説明

磁気記憶媒体および情報記憶装置

【課題】更なる高記録密度化が可能な磁気記憶媒体と、そのような磁気記憶媒体を搭載した情報記憶装置とを提供する。
【解決手段】非磁性基板201と、非磁性基板201上に形成された軟磁性裏打ち層210と、軟磁性裏打ち層210上に非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成された非磁性シード層202と、非磁性シード層202上に非磁性材料で形成された、六方最密充填構造でc軸が非磁性シード層202の厚さ方向を向いた結晶構造を有する非磁性中間層220と、非磁性中間層220上に磁性材料を主成分として形成された、情報が磁気的に記録される記録層203とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、情報が磁気的に記録される磁気記憶媒体、および、そのような磁気記憶媒体を備えた情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置に代表される情報記憶装置には、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等に内蔵されている内蔵型と、PC等に外付けされる外付け型がある。これらの情報記憶装置に対しては、記憶容量を増大するために、情報記憶装置に内蔵されている磁気記憶媒体の面記録密度ついて増加の要望がある。
【0003】
一般的に、磁気記憶媒体の面記録密度の増加に対しては媒体ノイズの低減が有効である。ここで、近年、高記録密度において記録ビットの安定性が高い垂直磁気記録方式の磁気記憶媒体が実用化されているが、このような垂直磁気記録方式の磁気記憶媒体において媒体ノイズを低減させる手段の1つとして、情報が磁気的に記録される記録層に、いわゆるグラニュラ構造を持たせるという手段が注目されている。記録層におけるグラニュラ構造は、磁性粒子の粒子界面に非磁性材料である酸化物又は窒化物が偏析した構造であり、グラニュラ構造では、磁性粒子の磁気的な分離や孤立化が良好に図られる。その結果、磁性粒子が微細化されて媒体ノイズが低減されることとなる。
【0004】
このグラニュラ構造の記録層を備えた磁気記憶媒体では、磁性粒子の微細化や均一化や結晶配向分散の低減化が促進されるほど媒体ノイズについての高い低減効果を得ることができる。このため、グラニュラ構造における磁性粒子の更なる微細化、均一化および結晶配向分散の低減化(高配向化)のために様々な方法が提案されている。
【0005】
例えば、記録層の直下に非磁性材料からなる中間層を設け、その中間層を構成する結晶粒子同士を空隙により分離することで、それらの結晶粒子上に成長する磁性粒子の微細化を促進する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、磁性粒子の微細化を促進するだけでなく、磁性粒子の均一化や高配向化をも実現させるために、上記のような中間層の直下に、さらに、シード層と呼ばれる層を設けるという技術が提案されている。
【0007】
例えば、hcp(hexagonal close packed)構造のRuで形成された中間層の直下に、fcc(face centered cubic)構造のNi−Wからなるシード層を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、hcp構造のRuで形成された中間層の直下に、hcp構造のCo−Cr−Wで形成されたシード層を設ける技術や(例えば、特許文献3参照)、このような中間層の直下に、非晶質のシード層を設ける技術(例えば、特許文献4参照)等も提案されている。
【0008】
これらの技術では、このようなシード層上に中間層を形成することで、まず、中間層におけるRuの結晶粒子の微細化や均一化や高配向化が図られ、延いては、その中間層上に形成される記録層のグラニュラ構造における磁性粒子の微細化や均一化や高配向化が図られることとなる。
【特許文献1】特開2005−353256号公報
【特許文献2】特開2007−179598号公報
【特許文献3】特開昭62−102419号公報
【特許文献4】特開2006−309919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、近年では、磁気記憶媒体に対する高記録密度化の要求は高まる一方であり、上記のようなシード層を有する磁気記憶媒体についても、記録層における磁性粒子の微細化等を更に促進して媒体ノイズの低減を図り一層の高記録密度化を進めることが求められている。
【0010】
本件は、上記事情に鑑み、更なる高記録密度化が可能な磁気記憶媒体と、そのような磁気記憶媒体を搭載した情報記憶装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する磁気記憶媒体の基本形態は、
非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されたシード層と、
上記シード層上に非磁性材料で形成された、六方最密充填構造でc軸がそのシード層の厚さ方向を向いた結晶構造を有する中間層と、
上記中間層上に磁性材料を主材料として形成された、情報が磁気的に記録される記録層とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本件に係る磁気記憶媒体を開発するに当たり、いわゆるシード層として、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されたものを用いることで、そのシード層上の中間層の上に形成された記録層の磁性粒子について、従来を上回る微細化や均一化や高配向化が得られることを本件の開発者は見出した。本件は、このことに基づいて成されたものである。上記の磁気記憶媒体の基本形態によれば、上記シード層が非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されることで、そのシード層の上層である上記中間層における結晶粒子の更なる微細化、均一化、および六方最密充填(hcp)構造におけるc軸についての更なる高配向化が実現される。その結果、その中間層上に形成される記録層における磁性粒子について、更なる微細化、均一化、および高配向化が得られ、これにより媒体ノイズが低減されて、磁気記憶媒体における更なる高記録密度化を実現することができる。
【0013】
また、上記目的を達成する情報記憶装置の基本形態は、
非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されたシード層と、
上記シード層上に非磁性材料で形成された、六方最密充填構造でc軸がそのシード層の厚さ方向を向いた結晶構造を有する中間層と、
上記中間層上に磁性材料を主材料として形成された、情報が磁気的に記録される記録層とを備えた磁気記憶媒体;
上記磁気記憶媒体に対して情報記録及び/又は情報再生を行うヘッド;
を備えたことを特徴とする。
【0014】
この情報記憶装置の基本形態によれば、基本形態について上述した、更なる高記録密度化が可能な磁気記憶媒体が搭載されていることから、一層大容量での情報の記憶が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本件によれば、更なる高記録密度化が可能な磁気記憶媒体と、そのような磁気記憶媒体を搭載した情報記憶装置とを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、上記で基本形態について説明した磁気記憶媒体および情報記憶装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、基本形態について説明した情報記憶装置の具体的な実施形態であるハードディスク装置(HDD)を示す図である。
【0018】
この図1に示すHDD10のハウジング101には、回転軸102に装着されて回転する磁気ディスク200と、磁気ディスク200に対して情報記録と情報再生とを行なう磁気ヘッド103を先端に保持したヘッドジンバルアセンブリ104と、このヘッドジンバルアセンブリ104が固着されてアーム軸105を中心に磁気ディスク200の表面に沿って移動するキャリッジアーム106とキャリッジアーム106を駆動するアームアクチュエータ107とが収納されている。ここで、磁気ディスク200が、上述の磁気記憶媒体および情報記憶装置の基本形態における磁気記憶媒体の一例に相当し、磁気ヘッド103が、その基本形態におけるヘッドの一例に相当する。
【0019】
磁気ディスク200への情報の記録および磁気ディスク200に記録された情報の再生に当たっては、アームアクチュエータ107によってキャリッジアーム106が駆動されて、磁気ヘッド103が、回転する磁気ディスク200上の所望の位置に位置決めされる。そして、この磁気ヘッド103は、回転に伴って直下を通過する磁気ディスク200に複数の情報を順次に記録する。
【0020】
ここで、本実施形態では、磁気ディスク200のディスク面に対して垂直な方向の磁化によって情報が記録される垂直磁気記録方式が採用されている。このため、磁気ディスク200は、ディスク面に対して垂直な方向を磁化容易軸とした磁気異方性を持つ後述の記録層を有している。そして、情報は、磁化が磁気ディスク200の表面側を向いた状態と、裏面側を向いた状態との2状態を利用して記録層に記録される。
【0021】
情報の記録時には、磁気ディスク200に近接した磁気ヘッドに電気的な記録信号が入力され、磁気ヘッド103により、その記録信号に応じた極性の磁界が磁気ディスク200に印加される。そして、記録層中の磁化が、磁気ディスク200の表面側と裏面側のうちの、その印加された磁界の極性に応じた側を向くことで情報が記録される。また、情報の再生時には、磁気ヘッド103によって、記録層中の磁化が発する微小磁界が検出され、情報が、その微小磁界の極性に応じた電気的な再生信号として取り出される。
【0022】
図2は、図1に示す磁気ディスクの断面を模式的に示す図である。
【0023】
この図2に示すように、磁気ディスク200は、ガラス製の非磁性基板201上に軟磁性裏打ち層210、非磁性シード層202、非磁性中間層220、記録層203、保護層204、および潤滑層205が積層された構造を有する。非磁性シード層202、非磁性中間層220、および記録層203は、それぞれ上述の基本形態におけるシード層、中間層、および記録層の各一例に相当する。
【0024】
ここで、本実施形態では、非磁性基板201上に軟磁性裏打ち層210が直に形成されているが、上述の基本形態における磁気記憶媒体はこの形態に限るものではなく、例えば、非磁性基板201と軟磁性裏打ち層210の間に、軟磁性裏打ち層210の密着性向上や、磁気異方性制御のための層を更に設けても良い。
【0025】
また、本実施形態では、非磁性基板201はガラス製であるが、上述の基本形態における磁気記憶媒体はこの形態に限るものではなく、例えば、非磁性基板として、化学強化ガラス基板、結晶化ガラス基板、Ni−Pメッキを施されたAl基板又はAl合金基板、プラスチック基板、Si基板、熱酸化Si基板等を用いるという形態であっても良い。
【0026】
以下、この非磁性基板201上に積層される各層について順次に説明する。
【0027】
まず、軟磁性裏打ち層210について説明する。
【0028】
軟磁性裏打ち層210は、図2の磁気ヘッド103からの記録磁界が通る磁路としての役割を果たすものであり、下層軟磁性層211、非磁性分断層212、および上層軟磁性層213の積層構造を有する。
【0029】
ここで、一般的に、軟磁性裏打ち層を有する磁気記憶媒体では、軟磁性裏打ち層からの漏洩磁束の抑制のために磁区制御されていることが望ましい。
【0030】
磁区制御の技術としては、例えば、「Toshio Ando et al.,“Tripple−Layer Perpendicular Recording Media for High SN Ratio and Signal Stability”,IEEE Transactions on Magnetics, Vol.33,No.5,September 1997,pp.2983−2985」に記載されているような軟磁性裏打ち層の磁化方向をそろえる方法や、「特開2001−155321号公報」に記載されているような極薄の非磁性分断層により分断された2つの軟磁性層を反強磁性的に結合させる方法が提案されている。
【0031】
本実施形態では、後者の手法が採用されており、上記のように下層軟磁性層211、非磁性分断層212および上層軟磁性層213をこの順に堆積させた軟磁性裏打ち層210が設けられている。
【0032】
図2の下層軟磁性層211は、非晶質の軟磁性材料であるFe−Co−Ta−Zrで形成されている。尚、下層軟磁性層211の材料は、これに限るものではなく、他の非晶質若しくは微結晶構造領域のCo−Zr−Nb,Co−Nb−Ta,Fe−Co−Zr−Nb,Fe−Co−B,Fe−Co−Cr−B,Ni−Fe−Si−B,Fe−Al−Si,Fe−Ta−C,Fe−Hf−C,Ni−Fe等の軟磁性材料であっても良い。また、軟磁性裏打ち層210からのノイズ低減のためには、下層軟磁性層211を形成する軟磁性材料は非晶質若しくは微結晶構造を持つことが好ましい。
【0033】
また、図2の非磁性分断層212は、Ruで形成されている。ただし、非磁性分断層212の材料は、これに限るものではなく、Ru合金や、例えば、「S.S.P.Parkin,“Systematic Variation of the Strength and Oscillation Period of Indirect Magnetic Exchange Coupling through the 3d, 4d, and 5d Transition Metals”,Physical Review Letters,Vol.67,No.25,December 16,1991,pp.3598−3601」に示されているような材料等であっても良い。また、この非磁性分断層212の膜厚は、ここでは、特定しないが、上記のように良好な反強磁性的な結合が得られるためには、材料にRuを用いた本実施形態では、約「0.5nm」〜約「1nm」程度の膜厚が適当である。
【0034】
さらに、図2の上層軟磁性層213は、軟磁性材料であるFe−Co−Nb−Zrで形成されている。
【0035】
以上に説明した3層構造の軟磁性裏打ち層210の全体的な膜厚は、ここでは特定しないが、軟磁性裏打ち層210の飽和磁束密度Bsが1(T)以上の場合、記録再生特性の見地から約「10nm」以上であることが好ましく、より好ましくは約「30nm」以上である。又、量産設備やコストの見地からは、軟磁性裏打ち層210全体の膜厚は約「100nm」以下であることが好ましく、より好ましくは約「60nm」である。
【0036】
尚、本実施形態では、以上に説明した3層構造の軟磁性裏打ち層210が設けられているが、上述の基本形態における磁気記憶媒体はこの形態に限るものではなく、例えば、単層の軟磁性裏打ち層が設けられてた形態であっても良く、軟磁性裏打ち層が省略された形態であっても良い。しかし、上述したように、磁気ヘッド103からの記録磁界の磁路として働き、より大きな記録磁界と磁場勾配を得るためには、軟磁性裏打ち層が設けられていることが望ましい。
【0037】
本実施形態では、上述の軟磁性裏打ち層210によって、大きな記録磁界と磁場勾配が得られていると共に、軟磁性裏打ち層210が有している3層構造によって、軟磁性裏打ち層210からの漏洩磁束の抑制が良好に図られている。
【0038】
このことは、上述の基本形態に対し、
「CoとFeを含む非晶質の軟磁性材料で形成された軟磁性裏打ち層を備え、
上記シード層が、上記軟磁性裏打ち層上に形成されたものである」という応用形態が好適であり、さらに、この応用形態に対し、
「上記軟磁性裏打ち層が、各々が上記軟磁性材料で形成された2つの軟磁性層が、非磁性材料で形成され、その2つの軟磁性層それぞれにおける磁化を反強磁性的に結合させる非磁性層を挟んで積層されたものである」という応用形態が一層好適であることを意味している。
【0039】
図2に示す本実施形態の軟磁性裏打ち層210は、これらの応用形態における軟磁性裏打ち層の一例に相当し、非磁性シード層202は、前者の応用形態におけるシード層の一例にも相当する。
【0040】
続いて、本実施形態における非磁性シード層202について説明する。
【0041】
この非磁性シード層202は、この非磁性シード層202の上層に、後述するようにRuで形成される非磁性中間層220における結晶粒子を微細化、均一化、および高配向化させ、延いては、後述するように磁性粒子の粒子界面に非磁性材料が偏析したグラニュラ構造の記録層203における磁性粒子を微細化、均一化、および高配向化させるために設けられた層であり、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されている。
【0042】
詳細については後述するが、非磁性シード層202の上層に形成される非磁性中間層220を形成するRuの結晶粒子や、記録層203のグラニュラ構造における磁性粒子は六方最密充填(hcp)構造を有している。また、上述したように、本実施形態の磁気ディスク200は、垂直磁気記録方式の磁気記憶媒体であるので、記録層203にディスク面に対して垂直な方向を磁化容易軸とした磁気異方性を持たせるために、記録層203の磁性粒子におけるhcp構造のc軸が、ディスク面に対して垂直な方向を向いている必要がある。そして、磁性粒子におけるhcp構造のc軸をこの方向に向けるためには、記録層203の下層である非磁性中間層220を形成するRuの結晶粒子におけるhcp構造のc軸をこの方向に向ける必要がある。
【0043】
一方で、上述したように軟磁性裏打ち層210は非晶質の材料で形成されている。そのため、仮に、この軟磁性裏打ち層210の上に、非磁性中間層220を直に形成したのではhcp構造のc軸の配向が乱れてしまうおそれがある。
【0044】
本実施形態では、この非磁性中間層220におけるhcp構造のc軸の配向を望ましい方向に向けるために非磁性シード層202が設けられている。
【0045】
ところで、本実施形態では、この非磁性シード層202は、単に、非磁性中間層220におけるhcp構造のc軸の配向を望ましい方向に向ける役割を果たすだけでなく、この非磁性中間層220におけるRuの結晶粒子の微細化、均一化、および高配向化を図り、延いては、記録層203の磁性粒子の微細化、均一化、および高配向化を図る役割も果たしている。
【0046】
従来、このような非磁性シード層には、fcc構造やhcp構造等の結晶構造を有する層が使われていることが多い。このような結晶構造を有する非磁性シード層で、上記のような磁性粒子の微細化、均一化、および高配向化を図るためには、非磁性シード層自体における結晶粒子の微細化、均一化、および高配向化を図る必要がある。ところが、ある程度以上に結晶粒子の微細化が進むと、結晶粒子の微細化と高配向化とを両立させることが困難となってしまう。また、非磁性シード層に、非晶質の層を用いることもあるが、この場合には、一般的には、非磁性シード層上に形成される層における高配向化が難しいことから、従来、このような磁気記憶媒体についても、磁性粒子の微細化や均一化や高配向化をある程度以上に進めることは困難であるとされている。しかしながら、この非磁性シード層として、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されたものを用いることで、その非磁性シード層上の非磁性中間層の上に形成された記録層の磁性粒子について、従来を上回る微細化や均一化や高配向化が得られることを本件の開発者は見出した。
【0047】
本件はこのことに基づいて成されたものであり、上述したように、本実施形態の非磁性シード層202は、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されている。
【0048】
この非磁性シード層202を形成するCo−Cr−Wは、ここでは特定しないが、Crが「35at.%」以上で「55at.%」以下、Wが「3at.%」以上で「25at.%」以下の組成のCo−Cr−W合金である。
【0049】
一般的にCrが「35at.%」未満ではCo−Cr合金は磁性をもつため媒体ノイズの要因となる。また、Crが「55at.%」を超えると薄膜領域でもシグマ相が現れる確率が高く、非磁性シード層202における非晶質性が損なわれて、後述するようにこの非磁性シード層202の上層に形成される非磁性中間層220での結晶粒子の初期層成長を阻害し、結晶配向分散を増大させてしまう。このため、非磁性シード層202を形成するCo−Cr−WにおけるCrの組成範囲は、上記のように「35at.%」以上で「55at.%」以下の範囲が好ましい。
【0050】
また、Wが「3at.%」未満では非晶質となりにくく、この非磁性シード層202の上層に形成される非磁性中間層220での結晶配向分散を増大させてしまう。さらに、Wが「25at.%」を超えるとCrとあわせてbcc基の元素が「60at.%」以上を占めるため、薄膜状態でもbcc基の微結晶を形成する確率が高く、非磁性シード層202における非晶質性が損なわれて、この非磁性シード層202の上層に形成される非磁性中間層220での初期層成長を阻害し結晶配向分散を増大させてしまう。このため、非磁性シード層202を形成するCo−Cr−WにおけるWの組成範囲は、上記のように「3at.%」以上で「25at.%」以下の範囲が好ましい。
【0051】
さらに、非磁性シード層202の膜厚は、ここでは特定しないが、「2nm」以上で「10nm」以下の膜厚であることが好ましい。これは、次のような理由による。即ち、「2nm」未満の薄膜であるとCo−Cr−Wが連続膜になりにくく、非磁性シード層202の形成自体が不十分となり、この非磁性シード層202の上層に形成される非磁性中間層220や、その非磁性中間層220の上層に形成される記録層203における結晶配向分散が増大してしまう。また、膜厚が「10nm」を超えると、Co−Cr−Wが結晶化し肥大化することにより、非磁性中間層220における結晶粒子や記録層203における磁性粒子の肥大化が引き起こされてしまう。さらに、この非磁性シード層202の厚膜化は、図1のHDD10において、軟磁性裏打ち層210と磁気ヘッド103との距離の増大を意味し、磁気ヘッド103からの書き込み磁場の低下や、磁界勾配の劣化による記録特性の劣化を引き起こしてしまう。従って、Co−Cr−Wシード層の膜厚は、上述したように、「2nm」以上で「10nm」以下の膜厚であることが好ましい。より好ましくは「5nm」以上で「8nm」以下である。
【0052】
次に、非磁性中間層220について説明する。
【0053】
上述したように、非磁性中間層220は、記録層203における磁性粒子のhcp構造におけるc軸を、ディスク面に対して垂直な方向を向ける役割を果たしており、各々がc軸がこの方向を向いたhcp構造を有するRuで形成された下層中間層221と上層中間層222とからなる2層構造を有している。
【0054】
ここで、上述の基本形態に対し、
「上記中間層は、Ruを含む合金又はRuで形成されているものである」という応用形態は好適である。
【0055】
この好適な応用形態によれば、Ruを含む合金やRuで上記中間層を形成することで、上記のような好ましい結晶構造の中間層を確実に得ることができる。本実施形態における非磁性中間層220は、この応用形態における中間層の一例にも相当する。
【0056】
ところで、本実施形態では、上述したように、この非磁性中間層220の上層に形成される記録層203は、磁性粒子の粒子界面に非磁性材料が偏析したグラニュラ構造を有している。また、詳細については後述するが、磁性粒子を形成する材料としては、この非磁性中間層220を形成するRuと同様にhcp構造を有する材料が使われ、記録層203の形成時には、磁性粒子が、非磁性中間層220におけるRuの結晶粒子の上にエピタキシャル成長する。
【0057】
本実施形態では、記録層203の磁性粒子が十分に分離された良好なグラニュラ構造が得られるように、非磁性中間層220では、記録層203との境界面においてRuの結晶粒子同士が空隙により互いに隔離された構造となっている。
【0058】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記中間層は、複数の結晶粒子からなり、上記記録層が形成される面において結晶粒子の相互間に隙間が形成されているものである」という応用形態が好適であることを意味している。また、ここで、隙間とは結晶粒界を意味するものである。結晶粒界は例えば製膜のプロセスガス圧等の調整により制御することが出来る。
【0059】
本実施形態の非磁性中間層220は、この応用形態における中間層の一例にも相当する。
【0060】
また、本実施形態では、境界面におけるこのような構造が確実に得られるべく、非磁性中間層220が、下層中間層221と上層中間層222とからなる2層構造となっている。下層中間層221と上層中間層222とのそれぞれは、各々の層がRuで形成され、上層中間層222が、結晶粒子同士が空隙により互いに隔離された柱状構造を持っている。本実施形態における非磁性中間層220のこのような構造は、例えば「特開2005−353256号公報」で開示されている構造を採用したものである。このような2層構造により、本実施形態では、非磁性中間層220における、記録層203との境界面での結晶粒子同士の確実な隔離が得られている。
【0061】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記中間層は、複数の層が積層されたものである」という応用形態も好適であることを意味している。
【0062】
本実施形態の非磁性中間層220は、この応用形態における中間層の一例にも相当する。
【0063】
尚、上述の基本形態における中間層は、本実施形態のような2層構造に限定されるものではなく、単層の中間層であっても良い。ただし、この単層の中間層であっても、記録層との境界面では、結晶粒子が空隙により物理的に隔離された構造であることが好ましい。また、上述の基本形態における中間層は、本実施形態のようなRuで形成されたものに限定されるものではなく、例えばRu合金で形成されたものであっても良い。ここで、このような中間層を形成するRu合金としては、Ruを「50at.%」以上の主成分とするRu合金が好ましい。
【0064】
次に、記録層203について説明する。
【0065】
上述したように、本実施形態では、垂直磁気記録方式が採用されており、記録層203には、情報が、ディスク面に対して垂直な方向を向く磁化によって記録される。この垂直磁気記録方式は、いわゆる熱揺らぎに強い記録方式として知られており、本実施形態でも、記録層203にこの方式で情報が記録されるようにすることで、熱揺らぎに対する良好な耐性が実現されている。
【0066】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記記録層は、磁化容易軸が、その記録層の厚さ方向を向いた磁化によって記録されるものである」という応用形態が好適であることを意味している。
【0067】
本実施形態における記録層203は、この応用形態における記録層の一例にも相当する。
【0068】
そして、本実施形態では、このような垂直磁気記録方式に適した記録層として、各々の層が、磁性粒子が非磁性の非固溶相で隔離された柱状構造を持つグラニュラ構造を有する複数の層が積層された記録層203が設けられている。また、このグラニュラ構造の磁性粒子を形成する磁性材料として、本実施形態では、hcp構造を有するCo−Cr−Pt合金が使われている。そして、上述したように、柱状構造の磁性粒子は、このCo−Cr−Pt合金が、上記の非磁性中間層220でのRuの結晶構造に追随して、c軸がディスク面に対して垂直な方向を向くようにエピタキシャル生長することで形成される。その結果、記録層203のグラニュラ構造における各磁性粒子が、ディスク面に対して垂直な方向を磁化容易軸とする強い磁気異方性を持ち、記録層203における垂直磁気記録方式に適した構造が実現されている。
【0069】
このことは、上述の基本形態に対し、
「上記記録層は、磁性材料からなる複数の磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔ててグラニュラ構造を成したものである」という応用形態が好適であることを意味している。
【0070】
本実施形態における記録層203は、この応用形態における記録層の一例にも相当する。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、記録層は、記録再生特性の向上のために、各々がグラニュラ構造を有する複数の層が積層されたものとなっている。又、本実施形態では採用されていないが、このような積層構造において、各層の間に非磁性、若しくは、弱磁性の層を設けても良い。更に、記録特性や耐食性の向上のために、グラニュラ磁性層上にいわゆる連続膜構造を持つ磁性層を設けても良い。
【0072】
このような本実施形態における記録層203の構造は、上述の基本形態が、
「上記記録層が、上記グラニュラ構造を有する複数の層が積層されたものである」という応用形態が好適であることを意味している。
【0073】
本実施形態の記録層203は、この応用形態における記録層の一例にも相当している。
【0074】
尚、上述の基本形態における記録層は、本実施形態のような積層構造を有する記録層に限るものではなく、単層の記録層であっても良い。
【0075】
最後に、保護層204と潤滑層205とについて説明する。
【0076】
保護層204は、記録層203の表面を保護する役割を果たし、潤滑層205は、磁気ヘッド103と磁気ディスク200との接触抵抗を低減させる役割を果たす。本実施形態では、保護層204は、DLC(Diamond−Like Carbon)で形成されており、膜厚が「4.0nm」となっている。また、潤滑層205は、フッ素系潤滑剤で形成されており、膜厚が「1.0nm」となっている。
【0077】
以上に説明した磁気ディスク200では、非磁性シード層202が、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されることで、まず、この非磁性シード層202の上層の非磁性中間層220におけるRuの結晶粒子の従来を上回った更なる微細化、均一化、および高配向化が図られ、その結果、記録層203のグラニュラ構造における磁性粒子の更なる微細化、均一化、および高配向化が実現されて、磁気ディスク200における媒体ノイズが低減されることとなっている。これにより、HDD10における、この磁気ディスク200に対する更なる高記録密度化が可能となっている。
(実施例)
以下、実施例及び比較例に基づいて本件を更に具体的に説明するが、本件は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0078】
[第1実施例]
第1実施例の非磁性基板201には、Ni−Pメッキを施したAl合金基板を用いた。
【0079】
軟磁性裏打ち層210の下層軟磁性層211は、Fe−Co−Ta−Zrを「0.5Pa」のAr雰囲気中で「1kW」の投入電力にてDC(Direct Current)スパッタ法にて「25nm」堆積させることで形成した。
【0080】
尚、以下の説明では、堆積方法として特に断らない限りDCスパッタ法を用いるものとするが、各層の堆積方法はDCスパッタ法に限らず、RF(Radio Frequency)スパッタ法、パルスDCスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で各層を成膜することも可能である。
【0081】
次に、上記の下層軟磁性層211上に、非磁性分断層212としてRuを「0.5Pa」のAr雰囲気中で投入電力「150W」にて「0.4nm」堆積させた。
【0082】
次に、非磁性分断層212上に、上層軟磁性層213としてFe−Co−Nb−Zrを「0.5Pa」のAr雰囲気中で1kWの投入電力にてDCスパッタ法にて「25nm」堆積させた。
【0083】
非磁性シード層202は、軟磁性裏打ち層210の上に非磁性で非晶質のCo−Cr−Wを堆積させることで形成した。第1実施例では、Coが「53at.%」、Crが「37at.%」、Wが「10at.%」という組成が採用され、この組成の非磁性シード層202を「0.5Pa」のAr雰囲気中で「200W」の投入電力でDCスパッタ法にて「6.5nm」堆積させた。
【0084】
次に、非磁性中間層220を、まず、非磁性シード層202上に、Ruを「0.67Pa」のAr雰囲気中で投入電力「800W」にて「14nm」堆積させることで下層中間層221を形成し、次に、Ruを「5Pa」のAr雰囲気中で投入電力「300W」にて「7nm」堆積させることで上層中間層222を形成することで形成した。また、上層中間層222は、高圧ガスと低堆積レートの効果により、結晶粒子が空隙により物理的に隔離された構造を持つように形成した。
【0085】
次に、非磁性中間層220上に、グラニュラ構造を有する記録層を形成した。ここで、この実施例では、上述の実施形態とは異なり、磁性粒子の微細化、均一化、および高配向化にとっては厳しい条件となるが、成膜が簡単な単層の記録層が採用されている。
【0086】
この記録層は、Coが「66at.%」、Crが「13at.%」、Ptが「21at.%」という組成を有する「92mol%」のCo−Cr−Ptからなる磁性粒子の粒子界面に、「8mol%」のTiOが偏析したグラニュラ構造を有している。第1実施例では、このような記録層を、「4Pa」のAr雰囲気中にて投入電力「300W」で非磁性中間層220上に堆積した。
【0087】
最後に、記録層上に、DLCの保護層204をCVD法にて「4nm」堆積させ、この保護層204上に、フッ素系潤滑剤を「1nm」塗布し、研磨テープにて表面の突起や異物を除去することで潤滑層205を形成した。
【0088】
以下に説明する、第2および第3の各実施例、第1から第3の各比較例は、非磁性シード層202を形成するCo−Cr−Wにおける組成以外は、上述の第1実施例における形成条件と同じ形成条件で各層が形成されたものである。
【0089】
[第2実施例]
第2実施例におけるCo−Cr−Wの組成は、Coが「58at.%」、Crが「37at.%」、Wが「5at.%」という組成である。
【0090】
[第3実施例]
第3実施例におけるCo−Cr−Wの組成は、Coが「60at.%」、Crが「37at.%」、Wが「3at.%」という組成である。
【0091】
[第1比較例]
第1比較例におけるCo−Cr−Wの組成は、Coが「62at.%」、Crが「37at.%」、Wが「1at.%」という組成である。
【0092】
ここで、この第1比較例では、Wの割合を「3at.%」よりも減らすことで、非磁性シード層202における非晶質性が崩されている。
【0093】
[第2比較例]
第2比較例におけるCo−Cr−Wの組成は、Coが「33at.%」、Crが「37at.%」、Wが「30at.%」という組成である。
【0094】
この第2比較例では、Coの割合を「35at.%」よりも減らすことで、非磁性シード層202に磁性を帯びさせ、Wの割合を「25at.%」よりも増やすことで、非磁性シード層202の非晶質性が崩されている。
【0095】
[第3比較例]
第3比較例におけるCo−Cr−Wの組成は、Coが「30at.%」、Crが「60at.%」、Wが「10at.%」という組成である。
【0096】
この第2比較例では、Coの割合を「35at.%」よりも減らすことで、非磁性シード層202に磁性を帯びさせ、Crの割合を「55at.%」よりも増やすことで、非磁性シード層202にシグマ相を生じさせて非晶質性が崩されている。
【0097】
次に、以下に説明する、第4および第5の各比較例は、非磁性シード層202の膜厚以外は、上述の第1実施例における形成条件と同じ形成条件で各層が形成されたものである。
【0098】
[第4比較例]
第4比較例における非磁性シード層202の膜厚は「1nm」である。
【0099】
この第4比較例では、非磁性シード層202の膜厚を「2nm」よりも薄くすることで、非磁性シード層202の形成自体が不十分となっている。
【0100】
[第5比較例]
第5比較例における非磁性シード層202の膜厚は「15nm」である。
【0101】
この第5比較例では、非磁性シード層202の膜厚を「10nm」よりも厚くすることで、非磁性シード層202の非晶質性が崩されている。
【0102】
[第6比較例]
この第6比較例は、非磁性シード層202の形成材料以外は、上述の第1実施例における形成条件と同じ形成条件で各層が形成されたものである。
【0103】
第6比較例では、非磁性シード層202の形成材料として、従来、シード層として使われることが多いfcc構造を有するNi−Wが使われている。
【0104】
以上の、第1から第3の各実施例と、第1から第6の各比較例について、記録層における磁性粒子の粒径の測定と、結晶粒子で構成された層における結晶配向の分散程度を示す一般的な指標であるデルタ・シータ・50の測定とが行われた。これらの測定結果を表1に示す。
【0105】
【表1】

【0106】
この表1に示すように、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで十分に形成された非磁性シード層202を備えている第1から第3の各実施例については、他の比較例に比べて、磁性粒子の粒径が小さく微細化が実現されており、さらに、デルタ・シータ・50が小さく磁性粒子の均一化と高配向化とが実現されていることが分かる。特に、従来、シード層として使われることが多いNi−Wで形成された非磁性シード層202を備えた第6実施例と比べると、第1から第3の各実施例については、デルタ・シータ・50を増大させることなく微細化されており、微細化と高配向化とが良好に両立されていることが分かる。
【0107】
また、非磁性シード層202における非晶質性が崩されたり磁性を帯びたりしている第1から第3の各比較例では、磁性粒子は微細化されているがデルタ・シータ・50は増大してしまっている。さらに、非磁性シード層202の膜厚が薄過ぎて形成自体が不十分となっている第4比較例では、デルタ・シータ・50が増大してしまっている。
【0108】
また、非磁性シード層202の膜厚が厚過ぎている第5比較例については、Co−Cr−Wが結晶化していることがX線回折により確認されている。そして、このように非磁性シード層202における結晶性が崩された結果、粒径の肥大化やデルタ・シータ・50の増大が生じてしまっている。
【0109】
以上に説明した各実施例と各比較例との比較から、非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成された非磁性シード層202によって、記録層のグラニュラ構造における磁性粒子の微細化、均一化、および高配向化が良好に図られることが分かる。これにより、磁気ディスク200の媒体ノイズが低減されることから、磁気ディスク200についての高記録密度化が可能となり、より記録容量の大きなHDD等の情報記録装置を提供できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】基本形態について説明した情報記憶装置の具体的な実施形態であるハードディスク装置(HDD)を示す図である。
【図2】図1に示す磁気ディスクの断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0111】
10 HDD
101 ハウジング
102 回転軸
103 磁気ヘッド
104 ヘッドジンバルアセンブリ
105 アーム軸
106 キャリッジアーム
107 アームアクチュエータ
200 磁気ディスク
201 非磁性基板
202 非磁性シード層
203 記録層
204 保護層
205 潤滑層
210 軟磁性裏打ち層
211 下層軟磁性層
212 非磁性分断層
213 上層軟磁性層
220 非磁性中間層
221 下層中間層
222 上層中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されたシード層と、
前記シード層上に非磁性材料で形成された、六方最密充填構造でc軸が該シード層の厚さ方向を向いた結晶構造を有する中間層と、
前記中間層上に磁性材料を主材料として形成された、情報が磁気的に記録される記録層とを備えたことを特徴とする磁気記憶媒体。
【請求項2】
前記記録層は、磁化容易軸が、該記録層の厚さ方向を向いた磁化によって記録されるものであることを特徴とする請求項1記載の磁気記憶媒体。
【請求項3】
前記記録層は、磁性材料からなる複数の磁性粒子の相互間を非磁性材料が隔ててグラニュラ構造を成したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記憶媒体。
【請求項4】
前記記録層が、前記グラニュラ構造を有する複数の層が積層されたものであることを特徴とする請求項3記載の磁気記憶媒体。
【請求項5】
前記中間層は、Ruを含む合金又はRuで形成されているものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体。
【請求項6】
前記中間層は、複数の結晶粒子からなり、前記記録層が形成される面において結晶粒子の相互間に隙間が形成されているものであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体。
【請求項7】
前記中間層は、複数の層が積層されたものであることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体。
【請求項8】
CoとFeを含む非晶質の軟磁性材料で形成された軟磁性裏打ち層を備え、
前記シード層が、前記軟磁性裏打ち層上に形成されたものであることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項記載の磁気記憶媒体。
【請求項9】
前記軟磁性裏打ち層が、各々が前記軟磁性材料で形成された2つの軟磁性層が、非磁性材料で形成され、該2つの軟磁性層それぞれにおける磁化を反強磁性的に結合させる非磁性層を挟んで積層されたものであることを特徴とする請求項8記載の磁気記憶媒体。
【請求項10】
非磁性で非晶質のCo−Cr−Wで形成されたシード層と、
前記シード層上に非磁性材料で形成された、六方最密充填構造でc軸が該シード層の厚さ方向を向いた結晶構造を有する中間層と、
前記中間層上に磁性材料を主材料として形成された、情報が磁気的に記録される記録層とを備えた磁気記憶媒体;
前記磁気記憶媒体に対して情報記録及び/又は情報再生を行うヘッド;
を備えたことを特徴とする情報記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−33632(P2010−33632A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192483(P2008−192483)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】