移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラム
【課題】 マルチホップ無線ネットワークにおいて、基地局と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避できる移動基地局位置決定システムを提供する。
【解決手段】 複数の無線端末20、30、40、50と移動基地局10から構成され、無線端末20、30、40、50が移動基地局10と無線端末20、30、40、50間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、移動基地局10の位置を決定するための移動基地局位置決定システムであって、複数の無線端末20、30、40、50それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末20、30、40、50から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、移動基地局10と中継を介さず直接通信を行う無線端末を、初段無線端末として選択し、初段無線端末の位置情報に基づいて、移動基地局10を設置する位置を決定する。
【解決手段】 複数の無線端末20、30、40、50と移動基地局10から構成され、無線端末20、30、40、50が移動基地局10と無線端末20、30、40、50間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、移動基地局10の位置を決定するための移動基地局位置決定システムであって、複数の無線端末20、30、40、50それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末20、30、40、50から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、移動基地局10と中継を介さず直接通信を行う無線端末を、初段無線端末として選択し、初段無線端末の位置情報に基づいて、移動基地局10を設置する位置を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局位置決定システムに関し、特に、複数の無線端末のバッテリパワー残量情報、位置情報などから移動基地局と直接通信を行なう無線端末を選択して、移動基地局の最適な位置を決定する移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチホップ無線ネットワークは、互いに非常に近い範囲にある複数の無線端末間で基地局を経由することなく直接通信することや、2つの無線端末が他の端末を中継して通信することを可能にし、複数端末相互間で公衆通信網によらない無線ネットワークを形成して通信を行うものである。
【0003】
マルチホップ無線ネットワークでは、無線端末と基地局との間のデータ通信だけを行う公衆通信網の場合とは異なり、基地局とその配下にある全ての無線端末との間のデータの中継を、無線端末が行う必要がある。基地局と無線端末との間に介在する複数の無線端末を経由して、基地局が無線端末と通信を行う場合には、いずれの通信も基地局と直接通信を行う無線端末を中継する。
【0004】
このような場合、基地局からのホップ数が小さい無線端末ほど消費される電力が大きくなる。このため、基地局と直接通信を行なう無線端末の電池が集中的に消費され、中継無線端末の電池切れが発生して、通信ができなくなるという問題が発生する可能性がある。
【0005】
このような問題を解決するには、無線端末のバッテリパワー残量を考慮して基地局と直接通信を行なう無線端末を決定する必要がある。さらに、上記の無線端末と直接通信を行う移動基地局の位置を決定する必要がある。
【0006】
このような問題の解決に類する方法の一例が、例えば特開2002−290345号公報(特許文献1)及び例えば特開2003−124874号公報(特許文献2)に記載されている。
【0007】
特許文献1の方法は、無線局所通信網(無線LAN)の基地局位置を決定するものである。特許文献1の方法では、移動端末をその移動範囲内の所望の位置に置き、無線基地局の候補位置に受信レベルを調べるための無線部品を置く。このような状態で、移動端末から信号を発信し、その信号に対する無線部品からの応答信号の有無、また応答信号の有る場合には受信レベルを監視し、候補位置が無線基地局の候補位置として適正かどうかを決定するというものである。
【0008】
また、特許文献2の方法では、無線端末の省電力方法を提供する。この方法では、無線端末のバッテリパワー残量が少ない場合には再同期確立周期を長くして電力の節約を行い、一方バッテリパワー残量が多い場合には再同期確立周期を通常の状態に戻し、電力の節約は行わないというものである。特許文献2の方法によれば、バッテリパワー残量に応じて、省電力の度合いを調節することができる。
【特許文献1】特開2002−290345号公報
【特許文献2】特開2003−124874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の技術は、いずれも以下に述べるような問題点があった。
【0010】
特許文献1の方法では、無線端末をその移動範囲内の所望の位置に置き、無線LAN基地局の候補位置に無線部品を置いた状態で、無線端末から信号を発信し、その信号に対する無線部品からの応答信号の有無、また応答信号の有る場合には受信レベルを監視し、候補位置が無線LAN基地局の候補位置として適正かどうかを決定するというものである。
【0011】
特許文献1に開示される方法によれば、無線端末に適した基地局の位置を決定することができる。しかしながら、その決定の基準はあくまでも受信強度であって、マルチホップ無線ネットワークで問題の予想されるバッテリパワーの残量を基準に考慮したものではない。
【0012】
さらに、この方法の適用対象は端末と基地局の間で通信を行う無線LANであって、無線端末を中継して無線端末間で通信を行うマルチホップ無線ネットワークでの使用を目的としたものではない。
【0013】
また、特許文献2の方法では、無線端末の省電力方法を提供し、バッテリパワー残量に応じて、省電力の度合いを調節することができる。
【0014】
しかしながら、特許文献2の方法は、無線端末の省電力の方法であって、マルチホップ無線ネットワークで重要となるバッテリパワー残量情報を、無線端末から基地局に対して提供するものではない。
【0015】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、マルチホップ無線ネットワークにおいて、基地局と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避できる移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明は、複数の無線端末と移動基地局から構成され、前記無線端末が前記移動基地局と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、前記移動基地局の位置を決定するための移動基地局位置決定システムであって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局を設置する位置を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項2の本発明の移動基地局位置決定システムは、前記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、前記初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0018】
請求項3の本発明の移動基地局位置決定システムは、前記初段無線端末の前記位置情報及び前記移動基地局の進入が許されている地域に関する進入可能地域情報に基づいて、前記移動基地局の位置を決定することを特徴とする。
【0019】
請求項4の本発明の移動基地局位置決定システムは、前記移動基地局を設置する候補地が複数ある場合、前記複数の候補地の内、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、かつ初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする。
【0020】
請求項5の本発明の移動基地局位置決定システムは、記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に前記初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0021】
請求項6の本発明の端末位置決定システムは、移動基地局の機能を有する無線端末と複数の無線端末とから構成され、前記無線端末が前記移動基地局の機能を有する無線端末と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおける、前記移動基地局の機能を有する無線端末の位置を決定するための端末位置決定システムであって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末を設置する位置を決定することを特徴とする。
【0022】
請求項7の本発明の移動基地局は、配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局であって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0023】
請求項8の本発明の移動基地局は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0024】
請求項9の本発明の移動基地局は、進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0025】
請求項10の本発明の移動基地局は、設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする。
【0026】
請求項11の本発明の移動基地局は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0027】
請求項12の本発明の移動基地局は、前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする。
【0028】
請求項13の本発明の無線端末は、配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継してデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局の機能を有する無線端末であって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0029】
請求項14の本発明の無線端末は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0030】
請求項15の本発明の無線端末は、進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0031】
請求項16の本発明の無線端末は、設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする。
【0032】
請求項17の本発明の無線端末は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0033】
請求項18の本発明の無線端末は、前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする。
【0034】
請求項19の本発明の無線端末は、接続する移動基地局との間で、無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける無線端末であって、前記移動基地局から通信可能な無線端末を探知する無線信号を受信すると、バッテリパワー残量情報と、位置情報と、充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局へ送信することを特徴とする。
【0035】
請求項20の本発明の無線端末は、前記充電電流、前記消費電流に関する情報と前記バッテリパワー残量情報を提供する電池残量監視部と、前記位置情報を取得すると共に、前記電流収支情報を提供するデータ処理部を備えることを特徴とする。
【0036】
請求項21の本発明の基地局位置決定プログラムは、配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局上で実行され、前記移動基地局の位置決定を行う基地局位置決定プログラムであって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択する機能と、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を実行することを特徴とする。
【0037】
請求項22の本発明の基地局位置決定プログラムは、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択する機能を有することを特徴とする。
【0038】
請求項23の本発明の基地局位置決定プログラムは、進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明の、移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラムによれば、以下の効果が達成される。
【0040】
移動基地局がそれぞれの無線端末のバッテリパワー残量情報、位置情報及び受信強度情報に基づき、移動基地局と直接通信を行う初段無線端末を選択し、また選択した初段無線端末の位置に基づいて、移動基地局の位置を決定するために、基地局と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避でき、安定したマルチホップ無線通信を実現することができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の好適な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図1は、本実施例による移動基地局位置決定システムの構成を示すブロック図である。
【0043】
図1を参照すると、移動基地局位置決定システムは、移動基地局10と複数の無線端末20、30、40、50による構成となっている。
【0044】
移動基地局10は、立入禁止区域や私有地等の地域を除く、進入可能な地域を移動することができる。
【0045】
また、無線端末20、30、40、50は移動することができるが、移動しなくても良い。
【0046】
図1において、移動基地局10と無線端末20の間の点線及び無線端末20、30、40を相互に結ぶ点線、また無線端末20と無線端末50を結ぶ点線は、それぞれ無線で接続されていることを表す。また、無線端末20、30、40、50とそれぞれのセンサ20a、30a、40a、50a及びそれぞれの制御装置20b、30b、40b、50bの間を結ぶ実線は、有線で接続されていることを表す。ここで、センサ20a、30a、40a、50a及び制御装置20b、30b、40b、50bについては、図3の移動基地局10の受信動作の説明の部分で述べる。
【0047】
本実施例による移動基地局10とそれぞれのセンサ20a、30a、40a、50a又はそれぞれの制御装置20b、30b、40b、50bとは、それぞれ無線端末20、30、40、50を経由してデータ通信をすることができる。これらのデータ通信は、マルチホップ通信経路を構築後に行われるものである。
【0048】
移動基地局10及び無線端末20、30、40、50の構成については、それぞれ図3及び図5で説明を行う。
【0049】
移動基地局10と無線端末20、30、40、50間の通信は、点線で示した経路により行われる。例えば、無線端末50が移動基地局10にデータを転送する場合、無線端末20を中継して転送される。また、例えば無線端末40が移動基地局10にデータを転送する場合、無線端末30と無線端末20を経由して転送される。
【0050】
このため、転送を中継する無線端末では、通信に消費する電力が増加する。特に、移動基地局10と直接通信を行う無線端末20では、データ転送の頻度が他の無線端末と比べると高くなり、通信に消費する電力が著しく増加する。
【0051】
図2は、本実施例によるマルチホップ経路の構成の一例を示す図である。マルチホップ無線ネットワークでは、複数の無線端末と移動基地局10から構成され、無線端末が移動基地局10と無線端末間のデータ通信を中継する。
【0052】
図2を参照すると、移動基地局10をルートとして、無線端末がツリー構造で接続されるマルチホップ通信経路(以下ではマルチホップ経路と略す)が構成されている。本発明では、移動基地局10と無線端末とがツリー状のマルチホップ経路で構成されることを前提とする。すなわち、本発明により移動基地局10の位置を決定し、決定した位置に移動基地局10を移動した後、ツリー状のマルチホップ経路が構築される。
【0053】
マルチホップ経路を構築するためには、移動基地局10は、まず移動基地局10と直接通信を行う初段無線端末60、70を、無線端末の中から選択する必要がある。初段無線端末60、70では、これらに接続されるすべての無線端末への転送を中継する。このため、これらの端末ではバッテリパワー残量が多いことが好ましい。
【0054】
一方、初段無線端末の数が多く、通信を分散できる場合には、初段無線端末のバッテリパワー残量は多くなくても良い。
【0055】
なお、移動基地局10は、AC(交流)電源のような外部給電が好ましいが、太陽電池、一次電池、二次電池、燃料電池、容量素子のような内部給電、あるいは外部給電と内部給電の組合せであっても良い。また、無線端末20、30、40、50は、内部給電を想定しているが、外部給電あるいは外部給電と内部給電の組合せであっても良い。
【0056】
本発明は、最適な初段無線端末60、70を探索すると共に、最適な移動基地局10の位置を決定するシステムを提供するものである。
【0057】
図3は、本実施例による移動基地局10の構成を示すブロック図である。なお、必要に応じて、図1の主要な部分を参照する。
【0058】
図3を参照すると、移動基地局10はアンテナ11、送受信切り替えスイッチ12、無線受信部13、復調部14、データ処理部15、変調部16、無線送信部17、受信強度測定部18及びデータベース19で構成される。
【0059】
最初に、移動基地局10の受信動作について説明する。
【0060】
移動基地局10では、データを受信する際に、送受信切り替えスイッチ12が受信側に接続され、アンテナ11から受信した信号は、無線受信部13に送信される。無線受信部13で無線信号を受信すると、復調部14で無線信号の復調を行い、データ処理部15にフレーム(フラグ信号などで囲まれたデータ)を送信することができる。なお、データの送信はフレーム以外の形態であっても良い。
【0061】
また、受信強度測定部18は、無線受信部13より受信した無線信号より求まる受信強度を測定し、その値をデータ処理部15に送信する。
【0062】
データ処理部15は、受信フレームが移動基地局10宛かどうかを判定し、フレームが移動基地局10以外の場合は、無線端末20、30、40、50へ転送するために、変調部16へフレームを渡す。また、受信フレームが移動基地局10宛の場合には、フレームに含まれるデータの解析を行い、データベース19にデータを格納することができる。
【0063】
次に、受信フレームに含まれるデータについて、説明する。
【0064】
移動基地局10が受信するデータは、無線端末20、30、40、50から受信するデータと、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bから受信するデータの2種に区分される。
【0065】
移動基地局10が無線端末20、30、40、50から受信するデータには、各無線端末が探索されたときに、それぞれの無線端末より受信するバッテリパワー残量情報、電流収支情報、位置情報(緯度、経度)が含まれる。なお、ここでいう電流収支情報は、それぞれの無線端末における平均充電電流から平均消費電流を差し引いた値を示すものである。これらのデータはマルチホップ経路を構築する前、または変更前に受信されるものである。
【0066】
移動基地局の位置決定には、バッテリパワー残量情報、電流収支情報、位置情報(緯度、経度)及び受信強度情報が用いられる。
【0067】
移動基地局10が無線端末20、30、40、50から受信するデータには、マルチホップ経路を構築する際の制御信号が含まれる。また、移動基地局10が無線端末20、30、40、50から受信するデータには、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bからの通信データが含まれる。これらの通信データはマルチホップ経路を構築後に受信されるものである。
【0068】
通信データの一例を挙げると、センサ20a、30a、40a、50が温度センサ、湿度センサ等の場合には、温度、湿度等の環境データが移動基地局10へ送信される。これらのデータはさらに地域を管理するセンタへ移動基地局10経由で送信される。
【0069】
また、制御装置20b、30b、40b、50bは、例えば、ガス、水道の栓、電気のブレーカを遠隔制御する端末等であり、公共施設等の設備を管理するために地域のセンタにより使用されるものである。
【0070】
以上に、データ処理部15で受信するデータについて説明したが、マルチホップ経路を構築する際の制御信号及び移動基地局10と、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50b間の通信データについては、移動基地局10の位置の決定と当該位置への移動基地局10の移動後に用いるものであって、本発明の対象である移動基地局の位置決定に用いるものではない。
【0071】
ここでは、移動基地局10の位置決定と、その後に実現されるマルチホップ経路構築、移動基地局10とセンサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50b間の通信との関係を示すために、これらのマルチホップ経路を構築する際の制御信号及び移動基地局10と、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bの通信データに関しても記述する。
【0072】
次に、移動基地局10の送信動作について説明する。
【0073】
データ処理部15は、無線端末20、30、40、50の探知、マルチホップ経路の構築あるいはデータ通信を実施する際に、フレームを変調部16に送信する。移動基地局10による無線端末20、30、40、50の探知は、マルチホップ経路を構築するために行う必要がある。
【0074】
また、移動基地局10と無線端末20、30、40、50の間でマルチホップ経路が構築された後に、移動基地局は無線端末20、30、40、50に接続されているセンサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bのそれぞれと通信を行なうことができる。
【0075】
変調部16はデータ処理部15より受信するフレームを変調し、無線送信部17に無線信号を送信する。データ送信時は送受信切り替えスイッチ12が送信側に接続され、無線送信部17から送信された無線信号は、アンテナ11から送信される。
【0076】
移動基地局10のデータベース19には、初段無線端末の選択、移動基地局の位置決定などのマルチホップ経路を構築するのに必要となる情報が格納される。また、移動基地局の位置決定の際に必要となる地図情報も格納される。
【0077】
移動基地局10の位置が決定され、マルチホップ経路が構築されると、データベース19には、マルチホップ経路の構築により得られたリンク情報及びセンサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bとの通信データが格納される。
【0078】
図4は、本実施例による初段無線端末を選択するための情報の一例を示す図である。
【0079】
図4を参照すると、初段無線端末を選択する情報には、各無線端末を識別する無線端末番号、バッテリパワー残量、電力収支、通信持続時間、無線端末の位置を示す緯度、経度、無線信号の受信強度が含まれる。
【0080】
なお、通信持続時間は各無線端末のバッテリパワー残量を電流収支で割り算した値であり、電力収支がプラスの状態ではエネルギーが枯渇することはないため、通信持続時間を無限大(∞)として格納する。
【0081】
図5は、本実施例による無線端末20の構成を示す図である。以下の説明は無線端末20の場合について行うが、無線端末30、40、50についても全く同様である。
【0082】
最初に、無線端末20の受信動作について説明する。なお、必要に応じて、図1の主要な部分を参照する。
【0083】
図5を参照すると、移動基地局10又は無線端末30、40、50から無線端末20がデータを受信する際は、送受信切り替えスイッチ22が受信側に接続され、アンテナ21で受信した信号は、無線受信部23に送信される。
【0084】
無線端末20、30、40、50が受信するデータには、無線端末を探知するための信号、マルチホップ経路を構築する際の制御信号、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bからの通信データが含まれる。
【0085】
次に、復調部24で信号の復調を行い、データ処理部25にデータを送信する。
【0086】
また、受信強度測定部28は、無線受信部23より受信した無線信号の受信強度を測定し、その値をデータ処理部25に提供する。データ処理部25は、移動基地局10又は無線端末30、40、50より受信する無線信号の受信強度情報を取得する。
【0087】
また、データ処理部25は、受信フレームが無線端末20宛かどうか判定を行い、フレームが無線端末20宛以外の場合は、移動基地局10又は無線端末30、40、50へ転送するために、変調部26へフレームを渡す。
【0088】
フレームが無線端末20宛の場合は、フレームに含まれるデータの解析を行い、必要な場合には、後段のセンサ20aまたは制御装置20bにデータを送信する。
【0089】
データ処理部25は、GPS(Global Positioning System)などを用いて、無線端末20の緯度、経度を含む位置情報を取得することができる。
【0090】
データ処理部25は、バッテリパワー残量ならびに一定期間における平均充電電流及び平均放電電流の値を電池残量監視部29より取得し、平均充電電流から平均放電電流を差し引いた値である電流収支を算出することができる。さらに、位置情報及びバッテリパワー残量情報、電流収支情報を移動基地局10に送信することができる。
【0091】
緯度及び経度を含む位置情報は、無線端末20が移動しない場合は、無線端末20を新規に設置する際に、GPSを無線端末20に一時的に接続して位置登録を行うことができる。このような場合、無線端末20にGPSの機能を継続して設ける必要はない。
【0092】
一方、無線端末20が移動する場合は、無線端末20にGPSの機能を設けて、位置情報を常時読み出せるようにしておけばよい。
【0093】
次に、無線端末20からのデータ送信について説明する。
【0094】
データ処理部25は、無線端末が探知されたときの送信情報であるバッテリパワー残量、電流収支及び緯度、経度を含む位置情報などのデータならびにマルチホップ経路を構築する際の制御情報及びセンサ20a、30a、40a、50a又は制御装置20b、30b、40b、50bから受信するデータを移動基地局10へフレームの形態で送信することができる。
【0095】
これらのデータは、変調部26で変調され、無線送信部27へ送信される。データ送信時は、送受信切り替えスイッチ22が送信側に接続され、無線送信部23から送信された信号は、アンテナ21から送信される。
【0096】
なお、無線端末20は移動基地局や他の無線端末から無線信号を受信した場合、そのときの受信強度が一定の閾値を超え、信号強度が十分である場合には応答を返すが、受信強度が閾値以下で、信号強度が不足する場合には応答を返さないものとする。
【0097】
上述した、本発明による移動基地局位置決定システムでは、複数の無線端末20、30、40、50と移動基地局10から構成され、無線端末20、30、40、50が前記移動基地局と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、無線端末20、30、40、50それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、移動基地局10と直接に通信を行う初段無線端末を選択し、次に初段無線端末の位置情報に基づいて、移動基地局10を設置する位置を決定する。
【0098】
次に、本実施例による動作を、図を用いて詳細に説明する。
【0099】
図6は、本実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。なお、必要に応じて、図1、図3の主要な部分を参照する。
【0100】
図6を参照すると、最初に、移動基地局10に設置されたデータ処理部15は通信可能な無線端末を探知するために、すべての無線端末を対象に、無線信号を送信する(ステップ601)。
【0101】
無線信号の送信はブロードキャストであっても良い。また、必要な場合には、各無線端末にアドレスを付与した後、無線信号の送信を行う。
【0102】
移動基地局10より無線信号を受信した無線端末は、受信した無線信号の受信
強度が一定の閾値を超えている場合には、バッテリパワー残量情報、電流収支情報、緯度及び経度を含む位置情報を移動基地局10に返信し、受信強度測定部18は受信した無線信号より受信強度を測定する(ステップ602)。
【0103】
データ処理部15は受信したデータを無線端末20、30、40、50毎にデータベース19に登録し、バッテリパワー残量と電流収支より通信持続時間を算出する(ステップ603)。
【0104】
そして、通信可能な無線端末が他にも存在する限り、上記の動作を繰り返す(ステップ604)。
【0105】
通信可能な無線端末のうち、通信持続時間が長く、無線端末からの無線信号の受信強度が一定の閾値よりも大きい無線端末を初段無線端末の候補とする(ステップ605)。
【0106】
なお、初段無線端末は1つとは限らず、複数であっても良い。
【0107】
次に、図4のデータに基づいて、初段無線端末の候補の選択を説明する。
【0108】
ここでは、無線端末番号3は移動基地局10と通信不可能なためデータベースに登録されていないものとし、受信強度の閾値を−85dBmに設定する。移動基地局10と通信のできる無線端末の無線端末番号は、受信強度が閾値未満の無線端末6を除く、1、2、4及び5である。これらの無線端末より、通信持続時間が長い無線端末を選択すると、通信持続時間が無限大を示す番号1の無線端末が初段無線端末の候補となる。また、通信継続時間の閾値を300と設定し、番号1、2及び4の無線端末を初段無線端末の候補としてもよい。
【0109】
このように、移動基地局10を移動させて位置を変更する度に、上記の処理により、初段無線端末の候補を探索する。
【0110】
図7は、本実施例による移動基地局10の位置を決定する処理を説明するためのフローチャートである。
【0111】
図7を参照すると、最初に、移動基地局10を移動させて、ある地点における初段無線端末の候補を探索する処理(図6に図示)を行なう(ステップ701)。
【0112】
初段無線端末の候補を探索する処理は、移動基地局の候補地が他にも存在する限り、行う(ステップ702)。
【0113】
次に、移動基地局の候補地の中から、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多いものを選択する(ステップ703)。
【0114】
そして、データベース19にある初段無線端末の緯度、経度を含む位置情報及び地図情報をもとに、移動基地局10が進入可能であって、なおかつ初段無線端末と通信可能な地域を抽出する(ステップ704)。
【0115】
図8は、本実施例による移動基地局10を設置する位置を決定する一例を示す図である。
【0116】
図8を参照すると、最初に、初段無線端末60、70を中心として無線通信の可能な領域を、図の点線で示すように抽出する。無線通信の可能な点線内の領域は、初段無線端末60、70から送信される無線電波の受信強度で抽出するが、初段無線端末60、70からの距離で抽出しても良い。
【0117】
次に、2つの初段無線端末60、70から通信可能で、かつ移動基地局10が進入可能な地域を抽出し、このようにして抽出された図で黒く示された地域を移動基地局10の通信可能な地域とする。なお、地域内の移動基地局10の設置場所については、自由に選択できるものとする。
【0118】
次に、移動基地局10は最適な位置へ移動する。移動後は、移動基地局10と無線端末の間でマルチホップ経路の構築が行われ、構築後は移動基地局10とセンサセンサ20a、30a、40a、50a又は制御装置20b、30b、40b、50bの間でデータ通信が行われる。
【0119】
このように本発明の移動基地局位置決定システムでは、初段無線端末60、70の位置情報及び移動基地局10の進入可能地域情報に基づいて、移動基地局10の位置を決定する。
【0120】
上記実施例では、マルチホップ経路の構成例として、ツリー構造のマルチホップ経路について説明したが、本発明はこれにとらわれることなく、メッシュ構造、あるいは他の通信網構造であっても、全く同様に初段無線端末を決定し、移動基地局10の位置を決定することができる。
【0121】
また、上記実施例では移動基地局10と無線端末とでマルチホップ経路を構成しているが、移動基地局10の代わりに、移動基地局10の機能を有する無線端末110を用いて、マルチホップ経路を構成することもできる。
【0122】
図9は、本実施例による端末位置決定システムの構成を示す図である。無線端末110には、図5に図示した無線端末20、30、40、50の構成に、データベースを付け加える必要がある(図示していない)。
【0123】
一方、無線端末20、30、40、50の構成は、図5のとおりで良い。
【0124】
無線端末110の位置は、前述した移動基地局10の場合と全く同様に決定することができる。
【0125】
以上説明した実施例によれば、移動基地局10がそれぞれの無線端末のバッテリパワー残量情報、位置情報及び受信強度情報に基づき、移動基地局10と直接通信を行う初段無線端末60、70を選択し、また選択した初段無線端末60、70の位置に基づいて、移動基地局10の位置を決定するために、移動基地局10と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避でき、安定したマルチホップ無線通信を実現することができる。
【実施例2】
【0126】
次に、本発明の第2の実施例について図面を用いて説明する。
【0127】
実施例1ではバッテリパワー残量が多く、受信強度が一定の閾値よりも大きい初段無線端末を選択したが、初段無線端末の配下に他の無線端末を接続しない場合には、バッテリパワー残量の少ない無線端末を初段無線端末とすることもできる。
【0128】
図10は、本実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。
【0129】
図10を参照すると、最初に、移動基地局10は通信可能な無線端末を探知するために、すべての無線端末を対象に、無線信号を送信する(ステップ1001)。
【0130】
移動基地局10より無線信号を受信した無線端末は、受信した無線信号の受信
強度が一定の閾値を超えている場合には、バッテリパワー残量情報、電流収支情報、緯度及び経度を含む位置情報を移動基地局10に返信し、移動基地局10は受信した無線信号より受信強度を測定する(ステップ1002)。
【0131】
移動基地局10は受信したデータを無線端末毎にデータベース19に登録し、バッテリパワー残量と電流収支より通信持続時間を算出する(ステップ1003)。
【0132】
そして、通信可能な無線端末が他にも存在する限り、上記の動作を繰り返す(ステップ1004)。
【0133】
次に、通信可能な無線端末のうち、通信持続時間が長く、無線端末からの無線信号の受信強度が一定の閾値よりも大きい無線端末を初段無線端末の候補とする。
【0134】
また、バッテリパワー残量が少ない無線端末をできる限り長時間動作させるために、無線端末からの無線信号の受信強度が一定の閾値よりも大きく、通信持続時間の短い無線端末をその配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末の候補とする(ステップ1005)。ただし、初段無線端末を決定した後にその配下に無線端末を接続しないようにマルチホップ経路を構築する必要がある。
【0135】
なお、初段無線端末は1つとは限らず、複数であっても良い。
【0136】
図11は、本実施例による配下に無線端末を接続しない初段無線端末90を含むマルチホップ経路の一例を示す図である。
【0137】
初段無線端末80は、配下に無線端末を接続するため、バッテリパワー残量の多い無線端末である必要があるが、初段無線端末90は、配下に無線端末を接続しないため、バッテリパワー残量の少ない無線端末であっても良い。
【0138】
このように、バッテリパワー残量の少ない初段無線端末90の配下に他の無線端末を接続しないことにより、バッテリパワー残量の少ない無線端末の電力消費を極力抑えることが可能となる。
【0139】
本発明の移動基地局10は、その動作をハードウェア的に実現することは勿論として、上記した各機能を実行する移動基地局位置決定プログラム(アプリケーション)100を、移動基地局10を構成するコンピュータ処理装置であるデータ処理部15で実行することにより、ソフトウェア的に実現することができる。この移動基地局位置決定プログラム100は、磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体に格納され、その記録媒体からデータ処理部15にロードされ、その動作を制御することにより、上述した各機能を実現する。
【0140】
上記実施例では、移動基地局10が無線端末を探知して、適当な初段無線端末の候補を決定し、その後移動基地局10の位置を決定し、マルチホップ経路を構築する形態を示したが、上述した移動基地局の機能を持たせたノート型パソコン(無線通信カードを内蔵して無線通信が可能)等を使用することにより複数箇所でデータ収集を行い、最適な場所を決定して、その場所に移動基地局または移動しない基地局を設置することも可能である。
【0141】
上記ノート型パソコンを用いる場合は、移動基地局位置決定プログラム(アプリケーション)100を、上記ノート型パソコンにロードして移動基地局の機能を実現することができる。また、移動基地局位置決定プログラムは、磁気ディスク以外に、搭載する無線通信カードに予め組み込むことでも移動基地局の機能を実現することができる。
【0142】
また、移動基地局について、本来移動させない基地局を操作者が持ち運んだり、あるいは自動車等の移動手段に搭載させて移動させることで、移動基地局としてもよい。
【0143】
以上好ましい複数の実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1の実施例による移動基地局位置決定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるマルチホップ経路の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例による移動基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例による初段無線端末を選択するための情報の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例による無線端末の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施例による移動基地局の位置を決定する処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施例による移動基地局の位置を決定する一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例による端末位置決定システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施例による配下に無線端末を接続しない初段無線端末を含むマルチホップ経路の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
10:移動基地局
11:アンテナ
12:送受信切り替えスイッチ
13:無線受信部
14:復調部
15:データ処理部
16:変調部
17:無線送信部
18:受信強度測定部
19:データベース
20、30、40、50:無線端末
20a、30a、40a、50a:センサ
20b、30b、40b、50b:制御装置
21:アンテナ
22:送受信切り替えスイッチ
23:無線受信部
24:復調部
25:データ処理部
26:変調部
27:無線送信部
28:受信強度測定部
29:電池残量監視部
60、70、80、90:初段無線端末
100:基地局位置決定プログラム
110:無線端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局位置決定システムに関し、特に、複数の無線端末のバッテリパワー残量情報、位置情報などから移動基地局と直接通信を行なう無線端末を選択して、移動基地局の最適な位置を決定する移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチホップ無線ネットワークは、互いに非常に近い範囲にある複数の無線端末間で基地局を経由することなく直接通信することや、2つの無線端末が他の端末を中継して通信することを可能にし、複数端末相互間で公衆通信網によらない無線ネットワークを形成して通信を行うものである。
【0003】
マルチホップ無線ネットワークでは、無線端末と基地局との間のデータ通信だけを行う公衆通信網の場合とは異なり、基地局とその配下にある全ての無線端末との間のデータの中継を、無線端末が行う必要がある。基地局と無線端末との間に介在する複数の無線端末を経由して、基地局が無線端末と通信を行う場合には、いずれの通信も基地局と直接通信を行う無線端末を中継する。
【0004】
このような場合、基地局からのホップ数が小さい無線端末ほど消費される電力が大きくなる。このため、基地局と直接通信を行なう無線端末の電池が集中的に消費され、中継無線端末の電池切れが発生して、通信ができなくなるという問題が発生する可能性がある。
【0005】
このような問題を解決するには、無線端末のバッテリパワー残量を考慮して基地局と直接通信を行なう無線端末を決定する必要がある。さらに、上記の無線端末と直接通信を行う移動基地局の位置を決定する必要がある。
【0006】
このような問題の解決に類する方法の一例が、例えば特開2002−290345号公報(特許文献1)及び例えば特開2003−124874号公報(特許文献2)に記載されている。
【0007】
特許文献1の方法は、無線局所通信網(無線LAN)の基地局位置を決定するものである。特許文献1の方法では、移動端末をその移動範囲内の所望の位置に置き、無線基地局の候補位置に受信レベルを調べるための無線部品を置く。このような状態で、移動端末から信号を発信し、その信号に対する無線部品からの応答信号の有無、また応答信号の有る場合には受信レベルを監視し、候補位置が無線基地局の候補位置として適正かどうかを決定するというものである。
【0008】
また、特許文献2の方法では、無線端末の省電力方法を提供する。この方法では、無線端末のバッテリパワー残量が少ない場合には再同期確立周期を長くして電力の節約を行い、一方バッテリパワー残量が多い場合には再同期確立周期を通常の状態に戻し、電力の節約は行わないというものである。特許文献2の方法によれば、バッテリパワー残量に応じて、省電力の度合いを調節することができる。
【特許文献1】特開2002−290345号公報
【特許文献2】特開2003−124874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の技術は、いずれも以下に述べるような問題点があった。
【0010】
特許文献1の方法では、無線端末をその移動範囲内の所望の位置に置き、無線LAN基地局の候補位置に無線部品を置いた状態で、無線端末から信号を発信し、その信号に対する無線部品からの応答信号の有無、また応答信号の有る場合には受信レベルを監視し、候補位置が無線LAN基地局の候補位置として適正かどうかを決定するというものである。
【0011】
特許文献1に開示される方法によれば、無線端末に適した基地局の位置を決定することができる。しかしながら、その決定の基準はあくまでも受信強度であって、マルチホップ無線ネットワークで問題の予想されるバッテリパワーの残量を基準に考慮したものではない。
【0012】
さらに、この方法の適用対象は端末と基地局の間で通信を行う無線LANであって、無線端末を中継して無線端末間で通信を行うマルチホップ無線ネットワークでの使用を目的としたものではない。
【0013】
また、特許文献2の方法では、無線端末の省電力方法を提供し、バッテリパワー残量に応じて、省電力の度合いを調節することができる。
【0014】
しかしながら、特許文献2の方法は、無線端末の省電力の方法であって、マルチホップ無線ネットワークで重要となるバッテリパワー残量情報を、無線端末から基地局に対して提供するものではない。
【0015】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解決し、マルチホップ無線ネットワークにおいて、基地局と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避できる移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明は、複数の無線端末と移動基地局から構成され、前記無線端末が前記移動基地局と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、前記移動基地局の位置を決定するための移動基地局位置決定システムであって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局を設置する位置を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項2の本発明の移動基地局位置決定システムは、前記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、前記初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0018】
請求項3の本発明の移動基地局位置決定システムは、前記初段無線端末の前記位置情報及び前記移動基地局の進入が許されている地域に関する進入可能地域情報に基づいて、前記移動基地局の位置を決定することを特徴とする。
【0019】
請求項4の本発明の移動基地局位置決定システムは、前記移動基地局を設置する候補地が複数ある場合、前記複数の候補地の内、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、かつ初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする。
【0020】
請求項5の本発明の移動基地局位置決定システムは、記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に前記初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0021】
請求項6の本発明の端末位置決定システムは、移動基地局の機能を有する無線端末と複数の無線端末とから構成され、前記無線端末が前記移動基地局の機能を有する無線端末と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおける、前記移動基地局の機能を有する無線端末の位置を決定するための端末位置決定システムであって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末を設置する位置を決定することを特徴とする。
【0022】
請求項7の本発明の移動基地局は、配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局であって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0023】
請求項8の本発明の移動基地局は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0024】
請求項9の本発明の移動基地局は、進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0025】
請求項10の本発明の移動基地局は、設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする。
【0026】
請求項11の本発明の移動基地局は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0027】
請求項12の本発明の移動基地局は、前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする。
【0028】
請求項13の本発明の無線端末は、配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継してデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局の機能を有する無線端末であって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0029】
請求項14の本発明の無線端末は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0030】
請求項15の本発明の無線端末は、進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする。
【0031】
請求項16の本発明の無線端末は、設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする。
【0032】
請求項17の本発明の無線端末は、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする。
【0033】
請求項18の本発明の無線端末は、前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする。
【0034】
請求項19の本発明の無線端末は、接続する移動基地局との間で、無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける無線端末であって、前記移動基地局から通信可能な無線端末を探知する無線信号を受信すると、バッテリパワー残量情報と、位置情報と、充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局へ送信することを特徴とする。
【0035】
請求項20の本発明の無線端末は、前記充電電流、前記消費電流に関する情報と前記バッテリパワー残量情報を提供する電池残量監視部と、前記位置情報を取得すると共に、前記電流収支情報を提供するデータ処理部を備えることを特徴とする。
【0036】
請求項21の本発明の基地局位置決定プログラムは、配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局上で実行され、前記移動基地局の位置決定を行う基地局位置決定プログラムであって、前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択する機能と、前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を実行することを特徴とする。
【0037】
請求項22の本発明の基地局位置決定プログラムは、前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択する機能を有することを特徴とする。
【0038】
請求項23の本発明の基地局位置決定プログラムは、進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明の、移動基地局位置決定システム、端末位置決定システム、移動基地局、無線端末及び基地局位置決定プログラムによれば、以下の効果が達成される。
【0040】
移動基地局がそれぞれの無線端末のバッテリパワー残量情報、位置情報及び受信強度情報に基づき、移動基地局と直接通信を行う初段無線端末を選択し、また選択した初段無線端末の位置に基づいて、移動基地局の位置を決定するために、基地局と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避でき、安定したマルチホップ無線通信を実現することができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の好適な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図1は、本実施例による移動基地局位置決定システムの構成を示すブロック図である。
【0043】
図1を参照すると、移動基地局位置決定システムは、移動基地局10と複数の無線端末20、30、40、50による構成となっている。
【0044】
移動基地局10は、立入禁止区域や私有地等の地域を除く、進入可能な地域を移動することができる。
【0045】
また、無線端末20、30、40、50は移動することができるが、移動しなくても良い。
【0046】
図1において、移動基地局10と無線端末20の間の点線及び無線端末20、30、40を相互に結ぶ点線、また無線端末20と無線端末50を結ぶ点線は、それぞれ無線で接続されていることを表す。また、無線端末20、30、40、50とそれぞれのセンサ20a、30a、40a、50a及びそれぞれの制御装置20b、30b、40b、50bの間を結ぶ実線は、有線で接続されていることを表す。ここで、センサ20a、30a、40a、50a及び制御装置20b、30b、40b、50bについては、図3の移動基地局10の受信動作の説明の部分で述べる。
【0047】
本実施例による移動基地局10とそれぞれのセンサ20a、30a、40a、50a又はそれぞれの制御装置20b、30b、40b、50bとは、それぞれ無線端末20、30、40、50を経由してデータ通信をすることができる。これらのデータ通信は、マルチホップ通信経路を構築後に行われるものである。
【0048】
移動基地局10及び無線端末20、30、40、50の構成については、それぞれ図3及び図5で説明を行う。
【0049】
移動基地局10と無線端末20、30、40、50間の通信は、点線で示した経路により行われる。例えば、無線端末50が移動基地局10にデータを転送する場合、無線端末20を中継して転送される。また、例えば無線端末40が移動基地局10にデータを転送する場合、無線端末30と無線端末20を経由して転送される。
【0050】
このため、転送を中継する無線端末では、通信に消費する電力が増加する。特に、移動基地局10と直接通信を行う無線端末20では、データ転送の頻度が他の無線端末と比べると高くなり、通信に消費する電力が著しく増加する。
【0051】
図2は、本実施例によるマルチホップ経路の構成の一例を示す図である。マルチホップ無線ネットワークでは、複数の無線端末と移動基地局10から構成され、無線端末が移動基地局10と無線端末間のデータ通信を中継する。
【0052】
図2を参照すると、移動基地局10をルートとして、無線端末がツリー構造で接続されるマルチホップ通信経路(以下ではマルチホップ経路と略す)が構成されている。本発明では、移動基地局10と無線端末とがツリー状のマルチホップ経路で構成されることを前提とする。すなわち、本発明により移動基地局10の位置を決定し、決定した位置に移動基地局10を移動した後、ツリー状のマルチホップ経路が構築される。
【0053】
マルチホップ経路を構築するためには、移動基地局10は、まず移動基地局10と直接通信を行う初段無線端末60、70を、無線端末の中から選択する必要がある。初段無線端末60、70では、これらに接続されるすべての無線端末への転送を中継する。このため、これらの端末ではバッテリパワー残量が多いことが好ましい。
【0054】
一方、初段無線端末の数が多く、通信を分散できる場合には、初段無線端末のバッテリパワー残量は多くなくても良い。
【0055】
なお、移動基地局10は、AC(交流)電源のような外部給電が好ましいが、太陽電池、一次電池、二次電池、燃料電池、容量素子のような内部給電、あるいは外部給電と内部給電の組合せであっても良い。また、無線端末20、30、40、50は、内部給電を想定しているが、外部給電あるいは外部給電と内部給電の組合せであっても良い。
【0056】
本発明は、最適な初段無線端末60、70を探索すると共に、最適な移動基地局10の位置を決定するシステムを提供するものである。
【0057】
図3は、本実施例による移動基地局10の構成を示すブロック図である。なお、必要に応じて、図1の主要な部分を参照する。
【0058】
図3を参照すると、移動基地局10はアンテナ11、送受信切り替えスイッチ12、無線受信部13、復調部14、データ処理部15、変調部16、無線送信部17、受信強度測定部18及びデータベース19で構成される。
【0059】
最初に、移動基地局10の受信動作について説明する。
【0060】
移動基地局10では、データを受信する際に、送受信切り替えスイッチ12が受信側に接続され、アンテナ11から受信した信号は、無線受信部13に送信される。無線受信部13で無線信号を受信すると、復調部14で無線信号の復調を行い、データ処理部15にフレーム(フラグ信号などで囲まれたデータ)を送信することができる。なお、データの送信はフレーム以外の形態であっても良い。
【0061】
また、受信強度測定部18は、無線受信部13より受信した無線信号より求まる受信強度を測定し、その値をデータ処理部15に送信する。
【0062】
データ処理部15は、受信フレームが移動基地局10宛かどうかを判定し、フレームが移動基地局10以外の場合は、無線端末20、30、40、50へ転送するために、変調部16へフレームを渡す。また、受信フレームが移動基地局10宛の場合には、フレームに含まれるデータの解析を行い、データベース19にデータを格納することができる。
【0063】
次に、受信フレームに含まれるデータについて、説明する。
【0064】
移動基地局10が受信するデータは、無線端末20、30、40、50から受信するデータと、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bから受信するデータの2種に区分される。
【0065】
移動基地局10が無線端末20、30、40、50から受信するデータには、各無線端末が探索されたときに、それぞれの無線端末より受信するバッテリパワー残量情報、電流収支情報、位置情報(緯度、経度)が含まれる。なお、ここでいう電流収支情報は、それぞれの無線端末における平均充電電流から平均消費電流を差し引いた値を示すものである。これらのデータはマルチホップ経路を構築する前、または変更前に受信されるものである。
【0066】
移動基地局の位置決定には、バッテリパワー残量情報、電流収支情報、位置情報(緯度、経度)及び受信強度情報が用いられる。
【0067】
移動基地局10が無線端末20、30、40、50から受信するデータには、マルチホップ経路を構築する際の制御信号が含まれる。また、移動基地局10が無線端末20、30、40、50から受信するデータには、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bからの通信データが含まれる。これらの通信データはマルチホップ経路を構築後に受信されるものである。
【0068】
通信データの一例を挙げると、センサ20a、30a、40a、50が温度センサ、湿度センサ等の場合には、温度、湿度等の環境データが移動基地局10へ送信される。これらのデータはさらに地域を管理するセンタへ移動基地局10経由で送信される。
【0069】
また、制御装置20b、30b、40b、50bは、例えば、ガス、水道の栓、電気のブレーカを遠隔制御する端末等であり、公共施設等の設備を管理するために地域のセンタにより使用されるものである。
【0070】
以上に、データ処理部15で受信するデータについて説明したが、マルチホップ経路を構築する際の制御信号及び移動基地局10と、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50b間の通信データについては、移動基地局10の位置の決定と当該位置への移動基地局10の移動後に用いるものであって、本発明の対象である移動基地局の位置決定に用いるものではない。
【0071】
ここでは、移動基地局10の位置決定と、その後に実現されるマルチホップ経路構築、移動基地局10とセンサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50b間の通信との関係を示すために、これらのマルチホップ経路を構築する際の制御信号及び移動基地局10と、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bの通信データに関しても記述する。
【0072】
次に、移動基地局10の送信動作について説明する。
【0073】
データ処理部15は、無線端末20、30、40、50の探知、マルチホップ経路の構築あるいはデータ通信を実施する際に、フレームを変調部16に送信する。移動基地局10による無線端末20、30、40、50の探知は、マルチホップ経路を構築するために行う必要がある。
【0074】
また、移動基地局10と無線端末20、30、40、50の間でマルチホップ経路が構築された後に、移動基地局は無線端末20、30、40、50に接続されているセンサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bのそれぞれと通信を行なうことができる。
【0075】
変調部16はデータ処理部15より受信するフレームを変調し、無線送信部17に無線信号を送信する。データ送信時は送受信切り替えスイッチ12が送信側に接続され、無線送信部17から送信された無線信号は、アンテナ11から送信される。
【0076】
移動基地局10のデータベース19には、初段無線端末の選択、移動基地局の位置決定などのマルチホップ経路を構築するのに必要となる情報が格納される。また、移動基地局の位置決定の際に必要となる地図情報も格納される。
【0077】
移動基地局10の位置が決定され、マルチホップ経路が構築されると、データベース19には、マルチホップ経路の構築により得られたリンク情報及びセンサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bとの通信データが格納される。
【0078】
図4は、本実施例による初段無線端末を選択するための情報の一例を示す図である。
【0079】
図4を参照すると、初段無線端末を選択する情報には、各無線端末を識別する無線端末番号、バッテリパワー残量、電力収支、通信持続時間、無線端末の位置を示す緯度、経度、無線信号の受信強度が含まれる。
【0080】
なお、通信持続時間は各無線端末のバッテリパワー残量を電流収支で割り算した値であり、電力収支がプラスの状態ではエネルギーが枯渇することはないため、通信持続時間を無限大(∞)として格納する。
【0081】
図5は、本実施例による無線端末20の構成を示す図である。以下の説明は無線端末20の場合について行うが、無線端末30、40、50についても全く同様である。
【0082】
最初に、無線端末20の受信動作について説明する。なお、必要に応じて、図1の主要な部分を参照する。
【0083】
図5を参照すると、移動基地局10又は無線端末30、40、50から無線端末20がデータを受信する際は、送受信切り替えスイッチ22が受信側に接続され、アンテナ21で受信した信号は、無線受信部23に送信される。
【0084】
無線端末20、30、40、50が受信するデータには、無線端末を探知するための信号、マルチホップ経路を構築する際の制御信号、センサ20a、30a、40a、50aまたは制御装置20b、30b、40b、50bからの通信データが含まれる。
【0085】
次に、復調部24で信号の復調を行い、データ処理部25にデータを送信する。
【0086】
また、受信強度測定部28は、無線受信部23より受信した無線信号の受信強度を測定し、その値をデータ処理部25に提供する。データ処理部25は、移動基地局10又は無線端末30、40、50より受信する無線信号の受信強度情報を取得する。
【0087】
また、データ処理部25は、受信フレームが無線端末20宛かどうか判定を行い、フレームが無線端末20宛以外の場合は、移動基地局10又は無線端末30、40、50へ転送するために、変調部26へフレームを渡す。
【0088】
フレームが無線端末20宛の場合は、フレームに含まれるデータの解析を行い、必要な場合には、後段のセンサ20aまたは制御装置20bにデータを送信する。
【0089】
データ処理部25は、GPS(Global Positioning System)などを用いて、無線端末20の緯度、経度を含む位置情報を取得することができる。
【0090】
データ処理部25は、バッテリパワー残量ならびに一定期間における平均充電電流及び平均放電電流の値を電池残量監視部29より取得し、平均充電電流から平均放電電流を差し引いた値である電流収支を算出することができる。さらに、位置情報及びバッテリパワー残量情報、電流収支情報を移動基地局10に送信することができる。
【0091】
緯度及び経度を含む位置情報は、無線端末20が移動しない場合は、無線端末20を新規に設置する際に、GPSを無線端末20に一時的に接続して位置登録を行うことができる。このような場合、無線端末20にGPSの機能を継続して設ける必要はない。
【0092】
一方、無線端末20が移動する場合は、無線端末20にGPSの機能を設けて、位置情報を常時読み出せるようにしておけばよい。
【0093】
次に、無線端末20からのデータ送信について説明する。
【0094】
データ処理部25は、無線端末が探知されたときの送信情報であるバッテリパワー残量、電流収支及び緯度、経度を含む位置情報などのデータならびにマルチホップ経路を構築する際の制御情報及びセンサ20a、30a、40a、50a又は制御装置20b、30b、40b、50bから受信するデータを移動基地局10へフレームの形態で送信することができる。
【0095】
これらのデータは、変調部26で変調され、無線送信部27へ送信される。データ送信時は、送受信切り替えスイッチ22が送信側に接続され、無線送信部23から送信された信号は、アンテナ21から送信される。
【0096】
なお、無線端末20は移動基地局や他の無線端末から無線信号を受信した場合、そのときの受信強度が一定の閾値を超え、信号強度が十分である場合には応答を返すが、受信強度が閾値以下で、信号強度が不足する場合には応答を返さないものとする。
【0097】
上述した、本発明による移動基地局位置決定システムでは、複数の無線端末20、30、40、50と移動基地局10から構成され、無線端末20、30、40、50が前記移動基地局と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、無線端末20、30、40、50それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、移動基地局10と直接に通信を行う初段無線端末を選択し、次に初段無線端末の位置情報に基づいて、移動基地局10を設置する位置を決定する。
【0098】
次に、本実施例による動作を、図を用いて詳細に説明する。
【0099】
図6は、本実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。なお、必要に応じて、図1、図3の主要な部分を参照する。
【0100】
図6を参照すると、最初に、移動基地局10に設置されたデータ処理部15は通信可能な無線端末を探知するために、すべての無線端末を対象に、無線信号を送信する(ステップ601)。
【0101】
無線信号の送信はブロードキャストであっても良い。また、必要な場合には、各無線端末にアドレスを付与した後、無線信号の送信を行う。
【0102】
移動基地局10より無線信号を受信した無線端末は、受信した無線信号の受信
強度が一定の閾値を超えている場合には、バッテリパワー残量情報、電流収支情報、緯度及び経度を含む位置情報を移動基地局10に返信し、受信強度測定部18は受信した無線信号より受信強度を測定する(ステップ602)。
【0103】
データ処理部15は受信したデータを無線端末20、30、40、50毎にデータベース19に登録し、バッテリパワー残量と電流収支より通信持続時間を算出する(ステップ603)。
【0104】
そして、通信可能な無線端末が他にも存在する限り、上記の動作を繰り返す(ステップ604)。
【0105】
通信可能な無線端末のうち、通信持続時間が長く、無線端末からの無線信号の受信強度が一定の閾値よりも大きい無線端末を初段無線端末の候補とする(ステップ605)。
【0106】
なお、初段無線端末は1つとは限らず、複数であっても良い。
【0107】
次に、図4のデータに基づいて、初段無線端末の候補の選択を説明する。
【0108】
ここでは、無線端末番号3は移動基地局10と通信不可能なためデータベースに登録されていないものとし、受信強度の閾値を−85dBmに設定する。移動基地局10と通信のできる無線端末の無線端末番号は、受信強度が閾値未満の無線端末6を除く、1、2、4及び5である。これらの無線端末より、通信持続時間が長い無線端末を選択すると、通信持続時間が無限大を示す番号1の無線端末が初段無線端末の候補となる。また、通信継続時間の閾値を300と設定し、番号1、2及び4の無線端末を初段無線端末の候補としてもよい。
【0109】
このように、移動基地局10を移動させて位置を変更する度に、上記の処理により、初段無線端末の候補を探索する。
【0110】
図7は、本実施例による移動基地局10の位置を決定する処理を説明するためのフローチャートである。
【0111】
図7を参照すると、最初に、移動基地局10を移動させて、ある地点における初段無線端末の候補を探索する処理(図6に図示)を行なう(ステップ701)。
【0112】
初段無線端末の候補を探索する処理は、移動基地局の候補地が他にも存在する限り、行う(ステップ702)。
【0113】
次に、移動基地局の候補地の中から、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多いものを選択する(ステップ703)。
【0114】
そして、データベース19にある初段無線端末の緯度、経度を含む位置情報及び地図情報をもとに、移動基地局10が進入可能であって、なおかつ初段無線端末と通信可能な地域を抽出する(ステップ704)。
【0115】
図8は、本実施例による移動基地局10を設置する位置を決定する一例を示す図である。
【0116】
図8を参照すると、最初に、初段無線端末60、70を中心として無線通信の可能な領域を、図の点線で示すように抽出する。無線通信の可能な点線内の領域は、初段無線端末60、70から送信される無線電波の受信強度で抽出するが、初段無線端末60、70からの距離で抽出しても良い。
【0117】
次に、2つの初段無線端末60、70から通信可能で、かつ移動基地局10が進入可能な地域を抽出し、このようにして抽出された図で黒く示された地域を移動基地局10の通信可能な地域とする。なお、地域内の移動基地局10の設置場所については、自由に選択できるものとする。
【0118】
次に、移動基地局10は最適な位置へ移動する。移動後は、移動基地局10と無線端末の間でマルチホップ経路の構築が行われ、構築後は移動基地局10とセンサセンサ20a、30a、40a、50a又は制御装置20b、30b、40b、50bの間でデータ通信が行われる。
【0119】
このように本発明の移動基地局位置決定システムでは、初段無線端末60、70の位置情報及び移動基地局10の進入可能地域情報に基づいて、移動基地局10の位置を決定する。
【0120】
上記実施例では、マルチホップ経路の構成例として、ツリー構造のマルチホップ経路について説明したが、本発明はこれにとらわれることなく、メッシュ構造、あるいは他の通信網構造であっても、全く同様に初段無線端末を決定し、移動基地局10の位置を決定することができる。
【0121】
また、上記実施例では移動基地局10と無線端末とでマルチホップ経路を構成しているが、移動基地局10の代わりに、移動基地局10の機能を有する無線端末110を用いて、マルチホップ経路を構成することもできる。
【0122】
図9は、本実施例による端末位置決定システムの構成を示す図である。無線端末110には、図5に図示した無線端末20、30、40、50の構成に、データベースを付け加える必要がある(図示していない)。
【0123】
一方、無線端末20、30、40、50の構成は、図5のとおりで良い。
【0124】
無線端末110の位置は、前述した移動基地局10の場合と全く同様に決定することができる。
【0125】
以上説明した実施例によれば、移動基地局10がそれぞれの無線端末のバッテリパワー残量情報、位置情報及び受信強度情報に基づき、移動基地局10と直接通信を行う初段無線端末60、70を選択し、また選択した初段無線端末60、70の位置に基づいて、移動基地局10の位置を決定するために、移動基地局10と無線端末との通信を中継する無線端末のバッテリパワー残量不足による通信不安定を回避でき、安定したマルチホップ無線通信を実現することができる。
【実施例2】
【0126】
次に、本発明の第2の実施例について図面を用いて説明する。
【0127】
実施例1ではバッテリパワー残量が多く、受信強度が一定の閾値よりも大きい初段無線端末を選択したが、初段無線端末の配下に他の無線端末を接続しない場合には、バッテリパワー残量の少ない無線端末を初段無線端末とすることもできる。
【0128】
図10は、本実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。
【0129】
図10を参照すると、最初に、移動基地局10は通信可能な無線端末を探知するために、すべての無線端末を対象に、無線信号を送信する(ステップ1001)。
【0130】
移動基地局10より無線信号を受信した無線端末は、受信した無線信号の受信
強度が一定の閾値を超えている場合には、バッテリパワー残量情報、電流収支情報、緯度及び経度を含む位置情報を移動基地局10に返信し、移動基地局10は受信した無線信号より受信強度を測定する(ステップ1002)。
【0131】
移動基地局10は受信したデータを無線端末毎にデータベース19に登録し、バッテリパワー残量と電流収支より通信持続時間を算出する(ステップ1003)。
【0132】
そして、通信可能な無線端末が他にも存在する限り、上記の動作を繰り返す(ステップ1004)。
【0133】
次に、通信可能な無線端末のうち、通信持続時間が長く、無線端末からの無線信号の受信強度が一定の閾値よりも大きい無線端末を初段無線端末の候補とする。
【0134】
また、バッテリパワー残量が少ない無線端末をできる限り長時間動作させるために、無線端末からの無線信号の受信強度が一定の閾値よりも大きく、通信持続時間の短い無線端末をその配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末の候補とする(ステップ1005)。ただし、初段無線端末を決定した後にその配下に無線端末を接続しないようにマルチホップ経路を構築する必要がある。
【0135】
なお、初段無線端末は1つとは限らず、複数であっても良い。
【0136】
図11は、本実施例による配下に無線端末を接続しない初段無線端末90を含むマルチホップ経路の一例を示す図である。
【0137】
初段無線端末80は、配下に無線端末を接続するため、バッテリパワー残量の多い無線端末である必要があるが、初段無線端末90は、配下に無線端末を接続しないため、バッテリパワー残量の少ない無線端末であっても良い。
【0138】
このように、バッテリパワー残量の少ない初段無線端末90の配下に他の無線端末を接続しないことにより、バッテリパワー残量の少ない無線端末の電力消費を極力抑えることが可能となる。
【0139】
本発明の移動基地局10は、その動作をハードウェア的に実現することは勿論として、上記した各機能を実行する移動基地局位置決定プログラム(アプリケーション)100を、移動基地局10を構成するコンピュータ処理装置であるデータ処理部15で実行することにより、ソフトウェア的に実現することができる。この移動基地局位置決定プログラム100は、磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体に格納され、その記録媒体からデータ処理部15にロードされ、その動作を制御することにより、上述した各機能を実現する。
【0140】
上記実施例では、移動基地局10が無線端末を探知して、適当な初段無線端末の候補を決定し、その後移動基地局10の位置を決定し、マルチホップ経路を構築する形態を示したが、上述した移動基地局の機能を持たせたノート型パソコン(無線通信カードを内蔵して無線通信が可能)等を使用することにより複数箇所でデータ収集を行い、最適な場所を決定して、その場所に移動基地局または移動しない基地局を設置することも可能である。
【0141】
上記ノート型パソコンを用いる場合は、移動基地局位置決定プログラム(アプリケーション)100を、上記ノート型パソコンにロードして移動基地局の機能を実現することができる。また、移動基地局位置決定プログラムは、磁気ディスク以外に、搭載する無線通信カードに予め組み込むことでも移動基地局の機能を実現することができる。
【0142】
また、移動基地局について、本来移動させない基地局を操作者が持ち運んだり、あるいは自動車等の移動手段に搭載させて移動させることで、移動基地局としてもよい。
【0143】
以上好ましい複数の実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも、上記実施例に限定されるものでなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の第1の実施例による移動基地局位置決定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例によるマルチホップ経路の構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例による移動基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例による初段無線端末を選択するための情報の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例による無線端末の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施例による移動基地局の位置を決定する処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施例による移動基地局の位置を決定する一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例による端末位置決定システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施例による初段無線端末を探索する処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施例による配下に無線端末を接続しない初段無線端末を含むマルチホップ経路の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
10:移動基地局
11:アンテナ
12:送受信切り替えスイッチ
13:無線受信部
14:復調部
15:データ処理部
16:変調部
17:無線送信部
18:受信強度測定部
19:データベース
20、30、40、50:無線端末
20a、30a、40a、50a:センサ
20b、30b、40b、50b:制御装置
21:アンテナ
22:送受信切り替えスイッチ
23:無線受信部
24:復調部
25:データ処理部
26:変調部
27:無線送信部
28:受信強度測定部
29:電池残量監視部
60、70、80、90:初段無線端末
100:基地局位置決定プログラム
110:無線端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末と移動基地局から構成され、前記無線端末が前記移動基地局と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、前記移動基地局の位置を決定するための移動基地局位置決定システムであって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局を設置する位置を決定することを特徴とする移動基地局位置決定システム。
【請求項2】
前記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、前記初段無線端末として選択することを特徴とする請求項1に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項3】
前記初段無線端末の前記位置情報及び前記移動基地局の進入が許されている地域に関する進入可能地域情報に基づいて、前記移動基地局の位置を決定することを特徴とする請求項2に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項4】
前記移動基地局を設置する候補地が複数ある場合、前記複数の候補地の内、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、かつ初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする請求項2に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項5】
前記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に前記初段無線端末として選択することを特徴とする請求項1に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項6】
移動基地局の機能を有する無線端末と複数の無線端末とから構成され、前記無線端末が前記移動基地局の機能を有する無線端末と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおける、前記移動基地局の機能を有する無線端末の位置を決定するための端末位置決定システムであって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末を設置する位置を決定することを特徴とする端末位置決定システム。
【請求項7】
配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継してデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局であって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする移動基地局。
【請求項8】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする請求項7に記載の移動基地局。
【請求項9】
進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする請求項8に記載の移動基地局。
【請求項10】
設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする請求項8に記載の移動基地局。
【請求項11】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする請求項7に記載の移動基地局。
【請求項12】
前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする請求項7に記載の移動基地局。
【請求項13】
配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継してデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局の機能を有する無線端末であって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする無線端末。
【請求項14】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする請求項13に記載の無線端末。
【請求項15】
進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする請求項14に記載の無線端末。
【請求項16】
設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする請求項14に記載の無線端末。
【請求項17】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする請求項13に記載の無線端末。
【請求項18】
前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする請求項13に記載の無線端末。
【請求項19】
接続する移動基地局との間で、無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける無線端末であって、
前記移動基地局から通信可能な無線端末を探知する無線信号を受信すると、
バッテリパワー残量情報と、位置情報と、充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局へ送信することを特徴とする無線端末。
【請求項20】
前記充電電流、前記消費電流に関する情報と前記バッテリパワー残量情報を提供する電池残量監視部と、前記位置情報を取得すると共に、前記電流収支情報を提供するデータ処理部を備えることを特徴とする請求項19に記載の無線端末。
【請求項21】
配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局上で実行され、前記移動基地局の位置決定を行う基地局位置決定プログラムであって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択する機能と、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を実行することを特徴とする基地局位置決定プログラム。
【請求項22】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択する機能を有することを特徴とする請求項21に記載の基地局位置決定プログラム。
【請求項23】
進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を有することを特徴とする請求項22に記載の基地局位置決定プログラム。
【請求項1】
複数の無線端末と移動基地局から構成され、前記無線端末が前記移動基地局と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおいて、前記移動基地局の位置を決定するための移動基地局位置決定システムであって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局を設置する位置を決定することを特徴とする移動基地局位置決定システム。
【請求項2】
前記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、前記初段無線端末として選択することを特徴とする請求項1に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項3】
前記初段無線端末の前記位置情報及び前記移動基地局の進入が許されている地域に関する進入可能地域情報に基づいて、前記移動基地局の位置を決定することを特徴とする請求項2に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項4】
前記移動基地局を設置する候補地が複数ある場合、前記複数の候補地の内、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、かつ初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする請求項2に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項5】
前記複数の無線端末を探知するための無線信号を送信すると、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局で受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に前記初段無線端末として選択することを特徴とする請求項1に記載の移動基地局位置決定システム。
【請求項6】
移動基地局の機能を有する無線端末と複数の無線端末とから構成され、前記無線端末が前記移動基地局の機能を有する無線端末と前記無線端末間のデータ通信を中継する方式のマルチホップ無線ネットワークにおける、前記移動基地局の機能を有する無線端末の位置を決定するための端末位置決定システムであって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末と中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、前記移動基地局の機能を有する無線端末を設置する位置を決定することを特徴とする端末位置決定システム。
【請求項7】
配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継してデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局であって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする移動基地局。
【請求項8】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする請求項7に記載の移動基地局。
【請求項9】
進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする請求項8に記載の移動基地局。
【請求項10】
設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする請求項8に記載の移動基地局。
【請求項11】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする請求項7に記載の移動基地局。
【請求項12】
前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする請求項7に記載の移動基地局。
【請求項13】
配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継してデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局の機能を有する無線端末であって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択し、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする無線端末。
【請求項14】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択することを特徴とする請求項13に記載の無線端末。
【請求項15】
進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定することを特徴とする請求項14に記載の無線端末。
【請求項16】
設置する候補地が複数ある場合に、前記複数の候補地の中で、初段無線端末のバッテリパワー残量が多く、初段無線端末の数が多い候補地を選択することを特徴とする請求項14に記載の無線端末。
【請求項17】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が短く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、その配下に無線端末を接続しないことを条件に初段無線端末として選択することを特徴とする請求項13に記載の無線端末。
【請求項18】
前記受信強度情報を提供する受信強度測定部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報に基づいて、初段無線端末を選択するデータ処理部と、前記受信強度情報、バッテリパワー残量情報及び位置情報を格納するデータベースを備えることを特徴とする請求項13に記載の無線端末。
【請求項19】
接続する移動基地局との間で、無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける無線端末であって、
前記移動基地局から通信可能な無線端末を探知する無線信号を受信すると、
バッテリパワー残量情報と、位置情報と、充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を前記移動基地局へ送信することを特徴とする無線端末。
【請求項20】
前記充電電流、前記消費電流に関する情報と前記バッテリパワー残量情報を提供する電池残量監視部と、前記位置情報を取得すると共に、前記電流収支情報を提供するデータ処理部を備えることを特徴とする請求項19に記載の無線端末。
【請求項21】
配下とする複数の無線端末との間で、前記無線端末を中継する方式のデータ通信を行う、マルチホップ無線ネットワークにおける移動基地局上で実行され、前記移動基地局の位置決定を行う基地局位置決定プログラムであって、
前記複数の無線端末それぞれのバッテリパワー残量情報、位置情報及びそれぞれの無線端末から送信される無線信号より求まる受信強度情報に基づいて、前記無線端末による中継を介さず直接通信を行う前記無線端末を、初段無線端末として選択する機能と、
前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を実行することを特徴とする基地局位置決定プログラム。
【請求項22】
前記複数の無線端末に対して通信可能な無線端末を探知するための無線信号を送信し、前記無線端末から送信されるバッテリパワー残量情報、位置情報及び充電電流から消費電流を差し引いた値を示す電流収支情報を受信し、前記バッテリパワー残量情報及び前記電流収支情報からそれぞれの無線端末の通信持続時間を算出し、前記通信持続時間が長く、かつ前記無線信号より求まる受信強度が予め設定した閾値よりも大きい無線端末を、初段無線端末として選択する機能を有することを特徴とする請求項21に記載の基地局位置決定プログラム。
【請求項23】
進入が許されている地域に関する進入可能地域情報及び前記初段無線端末の位置情報に基づいて、設置する位置を決定する機能を有することを特徴とする請求項22に記載の基地局位置決定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−41633(P2006−41633A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214741(P2004−214741)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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