説明

積層クリーニングシートおよび該積層クリーニングシートを用いたクリーニング機能付搬送部材

【課題】 クリーニング機能付搬送部材の作製の際に、クリーニングシートを搬送部材に貼り合わせる作業の回数を減らすことのできる積層クリーニングシートを提供する。
【解決手段】 本発明の積層クリーニングシートは、支持基材の片面に二層以上の粘着性を有するクリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層され、支持基材の他方の面に感圧接着層が設けられていることを特徴とする。また、本発明は、前記積層クリーニングシートの感圧接着層表面を貼り合わせたことを特徴とするクリーニング機能付搬送部材を提供する。さらに、本発明は、前記クリーニング機能付搬送部材を基板処理装置内に搬送して基板処理装置をクリーニングすることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物を嫌う基板処理装置のクリーニングに関し、より詳細には、クリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層された構造を有する積層クリーニングシートおよびこの積層クリーニングシートを用いたクリーニング機能付搬送部材およびこのクリーニング機能付搬送部材を用いた基板処理装置のクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理装置において基板を処理する際に、基板やその装置の搬送系に異物が付着していると基板が次々に汚染されることになり、このことは、基板に欠陥を生じさせる原因となっていた。これを避けるために、装置を定期的に停止させ、洗浄処理する必要があり、このことは、装置の稼働率の低下や多大な労力を必要とするといった問題を生じさせていた。これらの問題を解決するため、粘着性の物質を固着した搬送部材を搬送することにより基板処理装置内に付着した異物を除去する方法や支持基材の片面にクリーニング層となる粘着層を設け、他方の面に設けた感圧粘着層で搬送部材に貼り合わせることによりクリーニング機能付搬送部材を作製し、そのクリーニング機能付搬送部材を装置内に搬送させることにより、装置内の異物を捕集する方法が提案されている(特許文献1など)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−154686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、クリーニング機能付搬送部材を作製する際において、搬送部材が小型の場合には、容易に搬送部材にクリーニングシートを貼り合わせることができるのに対して、フラットパネルディスプレイ製造装置やフラットパネルディスプレイ検査装置等の大型基板処理装置に用いる大型の搬送部材の場合では、クリーニングシートを搬送部材に貼り付ける作業に技術を要するため、労力やコスト、搬送部材の破損といった課題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、クリーニング機能付搬送部材の作製の際に必要なクリーニングシートを搬送部材に貼り合わせる作業の回数を減らすことのできる積層クリーニングシートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、一回の貼り合わせ作業で何回も使用可能なクリーニング機能付搬送部材を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、この一回の貼り合わせ作業で何回も使用可能なクリーニング機能付搬送部材を用いて基板処理装置をクリーニングする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の課題に対して鋭意検討した結果、搬送部材に貼り合わせるクリーニングシートとして、複数のクリーニングシートを一層ずつ剥離可能に積層させた積層クリーニングシート用いることにより、搬送部材にクリーニングシートを貼り合わせる作業の回数を減らすことができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、支持基材の片面に二層以上の粘着性を有するクリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層され、支持基材の他方の面に感圧接着層が設けられていることを特徴とする積層クリーニングシートを提供する。
【0008】
本発明は、また、搬送部材に、上記の積層クリーニングシートの感圧接着層表面を貼り合わせたことを特徴とするクリーニング機能付搬送部材を提供する。
【0009】
本発明は、さらに、上記のクリーニング機能付搬送部材を基板処理装置内に搬送して基板処理装置をクリーニングすることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積層クリーニングシートは複数のクリーニング層を一層ずつ剥離可能に積層させた構造を有するため、装置クリーニング後の異物の付着したクリーニング層を剥離することにより、同じクリーニング機能付搬送部材を用いて再び基板処理装置をクリーニングすることができる。
【0011】
また、フラットパネルディスプレイ製造装置やフラットパネルディスプレイ検査装置等の大型基板処理装置のクリーニング機能付搬送部材を作製する場合、基板が大型のため、基板とクリーニングシートを貼り合わせる作業が煩雑になり、基板を破損するおそれがあるが、本発明の積層クリーニングシートを使用すれば、基板とクリーニングシートを貼り合わせる作業の回数を減らすことができる。また、本発明のクリーニング機能付搬送部材を使用すれば、異物を捕集したクリーニング層を一層剥がすだけで再び基板処理装置のクリーニングに使用することができる。したがって、本発明によれば、基板処理装置のクリーニング作業において、作業効率の向上、コスト削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明における積層クリーニングシートは、クリーニング層を一層ずつ剥離可能に積層させた構造を少なくとも備えている。なお、積層クリーニングシートは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0013】
本発明の積層クリーニングシートを構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシートを図1に、本発明の積層クリーニングシートの一例を図2、本発明のクリーニング機能付搬送部材の一例を図3、本発明の積層クリーニングシートを構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシートの一例を示す分解図を図4、本発明のクリーニング機能付搬送部材の一例を示す分解図を図5に例示する。それぞれの図において、1が支持基材、1´が支持体、2がクリーニング層、3がセパレーター、4が搬送部材用感圧接着層、5が搬送部材、6がクリーニングシート(片面に粘着層を有するタイプ)である。また、F1〜F4はそれぞれの層間の接着力である。
【0014】
さらに、本発明の積層クリーニングシートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、積層クリーニングシートと積層クリーニングシートとが積層された形態で形成されていてもよい。
【0015】
支持基材1はクリーニングシートの支持母体となるもので特に限定はされないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系フィルムや、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネートなどからなるプラスチックフィルムなどが用いられる。また、上記のフィルムを適宜組み合わせて、積層構造としてもよい。
【0016】
支持基材1の厚さは、適宜選択できるが、通常500μm以下(例えば1〜500μm)、好ましくは3〜300μm、さらに好ましくは5〜250μm程度である。
【0017】
支持体1´は、積層クリーニングシートにおいて二層目以降のクリーニング層2を支持するものであり、前記支持基材1と同様のもので構成することができる。支持体1´の材質や厚さは、支持基材1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
クリーニングシート6のクリーニング層2を構成する接着性物質としては、適宜の感圧性接着剤を用いることができる。また、クリーニング層2は、適宜の感圧性接着剤に紫外線硬化性化合物等を組み合わせて構成してもよい。そして、適宜の感圧性接着剤に紫外線硬化性化合物等を組み合わせた場合には、クリーニング層は紫外線硬化型粘着層となる。なお、この紫外線硬化型粘着層は、少なくとも粘着性物質、紫外線硬化性化合物、紫外線重合開始剤を含有する。
【0019】
感圧性接着剤は、例えばゴム系やアクリル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリアミド系、ウレタン系やスチレン・ジエンブロック共重合体系、融点が約200℃以下の熱溶融性樹脂を配合してクリープ特性を改良したもの等の公知の粘弾性物質(例えば、特開昭56−61468号公報、特開昭61−174857号公報、特開昭63−17981号公報、特開昭56−13040号公報等)を一種又は二種以上配合したもので、必要に応じて架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの添加剤を添加したものを使用できる。
【0020】
一般には、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとするゴム系粘着剤やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基のような炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸等のエステルからなるアクリル酸系アルキルエステルを一種又は二種以上を用いたアクリル系共重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤などが用いられる。
【0021】
なお、上記のアクリル系共重合体は必要に応じ凝集力や耐熱性や架橋性などの改質等を目的に、例えば、アクリル酸やメタクリル酸、カルボキシルエチルアクリレートやカルボキシペンチルアクリレート、イコタン酸やマレイン酸、フマール酸やクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、あるいは無水マレイン酸や無水イコタン酸のような酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシへキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルメタアクリレートのようなヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスホン酸や(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートや(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸のようなスルホン酸基含有モノマー、(メタ)アクリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドのような(N−置換)アミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチルや(メタ)アクリル酸アミノエチルや(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルのような(メタ)アクリル酸アルキルアミノ系モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチルや(メタ)アクリル酸エトキシエチルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー、N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドのようなマレイミド系モノマー、N−メチルイタコンイミドやN−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミドやN−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミドやN−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドのようなイタコンイミド系モノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドのようなスクシンイミド系モノマー、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドンやメチルビニルピロリドン、ビニルピリジンやブニルピペリドン、ビニルピリミジンやビニルピペラジン、ビニルモルホリンやN−ビニルカルボン酸アミド類、スチレンやα−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムのようなビニル系モノマー、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのようなシアノアクリレートモノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有アクリル系モノマー、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールや(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールや(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールのようなグリコール系アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルやフッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートのようなアクリル酸エステル系モノマー、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートや(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタアクリレートやネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレートやポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートのような多官能モノマー、イソプレンやブタジエン、イソブチレンやビニルエーテル等の適宜なモノマー成分を一種又は二種以上を共重合させたものであってもよい。
【0022】
紫外線硬化性化合物は、紫外線により硬化可能なものであれば特に限定されず、一種または二種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどが用いられる。
【0023】
また、紫外線硬化性化合物として紫外線硬化性樹脂を用いてもよく、例えば、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート、分子末端にアリル基を有するチオール−エン付加型樹脂や光カチオン重合型樹脂、ポリビニルシンナマートなどのシンナモイル基含有ポリマー、ジアゾ化したアミノノボラック樹脂やアクリルアミド型ポリマーなど、感光性反応基含有ポリマーあるいはオリゴマーなどが用いられる。その他に、エポキシ化ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルシロキサンなどが用いられる。
【0024】
紫外線硬化性化合物の配合量は、感圧性接着剤となるポリマー100重量部に対して、通常150重量部以下(例えば、1〜150重量部)を選択し、好ましいのは20〜100重量部程度である。
【0025】
また、クリーニング層を紫外線硬化型粘着層とする場合には、紫外線硬化前後に適切な弾性率を得るために、ベンソイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどの熱重合開始剤などの添加剤を用いてもよい。
【0026】
紫外線重合開始剤は、公知の重合開始剤を適宜選択できる。そして、その配合量は、紫外線硬化性化合物100重量部に対して、通常0.1〜10重量部以下を選択し、好ましいのは1〜5重量部程度である。また、必要に応じて、紫外線重合促進剤を併用してもよい。
【0027】
クリーニング層2の厚さは適宜選択できるが、通常5〜300μm以下を選択し、好ましいのは10〜150μm程度である。クリーニング層2の厚さが必要以上に薄いとクリーニング層2の異物捕集性が不十分となりやすく、また、必要以上に厚いとクリーニング層2を紫外線硬化型粘着層とした場合に紫外線照射によるクリーニング層2の接着力の低下効果が小さくなりやすい。
【0028】
図2のような積層クリーニングシートや図3のようなクリーニング機能付き搬送部材では、クリーニング層の保護材としてセパレータ3(剥離ライナー)が用いられている。なお、セパレータ3は、必ずしも設けられていなくてもよいが、クリーニング層2の表面や搬送部材用感圧接着層4の表面などの粘着面を保護する観点から用いられていることが好ましい。
【0029】
セパレーター3は、特に制限されないが、例えば、ポリエステル系のセパレーターを使用することができる。なお、セパレータ3は公知乃至慣用の方法により形成することができ、また、セパレータの厚さ等も特に制限されない。
【0030】
クリーニングシート6を搬送部材5に貼り合わせるための搬送部材用感圧接着層4については、該層表面を粘着面として利用することができる限り、特に制限されず、前記の感圧性接着剤を適宜使用することができる。これらの感圧性接着剤(粘着剤)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、感圧性接着剤には、例えば可塑剤、充填剤、界面活性剤、老化防止剤、粘着剤付与剤などの公知乃至慣用の添加剤が配合されていてもよい。なお、搬送部材用感圧接着層4には、加熱処理を行うことにより接着力が低下する加熱剥離型粘着剤(例えば、特開2001−131507)や熱膨張型粘着剤(例えば、特開2005−255829)を用いてもよい。この粘着剤を使用すれば、使用済みの搬送部材のリサイクルが容易になり、また、搬送部材5の破損を防ぐことも容易になる。
【0031】
搬送部材用感圧接着層4の厚さは、特に制限されず、適宜選択することができる。
【0032】
搬送部材5は、クリーニングの対象となる基板処理装置に搬送可能であればよく、そのクリーニングの対象となる基板処理装置で、通常用いられているガラス基板、シリコンウエハ等を使用できる。
【0033】
クリーニング層2の形成は、例えば、公知の方法(接着性物質の溶液を基材上に塗布する方式や、セパレータ上に形成したクリーニング層を基材上に移着する方式など)を用いて行うことができる。具体的には、クリーニング層2の形成は、前記の接着性物質の溶液又は分散液を支持基材1又は支持体1´上に塗布し、乾燥させることにより、また、セパレーター3上に前記の接着性物質の溶液又は分散液を塗布し、乾燥させて形成したクリーニング層2を支持基材1又は支持体1´上に移着することにより行うことができる。なお、クリーニング層2として紫外線硬化型粘着層を用いる場合には、支持基材1又は支持体1´上に紫外線硬化型粘着層のもとになる接着性物質、紫外線硬化性化合物及び紫外線重合開始剤等を含む溶液又は分散液を塗布し、乾燥させ、セパレーター3を貼り合わせた後に、例えば、中心波長365nmの紫外線を積算光量1000mJ/cm2で照射することにより、クリーニング層2を形成することができる。
【0034】
積層クリーニングシートを構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシート(図1)は、上記の方法で、支持基材1又は支持体1´の片面にクリーニング層2を形成し、その形成したクリーニング層2上にセパレーター3を貼り合わせることにより作製することができる。
【0035】
積層クリーニングシート(図2)は、以下のように作製する。まず、支持基材1とクリーニング層2で構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシート6(積層クリーニングシート作製後には、最下部のクリーニングシートを構成)のクリーニング層2上のセパレーター3を剥がし、支持体1´とクリーニング層2で構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシート6(積層クリーニングシート作製後には、2層目以降のクリーニングシートを構成)の支持体1´に貼り合わせることにより、クリーニング層2の積層構造を形成する。そして、この作業を繰り返すことにより、積層クリーニングシートは、何層にも積層したクリーニング層2を有することとなる。次に、セパレーター上に、前記の感圧性接着剤を塗布し、乾燥させ、搬送部材用感圧接着層を形成し、その搬送部材用感圧接着層と積層クリーニングシートの積層構造の最下部のクリーニングシート6の支持基材1とを貼り合わせることにより、本発明の積層クリーニングシート(図2)を作製することができる。
【0036】
本発明のクリーニング機能付搬送部材(図3)は、上記の本発明の積層クリーニングシート(図2)の搬送部材用感圧接着層側のセパレーター3を剥がし、搬送部材5に貼り合わせることにより作製することができる。
【0037】
また、片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシート(図1)、本発明の積層クリーニングシート(図2)、本発明のクリーニング機能付搬送部材(図3)を作製する場合には、各層間の接着力が、F1>F2、F3・F4>F2(図4・図5)となるように調整する。本発明のクリーニング機能付搬送部材において良好な装置内の搬送と積層したクリーニング層の一層ずつの容易な剥離との両立を図るためである。
【0038】
接着力の調整は、適宜の接着剤の選択や支持基材1又は1´の片面又は両面に施す表面処理等で行うことができる。例えば、支持基材の表面処理は、隣接する層との密着性や保持性などを高めるためのコロナ処理、プラズマ処理などや、隣接する層との密着性や保持性などを下げるための背面処理剤をもちいた背面処理などが挙げられる。
【0039】
フラットパネルディスプレイ製造装置やフラットパネルディスプレイ検査装置等の基板処理装置のクリーニングは、前記のクリーニング機能付搬送部材を装置の搬送系に搬送させ、クリーニング層2を装置の被洗浄部位に接触させることにより行うことができる。
【0040】
また、このクリーニング機能付搬送部材は、クリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層した構造を有するため、クリーニング後の装置内の異物を捕集したクリーニング層2を剥離すれば、再び新たなクリーニング層2が現れる。したがって、装置のクリーニング後の装置内の異物を捕集したクリーニング層2を剥離するという簡単な作業で再び同じクリーニング機能付搬送部材使用して基板処理装置をクリーニングすることができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0042】
(実施例)
アクリル酸−2−エチルヘキシル75部、アクリル酸メチル20部、及びアクリル酸5部からなるモノマー混合液から得たアクリル系ポリマー(重量平均分子量75万)100部に対して、イソシアネート系架橋剤を3部、エポキシ系架橋剤を0.8部、さらに紫外線硬化樹脂としてポリウレタンアクリレート20部、紫外線重合開始剤としてベンジルメチルケタール3部を均一に混合し、紫外線硬化型のクリーニング層粘着剤溶液を調製した。これを厚さ20μmとなるようにポリエチレン製支持フィルム上に塗布し、乾燥させ、その表面に厚さ38μmのポリエステル系セパレーターを貼り合わせた。次に、中心波長365nmの紫外線を積算光量1000mJ/cm2で照射することにより、片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシートAを作製した。
一方、上記と同じアクリル酸−2−エチルヘキシル75部、アクリル酸メチル20部、及びアクリル酸5部からなるモノマー混合液から得たアクリル系ポリマー(重量平均分子量75万)100部に対して、イソシアネート系架橋剤を3部、エポキシ系架橋剤を0.8部を均一に混合し搬送部材用粘着剤溶液とした。これを、厚さ50μmのポリエステル系セパレーターに乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、乾燥させ、その表面に厚さ38μmのポリエステル系セパレーターを貼り、搬送部材用粘着層を作製した。
次に、上記のクリーニングシートAにおいて、セパレーターを剥がし、同じクリーニングシートAを一層ずつ剥離可能に10枚積層させ、最下層のクリーニングシートの支持体フィルムの背面側に上記搬送部材用粘着層をセパレーターを剥がして貼り合わせ、積層クリーニングシートを作製した。
次に、幅900mm、長さ1200mmのガラス基板に積層クリーニングシートの搬送部材用粘着層表面を大型ラミネーターで貼り合わせクリーニング層が積層構造のクリーニング機能付搬送部材を作製した。
【0043】
(比較例)
上記の実施例と同様に、クリーニングシートAと搬送部材用粘着層を作製した。次に、クリーニングシートAの支持フィルムの背面側に搬送部材用粘着層を貼り合わせ、搬送部材用粘着剤層を設け、幅900mm、長さ1200mmのガラス基板にクリーニングシートAの搬送部材用粘着層表面を大型ラミネーターで貼り合わせることにより、クリーニング層が単層構造のクリーニング機能付搬送部材を作製した。
【0044】
<クリーニング評価試験>
フラットパネルディスプレイ製造装置を用いて実施例のクリーニング機能付搬送部材と比較例のクリーニング機能付搬送部材のクリーニング評価試験をおこなった。なお、クリーニング前の装置は、チャックテーブル上に目視レベルで判別できる異物が多数みられる。クリーニング評価試験は、それぞれのクリーニング機能付搬送部材を装置にダミー搬送させ、装置のクリーニング後のチャックテーブル上の異物の存在状況とクリーニング機能付搬送部材のクリーニング層表面の異物捕集状況を目視観察すること、及びクリーニング機能付搬送部材が支障なく装置内に搬送されるか否かを確認することにより行った。
【0045】
(試験結果)
クリーニング評価試験を行ったところ、両クリーニング機能付搬送部材とも異物捕集性は良好であり、クリーニング能力に差は見られず、また、装置搬送性も良好だった。しかし、再び基板処理装置のクリーニングを行うのに必要な作業時間に大きな差がみられた。すなわち、実施例のクリーニング機能付搬送部材では、装置内の異物を捕集したクリーニング層を一層剥離する作業が約1分で終了するのに対し、比較例のクリーニング機能付搬送部材では、装置内の異物を捕集したクリーニングシートを剥がし、基板を有機溶剤で洗浄し、再度クリーニングシートを貼り合せる作業に約12分必要であった。
【0046】
実施例及び比較例のクリーニング機能付搬送部材についてのクリーニング評価試験の結果を表1にまとめた。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の積層クリーニングシートを構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシートの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の積層クリーニングシートの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のクリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層された構造を有するクリーニング機能付搬送部材の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の積層クリーニングシートを構成する片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシートの一例を示す分解図である。
【図5】本発明のクリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層された構造を有するクリーニング機能付搬送部材の一例を示す分解図である。
【符号の説明】
【0048】
1 支持基材
1´ 支持体
2 クリーニング層
3 セパレーター
4 搬送部材用感圧接着層
5 搬送部材
6 クリーニングシート(片面に粘着層を有するタイプ)
F1 片面に粘着層を有するタイプのクリーニングシートにおける支持基材とクリーニング層との間の接着力
F2 本発明のクリーニング機能付搬送部材の積層構造部分におけるクリーニングシート(片面に粘着層を有するタイプ)間の接着力
F3 本発明のクリーニング機能付搬送部材の積層構造部分の最下部のクリーニングシート(片面に粘着層を有するタイプ)と搬送部材用感圧接着層との間の接着力
F4 本発明のクリーニング機能付搬送部材における搬送部材用感圧接着層と搬送部材との間の接着力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材の片面に二層以上の粘着性を有するクリーニング層が一層ずつ剥離可能に積層され、支持基材の他方の面に感圧接着層が設けられていることを特徴とする積層クリーニングシート。
【請求項2】
搬送部材に、請求項1記載の積層クリーニングシートの感圧接着層表面を貼り合わせたことを特徴とするクリーニング機能付搬送部材。
【請求項3】
請求項2記載のクリーニング機能付搬送部材を基板処理装置内に搬送して基板処理装置をクリーニングすることを特徴とする基板処理装置のクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−301476(P2007−301476A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132651(P2006−132651)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】