極との間に接続され、前記入力クロック信号の立ち上がりの際に前記ゲート電極の電圧を変化させて前記オン抵抗値を一定に保つ。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発振回路によれば、第1のカップリング容量を設けたので、入力クロック信号が立ち上がる際のカップリングにより、トレラント入力回路用のトランジスタのオン抵抗値を一定に保ち、このトランジスタでの遅延を抑え、入力クロック信号の動作Dutyの変動を抑制できる。
【0012】
本発明の他の発振回路によれば、第2のカップリング容量を設けたので、入力クロック信号が立ち下がる際に、トレラント入力回路用のトランジスタにおける制御電極の電圧が下ることを抑え、入力クロック信号の立ち下がり時にも、信号遅延による動作Duty変動を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発振回路は、内部電源電圧に対応した振幅で発振して内部クロック信号を発生する発振部と、前記内部電源電圧よりも大きな振幅の外部クロック信号がクロック端子に入力される時にはオフ状態になり、前記発振部が発振する時にはオン状態になって前記発振部から発生される前記内部クロック信号を前記クロック端子から出力させるスイッチと、トレラント入力回路用のトランジスタと、ドライバと、第1のカップリング容量とを有している。
【0014】
前記トレラント入力回路用のトランジスタは、前記クロック端子から入力される信号に対応した振幅の入力クロック信号が与えられる第1の電極と、出力用の第2の電極と、所定の電圧が印加されて前記第1及び第2の電極間のオン抵抗値を変化させる制御電極とを有し、前記入力クロック信号の振幅を前記オン抵抗値により変化させて前記第2の電極から出力する素子である。前記ドライバは、前記トランジスタにおける前記第2の電極の出力を駆動してクロック信号を出力する素子である。更に、前記第1のカップリング容量は、前記トランジスタにおける前記第1の電極と前記制御電極との間に接続され、前記入力クロック信号の立ち上がりの際に前記制御電極の電圧を変化させて前記オン抵抗値を一定に保つものである。
【実施例1】
【0015】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1を示す発振回路(例えば、水晶発振回路)の概略の構成図である。
【0016】
本実施例1の水晶発振回路は、半導体集積回路(例えば、MOSトランジスタにより構成される大規模半導体集積回路(以下「LSI」という。))の内部に設けられ、ある発振周波数をもつ水晶発振子を接続して動作させる場合と、外部入力クロックドライバとして動作する場合(例えば、動作電圧の異なる(動作電圧が高い)他のLSIから外部クロック信号の供給を受ける場合等)とに使用される。
【0017】
この水晶発振回路は、LSI外部端子として相補的な外部クロック信号xt0,xt1が入力されるクロック端子1,2を有している。クロック端子1と2の間には、発振回路本体10が接続されると共に、スイッチ28,29を介して、水晶発振子等で構成された発振部30が接続されている。スイッチ28,29は、制御信号によりオン/オフ動作するトランジスタ等で構成され、水晶発振時にオン状態、外部クロック信号入力時にオフ状態になる素子である。
【0018】
発振回路本体10では、クロック端子1と2の間に、入力保護回路11と、入力保護抵抗12と、ノードN12と、制限抵抗機能を有するトレラント入力回路を構成するNMOS13と、ノードN13と、このノードN13と接地電位のグランド(以下「GND」という。)端子との間に挿入されたダイオード接続のNMOS14と、例えば2入力の否定論理積(以下「NAND」という。)ゲートからなる初段ドライバ15と、ノードN15と、出力制限抵抗16と、出力保護回路17とが、直列に接続されている。
【0019】
入力保護回路11は、ゲート電極及びソース電極がダイオード接続されたPチャネル型MOSトランジスタ(以下「PMOS」という。)11aと、ゲート電極及びソース電極がダイオード接続されたNMSO11bとを備え、これらのPMOS11a及びNMOS11bが、内部電源電圧VDDIレベルよりも高い外部電源電圧(例えば、インタフェース電源電圧)VDDEが印加される電源端子と、GND端子との間に、直列に接続されている。同様に、出力保護回路17は、ダイオード接続されたPMOS17aと、ダイオード接続されたNMOS17bとを有し、これらが電源電圧VDDI端子とGND端子との間に直列に接続されている。
【0020】
水晶発振回路は、LSI内部において常に動作し続けるため、この消費電流が比較的大きくなる。この対策として、イネーブル信号xt_enにより活性化される2入力NANDゲートからなる初段ドライバ15の電源を、レギュレータ出力電源とし電流を絞ることが行われる。この際、初段ドライバ15を構成するMOSランジスタを低電圧で動作可能にするために、低電圧用MOSトランジスタを使用するが、この低電圧用MOSトランジスタは耐圧が低い場合が多いので、外部クロック信号xt0,xt1が電源電圧VDDEレベルで入ってきた場合に、電圧レベルを下げるために、入力側に、トレラント入力回路を構成するNMOS13が設けられる。NMOS13を使用すれば、このゲート電圧の制御が容易になる。
【0021】
又、発振回路本体10には、外部クロック信号xt0,xt1を活性化するために使用されるイネーブル信号xt_enを入力するためのLSI内部端子18が設けられている。この内部端子18には、レベルシフタ20を介して定電圧回路21が接続されている。レベルシフタ20は、電源電圧VDDI,VDDEに基づき、電源電圧VDDIレベルのイネーブル信号xt_enを、電源電圧VDDEレベルに遷移(シフト)して定電圧回路21に与える回路である。定電圧回路21は、レベルシフタ21の出力電圧とNMOSの閾値電圧Vtとを用いて、安定したゲート電圧を発生してNMOS13のゲート電極側のノードN21へ印加する回路である。この定電圧回路21は、レベルシフタ21の出力電圧によりゲート電極が制御されるPMOS21aと、ダイオード接続されたNMOS21bと、安定したゲート電圧を出力するノードN21と、ダイオード接続された2つのNMOS21c,21dとを有し、これらが、電源電圧VDDE端子とGND端子との間に直列に接続されている。
【0022】
初段ドライバ15の出力側ノードN15から、LSI内部端子であるクロック出力端子26との間には、ノードN15にダイオード接続されたNMOS23と、シュミット型インバータ24と、2入力の論理積(以下「AND」という。)ゲートからなるANDドライバ25とが、直列に接続されている。インバータ24及びANDドライバ25は、電源電圧VDDIにより動作する回路であり、この内のANDドライバ25は、イネーブル信号xt_enにより活性化され、インバータ24の出力信号を入力して内部クロック信号clkをクロック出力端子26へ出力する回路である。
【0023】
発振部30は、発振回路本体10に対して外付けあるいは内蔵される回路であり、水晶発振子31と、この水晶発振子31の両端とGND端子との間に接続された2つの負荷容量32,33と、水晶発振子31の両端に接続された帰還抵抗(フィードバック抵抗)34とにより構成されている。この発振部30は、水晶発振子31での動作と外部入力クロック動作を切り替えるスイッチ28,29を介して、クロック端子1,2に接続されている。
【0024】
水晶発振回路を構成するMOSトランジスタの種類は、例えば、レベルシフタ20の前段とNMOS13より右側のMOSトランジスタは、インタフェース電源電圧VDDEレベルより低い内部電源電圧VDDIレベルで動作する閾値電圧Vtの低い低電圧用MOSトランジスタを使用している。その他のMOSトランジスタは、インタフェース電源電圧VDDEレベルで動作するための耐圧を有するMOSトランジスタを使用している。
【0025】
本実施例1の特徴は、NMOS13のソース電極側のノードN12とゲート電極側のノードN21との間に、容量値C1の第1のカップリング容量27を挿入したことである。
【0026】
(実施例1の動作)
本実施例1の水晶発振回路において、(1)カップリング容量27が無い場合の動作と、(2)カップリング容量27を挿入した場合の動作とを説明する。
【0027】
(1) カップリング容量27が無い場合の動作
水晶発振時には、LSI内部端子18に入力されるイネーブル信号xt_enがGNDレベルの“L”となり、初段ドライバ15及びANDドライバ25が非活性化状態になり、動作しない。スイッチ28,29がオン状態にされ、発振部30で発生した内部クロック信号がクロック端子1,2から出力される。
【0028】
図2は、図1の水晶発振回路においてカップリング容量27を設けない場合の外部クロック入力時の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0029】
インタフェース電源電圧VDDEレベルで外部クロック信号xt0,xt1がクロック端子1,2に入力される場合は、この外部クロック入力動作のためにスイッチ28,29がオフ状態にされて、発信部30が切り離される。
【0030】
LSI内部端子18に入力されるイネーブル信号xt_enが“L”→“H”となることで、水晶発振回路は動作状態へと移行し、定電圧回路21が所定の電圧(VDDI+△V)をノードN21へ出力する。外部よりある周波数の外部クロック信号xt0がクロック端子1に入力される。外部クロック信号xt0の振幅は、GNDレベルから電源電圧VDDEレベルとなる。クロック端子1より入力された外部クロック信号xt0は、入力保護回路11、入力保護抵抗12、ノードN12、及び制限抵抗用NMOS13を経てノードN13へ伝わる。この際、制限抵抗用NMOS13の効果で、入力クロック信号の最大レベルは低電圧用MOSトランジスタの耐圧を超えないレベルへと変換される。その後、初段ドライバ15で、振幅がGNDレベルから電源電圧VDDIレベルのクロック信号となり、シュミット型インバータ24及びANDドライバ25を経て、内部クロック信号clkがクロック出力端子26へ出力される。
【0031】
ところが、カップリング容量27が設けられていないので、次のような問題が生じる。
制限抵抗用NMOS13のゲート電極側のノードN21の電圧が略一定に保たれているため(但し、NMOS13のジャンクション容量により若干のカップリングは受ける)、ノードN12の電圧が立ち上がることにより、ノードN13の電圧も徐々に立ち上がる。制限抵抗用トランジスタはNMOS13で構成されているため、ノードN13の電圧が上昇することによるMMOSの基板効果で、NMOS13の閾値電圧Vtが上昇し、ノードN13の立ち上り遅延が発生する。そのため、動作Dutyが“H”区間が小さく、“L”区間が長いクロック信号となり、Duty規格を50%±10%程度に規定している場合、この規格を満足できなくなる。
【0032】
そこで、本実施例1では、外部クロック入力時のNMOS13での立ち上り遅延を解消するために、ノードN12とノードN21との間にカップリング容量27を挿入し、外部入力クロックのDutyの変動を抑えている。この動作を以下説明する。
【0033】
(カップリング容量27を挿入した場合の動作)
図3は、図1の水晶発振回路においてカップリング容量27を設けた場合の外部クロック入力時の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0034】
カップリング容量27を挿入すると、このカップリング容量27の働きで、ノードN12の立ち上がり時に、ノードN21がノードN12のカップリングを受けて持ち上がり、ノードN13での立ち上がり遅延が無い状態で上記と同等の動作を行う。
【0035】
(実施例1のカップリング容量27の容量値C1の求め方)
図4は、図1のカップリング容量27における容量値C1の求め方を説明するための図である。
【0036】
(A) カップリング容量27の容量値C1
例えば、電源電圧VDDE=3.6V、電源電圧VDDI=1.5V、NMOS13の閾値電圧Vtn=0.5V、ノードN21の寄生容量値(NMOS13のゲート容量値を含む)Cf=100fFとした場合を考えてみる。
【0037】
ノードN13には、“H”が電源電圧VDDIレベルの信号が入ればよいので、ノードN21の電圧は(VDDI+Vtn)に設定する。ノードN12の“H”(=電源電圧VDDEレベル)をノードN13に伝える際に、ノードN13が徐々に上昇することで、NMOS13のドレイン・ソース間電圧Vdsが小さくなることとNMOS13の基板効果で閾値電圧Vtnが上昇し、ノードN13の立ち上がりに遅延が生じる。この影響を相殺するように、ノードN21をカップリング容量27で上昇させてやればよいので、カップリング容量27の容量値C1は、以下のようにして求められる。
【0038】
例えば、NMOS13の基板効果等による閾値電圧Vtn上昇分を0.5V以内とすると、“H”入力時にノードN21を0.5V上昇させれば良いと考えて、以下のように計算する。
△Qb=Cf△’Cf=100fF △V=0.5V
△Q=100[fF]×0.5[V]
=5E−14
△Q=C1×VDDE
C1=△Q/VDDE
=13.8[fF]
【0039】
よって、容量値C1はプロセスによって異なるが、目安としてはノードN21の寄生容量値(NMOS13のゲート容量値を含む)Cfの1/5〜1/10で良い。
【0040】
(B) カップリング容量27の容量値C1の臨界点
基本的にノードN13の電圧は、初段ドライバ15を構成する内部MOSトランジスタの耐圧を越えないレベルであればよいので、例えば、前記(A)の例で言うと、内部MOSトランジスタの耐圧を3Vとした場合に、ノードN21を2V上昇させるとノードN21は4V程度になり、ノードN13の電圧は3V以上となるため耐圧違反となる。この際の容量値C1は約55.5fFとなり、このことから容量値C1の臨界点は、ノードN21の寄生容量値の1/2程度である。
【0041】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、ノードN12の立ち上がりによるNMOS13のゲート・ソース間電圧Vgsが十分取れないために起こるNMOS13のオン抵抗値の増加が、ノードN21をノードN12のカップリングで持ち上げることで、ノードN13の立ち上がり遅延が解消され、動作Dutyの変動を抑える効果がある。
【実施例2】
【0042】
(実施例2の構成)
図5は、本発明の実施例2を示す発振回路(例えば、水晶発振回路)の概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0043】
本実施例2の水晶発振回路では、実施例1におけるノードN21とノードN15の間に、容量値C2の第2のカップリング容量47を追加挿入している。カップリング容量47の容量値C2とこの臨界点は、カップリング容量27の容量値C1と同じ大きさで良い。その他の構成も、実施例1と同様である。
【0044】
(実施例2の動作)
図6は、図5の水晶発振回路においてカップリング容量47を追加した場合の外部クロック入力時の動作波形を示すタイミングチャートである。
【0045】
カップリング容量27の働きで、ノードN12の立ち上がり時に、ノードN21がノードN12のカップリングを受けて持ち上がり、ノードN13での立ち上がり遅延が無い状態で動作する。ノードN12の立ち下り時には、カップリング容量27の影響でノードN21の電圧が下がることを、カップリング容量47の働きでノードN15の立ち上がりを受けて抑える動作を行う。
【0046】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果を有する他に、カップリング容量47の働きで、入力クロック信号の立ち下り時の遅延発生リスクも解消される。
【実施例3】
【0047】
図7(A)、(B)、図8(A)〜(F)は、本発明の実施例3を示すもので、図7(A)、(B)は図1、図5の他の初段ドライバの構成図、及び図8(A)〜(F)は図1、図5の他の出力回路の構成図である。
【0048】
図7(A)に示すように、図1、図5の2入力NANDゲートからなる初段ドライバ15を、2入力の否定論理積(以下「NOR」という。)15−1で構成しても良い。又、図7(B)に示すように、初段ドライバ15を、インバータ15−2で構成しても良い。但し、インバータ15−2を用いる場合は、イネーブル信号xt_enが入力されないので、初段ドライバの停止ができない。用途に応じて適宜なものを使用すれば良い。
【0049】
図1、図5では、シュミット型インバータ24及びANDドライバ25により出力回路が構成されているが、これは図8(A)〜(F)のような他の回路構成にしても良い。図8(A)では、2入力NANDゲート25−1で構成する例、図(B)では、2入力ANDゲート25−2で構成する例、図8(C)では、2入力NORゲート25−3で構成する例、図8(D)では、2入力の論理和(以下「OR」という。)ゲート25−4で構成する例、図8(E)では、インバータ25−5で構成する例、及び、図8(F)では、シュミット型インバータ25−6で構成する例がそれぞれ示されている。但し、インバー25−5,25−6を用いる場合は、イネーブル信号xt_enが入力されないので、出力回路の停止ができない。用途に応じて適宜なものを使用すれば良い。
【0050】
更に、本発明は図示の実施例1〜3に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。
【0051】
例えば、トレラント入力回路をNMOS13以外のPMOS等の他のトランジスタで構成しても良い。PMOSを使用する場合は、“H”入力、“L”入力共にゲート電圧の制御が必要になる。又、水晶発振子31をセラミック振動子等の他の圧電振動子に置き換えたり、あるいは、発振部30を他の発振回路で構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1を示す水晶発振回路の概略の構成図である。
【図2】図1の水晶発振回路においてカップリング容量27を設けない場合の外部クロック入力時の動作波形を示すタイミングチャートである。
【図3】図1の水晶発振回路においてカップリング容量27を設けた場合の外部クロック入力時の動作波形を示すタイミングチャートである。
【図4】図1のカップリング容量27における容量値C1の求め方を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例2を示す水晶発振回路の概略の構成図である。
【図6】図5の水晶発振回路においてカップリング容量47を追加した場合の外部クロック入力時の動作波形を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施例3を示すもので、図1、図5の他の初段ドライバの構成図である。
【図8】本発明の実施例3を示すもので、図1、図5の他の出力回路の構成図である。
【符号の説明】
【0053】
10 発振回路本体
13 トレラント入力回路用のNMOS
15,15−1,15−2 初段ドライバ
25 ANDドライバ
27,47 第1、第2のカップリング容量
30 発振部
31 水晶発振子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電源電圧に対応した振幅で発振して内部クロック信号を発生する発振部と、
前記内部電源電圧よりも大きな振幅の外部クロック信号がクロック端子に入力される時にはオフ状態になり、前記発振部が発振する時にはオン状態になって前記発振部から発生される前記内部クロック信号を前記クロック端子から出力させるスイッチと、
前記クロック端子から入力される信号に対応した振幅の入力クロック信号が与えられる第1の電極と、出力用の第2の電極と、所定の電圧が印加されて前記第1及び第2の電極間のオン抵抗値を変化させる制御電極とを有し、前記入力クロック信号の振幅を前記オン抵抗値により変化させて前記第2の電極から出力するトレラント入力回路用のトランジスタと、
前記トランジスタにおける前記第2の電極の出力を駆動してクロック信号を出力するドライバと、
前記トランジスタにおける前記第1の電極と前記制御電極との間に接続され、前記入力クロック信号の立ち上がりの際に前記制御電極の電圧を変化させて前記オン抵抗値を一定に保つ第1のカップリング容量と、
を有することを特徴とする発振回路。
【請求項2】
請求項1記載の発振回路は、更に、
前記制御電極と前記ドライバの出力端子との間に接続され、前記入力クロック信号の立ち下がりの際に前記制御電極の電圧を変化させて前記オン抵抗値を一定に保つ第2のカップリング容量を有することを特徴とする発振回路。
【請求項3】
前記発振部は、圧電振動子と、前記圧電振動子の入出力端子間に接続された帰還抵抗と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の発振回路。
【請求項4】
前記圧電振動子は、水晶発振子であることを特徴とする請求項3記載の発振回路。
【請求項5】
前記トランジスタは、前記制御電極がゲート電極であるMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発振回路。
【請求項6】
前記MOSトランジスタは、Nチャネル型MOSトランジスタであることを特徴とする請求項5記載の発振回路。
【請求項7】
前記第1のカップリング容量の容量値は、前記Nチャネル型MOSトランジスタの前記ゲート電極における寄生容量値(但し、これにはゲート容量値を含む。)に対して、略1/5〜1/10程度であり、前記第1のカップリング容量値の臨界点は、前記寄生容量値の略1/2程度であることを特徴とする請求項6記載の発振回路。
【請求項8】
前記第2のカップリング容量の容量値及びこの臨界点は、前記第1のカップリング容量の容量値及びこの臨界点と略同一であることを特徴とする請求項6記載の発振回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−311846(P2007−311846A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136032(P2006−136032)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591049893)株式会社 沖マイクロデザイン (127)
【Fターム(参考)】