説明

皮膚の色素沈着評価方法およびその提示方法

【課題】より簡便でかつ視覚化可能な皮膚の色素沈着の評価方法、その提示方法、および色素沈着の治療剤および美白剤の評価方法の提供。
【解決手段】ヒトの皮膚評価部位における色素沈着の評価方法であって、a)偏光フィルターを装着したカメラを用いて、該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;b)ホワイトバランスを調整し;c)カラー画像をRGBに分解し;d)R画像のコントラストを強調させ;e)背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;f)2値化処理して、その部位を明確化し;g)色素沈着部位の面積をピクセル数にて算出して数値として表示する、および/または色素沈着部位を画像として表示する工程を含む該評価方法、提示方法、治療剤等の評価方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の色素沈着評価方法、その提示方法および色素沈着の治療剤および美白剤の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シミ、ソバカスとして現れる皮膚における色素沈着は加齢または紫外線曝露等の種々の原因により発生し、その代表例は紫外線曝露後の褐色色素沈着であるメラニン色素の全身的または局部的な蓄積によるもので、老人性色素斑および日光黒子のごとき日光性色素斑ならびに雀卵斑等が知られている。この色素沈着は特に女性にとって美容上の極めて深刻な問題である。色素沈着は、皮膚の皺部分、外界と接する部分、衣服等に接する部分の皮膚表面に起こりやすく、紫外線や機械的接触による刺激を原因とすることが多いことが知られている。
このようなシミ、ソバカスとして現れる色素沈着を視覚化および数値化することにより正確に評価する要求が特に美容分野および皮膚治療分野において存在している。
【0003】
しかしながら、皮膚における色素沈着の評価において、種々の評価方法が試みられているが皮膚の微弱な炎症や血行の変化によって色素沈着部位の明度が変化し評価が一定しないことが多い。また、美白剤の評価をする場合、ヘモグロビンの変動に影響されずメラニンの増減のみを評価したいというニーズがあった。
【0004】
川口らは、分光画像の画像分析によって色素沈着部位の画像を再構成し、皮膚色の濃淡を評価する方法を報告している。ただ、この方法は、事前に数多くの色素沈着の分光反射率を基礎データとして採取し、皮膚の分光反射率(400〜700nm、10nm間隔、31波長点)の波長間の反射率データを用いて主成分分析を行い、皮膚の分光反射率構成因子の固有スペクトルを算出する必要があるなど煩雑さが課題とされていた。また、メラニンの存在部位を相対的に浅い位置および深い位置の2種にしか分類できない(非特許文献1)。
【0005】
滝脇らは、カラー画像をR(赤)、G(緑)、B(青)チャネルに色分解したR画像を用いて、logR反転画像の平均輝度値をメラニン指数とする方法を提案している。これは、色素沈着物質であるメラニンが、BGR領域においてある範囲の吸収係数を有し、R領域においても減衰せず、一方、ヘモグロビンの還元型(Hb)および酸化型(HbO)は、BおよびG領域に吸収係数の極大を有し、R領域において減衰することによる(図1)。この方法は、事前処理が必要ではなく簡易にヘモグロビンとメラニンを分離でき、メラニンを数値化する方法としては実用的である。
しかしながら、データがlogR反転画像であるため色素沈着の色が白黒が逆転して表示されることから、一般の人に美白剤の使用前後の写真からは分かり難く、カウンセリングなどにおいてデータを応用しにくいといった課題があった。また、評価方法として、矩形の一定面積を平均化処置するため、色素沈着部位の大きさ、分布等の細かい評価が可能ではない。(非特許文献2)
【0006】
より詳細には、滝脇らの手法は、以下の評価範囲および画像処理を行う。評価範囲として、取り込み画像の広範囲の部位(眼下のクマや頬骨の部分など)を1点として扱い評価し、画像処理後は数値データのみが示される。従って、イメージデータではないため、シミの大きさや散らばりの頻度などを視覚的に捉えることができない。また、画像処理について、logRの反転画像(ネガイメージ)を提供できるが、シミやクマなどの明度の低い部分ほど高明度(白く)表示されるため、一般ユーザーには直感的に、シミ、ソバカスおよびクマのイメージとして捉え難い。また、一律にlogRの反転処理を行うため、ベースとなる肌色の濃淡によって、シミ、ソバカスおよびクマの部位を捉え難くなるという欠点を有する。
【0007】
【非特許文献1】川口由起子ら, J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn, Vol. 33, No. 1, pp. 27-38(1999)
【非特許文献2】H. Takiwakiら, Br. J. Dermatol. 131, pp. 85-92 (1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、より簡便でかつ視覚化可能な皮膚の色素沈着の評価方法、その提示方法、および色素沈着の治療剤および美白剤の評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の手段および画像処理方法を用いることにより、簡便に皮膚の色素沈着部位を視覚化でき、色素沈着の改善率を数値として算出できることを見出し、本発明を完成させた。より詳細には、本発明により、簡便にメラニンによる色素沈着の色の濃さや面積を評価でき、色素沈着部位のメラニンの増減を白黒の色のグラデーションによって容易に理解可能に可視化(画像化)でき、色素沈着の改善率を数値として算出でき、また、メラニンの増減を視覚化できるために、色素沈着の治療剤および美白剤の効果の提示が可能となった。
【0010】
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1.第1の態様
(1)ヒトの皮膚評価部位における色素沈着の評価方法であって、
a)2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;
b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整し;
c)その調整後のカラー画像をRGBに分解し;
d)R画像のコントラストを強調させ;
e)該評価部位における背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;
f)この抽出後の画像を2値化処理して、各ピクセルを白または黒として表示することによりその色素沈着部位を明確化し;次いで
g)明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出して数値として表示する、および/または明確化された色素沈着部位を画像として表示する工程を含むことを特徴とする該評価方法。
(2)前記(1)の工程e)において、さらに、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出され、かつその平均輝度値が、工程g)において表示されることを特徴とする (1)記載の評価方法。
(3)該皮膚評価部位が顔であることを特徴とする(1)または(2)記載の評価方法。
(4) 該2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、
200〜240の範囲のグレーレベルで行われることを特徴とする(1)〜(3)いずれか1記載の評価方法。
(5)前記(1)の工程b)〜f)の各工程が、デジタル画像編集用および画像処理用ソフトウェアを用いて行われる(1)〜(4)いずれか1記載の評価方法。
(6)前記(1)の工程b)、f)およびg)がデジタル画像編集用ソフトウェアを用いて行われ、かつ工程c)、d)およびe)がデジタル画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする(5)記載の評価方法。
【0011】
2.第2の態様
(7) 皮膚における色素沈着の程度のヒトに対する提示方法であって、
a)2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;
b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整し;
c)その調整後のカラー画像をRGBに分解し;
d)R画像のコントラストを強調させ;
e)該評価部位における背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;
f)この抽出後の画像を2値化処理して、各ピクセルを白または黒として表示することによりその色素沈着部位を明確化し;次いで
g)明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出し;次いで
h)表示装置を用いて、数値としての工程g)で得られた明確化された色素沈着部位の面積、および/または画像としての工程f)で得られた明確化された色素沈着部位を該ヒトに視覚的に提示する工程を含むことを特徴とする該方法。
(8) 前記(7)の工程e)において、さらに、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出され、かつその平均輝度値が、工程h)において該ヒトに提示されることを特徴とする(7)記載の提示方法。
(9) 前記(7)の工程a)〜g)が、異なる時点にて少なくとも2回実施される結果、工程h)において比較して提示されることを特徴とする(7)または(8)記載の提示方法。
(10) 使用した色素沈着の治療剤および/または美白剤の効果を提示するために行われることを特徴とする(7)〜(9)いずれか1記載の提示方法。
(11) 該皮膚評価部位が顔であることを特徴とする(7)〜(10)いずれか1記載の提示方法。
(12) 該2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、
200〜240の範囲のグレーレベルで行われることを特徴とする(7)〜(11)いずれか1記載の提示方法。
(13) 前記(7)の工程b)〜f)の各工程が、デジタル画像編集用および画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする(7)〜(12)いずれか1記載の評価方法。
(14) 前記(7)のの工程b)、f)およびg)がデジタル画像編集用ソフトウェアを用いて行われ、かつ工程c)、d)およびe)がデジタル画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする(13)記載の評価方法。
【0012】
3.第3の態様
(15) 被験体の皮膚評価部位における色素沈着の治療剤および/または美白剤の評価方法であって、
a)2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;
b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整し;
c)その調整後のカラー画像をRGBに分解し;
d)R画像のコントラストを強調させ;
e)該評価部位における背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;
f)この抽出後の画像を2値化処理して、各ピクセルを白または黒として表示することによりその色素沈着部位を明確化し;次いで
g)明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出して数値として表示する、および/または明確化された色素沈着部位を画像として表示する工程を含み、上記a)〜g)の工程が異なる時点にて少なくとも2回実施される結果、工程gにおいて比較されることを特徴とする該評価方法。
(16) 前記(15)の工程e)において、さらに、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出され、かつその平均輝度値が、比較されることを特徴とする(15)記載の評価方法。
(17) 該被験体がヒトであって、該皮膚評価部位が顔であることを特徴とする(15)または(16)記載の評価方法。
(18) 該2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、
200〜240の範囲のグレーレベルで行われることを特徴とする(15)〜(17)いずれか1記載の評価方法。
(19) 前記(15)の工程b)〜f)の各工程が、デジタル画像編集用および画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする(15)〜(18)いずれか1記載の評価方法。
(20) 前記(15)の工程b)、f)およびg)デジタル画像編集用ソフトウェアを用いて行われ、かつ工程c)、d)およびe)がデジタル画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする(19)記載の評価方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、シミやソバカスが実イメージに近い画像イメージとなるため、数値データと合わせて、シミやソバカスの大きさや散らばりの程度や頻度なども視覚的に捉えることができ、また、院内での治療剤の治療効果説明や化粧品販売時のカウンセリング等に際して、色素沈着の色の濃さや面積の変化を数値や画像で伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明の第1〜3の態様に用いた「皮膚評価部位」とは、皮膚における色素沈着部位を含む評価の対象となる部位をいい、ヒトの皮膚の全体もしくは一部分であれば特に限定されるものではないが、好ましくは顔、腕、足のごとき外部から観察可能な部位、より好ましくは顔である。
【0015】
本発明の第1の態様では、ヒトの皮膚評価部位における色素沈着の評価方法が提供される。
まず、第1の態様における工程a)では、2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得る。
【0016】
工程a)における「2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラ」とは、偏光フィルターの装着に際して、2枚の偏光フィルターを直交させて装着した、デジタル方式で画像を録画または保存および再生が可能なビデオカメラ、デジタルカメラのごときカメラをいう。より好ましいカメラは、顔写真専用撮影ミニスタジオ VISIA-CRである。偏光フィルターは、当該偏光フィルターを用いることにより、拡散反射画像としてカラー画像を得ることができるものであれば、特に限定されない。
【0017】
工程a)における「ホワイトバランス調整用カラーチャート」とは、画像の色調を一定水準に補正するために市販または作製されたカラーチャートであり、画像のR/G/Bの出力レベルが同一に成るよう調整できる、すなわち、ホワイトバランス調整が可能なものであれば特に限定されない。好ましくは、Casmatch(大日本印刷社製)を用いてもよい。
このようなホワイトバランス調整用カラーチャートを同時に用いて、偏光フィルターを装着したカメラにより皮膚評価部位の画像を拡散反射画像として得る。
【0018】
次に、b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整する。
工程b)では、画像処理分野において、一般的に用いられる、光源に応じた白の基準をベースとして画像全体の色を補正する。具体例には、画像中のカラーチャートの色度をデジタル画像編集用ソフトウェアで測色し、カラーチャート固有の色度と一致させるように、画像のR/G/B出力レベルの補正を行う。このホワイトバランスの調整には、デジタル画像編集用ソフトウェア、好ましくはPhotoshopR(アドビ社製)を用いてもよい。また、このホワイトバランスの調整は、カメラ自体のオートホワイトバランス機能により行ってもよい。
このようにしてホワイトバランスが調整されたカラー画像を以下の画像分析に用いる。
【0019】
工程c)では、画像処理分野において一般的な手法を用いてカラー画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に分解する。このカラー画像のRGBへの分解に関して、赤間ら(画像情報処理の基礎、技報堂出版、第4章画像処理の基礎、2006)の総説に詳しく記載されている。このRGBへの分解には、デジタル画像処理用ソフトウェア、好ましくはフリーソフトのImageJ(バイオアーツ社製)を用いてもよい。
【0020】
次に、工程d)では、このようにして得られたRGBへの分解後の画像につき、画像処理分野において一般的に用いられる方法を用いて、R画像だけのコントラストを強調させる。R画像のコントラストを強調には、赤間ら(画像情報処理の基礎、技報堂出版、第4章画像処理の基礎、2006)の総説に記載されるごとく、ヒストグラム変換、線形変換、非線形変換等の種々の方法が存在するが、画素の濃度変換により画像のコントラストを高めるものであれば特に限定されない。具体例には、ヒストグラム変換をいう。このR画像のコントラストの強調には、デジタル画像処理用ソフトウェア、好ましくはImageJ(バイオアーツ社製)を用いてもよい。
【0021】
工程e)では、色素沈着部位の抽出を行うために、前記工程d)により得られたR画像につき背景を減算処理する。具体的には、Stanley Sternbergら(Biomedical Image Processing, IEEE Computer, pp. 22-34, January, 1983)の総説に記載されるごとく、ローリングボールアルゴリズムに基づく減算処理を行う。背景の減算処理には、デジタル画像処理用ソフトウェア、好ましくはImageJ(バイオアーツ社製)を用いてもよい。
【0022】
次に、工程f)では、このようにして得られた減算処理後のR画像につき、2値化処理を行う。「2値化処理」とは、画像処理分野において一般的に用いられる閾値処理により行われるものをいう。2値化処理は、赤間ら(画像情報処理の基礎、技報堂出版、第4章画像処理の基礎、2006)に詳しく記載されている。この2値化処理には、デジタル画像編集用ソフトウェア、好ましくはPhotoshopR(アドビ社製)を用いてもよい。2値化処理は、シミ、ソバカス、皺、凹凸等を含めたヒトの皮膚状態に依存して、0〜255グレーレベルを選択できるが、本願発明の色素沈着の評価には好ましくは、200〜240、より好ましくは205〜235、最も好ましくは210〜230の範囲のグレーレベルで行われる。この2値化処理により、画像の各ピクセルは白または黒で表示され、それにより、色素沈着部位は明確化される。
【0023】
次に、工程g)では、このようにして得られた明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出して数値として表示する、および/または明確化された色素沈着部位を画像として表示する。
工程g)における「ピクセル数」とは、画像処理分野において一般的に用いられる画素数をいい、赤間ら(画像情報処理の基礎、技報堂出版、第3章画像の扱い、2006)の総説に詳しく記載されている。このピクセル数での色素沈着部位の面積の算出には、画像のヒストグラムを得、黒色(グレーレベル0)で示されたピクセル数の総和の値を求める。このピクセル数による色素沈着部位の面積には、デジタル画像編集用ソフトウェア、好ましくはPhotoshopR(アドビ社製)を用いてもよい。また、工程f)により明確化された色素沈着部位を、単独または前記の色素沈着部位の面積の数値と共に、画像処理分野において使用される表示装置を用いて表示させてもよい。あるいは、明確化された色素沈着部位の画像のみを該表示装置を用いて表示させてもよい。
【0024】
さらに、この態様において、工程e)にて、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値を算出し、その平均輝度値を比較してもよい。
本明細書に用いた「平均輝度値」とは、指定範囲における総画素数のグレーレベルの平均値をいう。具体例には、各グレーレベルごとに、グレーレベルの値(0〜255)に相当する画素数を乗じた積を求め、これら積の総和を総画素数で除することにより算出できる。
【0025】
また、本発明の第2の態様では、ヒトに対する皮膚における色素沈着の程度の提示方法が提供される。
この第2の態様における工程a)〜f)は、前記の第1の態様における工程a)〜f)と同じ工程であるので、それらの工程の説明を省略する。
このような工程f)により得られた明確化された色素沈着部位の画像に基づき、工程g)では、色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出する。工程g)における「ピクセル数」は、前記の第1の態様における工程g)における定義に同じであり、同様に沈着部位の面積を算出できる。このピクセル数による色素沈着部位の面積には、デジタル画像編集用ソフトウェア、好ましくはPhotoshopR(アドビ社製)を用いてもよい。
【0026】
次に、工程h)では、表示装置を用いて、数値としての工程g)で得られた明確化された色素沈着部位の面積、および/または画像としての工程f)で得られた明確化された色素沈着部位を該ヒトに視覚的に提示する。
工程h)における「表示装置」とは、画像処理分野において用いられる、画像および数値等を表示するCRT、液晶等のディスプレイ装置をいい、このような表示装置を用いて、工程g)で得られた明確化された色素沈着部位の面積の数値を提示する、および/または工程f)で得られた明確化された色素沈着部位の画像を視覚的に提示する。
【0027】
さらに、本発明の第2の態様における提示方法は、皮膚の経時的な変化あるいは色素沈着の治療剤または美白剤の効果を示すために、上記a)〜g)の工程を異なる時点にて少なくとも2回実施し、工程e)で得られる色素沈着部位の色の濃さ、面積の数値、および/または明確化された色素沈着部位の画像の結果を比較することにより、ヒトに視覚的に提示してもよい。
本明細書に用いた「異なる時点」とは、皮膚の経時的な変化あるいは色素沈着の治療剤および美白剤の評価を行うための、異なる時点、または当該治療剤の処置前および処置後のいずれの時点もいい、少なくとも2回にわたる皮膚の経時的な変化あるいはその治療または美白剤による色素沈着の程度を評価し得る時点をいう。これらの異なる時点は、秒、分、時間、日、週間、月、年のいずれの間隔も含み得る。本発明の提示方法により、簡易にメラニンの色素沈着の面積を数値および画像としてヒトに提示できる。
【0028】
また、本発明の第3の態様において、ヒトの皮膚評価部位における色素沈着の治療剤および美白剤の評価方法が提供される。
この態様に用いる色素沈着の治療剤および美白剤は、当該技術分野において一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではない。色素沈着の治療剤および美白剤として、ハイドロキノン、アスコルビン酸およびその各種誘導体、プランタ、コウジ酸、アルブチン、エラグ酸、カミルレエキス、ルシノール、リノール酸、トラネキサム酸、マグノリグナン、アデノシン−リン酸二ナトリウムなどが挙げられる。好ましい治療剤は、ハイドロキノンである。
この第3の態様における工程a)〜g)は、前記の第1の態様における工程a)〜g)と同じ工程であるので、それらの工程の説明を省略する。
この態様では、工程a)〜g)が、異なる時点にて少なくとも2回実施され、明確化された色素沈着部位の面積の数値および/または明確化された色素沈着部位を画像が比較して表示装置に表示される。
また、工程e)において、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出されて、異なる時点でのその平均輝度値が比較されてもよい。
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
色素沈着の評価
1)皮膚評価部位の撮影
顔写真専用撮影ミニスタジオVISIA-CRTM(CANFIELD社製)を用いて、色素沈着部位を有するヒトの顔の正面および、左右の3方向からの写真を撮影した。撮影には、該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に、2枚の偏光フィルターを直交させて拡散反射画像として得た。
2)ホワイトバランスの調整
予めデジタル画像編集用ソフトウェアPhotoshopR(アドビ社製)の白色の基準値としてCasmatch(大日本印刷社製)カラーチャート白色部の色度を入力する。次に、上記拡散反射画像をPhotoshopR(アドビ社製)に取り込み、当該ソフトウェアのレベル補正機能にて、取り込み画像中のCasmatch(大日本印刷社製)カラーチャートの白色部位を拡散反射画像の基準白色部位として指定した。
3)カラー画像のRGBへの分解
上記2)で得られたホワイトバランス調整済み画像を、画像処理ソフトウェアImageJ(バイオアーツ社製)に取り込み、当該ソフトウェアのRGB分解機能にて、R、G、Bの各色に応じた個別の画像を得した。
4)R画像のコントラストの強調
上記3)で得られたR画像を、ImageJ(バイオアーツ社製)のコントラスト強調機能であるヒストグラムの平均化により、コントラストが強調された画像を得た。
5)評価部位における減算処理
上記4)で得られたコントラスト強調画像を、ImageJ(バイオアーツ社製)の減算処理機能により、画像中の背景の減算を行った。
6)2値化処理
上記5)で得られた減算処置済画像を、デジタル画像編集用ソフトウェアPhotoshopR(アドビ社製)に取り込み、当該ソフトウェアの2値化機能にて、画像の2値化を行った。また、実施例6に後記のごとく、2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、好ましくは、200〜240、より好ましくは205〜235、最も好ましくは210〜230の範囲のグレーレベルで行われる場合に、明確化された色素部位の画像が得られることが判明した。
7)色素沈着部位の面積の算出および表示
上記6)で得られた2値化画像について、黒色で示された色素沈着部位の画素数をPhotoshopR(アドビ社製)のヒストグラム表示機能により得、その色素沈着部位の面積を算出し、その結果を数値として表示画面に表示した。また、前記6)で得られた2値化画像を、明確化された色素沈着部位の画像として表示画面に表示した。さらに、所望により、上記の色素沈着部位の面積(数値)および明確化された色素沈着部位の画像の一方のみを表示させた。
【0031】
実施例2
皮膚色モデル(in vitro)による評価
皮膚色は主に、メラニンとヘモグロビンによって構成されることから、24穴マイクロプレートにヘモグロビンとメラニンを次の方法で層状に重ね合わせ皮膚色モデルを作成した。ヘモグロビン溶液は、寒天(Nissui Agar,日水製薬社製)を1.0%溶液となるように加熱溶解させ30℃まで冷却させた後、ウマ保存血液(Hg濃度2.1g/dL,日本バイオテスト社製)を加え、各濃度(3濃度:30μL/mL,21μ/mL,14.7μ/mL)となるように調整した。また、メラニン溶液は、メラニン試薬(SIGMA社製)を各濃度(6濃度:1.0mg/mL,0.7mg/mL,0.49mg/mL,0.34mg/mL,0.24mg/mL,0.17mg/mL)となるように0.5%NaOH溶液にて溶解させ調整した。次に、各濃度のヘモグロビン溶液とメラニン溶液を、16mmの円柱セル(24穴マイクロプレートのwell)に0.3mLずつ分注し、下に白色紙を置き、メディカルニッコール(ニコン社製)を用いて写真を撮影し、実施例1に示す方法で画像処理を行い、各セル毎の平均輝度値を求めた。グラフには、ヘモグロビン溶液30μL/mLおよびメラニン溶液1.0mg/mLの各溶液を、それぞれ相対濃度1.0として表した。
【0032】
試験結果
皮膚色モデルの各セル毎の平均輝度値は、ヘモグロビン量に関係なく、メラニンの濃度に依存して低下した(図2)。このことから、分光画像の解析によって、メラニンの濃さの数値化が可能であった。
【0033】
実施例3
色素沈着部位(in vivo)の色の濃さの評価
色素沈着の程度の異なる被験者(20名)を選定し、同一の色素沈着部位を一般的に用いられる分光測色計と本発明の分光画像解析(色素沈着の評価方法)との両方で測定して、色素沈着部のL*値と平均輝度値をSpearman(non-parametric)にて相関解析した。なお、L*値の測定は、分光測色計(ミノルタ社製CM-2002)を用いて、5ヵ所測定しその平均値を測定値とした。また、色素沈着部の平均輝度値は、VISIA-CR(CANFIELD社製)により撮影した画像を実施例1に示す方法に従って解析して、色素沈着の色の濃さを平均輝度値(0-255グレーレベル)にて表した。
【0034】
試験結果
本発明の分光画像解析が、色素沈着部位でのメラニンの定量に応用できるか否かを検証するため、分光測色計により測定したL*値と分光画像解析により求めた平均輝度値との関係を図3に示した(rs=0.97)。その結果、色素沈着部位のL*値と平均輝度の間に正の相関性が認められた。このことから、本発明の画像解析法により、臨床的に観察される様々な色素沈着の定量的な評価が可能であることが確認された。
【0035】
実施例4
ハイドロキノン(HQ)のin vivo有効性試験
ハイドロキノン(4%)を配合した製剤を試作し、顔面に色素沈着のある男性(5名)、女性(15名)、合計20名(平均年齢43.4歳)を対象に3ヵ月(90日)間の使用試験を実施した。
1)皮膚所見
担当医師が試験開始時および終了時に被験者の色素沈着の程度を、「なし:0」、「軽微:1」、「軽度:2」、「中等度:3」、「高度:4」の5段階のスコアにて評価した。試験前後のスコアの変化を、Wilcoxson t-testにて統計解析した。
2)美白効果の評価
色素沈着の色の濃さの評価は、実施例1に示す方法に従って行い、試験開始時および終了時の色素沈着の濃さの変化を平均輝度値(0〜255グレーレベル)で表した。色素沈着面積の評価は、実施例1の方法に従い、試験開始時および終了時の濃淡の変化をピクセル数にて表し、変化率および改善率を求めた。試験前後の変化を、Wilcoxson t-testにて統計解析し、皮膚所見と色素沈着の濃さ(平均輝度値)および色素沈着改善率との関係に関しては、Spearman(non-parametric)にて相関解析した。
【0036】
試験結果および考察
皮膚所見
担当医師が試験開始時および終了時の色素沈着の程度を観察し、5段階評価を行った結果を図4に示す(**;P<0.01)。試験開始時に比べ色素沈着スコアが有意に低下して、色素沈着の改善が認められた。
色素沈着改善効果
色素沈着のある被験者を対象とした3ヵ月間の使用試験の結果、ハイドロキノンを4%配合した製剤の使用によって、試験開始前に比べ試験終了時において色素沈着部位の平均輝度値が有意に上昇する(P<0.01)ことが確認された(図5)。また、色素沈着面積の解析の結果、試験開始時に比べ試験終了時の色素沈着面積が減少する(P<0.01)ことが確認された(図7)。さらに、Δ色素沈着の色の濃さ(試験開始時−試験終了時)および色素沈着面積の改善率は、担当医師によるΔ皮膚所見(試験開始時−試験終了時)と正の相関性を示し、製剤の美白効果を客観的に評価できることが示唆された(図6, rs=0.67;図8, rs=0.69)。また、ハイドロキノンを4%配合した製剤は、色素沈着の改善に有用であることが明らかとなった。
また、老人性色素斑および雀卵斑におけるHQのin vivo有効性試験が顕著に認められた2名の対象の使用前後のカラー画像、分光画像および2値化後の画像を示した(図9および図10)。この2値化後の画像は、老人性色素斑および雀卵斑における対象の色素沈着がハイドロキノン製剤の使用前に比較し、使用後に視覚的にもかなり改善されることが明らかであり、一般のヒトにも色素沈着の程度を提示すること、ならびに皮膚評価部位における色素沈着の治療剤および美白剤の効果を提示することが可能である。
【0037】
前記の実施例1〜4のように、カラー画像をRGBチャネルに色分解したR画像を画像解析して、色素沈着の濃さや面積を客観的に評価する本願の色素沈着の評価および提示方法では、臨床的に色素沈着と紅斑が混在しても、ヘモグロビン量に影響されずに色素沈着の色の濃さや面積を客観的に評価ができることが示された。また、これらの方法を用いてハイドロキノンを4%配合した製剤の3ヵ月間の使用試験を行ったところ、試験開始前に比べ色素沈着が薄くなり、面積も減少することが明らかとなった。また、本方法によってΔ色素沈着の色の濃さおよび色素沈着面積の改善率は、医師によるΔ皮膚所見と正の相関性を示し、製剤の美白効果を客観的に評価できることが示唆された。これらのことから、ハイドロキノンを4%配合した製剤は、色素沈着の改善に有用であることが明らかとなった。
【0038】
実施例5
滝脇らの方法と本願の色素沈着の評価方法との比較
発明者らは、前記の滝脇らの方法と本願の色素沈着の評価方法との比較を行うため、双方の画像処理により同一の基画像(カラー画像)を処理した。図11として、i)基画像(カラー画像)、ii)滝脇らの方法による解析画像およびiii)本願の評価方法による解析画像を示す。その結果、本願の画像解析方法を用いた場合、肌の赤みと色素沈着が混在している部位[i)の点線で囲まれた部分]においてもその色素沈着部位が明確に視覚化できるが、滝脇らの方法で解析した画像ではその色素沈着部位が明確には判別可能ではなかった(図11)。従って、本願の色素沈着の評価方法は、グレーレベル表示による画像としてヒトに提示した場合においても、その色素沈着部位を明確に把握させ、色素沈着の程度を容易に理解することができる。
【0039】
実施例6
色素沈着面積を算出する際の二値化の閾値分布
方法:
操作1)
まず、20代〜60代の女性40名被験者の顔面画像を用いて、目視所見にて色素沈着部位を特定した。特定した部位については、画像処理ソフト等の範囲指定ツールで囲み書きを行い、色素沈着部位とその他の部位との領域を明確に区別した。
操作2)
次に、同画像を用いて、実施例1における色素沈着面積抽出の手順に従い、画像の2値化処理を行った。このとき、操作1)で特定した色素沈着部位を示す領域と、2値化処理によって得られる白黒画像の領域が一致するように、2値化に際しての閾値(黒から白の順序の0〜255グレーレベル)を、各被験者ごとに設定した。
【0040】
試験結果:
色素沈着を抽出する際の二値化の閾値設定は、210〜230(グレーレベル)の範囲では、80.0%(32名/40名)の被験者で目視評価による所見と一致し、205〜235(グレーレベル)の範囲では、95.0%(38名/40名)の被験者の目視評価による所見と一致し、220±20(グレーレベル)の範囲では、全ての被験者100.0%(40名/40名)において、目視評価によって指定した色素沈着部位を抽出できることが明らかとなった(図12)。
【産業上の利用可能性】
【0041】
院内での治療剤の治療効果説明や化粧品販売時のカウンセリング等に際して、色素沈着の色の濃さや面積の変化を数値や画像で伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、メラニン、還元型ヘモグロビン(Hb)および酸化型ヘモグロビン(HbO)の吸光係数を示す。
【図2】図2は、皮膚色モデル(in vitro)によるメラニン呈色(輝度)と濃度との関係を示す(●;1.0Hg、▲;0.6Hg、○;0.36Hg)。
【図3】図3は、分光測色計により測定したL値と分光画像解析により求めた平均輝度値との関係を示す。
【図4】図4は、5段階評価によるハイドロキノンを配合した製剤の試験開始時(第0日)および終了時(第90日)の色素沈着の程度を示す。
【図5】図5は、ハイドロキノンを配合した製剤の使用前後の色素沈着部位の平均輝度値の変化を示す。
【図6】図6は、使用前後の臨床的所見スコアとΔメラニン色素の輝度との相関性を示す。
【図7】図7は、ハイドロキノンを配合した製剤の使用による色素沈着面積の変化を示す。
【図8】図8は、Δ臨床的所見スコアの変化とΔ色素沈着改善率との相関性を示す。
【図9】図9は、ハイドロキノンを配合した製剤の使用による老人性色素斑の改善例を示す。
【図10】図10は、ハイドロキノンを配合した製剤の使用による雀卵斑の改善例を示す。
【図11】図11は、基画像を滝脇ら方法および本発明の評価方法の双方による画像処理結果を示す。
【図12】図12は、色素沈着面積を算出する際の二値化の閾値分布を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの皮膚評価部位における色素沈着の評価方法であって、
a)2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;
b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整し;
c)その調整後のカラー画像をRGBに分解し;
d)R画像のコントラストを強調させ;
e)該評価部位における背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;
f)この抽出後の画像を2値化処理して、各ピクセルを白または黒として表示することによりその色素沈着部位を明確化し;次いで
g)明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出して数値として表示する、および/または明確化された色素沈着部位を画像として表示する工程を含むことを特徴とする該評価方法。
【請求項2】
請求項1の工程e)において、さらに、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出され、かつその平均輝度値が、工程g)において表示されることを特徴とする請求項1記載の評価方法。
【請求項3】
該皮膚評価部位が顔であることを特徴とする請求項1または2記載の評価方法。
【請求項4】
該2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、200〜240の範囲のグレーレベルで行われることを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載の評価方法。
【請求項5】
請求項1の工程b)〜f)の各工程が、デジタル画像編集用および画像処理用ソフトウェアを用いて行われる請求項1〜4いずれか1記載の評価方法。
【請求項6】
請求項1の工程b)、f)およびg)がデジタル画像編集用ソフトウェアを用いて行われ、かつ工程c)、d)およびe)がデジタル画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする請求項5記載の評価方法。
【請求項7】
皮膚における色素沈着の程度のヒトに対する提示方法であって、
a)2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;
b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整し;
c)その調整後のカラー画像をRGBに分解し;
d)R画像のコントラストを強調させ;
e)該評価部位における背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;
f)この抽出後の画像を2値化処理して、各ピクセルを白または黒として表示することによりその色素沈着部位を明確化し;
g)明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出し;次いで
h)表示装置を用いて、数値としての工程g)で得られた明確化された色素沈着部位の面積、および/または画像としての工程f)で得られた明確化された色素沈着部位を該ヒトに視覚的に提示する工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項8】
請求項7の工程e)において、さらに、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出され、かつその平均輝度値が、工程h)において該ヒトに提示されることを特徴とする請求項7記載の提示方法。
【請求項9】
請求項7の工程a)〜g)が、異なる時点にて少なくとも2回実施される結果、工程h)において比較して提示されることを特徴とする請求項7または8記載の提示方法。
【請求項10】
使用した色素沈着の治療剤および/または美白剤の効果を提示するために行われることを特徴とする請求項7〜9いずれか1記載の提示方法。
【請求項11】
該皮膚評価部位が顔であることを特徴とする請求項7〜10いずれか1記載の提示方法。
【請求項12】
該2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、200〜240の範囲のグレーレベルで行われることを特徴とする請求項7〜11いずれか1記載の提示方法。
【請求項13】
請求項7の工程b)〜f)の各工程が、デジタル画像編集用および画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする請求項7〜12いずれか1記載の提示方法。
【請求項14】
請求項7の工程b)、f)およびg)がデジタル画像編集用ソフトウェアを用いて行われ、かつ工程c)、d)およびe)がデジタル画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする請求項13記載の提示方法。
【請求項15】
ヒトの皮膚評価部位における色素沈着の治療剤および/または美白剤の評価方法であって、
a)2枚の偏光フィルターを直交させて装着したカメラを用いて、拡散反射画像として該評価部位およびホワイトバランス調整用カラーチャートのカラー画像を同時に得;
b)該カラーチャートのカラー画像に基づき、得られた該カラー画像のホワイトバランスを調整し;
c)その調整後のカラー画像をRGBに分解し;
d)R画像のコントラストを強調させ;
e)該評価部位における背景を減算処理して、色素沈着部位およびその色素沈着の色の濃さをグレーレベルの各ピクセルよりなる画像として抽出し;
f)この抽出後の画像を2値化処理して、各ピクセルを白または黒として表示することによりその色素沈着部位を明確化し;次いで
g)明確化された色素沈着部位の面積を色素沈着を表すピクセル数にて算出して数値として表示する、および/または明確化された色素沈着部位を画像として表示する工程を含み、上記a)〜g)の工程が異なる時点にて少なくとも2回実施される結果、工程g)において比較されることを特徴とする該評価方法。
【請求項16】
請求項15の工程e)において、さらに、各ピクセルのグレーレベルから平均輝度値が算出され、かつその平均輝度値が、比較されることを特徴とする請求項15記載の提示方法。
【請求項17】
該皮膚評価部位が顔であることを特徴とする請求項15または16記載の評価方法。
【請求項18】
該2値化処理が、黒から白の順序の0〜255グレーレベルのうち、200〜240の範囲のグレーレベルで行われることを特徴とする請求項15〜17いずれか1記載の評価方法。
【請求項19】
請求項15の工程b)〜f)の各工程が、デジタル画像編集用および画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする請求項15〜18いずれか1記載の評価方法。
【請求項20】
請求項15の工程b)、f)およびg)がデジタル画像編集用ソフトウェアを用いて行われ、かつ工程c)、d)およびe)がデジタル画像処理用ソフトウェアを用いて行われることを特徴とする請求項19記載の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−245666(P2008−245666A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86991(P2007−86991)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年11月17日 常盤薬品工業株式会社発信のhttp://www.tokiwayakuhin.co.jp/、http://www.tokiwa−blog.jp/news/2006/11/post_28.htmlおよびhttp://www.tokiwa−blog.jp/news/news/pdf/20061117.pdfにおいて発表 平成18年11月22日 日本化粧品技術者会主催の「第59回 日本化粧品技術者会(SSCJ)研究討論会」において発表
【出願人】(591074231)常盤薬品工業株式会社 (20)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】