説明

移動体用電子システムの制御装置及び制御方法、移動体用電子システム並びにコンピュータプログラム

【課題】カーオーディオ等の情報出力装置及びナビゲーション装置を含む移動体用電子システムにおいて、移動体の移動状況に相応しい音声情報や映像情報を出力する。
【解決手段】移動体用電子システムは、音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、移動体の移動状況に関連付けられる測定データを出力する測定手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる。この移動体用電子システムを制御する制御装置は、移動体の移動中における所定種類の特殊状況を測定データに基づいて検出する状況検出手段と、移動体の移動中に、状況検出手段により特殊状況が検出された場合に、特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するように出力手段を制御する出力制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーオーディオシステム等の車載用などの移動体用の情報出力装置及び車載用などの移動体用のナビゲーション装置を含んでなる移動体用電子システムの制御装置及び制御方法、移動体用電子システム並びにコンピュータプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
カーオーディオシステム或いはカーステレオ、カーテレビ等の車載用の情報出力装置では、CD(Compact Disc)、DVD、MD(Mini Disc)、カセットテープ等を再生して、車内に搭載されたスピーカや表示装置等により、車内に音声出力したり、映像出力したりする。或いは、ラジオ電波やテレビ電波を受信し復調して、車内に音声出力したり、映像出力したりするように構成されている。
【0003】
他方、車載用のナビゲーション装置では、表示装置により地図データ、現在位置データ、各種案内データ等を表示したり、車内に搭載されたスピーカにより、ナビゲーション用の案内メッセージ、警告メッセージ等を音声出力したりするように構成されている。
【0004】
そして、同一車内に搭載される、これらの車載用の情報出力装置とナビゲーション装置とでは、表示装置やスピーカ等を兼用するように構成されているのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら車載用の情報出力装置とナビゲーション装置とは、相互に独立した機能を有するに止まり、ナビゲーション用の入力データ(例えば、目的地データ)や出力データ(例えば、目的地までの所要時間、経路等)を、情報出力装置における音声出力や映像出力に反映させることはできない。例えば、目的地を入力したり、ナビゲーション装置における予定到着時刻や予定所要時間等を見た運転手や同乗者が自ら、これらの所要時間等に相応しい音声情報や映像情報が何であるかを調査し、更に該調査した音声情報や映像情報が出力されるように情報出力装置を設定或いは操作することによって、初めて自車の走行状況或いは走行予定状況に相応しい音声情報や映像情報を出力させることが可能となる。但し、目的地に到着する少し前に終了する一連の音声情報(例えば、音楽アルバム、同一アーティストに係る楽曲集、1本のラジオ番組など)や一連の映像情報(例えば、1本の映画、1冊の電子図書、1本のテレビ番組など)を選択することは、既に車内に乗り込んだ運転手や同乗者にとっては非常に面倒且つ困難である。このため、上述した自車の走行状況に相応しい音声情報や映像情報を選択するという人為的な作業自体も、実際に行なわれることは殆どない。
【0006】
このように、近時における各種電子装置を共用したり更には同一移動体用電子システム内に構築される移動体用の情報出力装置とナビゲーション装置とを用いても、移動体の走行状況に相応しい音声情報や映像情報を出力させることはできないという問題点がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、移動体用の情報出力装置及び移動体用のナビゲーション装置を含んでなる移動体用電子システムを、移動体の移動状況に相応しい音声情報や映像情報を出力可能であるように制御する移動体用電子システムの制御装置及び制御方法、このような制御装置を備えた移動体用電子システム、並びにコンピュータをこのような制御装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置は上記課題を解決するために、(i)音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、(ii)移動体の移動における目的地を入力可能な入力手段及び前記移動体の現在位置から前記入力手段により入力された目的地に到着するまでに要する所要時間を算出する算出手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる移動体用電子システムを制御する制御装置であって、前記コンテンツ情報の出力に要する時間を示す出力時間情報に基づいて、前記目的地に到着するまでの前記移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を、前記算出された所要時間に応じて選択する選択手段と、前記目的地に到着するまでの前記移動体の移動中に、前記選択手段により選択されたコンテンツ情報を出力するように前記出力手段を制御する出力制御手段とを備える。
【0009】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置によれば、移動体用電子システムにおいて、例えば、カーオーディオシステム、カーステレオシステム、カーテレビシステム、携帯テレビシステム等の情報出力装置が備える表示装置の画面上に、映像情報を含むコンテンツ情報が表示される。或いは、例えば車内に搭載されたスピーカや、携帯オーディオシステムのヘッドホーン等から、音声情報を含むコンテンツ情報が音声出力される。この際、映像情報としては、CD、DVD、ハードディスク等の記録媒体から再生されたり、無線受信され且つ復調された映画、ドラマ、アニメ等の他、画面表示される映像化されたテキスト情報等を含む。音声情報としては、CD、DVD、ハードディスク等の記録媒体から再生されたり、無線受信され且つ復調された楽曲の他、映像情報に付随した音声情報、音声化されたテキスト情報等を含む。尚、本発明では、このような映像情報及び音声情報を含めて、情報出力装置により運転手や同乗者或いは移動者等に対して何らかの形で出力可能な情報を「コンテンツ情報」という。また、本発明における「移動体」とは、移動体用の情報出力装置やナビゲーション装置が搭載される自動車、船舶、飛行機等の他、このような移動体用の情報出力装置やナビゲーション装置或いは移動体用電子システムを持ち歩く人間をも含む広い概念である。
【0010】
他方、移動体用電子システムにおいて、ナビゲーション装置は例えば、GPS(Global Positioning System)測位或いは自立測位により現在位置を測位し、現在位置から目的地までの最適経路を計算して表示装置に表示したり、現在位置付近の地図情報を表示装置に表示したり、これに現在位置マークを重畳したりする。但し、本発明におけるナビゲーション装置は、少なくとも、移動体の移動における目的地を入力可能なキー、マウス、タッチパネル、音声入力装置等の入力手段と、現在位置から目的地に到着するまでに要する所要時間を算出するCPU(Central Processing Unit)等の算出手段とを備える。
【0011】
そして特に、選択手段によって、例えば予めメモリ等に記憶されており或いはデータベースから通信手段を介してダウンロードされておりコンテンツ情報の出力に要する時間を示す出力時間情報に基づいて、目的地に到着するまでの移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を、算出された所要時間に応じて選択する。例えば、算出された所要時間と同じか若干短い録音時間を持つ音楽アルバムを選択したり、算出された所要時間と同じか若干短い録画時間を持つ映画を選択したりする。更には、運転手や同乗者等の好みに応じて予め設定された好みのアーティストや好みのジャンル等に属する楽曲や映像を、予め格納されたコンテンツ情報の中から取り出して又は通信手段を介してデータベースからダウンロードして、複数の楽曲等からなると共に所要時間で完結する複数のコンテンツ情報の組み合わせを示すプレイリストを作成する。或いは、所要時間で読むのに適した長さの電子図書等やテープ上に録音された物語等を選択する。または、内蔵クロックを参照することにより現在時刻も考慮して、所要時間内に終わるラジオ番組やテレビ番組を選択する。その後、目的地に到着するまでの移動体の移動中に、出力制御手段による制御下で、出力手段は、選択手段により選択されたコンテンツ情報を出力する。従って、ナビゲーション装置によって予定された所要時間に相応しいコンテンツ情報が移動中、出力され、目的地に到着する際には、このコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了する。
【0012】
このように、情報出力装置及びナビゲーション装置を含む移動体用電子システムにおいて、移動体の移動状況に相応しい音声出力や映像出力が可能となる。
【0013】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の一態様では、前記移動体の移動が予定通りであるか否かを監視する監視手段を更に備えており、前記選択手段は、前記監視手段による監視結果に従って前記移動体の移動が予定通りでない場合に、現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加える。
【0014】
この態様によれば、監視手段による監視結果に従って、移動体の移動が予定通りでない場合、即ち、予定よりも目的地に早く到着しそうな場合や遅く到着しそうな場合に、選択手段は、現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加える。例えば、予定よりも早く到着しそうな場合には、複数の楽曲からなる楽曲アルバムの途中の楽曲をプレイリスト中から間引いたり、予定よりも目的地に遅く到着しそうな場合には、再生中の楽曲アルバムと類似の楽曲アルバム(例えば、同一アーティストや同一ジャンルに係る楽曲)をプレイリスト中に挿入したりする。従って、道路渋滞や寄り道等によって、予定通りに移動していない場合であっても、その後目的地に到着する際には、このように変更されたコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了する。
【0015】
このように、情報出力装置及びナビゲーション装置を含む移動体用電子システムにおいて、道路渋滞等により予定から外れた場合であっても、移動体の移動状況に相応しい音声出力や映像出力が可能となる。
【0016】
或いは本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記移動体の移動が予定通りであるか否かを監視する監視手段を更に備えており、前記出力制御手段は、前記監視手段による監視結果に従って前記移動体の移動が予定通りでない場合に、現在時刻以降における出力方法に変更を加えるように前記出力手段を制御する。
【0017】
この態様によれば、監視手段による監視結果に従って、移動体の移動が予定通りでない場合、即ち、予定よりも目的地に早く到着しそうな場合や遅く到着しそうな場合に、出力制御手段は、現在時刻以降における出力方法に変更を加えるように出力手段を制御する。例えば、予定よりも早く到着しそうな場合には、再生中の音声情報や映像情報を早送り或いは倍速再生したり、予定よりも目的地に遅く到着しそうな場合には、再生中の音声情報や映像情報を静止画或いはスロー再生したりする。従って、道路渋滞や寄り道等によって、予定通りに移動していない場合であっても、その後目的地に到着する際には、このように出力方法に変更が加えられたコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了する。
【0018】
このように、情報出力装置及びナビゲーション装置を含む移動体用電子システムにおいて、道路渋滞等により予定から外れた場合であっても、移動体の移動状況に相応しい音声出力や映像出力が可能となる。
【0019】
これらの算出手段が通過予定地点又は予定通過時刻を算出する態様では、前記算出手段は、前記経路上の複数の地点における通過予定時刻を更に算出し、前記監視手段は、前記通過予定時刻と現在時刻とを比較することで監視し、前記選択手段は、前記監視手段による比較結果に応じて前記現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加えるか、又は前記出力制御手段は前記監視手段による監視結果に応じて前記現在時刻以降における出力方法に変更を加えるように前記出力手段を制御するように構成してもよい。
【0020】
このように構成すれば、監視手段が、算出手段で得られる通過予定時刻と、内蔵クロック等で得られる現在時刻とを比較することで、移動体の移動が予定通りであるか否かを確実に監視することが可能となる。そして、この監視手段による比較結果に応じて、選択手段が現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加えるか、又は、出力制御手段が現在時刻以降における出力方法に変更を加える。
【0021】
これらの算出手段が通過予定地点又は予定通過時刻を算出する態様では、前記算出手段は、前記経路上の複数の時刻における通過予定地点を更に算出し、前記監視手段は、前記通過予定地点と現在位置とを比較することで監視し、前記選択手段は、前記監視手段による比較結果に応じて前記現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加えるか、又は前記出力制御手段は前記監視手段による監視結果に応じて前記現在時刻以降における出力方法に変更を加えるように前記出力手段を制御するように構成してもよい。
【0022】
このように構成すれば、監視手段が、算出手段で得られる通過予定地点と、ナビゲーション装置等で得られる現在位置とを比較することで、移動体の移動が予定通りであるか否かを確実に監視することが可能となる。そして、この監視手段による比較結果に応じて、選択手段が現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加えるか、又は、出力制御手段が現在時刻以降における出力方法に変更を加える。
【0023】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記出力時間情報を格納する格納手段を更に備える。
【0024】
この態様によれば、ハードディスクユニット等の格納手段に、予め出力時間情報を格納しておくことにより、選択手段が、この格納された出力時間情報を参照しつつ、コンテンツ情報を迅速且つ確実に選択できる。
【0025】
この態様では、前記格納手段は、前記出力時間情報に関連付けて前記コンテンツ情報を格納するように構成してもよい。
【0026】
このように構成すれば、ハードディスクユニット等の格納手段に、予め出力時間情報及びこれに関連付けて各コンテンツ情報を格納しておくことにより、選択手段が、この格納された出力時間情報を参照しつつ、この格納されたコンテンツ情報を迅速且つ確実に選択できる。例えば、各コンテンツ情報のヘッダーに、出力時間情報を記録しておいてもよいし、各コンテンツ情報に対する出力時間情報をテーブル形式で記録しておいてもよい。
【0027】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記入力手段は、前記移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を絞り込む条件を入力可能に構成されており、前記選択手段は、前記所要時間に加えて前記入力手段により入力された条件に応じて前記コンテンツ情報を選択する。
【0028】
この態様によれば、入力手段により、移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を絞り込む条件、例えばアーティスト名、ジャンル名、アルバム名、嗜好、移動目的、同乗者の種別等である条件を入力しておけば、その後、選択手段が、コンテンツ情報を選択する際には、所要時間に加えてこの条件に応じて当該コンテンツ情報を選択するので、入力手段を操作する運転手や同乗者等の好みに応じたコンテンツ情報であって、所要時間に相応しい音声情報を出力することも可能となる。
【0029】
或いは本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記情報出力装置により過去に出力されたコンテンツ情報に係る履歴情報に基づいて、前記移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を絞り込む条件を設定する条件設定手段を更に備えており、前記選択手段は、前記所要時間に加えて前記条件設定手段により設定された条件に応じて前記コンテンツ情報を選択する。
【0030】
この態様によれば、条件設定手段により、移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を絞り込む条件を、過去に出力されたコンテンツ情報に係る履歴情報に基づいて、選択手段による選択に先立って或いは選択とほぼ同時に設定する。すると、選択手段が、所要時間に加えてこの条件に応じて当該コンテンツ情報を選択するので、情報出力装置を実際に操作する運転手や同乗者等の好みに応じたコンテンツ情報であって、所要時間に相応しい音声情報を出力することも可能となる。
【0031】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記移動体の移動中における所定種類の特殊状況を検出する状況検出手段を更に備えており、前記出力制御手段は、前記状況検出手段により前記特殊状況が検出された場合に、前記選択手段による選択結果にかかわらず、前記特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するように前記出力手段を制御する。
【0032】
この態様によれば、例えば運転手が疲労している状況や、運転手に眠気がきている状況などの特殊状況時に出力すべきコンテンツ情報を、予め設定しておく。例えば、運転手が疲労している特殊状況に対しては、一般的な人体生理学の見地に従ったデフォールト値としての疲労を癒すような楽曲、或いは運転手等の自らの判断により疲労を癒すような楽曲等を予め設定しておく。また例えば、運転手に眠気がきている特殊状況に対しては、眠気を覚ます楽曲等を予め設定しておく。その後、移動体の移動中に、状況検出手段によりこの特殊状況が検出されると、選択手段による選択結果にかかわらず、出力制御手段による制御下で、出力手段は、特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力する。従って、特殊状況においては、所要時間に応じて選択されたコンテンツ情報に代えて、当該特殊状況に相応しいコンテンツ情報が運転手等に対して出力されるので、運転手等にとって快適或いは相対的に安全性の高い移動環境が得られる。また、出力手段からの出力を、特殊状況に相応しいコンテンツ情報に切り替えるタイミングとしては、状況検出手段が特殊状況を検出した際に即時に切り替えるように構成してもよいし、現在出力されているコンテンツ情報における適当な区切りを待って切り替えるように構成してもよい。
【0033】
本発明の第2の移動体用電子システムの制御装置は上記課題を解決するために、(i)音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、(ii)移動体の移動状況に関連付けられる測定データを出力する測定手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる移動体用電子システムを制御する制御装置であって、前記移動体の移動中における所定種類の特殊状況を前記測定データに基づいて検出する状況検出手段と、前記移動体の移動中に、前記状況検出手段により前記特殊状況が検出された場合に、前記特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するように前記出力手段を制御する出力制御手段とを備える。
【0034】
本発明の第2の移動体用電子システムの制御装置によれば、移動体用電子システムにおいて情報出力装置が備える表示装置の画面上に、映像情報を含むコンテンツ情報が表示されたり、スピーカから音声情報を含むコンテンツ情報が音声出力される。他方、移動体用電子システムにおいて、ナビゲーション装置の測定手段は、例えば、GPS測位或いは自立測位により現在位置を測位すると共に、例えば速度、角速度、加速度、移動方位、軌跡等の移動状況に関連つけられる測定データを出力する。そして、ナビゲーション装置は、現在位置から目的地までの最適経路を計算して表示装置に表示したり、現在位置付近の地図情報を表示装置に表示したり、これに現在位置マークを重畳したりする。
【0035】
そして、例えば運転手が疲労している状況や、運転手に眠気がきている状況などの特殊状況時に出力すべきコンテンツ情報を、予め設定しておく。例えば、運転手が疲労している特殊状況に対しては、一般的な人体生理学の見地に従ったデフォールト値としての疲労を癒すような楽曲、或いは運転手等の自らの判断により疲労を癒すような楽曲等を予め設定しておく。また例えば、運転手に眠気がきている特殊状況に対しては、眠気を覚ます楽曲等を予め設定しておく。その後、移動体の移動中に、ナビゲーション装置の測定手段が出力する測定データに基づいて、状況検出手段によりこの特殊状況が検出されると、出力制御手段による制御下で、出力手段は、特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力する。従って、特殊状況においては、任意に選択されたコンテンツ情報に代えて、当該特殊状況に相応しいコンテンツ情報が運転手等に対して出力されるので、運転手等にとって快適或いは相対的に安全性の高い移動環境が得られる。
【0036】
この第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置における状況検出手段に係る態様では、前記入力手段は、前記特殊状況時に出力すべきコンテンツ情報を設定可能であるように構成してもよい。
【0037】
このように構成すれば、何らかの特殊状況で出力されるコンテンツ情報を、入力手段を介して、運転手や同乗者等自らの希望通りに簡単に設定できるので、実用上便利である。
【0038】
この第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置における状況検出手段に係る態様では、前記状況検出手段は、前記移動体の移動開始時からの連続的な移動時間が所定時間を超えたことで、前記特殊状況を検出するように構成してもよい。
【0039】
このように構成すれば、例えば2時間等の所定時間を超えた連続的な移動を行なった状況を、運転手や同乗者等が疲労している特殊状況であると擬制して、状況検出手段による検出が行なわれる。
【0040】
この第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置における状況検出手段に係る態様では、前記状況検出手段は、前記移動体が既に移動した経路上における渋滞の度合いに基づいて前記特殊状況を検出するように構成してもよい。
【0041】
このように構成すれば、例えば所定時間以上の渋滞を経て移動を続けている状況を、運転手や同乗者等が疲労している特殊状況であると擬制して、状況検出手段による検出が行なわれる。
【0042】
この第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置における状況検出手段に係る態様では、前記状況検出手段は、前記移動体の移動軌跡が所定基準に対して異常であることで、前記特殊状況を検出するように構成してもよい。
【0043】
このように構成すれば、例えば蛇行運転や急ハンドルなど、移動軌跡が異常である状況を、運転手に眠気がきている特殊状況であると擬制して、状況検出手段による検出が行なわれる。
【0044】
本発明の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記状況検出手段は、蛇行運転を前記特殊状況として検出する。
【0045】
本発明の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記状況検出手段は、急ハンドルを前記特殊状況として検出する。
【0046】
本発明の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記出力制御手段は、前記特殊状況が検出された場合に、前記コンテンツ情報の音量ボリュームを上げるように前記出力手段を制御する。
【0047】
本発明の移動体用電子システムの制御装置の他の態様では、前記出力制御手段は、前記特殊状況が検出された場合に、前記コンテンツ情報の音量ボリュームを下げるように前記出力手段を制御する。
【0048】
本発明のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを、上述した本発明の第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置(但し、その各種態様も含む)として機能させる。
【0049】
本発明のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(DVD Read Only Memory)、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置を比較的簡単に実現できる。またこのようなコンピュータプログラムをナビゲーションや音声映像出力に必要なアプリケーションプログラムや、地図データ、音声情報データ、映像情報データ等の他のデータと共にサーバー装置から送信することも可能である。
【0050】
本発明の移動体用電子システムは上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又第2の移動体用電子システムの制御装置(但し、その各種態様も含む)と、前記情報出力装置と、前記ナビゲーション装置とを含んでなる。
【0051】
本発明の移動体用電子システムによれば、上述した本発明の第1又は第2の移動体用電子システムの制御装置を含んでなるので、移動体の移動状況に相応しい音声出力や映像出力が可能となる。
【0052】
本発明の移動体用電子システムの一態様では、前記コンテンツ情報及び前記出力時間情報のうち少なくとも一方をダウンロード可能な通信手段を更に備える。
【0053】
この態様によれば、例えば携帯電話等の通信手段によって、コンテンツ情報及び出力時間情報のうち少なくとも一方をダウンロードできるので、所要時間に応じたコンテンツ情報を選択し且つこれを出力する環境を比較的簡単且つ容易に得られる。
【0054】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御方法は上記課題を解決するために、(i)音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、(ii)移動体の移動における目的地を入力可能な入力手段及び前記移動体の現在位置から前記入力手段により入力された目的地に到着するまでに要する所要時間を算出する算出手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる移動体用電子システムを制御する制御方法であって、前記コンテンツ情報の出力に要する時間を示す出力時間情報に基づいて、前記目的地に到着するまでの前記移動体の移動中に出力すべきコンテンツ情報を、前記算出された所要時間に応じて選択する選択工程と、前記目的地に到着するまでの前記移動体の移動中に、前記選択工程により選択されたコンテンツ情報を出力するように前記出力手段を制御する出力制御工程とを備える。
【0055】
本発明の第1の移動体用電子システムの制御方法によれば、上述した本発明の第1の移動体用電子システムの制御装置の場合と同様に、情報出力装置及びナビゲーション装置を含む移動体用電子システムにおいて、移動体の移動状況に相応しい音声出力や映像出力が可能となる。
【0056】
本発明の第2の移動体用電子システムの制御方法は上記課題を解決するために、(i)音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、(ii)移動体の移動状況に関連付けられる測定データを出力する測定手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる移動体用電子システムを制御する制御方法であって、前記移動体の移動中における所定種類の特殊状況を前記測定データに基づいて検出する状況検出工程と、前記移動体の移動中に、前記状況検出工程により前記特殊状況が検出された場合に、前記特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するように前記出力手段を制御する出力制御工程とを備える。
【0057】
本発明の第2の移動体用電子システムの制御方法によれば、上述した本発明の第2の移動体用電子システムの制御装置の場合と同様に、情報出力装置及びナビゲーション装置を含む移動体用電子システムにおいて、移動体の移動状況に相応しい音声出力や映像出力が可能となる。
【0058】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態の車載用電子システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態で用いられる楽曲データベースにおけるデータ構成を示す概念図である。
【図3】第1実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図4】図3に示した第1実施形態における動作を、ナビゲーションシステム、エージェント、楽曲データベース及びカーオーディオシステムの別に経時的に示す概念図である。
【図5】第2実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図6】図5に示した第2実施形態における動作を、ナビゲーションシステム、エージェント、楽曲データベース及びカーオーディオシステムの別に経時的に示す概念図である。
【図7】第3実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図8】図7に示した第3実施形態における動作を、ナビゲーションシステム、エージェント、楽曲データベース及びカーオーディオシステムの別に経時的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に説明する各実施形態は、本発明の移動体用電子システムを車載用電子システムとして構築したものである。
【0061】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態の車載用電子システムについて図1から図4を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態の車載用電子システムのブロック図であり、図2は、第1実施形態で用いられる楽曲データベースにおけるデータ構成を示す概念図である。図3は、第1実施形態における動作を示すフローチャートであり、図4は、図3に示した第1実施形態における動作を、ナビゲーションシステム、エージェント、楽曲データベース及びカーオーディオシステムの別に経時的に示す概念図である。
【0062】
図1に示すように、本実施形態の車載用電子システムは、自立測位装置10、GPS受信器18、システムコントローラ20、CD−ROMドライブ31、DVD−ROMドライブ32、ハードディスクユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備えて構成されている。
【0063】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び速度センサ13を含んで構成されている。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。
【0064】
速度センサ13は、機械的、磁気的又は光学的に車両の車軸の回転を検出し、車軸における所定角度の回転毎に、パルス信号たる車速パルスを発生す車速センサからなる。
【0065】
GPS受信器18は、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられるべき複数のGPS衛星からの測位用のデータを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する部分である。
【0066】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、車載用電子システム全体の制御を行うように構成されている。
【0067】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び速度センサ13並びにGPS受信器18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルスの他、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0068】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ31、DVD−ROMドライブ32、ハードディスクユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0069】
CD−ROMドライブ31及びDVD−ROMドライブ32は、システムコントローラ20の制御の下、CD33及びDVD34から夫々、車線数、道幅等を含む道路データ等の各種データ及び後述の各実施形態に対応する制御プログラムを読み出し、出力する。
【0070】
更に、CD−ROMドライブ31及びDVD−ROMドライブ32は、システムコントローラ20の制御の下、CD33及びDVD34から夫々、コンテンツ情報の一例を構成する音声データや映像データを読み出す。
【0071】
尚、CD−ROMドライブ31及びDVD−ROMドライブ32は、いずれか一方だけ設けてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブを設けてもよい。
【0072】
ハードディスクユニット36は、CD−ROMドライブ31或いはDVD−ROMドライブ32から読み込まれた、音声データや映像データを格納したり、地図データ等を含むナビゲーション用のデータを格納する。これにより例えば、CD−ROM33やDVD−ROM34上の地図データを読み出してナビゲーション動作を行いながら、ハードディスクユニット36に格納された音声データや映像データを読み出して音声出力や映像出力が可能となる。或いは、CD−ROM33やDVD−ROM34上の音声データや映像データを読み出して音声出力や映像出力を行いながら、ハードディスクユニット36に格納された地図データを読み出してナビゲーション動作が可能となる。更に、通信装置38によりダウンロードした音声データや映像データ或いは地図データ等をハードディスクユニット36に格納しておき、その後の任意の時点でこれを読み出して出力可能となる。
【0073】
通信装置38は、例えば携帯電話からなり、モデム等を構成する通信用インタフェース37を介して、音声データや映像データ或いは地図データ等、若しくはこれらに関する所定種類のデータベースの全部又は一部をダウンロード可能に構成されている。
【0074】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データを表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM )等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、小型のLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備えて構成されている。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0075】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声ディジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0076】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置16は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の車載用電子システムでは、自立測位装置10、GPS受信器18、システムコントローラ20、CD−ROMドライブ31、DVD−ROMドライブ32、ハードディスクユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60などからナビゲーションシステムが構築されていると共に、システムコントローラ20、CD−ROMドライブ31、DVD−ROMドライブ32、ハードディスクユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60などからカーオーディオシステムが構築されている。即ち、複数の構成要素が、ナビゲーションシステム及びカーオーディオシステムとで共有されており、一つの車載用電子システム全体として、同一のシステムコントローラ20による統一的な制御が行なわれる。
【0078】
加えて本実施形態の車載用電子システムでは特に、ハードディスクユニット36内に、楽曲データベースが構築されている。
【0079】
例えば図2(a)に示すように、楽曲データベース100は、楽曲を演奏するための音声情報を含んでなるコンテンツ情報とは分離した形で、その演奏時間、ジャンル、演奏アーティスト、歌詞等の属性情報ファイル101が、例えば各楽曲のタイトルに対応付けられた形式で多数格納されることで創生される。このような楽曲データベース100は、例えばインターネット上で入手可能である。或いは、図2(b)に示すように、このような属性情報ファイル101を、対応する音声情報を含んでなるコンテンツ情報200のヘッダー102内に格納することで、複数のコンテンツ情報200を含んでなる楽曲データベース100'を創生することも可能である。
【0080】
但し、このような楽曲データベース100或いは100'をハードディスクユニット36内に構築するのに代えて又は加えて、システムコントローラ20により、通信装置38を介して遠隔地にあるサーバー装置等内に構築された楽曲データベースにアクセスするように構成してもよい。
【0081】
尚、車載用電子システムは、図1に図示した構成要素に加えて、ラジオアンテナ、ラジオチューナ、テレビアンテナ、テレビチューナ、カセットデッキ、MDドライブ等の公知のカーオーディオシステムやカーテレビシステムを構成する各種要素を備えて構成されてよいことは言うまでもない。
【0082】
第1実施形態及び後述する各実施形態におけるデータ処理は、主として図1に示したCPU22において実行されるものである。より具体的には、ナビゲーションシステムの制御用のコンピュータプログラム、カーオーディオシステム制御用のコンピュータプログラム及びデータベース制御用のコンピュータプログラムは、主にCPU22において実行されるものである。そして、後述の如く各種機能を有するエージェントも、コンピュータプログラムにより、CPU22内に論理的に構築されるものである。また、このようなコンピュータプログラムは、ROM23、CD−ROM31又はDVD−ROM32に格納されていてもよく、モデム、携帯電話等の通信装置38を介してRAM42、ハードディスクユニット36等にダウンロードされてもよい。
【0083】
次に、以上のように構成された第1実施形態の車載用電子システムにおける、目標地までの所要時間に応じて楽曲リストを作成する処理について図3のフローチャート及び図4の概念図を参照して説明する。本実施形態では、図4に概念的に示したように目的地までの所要時間に応じて楽曲リストを作成するエージェント221が、CPU22内に論理的に構築されている。尚、図4では、楽曲データベース100(図2参照)及びエージェント221と共に、CPU22等から構築されるナビゲーションシステム(ナビ)222及びカーオーディオシステム(カーオーディオ)223が概念的に図示されており、図4は、図3における各ステップの処理がこれら4つの構成要素間のうちどの間で或いはどれで行なわれる処理であるかを示している。より具体的には、図4において、4つの構成要素間の処理については、4つの構成要素から伸びる縦ライン間に渡された矢印の向きが、処理の向きを示すと共に図3に対応するステップ番号付きで各矢印の下側に処理内容が示されており、4つの構成要素のいずれか一つで単独に行なわれる処理については、4つの構成要素から伸びる縦ライン上に示されている。更に、図4では、処理の時間的な流れとしては、上側から下側に向かうものである。
【0084】
図3及び図4において、自車が走行を開始するに際し、ナビゲーションシステム222に対して入力装置60(図1参照)を介して目的地が設定されると、先ずナビゲーションシステム222により、現在位置から目的地に到着するまでに要する予想所要時間及び予想到着時刻が算出される。これと共に、ナビゲーションシステム222により、目的地までの最適経路が算出され、更に、経路上の複数の地点における予想通過時刻や、複数の時刻における予想通過地点等が算出される。このように、ナビゲーションシステム222により、少なくとも予想所要時間が算出されていることを前提として、エージェント221により、楽曲リスト自動設定モードであるか否かが判定される(ステップS11)。ここに、「楽曲リスト自動設定モード」とは、目的地までの予想所要時間に応じて、目的地に到着するまでの間に再生する楽曲群を選択して、楽曲リストを自動的に作成するモードであり、例えば入力装置60等におけるモード選択ボタンを押すことにより或いは音声入力によりモード設定される。尚、この楽曲リスト自動設定モードの他に、例えば楽曲リストをマニュアル操作により作成するモード、楽曲リストを作成しないモード等が設けられる。尚、エージェント221では、このようにナビゲーションシステム222で算出された予想所要時間や、予想通過時刻又は予想通過地点等の情報を保存しておく。
【0085】
ここで楽曲リスト自動設定モードが設定されていない場合(ステップS11:No)、エージェント221は、当該楽曲リスト作成処理を終了する。
【0086】
他方、楽曲リスト自動設定モードが設定されている場合(ステップS11:Yes)、エージェント221は、ナビゲーションシステム222から予想所要時間と予想到着時刻とを示すデータを受信する(ステップS12)。
【0087】
続いて、エージェント221は、楽曲データベース内に保存されている全楽曲のリストを、ハードディスクユニット36内に構築された楽曲データベース100(図2参照)に対して要求する(ステップS13)。
【0088】
このエージェント221からの楽曲リストの要求に応じて、楽曲データベース100は、楽曲リストを通知し、エージェント221は、出力時間情報の一例たる演奏時間、アーティスト名などの情報(図2参照)を受信する(ステップS14)。尚、出力時間情報としては、楽曲単位の演奏時間の他、アルバム単位の演奏時間やアルバム集単位の演奏時間など、任意の単位についての演奏時間であってもよい。
【0089】
次に、選択手段の一例として機能するエージェント221は、このように楽曲データベース100から受信した演奏時間を参照しつつ、目的地までの走行中に再生すべき楽曲群を、予想所要時間に応じて選択して、該選択した一又は複数の楽曲を示す楽曲リスト或いは再生リストを作成する(ステップS15)。続いて、出力制御手段の一例としても機能するエージェント221は、カーオーディオシステム223に対して、当該作成した楽曲リストに従って楽曲を再生するように指示する(ステップS16)。この楽曲リストの作成に際し、特に指定がない場合には、予想所要時間に合わせて再生が終了するようにランダムに再生順序を構築すればよい。例えば、所要時間が45分と算出されていれば、40〜45分程度で終了する音楽アルバムを選択したり、所要時間が2時間と算出されていれば、1時間50分程度で終了するアルバム集を選択したりする。或いは、所要時間が45分とされていれば、1時間の楽曲アルバムのうち過去の履歴等に応じて或いはランダムに、そのうちの数曲を間引くように楽曲リストを作成してもよい。逆に、所要時間が1時間とされていれば、45分の楽曲アルバムに、同一アーティストの楽曲を付け加えて1時間の楽曲リストを作成してもよい。更に、アルバム等としてはまとめられておらず分散して格納されている同一アーティストについての楽曲集をなすように楽曲リストを作成してもよい。
【0090】
これを受けたカーオーディオシステム223は、楽曲データベース100と共に或いはこれに対応付けられてハードディスクユニット36内に格納された音声情報(コンテンツ情報)を楽曲リスト順に要求し(図4のステップS16a)、この要求に応じて楽曲データベース100から提供された音声情報をカーオーディオシステム223は順次再生する(図4のステップS16b)。
【0091】
その後の走行中には、ステップS15で作成された楽曲リストに従っての再生が継続されるが、エージェント221は、走行中の位置と所要時間を監視するモードに入る(ステップS17)。即ち、ナビゲーションシステム222により算出された経路上の所定地点における予定通過時刻と現在時刻とを、当該地点を実際に通過する際に比較して、予定より遅れていないか又は進んでいないかを監視する。或いは、ナビゲーションシステム222により算出された所定時刻における予定通過地点と現在位置とを、当該所定時刻に比較して、予定より遅れていないか又は進んでいないかを監視する。
【0092】
そして、予定通りに走行を終了する場合は、実際に自車が目的地に到着した際に、ナビゲーションシステム222からの到着報告をエージェント221が受けて(ステップS18)、一連の処理を終える。この際特に、ナビゲーションシステム222により算出された所要時間に相応しいコンテンツ情報が走行中、車内に出力され、目的地に到着する際には、このコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了することになる。
【0093】
以上説明したように、第1実施形態によれば、情報出力装置の一例たるカーオーディオシステム223及びナビゲーション装置の一例たるナビゲーションシステム222を含む車載用電子システムにおいて、エージェント221によって、自車の走行状況に相応しいコンテンツ情報の一例たる音声情報の出力が可能となる。
【0094】
尚、本実施形態及び以下の各実施形態では、予想所要時間に応じて選択されるコンテンツ情報は、楽曲を出力するための音声情報としたが、音声情報及び映像情報の両者を含むコンテンツ情報を選択して再生するように構成してもよいし、音声情報を伴わない映像情報のみからなるコンテンツ情報を選択して再生するように構成してもよい。更に、電子図書等やテープ上に録音された物語等からなるコンテンツ情報を選択して再生するように構成してもよい。または、内蔵クロックを参照することにより現在時刻も考慮して、予想所要時間内に終わるラジオ番組やテレビ番組を選択して音声出力や映像出力するように構成してもよい。
【0095】
加えて、第1実施形態では、運転手や同乗者の好みに応じて予め設定された好みのアーティストや好みのジャンル等に属する楽曲や映像を、選択のための絞り込み条件として予め設定しておき、ステップS13で当該絞り込み条件を満たすもののみ要求するか、或いはステップS15で当該絞り込み条件を満たすもののみ選択するように構成してもよい。例えば、入力装置60(図1参照)により、絞り込み条件として、アーティスト名、ジャンル名、アルバム名、ユーザの嗜好、走行目的、同乗者の種別等を入力しておけば、その後、エージェント221は、ナビゲーションシステム222が算出した予想所要時間に加えて、この絞り込み条件に応じて当該コンテンツ情報を選択するので、運転手や同乗者の好みに応じたコンテンツ情報であって、所要時間に相応しいコンテンツ情報が出力されることになる。例えば、好みのアーティストやジャンルの楽曲ばかりを再生したり、家族で聞きたい曲を優先して再生したり、必ず1曲目に掛けたい曲を1曲目に再生したりが可能となる。
【0096】
更に、カーオーディオシステム223により過去に出力された楽曲に係る履歴情報に基づいて、このような絞り込み条件を自動的に設定するように構成してもよい。この場合には、絞り込み条件として、例えばアーティスト名、ジャンル名、アルバム名、嗜好、走行目的、同乗者の種別等を、過去にオーディオシステム223から出力されたコンテンツ情報に係る履歴情報に基づいて、設定する。そして、ステップS13で当該絞り込み条件を満たすもののみ要求するか、或いはステップS15で当該絞り込み条件を満たすもののみ選択するように構成してもよい。
【0097】
このように絞り込み条件を入力或いは設定する場合、楽曲データベース100における好みに沿う楽曲に対して、その旨のタグを予め付けておき、これに基づいて、楽曲データベース100における検索や、エージェント221における選択を行なうように構成することも可能である。
【0098】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。ここに、図5は、第2実施形態における動作を示すフローチャートであり、図6は、図5に示した第2実施形態における動作を、図4と同様にナビゲーションシステム、エージェント、楽曲データベース及びカーオーディオシステムの別に経時的に示す概念図である。尚、第2実施形態のハードウエア構成は、図1に示した第1実施形態のものと同様である。また図5及び図6において、図3及び図4と同様のステップには、同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0099】
第2実施形態は、選択手段の一例を構成するエージェント221'が、上述した第1実施形態におけるエージェント221の機能に加えて、ステップS17の監視モードにおける監視結果に従って、自車の走行が予定通りでない場合に、現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加えるように構成されている。その他の構成については、上述した第1実施形態と同様である。
【0100】
即ち、図5及び図6に示すように、第2実施形態では、先ずステップS11からS17の処理が第1実施形態の場合と同様に行なわれる。
【0101】
そして、ステップS17で監視モードに移行した後に先ず、エージェント221'は、渋滞により予想所要時間を超過した旨の通知をナビゲーションシステム222から受信したか否かをチェックする(ステップS21)。
【0102】
ここで、受信しなければ(ステップS21:No)、予定通りに走行を終了する場合となるので、実際に自車が目的地に到着した際に、ナビゲーションシステム222からの到着報告をエージェント221'が受けて(ステップS18)、一連の処理を終える。従って、ナビゲーションシステム222により算出された所要時間に相応しいコンテンツ情報が走行中、車内に出力され、目的地に到着する際には、このコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了することになる。
【0103】
他方、渋滞による予想所要時間超過通知をナビゲーションシステム222から受信すると(ステップS21:Yes)、現在時刻以降に出力すべきコンテンツ情報に変更を加える処理に移行する。より具体的には、エージェント221'は、現在の楽曲リスト或いは再生リストに入っていない楽曲のリストを楽曲データベース100に要求する(ステップS22)。これに対応して楽曲データベース100から出力される楽曲リストをエージェント221'は受信し(ステップS23)、更に、選択手段の一例として機能するエージェント221'は、超過した所要時間に従い追加挿入する楽曲リストを作成する(ステップS24)。ここでは例えば、再生中の楽曲アルバムを基準にして、同一アーティストや同一ジャンルに係る楽曲をプレイリスト中に挿入したり最後尾に加えたりする。そして、出力制御手段の一例としても機能するエージェント221'は、追加挿入リストに基づき追加再生順序をカーオーディオ223に指示する(ステップS25)。これを受けたカーオーディオシステム223は、楽曲データベース100と共に或いはこれに対応付けられてハードディスクユニット36内に格納された音声情報を楽曲リスト順に要求し(図6のステップS25a)、この要求に応じて楽曲データベース100から提供された音声情報をカーオーディオシステム223は順次再生する(図6のステップS25b)。その後、ステップS17に戻って、監視モードにおける監視を継続する。
【0104】
従って、第2実施形態によれば、渋滞により予定通りに走行できない場合であっても、走行状況に相応しいコンテンツ情報が走行中、車内に出力され、目的地に到着する際には、このコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了することになる。
【0105】
尚、第2実施形態では、ステップS21において渋滞による所要時間超過通知をナビゲーションシステム222から受信した場合に、楽曲リストに楽曲を追加する処理を行なっているが、より一般には、監視モード(ステップS17)において、ナビゲーションシステム222により算出された経路上の所定地点における予定通過時刻と内蔵クロック等で得られる現在時刻とを、エージェント221'により、当該地点を実際に通過する際に比較して、予定より一定時間以上遅れている場合に、ステップS22の処理に移行するように構成してもよい。更に、このように比較して、予定より一定時間以上進んでいる場合に、例えば以前リストに採用されたが運転者が再生時にスキップして聴取しなかった曲などを楽曲リスト中から間引くなど、残りの走行中に出力すべきコンテンツ情報に変更を加えるように構成してもよい。或いは、エージェント221'は、ナビゲーションシステム222により算出された所定時刻における予定通過地点と現在位置とを、内蔵クロック等で得られる所定時刻に比較して、予定より遅れていないか又は進んでいないかを判定してもよい。
【0106】
加えて、第2実施形態では、予定通りに走行できない場合に、走行中に出力するコンテンツ情報自体に変更を加える処理を行なうようにしたが、これに代えて又は加えて、出力制御手段の一例として機能するエージェント221'が、現在時刻以降における出力方法に変更を加えるようにカーオーディオシステム223を制御するように構成してもよい。例えば、予定よりも早く到着しそうな場合には、再生中のコンテンツ情報を早送り或いは倍速再生したり、予定よりも目的地に遅く到着しそうな場合には、再生中のコンテンツ情報を静止或いはスロー再生してもよい。
【0107】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。ここに、図7は、第3実施形態における動作を示すフローチャートであり、図8は、図7に示した第3実施形態における動作を、図4と同様にナビゲーションシステム、エージェント、楽曲データベース及びカーオーディオシステムの別に経時的に示す概念図である。尚、第3実施形態のハードウエア構成は、図1に示した第1実施形態のものと同様である。また図7及び図8において、図3及び図4と同様のステップには、同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0108】
第3実施形態は、選択手段の一例を構成するエージェント221"が、上述した第1実施形態におけるエージェント221の機能に加えて、自車の走行中における、例えば運転手や同乗者が疲労している状況、運転手に眠気がきている状況などの所定種類の特殊状況を検出する状況検出手段の一例としても機能し、更にこのような特殊状況が検出された場合に、楽曲リストの自動選択の結果にかかわらず、特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するようにカーオーディオシステム223を制御する出力制御手段の一例としても機能するように構成されている。その他の構成については、上述した第1実施形態と同様である。
【0109】
即ち、図7及び図8に示すように、第3実施形態では、先ずステップS11からS17の処理が第1実施形態の場合と同様に行なわれる。
【0110】
そして、ステップS17で監視モードに移行した後に先ず、エージェント221"は、走行開始から一定時間(例えば2時間)経過した旨の通知をナビゲーションシステム222から受信したか否かをチェックする(ステップS31)。
【0111】
ここで、受信しなければ(ステップS31:No)、比較的短時間で走行を終了する場合となるので、実際に自車が目的地に到着した際に、ナビゲーションシステム222からの到着報告をエージェント221"が受けて(ステップS18)、一連の処理を終える。従って、ナビゲーションシステム222により算出された所要時間に相応しいコンテンツ情報が走行中、車内に出力され、目的地に到着する際には、このコンテンツ情報の出力は完結するか、或いは区切りのよいところでコンテンツ情報の出力は終了することになる。
【0112】
他方、エージェント221"は、走行開始から一定時間経過通知をナビゲーションシステム222から受信すると(ステップS31:Yes)、長時間の連続走行を行なっている状況を検出したこととなり、この状況を運転手等が疲労している特殊状況であると擬制して、予め当該特殊状況用に設定された疲労を癒す楽曲を出力するようにコンテンツ情報に変更を加える処理に移行する。より具体的には、エージェント221"は、現在の楽曲リスト或いは再生リストに入っていない楽曲であって、予め当該特殊状況用に設定された特定の楽曲リストを楽曲データベース100に要求する(ステップS32)。ここでは、例えば運転手等が疲労している特殊状況に対しては、一般的な人体生理学の見地に従ったデフォールト値としての疲労を癒すような楽曲を予め設定しておく。或いは、運転手等の自らの判断により疲労を癒すような楽曲を入力装置60を介して予め設定しておく。そして、例えばこの設定に従って、楽曲データベース100における特殊状況用の楽曲には、「疲れたときに聴きたい曲」や「眠気を覚ます曲」などのタグを付けて置くようにする。
【0113】
例えばこのような特殊状況用の設定に対応するタグが付されており、楽曲リストの要求に対応して楽曲データベース100から出力される楽曲リストを、エージェント221"は受信する(ステップS33)。続いて、選択手段の一例として機能するエージェント221"は、この受信した楽曲リストを、追加挿入することで新たな楽曲リストを作成する(ステップS34)。ここでは例えば、現在再生中の楽曲の次に特殊状況用の楽曲が再生されるように、リストを再編成する。そして、出力制御手段の一例としても機能するエージェント221"は、追加挿入リストに基づき追加再生順序をカーオーディオ223に指示する(ステップS35)。これを受けたカーオーディオシステム223は、楽曲データベース100と共に或いはこれに対応付けられてハードディスクユニット36内に格納された音声情報を楽曲リスト順に要求し(図8のステップS35a)、この要求に応じて楽曲データベース100から提供された音声情報をカーオーディオシステム223は順次再生する(図8のステップS35b)。その後、ステップS17に戻って、監視モードにおける監視を継続する。
【0114】
従って、第3実施形態によれば、特殊状況においては、所要時間に応じて選択された楽曲に代えて、当該特殊状況に相応しい楽曲が運転手等に対して出力されるので、運転手等にとって快適或いは相対的に安全性の高い車内環境が得られる。尚、このような特殊状況は、一つだけ設定してもよいが、複数設定可能である。また、カーオーディオシステム223からの出力を特殊状況用の楽曲に切り替えるタイミングとしては、現在出力中の楽曲の完了を待たずして、エージェント221"が特殊状況を検出した際に即時に切り替えるように構成してもよい。
【0115】
以上説明した第3実施形態では特殊状況の一例として、一定時間以上の連続走行を運転手等が疲労している状況と擬制して検出するようにしたが、自車が既に走行した経路上における渋滞の度合いに基づいて、特殊状況を検出するように構成してもよい。例えば、所定時間以上の渋滞を経て走行を続けている状況を、運転手等が疲労している或いは苛立っている特殊状況であると擬制して、検出してもよい。
【0116】
更に、ナビゲーションシステム222の測定データに基づいて、自車の走行軌跡が所定基準に対して異常である状況、例えば蛇行運転や急ハンドルなど、走行軌跡が異常である状況を、運転手に眠気がきている特殊状況であると擬制して検出してもよい。この場合には、当該特殊状況用の楽曲としては眠気を覚ます楽曲を予め設定しておくとよい。
【0117】
加えて、第3実施形態では、特殊状況が検出された場合に、走行中に出力するコンテンツ情報自体に変更を加える処理を行なうようにしたが、これに代えて又は加えて、出力制御手段の一例として機能するエージェント221"が、現在時刻以降における出力方法に変更を加えるようにカーオーディオシステム223を制御するように構成してもよい。例えば、運転手が疲労している状況では音量ボリュームを下げたり、運転手に眠気がきている状況では、音量ボリームを上げたりしてもよい。
【0118】
尚、第3実施形態では、予想所要時間に応じて自動作成された楽曲リストに対し、特殊状況の発生に、予め特殊状況用に設定された楽曲を優先的に再生する構成を採っているが、予想所要時間に応じた楽曲リストとは無関係に、任意の状況(例えば、楽曲リストを自動設定することなしに、ラジオを受信していたり、CDを聞いている状況など)において、特殊状況を検出した際に、当該特殊状況用に予め設定されている楽曲を優先的に再生する構成としてもよい。このように構成しても、例えば、疲労していたり眠気がきている状況で、これに相応しい楽曲が出力されるので便利である。
【0119】
(変形形態)
以上説明した各実施形態では、説明の便宜上、コンテンツ情報が音声情報からなる例について説明しているが、コンテンツ情報が映像情報或いは音声情報と映像情報との組み合わせ、更にはテキスト情報(或いはテキスト化された映像情報)等であっても、コンテンツ情報が有限の時間単位に区切られている或いは有限の時間内に完結する限りにおいて、本発明を同様に適用可能である。
【0120】
例えば、本発明の車載用電子システムを、後部座席または助手席の同乗者用に映像情報を提供する場合に適用すると、予想所要時間に合わせた映像リストの作成が可能である。より具体的には、第1から第3実施形態と同様に、映画であれば、DVDリストやハードディスクに保存された映画であって、所要時間内に見ることができるものが自動的に選択される。この場合、予定よりも早く到着する場合には、倍速再生や間引き再生などを行うことで、到着時刻に合わせて終了するように構成してもよい。
【0121】
また、本発明の車載用電子システムを、ライブビデオに係る映像情報を提供する場合に適用すると、予想所要時間内に終了するライブビデオが自動的に選択される。尚、ビデオ自体はDVDリストやハードディスクに保存してあるリストから選択される。逆に予想所要時間内で、かなりの時間を残してライブビデオが終了する場合、そのアーティストのアルバムに含まれていない楽曲をリストから抽出し、リストに挿入することも可能である。このとき表示する画像としては、静止画でもよいし、BGMとして楽曲に直接関連付けされない動画でもよい。
【0122】
更に、本発明の車載用電子システムを、本(電子ブック)、漫画などのテキスト情報を提供する場合に適用すると、所要時間内に読み終わることができる本等が自動的に選択される。
【0123】
上述の各実施形態では、車載用電子システム内でコンテンツ情報を選択する処理を実行しているが、車載用電子システム内の通信装置38を活用し、インターネットなどのサーバと通信して、このような処理を実行することも可能である。その場合、上記の説明で車載用電子システム内に仮想的に構築されたエージェント(実際には、CPU22とそのプログラムにより実現される)をインターネットのサーバ上に構築し、コンテンツ情報の選択機能或いは楽曲リストの作成機能を有するサーバとすることができる。運転手等による目的地、更には好みのアーティストやジャンル、特殊状況時に出力すべき楽曲等に係る入力情報は、通信装置38を通じて当該サーバへ送信され、サーバからは対応する楽曲リスト等が車載用電子システムに送信される。そして、車載用電子システムでは、この受信した楽曲リスト等に従ってコンテンツ情報の出力が行なわれる。加えて、目的地が入力された後の経路探索や経路案内等にかかるナビゲーション機能についても、通信装置38を利用してサーバと通信しつつ実行することも可能である。
【0124】
本発明の移動体用電子システムは、上述の各実施形態の如く車載用ではなく、携帯情報端末や携帯電話等を利用した歩行者用のナビゲーション装置に適用することも可能である。その場合には、携帯情報端末や携帯電話等に音楽再生機能などのコンテンツ再生機能を有するものであればよい。例えば、歩行者のスピードなどから目的地に至る所要時間を演算し、その所要時間に基づいて、所望のコンテンツ情報を選択すればよい。
【0125】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう移動体用電子システムの制御装置及び制御方法、移動体用電子システム、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
10…自立測位装置
11…加速度センサ
12…角速度センサ
13…速度センサ
18…GPS測位装置
19…電波
20…システムコントローラ
21…インタフェース
22…CPU
23…ROM
24…RAM
30…バス
31…CD−ROMドライブ
32…DVD−ROMドライブ
36…ハードディスクユニット
37…通信用インタフェース
38…通信装置
40…表示ユニット
50…音声出力ユニット
60…入力装置
100…楽曲データベース
221…エージェント
222…ナビゲーションシステム
221…カーオーディオシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、(ii)移動体の移動状況に関連付けられる測定データを出力する測定手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる移動体用電子システムを制御する制御装置であって、
前記移動体の移動中における所定種類の特殊状況を前記測定データに基づいて検出する状況検出手段と、
前記移動体の移動中に、前記状況検出手段により前記特殊状況が検出された場合に、前記特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するように前記出力手段を制御する出力制御手段と
を備えたことを特徴とする移動体用電子システムの制御装置。
【請求項2】
前記入力手段は、前記特殊状況時に出力すべきコンテンツ情報を設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項3】
前記状況検出手段は、前記移動体の移動開始時からの連続的な移動時間が所定時間を超えたことで、前記特殊状況を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項4】
前記状況検出手段は、前記移動体が既に移動した経路上における渋滞の度合いに基づいて前記特殊状況を検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項5】
前記状況検出手段は、前記移動体の移動軌跡が所定基準に対して異常であることで、前記特殊状況を検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項6】
前記状況検出手段は、蛇行運転を前記特殊状況として検出することを特徴とする請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項7】
前記状況検出手段は、急ハンドルを前記特殊状況として検出することを特徴とする請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項8】
前記出力制御手段は、前記特殊状況が検出された場合に、前記コンテンツ情報の音量ボリュームを上げるように前記出力手段を制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項9】
前記出力制御手段は、前記特殊状況が検出された場合に、前記コンテンツ情報の音量ボリュームを下げるように前記出力手段を制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から9のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の移動体用電子システムの制御装置と、
前記情報出力装置と、
前記ナビゲーション装置と
を含んでなることを特徴とする移動体用電子システム。
【請求項12】
前記コンテンツ情報及び前記出力時間情報のうち少なくとも一方をダウンロード可能な通信手段を更に備えたことを特徴とする請求項11に記載の移動体用電子システム。
【請求項13】
(i)音声情報及び映像情報のうち少なくとも一方を含むコンテンツ情報を出力する出力手段を備えた情報出力装置と、(ii)移動体の移動状況に関連付けられる測定データを出力する測定手段を備えたナビゲーション装置とを含んでなる移動体用電子システムを制御する制御方法であって、
前記移動体の移動中における所定種類の特殊状況を前記測定データに基づいて検出する状況検出工程と、
前記移動体の移動中に、前記状況検出工程により前記特殊状況が検出された場合に、前記特殊状況時に出力すべきものとして予め設定されているコンテンツ情報を優先的に出力するように前記出力手段を制御する出力制御工程と
を備えたことを特徴とする移動体用電子システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−32533(P2010−32533A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242694(P2009−242694)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【分割の表示】特願2001−175577(P2001−175577)の分割
【原出願日】平成13年6月11日(2001.6.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】