説明

空圧供給装置

【課題】 空気通路と空気圧供給装置を連通し、空気を密封して騒音、汚染がなく、省エネ、軽量、安価で多様の用途に使用出来る。空圧供給装置を提供する。
【解決手段】 空圧供給装置は、ドーナツ状の袋体の空気室の内周上に熔着による堰を設け、袋体の中心を軸として、袋体をフレームに押付けながら回転するローラーを有し、袋体には通気孔が設けられている。また空気圧供給装置の袋体を複数とし並列に設置し、対応するローラーを同一の中心軸上に設けて回転させることで多様の空圧供給の条件の要求にも対応が容易であり、また同一回転の連続運転であるため省エネでさらに制御装置も簡潔で前記課題の達成が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の群に分けた、空気通路を高圧、低圧の空気によって膨張、収縮させて、褥瘡(床ずれ)を防止し、或は指圧、マッサージ効果を得る各種器械に用いる空気供給装置に属する。
【背景技術】
【0002】
自分で寝返りが出来ない病人は、同一部分が圧迫され皮膚組織の血行不良のため、床ずれが出来る。これを防止するためには、受圧部の拡散と位置の移動や除湿が有効である。健常者であっても狭い座席に長時間座ることで足の静脈中の血流が悪く血栓が出来それが肺、心臓、脳などに重大な障害を起すことは広く知られている。冷え症、肩こり、高血圧などの治療や予防にも、血液の循環を改善するため、指圧、マッサージが有効であるので、各種の器械が提供されている。
【0003】
普遍化されているエアーマットにおいては、エアーポンプ、切換弁、各種空気補助具などを膨張収縮のための空気通路と連通させ、それらを制御装置で制御することで通路の給気によって膨張、排気によって収縮させている。(例えば特許文献1.2.3参照)。
【0004】
その後新しい方式としてダイヤフラム方式の空気加圧器を減速電動機で正転、逆転させ、エアーポンプ、切換弁、各種空気補助具を省略した方式が提供されている(例えば特許文献4参照)。
【特許文献1】実公平8−10308号 公報
【特許文献2】特許 第2681662号 公報
【特許文献3】特開平8−210258号 公報
【特許文献4】特許 第3413105号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアーマット装置の使用目的からすると、使用者の知能、体力、地域、使用場所、環境、規制、安全、保全などから、前記特許文献1.2.3に記載のエアーポンプ、切換弁を使用した給、排気の方式は、エアーポンプ、切換弁、多数の空気補助具と、マットの空気通路を連通させ、給気によって膨張、排気によって収縮させるため、装置内の渦流や、給排気による騒音、排気による室内汚染、複雑な制御のための原価高、安全、保全、動力の損失による費用など問題があった。また特許文献4に記載の空気密閉方式は、給排気方式の前記問題点の解消のために電動機を正転、逆転、制御するのみで、移動板の左右に設けたドーナツ状のダイヤフラムを圧縮、収縮、させて連通するマットの空気通路を膨張、収縮させ、装置外との給、排気を行なわない方法であるが、この構造においても次の問題がある。
ダイヤフラムの側面を移動板が押す構造のため、必要とする推力が大きく、更に一般的に捻子効率は悪いので、電動機及び制御器は大きくなる。
電動機の正、逆、停止など頻繁に行う制御のため、製作に特殊な設備を必要としまた保全、アフターサービスに専門の設備、知識を必要とし、広範囲に点在する使用者に対応するのに不利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第一の発明では柔軟であるがあまり膨張しない塩化ビニールやゴムを素材として、熔着や型込めで、ドーナツ状で袋体の空気通路を成形し、空気通路の円周上を熔着などで通気を堰止め、加圧ローラーの進行方向に対し、堰の手前に通気孔があるダイヤフラムの1面をフレームに装着し、他面を加圧ローラーでフレームに押付け回転させながら同一方向にダイヤフラム上を移動させ加、減圧の空気を小容量の動力で繰返し供給することの出来る空気供給装置の構造とした。
第二の発明では前記第一の発明の空気供給装置において、複数のダイヤフラムを並列に配置し、同一のローラー駆動軸上に、それぞれのダイヤフラムに対応するローラーを設置し、ダイヤフラムの堰とローラーの数や位置の組合せによって加、減圧の供給空気量や、繰返し間隔(インターバル)などの制御が設定出来る空気供給装置の構造とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上に説明したように構成されているので、以下に記載されたような効果がある。
【0008】
ダイヤフラム構造の袋体の容積を増減するためにダイヤフラムを収容したフレームの円周に沿ってローラーで押付けながら同一方向に連績移動させるため特許文献4の空気密閉方式に比べローラーが押し進む袋体の断面績が小さく空気抵抗が小さくなり、更に効率の悪い捻子構造が効率の良い回転構造となり機械的効率が向上すると共に同一方向の連続運転のため省エネと装置の小型化が出来た。
(図2−a)(図2−b) 参照
【0009】
同一方向、連続回転方式の制御のため、制御装置用器具が汎用化された部品で構成されているので普遍化された技術で製作が可能であり、アフターサービスも容易となった。
【0010】
使用者の能力、地域、使用環境など広い範囲の器械に利用出来る携帯容易な、安全で安価な空圧供給装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1−aは人が横臥したときの姿図で、図1−bは接触圧の強い部分をa.b.で示している。図2−cはエアーマットの1例でA系統、B系統の2群に分離し各々連通された空気通路A1−A3、B1−B3の中間の部分17を熔着して、側面を通路とし空気通路に凹凸を生じさせるマットを示している。図2−bが請求項1の空圧供給装置で、図2−Cに示したエアーマットのA系統と通気孔15、B系統と通気孔13が連通され、予圧弁18、19から適当な予圧を加えてのち密封し、本発明の空圧供給装置より、エアーマットのA系統とB系統の空気通路に交互に高圧、低圧の空気を供給し、各系統の空気通路の膨張、収縮を行わせる。
図2−aは図2−bの横断面である。
【0012】
本発明の空圧供給装置に用いるダイヤフラムの袋体の例を図3−b、図3−cに示している。図3−aは図3−b,図3−cのダイヤフラムの製作方法の一例を示し、熱可塑性の二枚のシート11、12の下側の方12に予め図3−b、図3−cに示す15、13の通気孔と14、16、21、22を熔着して、上型30下型31を加熱し型押して成形後通気すると図3−b、図3−cに示すドーナツ状で円周上に2ヶ所の堰14、16があり、堰の前に各々通気孔13、15があるシート11、12で形成された袋体のダイヤフラムが出来る。図3−cは図3−bに示したダイヤフラムの袋体の平面図で、図4−a、図4−bは空気室の断面が図2−aと異なり堰16と通気孔15が1組の構造を示している。
【0013】
図2−aは本発明の空圧供給装置の一例の断面図で、減速電動機1の軸は中心軸3とセットスクリュー2で固定され、中心軸3にスリーブ5がセットスクリュー8で固定されている。スリーブ5の両端はベアリング4によって回転自在に支持されており、中間部にローラー軸9が取付けられ、軸9に回転自在に嵌合された外周が弾性体のローラー10の外周はフレーム20の溝に図3−aに示すシート11、12のように2重になった状態で押付けられ、減速電動機によって中心軸3が同方向に連続回転するとローラーも図3−aに示すシート11、12のダイヤフラムを押付けて回転しながらフレーム20の溝の中を移動する。
【0014】
図2−b、図2−cで、ダイヤフラムによってエアーマットのA系統、B系統の各々の連通した空気通路が膨張、収縮することを説明すると、前述の如く各々の系統は連通し、予圧弁18、19によ適当な気圧を密封している。この条件で連通している空気通路の材質に伸びが無いとすれば物理学で普遍化されているボイル・シャルルの法則によってPXV=P'XV'が適用される。ここにP=最初の圧力、V=最初の体積、P'=最後の圧力、V'=最後の体積であるから、これを図2−b、図2−cで説明すると、ローラー10の進行方向を矢印とすればローラー10がB系統の通気孔13の堰14上にある時は堰14、16で分離された袋体のシート11、12からなるダイヤフラムの通気孔13側と通気孔15側の体積は等しいのでA系統、B系統のマットの体積と各々の予圧が等しいならば両系統共予圧と等しい圧力でマットの空気通路の膨らみも等しい。ローラ10が堰14上より矢印25の方向に移動するに従い通気孔15側の袋体の体積は徐々に減少し連通しているA系統の圧力は上昇してA系統の空気通路は膨張する。この間通気孔13側の袋体の体積の変化はない。ローラー10が堰16を通過し堰13側に移動すると、通気孔15側の袋体の体積は最大となるので、A系統のマットの通路の空気は逆流し収縮する。同時にローラー10は堰16を通過して堰13の方に移動しているので通気孔13側の体積が減少し連通しているB系統のマットの空気通路が膨らむ。従ってローラー10が矢印の方向に連続で回転するのみでマットのA系統、B系統の空気通路の膨張、収縮を行うことが出来る。
【0015】
図5−a、図5−b、図6−a、図6−bは請求項2の空圧供給装置の例を示したもので、シート11、12からなる袋体のダイヤフラムをフレーム20に並列に設置し各々の袋体に対応するローラー10を中心軸3に取付けて請求項2の目的を果す空圧供給装置の例であるが、図6−a、図6−bは、シート11、12からなる袋体が中心軸3の円周方向に設けられ、押付けるローラー10もこれに対応する構造となっている例であるが前記で理解出来ると考え詳細な説明は省略する。
【0016】
図7−a、図7−bはローラー10の構造例で、ローラー軸9は中心軸3の回転によってローラー10をシート11、12からなる袋体のダイヤフラムを押圧しながら、フレーム20の溝の中を回転しながら移動させる。32、33は適当な弾性のあるゴムなどで作られたローラーの外皮である。34はローラー軸9に遊合する軸受。35はベアリング36をローラー外皮32、33に封入後接着する接着剤、ローラー軸9とベアリング36の嵌合は軸方向に軽く動く遊合である。
【0017】
なお、図5−a、図5−b、図6−a、図6−bは何れも2個の袋体のダイヤフラムの円周上の堰切りと対になる通気孔15とこれに対応するローラー10の数や中心軸5の回転数などの設定によって使用目的に対し多様に対応することが出来る構造例であるが詳細な説明は省略する。
【0018】
次に図2−aに示した空圧供給装置の実施例を説明する。
1の減速電動機は、国産品、標準市販品、シンクロナスモーター
100v、60Hz、0.22μF(1.3.5.15γpm)の5γpm使用 2.5w
ダイヤフラムを構成するシート11、12 外径140mm 厚さ 45mm
ダイヤフラム (袋体)の材質 軟質塩化ビニール
〃 〃 抗張力 2600N/cm2
〃 〃 伸び 370 %
〃 〃 脆性温度 −30度
〃 〃 シートの厚み 0.5mm
熔着条件
〃 高周波ウエルダー足踏式 (国産)
〃 出力 4KW
〃 最大圧力 250kg
〃 電極材料 黄 銅
〃 電極構造、貫通孔13、15、37は熔断、熔着、同時
〃 〃 上記外は3工程に分離した専用電極
〃 熔着時間 1工程 約2〜4Sec
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1−a】人が床上に横臥した姿図
【図1−b】横臥したときの身体と床との接触圧の強いところを示す一般の例。
【図2−a】請求項1に記載の発明の実施例となる空圧供給装置の横断面図。
【図2−b】請求項1に記載の発明の実施例となる空圧供給装置の平面図。
【図2−c】請求項1に記載の発明の実施例となる空圧供給装置を使用するマットの平面図。
【図3−a】2枚の軟質塩化ビニール、ポリエステル、ゴムなどのシートに膨らみを与えるための型押し成形の概念図。
【図3−b】完成したダイヤフラム(袋体)の例を示す横断面図
【図3−c】完成したダイヤフラム(袋体)の例を示す平面図
【図4−a】請求項1の空圧供給装置の基本形の横断面図
【図4−b】請求項1の空圧供給装置の基本形の平面図
【図5−a】請求項2の空圧供給装置の一例を示す横断面図
【図5−b】請求項2の空圧供給装置の一例を示す平面図
【図6−a】請求項2の空圧供給装置で図5と異なる例の横断面図
【図6−b】請求項2の空圧供給装置で図5と異なる例の平面図
【図7−a】本発明に使用しているローラー10の一例の正面図
【図7−b】本発明に使用しているローラー10の一例のA-A断面図
【符号の説明】
【0020】
1. 減速電動機
2. 減速電動機と中心軸との接合捻子
3. 中心軸
4. ベアリング
5. ローラー軸取付用スリーブ
9. ローラー軸
10. ダイヤフラムを押圧しながら移動する弾性ローラー
11.12 ダイヤフラムを構成する袋体のシート
13.15 通気孔
14.16 ダイヤフラムの堰
17 マット通路に凹凸をつけるための熔着部
18. 19 エアーマット用予圧弁
20 ダイヤフラムが装着されたフレーム
21.22 ダイヤフラムの中心部と外周部の熔着部
23.24 ベアリングハウシングとカバー
25. 弾性ローラー10の移動方向
26. A,B,2系統マットの通路の熔着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーマットなどに、高圧、低圧の空気を供給する密閉型の空圧供給装置であって、フレーム内に収容されたドーナツ状の柔軟な袋体のダイヤフラムの一部に、通気を遮断する堰と供給装置外に連通する通気孔を設け、前記ダイヤフラムを押圧するローラーが、前記フレーム内を同一方向に連続回転して移動可能としたことを特徴とする空圧供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の空圧供給装置において、複数の前記ダイヤフラムと前記フレームのセットを、並列に設け前記各々のダイヤフラムを前記フレームに押圧する前記ローラーが同一方向に連続回転して、移動可能としたことを特徴とする空圧供給装置。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図2−a】
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【図2−b】
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【図2−c】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図3−c】
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【図4−a】
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【図4−b】
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【図5−a】
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【図5−b】
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【図6−a】
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【図6−b】
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【図7−a】
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【図7−b】
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【公開番号】特開2006−152935(P2006−152935A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345324(P2004−345324)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(598116679)
【Fターム(参考)】