説明

石英ヒータ及びこれを用いた基板処理装置、石英ヒータの破損検出方法及びこれを用いた基板処理制御方法

【課題】本発明は、比較的簡素な構成で、微量の液漏れでも素早く検知が可能な石英ヒータ及びこれを用いた基板処理装置、石英ヒータの破損検出方法及びこれを用いた基板処理制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】発熱体20を内蔵した石英管11を液体40内に載置して、該液体40を加熱する石英ヒータ10、10a、10bであって、
前記石英管11に連結され、前記発熱体20に電力を供給する電気配線21を内蔵した冷却用チューブ12を有し、
該冷却用チューブ12内に、漏液センサ30を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ヒータ及びこれを用いた基板処理装置、石英ヒータの破損検出方法及びこれを用いた基板処理制御方法に関し、特に、石英ヒータの石英管の漏液を検出する石英ヒータ及びこれを用いた基板処理装置、石英ヒータの破損検出方法及びこれを用いた基板処理制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体の洗浄工程等において、洗浄槽の洗浄液を加熱して温める手段として、投げ込み式の石英ヒータが知られている。半導体の洗浄工程においては、エッチング液を用いた薬液洗浄が行われるが、かかる薬液洗浄に、石英ヒータはよく用いられる。石英ヒータは、エッチング液に対する耐薬品性が高く、かつ耐熱性もある石英ガラスで石英管を形成し、石英管の中にヒータ線を内蔵して構成される。かかる石英ヒータの石英管は、耐薬品性が高い材質で形成されているが、エッチング液の中に浸漬されているうちにエッチングされ、やはり液漏れが生じてしまう。
【0003】
そこで、石英管の液漏れを検出するために、石英管内に2本の漏液センサ電極を有する漏液センサを設置し、漏液センサ電極が液に漬かり、電極同士がショートしたときに液漏れを検出するようにした技術が知られている。
【0004】
図6は、従来の漏液センサを石英管内に設置した状態を示した図である。図6において、処理液140が満たされた処理槽170内に石英投げ込みヒータ110が浸漬されている。石英管111内には、発熱体であるヒータ線120とともに、2本の漏液センサ電極130が設置されている。石英投げ込みヒータ110は、ヒータ線120に電流を流すことにより発熱するが、使用により石英管111が徐々にエッチングされ、割れ111aが生じると、石英管111内に漏液141が浸入する。2本の漏液センサ電極130が、漏液141に漬かりショートすると、漏液センサ130間に電流が流れ、石英投げ込みヒータ110に漏液141があったことが検出される。
【0005】
また、外管と内管からなる2重構造の二重管と、外管と内管とによって囲まれた空間を減圧するために外管から取り出された配管を有し、外管と内管とによって囲まれた空間と、配管より排気する減圧ポンプとの間に配置され、外管の破損による当該空間内への液体の流入の有無を検出する液体検出センサを備えたヒータ破損検出器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−106053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術の構成では、漏液検知のためには、漏液センサ電極130が漏液141に漬かってショートする必要があるため、ある程度の漏液141の液量が必要であり、微量の液量の場合には、検知が難しいという問題があった。
【0007】
また、上述の特許文献1に記載の構成では、外管と内管の二重構造という複雑な形状加工が必要であり、また、検出のために減圧ポンプ等を準備する必要があり、構成が大掛かり過ぎて、実際の工程への採用が困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、比較的簡素な構成で、微量の液漏れでも素早く検知が可能な石英ヒータ及びこれを用いた基板処理装置、石英ヒータの破損検出方法及びこれを用いた基板処理制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)は、発熱体(20)を内蔵した石英管(11)を液体(40)内に載置して、該液体(40)を加熱する石英ヒータ(10、10a、10b)であって、
前記石英管(11)に連結され、前記発熱体(20)に電力を供給する電気配線(21)を内蔵した冷却用チューブ(12)を有し、
該冷却用チューブ(12)内に、漏液センサ(30)を設けたことを特徴とする。
【0010】
これにより、石英管に破損が生じた場合には、漏液で石英管内に浸入した液体が石英管内の発熱体により蒸発し、蒸発した蒸気が冷却用チューブに素早く移動するため、漏液が微量であっても、漏液を素早く検出することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)において、
前記漏液センサ(30)は、前記冷却用チューブ(12)先端の開放部(13)に設けられたことを特徴とする。
【0012】
これにより、冷却用チューブの、最も発熱体から離れた冷却した位置で蒸気を結露させることができ、微量の漏液であっても、蒸気化した漏液を確実に結露させ、これを検出することができる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)において、
前記冷却用チューブ(12)は、前記漏液センサ(30)の周囲を冷却する冷却手段(50)を有することを特徴とする。
【0014】
これにより、気化した漏液を、漏液センサの周囲で迅速に冷却して結露させることができ、更に素早い漏液の検出を行うことができる。
【0015】
第4の発明に係る基板処理装置(100、100b)は、処理液(40)を貯留する処理槽(70)と、
第1〜3のいずれか一つの発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)の石英管(11)を前記処理槽(70)内に有し、
前記石英管(11)により加熱された前記処理液(40)に基板を浸漬することにより、該基板を処理することを特徴とする。
【0016】
これにより、漏液を迅速に検出できる石英ヒータを用いて基板処理装置を構成できるため、漏液により半導体ウエハ等に与える悪影響を最小限とすることができ、歩留まりの高い基板処理装置とすることができる。
【0017】
第5の発明は、第4の発明に係る基板処理装置(100、100b)において、
前記基板は、半導体ウエハであることを特徴とする。
【0018】
これにより、半導体ウエハの洗浄工程を、漏液による悪影響等を最小限にして実行することができる。
【0019】
第6の発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)の破損検出方法は、処理液(40)を貯留した処理槽(70)内に、発熱体(20)を内蔵した石英管(11)を載置し、該石英管(11)により前記処理液(40)を加熱する石英ヒータ(10、10a、10b)の破損検出方法であって、
前記石英管(11)に破損があったときに、前記石英管(11)内に浸入した前記処理液(41)を、前記発熱体(20)が蒸発して気化する気化工程と、
前記気化工程により気化された前記処理液(41)の蒸気(42)を、前記石英管(11)に連結され、前記処理液(40)の外部に設けられた冷却用チューブ(12)で冷却して結露させる液化工程と、
前記液化工程で液化された処理液(43)を、前記冷却用チューブ(12)内に設けられた漏液センサ(30)により検出し、前記石英管(11)の漏液(41)を検出する漏液検出工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
これにより、石英ヒータの破損により、微量の漏液が生じたときには、気化された蒸気を用いて素早く漏液を検出でき、石英ヒータの破損を早い段階で知ることができる。
【0021】
第7の発明は、第6の発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)の破損検出方法において、
前記漏液センサ(30)は、前記冷却用チューブ(12)先端の開放部(13)に設けられたことを特徴とする。
【0022】
これにより、冷却用チューブの最も発熱体から離れた冷却した位置で漏液を検出することができ、微量の漏液であっても、確実に検出することができる。
【0023】
第8の発明は、第6又は7の発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)の破損検出方法において、
前記液化工程は、前記漏液センサ(30)の周囲を冷却する冷却手段(50)により実行されることを特徴とする。
【0024】
これにより、冷却用チューブ内の蒸気の液化を促進し、微量の漏液から破損を迅速に検出することができる。
【0025】
第9の発明に係る基板処理制御方法は、処理液(40)を貯留した処理槽(70)内に基板を浸漬し、該基板を石英ヒータ(10、10a、10b)により加熱処理する加熱処理工程を有する基板処理制御方法であって、
第6〜8のいずれか一つの発明に係る石英ヒータ(10、10a、10b)の破損検出方法により、前記石英ヒータ(10、10a、10b)の破損を検出したときには、警報を発することを特徴とする。
【0026】
これにより、石英ヒータの破損を検出したときには、速やかに操作者にその旨了知させ、製造工程に与える悪影響を最小限に食い止めることができる。
【0027】
第10の発明は、第9の発明に係る基板処理制御方法において、
前記警報を発しても、前記加熱処理工程が中止されないときには、前記加熱処理工程を停止させることを特徴とする。
【0028】
これにより、石英ヒータの破損が検出され、操作者にその旨通知しても気付かないときには、加熱処理工程を停止させ、不良基板の発生を強制的に食い止めることができる。
【0029】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、石英ヒータの石英管の破損を、微量の漏液があった段階で素早く検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0032】
図1は、本発明を適用した実施例1に係る石英ヒータ10及び基板処理装置100の構成を示した斜視図である。図1において、実施例1に係る基板処理装置100は、処理液40を貯留して収容する処理槽70と、石英ヒータ10とを備える。
【0033】
基板処理装置100は、基板(図示せず)を処理液40に浸漬し、石英ヒータ10により処理液40を加熱して基板を加熱処理する加熱処理工程を実行するための処理装置である。基板処理装置100は、種々の処理液40により基板を加熱処理する種々の基板処理工程に適用されてよいが、例えば、基板には半導体ウエハが適用され、処理液40にはエッチング液が適用され、いわゆる半導体ウエハの薬液洗浄工程に適用されてもよい。また、処理液40には純水が適用され、いわゆる水洗浄工程に適用されてもよい。
【0034】
処理槽70は、処理液40を貯留して保持する液槽であり、処理液40に対する耐性が高い材質で形成される。基板処理工程においては、処理槽70に処理対象となる基板を浸漬し、加熱された処理液40により基板の処理を行う。
【0035】
石英ヒータ10は、液体である処理液40内に浸漬して載置され、処理液40を加熱するための加熱手段である。液体内に投げ込まれるようにそのまま浸漬して設置されることから、投げ込み石英ヒータと呼んでもよい。本実施例に係る石英ヒータ10は、石英管11と、冷却用チューブ12と、これらを連結する連結手段14と、石英管11に内蔵された発熱体20と、発熱体20に電流を供給する電気配線21と、漏液センサ30とを備える。
【0036】
石英ヒータ10は、石英ガラスで構成された石英管11の内部に、発熱体20であるヒータ線(電熱線)を収容し、発熱体20に電流を供給することにより発熱し、石英管11を介して処理液40を加熱する。石英ガラスは、耐薬品性及び耐熱性に優れるため、半導体製造工程の薬液洗浄工程によく利用される。本実施例に係る石英ヒータ10は、そのような半導体製造プロセスの薬液洗浄工程に好適に適用可能に構成されている。本実施例に係る石英ヒータ10は、種々の温度設定が可能であるが、例えば、発熱体20は数100℃にまで加熱され、処理液40を110〜130℃の範囲に加熱し、好適には120℃前後となるような設定としてもよい。かかる温度設定は、実行される基板処理工程の内容に応じて、種々の設定としてよい。
【0037】
また、本実施例に係る石英ヒータ10は、石英管11の両端に、冷却用チューブ12が連結される。石英管11と冷却用チューブ12の連結は、連結手段14により行われてよく、例えば、継手等が適用されてもよい。冷却用チューブ12は、薬品耐性の高い材質で形成されることが好ましく、薬品耐性の高い材質であれば、種々の材質を適用することができる。例えば、樹脂で形成さてもよく、具体的には、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))等で形成されてもよい。冷却用チューブ12の先端は開放されており、開放部13を有する。冷却用チューブ12の開放部13は、冷却用チューブ12の開口付近の大気開放された部分を指し、開口からやや内側の部分を含む冷却用チューブ12の先端部分を指す。開放部13では、冷却用チューブ12の石英管11側よりも、大気の影響が圧倒的に強くなり、石英管11での発熱を、連結手段14で大きく分断し、冷却用チューブ12の先端の開放部13で、大気により熱を冷却することが可能である。
【0038】
冷却用チューブ12は、その内部に、発熱体20に電力を供給するための電気配線21を収容する。冷却用チューブ12を処理槽70の外部に設置し、冷却用チューブ12先端の開放部13から電気配線21を挿入し、発熱体20と電気的に接続して発熱体20に電力を供給できるように構成している。
【0039】
また、冷却用チューブ12は、その内部に漏液センサ30を有する。これは、石英管11で破損が起きて漏液41があったときに、これを気化して処理液40の外部に設けられた冷却用チューブ12まで移動させ、結露させて再び液化して漏液センサ30で検出するためである。つまり、処理液40内に載置された石英管11に破損が起こり、石英管11内に処理液40が浸入して漏液41があった場合には、発熱体20は数100℃に加熱されているので、漏液41は、すぐに蒸気42に気化する。そして、石英管11内の内圧が上がり、蒸気42は、石英管11が連結する冷却用チューブ12へと移動するため、蒸気42を、処理槽70の外部に設けられた冷却用チューブ12で結露させることにより、液43を漏液センサ30で検出することができる。
【0040】
なお、漏液センサ30は、冷却用チューブ12内の十分に冷却された位置であれば、どの位置に設けてもよいが、冷却用チューブ12の先端の開放部13に設けるようにしてもよい。冷却用チューブ12先端の開放部13は、発熱体20からの距離が最も離れた位置であり、また、外気と一番近い位置であるため、その冷却効果が最も高い。また、漏液センサ30の設置も容易である。このような観点から、漏液センサ30は、例えば冷却用チューブ12の先端の開放部13付近に設けるようにしてもよい。
【0041】
次に、かかる構成を有する本実施例に係る基板処理装置100及び石英ヒータ10の破損検出動作について説明する。石英管11で破損があり、石英管11内に漏液41が発生した場合には、発熱体20の熱を利用して漏液41を気化して蒸気42とする気化工程が最初に実行される。次いで、発生した蒸気42は、石英管11内の圧力上昇により素早く移動するため、石英管11に連結されて処理槽70の外部に設けられた冷却用チューブ12へと移動する。冷却用チューブ12は、加熱された処理液40の外部に設けられているので、冷却用チューブ12内で蒸気42は冷却されて結露する。一旦気化された蒸気42が再度冷却チューブ12内で液化するので、これを液化工程と呼ぶ。気化されて蒸気42となった漏液41が再び液化することにより、液43の漏液センサ30での検出が可能となる。この、液43を検出する漏液検出工程により、漏液41は最終的に検出される。このような工程を経ることにより、本実施例に係る石英ヒータ10を用いた石英ヒータ10の破損検出方法は実行される。
【0042】
本実施例によれば、蒸気42の移動速度は速いので、微量の漏液41であっても、漏液センサ30で確実に液43の存在を検知することができ、石英ヒータ10の破損の早期検知が可能となる。また、複雑な構造の石英管11を用いることなく、通常の石英管11に冷却用チューブ12を連結した簡素な構成で、かかる効果を実現している。
【0043】
次に、図2を用いて、実施例1に係る冷却用チューブ12の開放部13の構成を更に詳細に説明する。図2は、冷却用チューブ12の開放部13の拡大斜視図である。
【0044】
図2において、冷却用チューブ12は、その内部に電気配線21を内蔵し、開放部13に漏液センサ30を有している。漏液センサ30は、冷却用チューブ12の内壁と、電気配線21との間の空間に設けられる。漏液41が気化した蒸気42は、冷却用チューブ12と電気配線21との間の空間を通って冷却用チューブ12内を移動するので、漏液センサ30も、この空間内に設けるようにしてよい。
【0045】
漏液センサ30は、例えば、図2に示すように、薄いテープ状部材32に、漏液検出電極31を付着させたテープ状の漏液センサ30が適用されてもよい。例えば、テープ状の漏液センサ30を冷却用チューブ12の内壁に貼り付けるように設置しておけば、冷却用チューブ12内を通過する蒸気42が、開放部13付近で液43に結露したときに、冷却用チューブ12の内壁に液滴43が付着するので、効果的に破損検出を行うことができる。
【0046】
このように、例えば漏液センサ30をテープ状センサとし、冷却用チューブ12の先端の開放部13付近に設けるように石英ヒータ10及びこれを用いた基板処理装置100を構成すれば、簡素な構成で迅速に微量の漏液41の存在を検出することができる。
【0047】
今まで説明したように、実施例1に係る石英ヒータ10及びこれを用いた基板処理装置100によれば、簡素な構成で、石英ヒータ10の石英管11の破損を、微量の漏液41に基づいて、迅速に検出することができ、その後の基板処理プロセスに不良基板が流れる事態を防止することができる。
【実施例2】
【0048】
図3は、本発明を適用した実施例2に係る石英ヒータ10aを示した図である。実施例2に係る石英ヒータ10aは、冷却用チューブ12aの先端の開放部が、冷却手段50を有する点で、実施例1に係る石英ヒータ10と異なっている。なお、冷却用チューブ12a内に、電気配線21が挿入されている点は、実施例1に係る石英ヒータ10と同様である。
【0049】
図3において、冷却手段50は、冷却用チューブ12aの先端に冷却継手として設けられ、その内壁に漏液センサ30(図示せず)が貼り付けられている。漏液センサ30には、漏液センサ配線33が接続され、液43により漏液検出電極31(図示せず)が短絡したら、漏液41の存在を検出できるように構成されている。また、冷却手段50は、内部に冷却水を満たすことができるウォータージャケットとして構成され、冷却水入口51から冷却水を導入し、冷却水出口52から冷却水を排出し、常に内部を冷却水で循環させて冷却する構成となっている。
【0050】
かかる構成において、石英管11で破損が発生し、石英管11内で気化した蒸気42は、冷却用チューブ12a内を通過して、最終の開放部13に設けられた冷却手段50により、確実に冷却されて結露し、液43となる。このように、冷却用チューブ12が冷却手段50を有することにより、より確実に冷却用チューブ12a内の蒸気42を結露させることができ、石英ヒータ10の破損の検出感度を高めることができる。
【0051】
なお、図3においては、冷却手段50を、冷却用チューブ12aの先端が冷却継手として構成される例について説明したが、冷却手段50が、冷却用チューブ12の周囲を覆うように構成されてもよい。つまり、実施例1の図2で示したように、冷却用チューブ12aの先端の開放部13に漏液センサ30を設け、漏液センサ30の周囲、すなわち開放部13を、冷却用チューブ12aを介してウォータージャケット型式の冷却手段50で覆うようにしても、同様の効果が得られる。また、このように冷却用チューブ12aを外周から覆う冷却手段50の型式では、必ずしも冷却用チューブ12aの先端の開放部13に漏液センサ30を設置する必要はなく、冷却用チューブ12aの所望の位置に漏液センサ30を設け、その周囲を冷却手段50で覆うようにしてもよい。
【0052】
また、冷却手段50は、冷却水を利用したウォータージャケット型式の手段だけではなく、漏液センサ30の周囲を冷却し、蒸気42から液43への結露を促進できる手段であれば、種々の態様が適用されてよい。
【0053】
このように、実施例2に係る石英ヒータ10aによれば、冷却用チューブ12aが、内部を通過する蒸気42を冷却する冷却手段50を備えることにより、更に迅速に石英ヒータ10の石英管11の破損を検出することができる。
【0054】
なお、実施例2に係る石英ヒータ10aは、実施例1で説明した基板処理装置100に好適に適用できることは言うまでもない。
【実施例3】
【0055】
図4は、本発明を適用した実施例3に係る石英ヒータ10b及びこれを用いた基板処理装置100bを示した斜視図である。図4において、石英ヒータ10bの冷却用チューブ12及び漏液センサ30の構成は、実施例1に係る石英ヒータ10と同様であるが、漏液センサ30が、漏液センサ配線33を介して基板処理制御手段60に接続されている点で、実施例1及び実施例2に係る石英ヒータ10、10a及び基板処理装置100と異なっている。
【0056】
基板処理制御手段60は、漏液センサ30の漏液検出電極31が液43によりショートし、微弱電流を検出した後の基板処理装置100bの制御を行う制御手段である。つまり、石英ヒータ10bの石英管11が破損すると、石英管11内の金属で構成された発熱体20と、処理液40が接触して反応し、処理槽70内の処理液40が金属汚染されてしまう。金属汚染された処理液40で基板を処理すると、不良処理基板を流してしまい、その後の処理に悪影響を与えるとともに、歩留まりを低下させてしまう。
【0057】
そこで、基板処理制御手段60は、漏液41を検出後、基板処理装置100bを適切に運転する制御を行なう。基板処理制御手段60は、種々の演算処理を行う電子回路又はコンピュータ等により構成されてよい。
【0058】
図5は、基板処理制御手段60の内部構成を示した機能ブロック図である。図5において、基板処理制御手段60は、電流検出部61と、警報指令部62と、装置停止指令部63とを有する。
【0059】
電流検出部61は、漏液センサ30の漏液検出電極31の短絡により流れた電流を検出する手段であり、微弱な電流を検出できるように構成されている。電流検出部61により電流が検出されたら、石英管11が破損していると判定する。
【0060】
警報指令部62は、電流検出部61で電流を検出したら、操作者(オペレータ)に石英管11の破損を知らせるべく、アラームブザー(図示せず)を鳴らして、警報を発する指令信号を出力する。これにより、基板処理装置100bの操作者に石英管11の破損を了知させ、必要な処理を取らせることができる。具体的には、例えば、操作者は、基板処理装置100bを停止させ、石英ヒータ10bを処理槽70から引き上げ、処理液40を交換して新しい石英ヒータ10bを設置する等の対応を取ることができる。
【0061】
警報指令部62で警報を発しても、必要な処置がなされず、電流検出部61で電流が検出され続けた場合には、警報指令部62から装置停止指令部63に信号を送る。
【0062】
装置停止指令部63は、警報指令部62で一定期間警報指令信号が出力され、警報が発せられても、電流検出部61からの電流の検出が停止しない場合には、装置停止指令信号を出力する。これにより、基板処理装置100bは、強制的に停止され、金属汚染された半導体ウエハ等の基板が次の処理工程に送られるのを防止することができる。
【0063】
このように、石英ヒータ10bの破損検出後の制御を行なう基板処理制御手段60を備えた本実施例に係る基板処理装置100bにより、石英ヒータ10bの破損検出後に、適切な基板処理制御を実行することができる。つまり、石英ヒータ10bの破損検出後に、警報を発して操作者に石英ヒータ10bの破損を知らせ、それでも基板処理装置100bが停止しないときには、強制的に基板処理装置100bを停止させる基板処理制御方法を実行することにより、石英ヒータ10bの破損による金属汚染の被害を最小限に食い止めることができる。
【0064】
なお、実施例3に係る基板処理制御手段60を備えた基板処理装置100b及び基板処理制御方法は、実施例1及び実施例2に係る石英ヒータ10、10aを有する基板処理装置100及び基板処理方法に適用可能である。これにより、石英管11の漏液41を早期に検出できるだけでなく、検出後も適切な基板処理制御を実行することができ、基板製造工程の品質向上と効率向上を図ることができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例1に係る石英ヒータ10及び基板処理装置100の構成図である。
【図2】冷却用チューブ12の開放部13の拡大斜視図である。
【図3】本発明を適用した実施例2に係る石英ヒータ10aを示した図である。
【図4】本発明の実施例3の石英ヒータ10b及び基板処理装置100bの構成図である。
【図5】基板処理制御手段60の内部構成を示した機能ブロック図である。
【図6】従来の漏液センサを石英管内に設置した状態を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
10、10a、10b 石英ヒータ
11 石英管
12 冷却用チューブ
13 開放部
20 発熱体
21 電気配線
30 漏液センサ
31 漏液検出電極
32 テープ状部材
33 漏液センサ配線
40 処理液
41 漏液
42 蒸気
43 液
50 冷却手段
51 冷却水入口
52 冷却水出口
60 基板処理制御手段
61 電流検出部
62 警報指令部
63 装置停止指令部
70 処理槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を内蔵した石英管を液体内に載置して、該液体を加熱する石英ヒータであって、
前記石英管に連結され、前記発熱体に電力を供給する電気配線を内蔵した冷却用チューブを有し、
該冷却用チューブ内に、漏液センサを設けたことを特徴とする石英ヒータ。
【請求項2】
前記漏液センサは、前記冷却用チューブ先端の開放部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の石英ヒータ。
【請求項3】
前記冷却用チューブは、前記漏液センサの周囲を冷却する冷却手段を有することを特徴とする請求項1に記載の石英ヒータ。
【請求項4】
処理液を貯留する処理槽と、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の石英ヒータの石英管を前記処理槽内に有し、
前記石英管により加熱された前記処理液に基板を浸漬することにより、該基板を処理することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
前記基板は、半導体ウエハであることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理液を貯留した処理槽内に、発熱体を内蔵した石英管を載置し、該石英管により前記処理液を加熱する石英ヒータの破損検出方法であって、
前記石英管に破損があったときに、前記石英管内に浸入した前記処理液を、前記発熱体が蒸発して気化する気化工程と、
前記気化工程により気化された前記処理液の蒸気を、前記石英管に連結され、前記処理液の外部に設けられた冷却用チューブで冷却して結露させる液化工程と、
前記液化工程で液化された処理液を、前記冷却用チューブ内に設けられた漏液センサにより検出し、前記石英管の漏液を検出する漏液検出工程と、を含むことを特徴とする石英ヒータの破損検出方法。
【請求項7】
前記漏液センサは、前記冷却用チューブ先端の開放部に設けられたことを特徴とする請求項6に記載の石英ヒータの破損検出方法。
【請求項8】
前記液化工程は、前記漏液センサの周囲を冷却する冷却手段により実行されることを特徴とする請求項6又は7に記載の石英ヒータの破損検出方法。
【請求項9】
処理液を貯留した処理槽内に基板を浸漬し、該基板を石英ヒータにより加熱処理する加熱処理工程を有する基板処理制御方法であって、
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の石英ヒータの破損検出方法により、前記石英ヒータの破損を検出したときには、警報を発することを特徴とする基板処理制御方法。
【請求項10】
前記警報を発しても、前記加熱処理工程が中止されないときには、前記加熱処理工程を停止させることを特徴とする請求項9に記載の基板処理制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−54295(P2009−54295A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216977(P2007−216977)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】