説明

移動体搭載レーダ装置及びキャリブレーション方法

【課題】被搭載移動体の移動中におけるアンテナ波面のずれを補正する。
【解決手段】レーダ信号処理装置Rにおいて、通常運用前に、既知方位ターゲットに対する方位を測定し、測定結果から各アンテナ素子の方位補正値を算出して記憶回路141に記憶しておき、実運用時に記憶した方位補正値に基づいて各素子の受信信号の位相を制御する。通常運用段階において、既知方位に目標ターゲットを配置してその方向にパルスを放射し、アンテナを介して受信される目標反射信号に基づいて目標からの到来方位を測定し、モジュール補正量算出回路151にて、測定到来方位と既知目標方位との差がゼロになるように、各サブモジュールLiの合成出力の振幅・位相差に対する補正値を算出してメモリ1512に記憶しておき、実運用時にメモリ1512からビーム指向方向に対する各サブモジュールLiそれぞれの機体変形による位相誤差の補正値を求め、波面のずれを補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機等の移動体に搭載され、その表面に装着されるアンテナ装置を用いてレーダ信号を受信するレーダ装置と、アンテナ装置の素子配列面形状の変化を補正することによって、アンテナ装置装着面が変形した際にアンテナ性能の劣化を回避するキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機搭載のレーダ装置では、アレーアンテナを多数のフレキシブルなサブモジュールに分割して機体表面にその形状に沿って分散配置したアクティブフェーズドアレーによるアンテナ装置の開発が進められている。このアンテナ装置は、個々のモジュールを個別にかつ選択的に制御することで、全体として任意の指向性が得られ、レーダ開口面が増大するものとして期待されている。
【0003】
ところで、アクティブフェーズドアレーアンテナを用いたレーダ装置では、アンテナ受信信号の利得を上げるために、アレーアンテナの指向性を制御する。アレーアンテナの指向性の制御は、各アンテナに取り付けられている振幅調整器及び可変移相器によって振幅と位相を調整することで、所望の指向性パターンと周波数特性を得る。
【0004】
しかしながら、アレーアンテナでは、各アンテナ素子に対応する回路特性のばらつき、素子配置のばらつきなどの原因により、各アンテナ素子の動作特性が異なるという問題がある。このように回路特性のばらつきや素子配置のばらつきがあると、それらのばらつきに対応する位相差分だけアンテナの波面がずれてしまう。このため、従来ではこれらのばらつきに対応する位相差を予め補正値として求めておき、方位を求める際、補正値を用いてアンテナの波面を補正する、いわゆるキャリブレーションを行なうことで正しい方位を求めている。キャリブレーション方法としてはいくつかの報告事例(例えば、非特許文献1)がある。
【0005】
具体的には、キャリブレーションの処置は、通常、運用前に既知の方位に配置されたターゲットに対する方位を測定し、測定された方位が所定の方位となるように、方位(位相差)に対する補正値をアンテナ素子単位で求め、レーダ装置内の記憶装置に記憶しておく。この記憶装置内には、温度や周波数特性による位相差への影響を考慮した補正値も記憶されているのが一般的である。運用段階においては、このキャリブレーションによって求められた補正値を用いて演算することで、アンテナの波面を正確に合わせることができる。
【0006】
ところが、航空機の機体表面にアンテナ装置が装着されるレーダ装置を考える場合、問題は複雑となる。
【0007】
一般的に、航空機の機体表面は飛行時に変形することが知られている。機体表面の変形によるアンテナの配置誤差は、アンテナ単体の特性への影響は小さいが、アクティブフェーズドアレーレーダのように数千個ものアンテナ素子により構成されるアレーアンテナを用いたレーダでは、その影響は顕著に表れる。従来のキャリブレーション手法では、アンテナ単体での素子位置のばらつきや配置誤差に対する補正は成されているが、機体変形などで生じるレーダ開口面全体に対応する位相補正は考慮されていない。そのため、通常運用前に測定した補正値では、アンテナの波面がずれることにより、性能が劣化するといった問題がある。
【非特許文献1】菊間信良,「アレーアンテナによる適応信号処理」,株式会社科学技術出版,1998年11月,p.13−66.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上述べたように、従来のアクティブフェーズドアレーアンテナを利用した移動体搭載のレーダ装置では、被搭載移動体の移動中におけるアンテナ装着面の変形が考慮されていないため、キャリブレーションを行っても、移動中におけるアンテナの波面を正確に合わせることができない。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、被搭載移動体の移動中であってもアンテナの波面を合わせることのできる移動体搭載レーダ装置とそのキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明に係る移動体搭載レーダ装置は、移動体の表面に分散して装着され、それぞれ個別にマイクロ波受信機能を有し、互いに独立して指向制御されるアレーアンテナ構造による複数のサブモジュールと、指示される指向方向に基づいて前記複数のサブモジュール内の個々のアンテナ素子の位相を制御してビーム走査角を制御する走査制御手段と、前記複数のサブモジュールで得られる受信信号を合成して受信ビームを形成する受信ビーム形成手段と、前記複数のサブモジュールに対し、サブモジュール単位で前記受信ビームの指向制御を行う指向制御手段とを具備し、前記指向制御手段は、前記受信ビーム形成手段で形成された受信ビームの受信信号に基づいて前記複数のサブモジュールそれぞれに対する位相量を補正して前記移動体の機体変形に伴う波面のずれを合わせることを特徴とする。
【0011】
また、上記構成による移動体搭載レーダ装置に用いられるキャリブレーション方法は、既知の方位に配置された高SNRな基準ターゲットの方位に対してパルスを放射し、反射波に基づいて、電波到来方向推定手法により求められる目標からの到来方位と既知の目標の方位の差がゼロになるように、前記サブモジュール単位で方位補正値を算出し、この方位補正値をサブモジュール内の位相補正量に変換することを特徴とする。
【0012】
すなわち、本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、位相補正値をアンテナ単体にのみ設けるのではなく、ある程度まとまった複数のアレーアンテナ単位(サブモジュール)の合成出力に対して、位相補正を行なう。
【0013】
まず、各アンテナの補正値の導出に関しては、レーダ装置の通常運用前に個々のアンテナ素子について、既知の方位に配置されたターゲットに対する方位を測定し、測定された方位が所定の方位となるように、方位(位相差)に対する補正値を算出する。前記補正値に加え、温度や周波数特性による影響を考慮した補正値を位相補正量記憶装置に記録する。
【0014】
次に、サブモジュール単位の位相補正に関して、通常運用段階において、既知の方位に目標となる高SNRなターゲットを配置し、その方向にパルスを放射する。アンテナを介して受信されるレーダパルスの目標反射信号に基づいて、電波到来方向推定手法(例えばBeamformer法、Capon、MUSIC、ESPRITなど)により求められる目標からの到来方位と既知の目標の方位の差がゼロになるように、各サブモジュールの合成出力に対して位相差に対する補正値を算出し、レーダ装置内に記憶させておく。このキャリブレーション方法を適用することで、機体変形による位相誤差の補正値を求めることができ、当該問題に対する波面のずれ性能劣化を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
したがって、本発明によれば、被搭載移動体の移動中であってもアンテナの波面を合わせることのできる移動体搭載レーダ装置とそのキャリブレーション方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明に係るレーダ装置が搭載される航空機のアンテナ搭載イメージを示す斜視図である。この航空機には、機体表面の任意の箇所に多数の薄型・フレキブルアンテナによる受信サブモジュールL1〜Lnが装着される。
【0018】
各受信サブモジュールLi(iは1〜n)は、図2に示すように、N個のアンテナ素子(素子番号#1〜#N)111〜11Nと、各素子の励振及び素子の受信を選択的に切り替えると共に、位相及び振幅を調整するマイクロ波モジュール121〜12Nと、各マイクロ波モジュール121〜12Nにマイクロ波励振信号を電力分配し、各モジュール121〜12Nからの受信出力を合成する電力分配/合成回路13と、電力分配/合成回路13及びマイクロ波モジュール121〜12Nに対して、ビーム走査角情報に従ってアンテナビームの指向方向を走査制御する走査制御器14とを備える。走査制御器14は、各受信サブモジュールL1〜Lnそれぞれに対して与えられる個々のアンテナ素子の振幅・位相補正量をモジュール補正量記憶回路141に格納し、ここに格納された補正量に基づいて受信ビーム形成時に合成出力の振幅・位相を補正する機能を備える。
【0019】
上記n個の受信サブモジュールLiは、レーダ信号処理装置Rに接続される。このレーダ信号処理装置Rは、ビーム形成方向に応じてアンテナ素子単位の振幅・位相補正量を算出し、個々の受信サブモジュールLiに送って記憶回路141に記憶させると共に、サブモジュール単位の振幅・位相補正量を算出するモジュール補正量算出回路151を備えるレーダ信号処理部15と、励振信号を各サブモジュールLiの電力分配/合成回路13に送り、当該電力分配/合成回路13からの合成受信信号を上記モジュール補正量算出回路151で算出される振幅・位相補正量に基づいて補正し合成出力する励振受信部16とを備える。
【0020】
ここで、アクティブフェーズドアレーレーダでは、例えば縦方向に並べられたN素子のアレーアンテナを横方向にM個並べるような、面状アレーアンテナによって開口面が構成される。本発明はこの面状アレーアンテナを複数分割し、それぞれを受信サブモジュールLiとして構成する。図3はレーダ開口面を(n=8,m=8)単位で分割した場合の受信サブモジュールを示している。
【0021】
上記構成において、以下に具体的な処理内容を説明する。
【0022】
まず、図4に示す複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナの構成図を参照して、アレーアンテナの信号処理とキャブレーション手順について説明する。なお、アレー構成は、説明を簡単にするため、等間隔リニアアレーとする。
【0023】
図4において、N(n:1…N)はアンテナ素子数、dn は基準点から第n番目の素子位置の距離、θ0 は電波の到来方向、cは光速である。A1 〜AN は振幅調整器、δ1 〜δN は可変移相器、Σは加算器を示している。各アレー素子における受信データは次式で求められる。
【数1】

【0024】
ここで、λは到来波の波長、s(t)は到来波の複素振幅、nn(t)は各アンテナ素子で発生する熱雑音である。
【0025】
アレーの出力値は、次式で表される。
【数2】

【0026】
ここで、wは各素子への重み付け係数を要素とするウェイトベクトルである。出力電力は次式で求められる。
【数3】

【0027】
ここでE[・]はアンサンブル平均である。
【0028】
非特許文献1で詳細に記述されているが、Beamformer法はもっとも基本的な到来方向推定法で、アレーアンテナのメインビームを全方位にわたって走査し、アレーの出力電力が大きくなる方向を探す手法である。アレーアンテナのメインビームを角度θに向けるためには、共相条件(同相になるように位相を揃える条件)より、ウェイトベクトルを次のように設定する。
【数4】

【0029】
この角度θを−90°から90°まで変化させ、アレーの出力電力のピークを探す。上記のウェイト成分をもつウェイトベクトルは、角度θを変数にもち、モードベクトルまたはステアリングベクトルと呼ばれる。アレーの合成出力は次式で表される。
【数5】

【0030】
各アンテナキャリブレーション手順としては、ある既知の方向に反射体を設置し、その方向に電波を送信する。反射体からの反射信号をアレーアンテナにより受信し、Beamformer法によりアレーの出力電力のピークを探す。例えば図5に示すように、出力電力のピーク角度と電波の放射角度に角度差(方位誤差)がある場合、その角度差をゼロとするような振幅・位相補正量を算出し、それを補正値として扱う。
【0031】
本発明は、アンテナ素子単位の振幅・位相補正は、通常運用前の検査工程において算出される補正値を用いて行なわれるものとし、その上位系統に2次的な振幅・位相補正をサブモジュール単位で行うように、レーダ信号処理部15にモジュール補正量算出回路151を用意している。そのサブモジュール単位で補正するための概略的な系統図を図6に示す。
【0032】
図6において、励振受信部16は、各受信サブモジュールLiからの受信信号をそれぞれ振幅・位相制御器161iを介して取り込んで加算器(Σ)162で順次加算合成する。これに対し、モジュール補正量算出回路151では、ビーム走査角情報(θAZ,θEL)が与えられると、演算回路1511にてビーム方向に対応する振幅・位相量を演算する。
【0033】
ここで、算出回路151には、予めビーム指向方向別に測定されたサブモジュール単位の振幅・位相補正量がメモリ1512に格納されており、補正量読み出し回路1513はビーム走査角情報が与えられると、メモリ1512にアクセスして該当するビーム指向方向のサブモジュール別の振幅・位相補正量を読み出す。読み出された振幅・位相補正量は、加算器1514に送られてサブモジュール別に演算回路1511で求められた振幅・位相量に加算される。このようにして補正処理されたサブモジュール別の振幅・位相量は、励振受信部161の該当する系統の振幅・位相制御器161iに送られ、振幅・位相制御処理に供される。
【0034】
図7は、図6に示す構成において、レーダ信号処理の具体的な処理手順を示すフローチャートである。まず、各サブモジュールLiにて各アンテナ素子の信号受信が行われると(ステップS1)、サブモジュール単位の振幅補正量をメモリ1512から読み出し、対応するサブモジュールで振幅補正を実行する(ステップS2)。続いて、サブモジュール単位の位相補正量をメモリ1512から読み出し、対応するサブモジュールで位相補正を実行する(ステップS3)。
【0035】
上記サブモジュール単位の補正処理を経てRF合成を行い(ステップS4)、合成出力をA/D変換し(ステップS5)、ビーム指向方向に合わせてアンテナ全体の位相補正を行って(ステップS6)、ビーム合成を行い(ステップS7)、レーダ出力Y(t)を得る。
【0036】
このように、各サブモジュールからの合成出力に対して振幅・位相補正量を算出し、この補正量をサブモジュール単位の振幅・位相補正量に変換して振幅・位相制御を施し合成することで、より高精度な測角が可能となる。
【0037】
以上まとめると、従来のアクティブフェーズドアレーアンテナを利用した移動体搭載のレーダ装置では、被搭載移動体の移動中におけるアンテナ装着面の変形が考慮されていないため、キャリブレーションを行っても、移動中におけるアンテナの波面を正確に合わせることができない。
【0038】
そこで、本発明では、振幅・位相補正値をアンテナ単体にのみ与えるのではなく、ある程度まとまった複数のアレーアンテナ単位(サブモジュール)の合成出力に対して、振幅・位相補正を行なう。
【0039】
まず、各アンテナ素子の補正値の導出に関しては、レーダ信号処理装置Rにおいて、通常運用前に、個々のアンテナ素子について既知の方位に配置されたターゲットに対する方位を測定する。そして、モジュール補正量算出回路151にて、測定された方位が所定の方位となるように、方位(位相差)に対する補正値を算出し、さらに温度や周波数特性による影響を考慮した補正値を加えて、サブモジュールLiそれぞれのモジュール補正量記憶回路141に記憶しておき、実運用時に記憶した位相補正量に基づいて各素子の受信信号の位相を制御する。
【0040】
次に、サブモジュール単位の位相補正に関して、通常運用段階において、既知の方位に目標となる高SNRなターゲットを配置し、その方向にパルスを放射する。レーダ信号処理装置Rにおいて、アンテナを介して受信されるレーダパルスの目標反射信号に基づいて、電波到来方向推定手法(例えばBeamformer法、Capon、MUSIC、ESPRITなど)により求められる目標からの到来方位を測定する。そして、モジュール補正量算出回路151にて、測定された到来方位と既知の目標の方位の差がゼロになるように、各サブモジュールLiの合成出力に対して振幅・位相差に対する補正値を算出し、メモリ1512に記憶しておく。このようなキャリブレーション方法を適用することで、実運用時にメモリ1512からビーム指向方向に対する各サブモジュールLiそれぞれの機体変形による位相誤差の補正値を求めることができ、波面のずれによる性能劣化を回避することが可能となる。
【0041】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るレーダ装置が搭載される航空機のアンテナ搭載イメージを示す斜視図。
【図2】図1のレーダ装置における受信サブモジュール及びレーダ信号処理装置の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す受信サブモジュールのアレーアンテナ構成を説明するための概念図。
【図4】一般的なアレーアンテナにおけるビーム指向の制御手順を説明するための構成図。
【図5】図4に示すアレーアンテナにおいて、出力電力のピーク角度と電波の放射角度に角度差(方位誤差)がある場合のBeamformer法によるビームパターンを示す図。
【図6】図1に示すレーダ装置において、本発明によるサブモジュール単位で振幅・位相補正を行うための概略的な系統構成を示すブロック図。
【図7】図6に示す構成において、レーダ信号処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
L1〜Ln…受信サブモジュール、111〜11N…アンテナ素子、121〜12N…マイクロ波モジュール、13…電力分配/合成回路、14…走査制御器、141…モジュール補正量記憶回路、R…レーダ信号処理装置、15…レーダ信号処理部、151…モジュール補正量算出回路、1511…演算回路、1512…メモリ、1513…補正量読み出し回路、1514…加算器、16…励振受信部、161i…振幅・位相制御器、A1 〜AN …振幅調整器、δ1 〜δN …可変移相器、Σ…加算器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の表面に分散して装着され、それぞれ個別にマイクロ波受信機能を有し、互いに独立して指向制御されるアレーアンテナ構造による複数のサブモジュールと、
指示される指向方向に基づいて前記複数のサブモジュール内の個々のアンテナ素子の位相を制御してビーム走査角を制御する走査制御手段と、
前記複数のサブモジュールで得られる受信信号を合成して受信ビームを形成する受信ビーム形成手段と、
前記複数のサブモジュールに対し、サブモジュール単位で前記受信ビームの指向制御を行う指向制御手段と
を具備し、
前記指向制御手段は、前記受信ビーム形成手段で形成された受信ビームの受信信号に基づいて前記複数のサブモジュールそれぞれに対する位相量を補正して前記移動体の機体変形に伴う波面のずれを合わせることを特徴とする移動体搭載レーダ装置。
【請求項2】
前記指向制御手段は、前記複数のサブモジュールそれぞれの方位補正値を算出し、この方位補正値をサブモジュール単位の位相補正量に変換する補正位相演算回路部を有することを特徴とする請求項1記載の移動体搭載レーダ装置。
【請求項3】
前記指向制御手段は、さらに、既知の方位に配置された高SNRな基準ターゲットの方位に対してパルスを放射し、反射波に基づいて、電波到来方向推定手法により求められる目標からの到来方位と既知の目標の方位の差がゼロになるように、前記サブモジュール単位で方位補正値を算出し、この方位補正値をサブモジュール単位の位相補正量に変換するキャリブレーションを実行することを特徴とする請求項2記載の移動体搭載レーダ装置。
【請求項4】
移動体の表面に分散して装着され、それぞれ個別にマイクロ波受信機能を有し、互いに独立して指向制御されるアレーアンテナ構造による複数のサブモジュールと、指示される指向方向に基づいて前記複数のサブモジュール内の個々のアンテナ素子の位相を制御してビーム走査角を制御する走査制御手段と、前記複数のサブモジュールで得られる受信信号を合成して受信ビームを形成する受信ビーム形成手段と、前記複数のサブモジュールに対し、サブモジュール単位で前記受信ビームの指向制御を行う指向制御手段とを具備し、前記指向制御手段は、前記受信ビーム形成手段で形成された受信ビームの受信信号に基づいて前記複数のサブモジュールそれぞれに対する位相量を補正して前記移動体の機体変形に伴う波面のずれを合わせる移動体搭載レーダ装置に用いられ、既知の方位に配置された高SNRな基準ターゲットの方位に対してパルスを放射し、反射波に基づいて、電波到来方向推定手法により求められる目標からの到来方位と既知の目標の方位の差がゼロになるように、前記サブモジュール単位で方位補正値を算出し、この方位補正値をサブモジュール内の位相補正量に変換することを特徴とする移動体搭載レーダ装置のキャリブレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−71889(P2010−71889A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241603(P2008−241603)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】