説明

磁気シールを提供するためのシステム、方法及び装置

【課題】磁気シール(220)を有するシステム(200)を提供する。
【解決手段】本システム(200)は、第1の部品(205)及び第2の部品(210)を有する回転機械を含む。磁気シール(220)は、第1の部品(205)に装着され、磁気シール(220)と第2の部品(210)との間にギャップ(215)ができるように第2の部品(210)に対して位置付ける。磁気シール(220)は、第1の磁気素子(230)と、第2の磁気素子(235)により磁気シール(220)に作用される力に応じて調整するよう適合されるコンプラアント材料(225)とを含む。第2の磁気素子(235)は、第2の部品(210)に装着され、磁気シール(220)と第2の部品(210)との間のギャップ(215)を、第2の磁気素子(235)による磁気シール(220)に作用する力に応じて修正するができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転及び静止部品を備えた機械に関し、より具体的には、磁気シールを提供するためのシステム、方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電及び機械駆動用途で使用され蒸気及びガスタービンなどの回転機械は、一般に、回転及び静止部品を備えた大型の機械である。作動時には、このような回転機械は、これらの部品間の空気の制御された流れに依存する。タービンでは、例えば、種々のタービン段を流れる高圧空気は、一連の静止及び回転部品を通過することができる。特定の静止及び回転部品を通過すると、高圧領域から低圧領域などへの空気漏出は一般に望ましくない。この理由の1つとして、静止及び回転部品間のシールを用いることができる。空気漏出の制御に加えて、シールを用いて、軸受ハウジング及びロータ部品などの一部の部品からパージキャビティなどの他の部品に向かって空気流を配向することができる。回転機械の効率は、空気漏出を阻止し、静止及び回転部品間の空気の流れを配向するこのようなシールの能力に依存することができる。
【0003】
幾つかの異なるシール設計が回転機械で使用されてきた。これらのシールは、「パンプキンティース」シール、ラビリンスシール、ハニカムシール及びブラシシールを含むことができる。これらの設計は、部品間にわたる空気漏出を最小限にし、部品間の空気流を配向することを目的としている。これらのシールは、静止及び回転部品間に位置付けることができるので、このようなシールは、これらの部品と物理的に接触することができる。シールが摩滅すると、機械の効率が低下し、故障の確率が高くなる可能性がある。
【0004】
従って、空気漏出を低減し、回転機械における空気流を制御するためにシールを改善する必要性がある。より具体的には、磁気シールを提供するためのシステム、方法及び装置に対する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6739094号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、上述の必要性の一部又は全てに対処することができる。本発明の特定の実施形態は、一般に、磁気シールを提供するためのシステム、方法及び装置に関する。一実施形態では、回転機械において磁気シールを提供する方法を提供することができる。本方法は、回転機械において磁気シールを第1の部品に装着する段階を含むことができる。本方法はまた、磁気シールと第2の部品との間にギャップを設けるように第2の部品に対して磁気シールを位置付ける段階を含むことができる。磁気シールは、第1の磁気素子と、磁気シールに対して作用される力に応じて調整するよう適合されたコンプラアント材料とを含むことができる。本方法はまた、第2の磁気素子を第2の部品に装着し、磁気シールに対して力を作用させるようにする段階を含むことができる。本方法はさらに、第2の磁気素子によって作用される力に応じてコンプラアント材料を調整し、ギャップを修正する段階をさらに含むことができる。
【0007】
本発明の別の実施形態では、磁気シールを提供するためのシステムを提供することができる。本システムは、第1の部品及び第2の部品を有する回転機械を含むことができる。磁気シールは、第1の部品に装着され、磁気シールと第2の部品との間にギャップを設けるように第2の部品に対して位置付けることができる。磁気シールは、第1の磁気素子と、磁気シールに作用される力に応じて調整するよう適合されるコンプラアント材料とを含むことができる。第2の磁気素子は、第2の部品に装着され、磁気シールに対して力を作用させるよう適合され、磁気シールと第2の部品との間にギャップを修正できるようにする。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態では、磁気シールを提供するための装置を提供できる。装置は、第1の磁気素子及びコンプラアント材料を備えた磁気シールを含むことができる。磁気シールは、回転機械において第1の部品に装着され、回転機械において磁気シールと第2の部品との間にギャップを設けるよう動作可能とすることができる。第2の磁気素子は、回転機械において第2の部品に装着され、磁気シールに対して力を作用させるよう動作可能にすることができる。コンプラアント材料は、第2の磁気素子により作用される力に応じてさらに調整するよう動作可能とすることができる。
【0009】
本発明の他の実施形態及び態様は、添付図面を参照しながら以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】回転機械の一部としての静止及び回転部品の図。
【図2】本発明の一実施形態による磁気シールを提供するための例示的なシステムの図。
【図3】本発明の一実施形態による磁気シールを提供するための例示的なシステムの図。
【図4】磁気シールを提供するための例示的な装置の図。
【図5】磁気シールを提供するための例示的な装置の図。
【図6】本発明の一実施形態による磁気シールを提供するための例示的な方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以上、本発明についてその概要を説明したが、次に添付の図面を参照して説明する。添付図面は、必ずしも縮尺通りには描かれていない。
【0012】
次に、本発明の例示的な実施形態が示された添付図面を参照しながら、本発明を以下でより詳細に説明する。本発明は、多くの異なる形態で具現化することができるが、本明細書で記載される例示的な実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろこれらの実施形態は、当業者に対して本発明の技術的範囲を十分に伝えるようにするために提示するものである。図面全体を通して、同じ参照符号は、同様な要素を示している。
【0013】
図1は、システム100の一部として静止及び回転部品を示す。システム100は、燃焼タイプのガスタービン、蒸気タイプのガスタービン、圧縮機などの何れかの回転機械を含むことができる。燃焼タイプのガスタービンでは、直列流れの関係で吸気口(すなわち入口)、圧縮機、燃焼器、タービン及びガス出口(すなわち排気ノズル)を含むガス経路がある。作動時には、燃焼タイプのガスタービンでは、タービンセクションを駆動するのに燃焼ガスを用いることができる。すなわち、燃焼ガスを用いて比較的高速度で複数のロータホイールを回転させることができ、該ロータホイールが、その各々野周りに軸方向に離間した複数のロータブレードを支持している。このようなロータホイールは、周りを囲む複数の非回転ステータに回転可能に取り付けることができ、ここでは、ロータホイールと周囲のステータとの間にギャップを形成することができる。
【0014】
このギャップ内の空気漏出が出力損失を生じ、システム効率に悪影響を及ぼす可能性があるので、部品設計に応じてこのギャップを小さくすることが望ましい場合がある。同時に、これらの静止及び回転部品は、熱作用に起因してシフト、振動又は拡大する可能性があるので、最小クリアランスギャップを維持することも望ましい場合がある。例えば、過渡運転中、1以上の部品が相対移動することができ、これは、これらの部品を隔てるギャップが小さすぎる場合には、部品が互いに接触し、部品の損傷に至る可能性があることを意味する。従って、最小クリアランスギャップを必要とする可能性が高い。このクリアランスギャップのサイズは、異なる熱膨張係数を有する静止及び回転部品用の材料を用いることによって小さくすることができるが、完全に削減することはできない。静止部品に対する回転部品の相対移動は、ある程度のクリアランスギャップを維持することが必要である。
【0015】
回転ロータホイール及び静止ステータなど、回転機械における2つの部品間のクリアランスギャップに関連する空気漏出を低減するために、1以上のシールを用いることができる。システム100において、ハニカム型ラビリンスシールを用いて、静止及び回転部品間の空気流を修正することができる。ラビリンスシール歯105は、ロータホイール110上に装着され、ステータ120の一部に装着されたハニカム構造体115に半径方向に対向して位置することができる。システム100のハニカム型ラビリンスシールは、ロータホイール110とステータ120との間の空気流を抑制することができる。作動中、ハニカム型ラビリンスシールは、ロータホイール110及びステータ120の表面構造が互いに接近すると摩滅し、これは熱過渡及び/又はエンジン振動に起因することができる。すなわち、2つの部品が互いに接近すると、互いに接触する可能性が高くなり、その結果としてハニカム型ラビリンスシールの摩滅の可能性がある機械的摩擦を生じる。ハニカム型ラビリンスシールが摩滅すると、システム100が機能しなくなる可能性がある。加えて、摩擦は、システム100の温度上昇を引き起こし、システム100の性能を阻害する可能性がある。場合によっては、これらの作用並びに従来のシステム100に付随する多くの故障事象を削減することが望ましい。
【0016】
図2及び図3は、本発明の一実施形態による磁気シールを提供する例示的なシステム200及び300を示している。システム200及び/又はシステム300は、圧縮機、タービン又はポンプなどの回転機械の何れかのタイプの一部とすることができる。例示的な実施形態において、システム200は、圧縮機を表し、第1の圧縮機及び第2の圧縮機を含むことができる。例えば、第1の部品は、静止部品205を含むことができ、回転部品210などの第2の部品を囲むことができる。静止部品205は、回転部品210に対して、これらの間にギャップ215を形成するよう位置付けられる。
【0017】
回転部品210は、車軸に対して横断方向に装着することができ、静止部品205により囲まれながら回転するよう構成することができる。回転部品210は、限定ではないが、タービンホイール、圧縮機ホイール、軸受組立体又はシャフトなどの回転機械における何れかの回転部品とすることができる点は理解される。ギャップ215は、空気を回転部品210と静止部品205との間で軸方向に流すことを可能にすることができる。例示的な実施形態において、ギャップ215は、回転部品210と静止部品205との間の半径方向クリアランスに関連して説明されるが、ギャップ215は、限定ではないが、半径方向クリアランス、軸方向クリアランス、線形クリアランス、非線形クリアランスなど、第1の部品及び第2の部品間に存在することができる何らかのギャップを機械中に含むことができる点は理解される。
【0018】
例示的な実施形態において、ギャップ215は、軸方向空気流を可能にすることができる半径方向クリアランスに相当することができる。ギャップ215に関連する軸方向空気流を低減するために、磁気シール220を設けることができる。磁気シール220は、コンプラアント材料及び第1の磁気素子を含むことができる。コンプラアント材料は、バッフル又は圧潰性ホイルなど、変形可能構造体を含むことができる。一実施形態において、コンプラアント材料は、静止部品に装着することができ、第2の磁気素子は、コンプラアント材料に装着することができる。他の実施形態では、第1の磁気素子及びコンプラアント材料は、一体化して磁気的にコンプライアントな構造体を提供することができる。
【0019】
例示的なシステム200及び300において、コンプラアント材料は、バッフル225を含むことができる。バッフル225は、回転部品210の周りで共形となり、ギャップ215を低減するよう適合されたコンプライアントシートメタル構造体を含むことができる。バッフル225には、シール磁石230のような第1の磁気素子を装着することができ、回転部品210には、回転磁石235などの第2の磁気素子を装着することができる。
【0020】
シール磁石230及び回転磁石235は、永久磁石、電磁石など、あらゆるタイプの磁石とすることができる。永久磁石は、キュリー点によって特徴付けることができる。キュリー点は、永久磁石が消磁される温度を規定している。サマリウムコバルト磁石又はネオジム磁石などの希土類磁石は、比較的高いキュリー点を有し、該磁石が比較的高温に耐え得ることを意味する。この理由の1つとして、システム200が高温タービンエンジン段の一部を含む幾つかの実施形態、或いは、シール磁石230及び/又は回転磁石235が高温に曝されるような実施形態では、高温に耐え得る希土類磁石を用いることができる。
【0021】
回転磁石235は、バッフル225及びシール磁石230を含む磁気シール220に力を作用させるよう構成することができる。例示的なシステム200において、この構成は、シール磁石230に比較的近接近して回転磁石235を回転部品210に装着する段階と、回転磁石235のN極がシール磁石230の対応するN極と対向するように回転磁石235を配向する段階とを含むことができる。別の実施形態では、回転磁石235は、回転磁石235のS極がシール磁石230の対応するS極対向するように装着することができる。このようにすると、回転磁石235及びシール磁石230は互いに反発し、シール磁石230はコンプラアントバッフル225に装着されるので、コンプラアントバッフル225は反発力に応答して撓むことができる。回転部品210が運動中であるときは、バッフル225はさらに、回転部品210に物理的に接触することなくギャップ215のサイズを維持するように回転部品210に関連する移動に一致し、これにより部品の移動と一致できるシール表面を提供することができる。部品に付随するこのような移動は、一つには、熱膨張及び/又は振動の結果とすることができる。
【0022】
過渡事象中の共形シール表面を提供することに加えて、回転磁石235及び磁気シール220は、流体力の存在下で共形シール表面を提供するよう適合することができる。流体力は、流れの特定形態が本体表面に加えられたときに、該本体に作用する力である。例示的な実施形態において、磁気シール220は、流体力及び/又は過渡事象の存在下で共形のシール表面を提供するようさらに適合することができる。
【0023】
図3を参照して例示するように、システム300は圧縮機とすることができるので、作動中、340での圧力P1及び345での圧力P2は、静止部品205及び回転部品210と関連付けることができる。圧縮機の実施形態では、345での圧力P2は、340での圧力P1よりも相対的に大きいとすることができ、これは、345での圧力P2がコンプラアントバッフル225を押し下げ、回転部品210が車軸の周りを回転するときにギャップ215のサイズを小さくできることを意味する。回転磁石235なしで、345での圧力P2が340での圧力P1よりも十分に大きい場合、バッフル225は、回転部品235に向かって下方に撓むことができ、これにより回転部品210とバッフル225との間の物理的接触を生じる結果となる。熱膨張に伴うような過渡事象中、回転部品210は静止部品205に向かって延びて、静止部品205ではなく、同様にバッフル225に接触できるようになる。
【0024】
回転磁石235は、磁気シール220に力を作用させることにより、比較的一貫したシールを提供するようにギャップのサイズを維持することができる。作動時には、熱的作用及び/又は振動に伴う圧力勾配又は物理的膨張により、回転部品210がバッフル225及び静止部品205に接近するようになるので、回転磁石235の反発力によりバッフル225が350の公称位置から355の変位位置まで調整することができる。換言すると、回転部品210の非共形表面がバッフル225の共形表面と相対移動すると、シール磁石230及び回転磁石235に関連する磁気反発力は、上記共形表面を変形させて、部品間の接触を妨げ、ギャップ215を維持することができる。
【0025】
少なくともこのようにすると、本発明の特定の実施形態は、磁力を利用して連続して可変のシール表面を提供することができ、振動及び/又は熱膨張に関係なくギャップ215のサイズを維持することができる。加えて、ギャップ215のサイズを維持することができるので、軸方向空気流の量は、静止部品205及び回転部品210と物理的に接触するシールを使用することなく制御することができる。
【0026】
本発明の他の実施形態では、システム200及び/又はシステム300は、ギャップ215に関連する半径方向クリアランスのサイズを決定するために検知デバイスを含むことができる。一実施形態において、バッフル225は、導電性回路及び/又は誘導コイルをバッフル225に装着することなどにより、回転磁石235の回転運動に少なくとも部分的に基づいて比較的微量の電流を発生するよう修正することができる。回路及び/又はコイルは、回転磁石235により発生する磁束を検知し、回転磁石235の回転運動の結果として部分的に対応する電流を発生するよう適合させることができる。
【0027】
回転磁石235の回転運動により発生する電流の大きさは、電気センサなどの適切な検知デバイスにより検知し、ギャップ215のサイズと関連付けることができる。適切な検知デバイスは、限定ではないが、マルチメーター、電流計、電圧計又は同様のものを含むことができる。ギャップ215のサイズの関連付けは、検知デバイスからの電流情報を受け取るよう適合された1以上のプロセッサにより実行することができる。一実施形態において、ギャップ215のサイズは、検知デバイスから受け取った電流情報に少なくとも部分的に基づいてプロセッサが決定することができる。別の実施形態では、プロセッサは、検知デバイスからの情報を受け取り、少なくとも1つの磁気シールが発生する電流に少なくとも部分的に基づいてギャップに関連付けられた空気流を求めるよう適合させることができる。プロセッサの実施形態は、限定ではないが、ASIC、コンパレータ、ディファレンシャルモジュール又は他のハードウェア手段を含むことができる。プロセッサはまた、ソフトウェア又は他のコンピュータ実行可能命令を含むことができ、これらは、メモリ内に格納でき、プロセッサ又は他の処理手段により実行されて、上述のような1以上のオペレーションを実施することができる。
【0028】
本発明の他の実施形態では、上述の永久磁石の代わり又はこれと組み合わせて電磁石を用いることができる。例えば、一実施形態において、回転磁石235は電磁石とすることができる。バッフル225及びシール磁石230を含む磁気シール220に力を作用させるために、電流を回転磁石235に提供して電磁石を帯磁させることができる。電流が増加すると、バッフル225及びシール磁石230を含む磁気シール220に作用する力の大きさも増加し、バッフル225の変位を増大させることができる。電流が減少すると、バッフル225及びシール磁石230を含む磁気シール220に作用する力の大きさも減少し、従って、バッフル225の撓みが減少することができる。このようにして、回転磁石235に与えられる電流の量を変化させることによって、ギャップ215のサイズを増減させ、ギャップ215を通る軸方向空気流の量を調整することができる。
【0029】
図4及び5は、本発明の他の実施形態による磁気シールを提供する例示的なシステム及び装置400及び500を図示しており、ここで実施形態400及び500は、タービンシステムなどの回転機械の一部を含むことができる。システム200と同様に、システム400及び500は、ステータ405などの静止部品と、ロータホイール410などの回転部品とを含むことができる。ステータ405は、半径方向クリアランスにより特徴付けられるギャップ415及び515を形成するように、ロータホイール410に対して位置付けることができる。例示的なシステム400及び500は、高温で動作するよう構成することができ、その結果、411にて冷却空気をステータ405に提供し、ステータ405の動作温度を調節できるようにする。
【0030】
システム400及び500はさらに、1以上の磁気シールを含むことができる。システム400は、例えば、圧潰性ホイル425及びシール磁石430を備えた磁気シール420を含むことができる。圧潰性ホイル425は、相対的に円環体に似た構造にすることができる。圧潰性ホイル525及びシール磁石530を備えた磁気シール520を含むことができるシステム500において、圧潰性ホイル525は、蛇腹様構造体に似た構造にすることができる。両方の実施形態では、圧潰性ホイル425及び圧潰性ホイル525は、411での冷却空気の供給により提供される圧力に応じて下方に調整するよう構成することができる。磁気シール420及び磁気シール520はまた、漏出ステータ405により411で提供される冷却空気の量を低減し、約600〜800°Fなどの比較的低温でステータ405を維持するよう適合させることができる。例示的な実施形態では、圧潰性ホイル425及び圧潰性ホイル525は、ステータ405内の比較的一貫した空気圧力を維持するために部分的にステータ405から漏出する冷却空気の量を修正及び/又は制限するためにバイア426、427、526及び527それぞれを含むことができる。
【0031】
磁気シール420及び520は、比較的一貫した空気圧力を維持するよう適合させることができるので、磁気シール420及び磁気シール520はまた、システム400及び500において特定の部品に対して411にて提供される冷却空気を送るよう適合させることができる点は理解されるであろう。これらの部品は、磁気シール420及び520に関連する1以上の部品を含むことができる。例えば、バイア426、427、526及び527は、回転磁石435及び535に冷却空気を配向するよう位置付けることができる。ガスタービンシステムなどの一部の実施形態では、回転磁石435及び535は、比較的高温に曝される可能性があり、冷却されないままである場合、消磁される可能性がある。消磁は、磁気シール420及び520の機能不全に関連することができる。この理由の1つとして、バイア426、427、526及び527は、回転磁石435及び535に冷却空気を送り、回転磁石435及び535が消磁の発生し得る関連キュリー点を下回って動作できるように適合させることができる。
【0032】
例示的なシステム400及び500では、圧潰性ホイル425及び525はまた、均衡点に至るまでロータホイール410に装着された回転磁石435及び535が作用する力に応じて内向きに調整するよう構成することができる。より具体的には、圧潰性ホイル425及び圧潰性ホイル525は、熱膨張及び/又は振動の結果など、ロータホイール410が磁気シール420及び520に向かってクリープするときにロータホイール410から内向きに調整するよう構成することができる。411において提供される対応する空気圧が磁気シール420及び520を外向きに押し進める場合、システム400における磁石430及び435並びにシステム500における磁石530及び535により提供される対応する磁力は、力平衡が得られるまで磁気シールを内向きに押し進める。この平衡点において、システム400及び500におけるギャップ415及びギャップ515のサイズを相対的に維持することができる。
【0033】
図6は、本発明の別の実施形態による磁気シールを提供する例示的な方法600を示している。方法600は、ブロック605から始まることができ、ここで磁気シールは、回転機械の第1の部品に装着することができる。回転機械は、タービン、圧縮機、ポンプなどの回転部品を有する何れかの機械を含むことができる。第1の部品は、ステータなどの静止部品もしくは静止部品の一部、或いはロータなどの回転部品もしくは回転部品の一部とすることができる。これと同時に、磁気シールは、第1の磁気素子及びコンプラアント材料を含むことができる。第1の磁気素子及びコンプラアント材料を備えた磁気シールの例示的な実施形態は、上記の図1から図5に関連して説明されたものを含むことができる。第1の磁気素子は、永久磁石又は電磁石のようなあらゆる磁気素子とすることができる点は理解されるであろう。
【0034】
方法600は、ブロック610に進むことができ、ここで、第2の磁気素子を回転機械の第2の部品に装着することができる。第2の部品は、例えば、回転部品及び静止部品など、回転機械における何れかの部品を含むことができる。第2の部品は、第1の部品に装着されたときに、第2の部品と少なくとも1つの磁気シールとの間に半径方向クリアランスを提供するよう磁気シールに対して位置付けることができる。図2のギャップ215のような半径方向ギャップは、同様に図に関して上記で説明された静止部品205及び回転部品210のような、第1の部品及び第2の部品間に軸方向に空気を流すことを可能にすることができる。第2の磁気素子は、永久磁石及び電磁石のような何れかの磁気素子とすることができ、ブロック615において磁気シールに力を作用させるよう構成することができる。一実施形態において、第2の磁気素子は、永久磁石であり、同様に永久磁石とすることができる第1の磁気素子に関連して構成することができ、第1の磁気素子及び第2の磁気素子の極が互いに相対するように位置付けられるようにする。このようにして、第2の磁気素子は、磁気シールに対して力を作用させることができる。別の実施形態では、第2の磁気素子又は第1の磁気素子の何れかは電磁石とすることができ、電磁石に供給される電流により、磁気素子が磁気シールに対して力を作用させることが可能になる。例えば、任意選択のブロック620において示す方法600の一実施形態において、第2の磁気素子は、電磁石とすることができ、電磁石に供給される電流により、第2の磁気素子が磁気シールに対して力を作用させることが可能になる。同様に、この実施形態において、電磁石の極は、第2の磁気素子及び第1の磁気素子の極が互いに相対するように第1の磁気素子に対して位置付けることができる。このような位置付けは、物理的配置によるか又は電磁石に提供される電流のバイアスにより達成することができる。
【0035】
ブロック625において、方法600は、第2の磁気素子により作用される力に応じた磁気シールを備えたコンプラアント材料を調整する段階に進むことができる。この調整は、磁気シール及び第2の部品間の半径方向クリアランスを修正することができる。一実施形態において、この調整は、任意選択ブロック630で示される第1の部品及び第2の部品かの軸方向空気流の決定に関連付けることができる。例えば、第1の磁気素子及び第2の磁気素子は、回転機械の所与の動作点において最小クリアランスを維持するよう設計することができる。第1の磁気素子及び/又は第2の磁気素子が電磁石である別の実施形態では、何れかの磁気素子に提供される電流を調整して半径方向クリアランスを調整し、これにより軸方向空気流を調整することができる。半径方向クリアランスを調整すると、回転機械に関連する1以上のパラメータに従って軸方向空気流を決定することができる。
【0036】
本発明の特定の実施形態は、磁気シールとの物理的接触を必要とすることなく、第1の部品及び第2の部品に関連付けられた半径方向クリアランスを維持することができるので、本発明の特定の実施形態は、機械作動中に互いに摩耗又は接触するシールに関連する特定の問題を解決することができる。より詳細には、本発明の特定の実施形態は、劣化が少なく、従来のシステムで提供されるものよりも良好なシールを提供することができる。改善されたシール性能は、本発明の少なくとも1つの技術的作用である。改善されたシール耐久性は、本発明の少なくとも1つの別の技術的作用である。
【0037】
さらに、本発明の特定の実施形態は、第1の部品及び第2の部品間のシール表面をどのような関連する摩擦もなく提供することができるので、本発明のこのような実施形態は、一部の部品の運転耐用年数を改善することができる。磁気シールとシール表面との間の摩擦がない場合、シール及びその対応するシール表面に関連する加熱作用が低減される。加熱作用が低減されると、これらのシール表面に関連する1以上の部品についての温度プロファイルが小さくなる。1以上の部品についての小さな温度プロファイルは、部品並びに回転機械のより長い耐用年数をもたらすことができる。回転機械及び機械部品についての改善された運転耐用年数は、本発明の他の技術的作用である。
【0038】
上述の明細書及び関連図面で提示された教示の利点を有する本発明の関連する当業者であれば、本明細書で記載された本発明の多くの修正及び他の実施形態も想起されるであろう。すなわち、当業者であれば、本発明は多くの形態で具現化することができ、上述の実施形態に限定されるものではない点は理解されるであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態は、添付の請求項の範囲に含まれることが意図される点を理解されたい。本明細書では特定の用語が利用されているが、これらは、限定の目的ではなく、一般的及び説明的な意味でのみ用いられる。
【符号の説明】
【0039】
100 システム
105 ラビリンスシール歯
110 ロータホイール
115 ハニカム構造体
120 ステータ
200 システム
205 静止部品
210 回転部品
220 磁気シール
225 コンプラアントバッフル
230 シール磁石
235 回転 磁石
300 システム
340 圧力P1
345 圧力P2
350 公称位置
355 変位位置
400 システム
405 ステータ
410 ロータホイール
411 低温空気源
415 ギャップ
420 磁気シール
425 圧潰性ホイル構造体
426 通気バイア
427 通気バイア
430 シール磁石
435 回転磁石
500 システム
515 ギャップ
520 磁気シール
525 圧潰性ホイル構造体
526 通気バイア
527 通気バイア
530 シール磁石
535 回転磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械において、第1の磁気素子(230)及びコンプラアント材料(225)を含む少なくとも1つの磁気シール(220)を第1の部品(205)に装着する段階と、
回転機械において、第2の磁気素子(235)を第2の部品(210)に装着し、第2の部品(210)が少なくとも1つの磁気シール(220)との間にギャップ(215)を設けるように第1の部品(205)に対して位置付けて、第2の磁気素子(235)が少なくとも1つの磁気シール(220)に対して力を作用させるように動作可能であるようにする段階と、
コンプラアント材料(225)を調整して、第2の磁気素子(235)により作用される力に応じてギャップ(215)を修正する段階と
を含む方法。
【請求項2】
回転機械において、少なくとも1つの磁気シール(220)を第1の部品(205)に装着する段階が、タービン、圧縮機又はポンプの少なくともいずれかにおける第1の部品に少なくとも1つの磁気シールを装着する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
回転機械において、第2の磁気素子(235)を第2の部品(210)に装着する段階が、タービンホイール、圧縮機ホイール、軸受組立体又はシャフトの1以上に第2の磁気素子を装着する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
コンプラアント材料(225)が、バッフル、圧潰性ホイル又は変形可能構造体の1以上を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
回転機械において、第2の磁気素子(235)を第2の部品(210)に装着する段階が、回転機械において永久磁石を圧縮機部品に装着する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第2の磁気素子(235)が、サマリウム、コバルト、ネオジム、鉄又はホウ素の1種以上を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2の部品(210)に関連する回転運動に少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つの磁気シール(220)により電流を生成する段階と、
少なくとも1つの磁気シール(220)により生成される電流に少なくとも部分的に基づいてギャップ(215)に関連する空気流を決定する段階と
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第2の部品(210)に装着された第2の磁気素子(235)が電磁石であり、当該方法がさらに、第2の磁気素子(235)に電流を提供し、少なくとも1つの磁気シール(220)に対して力を作用させる段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第2の磁気素子(235)に提供される電流を調整してギャップ(215)を修正する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
第1の部品(205)及び第2の部品(210)を含む回転機械と、
第1の部品(205)に装着され、第2の部品(210)との間にギャップ(215)を設けるように第2の部品(210)に対して位置付けられ、第1の磁気素子(230)及びコンプラアント材料(225)を含む少なくとも1つの磁気シール(220)と、
第2の部品(210)に装着され、少なくとも1つの磁気シール(220)に対して力を作用させるように動作し得る第2の磁気素子(235)であって、第2の磁気素子(235)により作用される力に応じてコンプラアント材料(225)が調整されて、第2の部品(210)と少なくとも1つの磁気シール(220)との間のギャップ(215)を修正するよう動作し得る、第2の磁気素子(235)と、
第2の部品(210)に関連する回転運動に少なくとも部分的に基づいて電流を生成するよう動作する少なくとも1つの磁気シール(220)に結合され、該電流を測定するよう動作する少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのセンサから電流情報を受け取り、少なくとも1つの磁気シール(220)により生成される電流に少なくとも部分的に基づいてギャップ(215)に関連する空気流を決定するように動作し得る少なくとも1つのプロセッサと
を備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−64325(P2011−64325A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204985(P2010−204985)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】