説明

空気圧表示装置および車両

【課題】センサ14の出力値の変動を緩和すること。
【解決手段】センサ14の検出結果を所定の周期で収集し、センサ14の検出結果の複数m(mは2以上の整数)周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値以上または所定値を超えるときには、今回の平均値を破棄すると共に破棄の連続回数を計数し、破棄の連続回数が複数n(nは2以上の整数)回であるときには、破棄すれば破棄の連続回数が(n+1)回となる平均値についてはこれを破棄せずに検出結果として出力し、センサ14の検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値未満または所定値以下であるときには、破棄の連続回数の計数結果をリセットすると共に今回の平均値を検出結果として出力する入力処理部2を有する空気圧表示装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧表示装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの車両では、サービスブレーキ、エアサスペンションなど、空気圧によって駆動される装置が多用されている。これらの空気圧によって駆動される装置には、エアタンクから加圧空気が供給される。また、エアタンクには、車両のエンジンまたは電動機によって駆動されるエアコンプレッサから加圧空気が供給される。
【0003】
エアタンク内部の空気圧の値は、空気圧センサ(以下、単にセンサという)によって電気信号に変換されて運転席にあるエアゲージに表示される。さらに、センサから出力される電気信号は、ECU(Electric Control Unit)に取り込まれる。ECUは、センサからの情報に基づいて所定の制御を実行する。たとえば特許文献1では、コントローラ(ECU)がセンサの検出出力に応じて運転席の警報ランプまたは警報ブザーを制御するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−240704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、エアタンク内部の空気圧の値は、センサによって電気信号に変換されて出力される。また、センサの出力は、エアゲージおよびECUに取り込まれる。この際に、センサの出力値は、頻繁に変動している。変動の要因は様々であるが、たとえばエアコンプレッサの脈動または外部ノイズなどが考えられる。
【0006】
すなわち、エアタンク内部の空気圧は、エアコンプレッサが排気工程のときは増加するが吸気工程のときは一定値を保つか減少する。これによりエアタンク内の空気圧の値は脈動する。さらに、空気圧駆動装置が使用されると空気圧が急に低下する。これに加え、電気信号であるセンサの出力は、外部ノイズを受けると歪みを生じる。これらの影響を受けてセンサの出力値は頻繁に変動する。
【0007】
このようなセンサの出力値の頻繁な変動をエアゲージ側から見ると、エアゲージの指針が頻繁に揺れ動いて見える。これはエアゲージを監視する側にとっては正確な空気圧の指示値を読み取ることが困難になる。また、センサの出力値を取り込んで制御を行うECUにとっても適切な制御を行う上で好ましくない。
【0008】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、センサの出力値の変動を緩和することができる空気圧表示装置および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点は、空気圧表示装置としての観点である。すわなち、本発明の空気圧表示装置は、空気圧によって駆動される装置に対して加圧空気を供給し、エアコンプレッサから加圧空気を供給されるエアタンク内部の空気圧を検出するセンサの検出結果を表示する空気圧表示装置において、センサの検出結果を所定の周期で収集し、センサの検出結果の複数m(mは2以上の整数)周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値以上または所定値を超えるときには、今回の平均値を破棄すると共に破棄の連続回数を計数し、破棄の連続回数が複数n(nは2以上の整数)回であるときには、破棄すれば破棄の連続回数が(n+1)回となる平均値についてはこれを破棄せずに検出結果として出力し、センサの検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値未満または所定値以下であるときには、破棄の連続回数の計数結果をリセットすると共に今回の平均値を検出結果として出力する、入力処理手段を有するものである。
【0010】
このときに、入力処理手段から出力された検出結果がそれまでの指示値を超えるときには、所定の速度で検出結果側に指示値を移動させ、入力処理手段から出力された検出結果がそれまでの指示値未満であるときには、出力された検出結果の値に指示値を移動させる、指針制御手段を有することができる。
【0011】
本発明の他の観点は、車両としての観点である。すなわち、本発明の車両は、空気圧によって駆動される装置に対して加圧空気を供給するエアタンク内部の空気圧を検出するセンサと、このセンサの検出結果を表示する表示手段と、エアタンク内部に加圧空気を供給するエアコンプレッサと、を有する車両において、表示手段は、センサの検出結果を所定の周期で収集し、センサの検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値以上または所定値を超えるときには、今回の平均値を破棄すると共に破棄の連続回数を計数し、破棄の連続回数が複数n回であるときには、破棄すれば破棄の連続回数が(n+1)回となる平均値についてはこれを破棄せずに検出結果として出力し、センサの検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値未満または所定値以下であるときには、破棄の連続回数の計数結果をリセットすると共に今回の平均値を検出結果として出力する、入力処理手段を有するものである。
【0012】
このときに、表示手段は、入力処理手段から出力された検出結果がそれまでの指示値を超えるときには、所定の速度で検出結果側に指示値を移動させ、入力処理手段から出力された検出結果がそれまでの指示値未満であるときには、出力された検出結果の値に指示値を移動させる、指針制御手段を有することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサの出力値の変動を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の車両の全体構成図である。
【図2】図1のメインエアタンク内の空気圧の変化およびセンサの出力電圧値の変化を示す図である。
【図3】図1の入力処理部が実行するセンサの検出値の入力処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】図1の指針制御部が実行する指針制御の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の実施の形態の空気圧表示装置1の構成について)
本発明の実施の形態の空気圧表示装置1の構成について図1を参照して説明する。空気圧表示装置1は、入力処理部2(請求項でいう入力処理手段)、指針制御部3(請求項でいう指針制御手段)、およびエアゲージ4(請求項でいう表示手段)を有する。空気圧表示装置1は、車両5に搭載されている。
【0016】
車両5は、空気圧表示装置1の他に、エアコンプレッサ10、エアドライヤ11、メインエアタンク12、フロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、センサ14、分岐バルブ15、エアホーン20、フロントブレーキ21F、リアブレーキ21R、エアサスタンク22、エアサス23を有する。なお、図1では、車両5の空気圧駆動装置に関連する要部のみ図示してあり、その他の部材については図示を省略してある。なお、エアサスとは、エアサスペンションの略語である。
【0017】
入力処理部2は、センサ14から出力されるメインエアタンク12の空気圧の値を示す電気信号を処理する制御回路である。
【0018】
指針制御部3は、入力処理部2から出力される所定の処理が施されたメインエアタンク12の空気圧の値を示す電気信号に基づきエアゲージ4の指針を制御する制御回路である。
【0019】
なお、制御回路である入力処理部2および指針制御部3は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力ポートなどを有する。CPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。また、入力処理部2および指針制御部3は、2つの異なる制御回路として構成してもよいし、1つの制御回路の内部機能として、入力処理部2および指針制御部3の2つの異なる機能を有してもよい。
【0020】
エアゲージ4は、指針制御部3の制御に応じてメインエアタンク12の空気圧の値を指し示す計器である。たとえばエアゲージ4は電圧計であり、指針制御部3は、メインエアタンク12の空気圧に相応する電圧値を出力する。なお、図示は省略するがエアゲージ4と共に、あるいは、エアゲージ4に代えて、指針制御部3の出力を入力として処理を実行するECUを備えてもよい。そして、このECUにより制御される表示装置によって、メインエアタンク12内の空気圧を表示(あるいはメインエアタンク12内の空気圧低下時に警報)するようにしてもよい。
【0021】
エアコンプレッサ10は、外部の空気を吸気して圧縮することにより加圧空気を供給する装置である。エアコンプレッサ10は、エンジン(不図示)によって駆動されるものと、電動機(不図示)によって駆動されるものなどがある。
【0022】
エアドライヤ11は、エアコンプレッサ10から供給された空気を乾燥させるための装置である。エアドライヤ11には、たとえば乾燥剤が蓄えられており、エアコンプレッサ10から送られた空気を除湿する。
【0023】
メインエアタンク12は、エアドライヤ11を経由した空気が最初に蓄積されるエアタンクである。メインエアタンク12に蓄積された空気は、サブエアタンクとしてのフロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、およびエアサスタンク22などに分岐バルブ15を介して分配される。また、メインタンク12に蓄積された空気は、エアホーン20などの空気圧により駆動される装置にも供給される。
【0024】
フロントエアタンク13Fは、フロントブレーキ21に加圧空気を供給するためのサブエアタンクである。
【0025】
リアエアタンク13Rは、リアブレーキ21Rに加圧空気を供給するためのサブエアタンクである。
【0026】
センサ14は、メインエアタンク12の内部の空気圧の値を電気信号に変換するためのセンサである。センサの形式についてはどのようなものでもよい。
【0027】
分岐バルブ15は、メインエアタンク12の空気圧をフロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、エアホーン20、およびエアサスタンク22に分配するためのバルブである。分岐バルブ15は、不図示のECUによって制御され、メインエアタンク12内の空気圧が所定値以上になるとメインエアタンク12からフロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、エアホーン20、およびエアサスタンク22に加圧空気を分配するために空気の流路を開く。
【0028】
(入力処理部2の動作について)
次に、入力処理部2の動作について図2のセンサ14の出力を示す図および図3のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
図2は、エアコンプレッサ10の始動時点からのメインエアタンク12内の空気圧(左縦軸)およびセンサ14の出力電圧値(右縦軸)の変化を表している。図2の実線は、メインエアタンク12内の空気圧(kPa)の変化を表している。すなわち、エアコンプレッサ10が始動される以前は、メインエアタンク12内の空気圧は、0kPaである。一方、図2の破線は、センサ14から出力される電圧値の変化を表している。すなわち、メインエアタンク12内の空気圧が0kPaとほぼ等しいときにセンサ14の出力はおよそ0.6Vである。
【0030】
図2の横軸は、時間の経過である。0secから上昇を開始したメインエアタンク12内の空気圧は、80secくらいまで上昇を続ける。ここで、メインエアタンク12内の加圧空気は、分岐バルブ15の制御によって、フロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、およびエアサスタンク22に分配が開始される。よって、メインエアタンク12内の空気圧は、いったん上昇を休止する。
【0031】
さらに、90secを超えるとフロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、およびエアサスタンク22の空気圧が所定値まで上昇するため、メインエアタンク12内の空気圧は再び緩やかに上昇を開始する。150secを過ぎたあたりでメインエアタンク12内の空気圧は、1000kPaに達し、ここで分岐バルブ15によって空気が一旦解放される。以降では、メインエアタンク12内の空気圧が所定値まで下がると分岐バルブ15の解放が停止され、再びメインエアタンク12内の空気圧が上昇するといった状態が繰り返される。
【0032】
ここで、入力処理部2の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
START:入力処理部2は、車両1のキーがON位置になると起動し、ステップS1の処理へ移行する。
【0034】
ステップS1:入力処理部2は、センサ14の検出値が入力されるとステップS2の処理へ移行する。
【0035】
ステップS2:入力処理部2は、入力されたセンサ14の検出値に対してm回の単純平均を算出し、ステップS3の処理へ移行する。なお、mの値は、2以上の整数であり、たとえば“8”である。
【0036】
ステップS3:入力処理部2は、ステップS2で算出した値が前回値より所定値以上または所定値を超えているか否かを判断する。すなわち、入力処理部2は、ステップS2で算出した値が前回値より所定値以上または所定値を超えている場合(ステップS3でYes)、ステップS4の処理へ移行する。一方、入力処理部2は、ステップS2で算出した値が前回値より所定値未満または所定値以下である場合(ステップ3でNo)、ステップS6の処理へ移行する。
【0037】
ステップS4:入力処理部2は、検出値の破棄回数がn回連続か否かを判断する。すなわち、入力処理部2は、検出値の破棄回数がn回連続した場合(ステップS4でYes)、ステップS5の処理へ移行する。一方、入力処理部2は、検出値の破棄回数がn回連続していない場合(ステップS4でNo)、処理を終了する(END)。なお、nの値は、2以上の整数であり、たとえば“3”である。
【0038】
ステップS5:入力処理部2は、ステップS2で算出した平均値を破棄し、前回値を出力すると共に、破棄回数を1増やして処理を終了する(END)。
【0039】
ステップS6:入力処理部2は、破棄回数を“0”としステップS2の検出結果を出力して処理を終了する(END)。
【0040】
このように、入力処理部2は、センサ14の検出値をm回収集した時点でその単純平均を算出する。そして、入力処理部2は、前回算出した単純平均の値と今回算出した単純平均の値との差が所定値以上または所定値を超えている場合、今回算出した単純平均の値はn回までは破棄する。
【0041】
すなわち、センサ14の検出値をm回収集する期間におけるメインエアタンク12への加圧空気の供給量は、エアコンプレッサ10の吐出量(エアコンプレッサ10の容量×センサ14の検出値をm回収集する期間)から算出できる。この供給量を所定値とすれば、所定値以上または所定値を超えてメインエアタンク12の空気圧が上昇するということは通常では起こり得ない。よって、このようなセンサ14の異常な検出値が出力される要因としてはセンサ14から入力処理部2に至る電気の経路に到来する電気ノイズなどによる影響が考えられる。
【0042】
したがって、このような異常なセンサ14の検出値を即座に入力処理部2の出力値として採用することは好ましくない。故に、入力処理部2は、前回算出した単純平均の値と今回算出した単純平均の値との差が所定値以上または所定値を超える場合、今回算出した単純平均の値は破棄する。
【0043】
しかしながら、このような異常なセンサ14の検出値がn回連続するような場合、単に電気ノイズによる影響以外の要因も考えられる。たとえばセンサ14が故障した場合など、このような異常なセンサ14の検出値がn回連続することがある。よって、このような場合に対応するために、入力処理部2は、センサ14の異常な検出値についてもn回連続する場合には出力値として採用する。
【0044】
また、破棄回数がn回連続するその他の要因として、連続する強力な電磁波の輻射がセンサ14または入力処理部2に影響を与える場合などが考えられる。
【0045】
なお、異常な検出値が発生してから実際にその異常な検出値が出力値として採用されるまでには、ステップS1およびステップS2に要する時間を100msecとした場合、m×n×100msecの時間を要する。すなわち、ステップS1およびステップS2の処理では、m×100msecの時間を要する。その後、ステップS3→ステップS4→ステップS5の処理において、n回連続したか否かをカウントする。よって、m×n×100msの時間を要する。ここで、m=8、n=3とすれば2.4秒の時間を要する。
【0046】
このようにして、入力処理部2は、ごく短時間(m×n×100ms未満)だけ発生する電気ノイズなどによるセンサ14の異常な検出値についてはこれを除去することができる。
【0047】
(指針制御部3の動作について)
次に、指針制御部3の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
START:指針制御部3は、車両1のキーがON位置になると起動し、ステップS10の処理へ移行する。
【0049】
ステップS10:指針制御部3は、入力処理部2の出力値が現在の指示値を超えているか否かを判断する。すなわち、指針制御部3は、入力処理部2の出力値が現在の指示値を超えている場合(ステップS10でYes)、ステップS11の処理へ移行する。一方、指針制御部3は、入力処理部2の指示値が現在の指示値未満の場合(ステップS10でNo)、ステップS12の処理へ移行する。
【0050】
ステップS11:指針制御部3は、所定の速度で入力処理部2の出力値に向って指示値を移動して処理を終了する(END)。
【0051】
ステップS12:指針制御部3は、入力処理部2の出力値を指示して処理を終了する(END)。
【0052】
すなわち、指針制御部3は、エアゲージ4における現在の指示値より入力処理部2の出力値の方が高い場合、所定の速度で入力処理部2の出力値に向って指示値を移動させる。たとえば所定の速度としては、エアゲージ4の最小分解能が100kPaである場合、たとえば0.1秒間に100kPaずつ入力処理部2の出力値に向って指針が移動するようにする。
【0053】
これによれば空気圧の上昇方向へのエアゲージ4の指針の移動については、常に一定の速度で行うことができる。これはメインエアタンク12内の空気圧の上昇については、これを運転者などに報知する際の緊急性は低いためである。たとえば、図示は省略してあるがメインエアタンク12などのエアタンク類には、全て安全弁が設けられており、エアタンク内の所定値以上の圧力を逃がすようになっている。よって、エアタンク内の圧力上昇の報知が遅れたとしても大きな問題にはならない。そこで、エアゲージ4の指針の上昇方向へ動きについてはこれを抑制することにより指針が頻繁に揺れ動く状態を無くすことができる。
【0054】
一方、メインエアタンク12内の空気圧の下降については、各種の空気圧駆動装置に対する加圧空気の供給が不足する可能性を有するため、運転者に報知する際の緊急性は高い。そこで、エアゲージ4の指針の下降方向への動きについてはこれを抑制することなく、入力処理部2の出力値が即座にエアゲージ4の指針による表示に反映するようにしている。
【0055】
(効果について)
以上のように、センサ14の検出値の上昇側と下降側とで制御を分けることにより、有用性の低い外乱ノイズなどによるセンサ14の検出値はこれを除去し、有用性の高いセンサ14の検出値はこれを採用することができる。
【0056】
したがって、運転者などのエアゲージ4の監視者側では、エアゲージ4における指針の揺らぎが少なくなるので、エアゲージ4の指針の指し示す値を正確に読み取ることができるようになる。また、指針制御部3の出力を取り込んで処理を行うECU(不図示)では、指針制御部3の出力値の揺らぎが少なくなるので処理の変動を抑えることができる。さらに、メインエアタンク12内の空気圧の低下などの重要な情報については速やかに運転者などに対して報知、またはECUなどに対して出力することができる。
【0057】
(プログラムを用いた実施の形態)
また、入力処理部2および指針制御部3は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、入力処理部2および指針制御部3の各部の機能が実現される。また、その他の機能についてもソフトウェアにより実現可能な機能については汎用の情報処理装置とプログラムとによって実現することができる。なお、上述したCPUの代わりにASIC、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSPなどを用いてもよい。
【0058】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、空気圧表示装置1の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、空気圧表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、空気圧表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。空気圧表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0059】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0060】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって空気圧表示装置1の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【0061】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。たとえば上述の実施の形態では、メインエアタンク12の空気圧を対象にして説明したが、フロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、あるいはエアサスタンク22の空気圧を対象にしてもよい。この場合は、フロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、あるいはエアサスタンク22でそれぞれセンサ14、入力処理部2、指針制御部3、およびエアゲージ4を有する。
【0062】
あるいは、フロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、およびエアサスタンク22でそれぞれセンサ14を有し、3つのセンサ14の合計値を1つの入力処理部2、指針制御部3で処理して1つのエアゲージ4に表示してもよい。
【0063】
また、センサ14の取付位置についてはメインエアタンク12、フロントエアタンク13F、リアエアタンク13R、エアサスタンク22の他に、空気の流通経路上であってもよい。たとえばセンサ14をエアドライヤ11に取り付けてメインエアタンク12に供給される加圧空気の空気圧を検出するようにしてもよい。
【0064】
また、指針制御部3は、所定の速度で入力処理部2の出力値に向って指示値を移動させる際に、所定時間毎にエアゲージ4の最小分解能ずつ入力処理部2の出力値に向って指針が移動するようにするとして説明した。当該所定の時間については、これ以外でも様々に設定することができる。たとえば所定時間毎にエアゲージ4の最小分解能のα(αは2以上の整数)倍ずつ、あるいは(1/α)倍ずつ入力処理部2の出力値に向って指針が移動するようにするなどとしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…空気圧表示装置、2…入力処理部(入力処理手段)、3…指針制御部(指針制御手段)、4…エアゲージ(表示手段)、5…車両、10…エアコンプレッサ、12…メインエアタンク(エアタンク)、13F…フロントエアタンク、13R…リアエアタンク、14…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧によって駆動される装置に対して加圧空気を供給し、エアコンプレッサから加圧空気を供給されるエアタンク内部の空気圧を検出するセンサの検出結果を表示する空気圧表示装置において、
上記センサの検出結果を所定の周期で収集し、上記センサの検出結果の複数m(mは2以上の整数)周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値以上または所定値を超えるときには、今回の上記平均値を破棄すると共に破棄の連続回数を計数し、上記破棄の連続回数が複数n(nは2以上の整数)回であるときには、破棄すれば上記破棄の連続回数が(n+1)回となる上記平均値についてはこれを破棄せずに検出結果として出力し、
上記センサの検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値未満または所定値以下であるときには、上記破棄の連続回数の計数結果をリセットすると共に今回の上記平均値を検出結果として出力する、
入力処理手段を有する、
ことを特徴とする空気圧表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の空気圧表示装置であって、
前記入力処理手段から出力された上記検出結果がそれまでの指示値を超えるときには、所定の速度で上記検出結果側に上記指示値を移動させ、
前記入力処理手段から出力された上記検出結果がそれまでの指示値未満であるときには、出力された上記検出結果の値に上記指示値を移動させる、
指針制御手段を有する、
ことを特徴とする空気圧表示装置。
【請求項3】
空気圧によって駆動される装置に対して加圧空気を供給するエアタンク内部の空気圧を検出するセンサと、このセンサの検出結果を表示する表示手段と、上記エアタンク内部に加圧空気を供給するエアコンプレッサと、を有する車両において、
上記表示手段は、
上記センサの検出結果を所定の周期で収集し、上記センサの検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値以上または所定値を超えるときには、今回の上記平均値を破棄すると共に破棄の連続回数を計数し、上記破棄の連続回数が複数n回であるときには、破棄すれば上記破棄の連続回数が(n+1)回となる上記平均値についてはこれを破棄せずに検出結果として出力し、
上記センサの検出結果の複数m周期の平均値が当該平均値の前回値より所定値未満または所定値以下であるときには、上記破棄の連続回数の計数結果をリセットすると共に今回の上記平均値を検出結果として出力する、
入力処理手段を有する、
ことを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項3記載の車両であって、
前記表示手段は、
出力された上記検出結果がそれまでの指示値を超えるときには、所定の速度で上記検出結果側に上記指示値を移動させ、
出力された上記検出結果がそれまでの指示値未満であるときには、出力された上記検出結果の値に上記指示値を移動させる、
指針制御手段を有する、
ことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−149758(P2011−149758A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9922(P2010−9922)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】