直接描画方法および直接描画装置
【課題】 基板上にすでに配置されている、サブ半導体チップの電極パッドを検出して生成した電極接続データで描画処理を行う技術を提供する。
【解決手段】 パターン描画装置100の光学ヘッド部50に対して相対移動する基板Wを光学ヘッド部50により直接露光する直接露光方法で、アライメントカメラ60で基板Wをモニターし基板Wの電極パッドの位置を検出し、パターン描画装置100に入力された配線パターンデータと、電極パッドの検出位置からパターン描画装置100内の制御部70が、電極接続データを生成する。生成された電極接続データで光学ヘッド部50が、移動する基板Wを電極接続データに基づいて直接露光することで電極パッドの位置がずれていても配線パターンを正確に描画することができる。
【解決手段】 パターン描画装置100の光学ヘッド部50に対して相対移動する基板Wを光学ヘッド部50により直接露光する直接露光方法で、アライメントカメラ60で基板Wをモニターし基板Wの電極パッドの位置を検出し、パターン描画装置100に入力された配線パターンデータと、電極パッドの検出位置からパターン描画装置100内の制御部70が、電極接続データを生成する。生成された電極接続データで光学ヘッド部50が、移動する基板Wを電極接続データに基づいて直接露光することで電極パッドの位置がずれていても配線パターンを正確に描画することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この本発明は、直接描画装置の露光ヘッドに対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、露光ヘッドにより直接露光する直接描画方法と直接描画装置に関する。特に、半導体装置に関して複数の半導体チップを同一の配線基板上に搭載したマルチチップモジュール(Multi−Chip Module;MCM)またはマルチチップパッケージ(Multi−Chip Package;MCP)に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる機能を持つ集積回路(例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor))を一つの基板上に集積してなる「システムLSI」が開発されているが、集積回路の機能に応じて好適な素材や製造プロセスが非常に異なるため、その実現は容易ではない。また、基板上に搭載可能な回路にも制限がある。このため、種々の集積回路を内蔵した半導体回路群を、内蔵集積回路に好適な素材や製造プロセスを用いて製造しておき、こうして得た種々の機能を持つ半導体回路群を単一の支持基板上に適宜組み合わせて搭載・集積することにより、三次元積層構造を構成し、もってシステムLSIと同様の機能を持つ半導体装置(集積回路装置)を実現する技術が強く要望されている。これが実現すれば、機能や大きさの異なる半導体回路を必要に応じて組み合わせることにより、システムLSIと同様にシステム化された半導体装置を簡易に得ることができるからである。
【0003】
このように半導体装置の実装密度を向上させることを目的として、配線基板上に複数の半導体チップを実装したパッケージが種々提案されている。例えば、配線基板上にメモリチップとマイコンチップを実装してシステムを構成することがある。このようなパッケージは、システムインパッケージ(System in Package;SiP)とも呼ばれる。
【0004】
メモリチップには、DRAMや不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)等があり、これらと高速マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit、超小型演算処理装置)を単一の樹脂パッケージ内に封止する。このようなSiPは、メモリチップを樹脂封止したメモリ・モジュールよりも高機能であり、需要も大きい。特に、携帯電話等の通信用モバイル機器においては、半導体装置の多機能化および小型化が要求され、SiPは、このような機器に用いて好適である。
【0005】
よく知られているように、半導体チップをパッケージする技術としては、マルチチップモジュール(MCM)パッケージとマルチチップパッケージ(MCP)等がある。図15は半導体チップをパッケージする技術の概略図である。
【0006】
これらのうちマルチチップモジュール(MCM)パッケージは、図15(a)に概略図が示されたように、薄膜の金属フィルム、セラミック又は基板からなる基体300上にワイヤボンディング、テープボンディング、フリップチップボンディング等の方法を用いて多数個の半導体チップ302、304、306を取り付けてパッケージする技術である。図15(a)において、第1の半導体チップ302は、ワイヤボンディングにより取り付けられ、第2の半導体チップ304は、テープボンディングにより取り付けられ、第3の半導体チップ306は、フリップチップボンディングにより取り付けられた状態を示し、参照符号308はPGA入出力端子を、310はBGA入出力端子をそれぞれ示す。
【0007】
一方、マルチチップパッケージ(MCP)は、2つ以上の半導体チップを、限定されたサイズのパッケージ内に実装する技術であって、ワイヤボンディングを用いてリードフレームや基板上に複数の半導体チップを実装する技術である。図15(b)に概略図が示されたように、ワイヤボンディングにより基板402上に複数の半導体チップ404a、404bを搭載し、ワイヤ408を用いて各半導体チップ404a、404bのパッドを外部リード406に連結する構造を有し、全体構造が、例えばエポキシモルディングコンパウンド(epoxy molding compound:EMC)400等に埋め込まれる形態を有する。
【0008】
このように、マルチチップモジュール(MCM)は複数のチップを同一の配線基板上に搭載した半導体装置をいい、構造の違いから複数の型に分けることができる。チップが積層された構造のMCMをスタック構造のMCMという。スタック構造の場合、下のチップにダメージを与えない工夫が必要であるとともに、チップの積層数に制限がある。対して平面方向にチップを配置するプレーン型は搭載チップに制約がないという特徴がある。
【0009】
ところで、このような構造を持つ半導体装置を実現するためには、半導体回路群(これらは通常、チップ状である)を支持基板上あるいは対応する回路層上の所定位置にそれぞれ配置して電気的・機械的に相互接続を行う必要がある。この場合、半導体回路群の配置には、公知の高速チップボンダ等を利用することが可能であるが、製造コストの低下を考慮すれば、いっそう簡易で効率的な方法が望まれるところである。
【0010】
また従来のパッケージは、半導体チップと支持基板間の接続をワイヤボンディング(WB)方式を用いて行ってきたが、素子の高機能化に伴いパッケージの多ピン化や小型化への対応が困難となってきた。
【0011】
図16は、半導体チップを支持基板へ実装する場合における従来のパッケージングの例とMCM実装の例とを示す図である。半導体チップを実装する場合、従来は、図16(a)に示すQFP(Quad Flat Package)実装や、図16(b)に示すCSP(Chip Scale Package)や、BGA(Ball Graid Array)等のケースを用いてPCB(Print Circuit Board)に実装する方法が知られ、また、図16(c)に示す各種基板を用いたMCM化する方法が知られている。なお、MCM化する場合、たとえばMCM−L(MCM−Laminatee)、MCM−D(MCM−Deposite)、MCM−C(MCM−Co−Fired)等が知られている。また、最近は、ベアチップを、ビルドアップ基板と呼ばれる多層基板に実装する方法も提案され、配線の狭ピッチ化およびヴィアランドの小径化によってその実装密度は小さくなっている。
【0012】
半導体チップ(ベアチップ)と半導体基板(パッケージ基板)を電気的に接続する方法としては、チップの回路面を上にして金の細線を使って端子と配線するワイヤボンディング方式が一般的である。従来のチップは、信号入出力(I/O)数が少なく、半導体基板の外形寸法も比較的小さいため、配線は少なかった。又、従来の自動配線手法には、迷路法、線分検索法、線分検索法等が使われていた。このため、半導体基板では高密度配線や超多ピン傾向となり、外形寸法が拡大してきた。
【0013】
ところで、半導体チップの電極パッドピッチの微細化や多ピン化に、パッケージや実装基板の加工精度が追い付かず、また、半導体チップの信号入出力速度の高速化に伴い、終端抵抗を実装する必要性が高まっている。電子機器に半導体チップを実装する場合、LSIにおける機能集積が続いているのに対して、LSIの周辺の電源や基板実装やその他の周辺部品の高密度化が遅れ気味であり、半導体集積回路における機能集積技術の恩恵を受け難くなりつつある。
【0014】
つまり、2〜3cm角の非常に高集積化した半導体チップを実装する場合、実装上の制約があり、たとえば、パッケージングのためのピンピッチ、終端抵抗の物理的な大きさ、インピーダンス設計された伝送線路の占有面積、多層配線のためのヴィアホールの最少サイズ等を確保する必要があるので、これら確保すべきエリア(実装エリア)として、半導体チップ自体の面積よりもはるかに大きな面積を必要とするという問題がある。
【0015】
そこで、半導体チップをシリコンウエハ基板に搭載し、このシリコンウエハ基板に絶縁膜を形成し、半導体チップの電極パッド部分にのみ対応する絶縁膜にスルーホールを設け、このスルーホールと絶縁膜とに導体膜を堆積し、この導体膜をパターン形成することによって配線パターンを形成するものがある(特許文献1参照)。
【0016】
また、互いに電気的に接続される複数の半導体チップを含む半導体パッケージにおいて、リードフレーム又は基板として機能し、外周縁に複数のメインチップパッドが設けられたメイン半導体チップと、前記メイン半導体チップ上の所定の部分に取り付けられ、外周縁に複数のサブチップパッドが設けられた少なくとも1つのサブ半導体チップと、前記メインチップパッド及びサブチップパッドが露出されるように、前記サブ半導体チップを埋め込む形態で前記メイン半導体チップ上に形成される絶縁層とを有する。そして、前記露出した任意のメインチップパッドとサブチップパッドとの間、又は任意のサブチップパッドと他のサブチップパッドとの間を電気的に接続し、前記メインチップパッド上に形成される下部障壁層と、前記下部障壁層上に形成されるシード(seed)層と、前記シード層上に形成される金属層とを含む複数の金属パターンと、前記複数の金属パターン上の所定の部分に形成された複数のソルダランドとを備えてなることを特徴とする半導体パッケージを提供するものがある(特許文献2参照)。
【0017】
更に、半導体チップを半導体基板に搭載し、集積回路の微細金属配線技術、絶縁技術によって高性能化、機能化を図り、高密度化、低コスト化の可能な多層配線半導体装置を提供することを目的として、単一の半導体基板上に、複数の半導体チップと、それらのチップを被覆する電気的絶縁物と、この絶縁物中に埋設されチップ間を接続する配線層とを具備する半導体装置が提供されている(特許文献3参照)。そこでは、絶縁膜にコンタクトを開口し、更に、金属膜を被着して写真触刻技術を用いて配線パターンを形成し、チップ間の配線を行っている。
【0018】
ところが、半導体回路群の電気的相互接続は、対応する電極パッドあるいは配線の接続領域に対して一対一で正確に配線接続される必要がある。MCMは、この正確さ(精密度)の点で十分とは言えない。即ち、図17(a)に正常なレイアウトを示すように半導体チップ500の電極パッド501と異なる半導体チップ502の電極パッド503を配線パターン504で接続する。この場合、支持基板あるいは所望の一つの回路層に対して、所望の精密度をもって簡易かつ効率的に多数(例えば数百個)の半導体チップを所望レイアウトで配置して固着する際にズレが生じることがあった。
【0019】
図17(b)に位置ズレしたレイアウトを示すように、半導体チップ502が点線でしめす配置位置に対して実線で示す位置ズレした位置に配置されたまま上述の配線工程に進むと、形成された配線パターンが電極パッド501と電極パッド503との間で一部において接続されずに形成される。
【0020】
これを解決するものとして、下層の露光パターンの位置と上層パターンを形成するための露光位置との位置ズレを補正し得る露光装置および露光方法が提供されている(特許文献4、特許文献5参照)。ここでは、フォトマスクを用いない直接描画装置で、基板に形成された下層配線パターンを光の照射にてモニターすることにより下層配線パターンの位置を検出し、かつ検出結果に基づいて直接描画装置の光学系に入力するパターンデータを補正することにより上層パターンを形成するための露光位置を補正している。
【0021】
しかしながら、配線パターンデータを補正する技術では、下層パターンの全体的なずれや変形の傾向に対応して配線パターンを補正するため、支持基板に多数の半導体チップを所望レイアウトで配置してそれぞれの半導体チップに異なるズレが生じる場合には、パターン補正では必ずしも電極パッド501と電極パッド503が接続されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平11−354667号公報
【特許文献2】特開2003−60155号公報
【特許文献3】特開平4−363058号公報
【特許文献4】特開2006−350034号公報
【特許文献5】特開平3−89511号公報
【特許文献6】特開平1−215022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
半導体チップに異なるズレが生じる場合に、図17(b)に示すように半導体チップ500の電極パッド501と異なる半導体チップ502の電極パッド503を配線パターン504で接続するには、電極パッド相互間の配線位置の位置変化を検出し、位置変位に応じたパターンシフト量を補正しながら配線パターンを描画することが必要となる。例えば支持基板面内の領域Aと領域Bの相互位置が、設計された位置に対してずれを生じていない場合には、配線パッド同士を配線によって接続できるが、領域Aはずれず領域Bのみにずれが生じている場合には各々の電極パッドを設計に従った配線では接続できない。
【0024】
そのため、半導体ウェハ上に、独立に作製された半導体集積回路領域相互間に配線を行う方法であって、各半導体集積回路領域内に作製された位置合わせマークにより配線領域の位置検出を行い、半導体集積回路領域相互間の配線位置の位置変化を検出し、位置変位に応じたパターンシフト量を補正しながらビーム走査により配線パターンを描画するものがある(特許文献6参照)。
【0025】
しかしながら、このような従来技術でもパターンシフト量の補正はアライメトマークのシフト量の検出をもとにして配線パターンを描画している。複数の半導体チップを配線接続する場合に、図18(a)に正常なレイアウトを示すように半導体チップ600の電極パッド601と異なる半導体チップ602の電極パッド603を配線パターン604で接続する。半導体チップ600の電極パッド601と異なる半導体チップ605の電極パッド606を配線パターン607で接続する。ここで、半導体チップ602と605が図18(b)に位置ズレしたレイアウトを示すように異なる方向にズレが生じると、一つのアライメントマークのシフト量ではパターンシフト量の補正は正確に出来ない。仮に、複数のアライメントマークを使用したとしてもどのアライメントマークをどう利用するかという点で課題があった。
【0026】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、その主たる目的は、支持基板あるいは所望の一つの回路層に対して、所望の精密度をもって簡易かつ効率的に多数(例えば数百個)のチップ状半導体回路を所望レイアウトで配置して固着することができる、半導体装置の製造方法である直接描画方法と、その実施に好適に使用できる製造装置である直接描画装置とを提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、チップ状半導体回路の電気的相互接続に電極パッドが使用される場合に、それら半導体チップの各々の接続部に所定レイアウトで形成された複数の電極パッドを、対応する電極パッドあるいは配線の接続領域に対して一対一で正確に配線接続することができる、半導体装置の製造方法と、その実施に好適に使用できる製造装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この発明にかかる直接描画方法は、直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、光学ヘッド部により直接露光する直接描画方法であって、直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出する電極パッド位置検出ステップと、直接描画装置に入力された配線パターンデータと、電極パッド位置検出ステップによる検出位置から直接描画装置内の制御部が、電極接続データを生成する描画データ生成ステップと、制御部が、電極接続データを、ラスタデータ形式の装置用データに変換する変換ステップと、光学ヘッド部が、相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を装置用データに基づいて直接露光する露光ステップと、を備えることを特徴としたものである。
【0029】
また本発明の請求項1記載の直接描画方法において、描画データ生成ステップが、電極パッド位置検出ステップにより該電極パッドの位置を検出すると共に、その電極パッドの位置の検出結果に基づいて電極パッド位置を示す描画データを生成するようにしたものである。
【0030】
この発明にかかる直接描画装置は、直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、光学ヘッド部により直接露光する直接描画装置であって、直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出するモニター手段と、直接描画装置に入力された配線パターンデータと、モニター手段による検出位置から、電極接続データを生成し、電極接続データをラスタデータ形式の装置用データに変換する制御部と、光学ヘッド部が、相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を装置用データに基づいて直接露光することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1に係る直接描画方法によれば、露光対象基板の電極パッドの位置を検出してその検出位置と描画装置に入力された配線パターンデータから電極接続データを生成することができる。そして、光学ヘッド部が、生成された電極接続データより露光対象基板を直接露光するので電極パッドの位置がずれていたとしても正確に必要となる位置に対応したパターンが露光される。
【0032】
また本発明の請求項2に係る直接描画方法によれば、電極パッドの位置の検出結果に基づいて電極パッド位置を示す描画データが生成されるので、電極パッドの位置に対応して正確に露光することができる効果を奏する。
【0033】
また本発明の請求項3に係る直接描画装置によれば、露光対象基板の電極パッドの位置を検出してその検出位置と描画装置に入力された配線パターンデータから電極接続データを生成することができる。そして、光学ヘッド部が、生成された電極接続データより露光対象基板を直接露光するので電極パッドの位置がずれていたとしても正確に必要となる位置に対応したパターンが露光される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るパターン描画装置の側面図である。
【図2】図1に示すパターン描画装置の平面図である。
【図3】光学ヘッド部の内部構成を示す図である。
【図4】空間光変調器を拡大して示す図である。
【図5】(a)および(b)は、可動リボンおよび固定リボンに対して垂直な面における空間光変調器の断面を示す図である。
【図6】パターン描画装置の各部と制御部との接続構成を示したブロック図である。
【図7】描画動作を制御する制御部を示すブロック図である。
【図8】パターン描画装置の動作のフローチャートである。
【図9】本実施形態の半導体装置(マルチチップモジュール)を配置した基板Wの模式図で、(a)は支持基体とメイン半導体チップ表面の平面模式図、(b)は(a)のA1−A2線に沿う概略断面図、(c)本実施形態の基板Wの概略断面図、(d)は絶縁層を有する基板Wの概略断面図である。
【図10】(a)は配線パターンデータの例を示す図、(b)は基板Wからの反射光をアライメトカメラ60によって検出したモニター画像データを示す図、(c)は電極接続データの生成を示す図である。
【図11】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)はレジスト層除去後を示し、(b)はシード層形成後である。
【図12】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)は現像工程後を示し、(b)はレジスト層除去後である。
【図13】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)は現像工程後を示し、(b)はマスクパターン除去後である。
【図14】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)はエッチング工程後を示し、(b)はソルダボール取り付け後である。
【図15】半導体チップをパッケージする技術の概略図で、(a)はマルチチップモジュールを示す概略図、(b)はマルチチップパッケージを示す概略図である。
【図16】半導体チップを支持基板へ実装する場合における従来のパッケージングの例とMCM実装の例とを示す図であり、(a)はQFP実装、(b)はPCB実装、(c)はMCM実装を示す図である。
【図17】従来技術の問題点を示す説明図で、(a)は正常なレイアウト、(b)は位置ズレしたレイアウトを示す。
【図18】従来技術の問題点を示す説明図で、(a)は正常なレイアウト、(b)は位置ズレしたレイアウトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<1.パターン描画装置の構成について>
図1は、本発明の一実施形態に係るパターン描画装置100の側面図であり、図2は図1に示すパター描画装置の平面図である。
【0036】
このパターン描画装置100は、感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの表面に光ビームを照射してパターンを描画する直接描画装置である。更に具体的には、マルチチップモジュールの製造工程において、露光対象基板として支持基板(以下、単に「基板」という。)Wの上面に形成されたレジストに、配線パターンを描画するための装置である。図1および図2に示したように、パターン描画装置100は、主として、基板Wを保持するステージ10と、ステージ10を移動させるステージ移動機構20と、ステージ10の位置に対応した位置パラメータを計測する位置パラメータ計測機構30と、基板Wの上面にパルス光を照射する光学ヘッド部50と、1つのアライメントカメラ60と、制御部70とを備えている。
【0037】
そして、このパターン描画装置100では、本体フレーム101に対してカバー102が取り付けられて形成される本体内部に装置各部が配置されて本体部が構成されるとともに、本体部の外側(本実施形態では、図1に示すように本体部の右手側)に基板収納カセット110が配置されている。この基板収納カセット110には、露光処理を受けるべき未処理基板Wが収納されており、本体内部に配置される搬送ロボット120によって本体部にローディングされる。また、未処理基板Wに対して露光処理(パターン描画処理)が施された後、当該基板Wが搬送ロボット120によって本体部からアンローディングされて基板収納カセット110に戻される。このように、搬送ロボット120が搬送部として機能している。
【0038】
この本体部では、図1および図2に示すように、カバー102に囲まれた本体内部の右手端部に搬送ロボット120が配置されている。また、この搬送ロボット120の左手側には基台130が配置されている。この基台130の一方端側領域(図1および図2の右手側領域)が、搬送ロボット120との間で基板Wの受け渡しを行う基板受渡領域となっているのに対し、他方端側領域(図1および図2の左手側領域)が基板Wへのパターン描画を行うパターン描画領域となっている。この基台130上では、基板受渡領域とパターン描画領域の境界位置にヘッド支持部140が設けられている。このヘッド支持部140では、図2に示すように、基台130から上方に2本の脚部材141、142が立設されるとともに、それらの脚部材141、142の頂部を橋渡しするように梁部材143が横設されている。そして、図1に示すように、梁部材143のパターン描画領域側の反対側にアライメントカメラ(撮像部)60が固定されて、後述するようにステージ10に保持された基板Wの表面(被描画面、被露光面)上の複数のアライメントマークや下層パターンを撮像可能となっている。
【0039】
このステージ10は基台130上でステージ移動機構20によりX方向、Y方向ならびにθ方向に移動される。すなわち、ステージ移動機構20は、ステージ10を水平面内で2次元的に移動させて位置決めするとともに、θ軸(鉛直軸)回りに回転させて後述する光学ヘッド部50に対する相対角度を調整して位置決めする。
【0040】
また、このように構成されたヘッド支持部140に対して光学ヘッド部50が上下方向に移動自在に取り付けられている。このようにヘッド支持部140に対し、アライメントカメラ60と光学ヘッド部50とが取り付けられており、XY平面内での両者の位置関係は固定化されている。また、この光学ヘッド部50は、基板Wへのパターン描画を行うもので、ヘッド移動機構(図示省略)により上下方向に移動される。そして、ヘッド移動機構が作動することで、光学ヘッド部50が上下方向に移動し、光学ヘッド部50とステージ10に保持される基板Wとの距離を高精度に調整可能となっている。このように、光学ヘッド部50が描画ヘッドとして機能している。
【0041】
また、基台130の基板受渡側と反対側の端部(図1および図2の左手側端部)においても、2本の脚部材144が立設されている。そして、梁部材143と2本の脚部材144の頂部とを橋渡しするように光学ヘッド部50の光学系を収納したボックス172が設けられており、基台130のパターン描画領域を上方から覆っている。
【0042】
ステージ10は、円筒状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持するための保持部である。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。このため、ステージ10上に基板Wが載置されると、基板Wは、複数の吸引孔の吸引圧によりステージ10の上面に吸着固定される。なお、本実施形態において描画処理の対象となる基板Wの上面(主面)には、レジスト(感光材料)の層が予め形成されている。
【0043】
ステージ移動機構20は、パターン描画装置100の基台130に対してステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、および回転方向(Z軸周りの回転方向)に移動させるための機構である。ステージ移動機構20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23と、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25と、を有している。
【0044】
回転機構21は、ステージ10の内部に取り付けられた回転子により構成されたモータを有している。また、ステージ10の中央部下面側と支持プレート22との間には回転軸受機構が設けられている。このため、モータを動作させると、回転子がθ方向に移動し、回転軸受機構の回転軸を中心としてステージ10が所定角度の範囲内で回転する。
【0045】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより副走査方向の推進力を発生させるリニアモータ23aを有している。また、副走査機構23は、ベースプレート24に対して支持プレート22を副走査方向に沿って案内する一対のガイドレール23bを有している。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイドレール23bに沿って支持プレート22およびステージ10が副走査方向に移動する。
【0046】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子とヘッド支持部140の上面に敷設された固定子とにより主走査方向の推進力を発生させるリニアモータ25aを有している。また、主走査機構25は、ヘッド支持部140に対してベースプレート24を主走査方向に沿って案内する一対のガイドレール25bを有している。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台130上のガイドレール25bに沿ってベースプレート24、支持プレート22、およびステージ10が主走査方向に移動する。なお、このようなステージ移動機構20としては、従来から多用されているX−Y−θ軸移動機構を用いることができる。
【0047】
位置パラメータ計測機構30は、レーザ光の干渉を利用してステージ10についての位置パラメータを計測するための機構である。位置パラメータ計測機構30は、主として、レーザ光出射部31、ビームスプリッタ32、ビームベンダ33、第1の干渉計34、および第2の干渉計35を有する。
【0048】
レーザ光出射部31は、計測用のレーザ光MLを出射するための光源装置である。レーザ光出射部31は、固定位置、すなわち本装置の基台130や光学ヘッド部50に対して固定された位置に設置されている。レーザ光出射部31から出射されたレーザ光MLは、まず、ビームスプリッタ32に入射し、ビームスプリッタ32からビームベンダ33へ向かう第1の分岐光ML1と、ビームスプリッタ32から第2の干渉計35へ向かう第2の分岐光ML2とに分岐される。
【0049】
第1の分岐光ML1は、ビームベンダ33により反射され、第1の干渉計34に入射するとともに、第1の干渉計34からステージ10の−Y側の端辺の第1の部位(ここでは、−Y側の端辺の中央部)10aに照射される。そして、第1の部位10aにおいて反射した第1の分岐光ML1が、再び第1の干渉計34へ入射する。第1の干渉計34は、ステージ10へ向かう第1の分岐光ML1とステージ10から反射した第1の分岐光ML1との干渉に基づき、ステージ10の第1の部位10aの位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0050】
一方、第2の分岐光ML2は、第2の干渉計35に入射するとともに、第2の干渉計35からステージ10の−Y側の端辺の第2の部位(第1の部位10aとは異なる部位)10bに照射される。そして、第2の部位10bにおいて反射した第2の分岐光ML2が、再び第2の干渉計35へ入射する。第2の干渉計35は、ステージ10へ向かう第2の分岐光ML2とステージ10から反射した第2の分岐光ML2との干渉に基づき、ステージ10の第2の部位10bの位置に対応した位置パラメータを計測する。第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれの計測により取得された位置パラメータを、制御部70へ送信する。
【0051】
光学ヘッド部50は、ステージ10上に保持された基板Wの上面に向けてパルス光を照射する光照射部である。光学ヘッド部50は、ステージ10およびステージ移動機構20を跨ぐようにして基台130上に架設された梁部材143と、梁部材143上に副走査方向の略中央に設けられた1つの光学ヘッド部50とを有する。光学ヘッド部50は、照明光学系53を介して1つのレーザ発振器54に接続されている。また、レーザ発振器54には、レーザ発振器54の駆動を行うレーザ駆動部55が接続されている。レーザ駆動部55を動作させると、レーザ発振器54からパルス光が出射され、当該パルス光が照明光学系53を介して光学ヘッド部50の内部に導入される。
【0052】
光学ヘッド部50の内部には、照明光学系53から光学ヘッド部50の内部にパルス光を導入部から導入し、導入されたパルス光は、所定のパターン形状に成形された光束としてパルス光が基板Wの上面に照射され、基板W上のレジスト等の感光層を露光することにより、基板Wの上面にパターンが描画される。
【0053】
図1のパターン描画装置100では、光源であるレーザ発振器54がボックス172内に設けられ、光学系を介してレーザ発振器54からの光が光学ヘッド部50の内部へと導入される。本実施の形態における基板Wの主面上には紫外線の照射により感光するレジスト(感光材料)が予め形成されており、レーザ発振器54は、波長355nmの紫外線を出射する3倍波固体レーザとされる。もちろん、レーザ発振器54は基板Wの感光材料が感光する波長帯に含まれる他の波長の光を出射するものであってもよい。
【0054】
図3は光学ヘッド部50の内部構成を示す図であり、図3では光学ヘッド部50内の各構成を符号510で付す破線の矩形にて囲んでいる。図3に示す光学ヘッド部50は、回折格子型の空間光変調器511を有する光変調ユニット512、並びに、画像信号処理部513および露光制御部514に接続されるとともに光変調ユニット512の変調制御を行う描画制御部515を備える。なお、図3中の露光制御部514および画像信号処理部513は図1中の制御ユニット70内に設けられている。
【0055】
光学ヘッド部50内へと導入されるレーザ発振器54からの光は、照明光学系53およびミラー516により、その反射面の法線が光軸J1に対して傾斜して配置される光変調ユニット512の空間光変調器511へと導かれる。このとき、レーザ発振器54からの入射光は照明光学系53により強度分布が均一な線状の光(光束断面が線状の光)とされ、空間光変調器511上の変調動作の有効領域に照射される。空間光変調器511では、描画制御部515の制御に基づいてミラー516からの光が空間変調され、光軸J1に沿って投影光学系517のレンズ518へと入射する。
【0056】
投影光学系517のレンズ518、519および遮蔽板520は両側テレセントリックとなるシュリーレン(schrieren)光学系を構築しており、レンズ518を通過した光は開口を有する遮蔽板520へと導かれ、一部の光(後述の0次光)は開口を通過してレンズ519へと導かれ、残りの光(後述の(±1)次回折光)は遮蔽板520にて遮蔽される。レンズ519を通過した光はズームレンズ521へと導かれ、フォーカシングレンズ522を介して所定の倍率にて感光材料上へと導かれる。なお、投影光学系517は必ずしもレンズ518、519、遮蔽板520、ズームレンズ521およびフォーカシングレンズ522により構成される必要はなく、他の光学素子が追加される等してもよい。
【0057】
図4は、空間光変調器511を拡大して示す図である。図4に示す空間光変調器511は半導体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。空間光変調器511には複数の可動リボン530aおよび固定リボン531bが交互に平行に配列形成され、後述するように、可動リボン530aは背後の基準面に対して個別に昇降移動可能とされ、固定リボン531bは基準面に対して固定される。回折格子型の空間光変調器としては、例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サンノゼ、カリフォルニア)の登録商標)が知られている。
【0058】
図5(a)および図5(b)は、可動リボン530aおよび固定リボン531bに対して垂直な面における空間光変調器511の断面を示す図である。なお、図5(a)および図5(b)に示す空間光変調器511では、実際よりも可動リボン530aおよび固定リボン531bの数が少ない。
【0059】
可動リボン530aはその上面が、空間光変調器511の基板の上面である基準面532に平行な帯状の可動反射面533aとなっており、固定反射部である固定リボン531bはその上面が基準面532に平行な帯状の固定反射面534bとなっている。図5(a)は可動リボン530aと基準面532との間に電圧(電位差)が与えられ、静電気力により可動リボン530aが基準面532に向かって撓んだ状態における断面を示しており、図5(b)は可動リボン530aが撓まない初期状態を示している。
【0060】
図5(b)に示すように、空間光変調器511に電圧を入力しない状態では、可動リボン530aおよび固定リボン531bが基準面532cに対して同じ高さに位置して、空間光変調器511の表面は面一となり、入射光L1の反射光が0次光L2として導出される。一方、空間光変調器511に所定の電圧を入力している状態では、図5(a)に示すように可動リボン530aが固定リボン531bよりも基準面532c側に撓んで可動リボン530aが回折格子の溝の底面となる。そして、可動リボン530aの反射面と固定リボン531bの反射面との間の光路差が入射光L1の波長の半分となり、1次回折光L3が空間光変調器511から導出され、0次光L2は消滅する。
【0061】
図5(a)に示すように可動リボン530aが所定の量だけ撓んだ状態では、レーザ発振器54から可動反射面533aを経由して感光材料へと至る光の経路と、レーザ発振器54から固定反射面534bを経由して感光材料へと至る光の経路との差(以下、単に「可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差」という。)が、((n+1/2)λ)(ただし、λは入射光L1の波長であり、nは任意の整数である。)となるようにされている。これにより、図5(a)の状態では、可動反射面533aにて反射される光と固定反射面534bにて反射される光との位相差により生じる空間光変調器511からの(±1)次回折光L3(さらには、高次の回折光)の強度が最大となり、0次光の強度は最小となる。
【0062】
実際には、空間光変調器511にて可動リボン530aおよび固定リボン531bが配列される方向(すなわち、各リボンの長手方向に垂直かつ基準面532に平行な方向)を配列方向として、レーザ発振器54からの光は配列方向に垂直、かつ、基準面532の法線に対して傾斜した光軸J1に沿って空間光変調器511へと入射しており、空間光変調器511への光の入射角をα(図3参照)、可動リボン530aが撓まない状態での可動反射面533aと固定反射面534bとの(基準面532からの)高さの差をDfとすると、可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差は(2Df・cosα)として表される。したがって、光路差(2Df・cosα)が((n+1/2)λ)となるように、レーザ発振器54からの光の波長λ、可動反射面533aと固定反射面534bとの高さの差Df、および、空間光変調器511への光の入射角αが予め決定されている。
【0063】
例えば、可動リボン530aが撓まない状態における可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差を(7/2)λとする場合には、可動反射面533aと固定反射面534bとの高さの差Dfは((7/4)λ/cosα)とされる。なお、空間光変調器511へと入射する光は、光軸J1および配列方向に垂直な方向に関して僅かに集光しつつ配列方向に関して平行な状態とされている。
【0064】
一方、図5(b)に示すように可動リボン530aが撓まない初期状態では、可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差が(n・λ)(ただし、λは入射光L1の波長であり、nは任意の整数である。)となるようにされている。すなわち、可動リボン530aが撓んだ状態での可動反射面533aと固定反射面534bとの高さの差をDnとして、光路差(2Dn・cosα)が(n・λ)と等しくなるようにされ、これにより、図5(b)の状態では、可動反射面533aからの反射光と固定反射面534bからの反射光とが強めあって最大強度の0次光L2が空間光変調器33から出力される。
【0065】
また、図5(a)および図5(b)に示すように、配列方向に関して可動リボン530aと固定リボン531bとはほぼ同じ幅となっている。なお、複数の可動リボン530aおよび複数の固定リボン531bのそれぞれの幅の長さはコントラストや反射率を考慮して最適化することが可能である。この場合には、これらの長さはお互いに微少量ずつ異なることになる。
【0066】
既述のように、複数の可動リボン530aおよび固定リボン531b上には、光束断面が配列方向に長い線状の光が照射される。空間光変調器511では、隣接する各1本の可動リボン530aおよび固定リボン531bを1つのリボン対とすると、互いに隣接する3個以上のリボン対が描画されるパターンの1つの画素に対応する。本実施の形態では、互いに隣接する4個のリボン対の集合が1つの画素に対応する変調素子とされ、図4では1つの変調素子を構成するリボン対の集合を符号535が付せられた太線の矩形にて囲んでいる。
【0067】
空間光変調器511では、図4のドライバ回路ユニット536が有する複数のドライバ回路から入力される電圧(以下、「入力電圧」という。)に従って複数の変調素子537の可動リボン530aの状態がそれぞれ変化し、各変調素子537が、1次回折光((+1)次回折光および(−1)次回折光))を出射するOFF状態と0次光(正反射光)を出射するON状態との間で遷移可能とされる。空間光変調器511から出射される0次光および1次回折光は、既述のように投影光学系517へと導かれ、0次光は遮蔽板520の開口を通過して感光材料上へと導かれ、1次回折光は遮蔽板520にて遮蔽される。これにより、光学ヘッド部50において、感光材料上にてX方向(すなわち、走査方向に垂直な方向)に並ぶ複数の照射領域のそれぞれに変調された光の照射が可能となる。
【0068】
光学ヘッド部50は、副走査方向に沿って1個の変調素子537が配列されている。ステージ10を+Y方向に移動させつつ、各変調素子537からパルス光を断続的に照射すると、基板Wの上面に繰り返し投影され、図3に示したように、所定の露光幅を有する1本のパターン群として基板Wの上面に描画される。パターン描画装置1は、1回の主走査方向への描画が完了すると、ステージ10を+X方向に略露光幅分だけ移動させる。その後、パターン描画装置1は、ステージ10を−Y方向に移動させつつ、各変調素子537からパルス光を断続的に照射する。このように、パターン描画装置1は、光学ヘッド部50の変調素子537の個数に対応した露光幅分ずつ基板Wを副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数繰り返すことにより、基板Wの描画領域全面に規則性パターンを形成する。
【0069】
アライメントカメラ60は、後述する基板Wの上面に予め形成されたアライメントマークを撮影するためのモニター手段を構成する撮影部である。アライメントカメラ60は、例えば、CCDカメラにより構成され、梁部材143を介して基台130に固定されている。本実施形態では、後述するように、基板Wの上面の四隅にアライメントマークが形成されている。
【0070】
アライメントカメラ60によりアライメントマークを撮影するときには、まず、パターン描画装置1は、ステージ10を最も−Y側の位置(図1、図2中の左側位置)に移動させる。そして、アライメントカメラ60による撮影を実行させることにより、各アライメントマークの画像を取得する。取得された各アライメントマークの画像は、アライメントカメラ60から制御部70へ送信される。
【0071】
更に、このアライメントカメラ60の撮像画像を用いて、下層パターンのモニターによる半導体チップの電極パッドの位置検出が行なわれる。基板Wからの反射光をアライメントカメラ60によって検出した場合の光強度分布を2次微分することによって得られるエッジ検出信号で制御部70は、半導体チップの電極パッドの位置を検出する。そして、後述するように、この検出による位置情報によって制御部70によって電極接続に対応する描画データの生成が行なわれる。
【0072】
基板W上にすでに配置されている半導体チップの金属膜からなる電極パッドに対してビームを照射すると、その反射光のうちの赤外光成分が、CCDカメラに入射する。赤外光成分は、レジストの反応にほとんど寄与せず、レジストを透過できるため電極パッドを観察できる。下層が金属膜によって全面覆われている場合は、その下の層を観察することはできない。通常の基板Wでは、電極パッドが全面を覆う可能性は少ないため、レジストを透過して下層を観察できる赤外光成分を用いるのが最も望ましい。
【0073】
制御部70は、種々の演算処理を実行しつつ、パターン描画装置100内の各部の動作を制御するための情報処理部である。図6は、パターン描画装置100の上記各部と制御部70との間の接続構成を示したブロック図である。図6に示したように、制御部70は、上記のリニアモータ21a,23a,25a、レーザ光出射部31、第1の干渉計34、第2の干渉計35、照明光学系53、レーザ駆動部55、投影光学系523、およびアライメントカメラ60と電気的に接続されている。制御部70は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータにより構成され、コンピュータにインストールされたプログラムに従ってコンピュータが動作することにより、上記各部の動作制御を行う。
【0074】
また、上記のように構成された制御部70は描画動作を制御するために図7に示すように制御部70としてのコンピュータ71はCPUやメモリ72等を有しており、露光制御部514とともに電装ラック(図示省略)内に配置されている。図7は、描画動作を制御する制御部を示すブロック図である。コンピュータ71内のCPUが所定のプログラムに従って演算処理することにより、ラスタライズ部73およびデータ生成部75が実現される。例えば1つの半導体パッケージに相当するパターンのデータは外部のCAD等により生成されたパターンデータであり、予め配線パターンデータ76としてメモリ72に準備されており、当該配線パターンデータ76とデータ生成部75に基づき後述するようにして半導体パッケージの描画パターンが基板W上に描画される。
【0075】
ラスタライズ部73は、データ生成部75によって生成された描画データが示す単位領域を分割してラスタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存する。こうしてラスタデータ77の準備後、または、ラスタデータ77の準備と並行して、未処理の基板Wが描画される。
【0076】
一方、データ生成部75はアライメントカメラ60からの画像データを取得し、電極パッドの検出結果から配置ズレに対応した電極接続データの生成を行う。なお、このデータ生成については、1つの分割領域のデータ生成が終了すると、生成後のラスタデータ77が露光制御部514へと送られる。
【0077】
こうして生成された描画データは、データ生成部75から露光制御部514へと送られ、露光制御部514が光変調ユニット512、ステージ移動機構20の各部を制御することにより1ストライプ分の描画が行われる。なお、露光動作についは上記したとおり空間変調器511による電界発生制御により行われる。そして、1つのストライプに対する露光記録が終了すると、次の分割領域に対して同様の処理が行われ、ストライプごとに描画が繰り返される。
【0078】
<2.ステージの位置制御について>このパターン描画装置100は、上記の第1の干渉計34、第2の干渉計35の各計測結果に基づいてステージ10の位置を制御する機能を有する。以下では、このようなステージ10の位置制御について説明する。
【0079】
既述の通り、第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれ、ステージ10の第1の部位10aおよび第2の部位10bの位置に対応した位置パラメータを計測する。第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれの計測により取得された位置パラメータP1,P2を、制御部70へ送信する。図7に示したように、制御部70は、算出部としてのコンピュータ71を有する。このコンピュータ71の機能は、例えば、コンピュータ71のCPUが所定のプログラムに従って動作することにより実現される。
【0080】
一方、制御部70は、第1の干渉計34および第2の干渉計35から送信された位置パラメータに基づいてステージ10の位置(Y軸方向の位置およびZ軸周りの回転角度)を算出する。次に、制御部70は、算出されたステージ10の位置を参照しつつ、ステージ移動機構20を動作させることにより、ステージ10の位置やステージ10の移動速度を正確に制御する。ここでは、制御部70は、ステージ10をZ軸周りに回転させることにより、主走査方向の移動に伴うステージ10の傾き(Z軸周りの回転角度のずれ)も補正する。また、制御部70は、算出されたステージ10の位置を参照しつつ、レーザ駆動部55を動作させることにより、基板Wの上面に対するパルス光の照射位置を正確に制御する。
【0081】
<3.パターン描画装置の動作について>続いて、上記のパターン描画装置100の動作の一例について、図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0082】
パターン描画装置100において基板Wの処理を行うときには、まず、光学ヘッド部50から照射されるパルス光の位置や光量を調整するキャリブレーション処理を行う(ステップS1)。キャリブレーション処理においては、まず、ベースプレート24を移動させることにより、図示しないCCDカメラを光学ヘッド部50の下方に配置する。そして、CCDカメラを副走査方向に移動させつつ、光学ヘッド部50からパルス光を照射し、照射されたパルス光をCCDカメラにより撮影する。制御部70は、取得された画像データに基づいて、光学ヘッド部50の照明光学系53を動作させ、これにより、光学ヘッド部50から照射されるパルス光の位置や光量を調整する。
【0083】
キャリブレーション処理が完了すると、次に、作業者または搬送ロボット120が、基板Wを搬入してステージ10の上面に載置する(ステップS2)。後述の図9に示すように基板Wの上面の四隅には、アライメントマーク84が予め形成されている。また、基板Wの上面にはレジストによる感光材料層が予め形成されている。
【0084】
続いて、パターン描画装置1は、ステージ10上に載置された基板Wと光学ヘッド部50との相対位置を調整するアライメント処理を行う(ステップS3)。上記のステップS2では、基板Wはステージ10上のほぼ所定の位置に載置されるのであるが、微細なパターンを描画するための位置精度としては十分でない場合が多い。このため、アライメント処理を行うことにより基板Wの位置や傾きを微調整して、後続の描画処理の精度を向上させる。
【0085】
アライメント処理においては、まず、基板Wの上面の四隅に形成されたアライメントマーク84を、アライメントカメラ60によりそれぞれ撮影する。制御部70は、アライメントカメラ60により取得された画像中の各アライメントマーク84の位置に基づいて、基板Wの理想位置からのずれ量(X軸方向の位置ずれ量、Y軸方向の位置ずれ量、およびZ軸周りの傾き量)を算出する。そして、算出されたずれ量を低減させる方向にステージ移動機構20を動作させることにより、基板Wの位置を補正する。
【0086】
続いて、パターン描画装置1は、アライメント処理後の基板Wに対して描画処理を行う(ステップS4)。すなわち、パターン描画装置1は、ステージ10を主走査方向および副走査方向に移動させつつ、光学ヘッド部50から基板Wの上面に向けてパルス光を照射することにより、基板Wの上面に規則性パターンを描画する。
【0087】
描画処理が完了すると、パターン描画装置1は、ステージ移動機構20を動作させてステージ10および基板Wを搬出位置に移動させる。そして、作業者または搬送ロボット120が、ステージ10の上面から基板Wを搬出する(ステップS5)。
【0088】
本発明の要旨は、リードフレームや基板の役目をする1つの半導体チップ上に金属パターンを用いて複数の半導体チップを直接取り付けることである。このような半導体装置を製造するに際して本発明の直接描画方法と直接描画装置によれば本発明の目的を容易に達成することができる。以下、半導体装置としてはシリコン基板、金属フィルム、セラミック、ガラス基板等の支持基体に多数個の半導体チップを取り付ける半導体パッケージを例として説明する。
【0089】
図9は、パターン描画装置100にて処理される半導体装置(マルチチップモジュール)を備えた基板Wの構成する模式図である。図9(a)はメイン半導体チップのみを備えた基板W全体の平面模式図、図9(b)は図9(a)のA1−A2線に沿う概略断面図である。図9(c)は、半導体装置を備えた基板Wの概略断面図で、図9(d)は上面に絶縁層が塗布された状態を示す概略断面図ある。半導体装置(マルチチップモジュール)は、図9(c)に示すように、サブ半導体チップがメイン半導体チップ上に形成されており、この半導体装置が支持基体に保持された状態のものを基板Wとして取り扱われる。なお、本来は支持基体上に複数の半導体装置が配置されているが、以下の説明では便宜上、1個の半導体装置が配置されている基板Wを例として説明する。
【0090】
以下に、基板Wの構成について述べる。図9(a)を参照すると、リードフレームや基板の役目をする1つの半導体チップ、すなわち外周縁に沿って複数の電極パッドとしてのメインチップパッド81が設けられたメイン半導体チップ80上の所定の部分に、サブ半導体チップ82、83(図9(c)参照)を取り付けるための接着剤82a、83aを塗布する。メイン半導体チップ80は、周縁に相当する位置に4個の位置決め用のアライメントマーク84を備えている。各アライメントマーク84は一辺約0.1mmの領域に収まる十字形の多層膜反射層からなる。この多層膜反射層は、蒸着等の方法によって形成され、赤外線を効率よく反射するものである。
【0091】
そして、メイン半導体チップ80が円形の支持基体99に装着されている。支持基体99は樹脂等にて形成された板状体であり、図9(b)に示されるようにその表面にメイン半導体チップ80が配置される凹部99aが形成され、この凹部99aにメイン半導体チップ80が配置される状態でメイン半導体チップ80上面と支持基体99の上面は面一となる。凹部99aはメイン半導体チップ80の外周が嵌合する大きさで、メイン半導体チップ80は支持基体99に対して位置固定されることとなる。
【0092】
ここで、メイン半導体チップ80及びサブ半導体チップ82、83の組み合わせとしては、マイクロプロセッサ及びメモリの組み合わせ、マイクロプロセッサ及び非メモリの組み合わせ、メモリ及び非メモリの組み合わせなどを挙げることができる。
【0093】
図9(c)を参照すると、メイン半導体チップ80上の所定の部位に塗布された接着剤82a、83a上に、複数の電極パッドとしてのサブチップパッド85、86をそれぞれ有するサブ半導体チップ82、83を取り付ける。ここで、サブ半導体チップ82、83のサイズは、少なくともメイン半導体チップ80のサイズより小さいのが好ましい。また、このメイン半導体チップ80上に、複数のサブチップパッド85、86を取り付けたものがマルチチップモジュールとしての半導体装置である。そして、この半導体装置を支持基体99にて一体的に保持したものが基板Wである。
【0094】
また、メイン半導体チップ80に形成されたメインチップパッド81のサイズ及びサブ半導体チップ82、83に形成されたサブチップパッド85、86のサイズは、25μm〜150μm程度が好ましい。
【0095】
次に、図9(d)に示すようにメイン半導体チップ80上にサブ半導体チップ82、83を完全に埋め込むように、樹脂、すなわち絶縁層87を形成しパターン描画装置100を用いた配線パターン描画方法を用いた露光・エッチング工程を行い、絶縁層87の一部を選択的に除去する。これにより、メイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82、83に設けられたサブチップパッド85、86の上部を露出させる。ここで、絶縁層87としては、非導電性のポリイミド、ポリマー等が使用されることができる。
【0096】
以下、パターン描画装置100を用いた直接描画方法の処理動作を説明する。パターン描画装置100では、図9(d)に示す絶縁層87を有する基板Wに更に絶縁層87上面全体にレジスト層を形成された基板Wが基板収納用カセット110に収容されており、図6に示すように制御部70からの指令に応じて基板受渡領域に位置するステージ10の間で搬送される(ステップS1、S2)。
【0097】
その後、ステージ移動機構20によりステージ10がアライメントカメラ60の直下位置に移動して基板W上の各アライメントマーク(基準マーク)84を順番にアライメントカメラ60の撮像可能位置に位置決めし、アライメトカメラ60によるマーク撮像が実行されアライメント(ステップS3)が実行される。アライメントカメラ6から出力される画像信号は電装ラック内の制御部70により処理され、アライメントマーク84のステージ10上の位置が正確に求められる。ここで、ステージ10を光学ヘッド部50の直下位置に移動させた後に当該アライメントを行ってもよい。
【0098】
アライメント処理について更に説明する。基板Wは図示しないプリアライメント部でメカアライメント処理によってメカニカルなプリアライメントが行われてステージ10に装着される。続いて、アライメントカメラ60を用いてアライメント処理を行う。最初に基板Wとステージ10の回転中心のズレを補正するセンタリングを行う。センタリング処理を行うことで次に続く基板Wの位置決めは、回転補正だけで行えるというメリットがある。
【0099】
基板Wのアライメントマーク84が、アライメントカメラ60で基板Wの表面側から赤外線で絶縁層87とレジスト層を透過して、低倍で観察される。すなわち、初めにアライメントマーク84を低倍で撮像して基板Wの回転中心位置を求め、この処理の結果を用いて、ステージ10の回転中心に対するX方向のずれとY方向のずれを算出する。
【0100】
次に、アライメントカメラ60に対する基板Wの位置関係に対する直交2軸方向(X、Y方向)のズレ量を検出し、このズレ量を補正する。再度、アライメントマーク84がアライメントカメラ60で撮像可能な位置にステージ10を移動し、基板Wの端部のアライメントマーク84を検出する。ここでアライメントマーク84と回転中心の距離は遠いので、基板Wをステージ10に置いた際のθ成分の影響をうける。よって、アライメントマーク84の検出でセンタリング後の基板Wのズレ角を補正する。なお、アライメントマーク84の撮像に際してステージ10を移動させたが、アライメトカメラ60を移動するように構成してもよい。
【0101】
アライメントマーク84の位置を計測し、その計測結果に基づいて基板Wの回転角度位置を補正する。即ち、基板Wをセンタリング後の基板Wを回転させてアライメントマーク84が2軸方向に目標位置に位置されるように回転される。アライメントマーク84は、基板Wがセンタリングされていれば基板Wの端部において目標位置に位置していることとなる。よって、予め基板Wの端部位置に配置されている情報に基づいて、得られた画像の目標位置とのズレを検出しているので、アライメントマーク84の画像情報が基板端部位置情報として制御部70によって判断され、露光制御部514を介してステージ移動機構20が制御される。
【0102】
撮像画像の中からアライメントマーク84を検出する方法として、いわゆる2値化処理と称される方法が知られている。この方法は、基板W表面を撮影した多階調画像を、例えばモード法と呼ばれる手法で設定した階調値を閾値に設定して、2値画像に変換することで、画像中のアライメントマーク84を検出するものである。
【0103】
このようにしてアライメントマーク84が検出されると、2値化処理された撮像画像に対して、パターン認識の手法を駆使してこのアライメントマーク84を有する基板Wとアライメトカメラ60との回転角度誤差が算出され、その誤差を打ち消すように、基板Wを載置するステージ10が駆動される。そして、これらの位置情報に基づきθ軸駆動部が作動してステージ10を鉛直軸回りに微小回転させて基板Wへのパターン描画に適した向きとして光学ヘッド部50との位置関係がアライメント(位置合わせ)される。
【0104】
なお、アライメントマーク位置を求める方法は、2値化処理に限らず、例えば、マークの輪郭を抽出し、パターンマッチングする方法など様々な方法が有る。
【0105】
図8に戻って、メカプリアライメント処理によるメカニカルなアライメントが済み、ステージ10上に乗せられた基板Wに対して、アライメントが行われる。こうして基板Wの位置決めを終えると、この基板Wのステージ10上のズレ量が補正された位置情報に基づいて、光学ヘッド部50を用いて描画パターンを基板Wに焼きつける露光処理である描画処理が開始される(ステップS4)。
【0106】
次に、描画処理(ステップS4)として以下の詳細な処理が行われる。ここで、本実施の形態のパターン描画装置100での直接描画方法に先立って、下層パターンのモニターによる電極パッドの位置検出について、図10(a)、(b)、(c)を用いて説明する。図10(a)は下層パターンとしての配線パターンデータ76の例を示す図であり、図10(b)は基板Wからの反射光をアライメトカメラ60によって検出したモニター画像データを示す図である。図10(b)は基板Wからの反射光をアライメントカメラ60によって検出した場合のx方向の光強度分布と、それを2次微分することによって得られるエッジ検出信号とによって得られる図である。図10(c)は電極接続データの生成を示す図である。
【0107】
図10(a)において、配線パターンデータ76は、点線で示すメイン半導体チップ80の平面領域に相当する2次元領域800で示される。この2次元領域800内にサブ半導体チップ82、83に対応する領域82b、83bが設定される。この領域82b、83bではサブチップパッド85、86に対応する領域85a、85b、85c、85d、86a、86bが設定されている。更に、メイン半導体チップ80のメインチップパッド81に対応する複数の領域81a、81b(便宜上、2つのみを示す)が設定される。そして、動作命令として、それぞれの領域の電極接続パターンが設定される。具体的にはメイン半導体チップ80とサブ半導体チップ82との間では領域81aと領域85c、領域81bと領域85dが接続され、サブ半導体チップ82とサブ半導体チップ83との間では領域85aと領域86a、領域85bと領域86bが接続されることが設定される。
【0108】
アライメントカメラ60で基板Wをモニターすると、基板W上のメイン半導体チップ80とサブ半導体チップ82、83に対して照射したビームの反射光のうちの赤外光成分がアライメトカメラ60に入射する。赤外光成分は、レジストの反応にほとんど寄与せず、また、絶縁層を透過できるため、メインチップパッド81とサブチップパッド85、86を観察できる。図10(b)に示すように、メインチップパッド81とサブチップパッド85、86が金属であり、反射率が周囲よりも高いとすると、アライメトカメラ60によって観察される画像が得られる。これは光強度分布を2次微分することによって、エッジ検出ができるので、パッド画像81c、81d、85e、85f、85g、85h、86e、86fを含むモニター画像データ801が生成される。
【0109】
モニター画像データ801は、アライメントカメラ60で基板Wを分割連続撮像した後に結合することで生成される。または、基板Wの大きさが小さければアライメントカメ60の一括撮像にて得てもよい。モニター画像データ801は、電極接続データの生成に利用されるとともに描画データとして、ラスタライズ部73により描画データが示す単位領域を分割してラスタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存される。
【0110】
このモニター画像データ801と配線パターンデータ76をデータ生成部75において比較することでエッジが本来あるべき位置から、どれだけずれているかが判り、これによって、これから形成しようとする上層パターンに対しての、下層配線パターンであるメインチップパッド81とサブチップパッド85、86の位置ずれが検出できる。具体的には、モニター画像データ801と配線パターンデータ76を重ね合わせて配線パターンデータ76の領域81aに最も位置的に近似するパッド画像81cを対応するメインチップパッド81の実際の位置と認識する。ここで、メインチップパッド81の位置ズレは理想的には無いに等しく、位置ずれが発生するとなるとサブチップパッド85、86において発生すると言える。全てのパッド画像と領域との対応関係が決まると、次に電極接続パターンから電極接続データの生成を行う。
【0111】
例えば、モニター画像データ801と配線パターンデータ76を重ね合わせて位置ズレが発生すると、図10(b)に便宜的に点線で示したように、点線の部位にあるべきサブ半導体チップ83の領域86aと86bが、実線で示したパッド画像86e、86fとして画像が生成される。即ち、実際のサブ半導体チップ83が位置ズレして配置されていることとなる。
【0112】
図9(c)に示す基板Wの半導体装置の製造過程では、前工程でメイン半導体チップ80上の所定の部分に、サブ半導体チップ82、83を取り付ける際にずれが発生することがあった。これは、接着剤82a、83a上にサブ半導体チップ82、83を載置する精度の起因する場合もあれば、サイズの異なるサブ半導体チップ82、83の搬送精度のばらつきに起因する場合もあった。言い換えると、単純な組み立て工程に統一できない状況により結果的にメイン半導体チップ80上でいずれかのサブ半導体チップ82、83が位置ズレして取り付けられる結果を招いていた。
【0113】
更に、この位置ズレは半導体装置の製造過程では、メイン半導体チップ80上の所定の部分に、サブ半導体チップ82、83を取り付ける構造に起因して発生することがあった。これは、メイン半導体チップ80上に機械的な装着構造を設けることが困難であるため、取り付け構造も精度を高くするのに改善の余地があった。また、サイズの異なるサブ半導体チップ82、83を取り付けるとなるとその装着構造も汎用的になる結果、取り付け精度の低下を招いていた。そのため、サブ半導体チップ82、83の取り付けの位置ズレを検知して配線パターンデータ76を補正する必要がある。
【0114】
なお、本実施の形態においては、メインチップパッド81とサブチップパッド85、86として金属電極パッドを例に説明しているが、これに限定される訳ではない。すなわち、本発明の下層パターンは、主に赤外光が用いられるモニター光を反射して、凹凸あるいは反射率差を検出できるパターンであればよい。したがって、下層パターンは金属である必要はない。また、金属であるとしても、単一の金属原子だけでなく、その化合物でもよい。さらに、膜でなく、金属微粒子の集合体であってもよい。例えば、金属ナノ粒子を含有する溶剤をインクジェットで飛ばして電極パッドを形成する試みもなされている。また、赤外光等のモニター光を反射して、凹凸あるいは反射率差を検出できれば、セラミックス等のパターンでもかまわない。
【0115】
更に、このような配線パターンデータ76に対してのサブチップパッド85、86の位置ずれは、前工程でのサブ半導体チップ82、83を取り付ける際の精度や、熱処理による基板Wの変形によって生じる。マルチチップモジュールにおいては、サブ半導体チップ82、83の絶対位置よりもむしろ、サブチップパッド85、86の位置合わせが重要であることから、サブチップパッド85、86がずれてしまったら、それに合わせて配線パターンをパターニングすることが必要になる。したがって、サブチップパッド85、86の位置を検出し、その検出したサブチップパッド85、86に合わせて配線パターンを新たに生成する技術が重要である。
【0116】
空間光変調器511を用いる本実施形態のパターン描画装置100では、光変調ユニット512に入力するデータを修正もしくは新たに生成するだけで、描画位置の補正を行うことができる。すなわち、サブチップパッド85、86の位置がずれたとすると、ONにすべき変調素子537をずらしていけば良い。この結果、高速かつ高精度の位置合わせが可能となる。
【0117】
また、電子ビーム描画のように、1本ずつ位置補正しながら露光するのではなく、一定のエリアである露光領域の位置補正を一度に行って露光できるので、高速の露光が可能となる。また、本実施の形態ではフォトマスクやレチクルを用いずに、配線パターンデータとしてCADデータに基づいて露光を行う方式である。したがって、サブチップパッド85、86が本来存在すべき位置のデータを、CADデータが保有しているため、位置ずれの量を容易に認識できる。
【0118】
更に詳細に説明する。配線パターンデータ76ではサブ半導体チップ82、83のどのサブチップパッド85、86の間で配線されるべきかの電極接続パターン情報が存在する。具体的には、領域85aと領域86a、領域85bと領域86bが配線される。またサブ半導体チップ82のどのサブチップパッド85とメイン半導体チップ80のどのメインチップパッド81の間で配線されるべきかの電極接続パターン情報が存在する。具体的には、領域85cと領域81a、領域85dと領域81bが配線される。それぞれの電極パッドの間では配線パターンが必要となるが、配線データパターン76のまま描画した場合にズレが発生していると、以後の操作で配線パターンを生成しても接続されないこととなる。そのため、図10(b)に示す現実の電極パッドの位置に基づいて電極接続データをデータ生成部75で生成する必要がある。
【0119】
第一に、図10(b)のようにモニターされたメインチップパッド81とサブチップパッド85、86をそれぞれ配線パターンデータ76との近似データからそれぞれの電極パッドに対応するメインチップパッド81のパッド画像81c、81dとサブチップパッド85、86のパッド画像85e、85f、85g、85hと86e、86fと決定する。そして、同時に、電極パッドの接続関係を示す電極接続パターンのテーブルから接続すべきパッド画像が決まれば、パッド画像のそれぞれの座標を(x、y)として設定する。具体的にサブチップパッド85、86のパッド画像85eと86eで説明する。接続関係が設定されたパッド画像85eと86eの座標をモニター画像データ801から求める。その2つの座標間のベクトルデータL1を図10(c)に示すように生成する。ベクトルデータL1の生成は、2つの座標間で最短距離を結ぶ直線を求めることで線分データとして生成され、この電極接続データから描画データを生成する。
【0120】
続いて、残りのサブチップパッド85、86のパッド画像85fと86fの座標の間のベクトルデータL2を生成する。このベクトルデータL1、L2をモニター画像データ801に存在する全てのパッド画像の接続関係に対応するベクトルデータをデータ生成部75にて生成し、このベクトルデータによる電極接続データを描画データとする。即ち、図10(c)に示すベクトルデータを含む領域802を描画データとして生成する。
【0121】
次に、パターン描画装置100での、電極パッドのモニターによる描画のタイミングについて説明する。データ生成部75にて生成されたモニター画像データ801と領域802(電極接続データ)の描画データは、ラスタライズ部73により描画データが示す単位領域を分割してラスタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存される。露光制御部514がこのどちらかの描画データのラスタデータ77を受けて描画する。
【0122】
図9(d)に示す絶縁層87上にレジスト層を形成された基板Wに対しては、モニター画像データ801を用いて描画処理が行われる。モニター画像データ801に対応して空間光変調器511によって生成された露光パターンに対応した光は、図3に示すように、投影光学系517を通り、基板W上に結像される。基板Wはステージ10上に設置されており、露光ビームに対して基板Wが相対的に走査される。
【0123】
まず、図1に示すように、基板Wはステージ10によって連続走査される。ステージ10は、高速で往復運動する主走査方向と、主走査方向とは垂直であり、かつ主走査の方向切り替え時にステップ移動する副走査方向とに基板Wを載置したステージ10を駆動可能であり、ステージ移動機構20によって駆動制御される。主走査方向と副走査方向とのそれぞれの変位量は、図示しない変位検出手段によって、常に高精度にモニターされている。
【0124】
パターン描画装置100では、光学ヘッド部50が基板Wの主走査方向の端部上方まで到達すると、基板Wの移動が停止される。そして、基板Wを副走査方向に所定距離だけ移動した後、基板Wの主走査方向への移動が開始され、基板Wが連続的に移動する間、光学ヘッド部50の高さ調整および光ビームのON/OFF制御が継続して行われる。基板Wを副走査方向に移動しつつ、上記の処理が繰り返され、基板Wの全体にパターンが描画されるとパターン描画処理が完了する。
【0125】
ところで、本実施の形態においては、ステージ10が主走査方向に移動している間、常に露光が行われている訳ではなく、図3に示すように、空間光変調器511による所定領域としての露光領域の走査が終了するごとに、パルス的に光が照射され、露光が行われる。
【0126】
以上のように、ステージの主走査、副走査を繰り返しながら、1パルスによる露光領域での露光を、基板Wの全露光対象領域に対して行い、1パルスによる露光領域を1単位として基板Wの全露光対象領域を埋め尽くすことによって、基板W全体の露光が完了する。
【0127】
こうして、基板W上の描画が終了して基板Wの表面への所望パターンの描画が完了すると、ステージ10は描画済み基板Wを載置したまま基板受渡位置(図1および図2の左側領域)に移動した後、基板搬送ロボット120により基板Wがカセットへと戻され、次の基板Wが取り出されて上記したと同様の一連の処理が繰り返される。さらに、基板収納カセット110に収納されている全ての基板Wに対するパターン描画が終了すると、基板収納カセット110がパターン描画装置100から搬出される。
【0128】
パターン描画が行われた基板Wでは、メイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82、83に設けられたサブチップパッド85、86の上部のレジスト層が露光させる。
【0129】
描画処理が完了した基板Wの次の工程を説明する。図11及び図12は、本発明の好ましい実施例によって半導体装置を製造する工程を示す工程順序図である。以下では、説明の便宜と理解の増進のために、特に図9(d)のB1−B2線の左側部分でB3−B4線とで囲まれた領域に着目して本発明に係る半導体パッケージの製造工程を説明する。
【0130】
次に、パターンの描画が完了した基板Wが現像・エッチング工程に送られ、更に、上層のレジスト層が除去され図11(a)に示されたように、メイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82に設けられたサブチップパッド85の上部を露出させる。そして、スパッタリング又は蒸着(evaporation)等の工程を行うことによって、図11(b)に示されたように、メイン半導体チップ80の全面にわたってTi/Wからなる下部障壁層88と、純銅からなるシード層89を順に形成する。ここで、下部障壁層88は、拡散防止と接着力増大のためのものであり、Cr+Ni、Ti/W+Ni又はCr+Co+Niからなる混合物を使用することもできる。
【0131】
次に、メイン半導体チップ80の全面にわたってフォトレジストを塗布した後、露光及び現像工程を行うことによって、メイン半導体チップ80上にフォトレジストパターン90を形成する。図12(a)に示されたように、メイン半導体チップ80のメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82のサブチップパッド85並びにこれらのパッド間を金属パターンで連結すべき部分が露出される形状を有するフォトレジストパターン90を形成する。
【0132】
この工程において基板Wはパターン描画装置100を用いた直接描画方法にて露光を施される。図9(d)に示す基板Wはモニター画像データ801を描画データとして露光処理を行ったが、電極接続データである領域802の描画データを用いて同様に露光処理を行う。即ち、図10(c)に示す領域802のベクトルデータL1、L2に相当するように基板W上で露光が行われる。
【0133】
パターン描画装置100ではデータ生成部75にて生成された電極接続データである領域802の描画データは、ラスタライズ部73により描画データが示す単位領域を分割してライタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存される。露光制御部514がこの電極接続データのラスタデータ77を受けてフォトレジストパターン90に電極接続パターンを描画する。基板Wの全体にパターンが描画されるとパターン描画処理が完了してカセットに収納されている全ての基板Wに対するパターン描画が終了すると、カセットがパターン描画装置1から搬出される。そして、現像工程が行われる。
【0134】
本実施の形態では、アライメントカメラ60でモニターを行っており、更に露光用とモニター用とは異なる手段を用いているため、位置モニターの後に露光を開示する前に、電極パッドの位置に基づいて描画データを生成する時間が取れる。
【0135】
そこで、露光する直前の電極パッドの位置をモニターする。次に、露光開始までの間に、位置ズレに対応した電極接続データと、それに基づいた描画データの生成とを行う。このように、本実施の形態のパターン描画装置100および描画方法では、基板W上にすでに配置されている、サブ半導体チップの電極パッドを検出して生成したモニター画像データと電極接続データで描画処理を行う。すなわち、位置ズレがこれ以上発生しえない状況で電極接続を行うのでより確実に配線パターンが形成される。これにより、高速かつ高精度に半導体装置が製造することが可能なパターン描画装置100および描画方法を提供することができる。
【0136】
図12(b)を参照すると、メッキ工程を行うことによって、フォトレジストパターン90が形成されていない露出領域、すなわちメイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82に設けられたサブチップパッド85並びにこれらのパッドを連結する部分を、電気伝導性に優れた金属物質(例えば、銅、金等)を用いてフォトレジストパターン90の高さまでメッキした後、ストリップ(strip)工程によりフォトレジストパターン90を除去することによって、シード(seed)層89上にメインチップパッド81とサブチップパッド85とを電気的に連結する金属層91を形成する。
【0137】
次に、金属層91が形成されたメイン半導体チップ80の全面にわたってフォトレジストを塗布した後、露光及び現像工程を行うことによって、メイン半導体チップ80上にマスクパターン92を形成し、図13(a)に示されたように、金属層91の上部のみを覆うマスクパターン92を形成する。この露光処理に於いては、前述同様にパターン描画装置100に基板Wが搬入され処理されるが、描画データは領域802の反転データを描画データとして露光処理される。
【0138】
次いで、マスクパターン92をエッチングマスクとするエッチング工程を行うことによって、金属層91の下部に形成されたシード層89及び下部障壁層88を除く残りの部分を選択的に順次除去することにより、絶縁層87の一部を露出させ、ストリップ工程によりマスクパターン92を除去することによって、図13(b)に示されたように、下部障壁層88、シード層89及び金属層91からなり、メインチップパッド81とサブチップパッド85とを電気的に連結する金属パターン93が形成される。このように形成される金属パターン93の幅は、好ましくは、25〜150μmであり、その厚さは、好ましくは、2000Å〜10mil(254μm)である。
【0139】
一方、本発明の好ましい実施例では、金属パターン93をTi/W+Cu+Cu又はTi/W+Cu+Auから形成したが、本発明がこの実施例に限定されるものではなく、Cr+Ni+Au、Cr+Ni+Au+Cu、Cr+Co+Ni+Au、Cr+Co+Ni+Cu+Au等の組み合わせで金属パターン93を形成することもできる。
【0140】
次に、基板Wの支持基体99からメイン半導体チップ80を取り出す。そして、金属パターン93が形成されたメイン半導体チップ80の全面にわたって所定の厚さ(例えば、10乃至100μm)の封止材、例えば、ソルダレジスト94を塗布した後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程等を行うことにより、図14(a)に示されたように、金属パターン93の上部の一部を選択的に露出させる。
【0141】
終わりに、図14(b)に示されたように、金属パターン93の露出部分にソルダランド95を形成した後、ソルダボール96を取り付けることにより、半導体パッケージの製造を完了する。
【0142】
従って、上述したような一連の工程により製造される本発明の半導体パッケージは、図9に示されたように、メイン半導体チップ80上にサブ半導体チップ82、83が搭載され、メイン半導体チップ80の外周縁に形成されたメインチップパッド81とサブ半導体チップ82、83の外周縁に形成されたサブチップパッド85、86との間及びサブ半導体チップ82、83のサブチップパッド85、86間が、金属パターン93又は金属パターン93及びソルダランド95を介して電気的に連結され、金属パターン93、ソルダランド95及びメインチップパッド81を除くメイン半導体チップ80の上部部分が封止材のソルダレジスト94で封止された構造を有する。
【0143】
以上説明したように、本発明によると、基板W上に既に配置されているサブ半導体チップの電極パッドを検出して生成したモニター画像データおよび電極接続データで描画処理を行う。すなわち、位置ズレに対応した状況で電極接続を行うのでより確実に電極配線パターンが形成される。これにより、高速かつ高精度に半導体装置が製造することが可能なパターン描画装置100および描画方法を提供することができる。
【0144】
本発明は、本発明の技術的思想から逸脱することなく、他の種々の形態で実施することができる。前述の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例のみに限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求の範囲内で様々な改変を実施することができる。
【0145】
例えば上記実施形態では、メイン半導体チップ上に複数のサブ半導体チップを積層する半導体装置の製造工程で説明したが、メイン半導体チップに代えて支持基板を用いて支持基板上に複数の半導体チップを配置し、その半導体チップの電極パッド間を配線接続する半導体装置(マルチチップモジュール)の製造に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0146】
この発明にかかわる直接描画方法および直接描画装置によれば、基板上にすでに配置されている、サブ半導体チップの電極パッドを検出して生成した電極接続データで描画処理を行うことができる。よって、高精度な半導体装置の製造に好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0147】
10 ステージ
100 パターン描画装置
50 光学ヘッド部
511 空間光変調器
60 アライメントカメラ
70 制御部
75 データ生成部
76 配線パターンデータ
80 メイン半導体チップ
82、83 サブ半導体チップ
99 支持基体
801 モニター画像データ
802 領域(電極接続データ)
W 基板
【技術分野】
【0001】
この本発明は、直接描画装置の露光ヘッドに対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、露光ヘッドにより直接露光する直接描画方法と直接描画装置に関する。特に、半導体装置に関して複数の半導体チップを同一の配線基板上に搭載したマルチチップモジュール(Multi−Chip Module;MCM)またはマルチチップパッケージ(Multi−Chip Package;MCP)に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異なる機能を持つ集積回路(例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor))を一つの基板上に集積してなる「システムLSI」が開発されているが、集積回路の機能に応じて好適な素材や製造プロセスが非常に異なるため、その実現は容易ではない。また、基板上に搭載可能な回路にも制限がある。このため、種々の集積回路を内蔵した半導体回路群を、内蔵集積回路に好適な素材や製造プロセスを用いて製造しておき、こうして得た種々の機能を持つ半導体回路群を単一の支持基板上に適宜組み合わせて搭載・集積することにより、三次元積層構造を構成し、もってシステムLSIと同様の機能を持つ半導体装置(集積回路装置)を実現する技術が強く要望されている。これが実現すれば、機能や大きさの異なる半導体回路を必要に応じて組み合わせることにより、システムLSIと同様にシステム化された半導体装置を簡易に得ることができるからである。
【0003】
このように半導体装置の実装密度を向上させることを目的として、配線基板上に複数の半導体チップを実装したパッケージが種々提案されている。例えば、配線基板上にメモリチップとマイコンチップを実装してシステムを構成することがある。このようなパッケージは、システムインパッケージ(System in Package;SiP)とも呼ばれる。
【0004】
メモリチップには、DRAMや不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)等があり、これらと高速マイクロプロセッサ(MPU:Micro Processing Unit、超小型演算処理装置)を単一の樹脂パッケージ内に封止する。このようなSiPは、メモリチップを樹脂封止したメモリ・モジュールよりも高機能であり、需要も大きい。特に、携帯電話等の通信用モバイル機器においては、半導体装置の多機能化および小型化が要求され、SiPは、このような機器に用いて好適である。
【0005】
よく知られているように、半導体チップをパッケージする技術としては、マルチチップモジュール(MCM)パッケージとマルチチップパッケージ(MCP)等がある。図15は半導体チップをパッケージする技術の概略図である。
【0006】
これらのうちマルチチップモジュール(MCM)パッケージは、図15(a)に概略図が示されたように、薄膜の金属フィルム、セラミック又は基板からなる基体300上にワイヤボンディング、テープボンディング、フリップチップボンディング等の方法を用いて多数個の半導体チップ302、304、306を取り付けてパッケージする技術である。図15(a)において、第1の半導体チップ302は、ワイヤボンディングにより取り付けられ、第2の半導体チップ304は、テープボンディングにより取り付けられ、第3の半導体チップ306は、フリップチップボンディングにより取り付けられた状態を示し、参照符号308はPGA入出力端子を、310はBGA入出力端子をそれぞれ示す。
【0007】
一方、マルチチップパッケージ(MCP)は、2つ以上の半導体チップを、限定されたサイズのパッケージ内に実装する技術であって、ワイヤボンディングを用いてリードフレームや基板上に複数の半導体チップを実装する技術である。図15(b)に概略図が示されたように、ワイヤボンディングにより基板402上に複数の半導体チップ404a、404bを搭載し、ワイヤ408を用いて各半導体チップ404a、404bのパッドを外部リード406に連結する構造を有し、全体構造が、例えばエポキシモルディングコンパウンド(epoxy molding compound:EMC)400等に埋め込まれる形態を有する。
【0008】
このように、マルチチップモジュール(MCM)は複数のチップを同一の配線基板上に搭載した半導体装置をいい、構造の違いから複数の型に分けることができる。チップが積層された構造のMCMをスタック構造のMCMという。スタック構造の場合、下のチップにダメージを与えない工夫が必要であるとともに、チップの積層数に制限がある。対して平面方向にチップを配置するプレーン型は搭載チップに制約がないという特徴がある。
【0009】
ところで、このような構造を持つ半導体装置を実現するためには、半導体回路群(これらは通常、チップ状である)を支持基板上あるいは対応する回路層上の所定位置にそれぞれ配置して電気的・機械的に相互接続を行う必要がある。この場合、半導体回路群の配置には、公知の高速チップボンダ等を利用することが可能であるが、製造コストの低下を考慮すれば、いっそう簡易で効率的な方法が望まれるところである。
【0010】
また従来のパッケージは、半導体チップと支持基板間の接続をワイヤボンディング(WB)方式を用いて行ってきたが、素子の高機能化に伴いパッケージの多ピン化や小型化への対応が困難となってきた。
【0011】
図16は、半導体チップを支持基板へ実装する場合における従来のパッケージングの例とMCM実装の例とを示す図である。半導体チップを実装する場合、従来は、図16(a)に示すQFP(Quad Flat Package)実装や、図16(b)に示すCSP(Chip Scale Package)や、BGA(Ball Graid Array)等のケースを用いてPCB(Print Circuit Board)に実装する方法が知られ、また、図16(c)に示す各種基板を用いたMCM化する方法が知られている。なお、MCM化する場合、たとえばMCM−L(MCM−Laminatee)、MCM−D(MCM−Deposite)、MCM−C(MCM−Co−Fired)等が知られている。また、最近は、ベアチップを、ビルドアップ基板と呼ばれる多層基板に実装する方法も提案され、配線の狭ピッチ化およびヴィアランドの小径化によってその実装密度は小さくなっている。
【0012】
半導体チップ(ベアチップ)と半導体基板(パッケージ基板)を電気的に接続する方法としては、チップの回路面を上にして金の細線を使って端子と配線するワイヤボンディング方式が一般的である。従来のチップは、信号入出力(I/O)数が少なく、半導体基板の外形寸法も比較的小さいため、配線は少なかった。又、従来の自動配線手法には、迷路法、線分検索法、線分検索法等が使われていた。このため、半導体基板では高密度配線や超多ピン傾向となり、外形寸法が拡大してきた。
【0013】
ところで、半導体チップの電極パッドピッチの微細化や多ピン化に、パッケージや実装基板の加工精度が追い付かず、また、半導体チップの信号入出力速度の高速化に伴い、終端抵抗を実装する必要性が高まっている。電子機器に半導体チップを実装する場合、LSIにおける機能集積が続いているのに対して、LSIの周辺の電源や基板実装やその他の周辺部品の高密度化が遅れ気味であり、半導体集積回路における機能集積技術の恩恵を受け難くなりつつある。
【0014】
つまり、2〜3cm角の非常に高集積化した半導体チップを実装する場合、実装上の制約があり、たとえば、パッケージングのためのピンピッチ、終端抵抗の物理的な大きさ、インピーダンス設計された伝送線路の占有面積、多層配線のためのヴィアホールの最少サイズ等を確保する必要があるので、これら確保すべきエリア(実装エリア)として、半導体チップ自体の面積よりもはるかに大きな面積を必要とするという問題がある。
【0015】
そこで、半導体チップをシリコンウエハ基板に搭載し、このシリコンウエハ基板に絶縁膜を形成し、半導体チップの電極パッド部分にのみ対応する絶縁膜にスルーホールを設け、このスルーホールと絶縁膜とに導体膜を堆積し、この導体膜をパターン形成することによって配線パターンを形成するものがある(特許文献1参照)。
【0016】
また、互いに電気的に接続される複数の半導体チップを含む半導体パッケージにおいて、リードフレーム又は基板として機能し、外周縁に複数のメインチップパッドが設けられたメイン半導体チップと、前記メイン半導体チップ上の所定の部分に取り付けられ、外周縁に複数のサブチップパッドが設けられた少なくとも1つのサブ半導体チップと、前記メインチップパッド及びサブチップパッドが露出されるように、前記サブ半導体チップを埋め込む形態で前記メイン半導体チップ上に形成される絶縁層とを有する。そして、前記露出した任意のメインチップパッドとサブチップパッドとの間、又は任意のサブチップパッドと他のサブチップパッドとの間を電気的に接続し、前記メインチップパッド上に形成される下部障壁層と、前記下部障壁層上に形成されるシード(seed)層と、前記シード層上に形成される金属層とを含む複数の金属パターンと、前記複数の金属パターン上の所定の部分に形成された複数のソルダランドとを備えてなることを特徴とする半導体パッケージを提供するものがある(特許文献2参照)。
【0017】
更に、半導体チップを半導体基板に搭載し、集積回路の微細金属配線技術、絶縁技術によって高性能化、機能化を図り、高密度化、低コスト化の可能な多層配線半導体装置を提供することを目的として、単一の半導体基板上に、複数の半導体チップと、それらのチップを被覆する電気的絶縁物と、この絶縁物中に埋設されチップ間を接続する配線層とを具備する半導体装置が提供されている(特許文献3参照)。そこでは、絶縁膜にコンタクトを開口し、更に、金属膜を被着して写真触刻技術を用いて配線パターンを形成し、チップ間の配線を行っている。
【0018】
ところが、半導体回路群の電気的相互接続は、対応する電極パッドあるいは配線の接続領域に対して一対一で正確に配線接続される必要がある。MCMは、この正確さ(精密度)の点で十分とは言えない。即ち、図17(a)に正常なレイアウトを示すように半導体チップ500の電極パッド501と異なる半導体チップ502の電極パッド503を配線パターン504で接続する。この場合、支持基板あるいは所望の一つの回路層に対して、所望の精密度をもって簡易かつ効率的に多数(例えば数百個)の半導体チップを所望レイアウトで配置して固着する際にズレが生じることがあった。
【0019】
図17(b)に位置ズレしたレイアウトを示すように、半導体チップ502が点線でしめす配置位置に対して実線で示す位置ズレした位置に配置されたまま上述の配線工程に進むと、形成された配線パターンが電極パッド501と電極パッド503との間で一部において接続されずに形成される。
【0020】
これを解決するものとして、下層の露光パターンの位置と上層パターンを形成するための露光位置との位置ズレを補正し得る露光装置および露光方法が提供されている(特許文献4、特許文献5参照)。ここでは、フォトマスクを用いない直接描画装置で、基板に形成された下層配線パターンを光の照射にてモニターすることにより下層配線パターンの位置を検出し、かつ検出結果に基づいて直接描画装置の光学系に入力するパターンデータを補正することにより上層パターンを形成するための露光位置を補正している。
【0021】
しかしながら、配線パターンデータを補正する技術では、下層パターンの全体的なずれや変形の傾向に対応して配線パターンを補正するため、支持基板に多数の半導体チップを所望レイアウトで配置してそれぞれの半導体チップに異なるズレが生じる場合には、パターン補正では必ずしも電極パッド501と電極パッド503が接続されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平11−354667号公報
【特許文献2】特開2003−60155号公報
【特許文献3】特開平4−363058号公報
【特許文献4】特開2006−350034号公報
【特許文献5】特開平3−89511号公報
【特許文献6】特開平1−215022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
半導体チップに異なるズレが生じる場合に、図17(b)に示すように半導体チップ500の電極パッド501と異なる半導体チップ502の電極パッド503を配線パターン504で接続するには、電極パッド相互間の配線位置の位置変化を検出し、位置変位に応じたパターンシフト量を補正しながら配線パターンを描画することが必要となる。例えば支持基板面内の領域Aと領域Bの相互位置が、設計された位置に対してずれを生じていない場合には、配線パッド同士を配線によって接続できるが、領域Aはずれず領域Bのみにずれが生じている場合には各々の電極パッドを設計に従った配線では接続できない。
【0024】
そのため、半導体ウェハ上に、独立に作製された半導体集積回路領域相互間に配線を行う方法であって、各半導体集積回路領域内に作製された位置合わせマークにより配線領域の位置検出を行い、半導体集積回路領域相互間の配線位置の位置変化を検出し、位置変位に応じたパターンシフト量を補正しながらビーム走査により配線パターンを描画するものがある(特許文献6参照)。
【0025】
しかしながら、このような従来技術でもパターンシフト量の補正はアライメトマークのシフト量の検出をもとにして配線パターンを描画している。複数の半導体チップを配線接続する場合に、図18(a)に正常なレイアウトを示すように半導体チップ600の電極パッド601と異なる半導体チップ602の電極パッド603を配線パターン604で接続する。半導体チップ600の電極パッド601と異なる半導体チップ605の電極パッド606を配線パターン607で接続する。ここで、半導体チップ602と605が図18(b)に位置ズレしたレイアウトを示すように異なる方向にズレが生じると、一つのアライメントマークのシフト量ではパターンシフト量の補正は正確に出来ない。仮に、複数のアライメントマークを使用したとしてもどのアライメントマークをどう利用するかという点で課題があった。
【0026】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、その主たる目的は、支持基板あるいは所望の一つの回路層に対して、所望の精密度をもって簡易かつ効率的に多数(例えば数百個)のチップ状半導体回路を所望レイアウトで配置して固着することができる、半導体装置の製造方法である直接描画方法と、その実施に好適に使用できる製造装置である直接描画装置とを提供することにある。
【0027】
本発明の他の目的は、チップ状半導体回路の電気的相互接続に電極パッドが使用される場合に、それら半導体チップの各々の接続部に所定レイアウトで形成された複数の電極パッドを、対応する電極パッドあるいは配線の接続領域に対して一対一で正確に配線接続することができる、半導体装置の製造方法と、その実施に好適に使用できる製造装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この発明にかかる直接描画方法は、直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、光学ヘッド部により直接露光する直接描画方法であって、直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出する電極パッド位置検出ステップと、直接描画装置に入力された配線パターンデータと、電極パッド位置検出ステップによる検出位置から直接描画装置内の制御部が、電極接続データを生成する描画データ生成ステップと、制御部が、電極接続データを、ラスタデータ形式の装置用データに変換する変換ステップと、光学ヘッド部が、相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を装置用データに基づいて直接露光する露光ステップと、を備えることを特徴としたものである。
【0029】
また本発明の請求項1記載の直接描画方法において、描画データ生成ステップが、電極パッド位置検出ステップにより該電極パッドの位置を検出すると共に、その電極パッドの位置の検出結果に基づいて電極パッド位置を示す描画データを生成するようにしたものである。
【0030】
この発明にかかる直接描画装置は、直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、光学ヘッド部により直接露光する直接描画装置であって、直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出するモニター手段と、直接描画装置に入力された配線パターンデータと、モニター手段による検出位置から、電極接続データを生成し、電極接続データをラスタデータ形式の装置用データに変換する制御部と、光学ヘッド部が、相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を装置用データに基づいて直接露光することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1に係る直接描画方法によれば、露光対象基板の電極パッドの位置を検出してその検出位置と描画装置に入力された配線パターンデータから電極接続データを生成することができる。そして、光学ヘッド部が、生成された電極接続データより露光対象基板を直接露光するので電極パッドの位置がずれていたとしても正確に必要となる位置に対応したパターンが露光される。
【0032】
また本発明の請求項2に係る直接描画方法によれば、電極パッドの位置の検出結果に基づいて電極パッド位置を示す描画データが生成されるので、電極パッドの位置に対応して正確に露光することができる効果を奏する。
【0033】
また本発明の請求項3に係る直接描画装置によれば、露光対象基板の電極パッドの位置を検出してその検出位置と描画装置に入力された配線パターンデータから電極接続データを生成することができる。そして、光学ヘッド部が、生成された電極接続データより露光対象基板を直接露光するので電極パッドの位置がずれていたとしても正確に必要となる位置に対応したパターンが露光される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るパターン描画装置の側面図である。
【図2】図1に示すパターン描画装置の平面図である。
【図3】光学ヘッド部の内部構成を示す図である。
【図4】空間光変調器を拡大して示す図である。
【図5】(a)および(b)は、可動リボンおよび固定リボンに対して垂直な面における空間光変調器の断面を示す図である。
【図6】パターン描画装置の各部と制御部との接続構成を示したブロック図である。
【図7】描画動作を制御する制御部を示すブロック図である。
【図8】パターン描画装置の動作のフローチャートである。
【図9】本実施形態の半導体装置(マルチチップモジュール)を配置した基板Wの模式図で、(a)は支持基体とメイン半導体チップ表面の平面模式図、(b)は(a)のA1−A2線に沿う概略断面図、(c)本実施形態の基板Wの概略断面図、(d)は絶縁層を有する基板Wの概略断面図である。
【図10】(a)は配線パターンデータの例を示す図、(b)は基板Wからの反射光をアライメトカメラ60によって検出したモニター画像データを示す図、(c)は電極接続データの生成を示す図である。
【図11】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)はレジスト層除去後を示し、(b)はシード層形成後である。
【図12】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)は現像工程後を示し、(b)はレジスト層除去後である。
【図13】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)は現像工程後を示し、(b)はマスクパターン除去後である。
【図14】半導体装置を製造する工程を示す工程順序図で、(a)はエッチング工程後を示し、(b)はソルダボール取り付け後である。
【図15】半導体チップをパッケージする技術の概略図で、(a)はマルチチップモジュールを示す概略図、(b)はマルチチップパッケージを示す概略図である。
【図16】半導体チップを支持基板へ実装する場合における従来のパッケージングの例とMCM実装の例とを示す図であり、(a)はQFP実装、(b)はPCB実装、(c)はMCM実装を示す図である。
【図17】従来技術の問題点を示す説明図で、(a)は正常なレイアウト、(b)は位置ズレしたレイアウトを示す。
【図18】従来技術の問題点を示す説明図で、(a)は正常なレイアウト、(b)は位置ズレしたレイアウトを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<1.パターン描画装置の構成について>
図1は、本発明の一実施形態に係るパターン描画装置100の側面図であり、図2は図1に示すパター描画装置の平面図である。
【0036】
このパターン描画装置100は、感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの表面に光ビームを照射してパターンを描画する直接描画装置である。更に具体的には、マルチチップモジュールの製造工程において、露光対象基板として支持基板(以下、単に「基板」という。)Wの上面に形成されたレジストに、配線パターンを描画するための装置である。図1および図2に示したように、パターン描画装置100は、主として、基板Wを保持するステージ10と、ステージ10を移動させるステージ移動機構20と、ステージ10の位置に対応した位置パラメータを計測する位置パラメータ計測機構30と、基板Wの上面にパルス光を照射する光学ヘッド部50と、1つのアライメントカメラ60と、制御部70とを備えている。
【0037】
そして、このパターン描画装置100では、本体フレーム101に対してカバー102が取り付けられて形成される本体内部に装置各部が配置されて本体部が構成されるとともに、本体部の外側(本実施形態では、図1に示すように本体部の右手側)に基板収納カセット110が配置されている。この基板収納カセット110には、露光処理を受けるべき未処理基板Wが収納されており、本体内部に配置される搬送ロボット120によって本体部にローディングされる。また、未処理基板Wに対して露光処理(パターン描画処理)が施された後、当該基板Wが搬送ロボット120によって本体部からアンローディングされて基板収納カセット110に戻される。このように、搬送ロボット120が搬送部として機能している。
【0038】
この本体部では、図1および図2に示すように、カバー102に囲まれた本体内部の右手端部に搬送ロボット120が配置されている。また、この搬送ロボット120の左手側には基台130が配置されている。この基台130の一方端側領域(図1および図2の右手側領域)が、搬送ロボット120との間で基板Wの受け渡しを行う基板受渡領域となっているのに対し、他方端側領域(図1および図2の左手側領域)が基板Wへのパターン描画を行うパターン描画領域となっている。この基台130上では、基板受渡領域とパターン描画領域の境界位置にヘッド支持部140が設けられている。このヘッド支持部140では、図2に示すように、基台130から上方に2本の脚部材141、142が立設されるとともに、それらの脚部材141、142の頂部を橋渡しするように梁部材143が横設されている。そして、図1に示すように、梁部材143のパターン描画領域側の反対側にアライメントカメラ(撮像部)60が固定されて、後述するようにステージ10に保持された基板Wの表面(被描画面、被露光面)上の複数のアライメントマークや下層パターンを撮像可能となっている。
【0039】
このステージ10は基台130上でステージ移動機構20によりX方向、Y方向ならびにθ方向に移動される。すなわち、ステージ移動機構20は、ステージ10を水平面内で2次元的に移動させて位置決めするとともに、θ軸(鉛直軸)回りに回転させて後述する光学ヘッド部50に対する相対角度を調整して位置決めする。
【0040】
また、このように構成されたヘッド支持部140に対して光学ヘッド部50が上下方向に移動自在に取り付けられている。このようにヘッド支持部140に対し、アライメントカメラ60と光学ヘッド部50とが取り付けられており、XY平面内での両者の位置関係は固定化されている。また、この光学ヘッド部50は、基板Wへのパターン描画を行うもので、ヘッド移動機構(図示省略)により上下方向に移動される。そして、ヘッド移動機構が作動することで、光学ヘッド部50が上下方向に移動し、光学ヘッド部50とステージ10に保持される基板Wとの距離を高精度に調整可能となっている。このように、光学ヘッド部50が描画ヘッドとして機能している。
【0041】
また、基台130の基板受渡側と反対側の端部(図1および図2の左手側端部)においても、2本の脚部材144が立設されている。そして、梁部材143と2本の脚部材144の頂部とを橋渡しするように光学ヘッド部50の光学系を収納したボックス172が設けられており、基台130のパターン描画領域を上方から覆っている。
【0042】
ステージ10は、円筒状の外形を有し、その上面に基板Wを水平姿勢に載置して保持するための保持部である。ステージ10の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。このため、ステージ10上に基板Wが載置されると、基板Wは、複数の吸引孔の吸引圧によりステージ10の上面に吸着固定される。なお、本実施形態において描画処理の対象となる基板Wの上面(主面)には、レジスト(感光材料)の層が予め形成されている。
【0043】
ステージ移動機構20は、パターン描画装置100の基台130に対してステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、および回転方向(Z軸周りの回転方向)に移動させるための機構である。ステージ移動機構20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23と、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25と、を有している。
【0044】
回転機構21は、ステージ10の内部に取り付けられた回転子により構成されたモータを有している。また、ステージ10の中央部下面側と支持プレート22との間には回転軸受機構が設けられている。このため、モータを動作させると、回転子がθ方向に移動し、回転軸受機構の回転軸を中心としてステージ10が所定角度の範囲内で回転する。
【0045】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより副走査方向の推進力を発生させるリニアモータ23aを有している。また、副走査機構23は、ベースプレート24に対して支持プレート22を副走査方向に沿って案内する一対のガイドレール23bを有している。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイドレール23bに沿って支持プレート22およびステージ10が副走査方向に移動する。
【0046】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子とヘッド支持部140の上面に敷設された固定子とにより主走査方向の推進力を発生させるリニアモータ25aを有している。また、主走査機構25は、ヘッド支持部140に対してベースプレート24を主走査方向に沿って案内する一対のガイドレール25bを有している。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台130上のガイドレール25bに沿ってベースプレート24、支持プレート22、およびステージ10が主走査方向に移動する。なお、このようなステージ移動機構20としては、従来から多用されているX−Y−θ軸移動機構を用いることができる。
【0047】
位置パラメータ計測機構30は、レーザ光の干渉を利用してステージ10についての位置パラメータを計測するための機構である。位置パラメータ計測機構30は、主として、レーザ光出射部31、ビームスプリッタ32、ビームベンダ33、第1の干渉計34、および第2の干渉計35を有する。
【0048】
レーザ光出射部31は、計測用のレーザ光MLを出射するための光源装置である。レーザ光出射部31は、固定位置、すなわち本装置の基台130や光学ヘッド部50に対して固定された位置に設置されている。レーザ光出射部31から出射されたレーザ光MLは、まず、ビームスプリッタ32に入射し、ビームスプリッタ32からビームベンダ33へ向かう第1の分岐光ML1と、ビームスプリッタ32から第2の干渉計35へ向かう第2の分岐光ML2とに分岐される。
【0049】
第1の分岐光ML1は、ビームベンダ33により反射され、第1の干渉計34に入射するとともに、第1の干渉計34からステージ10の−Y側の端辺の第1の部位(ここでは、−Y側の端辺の中央部)10aに照射される。そして、第1の部位10aにおいて反射した第1の分岐光ML1が、再び第1の干渉計34へ入射する。第1の干渉計34は、ステージ10へ向かう第1の分岐光ML1とステージ10から反射した第1の分岐光ML1との干渉に基づき、ステージ10の第1の部位10aの位置に対応した位置パラメータを計測する。
【0050】
一方、第2の分岐光ML2は、第2の干渉計35に入射するとともに、第2の干渉計35からステージ10の−Y側の端辺の第2の部位(第1の部位10aとは異なる部位)10bに照射される。そして、第2の部位10bにおいて反射した第2の分岐光ML2が、再び第2の干渉計35へ入射する。第2の干渉計35は、ステージ10へ向かう第2の分岐光ML2とステージ10から反射した第2の分岐光ML2との干渉に基づき、ステージ10の第2の部位10bの位置に対応した位置パラメータを計測する。第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれの計測により取得された位置パラメータを、制御部70へ送信する。
【0051】
光学ヘッド部50は、ステージ10上に保持された基板Wの上面に向けてパルス光を照射する光照射部である。光学ヘッド部50は、ステージ10およびステージ移動機構20を跨ぐようにして基台130上に架設された梁部材143と、梁部材143上に副走査方向の略中央に設けられた1つの光学ヘッド部50とを有する。光学ヘッド部50は、照明光学系53を介して1つのレーザ発振器54に接続されている。また、レーザ発振器54には、レーザ発振器54の駆動を行うレーザ駆動部55が接続されている。レーザ駆動部55を動作させると、レーザ発振器54からパルス光が出射され、当該パルス光が照明光学系53を介して光学ヘッド部50の内部に導入される。
【0052】
光学ヘッド部50の内部には、照明光学系53から光学ヘッド部50の内部にパルス光を導入部から導入し、導入されたパルス光は、所定のパターン形状に成形された光束としてパルス光が基板Wの上面に照射され、基板W上のレジスト等の感光層を露光することにより、基板Wの上面にパターンが描画される。
【0053】
図1のパターン描画装置100では、光源であるレーザ発振器54がボックス172内に設けられ、光学系を介してレーザ発振器54からの光が光学ヘッド部50の内部へと導入される。本実施の形態における基板Wの主面上には紫外線の照射により感光するレジスト(感光材料)が予め形成されており、レーザ発振器54は、波長355nmの紫外線を出射する3倍波固体レーザとされる。もちろん、レーザ発振器54は基板Wの感光材料が感光する波長帯に含まれる他の波長の光を出射するものであってもよい。
【0054】
図3は光学ヘッド部50の内部構成を示す図であり、図3では光学ヘッド部50内の各構成を符号510で付す破線の矩形にて囲んでいる。図3に示す光学ヘッド部50は、回折格子型の空間光変調器511を有する光変調ユニット512、並びに、画像信号処理部513および露光制御部514に接続されるとともに光変調ユニット512の変調制御を行う描画制御部515を備える。なお、図3中の露光制御部514および画像信号処理部513は図1中の制御ユニット70内に設けられている。
【0055】
光学ヘッド部50内へと導入されるレーザ発振器54からの光は、照明光学系53およびミラー516により、その反射面の法線が光軸J1に対して傾斜して配置される光変調ユニット512の空間光変調器511へと導かれる。このとき、レーザ発振器54からの入射光は照明光学系53により強度分布が均一な線状の光(光束断面が線状の光)とされ、空間光変調器511上の変調動作の有効領域に照射される。空間光変調器511では、描画制御部515の制御に基づいてミラー516からの光が空間変調され、光軸J1に沿って投影光学系517のレンズ518へと入射する。
【0056】
投影光学系517のレンズ518、519および遮蔽板520は両側テレセントリックとなるシュリーレン(schrieren)光学系を構築しており、レンズ518を通過した光は開口を有する遮蔽板520へと導かれ、一部の光(後述の0次光)は開口を通過してレンズ519へと導かれ、残りの光(後述の(±1)次回折光)は遮蔽板520にて遮蔽される。レンズ519を通過した光はズームレンズ521へと導かれ、フォーカシングレンズ522を介して所定の倍率にて感光材料上へと導かれる。なお、投影光学系517は必ずしもレンズ518、519、遮蔽板520、ズームレンズ521およびフォーカシングレンズ522により構成される必要はなく、他の光学素子が追加される等してもよい。
【0057】
図4は、空間光変調器511を拡大して示す図である。図4に示す空間光変調器511は半導体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。空間光変調器511には複数の可動リボン530aおよび固定リボン531bが交互に平行に配列形成され、後述するように、可動リボン530aは背後の基準面に対して個別に昇降移動可能とされ、固定リボン531bは基準面に対して固定される。回折格子型の空間光変調器としては、例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サンノゼ、カリフォルニア)の登録商標)が知られている。
【0058】
図5(a)および図5(b)は、可動リボン530aおよび固定リボン531bに対して垂直な面における空間光変調器511の断面を示す図である。なお、図5(a)および図5(b)に示す空間光変調器511では、実際よりも可動リボン530aおよび固定リボン531bの数が少ない。
【0059】
可動リボン530aはその上面が、空間光変調器511の基板の上面である基準面532に平行な帯状の可動反射面533aとなっており、固定反射部である固定リボン531bはその上面が基準面532に平行な帯状の固定反射面534bとなっている。図5(a)は可動リボン530aと基準面532との間に電圧(電位差)が与えられ、静電気力により可動リボン530aが基準面532に向かって撓んだ状態における断面を示しており、図5(b)は可動リボン530aが撓まない初期状態を示している。
【0060】
図5(b)に示すように、空間光変調器511に電圧を入力しない状態では、可動リボン530aおよび固定リボン531bが基準面532cに対して同じ高さに位置して、空間光変調器511の表面は面一となり、入射光L1の反射光が0次光L2として導出される。一方、空間光変調器511に所定の電圧を入力している状態では、図5(a)に示すように可動リボン530aが固定リボン531bよりも基準面532c側に撓んで可動リボン530aが回折格子の溝の底面となる。そして、可動リボン530aの反射面と固定リボン531bの反射面との間の光路差が入射光L1の波長の半分となり、1次回折光L3が空間光変調器511から導出され、0次光L2は消滅する。
【0061】
図5(a)に示すように可動リボン530aが所定の量だけ撓んだ状態では、レーザ発振器54から可動反射面533aを経由して感光材料へと至る光の経路と、レーザ発振器54から固定反射面534bを経由して感光材料へと至る光の経路との差(以下、単に「可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差」という。)が、((n+1/2)λ)(ただし、λは入射光L1の波長であり、nは任意の整数である。)となるようにされている。これにより、図5(a)の状態では、可動反射面533aにて反射される光と固定反射面534bにて反射される光との位相差により生じる空間光変調器511からの(±1)次回折光L3(さらには、高次の回折光)の強度が最大となり、0次光の強度は最小となる。
【0062】
実際には、空間光変調器511にて可動リボン530aおよび固定リボン531bが配列される方向(すなわち、各リボンの長手方向に垂直かつ基準面532に平行な方向)を配列方向として、レーザ発振器54からの光は配列方向に垂直、かつ、基準面532の法線に対して傾斜した光軸J1に沿って空間光変調器511へと入射しており、空間光変調器511への光の入射角をα(図3参照)、可動リボン530aが撓まない状態での可動反射面533aと固定反射面534bとの(基準面532からの)高さの差をDfとすると、可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差は(2Df・cosα)として表される。したがって、光路差(2Df・cosα)が((n+1/2)λ)となるように、レーザ発振器54からの光の波長λ、可動反射面533aと固定反射面534bとの高さの差Df、および、空間光変調器511への光の入射角αが予め決定されている。
【0063】
例えば、可動リボン530aが撓まない状態における可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差を(7/2)λとする場合には、可動反射面533aと固定反射面534bとの高さの差Dfは((7/4)λ/cosα)とされる。なお、空間光変調器511へと入射する光は、光軸J1および配列方向に垂直な方向に関して僅かに集光しつつ配列方向に関して平行な状態とされている。
【0064】
一方、図5(b)に示すように可動リボン530aが撓まない初期状態では、可動反射面533aと固定反射面534bとの間の光路差が(n・λ)(ただし、λは入射光L1の波長であり、nは任意の整数である。)となるようにされている。すなわち、可動リボン530aが撓んだ状態での可動反射面533aと固定反射面534bとの高さの差をDnとして、光路差(2Dn・cosα)が(n・λ)と等しくなるようにされ、これにより、図5(b)の状態では、可動反射面533aからの反射光と固定反射面534bからの反射光とが強めあって最大強度の0次光L2が空間光変調器33から出力される。
【0065】
また、図5(a)および図5(b)に示すように、配列方向に関して可動リボン530aと固定リボン531bとはほぼ同じ幅となっている。なお、複数の可動リボン530aおよび複数の固定リボン531bのそれぞれの幅の長さはコントラストや反射率を考慮して最適化することが可能である。この場合には、これらの長さはお互いに微少量ずつ異なることになる。
【0066】
既述のように、複数の可動リボン530aおよび固定リボン531b上には、光束断面が配列方向に長い線状の光が照射される。空間光変調器511では、隣接する各1本の可動リボン530aおよび固定リボン531bを1つのリボン対とすると、互いに隣接する3個以上のリボン対が描画されるパターンの1つの画素に対応する。本実施の形態では、互いに隣接する4個のリボン対の集合が1つの画素に対応する変調素子とされ、図4では1つの変調素子を構成するリボン対の集合を符号535が付せられた太線の矩形にて囲んでいる。
【0067】
空間光変調器511では、図4のドライバ回路ユニット536が有する複数のドライバ回路から入力される電圧(以下、「入力電圧」という。)に従って複数の変調素子537の可動リボン530aの状態がそれぞれ変化し、各変調素子537が、1次回折光((+1)次回折光および(−1)次回折光))を出射するOFF状態と0次光(正反射光)を出射するON状態との間で遷移可能とされる。空間光変調器511から出射される0次光および1次回折光は、既述のように投影光学系517へと導かれ、0次光は遮蔽板520の開口を通過して感光材料上へと導かれ、1次回折光は遮蔽板520にて遮蔽される。これにより、光学ヘッド部50において、感光材料上にてX方向(すなわち、走査方向に垂直な方向)に並ぶ複数の照射領域のそれぞれに変調された光の照射が可能となる。
【0068】
光学ヘッド部50は、副走査方向に沿って1個の変調素子537が配列されている。ステージ10を+Y方向に移動させつつ、各変調素子537からパルス光を断続的に照射すると、基板Wの上面に繰り返し投影され、図3に示したように、所定の露光幅を有する1本のパターン群として基板Wの上面に描画される。パターン描画装置1は、1回の主走査方向への描画が完了すると、ステージ10を+X方向に略露光幅分だけ移動させる。その後、パターン描画装置1は、ステージ10を−Y方向に移動させつつ、各変調素子537からパルス光を断続的に照射する。このように、パターン描画装置1は、光学ヘッド部50の変調素子537の個数に対応した露光幅分ずつ基板Wを副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数繰り返すことにより、基板Wの描画領域全面に規則性パターンを形成する。
【0069】
アライメントカメラ60は、後述する基板Wの上面に予め形成されたアライメントマークを撮影するためのモニター手段を構成する撮影部である。アライメントカメラ60は、例えば、CCDカメラにより構成され、梁部材143を介して基台130に固定されている。本実施形態では、後述するように、基板Wの上面の四隅にアライメントマークが形成されている。
【0070】
アライメントカメラ60によりアライメントマークを撮影するときには、まず、パターン描画装置1は、ステージ10を最も−Y側の位置(図1、図2中の左側位置)に移動させる。そして、アライメントカメラ60による撮影を実行させることにより、各アライメントマークの画像を取得する。取得された各アライメントマークの画像は、アライメントカメラ60から制御部70へ送信される。
【0071】
更に、このアライメントカメラ60の撮像画像を用いて、下層パターンのモニターによる半導体チップの電極パッドの位置検出が行なわれる。基板Wからの反射光をアライメントカメラ60によって検出した場合の光強度分布を2次微分することによって得られるエッジ検出信号で制御部70は、半導体チップの電極パッドの位置を検出する。そして、後述するように、この検出による位置情報によって制御部70によって電極接続に対応する描画データの生成が行なわれる。
【0072】
基板W上にすでに配置されている半導体チップの金属膜からなる電極パッドに対してビームを照射すると、その反射光のうちの赤外光成分が、CCDカメラに入射する。赤外光成分は、レジストの反応にほとんど寄与せず、レジストを透過できるため電極パッドを観察できる。下層が金属膜によって全面覆われている場合は、その下の層を観察することはできない。通常の基板Wでは、電極パッドが全面を覆う可能性は少ないため、レジストを透過して下層を観察できる赤外光成分を用いるのが最も望ましい。
【0073】
制御部70は、種々の演算処理を実行しつつ、パターン描画装置100内の各部の動作を制御するための情報処理部である。図6は、パターン描画装置100の上記各部と制御部70との間の接続構成を示したブロック図である。図6に示したように、制御部70は、上記のリニアモータ21a,23a,25a、レーザ光出射部31、第1の干渉計34、第2の干渉計35、照明光学系53、レーザ駆動部55、投影光学系523、およびアライメントカメラ60と電気的に接続されている。制御部70は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータにより構成され、コンピュータにインストールされたプログラムに従ってコンピュータが動作することにより、上記各部の動作制御を行う。
【0074】
また、上記のように構成された制御部70は描画動作を制御するために図7に示すように制御部70としてのコンピュータ71はCPUやメモリ72等を有しており、露光制御部514とともに電装ラック(図示省略)内に配置されている。図7は、描画動作を制御する制御部を示すブロック図である。コンピュータ71内のCPUが所定のプログラムに従って演算処理することにより、ラスタライズ部73およびデータ生成部75が実現される。例えば1つの半導体パッケージに相当するパターンのデータは外部のCAD等により生成されたパターンデータであり、予め配線パターンデータ76としてメモリ72に準備されており、当該配線パターンデータ76とデータ生成部75に基づき後述するようにして半導体パッケージの描画パターンが基板W上に描画される。
【0075】
ラスタライズ部73は、データ生成部75によって生成された描画データが示す単位領域を分割してラスタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存する。こうしてラスタデータ77の準備後、または、ラスタデータ77の準備と並行して、未処理の基板Wが描画される。
【0076】
一方、データ生成部75はアライメントカメラ60からの画像データを取得し、電極パッドの検出結果から配置ズレに対応した電極接続データの生成を行う。なお、このデータ生成については、1つの分割領域のデータ生成が終了すると、生成後のラスタデータ77が露光制御部514へと送られる。
【0077】
こうして生成された描画データは、データ生成部75から露光制御部514へと送られ、露光制御部514が光変調ユニット512、ステージ移動機構20の各部を制御することにより1ストライプ分の描画が行われる。なお、露光動作についは上記したとおり空間変調器511による電界発生制御により行われる。そして、1つのストライプに対する露光記録が終了すると、次の分割領域に対して同様の処理が行われ、ストライプごとに描画が繰り返される。
【0078】
<2.ステージの位置制御について>このパターン描画装置100は、上記の第1の干渉計34、第2の干渉計35の各計測結果に基づいてステージ10の位置を制御する機能を有する。以下では、このようなステージ10の位置制御について説明する。
【0079】
既述の通り、第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれ、ステージ10の第1の部位10aおよび第2の部位10bの位置に対応した位置パラメータを計測する。第1の干渉計34および第2の干渉計35は、それぞれの計測により取得された位置パラメータP1,P2を、制御部70へ送信する。図7に示したように、制御部70は、算出部としてのコンピュータ71を有する。このコンピュータ71の機能は、例えば、コンピュータ71のCPUが所定のプログラムに従って動作することにより実現される。
【0080】
一方、制御部70は、第1の干渉計34および第2の干渉計35から送信された位置パラメータに基づいてステージ10の位置(Y軸方向の位置およびZ軸周りの回転角度)を算出する。次に、制御部70は、算出されたステージ10の位置を参照しつつ、ステージ移動機構20を動作させることにより、ステージ10の位置やステージ10の移動速度を正確に制御する。ここでは、制御部70は、ステージ10をZ軸周りに回転させることにより、主走査方向の移動に伴うステージ10の傾き(Z軸周りの回転角度のずれ)も補正する。また、制御部70は、算出されたステージ10の位置を参照しつつ、レーザ駆動部55を動作させることにより、基板Wの上面に対するパルス光の照射位置を正確に制御する。
【0081】
<3.パターン描画装置の動作について>続いて、上記のパターン描画装置100の動作の一例について、図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0082】
パターン描画装置100において基板Wの処理を行うときには、まず、光学ヘッド部50から照射されるパルス光の位置や光量を調整するキャリブレーション処理を行う(ステップS1)。キャリブレーション処理においては、まず、ベースプレート24を移動させることにより、図示しないCCDカメラを光学ヘッド部50の下方に配置する。そして、CCDカメラを副走査方向に移動させつつ、光学ヘッド部50からパルス光を照射し、照射されたパルス光をCCDカメラにより撮影する。制御部70は、取得された画像データに基づいて、光学ヘッド部50の照明光学系53を動作させ、これにより、光学ヘッド部50から照射されるパルス光の位置や光量を調整する。
【0083】
キャリブレーション処理が完了すると、次に、作業者または搬送ロボット120が、基板Wを搬入してステージ10の上面に載置する(ステップS2)。後述の図9に示すように基板Wの上面の四隅には、アライメントマーク84が予め形成されている。また、基板Wの上面にはレジストによる感光材料層が予め形成されている。
【0084】
続いて、パターン描画装置1は、ステージ10上に載置された基板Wと光学ヘッド部50との相対位置を調整するアライメント処理を行う(ステップS3)。上記のステップS2では、基板Wはステージ10上のほぼ所定の位置に載置されるのであるが、微細なパターンを描画するための位置精度としては十分でない場合が多い。このため、アライメント処理を行うことにより基板Wの位置や傾きを微調整して、後続の描画処理の精度を向上させる。
【0085】
アライメント処理においては、まず、基板Wの上面の四隅に形成されたアライメントマーク84を、アライメントカメラ60によりそれぞれ撮影する。制御部70は、アライメントカメラ60により取得された画像中の各アライメントマーク84の位置に基づいて、基板Wの理想位置からのずれ量(X軸方向の位置ずれ量、Y軸方向の位置ずれ量、およびZ軸周りの傾き量)を算出する。そして、算出されたずれ量を低減させる方向にステージ移動機構20を動作させることにより、基板Wの位置を補正する。
【0086】
続いて、パターン描画装置1は、アライメント処理後の基板Wに対して描画処理を行う(ステップS4)。すなわち、パターン描画装置1は、ステージ10を主走査方向および副走査方向に移動させつつ、光学ヘッド部50から基板Wの上面に向けてパルス光を照射することにより、基板Wの上面に規則性パターンを描画する。
【0087】
描画処理が完了すると、パターン描画装置1は、ステージ移動機構20を動作させてステージ10および基板Wを搬出位置に移動させる。そして、作業者または搬送ロボット120が、ステージ10の上面から基板Wを搬出する(ステップS5)。
【0088】
本発明の要旨は、リードフレームや基板の役目をする1つの半導体チップ上に金属パターンを用いて複数の半導体チップを直接取り付けることである。このような半導体装置を製造するに際して本発明の直接描画方法と直接描画装置によれば本発明の目的を容易に達成することができる。以下、半導体装置としてはシリコン基板、金属フィルム、セラミック、ガラス基板等の支持基体に多数個の半導体チップを取り付ける半導体パッケージを例として説明する。
【0089】
図9は、パターン描画装置100にて処理される半導体装置(マルチチップモジュール)を備えた基板Wの構成する模式図である。図9(a)はメイン半導体チップのみを備えた基板W全体の平面模式図、図9(b)は図9(a)のA1−A2線に沿う概略断面図である。図9(c)は、半導体装置を備えた基板Wの概略断面図で、図9(d)は上面に絶縁層が塗布された状態を示す概略断面図ある。半導体装置(マルチチップモジュール)は、図9(c)に示すように、サブ半導体チップがメイン半導体チップ上に形成されており、この半導体装置が支持基体に保持された状態のものを基板Wとして取り扱われる。なお、本来は支持基体上に複数の半導体装置が配置されているが、以下の説明では便宜上、1個の半導体装置が配置されている基板Wを例として説明する。
【0090】
以下に、基板Wの構成について述べる。図9(a)を参照すると、リードフレームや基板の役目をする1つの半導体チップ、すなわち外周縁に沿って複数の電極パッドとしてのメインチップパッド81が設けられたメイン半導体チップ80上の所定の部分に、サブ半導体チップ82、83(図9(c)参照)を取り付けるための接着剤82a、83aを塗布する。メイン半導体チップ80は、周縁に相当する位置に4個の位置決め用のアライメントマーク84を備えている。各アライメントマーク84は一辺約0.1mmの領域に収まる十字形の多層膜反射層からなる。この多層膜反射層は、蒸着等の方法によって形成され、赤外線を効率よく反射するものである。
【0091】
そして、メイン半導体チップ80が円形の支持基体99に装着されている。支持基体99は樹脂等にて形成された板状体であり、図9(b)に示されるようにその表面にメイン半導体チップ80が配置される凹部99aが形成され、この凹部99aにメイン半導体チップ80が配置される状態でメイン半導体チップ80上面と支持基体99の上面は面一となる。凹部99aはメイン半導体チップ80の外周が嵌合する大きさで、メイン半導体チップ80は支持基体99に対して位置固定されることとなる。
【0092】
ここで、メイン半導体チップ80及びサブ半導体チップ82、83の組み合わせとしては、マイクロプロセッサ及びメモリの組み合わせ、マイクロプロセッサ及び非メモリの組み合わせ、メモリ及び非メモリの組み合わせなどを挙げることができる。
【0093】
図9(c)を参照すると、メイン半導体チップ80上の所定の部位に塗布された接着剤82a、83a上に、複数の電極パッドとしてのサブチップパッド85、86をそれぞれ有するサブ半導体チップ82、83を取り付ける。ここで、サブ半導体チップ82、83のサイズは、少なくともメイン半導体チップ80のサイズより小さいのが好ましい。また、このメイン半導体チップ80上に、複数のサブチップパッド85、86を取り付けたものがマルチチップモジュールとしての半導体装置である。そして、この半導体装置を支持基体99にて一体的に保持したものが基板Wである。
【0094】
また、メイン半導体チップ80に形成されたメインチップパッド81のサイズ及びサブ半導体チップ82、83に形成されたサブチップパッド85、86のサイズは、25μm〜150μm程度が好ましい。
【0095】
次に、図9(d)に示すようにメイン半導体チップ80上にサブ半導体チップ82、83を完全に埋め込むように、樹脂、すなわち絶縁層87を形成しパターン描画装置100を用いた配線パターン描画方法を用いた露光・エッチング工程を行い、絶縁層87の一部を選択的に除去する。これにより、メイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82、83に設けられたサブチップパッド85、86の上部を露出させる。ここで、絶縁層87としては、非導電性のポリイミド、ポリマー等が使用されることができる。
【0096】
以下、パターン描画装置100を用いた直接描画方法の処理動作を説明する。パターン描画装置100では、図9(d)に示す絶縁層87を有する基板Wに更に絶縁層87上面全体にレジスト層を形成された基板Wが基板収納用カセット110に収容されており、図6に示すように制御部70からの指令に応じて基板受渡領域に位置するステージ10の間で搬送される(ステップS1、S2)。
【0097】
その後、ステージ移動機構20によりステージ10がアライメントカメラ60の直下位置に移動して基板W上の各アライメントマーク(基準マーク)84を順番にアライメントカメラ60の撮像可能位置に位置決めし、アライメトカメラ60によるマーク撮像が実行されアライメント(ステップS3)が実行される。アライメントカメラ6から出力される画像信号は電装ラック内の制御部70により処理され、アライメントマーク84のステージ10上の位置が正確に求められる。ここで、ステージ10を光学ヘッド部50の直下位置に移動させた後に当該アライメントを行ってもよい。
【0098】
アライメント処理について更に説明する。基板Wは図示しないプリアライメント部でメカアライメント処理によってメカニカルなプリアライメントが行われてステージ10に装着される。続いて、アライメントカメラ60を用いてアライメント処理を行う。最初に基板Wとステージ10の回転中心のズレを補正するセンタリングを行う。センタリング処理を行うことで次に続く基板Wの位置決めは、回転補正だけで行えるというメリットがある。
【0099】
基板Wのアライメントマーク84が、アライメントカメラ60で基板Wの表面側から赤外線で絶縁層87とレジスト層を透過して、低倍で観察される。すなわち、初めにアライメントマーク84を低倍で撮像して基板Wの回転中心位置を求め、この処理の結果を用いて、ステージ10の回転中心に対するX方向のずれとY方向のずれを算出する。
【0100】
次に、アライメントカメラ60に対する基板Wの位置関係に対する直交2軸方向(X、Y方向)のズレ量を検出し、このズレ量を補正する。再度、アライメントマーク84がアライメントカメラ60で撮像可能な位置にステージ10を移動し、基板Wの端部のアライメントマーク84を検出する。ここでアライメントマーク84と回転中心の距離は遠いので、基板Wをステージ10に置いた際のθ成分の影響をうける。よって、アライメントマーク84の検出でセンタリング後の基板Wのズレ角を補正する。なお、アライメントマーク84の撮像に際してステージ10を移動させたが、アライメトカメラ60を移動するように構成してもよい。
【0101】
アライメントマーク84の位置を計測し、その計測結果に基づいて基板Wの回転角度位置を補正する。即ち、基板Wをセンタリング後の基板Wを回転させてアライメントマーク84が2軸方向に目標位置に位置されるように回転される。アライメントマーク84は、基板Wがセンタリングされていれば基板Wの端部において目標位置に位置していることとなる。よって、予め基板Wの端部位置に配置されている情報に基づいて、得られた画像の目標位置とのズレを検出しているので、アライメントマーク84の画像情報が基板端部位置情報として制御部70によって判断され、露光制御部514を介してステージ移動機構20が制御される。
【0102】
撮像画像の中からアライメントマーク84を検出する方法として、いわゆる2値化処理と称される方法が知られている。この方法は、基板W表面を撮影した多階調画像を、例えばモード法と呼ばれる手法で設定した階調値を閾値に設定して、2値画像に変換することで、画像中のアライメントマーク84を検出するものである。
【0103】
このようにしてアライメントマーク84が検出されると、2値化処理された撮像画像に対して、パターン認識の手法を駆使してこのアライメントマーク84を有する基板Wとアライメトカメラ60との回転角度誤差が算出され、その誤差を打ち消すように、基板Wを載置するステージ10が駆動される。そして、これらの位置情報に基づきθ軸駆動部が作動してステージ10を鉛直軸回りに微小回転させて基板Wへのパターン描画に適した向きとして光学ヘッド部50との位置関係がアライメント(位置合わせ)される。
【0104】
なお、アライメントマーク位置を求める方法は、2値化処理に限らず、例えば、マークの輪郭を抽出し、パターンマッチングする方法など様々な方法が有る。
【0105】
図8に戻って、メカプリアライメント処理によるメカニカルなアライメントが済み、ステージ10上に乗せられた基板Wに対して、アライメントが行われる。こうして基板Wの位置決めを終えると、この基板Wのステージ10上のズレ量が補正された位置情報に基づいて、光学ヘッド部50を用いて描画パターンを基板Wに焼きつける露光処理である描画処理が開始される(ステップS4)。
【0106】
次に、描画処理(ステップS4)として以下の詳細な処理が行われる。ここで、本実施の形態のパターン描画装置100での直接描画方法に先立って、下層パターンのモニターによる電極パッドの位置検出について、図10(a)、(b)、(c)を用いて説明する。図10(a)は下層パターンとしての配線パターンデータ76の例を示す図であり、図10(b)は基板Wからの反射光をアライメトカメラ60によって検出したモニター画像データを示す図である。図10(b)は基板Wからの反射光をアライメントカメラ60によって検出した場合のx方向の光強度分布と、それを2次微分することによって得られるエッジ検出信号とによって得られる図である。図10(c)は電極接続データの生成を示す図である。
【0107】
図10(a)において、配線パターンデータ76は、点線で示すメイン半導体チップ80の平面領域に相当する2次元領域800で示される。この2次元領域800内にサブ半導体チップ82、83に対応する領域82b、83bが設定される。この領域82b、83bではサブチップパッド85、86に対応する領域85a、85b、85c、85d、86a、86bが設定されている。更に、メイン半導体チップ80のメインチップパッド81に対応する複数の領域81a、81b(便宜上、2つのみを示す)が設定される。そして、動作命令として、それぞれの領域の電極接続パターンが設定される。具体的にはメイン半導体チップ80とサブ半導体チップ82との間では領域81aと領域85c、領域81bと領域85dが接続され、サブ半導体チップ82とサブ半導体チップ83との間では領域85aと領域86a、領域85bと領域86bが接続されることが設定される。
【0108】
アライメントカメラ60で基板Wをモニターすると、基板W上のメイン半導体チップ80とサブ半導体チップ82、83に対して照射したビームの反射光のうちの赤外光成分がアライメトカメラ60に入射する。赤外光成分は、レジストの反応にほとんど寄与せず、また、絶縁層を透過できるため、メインチップパッド81とサブチップパッド85、86を観察できる。図10(b)に示すように、メインチップパッド81とサブチップパッド85、86が金属であり、反射率が周囲よりも高いとすると、アライメトカメラ60によって観察される画像が得られる。これは光強度分布を2次微分することによって、エッジ検出ができるので、パッド画像81c、81d、85e、85f、85g、85h、86e、86fを含むモニター画像データ801が生成される。
【0109】
モニター画像データ801は、アライメントカメラ60で基板Wを分割連続撮像した後に結合することで生成される。または、基板Wの大きさが小さければアライメントカメ60の一括撮像にて得てもよい。モニター画像データ801は、電極接続データの生成に利用されるとともに描画データとして、ラスタライズ部73により描画データが示す単位領域を分割してラスタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存される。
【0110】
このモニター画像データ801と配線パターンデータ76をデータ生成部75において比較することでエッジが本来あるべき位置から、どれだけずれているかが判り、これによって、これから形成しようとする上層パターンに対しての、下層配線パターンであるメインチップパッド81とサブチップパッド85、86の位置ずれが検出できる。具体的には、モニター画像データ801と配線パターンデータ76を重ね合わせて配線パターンデータ76の領域81aに最も位置的に近似するパッド画像81cを対応するメインチップパッド81の実際の位置と認識する。ここで、メインチップパッド81の位置ズレは理想的には無いに等しく、位置ずれが発生するとなるとサブチップパッド85、86において発生すると言える。全てのパッド画像と領域との対応関係が決まると、次に電極接続パターンから電極接続データの生成を行う。
【0111】
例えば、モニター画像データ801と配線パターンデータ76を重ね合わせて位置ズレが発生すると、図10(b)に便宜的に点線で示したように、点線の部位にあるべきサブ半導体チップ83の領域86aと86bが、実線で示したパッド画像86e、86fとして画像が生成される。即ち、実際のサブ半導体チップ83が位置ズレして配置されていることとなる。
【0112】
図9(c)に示す基板Wの半導体装置の製造過程では、前工程でメイン半導体チップ80上の所定の部分に、サブ半導体チップ82、83を取り付ける際にずれが発生することがあった。これは、接着剤82a、83a上にサブ半導体チップ82、83を載置する精度の起因する場合もあれば、サイズの異なるサブ半導体チップ82、83の搬送精度のばらつきに起因する場合もあった。言い換えると、単純な組み立て工程に統一できない状況により結果的にメイン半導体チップ80上でいずれかのサブ半導体チップ82、83が位置ズレして取り付けられる結果を招いていた。
【0113】
更に、この位置ズレは半導体装置の製造過程では、メイン半導体チップ80上の所定の部分に、サブ半導体チップ82、83を取り付ける構造に起因して発生することがあった。これは、メイン半導体チップ80上に機械的な装着構造を設けることが困難であるため、取り付け構造も精度を高くするのに改善の余地があった。また、サイズの異なるサブ半導体チップ82、83を取り付けるとなるとその装着構造も汎用的になる結果、取り付け精度の低下を招いていた。そのため、サブ半導体チップ82、83の取り付けの位置ズレを検知して配線パターンデータ76を補正する必要がある。
【0114】
なお、本実施の形態においては、メインチップパッド81とサブチップパッド85、86として金属電極パッドを例に説明しているが、これに限定される訳ではない。すなわち、本発明の下層パターンは、主に赤外光が用いられるモニター光を反射して、凹凸あるいは反射率差を検出できるパターンであればよい。したがって、下層パターンは金属である必要はない。また、金属であるとしても、単一の金属原子だけでなく、その化合物でもよい。さらに、膜でなく、金属微粒子の集合体であってもよい。例えば、金属ナノ粒子を含有する溶剤をインクジェットで飛ばして電極パッドを形成する試みもなされている。また、赤外光等のモニター光を反射して、凹凸あるいは反射率差を検出できれば、セラミックス等のパターンでもかまわない。
【0115】
更に、このような配線パターンデータ76に対してのサブチップパッド85、86の位置ずれは、前工程でのサブ半導体チップ82、83を取り付ける際の精度や、熱処理による基板Wの変形によって生じる。マルチチップモジュールにおいては、サブ半導体チップ82、83の絶対位置よりもむしろ、サブチップパッド85、86の位置合わせが重要であることから、サブチップパッド85、86がずれてしまったら、それに合わせて配線パターンをパターニングすることが必要になる。したがって、サブチップパッド85、86の位置を検出し、その検出したサブチップパッド85、86に合わせて配線パターンを新たに生成する技術が重要である。
【0116】
空間光変調器511を用いる本実施形態のパターン描画装置100では、光変調ユニット512に入力するデータを修正もしくは新たに生成するだけで、描画位置の補正を行うことができる。すなわち、サブチップパッド85、86の位置がずれたとすると、ONにすべき変調素子537をずらしていけば良い。この結果、高速かつ高精度の位置合わせが可能となる。
【0117】
また、電子ビーム描画のように、1本ずつ位置補正しながら露光するのではなく、一定のエリアである露光領域の位置補正を一度に行って露光できるので、高速の露光が可能となる。また、本実施の形態ではフォトマスクやレチクルを用いずに、配線パターンデータとしてCADデータに基づいて露光を行う方式である。したがって、サブチップパッド85、86が本来存在すべき位置のデータを、CADデータが保有しているため、位置ずれの量を容易に認識できる。
【0118】
更に詳細に説明する。配線パターンデータ76ではサブ半導体チップ82、83のどのサブチップパッド85、86の間で配線されるべきかの電極接続パターン情報が存在する。具体的には、領域85aと領域86a、領域85bと領域86bが配線される。またサブ半導体チップ82のどのサブチップパッド85とメイン半導体チップ80のどのメインチップパッド81の間で配線されるべきかの電極接続パターン情報が存在する。具体的には、領域85cと領域81a、領域85dと領域81bが配線される。それぞれの電極パッドの間では配線パターンが必要となるが、配線データパターン76のまま描画した場合にズレが発生していると、以後の操作で配線パターンを生成しても接続されないこととなる。そのため、図10(b)に示す現実の電極パッドの位置に基づいて電極接続データをデータ生成部75で生成する必要がある。
【0119】
第一に、図10(b)のようにモニターされたメインチップパッド81とサブチップパッド85、86をそれぞれ配線パターンデータ76との近似データからそれぞれの電極パッドに対応するメインチップパッド81のパッド画像81c、81dとサブチップパッド85、86のパッド画像85e、85f、85g、85hと86e、86fと決定する。そして、同時に、電極パッドの接続関係を示す電極接続パターンのテーブルから接続すべきパッド画像が決まれば、パッド画像のそれぞれの座標を(x、y)として設定する。具体的にサブチップパッド85、86のパッド画像85eと86eで説明する。接続関係が設定されたパッド画像85eと86eの座標をモニター画像データ801から求める。その2つの座標間のベクトルデータL1を図10(c)に示すように生成する。ベクトルデータL1の生成は、2つの座標間で最短距離を結ぶ直線を求めることで線分データとして生成され、この電極接続データから描画データを生成する。
【0120】
続いて、残りのサブチップパッド85、86のパッド画像85fと86fの座標の間のベクトルデータL2を生成する。このベクトルデータL1、L2をモニター画像データ801に存在する全てのパッド画像の接続関係に対応するベクトルデータをデータ生成部75にて生成し、このベクトルデータによる電極接続データを描画データとする。即ち、図10(c)に示すベクトルデータを含む領域802を描画データとして生成する。
【0121】
次に、パターン描画装置100での、電極パッドのモニターによる描画のタイミングについて説明する。データ生成部75にて生成されたモニター画像データ801と領域802(電極接続データ)の描画データは、ラスタライズ部73により描画データが示す単位領域を分割してラスタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存される。露光制御部514がこのどちらかの描画データのラスタデータ77を受けて描画する。
【0122】
図9(d)に示す絶縁層87上にレジスト層を形成された基板Wに対しては、モニター画像データ801を用いて描画処理が行われる。モニター画像データ801に対応して空間光変調器511によって生成された露光パターンに対応した光は、図3に示すように、投影光学系517を通り、基板W上に結像される。基板Wはステージ10上に設置されており、露光ビームに対して基板Wが相対的に走査される。
【0123】
まず、図1に示すように、基板Wはステージ10によって連続走査される。ステージ10は、高速で往復運動する主走査方向と、主走査方向とは垂直であり、かつ主走査の方向切り替え時にステップ移動する副走査方向とに基板Wを載置したステージ10を駆動可能であり、ステージ移動機構20によって駆動制御される。主走査方向と副走査方向とのそれぞれの変位量は、図示しない変位検出手段によって、常に高精度にモニターされている。
【0124】
パターン描画装置100では、光学ヘッド部50が基板Wの主走査方向の端部上方まで到達すると、基板Wの移動が停止される。そして、基板Wを副走査方向に所定距離だけ移動した後、基板Wの主走査方向への移動が開始され、基板Wが連続的に移動する間、光学ヘッド部50の高さ調整および光ビームのON/OFF制御が継続して行われる。基板Wを副走査方向に移動しつつ、上記の処理が繰り返され、基板Wの全体にパターンが描画されるとパターン描画処理が完了する。
【0125】
ところで、本実施の形態においては、ステージ10が主走査方向に移動している間、常に露光が行われている訳ではなく、図3に示すように、空間光変調器511による所定領域としての露光領域の走査が終了するごとに、パルス的に光が照射され、露光が行われる。
【0126】
以上のように、ステージの主走査、副走査を繰り返しながら、1パルスによる露光領域での露光を、基板Wの全露光対象領域に対して行い、1パルスによる露光領域を1単位として基板Wの全露光対象領域を埋め尽くすことによって、基板W全体の露光が完了する。
【0127】
こうして、基板W上の描画が終了して基板Wの表面への所望パターンの描画が完了すると、ステージ10は描画済み基板Wを載置したまま基板受渡位置(図1および図2の左側領域)に移動した後、基板搬送ロボット120により基板Wがカセットへと戻され、次の基板Wが取り出されて上記したと同様の一連の処理が繰り返される。さらに、基板収納カセット110に収納されている全ての基板Wに対するパターン描画が終了すると、基板収納カセット110がパターン描画装置100から搬出される。
【0128】
パターン描画が行われた基板Wでは、メイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82、83に設けられたサブチップパッド85、86の上部のレジスト層が露光させる。
【0129】
描画処理が完了した基板Wの次の工程を説明する。図11及び図12は、本発明の好ましい実施例によって半導体装置を製造する工程を示す工程順序図である。以下では、説明の便宜と理解の増進のために、特に図9(d)のB1−B2線の左側部分でB3−B4線とで囲まれた領域に着目して本発明に係る半導体パッケージの製造工程を説明する。
【0130】
次に、パターンの描画が完了した基板Wが現像・エッチング工程に送られ、更に、上層のレジスト層が除去され図11(a)に示されたように、メイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82に設けられたサブチップパッド85の上部を露出させる。そして、スパッタリング又は蒸着(evaporation)等の工程を行うことによって、図11(b)に示されたように、メイン半導体チップ80の全面にわたってTi/Wからなる下部障壁層88と、純銅からなるシード層89を順に形成する。ここで、下部障壁層88は、拡散防止と接着力増大のためのものであり、Cr+Ni、Ti/W+Ni又はCr+Co+Niからなる混合物を使用することもできる。
【0131】
次に、メイン半導体チップ80の全面にわたってフォトレジストを塗布した後、露光及び現像工程を行うことによって、メイン半導体チップ80上にフォトレジストパターン90を形成する。図12(a)に示されたように、メイン半導体チップ80のメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82のサブチップパッド85並びにこれらのパッド間を金属パターンで連結すべき部分が露出される形状を有するフォトレジストパターン90を形成する。
【0132】
この工程において基板Wはパターン描画装置100を用いた直接描画方法にて露光を施される。図9(d)に示す基板Wはモニター画像データ801を描画データとして露光処理を行ったが、電極接続データである領域802の描画データを用いて同様に露光処理を行う。即ち、図10(c)に示す領域802のベクトルデータL1、L2に相当するように基板W上で露光が行われる。
【0133】
パターン描画装置100ではデータ生成部75にて生成された電極接続データである領域802の描画データは、ラスタライズ部73により描画データが示す単位領域を分割してライタライズし、ラスタデータ77を生成しメモリ72に保存される。露光制御部514がこの電極接続データのラスタデータ77を受けてフォトレジストパターン90に電極接続パターンを描画する。基板Wの全体にパターンが描画されるとパターン描画処理が完了してカセットに収納されている全ての基板Wに対するパターン描画が終了すると、カセットがパターン描画装置1から搬出される。そして、現像工程が行われる。
【0134】
本実施の形態では、アライメントカメラ60でモニターを行っており、更に露光用とモニター用とは異なる手段を用いているため、位置モニターの後に露光を開示する前に、電極パッドの位置に基づいて描画データを生成する時間が取れる。
【0135】
そこで、露光する直前の電極パッドの位置をモニターする。次に、露光開始までの間に、位置ズレに対応した電極接続データと、それに基づいた描画データの生成とを行う。このように、本実施の形態のパターン描画装置100および描画方法では、基板W上にすでに配置されている、サブ半導体チップの電極パッドを検出して生成したモニター画像データと電極接続データで描画処理を行う。すなわち、位置ズレがこれ以上発生しえない状況で電極接続を行うのでより確実に配線パターンが形成される。これにより、高速かつ高精度に半導体装置が製造することが可能なパターン描画装置100および描画方法を提供することができる。
【0136】
図12(b)を参照すると、メッキ工程を行うことによって、フォトレジストパターン90が形成されていない露出領域、すなわちメイン半導体チップ80に設けられたメインチップパッド81及びサブ半導体チップ82に設けられたサブチップパッド85並びにこれらのパッドを連結する部分を、電気伝導性に優れた金属物質(例えば、銅、金等)を用いてフォトレジストパターン90の高さまでメッキした後、ストリップ(strip)工程によりフォトレジストパターン90を除去することによって、シード(seed)層89上にメインチップパッド81とサブチップパッド85とを電気的に連結する金属層91を形成する。
【0137】
次に、金属層91が形成されたメイン半導体チップ80の全面にわたってフォトレジストを塗布した後、露光及び現像工程を行うことによって、メイン半導体チップ80上にマスクパターン92を形成し、図13(a)に示されたように、金属層91の上部のみを覆うマスクパターン92を形成する。この露光処理に於いては、前述同様にパターン描画装置100に基板Wが搬入され処理されるが、描画データは領域802の反転データを描画データとして露光処理される。
【0138】
次いで、マスクパターン92をエッチングマスクとするエッチング工程を行うことによって、金属層91の下部に形成されたシード層89及び下部障壁層88を除く残りの部分を選択的に順次除去することにより、絶縁層87の一部を露出させ、ストリップ工程によりマスクパターン92を除去することによって、図13(b)に示されたように、下部障壁層88、シード層89及び金属層91からなり、メインチップパッド81とサブチップパッド85とを電気的に連結する金属パターン93が形成される。このように形成される金属パターン93の幅は、好ましくは、25〜150μmであり、その厚さは、好ましくは、2000Å〜10mil(254μm)である。
【0139】
一方、本発明の好ましい実施例では、金属パターン93をTi/W+Cu+Cu又はTi/W+Cu+Auから形成したが、本発明がこの実施例に限定されるものではなく、Cr+Ni+Au、Cr+Ni+Au+Cu、Cr+Co+Ni+Au、Cr+Co+Ni+Cu+Au等の組み合わせで金属パターン93を形成することもできる。
【0140】
次に、基板Wの支持基体99からメイン半導体チップ80を取り出す。そして、金属パターン93が形成されたメイン半導体チップ80の全面にわたって所定の厚さ(例えば、10乃至100μm)の封止材、例えば、ソルダレジスト94を塗布した後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程等を行うことにより、図14(a)に示されたように、金属パターン93の上部の一部を選択的に露出させる。
【0141】
終わりに、図14(b)に示されたように、金属パターン93の露出部分にソルダランド95を形成した後、ソルダボール96を取り付けることにより、半導体パッケージの製造を完了する。
【0142】
従って、上述したような一連の工程により製造される本発明の半導体パッケージは、図9に示されたように、メイン半導体チップ80上にサブ半導体チップ82、83が搭載され、メイン半導体チップ80の外周縁に形成されたメインチップパッド81とサブ半導体チップ82、83の外周縁に形成されたサブチップパッド85、86との間及びサブ半導体チップ82、83のサブチップパッド85、86間が、金属パターン93又は金属パターン93及びソルダランド95を介して電気的に連結され、金属パターン93、ソルダランド95及びメインチップパッド81を除くメイン半導体チップ80の上部部分が封止材のソルダレジスト94で封止された構造を有する。
【0143】
以上説明したように、本発明によると、基板W上に既に配置されているサブ半導体チップの電極パッドを検出して生成したモニター画像データおよび電極接続データで描画処理を行う。すなわち、位置ズレに対応した状況で電極接続を行うのでより確実に電極配線パターンが形成される。これにより、高速かつ高精度に半導体装置が製造することが可能なパターン描画装置100および描画方法を提供することができる。
【0144】
本発明は、本発明の技術的思想から逸脱することなく、他の種々の形態で実施することができる。前述の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例のみに限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求の範囲内で様々な改変を実施することができる。
【0145】
例えば上記実施形態では、メイン半導体チップ上に複数のサブ半導体チップを積層する半導体装置の製造工程で説明したが、メイン半導体チップに代えて支持基板を用いて支持基板上に複数の半導体チップを配置し、その半導体チップの電極パッド間を配線接続する半導体装置(マルチチップモジュール)の製造に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0146】
この発明にかかわる直接描画方法および直接描画装置によれば、基板上にすでに配置されている、サブ半導体チップの電極パッドを検出して生成した電極接続データで描画処理を行うことができる。よって、高精度な半導体装置の製造に好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0147】
10 ステージ
100 パターン描画装置
50 光学ヘッド部
511 空間光変調器
60 アライメントカメラ
70 制御部
75 データ生成部
76 配線パターンデータ
80 メイン半導体チップ
82、83 サブ半導体チップ
99 支持基体
801 モニター画像データ
802 領域(電極接続データ)
W 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、前記光学ヘッド部により直接露光する直接描画方法であって、
前記直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出する電極パッド位置検出ステップと、
前記直接描画装置に入力された配線パターンデータと、前記電極パッド位置検出ステップによる検出位置から直接描画装置内の制御部が、電極接続データを生成する描画データ生成ステップと、
前記制御部が、前記電極接続データを、ラスタデータ形式の装置用データに変換する変換ステップと、
前記光学ヘッド部が、前記相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を前記装置用データに基づいて直接露光する露光ステップと、
を備えることを特徴とする直接描画方法。
【請求項2】
請求項1記載の直接描画方法において、前記描画データ生成ステップが、前記電極パッド位置検出ステップにより該電極パッドの位置を検出すると共に、その電極パッドの位置の検出結果に基づいて電極パッド位置を示す描画データを生成することを特徴とする直接描画方法。
【請求項3】
直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、前記光学ヘッド部により直接露光する直接描画装置であって、
前記直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出するモニター手段と、
前記直接描画装置に入力された配線パターンデータと、前記モニター手段による検出位置から、電極接続データを生成し、前記電極接続データをラスタデータ形式の装置用データに変換する制御部と、
前記光学ヘッド部が、前記相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を前記装置用データに基づいて直接露光することを特徴とする直接描画装置。
【請求項1】
直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、前記光学ヘッド部により直接露光する直接描画方法であって、
前記直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出する電極パッド位置検出ステップと、
前記直接描画装置に入力された配線パターンデータと、前記電極パッド位置検出ステップによる検出位置から直接描画装置内の制御部が、電極接続データを生成する描画データ生成ステップと、
前記制御部が、前記電極接続データを、ラスタデータ形式の装置用データに変換する変換ステップと、
前記光学ヘッド部が、前記相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を前記装置用データに基づいて直接露光する露光ステップと、
を備えることを特徴とする直接描画方法。
【請求項2】
請求項1記載の直接描画方法において、前記描画データ生成ステップが、前記電極パッド位置検出ステップにより該電極パッドの位置を検出すると共に、その電極パッドの位置の検出結果に基づいて電極パッド位置を示す描画データを生成することを特徴とする直接描画方法。
【請求項3】
直接描画装置の光学ヘッド部に対して相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を、前記光学ヘッド部により直接露光する直接描画装置であって、
前記直接描画装置のステージ上の露光対象基板の電極パッドの位置を検出するモニター手段と、
前記直接描画装置に入力された配線パターンデータと、前記モニター手段による検出位置から、電極接続データを生成し、前記電極接続データをラスタデータ形式の装置用データに変換する制御部と、
前記光学ヘッド部が、前記相対移動するステージ上に載せられた露光対象基板を前記装置用データに基づいて直接露光することを特徴とする直接描画装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−42587(P2012−42587A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182149(P2010−182149)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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