説明

空気循環手段を備えた自動車両用後部棚板の構成

自動車両の居室(H)と荷室(C)とを分ける後部棚板(10)の構成であって、側方棚板(14)が内装要素(18)と一体をなす長手方向の第1の縁部(16)と、ステップ(22)状をなす長手方向の第2の縁部(20)とを備え、ステップ(22)の水平壁(26)が中央棚板(12)の支持面をなしており、空気流の循環手段が、居室(H)と荷室(C)の間で側方棚板(14)に設けられたグリル(34)と荷室(C)内の側方棚板(14)の支持面(24)の下に設けられた開口部との間を循環する第1の空気の流れ(F1)によって構成される後部棚板(10)の構成において、空気循環手段が、さらに、−中央棚板(12)の折り縁(28)と側方棚板(14)の垂直壁(24)との間に設けられた第1の空間(38)、及び−中央棚板(12)の折り縁(28)の下に設けられた第2の空間(40)を通して居室(H)と荷室(C)の間を循環する第2の空気の流れ(F2)を有することを特徴とする後部棚板(10)の構成。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、自動車両の居室と荷室とを分ける後部棚板の構成であって、側方棚板が内装要素と一体をなす長手方向の第1の縁部と、ステップ状をなす長手方向の第2の縁部とを備え、ステップの水平壁が中央棚板の支持面をなしており、空気流の循環手段が、居室と荷室の間で側方棚板に設けられたグリルと荷室内の側方棚板の支持面の下に設けられた開口部との間を循環する第1の空気流によって構成される、後部棚板の構成に関する。
【0002】
自動車両の後部棚板は、一般に側方棚板によって支えられる中央棚板を備える。また、車両内部では、特に荷室と居室の間で異なる圧力を平衡させるように空気の循環を図る必要がある。居室と荷室の間で側方棚板に設けられたグリルと、荷室内で側方棚板の垂直壁に中央棚板に相対して付けられた通気孔とによって、荷室と居室の間の空気の循環を行うことができる。しかし、空気の循環が不十分であると、空気圧力の分布が均一にならず、後部乗員の耳のレベルで不快なうなり音を生じる。
【0003】
循環する空気の体積を増やすためにさらに穴を追加することができるが、美的観点からはこの方策は満足できるものではない。さらに、この追加的な空気循環は、うなり音がなくなるように、後部乗員に、したがって後部座席に最も近い位置で、かつ大量に行われなければならない。
【0004】
こうした欠点を補うために、本発明は、効果的な空気循環手段を備えた美的な後部棚板の構成を目的とする。
【0005】
そこで、本発明は、上述した類の後部棚板の構成において、空気循環手段が、
− 中央棚板の折り縁と側方棚板の垂直壁との間に設けられた第1の空間、ならびに
− 中央棚板の折り縁の下に設けられた第2の空間
を通して居室と荷室の間を循環する第2の空気の流れを有することを特徴とする、後部棚板の構成を提案する。
【0006】
本発明のその他の特徴によれば、
− 第2の空間は、側方棚板のステップに設けられた凹部によって構成される。
− 中央棚板の支持面は、中央棚板の前縁の下および後縁の下で凹部の両側に振り分けられる。
− 支持面の下に設けられた開口部は、グリルによって部分的にふさがれる。
− 第1および第2のグリルは、一連の平行な薄板によって形成される。
【0007】
本発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら後部棚板の構成の例示的実施形態の説明を読むことで明らかになるはずである。
【0008】
以下の説明では、図1および2の三面体L、V、Tによって示される長手、垂直および横の方向を採用するが、これに制限的な意図はない。また、車両の進行方向に相当し、図では左から右に当たる前から後に向かう方向も基準として採用する。
【0009】
図1に示されるように、車両の居室Hと荷室Cの境界を画定する後部棚板10は、1つの中央棚板12とその中央棚板12の両側に配置された2つの側方棚板14とを備える。後部棚板10は長手方向中線に対して対称なので、棚板の半分のみについて説明するが、もう半分も同様である。
【0010】
側方棚板14の長手方向の第1の縁部16は、例えばCピラー内張りなど車両の内装要素18と一体をなしている。一体化の手段は、例えばラチェット手段とすることができる。側方棚板14の長手方向の第2の縁部20は、垂直壁24と中央棚板12のほぼ素直な折り縁28を受けるための支持面をなす水平壁26とを備えるステップ22を形成している。支持面26は、荷室Cの内装部品32に向かって延びる壁30によって下方に延長されている。
【0011】
第1の循環手段は側方棚板に設けられている。すなわち、居室Hと荷室Cの間で側方棚板14に第1のグリル34が設けられ、荷室Cの内部で支持面26下方の壁30に開口部が設けられることで、第1の空気の流れF1が通り抜けられるようになっている。この開口部は第2のグリル36によって部分的にふさがれていてもよい。グリル34および36は一連の平行な薄板によって形成することができる。
【0012】
移動する空気の体積を増やすために、さらに第2の空気循環手段が設けられる。そこで、側方棚板14のステップ22の垂直壁24と中央棚板の折り縁28の間に第1の空間38が作り出される。側方棚板14のステップ22の凹部40は、中央棚板12の折り縁28の下に第2の空間40を作り出すことができる。これにより、第2の流れF2がこの2つの空間38および40を通り抜けて居室Hと荷室Cの間を循環することができる。
【0013】
図2に示されるように、支持面26を凹部40の両側に振り分けて、座席44に近接する中央棚板12の前縁42および後縁46が側方棚板14の支持面26によって支えられるようにすることができる。より詳細には、後部棚板10は高い位置に、すなわち座席44の背もたれ上部の延長上にある。
【0014】
したがって、第2の空気循環手段には、ほとんど見えず、そのために美的であるという利点がある。また、車両の後部座席に近接して居室と荷室の間でより多量の空気を移動させることもでき、それによって後部乗員に関してうなり音の問題を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による後部棚板の構成の横断面図である。
【図2】図1の長手方向断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の居室(H)と荷室(C)とを分ける後部棚板(10)の構成であって、側方棚板(14)が内装要素(18)と一体をなす長手方向の第1の縁部(16)と、ステップ(22)状をなす長手方向の第2の縁部(20)とを備え、ステップ(22)の水平壁(26)が中央棚板(12)の支持面をなしており、空気流の循環手段が、居室(H)と荷室(C)の間で側方棚板(14)に設けられたグリル(34)と荷室(C)内の側方棚板(14)の支持面(26)の下に設けられた開口部との間を循環する第1の空気の流れによって構成される後部棚板(10)の構成において、空気循環手段が、さらに、
中央棚板(12)の折り縁(28)と側方棚板(14)の垂直壁(24)との間に設けられた第1の空間(38)、ならびに
中央棚板(12)の折り縁(28)の下に設けられた第2の空間(40)
を通して居室(H)と荷室(C)の間を循環する第2の空気の流れ(F2)を有することを特徴とする後部棚板(10)の構成。
【請求項2】
第2の空間(40)が、側方棚板(14)のステップ(22)に設けられた凹部によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の後部棚板(10)の構成。
【請求項3】
中央棚板(12)の支持面(26)が、中央棚板(12)の前縁(42)の下および後縁(46)の下で凹部(40)の両側に振り分けられることを特徴とする請求項1または2に記載の後部棚板(10)の構成。
【請求項4】
支持面(26)の下に設けられた開口部が、グリル(36)によって部分的にふさがれることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の後部棚板(10)の構成。
【請求項5】
第1(34)および第2のグリル(36)が一連の平行な薄板によって形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の後部棚板(10)の構成。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−546581(P2008−546581A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516384(P2008−516384)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050511
【国際公開番号】WO2006/134287
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】