説明

真空ラミネート装置および真空ラミネート方法

【課題】真空ラミネート装置と真空ポンプとの位置合わせずれを緩和しつつ、真空ラミネート装置を真空ポンプに接続することが可能な真空ラミネート装置、真空ラミネート方法の提供。
【解決手段】真空ラミネート装置の排気口1bには、排気口1bを介して通気口に空気が流れ込むのを防止する逆止弁1dを取り付けるとともに、排気口1bの先端を球面状に構成する。特に、太陽電池モジュールの真空ラミネート方法に適用して好適なものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空ラミネート装置および真空ラミネート方法に関し、特に、太陽電池モジュールの真空ラミネート方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
大気汚染や二酸化炭素の増大による地球温暖化の対策として、石油などの化石燃料に代わるエネルギー源として太陽電池が注目されている。ここで、太陽電池を屋根などに設置して使用する場合、量産性やコストなどの点から、アモルファスシリコン太陽電池が有望視されている。
そして、アモルファスシリコン太陽電池を屋根などに設置して使用する場合、耐水性や耐候性を持たせるために、アモルファスシリコン太陽電池の表面を透明な保護フィルムでラミネートすることが行われている。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、流れ作業により一貫した生産ラインで連続的に被ラミネート体をラミネートするとともに、被ラミネート体を簡単に効率よく大量に生産することができ、スループットの高い製造ラインを構築できるようにするために、ダイアフラムによって被ラミネート体を加熱圧着するラミネート装置を、ラミネート工程中に搬送手段によって移動する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−227145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被ラミネート体をラミネートするためには、真空ラミネート装置を真空引きする必要があり、真空ラミネート装置を真空ポンプに接続するための位置合わせに手間がかかるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、真空ラミネート装置と真空ポンプとの位置合わせずれを緩和しつつ、真空ラミネート装置を真空ポンプに接続することが可能な真空ラミネート装置および真空ラミネート方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の真空ラミネート装置によれば、被ラミネート体が配置される底板と、前記被ラミネート体が配置された底板上を覆う封止用シートと、前記底板の周囲に配置され、前記封止用シートと前記底板との間を排気する通気口が設けられた枠体と、前記通気口に接続され、先端が球面状の排気口とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の真空ラミネート装置によれば、保護フィルムを介してシート状の光起電力素子が配置される底板と、前記保護フィルム下に配置され、凹凸形状が表面に設けられたシート状部材と、前記光起電力素子が配置された底板上を覆う封止用シートと、前記底板の周囲に配置され、前記封止用シートと前記底板との間を排気する通気口が設けられた枠体と、前記通気口に接続され、先端が球面状の排気口とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の真空ラミネート装置によれば、保護フィルムを介してシート状の光起電力素子が配置される底板と、前記光起電力素子が配置された底板上を覆う封止用シートと、前記底板の周囲に配置され、前記封止用シートと前記底板との間を排気する通気口が設けられた枠体と、前記保護フィルム下に配置されるようにして前記底板上に固定された金属メッシュと、前記排気口に接続され、先端が球面状の排気口とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の真空ラミネート装置によれば、前後にスライド可能に保持されるとともに、任意の方向に傾くことができるように保持された状態で前記排気口を接続可能な漏斗状の受け部材をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項5記載の真空ラミネート方法によれば、被ラミネート体を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、前記被ラミネート体を覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、前記封止用シートと前記底板との間が排気された状態で熱処理を行うことにより、前記被ラミネート体を一体化する工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の真空ラミネート方法によれば、凹凸形状が表面に設けられたシート状部材を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを、前記光起電力素子の光入射面が前記シート状部材側に向くようにして、前記シート状部材上に順次配置する工程と、前記底板上に順次配置された第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、前記封止用シートと前記底板との間が排気された状態で熱処理を行うことにより、前記第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを一体化するとともに、前記シート状部材の凹凸を前記第1の保護フィルムの表面に転写する工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7記載の真空ラミネート方法によれば、凹凸形状が表面に設けられたシート状部材を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを、前記光起電力素子の光入射面が前記シート状部材側に向くようにして、前記シート状部材上に順次配置する工程と、前記底板上に順次配置された第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、前記封止用シートにて底板上が覆われた真空ラミネート装置を排気槽に搬送する工程と、前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を真空ポンプに接続することにより、前記封止用シートと前記底板との間を前記排気槽内で排気する工程と、前記封止用シートと前記底板との間が排気された後に前記排気口から前記真空ポンプを切り離し、前記封止用シートと前記底板との間が排気された真空ラミネート装置を加熱槽に搬送する工程と、前記封止用シートと前記底板との間が排気された真空ラミネート装置を前記加熱槽内で熱処理することにより、前記第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを一体化するとともに、前記シート状部材の凹凸を前記第1の保護フィルムの表面に転写する工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項8記載の真空ラミネート方法によれば、金属メッシュが表面に固定された真空ラミネート装置の底板上に、保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび鋼板を順次配置する工程と、前記底板上に順次配置された保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび鋼板を覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、前記封止用シートと前記底板との間の排気状態を前記逆止弁にて維持しながら、前記真空ラミネート装置の底板上に配置された第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを搬送する工程と、前記搬送された保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび鋼板を熱処理にて一体化するとともに、前記金属メッシュの凹凸を前記保護フィルムの表面に転写する工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項9記載の真空ラミネート方法によれば、被ラミネート体を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、前記被ラミネート体を覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を、前後にスライド可能に保持されるとともに、任意の方向に傾くことができるように保持された漏斗状の受け部材を介して真空ポンプに接続する工程と、先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、前記封止用シートと前記底板との間が排気された状態で熱処理を行うことにより、前記被ラミネート体を一体化する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、真空ラミネート装置の排気口の先端を球面状にすることにより、真空ラミネート装置と真空ポンプとの位置がずれている場合においても、漏斗状に形成された受け側に排気口を挿入することができ、真空ラミネート装置を真空ポンプに接続するための位置合わせにかかる手間を軽減することが可能となることから、真空ラミネート体の生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る真空ラミネート装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る真空ラミネート装置の概略構成を示す斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの真空ラミネート方法を示す断面図である。
図1および図2において、真空ラミネート装置には底板1が設けられ、底板1の周囲には、通気口1cが形成された枠体1aが設けられている。そして、枠体1aには、通気口1cに接続された排気口1bが形成されている。なお、底板1および枠体1aの材質としては、耐熱性や剛性などの点からステンレスや鉄やアルミニウムなどの金属を使用することが好ましく、特に、成形性、溶接性および耐蝕性の点からステンレスを用いるのがよい。また、底板1および枠体1aの厚みは、必要最小限の剛性を確保した上で低熱容量化や軽量化などの点を考慮すると、例えば、0.8〜2.0mmの範囲内に設定するのがよい。
【0015】
ここで、枠体1aは、金属板を矩形状に折り曲げることにより形成することができ、底板1との間で枠体1aの内周側に隙間が空くようにして、枠体1aの外周側を電気抵抗溶接などの方法にて底板1に接合することにより、通気口1cが形成された枠体1aを底板1に固定することができる。さらに、接合部をシリコンシーラントなどで封止することにより、枠体1aの周囲に排気室を構成することができる。また、排気口1bには、排気口1bを介して通気口1cに空気が流れ込むのを防止する逆止弁1dが取り付けられ、排気口1bの先端は球面状に構成されている。
【0016】
そして、底板1上には、凹凸形状が表面に設けられたシート状部材2が配置されている。なお、シート状部材2としては、例えば、金属製メッシュやエンボスシートなどを用いることができる。
ここで、シート状部材2として金属製メッシュを用いた場合、枠体1aの内周部と底板1との間に端部が挟み込まれるようにして底板1上に配置することができる。そして、金属製メッシュは、位置ずれが発生しないように底板1に固定することができ、金属製メッシュを底板1に固定する方法としては、電気抵抗溶接の他、粘着テープやネジ止めなどの方法を用いるようにしてもよい。
【0017】
なお、金属製メッシュは、その表面の凹凸のピッチが0.3〜0.8mm、高低差が0.2〜0.6mmの範囲となるように構成することが好ましい。また、金属製メッシュの材質としては、成形性、溶接性および耐蝕性の点からステンレスを用いるのがよく、特に、底板1と同じ材質を用いることが好ましい。
そして、太陽電池モジュールの真空ラミネート法にて製造する場合、図2(a)に示すように、シート状部材2が配置された真空ラミネート装置の底板1上に、保護フィルム15、接着シート14、シート状の光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を順次配置する。ここで、光起電力素子13の光入射側表面が保護フィルム15にて完全に覆われるようにするとともに、接着シート12、14がシート状部材2上にはみ出さないようにするために、光起電力素子13の外形のサイズは接着シート12、14の外形のサイズよりも小さくするとともに、保護フィルム15の外形のサイズは接着シート12、14の外形のサイズよりも大きくすることが好ましい。また、保護フィルム15としては、透明性、耐候性、接着性、耐熱性および耐衝撃性などの点から、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)フィルム、接着シート12、14としては、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)フィルムを用いることが好ましい。また、保護フィルム15の厚みは、機械的強度およびコストなどの点から、20〜200μmの範囲内に設定することが好ましい。
【0018】
また、光起電力素子13は、背面電極層21が裏面に形成されたフィルム基板22上に、裏面電極層23、反射防止層24、光電変換層25および透明電極層26を順次積層して構成することができる。なお、背面電極層21および裏面電極層23としては、例えば、Ag/Al積層構造、フィルム基板22としては、例えば、ポリイミドやポリエチレンなどの樹脂フィルム、反射防止層24としては、例えば、ZnO、光電変換層25としては、例えば、アモルファスシリコンからなるpin構造、透明電極層26としては、例えば、ITOを用いることができる。また、光電変換層25の厚みは、例えば、1μm程度、フィルム基板22の厚みは、例えば、50μm程度とすることができる。
【0019】
そして、底板1上に順次配置された保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11が完全に覆われるようにして封止用シート4を底板1上に配置する。なお、封止用シート4の材質としては、耐熱性、柔軟性および気密性などの点からシリコン樹脂を用いることが好ましい。また、封止用シート4を底板1上に配置する場合、封止用シート4と鋼板11との間にエンボスシート3を介在させるようにしてもよい。また、封止用シート4を底板1上に配置する場合、枠体1aの内側に封止用シート4が収まるように配置することが好ましい。
【0020】
そして、封止用シート4が底板1上に配置された真空ラミネート装置を恒温槽に設置し、排気口1bに真空ポンプを接続することにより、排気口1bを介して通気口1cを排気する。ここで、真空ラミネート装置の排気口1bの先端を球面状にすることにより、真空ラミネート装置と真空ポンプとの位置がずれている場合においても、漏斗状に形成された受け側に排気口1bを挿入することができ、真空ラミネート装置を真空ポンプに接続するための位置合わせにかかる手間を軽減することが可能となることから、太陽電池モジュールの生産効率を向上させることができる。
【0021】
そして、通気口1cが排気されると、底板1と枠体1aの内周側との間の隙間を介して、封止用シート4と底板1との間が排気され、封止用シート4が底板1側に押し付けられることで、図2(b)に示すように、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11が密着する。ここで、底板1上にシート状部材2を配置することで、封止用シート4が底板1側に押し付けられた場合においても、真空ラミネート装置の底板1上に脱気を促すような通気層を確保することができ、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11の間に存在する気泡を排出することができる。
【0022】
そして、封止用シート4と底板1との間が排気されると、排気口1bから真空ポンプを切り離すことができる。ここで、真空ラミネート装置の排気口1bに逆止弁1dを設けることにより、封止用シート4と底板1との間を排気した後に排気口1bを真空ポンプから切り離した場合においても、封止用シート4と底板1との間の排気状態を維持することが可能となり、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11の密着状態を維持することができる。
【0023】
そして、排気口1bから真空ポンプを切り離すと、接着シート12、14が硬化する温度(例えば、150℃)まで昇温させ、接着シート12、14の硬化処理(例えば、30分間)を行うことにより、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を一体化し、太陽電池モジュールを製造することができる。
ここで、真空ラミネート装置の底板1上にシート状部材2を配置した状態で、封止用シート4と底板1との間を排気しながら熱処理を行うことにより、保護フィルム15、接着シート14、シート状の光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を一体化するとともに、シート状部材2の凹凸を保護フィルム15の表面に転写することができる。
【0024】
このため、光起電力素子の光入射側表面を真空ラミネート装置の底板1側に向けた場合においても、真空ラミネート装置の底板1の表面に凹凸を直接形成することなく、真空ラミネート装置の底板1上に脱気を促すような通気層を確保した上で、保護フィルム15の表面に凹凸を形成することが可能となる。
この結果、太陽電池モジュールを大面積化した場合においても、真空ラミネート装置のコストアップを抑制しつつ、太陽電池モジュールを構成する積層部材の間に気泡が残存するのを防止することが可能となるとともに、保護フィルム15の表面に凹凸を形成することが可能となることから、製造工程の煩雑化を抑制しつつ、光起電力素子の変換効率を向上させることが可能となるとともに、太陽電池モジュールの耐水性や耐候性を確保することができる。
【0025】
図3は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの真空ラミネート工程を示す断面図である。
図3において、封止用シート4が底板1上に配置された真空ラミネート装置を、ローダ31にて排気槽32に搬送する。そして、真空ラミネート装置が排気槽32に搬送されると、その真空ラミネート装置の排気口1bに真空ポンプを接続し、排気口1bを介して通気口1cを排気することで、封止用シート4と底板1との間を排気し、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を密着させる。
【0026】
そして、封止用シート4と底板1との間が排気されると、排気口1bから真空ポンプを切り離し、その真空ラミネート装置を排気槽32から加熱槽33に搬送する。そして、排気された真空ラミネート装置が加熱槽33に搬送されると、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11の熱処理を行うことにより、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を一体化する。ここで、真空ラミネート装置の排気口1bに逆止弁1dを設けることにより、排気口1bを真空ポンプから切り離した場合においても、封止用シート4と底板1との間の排気状態を維持することが可能となり、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を密着させながら、熱処理を行うことができる。
【0027】
そして、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11の熱処理が完了すると、その真空ラミネート装置を加熱槽33から冷却槽34に搬送する。そして、熱処理後の真空ラミネート装置が冷却槽34に搬送されると、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11の冷却を行う。ここで、真空ラミネート装置の排気口1bに逆止弁1dを設けることにより、排気口1bを真空ポンプから切り離した場合においても、封止用シート4と底板1との間の排気状態を維持することが可能となり、保護フィルム15、接着シート14、光起電力素子13、接着シート12および鋼板11を密着させながら、冷却処理を行うことができる。
なお、排気槽32、加熱槽33およびは複数段に渡って真空ラミネート装置をそれぞれ配置することができ、複数の太陽電池モジュールの真空ラミネート処理を一括して行うことができる。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態に係る真空ポンプの受け側の概略構成を示す断面図である。
図4において、真空ポンプの受け側には、真空ラミネート装置の排気口1bを接続する受け部材42が設けられ、受け部材42の先端には排気口1bを受ける受け面45が形成されている。ここで、排気口1bの先端1eが受け面45の中心からずれた場合にも、排気口1bを受けることができるように漏斗状に構成されるとともに、シール性を確保するために、ゴムなどの弾性部材で構成することができる。
【0029】
そして、受け部材42は、バネ43に挿入された軸部材44を介して支持部材41にて支持されている。ここで、軸部材44には、支持部材41および受け部材42に対して遊びが設けられ、受け部材42は前後にスライド可能に保持されるとともに、任意の方向に傾くことができるように保持されている。
そして、排気口1bの先端1eを受け部材42の受け面45に押し当てることにより、真空ラミネート装置の排気口1bを真空ポンプに接続することができる。ここで、真空ラミネート装置の排気口1bの先端1eを球面状にすることにより、真空ラミネート装置と真空ポンプとの位置がずれている場合においても、受け部材42の受け面45に排気口1bを挿入することができ、真空ラミネート装置を真空ポンプに接続するための位置合わせにかかる手間を軽減することが可能となる。
【0030】
図5(a)は、本発明の一実施形態に係る真空ラミネート装置にて製造された太陽電池モジュールの概略構成を示す斜視図、図5(b)は、図5(a)のB−B´線で切断した太陽電池モジュールの概略構成を示す断面図である。
図5において、鋼板11上には、接着シート12を介して光起電力素子13が接着され、光起電力素子13上には、接着シート14を介して保護フィルム15が接着されている。そして、保護フィルム15の表面には、光起電力素子13に入射する太陽光を乱反射させる凹凸部16が形成されている。
【0031】
これにより、表面に凹凸が形成された保護フィルム15にて光起電力素子13の光入射側表面を覆うことが可能となり、光起電力素子13の光入射側で全反射が起こることを防止して、太陽電池の変換効率を向上させることが可能となるとともに、太陽電池モジュールの耐水性や耐候性を確保することができる。また、光起電力素子13を鋼板11上に一体化することにより、フィルム上の光起電力素子13を屋根などに強固に設置することが可能となり、風雨などによって光起電力素子13が破損したり脱落したりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る真空ラミネート装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの真空ラミネート方法を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの真空ラミネート工程を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る真空ポンプの受け側の概略構成を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、本発明の一実施形態に係る真空ラミネート装置にて製造された太陽電池モジュールの概略構成を示す斜視図、図5(b)は、図5(a)のB−B´線で切断した太陽電池モジュールの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 底板
1a 枠体
1b 排気口
1c 通気口
1d 逆止弁
1e 先端
2 シート状部材
3 エンボスシート
4 封止用シート
11 鋼板
12、14 接着シート
13 光起電力素子
15 保護フィルム
16 凹凸部
21 背面電極層
22 フィルム基板
23 裏面電極層
24 反射防止層
25 光電変換層
26 透明電極層
31 ローダ
32 排気槽
33 加熱槽
34 冷却槽
35 アンローダ
41 支持部材
42 受け部材
43 バネ
44 軸部材
45 受け面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被ラミネート体が配置される底板と、
前記被ラミネート体が配置された底板上を覆う封止用シートと、
前記底板の周囲に配置され、前記封止用シートと前記底板との間を排気する通気口が設けられた枠体と、
前記通気口に接続され、先端が球面状の排気口とを備えることを特徴とする真空ラミネート装置。
【請求項2】
保護フィルムを介してシート状の光起電力素子が配置される底板と、
前記保護フィルム下に配置され、凹凸形状が表面に設けられたシート状部材と、
前記光起電力素子が配置された底板上を覆う封止用シートと、
前記底板の周囲に配置され、前記封止用シートと前記底板との間を排気する通気口が設けられた枠体と、
前記通気口に接続され、先端が球面状の排気口とを備えることを特徴とする真空ラミネート装置。
【請求項3】
保護フィルムを介してシート状の光起電力素子が配置される底板と、
前記光起電力素子が配置された底板上を覆う封止用シートと、
前記底板の周囲に配置され、前記封止用シートと前記底板との間を排気する通気口が設けられた枠体と、
前記保護フィルム下に配置されるようにして前記底板上に固定された金属メッシュと、
前記排気口に接続され、先端が球面状の排気口とを備えることを特徴とする真空ラミネート装置。
【請求項4】
前後にスライド可能に保持されるとともに、任意の方向に傾くことができるように保持された状態で前記排気口を接続可能な漏斗状の受け部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の真空ラミネート装置。
【請求項5】
被ラミネート体を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、
前記被ラミネート体を覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、
前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、
前記封止用シートと前記底板との間が排気された状態で熱処理を行うことにより、前記被ラミネート体を一体化する工程とを備えることを特徴とする真空ラミネート方法。
【請求項6】
凹凸形状が表面に設けられたシート状部材を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、
第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを、前記光起電力素子の光入射面が前記シート状部材側に向くようにして、前記シート状部材上に順次配置する工程と、
前記底板上に順次配置された第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、
前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、
前記封止用シートと前記底板との間が排気された状態で熱処理を行うことにより、前記第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを一体化するとともに、前記シート状部材の凹凸を前記第1の保護フィルムの表面に転写する工程とを備えることを特徴とする真空ラミネート方法。
【請求項7】
凹凸形状が表面に設けられたシート状部材を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、
第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを、前記光起電力素子の光入射面が前記シート状部材側に向くようにして、前記シート状部材上に順次配置する工程と、
前記底板上に順次配置された第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、
前記封止用シートにて底板上が覆われた真空ラミネート装置を排気槽に搬送する工程と、
前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を真空ポンプに接続することにより、前記封止用シートと前記底板との間を前記排気槽内で排気する工程と、
前記封止用シートと前記底板との間が排気された後に前記排気口から前記真空ポンプを切り離し、前記封止用シートと前記底板との間が排気された真空ラミネート装置を加熱槽に搬送する工程と、
前記封止用シートと前記底板との間が排気された真空ラミネート装置を前記加熱槽内で熱処理することにより、前記第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを一体化するとともに、前記シート状部材の凹凸を前記第1の保護フィルムの表面に転写する工程とを備えることを特徴とする真空ラミネート方法。
【請求項8】
金属メッシュが表面に固定された真空ラミネート装置の底板上に、保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび鋼板を順次配置する工程と、
前記底板上に順次配置された保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび鋼板を覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、
前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、
前記封止用シートと前記底板との間の排気状態を前記逆止弁にて維持しながら、前記真空ラミネート装置の底板上に配置された第1の保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび第2の保護フィルムを搬送する工程と、
前記搬送された保護フィルム、第1の接着シート、光起電力素子、第2の接着シートおよび鋼板を熱処理にて一体化するとともに、前記金属メッシュの凹凸を前記保護フィルムの表面に転写する工程とを備えることを特徴とする真空ラミネート方法。
【請求項9】
被ラミネート体を真空ラミネート装置の底板上に配置する工程と、
前記被ラミネート体を覆う封止用シートを前記底板上に配置する工程と、
前記真空ラミネート装置に設けられた先端が球面状の排気口を、前後にスライド可能に保持されるとともに、任意の方向に傾くことができるように保持された漏斗状の受け部材を介して真空ポンプに接続する工程と、
先端が球面状の排気口を介して前記封止用シートと前記底板との間を排気する工程と、
前記封止用シートと前記底板との間が排気された状態で熱処理を行うことにより、前記被ラミネート体を一体化する工程とを備えることを特徴とする真空ラミネート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−149656(P2008−149656A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342453(P2006−342453)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】