説明

神経変性疾患を処置するための薬剤を得るための神経保護化合物の使用

本発明は、神経変性疾患の治療的処置及び/又はその疾患からもたらされる障害の出現の予防用の薬剤を得るための神経保護化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患を処置するために意図された医薬を得る上での神経保護化合物の使用に関する。
【0002】
人口の高齢化と共に、神経変性疾患の増加が、特にそれらが認知症及び/又は依存状態をもたらす場合に、主要な公衆衛生問題になっている。
【0003】
85歳以上の人々の数は、2050年には現在の4倍になるであろう。世界中で、神経変性性病変のうち最も頻度が高い、アルツハイマー病を患う人々の数は、1千5百万人と推定される。変性性認知症の75%が、アルツハイマー病によるものであり、それは、85歳以上の患者で認知症の96%の原因となっている。
【0004】
神経系は、いくつかの種類の細胞を含む:神経インパルスの伝達を担うニューロン、及びニューロンにより空きとして残された空間を占めるグリア細胞。肝臓又は皮膚の細胞とは異なって、ニューロンは互換性ではない。それらの各々は、全系の機能において特定の役割を演じる。したがって、様々な神経変性疾患は、異なるタイプ又は位置の神経細胞に影響を与え、異なる症候学をもたらし:パーキンソン病は、ドーパミン作動性ニューロンへの損傷の故であり、初期症状は、運動症状であり;多発性硬化症においては、希突起膠細胞、多種のグリア細胞で構成されるミエリン鞘の破壊が、神経インパルスの伝達のかく乱を生じ、これが運動性、言語及び記憶の重大な撹乱をもたらすものであり;アルツハイマー病においては、それは、本質的に、損傷された海馬のアセチルコリンニューロンであり、最初に記憶の低下をもたらす。
【0005】
神経変性疾患としては、したがって、それらの中でも、多様なニューロンの破壊(最もしばしば、未知の原因の)により引き起こされ、多様な症状を示す種々のものが挙げられる。最近の20年の科学の進歩にもかかわらず、処置は依然として純粋に一時しのぎのものであり:パーキンソン病では、ドーパミンの欠乏を補うために、レボドーパ及び/又はドーパミン作動性アゴニストが;アルツハイマー病では、アセチルコリンの分解を遅らせるために、抗コリンエステラーゼ剤が、症状を緩和するために、投与されている。しかしながら、症状の処置は、それらが生活の質を向上するとしても、継続するニューロン死による疾患の回避できない進行を阻止せず;パーキンソン病の最初の症状が現れた時に、ドーパミン作動性ニューロンの60〜80%がすでに破壊されていることが現在知られており(Jankovic J. et al., Parkinson's Disease and Movement Disorders. Urban/Schwarzenberg, Baltimore, MD, (1988), 95-119);アルツハイマー病の神経変性は、臨床的徴候が現れる20〜30年前に始まっていると考えられる(Davis L. et al., Neurology, (1988), 38, 1688-1693)。軽度認知機能障害(MCI)を含む、この初期段階において、記憶の軽微な撹乱が現れ、これは、アルツハイマー病への進行の可能性を初期にモニターするための警戒相となる。MCIから認知症の臨床的徴候を伴うアルツハイマー病への転化率は、1年あたり10〜15%である(Petersen R. C., Journal of Internal Medicine, (2004), 256, 183-194; Visser P.J., Scheltens P., Verhey F.R., J Neurol Neurosurg Psychiatry, (2005), 76, 1348-1354)。残念ながら、神経変性を停止させることを可能にする処置は、現在のところ存在しない。
【0006】
したがって、2003年に、米国の専門家らのグループ(M.A. Dichter and R.R. Locke, Expert Opin. Emerging Drugs (2003), 8(1), 267-271)は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳血管障害、心臓もしくは新生児手術後の中枢神経損傷、癲癇、脳もしくは脊髄外傷、及びまた、精神障害で見られるいくつかの神経変性性症状を含む様々な急性もしくは慢性の、神経変性性病変の間に生じるニューロンの損傷に共通ないくつかの機構の類似性に関心を寄せた。
【0007】
ニューロンの死の間に見出される共通の機構を考慮する目的は、新規な治療ストラテジーを開発するアプローチを提供することである。実際に、アルツハイマー病(Sellal F., Nieoullon A., Michel G. et al., Therapie, (2005), 60 (2), 89-107)、パーキンソン病(Rascol O., Goetz C., Koller W. et al., The Lancet, (2002), 359, 1589-1598; O. Rascol, Mouvements (2005), 1(1), 3-14)及びハンチントン病(Brusa L., Versace V., Koch G. et al., Annals of Neurology, (2005), 58 (4), 655-656)を考慮すると、専門家らは、現在の唯一の処置である対症処置の限界及びこれらの疾患の進行を遅らせることのこれまでの不可能性に繰り返し言及している。
【0008】
これらの神経変性疾患に共通する点は、アポトーシス又はプログラムされた細胞死によるニューロン死のプロセスである(Rao R. V., Bredesin D.E., Current Opinion in Cell Biology, (2004), 16, 653-662)。この最終相は、種々の経路の機能的障害により引き金が引かれ得る(Bredesen D.E., Rao R.V., Mehlen P., Nature, (2006), 443, 796-802)。
【0009】
アポトーシスは、ニューロンのみに影響を与えるものではない。グリア細胞に属する星状細胞は、中枢神経系において、単純な支持細胞であると長く考えられていた。今やこれらの細胞もまた、ニューロンに栄養を与え、神経細胞の活性に必要なエネルギーをそれらに供給し、系を輸送し再取り込みすることによりイオン及び神経伝達物質の点で、細胞外媒体のホメオスタシスを制御する上で役割を果たすことが、現在十分に確立されている。星状細胞は、シナプス伝達における活性なパートナーである(Takuma K., Baba A., Matsuda T., Progress in Neurobiology, (2004), 72, 112-127)。肥大/肥厚化(アストログリオーシス、astrogliosis)及び無制限増殖(アストロサイト増加)の星状細胞反応が、HIV認知症、脱ミエリン性炎症性病変、脳外傷、脳虚血/低酸素症、多発性硬化症、トリソミー21及びアルツハイマー病を含むウイルス感染のような多様な病変の間に観察される(Takuma K., Baba A., Matsuda T., Progress in Neurobiology, (2004), 72, 111-127)。星状細胞反応は、ニューロンの生存に必要な細胞外マトリックスの修復及び神経栄養の放出の開始を可能にして、病変性ストレスの初期相に有益であると考えられるが、活性化された星状細胞により産生される毒性メディエーターは、有害な効果をもたらし、数多くの神経変性疾患の病因に関与している(Aschner M., Neurotoxicology, (1998), 19, 269-281; Becher B., Prat A., Antel J.P., Glia, (2000), 29, 293-304)。
【0010】
アストログリオーシス及びアストロサイト増加の制限は、したがって、ニューロン生存に客観的に必要である。さらに、しかしながら、アストロサイト増加には、星状細胞のアポトーシスが続き、消失過程の星状細胞は、その周囲に対して毒性を有する(Lin J.H., Weigh H., Cortrina M.L. et al., Nature Neuroscience, (1998), 1 (6), 494-500)。星状細胞のアポトーシスを防止することは、したがって、神経保護に寄与する。
【0011】
これまで信じられてきたことに反して、ニューロン新生がヒト成人でも存在することを示すことができるようになったときに、新規なステップが取られた(Eriksson P.S., Perfilieva E., Bjoerk-Eriksson T. et al., Nature Medicine, (1998), 4(11), 1313-1317)。この発見は、探求された第一のアプローチが、成熟ニューロンをもたらすことができる幹細胞の移植である、神経変性疾患における修復療法への方途を拓く。しかしながら、領域に応じて、星状細胞の特定の下位集団が幹細胞及び前駆細胞特性を保持していることも発見されている(Noctor S.C., Flint A.C., Weissman T.A. et al., Nature, (2001), 409, 714-720)。これらの細胞の増殖及び分化を調節することにより成人のニューロン新生により引き起こされる内因性幹細胞のこの天然の貯蔵所を使用する可能性は、独創的且つより侵襲的ではない治療アプローチと思われる。分化因子を投与することによる幹細胞の内因性源を刺激することは、幹細胞の移植に対する賢明な別法を構成するであろう(Crespel A., Baldy-Moulinier M., Lerner Natoli M., Rev Neurol (Paris), (2004), 160(12), 1150-1158; Freundlieb N., Fransois C., Tande D. et al., The Journal of Neuroscience, (2006), 26(8), 2321-2325)。
【0012】
ゆっくり進行する神経変性性病変において、生理的なニューロン新生の減少という仮説は、特にアルツハイマー病について、考慮されている(Zitnik G., Martin G.M., Journal of Neuroscience Research, (2002), 70, 258-263)。胚幹細胞の移植は、すでにヒトで、パーキンソン病(Bjorklund A., Dunnett S.B., Brundin P. et al., Lancet Neurol, (2003), 2, 437-445)及びハンチントン舞踏病(Peschanski M., Dunnett S.B., Lancet Neurol, (2002), 1, 81)、並びに筋萎縮性側索硬化症(Silani V., Leigh N., Amyotroph Lateral Scler Other Motor Neuron Disord, (2003), 4, 8-10)において実施されている。しかしながら、内因性幹細胞の刺激は、動物での実験段階に過ぎない。
【0013】
意図が神経変性疾患の進行を遅らせること(神経保護)か、さらには、病変を修復すること(ニューロン新生)であるかのいずれでも、薬剤療法の適用は、現在まったく存在しない。この挫折の原因及び新規な治療アプローチの発見の必要性が、近年、パーキンソン病について述べられている(Waldmeier P., Bozyczko-Coyne D., Williams M. et al., Biochemical Pharmacology, (2006), 72, 1197-1106)。
【0014】
より一般的には:
・これらの疾患の根本での分子生物学的異常に関連する主な科学的進歩は、未だ、治療法とはなされていない。例えば、パーキンソン病の原因は、未知のままである。
【0015】
・治療モデルは、ヒトの疾患をそのとおりに再現していない。したがって、アポトーシスの減少及び小グリア細胞性炎症の低下という分子生物学的表現で十分に描写されている作用機作で、動物での神経保護を示す非常に有望な結果にもかかわらず、CEP−1347は、臨床試験で、パーキンソン病を遅らせる代わりに、その進行を促進した(Shoulson I., Parkinson Study Group, PRECEPT Investigators, Neurology, (2006), 67, 185; Lund S., Porzgen P., Mortensen A.L., et al., Journal of Neurochemistry, (2005), 92, 1439-1451)。製品の開発は、一時中断された。トランスジェニックマウスの創製と共に、アルツハイマー病において、その疾患に関与している特定数の遺伝子変異の同定に基づいて、相当の進歩が1995年の時点でなされた。しかしながら、これらのマウスは、アルツハイマー病の生理病理学的経路の知識についてなされた進歩をもたらしたが、新規な薬理学的化合物を評価することは、これらのモデルが神経病理学的病変の一部のみ又はアルツハイマー病で観察される認知欠損の一部のみを再現するという問題に悩まされている(Sellal F., Nieoullon A., Michel G. et al., Therapie, (2005), 60(2), 89-107)。特に、これらのモデルは、「アミロイド」又は「タウオパシー」型病変を再現できるが、ニューロン死を自動的には伴わない。トランスジェニックルートでは誘発されないそれらの病変については、引き起こす方法は人工的であり、ヒトの疾患をそのままに再現していない:パーキンソン病について毒性剤(6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)又はメチルフェニルテトラヒドロピリジン(MPTP))の投与、脳血管障害をシミュレートする標準化された結紮又は閉塞、癲癇及びそれに続くニューロン損傷を引き起こす電気刺激又はグルタミン酸作動性アゴニスト(Dichter M.A., Locke R.E., Expert Opinion Emerging Drugs, (2003), 8(1), 267-271)。
【0016】
・臨床の状況で神経保護効果を証明することは、間接的な基準に基づいてのみ行うことができ、その有効性は、臨床的基準に相関させることにより行われる。パーキンソン病において、ポジトロン放出断層撮影(PET)による6−18フルオロ−l−ドーパ(FTD)の再取り込み速度を減少させることによる線条体機能低下をヒトで示す最初の刊行物は、1996年を端緒とする(Morrish P.K., Sawle G.V., Brooks D.J., Brain, (1996), 119, 2097-2103)。しかしながら、ドーパミン輸送体(DAT)の濃度を評価することを本当に可能としたのは、β−CIT(2β−カルボメトキシ−3β−[4−ヨードフェニル]トロパン)であり、これは、黒質線条体系の機能的な一体性を直接反映する(Marek K., Innis R., van Dyck C. et al., Neurology, (2001), 57, 2089-2094)。β−CIT(DaTSCAN)は、2000年7月に、欧州当局により認可された。
【0017】
アルツハイマー病において、同じ手法(FTD−PET)を用いて同定される側頭頭頂の代謝低下は、アルツハイマー病を他の認知症から区別し、MCIからアルツハイマー病への進行を予測することを可能とする(Silverman D.H.S., Small G.W., Chang C.Y. et al., JAMA, (2001), 286(17), 2120-2127; Minoshima S., Foster N.L., Sima A.A. et al., Annals of Neurology, (2001), 50, 358-365; Arnaiz E., Jelic V., Almkvist O. et al., Neuroreport, (2001), 12, 851-855; Chetelat G., Desgranges B., de la Sayette V. et al., Neurology, (2003), 60, 1374-1377)。この研究の刊行物は、2001年を端緒とする。
【0018】
・神経変性性病変におけるニューロン生存を維持する上での星状細胞の役割を考慮に入れることは、最近である(Takuma K., Baba A., Matsuda T., Progress in Neurobiology, (2004), 72, 111-127)。
【0019】
・そうであっても、ニューロン再生の可能性は、最近の考えである(Eriksson P.S., Perfilieva E., Bjork-Eriksson T. et al., Nature Medicine, (1998), 4(11), 1313-1317)が、臨床的応用は、未だなされていない。
【0020】
損傷された線条体に、グリア系由来の神経栄養因子(GNDF)成長因子を注入するヒトでの最初の試みは、動物での有望な結果にもかかわらず、第II相試験で有意な結果が存在せず、Amgen社により一時中断された(Lang A.E., Gill S., Patel N.K. et al., Annals of Neurology, (2006), 59, 459-466)。その投与の侵襲的性質を強調する必要があり、脳内カテーテルは、腹部ポンプにより供給される。
【0021】
神経変性疾患に対する薬理学的なアプローチを覆す、これらの新しい考えの全ては、健康当局が臨床試験中の薬剤の効能の証明を管理する勧告を改訂することの責任を負う、臨床の状況において、自ずと明らかになっている。これまで、これらの当局は、症状基準にのみ基づいて判断できると考えていた。現在、彼らは、新たな、神経保護的に照準された治療アプローチを認知しつつある。その一例として、2005年11月に、欧州医薬局(European Medicines Agency (EMEA))は、パーキンソン病における勧告の改訂のためのワーキンググループを立ち上げた。アルツハイマー病においては、同じ日に創設されたワーキンググループが、この疾患の進行を停止することを確認する手段を決定しようとしている。
【0022】
したがって、神経変性疾患の進行を停止し、更には、損傷された脳の領域を再生することは、現在も依然として、人口の高齢化に伴う神経変性疾患の増加をチェックするために、未だ到達されていない主要な目的として残されている。
【0023】
特許出願は、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)誘起特性についての独自化合物に向けられてきている。THは、中枢のカテコールアミン作動性及びドーパミン作動性ニューロンにおける伝達物質の合成を特に調節する律速酵素であることが知られている。したがって、これらの化合物は、これらの神経伝達物質の合成の不足を補償し、且つその不足に伴う症状を処置することを可能にする。
【0024】
科学的な知識及び調査の手段の進歩に伴い、驚くことに、これらの化合物のいくつかは、神経保護特性を有することが示されている。したがって、それらは、神経変性疾患の進行を停止することができ、実際に、ニューロン新生を誘発し、それにより損傷された脳の領域を修復することさえできる。
【0025】
本発明は、より詳細には、神経保護特性を有する独自化合物の使用に関し、その化合物は、したがって、アルツハイマー病、MCIなどの認知症の初期型、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患、病的老化、血栓起源、出血起源もしくは心臓手術後の脳血管障害等の中枢潅流欠陥、癲癇、心臓もしくは新生児手術後の中枢神経系への損傷、癲癇、脳及び脊髄外傷、並びにまた、うつ病、統合失調症、自閉症、失読症、老年性認知症、ウイルス病(HIV)もしくはプリオン病、注意欠陥他動症(ADHD)等の精神障害で見られる神経可塑性の現象のある種の神経変性病状、並びにまた未成熟幼児の脳室周囲白質軟化症の障害、老化、高血圧に関連し、認知症をもたらす脳白質の萎縮、及び白質病変の障害等の白質の全ての病状の処置に有用である。
【0026】
本発明による化合物は、また、神経変性疾患から生じる障害の出現の予防に有用である。
【0027】
本発明による神経保護化合物は、より特定的には、特許出願EP0658557に記載の式(I):
【0028】
【化1】


[式中、
− R、R、R及びRは、同じであるか又は異なってよく、互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子、ヒドロキシ基、
場合により、1個以上のハロゲン原子、又は、アミノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基又は場合により置換されているアリール基で置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、
場合により、1個以上のハロゲン原子、又は、アミノ基、ニトロ基、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基で置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基を表すか、あるいは
、R、R及びRは、対になって、隣接する炭素原子に担持されているものが、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成し、
− R及びRは、各々、互いに関してシス配置を有する水素原子を表すか、又はそれらは一緒になって結合を形成し、
− R及びRは、各々、互いに関してシスもしくはトランス配置を有する水素原子を表すか、又は、R及びRが一緒になって結合を形成する場合、それらは一緒になって結合を形成し、
− Aは、下記の二価の基:
【0029】
【化2】


を表し、
− Zは、酸素原子又は硫黄原子を表し、
− Rは、水素原子、あるいは場合により、1個以上のハロゲン原子、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、−NR1011基、又はフェニル基(場合により、1個以上のハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基で置換されている)で置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、ここで、これらのアルキル基又はアルコキシ基は、場合により、1個以上の場合により置換されているアリール基で置換されており、
− R10及びR11は、同じであるか又は異なってよく、互いに独立に、水素原子、あるいは、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基を表す]
で示される化合物である。
【0030】
より更に好ましくは、本発明による式(I)の神経保護化合物は:
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−クロロ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−クロロ−14−メチル−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−14−ベンジル−10−クロロ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−クロロ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムジクロリド、
・(3RS,16RS)−10−クロロ−14,15−ジヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−ブロモ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−メトキシ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−11−メトキシ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10,11−ジメトキシ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−トリフルオロメトキシ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10,11−メチレンジオキシ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−メチル−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−11−メチル−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−クロロ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−チオン、
14,15−ジヒドロ−3,16−ジデヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・trans−(3RS,16RS)−14,15−ジヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・trans−(3RS,16RS)−14,15−ジヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムジクロリド、
・(2SR,7RS),(3RS,16RS)−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムジクロリド、
・(1aRS,12bRS),(7aSR,12aRS)−9−クロロ−1a,2,3,6,7,7a,12a,12b−オクタヒドロ−1H,4H−ベンゾ[5,6]ピロリジノ[2,1,7−ija]キノリジン−1−オン、
・(1aRS,12bRS),(7aSR,12aRS)−9−メチル−1a,2,3,6,7,7a,12a,12b−オクタヒドロ−1H,4H−ベンゾ[5,6]ピロリジノ[2,1,7−ija]キノリジン−1−オン、
・(1aRS,12bRS),(7aSR,12aRS)−9−メトキシ−1a,2,3,6,7,7a,12a,12b−オクタヒドロ−1H,4H−ベンゾ[5,6]ピロリジノ[2,1,7−ija]キノリジン−1−オン、
・(2RS,7SR),(3RS,16RS)−14−ベンジル−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
・trans−(3RS,16RS)−14−ベンジル−14,15−ジヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニン−15−オン、
それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0031】
より更に好ましい態様において、本発明による式(I)の神経保護化合物は、(+)−(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−クロロ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエバルナメニニウムクロリド及びまた、薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0032】
本発明による他の神経保護化合物は、より特定的には、式(II):
【0033】
【化3】


{式中、
− Aは、下記の二価の基:
【0034】
【化4】


[式中、
・ Zは、酸素原子又は硫黄原子を表し、
・ Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、C(O)−AA(ここで、AAは、アミノ酸基を表す)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシカルボニル基、CHR’−O−C(O)−R”(式中、R’は、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、そしてR”は、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基、アリール基、アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(1個以上のハロゲン原子、1個以上のヒドロキシ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で場合により置換されているアミノ基で置換されている)を表す)を表す]を表し、
− 環Bにおいて、
------ は、単結合又は二重結合を表し、
− 環Cにおいて、
------ は、単結合又は二重結合を表し、環Cは多くとも、1個のみの二重結合を含有し、
− R、R、R及びRは、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基、アミノ基(場合により、1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基及び/又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基で置換されており、アルキル基及びアルケニル基は、同じ又は異なることができる)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(1個以上のハロゲン原子、1個以上のヒドロキシ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は場合により1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されているアミノ基で置換されている)を表し、
− Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、アミノアルキル基(ここで、アルキル部分が1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖である)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル基を表し、
− X及びYは、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
− R、R、R及びRは、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、ヒドロキシ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基、アミノ基(1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で場合により置換されている)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、及び場合により1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されているアミノから選択される1個以上の基で置換されている)を表し、
Aが、置換基R、R、R、R又はYの一つを有する炭素原子で環Cに結合し、また、該結合している炭素原子が二重結合をも有するとき、対応する置換基R、R、R、R又はYは存在しないと理解され、
− Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基;アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である);直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基;直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル基;直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(ヒドロキシ、アミノ(場合により、1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されている)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、及びNR(ここで、R及びRは、それらを有する窒素原子と一緒になって、場合により複素環内に1個以上の二重結合を含み、かつ場合により環系に酸素原子及び窒素原子から選択される第二のヘテロ原子を含む、場合により置換されている4〜8員の複素環を形成する)から選択される1個以上の基で置換されている);あるいは、アルキル鎖と同じ基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル鎖又はアルキル鎖と同じ基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル鎖を表す}
で示される化合物である。
【0035】
より更に好ましくは、本発明による式(II)の神経保護化合物は:
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・1−メチル−N−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−フルオロ−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
N−(5−メトキシ−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(2,3−ジメチル−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(2,3−ジメチル−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−4−カルボキサミド、
・1−アリル−N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−ピペリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−ピペリジン−3−カルボキサミド、
・3−[(1H−インドール−1−イルアミノ)カルボニル]−1−メチルピペリジニウムクロリド、
・N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボキサミド、
・1−メチル−N−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−ピペリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−1−プロピル−ピペリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−(1H−インドール−1−イル)−1,2,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−1,4,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−(1H−インドール−1−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−(1H−インドール−1−イル)−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[2−(4−モルホリニル)エチル]−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[2−(1−ピペリジニル)エチル]−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)エチル]−3−ピペリジンカルボキサミド、
・1−{2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エチル}−N−(1H−インドール−1−イル)−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[2−(1−ピロリジニル)エチル]−3−ピペリジンカルボキサミド、
・1−[2−(1−アゼパニル)エチル]−N−(1H−インドール−1−イル)−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[2−(4−フェニル−1−ピペラジニル)−エチル]−3−ピペリジンカルボキサミド三塩酸塩、
・N−(1H−インドール−1−イル)−N−({1−[2−(1−ピペリジニル)エチル]−3−ピペリジニル}メチル)アミン三塩酸塩、
・N−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1,4,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−1−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−ピペリジンカルボキサミド二塩酸塩、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−1,4,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・1−(2−ヒドロキシエチル)−N−(1H−インドール−1−イル)−1,4,5,6−テトラヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、
・N−(インドール−1−イル)−N−[(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−イル)メチル]アミン二塩酸塩、
・1−ベンジル−N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−3−ピペリジンカルボキサミド、
・3−{[(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)アミノ]カルボニル}−1−メチルピペリジン塩酸塩、
・(3R,4S)−3−(4−フルオロフェニル)−N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチルピペリジン−4−カルボキサミド、
・(3R,4R)−3−(4−フルオロフェニル)−N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチルピペリジン−4−カルボキサミド、
・4−(2−{3−[(1H−インドール−1−イルアミノ)カルボニル]−1−ピペリジニル}エチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、
・1−[3−(ジメチルアンモニウム)プロピル]−3−[(1H−インドール−1−イルアミノ)カルボニル]ピペリジニウム二塩酸塩、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[3−(1−ピペリジニル)プロピル]−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(1H−インドール−1−イル)−1−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(5−クロロ−1H−インドール−1−イル)−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−ピペリジンカルボキサミド、
・1−(3−ヒドロキシプロピル)−N−(1H−インドール−1−イル)−3−ピペリジンカルボキサミド、
・N−(インドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−クロロインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−メトキシインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−メトキシルインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−5−カルボキサミド、
・N−(5−メチルインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(5−メチルインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−5−カルボキサミド、
・N−(インドール−1−イル)−1−[2−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(インドール−1−イル)−1−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・N−(インドール−1−イル)−1−[2−[3−(エトキシカルボニル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−[4−[(テトラヒドロフラン−2−イル)メチル]ピペラジン−1−イル)]エチル]ピペリジン−3−カルボキサミジル三塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−[4−[2−(ジメチルアミノ)エチル]ピペラジン−1−イル)]エチル]−ピペリジン−3−カルボン酸エチル四塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−[4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)]エチル]ピペリジン−3−カルボキサミド三塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル)]エチル]ピペリジン−3−カルボキサミド四塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[3−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル)]プロピル]ピペリジン−3−カルボキサミド三塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)1−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ブチル]ピペリジン−3−カルボキサミド三塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル)]ブチル]ピペリジン−3−カルボキサミド三塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−(4−ブチルピペラジン−1−イル)]エチル]ピペリジン−3−カルボキサミド三塩酸塩、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−アリルピペリジン−3−カルボキサミド、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−(プロパ−2−イニル)ピペリジン−3−カルボキサミド、
・(±)−N−(インドール−1−イル)−1−[4−(ピペリジン−1−イル)ブタ−2−エン−1−イル]−ピペリジン−3−カルボキサミド、
・(R又はS)(−)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]ピペリジン−3−カルボキサミド 鏡像異性体1、
・(R又はS)(+)−N−(インドール−1−イル)−1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]ピペリジン−3−カルボキサミド 鏡像異性体2、
それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0036】
より更に好ましい態様において、本発明による式(II)の神経保護化合物は、N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド及びN−(5−クロロインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド、並びにまた、薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0037】
本発明による他の神経保護化合物は、より特定的には、式(III):
【0038】
【化5】


[式中、
− Rは、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル基を表し、
− Rは、水素原子を表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− Rは、水素原子を表し、
− Rは、水素原子、又は、メチル、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル基、アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、又はヘテロシクロアルキル−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)を表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− R、R、R及びRは、同一であるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子を表すか、
又はジェミナル置換基の一対(RとR及び/又はRとR)は、オキソ基、チオキソ基又はイミノ基を形成し、
− Rは、水素原子もしくはハロゲン原子、あるいは、場合により置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基又はアミノ基(場合により、1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基で置換されており、アルキル及びアルケニルは、同一であるか又は異なっていることができる)を表し、
− R10及びR11は、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基又はアミノ基(場合により、1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基で置換されており、アルキル及びアルケニルは、同一又は異なることができる)を表し、
− nは、0〜4の整数(0、1、2、3又は4を含む)を表し、
− mは、0〜2の整数(0、1又は2を含む)を表し、
− pは、0〜3の整数(0、1、2又は3を含む)を表し、
− Xは、基NR12を表し、
− R12は、水素原子又は、場合により置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、場合により置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基、アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基を表す]
で示される化合物である。
【0039】
より更に好ましくは、本発明による式(III)の神経保護化合物は:
・(5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オン、
・(5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−7−クロロ−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン、
・(12aRS,12bRS)−7−クロロ−2,3,12a,12b−テトラヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン、
・(5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン、
・(5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン(鏡像異性体α)、
・(5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン(鏡像異性体β)、
・(12aRS,12bRS)−2,3,12a,12b−テトラヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン、
それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0040】
より更に好ましい態様において、本発明による式(III)の神経保護化合物は、(5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン、及びまた、薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0041】
本発明による他の神経保護化合物は、より特定的には、式(IV):
【0042】
【化6】


[式中、
− Xは、CO又は
【0043】
【化7】


を表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル、アリール−(C〜C)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)を表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキルを表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキルを表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキルを表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキルを表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキルを表し、
− R、Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、アリール−(C〜C)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル、1以上のヒドロキシ、シアノ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、NR1314で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖、アルキル鎖について定義されたものと同じ置換基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル鎖、又はアルキル鎖について定義されたものと同じ置換基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル鎖を表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素及び窒素原子と一緒になって、基R12で場合により置換されている、5、6又は7環員の複素環を形成するか、あるいは
とRは、それらを有する炭素及び窒素原子と一緒になって、基R11で場合により置換されている、5、6又は7環員の複素環を形成し、
2つのグループ「RとR」と「RとR」のうち、必然的に1つ(但し、1つだけ)は、それらを有する炭素及び窒素原子と一緒になって、基R11で場合により置換されている、5、6又は7環員の複素環を形成すると理解され、
− Rは、水素、ハロゲン、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル、NR1516、あるいは、1個以上のハロゲン、1個以上のヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、又はNR1516で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖を表し、
− nは、整数0、1、2、3又は4を表し、
− R10は、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル、アリール−(C〜C)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル、あるいは、1個以上のハロゲン原子、1個以上の基ヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、又はNR1516で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖を表し、
− R11、R12は、同一であるか又は異なってよく、−COOT基又は−CHO−U基(ここで、T及びUは、同一であるか又は異なってよく、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表す)を表し、
− R13、R14は、同一であるか又は異なってよく、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表すか、あるいはそれらを有する窒素原子と一緒になって、場合により複素環に二重結合を含み、場合により環系に酸素原子及び窒素原子から選択される第二のヘテロ原子を含む、場合により置換されている4〜8員の複素環を形成し、
− R15、R16は、同一であるか又は異なってよく、各々、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基を表すが、
(3aSR,4SR)−3−ベンジル−4−エチル−2,3,3a,4−テトラヒドロベンゾ[b]ピリド[2,3,4−gh]ピロリジン−5(1H)−オンは、本発明の一部を構成しないことが理解される]
で示される化合物である。
【0044】
より更に好ましくは、本発明による式(IV)の神経保護化合物は:
・(4aSR,11aSR,11bRS)−1−メチル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]−ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aSR,11aRS,11bSR)−1−アリル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ−[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aSR,11aSR,11bRS)−1−メチル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]−ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aSR,11aSR,11bRS)−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロ−1,6,6a−トリアザ−ベンゾ[a]フルオレン−5−オン、
・(4aSR,11aSR,11bRS)−(5−オキソ−3,4,4a,11,11a,11b−ヘキサヒドロ−2H,5H−ピリド[2’,3’:3,4]−ピロロ[1,2−a]インドール−1−イル)アセトニトリル、
・(3aSR,6aRS,10cRS)−4−プロピル−(3a,4,5,6,6a,10c−ヘキサヒドロ)−3H−1,4,10b−トリアザフルオランテン−2−オン、
・(3aRS,6aSR,10cRS)−4−プロピル−(3a,4,5,6,6a,10c−ヘキサヒドロ)−3H−1,4,10b−トリアザフルオランテン−2−オン、
・(4aSR,11aRS,11bSR)−1−アリル−9−メトキシ−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド−[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aSR,11aSR,11bRS)−9−フルオロ−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]−ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aSR,11aSR,11bRS)−9−クロロ−1−メチル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド−[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・1,9−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(11aRS)−1,9−ジメチル−1,2,3,4,11,11a−ヘキサヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aS,11aR,11bS)−1−アリル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aR,11aS,11bR)−1−アリル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(3aRS,10bSR,10cRS)−3−ベンジル−2,3,3a,4,10b,10c−ヘキサヒドロベンゾ[b]ピリド[2,3,4−gh]−ピロリジン−5(1H)−オン、
・(4aSR,11aSR,11bRS)−1−アリル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]−ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aS,11aS,11bR)−1−メチル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aSR,11aRS,11bSR)−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−5−オン、
・(4aR,11aR,11bS)−1−メチル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピロロ−[1,2−a]インドール−5−オン、
それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0045】
以下のことが理解される:
【0046】
アリールは、フェニル基又はナフチル基を意味し、各々は場合により、1個以上のハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基で置換されており、
【0047】
アミノ酸基は、基アラニル、アルギニル、アスパラギニル、α−アスパルチル、システイニル、α−グルタミル、グルタミニル、グリシル、ヒスチジル、イソロイシル、ロイシル、リジル、メチオニル、フェニルアラニル、プロリル、セリル、スレオニル、トリプトフィル、チロシル、及びバリルを意味し、
【0048】
アリールアルキルは、アルキル基が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖を示し、アリール基が、場合により置換されているフェニル基又はナフチル基を示す、アリール−アルキル基を意味し、
【0049】
場合により複素環中に1個以上の二重結合を含み、かつ場合により環系に酸素原子及び窒素原子から選択される第二のヘテロ原子を含む、場合により置換されている4〜8員の複素環として、限定を意味するものではないが、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、ピペラジン及びモルホリンが挙げられ、これらの複素環は、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、CO、CO−R−NRR’、CO−R−OR(ここで、Rは、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、R’は、Rと同義であり、Rは、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキレン鎖を表す)、アリール、アリールオキシカルボニル、直鎖状もしくは分枝状アリール−(C〜C)アルコキシ−カルボニル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキル、場合により置換されているヘテロシクロアルキルアルキル、及び、アミノアルキル(ここで、アルキル部分が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖であり、アミノ部分が1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で場合により置換されている)から選択される1個以上の同一又は異なる基で場合により置換されており(ピペラジンの第二の窒素原子上を含む)、
【0050】
シクロアルキルは、飽和の、4〜8員の、単環の基を意味し、
【0051】
シクロアルキルアルキルは、アルキル基が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖を示し、シクロアルキル基が、飽和の、4〜8員の、単環の基を示す、シクロアルキル−アルキル基を意味し、
【0052】
ヘテロシクロアルキルは、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2個のヘテロ原子を含む、飽和の、4〜8員の、単環の基を意味し、
【0053】
ヘテロシクロアルキルアルキルは、アルキル基が、1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖を示し、ヘテロシクロアルキル基が、窒素、酸素及び硫黄から選択される1又は2個のヘテロ原子を含む、飽和の、4〜8員の、単環の基を示す、ヘテロシクロアルキル−アルキル基を意味し、
【0054】
シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルアルキルに言及するときの、表現「場合により置換されている」は、それらの基が、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、カルボキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ−カルボニル、及び、アルキル部分が1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖であり、かつアミノ部分が場合により1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されているアミノアルキルから選択される、1個以上の同一又は異なる置換基で置換されていてもよいことを意味し、
【0055】
直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基又はアリールアルキル基に言及するときの、表現「場合により置換されている」は、これらの基が、1個以上のハロゲン原子で又は1個以上のヒドロキシ基で、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状の同一もしくは異なる(C〜C)アルキル基で場合により置換されているアミノ基で置換されていてもよいことを意味し、
【0056】
5、6又は7環員の複素環は、5、6又は7個の辺を有し、窒素及び酸素から選択される1又は2個のヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和の単環の基を意味し;ピロリジン、ピペリジン、アゼパン及びピリジンが挙げられ、
【0057】
α、β、γ及びδは、式(III)及び(IV)の化合物中に存在しうるキラル中心を意味し、
【0058】
化合物の名称がその後に続く、表記(5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−は、得られた生成物が、ラセミ混合物であり、したがって、双方の配置が可能であることを意味し;
例として:
(5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オンは、得られた生成物(ラセミ混合物)が、(5aR,12aS,12bS,12cS)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オン及び(5aS,12aR,12bR,12cR)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オンを含むことを意味する;
【0059】
化合物の名称がその後に続く、表記(5aR,12aS,12bS,12cS)−又は(5aS,12aR,12bR,12cR)−は、得られた生成物が、光学的に純粋な鏡像異性体であることを意味し;
例として:
(5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オンは、得られた生成物(光学的に純粋な鏡像異性体)が、(5aS,12aR,12bR,12cR)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オン又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オンであることを意味する;
【0060】
鏡像異性体α及び鏡像異性体βは、対応するラセミ混合物の光学的に純粋な鏡像異性体を意味し;
例として:
(5aR,12aS,12bS,12cS)−又は(5aS,12aR,12bR,12cR)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オン(鏡像異性体α)は、鏡像異性体αが、(5aR,12aS,12bS,12cS)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オンを表すとき、鏡像異性体βは、(5aS,12aR,12bR,12cR)−7−クロロ−2,3,4,5,5a,10,11,12a,12b,12c−デカヒドロ−1H,12H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−12−オンを表すことを意味する。
【0061】
本発明による他の神経保護化合物は、より特定的には、式(V):
【0062】
【化8】


[式中、
− R及びRは、同じであるか又は異なってよく、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
− Rは、水素原子もしくはハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基を表し、
− Hetは、ハロゲン、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル及び直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシから選択される1個以上の基で場合により置換されている、ピリジル、ピリミジニル又はピペリジル基を表し、
------ は、単結合又は二重結合を表し、
は、それが可能なインドール/インドリン環の炭素のいずれかに結合しうると理解される]
で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩である。
【0063】
より更に好ましくは、本発明による式(V)の神経保護化合物は:
・N−(1H−インドール−1−イル)−N’−(3−ピリジル)ウレア
・N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−N’−(3−ピリジル)ウレアである。
【0064】
本発明は、また、活性成分として、少なくとも1つの神経保護化合物、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体、又は薬学的に許容しうる酸又は塩基とのその付加塩の一つを、単独で又は一つ以上の薬学的に許容しうる、不活性で非毒性の賦形剤又は担体と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。
【0065】
それにより得られる医薬組成物は、一般に、投与形態で提供され、例えばそれらは、錠剤、糖衣錠、カプセル、坐剤、注射可能又は飲用可能な溶液の形態であってもよく、経口、経直腸、筋肉内、又は非経口経路で投与しうる。
【0066】
本発明による医薬組成物としては、より特定的には、経口、非経口(静脈内、筋肉内又は皮下)、経皮もしくは経皮的、経膣、経直腸、経鼻、舌下、口腔内、眼内又は呼吸器投与に適したものが挙げられる。
【0067】
非経口注射用の本発明による医薬組成物としては、特に、水性及び非水性滅菌溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液、ならびに注射可能な溶液又は分散液の再構成用の滅菌粉末が挙げられる。
【0068】
固体経口投与用の本発明による医薬組成物としては、特に、錠剤又は糖衣錠、舌下錠、サシェ、カプセル及び顆粒が挙げられ、液体経口、経鼻、口腔内又は眼内投与用では、特に、乳濁液、溶液、懸濁液、ドロップ、シロップ及びエアゾールが挙げられる。
【0069】
経直腸又は経膣投与用の医薬組成物は、好ましくは、坐剤又はオビュール剤(ovules)であり、経皮もしくは経皮的投与用のものとしては、特に、粉末、エアゾール、クリーム、軟膏、ゲル及び貼付剤が挙げられる。
【0070】
上述の医薬組成物は、本発明を例示しており、それを限定するものではない。
【0071】
薬学的に許容しうる、不活性で非毒性の賦形剤又は担体では、例として、限定を意味するものではないが、希釈剤、溶剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、結合剤、膨潤剤、崩壊剤、遅延剤、滑剤、吸収剤、懸濁剤、着色剤、香料などが挙げられる。
【0072】
有用な投与量は、患者の年齢及び体重、投与経路、用いる医薬組成物、障害の性質及び重症度、関連の処置の投与に応じて変動する。投与量は、1回以上の投与で1日あたり0.1mg〜100mgの範囲内である。
【0073】
以下の実施例は、本発明を例示しており、一切それを限定するものではない。
【0074】
用いた出発原料は、公知の製品であるか、又は公知の手順により製造される。様々な調製例により、本発明の化合物の製造に有用な合成中間体が生成される。
【0075】
実施例及び調製例に記載された化合物の構造は、通常の分光法(赤外、核磁気共鳴、質量分析など)により決定した。
【0076】
融点は、TOTTOLI装置を用いて測定した(応急的なカラム補正は行なわなかった)。化合物が塩の形態である場合、融点は、塩形態の化合物のそれに対応する。
【0077】
調製1: O−ジフェニルホスフィニルヒドロキシルアミン
ヒドロキシルアミン塩酸塩149.44gの水溶液(水340ml)に、水酸化ナトリウム72.75gの溶液(水290ml)及び1,4−ジオキサン960mlを加えた。混合物を−15℃に冷却し、次に15分間後、ジオキサン725ml中のジフェニルホスフィニルクロリド180gの溶液を機械的に撹拌しながら一度に加えた。
【0078】
5分間後、水3リットルを一度に加えた。白色の沈殿物が形成し、それを濾別し、次に0℃で0.25M 水酸化ナトリウム溶液に取った。混合物を0℃で30分間機械的に撹拌した後、再び濾過した。沈殿物を減圧下(五酸化リン)で乾燥させ、目的生成物72.5gを得た。
融点:104℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 61.80 5.19 6.01
実測値 61.20 5.07 5.72
【0079】
調製2: N−アミノインドール
DMF1.3リットル中の粉砕した水酸化カリウム177.72gの懸濁液に、インドール21.85gを加え、次にDMF1.3リットル中の調製1の化合物72.5gの懸濁液を一度に加えた。高粘度の混合物を、機械的に撹拌しながら60〜70℃の間で3時間30分加熱し、次に高温の間に、氷冷水3.5リットル中に注いだ。冷却した後、得られた溶液を、エチルエーテル1.5リットルを使用して三回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/エーテル:80/20、次に50/50)により目的生成物16.5gを得ることができた。
融点:35℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 72.70 6.10 21.20
実測値 72.68 6.14 21.17
【0080】
調製3: 5−クロロ−N−アミノインドール
調製2の手順に従って、インドールの代わりに5−クロロインドールを使用して、生成物を得た。
融点:46℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 57.61 4.23 16.81
実測値 57.51 4.41 16.68
【0081】
調製4: 1−(2−クロロエチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル
工程A: グバシン塩酸塩
アレコリン臭化水素酸塩7gを、水20mlに溶解し、炭酸カリウム5.13gを加えることにより、溶液をアルカリ性にし、次にNaClで飽和させた。水相をジエチルエーテルで三回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に重量4.7gの無色の油状物を得るまで蒸発させた。油状物をトルエン20mlに取った;溶液は混濁していた。硫酸ナトリウムを加え、濾過した後、不溶性物質をトルエン13mlで洗浄した。クロロギ酸1−クロロエチル3.92mlを、有機溶液に加えた。沈殿物が形成され、反応混合物を12時間トルエンの還流温度で加熱した。沈殿物を濾別し、次に有機相を0.1M 塩酸水溶液で洗浄し;水相をジエチルエーテルで一回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で蒸発させた。残留物をメタノール25mlに取り、2時間加熱還流した。メタノールを減圧下で蒸発させ、目的生成物3.8gを収率73%で得た。グバシン塩基は水に塩酸塩を溶解させ;pH10に達するまで炭酸カリウムを加えることにより水相をアルカリ性にし、それをNaClで飽和させることにより得られた。水相をジエチルエーテルで三回抽出し、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に無色の油状物3gを得るまで蒸発させた。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 47.33 6.81 7.89
実測値 47.38 6.93 7.83
【0082】
工程B: 1−(2−クロロエチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル
アセトン12ml中の上記工程Aの化合物530mgの懸濁液に、トリエチルアミン2.53ml及び1−ブロモ−2−クロロエタン1.1mlを加えた。混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次に8時間加熱還流した。それを減圧下で蒸発させ、ジクロロメタンに取り、炭酸カリウム水溶液で洗浄した。水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で蒸発させた。残留物を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/AcOEt:7/3)により精製して、目的化合物430mgを得た。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 53.08 6.93 6.88
実測値 53.74 7.22 6.72
赤外(νcm−1):
2951;2917;2811(ν C−H);2767(ν N−CH);1709(ν C=O);1657(ν C=C);1462;1436(δ C−H);1375(ν C−N);1261(ν C−O)。
【0083】
調製5: 1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチル
70%エタノール水溶液5ml中の調製4の化合物320mgの溶液に、1−メチルピペラジン540μLを加えた。溶液を周囲温度で72時間撹拌し、次に減圧下で蒸発させた。残留物をジクロロメタンに取り、炭酸ナトリウム水溶液で二回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、目的化合物320mgを得た。
赤外(νcm−1):
2938(ν C−H);2793(ν N−CH);1712(ν C=O);1657(ν C=C);1438(δ C−H);1373(ν C−N);1262(ν C−O)。
【0084】
調製6: 1,2−ビス[3−(エトキシカルボニル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]−エタン
メタノール10ml中の調製4の工程Aの化合物900mgの溶液に、2−ブロモクロロエタン0.32mlを、続いてトリエチルアミン1.6mlを加えた。混合物を20時間加熱還流し、減圧下で蒸発させた。残留物をジクロロメタンに溶解し、炭酸カリウム飽和水溶液で抽出した。水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt、次にAcOEt/MeOH:95/5〜90/10)により、目的生成物500mgを得ることができた。
融点:77℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 61.13 7.91 8.91
実測値 61.17 7.76 8.80
赤外(νcm−1):
2950;2908(ν C−H);2807(ν N−CH);1708(ν C=O);1656(ν C=C);1435(δ C−H);1351(ν C−N);1258(ν C−O)。
【0085】
調製7: (RS)−2−[(2SR,3SR)−3−(メトキシカルボニル)−1−アリルピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
工程A: 1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−インドール−2−イル−2−ボロン酸
2M LDA溶液75mlを、無水THF 120ml中の1H−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチル25g及びホウ酸トリイソプロピル32.4gの溶液に窒素雰囲気下、0℃で滴下した。撹拌を40分間保持した後、2M 塩酸水溶液200mlを加えた。pHを、濃水酸化アンモニウム溶液を加えることにより、pH=7に調整した。相を分離した後、水相を酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。有機相を回収し、塩化ナトリウム飽和溶液(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。水を残留物に加え、ボロン酸の沈殿が発生するまで混合物をトリチュレートし、それを濾別し、ペンタンで四回洗浄して、目的生成物29.27gを得た。
融点:96〜98℃
【0086】
工程B: 2−[(3−メトキシカルボニル)ピリジン−2−イル]インドール−1−カルボン酸 tert−ブチル
水50ml中の炭酸ナトリウム13.46gの溶液及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム4.77gを、DME170ml中の2−ブロモニコチン酸メチル9.94gの脱気した溶液に、85℃で連続して加えた。次にエタノール50ml中の上記工程Aの化合物12.96gの溶液を滴下した。撹拌を85℃で6時間保持した後、周囲温度に戻し、水を200ml加えた。相を分離した後、水相をジエチルエーテル(2×100ml)で抽出した。有機相を回収し、塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル:9/1)により目的生成物14.11gを得ることができた。
融点:83℃。
質量分析(ES+、m/z):375(M+Na);353(M+H)
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.17 5.72 7.95
実測値 68.03 5.85 7.85
【0087】
工程C: (SR)−2−[(2RS,3SR)−3−(メトキシカルボニル)ピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
酢酸60ml中の上記工程Bの化合物6.00gと5%ロジウム担持アルミナ7.0gの混合物を、水素圧15bar下、周囲温度で20時間撹拌した。次に反応混合物を紙で濾過した。次に紙をメタノールですすいだ。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をジクロロメタン及び水に取った。水相のpHが塩基性になるまで炭酸カリウムを加えた。相を分離し、水相をジクロロメタンで二回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:95/5)により目的化合物3.49gを得ることができた。
融点:79〜80℃。
質量分析(ES+、m/z):383(M+Na);361(M+H);305。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 66.64 7.83 7.77
実測値 66.45 7.96 7.67
【0088】
工程D: (SR)−2−[(2RS,3SR)−3−(メトキシカルボニル)−1−アリルピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
臭化アリル0.3ml、次に炭酸カリウム800mgを、アセトニトリル10ml中の上記の工程Cの化合物440mgの溶液に周囲温度で連続して加えた。混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次に水を加えた。水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル:8/2)により目的生成物382mgを単離することができた。
融点:119〜121℃。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.97 8.05 6.99
実測値 68.85 8.15 7.04
【0089】
工程E: (RS)−2−[(2SR,3SR)−3−(メトキシカルボニル)−1−アリルピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
THF 10ml中の上記工程Dの化合物0.80gの溶液を、メタノール中のナトリウムメタノラートの溶液(ナトリウム0.23gをメタノール10mlに少量ずつ0℃で加えることにより調製した)に加えた。反応混合物を溶媒の還流温度で3時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷ました後、水15mlを加え;メタノール及びTHFを減圧下で蒸発させることにより除去した。得られた溶液を酢酸エチルで二回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムのクロマトグラフィー(シクロヘキサン/ジエチルエーテル:9/1)により目的生成物0.58gを単離することができた。
赤外(νcm−1):
2929(νC−H);1732(νC=O エステル);1698(νC=O カルバマート);1483(νC=C);1369(δC−H tBu)。
【0090】
調製8: ((2RS,3SR)−2−[(SR)−1−ニトロソインドリン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸メチル
工程A: (2RS,3SR)2−[(SR)−インドリン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸メチル
トリフルオロ酢酸15mlを、ジクロロメタン15ml中の調製7の工程Cの化合物927mgの溶液に、周囲温度で加えた。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン及び水に取った。水相のpHが塩基性になるまで炭酸カリウムを加えた。水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、目的生成物633mgを得た。
赤外(νcm−1):
3369(νN−H);2942及び2857(νC−H);1720(νC=O);1485(νC=C);1249,1197及び1165(νN−C)。
【0091】
工程B: (2RS,3SR)−2−[(SR)−1−ニトロソインドリン−2−イル]ピペリジン−3−カルボン酸メチル
上記工程Aの化合物633mgを、酢酸6mlと水6mlの混合物に0℃で溶解し、水4ml中の亜硝酸ナトリウム168mgの溶液を滴下した。混合物を0℃で20分間撹拌した後、ジクロロメタンを加えた。水相のpHが塩基性になるまで炭酸カリウムを加えた。水相をジクロロメタンで二回抽出した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:99/1)により目的生成物を538mg単離することができた。
赤外(νcm−1):
3314(νN−H);2939及び2857(νC−H);1721(νC=O);1485及び1477(νC=C);1430(νN=O);1168(νC−N)。
【0092】
調製9: (1SR,7aRS,12aSR,12bSR)−9−クロロ−1,2,3,4,6,7,7a,12,12a,12b−デカヒドロインドロ[2,3−a]キノリジン−1−カルボン酸エチル
工程A: 1−[2−(5−クロロ−1H−インドール−3−イル)エチル]ピペリジン−2−オン
2−メトキシエタノール1.4リットル中の5−クロロトリプタミン塩酸塩100gの溶液に、NaCO 60gを加えた。反応混合物を窒素下、還流温度で撹拌した。2−メトキシエタノール200ml中の5−ブロモバレラート111.2gの溶液を、5〜6時間かけて滴下し、混合物を24時間加熱還流した。冷却した後、反応混合物をセライトで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。油状物をCHCl 500ml及び水300mlで抽出した。有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、次にNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。固体を、9/1のアセトン/ペンタンの混合物から再結晶化して、目的生成物107gを得た。
融点:155℃。
質量分析(EI、m/z):276.8(M)。
【0093】
工程B: 9−クロロ−2,3,4,6,7,12−ヘキサヒドロ−1H−インドロ−[2,3−a]キノリジン−5−イリウムテトラフルオロボラート
トルエン1.2リットル中の上記工程Aの化合物の溶液に、POCl 83mlを加えた。反応混合物を窒素下、90℃で5時間加熱した。混合物を撹拌しながら冷却した後、水3〜4リットルを加え、次に分離させた。HBFの溶液436mlを、水相に滴下した。濾過し、水で洗浄し、次にP下で乾燥させた後、目的生成物98gを得た。
融点:>280℃。
質量分析(EI、m/z):346.5(M)。
【0094】
工程C: 9−クロロ−2,3,4,6,7,12−ヘキサヒドロインドロ[2,3−a]キノリジン
上記工程Bの生成物61gを、メタノール510ml及び脱イオン水115mlに溶解した。反応混合物を激しく撹拌し、溶解が起こるまで2.5時間加熱還流した。還流を止め、4M NaOH溶液115mlを滴下した。添加が完了した後、反応混合物を0〜5℃に冷却し、4M NaOH溶液35mlを0.5時間激しく撹拌しながら加えた。固体残留物を濾別し、水で洗浄し、減圧下Pで乾燥させて、目的生成物42gを得た。
融点:114℃。
質量分析(EI、m/z):257.78(M)。
【0095】
工程D: (1RS)−9−クロロ−2,3,4,6,7,12−ヘキサヒドロインドロ[2,3−a]キノリジン−1−カルボン酸エチル
蒸留CHCl 500ml中の上記工程Cの化合物25gの溶液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン1.75g及びDIEA25mlを、アルゴン雰囲気下で加え、溶解が起こるまでバッチを周囲温度で撹拌した。蒸留ジクロロメタン中のClCOEt(97%)19mlの溶液を加えた。周囲温度で12時間撹拌した後、反応混合物を濾過し、不溶性物質をCHCl 120mlですすぎ、濾液を減圧下で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィー(CHCl)に続き、9/1のアセトン/ペンタンの混合物からの再結晶化により目的生成物22gを得ることができた。
融点:128〜130℃。
質量分析(EI、m/z):330.82(M)。
【0096】
工程E: (1SR,12bRS)−9−クロロ−1,2,3,4,6,7,12,12b−オクタヒドロインドロ[2,3−a]キノリジン−1−カルボン酸エチル(シス・ジアステレオ異性体)
酢酸16mlを、蒸留THF 300ml中の上記工程Dの生成物16gの溶液に加えた。NaBHCN 4.4gを窒素雰囲気下、0℃で少量ずつ加えた;次に反応混合物を周囲温度で12時間激しく撹拌した。次にNaCO飽和溶液を0℃で加えた;次に溶媒を減圧下で蒸発させた。CHCl 200ml及び水80mlを残留物に加えた。CHClで抽出した後、有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、次に減圧下で濃縮した。2M HCl溶液20mlをエタノール350ml中の粗反応混合物に加え、反応混合物を5時間加熱還流した。反応混合物を減圧下で濃縮し、固体をCHCl 270mlに溶解した。この有機溶液を水130mlに加えた。NaCO飽和溶液を加えることにより、溶液をアルカリ性(pH=8〜9)にし、CHClで抽出した。有機相を合わせ、塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、次に減圧下で濃縮した。9/1のアセトン/ペンタンの混合物からの再結晶化により目的生成物15gを得ることができた。
融点:184℃。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 64.95 6.36 8.41
実測値 65.01 6.39 8.36
【0097】
工程F: (1SR,12bSR)−9−クロロ−1,2,3,4,6,7,12,12b−オクタヒドロインドロ[2,3−a]キノリジン−1−カルボン酸エチル(トランス・ジアステレオ異性体)
NaH 2.5gを、DME 300ml中の上記工程Eの化合物9gの溶液にアルゴン流下、0℃で少しずつ加えた。周囲温度で12時間撹拌した後、反応混合物を慎重に氷中に注ぎ、1時間撹拌した。有機溶媒を蒸発させ、水相を0〜5℃に冷却し、その温度でpH=2〜4になるまで4M HCl溶液を加えた。撹拌した後、pH=9になるまでNaCO飽和溶液を加えた。反応混合物をAcOEtで抽出し、有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で濃縮した。粗反応混合物を最少量のAcOEtから再結晶化し、固体を減圧下で乾燥させて、目的生成物8.3gを得た。
融点:88〜90℃
赤外(νcm−1):
3442;2933;1709
【0098】
工程G: (1SR,7aRS,12aSR,12bSR)−9−クロロ−1,2,3,4,6,7,7a,12,12a,12b−デカヒドロインドロ[2,3−a]−キノリジン−1−カルボン酸エチル(トランス・ジアステレオ異性体)
TFA 350mlの溶液に、上記工程Fの生成物10.3g及びNaBHCN 15gを、交互に少量ずつ、大量のアルゴン流下、0℃で加えた。各添加の間に、反応混合物を周囲温度で10分間撹拌した。8時間後、NaBHCN 3gを再び加え、次に周囲温度で更に12時間撹拌した。反応混合物に水20mlを0℃で、続いて溶解が起こるまでCHClを滴下した。周囲温度で撹拌した後、溶媒(TFA、CHCl)を蒸発させた。水相を0℃に冷却し、4M NaOH溶液を加えた。EtOで抽出した後、有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で濃縮した。EtOからの再結晶化し、続いてシリカゲルのクロマトグラフィー(CHCl/MeOH:100/5)により目的生成物8gを得ることができた。
融点:126〜129℃。
質量分析(EI、m/z):335.2[M+H]
赤外(νcm−1):
3374;2948;1726
【0099】
調製10: 1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸メチル
70%エタノール水溶液5ml中の調製4の化合物320mgの溶液に、1−メチルピペラジン540μLを加えた。溶液を周囲温度で72時間撹拌し、次に減圧下で蒸発させた。残留物をジクロロメタンに取り、炭酸ナトリウム水溶液で二回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、目的化合物320mgを得た。
赤外(νcm−1):
2938(ν C−H);2793(ν N−CH);1712(ν C=O);1657(ν C=C);1438(δ C−H);1373(ν C−N);1262(ν C−O)。
【0100】
調製11: 1−[2−(ピペリジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル
調製10の手順に従って、1−メチルピペラジンの代わりにピペリジンを使用して生成物を得た。
赤外(νcm−1):
2955;2932;2872(ν C−H);1736(ν C=O);1661(ν C=C);1434(δ C−H);1368;1341(ν C−N);1236;1194(ν C−O)。
【0101】
調製12: (RS)−2−[(2SR,3SR)−3−(メトキシカルボニル)−1−アリル−ピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
工程A: (SR)−2−[(2RS,3SR)−3−(メトキシカルボニル)−1−アリルピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
臭化アリル0.3ml、次に炭酸カリウム800mgを、アセトニトリル10ml中の調製7の工程Cの化合物440mgの溶液に、連続して周囲温度で加えた。混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次に水を加えた。水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル:8/2)により目的生成物382mgを単離することができた。
融点:119〜121℃。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.97 8.05 6.99
実測値 68.85 8.15 7.04
【0102】
工程B: (RS)−2−[(2SR,3SR)−3−(メトキシカルボニル)−1−アリルピペリジン−2−イル]インドリン−1−カルボン酸 tert−ブチル
THF 10ml中の工程Aの化合物0.80gの溶液を、メタノール中のナトリウムメタノラートの溶液(ナトリウム0.23gをメタノール10mlに少量ずつ0℃で加えることにより調製した)に加えた。反応混合物を溶媒の還流温度で3時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷ました後、水15mlを加えた;メタノール及びTHFを、減圧下で蒸発させることにより除去した。得られた溶液を酢酸エチルで二回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/ジエチルエーテル:9/1)により目的生成物0.58gを単離することができた。
赤外(νcm−1):2929(νC−H);1732(νC=O エステル);1698(νC=O カルバマート);1483(νC=C);1369(δC−H tBu)。
【0103】
調製13: ニコチノイルアジド
濃塩酸(37%)2.4mlに、ニコチノイルヒドラジド2g、次に水3.6ml中の亜硝酸ナトリウム2.02gの溶液を0℃で加えた。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次に炭酸水素ナトリウム飽和溶液で処理した。ジエチルエーテルで抽出(三回)した後、有機相を水及び塩化ナトリウム飽和溶液で連続的に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧下で濃縮した後、目的生成物を得た(G.Papeo et al.,Synthesis,(2004),2886)。
赤外(νcm−1):2178(νN3);1685(νCO)。
【0104】
実施例1
(+)(2RS,7SR),(3RS,16RS)−10−クロロ−15−オキソ−2,7,14,15−テトラヒドロ−14−アザ−20,21−ジノルエブルナメニニウムクロリド
目的化合物は、特許出願EP 0 658 557に記載された実施例1の化合物であり、Chiralpak AD 型のカラムクロマトグラフィーにより得た。
【0105】
実施例2
N−(1H−インドール−1−イル)−1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド
1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル塩酸塩1.94gを、水5mlに溶解し、次に炭酸カリウムを使用して溶液をpH10に達するようにアルカリ性にし、次にNaClで飽和させた。水相をジエチルエーテルで三回抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、次に蒸発させた。調製2の化合物1.3gを無水ジクロロメタン26mlに溶解し、次に−25℃に冷却した後、ヘキサン中のトリメチルアルミニウムの2M 溶液9mlを加えた。1時間30分後、無水ジクロロメタン6.5ml中のアレコリン1.27gの溶液を周囲温度で加えた。反応混合物を一晩還流し、次にジクロロメタンで希釈し、20%水酸化ナトリウム水溶液50ml中に注いだ。有機相を単離し、水相をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相をNaCl飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH:95/5、次に9/1)により目的生成物470mgを単離することができた。
融点:194℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 70.56 6.71 16.46
実測値 70.35 6.80 16.36
質量分析(ESI+、m/z):256.1(M+H);278.1(M+Na)。
【0106】
実施例3
N−(5−クロロインドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド
無水ジクロロメタン12ml中の調製3の化合物782mgの、予め−20℃に冷却した溶液に、ヘキサン中のトリメチルアルミニウムの2M 溶液4.30mlを加えた。温度を周囲温度に徐々に戻るにまかせながら、溶液を窒素下、1時間30分撹拌した。無水ジクロロメタン8ml中の調製5の化合物1.05gの溶液を次に加えた。混合物を窒素下、16時間加熱還流した。0℃に冷却した反応混合物に、1M HCl水溶液100ml(開始時はゆっくりと加えた)を、次に水250mlを加えた。ジクロロメタン3×100mlを使用した最初の抽出により過剰量のN−アミノ−5−クロロインドールを除去した。炭酸ナトリウム飽和溶液を使用してpHが10に達するまで、水相をアルカリ性にし、ジクロロメタン3×100mlを使用してそれを抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカのカラムクロマトグラフィー(NHOH/MeOH/CHCl:1/1/98〜2/18/80)、続いてiPrOH/AcOEt(1/2)の混合物15mlからの再結晶化により、目的生成物470mgを得ることができた。
融点:157℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 62.75 7.02 17.42
実測値 62.50 6.92 17.23
質量分析(ESI+、m/z):402(M+1)。
赤外(νcm−1):
2946〜2814(ν CH);1681(ν CO);1650;1531;1465。
【0107】
実施例4:
N−(インドール−1−イル)−1−[2−[3−(エトキシカルボニル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−1−イル]エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド
調製2の化合物1gを、無水ジクロロメタン10mlに溶解し、次に反応混合物を−20℃に冷却した。ヘキサン中のトリメチルアルミニウムの2M 溶液5.5mlを加え、温度が上昇するにまかせながら、反応混合物を1時間30分撹拌した。ジクロロメタン5ml中の調製6の化合物1.5gの溶液を加え、反応混合物を12時間還流した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次に20%水酸化ナトリウム水溶液に注いだ。有機相を分離し、最初は20%水酸化ナトリウム溶液で、次にNaCl飽和溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt、次にAcOEt/CHOH:95/5)により目的生成物180mgを単離することができた。
融点:82℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 67.63 6.91 13.72
実測値 67.41 7.09 13.63
赤外(νcm−1):
3265(ν N−H);2948;2915;2802(ν C−H);1708;1673(ν C=O);1646;1614;1519(ν C=C);1459;1436(δ C−H);1371;1351(ν C−N);1261;1223;1194(ν C−O)。
【0108】
実施例5
(4aSR,11aRS,11bSR)−1−アリル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2',3':3,4]ピロロ−[1,2−a]インドール−5−オン
トリフルオロ酢酸を、ジクロロメタン3ml中の調製7の化合物80mgの溶液に周囲温度で加えた。混合物を周囲温度で6時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン及び水に取った。水相のpHが塩基性になるまで、炭酸カリウムを加えた。相を分離した後、水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を回収し、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル:1/1)により目的生成物36mgを単離することができた。
融点:163℃。
質量分析(ES+、m/z):291(M+Na)
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 76.09 7.51 10.44
実測値 76.00 7.61 10.37
【0109】
実施例6
(4aSR,11aSR,11bRS)−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロ−1,6,6a−トリアザ−ベンゾ[a]フルオレン−5−オン
亜鉛1.14g及び炭酸アンモニウム1.67gを、エタノール18ml及び水9ml中の調製8の化合物0.56gの溶液に連続して0℃で加えた。混合物を0℃で20分間撹拌し、次に濾過した。固体を水及びジクロロメタンで洗浄した。濾液の相を分離した。水相をジクロロメタンで二回抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物を、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:9/1)により精製して、化合物の混合物を得た。次に該混合物を無水ジクロロメタン10mlに溶解し、窒素雰囲気下、−20℃に冷却した。2M トリメチルアルミニウム溶液1.2mlを該溶液に加えた。反応混合物を−20℃で90分間撹拌し、次に16時間還流した後、冷却し、1M 塩酸水溶液24mlに注いだ。相を分離した。塩基性pHを得るまで、炭酸カリウムを水相に加えた。次に該溶液をジクロロメタンで二回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール:9/1)により目的生成物158mgを得ることができた。
融点:211℃。
質量分析(ES+、m/z):266(M+Na);244(M+H)
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 69.11 7.04 17.24
実測値 68.89 7.21 17.11
【0110】
実施例7
(5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン(鏡像異性体α)
工程A: (1SR,7aRS,12aSR,12bSR)−12−(アミノカルボニル)−9−クロロ−1,2,3,4,6,7,7a,12,−12a,−12b−デカヒドロインドロ[2,3−a]キノリジン−1−カルボン酸エチル
無水THF 6ml中の調製9の化合物385mgの溶液を、無水THF 12ml中のKOCN 2.33g及びトリフルオロ酢酸4.43mlの溶液に、シリンジを使用して一度に加えた。反応混合物を周囲温度で窒素下、2時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去した後、ジクロロメタン(30ml)を残留物に加えた。有機相をHCl溶液(1M、6×10ml)で抽出した。NaCOを用いて水相をpH9に調整し、ジクロロメタン(3×20ml)で抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、目的物生成物500mgを得た。生成物を次の工程で直ちに使用した。
【0111】
工程B: (5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−7−クロロ−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン
エタノール25ml中の上記工程Aの生成物500mgの溶液を、KCO6.36mgで処理した。反応混合物を1時間加熱還流した。減圧下で溶媒を除去した後、水(50ml)を加え、ジクロロメタン(3×20ml)で抽出を実行した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。エタノール(50ml)からの再結晶化により目的生成物220mgを得ることができた。
融点:243℃。
質量分析(EI、m/z):331。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 61.54 5.47 12.66
実測値 61.39 5.54 12.58
【0112】
工程C: (5aRS,12aSR,12bSR,12cSR)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン
トリエチルアミン140μLをすでに加えた無水THF10ml中の上記の工程Bの化合物109mgの溶液に、スパーテル量の10%パラジウム担持炭を加えた。数回の真空/窒素循環により反応器をパージし、次に反応混合物を水素雰囲気下に置き、周囲温度で24時間撹拌した。混合物をセライトで濾過し、溶媒を蒸発により除去した。HCl溶液(1M、30ml)を残留物に加えた;次に混合物をジクロロメタン(3×20ml)で抽出した。NaCOを使用して水相をpH9にして、ジクロロメタン(3×20ml)で抽出した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。最小量のエタノールからの結晶化により目的生成物65mgを得ることができた。
融点:255℃
質量分析(EI、m/z):298。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.67 6.44 14.13
実測値 68.56 6.53 14.10
【0113】
工程D: (5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン(鏡像異性体α)
メタノール性溶液に、(−)−ジ−O,O'−p−トルイル−L−酒石酸の溶液又は(+)-ジ−O,O'−p−トルイル−D−酒石酸の溶液のいずれかを加えることにより調製したジアステレオ異性体塩を、分別結晶化することにより、上記工程Cの化合物を分割した。ジアステレオ異性体塩の分離後、慣用の処理により塩基を単離した。
融点:250℃
旋光度α=+95°(CHCl中、c=1)。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.15 6.48 14.03
実測値 68.12 6.62 14.01
【0114】
実施例8:
(5aS,12aR,12bR,12cR)−又は(5aR,12aS,12bS,12cS)−2,3,5a,12a,12b,12c−ヘキサヒドロ−1H,4H−3a,9b,11−トリアザベンゾ[a]ナフト[2,1,8−cde]アズレン−10,12(5H,11H)−ジオン(鏡像異性体β)
メタノール性溶液に、(−)−ジ−O,O'−p−トルイル−L−酒石酸の溶液又は(+)-ジ−O,O'−p−トルイル−D−酒石酸の溶液いずれかを加えることにより調製したジアステレオ異性体塩を、分別結晶化することにより、実施例7の工程Cの化合物を分割した。ジアステレオ異性体塩の分離後、慣用の処理により塩基を単離した。
融点:250℃
旋光度:α=−95°(CHCl中、c=1)。
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.15 6.48 14.03
実測値 68.12 6.57 13.98
【0115】
実施例9:
N−(インドール−1−イル)−1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル]−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド
調製10の化合物1gを、無水ジクロロメタン10mlに溶解し、次に反応混合物を−20℃に冷却した。ヘキサン中のトリメチルアルミニウムの2M 溶液5.5mlを加え、温度が上昇するのにまかせながら、反応混合物を1時間30分撹拌した。ジクロロメタン5ml中の調製10の化合物1.5gの溶液を加え、反応混合物を12時間還流した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次に20%水酸化ナトリウム水溶液に注いだ。有機相を分離し、最初は20%水酸化ナトリウム溶液で、次にNaCl飽和溶液で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次に減圧下で蒸発させた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH:95/5、次に9/1及び8/2)により目的生成物380mgを単離することができた。
融点:130℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 68.63 7.95 19.06
実測値 68.49 8.09 18.93
赤外(νcm−1):
3054(ν =C−H);2935(ν C−H);2795(ν N−CH);1681(ν C=O);1646;1614(ν C=C);1521(δ N−H);1458(δ C−H);1372(ν C−N)。
【0116】
実施例10:
N−(インドール−1−イル)−1−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジン−3−カルボキサミド
実施例9の手順に従って、調製10の化合物の代わりに調製11の化合物を使用して、生成物を得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH:9/1、次に8/2)により、目的生成物240mgを単離することができた。
融点:65℃
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 69.78 8.09 15.50
実測値 69.98 8.17 15.40
赤外(νcm−1):
3238(ν N−H);2931(ν C−H);2788(ν N−CH);1672(ν C=O);1643(ν C=C);1521(δ N−H);1459(δ C−H);1370(ν C−N)。
【0117】
実施例11:
(4aSR,11aRS,11bSR)−1−アリル−1,2,3,4,4a,11,11a,11b−オクタヒドロピリド[2',3':3,4]ピロロ−[1,2−a]インドール−5−オン
トリフルオロ酢酸を、ジクロロメタン3ml中の調製12の化合物80mgの溶液に周囲温度で加えた。混合物を周囲温度で6時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン及び水に取った。水相のpHが塩基性になるまで、炭酸カリウムを加えた。相を分離した後、水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を回収し、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル:1/1)により目的生成物36mgを単離することができた。
融点:163℃。
質量分析(ES+、m/z):291(M+Na)
元素微量分析:
C% H% N%
計算値 76.09 7.51 10.44
実測値 76.00 7.61 10.37
【0118】
実施例12:
N−(1H−インドール−1−イル)−N'−(3−ピリジル)ウレア
トルエン38ml中の調製13の化合物1.14gの溶液を、出発物質が完全に消失するまで、アルゴン下、加熱還流した(2時間)。中間体として得て、0℃に冷却した3−ピリジルイソシアナートに、ジクロロメタン38ml中のN−インドールアミン995mgを加えた。撹拌を周囲温度で24時間続けた。形成した沈殿物を濾別し、水(10ml)中で12時間撹拌した。濾過し、ペンタンで洗浄した後、固体をジクロロメタン/メタノールの混合物(90/10)に取った。濾過に続き、固体を減圧下、五酸化リンで乾燥させて、目的生成物を得た。
融点:202.5℃。
【0119】
実施例13:
N−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−N'−(3−ピリジル)ウレア
トルエン30ml中の調製13の化合物942mgの溶液を、出発物質が完全に消失するまで、アルゴン下、加熱還流した(1時間30分間)。中間体として得た3−ピリジルイソシアナートを、0℃に冷却し、ジクロロメタン30ml中に溶解した1−インドリンアミン824mgを加えた。次に撹拌を周囲温度で15時間続けた。形成した沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄して、第一のバッチを構成した。母液を濃縮した。残留物を最少量のジクロロメタンに取り、ジエチルエーテルを加えた。濾過に続き、形成した沈殿物から第二のバッチを構成し、それを酢酸エチルから再結晶化した。
融点:197℃
【0120】
本発明の化合物の薬理的検討
実施例A
グリア細胞の培養におけるインビトロで引き起こされるアポトーシスからの保護
本発明の化合物が、酸素とグルコースの欠乏(OGD)とそれに続く再潅流により誘発されるアポトーシスからグリア細胞の培養物を保護するかどうかを判定するために検討を行った。
【0121】
グリア細胞は、新生スプラーグ・ドーリー(Sprague Dawley)ラットの脳から単離し、培養した。それらを、インキュベーター中で嫌気性条件下に、グルコースを含まない培地中に置くことにより、ODGに3時間付した(5% CO、95% N)。
【0122】
再潅流は、培養物を18時間、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン及び50μg/mlゲンタマイシンを加えた通常の培地[ダルベッコ改変イーグル血清(DMEM)]に戻すことにより行った。
【0123】
OGD期間の終わりに、BIOLUMINESCENTキット(ルシフェラーゼ・ルミネッセンス)を用いて、虚血の程度を評価するために、培養物のアデノシン三リン酸(ATP)含量を測定した。
【0124】
アポトーシスの程度は、DNA特異的HOECHST 33258蛍光染料で標識された星状細胞核を計測することにより定量した。
【0125】
本発明の化合物を、OGD及び再潅流期間の間中、10μMの濃度で培地に加えた。
【0126】
結果を、OGD及び再潅流によって虚血に付した対照培養物に対する細胞死での減少パーセントとして表す。
【0127】
本発明の化合物は、ATPの濃度に影響を与えず:したがって、それらは、虚血を減少させないことが示された。
【0128】
対照的に、それらは、アポトーシスに起因する細胞死を大いに減少させた。
【0129】
【表1】

【0130】
これらの結果は、本発明の化合物が、エネルギー代謝を改変することなく、アポトーシス型の細胞死からグリア細胞を保護できることを示す。
【0131】
これまでに、化学合成由来の物質が、インビトロでこの効果を有することは知られていない。
【0132】
実施例B
生まれたてのマウスにおけるイボテン酸により惹起される神経変性からの保護
N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体のアゴニストであるイボテン酸は、新生マウスに大脳内経路により投与したときに、新皮質及びその下部の白質に興奮毒性起源の病変を誘発する。
【0133】
イボテン酸注入を、5日齢の新生マウス(P5)に行う。本発明の化合物は、20mg/kgの投与量で、腹腔内経路により[同時に](p5)、[又は病変を誘起してから8、24もしくは48時間後に]のいずれかにより投与する。
【0134】
動物は、病変を誘起してから24時間(P6)〜120時間(P10)後に屠り、皮質及び白質における病変の体積を測定する。
【0135】
細胞マーカーを、イボテン酸及び本発明の化合物の投与後の様々な時間に屠殺した動物の脳切片に適用した:(1)開裂カスパーゼ−3、アポトーシスマーカー;(2)イソレクチン、小グリア活性化マーカー;(3)グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、アストログリオーシスのマーカー。
【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
さらに、修復効果を、実施例2について試験したが、これは、また、それをイボテン酸後の24時間に注入したときに、病変が既に発現していたときに、皮質については27%、白質については37%の病変のサイズの減少を示す。
【0139】
実施例C
幹細胞の細胞分化に対する本発明の化合物の効果
マウス胚幹(ES)細胞は、胚盤胞の内部細胞塊から単離される。培養条件に応じて、それらは、無限に増殖することができるか、又は分化して種々のタイプの細胞をもたらすことができる。ES細胞は、ニューロン前駆体に分化し、これは,次いで、星状細胞、希突起膠細胞及び種々のタイプのニューロンよりなる細胞の不均質集団に成長する(GABA作動性、グルタミン酸作動性、ドーパミン作動性、コリン作動性、グリシン作動性等)(Okabe S., Forsberg-Nilsson K., Spiro A.C. et al., Mechanisms of Development, (1996), 59, 89-102; Bruestle O., Spiro A.C., Karram K. et al., Proc Natl Acad Sci USA, (1997), 94, 14809-14814; Guan K., Chang, Rolletschek A. et al., Cell Tissu Res, (2001), 305, 171-176)。レチノイン酸(RA)等の特定の分化誘導剤を培養培地に加えることは、ニューロン経路へのES細胞の指向性を促進する(Struebing C., Ahnert-Hilger G., Shan J. et al., Mechanisms of Development, (1995), 53, 275-287)。ニューロンの均質集団を得ることは、ESを移植することに基づくか、又は患者のESの分化のためのいずれかで、神経変性疾患を処置する目的における重要なステップを構成する。
【0140】
実験は、以下のようにして実施した:コンフルエントのES細胞を継代培養用に分割後12時間で、それらを0.1;1及び10μMの濃度で本発明の化合物で、並びにRA(1μM)で処理した。処理は、2日ごとに繰り返し、細胞抽出物を、マーカーの定量用に、Q−RT−PCR(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)で、1日目(3時間)、4日目(D4)及び8日目(D8)に各処理の3時間後に作製した。
【0141】
これらのマーカーは:ネスチン、神経前駆体マーカー;シナプトフィジン、ニューロンの分化及びシナプス可塑性マーカー;TH、ドーパミン作動性又はノルアドレナリン作動性タイプのニューロンへの分化のマーカー;グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、ESのGABA作動性ニューロンへの分化のマーカー;GFAP、特異的星状細胞マーカーである。
【0142】
8日間の暴露の後、1μMでの実施例2は、シナプトフィジン(229±37%;p<0.05)、TH(253±62%)及びGFAP(67%)を増大させ、実施例2は、胚幹細胞を出発して、ニューロンの表現型の出現を誘発することができ、ニューロン前駆体は、優先的に、GABA作動性ではなく、ドーパミン作動性又はノルアドレナリン作動性ニューロンに優先的に分化することを示していた。同時に、実施例2は、ニューロンの生存に必要な、幹細胞のグリア細胞への分化を可能にした。
【0143】
実施例D
マウスでのパーキンソン病のモデルにおけるグリア反応に対する本発明の化合物の効果
マイクロシリンジを用いるマウス線条体への6−OHDAの片側注入(8μg/μlを含む0.5μl溶液)は、3日目から、線条体のTH陽性ニューロンの変性を引き起こし、これは、7日目から、ヒトのパーキンソン病で認められるのに合致して、黒質におけるニューロン損失をも伴った。ドーパミン作動性ニューロンの変性は、GFAPでマークされた細胞の増加で示される、グリア過剰反応性を伴った。
【0144】
本発明の化合物は、6−OHDAの脳内注入の10分後に、20mg/kgの単回注入で、腹腔内経路で投与された。マウスの1つの群は3日で屠殺し、他のものは7日で屠殺した。
【0145】
GFAPでマークした星状細胞で占められている領域は、損傷した側の線条体において有意に増加し、星状細胞反応を反映していた。
【0146】
実施例1の単回注入は、6−OHDAと溶媒を受け入れた対照群に比べて、7日で評価して、線条体中の星状細胞で占められている領域を13%減少させた。
【0147】
実施例3の単回注入は、観察された健康な動物と比較して仮想的に正規化して、6−OHDAと溶媒を受け入れた対照群に比べて、7日で評価して、線条体中の星状細胞で占められている領域を28%減少させた。
【0148】
それらに応じて、実施例3の効果下に、小グリア反応性は、3日で増加したままであり、これにより、小グリアは残骸の除去におけるそれらの役割を果たすことができ、その後、7日に減少し、これにより、損傷した線条体を、健康な動物のそれに戻す。
【0149】
この実験は、本発明の化合物が、パーキンソン病等の神経変性疾患における神経変性から保護することができることを示唆している。これらの特性は、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、病変性老化、脳血管障害、及びまた、うつ病、統合失調症及び老年性認知症等の精神障害のような他の変性性病変にまで及ぶであろう。
【0150】
実施例E
神経変性のインビトロモデルにおける化合物の神経保護及び神経栄養効果
検討は、神経毒性誘導剤、エポキソミシン(epoxomicin)の存在下又は非存在下に、混合(ニューロン及びグリア)一次胚中脳培養物について実施した。
【0151】
細胞は、妊娠14日目に、雌のラットの胎児から得た。中脳を切開し、組織を取り出して、トリプシンを用い、その後機械的に、分離させた。生きた細胞を、96ウエルプレート上に接種し、ウマ血清を加えた。
【0152】
エポキソミシン(50nM)の存在下又は非存在下に、化合物を100nM〜100μMの範囲の濃度で加えた。エポキソミシンは、アポトーシス機構を経由する細胞死を誘起することが知られている、強力な選択的プロテアソーム阻害剤である。ユビキチン−プロテアソーム複合体の阻害は、また、パーキンソン病の特徴を再現する。
【0153】
48時間後、細胞を分離し、固定し、細胞集団(ニューロン及びグリア)の全てにより発現されるNeuNタンパク質を認識する抗体で標識した。
【0154】
結果は、エポキソミシンの存在下又は非存在下に、対照値のパーセントとして表現する。
【0155】
48時間後、エポキソミシンは、非処理細胞に比べて82%のニューロン損失及びエポキソミシンで処理されていない細胞に比べて、細胞集団の全てにわたって、70%弱の損失を引き起こした。
【0156】
エポキソミシンの非存在下に試験された本発明の化合物は、それらがニューロン生存を増大させるならば、神経栄養効果を有する。エポキソミシンの存在下では、それは、化合物がニューロン生存を増大させるときに示される神経保護力である。
【0157】
いくつかの化合物は、神経保護及び神経栄養特性の双方を有し;他のものは、一方又は他方のいずれかを有する。
【0158】
結果
神経保護及び神経栄養化合物:実施例2は、エポキソミシンの非存在下に、100nM〜30μMの間でニューロン生存を2倍にした(神経栄養性)。10μM以上の濃度で、それは、神経保護特性を示した。
【0159】
神経保護化合物:実施例8及び実施例13は、100μMで、それらの対照に関して、それぞれ75及び145%のニューロン生存の増大をもたらした。
【0160】
神経栄養化合物:実施例9は、10.5μMのEC50で、神経栄養性である。
【0161】
実施例F
インビトロでの神経保護効果及びカテコールアミン作動性表現型の刺激
検討は、ラットの一次胚中脳培養物のインビトロモデルにおいて実施され、そこでは、細胞が成熟したときに、ドーパミン作用性ニューロンの死が、自発的且つ選択的に発生する。培養条件は、種々の刊行物中に詳細に規定されている(Douhou et al., J. of Neurochemistry, (2001), 78, 163-174)。培養培地は、毎日取り換え、これらの条件下で、ドーパミン作動性ニューロンは自発的に変性するが、GABA作動性ニューロンのような他のニューロンは変性しない。GDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)のような身体の天然の神経栄養因子は、このモデルにおいてドーパミン作動性ニューロンに対する保護効果を示した。
【0162】
実施例1及び12の効果は、3種の濃度で試験した。効果は、チロシンヒドロキシラーゼを蛍光抗体で標識することにより、トリチウム化したドーパミン取り込みの比率及び生存ニューロンの数を測定することにより分析した。
【0163】
30μMで、実施例1及び12は、細胞生存及びトリチウム化したドーパミン取り込みの比率を有意に増大させた。
【0164】
議論
実施例A(インビトロ)及び実施例B(インビボ)は、本発明の化合物が、小グリアのレベルでそれらの保護を発揮することを示している。グリア活性化は、神経変性疾患における一般的な共通の特徴であることに留意されたい。
【0165】
小グリア活性化は、外傷性、炎症性、変性性又は虚血性のいずれであっても、多様な病原性刺激に対する中枢神経系による初期応答である(Ito D., Tanaka K., Suzuki S. et al., Stroke, (2001), 32, 1208-1215)。グリア細胞は、有害な残骸を除去し、神経栄養因子を分泌することにより有益な効果を発揮し、同時に、ニューロン又は星状細胞のアポトーシスの原因となる酸素フリーラジカル又は炎症性サイトカインを放出することにより細胞毒性効果を発揮する(Smith M.E., van der Maesen K., Somera F.P., J Neurosci Res, (1998), 54, 68-78)。
【0166】
実施例Dは、本発明の化合物が、3日では小グリアの非改変活性化によってそれらの有益な効果を発揮するのに対して、パーキンソン病のモデルにおいて7日では小グリアの反応性を減少させることができることを非常に特定的に示している。
【0167】
実施例Bは、さらに、本発明の化合物が、同じく、灰白質、すなわちニューロン細胞体及びそれらの樹状突起,並びに白質、特にミエリン化線維と非ミエリン化線維より形成されるもの、及び灰色細胞を保護することを示している。
【0168】
最後に、本発明の化合物は、ニューロン死を制限する(実施例A、B、D、E及びF)のみならず、当該種の胚幹細胞を出発して、それらは、ドーパミン作動性又はノルアドレナリン作動性タイプのニューロン性表現型の出現並びにニューロンの生存に必要な幹細胞のグリア細胞への分化をもたらす(実施例C)。
【0169】
したがって、本発明の化合物は、共通の機構に基づいて、神経変性性、外傷性、炎症性、ウイルス性、虚血性、遺伝性もしくは興奮毒性である刺激又はストレスに由来するあるいはニューロン新生の異常に由来する非常に広い範囲の神経変性性病変、例えばアルツハイマー病、MCI等の認知症の初期型、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患、血栓起源、出血起源もしくは心臓手術後の脳血管障害等の脳潅流異常、癲癇、ウイルス病(HIV)もしくはプリオン病、精神病で見出される神経可塑性の全ての現象:自閉症(Wickelgren I., Science, (2005), 308, 1856-1558)、失読症、統合失調症、うつ病、注意欠陥多動症(ADHD)及びまた、未成熟幼児の脳室周囲白質軟化症の障害、老化、高血圧に関連し、認知症をもたらす脳白質の萎縮、及び特に高齢患者における、慢性動脈性高血圧で認められる白質病変の障害をクレームする。
【0170】
実施例G
医薬組成物
各々10mgの有効成分を含む錠剤1000錠を製造するための処方
実施例1の化合物 10g
ヒドロキシプロピルセルロース 2g
小麦デンプン 10g
ラクトース 100g
ステアリン酸マグネシウム 3g
タルク 3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患の治療的処置及び/又はそれらの疾患から生じる障害の出現の予防における、式(I):
【化9】


[式中、
− R、R、R及びRは、同じであるか又は異なってよく、互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子、ヒドロキシ基、
場合により、1個以上のハロゲン原子、又は、アミノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基又は場合により置換されているアリール基で置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、
場合により、1個以上のハロゲン原子、又は、アミノ基、ニトロ基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基で置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基を表すか、あるいは
、R、R及びRは、対になって、隣接する炭素原子に担持されているものが、メチレンジオキシ基又はエチレンジオキシ基を形成し、
− R及びRは、各々、互いに関してシス配置を有する水素原子を表すか、又はそれらは一緒になって結合を形成し、
− R及びRは、各々、互いに関してシスもしくはトランス配置を有する水素原子を表すか、又は、R及びRが一緒になって結合を形成する場合、それらは一緒になって結合を形成し、
− Aは、下記の二価の基:
【化10】


を表し、
− Zは、酸素原子又は硫黄原子を表し、
− Rは、水素原子、あるいは場合により、1個以上のハロゲン原子、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、−NR1011基、又はフェニル基(場合により、1個以上のハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基で置換されている)で置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、ここで、これらのアルキル基又はアルコキシ基は、場合により、1個以上の場合により置換されているアリール基で置換されており、
− R10及びR11は、同じであるか又は異なってよく、互いに独立に、水素原子、あるいは、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基を表す]
で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩の使用。
【請求項2】
神経変性疾患の治療的処置及び/又はそれらの疾患から生じる障害の出現の予防における、式(II):
【化11】


{式中、
− Aは、下記の二価の基:
【化12】


[式中、
・ Zは、酸素原子又は硫黄原子を表し、
・ Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、C(O)−AA(ここで、AAは、アミノ酸基を表す)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシカルボニル基、CHR’−O−C(O)−R”(式中、R’は、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、そしてR”は、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基、アリール基、アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(1個以上のハロゲン原子、1個以上のヒドロキシ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で場合により置換されているアミノ基で置換されている)を表す)を表す]を表し、
− 環Bにおいて、
------ は、単結合又は二重結合を表し、
− 環Cにおいて、
------ は、単結合又は二重結合を表し、環Cは多くとも、1個のみの二重結合を含有し、
− R、R、R及びRは、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基、アミノ基(場合により、1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基及び/又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基で置換されており、アルキル基及びアルケニル基は、同じ又は異なることができる)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(1個以上のハロゲン原子、1個以上のヒドロキシ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、又は場合により1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されているアミノ基で置換されている)を表し、
− Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、アミノアルキル基(ここで、アルキル部分が1〜6個の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の鎖である)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル基を表し、
− X及びYは、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
− R、R、R及びRは、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、ヒドロキシ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基、アミノ基(1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で場合により置換されている)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、及び場合により1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されているアミノから選択される1個以上の基で置換されている)を表し、
Aが、置換基R、R、R、R又はYの一つを有する炭素原子で環Cに結合し、また、該結合している炭素原子が二重結合をも有するとき、対応する置換基R、R、R、R又はYは存在しないと理解され、
− Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基;アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である);直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基;直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル基;直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖(ヒドロキシ、アミノ(場合により、1もしくは2個の同一もしくは異なる直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基で置換されている)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、及びNR(ここで、R及びRは、それらを有する窒素原子と一緒になって、場合により複素環内に1個以上の二重結合を含み、かつ場合により環系に酸素原子及び窒素原子から選択される第二のヘテロ原子を含む、場合により置換されている4〜8員の複素環を形成する)から選択される1個以上の基で置換されている);あるいは、アルキル鎖と同じ基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル鎖又はアルキル鎖と同じ基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル鎖を表す}
で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩の使用。
【請求項3】
神経変性疾患の治療的処置及び/又はそれらの疾患から生じる障害の出現の予防における、式(III):
【化13】


[式中、
− Rは、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル基又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル基を表し、
− Rは、水素原子を表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− Rは、水素原子を表し、
− Rは、水素原子、又は、メチル、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル基、アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、又はヘテロシクロアルキル−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)を表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− R、R、R及びRは、同一であるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子を表すか、
又はジェミナル置換基の一対(RとR及び/又はRとR)は、オキソ基、チオキソ基又はイミノ基を形成し、
− Rは、水素原子もしくはハロゲン原子、あるいは、場合により置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基又はアミノ基(場合により、1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基で置換されており、アルキル及びアルケニルは、同一であるか又は異なっていることができる)を表し、
− R10及びR11は、同じであるか又は異なってよく、各々互いに独立に、水素原子もしくはハロゲン原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基又はアミノ基(場合により、1もしくは2個の直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基で置換されており、アルキル及びアルケニルは、同一又は異なることができる)を表し、
− nは、0〜4の整数(0、1、2、3又は4を含む)を表し、
− mは、0〜2の整数(0、1又は2を含む)を表し、
− pは、0〜3の整数(0、1、2又は3を含む)を表し、
− Xは、基NR12を表し、
− R12は、水素原子又は、場合により置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、場合により置換されている、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基、アリール−(C〜C)アルキル基(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル基を表す]
で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩の使用。
【請求項4】
神経変性疾患の治療的処置及び/又はそれらの疾患から生じる障害の出現の予防における、式(IV):
【化14】


{式中、
− Xは、CO又は
【化15】


を表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキル、アリール−(C〜C)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)を表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキルを表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキルを表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アミノアルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ヒドロキシアルキルを表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素原子と一緒になって、炭素−炭素結合を形成し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキルを表し、
− Rは、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキルを表し、
− R、Rは、水素原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、アリール−(C〜C)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル、1以上のヒドロキシ、シアノ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、NR1314で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖、アルキル鎖について定義されたものと同じ置換基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル鎖、又はアルキル鎖について定義されたものと同じ置換基で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキニル鎖を表すか、あるいは
とRは、それらを有する炭素及び窒素原子と一緒になって、基R12で場合により置換されている、5、6又は7環員の複素環を形成するか、あるいは
とRは、それらを有する炭素及び窒素原子と一緒になって、基R11で場合により置換されている、5、6又は7環員の複素環を形成し、
2つのグループ「RとR」と「RとR」のうち、必然的に1つ(但し、1つだけ)は、それらを有する炭素及び窒素原子と一緒になって、基R11で場合により置換されている、5、6又は7環員の複素環を形成すると理解され、
− Rは、水素、ハロゲン、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル、NR1516、あるいは、1個以上のハロゲン、1個以上のヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、又はNR1516で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖を表し、
− nは、整数0、1、2、3又は4を表し、
− R10は、水素、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル、アリール−(C〜C)アルキル(ここで、アルキル部分は、直鎖状もしくは分枝状である)、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)ポリハロアルキル、あるいは、1個以上のハロゲン原子、1個以上の基ヒドロキシ、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ、又はNR1516で置換されている直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル鎖を表し、
− R11、R12は、同一であるか又は異なってよく、−COOT基又は−CHO−U基(ここで、T及びUは、同一であるか又は異なってよく、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表す)を表し、
− R13、R14は、同一であるか又は異なってよく、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表すか、あるいはそれらを有する窒素原子と一緒になって、場合により複素環に二重結合を含み、かつ場合により環系に酸素原子及び窒素原子から選択される第二のヘテロ原子を含む、場合により置換されている4〜8員の複素環を形成し、
− R15、R16は、同一であるか又は異なってよく、各々、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルケニル基を表すが、
(3aSR,4SR)−3−ベンジル−4−エチル−2,3,3a,4−テトラヒドロベンゾ[b]ピリド[2,3,4−gh]ピロリジン−5(1H)−オンは、本発明の一部を構成しないことが理解される]
で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩の使用。
【請求項5】
神経変性疾患の治療的処置及び/又はそれらの疾患から生じる障害の出現の予防における、式(V):
【化16】


[式中、
− R及びRは、同じであるか又は異なってよく、水素原子又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基を表し、
− Rは、水素原子もしくはハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル基、又は直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシ基を表し、
− Hetは、ハロゲン、直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルキル及び直鎖状もしくは分枝状(C〜C)アルコキシから選択される1個以上の基で場合により置換されている、ピリジル、ピリミジニル又はピペリジル基を表し、
------ は、単結合又は二重結合を表し、
は、それが可能なインドール/インドリン環の炭素のいずれかに結合しうると理解される]
で示される化合物、それらの鏡像異性体及びジアステレオ異性体、並びに薬学的に許容しうる酸又は塩基とのそれらの付加塩の使用。
【請求項6】
神経変性疾患の治療的処置及び/又はそれらの疾患から生じる障害の出現の予防における、N−(1H−インドール−1−イル)−N’−(3−ピリジル)ウレア又はN−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−N’−(3−ピリジル)ウレア又は薬学的に許容しうる酸もしくは塩基とのそれらの付加塩の使用。
【請求項7】
神経変性性、外傷性、炎症性、ウイルス性、虚血性、遺伝性もしくは興奮毒性である刺激又はストレスに由来するあるいは神経新生の異常に由来する神経変性性病変、例えばアルツハイマー病、MCI等の認知症の初期型、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患、血栓起源、出血起源もしくは心臓手術後の脳血管障害等の脳潅流の異常、癲癇、ウイルス病(HIV)もしくはプリオン病、精神病で見出される神経可塑性の全ての現象:自閉症、失読症、統合失調症、うつ病、注意欠陥他動症(ADHD)、及びまた未成熟幼児の脳室周囲白質軟化症の障害、老化、高血圧に関連し、認知症をもたらす脳白質の萎縮、及び白質病変の障害等の白質の全ての病変の処置のために意図される医薬を得る上での、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項8】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、病変性老化、脳血管障害、心臓もしくは新生児手術後の中枢神経損傷、癲癇、脳もしくは脊髄外傷、及びまた、うつ病、統合失調症及び老年性認知症等の精神障害で見られるある種の神経変性性症状の処置のために意図される医薬を得る上での、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項9】
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脳血管障害、心臓もしくは新生児手術後の中枢神経損傷、癲癇、脳もしくは脊髄外傷、及びまた、うつ病、統合失調症及び老年性認知症等の精神障害で見られるある種の神経変性性症状の処置のために意図される医薬を得る上での、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項10】
アルツハイマー病、パーキンソン病及び脳血管障害の処置のために意図される医薬を得る上での、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2010−514827(P2010−514827A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544434(P2009−544434)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000014
【国際公開番号】WO2008/099083
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】