説明

皮膚洗浄剤

【課題】良好なマッサージ性とそのマッサージ性の持続、及び洗浄性を両立した皮膚洗浄剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(F):
(A)カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれらの塩 0.2〜1.8質量%、
(B)水溶性塩 0.2〜3質量%、
(C)25℃で液状の油剤 3〜20質量%、
(D)非イオン界面活性剤 1.5〜15質量%、
(E)多価アルコール 38〜70質量%、
(F)水 12〜50質量%
を含有する皮膚洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮脂の汚れやメイクアップ化粧料を除去するためのクレンジング化粧料はこれまでいろいろ開発されてきた。例えば、液状油等を主成分とする油性クレンジング化粧料や、油性成分を界面活性剤で乳化し、クリーム状や乳液状にした乳化タイプのクレンジング化粧料;油性成分と多価アルコールとを界面活性剤を用いて液晶層としたクレンジング化粧料;さらに、界面活性剤と水性成分中とを水溶性高分子で固めゲル状とした水性クレンジング化粧料等が開発されている。
【0003】
ゲル状とした水性クレンジング化粧料は、なめらかな感触を有し、流動性が低いことから、これまでのクレンジング剤と比較し、マッサージ性に優れ、メイクとなじませやすく、更に、使用感がさっぱりしていることから、嗜好性が高い(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかし、これらのクレンジング化粧料は、肌に塗布した際の性状が硬く、場合によってはゼリー状で、マッサージには重すぎる。また、マッサージする過程では、短時間で粘度の低下が著しく起こり、液だれが起こりやすいことから、十分なマッサージ時間が得られないという問題を有していた。更に、剤の連続相が水性であるため、近年の耐汗、耐皮脂性に優れたメイクアップを十分洗浄することが難しいといった問題もあった。
【0004】
また、乳化タイプのクレンジング化粧料においては、使用後の保湿感はあるものの、マッサージの開始時は厚みがあり、すべりの良いマッサージ感を有しているが、マッサージをしている間に転相し(例えば、非特許文献1)、マッサージ感が軽くなるという特徴がある。このため、じっくりとマッサージできないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−19619号公報
【特許文献2】特開平9−87139号公報
【特許文献3】特開平8−283123号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】棟方ら、「オイル状クレンジング料の開発」、Fragrance Journal、24(7),p.31−36(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、良好なマッサージ性とそのマッサージ性の持続、及び洗浄性を両立した皮膚洗浄剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の水溶性のポリマーを水性の溶剤に溶解し、水溶性塩と液状油剤を組み合わせることにより、良好なマッサージ性とマッサージ性の持続する液性で、優れた洗浄性の皮膚洗浄剤が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、次の成分(A)〜(F):
(A)カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれらの塩 0.2〜1.8質量%、
(B)水溶性塩 0.2〜3質量%、
(C)25℃で液状の油剤 3〜20質量%、
(D)非イオン界面活性剤 1.5〜15質量%、
(E)多価アルコール 38〜70質量%、
(F)水 12〜50質量%
を含有する皮膚洗浄剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚洗浄剤は、良好なマッサージ性とそのマッサージ性の持続性、及び洗浄性、使用後のさっぱり感と保湿感を両立したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いる成分(A)は、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれら塩から選ばれるものである。
カルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸又はメタアクリル酸を構成モノマーとして含有するポリマーが挙げられ、具体的には、カーボポール980、カーボポール981(以上、Lubrizol Advanced Materials社)等が挙げられる。
アルキル変性されたカルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸又はメタアクリル酸と、炭素数10〜30の脂肪酸とのエステル結合(アルキル変性)したアクリル酸又はメタアクリル酸エステルを構成モノマーとして含有するポリマーであって、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー)として知られるものなどが挙げられる。具体的には、カーボポールETD2020、カーボポール1382、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2(以上、Lubrizol Advanced Materials社)などを使用することができる。
また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸を塩基とする塩が挙げられる。なお、これらの塩は、前記のポリマーと前記の塩基との中和により得られる。
【0012】
これらのうち、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれらの塩が好ましく、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩が好ましい。
成分(A)のカルボキシビニルポリマー、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれら塩は、本発明の皮膚洗浄剤のマッサージ性の観点から、全組成中に0.2〜1.8質量%含有され、好ましくは0.3〜1.4質量%、より好ましくは0.5〜1.2%含有される。
【0013】
本発明で用いられる成分(B)は、水溶性塩であり、20℃で100gの水に5g以上溶解するものをいい、無機塩、有機塩が含まれる。
具体的には、水溶性の無機塩としては、アルカリ金属の金属水酸化物及びアンモニウムと塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリリン酸、ピロリン酸、炭酸との塩が挙げられ、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩などが挙げられる。水溶性の有機塩としては、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸等の各酸とアルカリ金属、アンモニウム等との塩が挙げられ、クエン酸1ナトリウム、クエン酸2ナトリウム、クエン酸3ナトリウム、乳酸カリウム、コハク酸アンモニウム、リンゴ酸カリウムなどが挙げられる。この中で、安定性の観点からヒドロキシ基を有する多価酸とアルカリ金属との塩が好ましく、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸とナトリウムやカリウムとの塩がより好ましい。
なお、成分(B)の有機塩は、総炭素数6以下のものが用いられ、アミノ酸や、分子内塩を構成する化合物は含まないことが好ましい。
【0014】
成分(B)の水溶性塩は、1種以上を用いることができ、皮膚洗浄剤の液性をコントロールする観点から、0.2〜3質量%含有され、好ましくは0.3〜1.2質量%、より好ましくは0.5〜1質量%含有される。
【0015】
成分(C)は、25℃で液状の油剤である。25℃で液状の油剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等の合成エステル油、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;セチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ジカプリリルエーテル、ジカプリルエーテル等のエーテル油;流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。
【0016】
これらのうち、分岐鎖を有する合成エステル油、分岐鎖を有するエーテル油、分岐鎖を有する炭化水素油、10cs以下(25℃)の低粘度シリコーン油が好ましく、洗浄性の観点から、分岐鎖を有する合成エステル油及び10cs以下(25℃)の低粘度シリコーン油が好ましい。
成分(C)の25℃で液状の油剤は、2種以上の油剤を組み合わせて用いるのが好ましく、更に、分岐鎖を有する合成エステル油及び分岐鎖を有するエーテル油から選ばれる極性油と、分岐鎖を有する炭化水素油及び10cs以下(25℃)の低粘度シリコーン油から選ばれる非極性油を組み合わせて用いるのが、洗浄性を高める点から好ましい。特に、分岐鎖を有する合成エステル油と10cs以下(25℃)の低粘度シリコーン油を組み合わせることが好ましく、互いに相溶すると更に好ましい。これは、後述する化粧料の透明性にも寄与する。
【0017】
成分(C)は、洗浄性及び洗い流した際のさっぱり感を示す観点から、全組成中に3〜20質量%含有され、好ましくは5〜18質量%、より好ましくは8〜16質量%含有される。
【0018】
本発明で用いられる成分(D)は、非イオン界面活性剤であり、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されない。例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、高級脂肪酸エタノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキルグルコシド等が挙げられる。
【0019】
成分(D)の非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上の複数の界面活性剤を混合して使用することができ、メイク落ち及び洗い流した際のさっぱり感の点から、HLB11〜20のものが好ましい。更には、HLBが11〜14であることが好ましい。
ここで、HLB(親水性−親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
なお、1種の非イオン界面活性剤の場合は、当該非イオン界面活性剤のHLBが11以上であり、2種以上の非イオン界面活性剤を複数組み合わせて用いる場合には、混合HLBが11以上であるのが好ましい。混合HLBは、次式のように、各非イオン界面活性剤のHLB値を、その配合割合に基づいて相加算平均することにより求めることができる。
【0020】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0021】
また、成分(D)の非イオン界面活性剤は、安定性の観点から2種以上組み合わせて用いることが好ましく、(d1)HLB11以上の界面活性剤及び(d2)HLB9以下の界面活性剤を組み合わせて用いるのが好ましい。(d1)HLB11以上の界面活性剤は、高温安定性を向上させることができ、(d2)HLB9以下の界面活性剤は、低温での安定性を向上させることができる。
【0022】
成分(D)の非イオン界面活性剤は、洗い流した際のさっぱり感、マッサージ感、メイク落ちの観点から、全組成中に1.5〜15質量%含有され、好ましくは3〜13質量%、より好ましくは3.5〜7質量%含有される。
【0023】
本発明で用いられる成分(E)の多価アルコールとしては、多価アルコール、単糖及び単糖誘導体、二単糖及び二単糖誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド等が挙げられる。より具体的には、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン等が挙げられ;単糖及び単糖誘導体、二単糖及び二単糖誘導体としては、グルコース、マルトース、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、ソルビトール、マルチトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、フラクトース、エリスリトール等が挙げられ;ポリオキシアルキレンアルキルグルコシドとしては、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0024】
これらのうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシドが好ましい。
【0025】
特に、ソルビトール及び/又はグリセリンとポリオキシエチレンメチルグルコシドの両方を含むことが、マッサージ時の剤の厚み感の付与の観点から好ましく、ソルビトール及び/又はグリセリンの総量とポリオキシエチレンメチルグルコシドの質量割合は、5:1〜2:1、特に3:1〜2:1であることが好ましい。
【0026】
成分(E)は、1種以上を用いることができ、特に2種以上を組合わせて用いるのが、保湿感を高める観点から好ましい。成分(E)は、全組成中に38〜70質量%含有され、好ましくは44〜66質量%、より好ましくは49〜61質量%含有される。
【0027】
本発明で用いる成分(F)の水は、成分(A)〜(D)の溶剤として働き、全組成中に12〜50質量%含有され、好ましくは15〜35質量%含有される。
【0028】
本発明の皮膚洗浄剤は、成分(A)カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれらの塩を、成分(F)の水に溶解して、ゲル状とする。しかし、これでは硬いゼリー状(プリプリしてぼそぼそした感じ)となるため、肌に乗せた場合には硬く、使用過程で、急激な粘度低下を起こし、十分なマッサージの持続性が得られない。そこで、成分(B)の水溶性塩を加え、更に成分(E)の多価アルコールを多量に含むことにより、これまでにない密着性、のび及びこしのある液性とすることを見出した。更に、成分(C)の25℃で液状の油剤を加えることにより、こし感のある液性を持続させることができる。この結果、従来のゲル状の皮膚洗浄剤では達成しえなかった、滑らかさとマッサージ性の高い液性が得られ、更にマッサージ性の高い液性が持続するという新規な液性を見出すことができた。
本発明の皮膚洗浄剤は、プリプリしていて、且つなめらかな質感を有し、塗布時ののびが良く、肌に密着してこし感があり、この感触がマッサージしていても、持続するものである。
【0029】
更に具体的には、成分(A)のポリマー部分の質量と成分(B)の質量割合は、塗布時ののびに優れ、硬いゼリー状にならないという観点から、(A)/(B)=0.4〜2.5、更に0.5〜1.4、特に0.6〜1.1であることが好ましい。
【0030】
また、成分(A)のポリマー部分の質量と成分(C)の質量割合は、塗布時ののび、油剤の分散安定性、及びマッサージの持続性という観点から、(A)/(C)=0.02〜0.25、更に0.05〜0.12、特に0.03〜0.09であることが好ましい。
【0031】
また、成分(C)の分散安定性と使用後のさっぱりしたすすぎ感、優れたメイク落ちを得る観点から、成分(C)と成分(D)の質量割合は、(C)/(D)=0.8〜6、更に1〜5.5、特に2.5〜3.5であることが好ましい。
【0032】
本発明の皮膚洗浄剤は、外観が透明であることが好ましい。透明にすることで、マッサージによるメイクアップ汚れの落ちを実感することができる。本発明の皮膚洗浄剤においては、前述のように、成分(C)の25℃で液状の油剤として、極性油及び非極性油を組み合わせて用いるのが好ましく、特に、分岐鎖を有する合成エステル油と10cs以下(25℃)の低粘度シリコーン油を組み合わせ、互いに相溶することで、透明にすることができる。
一般に、油剤を含有する組成物では、外観を透明にするのは困難であるが、本発明においては、このような成分を組み合わせることにより、透明にすることができるものである。
ここで、透明とは、濁度計(Eutech Instrument社製 TN-100)において、付属のバイアルを用いて濁度を測定したとき、その測定値が800NTU以下、更には600NTU以下のものをいう。
【0033】
本発明の皮膚洗浄剤は、前記成分以外に、更に、通常の洗浄剤に用いられる成分、例えば、前記以外の界面活性剤、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、増粘剤、塩類、パール化剤、スクラブ剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【0034】
本発明の皮膚洗浄剤は、例えば、成分(C)に成分(A)のポリマーをディスパーを用いて分散する。成分(E)と成分(F)の混合液に、成分(C)と成分(A)の分散物を加えて均一に混合し、塩基を加えて成分(A)のポリマー中和を行う。その後、成分(B)と成分(D)を添加して均一に混合することにより、製造することができる。
【0035】
本発明の皮膚洗浄剤は、例えば、洗顔料、クレンジング剤、ボディーソープ、ハンドソープ、マッサージ剤等として適用することができ、特にクレンジング剤として好適である。
【実施例】
【0036】
実施例1〜13、比較例1〜3
表1に示す組成の皮膚洗浄剤を製造し、指どれ、塗布時ののび、マッサージ感、マッサージの持続性、すすぎ時のさっぱり感、タオルで拭いた後の保湿感、メイク落ち及び透明性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0037】
(製造方法)
実施例1〜14、比較例1〜2
成分(A)のポリマーを、成分(C)中にディスパーを用いてに分散し、分散液とする。成分(E)と成分(F)の混合液に、前記分散液を混合して、均一にする。この後、塩基を加え、十分に撹拌して成分(A)のポリマー中和を行う。その後、成分(B)と成分(D)とを加えて均一に混合し、目的の皮膚洗浄剤を得た。
【0038】
比較例3
モノステアリン酸ポリエチレングリコールを除く成分(D)および成分(C)、セタノールを75℃で混合し溶解させ、油性成分とする。一方、成分(F)を75℃に加熱し、モノステアリン酸モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、成分(E)を加え、溶解して水性成分とする。前記油性成分に撹拌しながら前記水性成分を添加して、均一に混合する。この後、撹拌しながら室温まで徐々に温度を下げることによって、比較例3の皮膚洗浄剤を得た。
【0039】
(評価方法)
(1)剤の指どれ:
専門パネラーにより、各皮膚洗浄剤2gを指で取った際の指どれについて、以下の基準で評価した。
4;プリプリしているが、ぼそぼそした感じ。
3;プリプリしてなめらかな感じ。
2;クリーム(状)のような感じ。
1;液状の(さらさらした)感じ。
【0040】
(2)塗布時ののび、マッサージ感、マッサージの持続性、すすぎ時のさっぱり感及びタオルで拭いた後の保湿感:
専門パネラーにより、各皮膚洗浄剤3gを前腕に塗布して、1分間マッサージし、次いで、前腕に付いた洗浄剤を、もう一方の手のひらでさすりながら流水にて洗い流した後、前腕をタオルで拭いた。このとき、塗布時ののび、マッサージ感、マッサージの持続性、すすぎ時のさっぱり感及びタオルで拭いた後の保湿感について、以下の基準により評価した。
【0041】
(2−1)塗布時ののび:
◎;非常になめらかにのびる。
○;なめらかにのびる。
△;なめらかさがやや劣るのび。
×;のびが悪い。
【0042】
(2−2)マッサージ感:
◎;密着性とこし感が、非常にある。
○;密着性とこし感がある。
△;密着性とこし感にやや劣る。
×;密着性とこし感がない。
【0043】
(2−3)マッサージの持続性:
◎;肌に密着し、液にこしがある感じの持続性が非常に高い。
○;肌に密着し、液にこしがある感じの持続性がある。
△;肌に密着し、液にこしがある感じの持続性がやや劣る。
×;肌に密着し、液にこしがある感じの持続性がない。
【0044】
(2−4)すすぎ時のさっぱり感:
◎;非常にさっぱりすすげる。
○;さっぱりすすげる。
△;さっぱり感がやや劣る。
×;さっぱり感がない(すすぎ時にぬるつく)。
【0045】
(2−5)タオルで拭いた後の保湿感:
◎;非常に保湿感がある。
○;保湿感がある。
△;保湿感がやや劣る。
×;かさつく。
【0046】
(3)メイク落ち(マスカラ):
マスカラ(メイベリン社製、ボリュームエキスプレス ハイパーカール)を、人工皮革の上に直径約1cmに薄くぬり、3時間以上放置して乾燥させた後、各洗浄剤約50mgをのせ、指で軽く100回マッサージした。その後、流水で洗い流し、マスカラの残り具合を目視で観察し、以下の基準で判定した。
◎;マスカラの落ちが非常に良好。
○;マスカラの落ちが良好。
△;マスカラの落ちがやや劣る。
×;マスカラの落ちが不良。
【0047】
(4)メイク落ち(ファンデーション):
リキッドファンデーション(花王社製、エスト クリームメイクアップ リフトインプレッション)を人工皮革の上に直径約1cmに薄くぬり、3時間以上放置して乾燥させた後、各洗浄剤約50mgをのせ、指で軽く50回マッサージした。その後、流水で洗い流し、ファンデーションの残り具合を目視で観察し、以下の基準で判定した。
◎;ファンデーションの落ちが非常に良好。
○;ファンデーションの落ちが良好。
△;ファンデーションの落ちがやや劣る。
×;ファンデーションの落ちが不良。
【0048】
(5)透明性:
各皮膚洗浄剤の濁度を、濁度計(Eutech Instrument社製 TN-100)において付属のバイアルを用いて測定した。
○;測定値が600NTU未満。
△;測定値が600以上800NTU未満。
×;測定値が800NTU以上。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例14
以下に示す組成の皮膚洗浄剤を、実施例1〜13と同様にして製造した。
得られた皮膚洗浄剤は、プリプリしてなめらかな指どれで、塗布時ののび、マッサージ感、マッサージの持続性、すすぎ時のさっぱり感、タオルで拭いた後の保湿感及びメイク落ちに優れ、透明なものであった。
【0051】
(成分)
(1)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
(カーボポールETD2020、Lubrizol Advanced Materials社) 0.70(質量%)
(2)水酸化カリウム 0.17
(3)クエン酸ナトリウム 0.70
(4)メチルポリシロキサン
(シリコーン KF-96L-5CS、信越化学工業社) 2.90
(5)セチル−1,3−ジメチルブチルエーテル
(ASE−166K、花王社) 4.60
(6)イソノナン酸イソトリデシル
(サラコス99、日清オイリオ社) 4.50
(7)モノラウリン酸ポリエチレングリコール
(エマノーン1112、花王社) 2.40
(8)アルキル(C8〜16)グルコシド
(AG−10LK、花王社) 0.34
(9)モノイソステアリン酸ポリグリセリル
(コスモール41V、日清オイリオ社) 0.73
(10)ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)
シロキサン共重合体(SI−UGE、花王社) 0.30
(11)グリセリン 40.00
(12)ポリオキシエチレンメチルグルコシド
(マクビオブライドMG-20E(MS)、日油社) 15.00
(13)水 24.08
(14)トリメチルグリシン 3.50
(15)クエン酸 0.08
合計 100.00

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(F):
(A)カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性されたカルボキシビニルポリマー及びこれらの塩 0.2〜1.8質量%、
(B)水溶性塩 0.2〜3質量%、
(C)25℃で液状の油剤 3〜20質量%、
(D)非イオン界面活性剤 1.5〜15質量%、
(E)多価アルコール 38〜70質量%、
(F)水 12〜50質量%
を含有する皮膚洗浄剤。
【請求項2】
成分(D)が、1種の非イオン界面活性剤の場合は、当該非イオン界面活性剤のHLBが11以上であり、非イオン界面活性剤を複数組み合わせて用いる場合には、混合HLBが11以上である請求項1記載の皮膚洗浄剤。
【請求項3】
成分(A)のポリマー部分の質量及び成分(B)の質量割合が、(A)/(B)=0.4〜2.5である請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤。
【請求項4】
成分(A)のポリマー部分の質量及び成分(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.02〜0.25である請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤。
【請求項5】
成分(C)及び(D)の質量割合が、(C)/(D)=0.8〜6である請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤。
【請求項6】
外観が透明である請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤。

【公開番号】特開2010−280597(P2010−280597A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134152(P2009−134152)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】