磁気検出器
【課題】小型で、地磁気の影響を受けない高感度で変動磁場を検出できる磁気検出器を提供すること。
【解決手段】アモルファスワイヤにパルス電流または高周波電流を印加し、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに周辺の磁場強さに対応する電圧を発生する磁気インピーダンス素子であって、前記検出コイルの巻数が10乃至500であり、前記アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径の比が1.05乃至し10で、かつ前記検出コイルの直径に対するコイルの長さの比が10乃至200である前記磁気インピーダンス素子と差動増幅器の入力端子とを高周波フィルタで接続する磁気検出器。
【解決手段】アモルファスワイヤにパルス電流または高周波電流を印加し、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに周辺の磁場強さに対応する電圧を発生する磁気インピーダンス素子であって、前記検出コイルの巻数が10乃至500であり、前記アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径の比が1.05乃至し10で、かつ前記検出コイルの直径に対するコイルの長さの比が10乃至200である前記磁気インピーダンス素子と差動増幅器の入力端子とを高周波フィルタで接続する磁気検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気検出器の高感度化および微小鉄片などの異物検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場あるいは衣料品工場などの製品検査工程において、製品の中に混入する微小な鉄製の異物を検査する必要がある。この異物検査の手段として、製品中の微小な異物が有するわずかな磁気がコンベアで搬送されるとき、その周辺に微弱な磁場変動が生じるのを磁気センサを利用した磁気検出装置で検出することが一般的に知られている。
【0003】
しかし、上記鉄片のような微小物体が発する磁場は地磁気と異なって、局部的であるため、フラックスゲート磁気センサのような体積の大きなセンサでは空間分解能が低いので検出が困難である。一方、磁気インピーダンスセンサ素子(以下、MI素子という。)からなるMI磁気センサは非常に小型であるため空間分解能が高く、微小物体の検出に適している。
ここで、MI素子は、感磁体であるアモルファスワイヤにパルス電流または高周波電流を印加したときに上記アモルファスワイヤの周囲に巻回した検出コイルに周辺の磁場に対応する電圧を出力するものである。
【0004】
一方、例えば、0.2mm前後の大きさの異物を見つけるためには、所定の距離離れたところから磁気検出装置は地磁気の影響を排除しつつ、さらに地磁気の数千分の一程度に相当する100μG(マイクロガウス)あるいはそれ以下の磁気変動を検出する必要がある。
【0005】
磁気検出装置としてのMI磁気センサは、小薄型化、高感度化の技術が開示されているが、図8に示すように外部磁場±2.5G(ガウス)当りの出力電圧は高々±0.6V程度であることから、感度はおよそ0.24V/Gである(特許文献1)。
しかし、上記の0.2mmの大きさの異物による100μGオーダーの磁場に対応する出力電圧は数十μV程度と非常に小さな電圧になるので、実際にはMI素子あるいはMI素子を駆動する電子回路に含まれる同程度の電圧ノイズに隠されてしまって実用的な検出ができないおそれがある。図9はMI素子をゼロ磁場環境が実現できるパーマロイ製の磁気シールドケースに収納して前記MI素子の出力電圧を100倍に増幅したあとの信号を記録したものであるが、3mVpp程度のランダムノイズが観測されている。この3mVppの電圧は磁場換算すると120μG相当であり、上記0.2mmの大きさの異物の磁場強さと同等か、あるいはそれ以上である。したがって、十分な精度で異物に対応する信号とノイズとを判別することができない。このため、MI素子の検出電圧がこのノイズよりたとえば5倍以上大きくなるように高感度化するか、あるいはノイズが5分の1以下になるように高精度化することが必要である。
【0006】
また、図10に示すように印加磁界±80A/m当りのコイルパルス電圧は0.35V程度であり、ガウス当たりの感度は0.35V/Gとなる(特許文献2)。これは前述の感度0.24V/Gよりも1.5倍ほど高いものの、前記の5倍の感度には達しないのでMI素子のさらなる高感度化が必要である。
さらに、微弱な変動磁場を検出するためには図11に示された電子回路における増幅器6の増幅度を高める必要がある(特許文献2)。しかし、この増幅器の増幅度を高めると、前記変動磁場成分に重畳する周辺の地磁気の直流磁場成分も併せて増幅される。よって、変動磁場成分が地磁気成分よりも小さい場合には、この変動磁場成分を十分な大きさまで増幅する以前に地磁気成分が増幅器の飽和電圧に達してしまって、動作点が不安定になり正確かつ安定に変動磁場成分を検出することができないという問題がある。
したがって、変動磁場成分のみを正確かつ安定に検出することが必要である。
【0007】
また、負帰還により目的とする周波数領域の磁気信号成分を選択的に高感度で検出する技術が開示されている(特許文献3)。しかし、負帰還コイルおよび負帰還回路を必要とするので回路規模が大きくなるため、MI素子により小型化しても磁気検出器全体としては大型化し、かつコスト高にもなり、さらに負帰還電流が流れることにより電源の消費電力も増加するという問題がある。
【0008】
【特許文献1】国際公開公報WO2003/071299
【特許文献2】特開2000−258517号公報
【特許文献3】特開2003−255029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、小型で高感度かつ高精度で変動磁場を検出できる磁気検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の磁気検出装置は、アモルファスワイヤにパルス電流または高周波電流を印加して、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに周辺の磁場強さに対応する電圧を発生する磁気インピーダンス素子であって、
前記検出コイルの巻数は10乃至500であり、アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径との比は1.05乃至10であり、前記検出コイルの直径に対する前記検出コイルの長さの比は10乃至200である磁気インピーダンス素子からなることを特徴とする磁気検出器である(請求項1)。
【0011】
アモルファスワイヤに巻回した検出コイルの巻数を10以上とすることにより、MI素子の出力は検出コイルの巻数に対応して大きくなるので所定の磁場変動成分を検出できる感度が得られる。一方、検出コイルのインダクタンスは巻数の二乗に比例して大きくなるので、過大なインダクタンスにより検出コイル周辺の回路の浮遊静電容量と共振回路を形成することによるノイズの発生をさけるため、検出コイルの巻数の上限を500とする。
【0012】
アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径との比を1.05以上とすることは、MI素子の製造が可能となるからである。
以下、本発明のMI素子の断面を表す図1により説明する。
MI素子は、直径RのアモルファスワイヤWの周囲に所定の厚さからなる絶縁体Nを介して直径S、長さLの検出コイルCを形成している。検出コイルCが磁気インピーダンス効果に基づいて電圧を生じるのは、アモルファスワイヤWが発する磁束Feが検出コイルCと鎖交するからである。しかし、検出コイルCの直径が大きいとアモルファスワイヤWが発した磁束の一部Fcが検出コイルCの内部を通るため有効な鎖交とならず、感度の低下が生じる。そこで、本発明では絶縁体Nを僅少として検出コイルの直径Sを小さくし、検出コイルがより多くの磁束と鎖交するようにして高感度化を図っている。
したがって、所定の厚さを有する絶縁体Nの製造上の限界からアモルファスワイヤの直径Rに対して検出コイルの直径との比の下限を1.05と設定するものである。
【0013】
一方、アモルファスワイヤの直径に対する検出コイルの直径との比を10以下とすることにより、検出コイルの直径が過度に大きくならないためにMI素子の感度低下を実用的な範囲で回避することができる。
【0014】
前述のようにアモルファスワイヤWの直径Rに対する検出コイルCの直径Sの比が大きくなると感度が低くなるが、検出コイルの直径に対するコイルの長さの比を10乃至200にすることにより、検出コイルの直径Sとコイルの長さLとの比を所定の値に設定し、コイルの直径Sが大きくなったらコイルの長さLを大きくして巻き数を増加することでMI素子としての感度をほぼ一定にすることができ高感度化を維持できる。
以上により磁気検出器の小型化および高感度化を奏するものである。
【0015】
また、前記アモルファスワイヤに電子スイッチを介してコンデンサからパルス電流を印加する磁気検出器であることが好ましい(請求項2)。
【0016】
この場合には、電荷を蓄積しているコンデンサは、電子スイッチを用いて前記アモルファスワイヤと導通させることにより瞬間的に電流を流すことができる。
【0017】
MI素子はアモルファスワイヤに流れる電流の変化が大きいほど、すなわち立ち上がり、立ち下がりの速さが大きいほど出力が大きくなるという特性があり、これにより磁場検出としての感度が高くなる。
以上により磁気検出器の高感度化を奏するものである。
【0018】
また、磁気インピーダンス素子の検出コイルが発生する電圧を電子スイッチを介してホールドコンデンサに蓄積するとともに、前記ホールドコンデンサと増幅器とを高周波フィルタで接続する磁気検出器であることが好ましい(請求項3)。
【0019】
この場合には、ホールドコンデンサによって蓄積された周囲の磁場の強さに対応する信号電圧の変動磁場成分である交流分のみが高周波フィルタによって増幅器の入力端子に伝達される。これによって検出する目的の磁場変動信号のみを増幅し、かつ出力することができる。一方、地磁気のような直流信号成分は高周波フィルタで阻止されるので増幅器の増幅度を十分高くしても電圧飽和することがなく、正確でかつ高い安定度で増幅が可能になり高感度の異物検出ができる。
【0020】
そして、負帰還回路を必要としないことから、電子回路の規模を大きくすることがないので磁気検出器を小型、低コストで実現でき、さらに負帰還電流が流れることがないので電源の消費電力を低くできる。
【0021】
また、前記増幅器を差動増幅器とする磁気検出器であることが好ましい(請求項4)。
【0022】
この場合には、差動増幅器の同相成分抑圧効果により、入力される検出された磁場信号に対応するホールドコンデンサの電圧以外の同相ノイズはキャンセルされる。すなわち、アモルファスワイヤを駆動するパルスには高周波成分が含まれているので、その成分が電磁誘導あるいは静電誘導により同相ノイズとして増幅器に入力されるおそれがあるが、増幅器を差動増幅器とすることでキャンセルできるので安定に高い増幅度を得ることができ、高感度の磁気検出器を実現することができる。
【0023】
また、二つあるいはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子のそれぞれの検出コイルを直列接続する磁気検出器であることが好ましい(請求項5)。
検出コイルを直列接続することにより各検出コイルに発生した周辺の磁場に対応する電圧が互いに加算されるので、高感度の磁気検出器を実現することができる。
【0024】
また、二つあるいはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子のそれぞれの検出コイルを並列接続する磁気検出器であることが好ましい(請求項6)。
検出コイルを並列接続することにより信号源としての検出コイルのインピーダンスを低下させ、磁気インピーダンスセンサが発生するランダムノイズを小さくする効果を得ることができるので、高精度の磁気検出器を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の磁気検出器は、地磁気などの直流磁場成分の影響を受けずに、変動磁場成分のみを正確かつ高い安定度で増幅できるので、高感度かつ高精度で微弱な変動磁場成分を検出することができる。また、電子回路の規模を小さくできるので小型で低コスト、さらに低消費電力を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図2乃至図7を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
図2は、本発明の磁気検出器の回路図である。検出した磁場を電圧に変換するMI素子1はアモルファスワイヤ11およびその周回方向に巻回した検出コイル12および電流制限抵抗13からなる。アモルファスワイヤ11は駆動回路2の出力パルスP1によって駆動電流が印加される。ここで、アモルファスワイヤ11はCoFeSiB系合金からなる長さが4mm、直径が20μmである。検出コイル12はアモルファスワイヤ11の周囲に絶縁体を介して平均直径(円相当直径)約100μm、93回巻きで長さ約4mmのコイルを形成したものである。これにより小型のMI素子が実現できる。
検出コイル12は電子スイッチS1に接続される。この電子スイッチS1は駆動回路2の出力パルスP2によって“開”、“閉”が制御される。
【0028】
駆動回路2はインバータICQ1、Q2、抵抗R1、コンデンサC1からなる発振器およびインバータICQ3、Q4、Q5、抵抗R3、コンデンサC3ならびに一端が電源Vddに接続された抵抗Rp、コンデンサCp、電子スイッチS2からなり、パルスP1を前記アモルファスワイヤ11に出力するパルス発生器とインバータICQ6および抵抗R4、コンデンサC2からなり、パルスP2を出力するパルス発生器からなる。
ここでパルスP1およびP2はともに1MHzの周波数で繰り返して出力されるがP1およびP2は所定の時間差で互いに同期している。
なお、コンデンサCpの電荷は電子スイッチS2によりアモルファスワイヤ11に放電されるので、前記アモルファスワイヤ11に通電するパルスP1を立ち上がりの速い電流とすることができる。これにより磁気検出器を高感度化するものである。
【0029】
電子スイッチS1は常時“開”の状態であるが、パルスP2により所定の時間“閉”とされるとき、前記検出コイル12が検出した磁場信号電圧をホールドコンデンサChに蓄積する。前述のようにこのホールドコンデンサChに蓄積された電圧はMI素子1が検出した周辺磁場の強さに対応するものである。
【0030】
ホールドコンデンサChは、カットオフ周波数を決定するコンデンサC31と抵抗R31からなる高周波フィルタ3の入力側に接続される。なおこのカットオフ周波数は 1/(2π×R31×C31)で決定される。
ここで前記のカットオフ周波数は異物が搬送されるときに生じる磁気変動信号に含まれる信号成分の最低の周波数から決定した。
【0031】
また、この高周波フィルタ3の出力側は計装増幅回路からなる差動増幅器4の入力端子に接続されているため、ホールドコンデンサChの磁場信号電圧の変動磁場成分のみが増幅器4に入力され、地磁気のような直流磁場成分が排除されるので増幅器4に入力されない。このとき高周波フィルタ3の抵抗R31の一方の端子はバイアス電圧回路6を構成する抵抗R61およびR62との接続点に接続されている。このバイアス電圧回路6は増幅器4が必要とする所定のバイアス電圧を供給できるように電源電圧Vddを抵抗R61とR62で分圧することで実現している。以上により、磁場変動信号のみを正確かつ高安定度で増幅することができる。
【0032】
増幅器4に入力された変動磁場成分は所定の増幅度で増幅され、さらに低周波フィルタ回路5で不要な高周波雑音が取り除かれてから、出力端子51から出力される。
【0033】
以上の説明から本実施態様のMI素子の感度は2V/Gであり、従来のMI素子の感度よりも5〜8倍の高感度を得ることができた。
【0034】
図3は、本発明の磁気検出器による測定例である。直径が0.2mmの鋼球が磁気検出器から10mm離れたところを通過したときに得られた信号波形であり、100倍の増幅器を通して観測した結果0.1秒の間に最大値が約20mVの変動磁場信号を得ることができた。また、磁場信号意外のランダムノイズは2mV以下に小さくなり、磁場信号がノイズに隠されることなく高精度な異物検知が可能となった。
これによって高感度化および高精度化を達成できたことが分かる。
【0035】
また、図4は本発明の磁気検出器のゼロ磁場環境におけるノイズを測定した例である。ランダムノイズの振幅が15μG程度であり、図9に示したランダムノイズ120μG(3mV)に比べて大きく減少しており、高精度化が達成されたことが分かる。
【0036】
図5はさらなる高感度の磁気検出器を実現するために前記MI素子1として二つのMI素子を用いて、それぞれの検出コイルを直列に接続して構成したMI素子1aの実施例である。すなわち一方のアモルファスワイヤ11aに巻回した検出コイル12aと、もう一方のアモルファスワイヤ11bに巻回した検出コイル12bとを互いに直列接続するものである。
【0037】
これにより図2に示したMI素子を一つ用いる前記実施例の約2倍の感度を得ることができた。
なお、MI素子の数は二つに限らず多いほどさらに高感度を実現できる。
また、図5において二つのアモルファスワイヤ11aと11bは互いに直列接続されるとともに電流制限抵抗13aに接続されているが、アモルファスワイヤ11aと11bを互いに並列接続してもよい。
【0038】
図6はさらなる高精度の磁気検出器を実現するために前記MI素子1として二つのMI素子を用いて、それぞれの検出コイルを並列に接続して構成したMI素子1cの実施例である。すなわち一方のアモルファスワイヤ11cに巻回した検出コイル12cと、もう一方のアモルファスワイヤ11dに巻回した検出コイル12dとを互いに並列接続するものである。
【0039】
これにより信号源としての検出コイルのインピーダンスを1/2に低くすることで、MI素子1cからのランダムノイズをほぼ√(1/2)=0.7倍に低減することができた。
すなわち、図7に示した本実施例による磁気検出器のゼロ磁場環境におけるランダムノイズの振幅は10μG相当であり、図4に示したMI素子をひとつ用いる前記実施例のほぼ0.7倍に減少していることが分かる。これにより、さらなる高精度化が達成されたことがわかる。
なお、MI素子の数は二つに限らず多いほどさらに高精度を実現できる。
【0040】
また、図6において二つのアモルファスワイヤ11cと11dは互いに並列接続されるとともに電流制限抵抗13cに接続されているが、アモルファスワイヤ11cと11dを互いに直列接続してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の磁気検出器は小型高感度であるので、一般の高感度磁気センサとしてさらには銃・刀の所持を発見するセキュリティのための磁気ゲート用センサとしての利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】MI素子の断面図である。
【図2】本発明の実施例の回路図である。
【図3】本発明の実施例による大きさが0.2mmの鋼球の検出信号波形である。
【図4】本発明の実施例による、磁気検出器のゼロ磁場環境における磁場におけるノイズを測定した例である。
【図5】本発明の実施例による、検出コイルを直列に接続して構成したMI素子の回路の構成図である。
【図6】本発明の実施例による、検出コイルを並列に接続して構成したMI素子の回路の構成図である。
【図7】本発明の実施例による、磁気検出器のゼロ磁場環境におけるノイズを測定した例である。
【図8】特許文献1に示された第1実施例のセンサと従来のボビンタイプのセンサにおける外部磁場と出力電圧の関係を示す線図である。
【図9】MI素子を用いて測定したランダムノイズである。
【図10】特許文献2に示された第1実施例のコイルパルス電圧対磁界の特性図である。
【図11】特許文献2に示された第1実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサ回路の構成図である。
【符号の説明】
【0043】
1 MI素子
2 駆動回路
3 高周波フィルタ
4 差動増幅器
5 低周波フィルタ回路
6 バイアス電圧回路
11 アモルファスワイヤ
12 検出コイル
S1 電子スイッチ
S2 電子スイッチ
Ch ホールドコンデンサ
Cp コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気検出器の高感度化および微小鉄片などの異物検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場あるいは衣料品工場などの製品検査工程において、製品の中に混入する微小な鉄製の異物を検査する必要がある。この異物検査の手段として、製品中の微小な異物が有するわずかな磁気がコンベアで搬送されるとき、その周辺に微弱な磁場変動が生じるのを磁気センサを利用した磁気検出装置で検出することが一般的に知られている。
【0003】
しかし、上記鉄片のような微小物体が発する磁場は地磁気と異なって、局部的であるため、フラックスゲート磁気センサのような体積の大きなセンサでは空間分解能が低いので検出が困難である。一方、磁気インピーダンスセンサ素子(以下、MI素子という。)からなるMI磁気センサは非常に小型であるため空間分解能が高く、微小物体の検出に適している。
ここで、MI素子は、感磁体であるアモルファスワイヤにパルス電流または高周波電流を印加したときに上記アモルファスワイヤの周囲に巻回した検出コイルに周辺の磁場に対応する電圧を出力するものである。
【0004】
一方、例えば、0.2mm前後の大きさの異物を見つけるためには、所定の距離離れたところから磁気検出装置は地磁気の影響を排除しつつ、さらに地磁気の数千分の一程度に相当する100μG(マイクロガウス)あるいはそれ以下の磁気変動を検出する必要がある。
【0005】
磁気検出装置としてのMI磁気センサは、小薄型化、高感度化の技術が開示されているが、図8に示すように外部磁場±2.5G(ガウス)当りの出力電圧は高々±0.6V程度であることから、感度はおよそ0.24V/Gである(特許文献1)。
しかし、上記の0.2mmの大きさの異物による100μGオーダーの磁場に対応する出力電圧は数十μV程度と非常に小さな電圧になるので、実際にはMI素子あるいはMI素子を駆動する電子回路に含まれる同程度の電圧ノイズに隠されてしまって実用的な検出ができないおそれがある。図9はMI素子をゼロ磁場環境が実現できるパーマロイ製の磁気シールドケースに収納して前記MI素子の出力電圧を100倍に増幅したあとの信号を記録したものであるが、3mVpp程度のランダムノイズが観測されている。この3mVppの電圧は磁場換算すると120μG相当であり、上記0.2mmの大きさの異物の磁場強さと同等か、あるいはそれ以上である。したがって、十分な精度で異物に対応する信号とノイズとを判別することができない。このため、MI素子の検出電圧がこのノイズよりたとえば5倍以上大きくなるように高感度化するか、あるいはノイズが5分の1以下になるように高精度化することが必要である。
【0006】
また、図10に示すように印加磁界±80A/m当りのコイルパルス電圧は0.35V程度であり、ガウス当たりの感度は0.35V/Gとなる(特許文献2)。これは前述の感度0.24V/Gよりも1.5倍ほど高いものの、前記の5倍の感度には達しないのでMI素子のさらなる高感度化が必要である。
さらに、微弱な変動磁場を検出するためには図11に示された電子回路における増幅器6の増幅度を高める必要がある(特許文献2)。しかし、この増幅器の増幅度を高めると、前記変動磁場成分に重畳する周辺の地磁気の直流磁場成分も併せて増幅される。よって、変動磁場成分が地磁気成分よりも小さい場合には、この変動磁場成分を十分な大きさまで増幅する以前に地磁気成分が増幅器の飽和電圧に達してしまって、動作点が不安定になり正確かつ安定に変動磁場成分を検出することができないという問題がある。
したがって、変動磁場成分のみを正確かつ安定に検出することが必要である。
【0007】
また、負帰還により目的とする周波数領域の磁気信号成分を選択的に高感度で検出する技術が開示されている(特許文献3)。しかし、負帰還コイルおよび負帰還回路を必要とするので回路規模が大きくなるため、MI素子により小型化しても磁気検出器全体としては大型化し、かつコスト高にもなり、さらに負帰還電流が流れることにより電源の消費電力も増加するという問題がある。
【0008】
【特許文献1】国際公開公報WO2003/071299
【特許文献2】特開2000−258517号公報
【特許文献3】特開2003−255029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、小型で高感度かつ高精度で変動磁場を検出できる磁気検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の磁気検出装置は、アモルファスワイヤにパルス電流または高周波電流を印加して、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに周辺の磁場強さに対応する電圧を発生する磁気インピーダンス素子であって、
前記検出コイルの巻数は10乃至500であり、アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径との比は1.05乃至10であり、前記検出コイルの直径に対する前記検出コイルの長さの比は10乃至200である磁気インピーダンス素子からなることを特徴とする磁気検出器である(請求項1)。
【0011】
アモルファスワイヤに巻回した検出コイルの巻数を10以上とすることにより、MI素子の出力は検出コイルの巻数に対応して大きくなるので所定の磁場変動成分を検出できる感度が得られる。一方、検出コイルのインダクタンスは巻数の二乗に比例して大きくなるので、過大なインダクタンスにより検出コイル周辺の回路の浮遊静電容量と共振回路を形成することによるノイズの発生をさけるため、検出コイルの巻数の上限を500とする。
【0012】
アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径との比を1.05以上とすることは、MI素子の製造が可能となるからである。
以下、本発明のMI素子の断面を表す図1により説明する。
MI素子は、直径RのアモルファスワイヤWの周囲に所定の厚さからなる絶縁体Nを介して直径S、長さLの検出コイルCを形成している。検出コイルCが磁気インピーダンス効果に基づいて電圧を生じるのは、アモルファスワイヤWが発する磁束Feが検出コイルCと鎖交するからである。しかし、検出コイルCの直径が大きいとアモルファスワイヤWが発した磁束の一部Fcが検出コイルCの内部を通るため有効な鎖交とならず、感度の低下が生じる。そこで、本発明では絶縁体Nを僅少として検出コイルの直径Sを小さくし、検出コイルがより多くの磁束と鎖交するようにして高感度化を図っている。
したがって、所定の厚さを有する絶縁体Nの製造上の限界からアモルファスワイヤの直径Rに対して検出コイルの直径との比の下限を1.05と設定するものである。
【0013】
一方、アモルファスワイヤの直径に対する検出コイルの直径との比を10以下とすることにより、検出コイルの直径が過度に大きくならないためにMI素子の感度低下を実用的な範囲で回避することができる。
【0014】
前述のようにアモルファスワイヤWの直径Rに対する検出コイルCの直径Sの比が大きくなると感度が低くなるが、検出コイルの直径に対するコイルの長さの比を10乃至200にすることにより、検出コイルの直径Sとコイルの長さLとの比を所定の値に設定し、コイルの直径Sが大きくなったらコイルの長さLを大きくして巻き数を増加することでMI素子としての感度をほぼ一定にすることができ高感度化を維持できる。
以上により磁気検出器の小型化および高感度化を奏するものである。
【0015】
また、前記アモルファスワイヤに電子スイッチを介してコンデンサからパルス電流を印加する磁気検出器であることが好ましい(請求項2)。
【0016】
この場合には、電荷を蓄積しているコンデンサは、電子スイッチを用いて前記アモルファスワイヤと導通させることにより瞬間的に電流を流すことができる。
【0017】
MI素子はアモルファスワイヤに流れる電流の変化が大きいほど、すなわち立ち上がり、立ち下がりの速さが大きいほど出力が大きくなるという特性があり、これにより磁場検出としての感度が高くなる。
以上により磁気検出器の高感度化を奏するものである。
【0018】
また、磁気インピーダンス素子の検出コイルが発生する電圧を電子スイッチを介してホールドコンデンサに蓄積するとともに、前記ホールドコンデンサと増幅器とを高周波フィルタで接続する磁気検出器であることが好ましい(請求項3)。
【0019】
この場合には、ホールドコンデンサによって蓄積された周囲の磁場の強さに対応する信号電圧の変動磁場成分である交流分のみが高周波フィルタによって増幅器の入力端子に伝達される。これによって検出する目的の磁場変動信号のみを増幅し、かつ出力することができる。一方、地磁気のような直流信号成分は高周波フィルタで阻止されるので増幅器の増幅度を十分高くしても電圧飽和することがなく、正確でかつ高い安定度で増幅が可能になり高感度の異物検出ができる。
【0020】
そして、負帰還回路を必要としないことから、電子回路の規模を大きくすることがないので磁気検出器を小型、低コストで実現でき、さらに負帰還電流が流れることがないので電源の消費電力を低くできる。
【0021】
また、前記増幅器を差動増幅器とする磁気検出器であることが好ましい(請求項4)。
【0022】
この場合には、差動増幅器の同相成分抑圧効果により、入力される検出された磁場信号に対応するホールドコンデンサの電圧以外の同相ノイズはキャンセルされる。すなわち、アモルファスワイヤを駆動するパルスには高周波成分が含まれているので、その成分が電磁誘導あるいは静電誘導により同相ノイズとして増幅器に入力されるおそれがあるが、増幅器を差動増幅器とすることでキャンセルできるので安定に高い増幅度を得ることができ、高感度の磁気検出器を実現することができる。
【0023】
また、二つあるいはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子のそれぞれの検出コイルを直列接続する磁気検出器であることが好ましい(請求項5)。
検出コイルを直列接続することにより各検出コイルに発生した周辺の磁場に対応する電圧が互いに加算されるので、高感度の磁気検出器を実現することができる。
【0024】
また、二つあるいはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子のそれぞれの検出コイルを並列接続する磁気検出器であることが好ましい(請求項6)。
検出コイルを並列接続することにより信号源としての検出コイルのインピーダンスを低下させ、磁気インピーダンスセンサが発生するランダムノイズを小さくする効果を得ることができるので、高精度の磁気検出器を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の磁気検出器は、地磁気などの直流磁場成分の影響を受けずに、変動磁場成分のみを正確かつ高い安定度で増幅できるので、高感度かつ高精度で微弱な変動磁場成分を検出することができる。また、電子回路の規模を小さくできるので小型で低コスト、さらに低消費電力を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図2乃至図7を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
図2は、本発明の磁気検出器の回路図である。検出した磁場を電圧に変換するMI素子1はアモルファスワイヤ11およびその周回方向に巻回した検出コイル12および電流制限抵抗13からなる。アモルファスワイヤ11は駆動回路2の出力パルスP1によって駆動電流が印加される。ここで、アモルファスワイヤ11はCoFeSiB系合金からなる長さが4mm、直径が20μmである。検出コイル12はアモルファスワイヤ11の周囲に絶縁体を介して平均直径(円相当直径)約100μm、93回巻きで長さ約4mmのコイルを形成したものである。これにより小型のMI素子が実現できる。
検出コイル12は電子スイッチS1に接続される。この電子スイッチS1は駆動回路2の出力パルスP2によって“開”、“閉”が制御される。
【0028】
駆動回路2はインバータICQ1、Q2、抵抗R1、コンデンサC1からなる発振器およびインバータICQ3、Q4、Q5、抵抗R3、コンデンサC3ならびに一端が電源Vddに接続された抵抗Rp、コンデンサCp、電子スイッチS2からなり、パルスP1を前記アモルファスワイヤ11に出力するパルス発生器とインバータICQ6および抵抗R4、コンデンサC2からなり、パルスP2を出力するパルス発生器からなる。
ここでパルスP1およびP2はともに1MHzの周波数で繰り返して出力されるがP1およびP2は所定の時間差で互いに同期している。
なお、コンデンサCpの電荷は電子スイッチS2によりアモルファスワイヤ11に放電されるので、前記アモルファスワイヤ11に通電するパルスP1を立ち上がりの速い電流とすることができる。これにより磁気検出器を高感度化するものである。
【0029】
電子スイッチS1は常時“開”の状態であるが、パルスP2により所定の時間“閉”とされるとき、前記検出コイル12が検出した磁場信号電圧をホールドコンデンサChに蓄積する。前述のようにこのホールドコンデンサChに蓄積された電圧はMI素子1が検出した周辺磁場の強さに対応するものである。
【0030】
ホールドコンデンサChは、カットオフ周波数を決定するコンデンサC31と抵抗R31からなる高周波フィルタ3の入力側に接続される。なおこのカットオフ周波数は 1/(2π×R31×C31)で決定される。
ここで前記のカットオフ周波数は異物が搬送されるときに生じる磁気変動信号に含まれる信号成分の最低の周波数から決定した。
【0031】
また、この高周波フィルタ3の出力側は計装増幅回路からなる差動増幅器4の入力端子に接続されているため、ホールドコンデンサChの磁場信号電圧の変動磁場成分のみが増幅器4に入力され、地磁気のような直流磁場成分が排除されるので増幅器4に入力されない。このとき高周波フィルタ3の抵抗R31の一方の端子はバイアス電圧回路6を構成する抵抗R61およびR62との接続点に接続されている。このバイアス電圧回路6は増幅器4が必要とする所定のバイアス電圧を供給できるように電源電圧Vddを抵抗R61とR62で分圧することで実現している。以上により、磁場変動信号のみを正確かつ高安定度で増幅することができる。
【0032】
増幅器4に入力された変動磁場成分は所定の増幅度で増幅され、さらに低周波フィルタ回路5で不要な高周波雑音が取り除かれてから、出力端子51から出力される。
【0033】
以上の説明から本実施態様のMI素子の感度は2V/Gであり、従来のMI素子の感度よりも5〜8倍の高感度を得ることができた。
【0034】
図3は、本発明の磁気検出器による測定例である。直径が0.2mmの鋼球が磁気検出器から10mm離れたところを通過したときに得られた信号波形であり、100倍の増幅器を通して観測した結果0.1秒の間に最大値が約20mVの変動磁場信号を得ることができた。また、磁場信号意外のランダムノイズは2mV以下に小さくなり、磁場信号がノイズに隠されることなく高精度な異物検知が可能となった。
これによって高感度化および高精度化を達成できたことが分かる。
【0035】
また、図4は本発明の磁気検出器のゼロ磁場環境におけるノイズを測定した例である。ランダムノイズの振幅が15μG程度であり、図9に示したランダムノイズ120μG(3mV)に比べて大きく減少しており、高精度化が達成されたことが分かる。
【0036】
図5はさらなる高感度の磁気検出器を実現するために前記MI素子1として二つのMI素子を用いて、それぞれの検出コイルを直列に接続して構成したMI素子1aの実施例である。すなわち一方のアモルファスワイヤ11aに巻回した検出コイル12aと、もう一方のアモルファスワイヤ11bに巻回した検出コイル12bとを互いに直列接続するものである。
【0037】
これにより図2に示したMI素子を一つ用いる前記実施例の約2倍の感度を得ることができた。
なお、MI素子の数は二つに限らず多いほどさらに高感度を実現できる。
また、図5において二つのアモルファスワイヤ11aと11bは互いに直列接続されるとともに電流制限抵抗13aに接続されているが、アモルファスワイヤ11aと11bを互いに並列接続してもよい。
【0038】
図6はさらなる高精度の磁気検出器を実現するために前記MI素子1として二つのMI素子を用いて、それぞれの検出コイルを並列に接続して構成したMI素子1cの実施例である。すなわち一方のアモルファスワイヤ11cに巻回した検出コイル12cと、もう一方のアモルファスワイヤ11dに巻回した検出コイル12dとを互いに並列接続するものである。
【0039】
これにより信号源としての検出コイルのインピーダンスを1/2に低くすることで、MI素子1cからのランダムノイズをほぼ√(1/2)=0.7倍に低減することができた。
すなわち、図7に示した本実施例による磁気検出器のゼロ磁場環境におけるランダムノイズの振幅は10μG相当であり、図4に示したMI素子をひとつ用いる前記実施例のほぼ0.7倍に減少していることが分かる。これにより、さらなる高精度化が達成されたことがわかる。
なお、MI素子の数は二つに限らず多いほどさらに高精度を実現できる。
【0040】
また、図6において二つのアモルファスワイヤ11cと11dは互いに並列接続されるとともに電流制限抵抗13cに接続されているが、アモルファスワイヤ11cと11dを互いに直列接続してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の磁気検出器は小型高感度であるので、一般の高感度磁気センサとしてさらには銃・刀の所持を発見するセキュリティのための磁気ゲート用センサとしての利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】MI素子の断面図である。
【図2】本発明の実施例の回路図である。
【図3】本発明の実施例による大きさが0.2mmの鋼球の検出信号波形である。
【図4】本発明の実施例による、磁気検出器のゼロ磁場環境における磁場におけるノイズを測定した例である。
【図5】本発明の実施例による、検出コイルを直列に接続して構成したMI素子の回路の構成図である。
【図6】本発明の実施例による、検出コイルを並列に接続して構成したMI素子の回路の構成図である。
【図7】本発明の実施例による、磁気検出器のゼロ磁場環境におけるノイズを測定した例である。
【図8】特許文献1に示された第1実施例のセンサと従来のボビンタイプのセンサにおける外部磁場と出力電圧の関係を示す線図である。
【図9】MI素子を用いて測定したランダムノイズである。
【図10】特許文献2に示された第1実施例のコイルパルス電圧対磁界の特性図である。
【図11】特許文献2に示された第1実施例を示す磁気インピーダンス効果マイクロ磁気(MI)センサ回路の構成図である。
【符号の説明】
【0043】
1 MI素子
2 駆動回路
3 高周波フィルタ
4 差動増幅器
5 低周波フィルタ回路
6 バイアス電圧回路
11 アモルファスワイヤ
12 検出コイル
S1 電子スイッチ
S2 電子スイッチ
Ch ホールドコンデンサ
Cp コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスワイヤにパルス電流を印加し、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに周辺の磁場強さに対応する電圧を発生する磁気インピーダンス素子であって、
前記検出コイルの巻数が10乃至500であり、前記アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径の比が1.05乃至10であり、前記検出コイルの直径に対する前記検出コイルの長さの比が10乃至200であることを特徴とする磁気インピーダンス素子からなる磁気検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気検出器において、前記アモルファスワイヤに電子スイッチを介してコンデンサからパルス電流を印加することを特徴とする磁気検出器。
【請求項3】
請求項1または請求項2の磁気検出器において、前記磁気インピーダンス素子の前記検出コイルが発生する電圧を電子スイッチを介してホールドコンデンサに蓄積するとともに、前記ホールドコンデンサと増幅器とを高周波フィルタで接続することを特徴とする磁気検出器。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の磁気検出器において、前記増幅器が差動増幅器からなることを特徴とする磁気検出器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の磁気検出器において、二つまたはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子の検出コイルを直列に接続することを特徴とする磁気検出器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の磁気検出器において、二つまたはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子の検出コイルを並列に接続することを特徴とする磁気検出器。
【請求項1】
アモルファスワイヤにパルス電流を印加し、前記アモルファスワイヤに巻回した検出コイルに周辺の磁場強さに対応する電圧を発生する磁気インピーダンス素子であって、
前記検出コイルの巻数が10乃至500であり、前記アモルファスワイヤの直径に対する前記検出コイルの直径の比が1.05乃至10であり、前記検出コイルの直径に対する前記検出コイルの長さの比が10乃至200であることを特徴とする磁気インピーダンス素子からなる磁気検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気検出器において、前記アモルファスワイヤに電子スイッチを介してコンデンサからパルス電流を印加することを特徴とする磁気検出器。
【請求項3】
請求項1または請求項2の磁気検出器において、前記磁気インピーダンス素子の前記検出コイルが発生する電圧を電子スイッチを介してホールドコンデンサに蓄積するとともに、前記ホールドコンデンサと増幅器とを高周波フィルタで接続することを特徴とする磁気検出器。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の磁気検出器において、前記増幅器が差動増幅器からなることを特徴とする磁気検出器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の磁気検出器において、二つまたはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子の検出コイルを直列に接続することを特徴とする磁気検出器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の磁気検出器において、二つまたはそれ以上の前記磁気インピーダンス素子の検出コイルを並列に接続することを特徴とする磁気検出器。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図2】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【公開番号】特開2008−134236(P2008−134236A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276138(P2007−276138)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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