説明

積層セラミックキャパシタ

【課題】本発明は積層セラミックキャパシタに関する。
【解決手段】本発明による積層セラミックキャパシタは、対向する第1側面及び第2側面、第1側面及び第2側面を連結する第3側面及び第4側面を有するセラミック本体と、セラミック本体の内部に形成され、第3側面または第4側面に一端が露出する複数個の内部電極と、第3側面または第4側面に形成され、内部電極と電気的に連結される外部電極と、内部電極と交互に積層され、セラミック粉末からなる誘電体層とを含み、セラミック粉末の粒径が130μm以下であることを特徴とする。これにより、セラミック粉末とチップ誘電率及び誘電体の厚さを調節することで、積層セラミックキャパシタで発生される音響ノイズ(acoustic noise)を減少させることができる効果がある。よって、積層セラミックキャパシタが用いられる電子製品の騷音も減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層セラミックキャパシタに関し、より詳細には、積層セラミックキャパシタに電圧印加時発生する音響ノイズ(acoustic noise)を減らすことができる積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に積層セラミックキャパシタは小型ながらも高容量が保障され、実装が容易である長所により、コンピューター、PDA、携帯電話などの移動通信装置の部品として広く用いられている。最近では、電子製品が小型化及び多機能化されるにつれ、チップ部品も小型化及び高機能化される傾向にあるため、積層セラミックキャパシタもサイズが小さくて容量の大きい製品が求められている。
【0003】
従来の積層セラミックキャパシタはセラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して内部電極を形成する。内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを数十から数百層まで重積してグリーンセラミック積層体を作る。その後、グリーンセラミック積層体を高温及び高圧で圧着し強硬なグリーンセラミック積層体を作り、切断工程を経てグリーンチップを製造する。その後、グリーンチップを仮焼及び焼成してから外部電極を形成して積層セラミックキャパシタを完成する。
【0004】
しかし、このような方式により形成される従来の高容量積層セラミックキャパシタでは、セラミックグリーンシートを形成する際、強誘電体を使用するため、交流あるいは直流電圧を印加すると、圧電効果(piezo effect)により積層セラミックキャパシタの振動が基板に伝わって音響ノイズ(acoustic noise)が発生する。このような音響ノイズ(acoustic noise)は積層セラミックキャパシタが用いられた電子製品を使用する際、騷音となる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術の問題点を解決するためのもので、音響ノイズ(acoustic noise)を大きく減らすことができる積層セラミックキャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の本発明の課題を解決するための本発明の技術的な側面は、対向する第1側面及び第2側面、第1側面及び第2側面を連結する第3側面及び第4側面を有するセラミック本体と、セラミック本体の内部に形成され、第3側面または第4側面に一端が露出する複数個の内部電極と、第3側面または第4側面に形成され、内部電極と電気的に連結される外部電極と、内部電極と交互に積層され、セラミック粉末からなる誘電体層とを含み、セラミック粉末の粒径が130μm以下であることを特徴とする積層セラミックキャパシタを提供することである。
【0007】
また、誘電体層は、セラミック粉末の粒径が50μm以上であることを特徴とする。
【0008】
また、セラミック粉末はBaTiO粉末を含むことを特徴とする。
【0009】
また、誘電体層はマンガン(Mn)酸化物、イットリウム(Y)酸化物、ジスプロシウム(Dy)酸化物、マグネシウム(Mg)酸化物、ケイ素(Si)酸化物からなる群より選択された1つ以上をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、下記数学式で算出されるチップ誘電率の範囲は300〜3400である。
【0011】
【数1】

【0012】
ここで、εはチップ誘電率、εは真空の誘電率、Cpは積層セラミックキャパシタの容量、Tは誘電体層の厚さ、Aは積層された内部電極のオーバーラップ(overlap)面積、nは積層数であることを特徴とする。
【0013】
また、内部電極の積層方向に隣り合う内部電極間の間隔である誘電体層の厚さの範囲は0.5μm〜7μmであることを特徴とする。
【0014】
また、誘電体層のグレーン直径の平均値(Rg)の範囲が53μm〜138μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、セラミック粉末とチップ誘電率及び誘電体の厚さを調節することで、積層セラミックキャパシタで発生される音響ノイズ(acoustic noise)を減少させることができる効果がある。これにより、積層セラミックキャパシタが用いられる電子製品の騷音も減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【図2】図1のB−B'方向の断面図である。
【図3a】誘電体層の厚さを測定した方法を説明するための図1のA−A'方向の断面図である。
【図3b】図1のC−C'方向からみた断面のうち、図3aのP2部分の一部を拡大した写真である。
【図4】平均グレーン直径を測定した方法を説明するための誘電体の一部分の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を添付した図面を参照して説明する。
【0018】
本発明は説明される実施例に限定されず、本発明の実施例は本発明の技術的思想を理解しやすくするために用いられる。本発明に参照された図面において、実質的に同じ構成と機能を有する構成要素は同じ符号を使用する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
【0020】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタはセラミック本体100及び外部電極200a、200bを含むことができる。
【0021】
上記セラミック本体100はその内部に複数の誘電体層が積層され、複数の誘電体層を介して第1内部電極120aと第2内部電極120bが対向するように交互に積層されることができる。
【0022】
上記セラミック本体100は、対向する第1側面及び第2側面、上記第1側面及び第2側面を連結する第3側面及び第4側面を有することができる。
【0023】
上記セラミック粉末はその粒径が50μm〜130μmの範囲であることができる。上記セラミック粉末はBaTiO粉末を主成分として形成されることができ、マンガン(Mn)酸化物、イットリウム(Y)酸化物、ジスプロシウム(Dy)酸化物、マグネシウム(Mg)酸化物、ケイ素(Si)酸化物からなる群より選択された1つ以上を副成分としてさらに含むことができる。
【0024】
上記BaTiO粉末を含むセラミック粉末で誘電体を形成する場合、焼成後に粉末の凝集などによりグレーンサイズとセラミック粉末のサイズが異なるようになる。本発明の一実施形態によると、このグレーン直径の平均値(Rg)は53μm〜138μmの範囲であることができる。
【0025】
図2は図1のB−B'方向の断面図である。
【0026】
図2に示された内部電極120a、120bは上記複数の誘電体層を積層する過程で一誘電体層に形成されたもので、焼結により一誘電体層を介して上記セラミック本体100の内部に形成される。内部電極120a、120bは異なる極性を有する第1内部電極120a及び第2内部電極120bを一対とすることができ、誘電体層の積層方向に沿って対向配置されることができる。上記第1及び第2内部電極の各一端は交互に上記セラミック本体100の両側面に露出されることができる。
【0027】
上記第1及び第2内部電極120a、120bは導電性金属で形成されることができ、これに制限されず、例えば、NiまたはNi合金からなることができる。
【0028】
上記外部電極200a、200bはセラミック本体100の両側板に形成されることができる。上記外部電極200a、200bはセラミック本体100の外表面に露出した第1及び第2内部電極120a、120bと電気的に連結されるように形成されることで、外部端子の役割をすることができる。具体的には、外部電極200a、200bは銅(Cu)を用いて形成することができる。
【0029】
上記セラミック粉末で形成された誘電体層は、下記数学式で算出されるチップ誘電率(ε)の範囲が300〜3400であることができる。
【0030】
【数1】

【0031】
ここで、εはチップ誘電率、εは真空の誘電率、Cpは積層セラミックキャパシタの容量、Tは誘電体層の厚さ(T)、Aは積層された内部電極120a、120bのオーバーラップ(overlap)面積、nは積層数である。
【0032】
また、積層セラミックキャパシタの容量は、150℃で、1時間熱処理を行った後、2時間経過した時点で測定した値である。
【0033】
上記内部電極120a、120bの積層方向に隣り合う内部電極120a、120b間の間隔である誘電体層の厚さ(T)の範囲は0.5μm〜7μmであることができる。
【0034】
以下では、図3a、図3b及び図4を参照し、積層セラミックキャパシタを形成した後、誘電体層の厚さ(T)とグレーン直径の平均値(Rg)を測定した方法を説明する。
【0035】
図3aは誘電体層の厚さ(T)を測定した方法を説明するための図1のA−A'方向の断面図で、図3bは図1のC−C'方向からみた断面のうち、図3aのP2部分の一部を拡大した写真である。
【0036】
図3aに示されたように誘電体層の厚さ(T)を測定するため、内部電極120a、120b層の全長を4等分した後、示されたP1〜P3地点を選択する。上記P1〜P3のうち1つの地点において、図1のC−C'断面方向に光学顕微鏡を利用して写真を撮る。
【0037】
図3bには上記方法により撮影したP1〜P3のうち1つの地点における断面写真が示されている。図3bに示されたように、1〜10地点で誘電体層の厚さ(T)を測定し平均値を算出する。このような方法によりP1〜P3地点で各平均値を算出した後、上記平均値を再び平均して誘電体層の厚さ(T)を算出する。
【0038】
図4はグレーン直径の平均値(Rg)を測定した方法を説明するための誘電体の一部分の写真である。
【0039】
図4を参照すると、グレーン直径の平均値(Rg)は塩酸(HCL)と硝酸(HNO)を希釈した溶液でエッチングした試料を走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)を利用して撮影した後、図4に示されたようにイメージ分析機を利用して測定した。測定の信頼度を高めるために、ランダムに50個の測定点を選定して平均値を求め、グレーン直径の平均値(Rg)を算出した。
【0040】
一方、下記表1はBaTiO粉末のサイズと誘電体層の厚さ(T)、チップ誘電率(ε)、グレーン直径の平均値(Rg)毎に積層セラミックキャパシタを製作し、音響ノイズ(acoustic noise)を評価した結果を示したものである。
【0041】
この際、積層セラミックキャパシタは印刷されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を作った後、圧着、切断、焼成、外部電極200a、200b、メッキなどで製作した。
【0042】
次に、製造された積層セラミックキャパシタの音響ノイズ(acoustic noise)を測定するために、無振動室で製造された積層セラミックキャパシタをテスト基板上に実装し、DC1.25V、100mAで各実施例毎に30回ずつノイズを測定してから平均値を求めた。音響ノイズ(acoustic noise)は、50dBより大きい場合を可聴騷音の基準として設定し、これより5dB小さいと、可聴ノイズが大きく減るため、優れると判定する。該基準で上記測定値を評価し、下記表1に示した。BaTiO粉末のサイズが50μm以下の場合は焼成時粉末の分散が困難で、粒度サイズの制御が困難であるため、除外した。
【0043】
【表1】



【0044】
上記表1を参照すると、比較例1〜12は、BaTiO粉末のサイズが300μmで、焼成後のグレーン直径の平均値(Rg)は321μmであるが、誘電体層の厚さ(T)やチップ誘電率(ε)が変化しても音響ノイズ(acoustic noise)は改善されなかったことが分かる。
【0045】
また、上記表1の比較例28〜39は、チップ誘電率(ε)が2800以下の場合のみ優れると評価された。
【0046】
実施例40〜87は、BaTiO粉末のサイズが130μm以下で、誘電体層の厚さ(T)は0.5−7μmであり、チップ誘電率(ε)は3400以下の全実施例において音響ノイズ(acoustic noise)が45dB以下であり、優れると評価された。
【0047】
また、上記表1の試験結果から、BaTiO粉末のサイズが小さくなるほど、誘電体層の厚さ(T)が厚くなるほど、チップ誘電率(ε)が小さくなるほど、音響ノイズ(acoustic noise)の評価結果がよくなることが分かる。
【0048】
即ち、BaTiO粉末のサイズが50−130μmの場合、チップ誘電率(ε)の範囲が300〜3400の場合、誘電体層の厚さ(T)の範囲が0.5μm〜7μmの場合、音響ノイズ(acoustic noise)が5dB以上減ることが分かる。
【0049】
上述したように、本発明によると、セラミック粉末とチップ誘電率(ε)及び誘電体層の厚さ(T)を調節することで、積層セラミックキャパシタから発生される音響ノイズ(acoustic noise)を減少させることができるという効果がある。これにより、積層セラミックキャパシタが用いられる電子製品の騷音も減少させることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 セラミック本体
120a、120b 内部電極
200a、200b 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1側面及び第2側面、前記第1側面及び第2側面を連結する第3側面及び第4側面を有するセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に形成され、前記第3側面または第4側面に一端が露出する複数個の内部電極と、
前記第3側面または第4側面に形成され、前記内部電極と電気的に連結される外部電極と、
前記内部電極と交互に積層され、セラミック粉末を含む誘電体層と
を含み、
前記セラミック粉末の粒径が130μm以下である積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記セラミック粉末の粒径が50μm以上である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記セラミック粉末はBaTiO粉末を含む、請求項2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記誘電体層は、マンガン(Mn)酸化物、イットリウム(Y)酸化物、ジスプロシウム(Dy)酸化物、マグネシウム(Mg)酸化物、ケイ素(Si)酸化物からなる群より選択された1つ以上をさらに含む、請求項1から3の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
下記数学式で算出されるチップ誘電率の範囲が300〜3400で、

ここで、εはチップ誘電率εは真空の誘電率、Cpは前記積層セラミックキャパシタの容量、Tは前記誘電体層の厚さ、Aは前記積層された内部電極のオーバーラップ(overlap)面積、nは積層数である、請求項1から4の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記内部電極の積層方向に隣り合う内部電極間の間隔である誘電体層の厚さの範囲が0.5μm〜7μmである、請求項1から5の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記誘電体層のグレーン直径の平均値(Rg)の範囲が53μm〜138μmである、請求項1から6の何れか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−182416(P2012−182416A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131477(P2011−131477)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】