説明

移動網システム及びガイダンスメッセージ提供方法

【課題】規制対象呼に応じて移動網の負荷を増大させない技術を提供する。
【解決手段】移動網システムにおいて、呼制御サーバが、複数のアクセスゲートウェイのうちの第1アクセスゲートウェイから、第1移動端末から第2移動端末への通話要求の通知を受信する受信手段と、複数のアクセスゲートウェイのうち、上記受信手段により受信された通話要求通知で指定される第2移動端末が接続される第2アクセスゲートウェイが、呼規制されているか否かを判定する判定手段と、ガイダンスメッセージ制御サーバにメッセージ指定情報及びグループ指定情報を含むメッセージ送信指示を送る指示手段と、上記判定手段により第2アクセスゲートウェイが呼規制されていると判定された場合に、第1アクセスゲートウェイに対して、上記メッセージ送信指示に含めたグループ指定情報と同じグループ指定情報を含む応答メッセージを送信する応答手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動網における呼規制する際のガイダンスメッセージ提供技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートやスポーツ等のイベント開催地では、複数の観客が携帯電話を用いて撮影画像を発信することが多いため、通信量の大きい呼が頻発する傾向にある。また、地震や火災等の災害発生地においても同様の傾向が見られる。このように狭い通信エリアで通信が集中した場合には、この通信エリアに位置する移動端末からの呼及び当該移動端末への呼が接続され難くなる可能性がある。原因の一つとして、各呼のために確保すべき通信リソースが不足することが挙げられる。
【0003】
このような場合に、通信事業者は、「只今大変込み合っております、しばらく経ってからお掛け直し下さい」といったガイダンスメッセージを発信元の移動端末に提供することで、呼を規制する。上記に関連して、以下の技術がある。
【特許文献1】特開2002−124949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の移動網では、規制対象の呼が増加すると、移動網のトラフィックが増加する共に、ガイダンスメッセージの送信制御を行う制御装置の処理負荷も増大する傾向にあった。通信の集中は、コンサートやスポーツイベントのように予め予想可能な場所及び時間で発生する場合のみでなく、災害時のように予想不可能な場所及び時間で生じる場合もある。このような状況により、移動網の設備設計は困難となっていた。例えば、このような状況を加味し、移動網に冗長な設備を配備すれば、移動網自体のコストが高くなってしまう。
【0005】
本開示の課題は、このような問題点に鑑み、規制対象呼が増えた場合であっても移動網の負荷を増大させない技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様では、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。すなわち、本開示の態様は、ガイダンスメッセージ制御サーバと、呼制御サーバと、無線基地局を介して移動端末に接続される複数のアクセスゲートウェイと、を備える移動網システムであり、上記ガイダンスメッセージ制御サーバ、呼制御サーバ、アクセスゲートウェイは、以下のような構成を有する。
【0007】
呼制御サーバは、複数のアクセスゲートウェイのうちの第1アクセスゲートウェイから、第1移動端末から第2移動端末への通話要求の通知を受信する受信手段と、複数のアクセスゲートウェイのうち、上記受信手段により受信された通話要求通知で指定される第2移動端末が接続される第2アクセスゲートウェイが、呼規制されているか否かを判定する判定手段と、ガイダンスメッセージ制御サーバにメッセージ指定情報及びグループ指定情報を含むメッセージ送信指示を送る指示手段と、上記判定手段により第2アクセスゲートウェイが呼規制されていると判定された場合に、第1アクセスゲートウェイに対して、上記メッセージ送信指示に含めたグループ指定情報と同じグループ指定情報を含む応答メッセージを送信する応答手段と、を含む。
【0008】
ガイダンスメッセージ制御サーバは、呼制御サーバからのメッセージ送信指示を受信す
る指示受信手段と、この指示受信手段により受信されたメッセージ送信指示に含まれるメッセージ指定情報に基づいて、このメッセージ指定情報により特定されるガイダンスメッセージデータを取得する取得手段と、上記指示受信手段により受信されたメッセージ送信指示に含まれるグループ指定情報により特定されるマルチキャストグループ宛てに、上記取得手段により取得されたガイダンスメッセージデータをマルチキャスト送信する送信手段と、を含む。
【0009】
第1アクセスゲートウェイは、上記第1移動端末から無線基地局を介して上記第2移動端末との間の呼の接続要求を受け、この呼接続要求に応じて上記通話要求通知を呼制御サーバへ送信する中継手段と、呼制御サーバから上記応答メッセージを受けた場合、この応答メッセージに含まれるグループ指定情報により特定されるマルチキャストグループへ参加するための処理を行う処理手段と、この処理手段によりマルチキャストグループ参加処理が実行されることにより受信される上記ガイダンスメッセージデータを、上記第1移動端末へ送信するガイダンス送信手段と、を含む。
【0010】
なお、本開示の別態様としては、以上の移動網システムに含まれる、ガイダンスメッセージ制御サーバ、呼制御サーバ及びアクセスゲートウェイの個々であってもよいし、以上の何れかの構成を実現するガイダンスメッセージ提供方法であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、規制対象呼が増えた場合であっても移動網の負荷を増大させない技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施形態としての移動網システムについて具体例を挙げ説明する。以下に挙げた各実施例はそれぞれ例示であり、本開示は以下の各実施例の構成に限定されない。
【0013】
[関連技術]
各実施例を説明する前に、まず、本実施形態に関連する技術について説明する。図1は、本実施形態の関連技術における移動網システムの概略システム構成を示す図である。関連技術における移動網システムは、MRF(Media Resource Control Function又はMultimedia Resource Function)サーバ2、CSCF(Call Signaling Control Function)サーバ3、AGW(Access GateWay)サーバ5、無線基地局装置(以降、単に基地局とも表記する)7等を有する。MRFサーバ2、CSCFサーバ3、AGW5はそれぞれIP(Internet Protocol)網1によって接続される。
【0014】
移動端末9は、基地局7を介してこの移動網システムにアクセスすることにより、種々の通信サービスの提供を受ける。なお、以下の説明では、種々の通信サービスのうちガイダンスメッセージ提供サービスにのみ言及する。ここで、ガイダンスメッセージ提供サービスとは、各種ガイダンスメッセージを発信者の移動端末9に提供するサービスを意味する。本実施形態では、このガイダンスメッセージ提供サービスのうち、呼が規制され通話サービスの提供を受けることができない場合に提供されるガイダンスメッセージを提供するサービスを例に挙げる。その他のガイダンスメッセージ提供サービスには、発信者により操作されたダイアル番号に応じた自動音声応答メッセージを提供するサービスが含まれる。
【0015】
以下、関連技術における移動網システムを構成する各ノードの役割についてそれぞれ簡単に説明する。
【0016】
MRFサーバ2は、CSCFサーバ3からの要求に応じて、各種ガイダンスメッセージ
を提供する。MRFサーバ2は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)を用いてCSCFサーバ3との間でデータのやりとりを行い、RTP(Real-time Transport Protocol)を用いてガイダンスメッセージを送信する。SIPは、テキストベースのプロトコルであり、通信先及び通信元のアドレス指定としてURI(Uniform Resource Identifier)を用いる。RTPは、UDP(User Datagram Protocol)上で使用されるプロトコルであり、リアルタイム性の求められるデータ伝送に主に利用される。また、ガイダンスメッセージとは、予め、MRFサーバ2に登録されているメッセージデータであり、例えば、「只今大変込み合っております、しばらく経ってからお掛け直し下さい」のようなメッセージである。
【0017】
CSCFサーバ3は、SIPサーバ機能を有し、移動端末9の呼制御を行う。更に、CSCFサーバ3は、各AGW5の負荷をそれぞれ管理し、負荷状況に応じて各AGW5に対する呼規制をそれぞれ行う。CSCFサーバ3は、通話要求の相手先の移動端末が接続されるAGW5を呼規制対象に決定している場合には、そのAGW5に接続される移動端末宛ての呼又はその移動端末から発せられた呼と所定のガイダンスメッセージとを呼接続するようにMRFサーバ2に指示する。CSCFサーバ3が有する呼制御機能は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されているIMS(IP Multimedia Subsystem)では、S−CSCF(Serving Call Session Control Function)、I−CSCF(Interrogating Call Session Control Function)、P−CSCF(Proxy Call Session Control Function)の3つの機能として定義されている。
【0018】
AGW5は、配下の基地局7を介して移動端末9との間のRAN(Radio Access Network)の終端機能を有する。AGW5と基地局7とはIPで接続されてもよいし、ATM(Asynchronous Transfer Mode)で接続されてもよい。このRANでは、例えば、IMT(International Mobile Telecommunication)−2000で規定されたCC(Call Control)プロトコルが実行される。
【0019】
更に、AGW5は、IP網1に接続され、IP網1で実行されるVoIP(Voice over
Internet Protocol)の終端機能を有する。AGW5は、配下の基地局7を介して上記CCプロトコルにより移動端末9からの発呼を受けた場合には、SIPによりCSCFサーバ3と所定の手続きを行う。所定の手続きとは、例えば、CSCFサーバ3への移動端末9の位置登録等である。AGW5は、移動端末9と他の移動端末との間でCSCFサーバ3の制御により呼が接続されると、移動端末9間の通話データに対してRANとVoIPとの間の中継処理を実行する。なお、本実施形態ではガイダンスメッセージの転送のみにフォーカスするため、AGW5の他の転送機能については詳細説明を省略する。
【0020】
基地局7は、移動端末9と無線接続し、無線通信により受信されたデータをRANによりAGW5に転送する。逆に、基地局7は、RANによりAGW5から受信されたデータを無線通信により移動端末9へ送る。なお、本実施形態は、AGW5と基地局7との間の通信及び基地局7と移動端末9との間の無線通信を限定するものではないため、ここでは説明を簡略化する。
【0021】
〔ガイダンスメッセージのユニキャスト接続〕
以下、関連技術におけるガイダンスメッセージのユニキャスト接続処理について図2を用いて説明する。図2は、関連技術におけるガイダンスメッセージのユニキャスト接続処理を示すシーケンスチャートである。
【0022】
移動端末9から発呼されると、移動端末9の位置に応じた基地局7(#2)を介してAGW5(#1)とその移動端末9との間でRRC(Radio Resource Control Protocol)、MM(Mobility Management Protocol)等の接続が確立される。このようにAGW5(
#1)と移動端末9との間の接続が確立されると、移動端末9は、SETUPメッセージ(CC-SETUP)を基地局7(#2)を介してAGW5(#1)へ送信する(S1)。CCプロトコルにおけるSETUPメッセージは、移動端末9が発呼したことを示す。なお、図2では、CCプロトコルにおけるメッセージにはCC−を付加して示している。AGW5(#1)は、このSETUPメッセージを受けると、SIPのINVITEメッセージをCSCFサーバ3に送る(S2)。INVITEメッセージは、呼セッションを開始するためのSIPメッセージである。
【0023】
図3は、INVITEメッセージのフォーマット例を示す図である。図3に示すように、SIPメッセージは、先頭行、ヘッダ部、ボディ部を含む。このリクエスト行には、リクエスト種類を示すINVITE、リクエストの宛先のURIであるsip:User2@recv.example.com、SIPバージョンを示すSIP/2.0等が設定される。URIに含まれるUser2には、例えば、上記SETUPメッセージに含まれる通話要求相手の電話番号が設定される。
【0024】
ヘッダ部には以下のようなデータが設定される。Viaフィールドに、SIPバージョン、プロトコル種別、中継するCSCFのURI(cscf.example.com)及び利用されるポート番号(5060)が設定される。Fromフィールドに、発呼者のURI(User1@send.example.com)及びタグ(98765)が設定される。発呼者のURIに含まれるUser1には、例えば、上記SETUPメッセージに含まれる発呼者の電話番号が設定される。Toフィールドには、通話要求相手のURIが設定される。Call−IDフィールドには、呼を識別するための識別情報(以降、コールIDとも表記する)が設定される。Contactフィールドにはボディ部に設定されるデータの送信元を示すURIが設定され、Contact−Typeフィールドにはボディ部の種類が設定され、Contact−Lengthフィールドにはボディ部のサイズが設定される。図3の例では、ボディ部の種類としてSDP(Session Description Protocol)が設定されている。
【0025】
ボディ部には、vフィールドにプロトコルバージョン、oフィールドにセッション識別情報、sフィールドにセッション名、cフィールドにコネクション情報、tフィールドにセッションの時刻情報、mフィールドにメディア情報、aフィールドに属性情報が設定される。ここでは、通話が要求されているので、mフィールドには、メディアタイプとしてaudioが設定され、そのメディアの送信先ポート番号として10000が設定され、プロトコルとしてRTP/AVP(audio/video profile)が設定されている。なお、上記説明により省略された内容については、IETF(Internet Engineering Task Force)において標準化されているRFC3261、RFC2327等に規定されている。
【0026】
CSCFサーバ3は、AGW5(#1)からINVITEメッセージを受けると(S2)、このINVITEメッセージから通話要求相手の情報を抽出する。通話要求相手の情報は、例えば、INVITEメッセージのリクエスト行から取得される。CSCFサーバ3は、この通話要求相手の情報(User2)からその通話要求相手の移動端末が接続するAGW5を探す。例えば、CSCFサーバ3は、その通話要求相手の移動端末が接続するAGW5がAGW5(#3)であると判断する。
【0027】
CSCFサーバ3は、このAGW5(#3)の負荷状態を確認する。ここでは、CSCFサーバ3は、AGW5(#3)の配下の基地局7に無線接続される移動端末9宛て及びその移動端末9からの通信が頻発しているため、このAGW5(#3)を呼規制対象に決定しているものとする。CSCFサーバ3は、AGW5(#3)が呼規制対象であると判断すると、その呼の接続先をガイダンスメッセージに決定し、そのガイダンスメッセージを特定するための識別情報(以降、LGN(Logical Guidance Number)と表記する)を取得する。ここでは、複数のガイダンスメッセージのうち呼規制のためのガイダンスメッセージを示すLGNが取得される。CSCFサーバ3は、INVITEメッセージに設定
される通話要求相手の情報としてそのLGNを新たに設定し、このINVITEメッセージをMRFサーバ2に送信する(S3)。
【0028】
図4は、ガイダンスメッセージのユニキャスト接続時におけるINVITEメッセージのフォーマット例を示す図である。CSCFサーバ3からMRFサーバ2へ送信されるINVITEメッセージでは、図4に示すように、図3における通話要求相手の情報(User2)がLGNに変換される。
【0029】
CSCFサーバ3は、このINVITEメッセージをMRFサーバ2に送信すると共に(S3)、TRYING(100)メッセージをAGW5(#1)へ返信する(S4)。TRYING(100)メッセージは、INVITEメッセージを受け取り、処理していることを送信元に知らせるためのレスポンスメッセージである。
【0030】
AGW5(#1)は、SIPによりTRYINGメッセージをCSCFサーバ3から受けると(S4)、移動端末9にCCプロトコルを用いてCALL−PROCEEDINGメッセージ(CC-CALL-PROC)を送信する(S5)。このCALLメッセージにより、移動端末9は、発呼先の呼び出しが始まり、処理中であることを認識する。
【0031】
MRFサーバ2は、CSCFサーバ3からINVITEメッセージを受けると(S3)、TRYING(100)メッセージをCSCFサーバ3へ返信し(S10)、そのINVITEメッセージから抽出されるLGNに対応するガイダンスメッセージを取得する。このガイダンスメッセージは、例えば、音声CODECによりデジタル化されて予めMRFサーバ2に格納されているデータである。MRFサーバ2は、このガイダンスメッセージデータを取得すると、OK(200)メッセージをCSCFサーバ3へ送る(S11)。このOKメッセージは、通常の呼では受信側の移動端末が通話を受け付けたことを知らせるために送信されるが、ガイダンスメッセージの場合には受信側が存在しないのでTRYINGメッセージの後に即座に送信される。CSCFサーバ3は、このOKメッセージを受けると(S11)、そのOKメッセージをAGW5(#1)へ転送する(S12)。
【0032】
AGW5(#1)は、OKメッセージをCSCFサーバ3から受けると(S12)、CCプロトコルによりCONNECTメッセージ(CC-CONNECT)を移動端末9へ送る(S15)。AGW5(#1)は、そのCONNECTメッセージの応答として、移動端末9からCONNECT−ACKメッセージ(CC-CONNECT ACKNOWLEDGE)を受ける(S16)。これにより、AGW5(#1)と移動端末9との間の無線アクセス接続が完了する。AGW5(#1)は、このCONNECT−ACKメッセージを受けると(S16)、SIPによりACKメッセージをCSCFサーバ3へ送る(S17)。CSCFサーバ3は、このACKメッセージをMRFサーバ2へ転送する(S18)。なお、上記CONNECTメッセージ(CC-CONECT)及びCONNECT−ACKメッセージ(CC-CONNECT ACKNOWLEDGE)の代わりに、PROGRESSメッセージ(CC-PROGRESS)及びPROGRESS−ACKメッセージ(CC-PROGRESS ACKNOWLEDGE)を利用するようにしてもよい。また、CONNECTメッセージを利用するかPROGRESSメッセージを利用するかは、その提供されるガイダンスメッセージの種類(有料/無料など)に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0033】
MRFサーバ2は、OKメッセージを送信した(S11)後、CSCFサーバ3からACKメッセージを受けると(S18)、その通話要求元(発呼者)の移動端末9が接続するAGW5(#1)に対し、RTPを用いてガイダンスメッセージを送信する(S19)。このとき、このガイダンスメッセージパケットの送信先IPアドレスには、AGW5(#1)のIPアドレス(ユニキャストアドレス)が設定される。AGW5(#1)は、このガイダンスメッセージを受けると、その発呼者の移動端末9に基地局7(#2)を介し
てそのガイダンスメッセージを送信する。これにより、移動端末9を利用する発呼者は、「只今大変込み合っております、しばらく経ってからお掛け直し下さい」といったガイダンスメッセージを聞くことになる。
【0034】
次に、ガイダンスメッセージを受信する移動端末9がこの呼を切断する場合の呼処理について説明する。
【0035】
移動端末9は、CCプロトコルによりDISCONNECTメッセージ(CC-DISCONNECT)をAGW5(#1)に送る(S20)。このDISCONNECTメッセージは、無線アクセス接続の解放を要求するメッセージである。AGW5(#1)は、このDISCONNECTメッセージを受けると、SIPによりBYEメッセージをCSCFサーバ3に送る(S21)。BYEメッセージは、通話の終了要求でありセッションを終了するために利用される。
【0036】
CSCFサーバ3は、AGW5(#1)からBYEメッセージを受けると、この解放対象となる呼の相手先情報及び発呼者情報を取得する。CSCFサーバ3は、例えば、BYEメッセージのリクエスト行に設定されている相手先のURIから相手先情報を取得し、ヘッダ部のFromフィールドから発呼者情報を取得する。ここでは、相手先情報としてUser2が取得され、発呼者情報としてUser1が取得される。CSCFサーバ3は、User1とUser2との呼にはガイダンスメッセージが提供されている状態であることを認識している。よって、CSCFサーバ3は、そのBYEメッセージに含まれる相手先情報をそのガイダンスメッセージを示すLGNに置換し、この置換されたBYEメッセージをMRFサーバ2へ送る(S22)。
【0037】
MRFサーバ2は、このBYEメッセージをCSCFサーバ3から受けると、そのBYEメッセージに含まれる発呼者情報で示される発呼者(User1)へのガイダンスメッセージ送信を停止し、OK(200)メッセージをCSCFサーバ3へ返信する(S25)。CSCFサーバ3は、このOKメッセージを受けると、そのメッセージをAGW5(#1)へ転送する(S26)。
【0038】
AGW5(#1)は、CSCFサーバ3からこのOKメッセージを受けると、CCプロトコルによりRELEASEメッセージ(CC-RELEASE)を移動端末9へ送る(S27)。移動端末9は、このRELEASEメッセージを受けると、その呼で利用されているリソースを解放し、RELEASE−COMPLETEメッセージ(CC-RELEASE-COMPLETE)をAGW5(#1)へ送る(S28)。以上の通信シーケンスにより、上述のように確立された移動端末9とガイダンスメッセージとの間の呼接続が解放される。
【0039】
このように、関連技術におけるガイダンスメッセージの呼処理では、発呼された呼毎に通信リソースがそれぞれ確保され、確保された各通信リソースを用いて移動端末へガイダンスメッセージがそれぞれ送信される。つまり、呼規制されているAGW5に接続される移動端末宛ての呼であっても、呼毎にガイダンスメッセージと呼との呼接続処理が実行される。よって、呼規制されているAGW5に接続される移動端末宛ての呼が増加すると、移動網のトラフィックが更に増加する共に、呼とガイダンスメッセージとの呼接続処理を行うAGW5、CSCFサーバ3及びMRFサーバ2の処理負荷も増大する。
【実施例1】
【0040】
以下、実施形態としての移動網システムの実施例1について説明する。実施例1では、上述の関連技術とは異なり、ガイダンスメッセージはMRFサーバ2からマルチキャスト送信される。以下、実施例1の移動網システムについて、上述の関連技術と異なる部分を中心に詳細に説明する。
【0041】
[システム構成]
図5は、実施例1における移動網システム(以降、単にシステムと表記する場合もある)の概略システム構成を示す。実施例1におけるシステムは、上述の関連技術における構成に加えて、更に、MR(Multicast Router)4を有する。実施例1におけるシステムでは、MRFサーバ2、CSCFサーバ3、MR4がそれぞれIP網1によって接続される。
【0042】
[装置構成]
MR4は、マルチキャスト通信に対応可能なルータである。MR4は、IPパケットに対する既知のルーティング機能と共に、マルチキャストアドレスの設定されたマルチキャストパケットのルーティング機能も有する。具体的には、MR4は、AGW5をIP網1に接続するためのルータとして機能すると共に、IP網1からマルチキャストパケットを受信した場合に、接続されるAGW5のうちそのパケットのマルチキャストグループに属するAGW5にそのパケットをマルチキャストする。MR4は、例えば、IGMP(Internet Group Management Protocol)を用いてAGW5から特定マルチキャストグループへの参加及び離脱申請を受け付け、その申請情報を管理する。図1では、MR4(#1)はAGW5(#1)と接続し、MR4(#2)はAGW5(#2)及びAGW5(#3)と接続する例が示されている。なお、IGMPにおけるマルチキャストグループへの参加及び離脱については、RFC1112、RFC2236、RFC3376等に規定されており、ここでは説明を省略する。更に、本実施形態は、このIGMPのバージョンを限定しない。
【0043】
図6は、実施例1におけるCSCFサーバの構成概念を示すブロック図である。実施例1のCSCFサーバ3は、制御部31、記憶部32、通信部33等を有する。制御部31、記憶部32及び通信部33は、例えばバス30によりそれぞれ接続されており、ソフトウェアの構成要素又はハードウェアの構成要素、若しくはこれらの組み合わせとしてそれぞれ実現される([その他]の項参照)。
【0044】
記憶部32には、AGW管理データベース(DB)38が格納される。AGW管理DB38は、AGW5毎に、アドレス情報、接続される移動端末9に関する情報、負荷情報等を格納する。接続される移動端末9に関する情報は、SIPのREGISTERメッセージ等により取得され、例えば電話番号が含まれる。AGW5の負荷情報は、SIPやSNMP(Simple Network Management Protocol)等の標準的なメッセージにより取得されてもよいし、独自の通信メッセージによりAGW5との間で通信することにより取得されるようにしてもよい。負荷情報としては、プロセッサの負荷情報等の他、例えば、確立されている呼接続の数が利用されてもよい。
【0045】
通信部33は、通信インタフェースボード(図示せず)を含み、SIP通信等を実行する。制御部31は、通信部33を介して送受信されるSIPメッセージに基づいて呼処理を行う呼制御部35と、AGW5の負荷を管理するAGW管理部36と、を有する。
【0046】
AGW管理部36は、AGW5の負荷情報を取得すると、この情報をAGW管理DB38に格納する。AGW管理部36は、AGW5が所定の負荷を超えたと判断した場合には呼を規制すると判定し、呼規制中か否かを示すデータをAGW管理DB38に設定する。なお、呼規制は、AGW5が自ら判断し、そのAGW5からの通知により認識されるようにしてもよい。一方で、AGW管理部36は、呼規制されているAGW5の負荷が所定の負荷より低くなったと判断すると、呼規制を解除することを決定する。この呼規制の解除についても、AGW5から通知されるようにしてもよい。
【0047】
呼制御部35は、複数のAGW5のうち呼規制を行うAGW5を決定すると、MRFサーバ2にガイダンスメッセージのマルチキャスト送信を開始させるために、INVITEメッセージをMRFサーバ2に送る。この呼規制対象のAGW5を検出する処理は、呼制御部35により所定の周期で実行されてもよいし、AGWの負荷情報を取得した時点で実行されてもよい。呼制御部35は、このINVITEメッセージに、ガイダンスメッセージを特定するためのLGN、ガイダンスメッセージを送信するためのマルチキャストアドレス及びポート番号を含める。なお、呼制御部35は、呼規制されているAGW5に接続される移動端末9からの呼接続要求に対して提供されるガイダンスメッセージと、呼規制されているAGW5に接続される移動端末9宛ての呼接続要求に対して提供されるガイダンスメッセージとが異なるメッセージとなるようにLGNを決定してもよい。
【0048】
図7は、実施例1におけるCSCFサーバ3からMRFサーバ2へ送られるINVITEメッセージのフォーマット例を示す図である。図7に示すように、実施例1では、INVITEメッセージのボディ部のコネクション情報(cフィールド)にマルチキャストアドレスが設定され、メディア情報にマルチキャスト送信用のポート番号が設定される。なお、LGNについては上記関連技術と同様である。
【0049】
呼制御部35は、AGW5からINVITEメッセージが受信された場合には、TRYING(100)メッセージを返信すると共に、通常時には、そのINVITEメッセージに含まれる通話要求相手の移動端末9と要求元の移動端末9とを呼接続するための処理を実行する。しかしながら、呼制御部35は、このINVITEメッセージの通話要求相手の移動端末が呼規制対象のAGW5に接続されていると判断すると、SIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)を送信する。
【0050】
図8は、SIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)の第1フォーマットタイプの例を示す図である。図9は、SIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)の第2フォーマットタイプの例を示す図である。呼制御部35は、上述のように、INVITEメッセージの通話要求相手の移動端末が呼規制対象のAGW5に接続されていると判断した場合には、図9に示す第2タイプのエラーメッセージを送信する。一方で、呼制御部35は、何らかの理由によりそのINVITEメッセージに応じてガイダンスメッセージと呼接続ができない場合には、図8に示す第1タイプのエラーメッセージを返信するようにしてもよい。この何らかの理由には、例えばMRFサーバ2が故障した場合等のように、ガイダンスメッセージをマルチキャスト送信できない場合が含まれる。
【0051】
図8及び9に示されるように、当該エラーメッセージには、そのレスポンス行に503 Service Unavailableを示すテキストデータが含まれる。また、ヘッダ部のCSeqフィールドには、INVITEメッセージに対するエラー応答であることを示すテキストデータが設定され、Reasonフィールドには、エラーの原因を示すテキストデータ(AGW is
busy)が設定される。ここで、第1タイプと第2タイプとは、ボディ部が存在するか否かで区別される。第1タイプのエラーメッセージでは、ヘッダ部のContent−Lengthフィールドに0が設定され、ボディ部が含まれない。一方、第2タイプのエラーメッセージでは、ヘッダ部のContent−Lengthフィールドに1以上の値が設定され、ボディ部が含まれる。第2タイプのエラーメッセージに含まれるボディ部には、マルチキャストアドレス及びポート番号が設定される。
【0052】
呼制御部35は、第2タイプのエラーメッセージを生成する際には、上記のようにMRFサーバ2へ送信されたINVITEメッセージに設定した情報と同じ、マルチキャストアドレス及びポート番号を当該エラーメッセージに含める。
【0053】
また、呼制御部35は、呼規制されるAGWが存在しなくなった場合には、ガイダンス
メッセージのマルチキャスト送信を停止させるために、SIPのBYEメッセージをMRFサーバ2へ送る。
【0054】
図10は、実施例1におけるMRFサーバの構成概念を示すブロック図である。実施例1のMRFサーバ2は、制御部21、記憶部22、通信部23等を有する。制御部21、記憶部22及び通信部23は、例えばバス20によりそれぞれ接続されており、ソフトウェアの構成要素又はハードウェアの構成要素、若しくはこれらの組み合わせとしてそれぞれ実現される([その他]の項参照)。
【0055】
記憶部22には、ガイダンスメッセージデータベース(DB)27が格納される。ガイダンスメッセージDB27は、ガイダンスメッセージ毎に、LGNと音声CODEC等によりデジタル化されたメッセージデータとを格納する。各ガイダンスメッセージはそれぞれ固定データであってもよいし、逐次変更されるデータであってもよい。例えば、ガイダンスメッセージ更新処理部(図示せず)が、呼規制対象のAGWの状況変化を受信することで、対象のガイダンスメッセージデータをその状況変化に応じて更新するようにしてもよい。例えば、「只今大変込み合っております、しばらく経ってからお掛け直し下さい」というガイダンスメッセージから、呼規制対象AGWの負荷が軽減されることにより、「状況は改善されつつありますが未だ込み合っております、もうしばらく経ってからお掛け直し下さい」というメッセージに更新されるようにしてもよい。
【0056】
通信部23は、通信インタフェースボード(図示せず)を含み、SIP通信及びRTP通信等を実行する。
【0057】
制御部21は、ガイダンスメッセージ制御部25を含む。ガイダンスメッセージ制御部25は、通信部23で受信されたCSCFサーバ3からのINVITEメッセージに基づいて、それに含まれるLGN、マルチキャストアドレス及びポート番号を取得する。例えば、図7の例によれば、LGNはリクエスト行から取得され、マルチキャストアドレスはボディ部のコネクション情報(cフィールド)から取得され、ポート番号はボディ部のメディア情報(mフィールド)から取得される。
【0058】
ガイダンスメッセージ制御部25は、取得されたLGNに該当するメッセージデータをガイダンスメッセージDB27から抽出し、抽出されたメッセージデータをRTPを用いてマルチキャスト送信する。このときRTPのパケットには、上記のように取得されたマルチキャストアドレス及びポート番号が設定される。このガイダンスメッセージのマルチキャスト送信は、例えば、所定の周期で実行される。
【0059】
一方で、ガイダンスメッセージ制御部25は、CSCFサーバ3からBYEメッセージが通信部23により受信されると、対象のガイダンスメッセージのマルチキャスト送信を停止する。
【0060】
図11は、実施例1におけるAGWの構成概念を示すブロック図である。実施例1のAGW5は、制御部51、記憶部52、VoIP通信部53、RAN通信部54等を有する。制御部51、記憶部52、VoIP通信部53、RAN通信部54は、例えばバス50によりそれぞれ接続されており、ソフトウェアの構成要素又はハードウェアの構成要素、若しくはこれらの組み合わせとしてそれぞれ実現される([その他]の項参照)。
【0061】
実施例1におけるAGW5は、MR4を介してIP網1に接続される。よって、VoIP通信部53は、MR4に接続される通信線を収容する通信インタフェースボード(図示せず)を含み、MR4を介してSIP、RTP等を用いたVoIP通信を実行する。更に、VoIP通信部53は、MR4との間でIGMPメッセージをやりとりする。RAN通
信部54は、配下の基地局7に接続される通信線を収容する通信インタフェースボード(図示せず)を含み、その基地局7を介して移動端末9との間でCCプロトコル等のようなRAN通信を実行する。
【0062】
制御部51は、VoIP終端処理部55、RAN終端処理部56を含む。
【0063】
VoIP終端処理部55は、VoIP通信部53により実行されるVoIP通信の終端処理を行う。この処理の一環として具体的に、VoIP終端処理部55は、INVITEメッセージの応答としてTRYING(100)メッセージを受信した後に、CSCFサーバ3からエラーメッセージ(503 Service Unavailable)が受信されると、このエラーメッセージが第1タイプか第2タイプかを判別する。この判別には、図9で示されるフォーマットにおけるヘッダ部のContent−Typeフィールド及びContent−Lengthフィールドが利用される。VoIP終端処理部55は、Content−Lengthフィールド値が1以上であり、Content−Typeフィールドにsdpが設定されている場合に、第2タイプのエラーメッセージであると判断する。
【0064】
VoIP終端処理部55は、受信されたエラーメッセージが第2タイプであると判断すると、このエラーメッセージのボディ部からマルチキャストアドレス及びポート番号を取得し、このマルチキャストアドレスへの参加申請をIGMPを用いてMR4へ送る。以降、VoIP通信部53ではMRFサーバ2からマルチキャスト送信されるガイダンスメッセージが受信されるようになる。VoIP終端処理部55は、このガイダンスメッセージデータを取得すると、RAN終端処理部56へ送る。一方で、VoIP終端処理部55は、ガイダンスメッセージと呼接続されていた移動端末9との間の無線アクセス接続が切断されたことをRAN終端処理部56から通知されると、上記マルチキャストアドレスへの離脱申請をIGMPを用いてMR4へ送る。
【0065】
なお、VoIP終端処理部55は、受信されたエラーメッセージが第1タイプであると判断した場合には、関連技術の項で示したようなガイダンスメッセージのユニキャスト接続手法を用いるようにしてもよい。
【0066】
RAN終端処理部56は、RAN通信部54により実行されるCCプロトコル等のRAN通信を終端する。この処理の一環として具体的には、RAN終端処理部56は、移動端末9からSETUPメッセージを受けると、このメッセージに含まれる通話要求相手情報(電話番号)、要求元情報(電話番号)、及び呼識別情報(Call-ID)などをVoIP終端処理部56へ送る。これにより、SIPのINVITEメッセージがVoIP終端処理部55によりCSCFサーバ3へ送信される。
【0067】
更に、RAN終端処理部56は、INVITEメッセージの応答としてTRYING(100)メッセージが受信されたことをVoIP終端処理部55から通知されると、CALL−PROCEEDINGメッセージを移動端末9に送信する。更に、RAN終端処理部56は、上記エラーメッセージ(503 Service Unavailable)が受信されたことをVoIP終端処理部55から通知されると、移動端末9へCONNECTメッセージ(CC-CONNECT)を移動端末9に送信する。RAN終端処理部56は、CONNECTメッセージの応答としてCONNECT−ACKメッセージを受信すると、VoIP終端処理部55に対しマルチキャストアドレスへの参加申請処理を行うように指示する。これにより、RAN終端処理部56は、所定のマルチキャストアドレスへの参加申請が行われることによりVoIP終端処理部55から送られるガイダンスメッセージをその移動端末9へ送信する。
【0068】
[動作例]
以下、実施例1における移動網システムの動作例を説明する。図12は、実施例1におけるガイダンスメッセージの接続及び切断処理を示すシーケンスチャートである。
【0069】
CSCFサーバ3は、所定の負荷を越えているAGW5を検出すると、そのAGW5を呼規制すると決定する。ここでは、AGW5#mが呼規制対象として決定されたものとする。呼規制対象のAGW5#mを決定すると、CSCFサーバ3は、対応するガイダンスメッセージを示すLGN、マルチキャストアドレス及びポート番号を決める。CSCFサーバ3は、これら情報を含めたINVITEメッセージを生成し(図7参照)、そのINVITEメッセージをMRFサーバ2へ送信する(S101)。
【0070】
MRFサーバ2は、このINVITEメッセージを受信すると、このメッセージからLGN、マルチキャストアドレス及びポート番号を抽出し、これら情報を保持する。MRFサーバ2は、OK(200)メッセージをCSCFサーバ3へ返信する(S102)。続いて、MRFサーバ2は、上記LGNに対応するガイダンスメッセージデータをガイダンスメッセージDB27から抽出する。MRFサーバ2は、上記マルチキャストアドレス及びポート番号を指定してこのガイダンスメッセージデータをマルチキャスト送信する(S103)。以降、所定の周期で、MRFサーバ2は、そのガイダンスメッセージをマルチキャスト送信する。MRFサーバ2は、そのメッセージが更新される度にマルチキャスト送信するようにしてもよい。但し、MRFサーバ2によりマルチキャスト送信されたガイダンスメッセージは、この時点では、いずれのAGW5も受信できない。
【0071】
このように、実施例1では、MRFサーバ2は、規制された呼毎にガイダンスメッセージ提供処理を実行するわけではないため、INVITEメッセージを受信しOKメッセージを返信した後に、ガイダンスメッセージデータを送信している。従って、実施例1によれば、上記関連技術では、その他にTRYING(100)メッセージ及びACKメッセージが送受されていたのに較べて、送受されるメッセージを削減することができる。なお、実施例1においても、上記関連技術と同様に、CSCFサーバ3とMRFサーバ2との間で、INVITEメッセージ、TRYINGメッセージ、OKメッセージ及びACKメッセージをやり取りした後に、ガイダンスメッセージデータを送信するようにしてもよい。
【0072】
また、以上の処理は、始めて呼規制されるAGWが発生した場合の処理であり、更に他のAGW5が呼規制対象に決定された場合には、上記(S101)及び(S102)の処理は実行されない。既に、AGW5#mの呼規制により、MRFサーバ2から所望のガイダンスメッセージがマルチキャスト送信されているからである(S103)。
【0073】
AGW5#mが呼規制されガイダンスメッセージがマルチキャスト送信されている状態で、呼規制されていないAGW5#nが、配下の基地局7を介して移動端末9(User1)からのCCプロトコルのSETUP(CC-SETUP)メッセージを受信する(S105)。このSETUPメッセージが、呼規制されているAGW5#mに接続される移動端末9宛て(User2宛て)の呼接続要求であったものと仮定する。このとき、AGW#nは、図2に示す関連技術と同様に、SIPのINVITEメッセージをCSCFサーバ3へ送る(S106)。
【0074】
CSCFサーバ3は、このINVITEメッセージを受信すると、このINVITEメッセージから通話要求相手の情報を抽出する。この通話要求相手の情報は、例えば、INVITEメッセージのリクエスト行から取得される。CSCFサーバ3は、正常にINVITEメッセージを受信した場合には、TRYING(100)メッセージをAGW5#nへ返信する(S107)。
【0075】
AGW5#nは、TRYING(100)メッセージをCSCFサーバ3から受信すると、配下の基地局を介して、移動端末9にCCプロトコルを用いてCALL−PROCEEDINGメッセージ(CC-CALL-PROC)を送信する(S108)。このCALL−PROCEEDINGメッセージにより、移動端末9は、発呼先の呼び出しが始まり、処理中であることを認識する。
【0076】
CSCFサーバ3は、TRYING(100)メッセージを返信すると共に(S107)、上記取得された通話要求相手の情報(User2)からその通話要求相手の移動端末が接続するAGW5を探す。ここでは、CSCFサーバ3は、その通話要求相手の移動端末が接続するAGW5がAGW5#mであると判断する。CSCFサーバ3は、このAGW5#mがAGW管理DB38を参照することにより呼規制中であると判断すると、その呼の接続先をガイダンスメッセージに決定する。CSCFサーバ3は、上記MRFサーバ2へ送られたINVITEメッセージ(S101)に含められたLGN、マルチキャストアドレス及びポート番号をSIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)に含め、このエラーメッセージをAGW5#nへ返信する(S109)。
【0077】
AGW5#nは、このエラーメッセージを受信すると、このエラーメッセージのタイプを判別する。AGW5#nは、このエラーメッセージが第2タイプであると判断すると、このエラーメッセージのボディ部からマルチキャストアドレス及びポート番号を抽出すると共に、CONNECTメッセージ(CC-CONNECT)を移動端末9へ送る(S110)。AGW5#nは、移動端末9からCONNECT−ACKメッセージ(CC-CONNECT ACKNOWLEDGE)を受信すると(S111)、上記抽出されたマルチキャストアドレスで特定されるマルチキャストグループへの参加申請を、IGMPを用いて、接続されるMR4に送る(S112)。この参加申請には、送信元ポート番号としてエラーメッセージから抽出されたポート番号が設定される。AGW5#nは、MR4からその参加申請に対しての参加承認を受信すると(S113)、そのマルチキャストアドレス及びポート番号で送信されるデータを受信するための準備を行う。
【0078】
なお、上記CONNECTメッセージ(CC-CONECT)及びCONNECT−ACKメッセージ(CC-CONNECT ACKNOWLEDGE)の代わりに、PROGRESSメッセージ(CC-PROGRESS)及びPROGRESS−ACKメッセージ(CC-PROGRESS ACKNOWLEDGE)を利用するようにしてもよい。また、CONNECTメッセージを利用するかPROGRESSメッセージを利用するかは、その提供されるガイダンスメッセージの種類(有料/無料など)に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0079】
MR4は、AGW5#nからIGMPにより参加申請を受けると、その申請に含まれるマルチキャストアドレス、ポート番号及び送信先のAGWのIPアドレスを保持する。以降、MR4は、その保持されるマルチキャストアドレス及びポート番号で受信されたマルチキャストパケットを送信先として登録されているAGW宛てに送信する。このとき、複数のAGWが登録されている場合には、各AGWにそのマルチキャストパケットがマルチキャスト送信される。ここでは、MRFサーバ2からマルチキャスト送信されたガイダンスメッセージデータがMR4で受信され、MR4からこのガイダンスメッセージデータがAGW5#nへ転送される(S114)。
【0080】
すなわち、AGW5#nは、MR4へ対象のマルチキャストグループへの参加申請を行うと、MRFサーバ2からマルチキャスト送信されるガイダンスメッセージを受信できるようになる。AGW5#nは、ガイダンスメッセージを受信すると、そのとき無線アクセス接続が確立されている各移動端末9へそのガイダンスメッセージを送信する。
【0081】
一方、ガイダンスメッセージを受信する移動端末9がこの呼を切断する場合は、IP網
1でSIPメッセージが送受されることなく、AGW5#nと移動端末9との間で図2に示すCCプロトコルシーケンスが実行される(DISCONNECTメッセージ(CC-DISCONNECT)(S115)、RELEASEメッセージ(CC-RELEASE)(S116)及びRELEASE−COMPLETEメッセージ(CC-RELEASE-COMPLETE)(S117))。
【0082】
AGW5#nは、ガイダンスメッセージが提供されていた移動端末9との無線アクセス接続が切断されると、そのガイダンスメッセージが送信されるマルチキャストグループからの離脱申請をIGMPを用いてMR4へ送る(S118)。AGW5#nは、MR4からその離脱申請に対しての離脱承認を受信する(S119)。
【0083】
MR4は、AGW5#nからIGMPにより離脱申請を受けると、その申請に含まれるマルチキャストアドレス、ポート番号に基づいて、送信元のAGWをそのマルチキャストグループから除外する。以降、MR4は、その保持されるマルチキャストアドレス及びポート番号でマルチキャストパケットを受信したとしても、AGW5#nには送信しない。この動作例では、マルチキャストグループからの離脱時に、AGW5#nとMR4との間で離脱申請及び離脱承認を送受しているが(S118及びS119)、他の手法によりMR4がAGW5#nの離脱状況を認識するようにしてもよい。本実施形態は、マルチキャストグループからのAGW5#nの離脱手法を限定しない。
【0084】
図13は、実施例1におけるガイダンスメッセージの停止処理を示すシーケンスチャートである。
【0085】
CSCFサーバ3は、呼規制対象のAGW5#mの負荷が低下したことを検知すると、このAGW5#mの規制を解除すると決定する(S121)。呼規制の解除は、収集されているAGW5の負荷情報から判断されてもよいし、AGW5からの通知により判断されてもよい。AGW5#mの呼規制の解除を決定すると、CSCFサーバ3は、呼規制されている他のAGW5の存在を確認する。
【0086】
CSCFサーバ3は、呼規制されている他のAGW5がないと判断すると(S122)、呼規制のためのガイダンスメッセージの送信を止めるために、SIPのBYEメッセージをMRFサーバ2へ送信する(S125)。このBYEメッセージには、そのガイダンスメッセージを特定するためのLGNが設定される。MRFサーバ2は、このBYEメッセージを受信すると、そのメッセージに含まれるLGNで特定されるガイダンスメッセージのマルチキャスト送信を停止する。
【0087】
〈実施例1の作用及び効果〉
上述のように、実施例1における移動網システムでは、CSCFサーバ3によりいずれか1つのAGW5が呼規制対象に決定されると、ガイダンスメッセージはMRFサーバ2からCSCFサーバ3により指定されたマルチキャストアドレスによりマルチキャスト送信される。一方、この呼規制されるAGW5に接続される移動端末9に対しての通話要求(INVITEメッセージ)が呼規制されていないAGW5を介してCSCFサーバ3へ送られた場合、上記ガイダンスメッセージのマルチキャスト送信に関するマルチキャストアドレス及びポート番号が設定されたエラーメッセージがその呼規制されていないAGW5へ送信される。これにより、その呼規制されていないAGW5は、そのエラーメッセージに含まれるマルチキャストアドレスへの参加登録をMR4へ依頼することにより、MRFサーバ2からマルチキャスト送信されるガイダンスメッセージを受信する。結果、その通話要求を送った移動端末9はそのガイダンスメッセージを聴くことができる。
【0088】
従って、実施例1によれば、MRFサーバ2からガイダンスメッセージがマルチキャスト送信されると、それ以降、呼規制されているAGW5に接続される移動端末宛ての呼処
理において、CSCFサーバ3とMRFサーバ2との間でSIPメッセージをやりとりしなくてもよくなる。よって、呼規制されているAGW5に接続される移動端末宛ての呼が増加した場合であっても、CSCFサーバ3及びMRFサーバ2の処理負荷及びIP網1に流れるトラフィックがその呼に応じて増加することを防ぐことができる。呼規制されているAGW5に接続される移動端末宛ての呼も規制対象呼であるため、実施例1によれば、規制対象呼の増加に伴う移動網の負荷の増大を防ぐことができる。
【0089】
更に、実施例1では、AGW5の制御部51が、RTPによりマルチキャスト送信されたガイダンスメッセージを受信すると、VoIP終端処理部55からRAN終端処理部56に順次そのガイダンスメッセージを転送し、そのとき無線アクセス接続されている各移動端末9へそれぞれそのガイダンスメッセージを送信した。つまり、移動端末9は、無線アクセス接続が確立されたタイミングで受信されているガイダンスメッセージの提供を受けるため、ガイダンスメッセージの途中から受信する場合もあった。従って、実施例1によれば、リアルタイムのメッセージが各移動端末9に提供されるため、逐次ガイダンスメッセージが変更されるような場合にも対応可能である。
【実施例2】
【0090】
上述の実施例1における移動網システムでは、呼規制対象のAGW5がCSCFサーバ3により検出された際に、指定のガイダンスメッセージをマルチキャスト送信するようにCSCFサーバ3からMRFサーバ2へ指示されていた。実施例2における移動網システムでは、呼規制対象のAGW5に接続される移動端末を通話要求先とするINVITEメッセージがCSCFサーバ3で受信された際に、指定のガイダンスメッセージをマルチキャスト送信するようにMRFサーバ2へ指示される。以下、実施例2の移動網システムについて、上述の実施例1と異なる部分を中心に詳細に説明する。
【0091】
[装置構成]
実施例2におけるCSCFサーバ3は、呼制御部35の処理内容が実施例1と異なる。実施例2における呼制御部35は、呼規制を行うAGW5を決定した時点では、MRFサーバ2にガイダンスメッセージのマルチキャスト送信を開始させるためのINVITEメッセージを送らない。
【0092】
呼制御部35は、AGW5からINVITEメッセージが受信された場合であって、このメッセージに含まれる通話相手先の移動端末9が接続されるAGW5が呼規制中であり、未だガイダンスメッセージのマルチキャスト送信が開始されていない場合に、ガイダンスメッセージのマルチキャスト送信を開始させるためのINVITEメッセージをMRFサーバ2へ送る。呼制御部35は、MRFサーバ2からINVITEメッセージの応答としてOK(200)メッセージを受信すると、実施例2と同様に、SIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)をAGW5へ返信する。呼制御部35は、ガイダンスメッセージの送信指示であるINVITEメッセージを送ると、そのINVITEメッセージに設定したLGNと共に、指示済みであることを保持する。なお、呼制御部35は、AGW5からINVITEメッセージが受信された場合であって、このメッセージに含まれる通話相手先の移動端末9が接続されるAGW5が呼規制中であったとしても、既にガイダンスメッセージのマルチキャスト送信が開始されている場合には、MRFサーバ2へINVITEメッセージを送ることなく、エラーメッセージをAGW5へ返信する。
【0093】
[動作例]
以下、実施例2における移動網システムの動作例を説明する。図14及び15は、実施例2におけるガイダンスメッセージの接続及び切断処理を示すシーケンスチャートである。
【0094】
CSCFサーバ3は、AGW#mを呼規制対象に決定している。この状態において、呼規制されていないAGW5#nが、配下の基地局7を介して移動端末9#1(User1)からのCCプロトコルのSETUP(CC-SETUP)メッセージを受信する(S201)。このSETUPメッセージが、呼規制されているAGW#mに接続される移動端末9宛て(User2宛て)の呼接続要求である。AGW#nは、実施例1と同様に、SIPのINVITEメッセージをCSCFサーバ3へ送る(S202)。
【0095】
CSCFサーバ3は、AGW5#nからINVITEメッセージを受けると、このINVITEメッセージから通話要求相手の情報を抽出する。この通話要求相手の情報は、例えば、INVITEメッセージのリクエスト行から取得される。CSCFサーバ3は、正常にINVITEメッセージを受信した場合には、TRYING(100)メッセージをAGW5#nへ返信する(S207)。
【0096】
AGW5#nは、TRYING(100)メッセージをCSCFサーバ3から受信すると、配下の基地局を介して、移動端末9#1にCCプロトコルを用いてCALL−PROCEEDINGメッセージ(CC-CALL-PROC)を送信する(S208)。このCALL−PROCEEDINGメッセージにより、移動端末9#1は、発呼先の呼び出しが始まり、処理中であることを認識する。
【0097】
CSCFサーバ3は、TRYING(100)メッセージを返信すると共に(S207)、上記取得された通話要求相手の情報(User2)からその通話要求相手の移動端末が接続するAGW5を探す。ここでは、CSCFサーバ3は、その通話要求相手の移動端末が接続するAGW5がAGW5#mであると判断する。
【0098】
CSCFサーバ3は、このAGW5#mが呼規制中か否かをAGW管理DB38を参照することにより確認する。CSCFサーバ3は、AGW5#mが呼規制対象であると判断すると、その呼の接続先をガイダンスメッセージに決定し、そのガイダンスメッセージを特定するためのLGNを取得する。CSCFサーバ3は、このLGNで特定されるガイダンスメッセージが既にマルチキャスト送信されているか否かを確認する。CSCFサーバ3は、未だそのガイダンスメッセージがマルチキャスト送信されていないと判断すると、そのLGNが通話要求相手の情報として設定されたINVITEメッセージを生成し、このINVITEメッセージをMRFサーバ2へ送信する(S203)。なお、このINVITEメッセージの内容については実施例1と同様である。
【0099】
MRFサーバ2は、このINVITEメッセージを受信すると、このメッセージからLGN、マルチキャストアドレス及びポート番号を抽出し、これら情報を保持する。MRFサーバ2は、OK(200)メッセージをCSCFサーバ3へ返信する(S204)。続いて、MRFサーバ2は、上記LGNに対応するガイダンスメッセージデータをガイダンスメッセージDB27から抽出する。MRFサーバ2は、上記マルチキャストアドレス及びポート番号を指定してこのガイダンスメッセージデータをマルチキャスト送信する(S205)。以降、所定の周期で、MRFサーバ2は、そのガイダンスメッセージをマルチキャスト送信する。MRFサーバ2は、そのメッセージが更新される度にマルチキャスト送信するようにしてもよい。但し、MRFサーバ2によりマルチキャスト送信されたガイダンスメッセージは、この時点では、いずれのAGW5も受信できない。
【0100】
CSCFサーバ3は、MRFサーバ2からOK(200)メッセージを受信すると、上記MRFサーバ2へ送られたINVITEメッセージ(S203)に含められたマルチキャストアドレス及びポート番号をSIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)に含め、このエラーメッセージをAGW5#nへ送信する(S209)。このエラーメッセージは、図9で示した第2タイプのフォーマットで生成される。
【0101】
AGW5#nは、このエラーメッセージを受信すると、このエラーメッセージのタイプを判別する。AGW5#nは、このエラーメッセージが第2タイプであると判断すると、このエラーメッセージからマルチキャストアドレス及びポート番号を抽出すると共に、配下の基地局を介してCONNECTメッセージ(CC-CONNECT)を移動端末9#1へ送る(S210)。AGW5#nは、移動端末9#1からのCONNECT−ACKメッセージを配下の基地局を介して受信すると(S211)、上記抽出されたマルチキャストアドレスで特定されるマルチキャストグループへの参加申請を、IGMPを用いて、接続されるMR4に送る(S212)。この参加申請には、送信元ポート番号としてエラーメッセージから抽出されたポート番号が設定される。AGW5#nは、MR4からその参加申請に対しての参加承認を受信すると(S213)、そのマルチキャストアドレス及びポート番号で送信されるデータを受信するための準備を行う。実施例2においても、実施例1と同様に、上記CONNECTメッセージ(CC-CONECT)及びCONNECT−ACKメッセージ(CC-CONNECT ACKNOWLEDGE)の代わりに、PROGRESSメッセージ(CC-PROGRESS)及びPROGRESS−ACKメッセージ(CC-PROGRESS ACKNOWLEDGE)を利用するようにしてもよい。
【0102】
MR4は、AGW5#nからIGMPにより参加申請を受けると、その申請に含まれるマルチキャストアドレス、ポート番号及び送信先のAGWのIPアドレスを保持する。以降、MR4は、その保持されるマルチキャストアドレス及びポート番号で受信されたマルチキャストパケットを送信先として登録されているAGW宛てに送信する。このとき、複数のAGWが登録されている場合には、各AGWにそのマルチキャストパケットがマルチキャスト送信される。ここでは、MRFサーバ2からマルチキャスト送信されたガイダンスメッセージデータがMR4で受信され、MR4からこのガイダンスメッセージデータがAGW5#nへ転送される(S214)。
【0103】
すなわち、AGW5#nは、MR4へ対象のマルチキャストグループへの参加申請を行うと、MRFサーバ2からマルチキャスト送信されるガイダンスメッセージを受信できるようになる。AGW5#nは、ガイダンスメッセージを受信すると、そのとき無線アクセス接続が確立されている移動端末9#1へそのガイダンスメッセージを送信する。
【0104】
一方、ガイダンスメッセージを受信する移動端末9#1がこの呼を切断する場合は、IP網1でSIPメッセージが送受されることなく、AGW5#nと移動端末9との間で図2に示すCCプロトコルシーケンスが実行される(DISCONNECTメッセージ(CC-DISCONNECT)(S215)、RELEASEメッセージ(CC-RELEASE)(S216)及びRELEASE−COMPLETEメッセージ(CC-RELEASE-COMPLETE)(S217))。
【0105】
AGW5#nは、ガイダンスメッセージが提供されていた移動端末9#1との無線アクセス接続が切断されると、そのガイダンスメッセージが送信されるマルチキャストグループからの離脱申請をIGMPを用いてMR4へ送る(S218)。AGW5#nは、MR4からその離脱申請に対しての離脱承認を受信する(S219)。
【0106】
MR4は、AGW5#nからIGMPにより離脱申請を受けると、その申請に含まれるマルチキャストアドレス、ポート番号に基づいて、送信元のAGWをそのマルチキャストグループから除外する。以降、MR4は、その保持されるマルチキャストアドレス及びポート番号でマルチキャストパケットを受信したとしても、AGW5#nには送信しない。この場合でも、AGW5#nとMR4との間におけるマルチキャストグループからの離脱手法は限定されない。
【0107】
以上の処理は、呼規制されるAGW5#mに接続される移動端末9を通話要求相手とした呼接続要求に対して提供されるガイダンスメッセージが未だマルチキャスト送信されていない場合の処理を示した。以下、図15を参照して、既に当該ガイダンスメッセージがマルチキャスト送信されている場合の処理について説明する。
【0108】
上述のような処理により、既に呼規制するためのガイダンスメッセージがMRFサーバ2からマルチキャスト送信されている(S205、S214)。この状態において、呼規制されていないAGW5#nが、配下の基地局7を介して移動端末9#2からのCCプロトコルのSETUP(CC-SETUP)メッセージを受信する(S221)。このSETUPメッセージが、呼規制されているAGW#mに接続される移動端末9宛ての呼接続要求である。AGW#nは、実施例1と同様に、SIPのINVITEメッセージをCSCFサーバ3へ送る(S222)。
【0109】
CSCFサーバ3は、AGW5#nからINVITEメッセージを受けると、このINVITEメッセージから通話要求相手の情報を抽出する。CSCFサーバ3は、この通話要求相手の情報からその通話要求相手の移動端末が接続するAGW5を探す。ここでは、CSCFサーバ3は、その通話要求相手の移動端末が接続するAGW5がAGW5#mであると判断する。
【0110】
CSCFサーバ3は、このAGW5#mが呼規制中か否かをAGW管理DB38を参照することにより確認する。CSCFサーバ3は、AGW5#mが呼規制対象であると判断すると、その呼の接続先をガイダンスメッセージに決定し、そのガイダンスメッセージを特定するためのLGNを取得する。CSCFサーバ3は、このLGNで特定されるガイダンスメッセージが既にマルチキャスト送信されているか否かを確認する。ここでは、CSCFサーバ3は、そのガイダンスメッセージが既にマルチキャスト送信されていると判断する。
【0111】
CSCFサーバ3は、当該ガイダンスメッセージが既にマルチキャスト送信されていると判断すると、そのガイダンスメッセージについて保持されているマルチキャストアドレス及びポート番号をSIPのエラーメッセージ(503 Service Unavailable)に含め、このエラーメッセージを、TRYING(100)メッセージを返信した後で(S223)、AGW5#nへ返信する(S225)。このエラーメッセージは、第2タイプのフォーマットで生成される。
【0112】
AGW5#nは、このエラーメッセージを受信すると、実施例1と同様に、このエラーメッセージのタイプを判別する。AGW5#nは、このエラーメッセージが第2タイプであると判断すると、このエラーメッセージからマルチキャストアドレス及びポート番号を抽出すると共に、CONNECTメッセージ(CC-CONNECT)を移動端末9#2へ送る(S226)。AGW5#nは、CONNECT−ACKメッセージを配下の基地局を介して移動端末9#2から受信すると(S227)、上記抽出されたマルチキャストアドレスで特定されるマルチキャストグループへの参加申請を、IGMPを用いて、接続されるMR4に送る(S228)。この参加申請には、送信元ポート番号としてエラーメッセージから抽出されたポート番号が設定される。AGW5#nは、MR4からその参加申請に対しての参加承認を受信すると(S229)、以降、MR4からこのガイダンスメッセージデータがAGW5#nへ転送される(S230)。
【0113】
AGW5#nは、そのガイダンスメッセージを受信すると、そのとき無線アクセス接続が確立されている移動端末9#2へそのガイダンスメッセージを送信する。
【0114】
なお、ガイダンスメッセージを受信する移動端末9#2がこの呼を切断する場合の処理
については、上述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0115】
〈実施例2の作用及び効果〉
上述のように、実施例2における移動網システムでは、CSCFサーバ3において、INVITEメッセージがAGW5から受信されると、このINVITEメッセージに含まれる通話要求相手情報に基づいてその通話要求相手の移動端末が接続されるAGW5が呼規制中か否かが判定される。そのAGW5が呼規制中である場合には更に所定のガイダンスメッセージが既にマルチキャスト送信されているか否かが判定される。結果として、未だそのガイダンスメッセージがマルチキャスト送信されていないと判断された場合に、指定のガイダンスメッセージのマルチキャスト送信指示であるINVITEメッセージがCSCFサーバ3からMRFサーバ2へ送信される。
【0116】
以降、実施例1と同様に、CSCFサーバ3からSIPのエラーメッセージがAGW5に送られ、AGW5がそのエラーメッセージに含まれるマルチキャストアドレスへの参加登録をMR4へ行うことによりAGW5で当該ガイダンスメッセージが受信されるようになる。
【0117】
従って、実施例2によれば、呼規制されているAGW5に接続される移動端末9宛てに呼接続要求が発生して始めて、MRFサーバ2からガイダンスメッセージのマルチキャスト送信が開始されるため、実施例1と同様の効果を得ると共に、更に、無駄な通信リソースの消費を防ぐことができる。
【0118】
[その他]
〈ハードウェアの構成要素(Component)及びソフトウェアの構成要素(Component)について〉
ハードウェアの構成要素とは、ハードウェア回路であり、例えば、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ゲートアレイ、論理ゲートの組み合わせ、信号処理回路、アナログ回路等がある。
【0119】
ソフトウェアの構成要素とは、ソフトウェアとして上記処理を実現する部品(断片)であり、そのソフトウェアを実現する言語、開発環境等を限定する概念ではない。ソフトウェアの構成要素としては、例えば、タスク、プロセス、スレッド、ドライバ、ファームウェア、データベース、テーブル、関数、プロシジャ、サブルーチン、プログラムコードの所定の部分、データ構造、配列、変数、パラメータ等がある。これらソフトウェアの構成要素は、1又は複数のメモリ(1または複数のプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等)上で実現される。
【0120】
なお、上述の各実施形態は、上記各処理部の実現手法を限定するものではない。上記各処理部は、上記ハードウェアの構成要素又はソフトウェアの構成要素若しくはこれらの組み合わせとして、本技術分野の通常の技術者において実現可能な手法により構成されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本実施形態の関連技術における移動網システムの概略システム構成を示す図。
【図2】関連技術におけるガイダンスメッセージのユニキャスト接続処理を示すシーケンスチャート。
【図3】INVITEメッセージのフォーマット例を示す図。
【図4】ガイダンスメッセージのユニキャスト接続時におけるINVITEメッセージのフォーマット例を示す図。
【図5】実施例1における移動網システムの概略システム構成を示す図。
【図6】実施例1におけるCSCFサーバの構成概念を示すブロック図。
【図7】実施例1におけるCSCFサーバからMRFサーバへ送られるINVITEメッセージのフォーマット例を示す図。
【図8】実施例1における第1タイプのエラーメッセージのフォーマット例を示す図。
【図9】実施例1における第2タイプのエラーメッセージのフォーマット例を示す図。
【図10】実施例1におけるMRFサーバの構成概念を示すブロック図。
【図11】実施例1におけるAGWの構成概念を示すブロック図。
【図12】実施例1におけるガイダンスメッセージの接続及び切断処理を示すシーケンスチャート。
【図13】実施例1におけるガイダンスメッセージの停止処理を示すシーケンスチャート。
【図14】実施例2におけるガイダンスメッセージの接続及び切断処理を示すシーケンスチャート。
【図15】実施例2におけるガイダンスメッセージの接続及び切断処理を示すシーケンスチャート。
【符号の説明】
【0122】
1 IP網
2 MRF(Media Resource Control Function又はMultimedia Resource Function)サーバ
3 CSCF(Call Signaling Control Function)サーバ
5 AGW(Access GateWay)サーバ
7 無線基地局装置(基地局)
9 移動端末
21、31、51 制御部
22、32、52 記憶部
23、33 通信部
25 ガイダンスメッセージ制御部
27 ガイダンスメッセージデータベース(DB)
35 呼制御部
36 AGW管理部
38 AGW管理データベース(DB)
53 VoIP通信部
54 RAN通信部
55 VoIP終端処理部
56 RAN終端処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイダンスメッセージ制御サーバと、呼制御サーバと、無線基地局を介して移動端末に接続される複数のアクセスゲートウェイと、を備える移動網システムにおいて、
前記呼制御サーバは、
前記複数のアクセスゲートウェイのうちの第1アクセスゲートウェイから、第1移動端末から第2移動端末への通話要求の通知を受信する受信手段と、
前記複数のアクセスゲートウェイのうち、前記受信手段により受信された通話要求通知で指定される第2移動端末が接続される第2アクセスゲートウェイが、呼規制されているか否かを判定する判定手段と、
前記ガイダンスメッセージ制御サーバにメッセージ指定情報及びグループ指定情報を含むメッセージ送信指示を送る指示手段と、
前記判定手段により前記第2アクセスゲートウェイが呼規制されていると判定された場合に、前記第1アクセスゲートウェイに対して、前記メッセージ送信指示に含めたグループ指定情報と同じグループ指定情報を含む応答メッセージを送信する応答手段と、
を含み、
前記ガイダンスメッセージ制御サーバは、
前記呼制御サーバからのメッセージ送信指示を受信する指示受信手段と、
前記指示受信手段により受信されたメッセージ送信指示に含まれるメッセージ指定情報に基づいて、このメッセージ指定情報により特定されるガイダンスメッセージデータを取得する取得手段と、
前記指示受信手段により受信されたメッセージ送信指示に含まれるグループ指定情報により特定されるマルチキャストグループ宛てに、前記取得手段により取得されたガイダンスメッセージデータをマルチキャスト送信する送信手段と、
を含み、
前記第1アクセスゲートウェイは、
前記第1移動端末から前記無線基地局を介して前記第2移動端末との間の呼の接続要求を受け、この呼接続要求に応じて前記通話要求通知を前記呼制御サーバへ送信する中継手段と、
前記呼制御サーバから前記応答メッセージを受けた場合、この応答メッセージに含まれるグループ指定情報により特定されるマルチキャストグループへ参加するための処理を行う処理手段と、
前記処理手段によりマルチキャストグループ参加処理が実行されることにより受信される前記ガイダンスメッセージデータを、前記第1移動端末へ送信するガイダンス送信手段と、
を含む、
ことを特徴とする移動網システム。
【請求項2】
前記応答手段は、
前記指示手段により前記メッセージ送信指示が既に送られているか否かを確認する確認手段を含み、
前記判定手段により前記第2アクセスゲートウェイが呼規制されていると判定された場合であって、前記確認手段により前記メッセージ送信指示が未送信であることが確認された場合には、前記指示手段に前記メッセージ送信指示を送信させた後に、前記応答メッセージを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動網システム。
【請求項3】
前記中継手段は、前記第1移動端末から前記無線基地局を介して前記第2移動端末との間の呼の切断要求を受けた場合には、前記第1移動端末と前記第1アクセスゲートウェイとの間の接続を切断し、
前記処理手段は、前記中継手段により前記接続が切断された場合に、参加処理済みのマルチキャストグループから離脱するための処理を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動網システム。
【請求項4】
前記指示手段は、前記第2アクセスゲートウェイの呼規制が解除され、前記複数のアクセスゲートウェイのいずれも呼規制対象から外されたと判断すると、前記ガイダンスメッセージ制御サーバにメッセージ停止指示を送る、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の移動網システム。
【請求項5】
ガイダンスメッセージ制御サーバと、呼制御サーバと、無線基地局を介して移動端末に接続される複数のアクセスゲートウェイと、を備える移動網システムで実行されるガイダンスメッセージ提供方法において、
前記呼制御サーバが、
前記複数のアクセスゲートウェイのうちの第1アクセスゲートウェイから、第1移動端末から第2移動端末への通話要求の通知を受信し、
前記複数のアクセスゲートウェイのうち、前記受信された通話要求通知で指定される第2移動端末が接続される第2アクセスゲートウェイが、呼規制されているか否かを判定し、
前記ガイダンスメッセージ制御サーバにメッセージ指定情報及びグループ指定情報を含むメッセージ送信指示を送り、
前記第2アクセスゲートウェイが呼規制されていると判定された場合に、前記第1アクセスゲートウェイに対して、前記メッセージ送信指示に含めたグループ指定情報と同じグループ指定情報を含む応答メッセージを送信し、
前記ガイダンスメッセージ制御サーバが、
前記呼制御サーバからのメッセージ送信指示を受信し、
前記受信されたメッセージ送信指示に含まれるメッセージ指定情報に基づいて、このメッセージ指定情報により特定されるガイダンスメッセージデータを取得し、
前記受信されたメッセージ送信指示に含まれるグループ指定情報により特定されるマルチキャストグループ宛てに、前記取得されたガイダンスメッセージデータをマルチキャスト送信し、
前記第1アクセスゲートウェイが、
前記第1移動端末から前記無線基地局を介して前記第2移動端末との間の呼の接続要求を受け、この呼接続要求に応じて前記通話要求通知を前記呼制御サーバへ送信し、
前記呼制御サーバから前記応答メッセージを受けた場合、この応答メッセージに含まれるグループ指定情報により特定されるマルチキャストグループへ参加するための処理を行い、
前記マルチキャストグループ参加処理が実行されることにより受信される前記ガイダンスメッセージデータを、前記第1移動端末へ送信する、
ことを特徴とするガイダンスメッセージ提供方法。
【請求項6】
前記呼制御サーバが、更に、
前記メッセージ送信指示が既に送られているか否かを確認し、
前記第2アクセスゲートウェイが呼規制されていると判定された場合であって、前記メッセージ送信指示が未送信であることが確認された場合には、前記メッセージ送信指示を送信した後に、前記応答メッセージを送信する、
ことを特徴とする請求項5に記載のガイダンスメッセージ提供方法。
【請求項7】
前記第1アクセスゲートウェイが、更に、
前記第1移動端末から前記無線基地局を介して前記第2移動端末との間の呼の切断要求を受けた場合には、前記第1移動端末と前記第1アクセスゲートウェイとの間の接続を切
断し、
前記中継手段により前記接続が切断された場合に、参加処理済みのマルチキャストグループから離脱するための処理を行う、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のガイダンスメッセージ提供方法。
【請求項8】
前記呼制御サーバが、更に、
前記第2アクセスゲートウェイの呼規制が解除され、前記複数のアクセスゲートウェイのいずれも呼規制対象から外されたと判断すると、前記ガイダンスメッセージ制御サーバにメッセージ停止指示を送る、
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のガイダンスメッセージ提供方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−147537(P2010−147537A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319453(P2008−319453)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】