穀粒排出装置および該装置を配設する汎用コンバイン
【課題】バケットコンベアを内設する穀粒排出装置の誤作動を抑制しうる装置を提供する。
【解決手段】穀粒吐出口を設けたフード部とその下部に連設された外筒部とからなる外装体と、前記外装体の内部にバケットコンベアが配設され、前記バケットコンベアのバケット排出口と前記フード部の吐出口とが連設される穀粒排出装置において、前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられたことを特徴とする。前記圧力センサの感知面に圧力分散部材が配設されていてもよい。簡便な機構で、圧力センサの誤作動を防止することができる。
【解決手段】穀粒吐出口を設けたフード部とその下部に連設された外筒部とからなる外装体と、前記外装体の内部にバケットコンベアが配設され、前記バケットコンベアのバケット排出口と前記フード部の吐出口とが連設される穀粒排出装置において、前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられたことを特徴とする。前記圧力センサの感知面に圧力分散部材が配設されていてもよい。簡便な機構で、圧力センサの誤作動を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒排出装置に関し、より詳細には、該装置のフード部内壁に特定構造の圧力センサが設けられたことを特徴とする穀粒排出装置および該装置を配設する汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンバインにおいて、例えば、クローラ等で支持された走行機体に搭載した脱穀部に、走行機体の前方に設けられた刈取前処理装置で刈り取った穀稈を導いて脱穀処理し、その脱穀物を選別部で一番の脱穀穀粒と、穀粒及び藁屑等を含む二番物と、藁屑とに各々選別し、次いで脱穀穀粒を、前記走行機体に搭載した穀粒タンクに搬送して貯留し、または走行機体の以外の個所に搬送しうるものは公知である。また、脱穀装置からの穀粒をバケットコンベアを介して穀粒タンクに搬送するコンバインも公知である。
【0003】
例えば、穀粒タンク内の穀粒を傷つけることなく、しかも排出高さを高い位置に設定可能な穀粒排出装置を設けたコンバインであって、底部にスクリュー式の搬出コンベアを軸装した穀粒タンクと、前記搬出コンベアに下部を連結連通し傾動可能な穀粒排出装置とを設け、該穀粒排出装置と前記穀粒タンクとを特定の支点軸によって一体的に回動可能に構成したコンバインが開示されている(特許文献1)。大豆のように穀粒が軟らかく、かつ土などの異物が混入しやすい豆類を処理する汎用コンバインの場合、バケットコンベアなどの穀粒排出装置を穀粒タンク後方に設けることで機体後部の空間を活用でき、機体高さ、機体幅を小さくして、走行中の作物の損傷を防止できかつ機体の格納スペースを小さくすることができる、というものである。前記特許文献1記載の穀粒排出装置は、バケットコンベアの保護カバーにガイドホースを吊設させ、ガイドホースを屈曲・伸縮することで排出箇所を変更しうるものであり、排出口を手動または自動で略水平に制御可能な構成としたため、穀粒排出装置がどのような姿勢にあっても排出口が穀物排出の抵抗となって排出不能状態を招いたり、詰まりを発生することがなく、穀物排出を淀みなく行うことができる、とする。
【0004】
一方、コンバインから穀粒排出装置を介して穀粒を外部に排出する際に、穀粒の堆積によってコンベアの吐出口などに穀粒詰まりが発生する場合があり、穀粒の圧力を感知するセンサを設けた穀粒排出装置を配置したコンバインも開示されている(特許文献2)。特許文献2によれば、自脱式コンバインの穀粒排出装置において、起伏および旋回可能なスクリュー式の横送りコンベアの先端の吐出口の内部の横側部に、吐出口内で堆積した穀粒の圧力を感知するセンサを設けることで、搬出した穀粒を運搬車の荷台などに積み込む場合に、堆積した穀粒が横送りコンベアの吐出口の中にまで入り込み、更には横送りコンベアにまで穀粒詰まりが発生してことを防止し、横送りコンベアの稼動時の傾斜姿勢に係わらず、吐出される穀粒が直接にセンサに作用して誤検出の発生を防止できる、とする。
【特許文献1】特開2001−327216号公報
【特許文献2】特開2000−23554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の穀粒排出装置は、穀粒排出口を手動または自動で制御することで詰まりを発生するものであるが、詰まりの発生自体を検知する機能は存在しない。この点、特許文献2記載では、自脱式コンバインの穀粒排出装置の吐出口に圧力センサを設けているため、米や麦などの穀粒が堆積した場合にその穀粒の堆積した圧力によって堆積の有無を検知でき、ガイドホースの穀粒の詰まり防止することができる。
【0006】
しかしながら、汎用コンバインに設置されるバケットコンベアは、一般に豆類などの米穀よりも大きなサイズの穀粒を搬送する場合があり、豆類を揚穀しガイドホースへ向かって豆類を排出する際に、圧力センサに豆類が飛散し、その飛散力によって圧力センサが誤作動する場合がある。このような誤動作は、穀粒が小さい米や麦などを脱穀の対象とする自脱式コンバインでは発生しない。
【0007】
このような状況のもと、本発明は、バケット式コンベアによって穀粒を穀粒タンクから外部へ搬出する穀粒排出装置において、穀粒の飛散による圧力センサの誤作動を防止しうる、穀粒排出装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、このような穀粒排出装置を設置した汎用コンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、穀粒排出装置の圧力センサについて詳細に検討した結果、圧力センサの前面に圧力分散部材を配設すると、穀粒の飛散による誤作動を防止できること、および、バケット式コンベアから排出される穀粒が直接飛散しない位置、例えばフード部内壁の前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられると、穀粒の飛散による誤作動を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の穀粒排出装置において、圧力センサの前面に圧力分散部材を取り付けるだけで、また、圧力センサの設置位置をフード部の横壁に変更するだけで誤作動を防止することができ、設置が簡便である。
【0011】
また、本発明によれば、更にフードの排出口にガイドホースが連接された場合であって、ガイドホース内に穀粒が充填した場合には、従来通り圧力センサによる蓄積が検知できるため、バケットコンベア内への逆流を効率的に防止することができる。
【0012】
本発明の穀粒排出装置を汎用コンバインに取り付けた場合には、大豆類などを脱穀する場合に、特に誤作動の抑制に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第一は、穀粒吐出口を設けたフード部とその下部に連設された外筒部とからなる外装体と、前記外装体の内部にバケットコンベアが配設され、前記バケットコンベアのバケット排出口と前記フード部の吐出口とが連設される穀粒排出装置において、
前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられたことを特徴とする、穀粒排出装置である。
【0014】
本発明の穀粒排出装置は、バケットコンベアによって穀粒タンク内の穀粒を揚穀し、かつバケットコンベアの上部にフード部を有する穀粒排出装置に広く適用することができる。なお、本発明において、フード部とは、バケットコンベアを内設する外装体の上部であって、少なくともバケットコンベア頂部を被覆する部分を示し、外装体として外筒部と一体に構成されてもよく、別体として構成されていてもよい。また、穀粒排出装置とは、穀粒タンクに貯蔵された穀粒を該タンク外に排出するために使用される装置をいう。以下、本発明の好適な態様の一例を図面を用いて説明する。
【0015】
本発明の穀粒排出装置は、コンバインなどの穀粒タンクに貯蔵された穀粒を該タンク外に排出するために使用される装置である。コンバインの一部として配設されてもよく、穀粒排出装置として単独で使用することもできる。図1にコンバインに配設する態様の一例を示すが、立脚できるように脚部を設ければ単独の装置とすることができる。本発明の穀粒排出装置において、フード部110とは、外筒部130の上部に配置され、フード部110には、穀粒吐出口115が設けられている。また、前記外筒部130の下部には、篩部135が設けられ、穀粒に含まれる塵芥や土などを分離することができる。また、前記外筒部130は後傾できるように回動支点Pを貫通させる部材133が嵌合されている。なお、本発明において、外装体100とはフード部110と外筒部130との総称である。
【0016】
フード部110に設けられた穀粒吐出口115は、フード部110のいずれに配設されてもよいが、穀粒排出の便宜からバケットから排出された穀粒が穀粒排出装置の外部下方に排出される位置に設けられることが好ましい。なお、該吐出口115には、ガイドホース140が連接されていてもよい。
【0017】
前記外装体100の内部には、図2に示すように上下に配されたプーリ132、137の間にコンベアベルト139が巻回され、該ベルト139に複数のバケット131が固着されたバケットコンベアが配設されている。
【0018】
フード部110には圧力センサ120が設けられる。該圧力センサ120は、図3に示すように、センサケース120aに内装したマイクロスイッチ120bの前面に感知面sを配備して構成されたものである。本発明では、穀粒の圧力を感知するセンサ120は、前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に、その感知面sをフード部110の内側に向けた姿勢で取付けられ、ガイドホース140内に堆積した穀粒が感知面sを押圧して変形させることでマイクロスイッチ120aが操作される。穀粒の流れと平行する場合には、感知面sへの穀粒の飛散がなく、上記誤動作を回避することができる。
【0019】
更に、本発明では、前記圧力センサ120の感知面に圧力分散部材124が配設されていてもよい。一般に、フード部110に圧力センサ120を設け、穀粒の圧力によって穀粒の蓄積を検知しうるが、大豆などの大粒子を揚穀する場合には、バケットから排出される穀粒が圧力センサ120に直接飛散し、圧力センサ120の誤作動を招く場合がある。このような場合であっても、感知面sの前面に更に圧力分散部材124を配設することで感知面sに対する穀粒の飛散圧を分散または吸収し、上記誤作動を回避することができる。
【0020】
このような圧力分散部材124としては、上記趣旨より、感知面sに穀粒が飛散した場合の穀粒の圧力を分散または吸収して圧力センサ120の誤作動を回避することができ、かつ穀粒が蓄積した場合にはその圧力を感知しうるものであれば特に制限無く使用することができる。例えば、エラストマー、ゴム、ウレタンフォームなどの弾性体、発泡スチロール、不織布などの衝撃吸収体などがある。これらの圧力分散部材124は、穀粒の飛散を回避するため圧力センサ120の前面に一面に配設されることが好ましい。上記部材124の種類や厚さなどの配設条件は、圧力センサの感度と、バケットコンベアから排出される穀粒の飛散位置、飛散圧力などを勘案し、適宜調整することができる。また、このような圧力分散部材124の配設方法としては、上記目的に沿うものであれば特に制限は無いが、たとえば、感知面sの前面に、図3に示すように圧力分散部材124をボルト126などで固定する方法がある。
【0021】
本発明の第二は、上記穀粒排出装置と穀粒タンクとを配設した汎用コンバインである。特には、前記穀粒タンクの外側面に穀粒取出し口が設けられ、該穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とが連通され、かつ前記穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの駆動軸を回動支点(P)として前記穀粒排出装置が回動しうることを特徴とするものが好ましい。本発明の実施形態を穀粒タンクに対設した穀粒排出装置を参照にして構造の概要を述べる。
【0022】
本発明において、穀粒排出装置が配設されるコンバインの種類を問わないが、図4では汎用コンバインに配設した態様を示す。図4はコンバインの右側を示す全体側面図であって、図5の穀粒タンクの要部を断面した後面図を併用して説明すると、一対のクローラ走行装置16に支持された機台17上の左側に脱穀部Aが配置され、平行する右側の前方から運転席18と穀粒タンク1とが連設され、その後方にエンジンルーム20の順に直列に搭載される。該脱穀部Aの前方を回動中心に昇降する刈取部21が前記運転席18の左側に装着され、刈高さを調整しながら機体の全面で植立穀稈を刈取り、前記脱穀部Aに供給することができる。脱穀処理と選別をした良穀粒は一番コンベヤ22で集穀され、継設する揚穀コンベア23で前記穀粒タンク1に揚送され穀粒が一時貯留される。このコンバインは、主として大豆小豆等の豆類と稲麦の収穫に使用される。
【0023】
機体の側方に配置した穀粒タンク1は積載する穀粒の重量変化によって機体バランスを崩し易いため、クローラ19上に搭載して安定走行が確保される。機体の終端に立設する縦コンベヤ25はエンジンルーム20の後方に配置され、これに連結する排出オーガ10が後方に伸長して旋回範囲を拡大させることができる。豆類を排出する穀粒排出装置5は穀粒タンク1の外側面2に別途設置され、かつ、後方へ傾倒して自在に収納できるように構成されている。すなわち、穀粒タンクの外側面に設けられた穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とを連通させ、かつ前記穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの駆動軸を回動支点(P)として前記穀粒排出装置を回動させる。図4等に示す態様では、穀粒を排出するために穀粒排出装置5と前記排出オーガ10とを切替えて使用できるようになっている。
【0024】
穀粒タンク1から豆類を排出するために、該穀粒タンク1の下部に架設した横コンベヤ31を覆うように折畳み自在の棚板32が設けられ、外側面2の下方に開口した穀粒取出し口3に向けて傾斜するように構成され、矢印ロの方向に開閉するシャッター57によって豆類を一時貯留するタンク構造にしてある。前記穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とは直接連通されていてもよいが、例えば図5に示すように、作業状態で直立する穀粒排出装置5の供給口7と前記穀粒タンク1の取出し口3とを流下樋8を接続させて連通されてもよい。
【0025】
このような穀粒排出装置を回動自在に装着した構成を、図4の全体側面図、図6の穀粒排出装置の駆動部を示す断面図、および図7の流下樋の要部を断面した平面図を併用して説明する。本発明では、穀粒タンク1の外側面2と穀粒排出装置5との間にベベルケース37が設けられ、プーリ137を回転させる駆動軸6に入力するため、入力ケース38が該穀粒タンク1の前面33に至る間に延設される。入力軸40の軸端に設けたプーリ41と、横コンベヤ31の軸端に設けた出力プーリ45とにVベルト42が巻き掛けられ、スプロケット35が回転され穀物が前記バケット131で揚送される。穀粒排出装置5は穀粒タンク1の上部よりも相当高く、この高い位置から吐出口115からガイドホース140を介して所定の収納容器に穀粒を取出すことができる。
【0026】
穀粒排出装置5は運転席18よりも高くなるため、路上走行の障害になったり屋内に格納することが困難になる場合があるが、本発明では、豆類と稲麦の穀粒とをそれぞれ前記穀粒排出装置5と排出オーガ10とに切替えて排出させることができるよう個別の排出経路を構成される。なお、稲麦の収穫作業をする場合は前記排出オーガ10の旋回が妨げられないように、穀粒排出装置5を低い傾倒姿勢で収納することができる。
【0027】
このような収納方法としては、たとえば、穀粒排出装置5を挟持するU字形の受け部材12をエンジンルーム20の外枠15から外側方に延設し、該エンジンルーム20と前記穀粒排出装置5との間に冷却風の通気隙間を形成させると、吸気口77への外気導入を確保し、稲麦の収穫作業において遠方に排出する機能を維持しつつ穀粒排出装置を収納することができる。
【0028】
穀粒排出装置5を回動させる回動支点Pは、図6の断面図にも示すように入力軸40に直行する駆動軸6を中心に穀粒排出装置5を後方へ回動するものである。穀粒タンク1側に固着したべベルケース37内で入力軸40に設けたベベルギヤ47aと、駆動軸6に設けたベベルギヤ47bとを噛合させ、該穀粒排出装置5側の下部メタル52を前記べベルケース37の先端部に嵌入させた回動自在のケース構造にし、前記駆動軸6の軸端に止め輪53を嵌着させて位置決めをする一方、前記穀粒排出装置5の外面に突出する駆動軸6に機台17から延設した支え台にメタル55を嵌着させ、前記穀粒排出装置5の両側面で回動支点Pを支持して回動構造としたものであり、ベベルギヤ47a、47bは噛み合ったまま傾倒することができる。
【0029】
図9は流下樋の斜視図であって、図4の全体側面図と図5の断面図を併用して穀粒排出装置側に設けた流下樋の構造を説明すると、穀粒タンク1内に設けた緩傾斜の棚板32に連通する穀粒取出し口3に対してシャッター57を設け、外側面2に添設したレール部材58によって該シャッター57を摺動自在に挟持したものである。この穀粒取出し口3と穀粒排出装置5の供給口7を接続する流下樋8を該穀粒排出装置5の側方に設け、タンク側に固設した放出樋60に臨ませて供給経路を形成し、矢印イ方向に傾倒する前記穀粒排出装置5とともに図4に鎖線で示すように該放出樋60から流下樋8が分離して移動することができる。
【0030】
このような穀粒取出し口3の先端に柔軟材で成形したシール61を接着して流下樋8と放出樋60との接合部を構成し、穀粒排出装置5に供給する経路が密封されて穀粒が前記流下樋8内に充満しても溢流せず、しかも、自然流下であるためにバケット131の取込み量と供給側のバランスが自動的に保持される供給経路にする。また、該流下樋8を穀粒排出装置5に締結するノブボルト62で取外しが行えるようにすれば、穀粒取出し口3の前方を開放して穀粒タンク1に貯留する豆類等を直接機外に取出したり、圃場内で少量の穀粒を任意に回収することができる。
【0031】
図8は穀粒排出装置5を収納する受け部材の斜視図であって、図4の全体側面図と図5の穀粒タンクを断面した後面図を併用して傾倒する穀粒排出装置5の支持構造を説明すると、直立した作業状態の穀粒排出装置5を固定するために穀粒タンク1の上面から固定座63を延設させ、これに対向する穀粒排出装置5側に支持板64を設けて固定ボルト65で螺着する。傾倒する穀粒排出装置5の収納は、前述したように回動支点Pを中心に穀粒タンク1の前方から後方へ傾倒し、エンジンルーム20の外枠15に螺着した取付け具66を介してU字形の受け部材12を該エンジンルーム20の外側方に突設させて、傾倒姿勢になった前記穀粒排出装置5を挟持する。
【0032】
このような傾倒姿勢は、稲麦の収穫作業で活用する排出オーガ10の旋回を妨げない収納下面11より低い位置に収納され、従来の遠方に搬送する排出オーガ10の機能を維持するとともにコンバインの右側面内に収設され、路上走行の安全性も確保できる。また、傾倒姿勢で生じる前記穀粒排出装置5の振動や横振れを防止するパット67を受け部材12の内面に張設し、振動の吸収と擦傷の発生を防止することができる。
【0033】
図10は穀粒タンクの回動を支持するリンク機構を示し、脱穀部Aと穀粒タンク1との間に設けた揚穀コンベヤ23や駆動装置(図示せず)の点検整備を行うために、横コンベヤ31を中心に機体の外側方向に穀粒タンク1を回動させるが、これを規制する手段として前記穀粒タンク1の内壁71と脱穀側板72に基部座73と支持座75とを個別に設け、これを連結するように一対の上規制リンク69と下規制リンク70を中折れ自在に装着する。タンク回動時に該リンク機構が伸張して前記穀粒タンク1の倒れを制限することができる。また、74は、上下規制リンク69、70と接続したリンクアームであって、前記穀粒タンク1の傾倒角度を調節することができる。なお、図11は、リンク機構を含むコンバインの横断面図である。
【0034】
上記図4〜11で示すコンバインでは、横コンベヤ31の上方を塞ぐ棚板32をタンク内に設け、連通する穀粒取出し口3から流下樋8を介して穀粒タンク1の前方側に設置した穀粒排出装置5に穀粒を供給する構成にし、豆類と稲麦を個別に設けた穀粒排出装置5と排出オーガ10に切替えて搬送する排出経路にするとともに、前記排出オーガ10の旋回を妨げない該穀粒排出装置5の収納姿勢にしたので、稲麦を遠方に搬送する従来の排出機能が維持され、しかも、異種の穀物に対して個別に排出経路の切替えができるようになり収穫作業の適応性が拡大する。さらに、穀粒排出装置5には、圧力センサ120が配設され、その感知面sの前面には圧力分散部材が配設されるため、穀粒タンクから大豆などを排出する場合でも、誤作動を回避することができる。なお、穀粒排出装置5を用いた作業状態で流下樋8を脱着することで、穀粒取出し口3の前方が開放されるため、直接機外に穀粒の排出を行え袋詰めや残留豆等の取出しを容易に行うこともできる。
【0035】
本発明の汎用コンバインは、上記構成に限定されるものではなく、例えば、特開平5−176627号、特開2001−327216号、特開2004−159615号などの、バケットコンベアが内設される穀粒排出装置として本発明の穀粒排出装置を使用し、本発明の汎用コンバインとすることができる。
【0036】
なお、この圧力センサ120を制御装置に接続させ、圧力センサ120が穀粒の圧力を感知すると前記入力軸40の電動モータを停止させ、穀粒搬出を強制停止するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
大豆などの大粒子径の穀粒をバケットコンベアで排出する場合でも、穀粒の飛散による圧力センサの誤作動を簡便に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】穀粒排出装置の外装体を示す図である。
【図2】穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの構造を示す図である。
【図3】圧力センサの構造を示す断面図である。
【図4】コンバインの右側(車体進行方向)を示す全体側面図である。
【図5】穀粒タンクの要部を断面した後面図である。
【図6】穀粒排出装置の駆動部を示す断面図である。
【図7】流下樋の要部を断面した平面図である。
【図8】穀粒排出装置を収納する受け部材の斜視図である。
【図9】流下樋の斜視図である。
【図10】穀粒タンクの回動を支持するリンク機構を車体後方からの横断面で示す図である。
【図11】穀粒タンクの回動を支持するリンク機構を車体前方からの横断面で示す図である。
【符号の説明】
【0039】
A・・脱穀部、
P・・回動支点、
1・・穀粒タンク、
2・・外側面、
3・・穀粒取出し口、
5・・穀粒排出装置、
6・・駆動軸、
7・・供給口、
8・・流下樋、
10・・排出オーガ、
11・・収納下面、
12・・受け部材、
15・・外枠、
20・・エンジンルーム、
31・・横コンベヤ、
32・・棚板、
33・・前面、
35・・スプロケット、
37・・ベベルケース、
38・・入力ケース、
40・・入力軸、
41・・プーリ、
43・・バケットコンベヤ、
47・・ベベルギヤ、
57・・シャッター、
58・・レール部材、
60・・放出樋、
61・・シール、
69・・上規制リンク、
70・・下規制リンク、
74・・リンクアーム、
100・・外装体、
110・・フード部、
115・・吐出口、
120・・圧力センサ、120a・・センサケース、120b・・マイクロスイッチ、
124・・圧力分散部材
130・・外装体、
131・・バケット、
132、137・・プーリ、
133・・部材、
135・・篩部、
139・・コンベアベルト、
140・・ガイドホース、
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒排出装置に関し、より詳細には、該装置のフード部内壁に特定構造の圧力センサが設けられたことを特徴とする穀粒排出装置および該装置を配設する汎用コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンバインにおいて、例えば、クローラ等で支持された走行機体に搭載した脱穀部に、走行機体の前方に設けられた刈取前処理装置で刈り取った穀稈を導いて脱穀処理し、その脱穀物を選別部で一番の脱穀穀粒と、穀粒及び藁屑等を含む二番物と、藁屑とに各々選別し、次いで脱穀穀粒を、前記走行機体に搭載した穀粒タンクに搬送して貯留し、または走行機体の以外の個所に搬送しうるものは公知である。また、脱穀装置からの穀粒をバケットコンベアを介して穀粒タンクに搬送するコンバインも公知である。
【0003】
例えば、穀粒タンク内の穀粒を傷つけることなく、しかも排出高さを高い位置に設定可能な穀粒排出装置を設けたコンバインであって、底部にスクリュー式の搬出コンベアを軸装した穀粒タンクと、前記搬出コンベアに下部を連結連通し傾動可能な穀粒排出装置とを設け、該穀粒排出装置と前記穀粒タンクとを特定の支点軸によって一体的に回動可能に構成したコンバインが開示されている(特許文献1)。大豆のように穀粒が軟らかく、かつ土などの異物が混入しやすい豆類を処理する汎用コンバインの場合、バケットコンベアなどの穀粒排出装置を穀粒タンク後方に設けることで機体後部の空間を活用でき、機体高さ、機体幅を小さくして、走行中の作物の損傷を防止できかつ機体の格納スペースを小さくすることができる、というものである。前記特許文献1記載の穀粒排出装置は、バケットコンベアの保護カバーにガイドホースを吊設させ、ガイドホースを屈曲・伸縮することで排出箇所を変更しうるものであり、排出口を手動または自動で略水平に制御可能な構成としたため、穀粒排出装置がどのような姿勢にあっても排出口が穀物排出の抵抗となって排出不能状態を招いたり、詰まりを発生することがなく、穀物排出を淀みなく行うことができる、とする。
【0004】
一方、コンバインから穀粒排出装置を介して穀粒を外部に排出する際に、穀粒の堆積によってコンベアの吐出口などに穀粒詰まりが発生する場合があり、穀粒の圧力を感知するセンサを設けた穀粒排出装置を配置したコンバインも開示されている(特許文献2)。特許文献2によれば、自脱式コンバインの穀粒排出装置において、起伏および旋回可能なスクリュー式の横送りコンベアの先端の吐出口の内部の横側部に、吐出口内で堆積した穀粒の圧力を感知するセンサを設けることで、搬出した穀粒を運搬車の荷台などに積み込む場合に、堆積した穀粒が横送りコンベアの吐出口の中にまで入り込み、更には横送りコンベアにまで穀粒詰まりが発生してことを防止し、横送りコンベアの稼動時の傾斜姿勢に係わらず、吐出される穀粒が直接にセンサに作用して誤検出の発生を防止できる、とする。
【特許文献1】特開2001−327216号公報
【特許文献2】特開2000−23554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1記載の穀粒排出装置は、穀粒排出口を手動または自動で制御することで詰まりを発生するものであるが、詰まりの発生自体を検知する機能は存在しない。この点、特許文献2記載では、自脱式コンバインの穀粒排出装置の吐出口に圧力センサを設けているため、米や麦などの穀粒が堆積した場合にその穀粒の堆積した圧力によって堆積の有無を検知でき、ガイドホースの穀粒の詰まり防止することができる。
【0006】
しかしながら、汎用コンバインに設置されるバケットコンベアは、一般に豆類などの米穀よりも大きなサイズの穀粒を搬送する場合があり、豆類を揚穀しガイドホースへ向かって豆類を排出する際に、圧力センサに豆類が飛散し、その飛散力によって圧力センサが誤作動する場合がある。このような誤動作は、穀粒が小さい米や麦などを脱穀の対象とする自脱式コンバインでは発生しない。
【0007】
このような状況のもと、本発明は、バケット式コンベアによって穀粒を穀粒タンクから外部へ搬出する穀粒排出装置において、穀粒の飛散による圧力センサの誤作動を防止しうる、穀粒排出装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、このような穀粒排出装置を設置した汎用コンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、穀粒排出装置の圧力センサについて詳細に検討した結果、圧力センサの前面に圧力分散部材を配設すると、穀粒の飛散による誤作動を防止できること、および、バケット式コンベアから排出される穀粒が直接飛散しない位置、例えばフード部内壁の前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられると、穀粒の飛散による誤作動を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の穀粒排出装置において、圧力センサの前面に圧力分散部材を取り付けるだけで、また、圧力センサの設置位置をフード部の横壁に変更するだけで誤作動を防止することができ、設置が簡便である。
【0011】
また、本発明によれば、更にフードの排出口にガイドホースが連接された場合であって、ガイドホース内に穀粒が充填した場合には、従来通り圧力センサによる蓄積が検知できるため、バケットコンベア内への逆流を効率的に防止することができる。
【0012】
本発明の穀粒排出装置を汎用コンバインに取り付けた場合には、大豆類などを脱穀する場合に、特に誤作動の抑制に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第一は、穀粒吐出口を設けたフード部とその下部に連設された外筒部とからなる外装体と、前記外装体の内部にバケットコンベアが配設され、前記バケットコンベアのバケット排出口と前記フード部の吐出口とが連設される穀粒排出装置において、
前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられたことを特徴とする、穀粒排出装置である。
【0014】
本発明の穀粒排出装置は、バケットコンベアによって穀粒タンク内の穀粒を揚穀し、かつバケットコンベアの上部にフード部を有する穀粒排出装置に広く適用することができる。なお、本発明において、フード部とは、バケットコンベアを内設する外装体の上部であって、少なくともバケットコンベア頂部を被覆する部分を示し、外装体として外筒部と一体に構成されてもよく、別体として構成されていてもよい。また、穀粒排出装置とは、穀粒タンクに貯蔵された穀粒を該タンク外に排出するために使用される装置をいう。以下、本発明の好適な態様の一例を図面を用いて説明する。
【0015】
本発明の穀粒排出装置は、コンバインなどの穀粒タンクに貯蔵された穀粒を該タンク外に排出するために使用される装置である。コンバインの一部として配設されてもよく、穀粒排出装置として単独で使用することもできる。図1にコンバインに配設する態様の一例を示すが、立脚できるように脚部を設ければ単独の装置とすることができる。本発明の穀粒排出装置において、フード部110とは、外筒部130の上部に配置され、フード部110には、穀粒吐出口115が設けられている。また、前記外筒部130の下部には、篩部135が設けられ、穀粒に含まれる塵芥や土などを分離することができる。また、前記外筒部130は後傾できるように回動支点Pを貫通させる部材133が嵌合されている。なお、本発明において、外装体100とはフード部110と外筒部130との総称である。
【0016】
フード部110に設けられた穀粒吐出口115は、フード部110のいずれに配設されてもよいが、穀粒排出の便宜からバケットから排出された穀粒が穀粒排出装置の外部下方に排出される位置に設けられることが好ましい。なお、該吐出口115には、ガイドホース140が連接されていてもよい。
【0017】
前記外装体100の内部には、図2に示すように上下に配されたプーリ132、137の間にコンベアベルト139が巻回され、該ベルト139に複数のバケット131が固着されたバケットコンベアが配設されている。
【0018】
フード部110には圧力センサ120が設けられる。該圧力センサ120は、図3に示すように、センサケース120aに内装したマイクロスイッチ120bの前面に感知面sを配備して構成されたものである。本発明では、穀粒の圧力を感知するセンサ120は、前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に、その感知面sをフード部110の内側に向けた姿勢で取付けられ、ガイドホース140内に堆積した穀粒が感知面sを押圧して変形させることでマイクロスイッチ120aが操作される。穀粒の流れと平行する場合には、感知面sへの穀粒の飛散がなく、上記誤動作を回避することができる。
【0019】
更に、本発明では、前記圧力センサ120の感知面に圧力分散部材124が配設されていてもよい。一般に、フード部110に圧力センサ120を設け、穀粒の圧力によって穀粒の蓄積を検知しうるが、大豆などの大粒子を揚穀する場合には、バケットから排出される穀粒が圧力センサ120に直接飛散し、圧力センサ120の誤作動を招く場合がある。このような場合であっても、感知面sの前面に更に圧力分散部材124を配設することで感知面sに対する穀粒の飛散圧を分散または吸収し、上記誤作動を回避することができる。
【0020】
このような圧力分散部材124としては、上記趣旨より、感知面sに穀粒が飛散した場合の穀粒の圧力を分散または吸収して圧力センサ120の誤作動を回避することができ、かつ穀粒が蓄積した場合にはその圧力を感知しうるものであれば特に制限無く使用することができる。例えば、エラストマー、ゴム、ウレタンフォームなどの弾性体、発泡スチロール、不織布などの衝撃吸収体などがある。これらの圧力分散部材124は、穀粒の飛散を回避するため圧力センサ120の前面に一面に配設されることが好ましい。上記部材124の種類や厚さなどの配設条件は、圧力センサの感度と、バケットコンベアから排出される穀粒の飛散位置、飛散圧力などを勘案し、適宜調整することができる。また、このような圧力分散部材124の配設方法としては、上記目的に沿うものであれば特に制限は無いが、たとえば、感知面sの前面に、図3に示すように圧力分散部材124をボルト126などで固定する方法がある。
【0021】
本発明の第二は、上記穀粒排出装置と穀粒タンクとを配設した汎用コンバインである。特には、前記穀粒タンクの外側面に穀粒取出し口が設けられ、該穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とが連通され、かつ前記穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの駆動軸を回動支点(P)として前記穀粒排出装置が回動しうることを特徴とするものが好ましい。本発明の実施形態を穀粒タンクに対設した穀粒排出装置を参照にして構造の概要を述べる。
【0022】
本発明において、穀粒排出装置が配設されるコンバインの種類を問わないが、図4では汎用コンバインに配設した態様を示す。図4はコンバインの右側を示す全体側面図であって、図5の穀粒タンクの要部を断面した後面図を併用して説明すると、一対のクローラ走行装置16に支持された機台17上の左側に脱穀部Aが配置され、平行する右側の前方から運転席18と穀粒タンク1とが連設され、その後方にエンジンルーム20の順に直列に搭載される。該脱穀部Aの前方を回動中心に昇降する刈取部21が前記運転席18の左側に装着され、刈高さを調整しながら機体の全面で植立穀稈を刈取り、前記脱穀部Aに供給することができる。脱穀処理と選別をした良穀粒は一番コンベヤ22で集穀され、継設する揚穀コンベア23で前記穀粒タンク1に揚送され穀粒が一時貯留される。このコンバインは、主として大豆小豆等の豆類と稲麦の収穫に使用される。
【0023】
機体の側方に配置した穀粒タンク1は積載する穀粒の重量変化によって機体バランスを崩し易いため、クローラ19上に搭載して安定走行が確保される。機体の終端に立設する縦コンベヤ25はエンジンルーム20の後方に配置され、これに連結する排出オーガ10が後方に伸長して旋回範囲を拡大させることができる。豆類を排出する穀粒排出装置5は穀粒タンク1の外側面2に別途設置され、かつ、後方へ傾倒して自在に収納できるように構成されている。すなわち、穀粒タンクの外側面に設けられた穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とを連通させ、かつ前記穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの駆動軸を回動支点(P)として前記穀粒排出装置を回動させる。図4等に示す態様では、穀粒を排出するために穀粒排出装置5と前記排出オーガ10とを切替えて使用できるようになっている。
【0024】
穀粒タンク1から豆類を排出するために、該穀粒タンク1の下部に架設した横コンベヤ31を覆うように折畳み自在の棚板32が設けられ、外側面2の下方に開口した穀粒取出し口3に向けて傾斜するように構成され、矢印ロの方向に開閉するシャッター57によって豆類を一時貯留するタンク構造にしてある。前記穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とは直接連通されていてもよいが、例えば図5に示すように、作業状態で直立する穀粒排出装置5の供給口7と前記穀粒タンク1の取出し口3とを流下樋8を接続させて連通されてもよい。
【0025】
このような穀粒排出装置を回動自在に装着した構成を、図4の全体側面図、図6の穀粒排出装置の駆動部を示す断面図、および図7の流下樋の要部を断面した平面図を併用して説明する。本発明では、穀粒タンク1の外側面2と穀粒排出装置5との間にベベルケース37が設けられ、プーリ137を回転させる駆動軸6に入力するため、入力ケース38が該穀粒タンク1の前面33に至る間に延設される。入力軸40の軸端に設けたプーリ41と、横コンベヤ31の軸端に設けた出力プーリ45とにVベルト42が巻き掛けられ、スプロケット35が回転され穀物が前記バケット131で揚送される。穀粒排出装置5は穀粒タンク1の上部よりも相当高く、この高い位置から吐出口115からガイドホース140を介して所定の収納容器に穀粒を取出すことができる。
【0026】
穀粒排出装置5は運転席18よりも高くなるため、路上走行の障害になったり屋内に格納することが困難になる場合があるが、本発明では、豆類と稲麦の穀粒とをそれぞれ前記穀粒排出装置5と排出オーガ10とに切替えて排出させることができるよう個別の排出経路を構成される。なお、稲麦の収穫作業をする場合は前記排出オーガ10の旋回が妨げられないように、穀粒排出装置5を低い傾倒姿勢で収納することができる。
【0027】
このような収納方法としては、たとえば、穀粒排出装置5を挟持するU字形の受け部材12をエンジンルーム20の外枠15から外側方に延設し、該エンジンルーム20と前記穀粒排出装置5との間に冷却風の通気隙間を形成させると、吸気口77への外気導入を確保し、稲麦の収穫作業において遠方に排出する機能を維持しつつ穀粒排出装置を収納することができる。
【0028】
穀粒排出装置5を回動させる回動支点Pは、図6の断面図にも示すように入力軸40に直行する駆動軸6を中心に穀粒排出装置5を後方へ回動するものである。穀粒タンク1側に固着したべベルケース37内で入力軸40に設けたベベルギヤ47aと、駆動軸6に設けたベベルギヤ47bとを噛合させ、該穀粒排出装置5側の下部メタル52を前記べベルケース37の先端部に嵌入させた回動自在のケース構造にし、前記駆動軸6の軸端に止め輪53を嵌着させて位置決めをする一方、前記穀粒排出装置5の外面に突出する駆動軸6に機台17から延設した支え台にメタル55を嵌着させ、前記穀粒排出装置5の両側面で回動支点Pを支持して回動構造としたものであり、ベベルギヤ47a、47bは噛み合ったまま傾倒することができる。
【0029】
図9は流下樋の斜視図であって、図4の全体側面図と図5の断面図を併用して穀粒排出装置側に設けた流下樋の構造を説明すると、穀粒タンク1内に設けた緩傾斜の棚板32に連通する穀粒取出し口3に対してシャッター57を設け、外側面2に添設したレール部材58によって該シャッター57を摺動自在に挟持したものである。この穀粒取出し口3と穀粒排出装置5の供給口7を接続する流下樋8を該穀粒排出装置5の側方に設け、タンク側に固設した放出樋60に臨ませて供給経路を形成し、矢印イ方向に傾倒する前記穀粒排出装置5とともに図4に鎖線で示すように該放出樋60から流下樋8が分離して移動することができる。
【0030】
このような穀粒取出し口3の先端に柔軟材で成形したシール61を接着して流下樋8と放出樋60との接合部を構成し、穀粒排出装置5に供給する経路が密封されて穀粒が前記流下樋8内に充満しても溢流せず、しかも、自然流下であるためにバケット131の取込み量と供給側のバランスが自動的に保持される供給経路にする。また、該流下樋8を穀粒排出装置5に締結するノブボルト62で取外しが行えるようにすれば、穀粒取出し口3の前方を開放して穀粒タンク1に貯留する豆類等を直接機外に取出したり、圃場内で少量の穀粒を任意に回収することができる。
【0031】
図8は穀粒排出装置5を収納する受け部材の斜視図であって、図4の全体側面図と図5の穀粒タンクを断面した後面図を併用して傾倒する穀粒排出装置5の支持構造を説明すると、直立した作業状態の穀粒排出装置5を固定するために穀粒タンク1の上面から固定座63を延設させ、これに対向する穀粒排出装置5側に支持板64を設けて固定ボルト65で螺着する。傾倒する穀粒排出装置5の収納は、前述したように回動支点Pを中心に穀粒タンク1の前方から後方へ傾倒し、エンジンルーム20の外枠15に螺着した取付け具66を介してU字形の受け部材12を該エンジンルーム20の外側方に突設させて、傾倒姿勢になった前記穀粒排出装置5を挟持する。
【0032】
このような傾倒姿勢は、稲麦の収穫作業で活用する排出オーガ10の旋回を妨げない収納下面11より低い位置に収納され、従来の遠方に搬送する排出オーガ10の機能を維持するとともにコンバインの右側面内に収設され、路上走行の安全性も確保できる。また、傾倒姿勢で生じる前記穀粒排出装置5の振動や横振れを防止するパット67を受け部材12の内面に張設し、振動の吸収と擦傷の発生を防止することができる。
【0033】
図10は穀粒タンクの回動を支持するリンク機構を示し、脱穀部Aと穀粒タンク1との間に設けた揚穀コンベヤ23や駆動装置(図示せず)の点検整備を行うために、横コンベヤ31を中心に機体の外側方向に穀粒タンク1を回動させるが、これを規制する手段として前記穀粒タンク1の内壁71と脱穀側板72に基部座73と支持座75とを個別に設け、これを連結するように一対の上規制リンク69と下規制リンク70を中折れ自在に装着する。タンク回動時に該リンク機構が伸張して前記穀粒タンク1の倒れを制限することができる。また、74は、上下規制リンク69、70と接続したリンクアームであって、前記穀粒タンク1の傾倒角度を調節することができる。なお、図11は、リンク機構を含むコンバインの横断面図である。
【0034】
上記図4〜11で示すコンバインでは、横コンベヤ31の上方を塞ぐ棚板32をタンク内に設け、連通する穀粒取出し口3から流下樋8を介して穀粒タンク1の前方側に設置した穀粒排出装置5に穀粒を供給する構成にし、豆類と稲麦を個別に設けた穀粒排出装置5と排出オーガ10に切替えて搬送する排出経路にするとともに、前記排出オーガ10の旋回を妨げない該穀粒排出装置5の収納姿勢にしたので、稲麦を遠方に搬送する従来の排出機能が維持され、しかも、異種の穀物に対して個別に排出経路の切替えができるようになり収穫作業の適応性が拡大する。さらに、穀粒排出装置5には、圧力センサ120が配設され、その感知面sの前面には圧力分散部材が配設されるため、穀粒タンクから大豆などを排出する場合でも、誤作動を回避することができる。なお、穀粒排出装置5を用いた作業状態で流下樋8を脱着することで、穀粒取出し口3の前方が開放されるため、直接機外に穀粒の排出を行え袋詰めや残留豆等の取出しを容易に行うこともできる。
【0035】
本発明の汎用コンバインは、上記構成に限定されるものではなく、例えば、特開平5−176627号、特開2001−327216号、特開2004−159615号などの、バケットコンベアが内設される穀粒排出装置として本発明の穀粒排出装置を使用し、本発明の汎用コンバインとすることができる。
【0036】
なお、この圧力センサ120を制御装置に接続させ、圧力センサ120が穀粒の圧力を感知すると前記入力軸40の電動モータを停止させ、穀粒搬出を強制停止するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
大豆などの大粒子径の穀粒をバケットコンベアで排出する場合でも、穀粒の飛散による圧力センサの誤作動を簡便に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】穀粒排出装置の外装体を示す図である。
【図2】穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの構造を示す図である。
【図3】圧力センサの構造を示す断面図である。
【図4】コンバインの右側(車体進行方向)を示す全体側面図である。
【図5】穀粒タンクの要部を断面した後面図である。
【図6】穀粒排出装置の駆動部を示す断面図である。
【図7】流下樋の要部を断面した平面図である。
【図8】穀粒排出装置を収納する受け部材の斜視図である。
【図9】流下樋の斜視図である。
【図10】穀粒タンクの回動を支持するリンク機構を車体後方からの横断面で示す図である。
【図11】穀粒タンクの回動を支持するリンク機構を車体前方からの横断面で示す図である。
【符号の説明】
【0039】
A・・脱穀部、
P・・回動支点、
1・・穀粒タンク、
2・・外側面、
3・・穀粒取出し口、
5・・穀粒排出装置、
6・・駆動軸、
7・・供給口、
8・・流下樋、
10・・排出オーガ、
11・・収納下面、
12・・受け部材、
15・・外枠、
20・・エンジンルーム、
31・・横コンベヤ、
32・・棚板、
33・・前面、
35・・スプロケット、
37・・ベベルケース、
38・・入力ケース、
40・・入力軸、
41・・プーリ、
43・・バケットコンベヤ、
47・・ベベルギヤ、
57・・シャッター、
58・・レール部材、
60・・放出樋、
61・・シール、
69・・上規制リンク、
70・・下規制リンク、
74・・リンクアーム、
100・・外装体、
110・・フード部、
115・・吐出口、
120・・圧力センサ、120a・・センサケース、120b・・マイクロスイッチ、
124・・圧力分散部材
130・・外装体、
131・・バケット、
132、137・・プーリ、
133・・部材、
135・・篩部、
139・・コンベアベルト、
140・・ガイドホース、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒吐出口を設けたフード部とその下部に連設された外筒部とからなる外装体と、前記外装体の内部にバケットコンベアが配設され、前記バケットコンベアのバケット排出口と前記フード部の吐出口とが連設される穀粒排出装置において、
前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられたことを特徴とする、穀粒排出装置。
【請求項2】
前記圧力センサの感知面に圧力分散部材が配設されることを特徴とする、請求項1記載の穀粒排出装置。
【請求項3】
前記穀粒排出装置は、更に前記フード部の吐出口にガイドホースが連接されることを特徴とする、請求項1または2記載の穀粒排出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の穀粒排出装置と穀粒タンクとを配設し、前記穀粒タンクの外側面に穀粒取出し口が設けられ、該穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とが連通され、かつ前記穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの駆動軸を回動支点(P)として前記穀粒排出装置が回動しうることを特徴とする汎用コンバイン。
【請求項1】
穀粒吐出口を設けたフード部とその下部に連設された外筒部とからなる外装体と、前記外装体の内部にバケットコンベアが配設され、前記バケットコンベアのバケット排出口と前記フード部の吐出口とが連設される穀粒排出装置において、
前記フード部内壁であって、前記バケットから排出される穀粒の流れと平行する壁に圧力センサが設けられたことを特徴とする、穀粒排出装置。
【請求項2】
前記圧力センサの感知面に圧力分散部材が配設されることを特徴とする、請求項1記載の穀粒排出装置。
【請求項3】
前記穀粒排出装置は、更に前記フード部の吐出口にガイドホースが連接されることを特徴とする、請求項1または2記載の穀粒排出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の穀粒排出装置と穀粒タンクとを配設し、前記穀粒タンクの外側面に穀粒取出し口が設けられ、該穀粒取出し口と前記穀粒排出装置の穀粒供給口とが連通され、かつ前記穀粒排出装置に内設されるバケットコンベアの駆動軸を回動支点(P)として前記穀粒排出装置が回動しうることを特徴とする汎用コンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−195475(P2007−195475A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18711(P2006−18711)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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