説明

硬化性組成物

【課題】光記憶媒体における使用のための硬化性組成物、およびこのような硬化性組成物を含む光記憶媒体を提供する。
【解決手段】光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、該硬化性組成物は、重合性物質、および重合開始剤を含み、当該硬化性組成物は、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、および当該硬化性組成物は、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記憶媒体における使用のための硬化性組成物、およびこのような硬化性組成物を含む光記憶媒体に関する。本発明はまた、光記憶媒体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
高い面密度の従来の高性能光学媒体情報記憶テクノロジーは、典型的にはディスク表面積1平方インチあたり数十億ビットとして表示され、現在まで、記憶1メガバイトあたりの価格低減におけるキー要因の1つである。それにもかからわず、光学媒体の面密度のさらなる増加は、より新しいテクノロジー、例えばデジタル多用途ディスク(DVD)、およびより高密度のデータディスク、例えばブルーレイディスク(Blu−Ray Disc(商標))という商標名のデジタルビデオ記録媒体(DVR)を提供するよう、産業界によって要求され続けている。増加した面密度を与えたいという願望は、光学媒体を生産するために用いられる物質および方法のますます厳しくなる必要条件を必要とする。このため、光学媒体の物理的および機械的特性を最適化するために改良された物質および方法が、常に求められている。光学媒体の生産に用いられている物質の設計基準のいくつかは、例えば高いディスク平坦性、低い水歪み(water strain)、低い光学的遅れ、高い透明度、耐熱性、引掻き抵抗、傷抵抗、高純度、および最小微粒子不純物濃度を包含する。従来の物質は、設計要件の1またはそれ以上を欠いており、光学媒体において、より高いデータ記憶密度を得るために、新しい物質が要求されている。
【0003】
光学媒体の製造において、成形可能層が、マイクロメートルまたはナノメートル範囲内の特別な寸法を有する特徴(features)のパターンを含む型を用いて成形されることがある。成形された場合に、この成形可能層は、型の特徴のパターンの「ネガ型」であるパターンを獲得する。この成形可能層中の複製されたパターンは、この型の特徴のパターンのネガ型と実質的に同一の特徴を示す。型特徴の深さの90%またはそれ以上の複製が、高い面密度の光学媒体に必要とされることが多い。
【0004】
インプリンティングによって基体上に特徴を形成する方法、およびこのような方法における使用のためのインプリンティング組成物が、Youngらの米国特許出願公報第2004/0110856号に開示されている。具体的にはYoungらは、インプリンティング用のインプリント可能なポリマー溶液であって、少なくとも1種の重合性モノマー中に溶解された少なくとも1種のポリマーを含むポリマー溶液、およびインプリンティングによって基体上に特徴を形成する方法を開示し、前記方法は、(a)少なくとも1種の重合性モノマー中に溶解された少なくとも1種のポリマーを含むポリマー溶液を形成し;、および(b)前記ポリマー溶液を前記基体上に堆積させて、その上に液体フィルムを形成し;およびついで(c)前記少なくとも1種のモノマーを重合させ、および場合により前記少なくとも1種のポリマーを架橋させることにより、前記液体フィルムを硬化し、これによってポリマーフィルムを形成し、前記ポリマーフィルムが100℃未満のガラス転移温度を有し、および前記ポリマーフィルムを、所望のパターンを有する型でインプリントして、前記ポリマーフィルム中に対応するネガ型パターンを形成するか;または(d)前記液体フィルムを前記型でインプリントし、前記液体フィルムを前記型の存在下に硬化して、前記ネガ型パターンを有する前記ポリマーフィルムを形成することを含む。
【特許文献1】米国特許出願公開公報第2004/0110856号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それにもかかわらず、現在入手しうる物質および方法では、高い面密度性能を有するデータ記憶媒体、例えばブルーレイディスク(商標)およびHD DVDに要求される規格に、一貫してかつ確実に合致することは難しい。したがって、光データ記録媒体における使用のための組成物、このような組成物を含む光データ記憶媒体、および寸法安定性、およびこの媒体のデータ記憶層の特徴複製を最大限にする、このような媒体の製造方法についての当該技術分野におけるニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様において、重合性物質および重合開始剤を含む光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す硬化性組成物が提供される。
【0007】
本発明の別の態様において、オリゴマー50〜65重量%、低Tモノマー10〜20重量%、高Tモノマー9〜14重量%、二官能価モノマー10〜16重量%、光開始剤4〜9重量%、および離型剤0〜1.5重量%、例えば0.1〜1.5重量%を含む硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、 硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し、100マイクロメートルの厚さの自立(freestanding)フィルムに硬化された場合に、405nm(現在のブルーレイディスクテクノロジーのための読取り波長、またはほかの読取り波長である)で60〜100%の透過率を示す硬化性組成物が提供される。
【0008】
本発明の別の態様において、本発明の硬化性組成物を含む光学媒体であって、この硬化性組成物が、硬化された硬化性組成物であり、この光学媒体が情報を含み、情報の少なくともいくつかが、硬化された硬化性組成物中に記憶される光学媒体が提供される。
【0009】
本発明の別の態様において、本発明の硬化性組成物を含む光学媒体であって、この硬化性組成物が、硬化された硬化性組成物であり、この光学媒体が、0.02〜0.03mmの平均厚さを有する硬化された硬化性組成物の層を含み、この光学媒体が情報を含み、この情報の少なくともいくつかが、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴として、硬化された硬化性組成物の層中に記憶される光学媒体が提供される。
【0010】
本発明の別の態様において、情報を含む光学媒体の製造方法であって、重合性物質および重合開始剤を含む硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す硬化性組成物を選択し;未硬化の場合に、基体上に硬化性組成物を堆積させ;堆積された硬化性組成物を刺激へ暴露し、堆積された硬化性組成物を重合させて、硬化された硬化性組成物を形成し;型を提供し;硬化された硬化性組成物に型を押し込んで、硬化された硬化性組成物に特徴を形成し、硬化された硬化性組成物に形成された特徴は情報として読取り可能であり;および型と硬化された硬化性組成物とを分離すること:を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の硬化された硬化性組成物に関連して、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「光学的遅れ」という用語は、硬化された硬化性組成物が用いられることになる光学媒体のための読み取り波長でエリプソメーターを用いて測定された、100μmの平均厚さを有するこの組成物の自立フィルムの光学的遅れである。
【0012】
重合性物質に関して、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「官能性」という用語は、反応して分子を互いに結合し、ポリマーを形成しうる基、例えばビニル基、エポキシド基、ラクトン基、ラクタム基、またはイミン基を言う。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「FWHM」という用語は、マスターtanδカーブの半値全幅である。硬化された硬化性組成物についてのFWHMは、機器の指示にしたがって引張りフィルムクランプ配置を用いた、等温/周波数掃引モードに設定された、TA Instruments Q800動的機械的分析器(Dynamic Mechanical Analyzer)(以後「DMA」)を用いて得られる等温/周波数掃引テストからの換算周波数のデケイド(decades)において決定される。周波数掃引は、選択された温度において、0.1〜200Hzで実施される。周波数は、対数尺で1デケイドあたり6つの等しく間隔があいた点を生じるように増加的に変えられる。加えられる歪は、トルクトランスデューサーシグナルを最適化するために温度に応じて様々に変えられるが、それでもテスト温度においてテストサンプルの線形粘弾性領域(regime)に留まる。線形粘弾性領域は、テストサンプルの動的機械的性質が歪と無関係である歪範囲によって規定される。温度段階は、10度増加で行なわれる。ユーザーの基準温度においてDMAから得られる等温/周波数掃引データは、次の方程式にしたがってシフトされうる:
log a=[−c(T−Tref)]/(c+T−Tref) (1)
(ここで、aは水平シフト因子であり、cおよびcは、ウイリアムズ−ランデル−フェリー(Williams−Landel−Ferry)、WLF定数であり、Tは、シフトされるデータについての温度であり、Trefは基準温度である)。結果として生じるカーブは、ある与えられたサンプルについてのマスターカーブと呼ばれる。マスターカーブは、単一の機器で単一の温度において実際に得ることができるものよりもはるかに広い周波数範囲にわたって換算された周波数の関数として、サンプルの動的機械的(dynamic mechanical)性質を示している。この出願の目的のためのFWHMは、80℃の基準温度を用いて得られる。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「グルーブ(grooves)」という用語は、本発明の硬化された硬化性組成物の層へ付与される特徴のことを言う。グルーブは、「オングルーブ(on−grooves)」および「イングルーブ(in−grooves)」から選択することができる。オングルーブとは、硬化された硬化性組成物の表面から外へ延びているうね(ridge)である。イングルーブとは、硬化された硬化性組成物の表面の内方向に延びている谷である。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「インプリンティング圧力」という用語は、押し込み操作中に、硬化された硬化性組成物に型を押しこむ時に加えられる最大圧力である。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「インプリンティング温度」という用語は、押し込み操作のために、型が、硬化された硬化性組成物と接触する前の瞬間における型の温度である。
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「情報」という用語は、ユーザーデータ、エンコードされたユーザーデータ(例えば圧縮、エラー修正、またはモジュレーション目的のためにエンコードされたユーザーデータ)、デバイス「ハウスキーピング」データ、例えばサーボデータ、アドレス、トラックもしくはセクター情報、フィードバックシグナル、クロックもしくはタイミングシグナル、ピケットコード(picket codes)、または読取りまたは書込み要素および/または基体の位置に関するデータ、並びに別のデータソース(例えばエラーチェック、修正ビット、またはデバイス「ハウスキーピング」データ)と組み合わされたユーザーデータおよび/またはエンコードされたユーザーデータを包含する。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような、光学媒体に関連して、「多層」という用語は、2以上の情報含有層を有する光学媒体のことを言う。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「ピット」という用語は、本発明の硬化された硬化性組成物の層へ付与された特徴(features)のことを言う。ピットは、「オンピット(on−pits)」および「インピット(in−pits)」から選択することができる。オンピットは、硬化された硬化性組成物の表面から外へ延びている隆起(bump)である。インピットは、硬化された硬化性組成物の表面の内方向へ延びているくぼみである。本発明のいくつかの実施形態において、オンピットおよび/またはインピットは、硬化された硬化性組成物の表面上でオングルーブおよび/またはイングルーブから外へ、またはその中へ延びている。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「読取り波長」という用語は、本発明の硬化された硬化性組成物の層において光学媒体中に記憶された情報を読むために用いられる光の波長のことを言う。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「分離温度」という用語は、これが、押し込み操作後に、硬化された硬化性組成物から型が分離する前の瞬間における型の温度である。
【0022】
本発明の硬化された硬化性組成物についてのガラス転移温度(「Tg」)は、温度変化に対する熱流量における中点をT値として、示差走査熱量計(DSC)によって測定される。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「Tpeak」という用語は、温度勾配/周波数掃引テストから決定された、硬化された硬化性組成物についてのピークtanδ温度であり、これは、機器の指示にしたがって、および次の機器設定を用いて、引張りフィルムクランプ配置で、マルチ−周波数−ストレイン(歪み)モード(Multi−Frequency−Strain Mode)に設定されたDMAを用いて得られる:
・0.05%の加えられた歪、
・0.01Nのあらかじめ負荷された力、
・125%に設定されたフォーストラッキング(force tracking)、
・1Hzの適用される周波数、
・−50〜150℃の温度範囲、および
・加熱率2°/分。
動的貯蔵弾性率E’および動的損失弾性率E”は、温度の関数としてDMAによって測定され、記録される。DMAはまた、損失タンジェント(tanδ、これはE”/E’である)を決定し、記録し、および硬化された硬化性組成物についてのTpeakを出力する。
【0024】
本発明の硬化された硬化性組成物に関連して、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられているような「透過率」という用語は、サンプルに対して入射する読取り波長における光の量と比較して、100μmの平均厚さを有する組成物の自立フィルムを通して透過される読取り波長における光のパーセンテージである。
【0025】
本発明での使用に適した基体は、本発明の硬化性組成物と適合性である任意の従来の基体を包含する。本発明のいくつかの実施形態において、基体は、ポリカーボネート、(メタ)アクリレート、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレンアロイ、環状ポリオレフィン(例えばポリノルボルネン)、およびこれらの組み合わせおよびブレンドから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、基体はポリカーボネートである。
【0026】
本発明での使用に好適な重合性物質は、少なくとも1種の一官能価物質および少なくとも1種の多官能価物質を包含する。重合性物質は、エチレン性不飽和モノマー、エチレン性不飽和オリゴマー、エポキシモノマー、エポキシオリゴマー、エポキシド、ラクトン、ラクタム、およびイミドから選択されてもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質は、少なくとも1種の一官能価物質および少なくとも1種の多官能価物質を包含し、この場合、この少なくとも1種の一官能価物質は、一官能価(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートから選択され、この少なくとも1種の多官能価物質は、二および三官能価(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、重合性物質は、モノエチレン性不飽和アクリレートおよびメタクリレートから選択される少なくとも1種の一官能価物質を包含する。これらの実施形態のいくつかの態様において、この少なくとも1種の一官能価物質は、少なくとも2種の一官能価物質を含む。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、一官能価物質は、モノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜100,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜50,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜25,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜15,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜10,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜5,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜4,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜3,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜2,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜1,000の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、一官能価物質は、100〜500の重量平均分子量を有するモノエチレン性不飽和物質から選択される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも1種の多官能価物質は、多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、2〜4重合性ビニル基を有する少なくとも1つの多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、2〜3重合性ビニル基を有する少なくとも1つの多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜100,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜50,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜25,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜15,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜10,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜5,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜4,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜3,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜2,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜1,000の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、少なくとも1種の多官能価物質は、100〜500の重量平均分子量を有する多エチレン性不飽和物質から選択される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、重合開始剤は、カチオン性開始剤、ラジカル開始剤、およびこれらの組み合わせから選択される。本発明のいくつかの実施形態において、重合開始剤は、光開始剤、熱開始剤、およびこれらの組み合わせから選択される。熱開始剤は例えば、過酸化物、過硫酸塩、およびアジドの種類からの熱ラジカル硬化開始剤を包含する。光開始剤は例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン誘導体、アルファヒドロキシケトン、モノアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシドを包含する。本発明のいくつかの実施形態において、重合開始剤は、迅速な硬化速度、妥当な費用、良好な表面、全体的な硬化、および老化した時の黄化の欠如を与えるのに十分な量で硬化性組成物中に存在する光開始剤である。これらの実施形態のいくつかの態様において、重合開始剤は、未硬化硬化性組成物の0.1重量%〜15重量%を構成する。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質および重合開始剤を含む光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す硬化性組成物が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、この硬化性組成物は、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜80MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質および重合開始剤を含む光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し;100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において60〜100%の透過率を示す硬化性組成物が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において65〜100%の透過率を示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において70〜100%の透過率を示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において75〜100%の透過率を示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において75〜99%の透過率を示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において80〜99%の透過率を示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において85〜99%の透過率を示す。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質および重合開始剤を含む光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し;100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、読取り波長において≦40nm、例えば≦35nm、≦30nm、または≦25nmの光学的遅れを示す硬化性組成物が提供される。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質および重合開始剤を含む光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し;および、100μmの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、現在のブルーレイディスクテクノロジーの場合に405nmである読取り波長において60〜100%、例えば65〜100%、70〜100%、75〜99%、80〜99%、または85〜99%の透過率、および405nmまたはほかの読取り波長において≦40nm、例えば≦35nm、≦30nm、または≦25nmの光学的遅れを示す硬化性組成物が提供される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化された硬化性組成物の重量は、未硬化硬化性組成物の重量の少なくとも85%である。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物の重量は、未硬化硬化性組成物の重量の少なくとも90%である。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物の重量は、未硬化硬化性組成物の重量の少なくとも95%である。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物の重量は、未硬化硬化性組成物の重量の少なくとも97%である。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物の重量は、未硬化硬化性組成物の重量の少なくとも99%である。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化された硬化性組成物は、30〜180℃の温度においてTpeakを示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、この硬化された硬化性組成物は、25〜100℃の温度においてTpeakを示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物は、40〜100℃の温度においてTpeakを示す。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化された硬化性組成物は、換算周波数(reduced frequency)において5〜12デケイドのFWHMを示す。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物は、換算周波数において7〜9デケイドのFWHMを示す。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化性組成物は、重合性物質および重合開始剤を含み;ここで、硬化性組成物は、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;この硬化性組成物は、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPa、例えば5〜80MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し;および、重合性物質は、オリゴマー;0〜−80℃、例えば−20〜−60℃、または−50〜−60℃のTを有する低Tモノマー;50〜140℃、例えば80〜100℃、または90〜100℃のTを有する高Tモノマー;および多官能価モノマーを含む。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態において、オリゴマー50〜65重量%;0〜−80℃、例えば−20〜−60℃、または−50〜−60℃のTを有する低Tモノマー10〜20重量%;50〜140℃、例えば80〜100℃、または90〜100℃のTを有する高Tモノマー9〜14重量%;二官能価モノマー10〜16重量%;光開始剤4〜9重量%;および離型剤0〜1.5重量%、例えば0.1〜1.5重量%:を含む硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPa、例えば5〜80MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し;および、100マイクロメートルの厚さの自立フィルムに硬化された場合に、405nmまたはほかの読取り波長において、60〜100%、例えば65〜100%、70〜100%、75〜99%、80〜99%、または85〜99%の透過率を示す硬化性組成物が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、300〜2,000の重量平均分子量を有するビスフェノールAエポキシアクリレートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、オキシラン、2,2’−[(1−メチルエチリジン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−、ホモポリマー、300〜500の重量平均分子量を有する2−プロペノエートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、ジグリシジルエーテルビスフェノール−Aのジアクリレートである。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートである。これらの実施形態のいくつかの態様において、低Tモノマーは、C−C22アルキルアクリレートおよびC−C22アルコキシアクリレートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、低Tモノマーは、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、高Tモノマーは、イソボルニルアクリレートである。これらの実施形態のいくつかの態様において、二官能価モノマーは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロドデカンジメタノールジアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンである。本発明のこれらの実施形態のいくつかの態様において、離型剤は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化性組成物は、オリゴマー50〜65重量%;C−C22アルキルアクリレートおよびC−C22アルコキシアクリレート、例えば2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択された低Tモノマー10〜20重量%;イソボルニルアクリレートである高Tモノマー9〜14重量%;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロドデカンジメタノールジアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択された二官能価モノマー10〜16重量%;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンである光開始剤4〜9重量%;およびポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである離型剤0〜1.5重量%、例えば0.1〜1.5重量%を含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、300〜2,000の重量平均分子量を有するビスフェノールAエポキシアクリレートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、オキシラン、2,2’−[(1−メチルエチリジン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−、ホモポリマー、300〜500の重量平均分子量を有する2−プロペノエートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、ジグリシジルエーテルビスフェノール−Aである。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化性組成物はさらに、UV吸収剤、充填剤、連鎖移動剤、可塑剤、湿潤剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、腐蝕阻害剤、消泡剤、離型剤、粘着防止剤、フッ素含有化合物、反応性希釈剤(例えばフェノキシエチルアクリレート)、およびシラン含有化合物から選択された1またはそれ以上の任意の添加剤も含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化性組成物はさらに、離型剤も含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物はさらに、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランおよびほかのシラン化剤、ポリ(ペルフルオロエーテル)、ポリエーテル変性ポリシロキサン、およびこれらの組み合わせから選択された離型剤も含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の硬化された硬化性組成物を含む光学媒体であって、情報を含み、この情報の少なくともいくつかが、硬化された硬化性組成物中に記憶される光学媒体が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、情報の少なくともいくつかは、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴として、硬化された硬化性組成物中に記憶される。これらの実施形態のいくつかの態様において、この光学媒体は、CD、DVD、HD DVD、およびブルーレイディスク(商標)から選択されたフォーマットにおける記録済み、一回書き込み、およびリライタブル媒体から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、ブルーレイディスク(商標)フォーマットにおける記録済み、一回書き込み、およびリライタブル媒体から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、ブルーレイディスク(商標)フォーマットにおける記録済み媒体である。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の硬化された硬化性組成物を含む光学媒体であって、平均厚さ0.02〜0.03mm、例えば0.024〜0.026mmを有する硬化された硬化性組成物の層を含み、情報を含み、この情報の少なくともいくつかは、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴として、硬化された硬化性組成物の層中に記憶される光学媒体が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、ピットおよびグルーブの少なくとも1つを含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、ピットとグルーブとの組み合わせを含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、オングルーブのピット(pit on−groove)(インピットまたはオンピットのどちらかとして、オングルーブの頂部あるピット)を含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、オングルーブのインピットを含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、CD、DVD、HD DVD、およびブルーレイディスク(商標)から選択されたフォーマットにおける、記録済み、一回書き込み、およびリライタブル媒体から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、ブルーレイディスク(商標)フォーマットにおける記録済み、一回書き込み、およびリライタブル媒体から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、ブルーレイディスク(商標)フォーマットにおける記録済み媒体である。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の硬化された硬化性組成物を含む光学媒体であって、多層デバイスであり、情報を含んでおり、情報の少なくともいくつかは、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴として、硬化された硬化性組成物の層中に記憶されている光学媒体が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、ピットおよびグルーブの少なくとも1つを含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、ピットとグルーブとの組み合わせを含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、オングルーブのピット(インピットまたはオンピットのどちらかとして、オングルーブの頂部にあるピット)を含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物にエンボスされた特徴は、オングルーブのインピットを含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、CD、DVD、HD DVD、およびブルーレイディスク(商標)から選択されたフォーマットにおける、記録済み、一回書き込み、およびリライタブル媒体から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、ブルーレイディスク(商標)フォーマットにおける記録済み、一回書き込み、およびリライタブル媒体から選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、ブルーレイディスク(商標)フォーマットにおける記録済み媒体である。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、情報を含む光学媒体の製造方法であって、重合性物質および重合開始剤を含む硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPa、例えば5〜80Mpaの動的貯蔵弾性率E’を示す組成物を選択する工程;未硬化の場合に、基体上にこの硬化性組成物を堆積させる工程;堆積された硬化性組成物を刺激へ暴露し、堆積された硬化性組成物を重合させて、硬化された硬化性組成物を形成する工程;型を提供する工程;、硬化された硬化性組成物の中に型を押し込んで、硬化された硬化性組成物に特徴を形成する工程、ここで、特徴が、光学媒体へ記憶された情報として読取り可能である;および型と硬化された硬化性組成物とを分離する工程を含む方法が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの厚さの自立フィルムに硬化された場合に、光記憶媒体のための読取り波長において、60〜100%、例えば65〜100%、70〜100%、75〜100%、75〜99%、80〜99%、または85〜99%の透過率を示すように選択される。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、情報を含む光学媒体の製造方法であって、重合性物質および重合開始剤を含む硬化性組成物であって、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPa、例えば5〜80Mpaの動的貯蔵弾性率E’を示す組成物を選択する工程;未硬化の場合に、基体上にこの硬化性組成物を堆積させる工程;堆積された硬化性組成物を刺激へ暴露し、堆積された硬化性組成物を重合させて、硬化された硬化性組成物を形成する工程;型を提供する工程;硬化された硬化性組成物の中に型を押し込んで、硬化された硬化性組成物に特徴を形成する工程であって、ここで特徴が、光学媒体へ記憶された情報として読取り可能である;および型と硬化された硬化性組成物とを分離する工程を含む方法が提供される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、100マイクロメートルの厚さの自立フィルムに硬化された場合に、読取り波長において、≦40nm、例えば≦35nm、≦30nm、または≦25nmの光学的遅れを示すように選択される。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態において、情報を含む光学媒体の製造方法はさらに、型、硬化された硬化性組成物、および基体のうちの少なくとも1つを、硬化された硬化性組成物に型を押し込む前に加熱する工程も含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、型および硬化された硬化性組成物は、硬化された硬化性組成物に型を押し込む前に、互いから10℃以内、例えば5℃以内にある。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物に型を押し込む前に、型が加熱される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物に型を押し込む前の型の温度は、硬化された硬化性組成物に型を押し込む時に、硬化された硬化性組成物中でさらなる熱硬化プロセスを開始させるのに十分なほど高い。いくつかの態様において、この硬化された硬化性組成物は、硬化された硬化性組成物と型が接触させられる前に型の温度より高い温度へ加熱することができる。型の熱容量が、硬化された硬化性組成物のものよりも大きくなる程度まで、これの結果として、成形温度への型の加熱、成形、分離温度への型の冷却、および硬化された硬化性組成物からの型の分離と比較して、サイクル時間における有意な減少を生じうる。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物は、成形前にそのTpeakの25℃以内へ加熱される。これらの実施形態のいくつかのさらなる態様において、型の温度は、成形の直前に、硬化された硬化性組成物の温度よりも35℃以下しか冷たくない。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態において、情報を含む光学媒体の製造方法はさらに、型と硬化された硬化性組成物とを分離する前に、型、硬化された硬化性組成物、および基体のうちの少なくとも1つを冷却する工程も含む。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態において、型の温度は、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間に、硬化された硬化性組成物のTpeakの25℃以内である。これらの実施形態のいくつかの態様において、型の温度は、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間に、硬化された硬化性組成物のTpeakの20℃以内である。これらの実施形態のいくつかの態様において、型の温度は、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間に、硬化された硬化性組成物のTpeakの15℃以内である。これらの実施形態のいくつかの態様において、型の温度は、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間に、硬化された硬化性組成物のTpeakの10℃以内である。これらの実施形態のいくつかの態様において、型の温度は、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間に、硬化された硬化性組成物のTpeakの5℃以内である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間の型の温度は、<200℃、例えば1〜200℃、20〜200℃、25〜180℃、25〜125℃、または25〜75℃である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化された硬化性組成物に型が押し込まれる瞬間の型の温度(すなわちインプリンティング温度)は、これが、硬化された硬化性組成物から分離される瞬間の型の温度(すなわち分離温度)よりも高い。これらの実施形態のいくつかの態様において、分離温度は、1〜50℃、例えば1〜20℃、または1〜10℃インプリンティング温度よりも低い。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態において、型は、2.75〜27.5MPaの圧力(すなわちインプリンティング圧力)で、硬化された硬化性組成物に押し込まれる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態において、未硬化硬化性組成物は、基体上へ硬化された硬化性組成物の層を提供するのに十分な量で基体へ適用され、この場合、硬化された硬化性組成物の層は、≧0.1μm、例えば0.1〜100μm、1〜100μm、1〜50μm、または1〜25μmの平均厚さを有する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質は、離型剤を含むように選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、離型剤は、未硬化硬化性組成物の空気界面へ選択的に移動する物質から選択される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態において、情報を含む光学媒体の製造方法はさらに、硬化された硬化性組成物の表面および型の表面のうちの少なくとも1つへ離型剤を適用する工程も含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、情報を含む光学媒体の製造方法はさらに、硬化された硬化性組成物の表面へ離型剤を適用する工程も含み、この場合、離型剤は、押し込み操作の間、硬化された硬化性組成物と型との間に配置される。これらの実施形態のいくつかの態様において、情報を含む光学媒体の製造方法はさらに、離型剤を型の表面へ適用する工程も含み、離型剤は、押し込み操作の間、硬化された硬化性組成物と型との間に配置される。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質は、オリゴマー、0〜−80℃、例えば−20〜−60℃、または−50〜−60℃のTを有する低Tモノマー、50〜140℃、例えば80〜100℃、または90〜100℃のTを有する高Tモノマー、および多官能価モノマー、例えば二官能価モノマーを含むように選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、重量平均分子量300〜2,000のビスフェノールAエポキシアクリレートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、オキシラン、2,2’−[(1−メチルエチリジン)ビス(4,1−フェニレンオキシメチレン)]ビス−、ホモポリマー、重量平均分子量300〜500の2−プロペノエートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、ジグリシジルエーテルビスフェノール−Aのジアクリレートである。これらの実施形態のいくつかの態様において、オリゴマーは、アルコキシル化ビスフェノール−Aジアクリレートである。これらの実施形態のいくつかの態様において、低Tモノマーは、C−C22アルキルアクリレートおよびC−C22アルコキシアクリレートから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、低Tモノマーは、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、高Tモノマーは、イソボルニルアクリレートである。これらの実施形態のいくつかの態様において、多官能価モノマーは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリシクロドデカンジメタノールジアクリレート、およびこれらの組み合わせから選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、重合性物質は、さらに離型剤、例えばポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含むように選択される。これらの実施形態のいくつかの態様において、重合性物質は、50〜65重量%オリゴマー、10〜20重量%低Tモノマー、9〜14重量%高Tモノマー、10〜16重量%二官能価モノマー、および0.1〜1.5重量%離型剤を含むように選択される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態において、硬化性組成物は、未硬化の場合に、ロールコーティング、スロットコーティング、スクリーニング、スピンコーティング、パッチダイコーティング、スロットもしくは押出しコーティング、スライドもしくはカスケードコーティング、カーテンコーティング、ロールコーティング、例えばナイフオーバーロール(ドクターブレード)コーティング、正転およびリバースロールコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷、静電印刷、熱印刷方法、およびインクジェット印刷のうちの少なくとも1つを用いて、基体上に堆積される。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化性組成物は、未硬化の場合に、スピンコーティングを用いて基体上に堆積される。
【0059】
当業者ならば、スピンコーティング堆積された硬化性組成物の厚さおよび均一性は、該組成物の粘度およびレオロジー挙動の選択によってのみならず、スピンステーションの温度、スピン速度、および加速プログラム、スピンの間の基体上の気流、およびスピンボウル形状、およびスピンの間のあらゆるエネルギー入力または勾配設定によっても制御されることを知っているであろう。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態において、押し込み操作の少なくとも部分の間の型の温度は、硬化された硬化性組成物のTpeakの±25℃、例えば±20℃、±15℃、±10℃、または±5℃である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、重合性物質は、50〜150℃、例えば50〜120℃、50〜100℃、または50〜80℃のTpeakを示す、硬化された硬化性組成物を提供するように選択される。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態において、光学媒体は、少なくとも2つのデータ層を含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、光学媒体は、第一データ層L0、および第二データ層L1を含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、L0は、完全または部分的反射性層である。これらの実施形態のいくつかの態様において、本発明の未硬化硬化性組成物のある層は、例えばスピンコーティングによって、完全または部分的反射性層L0の上へ適用され、ついで硬化されて、L0上に硬化された硬化性組成物層を形成する。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物はついで特徴が付与され、この場合、特徴は、情報として読取り可能である。これらの実施形態のいくつかの態様において、硬化された硬化性組成物は、型でのエンボス加工を通して特徴が付与される。これらの実施形態のいくつかの態様において、L1は、その中に特徴が形成されている、硬化された硬化性組成物を含む。これらの実施形態のいくつかの態様において、L1はさらに、硬化された硬化性組成物の上に堆積された部分的反射性物質も含む。
【0063】
当業者なら、本発明の硬化された硬化性組成物に形成された特徴は、例えば原子力顕微鏡を用いて、情報として読取り可能であろうことが分かるであろう。当業者ならさらに、本発明の硬化された硬化性組成物に形成された特徴は、追加の処理、例えば部分的反射性物質、完全反射性物質、および/または光吸収性物質の適用をともなわなければ、レーザーで光学的に読取り可能でない場合があることが分かるであろう。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態はここで、次の実施例において詳細に記載されるであろう。
【実施例】
【0065】
実施例1 硬化性組成物の調製
機械的撹拌機を備えたステンレス鋼反応器に、1,400gのヘキサンジオールジアクリレートとブレンドされた5,600gの二官能価ビスフェノールAベースエポキシアクリレート(サートマー社(Sartomer Company)からCN104B80として入手しうるブレンド)、1,300gのイソボルニルアクリレート(サートマー社からSR506として入手しうる)、および1,000gの2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(サートマー社からSR256として入手しうる)が装入された。反応器の内容物が、10分間混合され、その後700gの1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・ケミカル社(Ciba Chemical,Inc.)からイルガキュア(Irgacure)184として入手しうる)が添加された。反応器の内容物が、さらに30分間混合された。反応器の内容物はついで、0.1μm細孔サイズナノシールド(Nanoshield)フィルター(CUNO LLCから入手しうる)を用いて濾過された。濾過された物質がついで脱ガスされた。
【0066】
実施例2 硬化性組成物の堆積および硬化
アルミニウム反射性層でスパッターされたポリカーボネートディスクが、基体として用いられた。スピン速度5,000rpmおよびスピン時間3秒での従来のスピンコーティング技術を用いて、実施例1の硬化性組成物が、25μmの均一厚さで基体上へ未硬化硬化性組成物の層を提供するのに十分な量で、スピンしている基体へ手動で分配された。
【0067】
実施例3 未硬化硬化性組成物の堆積層の硬化
実施例2において提供された未硬化硬化性組成物の堆積層が、中程度の水銀圧力電球(bulb)100ワット/cm電球長さを用いて1.4秒間硬化された。この電球から基体までの距離は12cmであった。硬化操作は、次の条件下に実施された。
UV−A:216mJ/cm
UV−B:177mJ/cm
UV−C:30mJ/cm
【0068】
実施例4 型調製
標準的DVD特徴寸法のニッケルDVDスタンパーが、離型剤で処理された。具体的にはこのスタンパーは、40kHzの周波数へ調節された超音波振動器を備えた溶液浴に入れられた。浴内容物は、1%重量/重量のZ−テトラオール/バートレル(Tetraol/Vertrel(登録商標))を含んでいた。DVDスタンパーが、30秒間、超音波振動を作動させて浴中に浸漬され、ついで振動をともなわずに15秒間静的浸漬が行なわれた。処理済みDVDスタンパーは、バートレル(登録商標)(Vertrel)(デュポン(DuPont)から入手しうる)で濯ぎ洗い洗浄された。処理済みDVDスタンパーはついで、アセトンで濯ぎ洗いされた。処理済みDVDスタンパーはついで、脱イオン水で濯ぎ洗いされた。処理済みDVDスタンパーはついで、ホットプレートで120℃において5分間乾燥された。
【0069】
実施例5 押し込み操作
実施例3からの硬化された硬化性組成物を有する基体が、実施例4からの処理済みDVDスタンパーとともに、EVG520HE半自動化ホットエンボス装置(EVグループから入手しうる)において、上部掴み具と底部掴み具との間に設置され、エンボスチャンバが閉鎖された。EVG520HE中の上部掴み具と底部掴み具は、ついで95℃へ加熱された。上部掴み具と底部掴み具の温度が一旦安定化したら、これらの掴み具が合わされ、硬化された硬化性組成物に対して型を押し付けるために、これらの掴み具の間に、40kN圧縮力が120秒間加えられた。これらの掴み具はついで、圧縮力の除去前に50℃未満に冷却された。硬化された硬化性組成物を有する基体およびスタンパーが、EVG520HEから除去された。スタンパーは、特別な力を用いずに、硬化された硬化性組成物から取り外された。
【0070】
実施例6 硬化された硬化性組成物において複製されたパターンの評価
ベーコ社(Veeco Co)から入手しうるディメンション(Dimension)5000AFMが、硬化された硬化性組成物において複製されたパターンを評価するために用いられた。ピット高さを測定するために、10×10μm画像が収集された。これらの位置は、ディスクのいずれかの端部から10mmのところで選択された。これらのピットの高さは、ベアリング(Bearing)方法によって計算され、8つの位置から平均された。パターン複製の程度(成形されたディスクのピット高さ対スタンパーのピット高さ)が、硬化された硬化性組成物の成形挙動を評価するために用いられた。パターン複製は、>94%であると観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記憶媒体における使用のための硬化性組成物であって、
当該硬化性組成物は、重合性物質、および重合開始剤を含み;
当該硬化性組成物は、未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;および
当該硬化性組成物は、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す:
硬化性組成物。
【請求項2】
硬化性組成物が100マイクロメートルの平均厚さの自立フィルムに硬化された場合に、405nmで60〜100%の透過率、および405nmで≦40nmの光学的遅れを示す、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
硬化性組成物が硬化された場合に、30〜180℃の温度においてTpeakを示す、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項4】
硬化性組成物が硬化された場合に、換算周波数において9〜12デケイドの半値全幅(FWHM)での、tanδにおけるピークを示す、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項5】
オリゴマー50〜65重量%、
0〜−80℃のTを有する低Tモノマー10〜20重量%、
50〜140℃のTを有する高Tモノマー9〜14重量%、
二官能価モノマー10〜16重量%、
光開始剤4〜9重量%、および
離型剤0〜1.5重量%
を含む硬化性組成物であって、
当該硬化性組成物は未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し;
当該硬化性組成物は硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示し;および
当該硬化性組成物は100マイクロメートルの厚さの自立フィルムに硬化された場合に、405nmで60〜100%の透過率を示す:
硬化性組成物。
【請求項6】
請求項1記載の硬化性組成物を含む光学媒体であって、硬化性組成物が、硬化された硬化性組成物であり、光学媒体が情報を含み、および情報の少なくともいくつかが、硬化された硬化性組成物中に記憶される光学媒体。
【請求項7】
情報を含む光学媒体の製造方法であって、
重合性物質および重合開始剤を含む硬化性組成物であって、
未硬化の場合に、25℃で1〜3,000mPa・sの粘度を有し、硬化された場合に、Tpeak+60℃の温度で5〜100MPaの動的貯蔵弾性率E’を示す、硬化性組成物を選択し;
未硬化の場合に、基体上に当該硬化性組成物を堆積させ;
堆積された硬化性組成物を刺激へ暴露し、堆積された硬化性組成物を重合させて、硬化された硬化性組成物を形成し;
型を提供し;
型を、硬化された硬化性組成物に押し込んで、硬化された硬化性組成物に特徴を形成し、ここで硬化された硬化性組成物に形成された特徴は、情報として読取り可能である;および
型と硬化された硬化性組成物とを分離すること:
を含む方法。
【請求項8】
基体上に、≧0.1μmの平均厚さを有する、硬化された硬化性組成物を提供するのに十分な量で、硬化性組成物が基体上に堆積される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
重合性物質が、
オリゴマー50〜65重量%、
0〜−80℃のTを有する低Tモノマー10〜20重量%、
50〜140℃のTを有する高Tモノマー9〜14重量%、
二官能価モノマー10〜16重量%、
光開始剤4〜9重量%、および
離型剤0〜1.5重量%
を含むように選択され;並びに
重合開始剤が光開始剤である、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
押しこむことが硬化された硬化性組成物の温度を低下させるような、硬化された硬化性組成物への型の押し込みの前に、型の温度よりも高い温度に、硬化された硬化性組成物を加熱することをさらに含む、請求項7記載の方法。

【公開番号】特開2009−32380(P2009−32380A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−52620(P2008−52620)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】