説明

石鹸の製造方法及び製造装置

【課題】所望の形状の石鹸を効率良く製造することができる石鹸の製造方法及び製造装置を提供すること。
【解決手段】本発明の石鹸の製造方法は、駆動源20に接続され所定方向に往復動可能な蓋型1Aを含む複数の割型1A,1B及び1Cを組み付けることによって内部に成形用のキャビティ10が形成され、且つ駆動源20を用いて蓋型1Aを動作させることによってキャビティ10の容積を調整可能な成形型1の該キャビティ10に、溶融石鹸を充填して冷却固化させる工程を備えている。蓋型1Aにかかる圧力が、溶融石鹸の充填開始時から充填完了時の間は0.2MPa以下、該溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間は0.03〜0.2MPaの範囲に維持されるように、キャビティ10の容積を増減させながら溶融石鹸を固化させる。駆動源20は好ましくはサーボモーターであり、該サーボモーターのトルクを制御することによってキャビティ10の容積を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石鹸の製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石鹸の製造方法として枠練方式が知られている。枠練方式は、所定形状の型内に溶融石鹸を充填・乾燥して原型石鹸を得、該原型石鹸を所定の大きさに切断して、更に湯浸、成形、乾燥等の複数の処理を施して石鹸を得る方法である。透明石鹸などはこの枠練方式で製造される場合があるが、枠練方式は製造に要する時間が長いため、より効率的な製造方法が望まれている。
【0003】
前記枠練方式よりも効率的で製造に要する時間が短い石鹸の製造方法として、所定形状のキャビティを備えた成形型の該キャビティに溶融石鹸を充填し、これを加圧下に固化させる製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。このような加圧型の成形法は、プラスチックの成形分野でも知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
従来の加圧型の石鹸の成形法においては、通常、キャビティに充填されている被成形物にかかる圧力は概ね0.2MPa以上とされる。しかし、このような高圧型の成形法では、溶融石鹸の固化に際してひずみやバリが発生し、所望の形状が得られないおそれがある。また、石鹸の種類によっては、より低圧での成形が必須となる場合がある。例えば透明石鹸を製造する場合において、従来の高圧型の成形法を利用すると、枠練方式で得られていた透明石鹸とは結晶性が異なってしまい、透明性が低下するおそれがある。また例えば、気泡入りの石鹸を製造する場合において、従来の高圧型の成形法を利用すると、加圧後に成形型を型開した時に、内外の圧力差に起因してキャビティ内の内容物が飛散するおそれがある。また例えば、芳香剤などの各種助剤を含むカプセル化物入りの石鹸を製造する場合において、従来の高圧型の成形法を利用すると、加圧によってカプセル化物がつぶれてしまい、所望の製品が得られないおそれがある。
【0005】
【特許文献1】特表2001−525881号公報
【特許文献2】特開平5−8267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、所望の形状の石鹸を効率良く製造することができる石鹸の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、駆動源に接続され所定方向に往復動可能な蓋型を含む複数の割型を組み付けることによって内部に成形用のキャビティが形成され、且つ該駆動源を用いて該蓋型を動作させることによって該キャビティの容積を調整可能な成形型の該キャビティに、溶融石鹸を充填して冷却し固化させる工程を備え、前記蓋型にかかる圧力が、前記溶融石鹸の充填開始時から充填完了時の間は0.2MPa以下、該溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間は0.03〜0.2MPaの範囲に維持されるように、前記キャビティの容積を増減させながら該溶融石鹸を固化させる石鹸の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また本発明は、駆動源に接続され所定方向に往復動可能な蓋型を含む複数の割型を組み付けることによって内部に成形用のキャビティが形成され、且つ該駆動源を用いて該蓋型を動作させることによって該キャビティの容積を調整可能な成形型と、該キャビティに溶融石鹸を注入する注入装置とを備えた石鹸の製造装置であって、前記蓋型はその一面から突出した凸部を有し、前記成形型が、前記蓋型と、該蓋型の一面と対向する第1の面及び該第1の面と反対側に位置する第2の面並びにこれら両面間を貫通し前記凸部を挿入可能な貫通口を有する中間型と、該中間型の第2の面と当接するパーティング面に凹部が形成されている凹型とを、この順で組み付けることによって内部に該凸部、該貫通口及び該凹部で画成された前記キャビティが形成されるものであり、前記蓋型の一面と前記中間型の第1の面との間に、該蓋型の動作方向に伸縮する弾性部材が配されており、該弾性部材を介して該蓋型と該中間型とが、前記凸部が前記貫通口に挿入された状態で連結されており、前記中間型の第2の面を前記凹型のパーティング面に当接させた状態で前記弾性部材を伸縮させることによって、前記凸部に前記貫通口内を往復動させて、前記キャビティの容積を調整可能になしてある石鹸の製造装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶融石鹸を低圧下で固化させるため、固化に際してひずみやバリが発生し難く、所望の形状の均質な石鹸を小型の装置で効率良く製造することができる。本発明は、透明石鹸、気泡入りの石鹸、カプセル化物入りの石鹸などの製造に特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1には、本発明の石鹸の製造装置の一実施形態の要部が示されている。図1に示す本実施形態の製造装置5は、サーボモーター20(駆動源)に接続され所定方向に往復動可能な蓋型1Aを含む複数の割型を組み付けることによって内部に成形用のキャビティが形成され、且つ該駆動源20を用いて該蓋型1Aを動作させることによって該キャビティの容積を調整可能な成形型1と、該成形型1を開閉させる金型ユニット2と、該成形型1の内部(キャビティ)に溶融石鹸を注入する注入装置3とを備えている。本実施形態の製造装置5は、透明石鹸の製造に好適に用いられる。
【0011】
成形型1は、図1及び図2に示すように、三個一組の割型、即ち蓋型1A、中間型1B及び凹型1Cで構成されている。各割型は金属等の剛体からなる矩形ブロック状の形態をしている。成形型1は、これら三個一組の割型を蓋型1A、中間型1B、凹型1Cの順で組み付けることによって、図3に示すように、内部に凸部11、貫通口12及び凹部13で画成されたキャビティ10が形成されるものである。
【0012】
蓋型1Aは、その一面(凸部形成面)1Aaから突出した凸部11を有し、該凸部形成面1Aaと反対側の他面(背面)が、サーボモーター20に接続された可動板24に取り付けられる。凸部11は、蓋型1Aの凸部形成面1Aaの略中央に位置し、平面視して角が丸みを帯びた矩形形状をしている。
【0013】
中間型1Bは、蓋型1Aの凸部形成面1Aaと対向する第1の面(裏面)1Ba、及び該裏面1Baと反対側に位置する第2の面PL1、並びにこれら両面1Ba,PL1間を貫通し凸部11を挿入可能な貫通口12を有している。中間型1Bの第2の面PL1は、後述する可動型1Dの凹型1C(固定型)とのパーティング面となっている。貫通口12は、中間型1Bの略中央に位置し、平面視して凸部11と同形(角が丸みを帯びた矩形形状)をしている。
【0014】
凹型1Cは、中間型1Bの第2の面(パーティング面)PL1と当接するパーティング面PL2に凹部13を有している。凹部13は、凹型1Cのパーティング面PL2の略中央に位置し、該パーティング面PL2よりも一段下がった位置に断面略コ字状をなす窪みとして形成されている。
【0015】
また、蓋型1Aの凸部形成面(一面)1Aaと中間型1Bの裏面(第1の面)1Baとの間には、蓋型1Aの動作方向(図1では左右方向)に伸縮する弾性部材14が配されており、該弾性部材14を介して蓋型1Aと中間型1Bとが、凸部11が貫通口12に挿入された状態で連結されている。本実施形態においては、相対向する矩形形状の凸部形成面1Aa及び裏面1Baそれぞれの四隅に、弾性部材14として4本の金属製のスプリングが固定されている。蓋型1Aの凸部11は、各弾性部材14の自然状態において、その一部(先端部)が中間型1Bの貫通口12に挿入されている。
【0016】
このように、成形型1を構成する三個一組の割型のうち所定方向に往復動可能な蓋型1Aと中間型1Bとは弾性部材14を介して一体化されて、可動型1Dを構成している。一方、図1の記載等から明らかなように凹型1Cは固定型となっている。可動型1Dにおけるパーティング面(中間型1Bの第2の面)PL1には、凸部11の頂部及び貫通口12の壁面からなる、凹状のキャビティ10の形成面(以下、キャビティ形成面ともいう)が形成されている。可動型1Dの該キャビティ形成面及び凹型1Cの凹部13は、図3に示すように可動型1Dと凹型1Cとを、該可動型1Dにおけるパーティング面PL1と該凹型1Cのパーティング面PL2で突き合わせて組み合わせたとき、製造すべき石鹸の形状に合致した形状のキャビティ10が形成されるように設けられている。
【0017】
上述した構成を有する成形型1は、図3に示すように可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)におけるパーティング面PL1を凹型1Cのパーティング面PL2に当接させた状態で略自然状態にある弾性部材14を伸縮させることによって、凸部11に貫通口12内を往復動させて、キャビティ10の容積を調整可能になしてある。即ち、図3に示す状態から、サーボモーター20(図1参照)を駆動して蓋型1Aを凹型1Cに当接している中間型1Bに向かって前進(図3中、右方向に移動)させて、弾性部材14を収縮させることにより、該蓋型1Aの凸部11が該凹型1Cの凹部13に向かって前進し、これによりキャビティ10の容積が減少し、このとき該キャビティ10の内容物は圧縮される。また、図3に示す状態から、サーボモーター20を駆動して蓋型1Aを中間型1Bから後退(図3中、左方向に移動)させて、弾性部材14を伸長させることにより、該蓋型1Aの凸部11が凹型1Cの凹部13から後退し、これによりキャビティ10の容積が増加し、このとき該キャビティ10の内容物は緩和される。
【0018】
また、図3に示す如く三個一組の割型1A〜1Cを組み付けた状態においては、キャビティ10の下部に該キャビティ10に通ずる溶融石鹸の供給路15が配されている。供給路15は、キャビティ10の下部から下方に延びるランナー15Aと、該ランナー15Aと直交し且つ三個一組の割型1A〜1Cを組み付けるときの組み付け方向(図1及び図3では左右方向)に延びるスプール15Bとを有しており、成形型1の側面視において略L字状をしている。ランナー15Aは、キャビティ10の最下部(底部)から成形型1の下端近傍まで略垂直に延びている。スプール15Bは、ランナー15Aの下端から成形型1の外面(凹型1Cの背面)まで略水平に延びている。後述するように溶融石鹸は、ランナー15A及びスプール15Bからなる供給路15を通じて、キャビティ10の下部から上方へ向かって充填される。
【0019】
図2に示すようにランナー15Aは、凹型1Cのパーティング面PL2の一部を切り欠いて形成されている。ランナー15Aは、円の一部が該パーティング面PL2に沿って切り欠かれた断面形状をしており、その径は、ランナー15Aの全長に亘って略一定となっている。ランナー15Aは一端(上端)が凹部13で開口し、他端(下端)が閉じている。スプール15Bは、凹型1Cの所定部位に該凹型1Cをその厚さ方向に貫通する貫通孔を穿設して形成されている。スプール15Bの径は、凹型1Cの背面側に向かうに連れ漸次縮径している。
【0020】
このように、本実施形態においては成形型1を構成する複数の割型のうち、固定型である凹型1Cに、キャビティ10に通ずる溶融石鹸の供給路15(ランナー15A及びスプール15B)が形成されており、サーボモーター20と接続される可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)には、溶融石鹸の供給路は形成されていない。つまり、本実施形態においては、溶融石鹸の供給側金型(凹型1C)と反対側の非供給側金型〔可動型1D(蓋型1A)〕にサーボモーター20を1個接続し、この1個のサーボモーター20を用いて該非供給側金型を動作させることにより、成形型1の型締めやキャビティ10の圧力制御を行うようになしてある。本実施形態の斯かる構成は、後述する石鹸の製造方法のように成形型内のキャビティにかかる圧力(蓋型にかかる圧力)を0.2MPa以下という低圧力に維持する場合に特に有効である。これに対し、プラスチックの成形分野では、成形型内のキャビティにかかる圧力を0.2MPaよりも高圧にする場合が多く、このような高圧型の成形法では、例えば特許文献2に記載されているような成形装置、即ち、成形型における可動側金型に型締め用のサーボモーターが接続されていると共に、該成形型における固定側金型に成形材料の供給路が設けられ且つキャビティ容積調整用のサーボモーターが接続されている成形装置が用いられるので、複数の駆動源が必要である。
【0021】
凹型1Cのパーティング面PL2上の少なくとも凹部13を介してランナー15Aに対向する位置にはエアベント(図示せず)が設けられている。該エアベントは、キャビティに溶融石鹸を充填するときに該キャビティの空気を外部に排出するための脱気孔として機能する。該エアベントは凹型1Cに限らず、中間型1Bに設置することもでき、また両割型1B,1Cに設置することもできる。また図示していないが、可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)における前記キャビティ形成面並びに凹型1Cの凹部13には、空気の吹き出し及び吸引用の微細幅のスリット及び/又は微小孔(以下、スリット等ともいう)が形成されていると共に、各割型1A〜1Cを構成するブロックには冷却水の循環路が設けられている。
【0022】
成形型1は、サーボモーター20を含む金型ユニット2に取り付けられる。具体的には、成形型1における凹型1Cが、ベースプレート21から立設された支持板22に取り付けられており、固定型となっている。一方、可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)はその背面(蓋型1Aの他面)が、サーボモーター20に送りねじ23を介して接続された可動板24に取り付けられている。サーボモーター20は、送りねじ23が可動板24と直交する方向に摺動するように、ベースプレート21から立設された支持板25に取り付けられている。従って、可動型1Dは水平方向に移動可能となっている。成形型1は、供給路15がキャビティ10の下側に位置するように固定されている。これによって、溶融石鹸はキャビティ10の下部から上方へ向かって充填される。
【0023】
成形型1の型締めやキャビティ10の圧力制御を行うサーボモーター20は、図示しない数値制御装置と電気的に接続されている。該数値制御装置は、サーボモーター20をはじめとする製造装置5全体を実質的に制御するマイクロコンピュータ等のCPUと、該CPUにより実行される制御プログラムや各種データ等の必要な固定情報を格納したROMと、該CPUによる処理の実行時におけるワークエリアとして使用されるRAMと、該数値制御装置のオペレーター用入力装置などを備えている。
【0024】
凹型1Cの背面側には、図1に示すように溶融石鹸の注入装置3が配されている。注入装置3は、供給路15に対応する溶融石鹸の注入部39を備えている。注入部39は、一端が循環管路42に接続されている供給管30を備えている。供給管30の他端は、溶融石鹸の液溜まり部31となっており、その液溜まり部31に注入ノズル32が突設されている。ノズル32内には、該ノズル32の内形状と同形状の外形を有する押し込みプラグ33が配されている。プラグ33は、その後端に取り付けられているエアーシリンダ38によってノズル32内を進退する。プラグ33が後退することでノズル32とプラグ33との間に空隙が生じ、この空隙を通じて溶融石鹸が成形型1へ供給される。一方、プラグ33が前進するとノズル32とプラグ33とが嵌り合って、両者間には空隙が無くなり溶融石鹸の供給が停止される。つまり、プラグ33の進退によって、溶融石鹸が供給され、またその供給が遮断されるようになっている。
【0025】
供給管30における、溶融石鹸の流動方向(図1中矢印Aで示す方向)に関して注入ノズル32よりも上流側の位置には、定容量供給装置の一例であるシリンダ34及びピストン36が取り付けられている。シリンダ34は、供給管30と交差するように設けられている。シリンダ34内には、該シリンダ34を境として供給管30の上流側又は下流側とシリンダ34とを択一的に連通させる切り替え用のロータリーバルブ35が配されている。これと共にシリンダ34内には、該シリンダ内を進退可能になっているピストン36が配されている。そして、シリンダ34とピストン36とによって、溶融石鹸の定容量供給装置が構成されている。ピストン36の進退は、その後端に取り付けられているサーボモーター37によって精密に制御されている。ピストン36が後退することで、シリンダ34内には、溶融石鹸を収容するための空間が形成される。この空間に溶融石鹸が充填されたのち、ピストン36を押し込むことで、成形型1のキャビティ10へ溶融石鹸が加圧下に充填される。キャビティ10への溶融石鹸の供給体積は、ピストン36の後退距離又は押し込み距離によって決定される。具体的には、1)後退前のピストン36の位置を原点としてピストン36の後退距離で供給体積を決定する方法、又は2)後退後のピストン36の位置を原点としてピストン36の押し込み距離で供給体積を決定する方法がある。計量される溶融石鹸が気泡入りである場合、これは圧縮性の流体であるので、前記1)の方法において、ピストン36の原点の位置でシリンダ34内に溶融石鹸ができるだけ残らないように原点を決めることが、製品重量の精度を高める点から好ましい。
【0026】
以上の構成を有する製造装置を用いた透明石鹸の製造方法について説明する。先ず成形開始前に、金型ユニット2のサーボモーター20を駆動させて送りねじ23を押し出して、図4に示すように可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)と凹型1Cとを型閉する。具体的には、前記数値制御装置(図示せず)がサーボモーター20を駆動し、送りねじ23を押し出して可動板24を凹型1Cに向かって移動させ、可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)におけるパーティング面PL1を凹型1Cのパーティング面PL2に当接させる。この可動板24(可動型1D)の移動は、例えば両割型1D,1Cの型閉位置を僅かに超えた先方を目標位置とした位置制御で行われる。
【0027】
可動型1Dが凹型1Cのパーティング面PL2に到達してこれに当接すると、前記数値制御装置は、蓋型1Aに取り付けられた圧力センサー(図示せず)からの信号を読み、該信号が予め設定しておいた圧力値P0となったところで、サーボモーター20の位置制御駆動をトルク制御駆動に切り替え、トルクリミット値を現状、即ち圧力値P0に対応した値にする。このため、可動板24はその位置に停止する。また、蓋型1Aに取り付けられた前記圧力センサーとサーボモーター20のトルクに比例する該サーボモーター20の電流モニタ値とは、サーボモーター20の力が釣り合った静止時おいては蓋型1Aに取り付けられた前記圧力センサーの値と比例する関係があるので、該圧力センサーを省略して、電流モニタ値から蓋型1Aに取り付けられた圧力センサーの値を推定することができ、この推定値を圧力センサーの値に代えてもよい。
【0028】
また、可動型1D及び凹型1Cには、前述した冷却水の循環路に水を循環させておく。また、成形型1における凹型1Cの背面側に注入装置3を取り付け、図4に示すように注入部39における注入ノズル32の先端と、凹型1Cにおけるスプール15Bの開孔部とを接続する。
【0029】
図4に示す状態においては、注入部39におけるシリンダ34と循環管路42との連通が、ロータリーバルブ35によって遮断されている。シリンダ34内に配されているピストン36は所定の位置に留まっている。またこの状態においては、図5に示すように、注入部39における押し込みプラグ33はノズル32内に完全に挿入されており、溶融石鹸が供給されないようになっている。溶融石鹸は、図示しない貯蔵タンクに貯えられており、該貯蔵タンク内を経由する循環管路42を循環している。
【0030】
この状態下に、循環管路42を循環する溶融石鹸は、その一部が、注入部39へ送り込まれる。溶融石鹸を注入部39へ送り込むには、ロータリーバルブ35を所定角度回転させてシリンダ34と循環管路42とを連通させる。これと共にサーボモーター37を作動させてピストン36を後退させる。これによってシリンダ34内に空間が形成され、その空間内に溶融石鹸が流入する。ピストン36の後退は、所定量の溶融石鹸がシリンダ34内に充填されるまで続けられる。
【0031】
所定量の溶融石鹸がシリンダ34内に充填されたら、サーボモーター37の作動を停止し、ピストン36の後退を停止する。次に、ロータリーバルブ35を所定角度反転させてシリンダ34と循環管路42との連通を遮断し且つシリンダ34とノズル32とを連通させる。引き続き、エアーシリンダ38を作動させてノズル32内からプラグ33を引き抜き、両者間に空隙を形成する。この状態を図6に示す。これによって、シリンダ34、供給管30、液溜まり部31及びノズル32並びにスプール15B、ランナー15A及びキャビティ10からなる溶融石鹸の供給路が形成される。この状態下にサーボモーター37を作動させてシリンダ34内のピストン36を押し込む。これによって、シリンダ34内に充填されていた溶融石鹸が前記供給路を通じて成形型1のキャビティ10に加圧注入される。溶融石鹸の供給量がピストン34のストローク量で決定されることは前述の通りであるが、そのストローク量はサーボモーター37によって精密に制御される。キャビティ10に溶融石鹸が満たされるにつれて、キャビティ10の空気は前記エアベント(図示せず)から外部に排出され、溶融石鹸に置換されていく。成形型1において、溶融石鹸は供給路15(ランナー15A及びスプール15B)を通じてキャビティ10の下部から上方へ向かって充填されるため、溶融石鹸の脱泡がより確実に行われる。
【0032】
キャビティ10及び供給路15への所定量の溶融石鹸の充填が完了したら、再び注入部39における押し込みプラグ33をノズル32内に完全に挿入する(図5参照)。上述した通り可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)並びに凹型1Cは冷却水の循環によって所定温度に冷却されており、これによってキャビティ10及び供給路15内の溶融石鹸の冷却固化が促進される。
【0033】
本実施態様においては、蓋型1Aにかかる圧力が、溶融石鹸の充填開始時から充填完了時の間は0.2MPa以下、好ましくは0.15MPa以下、該溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間は0.03〜0.2MPa、好ましくは0.05〜0.15MPaの範囲に維持されるように、該蓋型1A(可動型1D)を動作させてキャビティ10の容積を増減させながら成形型1内の溶融石鹸を固化させる。つまり、本実施態様においては、溶融石鹸の充填開始時から充填完了時を経て冷却完了時までの連続した時間に亘って、蓋型1Aにかかる圧力が0.2MPa以下となるようにキャビティ10の容積を増減させる。ここで、溶融石鹸の充填開始時とは、溶融石鹸が充填される空間に該溶融石鹸が初めて流入した時点であり、本実施態様においては、キャビティ10に溶融石鹸が初めて流入した時点である。この「キャビティ10に溶融石鹸が初めて流入した時点」は、前記溶融石鹸の供給路の形成後における、ピストン36をシリンダ34内に押し込むためのサーボモーター37の作動開始時点に略等しく、本実施態様においては、このサーボモーター37の作動開始時点を溶融石鹸の充填開始時とみなすことができる。また、溶融石鹸の充填完了時とは、溶融石鹸が充填される空間への該溶融石鹸の流入が終了した時点であり、本実施態様においては、成形型1(キャビティ10及び供給路15)への所定量の溶融石鹸の充填完了時点(押し込みプラグ33をノズル32内に挿入する直前)である。また、溶融石鹸の冷却完了時とは、所定の空間内に充填された溶融石鹸が、少なくとも該空間から取り出し可能な程度に冷却固化されて取り出される直前であり、本実施態様においては、可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)と凹型1Cとが型開される直前である。
【0034】
このように、本実施態様においては、A)キャビティ10に溶融石鹸が始めて流入した時点(ピストン36をシリンダ34内に押し込むためのサーボモーター37の作動開始時点)を始期とし、成形型1(キャビティ10及び供給路15)への該溶融石鹸の充填完了時点(押し込みプラグ33をノズル32内に挿入する直前)を終期とする連続した時間、及びB)該溶融石鹸の充填完了時点を始期とし、冷却固化された該溶融石鹸を取り出すために可動型1Dと凹型1Cとが型開される直前を終期とする連続した時間、それぞれにおいて、蓋型1Aにかかる圧力を前記範囲に維持することにより、溶融石鹸の冷却固化時に懸念される石鹸の収縮やひけの発生が抑えられ、所望の形状の石鹸が得られるようになる。また特に、本実施態様のように透明石鹸を製造する場合には、成形圧力の高圧化による透明性の低下の防止、ひずみやバリ等の防止の観点から、蓋型1Aにかかる圧力を前記A)及びB)においてそれぞれ前記範囲に調整することが好ましい。溶融石鹸の充填開始時から冷却完了時までの間において、蓋型1Aにかかる圧力が0.2MPaを越えると、溶融石鹸の固化速度が速まるため生産性は向上するが、溶融石鹸の固化に際してひずみやバリが発生しやすくなったり、透明性の低下や所望の形状が得られないおそれがある。
【0035】
上述した蓋型1A(可動型1D)の動作によるキャビティ10の容積の調整(増減)は、前記数値制御装置(図示せず)によって制御される。具体的には、上述したように前記数値制御装置は、可動型1Dが凹型1Cのパーティング面PL2に到達してこれに当接したところでサーボモーター20の位置制御駆動をトルク制御駆動に切り替え、蓋型1Aに取り付けられた圧力センサー(図示せず)からの信号を読み取りながら、該信号が0.2MPa以下の範囲に維持されるようにサーボモーター20のモータートルクを制御する。このようなトルク制御下でサーボモーター20が駆動し、これによってピストン23が押し出され又は戻されて可動板24が凹型1Cに向かって前進又は後退し、蓋型1Aの凸部11が凹型1Cの凹部13に向かって前進又は後退することで、キャビティ10の容積が増減する。蓋型1Aにかかる圧力はキャビティ10の内容物にかかる圧力に略等しく、この容積増減の間にキャビティ10の溶融石鹸にかかる圧力は概ね0.03〜0.2MPaである。
【0036】
前記B)の時間(以下、充填後圧力調整時間ともいう)、即ち、溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間(蓋型1Aにかかる圧力が0.03〜0.2MPaの範囲に維持される時間)は、特に制限されないが、生産性やエネルギー効率の観点から、好ましくは10〜150秒、更に好ましくは20〜60秒である。充填後圧力調整時間は、前記数値制御装置(図示せず)によって管理される。通常、所定の充填後圧力調整時間が経過した時点で、成形型1内の石鹸は少なくともその表層部が固化している。
【0037】
所定の前記充填後圧力調整時間が経過すると、前記数値制御装置(図示せず)はサーボモーター20を駆動し、図8に示すように可動板24を後退(図8中、左側に移動)させ、可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)と凹型1Cとを型開する。また、注入装置3が凹型1Cから取り外される。可動型1Dと凹型1Cとを型開するとき、可動型1Dの前記キャビティ形成面に形成されている前記スリット等(図示せず)を通じて吸引を行う。これと共に凹型1Cの凹部13に形成されている前記スリット等(図示せず)を通じて該凹部13から固形石鹸Sに向けて空気を吹き付け、該凹部13及び供給路15(ランナー15A及びスプール15B)からの固形石鹸Sの離型を促進させる。これらの操作によって、固形石鹸Sを可動型1Dの前記キャビティ形成面に保持させる。
【0038】
引き続き、可動型1Dに保持されている固形石鹸Sを所定の把持手段(図示せず)によって取り出す。このとき、可動型1Dに形成されている前記スリット等(図示せず)を通じて前記キャビティ形成面から固形石鹸Sに向けて空気を吹き付け、可動型1Dからの固形石鹸Sの離型を促進させる。その後、可動型1Dと凹型1Cとを型閉して図4に示す状態に復帰させ、これまでに述べた操作を繰り返す。
【0039】
このようにして成形型1から取り出された固形石鹸Sは、図9に示すように、キャビティ10内で溶融石鹸が固化された部分S1と、供給路15(ランナー15A及びスプール15B)内で溶融石鹸が固化された部分S2とを含んでいる。これに対し、従来の石鹸の製造方法においては、溶融石鹸の冷却固化を開始する時点で既に供給路(ゲート)内の溶融石鹸はゲートピンによってキャビティ内に押し出されているため、成形型から取り出される固形石鹸は部分S1のみからなり、部分S2を含んでいない。このようないわゆるゲートピン方式で得られる石鹸は、上述したゲートピンによる残存溶融石鹸の押し出し操作に起因して、ゲート(ランナー)の周辺に位置していた部位に、歪みやゲート内面の磨耗等による汚れが発生しやすいという問題がある。本実施態様においては、成形型1から取り出される固形石鹸Sに部分S2を具備させることで、ゲートピン方式におけるこのような問題を解消している。
【0040】
成形型1から固形石鹸Sを取り出した後、その部分S1と部分S2との境界部を所定の切断手段(図示せず)によって切断し、部分S1を最終製品とする。部分S2は回収して新たな石鹸の製造に利用することができる。
【0041】
このように本実施態様によれば、溶融石鹸の充填開始時から充填完了時を経て冷却完了時までの連続した時間に亘って、成形型1を構成する蓋型1Aにかかる圧力を0.2MPa以下(前記充填後圧力調整時間においては0.03〜0.2MPa)という低圧力に維持することにより、透明性が高く且つひけや歪みや汚れが少なく均質に成形された高品質の透明石鹸を、効率良く低コストで製造することができる。
【0042】
透明石鹸を構成する配合成分としては、例えば、脂肪酸石鹸、非イオン系界面活性剤、無機塩、ポリオール類、非石鹸系のアニオン界面活性剤、遊離脂肪酸、香料、水等が挙げられる。更に、抗菌剤、顔料、染料、油剤、植物エキス等の添加物を必要に応じて適宜配合してもよい。
【0043】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、例えば、成形型1における弾性部材14の数及び配置は前記実施形態に制限されず、適宜設定することができる。弾性部材14としては、金属製やプラスチック製のスプリングの他、硬質ゴム、空気バネ等を用いることができる。
【0044】
また、固形石鹸Sを一方の可動型1Dにより確実に保持させるために、可動型1Dにおける前記キャビティ形成面の表面積を、凹型1Cにおける凹部13の表面積よりも大きくしても良い。両者の表面積に差を設ける方法としては、例えば両者で表面粗さを異ならせる方法が挙げられる。
【0045】
また、前記実施形態は透明石鹸の製造方法に係るものであったが、本発明はこれ以外の石鹸の製造にも同様に適用できる。例えば、気泡入りの石鹸の製造においては、溶融石鹸の成形時の圧力が高くなると、固化後の成形型の型開時に、内外の圧力差に起因して石鹸が飛散するおそれがあるところ、上述したように本発明における成形圧力(蓋型にかかる圧力)は低いため、本発明によればこのような不都合が生じにくい。また、芳香剤などの各種助剤を含むカプセル化物入りの石鹸の製造においては、溶融石鹸の成形時の圧力が高くなると該圧力によってカプセル化物がつぶれてしまい、所望の製品が得られないおそれがあるところ、成形圧力が低い本発明によればこのような不都合を生じさせずに、高品質のカプセル化物入りの石鹸が得られる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲は斯かる実施例に制限されるものではない。
【0047】
(溶融石鹸の調製)
以下に示す配合成分を用いて溶融石鹸を調製した。尚、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
イソプレングリコール(浸透促進剤)13.6%
レオドールスーパーTW-L120(泡安定剤)5.4%
アンヒトール20HD(洗浄基剤)5.4%
ルナックL-98(洗浄基剤)10.5%
ルナックMY-98(洗浄基剤)10.5%
ルナックS-90(洗浄基剤)5.3%
ルナックP-95(洗浄基剤)5.3%
BHT(酸化防止剤)0.1%
ディスクエスト2010CS(キレート剤)0.1%
48%水酸化ナトリウム水溶液(中和剤)12.0%
キシリトール(保湿剤)9.1%
ソルビトール(保湿剤)13.6%
塩化ナトリウム(粘度調整剤)1.1%
精製水8.2%
【0048】
〔実施例1〕
このようにして調製した溶融石鹸及び図1に示す製造装置を用いて、上述した製造方法に従って透明石鹸を製造した。即ち、キャビティ10及び供給路15へ所定量の溶融石鹸を充填した後、該溶融石鹸を所定時間冷却し、この溶融石鹸の充填開始時から冷却完了時までの連続した時間に亘って、蓋型1Aを動作させてキャビティ10の容積を増減させながら該溶融石鹸を固化させた。キャビティの容積調整は、サーボモーターのモータートルクを制御することによって行った。溶融石鹸の温度は70℃とした。溶融石鹸の充填開始時から60秒後に、各割型1A,1B及び1Cを冷却する冷却水を循環させてこれらの割型を10分間冷却し、溶融石鹸が充填されている成形型1の温度を10℃にした。溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間(前記充填後圧力調整時間)は125秒とした。所定の充填後圧力調整時間が経過した後、成形型1を型開し、図9に示す如き形状の透明石鹸を得た。
【0049】
図10に、実施例1における溶融石鹸の成形時の圧力波形等を示す。図10は、可動型1D(蓋型1A及び中間型1B)と凹型1Cとを型締めしてからの経過時間(秒)を横軸、所定部位の圧力を左側の縦軸、ピストン等の位置を右側の縦軸にとったもので、図10中、Aは、溶融石鹸の供給量を調整するピストン36の位置を示し、Bは、蓋型1Aにかかる圧力(キャビティ10内の圧力)を示し、Cは溶融石鹸の充填圧力を示し、Dは、型締め位置を示す。図10の横軸における符号Zは、溶融石鹸の成形型1への充填が完了した時点(充填完了時)を示している。図10から明らかなように、蓋型1Aにかかる圧力Bは、溶融石鹸の充填開始時から充填完了時の間(溶融石鹸の充填中)においては0.2MPa以下の範囲に、充填完了時から冷却完了時までの間(溶融石鹸の充填完了時から成形型1を型開する直前までの間)においては0.03〜0.2MPaの範囲にそれぞれ維持されており、実施例1では溶融石鹸の充填開始時から冷却完了時の連続した時間に亘ってこのような低圧下(0.2MPa以下)での溶融石鹸の冷却固化が実施されている。
【0050】
〔比較例1〕
溶融石鹸の充填開始時から冷却完了時の連続した時間に亘って、蓋型1Aにかかる圧力を0.3MPaに維持した以外は実施例1と同様にして透明石鹸を得た。
【0051】
〔比較例2〕
溶融石鹸の充填開始時から冷却完了時の連続した時間に亘って、蓋型1Aにかかる圧力を0.02MPaに維持した以外は実施例1と同様にして透明石鹸を得た。
【0052】
実施例1で得られた透明石鹸は、透明性が高く且つひけや歪みや汚れが見られなかったのに対し、比較例1及び2で得られた透明石鹸は、何れもひけや歪みやバリが見られ、実施例1で得られた透明石鹸よりも品質的に劣るものであった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の石鹸の製造装置の一実施形態における成形型、金型ユニット及び注入装置を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す製造装置における成形型の型開状態を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す成形型の割型を組み付けた状態で模式的に示す側面図である。
【図4】図4は、図1に示す製造装置の成形開始時の状態を示す模式図である。
【図5】図5は、図4の要部拡大図である。
【図6】図6は、成形型の内部に溶融石鹸を注入する状態を模式的に示す図5相当図である。
【図7】図7は、図1に示す製造装置において成形型の内部への溶融石鹸の充填が完了した状態を示す模式図である。
【図8】図8は、図1に示す製造装置において成形型を型開した状態を示す模式図である。
【図9】図9は、図1に示す製造装置を用いて製造された石鹸を模式的に示す側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例1における溶融石鹸の成形時の圧力波形等を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 成形型
1A 蓋型
1Aa 蓋型の一面(凸部形成面)
1B 中間型
1Ba 中間型の第1の面(裏面)
PL1 中間型の第2の面(パーティング面)
1C 凹型
PL2 凹型のパーティング面
1D 可動型(蓋型及び中間型)
2 金型ユニット
3 注入装置
5 製造装置
10 キャビティ
11 凸部
12 貫通口
13 凹部
14 弾性部材
15 供給路
15A ランナー
15B スプール
20 サーボモーター(駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に接続され所定方向に往復動可能な蓋型を含む複数の割型を組み付けることによって内部に成形用のキャビティが形成され、且つ該駆動源を用いて該蓋型を動作させることによって該キャビティの容積を調整可能な成形型の該キャビティに、溶融石鹸を充填して冷却し固化させる工程を備え、
前記蓋型にかかる圧力が、前記溶融石鹸の充填開始時から充填完了時の間は0.2MPa以下、該溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間は0.03〜0.2MPaの範囲に維持されるように、前記キャビティの容積を増減させながら該溶融石鹸を固化させる石鹸の製造方法。
【請求項2】
前記溶融石鹸の充填完了時から冷却完了時の間が10〜150秒である請求項1記載の石鹸の製造方法。
【請求項3】
前記駆動源がサーボモーターであり、該サーボモーターのモータートルクを制御することによって前記キャビティの容積を調整する請求項1又は2記載の石鹸の製造方法。
【請求項4】
前記蓋型はその一面から突出した凸部を有し、前記成形型が、前記蓋型と、該蓋型の一面と対向する第1の面及び該第1の面と反対側に位置する第2の面並びにこれら両面間を貫通し前記凸部を挿入可能な貫通口を有する中間型と、該中間型の第2の面と当接するパーティング面に凹部が形成されている凹型とを、この順で組み付けることによって内部に該凸部、該貫通口及び該凹部で画成された前記キャビティが形成されるものであり、
前記蓋型の一面と前記中間型の第1の面との間に、該蓋型の動作方向に伸縮する弾性部材が配されており、該弾性部材を介して該蓋型と該中間型とが、前記凸部が前記貫通口に挿入された状態で連結されており、
前記中間型の第2の面を前記凹型のパーティング面に当接させた状態で前記弾性部材を伸縮させることによって、前記凸部に前記貫通口内を往復動させて、前記キャビティの容積を調整可能になしてある請求項1〜3の何れかに記載の石鹸の製造方法。
【請求項5】
前記凹型に、前記キャビティに通ずる前記溶融石鹸の供給路が形成されている請求項4記載の石鹸の製造方法。
【請求項6】
駆動源に接続され所定方向に往復動可能な蓋型を含む複数の割型を組み付けることによって内部に成形用のキャビティが形成され、且つ該駆動源を用いて該蓋型を動作させることによって該キャビティの容積を調整可能な成形型と、該キャビティに溶融石鹸を注入する注入装置とを備えた石鹸の製造装置であって、
前記蓋型はその一面から突出した凸部を有し、前記成形型が、前記蓋型と、該蓋型の一面と対向する第1の面及び該第1の面と反対側に位置する第2の面並びにこれら両面間を貫通し前記凸部を挿入可能な貫通口を有する中間型と、該中間型の第2の面と当接するパーティング面に凹部が形成されている凹型とを、この順で組み付けることによって内部に該凸部、該貫通口及び該凹部で画成された前記キャビティが形成されるものであり、
前記蓋型の一面と前記中間型の第1の面との間に、該蓋型の動作方向に伸縮する弾性部材が配されており、該弾性部材を介して該蓋型と該中間型とが、前記凸部が前記貫通口に挿入された状態で連結されており、
前記中間型の第2の面を前記凹型のパーティング面に当接させた状態で前記弾性部材を伸縮させることによって、前記凸部に前記貫通口内を往復動させて、前記キャビティの容積を調整可能になしてある石鹸の製造装置。
【請求項7】
前記凹型に、前記キャビティに通ずる溶融石鹸の供給路が形成されている請求項6記載の石鹸の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−111709(P2010−111709A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282780(P2008−282780)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】