説明

積層コンデンサ及び積層コンデンサの実装構造

【課題】サージ耐圧が高く、実装基板側の回路をもサージ電流から効果的に保護できる積層コンデンサ及びその実装構造を提供する。
【解決手段】積層コンデンサ1は、内部に放電用の第1の内部空間21が形成されたコンデンサ本体10と、コンデンサ本体10の外表面上に形成された第1、第2及び第3の外部電極15,16,17aとを備えている。コンデンサ本体10の内部には、第1の内部電極12及び第2の内部電極13と、コンデンサ本体10の内部に配置された第1及び第2の放電用内部導体23,24とが配置されている。第1の放電用内部導体23は、一方の端部が第1の外部電極15に電気的に接続されており、他方の端部が第1の内部空間21に露出している。第2の放電用内部導体24は、一方の端部が第3の外部電極17aに電気的に接続されており、他方の端部が第1の内部空間21に露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサに関し、特に、耐サージ電極が設けられた積層コンデンサ及びその実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サージ電流に起因する積層コンデンサの絶縁破壊を防止するために、バリスタやサージアブソーバなどの部品が用いられていた。
【0003】
近年、電子機器の軽薄短小化に伴い、実装基板における実装面積を低減することが強く求められている。これに伴って、バリスタやサージアブソーバなどの部品を用いず、実装基板における実装面積をより低減することができる方法が種々提案されている。例えば、特許文献1及び2などにおいて、積層コンデンサ自体に耐サージ機能を付与する方法が提案されている。
【0004】
具体的には、特許文献1には、第1の内部電極と電気的に接続された第1の外部電極と、第2の内部電極と電気的に接続された第2の外部電極との間に、第1及び第2の内部電極のいずれにも電気的に接続されていない第3の外部電極が配置された積層コンデンサが開示されている。特許文献1に開示された積層コンデンサでは、第1の外部電極または第2の外部電極と第3の外部電極との間で沿面放電が生じる。このため、サージ電流を第3の外部電極から逃がすことができる。
【0005】
また、特許文献2には、セラミック積層体と、セラミック積層体の両端に形成された一対の外部電極と、一対の外部電極のそれぞれに電気的に接続されており、セラミック積層体の外表面において放電ギャップを介して相互に対向する一対の放電電極とを備える積層コンデンサが開示されている。特許文献2に開示された積層コンデンサでは、一対の放電電極間で放電が生じる。そのため、コンデンサとして機能する部分をサージ電流から保護することができる。
【特許文献1】特開2007−294839号公報
【特許文献2】特開昭56−32716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に開示された積層コンデンサでは、沿面放電によりサージ電流が逃がされる。そのため、積層コンデンサの表面状態の変化に伴い、沿面放電の態様が変化するおそれがあった。具体的には、積層コンデンサの表面状態の変化に伴い、放電の生じやすさの指標となる沿面放電開始電圧が変化するおそれがあった。すなわち、積層コンデンサの表面状態によっては、十分なサージ耐圧を安定して得ることが困難であるという問題があった。
【0007】
また、特許文献1に開示された積層コンデンサでは、実装時に使用される半田などによる短絡を防止するためには、第1,第2の外部電極と第3の外部電極との間の距離が長くする必要があった。その場合には、放電性能が低下するおそれがあった。
【0008】
また、特許文献2に開示された積層コンデンサでは、放電ギャップを介して放電が生じた際に、サージ電流が外部電極を介して実装基板側の回路に流出することとなる。そのため、実装基板側の回路をサージ電流から保護することは困難であった。
【0009】
本発明の目的は、サージ耐圧が高く、実装基板側の回路をもサージ電流から効果的に保護できる積層コンデンサ及びその実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る積層コンデンサは、コンデンサ本体と、第1の外部電極と、第2の外部電極と、第1の内部電極と、第2の内部電極と、第3の外部電極と、第1の放電用内部導体と、第2の放電用内部導体とを備えている。コンデンサ本体は、積層された複数の誘電体層を有する。コンデンサ本体の内部には、放電用の第1の内部空間が形成されている。第1の外部電極は、コンデンサ本体の外表面上に形成されている。第2の外部電極は、コンデンサ本体の外表面上に形成されている。第2の外部電極は、第1の外部電極とは電気的に絶縁されている。第1の内部電極は、コンデンサ本体の内部に配置されている。第1の内部電極は、第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、コンデンサ本体の内部において、誘電体層を介して第1の内部電極と対向するように配置されている。第2の内部電極は、第2の外部電極と電気的に接続されている。第3の外部電極は、コンデンサ本体の外表面上に形成されている。第3の外部電極は、第1及び第2の外部電極並びに第1及び第2の内部電極のいずれにも電気的に絶縁されている。第1の放電用内部導体は、コンデンサ本体の内部に配置されている。第1の放電用内部導体の一方の端部は、第1の外部電極に電気的に接続されており、第1の放電用内部導体の他方の端部は、第1の内部空間に露出している。第2の放電用内部導体は、コンデンサ本体の内部において第1の放電用内部導体と隔てられて配置されている。第2の放電用内部導体の一方の端部は、第3の外部電極に電気的に接続されており、第2の放電用内部導体の他方の端部は、第1の内部空間に露出している。
【0011】
本発明の第1の特定の局面において、コンデンサ本体は、互いに対向する第1の主面及び第2の主面と、互いに対向する第1の側面及び第2の側面と、互いに対向する第1の端面及び第2の端面とを有し、第1の内部電極と、第2の内部電極とが誘電体層を介して積層されているコンデンサ本体の部分がコンデンサ部を構成しており、コンデンサ本体のコンデンサ部よりも第1の主面側に位置する部分が第1の外層部を構成しており、コンデンサ本体のコンデンサ部よりも第2の主面側に位置する部分が第2の外層部を構成している。
【0012】
本発明の第2の特定の局面において、コンデンサ本体の内部には、放電用の第2の内部空間がさらに形成されており、コンデンサ本体の内部に配置されており、一方の端部が第2の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が第2の内部空間に露出している第3の放電用内部導体と、コンデンサ本体の内部において第3の放電用内部導体と隔てられて配置されており、一方の端部が第3の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が第2の内部空間に露出している第4の放電用内部導体とを備えている。
【0013】
本発明の第3の特定の局面において、第2の放電用内部導体と、第4の放電用内部導体とが電気的に接続されている。
【0014】
本発明の第4の特定の局面において、第1の内部空間と第2の内部空間とが一体に形成されている。
【0015】
本発明の第5の特定の局面において、平面視した際に、第1及び第2の放電用内部導体は、第1及び第2の内部電極とは重ならない位置に配置されている。
【0016】
本発明の第6の特定の局面において、平面視した際に、第3及び第4の放電用内部導体は、第1及び第2の内部電極とは重ならない位置に配置されている。
【0017】
本発明の第7の局面において、第1の放電用内部導体と第2の放電用内部導体とのそれぞれは略直線状に形成されており、第1の放電用内部導体と第2の放電用内部導体とは、同一直線上に配置されている。
【0018】
本発明の第8の特定の局面において、第3の放電用内部導体と第4の放電用内部導体とのそれぞれは略直線状に形成されており、第3の放電用内部導体と第4の放電用内部導体とは、同一直線上に配置されている。
【0019】
本発明の第9の特定の局面において、第1の放電用内部導体の第1の外部電極側の端部は、第1の放電用内部導体の第1の内部空間側の端部よりも幅広に形成されている。
【0020】
本発明の第10の特定の局面において、第3の放電用内部導体の第1の外部電極側の端部は、第3の放電用内部導体の第1の内部空間側の端部よりも幅広に形成されている。
【0021】
本発明の第11の特定の局面において、第1の内部空間と第2の内部空間とは、共に第1の外層部に形成されている。
【0022】
本発明の第12の特定の局面において、第1の内部空間が第1の外層部に形成されている一方、第2の内部空間は、第2の外層部に形成されている。
【0023】
本発明の第13の特定の局面において、第1の内部空間と第2の内部空間とは、コンデンサ本体の平面視における中心を厚み方向に貫通する仮想直線に対して対称に位置している。
【0024】
本発明の第14の特定の局面において、第1の内部空間は、コンデンサ本体の外表面に開口している。
【0025】
本発明の第15の特定の局面において、第2の内部空間は、コンデンサ本体の外表面に開口している。
【0026】
本発明の第16の特定の局面において、第1の内部空間は閉空間である。
【0027】
本発明の第17の特定の局面において、第2の内部空間は閉空間である。
【0028】
本発明に係る積層コンデンサの実装構造は、上記本発明に係る積層コンデンサと、積層コンデンサが実装された実装基板とを備えている。実装基板は、第1のランドと、第2のランドと、第3のランドとを有する。第1のランドは、第1の外部電極に電気的に接続されている。第2のランドは、第2の外部電極に電気的に接続されている。第3のランドは、第3の外部電極に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、一方の端部が第1の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部がコンデンサ本体に形成された第1の内部空間に露出している第1の放電用内部導体と、コンデンサ本体の内部において第1の放電用内部導体と隔てられて配置されており、一方の端部が第3の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が第1の内部空間に露出している第2の放電用内部導体とが設けられている。このため、サージ電流が流れたとしても、第1の内部空間内において、第1の放電用内部導体と、第2の放電用内部導体との間で放電が生じる。そのため、コンデンサ本体の表面の状態が変化しても、放電の態様が変化することがない。従って、本発明によれば、コンデンサ本体の表面の状態に関わらず、常に高いサージ耐圧が得られる。
【0030】
また、本発明では、放電が第1の内部空間で行われ、サージ電流は、第3の外部電極から流出する。そのため、積層コンデンサが実装される実装基板に、第1,第2の外部電極が接続される回路とは別に、サージ電流を逃がすための回路などを設けておくことによって、実装基板側の回路をサージ電流から効果的に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0032】
(第1の実施形態)
図1及び図2に示すように、積層コンデンサ1は、コンデンサ本体10を備えている。図2に示すように、コンデンサ本体10は、複数の誘電体層が積層された誘電体層積層体11を有する。具体的には、本実施形態では、コンデンサ本体10は、誘電体層積層体11により構成されている。誘電体層積層体11は、適宜の誘電体セラミックスを用いて形成されている。誘電体セラミックスの具体例としては、例えばBaTiO、CaTiO、SrTiOまたはCaZrOなどが挙げられる。なお、誘電体セラミックスは、BaTiO、CaTiO、SrTiOまたはCaZrOなどを主成分とし、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などが添加されたものであってもよい。
【0033】
コンデンサ本体10は、図1〜3に示すように、互いに対向する第1の主面10a及び第2の主面10bと、互いに対向する第1の側面10c及び第2の側面10dと、互いに対向する第1の端面10e及び第2の端面10fとを有する略直方体状に形成されている。
【0034】
図2に示すように、誘電体層積層体11内には、複数の第1の内部電極12と、複数の第2の内部電極13とが配置されている。複数の第1の内部電極12と、複数の第2の内部電極13とは、相互に絶縁されている。
【0035】
第1及び第2の内部電極12,13の形成材料は特に限定されない。第1及び第2の内部電極12,13の形成材料としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Au等の金属、またはこれらの金属の一種以上を含む、Ag−Pd合金などの合金などが挙げられる。なお、第1及び第2の内部電極12,13は、同一の金属または合金により形成されていることが好ましい。
【0036】
第1及び第2の内部電極12,13の厚さは、特に限定されない。第1及び第2の内部電極12,13の厚さは、例えば、0.3〜2μm程度であってもよい。
【0037】
図2及び図5に示すように、複数の第1の内部電極12の一方の端部は、第1の端面10eに引き出されている。複数の第1の内部電極12は、第1及び第2の主面10a、10bに対して平行な方向に延びるように、積層コンデンサ1の高さ方向において等間隔に配置されている。図3に示すように、第1の内部電極12は、第1及び第2の側面10c、10dには至っていない。
【0038】
図2及び図6に示すように、複数の第2の内部電極13の一方の端部は、第2の端面10fに引き出されている。複数の第2の内部電極は、第1及び第2の主面10a、10bに対して平行に延びるように、積層コンデンサ1の高さ方向において等間隔に配置されている。図3に示すように、第2の内部電極13は、第1及び第2の側面10c、10dには至っていない。
【0039】
複数の第1の内部電極12と複数の第2の内部電極13とは、積層コンデンサ1の高さ方向において、交互に配置されており、高さ方向に隣接する第1の内部電極12と第2の内部電極13との間には、誘電体層積層体11を構成する誘電体層11aが介在している。
【0040】
コンデンサ本体10のうち、積層コンデンサ1の高さ方向において、複数の第1の内部電極12と複数の第2の内部電極13とが位置しているコンデンサ本体10の略中央部分が、コンデンサ部10gを構成している。このコンデンサ部10gにおいて容量が形成される。コンデンサ本体10のうち、コンデンサ部10gよりも第1の主面10a側に位置する部分が第1の外層部10hを構成している。コンデンサ本体10のうち、コンデンサ部10gよりも第2の主面10b側に位置する部分が第2の外層部10iを構成している。
【0041】
図2に示すように、第1の端面10e上には、第1の外部電極15が形成されている。図1に示すように、第1の外部電極15の端部は、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dにまで至っている。第1の外部電極15は、複数の第1の内部電極12のそれぞれに電気的に接続されている。
【0042】
第2の端面10f上には、第2の外部電極16が形成されている。第2の外部電極16の端部は、第1及び第2の主面10a、10b並びに第1及び第2の側面10c、10dにまで至っている。第2の外部電極16は、複数の第2の内部電極13のそれぞれに電気的に接続されている。
【0043】
本実施形態では、誘電体層積層体11の長さ方向略中央において、第1及び第2の側面10c、10dのそれぞれの上には、相互に絶縁された第3の外部電極17a、17bが形成されている。第3の外部電極17a、17bの両端部は、第1及び第2の主面10a、10bにまで至っている。第3の外部電極17a、17bの両端部は、略半円状に形成されている。
【0044】
第3の外部電極17a、17bは、第1及び第2の内部電極12,13並びに第1及び第2の外部電極15,16のいずれにも電気的に絶縁されている。本実施形態では、積層コンデンサ1において発生したサージ電流は、この第3の外部電極17a、17bから放出される。
【0045】
第3の外部電極17a、17bの形成材料は、特に限定されない。第3の外部電極17a、17bの形成材料としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Au等の金属、またはこれらの金属を含むAg−Pd合金などの合金などが挙げられる。
【0046】
第3の外部電極17a、17bのそれぞれは、複数の電極層により構成されていてもよい。第3の外部電極17a、17bを複数の電極層により構成する場合、最も誘電体層積層体11寄りの電極層を、内部電極12,13に対する接合性が高い材料により形成することが好ましい。具体的には、例えば、内部電極12,13がNiにより形成されている場合、第3の外部電極17a、17bをCu、Niなどの卑金属により形成することが好ましい。
【0047】
なお、第3の外部電極17a、17bの厚みは特に限定されない。第3の外部電極17a、17bの厚みは、例えば、10〜100μm程度であってもよい。
【0048】
図2に示すように、本実施形態では、誘電体層積層体11には、放電用の第1の内部空間21と、第2の内部空間22とが形成されている。第1及び第2の内部空間21,22は、共に、第1の外層部10hに形成されている。第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれは、コンデンサ本体10の第1の主面10aに開口している。すなわち、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれは、溝状に形成されている。より具体的には、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれは、底部が横断面V字状である溝状に形成されている。図1に示すように、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれの平面視形状は、略矩形状である。
【0049】
第1の内部空間21は、長さ方向において、第1の端面10eと第3の外部電極17a、17bとの間に形成されている。幅方向に関しては、第1の内部空間21は、コンデンサ本体10の略中央部に形成されている。一方、第2の内部空間22は、長さ方向において、第2の端面10fと第3の外部電極17bとの間に形成されている。幅方向に関しては、第2の内部空間22は、コンデンサ本体10の略中央部に形成されている。第1及び第2の内部空間21,22は、コンデンサ本体10の平面視における中心を厚み方向に貫通する仮想直線Lに対して対称に位置している。
【0050】
主として図4に示すように、コンデンサ本体10の内部には、第1〜第4の放電用内部導体23〜26が形成されている。第1〜第4の放電用内部導体23〜26は、いずれも第1の外層部10h内において、第1の主面10aと平行に形成されている。
【0051】
第1の放電用内部導体23は略直線状に形成されている。第1の放電用内部導体23の一方の端部23aは、第1の外部電極15に電気的に接続されている一方、第1の放電用内部導体23の他方の端部23bは、第1の内部空間21に露出している。
【0052】
第2の放電用内部導体24は、第1の放電用内部導体23とは電気的に絶縁されている。第2の放電用内部導体24の一方の端部24aは、第3の外部電極17aに電気的に接続されている一方、第2の放電用内部導体24の他方の端部24bは、第1の内部空間21に露出している。具体的に、第2の放電用内部導体24は、第1の内部空間21側から、コンデンサ本体10の長手方向に延び、途中部24cにおいて、第3の外部電極17a側に折れ曲がっている。
【0053】
第2の放電用内部導体24の端部24bは、第1の放電用内部導体23の端部23bと第1の内部空間21を介して対向している。
【0054】
第3の放電用内部導体25は、略直線状に形成されている。第3の放電用内部導体25の一方の端部25aは、第2の外部電極16に電気的に接続されている一方、第3の放電用内部導体25の他方の端部25bは、第2の内部空間22に露出している。
【0055】
第4の放電用内部導体26は、第1の放電用内部導体23及び第3の放電用内部導体25とは電気的に絶縁されている。第4の放電用内部導体26の一方の端部26aは、第3の外部電極17bに電気的に接続されている一方、第4の放電用内部導体26の他方の端部26bは、第2の内部空間22に露出している。具体的に、第4の放電用内部導体26は、第2の内部空間22側から、コンデンサ本体10の長手方向に延び、途中部26cにおいて、第3の外部電極17b側に折れ曲がっている。
【0056】
第4の放電用内部導体26の端部26bは、第3の放電用内部導体25の端部25bと第2の内部空間22を介して対向している。
【0057】
なお、第4の放電用内部導体26と第2の放電用内部導体24とは電気的に相互に接続されている。具体的には、第4の放電用内部導体26の途中部26cと第2の放電用内部導体24の途中部24cとが結線されている。
【0058】
第1〜第4の放電用内部導体23〜26の形成材料は、特に限定されない。第1〜第4の放電用内部導体23〜26の形成材料としては、例えば、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Au等の金属、またはこれらの金属の一種以上を含む、Ag−Pd合金などの合金などが挙げられる。なお、第1〜第4の放電用内部導体23〜26と第1及び第2の内部電極12,13とは、同一の金属または合金により形成されていることが好ましい。
【0059】
第1〜第4の放電用内部導体23〜26の厚みは特に限定されない。第1〜第4の放電用内部導体23〜26の厚みは、例えば、0.3〜2μm程度であってもよい。なお、第1の放電用内部導体23の端部23bと、第2の放電用内部導体24の端部24bとの対向距離、第3の放電用内部導体25の端部25bと、第4の放電用内部導体26の端部26bとの対向距離は、それぞれ20〜200μmであることが好ましい。
【0060】
図7は、積層コンデンサ1が実装基板2に実装された積層コンデンサ1の実装構造3の側面図である。図8は、実装構造3の平面図である。図7及び図8に示すように、実装基板2は、絶縁性を有する基板本体30を備えている。基板本体30の表面には、第1のランド31と、第2のランド32と、第3のランド33とが形成されている。第1のランド31と、第2のランド32と、第3のランド33とは、それぞれ第1の外部電極15と、第2の外部電極16と、第3の外部電極17a、17bの位置に対応した位置に配置されている。
【0061】
第1のランド31は、実装基板2に形成された入力側回路に結線されている。一方、第2のランド32は、実装基板2に形成された出力側回路に結線されている。
【0062】
第3のランド33には、サージリーク回路34が接続されている。ここで、サージリーク回路34は、サージ電流をリークさせる機能を有する回路である。サージリーク回路34は、例えば、グラウンド電位に電気的に接続された電極や、サージ電流を吸収可能な回路により構成することができる。なお、サージリーク回路34は、基板本体30に配置されていてもよいし、基板本体30外に配置されていてもよい。
【0063】
積層コンデンサ1は、第1の外部電極15、第2の外部電極16及び第3の外部電極17a、17bのそれぞれが第1のランド31、第2のランド32及び第3のランド33に電気的に接続されるように、実装基板2上にフリップチップ実装されている。但し、積層コンデンサ1の実装方法は特に限定されない。積層コンデンサ1は、例えばワイヤボンディングにより実装されていてもよい。
【0064】
実装構造3では、例えば、第1の外部電極15にサージ電流が流入した場合、第1の放電用内部導体23の端部23bと第2の放電用内部導体24の端部24bとの間で放電が生じる。このため、第1の外部電極15から流入したサージ電流は、第1の放電用内部導体23、第1の内部空間21及び第2の放電用内部導体24を経由して第3の外部電極17a、17bに流入する。
【0065】
同様に、例えば第2の外部電極16にサージ電流が流入した場合、第3の放電用内部導体25の端部25bと第4の放電用内部導体26の端部26bとの間で放電が生じる。このため、第2の外部電極16から流入したサージ電流は、第3の放電用内部導体25、第2の内部空間22及び第4の放電用内部導体26を経由して第3の外部電極17a、17bに流入する。
【0066】
ここで、第3の外部電極17a、17bは、図7に示すように、第3のランド33に電気的に接続されている。このため、第3の外部電極17a、17bに流入したサージ電流は、第3のランド33を経由して、サージリーク回路34に流れる。このため、積層コンデンサ1のコンデンサ部10gをサージ電流から効果的に保護することができる。
【0067】
また、本実施形態では、第1の放電用内部導体23の端部23aと第2の放電用内部導体24の端部24bとの間における放電は、第1の内部空間21において発生する。第3の放電用内部導体25の端部25bと第4の放電用内部導体26の端部26bとの間における放電は、第2の内部空間22において発生する。このため、コンデンサ本体10の表面状態の変化は、端部23aと端部24bとの間における放電、並びに端部25bと端部26bとの間における放電に実質的に影響を及ぼさない。従って、コンデンサ本体10の表面状態の変化に伴う放電開始電圧の変化を抑制することができるため、実装構造3では、コンデンサ本体10の表面状態に関わらず、常に高いサージ耐圧が得られる。また、コンデンサ本体10の表面形状に左右されず、安定した放電性能、サージ耐圧が得られる。
【0068】
さらに、上述のように、本実施形態では、サージ電流は第3の外部電極17a、17bに流出する。このため、実装基板2に形成された回路をサージ電流から効果的に保護することができる。
【0069】
本実施形態では、端部23bと端部24bとの間の距離、端部25bと端部26bとの間の距離を調節することにより放電特性を制御することができる。従って、第1の外部電極15、第2の外部電極16及び第3の外部電極17a、17bの相互間距離の設計自由度が高い。例えば、第1の外部電極15と第2の外部電極16とを比較的近接して配置することができる。従って、積層コンデンサ1、ひいては実装構造3を小型化することが可能となる。
【0070】
本実施形態では、第2の放電用内部導体24と第4の放電用内部導体26とが電気的に接続されている。
【0071】
本実施形態では、第1の内部空間21と第2の内部空間22とのそれぞれは、外部に開口する溝状に形成されている。このため、例えば第1及び第2の内部空間21,22が閉空間である場合とは異なり、第1及び第2の内部空間21,22内において膨張したガスに起因して積層コンデンサ1が損傷するおそれがない。
【0072】
本実施形態では、第1の外部電極15と第3の外部電極17a、17bとの間と、第2の外部電極16と第3の外部電極17a、17bとの間との両方に放電経路が形成されている。このため、第1の外部電極15と第2の外部電極16との間の方向性が指定されない。例えば、第2の外部電極16を入力側回路に電気的に接続してもよい。従って、積層コンデンサ1を容易に実装することができる。
【0073】
本実施形態では、第1〜第4の放電用内部導体23〜26が第1の外層部10hに形成されている。より具体的には、第1〜第4の放電用内部導体23〜26は、同一の層に形成されている。このため、第1〜第4の放電用内部導体23〜26を同時に形成することが可能となる。従って、積層コンデンサ1の製造工程を簡単にすることができる。
【0074】
但し、第1〜第4の放電用内部導体23〜26は、必ずしも同一の層に形成されていなくてもよい。例えば、第3の放電用内部導体25と第4の放電用内部導体26とは、第2の外層部10iに形成されていてもよい。
【0075】
本実施形態では、第1〜第4の放電用内部導体23〜26を各ひとつずつ設ける例について説明した。但し、第1〜第4の放電用内部導体23〜26をそれぞれ複数設けてもよい。例えば、第1の放電用内部導体23及び第2の放電用内部導体24を有する第1の放電経路51、並びに第3の放電用内部導体25及び第4の放電用内部導体26を有する第2の放電経路52の少なくとも一方を並列に複数設けてもよい。
【0076】
以下、本実施形態に係る積層コンデンサ1の製造方法の一例について説明する。但し、積層コンデンサの製造方法は以下の製造方法に限定されない。
【0077】
まず、複数のセラミックグリーンシートと、第1及び第2の内部電極12,13、第1〜第4の放電用内部導体23〜26及び第1〜第3の外部電極15,16,17a、17bを形成するための導電性ペーストを用意する。導電性ペーストは、例えばバインダーや有機溶剤などを含むものであってもよい。第1〜第3の外部電極15,16,17a、17bを形成するための導電性ペーストには、ガラス成分が含まれることが多い。
【0078】
次に、セラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷法などにより導電性ペーストを所望の形状に塗布する。導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを、適宜、複数枚積層することにより未焼成のマザー積層体を作製する。必要に応じて、未焼成のマザー積層体を、静水圧プレスなどにより積層方向に加圧することによって積層されたセラミックグリーンシートを相互に圧着させてもよい。
【0079】
次に,マザー積層体に第1及び第2の内部空間21,22を形成する。第1及び第2の内部空間21,22の形成方法は特に限定されない。第1及び第2の内部空間21,22は、例えば、NCパンチやレーザーなどを用いて形成することができる。第1及び第2の内部空間21,22の形成は、下記焼成工程の後に行ってもよい。
【0080】
次に、マザー積層体を所定の形状寸法に切断することにより、未焼成のセラミック積層体を複数作製する。
【0081】
その後、セラミック積層体を焼成させる。焼成温度は、セラミックや内部電極の材質などにより適宜設定される。焼成温度は、例えば900〜1300℃程度に設定することが好ましい。
【0082】
次に、焼成後のセラミック積層体の両端面に第1及び第2の外部電極15,16形成用の導電性ペーストを塗布し、焼成させることにより第1及び第2の外部電極15,16を形成し、積層コンデンサ1を完成させる。焼成温度は、使用する導電性ペーストに応じて適宜設定される。焼成温度は、例えば、700〜900℃程度であることが好ましい。焼成雰囲気は、大気、窒素、(水蒸気+窒素)などの雰囲気の中から使用する導電性ペーストなどに応じて適宜選択する。
【0083】
なお、第1及び第2の外部電極15,16をコファイア法やポストファイア法などにより形成してもよい。さらに、第1及び第2の外部電極15,16をメッキにより形成してもよい。第1及び第2の外部電極15,16の形成は、第1及び第2の内部電極12,13の形成と同時に行ってもよい。
【0084】
以下、変形例及びその他の実施形態について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0085】
(変形例1)
上記第1の実施形態では、図8に示すように、第1及び第2の内部空間21,22が実装基板2とは反対側を向くように積層コンデンサ1が実装されている例について説明した。但し、積層コンデンサ1の実装態様は特に限定されない。例えば、図9に示すように、積層コンデンサ1は、第1及び第2の内部空間21,22が実装基板2側を向くように実装されていてもよい。この場合、第1及び第2の内部空間21,22にゴミやホコリなどが進入することを抑制することができる。
【0086】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、第1の内部空間21と第2の内部空間とが隔離されている例について説明した。但し、第1の内部空間と第2の内部空間とは、一体に形成されていてもよい。換言すれば、第1の内部空間と第2の内部空間とは、相互に連続した空間であってもよい。すなわち、図10に示すように、第1の内部空間と第2の内部空間とが一体化された内部空間40を形成してもよい。この場合、ひとつの内部空間40のみを形成すれば足りる。従って、第1の内部空間と第2の内部空間とを形成する場合と比較して、積層コンデンサの製造工程の簡略化・容易化を図ることができる。
【0087】
なお、第2の放電用内部導体24と第4の放電用内部導体26とは、図10に示すように、電気的に相互に絶縁されていてもよいし、電気的に相互に接続されていてもよい。
【0088】
(第3の実施形態)
図11に示すように、第1〜第4の放電用内部導体23〜26は、平面視において、第1及び第2の内部電極12,13とは異なる位置に配置されていてもよい。この場合、第1〜第4の放電用内部導体23〜26と第1及び第2の内部電極12,13との間で浮遊容量が形成されることを抑制することができる。従って、積層コンデンサの容量ばらつきを効果的に低減することができる。
【0089】
なお、第1〜第4の放電用内部導体23〜26のうちのいくつかのみを第1及び第2の内部電極12,13とは異なる位置に配置してもよい。例えば、第1及び第2の放電用内部導体23,24のみを第1及び第2の内部電極12,13とは異なる位置に配置してもよい。また、第3及び第4の放電用内部導体25,26のみを第1及び第2の内部電極12,13とは異なる位置に配置してもよい。これらの場合であっても、積層コンデンサの容量ばらつきを低減することができるという効果がある程度は得られる。
【0090】
(第4の実施形態)
第1〜第4の放電用内部導体23〜26の形状は、特に限定されない。例えば、図12に示すように、第1〜第4の放電用内部導体23〜26のそれぞれは、略直線状に形成されていてもよい。この場合において、第1及び第2の放電用内部導体23,24が同一直線状に配置されており、第3及び第4の放電用内部導体25,26が同一直線状に配置されていることが好ましい。第1の放電経路51と第2の放電経路52とのそれぞれを短くすることができるため、円滑にサージ電流を逃がすことができるからである。
【0091】
(第5の実施形態)
図13に示すように、第1〜第4の放電用内部導体23〜26のそれぞれは、幅が相互に異なる複数の部分を有していてもよい。本実施形態では、第1の放電用内部導体23の端部23aが比較的幅広に形成されている一方、第1の放電用内部導体23の端部23bが比較的幅狭に形成されている。同様に、第3の放電用内部導体25の端部25aが比較的幅広に形成されている一方、第3の放電用内部導体25の端部25bが比較的幅狭に形成されている。第2の放電用内部導体24の端部24aが比較的幅広に形成されている一方、第2の放電用内部導体24の端部24bが比較的幅狭に形成されている。同様に、第4の放電用内部導体26の端部26aが比較的幅広に形成されている一方、第4の放電用内部導体26の端部26bが比較的幅狭に形成されている。
【0092】
このように、第1及び第3の放電用内部導体23,25の端部23a、25aを幅広に形成することによって、第1、第2の外部電極15,16と第1、第3の放電用内部導体23,25との接続信頼性を高めることができる。同様に、第2及び第3の放電用内部導体24,26の端部24a、26aを幅広に形成することによって、第3の外部電極17a、17bと第2、第4の放電用内部導体24,26との接続信頼性を高めることができる。
【0093】
また、第1及び第3の放電用内部導体23,25の端部23b、25bを幅狭に形成することによって、第1、第2の内部空間21,22において放電しやすくすることができる。同様に、第2及び第4の放電用内部導体24,26の端部24b、26bを幅狭に形成することによって、第1、第2の内部空間21,22において放電しやすくすることができる。
【0094】
(第6の実施形態)
上記第1の実施形態では、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれの平面視形状が矩形である例について説明した。但し、本発明において、内部空間の形状は限定されない。例えば、図14に示すように、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれの平面視形状は略円形であってもよい。具体的には、本実施形態では、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれは、ビアホールにより形成されている。このように、第1及び第2の内部空間21,22の平面視形状を略円形とすることにより、内部空間21,22の横断面積を小さくすることができる。従って、コンデンサ本体10の剛性を高くすることができる。
【0095】
(第7の実施形態)
上記第1の実施形態では、第1の放電経路51と第2の放電経路52との両方が設けられている例について説明した。但し、第1の放電経路51と第2の放電経路52との両方を設ける必要は必ずしもない。例えば、第1の外部電極15と第2の外部電極16とのうちのいずれが入力側になるかが決定されている場合は、ひとつの放電経路のみを設けてもよい。本実施形態では、第1の外部電極15が入力側回路に電気的に接続される。このため、図15及び図16に示すように、第1の放電経路51のみを形成した場合であっても、積層コンデンサをサージ電流から十分に保護することができる。
【0096】
なお、この場合は、第1の外部電極15と第2の外部電極16との間の入出力の方向を示すマークなどをコンデンサ本体10などに形成しておくことが好ましい。
【0097】
(第8の実施形態)
上記第1の実施形態では、第1の外層部10hにのみ放電経路を形成する例について説明した。但し、第1の外層部10hに放電経路を形成すると共に、第2の外層部10iにも1または複数の放電経路を形成してもよい。
【0098】
例えば、図17に示すように、第2の外層部10iに第3の放電経路53と第4の放電経路54とをさらに形成してもよい。第3の放電経路53は、第5の放電用内部導体42と、第6の放電用内部導体45と、第3の内部空間43とを備えている。第5の放電用内部導体42の一端は、第1の外部電極15に電気的に接続されており、第5の放電用内部導体42の他端は第3の内部空間43に露出している。第6の放電用内部導体45の一端は、第3の外部電極17aに電気的に接続されており、第6の放電用内部導体45の他端は、第3の内部空間43に露出している。第4の放電経路54は、第7の放電用内部導体46と、第8の放電用内部導体48と、第4の内部空間47とを備えている。第7の放電用内部導体46の一端は、第2の外部電極16に電気的に接続されており、第7の放電用内部導体46の他端は、第4の内部空間47に露出している。第8の放電用内部導体48の一端は、第3の外部電極17bに電気的に接続されており、第8の放電用内部導体48の他端は、第4の内部空間47に露出している。
【0099】
本実施形態では、第1の外層部10hと第2の外層部10iとのそれぞれに、第1の外部電極15に電気的に接続された放電経路と第2の外部電極16に電気的に接続された放電経路との両方が形成されている。このため、第1の外部電極15と第2の外部電極16との間の方向性と、上下の方向性との両方がなくなる。従って、積層コンデンサ1の実装が容易となる。
【0100】
(第9の実施形態)
図18に示すように、第1の放電経路51と、第4の放電経路54のみを設けてもよい。この場合であっても、積層コンデンサ1の上下左右の方向性がなくなる。従って、積層コンデンサの実装が容易となる。また、上記第8の実施形態の場合と比較して、必要な放電用内部導体や内部空間の数が少なくなる。このため、積層コンデンサの製造が容易となるとともに、積層コンデンサの剛性を高めることができる。
【0101】
(第10の実施形態)
上記第1の実施形態では、第1及び第2の内部空間21,22が解放空間である例について説明した。但し、本発明において、内部空間は閉空間であってもよい。例えば、図21及び図22に示すように、第1及び第2の内部空間21,22をコンデンサ本体10の内部に閉空間として形成してもよい。内部空間21,22を閉空間とすることで、内部空間21,22へのゴミなどの進入を抑制することができる。
【0102】
なお、内部空間が閉空間である積層コンデンサは、溝状の内部空間を形成した後に、内部空間の上にさらに誘電体層を積層することにより作製することができる。
【0103】
(第11の実施形態)
図23及び図24に示すように、第1及び第2の内部空間21,22のそれぞれを、第1の側面10cと第2の側面10dとに開口する貫通孔に形成せいてもよい。これによれば、第1及び第2の内部空間21,22へのゴミ等の進入を抑制することができる。また、第1及び第2の内部空間21,22内のガスの膨張に伴う積層コンデンサの破壊を抑制することができる。
【0104】
(第12の実施形態)
第3の外部電極17a及び第3の外部電極17bは一体に形成されていてもよい。例えば、図25に示すように、第1及び第2の主面10a、10bと第1及び第2の側面10c、10dの上に位置するリング状の第3の外部電極17cを形成してもよい。これによれば、第3の外部電極17cと第3のランド33との接触面積を大きくすることができる。従って、第3の外部電極17cと第3のランド33との接続信頼性を向上することができる。
【0105】
(その他の変形例)
第1〜第3の外部電極15,16,17a,17bの表面に1または複数層のメッキ層が形成されていてもよい。メッキ層の形成材料は特に限定されない。メッキ層の形成材料は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Au等の金属、またはこれらの1種以上を含むPd−Ag合金等の合金であってもよい。メッキ層1層あたりの厚さは、例えば、1〜10μm程度であることが好ましい。さらに、メッキ層と第1〜第3の外部電極15,16,17a,17bとの間に、応力緩和用の樹脂層が形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】第1の実施形態における積層コンデンサの斜視図。
【図2】図1におけるII−II矢視図。
【図3】図1におけるIII−III矢視図。
【図4】図2におけるIV−IV矢視図。
【図5】図2におけるV−V矢視図。
【図6】図2におけるVI−VI矢視図。
【図7】第1の実施形態における積層コンデンサの実装構造の側面図。
【図8】第1の実施形態における積層コンデンサの実装構造の平面図。
【図9】変形例1における積層コンデンサの実装構造の平面図。
【図10】第2の実施形態における積層コンデンサの横断面図。
【図11】第3の実施形態における積層コンデンサの横断面図。
【図12】第4の実施形態における積層コンデンサの横断面図。
【図13】第5の実施形態における積層コンデンサの横断面図。
【図14】第6の実施形態における積層コンデンサの横断面図。
【図15】第7の実施形態における積層コンデンサの縦断面図。
【図16】図15におけるXVI−XVI矢視図。
【図17】第8の実施形態における積層コンデンサの縦断面図。
【図18】第9の実施形態における積層コンデンサの縦断面図。
【図19】図18におけるXIX−XIX矢視図。
【図20】図18におけるXX−XX矢視図。
【図21】第10の実施形態における積層コンデンサの縦断面図。
【図22】図21におけるXXII−XXII矢視図。
【図23】第11の実施形態における積層コンデンサの縦断面図。
【図24】図23におけるXXIV−XXIV矢視図。
【図25】第12の実施形態における積層コンデンサの斜視図。
【符号の説明】
【0107】
1 …積層コンデンサ
2 …実装基板
3 …実装構造
10 …コンデンサ本体
10a …第1の主面
10b …第2の主面
10c …第1の側面
10d …第2の側面
10e …第1の端面
10f …第2の端面
10g …コンデンサ部
10h …第1の外層部
10i …第2の外層部
11 …誘電体層積層体
11a …誘電体層
12 …第1の内部電極
13 …第2の内部電極
15 …第1の外部電極
16 …第2の外部電極
17a …第3の外部電極
17b …第3の外部電極
17c …第3の外部電極
21 …第1の内部空間
22 …第2の内部空間
23 …第1の放電用内部導体
24 …第2の放電用内部導体
25 …第3の放電用内部導体
26 …第4の放電用内部導体
30 …基板本体
31 …第1のランド
32 …第2のランド
33 …第3のランド
34 …サージリーク回路
40 …内部空間
42 …第5の放電用内部導体
43 …第3の内部空間
45 …第6の放電用内部導体
46 …第7の放電用内部導体
47 …第4の内部空間
48 …第8の放電用内部導体
51 …第1の放電経路
52 …第2の放電経路
53 …第3の放電経路
54 …第4の放電経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層を有し、内部に放電用の第1の内部空間が形成されたコンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体の外表面上に形成された第1の外部電極と、
前記コンデンサ本体の外表面上に形成されており、前記第1の外部電極とは電気的に絶縁された第2の外部電極と、
前記コンデンサ本体の内部に配置されており、前記第1の外部電極と電気的に接続された第1の内部電極と、
前記コンデンサ本体の内部において、前記誘電体層を介して前記第1の内部電極と対向するように配置されており、前記第2の外部電極と電気的に接続された第2の内部電極と、
前記コンデンサ本体の外表面上に形成されており、前記第1及び第2の外部電極並びに前記第1及び第2の内部電極のいずれにも電気的に絶縁された第3の外部電極と、
前記コンデンサ本体の内部に配置されており、一方の端部が前記第1の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が前記第1の内部空間に露出している第1の放電用内部導体と、
前記コンデンサ本体の内部において前記第1の放電用内部導体と隔てられて配置されており、一方の端部が前記第3の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が前記第1の内部空間に露出している第2の放電用内部導体とを備える積層コンデンサ。
【請求項2】
前記コンデンサ本体は、互いに対向する第1の主面及び第2の主面と、互いに対向する第1の側面及び第2の側面と、互いに対向する第1の端面及び第2の端面とを有し、
前記第1の内部電極と、前記第2の内部電極とが前記誘電体層を介して積層されている前記コンデンサ本体の部分がコンデンサ部を構成しており、
前記コンデンサ本体の前記コンデンサ部よりも前記第1の主面側に位置する部分が第1の外層部を構成しており、
前記コンデンサ本体の前記コンデンサ部よりも前記第2の主面側に位置する部分が第2の外層部を構成している、請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記コンデンサ本体の内部には、放電用の第2の内部空間がさらに形成されており、
前記コンデンサ本体の内部に配置されており、一方の端部が前記第2の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が前記第2の内部空間に露出している第3の放電用内部導体と、
前記コンデンサ本体の内部において前記第3の放電用内部導体と隔てられて配置されており、一方の端部が前記第3の外部電極に電気的に接続されており、他方の端部が前記第2の内部空間に露出している第4の放電用内部導体とを備える、請求項1または2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記第2の放電用内部導体と、前記第4の放電用内部導体とが電気的に接続されている、請求項3に記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とが一体に形成されている、請求項3または4に記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
平面視した際に、前記第1及び第2の放電用内部導体は、前記第1及び第2の内部電極とは重ならない位置に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
平面視した際に、前記第3及び第4の放電用内部導体は、前記第1及び第2の内部電極とは重ならない位置に配置されている、請求項3〜6のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項8】
前記第1の放電用内部導体と前記第2の放電用内部導体とのそれぞれは略直線状に形成されており、前記第1の放電用内部導体と前記第2の放電用内部導体とは、同一直線上に配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項9】
前記第3の放電用内部導体と前記第4の放電用内部導体とのそれぞれは略直線状に形成されており、前記第3の放電用内部導体と前記第4の放電用内部導体とは、同一直線上に配置されている、請求項3〜8のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項10】
前記第1の放電用内部導体の前記第1の外部電極側の端部は、前記第1の放電用内部導体の前記第1の内部空間側の端部よりも幅広に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項11】
前記第3の放電用内部導体の前記第1の外部電極側の端部は、前記第3の放電用内部導体の前記第1の内部空間側の端部よりも幅広に形成されている、請求項3〜10のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項12】
前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とは、共に前記第1の外層部に形成されている、請求項3〜11に記載の積層コンデンサ。
【請求項13】
前記第1の内部空間が前記第1の外層部に形成されている一方、前記第2の内部空間は、前記第2の外層部に形成されている、請求項3〜12に記載の積層コンデンサ。
【請求項14】
前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とは、前記コンデンサ本体の平面視における中心を厚み方向に貫通する仮想直線に対して対称に位置している、請求項3〜13に記載の積層コンデンサ。
【請求項15】
前記第1の内部空間は、前記コンデンサ本体の外表面に開口している、請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項16】
前記第2の内部空間は、前記コンデンサ本体の外表面に開口している、請求項3〜15のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項17】
前記第1の内部空間は閉空間である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項18】
前記第2の内部空間は閉空間である、請求項3〜17のいずれか一項に記載の積層コンデンサ。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の積層コンデンサと、
前記積層コンデンサが実装された実装基板とを備え、
前記実装基板は、前記第1の外部電極に電気的に接続された第1のランドと、前記第2の外部電極に電気的に接続された第2のランドと、前記第3の外部電極に電気的に接続された第3のランドとを有する積層コンデンサの実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−266980(P2009−266980A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113344(P2008−113344)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】