説明

監視カメラ装置

【課題】 カメラをプリセット位置に移動させると同時に鮮明な画像が得られるようにする。
【解決手段】 プリセットデータとして、カメラの位置情報と時間情報と映像制御情報とを関連付けて記憶しておくことにより、カメラをプリセット位置に移動した時には、その時の時間的な条件を加味した映像制御情報により、直ちに鮮明な画像が得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラを通じて周囲状況を監視する監視カメラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】監視カメラ装置は、銀行や店舗、遊戯場、デパート、ならびに貴重品を展示している博物館や絵画館等において、主に防犯用として利用されているが、高層ビルなどでは、安全確認または災害防止用としても用いられている。監視カメラ装置は、CCDを内蔵したカメラを、屋外または屋内の所定位置に取り付け、このカメラで撮影した映像を管理人室のモニタテレビで映しながら監視を行うのが一般的である。カメラによる定点監視では、カメラを一方向に向けて固定するが、1台のカメラで周囲を観測する場合は、カメラを水平方向に旋回させるパン動作や、垂直方向に旋回させるチルト動作を行わせるための機構を備えている。さらに、カメラにズーム機構を取り付けて、必要に応じて映像を拡大できる装置もある。また、予め複数の監視位置を設定し、カメラを順次その方向に向けて監視を行うプリセット機能や、撮影した映像をビデオテープ等に記録しておき、後から映像をモニタ上で再現できる録画機能を備えた装置もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の監視カメラ装置では、プリセット機能により数十箇所の監視位置を設定することができるが、その時に必要な位置情報や映像制御情報が含まれていないので、カメラがプリセット位置に向いた後に、オートアイリス機構により絞り量が決まり、オートフォーカス機構により露光量が決まり、さらに映像信号処理部における階調性補正量、AGC量、ホワイトバランス量等が決まるので、それらが決まるまでは映像がぼやけて画面が見にくいという問題があった。また、昼間にプリセット動作を行わせる場合と、夜間にプリセット動作を行わせる場合とでは、カメラの位置情報は同じ場合でも、撮影条件が異なるので、それぞれの場合に応じて別個にプリセット設定しなければならないという問題があった。
【0004】本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、カメラをプリセット位置に移動させると同時に鮮明な画像を得ることのできる監視カメラ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、プリセットデータの中に、カメラの位置情報に対応させて時間情報とその時の映像制御情報とを含めたものであり、カメラがプリセット位置に到達すると同時に鮮明な画像を得ることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、プリセットされた動作条件に従ってカメラを制御可能な監視カメラ装置において、プリセットデータとしてカメラの位置情報と時間情報と映像制御情報とを関連付けて記憶しておくことを特徴とする監視カメラ装置であり、カメラがプリセット位置に到達した時には、その時の時間的な条件を加味した映像制御情報により装置が動作するので、直ちに鮮明な画像が得られるという作用を有する。
【0007】本発明の請求項2に記載の発明は、カメラからの映像をモニタで見ながら遠隔指令でプリセットデータの設定を行う請求項1記載の監視カメラ装置であり、モニタ画像を見ながら撮影条件を調整することにより、最適なプリセットデータを設定できるという作用を有する。
【0008】本発明の請求項3に記載の発明は、位置情報として、カメラのパン位置およびチルト位置を含む請求項1または2記載の監視カメラ装置であり、カメラのパン位置およびチルト位置を記憶することにより、カメラを任意の方向に位置決めできるという作用を有する。
【0009】本発明の請求項4に記載の発明は、位置情報として、レンズのズーム位置、フォーカス位置、絞り位置を含む請求項3記載の監視カメラ装置であり、レンズのズーム位置、フォーカス位置、絞り位置を記憶することにより、レンズを最適な位置に位置決めできるという作用を有する。
【0010】本発明の請求項5に記載の発明は、時間情報として、少なくとも1日のうちの昼間と夜間を区別する情報を含む請求項1から4のいずれかに記載の監視カメラ装置であり、昼間と夜間を区別することにより、撮影条件を拡張できるという作用を有する。
【0011】本発明の請求項6に記載の発明は、時間情報として、月または四季を区別する情報を含む請求項5記載の監視カメラ装置であり、月または四季を区別することにより、撮影条件を拡張できるという作用を有する。
【0012】本発明の請求項7に記載の発明は、映像制御情報として、階調補正情報、AGC情報、ホワイトバランス情報、電子感度アップ情報、文字合成情報、シャッター速度情報、動き検出情報、同期情報のうちの少なくとも一つを含む請求項1から6のいずれかに記載の監視カメラ装置であり、カメラの位置決めと同時にその被写体に最適な映像が得られるという作用を有する。
【0013】本発明の請求項8に記載の発明は、階調補正情報が、ガンマ補正特性データ、短時間/長時間露光映像合成特性データ、短時間露光映像用シャッター速度データ、ホワイトバランスデータのうちの少なくとも一つを含む請求項7記載の監視カメラ装置であり、明瞭な映像が得られるという作用を有する。
【0014】(実施の形態)以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態における監視カメラ装置のシステム構成を示すブロック図である。図1において、1、2、3はそれぞれ所定の位置に設置された監視カメラである。4は各カメラ1〜3から離れたモニタ室に設置されたコントローラであり、各カメラ1〜3とは同軸ケーブルにより接続されて、1本の同軸ケーブルに制御信号と映像信号とが重畳されている。5はコントローラ4から各カメラ1〜3に各種の指令を与えるための操作盤である。6、7、8は各カメラ1〜3で撮影した映像をコントローラ4を介して画面に表示するモニタである、この例では、各モニタは各カメラに1対1に対応しているが、1台のモニタを画面分割して複数のカメラからの映像を同時に表示する場合もある。
【0015】図2は本実施の形態における各監視カメラ1〜3の概略構成を示すブロック図である。図2において、11はモニタ室に配置されたコントローラとの間で制御信号の授受および映像信号の送出を行う通信分離/多重化部、12は監視カメラ内の各部に供給する電源を作成する電源部、13は撮像部25からの信号を受けて、コントローラに接続されたモニタテレビに映像を映したり、VTRに録画するための映像信号を送出する映像信号処理部である。14は監視カメラを動作させるプログラムを格納したEPROM、15はプリセットデータやその他のデータを記録するEEPROMである。EPROM14およびEEPROM15は共に不揮発性メモリであり、EPROM14は紫外線の照射によりデータの消去ができ、再度の書き込みが可能であり、EEPROM15は電気的にデータの消去ができるので、データの書き換えが容易である。16はセンサ制御部であり、装置内の温度や湿度を検出する温度センサや湿度センサ、ドアや窓の開閉を検出するセンサ、人物を検出するセンサ等の各種のセンサ17からの信号を検出する。18はパンモータ制御部であり、監視カメラを水平方向に旋回させるためのパンモータ19の回転を制御する。20はチルトモータ制御部であり、監視カメラを垂直方向に旋回させるためのチルトモータ21の回転を制御する。22はレンズモータ制御部であり、監視カメラの複数のレンズモータ23の回転を制御して、ズームやオートフォーカス、オートアイリスを制御する。24はCCD制御部であり、撮像部25におけるCCDの駆動を制御する。26はカレンダ機能付きのタイマであり、標準時間で時を刻む。27はマイクロプロセッサ(以下マイコンという)であり、装置全体を制御する。
【0016】図3は上記監視カメラにおける映像信号処理部13の概略構成を示しており、基本的には、本願出願人が先に出願した特願平9−79168号明細書および特願平9−83422号明細書に記載された機能を備えている。特願平9−79168号明細書記載の撮像装置は、露光量が長時間と短時間である2種類の映像信号を1フィールド期間内に交互に出力する撮像素子と、長時間露光画像信号と短時間露光画像信号を所定の輝度レベルで合成する手段と、合成前に短時間露光画像のホワイトバランス調整を行うために短時間露光の映像信号を画素毎にゲイン制御可能な乗算器を制御する手段と、画像合成後に長時間露光画像のホワイトバランス調整を行うために乗算器を制御する手段と、色差信号を作成する手段と、色差信号の平均値を検出する手段とを備え、検出された色差信号の平均値より時分割で長時間露光画像と短時間露光画像のホワイトバランス調整を行うようにしたものである。また、特願平9−83422号明細書記載の撮像装置の階調性補正方法は、入力画像信号のヒストグラムを検出し、ヒストグラムデータより階調性を算出し、算出された階調特性に従って入力画像信号の階調補正を行う撮像装置の階調補正方法において、ヒストグラムデータの最大階調値を検出し、この最大階調値に応じた階調特性を算出することを特徴とするものである。
【0017】図3において、31は前処理部であり、図2の撮像部25からの映像信号をCDS(相関二重サンプリング)処理し、AGC(オートゲインコントロール)処理した後、アナログディジタル変換して出力する。32は時間軸変換部であり、露光量の異なる2種類の映像信号のうち、長時間露光映像信号と短時間露光映像信号を分離する。33はレベル合成部であり、長時間露光映像信号と短時間露光映像信号とを所定の輝度レベルで合成してホワイトバランスを調整する。34は階調ヒストグラム検出部であり、映像信号のヒストグラムを検出し、ヒストグラムデータのうちの最大階調値を検出する。35はマイコン27の内部に設けられた階調補正特性算出部であり、検出された階調ヒストグラムデータの最大階調値から階調補正特性を算出する。36は階調補正部であり、算出された階調補正特性に従って映像信号の階調特性を補正する。37は後処理部であり、コントローラへ出力するための映像信号を生成する。
【0018】次に、本発明の実施の形態における動作について図4のフロー図を参照して説明する。装置を動作させる前に、ユーザによりモニタ室にあるコントローラ4からプリセット設定の要求があると(ステップS1)、プリセットデータの入力待ちになる。プリセットデータの入力は、実際に監視カメラ1〜3をコントローラ4の操作盤5の操作により動かしてカメラの方向を決め、その時のパンモータ19およびチルトモータ21の角度を、パンモータ制御部18およびチルトモータ制御部20が、それぞれのモータに設けられたロータリエンコーダのパルス数を計測することにより特定するとともに、レンズモータ制御部22がレンズモータ23を駆動してズーム位置、オートフォーカス位置およびオートアイリス位置を特定する。この状態で操作盤5からプリセット番号を入力すると、その番号をアドレスとしてプリセットデータがEEPROM15に記憶されるとともに、その時の時間情報がタイマ26から、また映像制御情報が映像信号処理部13からマイコン27を通じて、位置情報に関係付けられたテーブルの形でEEPROM15に記憶される(ステップS2)。
【0019】時間情報は、周囲が明るい昼間の時間帯と周囲が暗い夜間の時間帯とに分けられる。この時間帯はカレンダの月または四季によって変化するので、月または四季の情報も入力しておく。従って、時間情報は、例えば何月の何時の数値が入力される。映像制御情報は、階調補正情報、AGC情報、ホワイトバランス情報、電子感度アップ情報、文字合成情報、シャッター速度情報、動き検出情報、同期情報等であり、プリセットデータ入力時におけるそれぞれの情報が、映像信号処理部13からマイコン27を通じてEEPROM15に記憶される。階調補正情報は、ガンマ補正特性データ、短時間/長時間露光映像合成特性データ、短時間露光映像用シャッター速度データ、ホワイトバランスデータ等である。
【0020】このようにしてプリセットデータが設定登録された後、ユーザによりプリセット再生動作の要求があり(ステップS3)、プリセット番号が入力されると、その時の時間情報(時間と月)がタイマ26から読み出されてマイコン27に伝えられる(ステップS4)。マイコン27は、設定されたプリセット番号と時間情報とに一致するデータをEEPROM15から読み出し(ステップS5)、パンモータ制御部18およびチルトモータ制御部20がパンモータ19およびチルトモータ21をプリセット位置に移動するように回転制御するとともに、映像信号処理部13が内部のパラメータを、EEPROM15から読み出した映像制御情報に置き換えて処理を行う(ステップS6)。これにより、位置情報が同じであっても、その月または季節のその時間帯に適した映像制御情報に基づいて装置が動作するので、監視カメラがプリセット位置に到達すると同時に鮮明な画像がモニタに表示され、およびまたはVTRに録画されることになる。一方、プリセット再生動作の要求ではなく、マニュアル操作の要求の場合は(ステップS7)、マイコン27は、操作盤5からの指令に基づいて各部を制御する(ステップS8)。
【0021】このように、本実施の形態によれば、プリセットデータとして、パン位置、チルト位置、オートフォーカス位置、オートアイリス位置の位置情報と、月および時間の時間情報と、階調補正情報、AGC情報、ホワイトバランス情報、電子感度アップ情報、文字合成情報、シャッター速度情報、動き検出情報、同期情報等の映像制御情報とを関連付けて不揮発性メモリに記憶するようにしたので、操作者は、位置情報に対応するプリセット番号を入力するだけで、その月または季節のその時間帯における最適な映像制御情報によりカメラが制御されることになり、プリセット位置に移動後に直ちに鮮明な映像を見ることができる。
【0022】なお、上記の実施の形態では、時間情報をカレンダ付きタイマから自動的に取得するようにしたが、時間情報を操作盤からの手動操作により入力するようにしてもよい。また、時間情報はプリセット位置に移動後、強制停止する時間であってもよい。さらに、監視カメラ自体の構成は、種々の構成のものが使用できる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、プリセットデータとして、カメラの位置情報と時間情報と映像制御情報とを関連付けて記憶しておくので、カメラがプリセット位置に到達した時には、その時の時間的な条件を加味した映像制御情報により直ちに鮮明な画像が得られるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における監視カメラ装置のシステム構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における監視カメラの概略構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態における映像信号処理部の概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態における監視カメラのプリセット処理を示すフロー図
【符号の説明】
1、2、3 監視カメラ
4 コントローラ
5 操作盤
6、7、8 モニタ
11 通信分離/多重化部
12 電源部
13 映像信号処理部
14 EPROM
15 EEPROM
16 センサ制御部
17 センサ
18 パンモータ制御部
19 パンモータ
20 チルトモータ制御部
21 チルトモータ
22 レンズモータ制御部
23 レンズモータ
24 CCD制御部
25 撮像部
26 カレンダ付きタイマ
27 マイクロプロセッサ
31 前処理部
32 時間軸変換部
33 レベル合成部
34 階調ヒストグラム検出部
35 階調補正特性算出部
36 階調補正部
37 後処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プリセットされた動作条件に従ってカメラを制御可能な監視カメラ装置において、プリセットデータとしてカメラの位置情報と時間情報と映像制御情報とを関連付けて記憶しておくことを特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】 カメラからの映像をモニタで見ながら遠隔指令でプリセットデータの設定を行う請求項1記載の監視カメラ装置。
【請求項3】 位置情報として、カメラのパン位置およびチルト位置を含む請求項1または2記載の監視カメラ装置。
【請求項4】 位置情報として、レンズのズーム位置、フォーカス位置、絞り位置を含む請求項3記載の監視カメラ装置。
【請求項5】 時間情報として、少なくとも1日のうちの昼間と夜間を区別する情報を含む請求項1から4のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項6】 時間情報として、月または四季を区別する情報を含む請求項5記載の監視カメラ装置。
【請求項7】 映像制御情報として、階調補正情報、AGC情報、ホワイトバランス情報、電子感度アップ情報、文字合成情報、シャッター速度情報、動き検出情報、同期情報のうちの少なくとも一つを含む請求項1から6のいずれかに記載の監視カメラ装置。
【請求項8】 階調補正情報が、ガンマ補正特性データ、短時間/長時間露光映像合成特性データ、短時間露光映像用シャッター速度データ、ホワイトバランスデータのうちの少なくとも一つを含む請求項7記載の監視カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−50238(P2000−50238A)
【公開日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−210969
【出願日】平成10年7月27日(1998.7.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】