説明

研削盤及び防塵カバー

【課題】グラインダー、サンダーなどの回転軸に固定し、金属、コンクリート、樹脂、石、木材などの部材(研削対象)を、効率的かつ平坦に削り、研磨し、また切断し、さらに研削対象を深く削ることもできる研削盤を提供する。
【解決手段】回転軸に固定される連結部2と前記連結部に固定される回転盤3とからなり、前記回転盤の底面には前記回転盤の回転中心角を偶数個に略等分した区画1を設け、1の区画には前記回転中心を中心とする同心円上に略同高さの複数の凸部3aと前記凸部と凸部の間には複数の凹部3bを形成し、かつ、前記1の区画と隣り合う他の区画には1の区画の凸部の同心円に相当する位置には凹部を、前記1の区画の凹部の同心円に相当する位置には凸部を形成したことを特徴とする研削盤の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラインダー、サンダーなどの研削機の回転軸に固定し、金属、コンクリート、樹脂、石、木材などの部材(研削対象)を削り、研磨し、切断する研削盤に関する。また、研削盤を覆い研削時の粉塵の飛散を防止することができる防塵カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明である研削盤は、ディスク、砥石などとも呼ばれる。従来の研削用の回転盤は、特許文献1等に公開されている。
【0003】
また、研削時の防塵カバーとしては、特許文献2〜4等が公開されている。防塵カバーとしては、特許文献2、3に記載のように、防塵カバーの下端面全周に、プラスチック、金属、繊維製等のブラシを刷毛状に突設しているものが、一般に市販、使用されている。研削時は、このような防塵カバーのブラシで研削盤による研削粉塵を防塵カバー外に飛散するのを防ぐとともに、カバー内部の空気を吸引して粉塵を集塵する。その他に、特許文献4に記載のように、ブラシを備えない研削盤部分を覆う防塵カバーも公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186276号公報
【特許文献2】特開平10−264027号公報
【特許文献3】特開平11−129159号公報
【特許文献4】特開2003−145125号公報
【0005】
グラインダー、サンダーなどの回転軸に固定される一般的な研削盤は、その外周部分に凹凸が形成され、特に、ハンディタイプのグラインダーは、研削盤を斜めにして研削対象に押し当てて研削対象を削っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、研削盤の外周部のみに研削のための凹凸が形成されているだけでは、広範範囲の研削には効率的でなく、長時間要しており、とても煩雑な作業であった。また、平坦な研削はできなかった。一方、研磨用途として金属製のワイヤ、ブラシなどの研削盤が知られているが、深く削ることはとてもできるものではない。
【0007】
従来の防塵カバーでも、表面を僅かに削る場合には防塵作用を発揮するが、例えば、深く円形に削り込む場合であって、すでに研削した研削穴に隣接する部分を深く研削するときには、たとえ防塵カバーにブラシがあるにせよ隣接する研削穴から粉塵が飛散することを防ぐことはできない。
【0008】
そこで、本発明は、グラインダー、サンダーなどの回転軸に固定し、金属、コンクリート、樹脂、石、木材などの部材(研削対象)を、効率的かつ平坦に削り、研磨し、また切断し、さらに研削対象を深く削ることもできる研削盤、及び研削盤を覆い研削時の粉塵の飛散を防止することができる防塵カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、凹部より起立した略同高さの凸部が散在し、回転盤の回転に伴い各凸部で連続する輪状の研削面軌道を描くことを特徴とする研削盤の構成とした。
【0010】
また、回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、前記回転盤の回転中心を中心とする複数の同心円上にそれぞれ略同高さの凸部が凹部を挟み配置され、かつ前記凸部の配置は1の同心円上において等間隔又は対向する位置であって、回転盤の回転に伴い各凸部で連続する輪状の研削面軌道を描くことを特徴とする研削盤の構成とした。
【0011】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には前記回転盤の回転中心角を偶数個に分割した区画を設け、1の区画には前記回転中心を中心とする同心円上に略同高さの複数の凸部と前記凸部と凸部の間には複数の凹部を形成し、かつ、前記1の区画と隣り合う他の区画には1の区画の凸部の同心円に相当する位置には凹部を、前記1の区画の凹部の同心円に相当する位置には凸部を形成したことを特徴とする研削盤の構成とした。また、さらに、1の凸部には凹部が形成され、かつ、前記1の凸部の次の同心円上の凸部の凹部は前記1の凸部の凹部とは前記回転中心からの直線上に位置しないことを特徴とする前記記載の研削盤の構成とした。
【0012】
また、前記凸部及び凹部の前記回転中心から外側方向の幅が、それぞれ1〜7mm幅でかつ前記凸部及び凹部が同一幅であることを特徴とする前記何れかに記載の研削盤の構成とした。
【0013】
また、回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、略同円形で略同高さの凸部が形成され、かつ5つの凸部の一群は、四角形の四隅の位置にそれぞれ1つの凸部が配置され、それら凸部に囲まれた中央に1つの凸部が配置され、さらに前記四角形の対角線上及び前記対角線との平行線上に凸部が配置されることを特徴とする研削盤の構成とした。
【0014】
また、回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、前記回転盤の回転中心を中心とする複数の同心円上に円形凸部を形成するとともに、同一同心円上の円形凸部は等間隔で配置され、中心から外側に向かうにしたがって前記円形凸部の直径は大きくなり、かつ前記回転中心と最内部の同心円上の円形凸部の中心を結ぶ直線上から外側の同心円上に行くにしたがって円形凸部の中心位置が弧状にズレることを特徴とする研削盤の構成とした。
【0015】
また、回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、前記回転盤の回転中心部から外側に向け連続した渦巻き状の略同高さの渦凸部が形成されていることを特徴とする研削盤の構成とした。また、前記渦凸部の1回転おきに前記渦凸部の一部を切除した形状の渦状凸部と第2凹部を形成し、かつ、前記回転中心から外側に複数の放射線を引いて分割された区画の1の区画と隣り合う他の区画においては前記渦状凸部と第2凹部が交互に配置されることを特徴とする前記記載の研削盤の構成とした。
【0016】
さらに、前記回転盤の底部外周部には、四角形状に研削対象側に突出した刃部と外凹部が交互に配置され、かつ前記回転盤の表面外周部にも四角形状に研削対象側に突出した刃部と外凹部が交互に配置され、さらに前記回転盤の回転中心と刃部とを結ぶ直線から傾きをもって前記刃部を形成したことを特徴とする前記何れかに記載の研削盤の構成とした。また、前記凹部に、前記回転盤の底面から表面に貫通する孔を穿設したことを特徴とする前記何れかに記載の研削盤の構成とした。また、前記凸部表面に、ダイヤモンド粒をコーティングしたことを特徴とする前記何れかに記載の研削盤の構成とした。
【0017】
そして、前記何れかに記載の研削盤と前記研削盤の中心部の穴を貫通し、前記連結部内に固定される棒状の深度メーターとからなり、前記深度メーターを研削対象に穿設した穿孔に挿入し、円形の穿孔を研削対象に形成することを特徴とする研削盤ユニットの構成とした。
【0018】
加えて、研削機の研削盤を内部に収納するとともに一面が開口し前記研削盤を回転させる前記研削機の回転軸を通す穴と前記内部から粉塵を吸引するための孔と前記開口外縁の全周に設けられ上下に貫通する複数の貫通孔を穿設した縁とを備えるカバー本体と、前記貫通孔にスライド可能に挿通し上下端に前記貫通孔の内径より大きな係止部を備える棒状の金属体と、からなることを特徴とする防塵カバーの構成とした。
【0019】
また、研削機の研削盤を内部に収納するとともに一面が開口し前記研削盤を回転させる前記研削機の回転軸を通す穴と前記内部から粉塵を吸引するための孔と前記開口外縁の全周に設けられ上下に貫通する複数の貫通孔を穿設した縁と前記縁の上部を覆い位置固定され前記孔の位置に位置する第2孔を有する蓋とを備えるカバー本体と、前記貫通孔にスライド可能に挿通する棒状の金属体と、前記金属体の上端に連結するとともに前記蓋に接触するバネ体と、からなることを特徴とする防塵カバーの構成とした。
さらに、研削盤を回転させる研削機の回転軸を通す穴と研削部で発生する粉塵を吸引するための吸引孔と前記穴を中心とする複数の略同心円状で上下に貫通する複数の貫通孔が穿設され前記研削機に固定されるドーナツ状のカバー本体と、前記貫通孔に一端が係止され伸長方向に圧力が掛かっている伸縮体と、からなることを特徴とする防塵カバーの構成とした。
また、前記伸縮体が、前記貫通孔に挿通し固定される第1筒と、前記第1筒に伸縮可能かつ脱落しないように挿通する第2筒と、前記第2筒に伸縮可能かつ脱落しないように挿通する第3筒と、からなることを特徴とする前記記載の防塵カバーの構成とし、また前記圧力が、バネ付勢又は空気圧によることを特徴とする前記何れかに記載の防塵カバーの構成とした。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、回転盤の底面に凸部及び凹部を設け、回転盤の底面全体を研削対象に押し当てることで、広範囲を効率的に削り、研磨することができる。さらに、回転盤の底面全体を押し当てるため、一層平坦な研削が可能になる。
【0021】
また、研削盤ユニットにおいては、深度メーターを研削対象に穿設した穿孔に挿入した上で研削することで、研削盤のズレ幅が極めて小さく、円形の穿孔の穿設ができる。さらに、回転盤が回転して接触する研削対象全体に凸部が当たる位置に凸部を散在させた上、回転盤の回転中心から外側方向の凸部の幅を1〜7mm、さらには3〜5mmとすることで、従来の研削盤では不可能或いは長時間要していた深い円形の穿設が短時間で容易に穿設可能になる。そして、床全面に同様に施せば、ノミを用いた従来法より低音で、均一に床を掘り下げることができる。
【0022】
さらに、防塵過カバーにおいては、スライド可能な金属体を備えることで、特に、研削対象に既に研削穴が穿設されている場合であって、その研削穴と重複して研削する場合、或いは凹凸の高さが著しい面の研磨、研削する場合に粉塵の飛散防止効果を発揮する。従来のブラシでは凹みを覆えず、その隙間から粉塵を飛散させてしまうところ、本発明の防塵カバーでは、粉塵を金属体が研削対象の凹凸に応じてスライドし、シャッターのように、隙間を塞ぎ粉塵の飛散を阻止するとともに、従来からある集塵装置で、粉塵を吸引することができることとなる。
【0023】
また、蓋、バネ体を備えることで、壁面、天井面などにおいても、研削対象の凹凸に応じて、シャッター効果を発揮し、隙間を塞ぎ、粉塵の飛散を防止することができるとともに、吸引して粉塵を集塵することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1に係る研削盤の側面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る研削盤の底面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る研削盤の断面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る研削盤の底面図である。
【図5】本発明の実施例3に係る研削盤の底面図である。
【図6】本発明の実施例4に係る研削盤の底面図である。
【図7】本発明の実施例5に係る研削盤の底面図である。
【図8】本発明の実施例6に係る研削盤の底面図である。
【図9】本発明の実施例7に係る研削盤の底面図である。
【図10】本発明の実施例8に係る研削盤ユニットの断面図である。
【図11】本発明の研削盤ユニットによる研削方法の説明図である。
【図12】本発明の研削盤ユニットによる研削方法の説明図である。
【図13】本発明の実施例9に係る研削盤ユニットの説明図である。
【図14】本発明の実施例10に係る防塵カバーの部分断面図である。
【図15】防塵カバーの縁と金属体の部分拡大図である。
【図16】実施例10に係る防塵カバーを備えた研削機による研削の説明図である。
【図17】本発明の実施例11に係る防塵カバーの部分断面図である。
【図18】防塵カバーの縁と金属体の部分拡大図である。
【図19】実施例11に係る防塵カバーを備えた研削機による研削の説明図である。
【図20】実施例11の防塵カバーを用いた研削機による研削後の研削対象の状態を示す図である。
【図21】実施例12に係る切削盤の回転盤の底面図である。かるれい
【図22】図21の回転盤を回転したときの底面の凸部の切削面軌道を示す図である。
【図23】実施例13に係る切削盤の回転盤の底面図である。
【図24】実施例14の防塵カバーの部分断面図動作模式図である。
【図25】実施例14の防塵カバーの部分断面図の他の動作模式図である。
【図26】実施例14の防塵カバーの伸縮体の拡大断面図である。
【図27】伸縮体のカバー本体への固定方法の説明図である。
【図28】実施例16の防塵カバーの部分断面模式図である。かるれい
【0025】
以下、本発発明である研削盤及び研削盤ユニットについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の実施例1に係る研削盤の側面図、図2は底面図、図3は図2A−A線での断面図である。本発明の実施の一形態である研削盤1は、図1に示すように、連結部2と、回転盤3とからなる。連結部2は、グラインダー、サンダーなどの回転軸と連結する部分である。
【0027】
図2、図3に示すように、連結部2及び回転盤3には穴2a、3eが形成され、連結部2の内壁面にはネジ山2bが形成されている。また、連結部2の外周には平坦部2cが形成されている。平坦部2cは、研削盤1と前記回転軸との着脱の際、レンチなどで連結部2を回転させるときの挟持箇所となる。
【0028】
連結部2は金属性等で、研削の圧力、振動に耐えうる素材であれば特に限定されない。また、回転盤3と一体としても、別体部品としてもよく、別体とした場合には、溶接、螺合その他手段で連結部2と回転盤3は各々回転中心が一致するよう固定すればよい。
【0029】
回転盤3は、連結部2の穴2aとネジ山2bとで前記回転軸に固定される。或いは、連結部として回転盤3には穴3eのみを形成し、ボルトを利用して前記回転軸に固定してもよい。他の実施例についても同様であるが、実施例8、9以外の他の実施例は回転盤に穴3eのみを形成した連結部とした。
【0030】
回転盤3は、ここでは略円形で、連結部2に固定される。回転盤3の底面には回転盤の回転中心(図1中のドット)角を略4等分(点線)した第1〜第4区画1a〜1dを設けている。なお、区画は偶数個であれば4区画に限定されない。なお、回転盤3は円形に限らず、四角形、多角形、不定形であっても、回転軸に回転負荷が過剰にかからなければその形状は特に限定されない。他の実施例においても同じである。
【0031】
1の区画には前記回転中心とする同心円上に、図3に示すように略同高さの複数の同心円状の凸部3aと、凸部3aと凸部3aの間には複数の凹部3bを同心円状に形成している。そして、1の区画と隣り合う他の区画には1の区画の凸部3aの同心円に相当する位置には凹部3bを形成し、1の区画の凹部3bの同心円に相当する位置には凸部3aを形成している。
【0032】
凸部3aの断面形状は、図3に示すように凹部3bから垂直に立設する。さらに、好ましくは、凸部3a表面が凸部3aと凹部3bとの接続面より広いハング形状とする。これにより、カンナと同様の削り取り効果が得られる。また、凸部3aの回転方向の両端を先端が鋭角になるようにテーパー状にしてもよい。
【0033】
凹部3bには、回転盤3の底面から表面に貫通する孔3cが複数穿設されている。孔3cは、研削屑の放出及び摩擦熱の放出を助ける。また、中心部にも孔3dが形成され、孔3cと同様の機能を発揮する。それら孔3c、3dの形状は図2に示す円形に限らず、長孔など特に限定されない。孔3c、3dは、研削に耐える範囲の形状で、より広い面積を確保することが望ましい。また、凸部3aにも孔3cを穿設することもできる。他の実施例においては、孔3c、3dは設けていない形態があるが、必要に応じて当該実施例同様に孔3c、3dを設けてもよい。
【0034】
回転盤3は、ステンレスなど金属性が好ましいが、研削対象の研削に耐え得る素材であれば特に限定されない。また、凸部3aの表面には、ダイヤモンド粒その他研磨剤をコーティングしてもよい。さらに、研磨の度合いに応じて、凸部3a表面に凹凸を設けること、或いはコーティングする研磨剤の粒度を適宜変更することができる。他の実施例においても同様である。
【0035】
これにより、回転盤3の底面略全体が研削面となり、水平に研削対象面に底面を押し当てることで、水平にかつ効率的に広範囲の研削対象を研削することができる。さらに、より深い深度まで、研削することができるようになる。
【実施例2】
【0036】
図4は、本発明の実施例2に係る研削盤の底面図である。研削盤4は、実施例1の研削盤1の回転盤3において、さらに、1の凸部3aに凹部5aが形成された回転盤である。そして、1の凸部3aの次の同心円上の凸部3aの凹部5aは前記1の凸部3aの凹部5aとは前記回転中心からの直線上(図4中の一点鎖線)に位置しない。図4中の一点鎖線円は回転中止を中心とする同心円である。また、点線円は、実施例1の凸部3a及び凹部3bの位置を示すために記載した。
【0037】
これにより、凸部3aと凹部3b、5aとの段差数が増し、実施例1より一層研削効率が向上する。
【実施例3】
【0038】
図5は、本発明の実施例3に係る研削盤の底面図である。研削盤6は、回転中心(図5中のドット)を中心とする穴3eを有する略円形の回転盤7の底面に、回転盤7の回転中心を中心とする複数の同心円上に略同高さの凸部7aと凹部7bが交互に形成される。そして、次の同心円とも前記凸部7aと凹部7bは交互に配置される。
【0039】
なお、凸部7a及び凹部7bの回転中心から回転盤7の外側方向の幅は、それぞれ1〜7mm幅とするとよい。より好ましくは、3〜5mm幅である。凸部3aの前記幅を狭くしすぎると回転盤7の加工が困難な上、凸部3aの強度が低下し、刃こぼれが多発する。また、研削屑による目詰まりが起こりやすく、研削効率が低下する。他方、凸部3aの前記幅を広くしすぎると研削効率が低下する。さらに、凸部7aと凹部7bが同一幅とすると平坦加工が優れている。実施例1、2、3、8、9においても同様である。実施例2と同様の効果を発揮する。
【実施例4】
【0040】
図6は、本発明の実施例4に係る研削盤の底面図である。研削盤8は、回転中心(図6中のドット)を中心とする穴3eを有する略円形の回転盤9の底面に、同略円形で略同高さの凸部9aが形成されている。凸部9aより凹んだ部分が凹部9bである。
【0041】
そして、5つの凸部9aの一群は、四角形(図6中の破線)の四隅の位置にそれぞれ1つの凸部9aがその中心が位置するように配置され、それら凸部9aに囲まれた中央に1つの凸部9aが配置される。さらに、前記四角形の対角線上及び前記対角線との平行線上に凸部9aが均等に配置されている。実施例1〜3同様に、底面に、突部が形成されることで、効率的かつ平坦な研削が可能になる。
【0042】
また、回転盤9の底部外周部には、四角形状に研削対象側に突出した刃部9cと外凹部9dが交互に配置される。また回転盤9の表面外周部にも四角形状に反研削対象側に突出した刃部9cと外凹部9dが交互に配置される。そして、回転盤9の回転中心(図6中のドット)と刃部9cとを結ぶ直線から傾き(図6中の両矢印)をもって、前記刃部9cを形成するとよい。
【0043】
なお、回転盤9の回転方向は、何れの方向であってもよいが、刃部9cの外周方向が回転盤9の回転方向後方に傾いて形成された方が、研削屑が回転盤9と研削対象との間に蓄積されず排出されやすくなり、一層研削効率が向上する。
【0044】
他の実施例にも回転盤の外周部に刃部9c及び外凹部9dを適用することができる。これにより、切断、溝切り作業も可能になる。
【実施例5】
【0045】
図7は、本発明の実施例5に係る研削盤の底面図である。研削盤10は、回転中心(図7中のドット)を中心とする穴3eを有する略円形の回転盤11の底面に、円形の略同高さの円形の凸部が形成されている。凸部以外は凹部11dとなる。
【0046】
同一同心円(図7中の一点破線)上の凸部は等間隔で配置され、回転中心(図7中のドット)から外側に向かうにしたがって円形凸部の直径は大きくなる。ここでは、同心円は3つとし、凸部は、回転中心側から外側に向け直径が大きくなる第1〜第3円形凸部11a〜11cとした。
【0047】
さらに、外側の同心円上に行くにしたがって、前記回転中心と最内部の同心円上の第1円形凸部11aの中心を結ぶ直線上(図7中の点線)から、第2、第3円形凸部11b、11cの中心位置が弧状にズレる。
【0048】
なお、ここでは、第1〜第3円形凸部11a〜11cの中心のズレ方向は、回転盤11の回転方向(図7中の弧状破線)に対して逆方向であり、刃部9cの傾きと同様である。これにより、円形の凸部9aとする実施4に比べ研削抵抗の低減および研削屑の排出効果が高まる。また、凸部11a〜11cの位置を貫通孔として、凹部11dを研削面とした形態としてもよい。
【0049】
また、ここでは、回転中心と円の外方向に隣り合う同心円上の円形凸部同士は接触している。これにより、一層平坦な研磨を可能にする。一方、隣り合う同心円上の円形凸部の間に隙間を設けた場合には、研削屑の排出効果が高まる。なお、実施例4の刃部9c及び外凹部9dは、実施例3と同様の作用、効果を有する。
【実施例6】
【0050】
図8は、本発明の実施例6に係る研削盤の底面図である。研削盤12は、回転中心(図8中のドット)を中心とする穴3eを有する略円形の回転盤13である。その底面に、回転盤13の回転中心部から外側に向け連続した渦巻き状の略同高さの渦凸部13a及び渦凸部13aより凹んだ渦凹部13bが形成されている。研削屑の排出性、研削抵抗の軽減、平坦研削効果が特に優れている。
【実施例7】
【0051】
図9は、本発明の実施例7に係る研削盤の底面図である。研削盤14は、回転中心(図9中のドット)を中心とする穴3eを有する略円形の回転盤15の底面に、実施例6の渦凸部13aの1回転おきに渦凸部13aの一部を切除した形状の渦状凸部15aと第2凹部15bを形成する。
【0052】
そして、回転中心から外側に複数の放射線(一点鎖線)を引いて分割された区画の1の区画15cと、1の区画15cと隣り合う他の区画においては渦状凸部15aと第2凹部15bが交互に配置される。実施例7より一層、研削屑の排出性、平坦研削効果に優れている。
【実施例8】
【0053】
図10は、本発明である研削盤ユニット16の断面図である。研削盤ユニット16は、連結部2と、回転盤17と、深度メーター18からなる。
【0054】
連結部2は、実施例1の連結部2と同じである。回転盤17は、実施例1の回転盤3において、凸部3aが、穴3eの縁まで、実施例1の他の凸部3a同様に設けられている。凹部3b及び孔3cも、実施例1の凹部3b及び孔3c同様に設けられている。断面位置は、図1のA−A線と同一である。
【0055】
深度メーター18は、棒状で、回転盤17の中心の穴3eを貫通し、連結部2の穴2aのネジ山2bにネジ部18aで螺合する。円柱状であっても、他の形状であってもよい。
【0056】
深度メーター18の回転盤17の底面からの突出長は、調整可能としてもよいし、異なる長さの深度メーター18を複数用意し、目的に応じて取り替えてもよい。また一定長としてもよい。深度メーター18の作用、効果については、図10、11で詳細に説明する。深度メーター18の連結部2への固定は、螺合に限らず他の固定手段を採用してもよい。また、深度メーター18は、同様に他の実施例の研削盤にも適用できる。
【0057】
図11、12は、本発明の研削盤ユニット16による研削方法の説明図である。研削盤ユニット16、及び他実施例に示した研削盤を水平に研削対象20、例えば、コンクリート床などの表面に押し当てることで、円形に掘り下げることができる。特に、深度メーター18を備える研削盤ユニット16であれば、掘り下げる深度を簡易に一定にすることができる。
【0058】
以下、図11、12の断面図を参照しながら、研削盤ユニット16による目的深度(L1)まで掘り下げ方法を詳細に説明する。
【0059】
図11(A)に示すように、研削対象20に、ドリルなどで、深度メーター18が挿入できる径の穿孔21を穿設する。その時、穿孔21の深さ(L4:研削対象20の表面から穿孔21の底(点線位置)まで)は、目的深度をL1(研削対象20の表面から一点鎖線の位置まで)、深度メーター18の回転盤17からの突出長さをL2としたとき、
L4=L1+L3
L3=L2
即ち、L4=L1+L2
の式に従って決定する。
【0060】
そして、穿孔21に深度メーター18を挿入し、図11(B)に示すように、グラインダー、サンダーなどの回転軸19の回転により回転している回転盤17を研削対象20に水平に押し当てる。その結果、凸部3aにコーティングされたダイヤモンド粒により研削対象20が円形に研削され、掘り下げられる。このとき、研削された粉塵、熱は、図11(B)に示すように、孔3cから排出される。
【0061】
そのようにして、深度メーター18が、穿孔21の底21aによって、挿入できなくなるまで研削を進める。即ち、深度メーター18は、目的深度までの深さのガイドとなる。図12(C)が、研削作業終了時点の断面図である。
【0062】
研削作業終了後、研削盤ユニット16を取り出すと、図12(D)に示すように、目的深度まで、円形に掘り下げられた研削部22(穿孔)が形成される。研削部22の深さ(L1)は、目的の深さに簡易かつ精度よく研削されることとなる。さらに、同様の研削をコンクリートの床一面に行うことで、床一面を目的の深さに全体的に掘り下げることができる。
【実施例9】
【0063】
図13は、本発明の実施例9に係る研削盤ユニットの説明図である。図13(A)が断面、(B)が深度メーター部の底面図である。
【0064】
研削盤ユニット23は、実施例1の研削盤1(連結部2及び回転盤3)と、深度メーター24からなる。実施例1の回転盤3には、穴3e外延に、孔3dが穿設され、穴3eの縁まで、凸部3aが形成されていない。従って、実施例9の深度メーター18をそのまま転用すると、凸部3aと凹部3bの高さより深く穿孔することはできない。
【0065】
そこで、回転盤の穴3e(連結部2の穴2a)に螺合することなく、回転盤3の凹部3bに係止する係止面24aを備えるとともに、深度メーター24の底面の径(L5)は、研削対象に穿設された穿孔21の内径以下とする。係止面24aを備えることで、研削中の振動による深度メーター24の脱落、螺合による固定位置の変動も防ぐことができる。
【0066】
これにより、実施例1の回転盤3等、穴3eの縁まで凸部3aが形成されていない回転盤の場合でも、最内部の凸部3aの縁(図2に破線円)まで覆う深度メーター24とすることで凸部3aと凹部3bの高さより深く穿孔することを可能にする。
【0067】
さらに、深度メーター24に、底面から係止面24aに貫通する孔24bを設けるとよい。深度メーター24のように、孔24bを設けることで、回転盤に孔3dを備える実施例1の回転盤3等であれば、孔3dを塞ぐことなく、研削中に発生する研削屑、熱を孔24b及び孔3dを通して、外部に効率的に排出することができる。
【実施例10】
【0068】
次ぎに、本発明である防塵カバーについて、図面を参照しながら詳細に説明する。図14は本発明の実施例10に係る防塵カバーの部分断面図、図15は防塵カバーの縁と金属体の部分拡大図である。本発明である防塵カバー30は、カバー本体30aと金属体32からなる。
【0069】
カバー本体30aは、研削機25の研削盤1を内部34に収納するとともに一面が開口34aする。そして、研削盤1を回転させる研削機25の回転軸19を通す穴30bと、内部34から研削時の粉塵を吸引するための孔30cと、開口34a外縁の全周に設けられ上下に貫通する複数の貫通孔31aを穿設した縁31とを備える。
【0070】
そして、カバー本体30aは、貫通孔31aを穿孔すること、金属体32をスライド可能にすることから、少なくとも縁31部は硬質のプラスチック或いは金属製とすることが望ましい。その体部位は、例えば、ゴム製であっても問題ない。なお、カバー本体30aは、研削盤1を内部34に収納するとしているが、研削する穴の深さ、金属棒32の長さによっては、研削盤1は開口34方向に突出しても、本発明と同様の効果が得られる。
【0071】
金属体32は、図15の拡大図に明示したように、棒状で、貫通孔31aにスライド可能に挿通し、上下端に貫通孔31aの内径より大きな係止部32aを備える。金属体32は、縁31に複数列密に配置され、内部34から防塵カバー30外への研削時の粉塵の飛び出しを阻止する。また、係止部32aにより、金属体32の脱落を防ぐ。金属体32は、障害がなければ重力により、下方に落ちた状態を維持する。
【0072】
なお、図15では、金属体32は1本のみを記載し他の金属体32は省略した。また、実線の金属体32は、重力で落下した状態を示し、上に押し上げられた状態の金属体32を点線で示した。また、金属体32は、貫通孔31aに挿通することなく、延しバネとして、縁31底面に複数列密に設けてもよい。
【0073】
実施例10では、カバー本体30aは、断面箱形で、穴30bは上面中央に、孔30cも上面に設けられている。さらに、穴30bの側部には、起立した部分が設けられ、そこに縦長の溝(長孔30d)が穿設されている。そして、頭部が長孔30dの幅よりも長い係止ネジ33を長孔30dに通し、研削機25の本体に固定することで、防塵カバー30を研削機25の本体にスライド可能に固定することができる。
【0074】
なお、実施例10では、長孔30d及び係止ネジ33により防塵カバー30を研削機25の本体に固定する手段を例示したが、防塵カバー30が、研削機25に上下スライド可能に取り付けられれば、長孔30d及び係止ネジ33により固定手段に限定されない。また、研削盤1は、実施例1の研削盤としたが、他の実施例の研削盤、その他市販の研削盤を使用することができる。さらに、カバー本体30aは、本発明の目的、効果を維持する限りドーム型、その他断面形状であってもよい。
【0075】
図16は、実施例10に係る防塵カバーを備えた研削機による研削の説明図である。図16(A)は研削対象20(例えは床)の点線で囲まれた部分の研削前の状態を示し、図16(B)は点線で囲まれ部分の研削終了時点の状態(研削穴22a形成)を示している。
【0076】
図16(A)では、既に、研削対象20に研削盤で数センチ穴の深さの研削穴22aが研削されている。その研削穴22aに一部研削盤1が重複して研削する様子(床面を研磨だけでなく略水平に均一に掘り下げる場面)である。しかし、従来のブラシ付き防塵カバーでは、ブラシと研削穴の底との間をブラシで塞ぐことができず、そこから研削時の粉塵か作業環境に飛散してしまう。
【0077】
一方、本発明である防塵カバー30では、既に研削された研削穴22aの底まで、金属体32の自重により金属体32が落下(図16(B)下向きの白抜き矢印)し、シャッターのように、隙間を塞ぐことができる。従って、研削時の粉塵の飛散を図16(B)一点鎖線矢印のように防止することができる。また、研削されていない研削対象20に位置する金属体32は、研削に従って上にスライドしながら、シャッター効果により粉塵の飛散を防止する。
【0078】
また、金属体32は、縁31全周に配置されているので、凹みがどの位置にあっても、どのような大きさであってもシャッター効果は発揮される。そして、粉塵は、孔30cから従来からある集塵機などで吸引(図16(B)の上向きの白抜き矢印)できる。
【0079】
なお、研削の進行(研削機25の押圧)に伴って、カバー本体30aの位置は変動しないが、研削機25は係止ネジ33が長孔30dをスライド可能であるので研削対象20側に移動する。
【実施例11】
【0080】
図17は本発明の実施例11に係る防塵カバーの部分断面図、図18は防塵カバーの縁と金属体の部分拡大図である。本発明である防塵カバー40は、カバー本体30aと、蓋41と、金属体32と、バネ体42とからなる。なお、実施例10と同一の符号の構成については、以下に特に説明をしないことにおいて、同一の作用、効果を有するため、その説明を省略する。
【0081】
カバー本体30aは、実施例10のカバー本体30aと、孔41c、ネジ部41aを設けた以外同じである。ネジ部41aは、蓋41をカバー本体30aにナット41bで固定するためのものである。孔41cは、蓋41とカバー本体30aとで形成されバネ体42を収納する空間から空気を吸引するための通路である。孔41cを設けることで、粉塵による貫通孔31aの目詰まりを低減するとともに、金属体32のスライドを阻害しないようにできる。なお、孔41cは必ずしも設ける必要はない。また、ネジ部41aも蓋を他の手段で位置固定する場合には、勿論必須要素ではない。
【0082】
蓋41は、縁31の上部を覆い位置固定され孔30cの位置に位置する第2孔41dを有する。第2孔41dは、孔30cと連通し、内部34の研削時の粉塵を吸引する通路となる。蓋41の固定手段は、図17に示すネジ部41a、ナット41bに限定されない。カバー本体30a上部にカバー本体30aと蓋41とで空間を形成しバネ体42収納空間と連通してもよく、その場合には孔41cは必要なくなる。
【0083】
金属体32は、実施例10同様、その上下端に係止部32aを設けているが、上端にはバネ体42が連結しているため、自重での脱落はないが、バネ体42の破損により、金属体32が脱落、紛失するのを防止するために、係止部32aを備えることが好ましい。
【0084】
また、近接するバネ体42どうしが絡まるのを防止するため、カバー本体30aと蓋41とによって形成される空間内においては、バネ体42を管42a内部に収納することが好ましい。管42aは、係止部32aの長さより大きな内径を有する必要がある。管42aを採用する場合には、バネ体42として圧縮したスポンジ状のものも使用できる。
【0085】
バネ体42は、金属体32の上端に係止部32aを介して連結するとともに、蓋41の内部に接触する。図17では、バネ体42は模式的に直線で示した。図19においても同じ。
【0086】
金属体32は、図18の拡大図に示したように、長く伸びる方向(図18下向き矢印)にバネ付勢がかかるバネ体42により、障害がなければ常時突出(実線)している。また、金属体32は、押圧(図18上向き点線矢印)によりバネ体42が収縮(図18上向き一点鎖線矢印)カバー本体30aと蓋41とで形成される内部空間内に押し込まれる。なお、図18では、突出状態の実線の金属体32は1本のみを記載し他の金属体32は省略した。
【0087】
図19は、実施例11に係る防塵カバーを備えた研削機による研削の説明図である。また、図20は、実施例11の防塵カバーを用いた研削機による研削後の研削対象の状態を示す図である。
【0088】
ここでは、研削対象20は天井とし、図19(A)は、既に形成された研削穴22aの隣に(点線で囲まれた部分)研削穴22aに研削盤1の一部が位置しながら研削する。即ち、上向きに研削をする場合であり、実施例10の防塵カバー30では、金属体32が自重で落下してしまい、研削時の粉塵の飛散を防ぐことはできない。
【0089】
図19(A)に示すように、バネ体42の作用により、金属体32は突出している。従って、図19(B)に示すように、既に形成された研削穴22aの上端まで金属体32は到達し、シャッター効果で隙間を塞ぎ粉塵の飛散を防止することができる。
【0090】
そして、研削の進行により、研削穴22aに位置しない金属体32は、バネ体42を収縮させながらカバー本体30aと蓋41とで形成された空間内に収納される。なお、図19(B)は、研鑽終了時点、即ち新たな研削穴22bの完成時点を示している。
【0091】
研削の結果を、図20(C)断面図、(D)平面図に示す。(D)に示すように、円の一部を重複して掘り下げないと研削対象20一面を均一に掘り下げることができない。従って、次の研削穴22cを研削する場合には、斜線部で既存の研削穴22aと重複する。
【0092】
よって、縁31全周に設けられた金属体32の一点矢印の部分では、研削穴22aの端部まで金属体32の先端部が到達し、その他部分の金属体32の先端は、研削対象20表面に位置することとなり、シャッター効果により、研削時に粉塵の飛散を防止することができこととなる。
【実施例12】
【0093】
また、図21、図22を参照しながら、先の実施例と異なる研削盤の回転盤の底面の凸部の配置について説明する。なお、本実施例も先の連結部2、ネジ山2b、凹部に貫通する孔(3c、3dなど)、深度メーター18、24を採用できる。穴51eは穴3eと同じである。実施例13についても同じである。
【0094】
図21に示すように、回転軸に固定される連結部2と連結部2に固定される回転盤51とからなる研削盤50の回転盤51底面の凸部51aは、回転盤51の回転中心を中心とする複数の同心円51c(破線)上にそれぞれ略同高で凹部51bを挟み配置される。さらに、凸部51aは1の同心円51c上において等間隔或いは対向する位置に存在する。即ち、点線上又は一点鎖線上、かつ同心円(51c)上の凸部51aどうしは、等間隔でもあり対向する位置に存在する。このような位置であれば、加重を研削面に均一に与えることができる。
【0095】
そして、図22に示すように、回転盤51の回転に伴い各凸部51a(点線表示)で、連続する輪状の研削面軌道51f(グレー着色部分)を描く。
【0096】
即ち、研削盤の回転盤の底面の凸部は凹部(凸部より低い部分)より起立した略同高で底面に散在し、かつ回転盤の回転に伴い各凸部の表面で、図22に示すように、連続する輪状の研削面軌道51f(グレー着色部分)を描けばよい。
【実施例13】
【0097】
図23を参照しながら、さらに異なる研削盤の回転盤の底面の凸部の配置について説明する。
【0098】
図23に示すように、回転軸に固定される連結部2と連結部2に固定される回転盤61とからなる研削盤60の回転盤61底面の凸部61aは、回転盤61の回転中心を中心とする複数の同心円61c(破線)上にそれぞれ略同高で凹部51bを挟み配置される。さらに、凸部51aは1の同心円51c上にそれぞれ略同高さの凸部61aが凹部を挟み配置される。さらに、凸部61aの配置は1の同心円上において等間隔である。即ち、点線上又は一点破線上、かつ同心円(61c)上の凸部61aどうしは、等間隔(3等分)の位置に配置される。
【0099】
そして、図22に示すと同様に、回転盤61の回転に伴い各凸部61aで、連続する輪状の研削面軌道(図22の51f/グレー着色部分)を描く。このような位置であっても、加重を研削面に均一に与えることができる。勿論、凸部61aの配置は3等分に限らず、複数等分でも、実施例12のように対向する位置に配置した凸部と組み合わせてもよい。
【実施例14】
【0100】
図24、図25に、実施例14に係る防塵カバーの部分断面図動作模式図を示した。実施例14の防塵カバー70は、図24(A)に示すように、カバー本体70aと、複数の伸縮体71とからなる。カバー本体70aは、ドーナツ形状で、研削盤1を回転させる研削機25の回転軸19を通す穴70dと、研削部で発生する粉塵を吸引するための吸引孔70bと、穴70dを中心とする複数の略同心円状で上下に貫通する複数の貫通孔70cが穿設され、研削機25に固定される。
【0101】
伸縮体71は、貫通孔70cに一端が係止され研削中、常時伸長方向に圧力が掛かっている。ここでは、係止の一例として、カバー本体70aに引っ掛かる部分を設けた端部にドーナツ状の押さえ77を被せ、ボルトナットなどでネジ留め78する方法示した。
【0102】
先ず、図26を参照して伸縮体の一例を説明する。図26に伸縮体71の拡大断面図を示した。図26(A)がバネ75により最大に伸長時の状態で、図26(B)が先端部74bが押圧され最大に収縮して、第2筒73、第3筒74の全部が第1筒72内に収納された状態である。
【0103】
伸縮体71は、第1筒72と、第2筒73と、第3筒74と、バネ75と、ネジ76とからなる。第1筒72は、筒状で、貫通孔70cに挿通し、一端に貫通孔70cに係止される縁72aが設けられ、他端には第1筒体72の内径より小さい穴72bが穿設され第2筒体73を挿抜可能に挿通するとともに、係止部72cを形成し第2筒体73を係止して脱落を防止する。
【0104】
第2筒体73は、一端に穴72bの係止部72cに係止される縁73aが設けられ、他端には第2筒体の内径より小さい穴73bが穿設され、第3筒体74を挿抜可能に挿通するとともに、係止部73cを形成し第3筒体74を係止して脱落を防止する。
【0105】
第3筒体74は、先端部74bが封鎖され、他端には穴73bの係止部73cに係止される縁74aが設けられている。このようにして、第1〜第3筒体72〜74は、内部に連通する空間を形成する。
【0106】
第1〜3筒体の形状は、第1筒体がカバー本体70aに固定され、第2筒体が第1筒体に、第3筒体が第2筒体に挿抜可能かつ脱落しなければ、伸縮体71に限定されるものではない。例えば、第1筒体のカバー本体70aの固定としては、後述の実施例15に示した方法、その他第1筒体の外周にネジ山を形成し、カバー本体7aに螺着してもよい。また、第2、3筒体の脱落防止構造として、先端に向け細くなるテーパー形状にするなどしてもよい。
【0107】
バネ75は、伸長方向にバネ付勢が係る弾性体で、第1〜第3筒体72〜74によって形成された内部の空間に挿入される。そして、バネ75の一端は第3筒体74の先端部74bの内側に係止され、他端は第1筒体72に嵌められたネジ76などの封止部材に係止される。その結果、バネ75は、第3筒体74が常に伸長するように、バネ付勢が働く。また、第2筒73、第3筒74の反先端部74b側に、ネジ76と同様なネジを嵌め、第1筒72、第2筒73にそれぞれ個別のバネを固定しても、同様の伸縮作用が得られる。
【0108】
次に図24、25を参照して、防塵カバー70を備えた研削盤1で、研削面79を研削する方法を説明する。図25(A)に示す研削盤1を研削面79に当て、強く押し付けると、伸縮体71は図24(A)のようにバネ付勢で伸長していたものが、図24(B)のように収縮する。その状態で、研削面79に押圧しつづけると、研削盤1は研削面79を円形に研削していき、図24(C)のように、研削穴80が形成される。このとき、伸縮体71は収縮していき、研削部から飛散する研削塵等を防塵カバー70の外へ飛散させないように壁となって防ぐ。
【0109】
次に、図25(A)に示すように、形成された研削穴80に一部重なる位置に研削盤1を押しあてて、図24のように、押圧していく。このとき、伸縮体71の一部は研削穴80内に伸長し、一部の伸縮体71は研削面79に押されて収縮する。そして、研削穴80に位置する収縮体71は、押圧による研削とともに伸縮する。
【0110】
円形に研削面79を研削する場合には、どうしても、研削面79と研削穴80とに段差ができ、単なる棒では、段差部に対応できず、研削塵の飛散を防ぐことができない。一方、本発明の防塵カバー70であれば円形に複数の研削穴80を形成して研削面79一面を削り取る場合(図24(D))でも、研削塵の飛散を防ぐことができる。
【実施例15】
【0111】
図27は、伸縮体81のカバー本体83への固定方法の説明図である。ここでの固定は、カバー本体83の貫通孔70c内面に突条83aを設け、一方、伸縮体81の第1筒82の端部に第1突条82a、第2突条82bを設け、突条83aと挟むように嵌合させて、伸縮体81をカバー本体83に固定する。その他の形態については、実施例14と同様である。
【実施例16】
【0112】
図28に、実施例16に係る防塵カバーの部分断面模式図を示した。実施例15の防塵カバー90は、伸縮体92が実施例14、15と異なり空気圧で伸縮するものである。実施例14、15において、バネ75を除き、伸縮体71のネジ76に穴93aを設けたネジ93とし、さらにネジ93側を内部空洞91aの蓋体91で略気密的に覆っている。そして、蓋体91は、押さえ77aを係止するネジ留め78を利用したカバー本体70aに固定されている。
【0113】
そして、その空洞91aに空気を吹き込み、伸縮体92を常に伸長させるとともに、研削盤1で研削面79を研削する押圧力で収縮する程度の空気圧を掛ける。ここでは、その空気は、ポンプ94等でカバー本体90内部から吸引孔70bを通して吸引した排気をフィルターなどを通して利用するものとした。かるれい
【符号の説明】
【0114】
1 研削盤
1a 第1区画
1b 第2区画
1c 第3区画
1d 第4区画
2 連結部
2a 穴
2b ネジ山
2c 平坦部
3 回転盤
3a 凸部
3b 凹部
3c 孔
3d 孔
3e 穴
4 研削盤
5 回転盤
5a 凹部
6 研削盤
7 回転盤
7a 凸部
7b 凹部
8 研削盤
9 回転盤
9a 凸部
9b 凹部
9c 刃部
9d 外凹部
10 研削盤
11 回転盤
11a 第1円形凸部
11b 第2円形凸部
11c 第3円形凸部
11d 凹部
12 研削盤
13 回転盤
13a 渦凸部
13b 渦凹部
14 研削盤
15 回転盤
15a 渦状凸部
15b 第2凹部
15c 区画
16 研削盤ユニット
17 回転盤
18 深度メーター
18a ネジ部
19 回転軸
20 研削対象
21 穿孔
21a 底
22 研削部
22a 研削穴
22b 研削穴
22c 研削穴
23 研削盤ユニット
24 深度メーター
24a 係止面
25 研削機
30 防塵カバー
30a カバー本体
30b 穴
30c 孔
30d 長孔
31 縁
31a 貫通孔
32 金属体
32a 係止部
33 係止ネジ
34 内部
34a 開口
40 防塵カバー
41 蓋
41a ネジ部
41b ナット
41c 孔
41d 孔
42 バネ体
50 研削盤
51 回転盤
51a 凸部
51b 凹部
51c 同心円
51e 穴
51f 研削面軌道
60 研削盤
61 回転盤
61a 凸部
61b 凹部
61c 同心円
61e 穴
70 防塵カバー
70a カバー本体
70b 吸引孔
70c 貫通孔
70d 穴
71 伸縮体
72 第1筒
72a 縁
72b 穴
72c 係止部
73 第2筒
73a 縁
73b 穴
73c 係止部
74 第3筒
74a 縁
74b 先端部
75 バネ
76 ネジ
77 押さえ
77a 押さえ
78 ネジ留め
79 研削面
80 研削穴
80a 研削穴
81 伸縮体
82 第1筒
82a 第1突条
82b 第2突条
83 カバー本体
83a 突状
90 防塵カバー
91 蓋体
91a 空洞
92 伸縮体
93 ネジ
93a 穴
94 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、凹部より起立した略同高さの凸部が散在し、回転盤の回転に伴い各凸部で連続する輪状の研削面軌道を描くことを特徴とする研削盤。
【請求項2】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、前記回転盤の回転中心を中心とする複数の同心円上にそれぞれ略同高さの凸部が凹部を挟み配置され、かつ前記凸部の配置は1の同心円上において等間隔又は対向する位置であって、回転盤の回転に伴い各凸部で連続する輪状の研削面軌道を描くことを特徴とする研削盤。
【請求項3】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には前記回転盤の回転中心角を偶数個に分割した区画を設け、1の区画には前記回転中心を中心とする同心円上に略同高さの複数の凸部と前記凸部と凸部の間には複数の凹部を形成し、かつ、前記1の区画と隣り合う他の区画には1の区画の凸部の同心円に相当する位置には凹部を、前記1の区画の凹部の同心円に相当する位置には凸部を形成したことを特徴とする研削盤。
【請求項4】
さらに、1の凸部には凹部が形成され、かつ、前記1の凸部の次の同心円上の凸部の凹部は前記1の凸部の凹部とは前記回転中心からの直線上に位置しないことを特徴とする請求項3に記載の研削盤。
【請求項5】
前記凸部及び凹部の前記回転中心から外側方向の幅が、それぞれ1〜7mm幅でかつ前記凸部及び凹部が同一幅であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の研削盤。
【請求項6】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、略同円形で略同高さの凸部が形成され、かつ5つの凸部の一群は、四角形の四隅の位置にそれぞれ1つの凸部が配置され、それら凸部に囲まれた中央に1つの凸部が配置され、さらに前記四角形の対角線上及び前記対角線との平行線上に凸部が配置されることを特徴とする研削盤。
【請求項7】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、前記回転盤の回転中心を中心とする複数の同心円上に円形凸部を形成するとともに、同一同心円上の円形凸部は等間隔で配置され、中心から外側に向かうにしたがって前記円形凸部の直径は大きくなり、かつ前記回転中心と最内部の同心円上の円形凸部の中心を結ぶ直線上から外側の同心円上に行くにしたがって円形凸部の中心位置が弧状にズレることを特徴とする研削盤。
【請求項8】
回転軸に固定される連結部と前記連結部に固定される回転盤とからなり、前記回転盤の底面には、前記回転盤の回転中心部から外側に向け連続した渦巻き状の略同高さの渦凸部が形成されていることを特徴とする研削盤。
【請求項9】
前記渦凸部の1回転おきに前記渦凸部の一部を切除した形状の渦状凸部と第2凹部を形成し、かつ、前記回転中心から外側に複数の放射線を引いて分割された区画の1の区画と隣り合う他の区画においては前記渦状凸部と第2凹部が交互に配置されることを特徴とする請求項8に記載の研削盤。
【請求項10】
前記回転盤の底部外周部には、四角形状に研削対象側に突出した刃部と外凹部が交互に配置され、かつ前記回転盤の表面外周部にも四角形状に反研削対象側に突出した刃部と外凹部が交互に配置され、さらに前記回転盤の回転中心と刃部とを結ぶ直線から傾きをもって前記刃部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の研削盤。
【請求項11】
前記凹部に、前記回転盤の底面から表面に貫通する孔を穿設したことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の研削盤。
【請求項12】
前記凸部表面に、ダイヤモンド粒をコーティングしたことを特徴とする請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の研削盤。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の研削盤と前記研削盤の中心部の穴を貫通し、前記連結部内に固定される棒状の深度メーターとからなり、前記深度メーターを研削対象に穿設した穿孔に挿入し、円形の穿孔を研削対象に形成することを特徴とする研削盤ユニット。
【請求項14】
研削機の研削盤を内部に収納するとともに一面が開口し前記研削盤を回転させる前記研削機の回転軸を通す穴と前記内部から粉塵を吸引するための孔と前記開口外縁の全周に設けられ上下に貫通する複数の貫通孔を穿設した縁とを備えるカバー本体と、前記貫通孔にスライド可能に挿通し上下端に前記貫通孔の内径より大きな係止部を備える棒状の金属体と、からなることを特徴とする防塵カバー。
【請求項15】
研削機の研削盤を内部に収納するとともに一面が開口し前記研削盤を回転させる前記研削機の回転軸を通す穴と前記内部から粉塵を吸引するための孔と前記開口外縁の全周に設けられ上下に貫通する複数の貫通孔を穿設した縁と前記縁の上部を覆い位置固定され前記孔の位置に位置する第2孔を有する蓋とを備えるカバー本体と、前記貫通孔にスライド可能に挿通する棒状の金属体と、前記金属体の上端に連結するとともに前記蓋に接触するバネ体と、からなることを特徴とする防塵カバー。
【請求項16】
研削盤を回転させる研削機の回転軸を通す穴と研削部で発生する粉塵を吸引するための吸引孔と前記穴を中心とする複数の略同心円状で上下に貫通する複数の貫通孔が穿設され前記研削機に固定されるドーナツ状のカバー本体と、前記貫通孔に一端が係止され伸長方向に圧力が掛かっている伸縮体と、からなることを特徴とする防塵カバー。
【請求項17】
前記伸縮体が、前記貫通孔に挿通し固定される第1筒と、前記第1筒に伸縮可能かつ脱落しないように挿通する第2筒と、前記第2筒に伸縮可能かつ脱落しないように挿通する第3筒と、からなることを特徴とする請求項16に記載の防塵カバー。
【請求項18】
前記圧力が、バネ付勢又は空気圧によることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の防塵カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−51099(P2012−51099A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125179(P2011−125179)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(310011273)有限会社神政興業 (1)
【Fターム(参考)】