説明

磁界の可視化装置、検査装置、可視化方法および欠陥の検出方法

【課題】 欠陥を簡単に発見することができるように、磁界分布を表示することができる可視化装置を提供する。
【解決手段】 この可視化装置は、第1面と一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質20を備える第2面とを有するスクリーン21と、蛍光物質20の1つに電子ビーム22を照射する電子ビーム照射手段23と、電子ビーム22を偏向させる偏向手段24と、電子ビーム照射手段23および偏向手段24に信号を与え、複数色のうちの1つの色の蛍光物質20のみに電子ビーム22が照射されるように偏向させ、スクリーン21にその色のみからなるカラー像を表示させる信号供給手段26とを含む。その色のカラー像を表示させつつ第1面を材料へ接近させ、電子ビーム22がローレンツ力を受けることにより、第2面に磁界分布に対応した複数色からなるカラー像を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気漏洩する材料の磁界分布の可視化装置および可視化方法、さらには、その可視化装置および可視化方法を用いた検査装置および欠陥の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電設備やガス供給パイプラインには、鉄鋼材料が使用されており、その鉄鋼材料に損傷が生じたり、劣化が起こると、電気やガスの供給ができなくなり、社会に重大な影響がもたらされる。例えば、医療現場では、長期間電気やガスの供給が停止すると、生命の危険さえある。このため、鉄鋼材料の損傷や劣化を未然に防ぐべく、製造段階での品質検査や設置後の定期検査が行われている。
【0003】
これらの検査では、損傷箇所や劣化箇所を検知するために、超音波探傷といった非破壊評価が行われている。この方法は、超音波を対象物に当ててその反響を映像化することで、その対象物の内部の状態を切断等することなく、損傷や劣化についての評価を行う方法である。
【0004】
鉄鋼材料の中で最も頻繁に使用される材料として、ステンレス鋼がある。このステンレス鋼は、常磁性を示すが、材料内部の残留応力の増大に伴い、マルテンサイトが生成され磁化する。こうした材料の初期条件からの変化や、材料の劣化、すなわち無垢材からの格子欠陥密度の増加は、磁気物性の変化として捉えることができる。
【0005】
例えば、磁化過程で発生する不連続磁化(磁気ノイズ)の変化や、残留する局所的な格子ひずみに伴う局所的な着磁量の変化は、非一様な着磁分布として検出することができ、非破壊的な磁気物性評価により検出することができる。
【0006】
これらの磁気ノイズの変化や局所的な着磁量の変化は、磁界(磁場)の強さや向きを計測することを目的とした磁気センサ(ホール素子)を用い、磁気ノイズ測定や漏洩磁束密度測定を行うことで捉えることができる。また、レーザCCDを用いた距離計により装置から試料面までの距離を求めることで、または干渉基準鏡により試料面のx、y、zの3方向の表面形状変化をCCDに取り込むことで、表面形状変化を捉えることもできる(非特許文献1参照)。
【0007】
ホール素子を用いた漏洩磁束密度測定や、レーザCCDや干渉基準鏡を用いた表面形状変化測定により磁界の強さの分布を高感度で可視化表示することができ、初期条件でのその分布と時間経過後の分布とを見て比較することができるため、その着磁分布の変化や表面形状の変化を簡単かつ高感度で捉えることができる。このことから、この方法は、材料の損傷や劣化を、高感度で、かつ簡便に評価することができる。
【0008】
そのほか、被測定物全体の電磁界放射の様子を正確に、かつ連続的に可視化表示することができる装置が提案されている(特許文献1参照)。この装置は、電界または磁界を検出するアンテナと、そのアンテナに誘起される高周波電圧または高周波電流を電界または磁界の検出信号として取り出す帯域フィルタと、その帯域フィルタにより取り出された検出信号の信号レベルを可視表示するための表示用素子とを備えた検出表示ユニットをシート上に複数個配設してなるものである。具体的には、帯域フィルタにより取り出された検出信号の信号レベルに応じた熱量を赤外線カメラにより可視化して電界の空間分布状態を観測することができるようにしている。この装置は、被測定物を覆うように設置することで、正確な電磁界の測定を行い、観測する位置の電磁界の状態を直接その位置に表示することができる。
【非特許文献1】山田興治、磯部仁博、“磁気センサと表面形状計測による鉄基構造材料の非破壊検査”、[online]、平成12年、[平成19年12月21日検索]、インターネット<URL:http://www.saitama-u.ac.jp/crc/professor/kiyo/h12/21.pdf>
【特許文献1】特開2001−66337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ホール素子を用いる漏洩磁束密度測定では、12ビットの空間分解能でCPUに取り込み、多数サンプルにより計測精度を向上させており、磁気分布の画像を得るためには、数十分から数時間という長い時間を要している。
【0010】
また、上記のアンテナを用いる装置は、アンテナで磁界を検出し、その検出信号を処理し、画像表示している。このため、アンテナで磁界を検出し、検出信号を生成し、その検出信号を処理してから画像表示するまでには時間を要し、その間の磁界の変化を観測することはできない。磁界分布により欠陥を発見する場合においても、アンテナで磁界を検出し、検出信号を生成し、その検出信号を処理してから画像表示するまでには時間を要するため、即座に欠陥の有無を検出することはできない。
【0011】
品質検査を流れ作業で行い、検査時間を短縮して作業効率を向上させるためには、短時間で欠陥の有無を検出しなければならない。また、医療の現場では、医療器具や破損した医療器具が人体に取り残されるケースがあり、医療器具が取り残されていないかどうか、また、医療器具が破損しているか否かを即座に検出することができることが望まれている。
【0012】
そこで、これらの欠陥を簡単に発見することができるように、磁界分布を即座に表示することができる可視化装置および方法の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意検討した結果、カラーテレビに使用されているブラウン管を用い、RGBのうちの1色でスクリーンを表示したまま、そのスクリーンを着磁され磁気漏洩する金属等の材料へ近づけると、電子ビームの荷電粒子が、その粒子の進行方向に対して垂直な方向に作用するローレンツ力を受けて、目標とされた蛍光物質の隣やさらに隣の蛍光物質に当たり、それを電子ビームを発射する電子銃の側から見ると、磁界分布がRGBで明瞭かつ即座に表示されることを見出した。この磁界分布は、磁気漏洩する材料へスクリーンを近づけると即座に表示されるため、簡単に、かつ短時間で欠陥の有無を検出することができる。
【0014】
本発明は、上記のことを見出すことによりなされたものであり、上記課題は、本発明の可視化装置および可視化方法を提供することにより解決することができる。
【0015】
本発明によれば、磁気漏洩する材料の磁界分布を可視化するための装置であって、
前記材料に近隣して配置される第1面と、前記第1面の裏面で、一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質を備える第2面とを有するスクリーンと、
前記蛍光物質の1つに電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と、
前記電子ビーム照射手段から照射された前記電子ビームを偏向させる偏向手段と、
前記電子ビーム照射手段および前記偏向手段に信号を与え、前記複数色のうちの1つの色の前記蛍光物質のみに前記電子ビームが照射されるように偏向させ、前記スクリーンに当該色のみからなる前記カラー像を表示させる信号供給手段とを含み、
当該色のみからなる当該カラー像を表示させつつ前記第1面を前記材料へ接近させ、前記電子ビームが前記磁界の強さおよび向きに応じてローレンツ力を受けることにより、前記第2面に前記磁界分布に対応した前記複数色からなるカラー像を形成させる、可視化装置が提供される。
【0016】
この可視化装置は、一方に開口が拡張された中空体を含み、その中空体の拡張された開口を有する一端に、外部に第1面が向き、内部に第2面が向くようにスクリーンが配設され、他端に電子ビーム照射手段が配設され、中空体の外側面に偏向手段が周設されていて、中空体の一部に、第2面を可視化するための窓が設けられたものとすることができる。このように、中空体で覆うことにより、外光を遮断し、第2面に明瞭なカラー像を表示させることができ、また、窓を通してそのカラー像を観測することができる。
【0017】
また、この可視化装置は、窓に設けられ、第2面を撮像するための撮像手段と、撮像手段に接続され、撮像された第2面のカラー像を表示するための表示手段とを備えることができる。表示手段に表示させることで、第2面に映し出されたカラー像を適当に拡大して表示させることができ、磁界分布の細かい部分まで観測することができる。
【0018】
本発明では、上記の可視化装置と、欠陥のない材料の磁界分布に対応したカラー像を基準データとして記憶する記憶手段と、可視化装置によって得られたカラー像が基準データと異なるか否かを判定する像判定手段とを含み、基準データと異なる場合に欠陥を有すると判定する、材料の品質を検査するための検査装置を提供することもできる。
【0019】
欠陥としては、材料の表面に形成された傷、材料の内部に存在する空洞、応力による変形であり、基準データと異なる部分の位置および大きさから欠陥の位置および大きさを判断する。
【0020】
さらに、本発明では、磁気漏洩する材料の磁界分布を可視化する方法および磁気漏洩する材料の磁界分布から当該材料の欠陥を検出する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の磁界分布の可視化装置を提供することで、磁界分布を目で見ることができ、その可視化装置を含む検査装置を提供することで、鉄鋼材料等の欠陥を、切断等することなく非破壊的に簡単に発見することができる。
【0022】
この可視化装置は、磁界分布を明瞭に表示することができ、磁界分布の把握も容易であるため、学校用の教育機材として利用可能である。
【0023】
この検査装置および欠陥を検出する方法は、非破壊的に簡単に検査を行うことができるため、品質検査にかかるコストを低減させ、検査時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
磁界分布、すなわち磁界の強さや向きを可視化するためには、観察すべき材料が磁化されていなければならない。したがって、この材料は、磁性を帯びることが可能な物質である必要があり、磁性体とされる。ここでいう磁性体は、特に、磁場内で極めて強く磁化され、磁場を取り除いても残留磁化を残す性質をもつ物質である強磁性体である。強磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル等を挙げることができる。
【0025】
強磁性体である鉄を使用した製品は、原子炉、船舶、ガス管、水道管、ボルト、ナット等数多くあり、これらの製品は磁化されやすく、近くに電流が流れるコイルや磁石等が存在することで容易に磁化される。鉄鋼材料として数多く使用されるステンレス鋼は、内部の残留応力の増大に伴い、マルテンサイトが生成され磁化する。磁化されたこれらの材料は、磁気漏洩し、その周辺には磁界が発生する。
【0026】
これらの材料は、製造段階において、内部に穴や表面に傷等の欠陥を有する場合がある。また、この欠陥は、それらの材料を使用することによっても生じる。こういった欠陥が生じると、その周辺に発生する磁界にも変化が生じる。図1に示すような鉄の棒10を参照して説明する。図1(a)は、傷がない場合の磁力線を示し、図1(b)は中央部に溝11のような傷が形成された場合の磁力線を示す。磁化されると磁極が発生するが、図1では、わかりやすくするためにN極とS極とを示してある。図1(a)に示すように、傷がない場合は、一端のN極から他端のS極へ向く磁力線となるが、図1(b)に示すように溝11が存在すると、その溝11に磁極が発生し、図1(b)に示すような溝11の両端に発生したN極からS極へ向き、その溝11から湧き出すような磁力線ができる。このことから、傷が存在することで、磁界分布が変化することがわかる。これは、表面にできた傷に限らず、内部に存在する穴等の欠陥でも同様である。このため、予め欠陥のない磁界分布を取得しておき、それとは異なる磁界分布を検出することにより、欠陥の存在を検出することができる。
【0027】
この欠陥の有無を即座に検出することができれば、この品質検査を短時間で行うことができ、コストダウンを図ることができる。欠陥の有無の判断を短時間で行うためには、磁界分布を可視化することができれば最も効率的である。
【0028】
そこで、本発明では、磁界分布を視認することができる可視化装置を提供する。この可視化装置は、磁気漏洩する材料に近隣して配置するだけで、即座に磁界分布を目に見える形で表示することができる装置である。磁気漏洩する材料に近づけるのみで即座に磁界分布が表示されるため、欠陥の有無を即座に検出することができる。また、どのような磁界分布になっているかを視認可能であるため、磁界に関する学習を行っている学校用教育材料としても利用することができ、教育現場においてもインパクトを与え、生徒にも大きな興味を与えることができる。
【0029】
図2を参照して、可視化装置の構成について説明する。可視化装置は、第1面と、その第1面の裏面で、一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質20を備える第2面とを有するスクリーン21を備える。また、蛍光物質20の1つに電子ビーム22を照射する電子ビーム照射手段23と、その電子ビーム照射手段23から照射された電子ビーム22を偏向させ、スクリーン21にカラー像を表示させる偏向手段24とを備える。さらに、電子ビーム22を目標の蛍光物質20に正確に当てるために各蛍光物質20に対応して設けられた複数の穴または複数の縦長のスリットを有するマスク25を備える。また、電子ビーム照射手段23および偏向手段24に対し、どの色、どの位置にある蛍光物質20に電子ビーム22を当てるかを指示する信号を供給するための信号供給手段26を備える。
【0030】
第2面は、赤(R)、緑(G)、青(B)、赤、緑、青…の順に配列するように各色の蛍光物質20がマトリックス状に塗り分けられている。縦一列には、同じ赤、同じ緑、同じ青の蛍光物質20が所定間隔で配列していて、隣り合う色が異なる色、すなわち赤、緑、青の順とされている。電子ビーム照射手段23は、例えば、赤、緑、青用に3つ設けることができ、偏向手段24は、電子ビーム照射手段23から照射された電子ビーム22を偏向し、第2面に当てられる場所を移動して数十分の一秒間に1枚の静止画を表示させる。電子ビーム照射手段23により照射される場所は、各瞬間では1点であるが、各点での照射時間は短く、残像によりスクリーン21全体の各点に同時に照射されているように見えるため、このような静止画を表示することができる。
【0031】
この可視化装置は、偏向手段24がRGBのうちの1つの色、例えば青の蛍光物質20のみに電子ビーム22が照射されるように偏向させ、スクリーン21に青のみからなるカラー像を表示させ、その後、青のみからなるカラー像を表示させつつ第1面を磁気漏洩する材料へ接近させ、電子ビーム22がローレンツ力を受けることにより、第2面に磁界分布に対応したRGBからなるカラー像を形成させる。第2面に形成されたカラー像は、磁界分布に対応しており、それを見るだけで、その材料の周りに生じている漏洩磁気の磁界分布を把握することができる。
【0032】
磁気漏洩する材料は、磁化された鉄鋼材料等の強磁性体であり、この周りには磁界が発生しており、磁場環境を形成している。磁化された強磁性体をある方向にある速度で流れる荷電粒子に近づけ、その荷電粒子を磁場内におくと、その磁場から力を受け、進行方向が変更される。この荷電粒子の進行方向を変更させる、その進行方向に対して垂直に作用する力がローレンツ力であり、磁場内では荷電粒子はこのローレンツ力を受ける。荷電粒子とは、電荷を帯びた粒子であり、イオン化した原子や、核崩壊によって生じるヘリウムの原子核、すなわちアルファ粒子や、電子が挙げられる。
【0033】
このローレンツ力について、図3を参照して詳細に説明する。磁化された材料を接近させる前は、電子ビーム22は磁場環境内におかれておらず、ローレンツ力は作用しない。しかしながら、磁化された材料を接近させると、その材料のまわりに発生する磁界によって電子ビーム22が磁場環境内におかれ、電子ビーム22を構成する電荷粒子がローレンツ力を受ける。
【0034】
電子ビーム22が進行する方向を、スクリーン21の第2面30に向かう矢線Aの方向とし、その電子ビーム22に対向してスクリーン21の第1面31に磁石32のN極を近づけると、磁界はスクリーン21の四方に向いて発生する。例えば、鉛直方向上向きの矢線B1で示される磁界に対するローレンツ力は、フレミングの法則に従い、矢線C1で示される水平方向、下向きの矢線B2で示される磁界に対するローレンツ力は、矢線C2で示される、矢線C1とは反対方向に作用する。また、水平方向に向いた磁界に対するローレンツ力は、鉛直方向に上向きまたは下向きに作用する。
【0035】
蛍光物質20は、電子ビーム22が照射される側では水平方向に赤、緑、青…の順に並び、鉛直方向には同じ赤、あるいは同じ緑、または同じ青とされているため、水平方向へローレンツ力が作用すると、隣の色の蛍光物質20に当たり、鉛直方向に向いた磁界に対してその色を発色する。これに対し、垂直方向へ作用するローレンツ力は、もともと当たっていた色と同じ色であるため、水平方向に向いた磁界に対しては色の変化は生じない。
【0036】
このため、スクリーン21を全面青で表示し、第1面31に磁石32のN極を近づけると、図4(a)に示すように鉛直方向上向きの磁界、すなわちその磁石32より上側は、ローレンツ力を受けて、電子ビームが照射される側から見て青の右側に配列する赤の蛍光物質20に電子ビーム22が当たり、Rで示される赤色に発色する。磁石32より下側は、反対側に配列する緑の蛍光物質20に電子ビーム22が当たり、Gで示される緑色に発色する。磁石32に対して左右のスクリーン21は、色の変化は生じないため、もとの色と同じBで示される青色に発色する。なお、図4では、これらの色のほか、渦模様が示されているが、これはマスク25として使用されるシャドウマスクの縦長のスリットが表示されたものである。
【0037】
磁石32のS極をスクリーン21に近づけると、図4(b)に示すように、図4(a)とは反対に、上側が緑色となり、下側が赤色となる。これは、ローレンツ力が作用する向きが反対になるからである。
【0038】
U字磁石を近づけると、磁界の向きは、U字磁石のN極からS極への一方向である。例えば、S極を上側、N極を下側に配置すると、上向きに磁界が発生し、図4(c)に示すように、S極とN極との間の部分が赤色に発色する。これとは反対に、N極を上側、S極を下側に配置すると、下向きに磁界が発生し、図4(d)に示すように、そのN極とS極との間の部分が緑色に発色する。
【0039】
ローレンツ力を受ける前は青の蛍光物質20のみに電子ビーム22が当てられるが、ローレンツ力を受けることで、その青の蛍光物質に隣り合う赤の蛍光物質や、その赤の蛍光物質のさらに隣にある緑の蛍光物質に当たる。これは、ローレンツ力の大きさによって変わり、その大きさが大きくなるにつれて、図5(a)〜(c)に示すように変化する。図5(a)は、10−3テスラ(10ガウス)未満の弱磁界の場合、図5(b)は、0.6テスラの磁界、図5(c)は、1.2テスラの磁界の場合を示す。図5では、コイルに電流を流し、各強度の磁界を発生させている。
【0040】
いずれも電子ビーム22は青の蛍光物質に向けて照射されているが、図5(a)では、磁場環境内におかれた電子ビーム22が赤の蛍光物質に当たり、赤色に発色している。図5(b)では、図5(a)に示す場合に比較して磁界の強さが強いため、大きいローレンツ力が作用する。スクリーン21において磁気漏洩する材料に近い側ではローレンツ力が大きく、その材料から離れるにつれて小さくなるため、その大きさに応じて、赤、緑、青の蛍光物質に当たり、RGBからなるカラー像が表示される。このカラー像は、RGBで繰り返される色の数および間隔によって強さおよび向きを表現し、等高線のように、間隔が狭い方向へ磁界が向き、その色数が多いほど磁界の強さが強いことを表している。
【0041】
したがって、図5(c)では、図5(b)に示す場合に比較してさらに磁界の強さが強いため、さらに大きいローレンツ力が作用し、図5(b)示す場合に比較してRGBの間隔が狭く、多くの色数で表現されている。
【0042】
スクリーン21、電子ビーム照射手段23、偏向手段24およびマスク25を備える装置として、カラーテレビに使用されているブラウン管を挙げることができる。このブラウン管は、ほとんどが640×480の解像度であり、電波から色の三原色である赤、緑、青の色信号を取り出し、赤、緑、青の3本の電子銃から各色の強度に応じた電子ビームを発射し、赤、緑、青に光る蛍光物質で微細に塗り分けられたスクリーンに当てることにより、画面を光らせる。この画面上では、各瞬間においては1点が光っているのみで、電子ビームを当てる場所を移動させることにより、約30分の1秒間で静止した画像を1枚描く。色は、電子ビームの強さによって変えられ、電子ビームを当てる場所の移動には、2組のコイルが作る磁界が利用される。
【0043】
各瞬間において1点を正確に光らせるために、スクリーンと電子銃との間にシャドウマスクが配置される。シャドウマスクは、蜂の巣(マトリクス)状に多数の細かい穴が設けられた金属板であり、電子銃から発射された電子ビームを、この金属板の多数の穴を通してスクリーンに塗布された所望の色の蛍光物質に当てることにより、所望の色を発色させる。2組のコイルとして、電子銃から発射された電子ビームを曲げ、スクリーンの各色の蛍光物質に当てることができるように偏向ヨークと呼ばれる電磁コイルが使用される。ブラウン管は、一端が拡張した中空体で覆うことにより、外光を遮断し、第2面に明瞭なカラー像を表示させている。
【0044】
ブラウン管に代えてアパーチャーグリル管という、丸穴のシャドウマスクではなく、縦長のスリットを有するシャドウマスクを用いるものを採用することもできる。
【0045】
本発明の可視化装置は、例えば青色の蛍光物質20にのみ電子ビーム22を照射するように信号供給手段26が信号を出力し、電子ビーム照射手段23および偏向手段24がその信号を受け取り、青色の蛍光物質20にのみ電子ビーム22を照射し、スクリーン21を青色に表示したままで、磁気漏洩する材料に近づけることを特徴とする。また、外光を遮断するために図6(a)に示す絶縁材料から形成される中空体60が設けられる場合は、図6(b)に示すように、その中空体60の一部分に窓61を設け、その窓61を通して中空体60の内部に向いた第2面に表示されるカラー像を観測することができるようにする。
【0046】
信号供給手段26は、ユーザによって予め設定された色またはユーザによって選択された色の入力を受けて、スクリーン21全体の色がその入力された色になるように信号を生成し、その信号を電子ビーム照射手段23および偏向手段24へ供給する。各色用の電子ビーム照射手段が設けられる場合には、その色の電子ビーム照射手段にのみその信号が供給される。その信号を生成するために、その信号を作成するためのプログラムが記録されたメモリと、そのメモリからそのプログラムを読み出し実行するプロセッサとを含んで構成することができる。
【0047】
また、中空体60に設けられる窓61は、磁界分布の全体が見える位置および大きさに形成することができる。この窓61は、単に矩形や円形等に切断しただけでもよいが、開閉可能な扉が取り付けられていたり、透明なガラス等がはめ込まれていてもよい。
【0048】
さらに、窓61には、撮像手段が配設され、その撮像手段に表示手段が接続されていてもよい。撮像手段としては、CCDカメラを挙げることができ、表示手段としては、モニタを挙げることができる。これにより、第2面に形成されるカラー像を拡大等して、そのカラー像をより見やすく、明瞭に表示することができる。
【0049】
また、撮像手段および表示手段は、無線通信を可能にする無線通信手段を備えることができ、無線通信により撮像手段と表示手段とが離れた場所であってもそのカラー像を表示させることもできる。撮像手段からの出力は、像データであり、この像データを格納するための記憶手段を備えることもできる。なお、この可視化装置の磁界感度は、スクリーン21に塗り分けられる蛍光物質20のサイズ、それに対応して使用されるシャドウマスクの穴径およびピッチにもよるが、一般的なブラウン管を可視化装置として用いても約2×10−6テスラ(0.02ガウス)という高感度で磁界を検出することができる。ちなみに、地磁気は約0.3〜0.5ガウスであり、電子機器が発生する漏洩磁気は0.1ガウス以上である。
【0050】
また、本発明では、磁界の可視化方法を提供することもできる。この可視化方法は、上記の可視化装置を使用して行うことができ、第1面と、その第1面の裏面で、一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質を備える第2面とを有するスクリーンの1つの色の蛍光物質のみに電子ビームが照射されるように偏向させ、スクリーンに当該色のみからなるカラー像を表示させるステップと、当該色のみからなる当該カラー像を表示させつつ第1面を材料へ接近させ、電子ビームが磁界の強さおよび向きに応じてローレンツ力を受けることにより、第2面に磁界分布に対応した複数色からなるカラー像を形成させるステップとを含む。
【0051】
さらに、本発明では、上記の可視化装置を含む品質検査装置を提供することができる。この装置は、上記の可視化装置と、欠陥のない材料の磁界分布に対応したカラー像を基準データとして記憶する記憶手段と、その可視化装置によって得られたカラー像が基準データと異なるか否かを判定する像判定手段とを含む。像判定手段は、記憶手段に記憶された基準データと異なる場合に欠陥を有すると判定する。
【0052】
記憶手段としては、データを記憶することができるものであれば、メモリやHDDのほか、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、SDカード等を挙げることができる。そのデータを記憶するために、信号供給手段26として構成されるプロセッサを用いることができる。なお、この信号供給手段26として構成されるメモリを、この記憶手段として用いることもできる。
【0053】
像判定手段は、記憶手段から基準データを読み出し、判定を行うためのプログラムを実行して、得られたカラー像の像データがその基準データと異なるか否かを判定する。異なると判定した場合は、欠陥を有すると判定し、同じと判定した場合は、欠陥なしと判定する。この像判定手段は、信号供給手段26と同様、プログラムを実行することによりその機能を実現するため、プログラムを格納するためのメモリと、そのプログラムを読み出し実行するプロセッサとを含んで構成することができる。
【0054】
欠陥は、材料の表面に形成された傷や、材料の内部に存在する空洞、使用に伴う応力による変形等であり、基準データと異なる部分の位置および大きさから、その欠陥の位置および大きさを判断することができる。また、磁界分布から、磁場勾配が急峻であるか、なだらかであるかがわかり、その傷が深いものであるか、あるいは浅いものであるかも判断することができる。なお、表面に傷がない場合は、内部に空洞が存在することがわかる。
【0055】
上記では予め欠陥のない材料の像データを記憶しておき、像判定手段がその像データと比較しているが、欠陥の有無を、検査を行う者が判断することができ、その像を見ただけで欠陥の種類や大きさ等を判断することができるのであれば、上記の可視化装置のみとし、この記憶手段および像判定手段を設けなくてもよい。
【0056】
ここで、材料として、1kOe(エルステッド)の磁場の強さで磁化した棒状の鉄鋼材を、多数回繰り返し応力を加えた場合の漏洩磁気を、磁気センサであるホール素子で観察した場合の画像と、上記構成の可視化装置で観察した場合の画像を図7および図8に示す。なお、1Oeは、真空中で単位磁極から1cm離れた場所の磁場の強さである。図7がホール素子で観察した場合の画像で、図8が可視化装置で観察した場合の画像である。図7(a)は、漏洩磁気の磁束分布を示し、図7(b)は、その磁束Φを距離xで微分して得られた漏洩磁束一次導関数分布を示す。図8(a)は図7(a)と同様、漏洩磁気の磁束分布を示し、図8(b)は図7(b)と同様、漏洩磁束一次導関数分布を示す。
【0057】
図7に示す画像は、ホール素子で取得された画像であり、この画像を取得するのに約1時間かかった。図7(a)に示す画像を参照すると、一端が例えばN極、他端がS極に磁化されて赤色、青色で示され、磁束密度が高い両端部はその色が濃く、磁束密度が低い中央部へいくにつれてそれらの色が薄くなっている。図7(b)に示す画像を参照すると、鉄鋼材のほとんどが青色で示され、その中に赤色で示された斑点が複数存在し、多数回繰り返し応力が加えられることにより発生した格子欠陥密度分布をその斑点により観測することができた。
【0058】
図8に示す画像は、図2に示す可視化装置で、数秒で取得された画像である。この場合は、図8(a)に示す画像は、図7(a)に示す画像とほぼ同様で、一端が例えばN極、他端がS極に磁化されて赤色、青色で示され、磁束密度が高い両端部はその色が濃く、磁束密度が低い中央部へいくにつれてそれらの色が薄くなっている。図8(b)では、鉄鋼材が黒で示され、その中に赤色および青色でモザイク状に示された格子欠陥密度分布をはっきり観測することができた。このことから、ホール素子を用いる場合に比較して、短時間で高感度の画像を取得することができ、欠陥を高精度で検出することができることが見出された。
【0059】
図9は、鉄鋼材の長さ方向に対する厚さ(mm)と、ノイズピークポジション(rel)とを示した図である。約20〜40mmの位置、約80mmの位置において厚さが薄くなっており、それに対応してノイズピークポジションが上昇している。これは、図7(b)に示した斑点が密集した部分、図8(b)に示した赤色および青色でモザイク状に示された部分に対応している。このことから、応力による変形で材料厚さが薄くなっている部分も高精度で検出することができることが見出された。
【0060】
手術時の血流を止める医療器具に、コッヘル止血鉗子がある。コッヘル止血鉗子は、図10に示すものである。このコッヘル止血鉗子は、ステンレス鋼から製造されており、山と谷が連続する掴み部100を有する高剛性部110と、高剛性部110に連続する柔軟部120と、柔軟部120に連続し、指を入れる挿入部130とを有する2つの鉗子部材が、高剛性部110と柔軟部120との間に取り付けられる支持部140によって回転可能に支持されている。これは、はさみと同様に2つの挿入部130のそれぞれに指を入れ、2つの指を開閉して使用されるものである。
【0061】
このコッヘル止血鉗子の仕上げ工程では、掴み部100が表面を鍛造により形成している。鍛造とは、金属をハンマで打って形作ることをいう。このため、この掴み部100を形成する際には材料に大きな応力がかかり、その部分は磁化する。図11には、その掴み部100を備える高剛性部110の先端を可視化装置のスクリーン21に近づけ、磁界分布がスクリーン21に表示されたところが示されている。この先端は、N極に磁化されているため、図4(a)で示したと同様、鉗子の上側が赤色で表示され、下側が緑色で表示される。このようにステンレス鋼では、応力が加えられることにより磁化され、可視化装置において磁界分布が表示される。
【0062】
コッヘル止血鉗子は、使用によってもこの掴み部100に応力が集中する。このため、掴み部100は損傷しやすく、手術中に人体にその破片が取り残される場合がある。こういったことが起こらないようにすべく、仕上げ段階においてなるべく応力がかからないように、溶接等により掴み部100を形成することを提案することができる。この提案は、可視化装置でステンレス鋼に応力がかかり磁化した部分を検出することによりなしうるものである。このため、可視化装置は、こういった応力がかかる部分を検出するのにも有用である。
【0063】
これまで、図面を参照して本発明の磁界の可視化装置、可視化方法、さらには品質検査装置および欠陥の検出方法について説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の磁界の可視化装置および可視化方法は、上述したように、学校教育において磁界を理解させるための教材として有用である。すなわち、物理教育現場において大きなインパクトを与え、ローレンツ力と電子流との関係や、磁石のN極およびS極の絶対的評価等をRGBの色感覚で直感的に理解することができるからである。また、検査装置および欠陥の検出方法は、磁性材料から製造される部品や製品の品質検査を流れ作業で行うことを可能にし、いずれの場所においてもその検査を行うことができるため、特に、取り付け後や狭い場所での検査に有用である。さらに、シャドウマスクを高細密化し、さらに高感度化することで、さらなる微小欠陥の発見も可能となる。
【0065】
この可視化装置は、図5に示したように磁界の強さに応じて表示される画像が変化するため、磁界の強さを測定することができ、非接触の電流計への応用が可能である。電線に電流を流すと周囲に磁界が発生し、その電流と磁界の強さが比例関係にあることから、可視化装置において磁気の強さが計測できればその電流値を計測できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】磁化された鉄の棒の周りに発生する磁界の磁力線を示した図。
【図2】本発明の可視化装置の実施形態を示した図。
【図3】電子ビームが受けるローレンツ力の向きを示した図。
【図4】スクリーンを全面青色とし、第1面に磁石を近づけたところを示した図。
【図5】ローレンツ力の大きさにより変化する磁界分布を示した図。
【図6】可視化装置に用いられる中空体を例示した図。
【図7】磁化した棒状の鉄鋼材の漏洩磁気を、磁気センサであるホール素子で観察した場合の画像を示した図。
【図8】磁化した棒状の鉄鋼材の漏洩磁気を、図2に示す可視化装置で観察した場合の画像を示した図。
【図9】鉄鋼材の長さと、厚さおよびノイズピークポジションとの関係を示した図。
【図10】コッヘル止血鉗子を示した図。
【図11】コッヘル止血鉗子の掴み部の磁界分布を示した図。
【符号の説明】
【0067】
10…棒、11…溝、20…蛍光物質、21…スクリーン、22…電子ビーム、23…電子ビーム照射手段、24…偏向手段、25…マスク、26…信号供給手段、30…第2面、31…第1面、32…磁石、60…中空体、61…窓、100…掴み部、110…高剛性部、120…柔軟部、130…挿入部、140…支持部
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気漏洩する材料の磁界分布を可視化するための装置であって、
前記材料に近隣して配置される第1面と、前記第1面の裏面で、一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質を備える第2面とを有するスクリーンと、
前記蛍光物質の1つに電子ビームを照射する電子ビーム照射手段と、
前記電子ビーム照射手段から照射された前記電子ビームを偏向させる偏向手段と、
前記電子ビーム照射手段および前記偏向手段に信号を与え、前記複数色のうちの1つの色の前記蛍光物質のみに前記電子ビームが照射されるように偏向させ、前記スクリーンに当該色のみからなるカラー像を表示させる信号供給手段とを含み、
当該色のみからなる当該カラー像を表示させつつ前記第1面を前記材料へ接近させ、前記電子ビームが前記磁界の強さおよび向きに応じてローレンツ力を受けることにより、前記第2面に前記磁界分布に対応した前記複数色からなるカラー像を形成させる、可視化装置。
【請求項2】
一方に開口が拡張された中空体を含み、前記中空体の拡張された前記開口を有する一端に、外部に前記第1面が向き、内部に前記第2面が向くように前記スクリーンが配設され、他端に前記電子ビーム照射手段が配設され、前記中空体の外側面に前記偏向手段が周設されていて、前記中空体の一部に、前記第2面を可視化するための窓が設けられた、請求項1に記載の可視化装置。
【請求項3】
前記窓に設けられ、前記第2面を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段に接続され、撮像された前記第2面のカラー像を表示するための表示手段とを備える、請求項2に記載の可視化装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の可視化装置と、欠陥のない前記材料の前記磁界分布に対応した前記カラー像を基準データとして記憶する記憶手段と、前記可視化装置によって得られたカラー像が前記基準データと異なるか否かを判定する像判定手段とを含み、前記基準データと異なる場合に欠陥を有すると判定する、前記材料の品質を検査するための検査装置。
【請求項5】
前記欠陥は、前記材料の表面に形成された傷、前記材料の内部に存在する空洞、応力による変形であり、前記基準データと異なる部分の位置および大きさから前記欠陥の位置および大きさを判断する、請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
磁気漏洩する材料の磁界分布を可視化する方法であって、
第1面と、前記第1面の裏面で、一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質を備える第2面とを有するスクリーンの1つの色の前記蛍光物質のみに電子ビームが照射されるように偏向させ、前記スクリーンに当該色のみからなるカラー像を表示させるステップと、
当該色のみからなる当該カラー像を表示させつつ前記第1面を前記材料へ接近させ、前記電子ビームが前記磁界の強さおよび向きに応じてローレンツ力を受けることにより、前記第2面に前記磁界分布に対応した前記複数色からなるカラー像を形成させるステップとを含む、可視化方法。
【請求項7】
さらに、前記第2面を撮像するステップと、撮像された前記第2面のカラー像を表示するステップとを含む、請求項6に記載の可視化方法。
【請求項8】
磁気漏洩する材料の磁界分布から当該材料の欠陥を検出する方法であって、
第1面と、前記第1面の裏面で、一定の色順序で配列する複数色の蛍光物質を備える第2面とを有するスクリーンの1つの色の前記蛍光物質のみに電子ビームが照射されるように偏向させ、前記スクリーンに当該色のみからなるカラー像を表示させるステップと、
当該色のみからなる当該カラー像を表示させつつ前記第1面を前記材料へ接近させ、前記電子ビームが前記磁界の強さおよび向きに応じてローレンツ力を受けることにより、前記第2面に前記磁界分布に対応した前記複数色からなるカラー像を形成させるステップと、
記憶手段に基準データとして記憶された欠陥のない前記材料の前記磁界分布に対応した前記カラー像を読み出すステップと、
形成された前記カラー像が前記基準データと異なるか否かを判定するステップとを含み、前記基準データと異なる場合に欠陥を有すると判定する、欠陥の検出方法。
【請求項9】
前記欠陥は、前記材料の表面に形成された傷、前記材料の内部に存在する空洞、応力による変形であり、前記基準データと異なる部分の位置および大きさから前記欠陥の位置および大きさを判断するステップをさらに含む、請求項8に記載の欠陥の検出方法。


























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−168517(P2009−168517A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4804(P2008−4804)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【Fターム(参考)】