説明

皮膚外用剤

【課題】製剤の機能や形態に影響を与えず、皮膚刺激緩和性に優れ、かつ配合が容易で安全性に優れる皮膚刺激緩和剤、およびこれを含む皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】p−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有し、さらには皮膚への刺激原因物質〔例えば、レチノールおよびその誘導体(酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)、紫外線吸収剤(オクチルメトキシシンナメートなど)等の油脂性薬剤成分〕を含有することを特徴とする皮膚外用剤、およびp−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸からなる刺激緩和剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はp−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、皮膚への刺激を有効に緩和あるいは予防することができる、p−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚外用剤には通常、水やアルコール類、塩分、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油等の油分、粉末、界面活性剤や乳化剤、ゲル化剤等の基剤成分に加え、それぞれの目的に応じ、美白剤、抗老化剤、にきび用薬剤、収斂剤、肌荒れ防止剤、ビタミン剤などの薬剤、防腐剤や安定化剤、紫外線防御剤や色素、香料など種々の機能性成分を配合している。
【0003】
皮膚外用剤は、その使用を保証する安全性を確保した製剤設計が行われているにもかかわらず、その目的のために配合された成分にはそれ自体少なからず刺激を有するために、多くの人には安全な配合量の範囲でありながら、わずかに刺激を感じる人がいる。低級アルコール過敏症患者のように、特定の成分(低級アルコール)に対して過敏に刺激を感じる人もいる。また、いわゆる敏感肌のために敏感に刺激を感じたり、皮膚が荒れているときなどに皮膚外用剤を使用したために刺激を感じたり、アトピー性疾患患者ではその疾患ゆえに過剰に刺激を感じることもある。日焼け止め化粧料では、そこに配合される紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート等)が皮膚刺激の一因ともなり得る。さらに、配合成分だけでなく、組み合せた製剤系により刺激を生じることがある。また目の周囲などの肌が敏感な部位に使用するために刺激を生じたり、粉末が配合された製剤を肌に強くこするなどの使用方法により刺激を生じる場合もある。さらに強い日差しのもとなど過酷な条件で使用するために刺激を生じるなど、使用環境により刺激を生じる場合もある。このように皮膚外用剤の使用においては、多種多様の刺激の原因が存在する。
【0004】
これまで皮膚刺激を緩和・予防する方法が種々検討されてきている。
【0005】
例えば低級アルコールの刺激緩和のために、各種変性アルコールを配合したり、アルコールを一定期間熟成して用いたりしていたが、これらの方法では実効はほとんど上がっていなかった。これに対し、特許文献1では、ハイドロキノンの配糖体(アルブチンなど)と低級アルコールをそれぞれ特定量配合した、低級アルコールの皮膚刺激性を緩和せしめた皮膚外用剤を提示している。
【0006】
また、特許文献2ではサリシンを用いて刺激性および/または紅斑性皮膚症状を抑制・予防する方法が開示され、特許文献3ではフェルラ酸グルコシドを用いて刺激性および/または紅斑性皮膚症状を抑制・予防する方法が開示されている。また、特に低級アルコールに対する刺激低減方法として、特許文献4では特定のグルコース誘導体を有効成分とするアルコール刺激緩和剤が開示されている。
【0007】
さらに脂溶性薬剤成分、特には紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート等)を配合した化粧料の刺激を緩和する方法として、特許文献5ではベンゾイルアミノジカルボン酸、ベンゼンスルホニルアミノジカルボン酸の配合により、特許文献6ではアシルアミノ酸、スルホニルアミノ酸の配合により、皮膚刺激を緩和する皮膚外用剤が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−227514号公報
【特許文献2】特開平10−36238号公報
【特許文献3】特開平10−36239号公報
【特許文献4】特許第3308763号公報
【特許文献5】特開2005−145925号公報
【特許文献6】特開2005−239609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来、種々の刺激の原因に対し多くの刺激緩和剤が提案されている。中でも脂溶性薬剤成分(紫外線吸収剤等)による皮膚刺激に対しては、特許文献5〜6に開示する方法では相応の刺激低減効果が得られているが、さらにこれら方法以外の手段による皮膚刺激低減方法の研究が続けられている。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、製剤の機能や形態に影響を与えず、皮膚刺激緩和性に優れ、かつ配合が容易で安全性に優れる皮膚刺激緩和剤、およびこれを含む皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、下記式(I)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸、および/または下記式(II)で示される2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供する。
【0012】

【0013】

【0014】
また本発明は、皮膚への刺激原因物質をさらに含有する、上記皮膚外用剤を提供する。
【0015】
また本発明は、皮膚への刺激原因物質が脂溶性薬剤成分である、上記皮膚外用剤を提供する。
【0016】
また本発明は、脂溶性薬剤成分が、レチノールおよびその誘導体、紫外線吸収剤の中から選ばれる1種または2種以上である、上記皮膚外用剤を提供する。
【0017】
また本発明は、脂溶性薬剤成分が紫外線吸収剤である、上記皮膚外用剤を提供する。
【0018】
また本発明は、下記式(I)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸、および/または下記式(II)で示される2,4−ジヒドロキシ安息香酸からなる皮膚刺激緩和剤を提供する。
【0019】

【0020】

【発明の効果】
【0021】
本発明により、皮膚外用剤における刺激物質若しくは製剤により生じる刺激や塗布時に生じる刺激を低減若しくは予防し、安全性に優れる皮膚外用剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について詳述する。
【0023】
本発明に用いられるp−ヒドロキシ安息香酸は下記式(I)で示され、2,4−ジヒドロキシ安息香酸は下記式(II)で示され、いずれも公知の化合物である。
【0024】

【0025】

【0026】
p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸は、一般に用いられる化学合成法により得ることができるが、いずれも市販品が容易に入手できることからそれらを好適に用いることができる。
【0027】
p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸は安定性が良好なので、製剤の設計が容易であるだけでなく、配合する際に熱をかけることも可能であるので配合も容易である。
【0028】
本発明のp−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸p−ヒドロキシ安息香酸を含有することを特徴とした皮膚外用剤は、刺激原因物質の刺激を緩和する効果に優れる。該刺激原因物質は、一般に皮膚外用剤に配合し得る成分であれば特に限定されるものでないが、脂溶性薬剤成分に対する刺激緩和効果に特に優れる。
【0029】
脂溶性薬剤の一例を下記に示すが、これら例示に限定されるものではない。
【0030】
(1)レチノールおよびその誘導体
レチノール(別名:ビタミンA)は、all−トランス型または13−シス型がある。レチノール誘導体としては、酢酸レチノール(別名:ビタミンAアセテート)、パルミチン酸レチノール(別名:ビタミンAパルミテート)等が例示されるが、これら例示に限定されるものでない。
【0031】
なおレチノールおよびその誘導体の配合量は、当該成分の効果を発揮し得るに有効な量であれば特に限定されるものでないが、通常、皮膚外用剤中に0.0001〜1.0質量%程度が好ましく、より好ましくは0.03〜0.1質量%程度、特には0.05〜0.1質量%程度が好ましい。
【0032】
(2)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、一般に化粧品、医薬品等に用いられ得るものであれば特に限定されるものでない。具体的には、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAとも記す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);ケイ皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、ジ−パラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、3,4,5−トリメトキシケイ皮酸−3−メチル−4−[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0033】
本発明では特に、刺激性を有する下記の紫外線吸収剤の刺激緩和に好適に使用される。例えばオクチルメトキシシンナメート(市販品として、「パルソールMCX」等が例示される)、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(市販品として、「パルソール1789」等が例示される)、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(市販品として、「エスカロール507D」等が例示される)、パラジメチルアミノ安息香酸メチル(市販品として、「エスカロール506」等が例示される)などである。
【0034】
なお紫外線吸収剤の配合量は、当該成分の効果を発揮し得るに有効な量であれば特に限定されるものでないが、通常、皮膚外用剤中に0.1〜20質量%程度が好ましく、特には1.0〜10質量%程度が好ましい。
【0035】
脂溶性薬剤成分(レチノールおよびその誘導体、紫外線吸収剤など)等の刺激原因物質に対する刺激緩和のためのp−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸の配合量は、これら刺激原因物質の配合量に応じて適宜、決定される。
【0036】
本発明に配合されるp−ヒドロキシ安息香酸および/または2,4−ジヒドロキシ安息香酸は、皮膚外用剤全量に対して、その配合量の下限値は0.2質量%程度以上とするのが好ましく、より好ましくは1質量%程度以上である。また配合量の上限値は10質量%程度以下とするのが好ましく、より好ましくは3質量%程度以下である。
【0037】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚外用剤における刺激物質若しくは製剤により生じる刺激や塗布時に生じる刺激を低減若しくは予防し、安全性に優れる。
【0038】
本発明の皮膚外用剤は、特に紫外線吸収剤による皮膚刺激の低減化に有効であるが、敏感肌やアトピー患者の刺激緩和および防止効果もあり、また活性剤や製剤による刺激に関しても緩和する。
【0039】
本発明皮膚外用剤を日焼け止め化粧料として用いる場合、二酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤や、そのたつ羽状化粧料に配合し得る粉末が好適に配合される。これら紫外線散乱剤等の粉末成分は、紫外線吸収剤とともに配合されることが多く、紫外線吸収剤の刺激を増強させる作用があると考えられるので、本発明の有用性が増大する。
【0040】
二酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤は、化粧料に通常配合される市販品の粉末を使用することができる。上記粉末は、通常、針状、紡錘状、球状、粒状の粉末が使用される。また粒子径が0.1μm以下の微粒子粉末が好ましい。また、メチルハイドロジェンポリシロキサンやシランカップリング剤などのシリコーン処理;金属石鹸処理;パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素処理、デキストリン脂肪酸エステル処理等により、疎水化処理した上記粉末も好ましい。
【0041】
上記粉末の配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対して通常、1〜40質量%の範囲で適宜決定される。日焼け止め化粧料においては、目的とするSPF値脂溶性、安定性等の点から、化粧料全量に対して3〜25質量%程度が好ましい。
【0042】
本発明に配合されるp−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸は安定性に優れ、製剤中の他の成分に影響を及ぼさないこと、またp−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸自身も影響されないことから、この皮膚外用剤には、一般に化粧料、医薬品に配合し得る任意の成分を広く配合し得る。例えば、紫外線吸収剤、保湿剤、ビタミン類、美白剤、収斂剤、清涼剤、各種の抽出物などの薬効成分、界面活性剤、液体油脂、固体油脂、ロウ類、エステル油、炭化水素油、シリコーン、ステロール類、水溶性高分子、油溶性高分子、キレート剤、中和剤、pH調整剤、酸化防止剤、抗菌剤、粉末、香料、色素などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明の皮膚外用剤の製剤形態は限定されることがなく、例えば、液状、ゲル状、ペースト状、乳液状、クリーム状、粉末状、固形状等の任意の性状や、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ジェル、エアゾール等、任意の系の剤型が適用される。
【0044】
またその使用形態も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック等のフェーシャル化粧料やファンデーションの他、メーキャップ化粧料、芳香化粧料、浴用剤等に用いることができるが、これら例示に限定されるものでないことはもちろんである。
【実施例】
【0045】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0046】
まず、本実施例で用いた試験方法、評価基準について説明する。
【0047】
[刺激緩和性]
下記に示す連続皮膚刺激試験を行い、評価した。
(試験方法)
刺激原因物質および刺激緩和剤を配合した(対照例1の試料(コントロール)では刺激緩和剤配合せず)各試料(被験液)0.05mLをモルモットの背部2cm×2cmに塗布(1回目塗布)し、24時間経過後に2回目の塗布(0.05mL)を行い、さらに24時間経過後に3回目の塗布(0.05mL)を行った。
(評価方法)
2回目および3回目の塗布前および3回目の塗布後24時間後に、紅斑、浮腫等の皮膚反応の程度を肉眼で観察した。評価は以下の基準で行い、3回の評点の平均値を皮膚刺激スコアとした。
(評価基準)
皮膚反応 評点
紅斑が全く認められなかった 0
わずかな紅斑が認められた 1
明らかな紅斑が認められた 2
強紅斑あるいはわずかな浮腫、痂皮が認められた 3
明らかな浮腫、痂皮が認められた 4
【0048】
(実施例1〜4、比較例1〜9、対照例)
刺激原因物質(ここではオクチルメトキシシンナメート)および試験化合物(刺激緩和剤)を配合した下記表1に示す組成で各試料〔対照例の試料(コントロール)では試験化合物配合せず〕を常法により調製し、これを用いて上記試験方法、評価基準に基づいて、刺激緩和性について評価した。結果を図1に示す。
【0049】
なお表1中、比較例1〜9で用いた試験化合物はそれぞれ以下に示す化合物を用いた。実施例1では上記式(II)で示す2,4−ジヒドロキシ安息香酸を、実施例2〜4では上記式(I)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸を、それぞれ用いた。
【0050】
(比較例1)
安息香酸(下記式(III)で示される化合物)を用いた。
【0051】

【0052】
(比較例2)
2,6−ジヒドロキシ安息香酸(下記式(IV)で示される化合物)を用いた。
【0053】

【0054】
(比較例3)
2,5−ジヒドロキシ安息香酸(下記式(V)で示される化合物)を用いた。
【0055】

【0056】
(比較例4〜6)
p−アミノ安息香酸(下記式(VI)で示される化合物)を用いた。
【0057】

【0058】
(比較例7〜9)
p−メトキシ安息香酸(下記式(VII)で示される化合物)を用いた。
【0059】

【0060】
【表1】

【0061】
図1に示す結果から明らかなように、試験化合物(刺激緩和剤)として上記式(II)で示す2,4−ジヒドロキシ安息香酸を配合した実施例1、および上記式(I)で示すp−ヒドロキシ安息香酸を配合した実施例2〜4では、試験化合物(刺激緩和剤)を配合しない対照例1、他の試験化合物を配合した比較例1〜9のいずれと比べても、刺激緩和効果に極めて優れることがわかる。本発明により、製剤の機能や形態に影響を与えることなく、長期に亘って刺激緩和効果を得ることができる。
【0062】
以下に本発明の刺激緩和剤を配合した皮膚外用剤の処方例を挙げる。
【0063】
実施例5 サンスクリーン
(配 合 成 分) (質量%)
オクチルメトキシシンナメート 7.5
p−ヒドロキシ安息香酸 3.0
ポリプロピレングリコール1000 2.0
t−ブチレンメトキシジベンゾイルメタン 0.1
二酸化チタン 5.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 30.0
POE・メチルポリシロキサン共重合体 3.0
有機変性モンモリロナイト 0.8
1,3−ブチレングリコール 5.0
フェノキシエタノール 適 量
香料 適 量
精製水 残 余
(製法)
各成分を撹拌混合し、サンスクリーンを得る。
【0064】
実施例6 化粧水
(配 合 成 分) (質量%)
A オクチルメトキシメトキシシンナメート 1.0
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 1.0
POE(20)オレイルアルコールエーテル 0.5
エタノール 60.0
香料 適 量
フェノキシエタノール 適 量
B ソルビット 2.0
ジプロピレングリコール 6.0
p−ヒドロキシ安息香酸 1.0
乳酸 0.1
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.05
ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 適 量
エデト酸三ナトリウム 適 量
精製水 残 余
(製法)
Bを混合して調製する。一方、エタノールに、Aの他の成分を溶解してAを調製する。該AにBを加えて可溶化し、濾過して化粧水を得る。
【0065】
実施例7 日焼け止め乳化ファンデーション
(配 合 成 分) (質量%)
A 精製水 残 余
p−ヒドロキシ安息香酸 5.0
エタノール 7.0
B タルク 7.0
二酸化チタン 10.0
酸化亜鉛 2.0
無水ケイ酸 2.0
ナイロンパウダー 4.0
着色顔料 2.0
C オクチルメトキシシンナメート 15.0
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 4.0
オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0
ロジンペンタエリスリットエステル 1.5
ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール 5.0
トリイソオクタン酸グリセリン 2.0
POE変性ジメチルポリシロキサン 1.5
トリメチルシロキシケイ酸樹脂 5.0
(製法)
Aを撹拌後、十分に混合粉砕されたBを添加し、ホモミキサー処理する。Cを溶解後これに加えホモミキサー処理し、日焼け止め乳化ファンデーションを得る。
【0066】
実施例8 乳液
(配 合 成 分) (質量%)
A ステアリン酸 2.0
セチルアルコール 0.5
流動パラフィン 10.0
POE(10)オレイン酸エステル 1.0
ソルビタントリオレート 1.0
オクチルメトキシシンナメート 3.0
p−ヒドロキシ安息香酸 0.5
テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 1.5
ミリスチン酸イソプロピル 2.0
シリカ 3.0
フェノキシエタノール 適 量
香料 適 量
B ジプレングリコール 5.0
トリエタノールアミン 1.0
ヘクトライト 1.0
クエン酸 0.2
エタノール 55.0
精製水 残 余
(製法)
Bを調整し、70℃に保つ。Aの成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ。BにAを加えてホモミキサーで均一に乳化、撹拌しながら急冷し、乳液を得る。
【0067】
実施例9 日焼け止めヘアージェル
(配 合 成 分) (質量%)
A カルボキシビニルポリマー 0.6
B 精製水 残 余
C トリエタノールアミン 0.1
D エタノール 14.0
オクチルメトキシシンナメート 7.5
p−ヒドロキシ安息香酸 2.5
アクリル酸メトキシエチル/アクリル酸ヒドロキシ
エチル/アクリル酸ブチル共重合体 1.0
ポリエチレングリコール 1.0
ジメチコーン共重合体 4.0
メチルパラベン 0.25
プロピルパラベン 0.05
香料 適 量
(製法)
AをBに撹拌溶解し、Cを加えた後、分散機いて分散する。これにDを加え、撹拌し、目的のヘアージェルを得る。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例での連続皮膚刺激試験結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸、および/または下記式(II)で示される2,4−ジヒドロキシ安息香酸を含有することを特徴とする皮膚外用剤。



【請求項2】
皮膚外用剤が、皮膚への刺激原因物質をさらに含有する、請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
皮膚への刺激原因物質が脂溶性薬剤成分である、請求項2記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
脂溶性薬剤成分が、レチノールおよびその誘導体、紫外線吸収剤の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項3記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
脂溶性薬剤成分が紫外線吸収剤である、請求項4記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
下記式(I)で示されるp−ヒドロキシ安息香酸、および/または下記式(II)で示される2,4−ジヒドロキシ安息香酸からなる皮膚刺激緩和剤。




【図1】
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【公開番号】特開2008−174530(P2008−174530A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12033(P2007−12033)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】