説明

相対高さ検出装置

【課題】突出した2点あるいは3点間の相対高さを、簡単な構成により、高い精度で検出可能な相対高さ検出装置を提案すること。
【解決手段】相対高さ検出装置1は傾斜表示板2を備えており、基準面5aに載せた測定対象の球体a、bの上に点接触状態で傾斜表示板2を載せる。傾斜表示板2には角度センサ3が組み込まれており、球体a、bの高低差に対応した傾斜姿勢となっている傾斜表示板2の傾斜角度が角度センサ3によって測定される。演算装置4では、傾斜角度θxと、球体a、b間の既知の距離L1に基づき、球体a、bの高さの違いを検出する。球体a、bの微小な高低差が傾斜表示板2の比較的大きな傾斜角度として現れるので、この傾斜角度に基づき、球体a、b間の高低差を高い分解能で検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立したセンサでは捕らえ難い2点間あるいは3点間の高さの違いを検出する相対高さ検出装置に関する。特に、軸受けの転動体などに用いられる球体、円筒体などの部品の寸法のバラツキを検出するために用いるのに適した相対高さ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面から突出している2点あるいは3点の高さの差を高精度に測定したいという要求は、位置制御ピンの高さ調整、軸受け用の球や円筒直径のバラツキの測定、油膜の付着した円筒母線の真直形状の接触式測定などの目的で、しばしば現れる。
【0003】
2点あるいは3点の高さの違いを単独の変位計を使用して測定する場合には、目標の測定対象物の突出部の高さを測定した後に、変位計と測定対象物の相対高さが変わらないように、変位計を他の測定対象物に移動して当該測定対象物の突出部の高さを測る、という高精度の走査制御が必要である。3次元測定機を用いる場合にも同様に高精度の走査制御が必要である。複数の変位計を目標位置に配置して、測定対象の頂点位置の変化を測定する方法を採用することも可能であるが、装置構成が大掛かりとなり装置コストも高くなる。
【0004】
ここで、球の直径や、円筒の直径あるいは長さの測定にはマイクロメータが用いられている。また、相対比較測定法としてVブロック法が知られている。例えば、特許文献1においては、鋼球の外周面に接触させる接触子を備えた変位測定器を用いて鋼球の直径を測定するための球体寸法測定方法が開示されており、特許文献2には、載置台に載せた球体に横方から照射したレーザビームを受光することにより球体の外径を算出する外径測定方法が開示されている。
【0005】
一方、従来においては、オートコリメータで反射面の傾斜を測定する方法、水準器を用いて傾斜角度を測定する方法が知られている。
【特許文献1】特開平11−47698号公報
【特許文献2】特開2001−241938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイクロメータを用いて球や円筒の直径などを測定する方法は、一個の球、一個の円筒の平均直径を知るには有効であるが、2個の球の直径を直接に比較測定することができず、また、円筒の直線母線上の2点の高さの差を直接に比較測定することもできない。Vブロック法では円筒直径や真円度の相対比較測定はできるが、円筒のテーパなどを簡単に測定することができないという問題点がある。
【0007】
3次元測定機を、多数の部品が流れるラインの中で用いるには、測定所用時間が掛かりすぎるという問題点がある。また、部品の突出部を的確に捉えうる変位計が得がたいだけでなく、たとえ得られたとしても、その変位計のドリフトによるゼロ点の変化が問題となり、高精度で安定した測定には向かない。
【0008】
ここで、オートコリメータや水準器を用いて、複数のピンの高さの差、複数の球の頂点の高さの差、円筒の直線母線の2点の高さの差など、平面以外の突出した部分の高さの差を精度良く検出することについては、従来においては何ら着目されておらず、また、そのような提案も全くなされていない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、測定対象の突出点の間の微小な高さの差を、簡単な構成、簡単な操作により高い精度で検出できるようにした相対高さ検出装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の相対高さ検出装置は、
測定用の基準面と、
この基準面から突出している定まった間隔にある第1測定点および第2測定点に点接触させると、これら2つの測定点の高さの差による傾斜を表すことのできる傾斜表示体と、
この傾斜表示体の前記基準面に対する傾斜角度を測定する角度測定手段と、
測定した前記傾斜角度に基づき、前記2つの測定点の相対高さを検出する検出手段とを有していることを特徴としている。
【0011】
この場合に用いる傾斜表示体は、第1測定点および第2測定点を含む基準面に直交する直交面上において、これら第1および第2測定点を結ぶ直線の基準面に対する傾斜角度を表すことができるものであればよい。
【0012】
傾斜表示体の傾斜を、例えば、傾斜表示体に組み込まれている角度センサ、あるいは、オートコリメータなどの傾斜角度検出手段によって測定すれば、検出手段において、測定した傾斜角度と、第1および第2測定点の距離とに基づき、第1および第2測定点の相対高さ(高低差)を算出できる。
【0013】
ここで、基準面から突出している支持点を、第1および第2測定点に対して直線状に並ぶことの無い位置に配置しておき、傾斜表示体として、第1および第2測定点と支持点の3点に点接触させると、これら3つの点の高さの差による2方向の傾斜を表すものを用いることができる。この場合には、角度測定手段によって、傾斜表示体の基準面に対する2方向の傾斜角度を測定し、検出手段によって、測定した2方向の傾斜角度に基づき、第1および第2測定点の高低差と、当該第1および第2測定点の基準面からの平均高さを検出することができる。
【0014】
この場合に用いる傾斜表示体は、第1測定点、第2測定点および支持点の3点によって規定される平面の基準面に対する傾斜を表すことができるものであればよい。
【0015】
本発明の相対高さ検出装置は、基準面に一定間隔で載せた第1測定対象物および第2測定対象物の頂点の相対高さを検出するために用いることができる。
【0016】
この場合、多数個の測定対象物を既知の間隔で基準面上に支持する試料台と、この試料台に支持されている測定対象物の頂点が順次に第1測定点および第2測定点に位置するように、測定対象物および傾斜表示体を相対移動させる移動手段とを備えた構成とすることが望ましい。例えば、複数個の測定対象物を直線状あるいは円形の相対移動路に沿って間欠的に移動させることにより、2個ずつの測定対象物の相対高さを順次に検出することができる。
【0017】
ここで、典型的な測定対象物は、球体、または、基準面に横置き状態で載せた円柱体あるいは円筒体である。例えば、軸受けの転動体の相対高さのバラツキの測定に本発明の相対高さ検出装置を用いることができる。
【0018】
また、本発明の相対高さ検出装置は、基準面に載せた同一の測定対象物上の異なる2点の相対高さを検出するために用いることができる。例えば、基準面に横置き状態で載せた円柱体あるいは円筒体における直線母線上の2点の高さの差を検出するために用いることができる。
【0019】
次に、本発明の相対高さ検出装置を、3つの測定点の相対高さを検出するために用いる場合には、基準面から突出している定まった間隔にある第1測定点、第2測定点および第3測定点に点接触させると、これら3つの測定点の高さの違いによる2方交の傾斜を表すことのできる傾斜表示体を使用し、角度測定手段によって、この傾斜表示体の基準面に対する2方向の傾斜角度を測定し、検出手段によって、測定した2方向の傾斜角度に基づき、3つの測定点の相対高さを検出すればよい。
【0020】
この場合の傾斜表示体は、第1測定点、第2測定点および第3測定点の3点によって規定される平面の基準面に対する傾斜を表すものであればよい。
【0021】
この構成の本発明の相対高さ検出装置は、基準面に一定間隔で載せた第1、第2および第3測定対象物の各頂点の相対高さを検出するために用いることができる。例えば、軸受けの転動体などの球体の相対高さを検出することができる。また、機械部品などの同一測定対象物における3点の相対高さを検出するために用いることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の相対高さ検出装置は、測定対象の2点あるいは3点に点接触するように傾斜表示体を配置し、この傾斜表示体の1方向あるいは2方向の傾斜角度を測定し、測定した傾斜角度に基づき2点あるいは3点の高低差、または、2点の平均高さを検出するようにしている。
【0023】
本発明によれば、測定対象の点の間の微小な高低差が傾斜表示体によって比較的大きな傾斜角度として表すことができるので、単一の変位計を用いて簡単かつ極めて高い分解能で高さの差を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した相対高さ検出装置の実施の形態を説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明を適用した実施の形態1に係る相対高さ検出装置の原理を示す説明図である。相対高さ検出装置1は、相対高さを知るべき2点に接する面の傾斜を代表できる傾斜表示板2と、この傾斜表示板2の傾斜角度を測定する角度センサ3と、角度センサ3によって測定された傾斜角度に基づき2点間の高低差を算出するコンピュータなどからなる演算装置4とを有している。角度センサ3は例えば傾斜表示板2に一体化されており、目的の方向と直交する傾斜成分には影響されずに傾斜を測定できるものを用いている。
【0026】
測定対象物は例えば球体a、bであり、この場合には、相対高さ検出装置1は球体a、bを一定の既知の間隔で移動しないように載せることのできる基準面5aを備えた試料台5を備えている。
【0027】
傾斜表示板2は、球体a、bに点接触状態で載せることができるように、裏面2aが平面となっている。基準面5aに載せた2個の球体a、bの上に傾斜表示板2を載せると、その裏面2aが2点(第1測定点Aおよび第2測定点B)で球体a、bに接する。この第1および第2測定点A、Bを含む基準面5aに直交する直交面Sx上において、第1および第2測定点A、Bを結ぶ線分Lxが基準面5aと成す傾斜角度θxが、角度センサ3によって測定される。
【0028】
傾斜表示板2は、この直交面Sxに直交する軸線2cを中心として上下方向に揺動自在の状態で不図示の支持手段によって支持されており、第1、第2測定点A、Bの高低差に対応した傾斜姿勢が形成され、その状態で移動しないように保持されるようになっている。
【0029】
基準面5aに載せた2個の球体a、bの間隔L1は既知であり、演算装置4では、この間隔Lと、傾斜角度θ1に基づき、第1、第2測定点A、Bの高低差を演算できる。換言すると、球体a、bの直径差を演算できる。2点A、B間の微小な高低差が、傾斜表示板2によって比較的大きな傾斜角度として現れるので、極めて高い分解能で高低差を測定することができる。
【0030】
なお、一方の球体、例えば、球体aとして、直径が既知の測定基準となるマスター球を用いれば、他方の球体bの高さ(直径)も算出することができる。
【0031】
また、オートコリメータなどの光学式の変位計を用いて傾斜表示板2の傾斜角度を測定することもできる。例えば、傾斜表示板2の表面2bを裏面2aと平行な平坦反射面としておき、直交面Sx上から当該平坦反射面に検出光を照射し、その反射光の反射角度から傾斜角度を算出すればよい。
【0032】
さらに、測定対象物として、球体以外の形状のもの、円柱体、円筒体、多面体などであってもよい。例えば、円柱体、角柱体の高低さを検出する場合には、図2に示すように、傾斜表示体として、裏面に球体6、半球体7、円錐体あるいは四角錐8などの点接触によって測定対象物に載せることのできる部位を形成しておけばよい。
【0033】
(実施の形態1の変形例)
図3は実施の形態1の変形例に係る相対高さ検出装置の原理を示す説明図である。相対高さ検出装置1Aは、例えば、円柱体(円筒体)a1の選別に用いることができる。この相対高さ検出装置1Aは、相対高さを知るべき2点に接する面の傾斜を代表できる傾斜表示板2Aと、この傾斜表示板2Aの傾斜角度を測定する2次元角度センサ3Aと、角度センサ3Aによって測定された傾斜角度に基づき2点間の高低差を算出するコンピュータなどからなる演算装置4Aとを有している。
【0034】
傾斜表示板2Aは図のx方向に延びる軸線およびy方向に延びる軸線を中心として上下に揺動自在の状態で支持されている。角度センサ3Aは例えば傾斜表示板2Aに一体化されており、図のx方向およびy方向の傾斜角度θxおよびθyを測定できるものを用いている。測定対象物を載せるための試料台5の基準面5aには、傾斜表示板2Aの支持点Cを規定する支持球cを載せる位置が規定されている。
【0035】
傾斜表示板2Aの裏面2aには、測定対象物の円柱体a1の直線母線に沿う2点に点接触するように、一対の半円形断面の部材2dが取り付けられている。基準面5aに、測定対象の円柱体a1をy軸方向に横置き状態で載せ、この円柱体a1と支持球cの上に傾斜表示板2Aを載せる。この結果、傾斜表示板2Aは第1測定点Aおよび第2測定点Bで円柱体a1に接し、支持点Cで支持球cに接する。このため、傾斜表示板2Aは、これらの3点によって規定される平面Sの基準面5aに対する傾斜を表す。したがって、傾斜表示板2Aに組み込まれている2次元角度センサ3Aによって、x方向の傾斜角度θxと、これに直交するy方向の傾斜角度θyとが測定される。
【0036】
図示の例では、傾斜角度θxは測定対象の円柱体a1における直線母線方向の2点A、Bの高低差に対応する角度であり、傾斜角度θyは、2点A、Bの基準面5aに対する平均高さに対応する角度である。演算装置4Aでは、2点間の既知の距離Lyと、円柱体a1と支持球cの間のx方向の距離Lyと、支持球cの高さ(直径)に基づき、2点A、Bの高低差(テーパ)、および、これらの2点の平均高さ(平均直径)を演算することができる。なお、支持球cの代わりに、球面軸受けを用いることができる。
【0037】
(実施の形態2)
図4は本発明を適用した実施の形態2に係る相対高さ検出装置の原理を示す説明図である。この相対高さ検出装置11は、同じ高さにあるべき3点、例えば、精密部品の3点支持用のピン、または、同一寸法であることが望ましい3個の球体の高さの僅かの違いを、3点で支えられる傾斜表示体によって表される平面の傾斜を測定することにより、極めた高い分解能で測定できるようにしたものである。
【0038】
この相対高さ検出装置11は、相対高さを知るべき3点に接する面の傾斜を代表できる傾斜表示板12と、この傾斜表示板12の傾斜角度を測定する2次元角度センサ13と、角度センサ13によって測定された傾斜角度に基づき3点間の高低差を算出するコンピュータなどからなる演算装置14とを有している。角度センサ13は例えば傾斜表示板12に一体化されており、xおよびy方向の傾斜角度を測定できるものである。
【0039】
測定対象物は例えば球体a、b、cであり、この場合には、相対高さ検出装置11は球体a、b、cを一定の既知の間隔で移動しないように載せることのできる基準面15aを備えた試料台15を備えている。球体a、b、cは基準面15a上において一直線上に並ばない位置に載せるようにしてある。
【0040】
傾斜表示板12は、球体a、b、cに点接触状態で載せることができるように、裏面12aが平面となっている。基準面15aに載せた3個の球体a、b、cの上に傾斜表示板12を載せると、その裏面12aが3点(第1測定点A、第2測定点Bおよび第3測定点C)で球体a、b、cに接する。これら第1、第2および第3測定点A、B、Cを含む平面Sの基準面15aに対する傾斜を表す2方向の傾斜角度θxおよびθyが2次元角度センサ13によって測定される。なお、傾斜表示板12は、3つの測定点の高さ位置に応じて2軸方向に自由に傾斜できるように不図示の支持手段によって支持されている。
【0041】
ここで、3つの測定点の1点、例えば、測定点Cを、球面軸受け機構などのような既知の高さの支持機構に置き換えることができる。例えば、傾斜表示体12の側に凹球面を形成し、この部位を相補的な凸面状の部材で支持することにより、この測定点Cを高さの基準点とすることができ、また、この点を中心として傾斜表示板12を、2軸方向の傾斜を拘束しない状態で支持できる。このようにすれば、2つの測定点A、Bの高低差および、それぞれの高さを検出できる。
【0042】
すなわち、1個の球体cの直径を基準にすれば、他の2個の球体の直径差と、2個の球体の直径の平均値と基準球の違いが2方向の傾斜角度から決定できる。したがって、基準球に対する他の2個の球体のそれぞれの直径差を検出できる。
【0043】
ここで、上記の例では測定対象物の球体を載せる基準面15aが平面となっている。この代わりに、基準面の適切な位置3箇所に穿った三角錐状の溝に測定対象の球体を配置し、球体を移動しないように基準面上に設置してもよい。この場合には、3つの溝における球体の支持位置深さの誤差、3つの球体の頂点に接する傾斜表示板12の裏面12aの平面形状偏差が問題になる。
【0044】
このような偏差については、2個の球体を入れる溝の位置を入れ替える、所謂、反転の方法を適用し、反転前後の2回の測定値の差から2個の溝の球面支持位置深さの誤差と、傾斜表示板12の裏面12aの平面形状偏差との合成誤差を分離検出することができる。また、残された1個の球体についても、同様の反転操作を適用すれば、3箇所の高さ誤差を補償できる。
【0045】
このようにして、各溝の高さ誤差を検出し、基準球を定めると、この後は、2個の溝に順次に測定対象の球体を配置して、各球体の直径差を検出していくことができる。
【0046】
なお、球体を保持するための保持溝としては、三角錐の溝の代わりに、円錐溝であってもよい。また、3本のピンゲージなどを円錐状に配置して、3本の線で規定される3点支持機構によって測定対象の球体を保持してもよい。なお、測定対象の球体に対して、非対称な方向から空気を吹きつけるなどして、球体が接している3点の位置を変えて繰り返し測定すれば、球体の真球形状偏差の影響を除去して、平均直径を算出できる。
【0047】
(実施の形態3)
図5は本発明を適用した実施の形態3に係る相対高さ検出装置を示す説明図である。相対高さ検出装置21は、傾斜表示板22と、この傾斜表示板22に組み込まれている2次元角度センサ23と、2次元角度センサ23によって測定された傾斜表示板22の2軸方向の傾斜角度に基づき測定対象の球体の直径のバラツキ、および、平均高さの変化を検出する演算装置24と、選別対象の球体a(n)(n=1,2,3・・・)を測定位置を経由するx方向の移動経路に沿って移動させる移動ステージ25とを有している。
【0048】
移動ステージ25には、選別対象の球体a(n)を載せるための基準面を規定している直線状のV溝26が形成されている。このV溝26には相互に接した状態で多数個の球体a(n)が直線状に並べられている。
【0049】
傾斜表示板22は、移動ステージ25による球体の移動経路上に位置する先端部の裏面22aに、隣接配置されている2個の球体の頂点に点接触可能な一対の突起22dが取り付けられている。また、傾斜表示板22の後端部の裏面は、例えば球面軸受け27によって支持されている。この球面軸受け27による支持点の高さは既知である。
【0050】
この構成の寸法選別装置21では、移動ステージ25をx方向に間欠的に一定の送りピッチで送りながら、順次に、2個の球体に傾斜表示板22の突起22dを接触させ、これら2個の球体の高さの差、および、2個の球体の平均高さの変化を測定する。
【0051】
なお、2つの測定点の高さの差のみを検出する場合には、傾斜角度表示板22は図において矢印28で示すピッチング方向のみ自由度を持つ状態に支持すればよく、角度センサ23もピッチング方向の角度のみを検出できる1次元角度センサでよい。
【0052】
また、球体を支持するV溝26の端と中間の数箇所に寸法が既知の球体、あるいは、基準となる頂点高さを表す寸法基準点を設けて、偶然誤差の累積を修正できるようにしてもよい。
【0053】
さらに、一定の間隔で測定対象の球体を複数個保持した保持具を移動ステージ25のV溝26に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0054】
さらには、図6に示すように、測定対象の球体を円周方向に一定の間隔で配置しておき、この中心回りに、傾斜表示体を相対回転させて、隣接球体の高低差を順次検出することも可能である。なお、図6においては図5における各部分に対応する部位には同一の符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用した実施の形態1に係る相対高さ検出装置の説明図である。
【図2】図1の相対高さ検出装置の変形例を示す説明図である。
【図3】図1の相対高さ検出装置の変形例を示す説明図である。
【図4】本発明を適用した実施の形態2に係る相対高さ検出装置の説明図である。
【図5】本発明を適用した実施の形態3に係る相対高さ検出装置の説明図である。
【図6】図5の相対高さ検出装置の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1、11、21 相対高さ検出装置
2、2A、12、22 傾斜表示板
2a、12a、22a 裏面
2b 表面
2c 軸線
2d 部材
3、3A、13、23 角度センサ
4、4A、14、24 演算装置
5、15、25 試料台
5a、15a、 基準面
6 球体
7 半球体
8 四角錐
22d 突起
26 V溝
27 球面軸受け
A 第1測定点
B 第2測定点
C 第3測定点(支持点)
a、b 球体
c 円柱体(円筒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定用の基準面と、
この基準面から突出している定まった間隔にある第1測定点および第2測定点に点接触させると、これら2つの測定点の高さの差による傾斜を表すことのできる傾斜表示体と、
この傾斜表示体の前記基準面に対する傾斜角度を測定する角度測定手段と、
測定した前記傾斜角度に基づき、前記2つの測定点の相対高さを検出する検出手段とを有している相対高さ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の相対高さ検出装置において、
前記傾斜表示体は、前記第1測定点および前記第2測定点を含む前記基準面に直交する直交面上において、これら第1および第2測定点を結ぶ直線の前記基準面に対する傾斜角度を表すことを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の相対高さ検出装置において、
前記基準面から突出している支持点を有し、
この支持点は、前記第1および第2測定点に対して直線状に並ぶことの無い位置に配置されており、
前記傾斜表示体は、前記第1および第2測定点と前記支持点の3点に点接触させると、これら3つの点の高さの差による2方向の傾斜を表し、
前記角度測定手段は、前記傾斜表示体の前記基準面に対する2方向の傾斜角度を測定し、
前記検出手段は、測定した2方向の前記傾斜角度に基づき、前記第1および第2測定点の高低差と、当該第1および第2測定点の前記基準面からの平均高さを検出することを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の相対高さ検出装置において、
前記傾斜表示体は、前記第1測定点、前記第2測定点および前記支持点の3点によって規定される平面の前記基準面に対する傾斜を表すことを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載の相対高さ検出装置において、
前記第1測定点および前記第2測定点は、前記基準面に一定間隔で載せた第1測定対象物および第2測定対象物の頂点であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の相対高さ検出装置において、
多数個の測定対象物を既知の間隔で前記基準面上に支持する試料台と、
この試料台に支持されている前記測定対象物の頂点が順次に前記第1測定点および前記第2測定点に位置するように、前記測定対象物および前記傾斜表示体を相対移動させる移動手段とを有していることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の相対高さ検出装置において、
前記測定対象物は、球体、または、前記基準面に横置き状態で載せた円柱体あるいは円筒体であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の相対高さ検出装置において、
前記測定対象物は、軸受けの転動体であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項9】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載の相対高さ検出装置において、
前記第1測定点および前記第2測定点は、同一の測定対象物における2点であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の相対高さ検出装置において、
前記測定対象物は、前記基準面に横置き状態で載せた円柱体あるいは円筒体であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項11】
測定用の基準面と、
この基準面から突出している定まった間隔にある第1測定点、第2測定点および第3測定点に点接触させると、これら3つの測定点の高さの違いによる2方向の傾斜を表すことのできる傾斜表示体と、
この傾斜表示体の前記基準面に対する2方向の傾斜角度を測定する角度測定手段と、
測定した前記2方向の傾斜角度に基づき、前記3つの測定点の相対高さを検出する検出手段とを有している相対高さ検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の相対高さ検出装置において、
前記傾斜表示体は、前記第1測定点、前記第2測定点および前記第3測定点の3点によって規定される平面の前記基準面に対する傾斜を表すことを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の相対高さ検出装置において、
前記第1、第2および第3測定点は、前記基準面に一定間隔で載せた第1、第2および第3測定対象物の各頂点であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の相対高さ検出装置において、
前記測定対象物は球体であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項15】
請求項14に記載の相対高さ検出装置において、
前記測定対象物は、軸受けの転動体であることを特徴とする相対高さ検出装置。
【請求項16】
請求項11または12に記載の相対高さ検出装置において、
前記第1測定点、前記第2測定点および第3測定点は、機械部品などの同一測定対象物における3点であることを特徴とする相対高さ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−98092(P2009−98092A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272296(P2007−272296)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(390040051)株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ (91)
【出願人】(591238981)
【Fターム(参考)】