説明

研削盤および研削盤のエクステンション・スピンドル交換方法

【課題】研削工具を自動着脱ができる研削盤を提供する。
【解決手段】ワークが保持されるワーク保持部材と、このワーク保持部材に対して移動自在に配設された砥石軸ヘッド3と、この砥石軸ヘッド3に回転自在に軸支された砥石軸3aと、ワークを加工する研削工具のツールホルダを手動にて砥石軸3aに着脱する研削盤において、砥石軸3aに連結部Rが設けられて着脱自在に連結され、前記研削工具が装着される延長砥石軸8aと、この延長砥石軸8aを回転自在に支持し、前記砥石軸ヘッド3にクランプされる延長外筒8eと、を備えたエクステンション・スピンドル8と、延長外筒8eを砥石軸ヘッド3にクランプするクランプ装置Cと、砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dおよび延長外筒8eに設けられ、砥石軸3aと延長砥石軸8aとの芯出しをする芯出し部Bと、を備えたことを特徴とする研削盤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石軸ヘッドと砥石軸に着脱自在に装着され、研削工具の砥石が下端部に回転自在に設けられたエクステンション・スピンドルを有する研削盤、および、研削盤のエクステンション・スピンドルを自動交換するエクステンション・スピンドル交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9の(a)は、従来の横形マシニングセンタの工具交換装置を示す斜視図である。図9の(a)に示すように、横形マシニングセンタ100は、3(X,Y,Z)軸の制御軸を有し、工具マガジン150には交換用工具が格納されている。この交換用工具と主軸61に装着された研削工具のツールホルダ80は、自動工具交換装置(ATC)140によって自動交換される(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の自動工具交換装置100は、主軸ヘッド60の主軸61が横置きのため、重力による主軸、工具自体のたわみ(変形)が大きく影響し、円筒形状のワークの内径と外径を高精度に研削するには不向きであるという問題があった。
【0003】
図9の(b)は、従来の回転テーブル形平面研削盤の主軸を示す断面図である。図9の(b)に示すように、立形の主軸51を有し、円形テーブル53を配置した研削盤50は、通称ロータリー研削盤50と呼ばれている。このロータリー研削盤50の主軸端51aには大径のカップ砥石52が装着され、円形テーブル53上には図示しない磁着用マグネットが埋め込まれている。ロータリー形研削盤50は、大きな円形テーブル53の上面に薄物のワークWを磁着できるため、薄物のワークWの平面研削加工には最適である(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載のロータリー研削盤50は、立て置きにした円筒形状のワークWの上端面の研削加工ができたとしても、内径と外径を高精度に研削することは不向きであるという問題があった。
【0004】
そこで、これらの問題を解決したのが立形研削盤である。この立形研削盤は、3(X,Z,C)軸の制御軸を有するNC研削盤であり、これまでにない新しいタイプのNC研削盤である。この立形研削盤において、円筒形状のワーク(以下、円筒ワーク)の内外径を高精度に研削するためには、内径用の中引き砥石と、仕上げ砥石と、外径用の中引き砥石と、仕上げ砥石の少なくとも4種類の研削工具が必要であった。
【0005】
図10は、立形研削盤で使用する従来の研削工具のツールホルダを示す説明図である。この研削工具(砥石)のツールホルダはクイルタイプという。
図10に示すように、ワーク保持部材である円形テーブル41の上面には円筒ワークWが固定されている。砥石軸ヘッド42の砥石軸42aの下端部には、研削工具(砥石)を固定したツールホルダ40が装着されている。従来のツールホルダ40は、工具本体44とクイル45との2ピースで構成されている。工具本体44の上端のシャンク部44aはショートテーパの2面拘束仕様になっており、砥石軸ヘッド42の主軸42aに内蔵されたクランプ・アンクランプ装置により固定されている。
一方、工具本体44の下端には、縮径された軸44bが突設されている。この軸44bにクイル45の上部の穴45aが嵌合されて装着された後、図示しないビスにより一体に固定されている。また、クイル45の先端部45cにはボルトによって砥石45dが固定されている。
【0006】
立形研削盤による円筒ワークの加工方法は、図10に示すように、砥石軸42aを高速回転、回転テーブル41を低速回転させ、円筒ワークWの内周面に砥石45dを当接させてから微量の切込みを与え、上下方向へ研削送りを与えることにより、内径の研削加工を行う。また、外周面の研削加工は、同様に円筒ワークWの外周面に砥石45dを当接させてから微量の切込みを与え、上下方向へ研削送りを与えることにより、外径の研削加工を行う。さらに、円筒ワークの端面の加工方法は、円筒ワークの端面に砥石45dの下面を当接させてから微量の切込みを与え、左右方向へ研削送りを与えることにより、端面の研削加工を行う。
しかしながら、従来の研削工具(砥石)のツールホルダ40は、容易にワークWの小径穴の深部まで挿入できるが、ツールホルダ(クイル)自体の剛性が不足し、高精度加工には不向きであるという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−269829号公報(段落0011、図1、図5)
【特許文献2】実開昭63−131350号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するために創案されたものであり、剛性があり、繰り返し精度が高精度で保持できるとともに、短時間で自動着脱ができるエクステンション・スピンドルを備えた研削盤を提供する。さらに、研削盤のエクステンション・スピンドルを自動交換する自動スピンドル交換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の研削盤(10)の発明は、ワーク(W)が保持されるワーク保持部材(2)と、このワーク保持部材(2)に対して移動自在に配設された砥石軸ヘッド(3)と、この砥石軸ヘッド(3)に回転自在に軸支された砥石軸(3a)と、前記ワーク(W)を加工する研削工具のツールホルダを手動にて前記砥石軸(3a)に着脱する研削盤(10)において、前記砥石軸(3a)に連結部(R)が設けられて着脱自在に連結され、前記研削工具が装着される延長砥石軸(8a)と、この延長砥石軸(8a)を回転自在に支持し、前記砥石軸ヘッド(3)にクランプされる延長外筒(8e)と、を備えたエクステンション・スピンドル(8)と、前記延長外筒(8e)を前記砥石軸ヘッド(3)にクランプするクランプ装置(C)と、前記砥石軸ヘッド(3)の外筒ヘッド(3d)および前記延長外筒(8e)に設けられ、前記砥石軸(3a)と前記延長砥石軸(8a)との芯出しをする芯出し部(B)と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の研削盤(10)であって、前記ワーク(W)を加工するエクステンション・スピンドル(8)を収納するマガジン(9)を備え、前記延長砥石軸(8a)に前記研削工具(8g)を固定して前記マガジン(9)に収納された前記エクステンション・スピンドル(8)を前記砥石軸(3a)に着脱することで、前記砥石軸(3a)に装着されて前記研削工具(8g)を自動交換することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の研削盤(10)であって、前記連結部(R)は、前記砥石軸(3a)の下端部(3b)にワンウェイクラッチ(3f)が装着されたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の研削盤(10)であって、前記芯出し部(B)は、一方の前記外筒ヘッド(3d)の芯出し面(3x)に対し、他方は前記延長外筒(8e)のフランジ部(8r)の内周面に設けられた芯出し面(8x)であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の研削盤(10)であって、前記クランプ装置(C)は、平面視で砥石軸ヘッド(3)の外筒ヘッド(3d)に複数個が配置され、前記クランプ装置(C)の本体となる前記スリーブ(3h)の下端部のテーパ穴(3p)には、延長外筒(8e)のフランジ部(8r)に配置されたテーパシャンク部(8m)が嵌合するとともに、前記スリーブ(3h)に挿通されたロッド(3i)を上方向へ引き上げるクランプ機構により、前記テーパシャンク部(8m)の穴部の係合部(8t)と前記スリーブ(3h)に内蔵されたコレット(3k)の先端外周の係合部(3n)とが係合してクランプする、または、前記スリーブ(3h)に挿通されたロッド(3i)を下方に押し下げるクランプ機構により、前記テーパシャンク部(8m)の係合部(8t)と前記コレット(3k)の先端外周の係合部(3n)とを離間させてアンクランプすることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項2に記載の研削盤(10)であって、前記マガジン(9)は、前記エクステンション・スピンドル(8)を複数格納するマガジンテーブル(9d)と、前記マガジンテーブル(9d)に配置された複数のポット(a,b,c,d)と、
前記マガジンテーブル(9d)を回動し、位置を割出す位置割出装置(9k)と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項2ないし請求項6に記載の前記立形研削盤(10)の前記エクステンション・スピンドル(8)を自動交換する自動スピンドル交換方法であって、1)前記砥石軸ヘッド(3)が原点位置からスピンドルマガジン装置(9)の交換位置(a)の真上まで右方向へ移動し、下降してマガジンテーブル(9d)の空きポット(a)にエクステンション・スピンドル(8)を挿通してエクステンション・スピンドル(8)のフランジ部(8r)がマガジンテーブル(9d)に当接するまで接近する第1ステップと、2)前記クランプ装置(C)のアンクランプ指令が入ると、エクステンション・スピンドル(8)の延長外筒(8e)は、複数のクランプ装置(C)に内蔵されたクランプ機構により、前記砥石軸ヘッド(3)の外筒ヘッド(3d)のクランプ状態が解除される第2ステップと、3)前記砥石軸(3a)が上昇し、前記スピンドルマガジン装置(9)のマガジンテーブル(9d)の割出動作の終了まで待機する第3ステップと、4)前記マガジンテーブル(9d)の回動指令により回動し、交換するエクステンション・スピンドル(8’)のポット(b)を割り出す第4ステップと、5)前記砥石軸ヘッド(3)が下降して、前記エクステンション・スピンドル(8’)の芯出し部(B)によって芯出しが行われ、フランジ部(8r)に突設された前記テーパシャンク部(8m)が前記クランプ装置(C)のテーパ穴(3p)に挿入され、前記延長砥石軸(8a)のマンドレル部(8b)が前記砥石軸(3a)のワンウェイクラッチ(3f)に挿入される第5ステップと、6)クランプ指令が入ると、エクステンション・スピンドル(8)の延長外筒(8e)は、複数のクランプ装置(C)に内蔵されたクランプ機構により、前記砥石軸ヘッド(3)の外筒ヘッド(3d)にクランプされる第6ステップと、7)砥石軸ヘッド(3)がマガジンテーブル(9d)から離間して上昇して、左方向へ移動して、元の位置へもどる第7ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、外筒ヘッドに複数のクランプ装置と芯出し部を備え、エクステンション・スピンドルの延長外筒に、砥石軸ヘッドの外筒ヘッドと芯出しを行う芯出し面を設け、複数のテーパシャンク部を有する延長外筒と、さらに、延長外筒にベアリングを介して軸支され、主軸の連結部にマンドレル部が連結された延長砥石軸とからなるエクステンション・スピンドルと、前記砥石軸ヘッドにクランプするクランプ装置とを備え、エクステンション・スピンドルが着脱自在に交換されることにより、剛性があり、繰り返し精度が高精度で保持できるとともに、短時間でエクステンション・スピンドルを手動にて着脱ができる立形研削盤を提供することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、さらに、このエクステンション・スピンドルを複数格納するスピンドルマガジン装置を備え、延長砥石軸に装着された砥石と、延長外筒とをセットにしたエクステンション・スピンドルが着脱自在に交換されることにより、剛性があり、繰り返し精度が高精度で保持できるとともに、短時間でエクステンション・スピンドルを自動着脱ができる立形研削盤を提供することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、連結部にワンウェイクラッチを設け、芯金のマンドレル部との組み合わせにしたことにより、高精度の動力の伝達ができる。
また、砥石軸と延長砥石軸との芯合わせの精度が向上できるので、円筒ワークの内径と外径を高精度に研削することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、芯出し部は、一方の外筒ヘッドの芯出し面に対し、他方は延長外筒のフランジ部の内周面に設けられた芯出し面としたことにより、エクステンション・スピンドル側の芯出し面の径が大きいため、砥石軸ヘッドの主軸の芯と、エクステンション・スピンドルの延長砥石軸の芯は、さらに、高精度の位置合わせになるため、繰り返し精度は高精度が保証される。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、クランプ装置を砥石軸ヘッドの外筒ヘッドに複数個を配置したテーパ穴と、エクステンション・スピンドルの延長外筒のテーパシャンク部とを嵌合させ、クランプしたことにより、外筒ヘッドと延長外筒とを一体に固定することができる。つまり、剛性の高い砥石軸ヘッドの外筒ヘッドと、下方に延長した剛性の高い延長外筒をこのクランプ装置により一体に固定することができることから、与圧をかけたベアリングを介して挿通されたエクステンション・スピンドルの延長砥石軸の剛性を高めることができる。また、高剛性の延長外筒と複数のクランプ装置によりクランプしたので、延長外筒の剛性は高めることができるとともに、ベアリングによって軸支された延長砥石軸の剛性も高めることができるため、円筒ワークの内径と外径を高精度に研削することができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、本発明の研削盤にマガジンを設けたことにより、複数のエクステンション・スピンドルを格納することができる。少なくとも内径用の中引き砥石と、仕上げ砥石と、外径用の中引き砥石と、仕上げ砥石の4種類の砥石の格納ができるため、生産効率が飛躍的に向上できる。また、エクステンション・スピンドルを複数本格納できるマガジンを備えたことにより、短時間で自動着脱ができ、エクステンション・スピンドルを使用したエクステンション・スピンドル交換装置を備えた研削盤を提供することができる
【0022】
請求項7に係る発明によれば、エクステンション・スピンドルを自動交換する自動スピンドル交換方法の手順に従えば、砥石軸ヘッドのX、Z軸方向の移動とマガジンの回動により、エクステンション・スピンドルの自動交換が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、立形研削盤の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は立形研削盤を示す平面図であり、図2は正面図、図3は右側面図である。工作機械の座標系はJISB6310に規定されているが、立形研削盤10に関しての記載または図示は見当たらない。立形研削盤10の座標系は、図2に示すように、砥石軸ヘッド3の砥石軸3a(図5参照)の上下方向がZ軸であり、砥石軸ヘッド3の左右方向がX軸、ワーク保持部材2の回転する主軸がC軸である。立形研削盤10は、砥石軸ヘッド3の2(X,Z)軸の制御軸を合せて、2軸制御のNC研削盤である。
なお、研削盤業界では回転テーブル(ワーク保持部材)の回転軸を主軸と呼称し、主軸ヘッドの主軸を砥石軸ヘッドの砥石軸と呼称しているため、研削盤業界の呼称を踏襲して説明する。
【0024】
立形研削盤は、図3に示すように、基台であるベッド1と、ベッド1に載置されたガイドベース1aと、ガイドベース1aに載置され、左右方向に移動するサドル5と、サドル5に載置され、上下方向に移動するクロススライド7と、クロススライド7の正面に固定された砥石軸ヘッド3と、砥石軸ヘッド3の砥石軸3a(図5参照)に着脱自在のエクステンション・スピンドル8と、図2に示すエクステンション・スピンドル8を格納するスピンドルマガジン装置9と、円筒ワークWを保持して回転させるワーク保持部材2等から構成されている。これらの構成を順追って詳細に説明する。
【0025】
<ベッドとガイドベースの構成>
図3に示すように、立形研削盤10のベッド1は矩形であり、この矩形のベッド1の上面にガイドベース1aが載置されている。また、ガイドベース1aの上面と正面には左右(X軸)方向に2本のX軸用の直動ガイド1b,1bが配置され、この直動ガイド1b,1bには摺動自在の直動ナット1c,1cが嵌合されている。
また、図示しないX軸用サーボモータとX軸用ボールねじ4bによるX軸駆動装置4がガイドベース1aの正面に配置されている。さらに、このX軸用ボールねじ4bにはボールねじ用のナット4cが回転可能に螺入されている。
【0026】
<サドルの構成>
図3に示すように、サドル5はX軸用ボールねじ4b用のナット4cに接続され、X軸用の直動ナット1c,1c…に摺動自在に載置されている。
また、図1に示すように、サドル5の正面には、上下(Z軸)方向へ2本のZ軸用の直動ガイド5a,5aが配置され、この直動ガイド5a,5aには摺動自在の直動ナット5b,5bが嵌合されている。さらに、Z軸用サーボモータ6aと図示しないZ軸用ボールねじによるZ軸駆動装置6がサドル5の正面に、上下方向に配置されている。また、このZ軸用ボールねじにはボールねじ用のナットが回転可能に螺入されている。
【0027】
<クロススライドの構成>
図2に示すように、クロススライド7は、サドル5を覆うようにサドル5の正面に設けられ、図1に示すように、前記した上下方向のZ軸用ボールねじ用のナットに接続され、さらに直動ナット5b,5bに摺動自在に載置されている。また、サドル5の左右の両側面に油圧駆動のバランスシリンダ5c,5cが配置され、バランスシリンダ5c,5cの推力によってクロススライド7と砥石軸ヘッド3の自重分の重さを支持している。
【0028】
<砥石軸ヘッドの構成>
図2に示すように、砥石軸ヘッド3は、クロススライド7の正面の右下隅に固定されている。砥石軸ヘッド3のスピンドルモータはビルトインモータのため、砥石軸ヘッド3に内蔵されている。また、砥石軸ヘッド3は、熱変形しにくい熱対称構造となっている。また、砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3d(図5参照)の回りには、等距離の位置に4個のクランプ装置C(図1参照)が配置され、後記するエクステンション・スピンドル8の延長外筒8eを固定する。また、砥石軸ヘッド3の砥石軸3a(図5参照)の下端部3bにはワンウェイクラッチ3fが装着され、後記するエクステンション・スピンドル8の延長砥石軸8aの上端部8bと連結する。なお、クロススライド7の正面の左側の空きスペースに、もう1つの砥石軸ヘッドを増設し、仕上げ用砥石軸ヘッド3′として構わない。この砥石軸ヘッド3に装着するエクステンション・スピンドル8は常時固定としてもよい。
【0029】
<ワーク保持部材の構成>
ワーク保持部材は、立形研削盤では回転テーブル2、横形研削盤ではチャックと呼称されている。以下、立形研削盤の回転テーブル2を例にして説明する。
回転テーブル2は機械正面の左側に配置されている。回転テーブル2の上面には、図示しない治具によって芯出しが行われ、円筒形状のワークWが固定される。回転テーブル2は、図示しない主軸と一体に形成され、ベッド1の正面の左側面に配置されたサーボモータ2aにより、ベルトとプーリおよび図示しない減速機構を介して、例えば毎分10回転の回転速度に制御され、ワークWを低速回転させる。
【0030】
<エクステンション・スピンドルの構成>
図4は、本発明のエクステンション・スピンドルの構成を示す断面図、図5は、砥石軸ヘッドの砥石軸にエクステンション・スピンドルを接続した接続状態を示す拡大断面図である。図4に示すように、このエクステンション・スピンドル8は、繰り返し精度を高精度に維持し、剛性不足を解消するために、従来の構成に捉われることなく、主軸の剛性本位の抜本的な見直しによって開発された。
このエクステンション・スピンドル8の開発思想は、図5に示すように、剛性の高い砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dを下方に延長することにより、剛性の高い延長外筒8eを確保することにある。そして、剛性の高い砥石軸ヘッド3の砥石軸3aも下方に延長することにより、高い剛性の延長砥石軸8aの確保が可能になる。
ここでは、延長砥石軸8aの軸径も太くして、単体の剛性を高め、さらに、ベアリング8d,8d…に与圧を掛けてベアリング8d自体の剛性を高めるとともに、剛性の高い延長砥石軸8aが可能になっている。
つまり、エクステンション・スピンドル8は、剛性の高い砥石軸ヘッド3を下方にもう1つ設けた構成になっており、かつ、着脱自在に分離できる構成になっている。
したがって、前記した図9の(a)に示す研削工具80や図10に示す従来のクイルタイプと呼ばれる研削工具(砥石)を固定したツールホルダでは、回転する砥石軸3aにだけの連結と固定(クランプ)であるのに対して、本願のエクステンション・スピンドル8は、回転する砥石軸3aへの連結と、回転しない外筒ヘッド3dへの連結と固定であり、剛性の比較では、格段の相違がある。
なお、従来のクイルタイプに対して、エクステンション・スピンドル8は、スピンドルタイプともいう。
【0031】
このスピンドルタイプのエクステンション・スピンドル8は、図4に示すように、延長外筒8eと、延長砥石軸8aと、ベアリング8dとから構成されている。
【0032】
<延長外筒の構成>
エクステンション・スピンドル8の延長外筒8eは、砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dに近い剛性を確保するために、分厚い肉厚の外筒を下方に延長した構成になっている。
延長外筒8eの上端部8fは、フランジ状に拡径され、このフランジ状の周縁上面には拡径したガイドリング8jがボルトによって一体に固定されている。ガイドリング8jは断面形状がフランジ状のクランク状になっている。そのフランジ状の周縁部にはエアブロー用のエアを通す孔が穿孔されている。また、このガイドリング8jのフランジ状の下面には、サポートリング8kがさらに拡径して固定されている。
なお、エクステンション・スピンドル8の延長外筒8eのフランジ部、ガイドリング8j、サポートリング8kを一括して、以下、フランジ部8rという。
【0033】
<芯出し部の構成>
芯出し部Bは、砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dの外周に芯出し面3xへ導くガイドとして約10度のテーパ部が設けられ、その終端にリング状の芯出し面3xが配置されている。この芯出し面3xの相手部品となるエクステンション・スピンドル8のフランジ部8rに設けられたガイドリング8jの内周にも芯出し面8xが設けられ、例えば、0.01〜0.02mmのすきまで芯出しが行われる。この芯出し面3x,8xの直径は、例えば、φ145.0mmであり、後記する延長砥石軸8aのマンドレル部8b(例えば、直径φ25.0mm)の6倍近く大きい直径である。その比は25/145、約1/6であることから、砥石軸3aと延長砥石軸8aの芯合わせの繰り返し精度は、このすきまの1/6となる。つまり、砥石軸3aに対する延長砥石軸8aの繰り返し精度は、0.0016〜0.0033mmという高精度なものになる。
【0034】
<クランプ装置の構成>
クランプ装置Cは、図1の砥石軸ヘッド3の平面図に示すように、砥石軸3a回りに4ヵ所、砥石軸3a中心から等距離の位置に配置され、図5に示すように、エクステンション・スピンドル8のフランジ部8rが砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dに固定される。
エクステンション・スピンドル8のフランジ部8rを構成するサポートリング8kには、4個のテーパシャンク部8mが突設され、皿バネを介してナットで固定されている。この対向する砥石軸3a回りの外筒ヘッド3dには、4セットのクランプ装置Cが配置されている。その1つを縦断面し拡大したのが、つぎの図6である。
図6は、クランプ装置を示し、(a)はアンクランプ状態、(b)はクランプ状態を示す拡大断面図である。
図6の(a)に示すように、クランプ部材の本体であるスリーブ3hは、砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dに穿孔された穴3gに嵌合され、ビスで固定されている。スリーブ3hには貫通孔が設けられ、この貫通孔にはロッド3iが挿通されている。また、ロッド3iの下端部にはコレット8kを拡径するための円筒状のクランパ3mが螺入されて接続されている。
一方、ロッド3iの中段には複数個の皿ばね3rが交互に組み合わされて装着されている。さらに、上端部にはシリンダが配設されており、図示しないシリンダの中のピストンと接続されている。
また、スリーブ3hの下端部は、拡径された穴3sが設けられ、この穴3sにはコレット3kの頭部が装着されている。さらに、とば口には、ショートテーパのテーパシャンク部8mに合わせて拡径したテーパ穴3pが形成されている。
【0035】
<延長砥石軸の構成>
図5に示すように、エクステンション・スピンドル8の延長砥石軸8aは、砥石軸ヘッド3の砥石軸3aに連結され、図4に示すように、研削工具の砥石8gを回転させる。
延長砥石軸8aの上端面は30度の面取りが施され、上端部は棒状のマンドレル部8bに形成されている。このマンドレル部8bの機能は、砥石軸ヘッド3の砥石軸3aの芯を拾う芯金であり、ワンウェイウラッチ3fを介して砥石軸3aの回転が伝達される連結部であり、十分な長さを備えている。また、下端の砥石8gはテーパ形状の穴を有するホルダ8pの外周部に装着され、ナット8sによって固定されている。
砥石8gのバランス取りは、段取り時にホルダ8pとともにバランス取り器(図示せず)に掛けられ、セグメントピース8iの位置調整により、回転のバランス取りが行われる。そのバランス取りされた砥石8gは、延長砥石軸8aの下端部8cのテーパ部にホルダ8pとともに装着され、ナット8nによって固定されている。
【0036】
<連結部の構成>
図5に示すように、連結部Rは砥石軸3aの下端部3bの穴3eにワンウェイクラッチ3fが装着されており、砥石軸3aの回転を延長砥石軸8aに伝達し回転駆動する。
この連結部Rは、例えば、砥石軸3aの右回転方向の場合にのみ動力が伝達され、逆回転では空転する。
【0037】
<ワンウェイクラッチの構成と作動機構>
図11はワンウェイクラッチの作動機構を示す説明図であり、(a)、(b)はクラッチのかみ合い時を示す模式図、(c)、(d)はクラッチの空転時を示す模式図である。
ワンウェイクラッチ3fによる駆動は、図11の(a)に示すように、ワンウェイクラッチ3fの外輪(以下、外輪3fという)と、ころ3yと、ばね3zとからなり、外輪3fが軸8bに対して時計回り方向に回転しようとすると、ばねの付勢力の作用で、(b)に示す矢印のように、ころ3yは外輪カム面のかみ合い位置に進む結果、外輪カム面と軸8bとのくさび作用により軸8bを駆動する。
ワンウェイクラッチ3fによる空転は、(c)に示すように、外輪3fが軸8bに対して反時計回り方向に回転すると、軸8bは外輪3fに対して相対的に時計回り方向に回転することになり、(d)に示す矢印のように、ころ3yは外輪カム面から離れる結果、外輪3fは軸8bに対して空転する。
【0038】
<ベアリング>
図4に示すように、ベアリング8d,8dは、延長外筒8eと延長砥石軸8aとの間には嵌合されている。また、延長砥石軸8aの砥石8gが切削力を受ける場合に備えて、砥石8gの近傍にベアリング8dを配置することにより、延長砥石軸8aの曲げに対して踏ん張りが利くようになっている。ベアリング8dは、延長砥石軸8aの上部を2セットのベアリング8d、下端部8cはベアリング8dによって軸支されている。ベアリング8dとベアリング8dの間は、カラーまたはスリーブを介して与圧が掛けられており、バックラッシュ(すきま)はない。
【0039】
図5、図6の(a)、(b)を参照して、エクステンション・スピンドル8の延長外筒8eのクランプをするクランプ装置の動作を説明する。
<アンクランプの動作>
図6の(a)に示すように、アンクランプ指令によりロッド3iと連結された図示しないシリンダのピストンの上方に油圧が供給されると、皿ばね3rの付勢力に抗してロッド3iと連結されたクランパ3mが約4.0mm下降し、テーパシャンク部8mの凹部の底に当る。この動作により、テーパシャンク部8mの凹部に設けられた係合部8tとコレット3kとの係合が外れ、コレット3kの弾性変形による縮径によって解除され、テーパシャンク部8mのテーパ面と、テーパ穴3pのテーパ面同士のクランプ状態が解除する。
【0040】
<クランプの動作>
エクステンション・スピンドル8の装着が図示しない近接SWによって確認されると、NCプログラムのクランプ指令により、図6の(b)に示すように、直ちに、ロッド3iと連結された図示しないシリンダのピストンの上方に供給された油圧が遮断される。そうすると、皿ばね3rの付勢力によりロッド3iと連結されたクランパ3mが約4.0mm上昇する。この上昇によって、テーパシャンク部8mの凹部に設けられた係合部8tとコレット3kとの係合がコレット3kの拡径によって係合され、テーパシャンク部8mのテーパ面がテーパ穴3pに嵌合してクランプ状態になる。これにより、剛性の高い延長外筒8eが出現する。
【0041】
<マガジンの構成>
本願発明のマガジンを説明する。図7はマガジンの縦断面図、図8は平面図である。
一般的に、マシニングセンタにおいてツールを格納する装置はツールマガジンと呼称されている。ここでは、研削工具(砥石)を固定したエクステンション・スピンドル8を格納する装置であるから、以下、スピンドルマガジン装置9として説明する。
図2に示すように、スピンドルマガジン装置9は、機械正面の右下に配置されている。図7に示すように、ベッド1の側面にフレーム9aが固定され、フレーム9aの上面にはベース9bが固定されている。また、このベース9bの上面には、両端がフランジ形成した円筒状のスタンド9cが立設している。
さらに、このスタンド9cの上端部にはベアリング9hの外輪が保持され、ボールを介して内輪には回転自在にマガジンテーブル9dが載置されている。
マガジンテーブル9dは、図8に示すように、4本のエクステンション・スピンドル8を格納できるように花弁状に、4ヵ所の切り欠き状のポットa,b,c,dが形成されている。このポットa,b,c,dには、エクステンション・スピンドル8,8’…が4本まで格納される。
また、マガジンテーブル9dの上面には各2個ずつの丸穴9pが設けられており、図5に示すエクステンション・スピンドル8のフランジ部8rのナットカバーを兼ねたラフ位置決めピン8zが、4個中の2個が遊嵌されて位置を決めている。
【0042】
<マガジンの回転駆動>
マガジンであるスピンドルマガジン装置9の回転駆動系を説明する。
図7に示すように、マガジンテーブル9dの下面には、前記スタンド9cの穴に挿通して設けられたシャフト9gが連結され、シャフト9gの下端部には、ベース9bに固定された減速装置9fがカップリング9iを介して接続されている。また、この減速装置9fの下方にはサーボモータ9eが接続されている。
【0043】
<その他の機器の構成>
このほかに、操作盤10a(図2参照)、クーラント水の飛散を防止するスプラッシュカバー10p、図示しないNC制御装置が格納されている強電パネル10c(図3参照)、クーラントタンク10d、油タンク等から構成されている。
【0044】
ここで、本発明のエクステンション・スピンドルを使用して、エクステンション・スピンドルを自動交換する自動スピンドル交換方法について詳細に説明する。
図1に示すように、加工域Aでの研削加工(例えば、[0006]参照)が終了すると、砥石軸ヘッド3は左右方向(X軸)、上下方向(Z軸)に移動し、原点位置にもどる。
そこで、事前に入力されたNCプログラムにより、エクステンション・スピンドル8の交換指令が入ると、図8に示すように、スピンドルマガジン装置9を覆うカバー10bの天井のシャッタ10e,10eが開き、開口部が形成される。また、この開口部にはマガジンテーブル9dの空きポットaが待機している。
1)第1ステップは、砥石軸ヘッド3が原点位置からスピンドルマガジン装置9の交換位置aの真上まで右方向へ移動し(図2参照)、下降してマガジンテーブル9dの空きポットaにエクステンション・スピンドル8を挿通してエクステンション・スピンドル8のフランジ部8rがマガジンテーブル9dに当接するまで接近する(図7参照)。
【0045】
2)第2ステップは、クランプ装置Cのアンクランプ指令が入ると、エクステンション・スピンドル8の延長外筒8eは、複数のクランプ装置Cに内蔵されたクランプ機構により、砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dのクランプ状態が解除される。詳しくは、クランプ装置C(図6(a)参照)のアンクランプ指令により、エクステンション・スピンドル8の延長外筒(8e)は、複数のクランプ装置Cに内蔵され、ロッド3iの上部に連結されたピストンの上方に油圧が供給されると、複数の皿ばね3rの付勢力に抗してロッド3iの下部に連結されたクランパ3mが約4.0mm下降し、テーパシャンク部8mの凹部の底に当る。そして、テーパシャンク部8mの凹部に設けられた係合部8tとコレット3kとの係合部がコレット3kの弾性変形による縮径によって解除される。このとき、前記した当たり、または、叩きは、複数のテーパ面同士のクランプ状態を解除する。
【0046】
3)第3ステップは、砥石軸3aが約100mm上昇し、前記スピンドルマガジン装置(9)のマガジンテーブル9dの割出動作の終了まで待機する
4)第4ステップは、前記マガジンテーブル9dの回動指令により回動し、交換するエクステンション・スピンドル8’のポットbを割り出す(図8参照)。
5)第5ステップは、前記砥石軸ヘッド3が約100mm下降して、エクステンション・スピンドル8’の芯出し部Bによって芯出しが行われ、フランジ部8rに突設された前記テーパシャンク部8mがクランプ装置Cのテーパ穴3pに挿入され、延長砥石軸8aのマンドレル部8bが砥石軸3aのワンウェイクラッチ3fに挿入される。
【0047】
6)第6ステップは、クランプ指令が入ると、エクステンション・スピンドル8の延長外筒8eは、複数のクランプ装置Cに内蔵されたクランプ機構により、前記砥石軸ヘッド3の外筒ヘッド3dにクランプされる。詳しくは、前記クランプ装置C(図6(b)参照)のクランプ指令により、エクステンション・スピンドル8’の延長外筒8eは、クランプ装置Cに内蔵され、油圧が遮断されると、ロッド3iの中段に装着された皿ばね3rの付勢力によりクランパ3mが約4.0mm上昇し、テーパシャンク部8mの凹部に設けられた係合部8tとコレット3kとの係合部がコレット3kの拡径によって係合され、テーパシャンク部8mのテーパ面がテーパ穴3pに嵌合してクランプ状態を保持する。
7)第7ステップは、砥石軸ヘッド3が、上昇(Z軸)してマガジンテーブル9dから離間し(図2参照)、左(X軸)方向へ移動し、元の位置へもどる。
そして、カバー10bの扉10eが閉鎖する。
この手順に従えば、剛性のあるエクステンション・スピンドル8の自動交換ができ、かつ、取付けの繰り返し精度が保証できるエクステンション・スピンドル交換方法を提供することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されることなく、適宜変更して実施することが可能である。例えば、立形研削盤はもとより、横形の円筒研削盤や専用機の研削装置等にも採用可能であり、剛性アップのエクステンション・スピンドル8によって高精度加工という顕著な効果を発揮することが可能である。また、スピンドルマガジン装置9については、ここでは4本用のとしたが、6,8,10本用、そして、その他の本数に増減しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の立形研削盤を示す平面図である。
【図2】立形研削盤の正面図である。
【図3】立形研削盤の右側面図である。
【図4】本発明のエクステンション・スピンドルの構成を示す断面図である。
【図5】砥石軸ヘッドの砥石軸にエクステンション・スピンドルを接続した接続状態を示す拡大断面図である。
【図6】クランプ装置を示し、(a)はアンクランク状態を示す断面図、(b)はクランク状態を示す拡大断面図である。
【図7】マガジンの縦断面図である。
【図8】マガジンの平面図である。
【図9】(a)は、従来の横形マシニングセンタの砥石交換装置を示す斜視図である。(b)は、従来の回転テーブル形平面研削盤の主軸を示す断面図である。
【図10】従来の研削工具のツールホルダを示す説明図である。
【図11】ワンウェイクラッチの作動機構を示す説明図であり、(a)、(b)はクラッチのかみ合い時を示す模式図、(c)、(d)はクラッチの空転時を示す模式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ベッド
1a ガイドベース
1b 直動ガイド(X軸用)
1c 直動ナット(X軸用)
2 ワーク保持部材(回転テーブル)
2a サーボモータ(C軸用)
3 砥石軸ヘッド
3a 砥石軸
3b 下端部
3c 上端部
3d 外筒ヘッド
3e 穴(主軸の下部)
3f ワンウェイクラッチ
3g 穴(クランプ装置を通す)
3h スリーブ
3i ロッド
3k コレット
3m クランパ
3n 係合部(コレット)
3p テーパ穴
3r 皿ばね
3s 穴(スリーブ)
3x 芯出し面
3y ころ
3z ばね
4 Z軸駆動装置
4a Z軸用サーボモータ
4b Z軸用ボールねじ
4c ナット
5 サドル
5a 直動ガイド(Z軸用)
5b 直動ナット(Z軸用)
5c 油圧シリンダ
6 X軸駆動装置
6a X軸用サーボモータ
7 クロススライド
8 エクステンション・スピンドル
8a 延長砥石軸
8b 上端部(マンドレル部、軸)
8c 下端部(延長主軸)
8d ベアリング
8e 延長外筒
8f 上端部(延長外筒)
8g 研削工具(砥石)
8h 下端部(延長外筒)
8i セグメントピース
8j ガイドリング
8k サポートリング
8m テーパシャンク部
8n ナット
8p ホルダ
8r フランジ部
8s ナット
8t 係合部(テーパシャンク部)
8x 芯出し面
8z ラフ位置決めピン
9 マガジン(スピンドルマガジン装置)
9a フレーム
9b ベース
9c スタンド
9d マガジンテーブル
9e サーボモータ
9f 減速装置
9g シャフト
9h ベアリング
9i カップリング
9k 位置割出装置
9p 丸穴
10 立形研削盤
10a 操作盤
10b カバー
10c 強電パネル
10d クーラントタンク
10e シャッタ
10f 空圧シリンダ
10p スプラッシュカバー
a 空きポット(交換位置)
b ポット
A 加工域
B 芯出し部
C クランプ装置
R 連結部
W ワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク(W)が保持されるワーク保持部材(2)と、このワーク保持部材(2)に対して移動自在に配設された砥石軸ヘッド(3)と、この砥石軸ヘッド(3)に回転自在に軸支された砥石軸(3a)と、前記ワーク(W)を加工する研削工具のツールホルダを手動にて前記砥石軸(3a)に着脱する研削盤(10)において、
前記砥石軸(3a)に連結部(R)が設けられて着脱自在に連結され、前記研削工具が装着される延長砥石軸(8a)と、この延長砥石軸(8a)を回転自在に支持し、前記砥石軸ヘッド(3)にクランプされる延長外筒(8e)と、を備えたエクステンション・スピンドル(8)と、
前記延長外筒(8e)を前記砥石軸ヘッド(3)にクランプするクランプ装置(C)と、前記砥石軸ヘッド(3)の外筒ヘッド(3d)および前記延長外筒(8e)に設けられ、前記砥石軸(3a)と前記延長砥石軸(8a)との芯出しをする芯出し部(B)と、
を備えたことを特徴とする研削盤(10)。
【請求項2】
前記ワーク(W)を加工するエクステンション・スピンドル(8)を収納するマガジン(9)を備え、
前記延長砥石軸(8a)に前記研削工具(8g)を固定して前記マガジン(9)に収納された前記エクステンション・スピンドル(8)を前記砥石軸(3a)に着脱することで、前記砥石軸(3a)に装着されて前記研削工具(8g)を自動交換することを特徴とする請求項1に記載の研削盤(10)。
【請求項3】
前記連結部(R)は、前記砥石軸(3a)の下端部(3b)にワンウェイクラッチ(3f)が装着されたことを特徴とする請求項1に記載の研削盤(10)。
【請求項4】
前記芯出し部(B)は、一方の前記外筒ヘッド(3d)の芯出し面(3x)に対し、他方は前記延長外筒(8e)のフランジ部(8r)の内周面に設けられた芯出し面(8x)であることを特徴とする請求項1に記載の研削盤(10)。
【請求項5】
前記クランプ装置(C)は、平面視で砥石軸ヘッド(3)の外筒ヘッド(3d)に複数個が配置され、前記クランプ装置(C)の本体となる前記スリーブ(3h)の下端部のテーパ穴(3p)には、延長外筒(8e)のフランジ部(8r)に配置されたテーパシャンク部(8m)が嵌合するとともに、前記スリーブ(3h)に挿通されたロッド(3i)を上方向へ引き上げるクランプ機構により、前記テーパシャンク部(8m)の穴部の係合部(8t)と前記スリーブ(3h)に内蔵されたコレット(3k)の先端外周の係合部(3n)とが係合してクランプする、または、前記スリーブ(3h)に挿通されたロッド(3i)を下方に押し下げるクランプ機構により、前記テーパシャンク部(8m)の係合部(8t)と前記コレット(3k)の先端外周の係合部(3n)とを離間させてアンクランプすることを特徴とする請求項1に記載の研削盤(10)。
【請求項6】
前記マガジン(9)は、前記エクステンション・スピンドル(8)を複数格納するマガジンテーブル(9d)と、
前記マガジンテーブル(9d)に配置された複数のポット(a,b,c,d)と、
前記マガジンテーブル(9d)を回動し、位置を割出す位置割出装置(9k)と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の研削盤(10)。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6に記載の前記研削盤(10)の前記エクステンション・スピンドル(8)を自動交換するエクステンション・スピンドル交換方法であって、
1)前記砥石軸ヘッド(3)が原点位置からマガジン(9)の交換位置(a)の真上まで移動し、下降してマガジンテーブル(9d)の空きポット(a)にエクステンション・スピンドル(8)を挿通し、エクステンション・スピンドル(8)のフランジ部(8r)がマガジンテーブル(9d)に当接するまで接近する第1ステップと、
2)前記クランプ装置(C)のアンクランプ指令により、延長外筒(8e)が複数のクランプ装置(C)に内蔵されたクランプ機構により、前記砥石軸ヘッド(3)とのクランプ状態が解除される第2ステップと、
3)前記砥石軸(3a)が上昇し、前記マガジン(9)のマガジンテーブル(9d)の割出動作の終了まで待機する第3ステップと、
4)前記マガジンテーブル(9d)の回動指令により、交換するエクステンション・スピンドル(8’)のポット(b)を割り出す第4ステップと、
5)前記砥石軸ヘッド(3)が下降して、前記エクステンション・スピンドル(8’)が芯出し部(B)によって芯出しが行われ、フランジ部(8r)に突設された前記テーパシャンク部(8m)が前記クランプ装置(C)のテーパ穴(3p)に挿入され、前記延長砥石軸(8a)の上端部(8b)が前記砥石軸(3a)のワンウェイクラッチ(3f)に挿入される第5ステップと、
6)クランプ指令により、延長外筒(8e)は複数のクランプ装置(C)に内蔵されたクランプ機構により、前記砥石軸ヘッド(3)にクランプされる第6ステップと、
7)前記砥石軸ヘッド(3)がマガジンテーブル(9d)から離間して上昇し、移動して、元の位置へもどる第7ステップと、
を含むことを特徴とする研削盤(10)のエクステンション・スピンドル(8)を自動交換するエクステンション・スピンドル交換方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−30011(P2010−30011A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197275(P2008−197275)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(508176083)日新工機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】