説明

監視プログラム及び監視装置

【課題】処理負荷を低減させつつ、既存のコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて精度の高い監視を実現する監視プログラム及び監視装置を提供する。
【解決手段】本発明の監視装置は、撮影領域に監視ラインを設定する監視ライン設定部と、監視ラインの位置に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列を生成する画像処理部と、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定する監視部とを備え、監視部は、監視ライン画素データ列を所定数の画素群に分割し、監視ライン画素データ列間の画素群における画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定するとともに、監視ライン画素データ列の配列順に分割される第1画素群及び第2画素群において第2画素群の少なくとも一部の画素に第1画素群の画素が含まれるように分割する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCD、CMOS等のイメージセンサにより撮影した映像をモニター等の表示手段に表示させた状態で、前記表示手段に表示される撮影画面内で任意に設定した監視ラインに基づいて撮影領域内の画像変化を判定するための監視プログラム及び監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からCCD、CMOS等のイメージセンサにより撮影した映像を用いた監視装置がある(特許文献1参照)。この監視装置は、モニターに表示された監視映像上にマウスを用いて複数の直線又は曲線で囲まれた監視着目領域を設定する。そして、設定された監視着目領域の線分に注目し、例えば、監視映像を所定の間隔で分割した監視画像(フレーム画像)間の差分を算出し、当該線分に対応する監視映像上の画素値の変化を検出する。そして、監視ラインの画素値の変化に基づいて撮影領域内の画像変化を判定する。
【0003】
このようなイメージセンサにより撮影した映像を用いた監視装置は、熱センサ、光センサ等の物理的なセンサを必要としないことから、センサ等の機器コスト及び機器の設置コストが不要となり、監視システム全体のコストを低減できる利点がある。
【0004】
一方、従来のイメージセンサにより撮影した映像を用いた監視装置は、監視映像のフレーム静止画像間をマッチングして監視映像全体又は一部の特定の画素値の変化を検出し、撮影領域内の画像変化を判定する判定処理を遂行するが、一般的にその処理負荷が極めて大きい。
【0005】
このため、特殊な処理回路を備えた高スペックの専用コンピュータが用いなければならず、専用コンピュータに比べて低スペックのパーソナルコンピュータ等では、状態変化判定処理の速度が遅くなり、実用に耐えられるものではなかった。また、例えば、特許文献2に記載のように自然現象等による監視映像全体の変化に伴う誤判定を抑制する誤判定抑制処理を遂行する場合、判定処理の処理負荷がより大きくなっていた。
【0006】
また、従来は、特許文献1に記載のように線分上の各画素又は線分全体の複数画素の画素値の変化を検出することにより判定処理が行われているが、このような判定手法は、判定精度が低い問題がある。
【0007】
つまり、線分に対応する監視画像上の1つ1つの画素の画素値変化を検出する場合、その処理負担が大きくなるとともに、線分に対応する少なくとも1つの画素の画素値の変化が検出された場合であっても撮影領域内の監視画像に変化があったと判定するので、撮影環境の変化(例えば、明るさの変化、チラツキ、揺れなど)がある場合、監視画像の変化を過度に判定してしまう。また、線分全体の画素値の変化を見る場合、例えば、線分に対応する各画素の平均画素値を用いて線分に対応する監視映像上の画素値の変化を検出し、撮影領域内の監視画像変化を判定することが考えられる。しかしながら、単に線分に対応する複数画素の平均画素値を用いると、1つ又は複数の画素値の変化が大きく現れていても、線分に対応する画素全体としての画素値の変化が現れることがあり、この場合、撮影領域内の画像変化を適切に判定できない。
【0008】
次に、特許文献1に記載の監視方法は、以下の問題点があった。第1に、図14(a)に示すように監視対象物の真上から2次元的に撮影した監視映像を用いる必要がある。言い換えれば、監視対象物に対する監視領域は、平面画像を基準とし、その平面画像上に監視領域を設定しているため、図14(b)に示すように監視対象物を斜め上方から3次元的に撮影した監視映像では、線分に人Pが干渉して当該線分の画素値に変化が生じ、線分に対応する監視映像上の画素値が変化したものと検出し、誤判定が生じてしまう。
【0009】
このように特許文献1の監視方法では、3次元の奥行き(遠近)のある監視映像のように、監視したい領域と人Pとの位置関係が3次元となる場合、有効な監視を提供することができず、別途光センサ等の機器を設置して誤判定を防止するなどの措置を講ずる必要がある。また、監視対象物の真上から2次元的に撮影した監視映像を用いる必要性から撮影方向(監視対象に対する撮影装置の設置位置などの撮影条件)が制限され、既存の3次元の奥行きのある監視映像を撮影する撮影装置を用いた監視システムには導入が困難である課題を有する。
【0010】
第2に、様々な監視の態様に対して適切な監視を提供することができない問題がある。監視の態様として、例えば、図14(c)に示すように壁Hを乗り越えて侵入する侵入者Sを監視する場合がある。このとき、壁Hの上方から移動する者を侵入者Sとして検出するために、監視ラインを壁Hの上方に設定している。
【0011】
しかしながら、壁Hに沿って左右方向に往来する人Pと監視ラインとが干渉してしまい、監視ラインに対応する監視映像上の画素値の変化が検出され、誤判定が生じてしまうことがある。つまり、図14(c)の一例では、壁Hに対して上下方向に移動する者のみを侵入者Sとして判定し、壁Hに沿って左右方向に往来する人P1は監視ラインに干渉していても監視対象外として判定しないように監視する必要があるが、監視ラインは、壁Hに対する侵入方向を特定できないため、監視ラインに対して左右方向に移動する人P1に対してもその画素値が変化し、人P1も侵入者として判定されてしまう。
【0012】
このように、従来の撮影装置で撮影された監視映像を用いた監視装置は、監視ラインに対して経路や方向を特定した監視や監視映像上の監視領域と現実の監視領域とのズレを考慮した監視などの、監視目的に応じた個別具体的な監視態様に適した監視を行うことができない課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−224011号公報(段落0001〜0026、図1、図4等)
【特許文献2】特開平11−239337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、処理負荷を低減させつつ、既存のコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて精度の高い監視を実現する監視プログラム及び監視装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、撮影状況や監視目的に応じた個別具体的な監視態様に適した監視を行うことが可能な監視プログラム及び監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1に記載の監視プログラムは、撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する処理を遂行するコンピュータにより実行される監視プログラムであって上記コンピュータに、当該コンピュータの表示部を通じて撮影領域に監視ラインを設定する制御を遂行するとともに、設定された監視ラインの撮影領域内における位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する機能と、監視ライン設定情報に基づいて監視ラインの位置情報に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列を生成する機能と、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定する機能とを実現させるとともに、上記撮影領域の画像変化を判定する機能は、監視ライン画素データ列を所定数の画素群に分割し、監視ライン画素データ列間の画素群における画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定するとともに、監視ライン画素データ列の配列順に分割される第1画素群及び第2画素群において第2画素群の少なくとも一部の画素に第1画素群の画素が含まれるように分割することを特徴とする。
【0017】
また、上記請求項1に記載の監視プログラムは、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像を、所定の順序で一列に画素が配列される画素データ列に変換する機能をさらに含み、上記撮影領域の画像変化を判定する機能が、画素データ列間の画素値の変化に基づいて撮影領域全体の画像変化を判定するように構成することができる。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する監視装置は、表示部を通じて撮影領域に監視ラインを設定する制御を遂行するとともに、設定された監視ラインの撮影領域内における位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する監視ライン設定部と、監視ライン設定情報に基づいて監視ラインの位置情報に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列を生成する画像処理部と、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定する監視部と、を備え、上記監視部は、監視ライン画素データ列を所定数の画素群に分割し、監視ライン画素データ列間の画素群における画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定するとともに、監視ライン画素データ列の配列順に分割される第1画素群及び第2画素群において第2画素群の少なくとも一部の画素に第1画素群の画素が含まれるように分割することを特徴とする。
【0019】
さらに本発明の請求項4に記載の監視プログラムは、撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する処理を遂行するコンピュータにより実行される監視プログラムであって上記コンピュータに、当該コンピュータの表示部を通じて撮影領域に監視ラインと監視ラインに対応する監視無効ラインとを設定する制御を遂行するとともに、設定された監視ライン及び監視無効ラインの撮影領域内における各位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する機能と、監視ライン設定情報に基づいて監視ラインの位置情報に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列と、監視無効ラインの位置情報に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視無効ライン画素データ列とを生成する機能と、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定する機能と、を実現させるとともに、上記撮影領域の画像変化を判定する機能は、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化と監視無効ライン画素データ列間の画素値の変化との相関関係に基づいて、撮影領域の画像変化を判定することを特徴とする。
【0020】
また、上記請求項1に記載の監視プログラムの上記撮影領域の画像変化を判定する機能が、監視ライン画素データ列間の画素値に変化が生じ、かつ監視無効ライン画素データ列間の画素値に変化が生じていると判別された場合に、監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づく撮影領域の画像変化の判定を無効とするように構成することができる。
【0021】
また、本発明の請求項6に記載の撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する監視装置は、表示部を通じて撮影領域に監視ラインと監視ラインに対応する監視無効ラインとを設定する制御を遂行するとともに、設定された監視ライン及び監視無効ラインの撮影領域内における各位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する監視ライン設定部と、監視ライン設定情報に基づいて監視ラインの位置情報に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列と、監視無効ラインの位置情報に対応する撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視無効ライン画素データ列とを生成する画像処理部と、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて撮影領域の画像変化を判定する監視部と、を備え、上記監視部は、所定の間隔で連続して撮影された監視領域の各画像における監視ライン画素データ列間の画素値の変化と監視無効ライン画素データ列間の画素値の変化との相関関係に基づいて、撮影領域の画像変化を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に係る発明によれば、処理負荷が低く、既存のコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて精度の高い監視を実現することができる。
【0023】
本発明の請求項4に係る発明によれば、撮影状況や監視目的に応じた個別具体的な監視態様に適した監視を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態における監視装置(監視システム)の一例を示す図であり、監視装置の構成ブロック図を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態における監視ライン設定処理の処理遷移を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態における監視ライン設定画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態における監視制御の処理遷移を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態における画像処理の一例を説明するための図であり、(a)は、監視画像の一列化、(b)は、監視ラインの画素一列化の説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態における監視画像全体の判定処理の説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態における監視画像全体の判定方法の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態における監視ラインに基づく監視映像の画像変化の判別処理の説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態における監視ライン及び監視無効ライン設定処理の処理遷移を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態における監視ライン及び監視無効ラインの設定画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態における監視制御の処理遷移を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係る監視ラインに基づく監視映像の画像変化を判定する判定処理における監視ラインと監視無効ラインとの相関関係を示す図であり、(a)は相関関係の一例、(b)は図10(a)で示した監視ライン及び監視無効ラインとの相関関係の一例、(c)は図10(b)で示した監視ライン及び監視無効ラインとの相関関係を説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態における監視無効領域を説明するための図であり、(a)は、監視無効領域の設定画面の一例、(b)は、監視無効領域における画素値の変化の検出過程を説明した図である。
【図14】従来の監視画像を用いた監視方法の一例を示す図であり、(a)は、平面画像上に監視領域(監視ライン)を設定した場合の一例、(b)は、遠近のある画像上に監視領域を設定した場合の一例、(c)は、設定した監視領域に対する監視対象(侵入者)と非監視対象(人)が撮影された画像の一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1から図8は、本発明の第1実施形態を示す図である。図1は、本発明の第1実施形態に係る監視装置(監視システム)の構成ブロック図を示す図である。本実施形態の監視装置100は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置を適用することができ、CCD、CMOS等のイメージセンサを備えるビデオカメラ等の撮影装置200、音出力部としてのスピーカー300、液晶ディスプレイ装置等の表示部400、及びマウス等のポインティングデバイスやキーボード等の操作入力部500が接続される。
【0027】
監視装置100は、監視装置100全体の制御を司るCPU110、メモリ(主記憶部)120、補助記憶部130、及び撮影装置200から入力される画像情報をA/D変換してデジタル画像を生成する画像入力部140を含んで構成される。また、スピーカー300、表示部400、及び操作入力部500との接続を仲介するハードウェアインターフェース又はソフトウェアインターフェース等のインターフェース(IF)部150も含んで構成することができる。
【0028】
撮影装置200は、監視装置100に対して外部接続される別体の撮影装置であってもよく、また、監視装置100に一体的に設けられる内臓型撮影装置であってもよい。なお、本実施形態の監視装置100は、撮影装置200により撮影された監視映像(アナログ監視映像)をデジタル画像に変換するA/D変換処理を遂行し、生成したデジタル画像を出力する画像入力部140を備えているが、撮影装置がA/D変換処理機能を有する場合、当該画像入力部140は不要である。
【0029】
監視装置100は、撮影装置200により撮影された監視映像の入力を受けて後述する画像処理を遂行する画像処理部111、表示制御部114を通じて表示部400に表示された撮影領域内の監視映像上に、監視者が操作入力部500を介して監視ラインLを描画する描画制御及び描画結果を表示する制御を遂行する監視ライン設定部112、設定された監視ラインLに対応する監視映像の画素情報(位置情報)を用いて監視ラインLに対応する監視映像上の画素値の変化を検出し、監視ラインLに基づく撮影領域内(監視映像)の画像変化を判定する監視部(判定制御部)113として機能する。これらの機能は、CPU110がメモリ120上にキャッシュされた本発明の監視プログラムを実行することにより、監視装置100が実現する。
【0030】
なお、表示制御部114は、上述のように表示部400への監視映像又は監視画像の表示制御を遂行し、また、監視ライン設定部112から入力される監視ラインLの描画結果を表示部400に表示する制御を遂行する。通信制御部115は、インターネット等のネットワークを通じたデータの通信制御を遂行する。例えば、監視状況や監視結果に関する情報をネットワークに接続可能な外部機器に伝送したり、監視装置100に対する設定操作情報を受信する通信制御を遂行する。また、メモリ120及び補助記憶部130は記憶部として動作する記憶装置であり、各種生成・抽出等された情報を記憶する。説明の便宜上、以下においてメモリ120及び補助記憶部130を総じてこれらを記憶部と称して説明する。
【0031】
また、撮影装置200により撮影される監視映像は、動画像又は連続する静止画像であり、監視装置100は動画像のフレーム静止画像、所定の時間間隔でキャプチャした静止画像、又は連続する静止画像のうち任意の静止画像を監視画像として用いることができる。そして、監視装置100は、所定の時間間隔で撮影された監視領域内の監視画像及び監視画像上に設定された監視ラインLに基づいて後述する監視制御処理を遂行する。
【0032】
監視画像の総画素数(画素列数N×1画素列当りの画素数n)は任意であり、撮影装置200のイメージセンサの有効画素数や設定条件(画像圧縮処理等)に応じて異なり得る。また、画素値は、監視画像上の各画素の色の種類や強さ(明るさ)を表す数値であり、例えば、RGB体系であれば、RGB毎に各8ビットの数字(0〜255)で表される色情報が画素値となる。また、RGB体系等のカラー画素値からグレースケールに変換された画素値の場合、所定の色要素を抽出して変換された0〜255の数字で表される画素値となる。
【0033】
図2は、本実施形態の監視ライン設定処理の処理遷移を示すフローチャートであり、図3は、本実施形態の監視ライン設定画面の一例を示す図である。図2の監視ライン設定処理は、主に監視ライン設定部112により遂行される。
【0034】
監視装置100は、不図示の画面を通じて監視ライン設定要求の入力を監視者から受ける。具体的には、監視者が操作入力部500を用いて監視ライン設定アイコンを選択すると、監視装置100は監視ライン設定要求を受信し(S101)、画像入力部140を介して入力された監視映像を表示部400に表示する(S102)。
【0035】
監視装置100は、表示部400に表示された監視映像上に直線又は曲線を描画する描画制御を遂行し、描画結果を表示制御部114を介して表示部400に表示する(S103)。表示部400に表示される監視ラインLは、赤色等の監視映像上において監視ラインLを識別することができる任意の色で表示できる。なお、図3の例では、説明の便宜上、監視ラインLを一点鎖線で表記しているが、任意の線(実線等)であってもよい。
【0036】
監視者により監視ラインLの設定処理を終了する旨の選択、すなわち、操作入力部500を通じて設定終了要求を受信すると、監視装置100は、描画された監視ラインLの監視映像上の画素座標を抽出し、抽出した画素座標を含む監視ライン設定情報を生成してメモリ120等の記憶部に記憶する(S105)。なお、画素座標とは、監視画像の総画素数の各画素を識別する識別情報であり、かつ当該監視画像の各画素の位置及び配列関係を示す情報である。
【0037】
また、監視ラインLは、複数設定することができ、例えば、設定した監視ライン別に識別IDを割り当て、監視映像に対応する各監視ラインLの各画素座標を含む監視ライン設定情報を識別ID別に記憶することができる。また、直線又は曲線の監視ラインLを複数描画し、複数の監視ラインLで囲まれた監視領域を設定することもできる。この場合、監視ラインLの線分を含む監視領域に含まれる各画素の画素情報を含む監視領域設定情報が、監視設定情報として記憶部に記憶されるが、例えば、監視領域を複数の監視ラインLの束と捉えることもできるので、監視領域設定情報は、上述した監視ライン設定情報を複数含む監視設定情報として記憶部に記憶してもよい(図13参照)。
【0038】
また、本実施形態の監視ラインLは、監視画像上の2つの画素を結ぶ線分であり、線分の幅(太さ)はその画素の大きさと同一であるが、例えば、監視ラインLの線分の幅を任意に設定し、所定の太さを有する監視ラインLを設定することもできる。
【0039】
図4から図8は、本実施形態の監視装置100が遂行する監視制御処理を説明する図であり、監視制御処理は、監視映像に対する画像処理及び監視映像の画像変化を判定する判定処理を含む。また、判定処理は、監視映像全体の画像変化を判定する第1判定処理と監視ラインに基づいて監視映像の画像変化を判定する第2判定処理の2つを含む。
【0040】
本実施形態の監視制御処理は、従来と同様に撮影装置200により撮影された監視映像から抽出又は生成される監視領域内の第1監視画像、第2監視画像、第3監視画像、・・・・を時系列に記憶部に記憶するが、本実施形態では、図5(a)に示すように、監視画像をJPEG、TIFF、BMP、GIF等の画像ファイル形式ではなく、監視画像を各画素が所定の順序で一列に並べられた画素データ列に変換して記憶する。
【0041】
従来は監視画像をJPEG、TIFF、BMP、GIF等の画像ファイル形式で保存し、時系列順に所定の画像ファイル形式の監視画像同士をマッチングして監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定していた。これに対して本実施形態では、監視画像の各画素が所定の順序で一列に並べられた画素データ列を生成し、画素が一列に並べられた画素データ列同士をマッチングして、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する。
【0042】
より詳細に説明すると、図5(a)に示すように監視装置100の画像処理部111は、画像入力部140を介して入力された監視画像の複数の画素列を連結し、例えば、監視画像の左上から右下に向かって割り当てられる画素座標順に各画素を一列に配列する。つまり、監視画像における画素座標(X1、Y1)を有する画素1から画素座標(XN、Yn)を有する画素N×nまでが連続する1つの画素データ列に変換する一列化処理を遂行し、一列化された監視画像毎に記憶部に記憶する。
【0043】
また、監視ラインLについても監視ライン設定情報に含まれる監視ラインLの画素座標を用いて監視ライン画素データ列が生成され、監視ラインL毎に記憶部に記憶される。具体的には図5(b)に示すように、画像処理部111は、一列化された監視画像又は一列化される前の監視画像から監視ラインLに対応する画素の画素情報(画素座標)を抽出し、監視ラインLに対応する監視画像の画素のみで構成される監視ライン画素データ列を生成し、記憶部に記憶する。
【0044】
図6は、監視画像全体の画像変化判定処理を説明するための図であり、一列化処理された監視画像を用いて監視部113が遂行する。図6に示すように、監視部113は、記憶部に記憶された監視画像1の画素データ列1と監視画像2の画素データ列2との間で対応する各画素の画素値の差分(差分画素値)算出する。
【0045】
さらに監視部113は、各画素毎に算出された差分の平均値(各画素の差分合計を総画素数で割った値、総平均差分画素値)を算出し、監視画像全体の画素値の変化を検出する(図7(a))。
【0046】
そして、監視部113は、総平均差分画素値が所定値(第1閾値)以上である場合、監視画像全体の画像が自然現象等により変化していると判定し、所定値未満である場合は監視画像全体の画像に変化がないと判定する。
【0047】
なお、総平均差分画素値以外にも、図7(b)から図7(e)に示す例を適用して監視画像全体の画像変化を判別してもよい。図7(b)は、監視画像を複数の領域に区分し、例えば、任意の領域1、2、6、7、及び8に含まれる各画素の平均差分画素値(領域分割平均差分画素値)を用いて監視画像全体の画素値の変化を検出する場合、図7(c)は、監視画像の選択した複数の画素又は選択した複数の画素群における平均差分画素値(選択画素平均差分画素値)を用いて監視画像全体の画素値の変化を検出する場合である。
【0048】
また、図7(d)は、監視画像上の4隅における所定範囲の画素群の各画素の平均差分画素値(4隅平均差分画素値)を用いて監視画像全体の画素値の変化を検出する場合、図7(e)は、監視画像の4辺に対応する画素群の各画素の平均差分画素値(辺画素平均差分画素値)を用いて監視画像全体の画素値の変化を検出する場合の一例である。これら各種判定方法は、監視制御の設定画面(不図示)において、撮影される監視映像に応じて適宜選択することができる。
【0049】
次に、図8を参照して、本実施形態の監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理について詳細に説明する。
【0050】
図5(b)に示したように、監視ラインLは、監視画像上の監視ラインLの位置に対応する画素群を一列化した監視ライン画素データ列として記憶される。そして、監視画像全体の画像変化の判別処理と同様に、監視画像1と監視画像2における各監視ライン画素データ列間の画素値の変化を検出し、この監視ラインLの画素値の変化に基づいて監視映像の画像変化を判定する。
【0051】
なお、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判別処理は、監視画像全体の画像変化の判定処理よりも高い精度で判定されることが好ましい。そこで本実施形態では、監視画像1と監視画像2における各監視ライン画素データ列間の画素値の差分に対して補正処理を施し、補正された差分(補正差分値)を用いて監視ラインLに基づく判定処理を遂行する。
【0052】
具体的には、図8に示すように監視ライン画素データ列1と監視ライン画素データ列2との間で対応する各画素の画素値の差分を算出し、算出された画素値の差分をn乗して所定数mで除算する対数補正演算を遂行し、補正差分値を算出する。なお、n及びmは、自然数であり、任意に設定可能である。
【0053】
つまり、本実施形態では、監視ライン画素データ列1と監視ライン画素データ列2との間で対応する各画素の画素値の差分(画素値の変化量)をそのまま用いて監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定するのではなく、対数による補正演算を適用して差分の大きい画素値の変化をより大きく捉え、逆に差分の小さい画素値の変化をより小さく捉えた補正差分値を用いて判定処理を遂行する。このように補正することで、監視ラインLに対応する画素データ列の各画素において、画素値の変化量が大きい(差分画素値が大きい)画素が、画素値の変化量が小さい(差分画素値が小さい)画素に吸収されて監視ラインL全体としての画素値の変化を検出できないことを抑制することができ、監視ラインLの画素値の変化をより的確に反映した判定処理を遂行することができる。
【0054】
また、本実施形態の監視部113は、一列化された監視ライン画素データ列の先頭画素から順に所定単位数の画素群を抽出し、抽出した画素群毎の画素値の変化を検出することで、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定を行う。特に、本実施形態では、監視ライン画素データ列から抽出される所定単位数の画素群を以下のように抽出して画素群の画素値の変化を検出する。
【0055】
図8に示すように、監視ライン画素データ列が17個の画素を含む場合、監視装置100は、まず、監視ライン画素データ列の先頭から所定単位数の画素群を抽出し、抽出した画素群の補正差分値の平均値を算出する。図8の例では所定単位数を4として、監視ライン画素データ列の先頭から4つの画素1、画素2、画素3、画素4を1つの画素群として抽出し、画素1〜画素4の4つの補正差分値の合計値を所定単位数4で割った画素群における平均補正差分値を算出する。そして、画素1、画素2、画素3及び画素4で構成された画素群の平均補正差分値が所定値(第2閾値)以上であるか否かを判別し、所定値以上であれば、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化があるものと判定し、所定値未満である場合には、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化がないものと判定する。
【0056】
先頭から4つの画素1〜画素4の画素群の平均補正差分値が所定値未満であると判定された場合、言い換えれば、画素1〜画素4の画素群からでは監視ラインLに基づく監視映像の画像変化がないものと判定された場合、監視装置100は、さらに監視ライン画素データ列の画素5以降の画素を含む画素群を抽出して当該画素群の平均補正差分値を算出し、平均補正差分値が所定値(第2閾値)以上であるか否かを判定することで、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する。
【0057】
このとき、監視装置100は、監視ライン画素データ列の先頭から後尾の順序で所定単位数の画素群を抽出するが、画素1〜画素4の画素群の次の画素群として画素5〜画素8を抽出するのではなく、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化がないと判定された際の画素群に含まれる画素3及び画素4と、先頭から後尾の順序で画素群として抽出されていない画素5及び画素6と、を次の所定単位数の画素群として抽出する。
【0058】
すなわち、監視装置100は、監視ライン画素データ列の先頭から後尾の順序で所定単位数の画素群を抽出する際、直前に監視ラインLに基づく監視映像の画像変化がないと判定された際の画素群が存在するか否かを判別し、存在する場合には直前の画素群に含まれる少なくとも1つ以上の画素を含む画素群を抽出し、監視ライン画素データ列の先頭から所定単位数の画素群を除き、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理に、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化がないと判定された直近の画素群の少なくとも1つ以上の画素が重複して用いられるようにする。
【0059】
したがって、図8に示すように、17個の画素で構成された監視ラインLの監視ライン画素データ列は、所定単位数が4の場合、5つの画素群(画素1〜画素4、画素5〜画素8、画素9〜画素12、画素13〜画素16、画素17)が順次抽出されるのではなく、8つの画素群(画素群1:画素1〜画素4、画素群2:画素3〜画素6、画素群3:画素5〜画素8、画素群4:画素7〜画素10、画素群5:画素9〜画素12、画素群6:画素11〜画素14、画素群7:画素13〜画素16、画素群8:画素14〜画素17)が順次抽出され、監視ライン画素データ列1と監視ライン画素データ列2との間の各画素群における平均補正差分値が所定値(第2閾値)以上であると判別された時点で、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化があったものと判定する。
【0060】
なお、重複する画素数(重複判定画素数)は、所定単位数から自動的に決定してもよく、所定単位数とは別に重複判定画素数として設定してもよい。例えば、所定単位数から自動的に重複判定画素数を決定する場合、所定単位数を2分割して重複させることができる。所定単位数が2の場合は、重複判定画素数は1となり、所定単位数が4の場合は、重複判定画素数が2となる。同様に、所定単位数が6の場合には重複判定画素数が3となる。
【0061】
また、図8の例のように、監視ライン画素データ列の画素数が17個であり、所定単位数が4の場合、画素群7の次に判定処理の対象となる画素群8は画素15〜画素18となるが、画素18は存在しないので、重複判定画素数を変更して画素群を抽出するように変更する。具体的には、監視部113は、所定単位数分の画素群を抽出する際、判定処理がなされた画素群の少なくとも一部の画素と判定処理がなされていない監視ライン画素データ列の画素との合計数が、所定単位数未満である場合、監視ライン画素データ列の後尾の画素から所定単位数分の画素を画素群として抽出する。図8の例では、画素群8として画素14〜画素17が抽出される。このとき、画素群7と重複する画素数は、画素14、画素15、画素16の3つとなり、重複判定画素数が変更されて画素群8が抽出されることになる。
【0062】
また、図8の例では、監視ライン画素データ列1と監視ライン画素データ列2との差分を算出してから、監視ライン画素データ列1及び2において対応する2つの画素群の平均補正差分値が所定値以上であるか否かを判別しているが、これに限らず、例えば、差分算出処理及び補正処理を予め対応する2つの画素群毎に行ってもよい。すなわち、初めに監視ライン画素データ列1と監視ライン画素データ列2との各画素における全ての差分算出処理及び補正処理を行わずに、所定単位数に基づいて抽出される監視ライン画素データ列の画素群のみを対象に、監視ライン画素データ列1と監視ライン画素データ列2との差分算出処理及び補正処理を行い、補正差分値が所定値以上であるか否かを判別するようにして、所定単位数に基づく各画素群毎に差分算出処理、補正処理、補正差分値が所定値以上であるか否かを判別する処理を遂行するように構成することもできる。
【0063】
このように本実施形態の監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理は、監視ラインLに対応する監視画像上の1つ1つの画素の画素値の変化を検出して監視映像の画像変化の判定したり、監視ラインLに対応する全画素の差分平均値を用いて監視映像の画像変化の判定するのではく、監視ライン画素データ列を所定単位数の画素群に分割し、監視ライン画素データ列間の画素群における画素値の変化に基づいて撮影映像の画像変化を判定するとともに、監視ライン画素データ列の配列順に分割される第1画素群及び第2画素群において第2画素群の少なくとも一部の画素に第1画素群の画素が含まれるように分割し、監視ライン画素データ列の配列順に抽出される画素群同士の少なくとも一部の画素を重複させて画素値の変化を検出している。このため、処理負荷が軽減されるとともに、監視ラインLの画素値の変化を精度よく検出することができる。
【0064】
例えば、図8の例で説明すると、画素群1:画素1〜画素4、画素群2:画素5〜画素8のように互いの画素群に含まれる画素を重複させずに画素群における画素値の変化を検出する場合、画素4及び画素値5が大きく変化していても各画素群1と画素群2における画素値の変化は、大きく検出されない。すなわち、所定単位数でグループ化される隣り合う画素同士が大きく変化している場合、その変化が他の画素群に含まれてしまい、画素値の変化が複数の画素群に分散されるので、監視ラインLの画素値の変化を適切に検出できない。
【0065】
しかしながら、本実施形態のように、監視ライン画素データ列の先頭から順次抽出される所定単位数の画素群同士の少なくとも一部の画素を重複させて画素値の変化を検出することで、画素群に跨った監視ラインLに対応する画素の変化を適切に検出することができ、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定精度を向上させることが可能となる。
【0066】
図4は、本実施形態における監視制御の処理遷移を示すフローチャートであり、図2に示した監視ライン設定後、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する処理を示している。
【0067】
監視者は、操作入力部500を通じて表示部400に表示された監視スタートボタン(スタートアイコン)を選択すると、監視装置100は、監視スタートボタンの選択要求を受信し、監視制御処理を遂行する(S301)。
【0068】
監視装置100の監視入力部140は、撮影装置200により撮影されたアナログ形式の監視映像をデジタル画像に変換し、画像処理部111に監視画像を出力する(S302)。画像処理部111は、入力された監視画像に対し、当該監視画像を画素座標に基づいて連続する1つの画素データ列に変換する一列化処理を遂行し、一列化された監視画像を記憶部に記憶する(S303)。
【0069】
また、監視装置100の画像処理部111は、監視画像に対する一列化処理と平行して又は個別に、記憶部に記憶されている監視ライン設定情報に含まれる監視ラインLの画素座標を用い、一列化された監視画像又は一列化される前の監視画像から監視ラインLに対応する画素の画素情報(画素座標)を抽出し、監視ラインLに対応する監視画像の画素のみで構成される1つの監視ライン画素データ列を生成する。生成された監視ライン画素データ列は、監視画像別に記憶部に記憶される(S304)。
【0070】
次に、監視装置100の監視部113は、最新の監視画像の入力に基づいて、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化判定処理を遂行する。まず、監視部113は、画像処理部111により最新の監視画像(例えば監視画像1)の一列化された画素データ列及び監視ライン画素データ列が生成されると、記憶部に記憶された直近(直前)の監視画像(例えば、監視画像2)に係る一列化された画素データ列と監視ライン画素データ列とを抽出し、監視画像全体の画像変化の判定処理及び監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理を遂行する(S305a、S305b)。
【0071】
監視装置100の監視部113は、ステップS305aにおいて、上述のように、監視画像全体の各画素毎に算出された差分の平均値(各画素の差分合計を総画素数で割った値、総平均差分画素値)を算出して監視画像全体の画素値の変化を検出し、監視画像全体の画像変化を判定する。
【0072】
一方、監視部113は、ステップS305bにおいて、一列化された監視ライン画素データ列の先頭画素から順に所定単位数の画素群を抽出し、抽出した画素群毎の画素値の変化を検出する。このとき、上述のように、監視ライン画素データ列の先頭から順次抽出される所定単位数の画素群同士の少なくとも一部の画素を重複させて画素値の変化を検出し、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する。
【0073】
次に監視部113は、ステップS305a及びS305bにおける各判定結果に基づいて、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定され、かつ監視画像全体の画像変化が「なし」と判定されたか否かを判別し(S306)、監視ラインLに対応する監視画像上の画素値の変化が検出され、監視ラインLに基づいて監視映像の画像が変化したものと判定された場合であっても、監視画像全体の画像が変化していると判定される場合には、監視ラインLの画素値の変化が監視画像全体の画像変化に伴うものであるとして、最終的に監視ラインLに基づく監視映像の画像変化ではないと判定し、ステップS308に進む。一方、監視画像全体の画像変化が「なし」と判定されて監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定された場合には、ステップS307に進み、所定の警告処理を遂行する。
【0074】
ステップS307における警告処理としては、例えば、スピーカー300等から警告音を出力したり、表示部400に警告メッセージや警告表示物をポップアップ表示することができる。また、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を記録するために、判定処理に用いられた最新の監視画像を記憶部に記憶する処理や、当該監視画像を予め設定されたメールアドレスに送信するなどの処理も遂行することができる。
【0075】
その後、監視部113は、ステップS308において監視者によって又はスケジューラー等に基づいて監視終了指示があるか否かを判別し、監視終了指示がない場合には、ステップS302に戻り、ステップS302からステップS307の各処理を繰り返し行う。一方、監視終了指示があった場合には、監視終了処理を遂行し、監視制御処理を終了させる(S309)。
【0076】
このように本実施形態の監視装置100は、監視画像を一列化処理により変換して保持し、一列化された監視画像間の画素値の変化を検出しているため、JPEG等の画像ファイル形式でマッチングしていた従来の処理に比べて、監視画像間の画素値の変化の検出及び監視映像の画像変化の判定の処理負荷が小さくなる。特に、監視ラインLも、監視画像上の監視ラインLの位置に対応する画素群を一列化した監視ライン画素データ列として記憶され、監視画像全体の画像変化の判別処理と同様に、監視ライン画素データ列間の画素値の変化を検出しているため、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する処理負荷が低減される。
【0077】
さらに、監視ライン画素データ列の先頭から順次抽出される所定単位数の画素群同士の少なくとも一部の画素を重複させて画素値の変化を検出するので、画素群に跨った監視ラインLに対応する画素の変化を適切に検出することができ、処理負荷を低減させつつ、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定精度を向上させることが可能となる。
【0078】
したがって、既存のコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて精度の高い監視を実現する監視プログラム及び監視装置を提供することが可能となる。
【0079】
(第2実施形態)
図9から図13は、本発明の第2実施形態を示す図である。本実施形態は、上述した第1実施形態における監視制御処理に対し、様々な撮影状況における監視を実現するとともに、監視目的に応じた個別具体的な監視態様に適した監視を行う機能を追加した実施形態である。以下、上記第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、重複する部分については、適宜省略する。
【0080】
本実施形態の監視装置100は、監視ラインLと共に当該監視ラインLに対応(関連)する監視無効ラインELを設定し、監視ラインLに対応する画素値の変化と監視無効ラインELの画素値の変化との相関関係により、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する。
【0081】
本実施形態の監視装置100の監視ライン設定部112は、上記第1実施形態の監視ライン設定処理とともに(図2参照)、設定する監視ラインLに対応する監視無効ライン設定処理を遂行する。図9は、本実施形態における監視ライン及び監視無効ライン設定処理の処理遷移を示すフローチャートであり、図10は、本実施形態における監視ライン及び監視無効ラインの設定例を示す図である。図9の監視ライン及び監視無効ラインの設定処理は、主に監視ライン設定部112により遂行される。
【0082】
監視装置100は、表示部400に表示された監視ライン設定アイコン(不図示)の選択に伴う監視ライン設定要求を受信すると(S501)、画像入力部140を介して入力された監視映像を表示部400に表示する(S502)。
【0083】
監視装置100は、表示部400に表示された監視映像上に直線又は曲線の監視ラインLを描画する描画制御を遂行し、描画結果を表示制御部114を介して表示部400に表示するとともに、本実施形態の監視ライン設定部112は、描画された監視ラインLに対応する監視無効ラインELの描画制御及び描画結果の表示部400に表示する処理を遂行する。例えば、監視者により監視ラインL又は監視無効ラインELを選択することができる不図示のライン選択ボタンを画面上に表示させ、操作入力部500を通じたライン選択ボタンの選択に応答して、監視ラインL及び監視無効ラインELの各々を監視映像上に描画させることができる。
【0084】
監視ライン設定部112は、ライン選択ボタンの選択に応答し、監視ラインL及び監視無効ラインELの各ラインの描画制御及び描画結果の表示制御を遂行する(S503)。なお、表示部400に表示される監視ラインL及び監視無効ラインELは、各々個別の色で表示することができ、例えば、監視ラインLを赤色、監視無効ラインELを青色で監視映像上に表示することができる。なお、図10の例では、説明の便宜上、監視ラインLを一点鎖線、監視無効ラインELを二点鎖線で表記しているが、任意の線(実線等)であってもよい。
【0085】
また、監視無効ラインELは、監視ラインLの設定に対して自動的に当該監視ラインLに対応する監視無効ラインとして監視映像上に描画(又は設定)されるようにすることもできる。
【0086】
監視者により監視ラインL及び監視無効ラインELの設定処理を終了する旨の選択、すなわち、操作入力部500を通じて設定終了要求を受信すると(S504)、監視装置100は、描画された監視ラインLの監視映像(監視画像)上の画素座標と監視無効ラインELの監視映像上の画素情報を各々抽出し、抽出した画素座標を含む監視ライン及び監視無効ライン設定情報を生成してメモリ120等の記憶部に記憶する(S505)。
【0087】
また、監視無効ラインELは、監視ラインLに対して複数設定することができる。監視無効ラインELは、少なくとも1つ又は複数の監視ラインLと関連付けられる。また、直線又は曲線の監視無効ラインELを複数描画し、複数の監視無効ラインELで囲まれた監視無効領域を設定することもできる。この場合、監視無効ラインELの線分を含む監視無効領域に含まれる各画素の画素情報が、監視ラインLの監視ライン設定情報と関連付けられて記憶部に記憶される。
【0088】
ここで、監視ラインL及び監視無効ラインELの設定例及び本実施形態の監視制御方法について、図10及び図12を参照して詳細に説明する。なお、監視ラインL及び監視無効ラインELに対応する監視映像上の画素値の変化の検出処理は、上記第1実施形態と同様であり、監視無効ラインELに対応する監視映像上の各画素は、監視ラインLと同様に監視無効ライン画素データ列で記憶部に記憶される。また、監視無効ライン画素データ列を所定単位数の画素群毎に抽出して画素値の変化を検出するとともに、抽出される監視無効ライン画素データ列の画素群同士の少なくとも一部の画素を重複させて画素値の変化を検出することも同様である。
【0089】
従来、監視対象物を斜め上方から3次元的に撮影した監視映像では、監視ラインLに人Pが干渉して監視ラインLの画素値に変化が生じ、監視ラインLに基づいて監視映像の画像が変化したものと判定される誤判定が生じていた(図14(b)参照)。そこで、本実施形態では、監視ラインLに対応する監視無効ラインELを図10(a)に示すように設定し、監視ラインLに対応する画素値の変化と監視無効ラインELの画素値の変化との相関関係により、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する。
【0090】
図12(a)は、本実施形態における監視ラインLの画素値の変化と監視無効ラインELの画素値の変換の相関関係の一例と、その相関関係に対する判定結果を示す図である。図12(b)は、図10(a)の監視ラインL及び監視無効ラインELの設定例における各相関関係の一例を示す図である。
【0091】
図12(b)に示すように、監視ラインLよりも外側に当該監視ラインLに対応する監視無効ラインELを設定し、図12(a)の相関関係に基づく判定処理を遂行することで、3次元の監視映像上の監視領域と現実の監視領域とのズレによる誤判定を好適に抑制することができる。
【0092】
すなわち、監視ラインL及び監視ラインELの各々に画素値の変化が生じない場合(相関関係A)、監視無効ラインELのみに画素値の変化が生じた場合(相関関係D)、監視ラインL及び監視無効ラインELの各々に画素値の変化が生じた場合(相関関係C)は、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が生じていないものと判定する。
【0093】
特に、判定条件Cにおいては、監視ラインLに対応する画素の画素値の変化が生じていても監視無効ラインELに対応する画素の画素値の変化が生じている場合、言い換えれば、3次元の奥行きのある監視映像上では監視ラインLの画素値が人Pによって変化しても、現実の監視ラインLには人Pは干渉していないために監視ラインLよりも外側に位置する監視無効ラインLの画素値の変化が生じている場合、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「なし」と判定されることから、3次元の監視映像上の監視領域と現実の監視領域とのズレによる誤判定を好適に抑制することができる。
【0094】
したがって、図12(a)及び(b)の例では、監視無効ラインELの画素値の変化が生じ、かつ監視ラインLの画素値の変化が生じない相関関係Bの場合に、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定され、監視映像の撮影方向(監視対象に対する撮影装置の設置位置などの撮影条件)が制限されることなく、また、別途光センサ等の機器を設置することなく、誤判定を抑制した監視を実現することができる。
【0095】
さらに、3次元の監視映像上の監視領域と現実の監視領域とのズレによる誤判定を好適に抑制した監視を実現できるので、既存の撮影装置に対しても本実施形態の監視プログラムを適用した監視システムを導入することが容易となる。
【0096】
なお、監視ラインL及び監視無効ラインELの各画素値に変化が生じているか否かは、上記第1実施形態と同様に、画素値の変化(差分画素値)と所定値(閾値)との比較により行われ、画素値の変化が所定値未満である場合には、画素値の変化が生じていないものとし、所定値以上であれば画素値の変化が生じているものとする。つまり、本実施形態では、画素値の変化が所定値以上である場合に「画素値に変化あり」と判別し、所定値未満である場合に「画素値に変化なし」と判別する。そして、図12(a)の相関関係に基づいて、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を最終的に判定する。なお、画素値の変化を判別するための所定値は、任意に設定することができ、監視ラインLと監視無効ラインELとで個別の値を用いることもでき、また同じ値を用いることもできる。
【0097】
次に、図12(c)は、図10(b)の監視ラインL及び監視無効ラインELの設定例における各相関関係の一例を示す図である。
【0098】
上述のように、壁Hを乗り越えて侵入する侵入者Sを監視する監視ラインLに対して左右方向に移動する人P1が干渉すると、監視ラインLの画素値の変化が生じ、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定される誤判定が生じてしまう。つまり、従来は、監視ラインLに基づいて経路や方向を特定した監視を行うことができなかった。
【0099】
しかしながら、図12(c)に示すように、監視ラインLに対して左右方向に移動する人P1と干渉(重畳)する監視無効ラインELを壁Hの下方に設定し、図12(a)の相関関係に基づく判定処理を遂行することで、監視ラインLに対して経路や方向等を特定した監視を行うことができる。
【0100】
図12(c)は、監視無効ラインELの画素値のみに画素値の変化が生じた場合(相関関係D,人P2)、監視ラインL及び監視無効ラインELの各々の画素値に変化が生じた場合(相関関係C、人P1)、監視ラインLの画素値に変化が生じ、かつ監視無効ラインELの画素値には変化が生じない場合(判定条件B、侵入者S)の各々の一例である。したがって、監視ラインLの画素値のみに変化が生じたと判別された場合に監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定されるので、監視ラインL(壁H)に対して上下方向からの干渉にのみ、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定することができ、人P1を監視対象外とする監視を実現することができる。
【0101】
すなわち、監視ラインLの画素値の変化に伴う監視映像の画像変化を判定する判定処理において、監視ラインLの画素値の変化と監視無効ラインELの画素値の変化とを相関的に関連付けて判定することで、監視ラインLに対する経路や方向を特定した監視を実現することが可能となる。
【0102】
したがって、本実施形態の監視装置100は、監視ラインL及び監視ラインLに対応する監視無効ラインLの各画素値の変化を相関的に用いて判定処理を行うため、監視ラインLに対して経路や方向を特定した監視や監視映像上の監視領域と現実の監視領域とのズレを考慮した監視などの、監視目的に応じた個別具体的な監視態様に適した監視を行うことが可能となる。
【0103】
図11は、本実施形態における監視制御の処理遷移を示すフローチャートであり、図9に示した監視ラインL及び監視無効ラインEL設定後、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化を判定する処理を示している。
【0104】
監視者は、操作入力部500を通じて表示部400に表示された監視スタートボタン(スタートアイコン)を選択すると、監視装置100は、監視スタートボタンの選択要求を受信し、監視制御処理を遂行する(S701)。
【0105】
監視装置100の監視入力部140は、撮影装置200により撮影されたアナログ形式の監視映像をデジタル画像に変換し、画像処理部111に監視画像を出力する(S702)。画像処理部111は、入力された監視画像に対し、当該監視画像を画素座標に基づいて連続する1つの画素データ列に変換する一列化処理を遂行し、一列化された監視画像を記憶部に記憶する(S703)。
【0106】
また、監視装置100の画像処理部111は、監視画像に対する一列化処理と並行して又は個別に、記憶部に記憶されている監視ライン及び監視無効ライン設定情報に含まれる監視ラインLの画素座標を用い、一列化された監視画像又は一列化される前の監視画像から監視ラインLに対応する画素の画素情報(画素座標)を抽出し、監視ラインLに対応する監視画像の画素のみで構成される1つの監視ライン画素データ列を生成する。また、一列化された監視画像又は一列化される前の監視画像から監視無効ラインELに対応する画素の画素情報(画素座標)を抽出し、監視無効ラインELに対応する監視画像の画素のみで構成される1つの監視無効ライン画素データ列を生成する。生成された監視ライン画素データ列及び監視無効ライン画素データ列は、監視画像別に記憶部に記憶される(S704)。
【0107】
次に、監視装置100の監視部113は、最新の監視画像の入力に基づいて、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化判定処理を遂行する。まず、監視部113は、画像処理部111により最新の監視画像(例えば監視画像1)の一列化された画素データ列、監視ライン画素データ列及び監視無効ライン画素データ列が生成されると、記憶部に記憶された直近(直前)の監視画像(例えば、監視画像2)に係る一列化された画素データ列、監視ライン画素データ列、及び監視無効ライン画素データ列を抽出し、監視画像全体の画像変化の判定処理及び監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理を遂行する(S705a、S705b)。
【0108】
監視装置100の監視部113は、ステップS705aにおいて、上述の第1実施形態と同様に、監視画像全体の画素値の変化を検出し、監視画像全体の画像変化を判定する。
【0109】
一方、監視部113は、ステップS705bにおいて、上述の第1実施形態と同様に、一列化された監視ライン画素データ列の先頭画素から順に所定単位数の画素群を抽出し、抽出した画素群毎の画素値の変化を検出する。さらに、監視部113は、一列化された監視無効ライン画素データ列の先頭画素から順に所定単位数の画素群を抽出し、抽出した画素群毎の画素値の変化を検出する。
【0110】
そして、監視部113は、図12(a)の監視ラインLの画素値の変化と監視無効ラインELの画素値の変化の各相関関係に基づいて、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理を行う。すなわち、監視部113は、監視ラインL及び監視ラインELの各々に画素値の変化が生じない場合(相関関係A)、監視無効ラインELのみに画素値の変化が生じた場合(相関関係D)、監視ラインL及び監視無効ラインELの各々に画素値の変化が生じた場合(相関関係C)は、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が生じていないものと判定し、監視ラインLに対応する画素の画素値の変化が生じていても監視無効ラインELに対応する画素の画素値の変化が生じている場合(相関関係B)に、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が生じているものと判定する。
【0111】
さらに、監視部113は、ステップS705a及びS705bにおける各判定結果に基づいて、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定され、かつ監視画像全体の画像変化が「なし」と判定されたか否かを判別する(S706)。監視ラインLに基づいて監視映像の画像が変化し、監視画像全体の画像が変化していない場合には、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化が「あり」と判定し、ステップS707に進んで所定の警告処理を遂行する。
【0112】
ステップS707における警告処理は、第1実施形態における図4のステップS307と同様である。また、監視部113は、ステップS708において監視者によって又はスケジューラー等に基づいて監視終了指示があるか否かを判別し、監視終了指示がない場合には、ステップS702に戻り、ステップS702からステップS707の各処理を繰り返し行う。一方、監視終了指示があった場合には、監視終了処理を遂行し、監視制御処理を終了させる(S709)。
【0113】
図13は、本実施形態における監視無効領域ELAを説明するための図であり、図13(a)は、監視無効領域ELAの設定画面の一例、図13(b)は、監視無効領域ELAにおける画素値の変化の検出過程を説明した図である。
【0114】
図13(b)に示すように、監視無効ラインELで囲まれた監視無効領域ELAは、複数の監視無効ラインELの束と捉えることができるので、監視無効領域設定情報は、複数の監視無効ライン設定情報を含む設定情報として記憶部に記憶される。
【0115】
つまり、監視無効領域ELAの画素データ列は、複数の監視無効ライン画素データ列として生成されて記憶部に記憶され、各監視無効ライン画素データ列に対して順に画素値の変化を検出することで、監視無効領域ELAの画素値の変化を検出することができる。
【0116】
このように監視ラインLに対して1つのラインではなく領域として監視無効領域を設定することで、監視ラインLの画素値の変化に対する監視無効ラインELの変化をより的確に検出することができる。例えば、図13(a)の例において、人P1が壁Hに静止しており、頭部のみが移動した場合、壁Hの下方に設定した監視無効ラインELの画素値は変化しない。このため、頭部の移動に伴って監視ラインLの画素値が変化し、監視ラインLの画素値の変化と監視無効ラインELの画素値の変化の相関関係が図12(a)における相関関係Bとなり、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化「あり」と判定されることになる。
【0117】
しかしながら、監視無効領域ELAを設定することで、頭部の移動に伴って監視無効領域の画素値が変化することになり、例えば、図12(a)における相関関係Cとなり、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化「なし」と判定される。したがって、監視ラインLに対して1つのラインではなく領域として監視無効領域ELAを設定することで、監視ラインLに基づく監視映像の画像変化の判定処理の精度を向上させることが可能となる。
【0118】
以上、上記実施形態において、上述の監視装置100は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動通信端末装置などの演算機能を備えた情報処理端末装置等が含まれる。また、監視装置100は、インターネット等のネットワークに限らず他の通信網、例えば、その他の無線通信網/有線通信網を介して他のノードと接続することも可能であり、専用回線網であってもよい。
【0119】
また、本発明の監視装置は、1つ又は複数の異なるコンピュータ装置等で実現し、ネットワーク等の回線を介して接続したシステムとして構成することもでき、各処理部及び記憶部毎に分散されたシステム構成とすることも可能である。
【0120】
また、本発明の監視装置(監視制御における各処理)は、コンピュータで実行可能なプログラムとして実現することも可能であり、当該プログラムがインストールされたコンピュータは、本発明の処理を遂行する情報処理装置として動作することが可能である。例えば、補助記憶装置130に当該プログラムが格納され、CPU110の制御部が補助記憶装置130に格納されたプログラムを主記憶装置120に読み出し、主記憶装置120に読み出された該プログラムをCPU110が実行し、コンピュータに本発明の各部の処理を動作させることができる。
【0121】
なお、本実施形態では、CPU110が処理主体となってコンピュータに各機能を実現させる一例について述べたが、これに限らず本発明の各機能は、個別に又は複数の機能群で構成された専用の処理回路(専用のハードウェア)で構成することもできる。例えば、画像処理部111や監視部113の各処理のみを実行する専用処理回路をCPU110とは個別に又はCPU110の一部として設けられた情報処理装置により、本発明の監視装置を実現することが可能である。
【0122】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で提供することも可能であり、また、インターネット等のネットワークを通じてダウンロードさせることで提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROM等の光ディスク、DVD−ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0123】
なお、本発明を好適な実施形態に則して説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で当該技術分野の技術に照らし合わせて多様に変形することが可能である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0124】
100 監視装置
110 CPU(制御部)
111 画像処理部
112 監視ライン設定部
113 監視部(判定制御部)
114 表示制御部
115 通信制御部
120 メモリ(主記憶部)
130 補助記憶部
140 画像入力部
150 インターフェース(IF)
200 撮影装置
300 音出力部(スピーカー)
400 表示部
500 操作入力部
L 監視ライン
EL 監視無効ライン
ELA 監視無効領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する処理を遂行するコンピュータにより実行される監視プログラムであって、前記コンピュータに、
前記コンピュータの表示部を通じて前記撮影領域に監視ラインを設定する制御を遂行するとともに、設定された前記監視ラインの前記撮影領域内における位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する機能と、
前記監視ライン設定情報に基づいて、前記監視ラインの位置情報に対応する前記撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列を生成する機能と、
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像における前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて前記撮影領域の画像変化を判定する機能と、を実現させるとともに、
前記撮影領域の画像変化を判定する機能は、
前記監視ライン画素データ列を所定数の画素群に分割し、前記監視ライン画素データ列間の前記画素群における画素値の変化に基づいて前記撮影領域の画像変化を判定するとともに、前記監視ライン画素データ列の配列順に分割される第1画素群及び第2画素群において前記第2画素群の少なくとも一部の画素に前記第1画素群の画素が含まれるように分割することを特徴とする監視プログラム。
【請求項2】
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像を、所定の順序で一列に画素が配列される画素データ列に変換する機能をさらに含み、
前記撮影領域の画像変化を判定する機能は、
前記画素データ列間の画素値の変化に基づいて前記撮影領域全体の画像変化を判定することを特徴とする請求項1に記載の監視プログラム。
【請求項3】
撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する監視装置であって、
表示部を通じて前記撮影領域に監視ラインを設定する制御を遂行するとともに、設定された前記監視ラインの前記撮影領域内における位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する監視ライン設定部と、
前記監視ライン設定情報に基づいて、前記監視ラインの位置情報に対応する前記撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列を生成する画像処理部と、
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像における前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて前記撮影領域の画像変化を判定する監視部と、を備え、
前記監視部は、
前記監視ライン画素データ列を所定数の画素群に分割し、前記監視ライン画素データ列間の前記画素群における画素値の変化に基づいて前記撮影領域の画像変化を判定するとともに、前記監視ライン画素データ列の配列順に分割される第1画素群及び第2画素群において前記第2画素群の少なくとも一部の画素に前記第1画素群の画素が含まれるように分割することを特徴とする監視装置。
【請求項4】
撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する処理を遂行するコンピュータにより実行される監視プログラムであって、前記コンピュータに、
前記コンピュータの表示部を通じて前記撮影領域に監視ラインと前記監視ラインに対応する監視無効ラインとを設定する制御を遂行するとともに、設定された前記監視ライン及び前記監視無効ラインの前記撮影領域内における各位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する機能と、
前記監視ライン設定情報に基づいて、前記監視ラインの位置情報に対応する前記撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列と、前記監視無効ラインの位置情報に対応する前記撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視無効ライン画素データ列とを生成する機能と、
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像における前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて前記撮影領域の画像変化を判定する機能と、を実現させるとともに、
前記撮影領域の画像変化を判定する機能は、
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像における前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化と前記監視無効ライン画素データ列間の画素値の変化との相関関係に基づいて、前記撮影領域の画像変化を判定することを特徴とする監視プログラム。
【請求項5】
前記撮影領域の画像変化を判定する機能は、
前記監視ライン画素データ列間の画素値に変化が生じ、かつ前記監視無効ライン画素データ列間の画素値に変化が生じていると判別された場合に、前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づく前記撮影領域の画像変化の判定を無効とすることを特徴とする請求項4に記載の監視プログラム。
【請求項6】
撮影装置により撮影される撮影領域の画像変化を判定する監視装置であって、
表示部を通じて前記撮影領域に監視ラインと前記監視ラインに対応する監視無効ラインとを設定する制御を遂行するとともに、設定された前記監視ライン及び前記監視無効ラインの前記撮影領域内における各位置情報を含む監視ライン設定情報を生成する監視ライン設定部と、
前記監視ライン設定情報に基づいて、前記監視ラインの位置情報に対応する前記撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視ライン画素データ列と、前記監視無効ラインの位置情報に対応する前記撮影領域の画像における画素を一列に配列した監視無効ライン画素データ列とを生成する画像処理部と、
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像における前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化に基づいて前記撮影領域の画像変化を判定する監視部と、を備え、
前記監視部は、
所定の間隔で連続して撮影された前記監視領域の各画像における前記監視ライン画素データ列間の画素値の変化と前記監視無効ライン画素データ列間の画素値の変化との相関関係に基づいて、前記撮影領域の画像変化を判定することを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−151743(P2011−151743A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13439(P2010−13439)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(506110944)株式会社エクスシステム (2)
【Fターム(参考)】