説明

移動通信装置

【課題】装置が移動通信網のサービス圏外にある際の測位に備え、適切に測位補助情報を受信する。
【解決手段】測位補助情報更新制御機能は、測位補助情報が記憶された後、移動通信装置の位置が変化した可能性が高いと判断される場合、測位補助情報サーバ装置から測位補助情報を受信して更新記憶する動作を開始し(ステップS101)、受信された場合(ステップS103の「受信された」)、受信された測位補助情報を測位補助情報記憶部に更新記憶させる(ステップS104)。ここで、移動通信装置の位置が変化した可能性が高いと判断される場合とは、移動通信装置の電源が投入された場合、移動通信装置が移動通信網のサービス圏外からサービス圏内に移動したと判断された場合等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信装置に係り、特に、測位用衛星から送信された電波を受信して短時間で測位する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
測位用衛星から送信された電波を受信して測位するシステム、例えば、GPSシステムによって測位する移動通信装置が知られている。ここで、測位とは、装置の位置、即ち、緯度及び経度を得ることである。衛星から送信された電波のみから測位すると、長時間を要する。そこで、衛星の軌道等の補助情報を測位支援サーバから受信して参照することによって、短時間で測位することが知られている。
【0003】
また、この装置は、気象状況等に依存する補正情報をそのサーバから受信することによって、より正確な測位が可能となる。以後、補助情報及び/又は補正情報を測位補助情報と称する。なお、測位補助情報は、そのサーバから受信すると限るものではなく、他の移動通信装置からブルートゥース(登録商標、Bluetooth)回線を介して受信しても良い(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−504526号公報(第9、11頁、図1、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、移動通信装置が移動通信網のサービス圏外にあって、測位支援サーバから測位補助情報の受信ができない際の測位に備え、サービス圏内にある場合、如何に測位補助情報を受信し、記憶することが適切であるかが明らかでない問題点があった。
【0006】
測位支援サーバから頻繁に受信して記憶すれば有用であるものの、消費電力削減の観点から、また、移動通信網の通信料金の発生を抑制する観点から、頻繁な受信は適切ではない。また、他の移動通信装置からの受信には、自装置のみならず、他の移動通信装置でも電力を消費する。この消費電力削減の観点から、また、それらの装置の使用者の煩わしい操作削減の観点から、ブルートゥース(R)回線を介した受信は適切ではない。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、装置が移動通信網のサービス圏外にある際の測位に備え、適切に測位補助情報を受信する移動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の移動通信装置は、記憶手段と、移動通信網を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる測位補助情報受信手段と、前記記憶手段に記憶された測位補助情報を参照して測位する測位手段とを有し、前記測位補助情報受信手段は、移動通信装置の位置が変化したと判断された場合、前記移動通信網を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置が移動通信網のサービス圏外にある際の測位に備え、適切に測位補助情報を受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信装置を含む測位システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る測位補助情報サーバ装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係る測位補助情報更新制御機能の測位補助情報サーバ装置から測位補助情報を受信して更新記憶する動作のフローチャート。
【図5】本発明の実施形態に係る測位補助情報更新制御機能の第2の移動通信装置から測位補助情報を受信して更新記憶する動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る移動通信装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る移動通信装置を含む測位システムの構成を示すブロック図である。この測位システムは、移動通信装置MSと、広域通信網WNを介して移動通信装置MSと接続される測位補助情報サーバ装置SVと、近距離通信回線LLを介して移動通信装置MSと接続される第2の移動通信装置MS−2とからなる。なお、測位補助情報サーバ装置SVと、第2の移動通信装置MS−2との少なくともいずれか一方がこの測位システムに必須であり、他方の存在は任意である。
【0013】
広域通信網WNは、例えば、インターネットであり、その伝送媒体の一部として移動通信網を含む。近距離通信回線LLは、赤外線による近距離無線通信、フェリカ(登録商標、FeliCa)と互換性を持つISO/IEC JTC 1(International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission Joint Technical Committee 1)によって規格化された近距離無線通信(Near Field Communication)方式(以後、NFC方式と称する。)による通信、又は、直結されたケーブルを介した通信、のいずれかによる回線である。なお、移動通信装置MSと、第2の移動通信装置MS−2とは、同じ構成で同じ動作をする装置であり、以後、第2の移動通信装置MS−2の構成及び動作の説明を省略する。
【0014】
図2は、移動通信装置MSの構成を示すブロック図である。移動通信装置MSは、装置全体の制御を行う制御部11と、移動通信網通信部12と、移動通信網の基地局(図示せず)との間で電波の送受信を行うアンテナ12aと、移動通信網送受信部13と、通話部14と、受話に用いられるスピーカ14aと、送話に用いられるマイクロフォン14bと、表示部15と、入力部16と、測位部21と、測位用衛星から送信された電波を受信するアンテナ21aと、測位補助情報記憶部22と、赤外線通信部31と、赤外線を発光する発光部31aと、赤外線を受光する受光部31bと、NFC方式通信部32と、NFC方式の電波の送受信を行うアンテナ32aと、コネクタ33とからなる。
【0015】
測位補助情報記憶部22には、測位補助情報が記憶される。また、プログラムを実行することで実現される本発明に関する機能として、制御部11には、国内国外モード設定機能11−1と、測位補助情報更新制御機能11−2とが含まれる。
【0016】
なお、発光部31aから発光された赤外線は、第2の移動通信装置MS−2によって受光され、受光部31bによって受光される赤外線は、第2の移動通信装置MS−2から発光された赤外線であるように、移動通信装置MSの使用者、及び/又は、第2の移動通信装置MS−2の使用者によってこれらの装置が保持され、又は、置かれる。
【0017】
また、アンテナ32aによって送受される電波は、第2の移動通信装置MS−2によって送受されるように、移動通信装置MSの使用者、及び/又は、第2の移動通信装置MS−2の使用者によってこれらの装置が保持され、又は、置かれる。更に、コネクタ33には、移動通信装置MSの使用者、及び/又は、第2の移動通信装置MS−2の使用者によって第2の移動通信装置MS−2のコネクタと接続するケーブルが接続される。
【0018】
このように、赤外線通信部31による通信、NFC方式通信部32による通信、及び、コネクタ33を介した通信を行うためには、通信する2つの装置の間の距離は短く、かつ、装置の使用者の操作が不可欠であるため、装置の使用者の通信を行わせる意思がないにも拘らず通信が行われることはない。
【0019】
図3は、測位補助情報サーバ装置SVの構成を示すブロック図である。測位補助情報サーバ装置SVは、装置全体の制御を行う制御部41と、広域通信網WNのハブ(図示せず)とケーブルを介して接続される広域通信網通信部42と、広域通信網送受信部43と、測位部51と、測位用衛星から送信された電波を受信するアンテナ51aと、測位補助情報管理部52と、測位補助情報記憶部53とからなる。測位補助情報記憶部53には、測位補助情報が記憶される。
【0020】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る測位システムの各部の動作を、図1〜図3を参照して説明する。
【0021】
先ず、移動通信装置MSの各部の動作を、図1及び図2を参照して説明する。移動通信網通信部12は、基地局から送信され、アンテナ12aが受信した高周波信号を移動通信網送受信部13へ出力し、また、移動通信網送受信部13から出力される高周波信号を、アンテナ12aを介して基地局に送信する。
【0022】
移動通信網送受信部13は、移動通信網通信部12からの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、国内国外モード設定機能11−1の設定に従ったチャネルの信号の中のディジタル音声信号を通話部14へ、制御信号を制御部11へ送る。また、移動通信網通信部12からの高周波信号の品質に基づいて、移動通信装置MSが移動通信網のサービス圏内にあるか圏外にあるかを判断して、制御部11に通知する。
【0023】
移動通信網送受信部13は、更には、通話部14から出力されるディジタル音声信号、及び制御部11から出力される制御信号を、国内国外モード設定機能11−1の設定に従ったチャネルの信号として変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを移動通信網通信部12に送る。
【0024】
通話部14は、移動通信網送受信部13から出力されるディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bから出力されるアナログ音声信号を増幅し、それをディジタル音声信号に変換して移動通信網送受信部13に送信する。
【0025】
表示部15は、使用者に操作を促す表示や、使用者が操作した内容の表示や、装置の動作状態の表示等に用いられる有機ELディスプレー、又は、バックライト付きのLCDであり、制御部11に制御されることで、文字、数字、更に、アイコンを含む画像データを表示し、表示されるデータは、入力部16からの入力操作や着信信号に応答して制御部11からの指示を受けることで切換わる。
【0026】
入力部16は、複数のキースイッチからなり、通信相手の電話番号等を指定し、また、トグル式の入力方式によってひらがな文字、アルファベット文字及び記号文字を入力するための数字キーと、移動通信装置MSの電源投入及び切断等の動作指示の入力に用いられる複数の機能キーとを含む。そして、入力部16のキーが押下されると、そのキーの識別子を制御部11に通知する。
【0027】
測位部21は、先ず、測位補助情報更新制御機能11−2に測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報の更新を要求する。なお、更新が成功したか否かに拘らず、測位部21は、次に、測位を行う。即ち、測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報を参照して、測位用衛星から電波が送信された時刻と、その電波がアンテナ21aによって受信された時刻との差から、衛星と移動通信装置MSとの間の距離を計算する。
【0028】
そして、測位部21は、少なくとも4つの衛星との間の距離の計算によって、移動通信装置MSの緯度、経度、標高、及び、制御部11内の時計の誤差を求め、測位結果を表示部15に表示させる。また、地図記憶部(図示せず)に記憶された地図の中で、求められた緯度及び経度の位置を含む部分を表示部15に表示させる。
【0029】
赤外線通信部31は、発光部31aからの赤外線の発光、及び、受光部31bによって受光された赤外線によって通信し、測位補助情報を送信し、又は、測位補助情報を受信する。
【0030】
NFC方式通信部32は、アンテナ32aによって送受される電波によってNFC方式による通信をし、測位補助情報を送信し、又は、測位補助情報を受信する。なお、NFC方式通信部32は、待受状態、即ち、アンテナ32aによって電波が受信されたことを検出する状態に置かれた場合、電力を消費しない。
【0031】
国内国外モード設定機能11−1は、入力部16の所定のキー操作に基づいて、移動通信装置MSが主たる国で使用されるか、その他の国で使用されるかのいずれかを設定する。この設定に基づいて、移動通信網送受信部13が用いるチャネルが選択されるが、その他、基地局との通信に用いる通信方式(例えば、CDMA方式であるか、GSM方式であるか。)や、周波数が選択されても良い。また、国内国外モード設定機能11−1は、その他の国で使用されることか否かの設定に限らず、入力部16の所定のキー操作に基づいて、使用される国を設定しても良い。なお、ここでの国とは、基地局との通信に以上説明したチャネル、通信方式、また、周波数の変更を必要とする地域を意味する。
【0032】
測位補助情報更新制御機能11−2は、所定の場合、測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報を更新記憶させる。この更新記憶は、移動通信網送受信部13を介して測位補助情報サーバ装置SVから測位補助情報を受信することによって、又は、赤外線通信部31、NFC方式通信部32、若しくは、コネクタ33を介して第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信することによって行われる。
【0033】
次に、測位補助情報サーバ装置SVの各部の動作を、図1及び図3を参照して説明する。広域通信網通信部42は、広域通信網WNのハブから受信した高周波信号を広域通信網送受信部43に送信する。また、広域通信網送受信部43から送信された高周波信号を広域通信網WNのハブに送信する。
【0034】
広域通信網送受信部43は、広域通信網通信部42から送信された高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、復調された制御信号を制御部41に送信する。なお、測位補助情報の送信要求は、測位補助情報管理部52に送信する。更には、制御部41から送信された制御信号を広域通信網通信部42に送信する。また、測位補助情報管理部52から送信された測位補助情報を送信する。
【0035】
測位部51は、測位を繰り返す。この測位の動作は、アンテナ51aによって受信された電波を用いる他は、測位部21の測位動作と同様であるが、必ずしも同一ではない。なぜなら、測位部51には、より正確な測位と、測位結果に加えられるべき補正値を求めることが要求されるので、捕捉可能な全ての衛星から送信された電波を用いた測位をしても良い。なお、測位補助情報サーバ装置SVの消費電力削減の必要性は低く、また、測位部51の測位を短時間に行う必要性は低い。
【0036】
測位部51は、更に、事前に記憶された測位補助情報サーバ装置SVが設置された位置の緯度、経度、及び、標高を参照して、測位された緯度、経度、及び、標高に加えられるべき補正値を計算する。この補正値は、例えば、気象状況に依存する。そして、測位の度に、測位用衛星から送信された電波に含まれる測位に用いられる情報、例えば、衛星軌道情報や、その衛星の時計の誤差等と、測位に用いられた衛星を識別する情報と、補正値と、測位が行われた時刻とを関連付けた測位補助情報を測位補助情報記憶部53に更新記憶させる。
【0037】
測位補助情報管理部52は、広域通信網送受信部43を介して測位補助情報の送信要求を受信すると、測位補助情報記憶部53に記憶された測位補助情報を、広域通信網送受信部43を介して送信する。
【0038】
ここで、測位補助情報に更に説明を加える。測位補助情報は、測位補助情報記憶部22に記憶されたものも、測位補助情報記憶部53に記憶されたものも同じ構成の情報である。測位補助情報は、移動通信装置MSの位置と、その測位補助情報が得られた位置との距離が大きい程、移動通信装置MSにとっての有用性が低下する。
【0039】
次に、上記構成の移動通信装置MSの測位補助情報更新制御機能11−2による、測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報を更新記憶する動作を詳細に説明する。まず、図4に示すフローチャートを参照して、測位補助情報サーバ装置SVから測位補助情報を受信して更新記憶する動作を説明する。
【0040】
測位補助情報更新制御機能11−2は、以下の4つの場合、測位補助情報サーバ装置SVから測位補助情報を受信して更新記憶する動作を開始する(ステップS101)。4つの場合とは、以下の通りである。第1に、測位部21からの要求を受信した場合である。第2に、移動通信装置MSの電源が投入された場合である。第3に、移動通信網送受信部13からの通知に基づいて、移動通信装置MSが移動通信網のサービス圏外からサービス圏内に移動したと判断された場合である。第4に、国内国外モード設定機能11−1によって、設定の変更が行われた場合である。
【0041】
第2〜第4の場合、測位補助情報が前回測位補助情報記憶部22に記憶された後、移動通信装置MSの位置が変化した可能性が高いのであって、測位補助情報を更新記憶することが適切と判断される。なお、移動通信装置MSの位置は、移動通信網通信部12が通信する基地局からその基地局の位置の通知を受け、その位置によって近似することができる。また、測位部21の測位によって得ることができる。そこで、測位補助情報更新制御機能11−2は、これらの方法によって得られた位置に所定の大きさの変化があった場合、移動通信装置MSの位置が変化したとして、上記動作を開始するとしても良い。
【0042】
測位補助情報更新制御機能11−2は、続いて、移動通信網送受信部13を介して測位補助情報サーバ装置SVに測位補助情報の送信を要求する(ステップS102)。この要求に応じて測位補助情報サーバ装置SVから送信された測位補助情報が受信されたか否かを判断し(ステップS103)、受信された場合、受信された測位補助情報を測位補助情報記憶部22に更新記憶させて(ステップS104)、測位補助情報サーバ装置SVから測位補助情報を受信して更新記憶する動作を終了する(ステップS105)。
【0043】
ステップS103で受信されなかった場合、測位補助情報サーバ装置SVから測位補助情報を受信して更新記憶することなく直ちに動作を終了する(ステップS105)。この受信されなかった場合は、移動通信装置MSが移動通信網のサービス圏外にあることを意味し、測位補助情報更新制御機能11−2の上記動作開始が上記第1、第2、及び、第4の場合、あり得る。しかし、測位補助情報の更新記憶をすることなく動作を終了しても、移動通信装置MSが移動通信網のサービス圏内に移動したと判断された場合に上記動作が行われるのであって、何ら支障はない。
【0044】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、測位補助情報更新制御機能11−2が第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信して更新記憶する動作を説明する。測位補助情報更新制御機能11−2は、入力部16の所定のキー操作に従って、及び、NFC方式通信部32によって所定の信号がアンテナ32aを介して受信された場合、第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信して更新記憶する動作を開始する(ステップS201)。
【0045】
ここで、入力部16の所定のキー操作に従って動作を開始する場合、赤外線通信部31によって受信するか、NFC方式通信部32によって受信するか、コネクタ33を介して受信するかが併せてキー操作によって指定される。また、NFC方式通信部32によって所定の信号が受信された場合、NFC方式通信部32によって受信すると指定されたとみなす。なお、この場合、移動通信装置MSの入力部16のキー操作は不要であり、操作性に優れる。
【0046】
測位補助情報更新制御機能11−2は、続いて、指定された処理部を制御して第2の移動通信装置MS−2との間の通信リンクを確立させ、又は、コネクタ33を介した第2の移動通信装置MS−2との間の通信リンクを確立し(ステップS202)、そのリンクを介して測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報中の時刻を送信させると共に、第2の移動通信装置MS−2から時刻を受信する(ステップS203)。この時刻は、第2の移動通信装置MS−2が記憶する測位補助情報中の時刻である。
【0047】
これら2つの測位補助情報中の時刻の新旧を判断し(ステップS204)、測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報中の時刻がより古い(より過去の時刻である。)場合、測位補助情報更新制御機能11−2は、上記リンクを介して第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信し(ステップS205)、受信された測位補助情報を測位補助情報記憶部22に更新記憶させて(ステップS206)、第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信して更新記憶する動作を終了する(ステップS207)。
【0048】
ステップS204で、上記時刻がより新しい(より最近の時刻である。)場合、測位補助情報更新制御機能11−2は、上記リンクを介して測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報を第2の移動通信装置MS−2へ送信し(ステップS208)、第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信して更新記憶する動作を終了する(ステップS207)。
【0049】
以上の動作は、明らかに、測位補助情報記憶部22に記憶された測位補助情報を更新記憶させるのみならず、第2の移動通信装置MS−2が記憶する測位補助情報を更新記憶させる動作を含む。そこで、第2の移動通信装置MS−2が記憶する測位補助情報を更新記憶させるために行わせても良い。即ち、移動通信装置MSの使用者にとっても、第2の移動通信装置MS−2に使用者にとっても、有用である。
【0050】
以上説明した第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信して更新記憶する動作において、この動作の開始前には、赤外線通信部31と、NFC方式通信部32とは何ら電力を消費せず、消費電力削減に優れる。また、この動作において、何ら秘密保持の設定や、秘密保持を保った通信をさせる操作を伴うことなく、通信が傍受される可能性は無視し得る。即ち、測位補助情報の漏洩の可能性も、測位補助情報が通信されたことの漏洩の可能性も無視し得るので、秘密保持に優れる。
【0051】
なお、測位補助情報更新制御機能11−2は、赤外線通信部31による任意の通信、NFC方式通信部32による任意の通信、及び、コネクタ33を介した任意の通信が行われる際、その通信と併せて以上説明した第2の移動通信装置MS−2から測位補助情報を受信して更新記憶する動作を行っても良い。
【0052】
この動作によれば、装置の使用者の意識なしに、自動的に測位補助情報が更新される。上記通信は、例えば、アドレス帳(図示せず)に記憶されたアドレス情報の通信、スケジュール管理部(図示せず)に記憶されたスケジュール情報の通信、ゲーム部(図示せず)によるゲーム情報の通信等任意であり、何ら制限されるものではない。
【0053】
以上の説明で、第2の移動通信装置MS−2は、移動通信装置MSと同じ構成で同じ動作をする装置であるとしたが、これに限るものではない。測位補助情報を記憶し、測位補助情報更新制御機能11−2に相当する機能を有し、近距離通信回線LLを介して移動通信装置MSと接続される任意の装置、例えば、パソコンであっても良い。
【0054】
以上の説明で、移動通信装置MSは、1つの測位補助情報サーバ装置SVから測位補助情報を受信して更新記憶するとしたが、これに限るものではない。複数の測位補助情報サーバ装置SVが地理的に離れた位置に設置してある場合、移動通信装置MSに最も近い位置に設置された測位補助情報サーバ装置SVに要求することによって、最も有用な測位補助情報を受信して更新記憶することができる。
【0055】
移動通信装置MSの位置は、例えば、移動通信網通信部12が通信する基地局から、その基地局の位置の通知を受け、その位置によって近似することができる。又は、測位部21の測位によって得る。複数の測位補助情報サーバ装置SVの各位置は、例えば、任意の測位補助情報サーバ装置SVが記憶し、移動通信装置MSの問い合わせに対して各位置を回答する。
【0056】
以上の説明で、測位補助情報サーバ装置SVは、自装置で得た測位補助情報を記憶するとしたが、これに限るものではない。例えば、地理的に離れた複数の位置にアンテナ51aと、測位部51とを設置し、それぞれの位置での測位補助情報を計算する。そして、移動通信装置MSからの測位補助情報要求には、移動通信装置MSの位置が伴い、測位補助情報サーバ装置SVは、その位置に最も近い位置での測位によって得られた測位補助情報を送信するとしても良い。移動通信装置MSの位置は、上述した通りの方法で得ることができる。
【0057】
以上の説明は、本発明を通話機能を有する移動通信装置に適用した形態を例にとって行ったが、これに限るものではない。本発明は、広域通信網WN、及び/又は、近距離通信回線LLと接続されるあらゆる測位を行う装置に適用することが当然に可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
MS 移動通信装置
MS−2 第2の移動通信装置
SV 測位補助情報サーバ装置
WN 広域通信網
LL 近距離通信回線
11、41 制御部
11−1 国内国外モード設定機能
11−2 測位補助情報更新制御機能
12 移動通信網通信部
12a、21a、32a、51a アンテナ
13 移動通信網送受信部
16 入力部
21、51 測位部
22、53 測位補助情報記憶部
31 赤外線通信部
31a 発光部
31b 受光部
32 NFC方式通信部
33 コネクタ
42 広域通信網通信部
43 広域通信網送受信部
52 測位補助情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段と、
移動通信網を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる測位補助情報受信手段と、
前記記憶手段に記憶された測位補助情報を参照して測位する測位手段とを有し、
前記測位補助情報受信手段は、移動通信装置の位置が変化したと判断された場合、前記移動通信網を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
前記測位補助情報受信手段は、移動通信装置の電源が投入された場合、及び/又は、移動通信装置が前記移動通信網のサービス圏外からサービス圏内に移動したと判断された場合、移動通信装置の位置が変化したと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項3】
移動通信網の基地局と通信する通信手段と、
入力手段の所定の操作があった場合、前記通信手段に対して用いる通信方式、用いる通信周波数、及び、用いるチャネルの中の少なくとも1つを指示する通信制御手段と、
記憶手段と、
前記通信手段を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる測位補助情報受信手段と、
前記記憶手段に記憶された測位補助情報を参照して測位する測位手段とを有し、
前記測位補助情報受信手段は、前記入力手段の前記所定の操作があった場合、前記通信手段を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項4】
記憶手段と、
近距離無線通信回線を介して測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる測位補助情報受信手段と、
前記記憶手段に記憶された測位補助情報を参照して測位する測位手段とを有し、
前記測位補助情報受信手段は、前記近距離無線通信回線を介して受信された測位補助情報に含まれる時刻が前記記憶手段に記憶された測位補助情報に含まれる時刻より現在時刻に近い場合、前記近距離無線通信回線を介して受信された測位補助情報を前記記憶手段に記憶させ、
前記近距離無線通信回線は、NFC方式の通信による回線、又は、赤外線による通信による回線である
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項5】
記憶手段と、
ケーブルを介して接続された装置から測位補助情報を受信して前記記憶手段に記憶させる測位補助情報受信手段と、
前記記憶手段に記憶された測位補助情報を参照して測位する測位手段とを有し、
前記測位補助情報受信手段は、前記ケーブルを介して受信された測位補助情報に含まれる時刻が前記記憶手段に記憶された測位補助情報に含まれる時刻より現在時刻に近い場合、前記ケーブルを介して受信された測位補助情報を前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする移動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−109206(P2011−109206A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259547(P2009−259547)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】