説明

監視装置、監視方法、及びプログラム

【課題】監視対象となる装置から、重要度の高い通報がなされた場合に、当該通報とこれに関連する通報とを特定し、これらをまとめて提示し得る、監視装置、監視方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】監視装置10は、監視対象となる装置30からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、判断部12と、緊急通報以外の通報のうち、選別条件に合致する通報を特定する、選別部16と、判断部12が該当すると判断した場合に、緊急通報と、選別部16が特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面22を生成する、緊急通報部17と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバコンピュータ等の装置を監視するための監視装置及び監視方法に関し、更には、これらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のサーバ装置を備えたコンピュータシステムにおいては、各サーバ装置における障害発生を管理するために、監視システムが導入されている。一般に、監視システムでは、各サーバ装置から、障害の発生を通知する通報が、中央の管理装置へと出力される。そして、中央管理装置は、各通報を表示装置の画面に順次表示させるので、監視者は、画面の表示内容に基づいて対処を行なうことになる。
【0003】
但し、このような監視システムでは、管理対象となるサーバ装置の数が増加する程、管理者の負担が増加してしまうため、緊急の対処が必要な障害が見過ごされてしまう可能性がある。このため、例えば、特許文献1は、通報を受けた障害毎に、重要度を2段階で判定し、重要度の高い障害から優先して表示画面に表示する、監視システムを開示している。
【0004】
このような特許文献1に開示された監視システムによれば、監視者は、重要度の高い(緊急性の高い)障害を把握し易いため、緊急の対処が必要な障害が見過ごされてしまう事態は、回避されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−242230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在において、監視対象となるサーバ装置は複雑化しているため、監視システムが監視すべき項目は、性能、リソースの使用状況、ログメッセージ、プロセスの状態等、種々の項目に渡っている。また、これに合わせて、通報の種類も増加している。
【0007】
このため、上記特許文献1に開示された監視システムのように、障害を重要度に単に分類しただけでは、監視者において、障害の発生に至る経緯の調査及び確認に時間がかかってしまう。結果、監視員の緊急対応(復旧等)の初動が遅れたり、緊急状態が発生してから対応(復旧等)するまで時間を要する結果となったり、する可能性がある。
【0008】
例えば、あるサーバ装置から、「CPU使用率が警告域です。」という通報がなされており、その後、「スループットが低下している。」という通報がなされるとする。そして、これらは互いに関連しているが、前者の重要度が「低」に設定され、後者の重要度が「高」に設定されている場合、後者の通報は、優先して画面に表示されるが、前者の通報は、後から画面に表示される。この結果、監視者は、スループットが低下している原因の特定に時間がかかってしまうため、迅速に適切な対処をとることが困難となる。
【0009】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、監視対象となる装置から、重要度の高い通報がなされた場合に、当該通報とこれに関連する通報とを特定し、これらをまとめて提示し得る、監視装置、監視方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における監視装置は、監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、判断部と、
前記判断部が前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、選別部と、
前記判断部が該当すると判断した場合に、前記判断部が前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記選別部が特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、緊急通報部と、
を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における監視方法は、
(a)監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、ステップと、
(c)前記(a)のステップで該当すると判断した場合に、前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記(b)のステップで特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、ステップと、
を有することを特徴とする。
【0012】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
監視対象となる装置に接続された、コンピュータに、
(a)前記監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、ステップと、
(c)前記(a)のステップで該当すると判断した場合に、前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記(b)のステップで特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、監視対象となる装置から、重要度の高い通報がなされた場合に、当該通報とこれに関連する通報とを特定し、これらをまとめて提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態における監視装置を構成する通報受信部及び判断部の動作を示すフロー図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態における監視装置を構成する選別部の動作を示すフロー図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における監視装置を構成する緊急通報部の動作を示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態における監視装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における、監視装置、監視方法、及びプログラムについて図1〜図5を参照しながら説明する。
【0016】
[装置構成]
最初に、本発明の実施の形態における監視装置の構成を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における監視装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態における監視装置10は、監視対象となる装置30から、障害を通知する通報を受けると、受けた通報を、液晶ディスプレイ等の表示装置20の画面に表示させる装置である。
【0018】
また、図1に示すように、監視装置10は、判断部12と、選別部16と、緊急通報部17とを備えている。まず、判断部12は、監視対象となる装置30からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断する。そして、判断部12は、該当すると判定すると、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する。
【0019】
選別部15は、判断部12が緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、選別条件に合致する通報を特定する。緊急通報部17は、判断部12が該当すると判断した場合に、判断部12が緊急通報に該当すると判断した通報と、選別部15が特定した通報とを、外部に知らせるための、専用の監視画面22を生成する。監視画面22は、緊急通報毎に生成され、表示装置20の画面上に表示される。
【0020】
このように、監視装置10は、監視対象となる装置30から、重要度の高い緊急通報を受信すると、それを契機に、この緊急通報に関連する通報を特定する。そして、監視装置10は、専用の画面により、この緊急通報と関連する通報とをまとめて表示する。このため、監視装置10の監視者は、障害の発生に至る経緯の調査及び確認を迅速に行なうことができるので、緊急対応(復旧等)の初動を迅速にとることができ、緊急状態が発生してから対応(復旧等)するまでの時間の短縮化が図られる。
【0021】
ここで、本実施の形態における監視装置10の構成を更に具体的に説明する。図1に示すように、本実施の形態では、監視対象となる装置30は、複数個あり、各装置30は、サーバコンピュータ(以下、「サーバコンピュータ30」と表記する。)である。サーバコンピュータ30は、ネットワーク40を介して、監視装置10に接続されている。
【0022】
また、各サーバコンピュータ30には、内部で発生した障害を検知する監視プログラム31が組み込まれており、監視プログラム31によって通報が出力されている。更に、監視プログラム31は、それが組み込まれたサーバコンピュータ30の識別子と、そこで発生した障害の内容とを含む通報を出力する。
【0023】
また、図1に示すように、監視装置10は、本実施の形態では、判断部12、選別部16、及び緊急通報部17に加えて、通報受信部11と、通報蓄積部13と、通常通報部14と、通報記憶部15とを備えている。
【0024】
通信受信部11は、各サーバコンピュータ30からの通報を受信し、受信した通報を判断部12に引き渡す。判断部12は、本実施の形態では、引き渡された通報に対して、上述した緊急通報かどうかの判断を行なう。
【0025】
また、判断部12は、本実施の形態では、緊急通報条件を含む緊急通報条件情報と、選別条件を含む選別条件情報とを管理している。緊急通報条件は、緊急通報に該当する通報を予め規定した条件であり、判断部12は、緊急通報条件に基づいて、緊急通報に該当するかどうかを判断する。本実施の形態では、緊急通報条件及び選別条件は、いずれかのサーバコンピュータ30の識別子と、発生した障害の内容とで規定されている。
【0026】
更に、判断部12は、本実施の形態では、緊急通報条件に合致する通報(緊急通報)に関連する通報を特定するため、選別条件情報の中から、この緊急通報に対応する選別条件を特定し、これを「有効」に設定する。また、判断部12は、特定の選別条件を「有効」に設定した場合は、この後の緊急通報条件に基づく判断の前に、先ず、この特定の選別条件に通報が合致するかどうかを判断し、合致しない場合に、緊急通報条件に基づく判断を行なう。
【0027】
また、判断部12は、通報が緊急通報条件に合致すると判断する場合は、選別部16に対して、設定した選別条件を通知し、更に、緊急通報部17と通報蓄積部13とに対して、緊急通報を通知する。
【0028】
通報蓄積部12は、判断部12による判断が終了した通報、具体的には、判断部12が選別条件に合致すると判断した通報、及び判断部12が緊急通報かどうかの判断対象とした通報を一時的に蓄積する。また、通報蓄積部12は、一時的に蓄積した通報を、通知された順に通常通報部14に出力すると共に、出力した順に通報を削除する。
【0029】
通常通報部14は、通報蓄積部13に蓄積された通報を外部に知らせるための監視画面21を生成し、通報蓄積部12に蓄積された通報を通知された順に監視画面21に表示させる。この監視画面21は、上述した通報毎に生成される監視画面22とは異なり、緊急通報の有無に関係なく、一つだけ生成される。また、監視画面21には、通知された通報が全て時系列で表示される。
【0030】
選別部16は、本実施の形態では、通報蓄積部13に蓄積されている通報と、通常通報部14が監視画面21に表示させた通報との中から、選別条件に合致する通報を特定する。つまり、選別部16は、既に受信されている処理待ちの通報、及び処理済みの通報等の中から、緊急通報に関連する通報を特定する。
【0031】
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態における監視装置10の動作について図2〜図4を用いて説明する。また、以下の説明においては、適宜図1を参酌する。更に、本実施の形態では、監視装置10を動作させることによって、監視方法が実施される。よって、本実施の形態における監視方法の説明は、以下の監視装置10の動作説明に代える。
【0032】
また、以下の説明では、各サーバコンピュータ30は、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバのいずれかであり、これらの複数のサーバコンピュータが監視対象となっているとする。また、これらの複数のサーバコンピュータは、各種Webサービスを提供する1つのシステムを構成しているとする。
【0033】
上記の場合、監視対象となるWebサーバでは、監視プログラム31は、CPU使用率、メモリ使用量、ディスクアクセス率、ネットワーク(入出力パケット数)、及びWebサービスのスループットを監視している。また、アプリケーションサーバでは、監視プログラム31は、CPU使用率、メモリ使用量、ディスクアクセス率、及び起動アプリケーションの状態を監視している。また、データベースサーバでは、監視プログラム31は、CPU使用率、メモリ使用量、及びディスクアクセス率を監視している。
【0034】
また、各監視プログラム31は、監視項目の状態が、設定されている状態になった場合、例えば、閾値が警告域に達した場合、通常域に復帰した場合等に、監視装置10に通報を出力する。更に、「通報」には、「通報に設定された識別番号(通番)」、「監視項目」、「通報の内容」、「発行サーバ名」、及び「重要度」等の情報が含まれている。
【0035】
更に、以下の説明では、例えば、緊急通報条件として、「発行サーバ名」が「Webサーバ」であり、且つ、「通報の内容」が「Webサービスのスループットが低下しています。」である、という条件が用いられる。また、緊急通報条件が上述の場合、緊急通報条件に対する選別条件としては、「発行サーバ名」が「Webサーバ」、「アプリケーションサーバ」、「データベースサーバ」の何れかであり、「通報の内容」が「CPU使用率が警告域です」、「メモリ使用量が警告域です」、「ディスクアクセス率が警告域です」の何れかである、という条件が挙げられる。
【0036】
また、本実施の形態において、選別条件は、監視対象となる全サーバコンピュータ30に対して共通に設定されていても良いし、監視対象となるサーバコンピュータ30毎に異なる条件で設定されていても良い。
【0037】
[装置動作:通報受信部11、判断部12]
最初に、図2を用いて、図1に示した通報受信部11及び判断部12の動作について説明する。図2は、本発明の実施の形態における監視装置を構成する通報受信部及び判断部の動作を示すフロー図である。
【0038】
まず、図2に示すように、通信受信部11が、監視対象となるサーバコンピュータ30の監視プログラム31から通報を受信し、これを判断部12に引き渡す(ステップA1)。例えば、緊急通報条件及び選別条件が、上述のように設定されている条件下において、「Webサービスのスループットが低下しています。」という通報が受信されたとする。
【0039】
次に、判断部12は、監視装置10の監視者から停止の指示が入力されているかどうかを判定する(ステップA2)。ステップA2の判定の結果、停止の指示が入力されている場合は、処理を終了する。これにより、監視装置10の動作も停止する。一方、ステップA2の判定の結果、停止の指示が入力されていない場合は、判断部12は、以降のステップA3以降の処理を実行する。
【0040】
次に、判断部12は、ステップA1で通報受信部11から取得した通報と、後述するステップA6で有効化された選別条件とを照合する(ステップA3)。そして、判断部12は、照合結果に基づいて、通報が、有効化された選別条件に該当するか否かを判定する(ステップA4)。
【0041】
ステップA4の判定の結果、取得した通報が選別条件に該当する場合は、判断部12は、後述するステップA11以降を実行する。一方、ステップA4の判定の結果、取得した通報が選別条件に該当しない場合は、判断部12は、取得した通報と、緊急通報条件とを照合する(ステップA5)。
【0042】
そして、判断部12は、照合結果に基づいて、取得した通報が、予め設定された緊急通報条件に該当するか否かを判定する(ステップA6)。例えば、通報が、「Webサービスのスループットが低下しています。」という通報であるとすると、この通報は上述した緊急通報条件に該当するので、緊急通報であると判断される。
【0043】
ステップA6の判定の結果、取得した通報が緊急通報に合致しない場合は、判断部12は、取得した通報を通報蓄積部13に通知する(ステップA14)。
【0044】
一方、ステップA6の判定の結果、通報が緊急通報条件に合致する場合は、判断部12は、緊急通報部17に、専用の監視画面22の作成を指示し、これを表示装置20の画面上に表示させる(ステップA7)。
【0045】
次に、判断部12は、選別条件情報の中から、ステップA6で緊急通報であると判定した通報に対応する選別条件を特定し、これを「有効」に設定する(ステップA8)。続いて、判断部12は、「有効」に設定した選別条件を選別部16に通知する(ステップA9)。ステップA8及びA9が実行されると、これ以後に監視プログラム31から出力された通報についての、ステップA4の判断は、上記ステップA8で「有効」に設定された選別条件に基づいて行なわれる。また、ステップA9の実行により、選別部12は、後述の図3に示すステップB1以降を実行する。
【0046】
次に、判断部12は、緊急通報条件に合致する通報を、緊急通報部17に通知する(ステップA10)。ステップA10の実行により、緊急通報部17は、後述の図4に示すステップC1以降を実行する。また、判断部12は、この緊急通報条件に合致する通報も、通報蓄積部13に通知する(ステップA14)。
【0047】
また、上述のステップA4の判定の結果、取得した通報が選別条件に該当する場合は、判断部12は、取得した通報が、緊急通報に対して出力された復旧通報であるかどうかを確認する(ステップA11)。復旧通報は、緊急通報に対して出力される通報であり、サーバコンピュータ30の監視プログラムは、緊急通報の原因となった障害が復旧した場合に、復旧通報を出力する。
【0048】
ステップA11の判定の結果、取得した通報が復旧通報である場合は、判断部12は、この復旧通報を、緊急通報部17に通知する(ステップA12)。更に、判断部12は、「有効」に設定している選別条件を「無効」に設定すると共に、選別部16に対して、このことを通知する(ステップA13)。ステップA13が実行されると、選別部16における後述の処理は停止される。次に、判断部12は、ステップA13の実施後、ステップA15を実行する。
【0049】
更に、ステップA11の判定の結果、取得した通報が復旧通報でない場合も、判断部12は、この復旧通報以外の通報を、緊急通報部17に通知する(ステップA14)。続いて、判断部12は、この場合も、ステップA15を実行する。
【0050】
そして、ステップA15の実行後、Webサーバ、アプリケーションサーバ、又はデータベースサーバで動作する監視プログラム31が、更に通報を出力すると、判断部12は、再度、ステップA1を実行する。
【0051】
また、ステップA15の実行後、通報蓄積部12は、判断部12から通知された通報を一時的に蓄積する。また、通報蓄積部12は、一時的に蓄積した通報を、通知された順に通常通報部14に出力すると共に、出力した順に通報を削除する。その後、通常通報部14は、監視画面21上に、通報蓄積部12に蓄積された通報を通知された順に表示させる。これにより、監視画面21には、通知された通報が全て時系列で表示される。
【0052】
[装置動作:選別部16]
次に、図3を用いて、図1に示した選別部16の動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態における監視装置を構成する選別部の動作を示すフロー図である。
【0053】
まず、図2に示したステップA9が実行されると、図3に示すように、選別部16は、判断部12から、「有効」に設定されている選別条件を取得する(ステップB1)。
【0054】
次に、選別部16は、通報蓄積部13に蓄積されている通報から、判断部12によって有効化されている選別条件に合致する通報、具体的には、選別条件の「発行サーバ名」及び「通報の内容」が一致する通報を選択する(ステップB2)。
【0055】
続いて、選別部16は、通報記憶部15に蓄積されている通報からも、判断部12によって有効化されている選別条件に合致する通報、具体的には、選別条件の「発行サーバ名」及び「通報の内容」が一致する通報を選択する(ステップB3)。
【0056】
その後、選別部16は、ステップB2で選択した通報と、ステップB3で選択した通報とを、緊急通報部17に通知する(ステップB4)。ステップB4の実行後、選別部16は、自動的に処理を終了する。ステップB4の実行により、緊急通報部17は、後述の図4に示すステップC2を実行する。
【0057】
例えば、通報蓄積部13又は通報記憶部15に、通報Aと通報Bとが蓄積されているとする。また、通報Aにおいては、「発行サーバ名」が「アプリケーションサーバ」であり、「通報の内容」が「CPU使用率が警告域です」であるとする。通報Bにおいては、「発行サーバ名」が「データベースサーバ」であり、「通報の内容」が「ディスクアクセス率が警告域です」であるとする。このような場合、通報A及びBは、上述した選別条件に合致するので、選別部16によって選択され、緊急通報部17へ通知される。
【0058】
[装置動作:緊急通報部17]
次に、図4を用いて、図1に示した緊急通報部17の動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態における監視装置を構成する緊急通報部の動作を示すフロー図である。
【0059】
まず、図2に示したステップA10が実行されると、緊急通報部17は、判断部12から通知された緊急通報を取得する(ステップC1)。続いて、図3に示したステップB4が実行されると、緊急通報部17は、選別条件に合致する通報を取得する(ステップC2)。
【0060】
次に、緊急通報部17は、ステップC1で取得された緊急通報の専用の監視画面22に、この緊急通報と、ステップC2で取得した通報とを、時系列に沿って表示する(ステップC3)。
【0061】
例えば、判断部12から通知された緊急通報において、上述したように、「発行サーバ名」が「Webサーバ」となり、「通報の内容」が「Webサービスのスループットが低下しています。」であるとする。この場合は、上述した通報Aと通報Bとが、専用の監視画面22に時系列に沿って表示される。
【0062】
この結果、監視装置10の監視員(又は対応者)は、専用の監視画面22を確認することにより、Webサービスのスループットが低下している原因が、アプリケーションサーバのCPU使用率とデータベースサーバのディスクアクセス率とにある、と容易に理解することができる。
【0063】
なお、判断部12は、緊急通報部17に通知した緊急通報を、通報蓄積部13にも通知しているので(ステップA15参照)、この緊急通報は、上述したように、通常通報部14及び通報記憶部15を経由して、監視画面21にも表示される。監視画面21は、通報全部を表示する全体の監視画面である。
【0064】
次に、緊急通報部17は、図2に示すステップA2で判断部12が停止指示を受けているかどうかを判定する(ステップC4)。ステップC4での判定の結果、判断部12が停止指示を受けている場合は、緊急通報部17は、処理を終了する。一方、ステップC4での判定の結果、判断部12が停止指示を受けていない場合は、緊急通報部17は、判断部12がステップA12で通知した復旧通報、又はステップA14で通知した復旧通報以外の通報を取得する(ステップC5)。
【0065】
次に、緊急通報部17は、ステップC5で判断部12から取得した通報に基づき、ステップA11において判断部12が復旧通報を取得しているかどうかを判定する(ステップC6)。
【0066】
ステップC6の判定の結果、判断部12がステップA11において復旧通報を取得していない場合は、緊急通報部17は、ステップC5で判断部12から取得した、復旧通報以外の通報を専用の監視画面に表示する(ステップC8)。また、その後、緊急通報部17は、再度ステップC4を実行する。
【0067】
一方、ステップC6の判定の結果、判断部12がステップA11において復旧通報を取得している場合は、緊急通報部17は、ステップC5で判断部12から取得した復旧通報を専用の監視画面22に表示し(ステップC7)、その後、処理を終了する。また、これにより、専用の監視画面22には、復旧が完了したことが表示される。以後、監視員の操作により、監視画面22は、閉じられる。
【0068】
[効果]
以上のように、本実施の形態では、緊急通報の受信を契機に、蓄積されている通報から、緊急通報に関連する通報が自動的に選択され、選択された通報と緊急通報とが、専用の監視画面に表示される。
【0069】
従って、監視者は、この専用の監視画面にだけ集中すれば良いため、緊急通報を出力していない他のサーバコンピュータからの関係の無い通報に影響されることなく、障害の発生に至る経緯の調査及び確認を迅速に行なうことができる。結果、本実施の形態によれば、緊急対応(復旧等)の初動を迅速にとることができ、結果、緊急状態が発生してから対応(復旧等)するまでの時間の短縮化が図られる。
【0070】
また、本実施の形態では、予め設定された選別条件を用いて、緊急通報に関連する通報が自動的に選択されるので、監視員(又は対応者)の熟練度の影響が抑制される。結果、本実施の形態によれば、一定の管理水準が確保される。
【0071】
[プログラム]
本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータに、図2に示すステップA1〜A14、図3に示すステップB1〜B4、図4に示すステップC1〜C7を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態における監視装置10と監視方法とを実現することができる。
【0072】
この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、判断部12、通常通報部14、選別部16、及び緊急通報部17として機能し、処理を行なう。また、コンピュータに備えられたメモリが、通報蓄積部13として機能し、ハードディスク等の記憶装置が、通帳記憶部15として機能する。
【0073】
ここで、本実施の形態におけるプログラムを実行することによって、監視装置10を実現するコンピュータについて図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態における監視装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0074】
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0075】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0076】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、監視対象となるサーバコンピュータ30との間のデータ伝送を仲介する。
【0077】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash)及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【0078】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)〜(付記12)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0079】
(付記1)
監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、判断部と、
前記判断部が前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、選別部と、
前記判断部が該当すると判断した場合に、前記判断部が前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記選別部が特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、緊急通報部と、
を備えていることを特徴とする監視装置。
【0080】
(付記2)
前記判断部による判断が終了した通報を一時的に蓄積する、通報蓄積部と、
前記通報蓄積部に蓄積された通報を外部に知らせるための画面を生成し、前記通報蓄積部に蓄積された通報を通知された順に前記画面に表示させる、通常通報部と、を更に備え、
前記選別部が、前記通報蓄積部に蓄積されている通報と、前記通常通報部が前記画面に表示させた通報との中から、前記選別条件に合致する通報を特定する、
付記1に記載の監視装置。
【0081】
(付記3)
前記判断部が、緊急通報に該当する通報が予め規定された緊急通報条件に基づいて、前記緊急通報に該当するかどうかを判断する、付記1または2に記載の監視装置。
【0082】
(付記4)
前記監視対象となる装置がサーバコンピュータであり、前記サーバコンピュータに組み込まれた監視プログラムが、当該サーバコンピュータの識別子と発生した障害の内容とを含む通報を通知しており、
前記緊急通報条件及び前記選別条件が、前記サーバコンピュータの識別子と、発生した障害の内容とで規定されている、
付記3に記載の監視装置。
【0083】
(付記5)
(a)監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、ステップと、
(c)前記(a)のステップで該当すると判断した場合に、前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記(b)のステップで特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、ステップと、
を有することを特徴とする監視方法。
【0084】
(付記6)
(d)前記(a)のステップでの判断が終了した通報を一時的に蓄積する、ステップと、
(e)前記(d)のステップで蓄積された通報を外部に知らせるための画面を生成し、前記(d)のステップで蓄積された通報を通知された順に前記画面に表示させる、ステップと、を更に有し、
前記(b)のステップで、前記(d)のステップにおいて蓄積されている通報と、前記(e)のステップにおいて前記画面に表示させた通報との中から、前記選別条件に合致する通報を特定する、
付記5に記載の監視方法。
【0085】
(付記7)
前記(a)のステップで、緊急通報に該当する通報が予め規定された緊急通報条件に基づいて、前記緊急通報に該当するかどうかを判断する、付記5または6に記載の監視方法。
【0086】
(付記8)
前記監視対象となる装置がサーバコンピュータであり、前記サーバコンピュータに組み込まれた監視プログラムが、当該サーバコンピュータの識別子と発生した障害の内容とを含む通報を通知しており、
前記緊急通報条件及び前記選別条件が、前記サーバコンピュータの識別子と、発生した障害の内容とで規定されている、
付記7に記載の監視方法。
【0087】
(付記9)
監視対象となる装置に接続された、コンピュータに、
(a)前記監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、ステップと、
(c)前記(a)のステップで該当すると判断した場合に、前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記(b)のステップで特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、ステップと、
を実行させるプログラム。
【0088】
(付記10)
前記コンピュータに、
(d)前記(a)のステップでの判断が終了した通報を一時的に蓄積する、ステップと、
(e)前記(d)のステップで蓄積された通報を外部に知らせるための画面を生成し、前記(d)のステップで蓄積された通報を通知された順に前記画面に表示させる、ステップと、を更に実行させ、
前記(b)のステップで、前記(d)のステップにおいて蓄積されている通報と、前記(e)のステップにおいて前記画面に表示させた通報との中から、前記選別条件に合致する通報を特定する、
付記9に記載のプログラム。
【0089】
(付記11)
前記(a)のステップで、緊急通報に該当する通報が予め規定された緊急通報条件に基づいて、前記緊急通報に該当するかどうかを判断する、付記9または10に記載のプログラム。
【0090】
(付記12)
前記監視対象となる装置がサーバコンピュータであり、前記サーバコンピュータに組み込まれた監視プログラムが、当該サーバコンピュータの識別子と発生した障害の内容とを含む通報を通知しており、
前記緊急通報条件及び前記選別条件が、前記サーバコンピュータの識別子と、発生した障害の内容とで規定されている、
付記11に記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明によれば、監視対象となる装置から、重要度の高い通報がなされた場合に、当該通報とこれに関連する通報とを特定し、これらをまとめて監視者に提示することができる。本発明は、複数のサーバコンピュータの障害発生を監視する監視システムに有用である。
【符号の説明】
【0092】
10 監視装置
11 通報受信部
12 判断部
13 通報蓄積部
14 通常通報部
15 通報記憶部
16 選別部
17 緊急通報部
20 表示装置
21 全体の監視画面
22 専用の監視画面
30 監視対象となる装置(サーバコンピュータ)
31 監視プログラム
40 ネットワーク
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、判断部と、
前記判断部が前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、選別部と、
前記判断部が該当すると判断した場合に、前記判断部が前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記選別部が特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、緊急通報部と、
を備えていることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記判断部による判断が終了した通報を一時的に蓄積する、通報蓄積部と、
前記通報蓄積部に蓄積された通報を外部に知らせるための画面を生成し、前記通報蓄積部に蓄積された通報を通知された順に前記画面に表示させる、通常通報部と、を更に備え、
前記選別部が、前記通報蓄積部に蓄積されている通報と、前記通常通報部が前記画面に表示させた通報との中から、前記選別条件に合致する通報を特定する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記判断部が、緊急通報に該当する通報が予め規定された緊急通報条件に基づいて、前記緊急通報に該当するかどうかを判断する、請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記監視対象となる装置がサーバコンピュータであり、前記サーバコンピュータに組み込まれた監視プログラムが、当該サーバコンピュータの識別子と発生した障害の内容とを含む通報を通知しており、
前記緊急通報条件及び前記選別条件が、前記サーバコンピュータの識別子と、発生した障害の内容とで規定されている、
請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
(a)監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、ステップと、
(c)前記(a)のステップで該当すると判断した場合に、前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記(b)のステップで特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、ステップと、
を有することを特徴とする監視方法。
【請求項6】
監視対象となる装置に接続された、コンピュータに、
(a)前記監視対象となる装置からの障害を通知する通報が、緊急通報に該当するかどうかを判断し、該当する場合に、当該通報に関連した通報を特定する選別条件を設定する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報以外の通報のうち、前記選別条件に合致する通報を特定する、ステップと、
(c)前記(a)のステップで該当すると判断した場合に、前記(a)のステップで前記緊急通報に該当すると判断した通報と、前記(b)のステップで特定した通報とを、外部に知らせるための専用の画面を生成する、ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−5365(P2013−5365A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137015(P2011−137015)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】