説明

積層半導体装置の製造方法

【課題】積層半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁層および絶縁層に接して形成されたSOI層を有するSOI基板であって、SOI基板の表面および裏面の間を貫通する貫通孔と、貫通孔に形成された、表面および裏面の間を電気的に結合する貫通結合部と、を有し、SOI基板の表面または裏面の何れかの面に支持基板を貼り付けたSOI基板を準備する段階と、SOI基板の支持基板が貼付されていない面の貫通結合部が他の基板の所定の位置に電気的に結合するよう、支持基板と他の基板との相対位置を調整する段階と、調整された相対位置を維持しつつSOI基板と他の基板との間隔を狭め、SOI基板と他の基板とを押圧接触させる段階とを備え、相対位置を調整する段階は、支持基板の辺部であってSOI基板が貼付されていない領域に形成された指標と、他の基板の位置指標とに基づき、前記相対位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体基板を積層して接合する積層半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を面積を増やすことなく高性能化することを目的として、複数の半導体チップを積層して接合した積層半導体装置が知られている。積層半導体装置の製造工程において、複数の半導体素子が形成されたウエハ同士を位置合わせした後、接合する場合がある。特許文献1の3次元LSI積層装置では、ウエハに設けられた位置合わせ用のマークを赤外線顕微鏡により確認しながらウエハ同士を位置合わせした後、接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2984441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の動作速度の向上等を目的として、SOI(silicon−on−insulator)層を有するSOI基板に半導体素子が形成される場合がある。SOI基板の辺部は半導体素子の形成には適さない場合があり、上記辺部に上記位置合わせ用のマークを形成することで、上記辺部を有効に利用できる。しかしながら、積層半導体装置の製造工程において、上記辺部が切除されてしまった場合には、上記位置あわせ用のマークも合わせて切除されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、絶縁層および絶縁層に接して形成されたSOI層を有するSOI基板であって、SOI基板の表面および裏面の間を貫通する貫通孔と、貫通孔に形成された、表面および裏面の間を電気的に結合する貫通結合部と、を有し、SOI基板の表面または裏面の何れかの面に支持基板を貼り付けたSOI基板を準備する段階と、SOI基板の支持基板が貼付されていない面の貫通結合部が他の基板の所定の位置に電気的に結合するよう、支持基板と他の基板との相対位置を調整する段階と、調整された相対位置を維持しつつSOI基板と他の基板との間隔を狭め、SOI基板と他の基板とを押圧接触させる段階とを備え、相対位置を調整する段階は、支持基板の辺部であってSOI基板が貼付されていない領域に形成された指標と、他の基板の位置指標とに基き、相対位置を調整する積層半導体装置の製造方法が提供される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】基板貼り合わせ装置200の断面の一例を概略的に示す。
【図2】基板貼り合わせ装置200により貼り合わせられるSOI基板120の平面図の一例を概略的に示す。
【図3】基板貼り合わせ装置200により貼り合わせられるSOI基板120の断面の一例を概略的に示す。
【図4】基板貼り合わせ装置200により貼り合わせられるSOI基板150の断面の一例を概略的に示す。
【図5】SOI基板120とSOI基板150とを貼り合わせて得られた積層半導体基板110の断面の一例を概略的に示す。
【図6】積層半導体装置100の製造方法の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、基板貼り合わせ装置200の断面の一例を概略的に示す。基板貼り合わせ装置200は、例えば、SOI基板120とSOI基板150とを加圧および加熱して貼り合わせることにより、三次元的な積層半導体基板を製造する。基板貼り合わせ装置200は、枠体210と、枠体210の内側に配置された押圧部220と、加圧ステージ230と、受圧ステージ240と、圧力検知部250とを備える。
【0010】
枠体210は、互いに平行で水平な天板212および底板216と、天板212および底板216を結合する複数の支柱214とを備える。天板212、支柱214および底板216は、SOI基板120またはSOI基板150への加圧の反力が作用した場合に変形が生じない程度の剛性を有する。
【0011】
押圧部220は、枠体210の内側において、底板216の上に配置される。押圧部220は、底板216の上面に固定されたシリンダ222と、シリンダ222の内側に配置されたピストン224とを有する。ピストン224は、図示されていない流体回路、カム、輪列等により駆動されて、図中に矢印Zにより示す、底板216に対して直角な方向に昇降する。
【0012】
加圧ステージ230は、ピストン224の上端に搭載される。加圧ステージ230は、ピストン224の上端に結合された水平な板状の支持部232と、支持部232に平行な板状の第1基板保持部234とを有する。
【0013】
第1基板保持部234は、複数のアクチュエータ235を介して、支持部232により支持される。アクチュエータ235は、図示された一対のアクチュエータ235の他に、紙面に対して前方および後方にも配置される。また、これらアクチュエータ235の各々は、相互に独立して動作させることができる。このような構造により、アクチュエータ235を適宜動作させることにより、第1基板保持部234の傾斜を任意に変えることができる。また、第1基板保持部234は、ヒータ236を有しており、当該ヒータ236により加熱される。
【0014】
第1基板保持部234は、静電吸着、真空吸着等により、その上面に、支持基板350を吸着する。第1基板保持部234は、支持基板350のSOI基板150が貼り付けられていない面を吸着する。これにより、支持基板350およびSOI基板150は、第1基板保持部234と共に揺動する一方、支持基板350およびSOI基板150の、第1基板保持部234からの移動または脱落が防止される。
【0015】
受圧ステージ240は、第2基板保持部242および複数の懸架部244を有する。懸架部244は、天板212の下面から垂下される。第2基板保持部242は、懸架部244の下端近傍において下方から支持され、加圧ステージ230に対向して配置される。第2基板保持部242は、ヒータ246を有しており、当該ヒータ246により加熱される。
【0016】
第2基板保持部242は、下方から懸架部244により支持される一方、上方への移動は規制されない。ただし、天板212および第2基板保持部242の間には、複数のロードセル252、254、256が挟まれる。複数のロードセル252、254、256は、圧力検知部250の一部を形成して、第2基板保持部242の上方移動を規制すると共に、第2基板保持部242に対して上方に印加された圧力を検出する。
【0017】
第2基板保持部242は、静電吸着、真空吸着等により、その下面に、支持基板320を吸着する。第2基板保持部242は、支持基板320のSOI基板120が貼り付けられていない面を吸着する。これにより、支持基板320およびSOI基板120は、第2基板保持部242と共に揺動する一方、支持基板320およびSOI基板120の、第2基板保持部242からの移動または脱落が防止される。
【0018】
図1に示した状態では、押圧部220の支柱214はシリンダ222の中に引き込まれており、加圧ステージ230は降下している。従って、加圧ステージ230および受圧ステージ240の間には広い間隙がある。
【0019】
接合の対象となる一対のSOI基板120およびSOI基板150のうち、一方のSOI基板150は、上記間隙に対して側方から挿入されて、加圧ステージ230の上に載せられる。他方のSOI基板120も同様に、上記間隙に対して側方から挿入され、SOI基板150に対向して受圧ステージ240に保持される。SOI基板120は、支持基板320が貼り付けられた状態で基板貼り合わせ装置200の内部に挿入されてもよく、支持基板320が貼り付けられていない状態で基板貼り合わせ装置200の内部に挿入されてもよい。
【0020】
図1に示すとおり、SOI基板120の一方の面には、支持基板320が貼り付けられてよい。同様に、SOI基板150の一方の面には、支持基板350が貼り付けられてよい。本実施形態において、SOI基板120の支持基板320が貼り付けられていない面と、SOI基板150の支持基板350が貼り付けられていない面とが、貼り合わされる。また、図1に示すとおり、本実施形態において、SOI基板120およびSOI基板150の直径は、支持基板320および支持基板350の直径より小さい。
【0021】
SOI基板120およびSOI基板150は、Z方向に直交する平面内で相互に位置合わせされている。SOI基板120とSOI基板150との位置合わせは、基板貼り合わせ装置200により実施されてもよく、または、他の位置合わせ装置によって位置合わせされたSOI基板120およびSOI基板150が、基板貼り合わせ装置200に搬送されてもよい。
【0022】
基板貼り合わせ装置200により、SOI基板120とSOI基板150とを位置合わせする場合、例えば、押圧部220が、第1基板保持部234と第2基板保持部242との、Z方向、Z方向に直角な方向および回転方向における、相対位置を調整してよい。ここで、回転方向とは、Z方向に直交する平面に対する傾きを示す。
【0023】
この場合、押圧部220は、例えば、図示されていない弾性変形体、圧電素子等により駆動されて、第1基板保持部234と第2基板保持部242との相対位置を、サブミクロン、ナノメートル単位で精密に調整してよい。押圧部220は、例えば、図示されていないサーボモータ、送りねじ等により駆動されて、第1基板保持部234と第2基板保持部242との相対位置を、大ストロークで低分解能に粗調整してよい。また、押圧部220は、上記粗調整を実行したのち、上記精密な調整を実行してよい。
【0024】
SOI基板120、支持基板320、SOI基板150および支持基板350が、基板貼り合わせ装置200の所定の位置に配された後、加圧ステージ230が受圧ステージ240に向かって上昇して、SOI基板120とSOI基板150とを押圧する。さらに、押圧中に、ヒータ246、236が加圧ステージ230および受圧ステージ240を加熱する。これにより、SOI基板120とSOI基板150とが接合される。
【0025】
なお、本実施形態において、SOI基板120が、SOI基板150と接合される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、SOI基板120は、Si基板等の他の基板と接合されてもよい。
【0026】
図2は、SOI基板120の断面の一例を概略的に示す。図2に示すとおり、SOI基板120は、基板本体132と、絶縁層134と、SOI層136とを、この順に有する。SOI層136は、絶縁層134に接して形成されてよい。基板本体132は、例えば、シリコン基板であってよい。絶縁層134は、SOI層136から基板本体132への電流のリークを抑制する。本実施形態において、基板本体132は、SOI基板120の裏面129の側に配され、SOI層136は、SOI基板120の表面121の側に配される。
【0027】
SOI基板120は、SOI基板120の表面121および裏面129の間を貫通するスルーホール123を有する。スルーホール123は、貫通孔の一例であってよい。スルーホールは、例えば、エッチング、レーザー加工により形成できる。
【0028】
SOI基板120は、表面121にアライメントマーク124を有する。アライメントマーク124は、代表指標の一例であってよい。本実施形態において、アライメントマーク124は、SOI基板120において、SOI基板120の半導体チップ122が形成された領域の外側に形成される。アライメントマーク124は、例えば、Al等の金属薄膜をエッチング等によりパターニングして形成できる。
【0029】
Z方向から見た、アライメントマーク124の平面形状は、ストライプ状、格子状、十字形状であってよい。アライメントマーク124の別の態様として、特定のバンプ128であってよい。なお、1枚のSOI基板120の中に、複数のアライメントマーク124が含まれてもよい。半導体チップ122の一部をアライメントマーク124として用いてもよい。また、アライメントマーク124は、SOI基板120の裏面129に形成されてもよい。
【0030】
SOI基板120は、複数の半導体チップ122を有する。個々の半導体チップ122は、例えば、接合後のダイシング工程によりSOI基板120から切り出される。半導体チップ122は、SOI層136に形成された半導体素子127と、半導体素子127と他の半導体素子とを電気的に結合するバンプ128と、半導体素子127とバンプ128とを電気的に結合する埋め込み電極126を含む。
【0031】
埋め込み電極126は、貫通結合部の一例であってよい。埋め込み電極126は、スルーホール123に形成され、表面121および裏面129の間を電気的に結合する。埋め込み電極126は、めっき法等により、Cu等の導電性材料をスルーホール123に埋め込むことで形成できる。
【0032】
バンプ128は、例えば、SOI基板120の裏面129に形成される。バンプ128は、裏面129よりも凸に形成される。バンプ128は、埋め込み電極126と電気的に結合する。埋め込み電極126は、半導体素子127とも電気的に結合する。これにより、半導体素子127がSOI基板120の表面121に形成されている場合であっても、半導体素子127とバンプ128とが、埋め込み電極126を介して、電気的に結合する。バンプ128は、例えば、半田又はAu等の導電性材料が用いられる。
【0033】
SOI基板120の表面121には、支持基板320が貼り付けられてよい。SOI基板120と支持基板320は、同心円状に貼り付けられてよい。支持基板320は、シリコン基板であってよい。本実施形態において、SOI基板120は、支持基板320が貼り付けられる前に、外周部が切除されて直径が小さくなるよう加工される。これにより、支持基板320の辺部322には、SOI基板120が貼付されていない領域324が形成される。
【0034】
領域324には、指標326が形成されてよい。指標326は、基板の位置合わせ用のフィディシャルマーク(Fiducial Mark)であってよい。指標326は、例えば、レーザ照射法などを用いて、レーザーにより形成できる。指標326は、SOI基板120に形成されるアライメントマーク124または半導体素子127の位置、大きさ等に関係なく、領域324の任意の位置に、任意の形状で形成できる。これにより、指標326を位置合わせ用の指標として用いることで、簡便で、精度よく位置合わせできる。また、積層半導体装置の製造工程において、アライメントマーク124が切除等される場合であっても、位置合わせできる。
【0035】
なお、本実施形態において、SOI基板120の表面121に、支持基板320が貼り付けられ、バンプ128がSOI基板120の裏面129に形成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、SOI基板120の裏面129に支持基板320が貼り付けられ、SOI基板120の表面121にバンプ128が形成されてもよい。
【0036】
図3は、SOI基板120の平面図の一例を概略的に示す。図3に示すとおり、SOI基板120には、多数の半導体チップ122が縦横に形成される。SOI基板120には、SOI基板120の埋め込み電極126の位置を代表するアライメントマーク124が形成されてよい。支持基板320のSOI基板120が貼付されていない領域324には、指標326が形成されてよい。支持基板320は、ノッチ328を有してよい。ノッチは、方位目印の一例であってよい。
【0037】
図4は、SOI基板150の断面の一例を概略的に示す。SOI基板150は、他の基板の一例であってよい。SOI基板150は、SOI基板120と同様の構成を有してよい。SOI基板150は、基板本体162と、絶縁層164と、SOI層166とを、この順に有する。基板本体162、絶縁層164およびSOI層166は、それぞれ、基板本体132、絶縁層134およびSOI層136と同様の構成を有するので、説明は省略する。本実施形態において、基板本体162は、SOI基板150の裏面159の側に配され、SOI層166は、SOI基板150の表面151の側に配される。
【0038】
SOI基板150の表面151には、支持基板350が貼り付けられてよい。支持基板350の辺部352には、SOI基板150が貼付されていない領域354が形成されてよい。支持基板350、辺部352および領域354は、それぞれ、支持基板320、辺部322および領域324と同様の構成を有するので、説明は省略する。領域354には、指標356が形成されてよい。指標356は、他の基板の位置指標の一例であってよい。指標356は、指標326と同様の構成を有してよい。
【0039】
SOI基板150は、SOI基板150の表面151および裏面159の間を貫通するスルーホール153を有する。スルーホール153は、貫通孔の一例であってよい。スルーホール153は、例えば、エッチング、レーザー加工により形成できる。
【0040】
SOI基板150は、複数の半導体チップ152を有する。半導体チップ152は、半導体チップ122と同様の構成を有してよい。本実施形態において、半導体チップ152は、埋め込み電極156と、半導体素子157と、バンプ158とを含む。埋め込み電極156、半導体素子157およびバンプ158は、それぞれ、埋め込み電極126、半導体素子127およびバンプ128と同様の構成を有するので、説明を省略する。
【0041】
SOI基板150は、SOI基板120のアライメントマーク124と同様のアライメントマーク154を有してよい。アライメントマーク154は、他の基板の位置指標の一例であってよい。
【0042】
図5は、積層半導体基板110の断面の一例を概略的に示す。本実施形態において、積層半導体基板110は、SOI基板120とSOI基板150とが積層されて得られる。図5に示すとおり、SOI基板120およびSOI基板150は、SOI基板120の裏面129に形成されたバンプ128と、SOI基板150の裏面159に形成されたバンプ158とを介して接合される。これにより、SOI基板120に形成された半導体チップ122と、SOI基板150に形成された半導体チップ152とが積層されて、積層半導体装置100が得られる。
【0043】
積層半導体基板110は、例えば、基板貼り合わせ装置200を用いて、バンプ128とバンプ158とが接合するように、SOI基板120とSOI基板150との相対位置が調整された後、SOI基板120とSOI基板150とが貼り合わせられて得られる。積層半導体基板110には、複数の積層半導体装置100が形成されてよい。ダイシング等により積層半導体基板110を切断することで、個々の積層半導体装置100が得られる。
【0044】
なお、本実施形態において、SOI基板120の裏面129と、SOI基板150の裏面159とが対向するように、SOI基板120およびSOI基板150が貼り合わせられる場合について説明したが、SOI基板120およびSOI基板150の貼り合わせ方法は、これに限定されない。例えば、SOI基板120の裏面129と、SOI基板150の表面151とが対向するように貼り合わせられてよく、SOI基板120の表面121と、SOI基板150の裏面159とが対向するように貼り合わせられてよい。また、SOI基板120の表面121と、SOI基板150の表面151とが対向するように貼り合わせられてもよい。
【0045】
図6は、積層半導体装置100の製造方法の一例を示す。図5に関連して説明したとおり、積層半導体装置100は、積層半導体基板110を切断して得られる。積層半導体基板110は、例えば、基板貼り合わせ装置200を用いて製造できる。以下、半導体チップ122と半導体チップ152とを積層して得られる積層半導体装置100を例として、積層半導体装置の製造方法を説明する。
【0046】
本実施形態では、S602において、SOI基板120およびSOI基板150が準備される。SOI基板120は、例えば、以下の手順により準備できる。まず、基板本体132と絶縁層134とSOI層136とをこの順に有するSOI基板を準備する。SOI基板は、市販のSOI基板であってよい。
【0047】
半導体製造プロセスを用いて、SOI層136にアライメントマーク124および半導体素子127が形成される。レーザー加工により上記SOI基板にスルーホール123が形成された後、めっき法により、スルーホール123に埋め込み電極126が形成され、SOI基板120が得られる。また、SOI基板120は、外周部がトリミングされてよい。これにより、SOI基板120の直径は、上記市販のSOI基板の直径より小さくなる。
【0048】
次に、SOI基板120の表面121に、支持基板320が貼付される。なお、支持基板320のSOI基板120が貼付されない領域324には、指標326が形成されてよい。指標326は、支持基板320がSOI基板120に貼付される前に形成されてもよく、支持基板320がSOI基板120に貼付された後に形成されてもよい。以上により、SOI基板120を準備できる。SOI基板150も、SOI基板120と同様の手順により準備できる。
【0049】
本実施形態では、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を調整する前に、S604において、SOI基板120のアライメントマーク124と、支持基板320の指標326との相対位置関係が予め測定される。上記相対位置関係の測定は、例えば、赤外線顕微鏡等による観察により実施できる。同様に、SOI基板150のアライメントマーク154と、支持基板350の指標356との相対位置関係も、予め測定されてよい。
【0050】
本実施形態では、SOI基板120とSOI基板150との相対位置が調整される前に、S606において、SOI基板120とSOI基板150との相対位置が粗調整される。上記相対位置の粗調整は、支持基板320のノッチ328を利用して実施されてよい。例えば、Z方向からみて、支持基板320のノッチ328が支持基板350のノッチと合致するように、基板貼り合わせ装置200の第1基板保持部234と第2基板保持部242との、水平方向、回転方向および垂直方向における、相対位置が調整されることで、上記粗調整が実施される。
【0051】
S608において、SOI基板120とSOI基板150との相対位置が調整される。SOI基板120とSOI基板150との相対位置は、SOI基板120のアライメントマーク124と、SOI基板150のアライメントマーク154とが、Z方向からみて一致するように、一方または双方の基板を移動させることで調整してもよい。
【0052】
上記相対位置の調整の別の態様として、上記相対位置の調整において、SOI基板120の支持基板320が貼付されていない裏面129の埋め込み電極126が、SOI基板150の所定の位置に電気的に結合するよう、支持基板320とSOI基板150との相対位置が調整されてよい。これにより、上記相対位置の調整が容易になる。本実施形態においては、SOI基板120の埋め込み電極126が、バンプ128およびバンプ158を介して、SOI基板150の埋め込み電極156に電気的に結合するように、支持基板320とSOI基板150との相対位置が調整される。
【0053】
上記相対位置の調整は、支持基板320の指標326と、SOI基板150のアライメントマーク154とに基づいて調整されてよい。例えば、SOI基板150の位置指標として、支持基板350の指標356を用いて、支持基板320の指標326と支持基板350の指標356とが、Z方向からみて一致するように、上記相対位置を調整してよい。
【0054】
上記相対位置の調整の別の態様として、支持基板320の指標326と、SOI基板150の位置指標と、S604において測定した相対位置関係とに基づき、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を調整してよい。例えば、S604で測定した、アライメントマーク124と指標326との相対位置関係、および、アライメントマーク154と指標356との相対位置関係を用いて、できるだけ多くのバンプ128とバンプ158とが接合できるような、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を計算できる。支持基板320の指標326と、SOI基板150の位置指標と、上記計算結果とを用いて、例えば、以下の手順により、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を調整できる。
【0055】
まず、支持基板350の指標356をSOI基板150の位置指標として用いて、支持基板320の指標326と支持基板350の指標356とが、Z方向からみて一致するように、上記相対位置を調整する。次に、S604で測定された、アライメントマーク124と指標326との相対位置関係、および、アライメントマーク154と指標356との相対位置関係を用いて、できるだけ多くのバンプ128とバンプ158とが接合できるような、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を計算する。そして、指標326と指標356とが一致した位置から、上記計算で得られた位置までSOI基板150を移動させることで、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を調整できる。
【0056】
S604において測定された相対位置関係に基づき、SOI基板120とSOI基板150との相対位置を調整する別の態様として、例えば、指標326および指標356が、それぞれ複数形成されている場合を例示できる。この場合において、S604において測定された相対位置関係に基づき、できるだけ多くのバンプ128とバンプ158とを接合できるように、特定の指標326と特定の指標356との組み合わせを選択する。そして、選択された指標326と、選択された指標356とが、Z方向からみて一致するように、上記相対位置を調整する。この例において、指標356をSOI基板150の位置指標として用いられる。
【0057】
S610において、SOI基板120とSOI基板150とが押圧接触させられる。上記押圧接触は、調整された相対位置を維持しつつ、SOI基板120とSOI基板150との間隔を狭めることで、SOI基板120とSOI基板150とが押圧接触させられる。例えば、バンプ128およびバンプ158として、半田バンプを用いた場合には、バンプ128およびバンプ158が、基板貼り合わせ装置200により加圧加熱されることにより、バンプ128とバンプ158とが熱圧着されて接合される。
【0058】
バンプ128および158として、ニッケルまたは金等により形成されたバンプを用いた場合には、半導体チップ122と半導体チップ152との間にアンダーフィルを充填して、バンプ128とバンプ158との機械的接合強度を補強してよい。これにより、積層半導体基板110が得られる。積層半導体基板110は、複数の積層半導体装置100を含むので、積層半導体基板110をダイシングすることで、積層半導体装置100が得られる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
100 積層半導体装置、110 積層半導体基板、120 SOI基板、121 表面、122 半導体チップ、123 スルーホール、124 アライメントマーク、126 埋め込み電極、127 半導体素子、128 バンプ、129 裏面、132 基板本体、134 絶縁層、136 SOI層、150 SOI基板、151 表面、152 半導体チップ、153 スルーホール、154 アライメントマーク、156 埋め込み電極、157 半導体素子、158 バンプ、159 裏面、162 基板本体、164 絶縁層、166 SOI層、200 基板貼り合わせ装置、210 枠体、212 天板、214 支柱、216 底板、220 押圧部、222 シリンダ、224 ピストン、230 加圧ステージ、232 支持部、234 第1基板保持部、235 アクチュエータ、236 ヒータ、240 受圧ステージ、242 第2基板保持部、244 懸架部、246 ヒータ、250 圧力検知部、252 ロードセル、254 ロードセル、256 ロードセル、320 支持基板、322 辺部、324 領域、326 指標、328 ノッチ、350 支持基板、352 辺部、354 領域、356 指標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層および前記絶縁層に接して形成されたSOI層を有するSOI基板であって、前記SOI基板の表面および裏面の間を貫通する貫通孔と、前記貫通孔に形成された、前記表面および前記裏面の間を電気的に結合する貫通結合部と、を有し、前記SOI基板の前記表面または前記裏面の何れかの面に支持基板を貼り付けたSOI基板を準備する段階と、
前記SOI基板の前記支持基板が貼付されていない面の前記貫通結合部が他の基板の所定の位置に電気的に結合するよう、前記支持基板と前記他の基板との相対位置を調整する段階と、
調整された前記相対位置を維持しつつ前記SOI基板と前記他の基板との間隔を狭め、前記SOI基板と前記他の基板とを押圧接触させる段階と、
を備え、
前記相対位置を調整する段階は、前記支持基板の辺部であって前記SOI基板が貼付されていない領域に形成された指標と、前記他の基板の位置指標とに基づき、前記相対位置を調整する、
積層半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記SOI基板の前記貫通結合部の位置を代表する代表指標と、前記支持基板の前記指標との相対位置関係を予め測定する段階と、をさらに備え、
前記相対位置を調整する段階は、前記指標と、前記位置指標と、前記相対位置関係とに基づき、前記相対位置を調整する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記支持基板は、方位目印を有するシリコン支持基板であり、
前記相対位置を調整する段階の前に、前記方位目印を利用して前記SOI基板と前記他の基板との相対位置を粗調整する粗調整段階、
をさらに備える請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記支持基板の前記指標は、レーザにより形成されたフィディシャルマークである、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−212299(P2010−212299A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54033(P2009−54033)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】